平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 一つ目に、防災についてであります。
 昨年の六月議会でも取り上げさせていただいたんですが、まず一つ目に災害の事前対策についてであります。
 ことしは亥年、イノシシ年であります。十二年前の一月十七日午前五時四十六分五十二秒に阪神・淡路大震災は発生しました。地震で亡くなった方は六千四百三十四人、このうち約五千五百人の方が即死に近かったと言われております。偶然かもしれませんが、日本史上最大の震災と言われている一七〇七年の宝永地震や、死者・行方不明者十万五千人、百九十万人が被災者となった一九二三年の関東大震災、これも亥年に発生した記録があります。
 地震に限らず、大雨、土砂崩れ等、大自然による災害はいつ起こるか知れません。人間が自然環境を自由に扱うことはできません。だからこそ事前に大災害に備えた予防対策は必要であります。
 去る一月十八日、県民文化会館において、地震に関するセミナー「地震に備え、防災意識と地域防災力の向上を図る」が文部科学省と和歌山県の共催で開催され、来県された文科省研究開発局地震・防災研究課地震調査研究企画官中嶋秀俊氏は、「東南海地震の発生確率は、三十年以内に六〇から七〇%に引き上げられたが、三十年以内とは、きょうかもあすかもしれないという数値である。今の日本では、いつ、どこで地震が起こってもおかしくはない」と明言されました。
 我が和歌山県には、二つの大規模地震が必ず来ると言われています。一つは、和歌山市を初めとして紀伊水道を南に下り熊野灘から三重県にかかるまでの紀伊半島の海沿いすべての市町に被害が及ぶと言われている東南海・南海地震、その津波であります。二つ目は、県都和歌山市には市内を左右に通る磯ノ浦断層と近年発表された和歌山北断層があり、その断層は、岩出市の根来断層から紀の川市、かつらぎ町、橋本市を通って奈良県まで続く中央構造線があります。いわゆる和歌山直下型地震区域です。
 昨年、自主防災組織の中心的な担い手である地域防災リーダーを育成する防災講座「紀の国防災人づくり塾」の講師に来県された富士常葉大学助教授小村隆史氏は、「地震が発生した後を想定して行われる事後対策では人の命を守れない。予防(事前)対策が八割、地震発生時の応急対応に一割、復旧・復興に一割という割り振りで対策に取り組むべきである」と述べられております。
 災害対策は三通りあります。地震が発生する前から備えておく事前対策、地震が発生した際に自分の置かれている環境でどう応急対応するかを判断する事中というか応急対策、そして地震が発生した後の事後対策であります。幾ら避難訓練を繰り返しても、事後対策では生命は守れません。避難訓練も大事ですが、ともすると現状では発災後訓練であり、肝心なのは発災前の被害を減らす減災に対する啓発、意識が必要です。
 災害が起こる前に事前対策をしておくことが二つの大きな減災につながります。一つは、生命という最も大事な財産を守ることであり、二つ目は、資産の被害を抑えることにつながります。生きていればこそ、避難も、その後の生活も財産も行使できるのであります。地震が発生したときの判断は、ふだんの危機管理をみずから考え、事前の対策を講じていなければ難しいと思われます。
 さて、我が和歌山県は、仁坂知事のもと、安心・安全の確保、安全・安心の和歌山の実現を目指して耐震整備に取り組んでおります。しかし、耐震補強した建物だからといって地震の被害を受けないということではありません。地震が発生して建物は倒壊せずに残っていても、中にいる人間がたんすや食器棚などの下敷きになって帰らぬ人になってしまっては何にもなりません。
 建物は無事でも、室内の家具などが地震によって転倒、落下、散乱します。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の被災者の中には、倒壊した家の方だけが被災者になったのではなく、建物は何の支障もないのに自宅内で亡くなったり重傷を負われた方がたくさんいらっしゃいました。事前対策、これは室内における転倒防止、落下防止、ガラス飛散防止の三つであります。
 地震防災先進県の静岡県、愛知県、そして三重県では、建物対策と室内対策の二つを一つにして耐震補強ととらえています。全国に先駆けて愛知県の豊田市が、事前対策として転倒、落下、ガラス飛散防止対策を市民に呼びかけるとともに、豊田市役所本庁舎、支庁舎も事前対策を実施しています。豊田市に誘発された東海地区一帯では、児童福祉施設、高齢者施設、身体障害者施設等の社会的弱者対象施設を第一に優先した事前対策を実施しているようです。
 東南海・南海地震による津波の警戒対策も大事ですが、日本の場合、一九六〇年のチリ津波を除いて、大津波の前に大体大地震が起こります。「地震が来たらすぐに避難せよ」と理屈や言葉でわかっていても、人間の体はすぐに動かないものです。
 震度五以上の揺れを感じた場合、体が硬直して動けなくなったり、その場でひっくり返らないようにするのが精いっぱいです。震度六以上となると、自由はききません。家では、家具が転倒し、テレビが飛び、生活用品が散乱するのです。職場では、ロッカーや書棚が転倒し、パソコンやプリンターが宙を舞います。けが人のいない家庭や職場はあり得ないでしょう。地震がおさまったときには、逃げるどころか、生きているか死んでいるかのどちらかかもしれません。生きていた人だけが、次に頭を切りかえて津波から避難する行動をとれるのです。どんなにすばらしい避難道、避難場所をつくっても、家屋や職場から外に脱出できなければ生命は幾つあっても足りません。
 中央防災会議前委員、内閣府地震防災対策強化地域判定会会長の溝上東京大学名誉教授は、「家具類の転倒・落下防止をするだけで被害は相当防げる。市民もできる範囲で対策をしてほしい」と所見を述べられております。また、昨年九月に和歌山県立医科大学講堂で行われた和歌山県災害医療従事者研修会の講演会で講師に招かれた兵庫県災害医療センター顧問、西宮病院名誉院長の鵜飼卓氏は、「予防(事前対策)にまさる治療なし。患者さんの生命をお守りするのは当然として、院内機器一つそろえるだけでも大変である。今、事が起こる前に対処すれば一億円で済むことが、災害に遭ってしまったら百億円では済まなくなる。悔いを残さないようにしてほしい」と教訓を残されました。
 教育施設を含む避難場所に指定されている耐震補強された公共施設でも、いざというときに施設内のロッカー、靴箱などが散乱しガラスが割れて飛散していれば、そこは避難場所ではなくなってしまいます。
 新潟県中越地震の一例を挙げますと、新潟県小千谷市では、小千谷市民病院内が地震によって手術室、病室、ナースセンター、院長室とすべての部屋が散乱し、病院機能は全室使用不可となりました。たまたま隣に病院の老人介護施設があったので、震災後に入院患者をそこに臨時に移動することができましたが、近隣の住民の方々も助けを求めてこられ、避難場所に指定されていなかった老人施設が急遽臨時避難施設になってしまったという例もあります。
 このように、災害時には予想もつかないことが起こるので、公共施設だけでなく、私立の保育園、幼稚園、学校施設、老人施設、障害者施設、養護施設、病院なども事前対策をしっかり施すべきであります。
 学校には、ピアノやエレクトーン、ロッカーや体育用具があります。これが大震災で飛んだり転倒したりするのです。子供にぶち当たったり上からのしかかったりしないかと想像するだけで、ぞっとします。耐震補強については、建物だけでなく、室内における事前対策についても震度五以上の地震に耐えられるだけのものかどうか確認することも必要ではないでしょうか。
 県民の安全を守る警察、消防、人の命に直結する病院についてですが、阪神・淡路大震災時に、警察、消防、病院に勤務する職員の皆さんも被害に遭い、出動・出勤が阻まれたところがありました。大地震や大災害が発生すると、和歌山県民全員が被災者になります。警察、消防、病院職員も大切な和歌山県民です。職員の皆さんがいざというときにこそ職務を立派に遂行できるよう、事前から署内・院内の室内事前対策について準備を施していかなければなりません。
 和歌山県庁舎も、平成十七年度から二十二年度にかけて、和歌山県庁耐震等改修事業として六十九億二千二百七十一万五千円の予算をかけて耐震補強を既に行っていますが、現状のままでは、大地震が発生した場合、建物はしっかりしていても、中に生存者がいるかどうかわからないようなことになりかねません。県民がたちまち困ってしまいます。
 地震防災先進県の静岡、愛知、三重県の市町村のように、この県庁、各振興局等各庁舎も耐震補強とともに事前対策を行い、あわせて消防を含めた市町村の庁舎への取り組みも推進し、県及び市町村職員が安全を確保し、県民の皆さんの一大事のときに速やかに対応できる環境をつくることが県民の皆さんへの積極的な事前対策を呼びかける手本になると思います。
 さて、質問に移りますが、知事の推進される安心・安全の確保、安心・安全の和歌山の実現に向けて、事前対策についての仁坂知事の所見、あわせて担当部局の責任者である福祉保健部長と教育長の御答弁もお聞かせください。
 二番目、市町村における特別査察隊について。
 昨年十月より、和歌山市消防局において、市内五つの消防署で予防業務に従事する職員の中から予防技術員等の専従員を人選して特別査察隊が結成されております。措置命令や告発も辞さない決意で違反処理活動、期日を設けた改善の呼びかけを行い、何十年も違反を続けてきたところも改善するようになるなど、改善率を上げてきておられます。
 去る一月二十日には八人の死傷者を出した宝塚市のカラオケ店「ビート」の火災事故がありましたが、和歌山県としても、先日、県内のカラオケボックス六十二店を対象に行った消防法令違反状況の点検結果を発表されました。自動火災報知設備がなかったり、消火器の期限が切れていたり、あるいは避難誘導灯がなかったりといった消防用設備等に係る不備の店舗が五三・二%もあったり、防火管理等に係る不備が六二・九%もあったりで、何らかの消防法令違反が確認された店は四十六店舗で、全対象物の七四・二%もあったということであります。だからこそ、和歌山市消防局による特別査察の取り組みは大変効果的なものであり、営業店舗に危機意識を持ってもらうために、県としても県内消防本部の予防業務の充実にさらに取り組んでいただきたいと思いますが、危機管理監、いかがですか。
 三番目、民間救援隊の活動と防災士の養成について。
 大規模災害の発生時に迅速な行動ができるよう、和歌山市災害対策本部と和歌山民間救援隊が、去る一月の八日、和歌山市消防局において連携訓練を行いました。私も友人とともに、バイクやヘリに設置されたカメラから映し出される大画面、逐次行われる報告と対策協議といった緊張感、臨場感あふれる訓練を拝見させていただきました。
 同日、午後一時三十四分、紀伊半島沖で地震が発生し、和歌山市で震度六弱の揺れを観測したとの想定で訓練がなされました。民間救援隊のバイク四機、ヘリコプター二機で被害状況を本部へ報告、静止画像や動画が送信され、その都度対策の協議を行う様子を興味深く、引き込まれながら見さしていただきました。行政だけでは対応し切れない部分を民間救援隊が補完するという、市民の防災ボランティアの大きな力と現実的な必要性を痛切に感じさせていただきました。
 地域の防災リーダーとしての防災士の養成とともに、民間救援隊等防災ボランティアの活用について、危機管理監の所見をお聞かせください。
 四番目に、先日竣工されました平成十九年四月業務開始の和歌山県庁南別館、県防災センターの役割と市町村とのかかわりについて、危機管理監、聞かせてください。
 二つ目に、和歌山下津港についてであります。
 去る二月六日、アバローム紀の国にて、和歌山港ポートフォーラム二〇〇七が開催されました。その中で、ペトロマテリアル株式会社代表取締役三宅社長が、「和歌山下津港への企業進出と今後の展望」と題して興味深い講演をされました。当社は、新会社として日本石油鋼管株式会社を二〇〇五年十月に和歌山市雑賀崎工業団地へ鋼管物流加工センターとして設立されました。また、先日二月十四日に、同社と県との間で、さらに第二工場の進出協定が締結されました。油井管、掘削工具の製造を行うもので、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所等の石油採掘用鋼管といった製品を取り扱い、主に中国向け等今後の輸出展開、殊に和歌山下津港からの輸出が大いに期待できるものであります。
 昨年の六月定例会で、ガントリークレーンの有効利用について提案させていただきまして、県当局からは、技術的に対応可能かどうかを検討してまいりたいといった趣旨の答弁をいただいたところでありますが、早速今議会にガントリークレーンの長時間利用に係る使用料の値下げ改定の条例案を提出いただいております。今後、ガントリークレーンを効率よく利用するためにも、他の鋼管を初め、それ以外のばら積み貨物への荷役活用も期待できるのではないでしょうか。
 去る一月二十日には鋼管荷役のトライアルも行われ、スムーズにとり行われたようです。準備オーケーであります。とにかく、地方の特定重要港湾として和歌山下津港に特徴を持たせてセールスをしていかないと、阪神港のスーパー中枢港湾、それに隣接する港湾の勢いにのみ込まれてしまいます。ぜひ港の生き残りをかけて、このビジネスチャンスを生かしてほしいものであります。
 それでは、質問に移ります。県土整備部長に御答弁願います。
 一つ目に、中国との定期航路開設は和歌山下津港にとって長年の夢でありますが、この石油採掘用鋼管の取り扱いが今後の中国航路開設の呼び水になるのではないでしょうか。
 二つ目に、今後の和歌山下津港における新規展開として、コンテナのみならず、鋼管のようなばら積み貨物を和歌山下津港の主要取扱貨物として、ポートセールスの目玉として他の荷主を呼び寄せてはいかがでしょうか。
 三番目に、和歌山市内の東西を結ぶ幹線都市計画道路についてであります。
 一つ目、和歌山市内各地で都市計画道路網も随分整備が進んでまいりました。市駅小倉線の県道井ノ口秋月線の西和佐から和佐区間、湊神前線の新堀橋から手平区間、南港山東線の県道三田三葛線の一部道路改良、塩屋区間の一部供用等のおかげで、利便性は向上されてきております。やはり生活上、産業振興上必要な道路は、厳しい財政下にあっても整備を進めていただきたいと思わない県民はいないと思います。
 仁坂知事におかれましては、知事の道路政策、特に県都和歌山市における都市計画道路について整備のあり方をどうお考えですか。
 二番目、紀の川以北は新興団地も多く、朝夕の交通渋滞は目を覆うばかりであります。その中で、都市計画道路西脇山口線も第二阪和国道以西が本脇のあたりまで供用され、おかげさまで大変な時間短縮が図られるようになりました。あとは、事業中の区間として、加太へ至る区間、第二阪和国道以東の善明寺工区、六十谷工区、宇田森工区の進捗状況はいかがでしょうか。また、園部区間と六十谷駅以東の未着手区間の事業化への見通しを、県土整備部長、お聞かせください。
 三番目に、都市計画道路南港山東線は和歌山市の事業で、ようやく塩屋の区間も道が見えてきましたし、小雑賀交差点東側の県道三田三葛線の坂田までの区間が進みましたが、それ以東の竈山神社の北を通る地点、神武天皇のお兄様の御陵を削らないよう配慮もいただきながら、いよいよ岡崎、山東方面への期待も膨らんできます。
 かつて幼少のころ水軒の浜海水浴場まで通った、今も近隣にある複数の小・中・高校の生徒たちが通学に使って、登校時間帯には自動車、二輪車、そして歩行者が入り乱れる水軒口交差点から和工前交差点までの市道部分も和歌山市の事業ということですが、何といっても和歌山市内の環状道路網の南のかなめであります。どうか県市歩調を合わせて、産業道路であるとともに生活道路の位置づけもある大事な道路区間でありますし、近くの住民の一人として早く進めていただきたいと思います。
 また、南港山東線の最西端に位置する旧臨港鉄道線路敷の道路拡幅工事ですが、江戸時代の水軒堤防の関係等でしばらくストップしております。背後に臨海地帯があり、港湾関係、工場関係、それに中央市場関係等々、たくさんの皆様が働く場所であり、朝夕渋滞する交通の要衝ポイントであります。早期の工事再開を望む声は、実際、大きいです。
 歴史的建造物、文化財の調査・保存ももちろん大切ではありますが、もはや使用されることのない堤防ですから、道路拡幅に支障のない離れたところへ公共的な展示場所を設置して重要文化財として役立てていく等々御検討いただいて、いち早く工事を再開いただきたいと思いますが、それもあわせた南港山東線の事業中区間の進捗状況と竈山神社以東の今後の事業化についての見通しを、県土整備部長、教えてください。
 最後に、二巡目国体開催に向けてであります。
 一つ目、平成二十七年の和歌山県における待望の二巡目国体開催が内定し、私も県民の一人として、スポーツを愛する一人として、この上ない喜びを味わっております。仁坂知事は、この国体開催を今後の和歌山県にとってどのようなものととらえておられますか。知事の和歌山県のスポーツ振興におけるコンセプトとあわせてお答えください。
 二番目に、県財政、極めて厳しい中、スポーツ施設整備予算というのは費用対効果の点から非常にシビアに考えなければいけないものでありますが、既設の施設をできる限り有効に活用いただいて、どうしても必要な整備はいただきたい。
 例えば、紀三井寺野球場の観客席でも、コンクリートむき出しであります。そうではなくて、せめて観客が座りやすいようプラスチックを上乗せするぐらいの配慮、同じ紀三井寺のテニスコートにも夜間照明をつけて長時間利用を可能にする、あるいは既設の野球場、市町村含めいっぱいありますが、こういうものを活用したソフトボールグラウンドの確保等々、要望が多い、低コストででき得ることはお願いしたいものであります。
 前知事によれば近隣他府県とも連携して施設面での利用等配慮して行おうということでありましたが、いろんな競技があります。会場の確保について基本的考えを、教育長、お聞かせください。
 三番目に、国体の開催地になるからには、県民意識の高揚、ふるさと和歌山県に対する愛郷心のためにも、いい成績は残してもらいたいものであります。それには、個々の選手の能力もさることながら、選手養成の綿密な計画性とともに、何といっても優秀なコーチ・指導者体制、これの整備が必要であります。教員を含め国体に向けた指導者体制の構築について、教育長、聞かせてください。
 以上四点、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災についての御質問にお答えいたします。
 災害から県民の生命や財産を守ることは、県に課せられた大きな責務であります。そのための公共事業を初め、各種防災訓練や啓発活動、あるいは地域防災力の向上など、さまざまな対策に取り組んでいかなければならないと思っております。とりわけ本県においては、近い将来、御指摘のように東南海・南海地震の発生が予想されておりまして、甚大な被害が予測されております。そのため、防災対策を県政の最重点課題の一つに位置づけ、計画的に取り組んでいるところであり、平成十九年度は四百四十九億円の防災関連予算案を計上しております。
 昨年五月に公表した本県の地震被害想定結果におきましては、東南海・南海地震による死者の最大で七三%が建物の倒壊等に起因するとされておりまして、防災面における安心で安全な和歌山県づくりを進める上で、建築物等の耐震化や家具備品類の転倒防止は大きな課題であると考えております。
 議員お話しのとおり、災害発生時の行政施設や医療施設、学校施設の安全確保、こういうことは重要な問題であると認識しておりまして、一定規模等の県有施設の耐震化につきましては平成二十六年度末までに完了することを目標にいたしまして、特に防災対策上重要な本庁舎や警察本部の庁舎、あるいは総合庁舎、学校施設等、平成二十二年度までに耐震化を図るようにしております。
 各分野の取り組みについては、後ほど担当部長等から答弁させます。
 次に、和歌山市における幹線道路についてでございます。
 道路整備については、元気な和歌山を実現するための交流ネットワークの整備といたしまして、まず県にとって背骨となる高速道路である近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道、それから大阪府との交流を促進する府県間道路及び骨格となるネットワーク関連道路を最重点に整備しているところでございます。また、市街地における渋滞の緩和や市街地の利便性の向上を図るため、都市の基盤となる道路整備を進めているところでございます。
 今後も、和歌山市における主な都市計画道路のネットワークを早く形成するよう、市と連携しながら重点的かつ計画的に取り組んでまいりたいと思います。
 三番目に、国体についてでございます。
 国体の開催とスポーツ振興に対するコンセプトについてお答え申し上げます。
 昨年末の全国高校女子駅伝での県和商チームの活躍などにも見られるとおり、レベルの高い大会で活躍する競技者のひたむきな姿は、多くの県民に夢と感動を与えるとともに、地域の活性化や一体感を促し、和歌山を元気にする重要な、大事な要素であると考えております。また、スポーツを振興することは、県民の心身両面における健康の保持増進に貢献するとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に大きく寄与するものと考えております。
 第七十回和歌山国体の開催に当たりましては、本県の大変厳しい財政状況を勘案し、簡素化、効率化を図りながらも、新しい時代に適応した和歌山の魅力を最大限に生かした質の高い大会を目指すこととしております。
 また、国体終了後も、活気あふれるふるさとづくりや心豊かでたくましい人づくりに十分つながるものとなるように、開催に向けて鋭意取り組みを進めてまいりたいと存じております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 災害の事前対策についてでございますが、議員御指摘のとおり、高齢者や障害者の方などが入所する社会福祉施設や医療機関等に対する災害の事前対策は大変重要であると考えます。
 建物対策につきましては、例えば民間病院の耐震診断費用の補助事業を今年度から二年計画で開始し、来年度以降、補強が必要な場合に改修工事の施設整備についても補助するほか、障害者施設につきましては、耐震化を含めた建てかえに対する補助を行っているなど、施設の耐震化に努めているところであります。
 室内対策につきましても、児童福祉施設や医療機関において、室内に置かれている機器等の転倒防止策などの取り組みを開始しております。
 しかしながら、医療機関や社会福祉施設全体としては、事前対策が十分であるとは言えない状況にあることから、引き続き耐震化を促進するとともに、事前対策の必要について啓発や指導を徹底してまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 防災についての三項目についてお答えを申し上げます。
 まず、特別査察隊でありますが、カラオケボックス店など防火対象物の点検につきましては各消防本部が定期的に点検を行っているところでありますが、今回の宝塚市における事故にかんがみ、知事の指示により各地の消防本部に特別査察をお願いいたしました。その結果、行われた特別査察は、議員御指摘のとおり、和歌山市消防局の特別査察隊のように、各消防本部における予防業務体制の充実は大変重要であります。しかし、県内には小規模消防本部が多い状況にあることから、県内消防本部の広域化を図るなど、市町村や各消防本部と連携し、予防業務体制の充実が図られるよう取り組んでまいります。
 次に、民間救援隊の活用と防災士の養成についてでありますが、和歌山民間救援隊については、従来より救援ボランティアチームとして登録をいただき、県が実施する防災総合訓練やコーディネーター研修なども参加いただいているところでございます。同救援隊は、ヘリコプターやバイクなどの装備を持つ全国でも有数のボランティア組織であり、大規模災害時には被害情報の収集や物資搬送等において大きな役割を果たしていただけると期待をしております。今後も、訓練等を通じ、さらに連携を図ってまいります。
 また、防災士の養成につきましては、地域の防災力を向上させるため、十七年度より紀の国防災人づくり塾を開講しリーダーの養成に努めており、二カ年で計二百七十五名の方に受講いただき、このうち百五十九名がNPO法人日本防災士機構が認証する防災士の資格を取得してございます。今後とも、研修会や情報交換の場の設定などの支援を行ってまいります。
 最後に、防災センターの役割と市町村とのかかわりについてお答えします。
 和歌山県防災センターの役割は、災害発生時の迅速な被害情報の収集、適切な対策の実施が極めて重要な指令拠点であると考えております。このため、発災後直ちに応急対策が実施できるよう、大型の災害情報表示装置を備えた災害対策本部室、関係職員約百五十名が同時に作業のできる防災対策室、緊急へリポートなどを設置いたします。
 また、市町村とのかかわりについてですが、防災センターの心臓部である総合防災情報システムが稼働いたしますと、県、市町村、消防本部等による速やかな防災情報の収集、配信、共有が可能となり、より緊密に連携した総合的な応急・復旧対策が実施できるものと考えております。
 業務を開始する本年秋以降、市町村を初め関係機関との連携を深めるため、防災センターを活用した災害対策本部運営訓練など、実践的な訓練を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 和歌山下津港について二点、和歌山市内の東西幹線道路について二点、御質問がありました。
 まず、中国との定期航路開設についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、平成十八年十月に日本石油鋼管株式会社が和歌山下津港雑賀崎地区で操業を開始しております。現在、この会社は、他の港ではなく直接和歌山下津港から中国天津港に向け、船での石油採掘用鋼管の輸送を検討中であると聞いております。この船舶を天津港から和歌山下津港への貨物輸送にも活用することが考えられることから、このような企業の動向を見きわめつつ、地元関係者や荷主の意向把握を行い、定期中国航路開設の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、ばら積み貨物の取り扱いについては、和歌山下津港の利用促進を図る観点から、ガントリークレーン使用料の引き下げに向けた条例改正案をこの二月議会に提出させていただいております。今後、ガントリークレーンの多目的な利用や通関手続が周辺の大規模港よりも早くできることなど、和歌山下津港の特色を生かしたポートセールス活動を展開してまいりたいと考えております。
 次に、西脇山口線の進捗状況等についてお答えをいたします。
 最初に、市北部の幹線道路であります西脇山口線につきましては、坂田工区、善明寺工区、六十谷工区及び宇田森工区で事業を実施しており、坂田工区は平成十九年度の完成を、善明寺工区では平成二十年度の完成を目指して事業を進めております。六十谷工区では、現在用地買収を進めており、平成十九年度には六十谷交差点付近の工事に着手してまいります。宇田森工区は、JR紀伊駅の前の渋滞対策として平成十六年度から事業に着手し、用地買収を進めているところでございます。また、園部地区と六十谷駅以東の未着手区間につきましては、現在事業中の箇所の進捗状況を勘案しながら事業化について検討を行ってまいります。
 次に、南港山東線の進捗状況等についてお答えをいたします。
 市南部においては、周辺部と中心部を結ぶ東西幹線道路として、南港山東線、市駅小倉線、及びこれらを連結する南北幹線道路である松島本渡線の整備を進めております。
 南港山東線につきましては、県道和歌山海南線、通称国体道路から東側のJRとの立体交差部の区間二百七十メートルを平成十七年三月に供用開始し、続く竈山神社西側の県道三田三葛線との交差点部までの約一千百五十メーターの区間について、平成十八年八月及び十一月に順次供用したところであります。現在は、竈山神社東側の県道秋月海南線までの区間について用地買収を進めております。また、塩屋交差点から西側三百五十メーターの区間を和歌山市が事業を進めており、平成二十二年度の完成を目指して用地買収を進めていると聞いております。竈山神社以東の未着手区間につきましては、現在事業中の箇所の進捗状況を勘案しながら、ネットワーク形成の観点から事業化について検討してまいります。また、水軒旧踏切部分の交差点改良につきましては、文化財担当部局と協力し、平成十九年内の工事着手について進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育関係の二点についてお答えいたします。
 まず、災害の事前対策ですが、県教育委員会では、平成十五年に「学校における防災教育指針─地震・津波等の災害発生に備えて─」を定めて事前対策の推進を図っているところでございます。今後とも、各県立学校及び市町村教育委員会に対し、安全確保のため、学校施設の整備やロッカー、書棚、ピアノ等の転倒・移動防止対策、安全点検を実施するなど、災害に備えた事前対策の徹底について指導してまいります。
 次に、二巡目国体開催に向けた会場の確保についての基本的な考え方についてお答えいたします。
 競技会場につきましては、県内の既存施設や近畿各府県の施設を有効に活用することを前提に、県内の競技団体及び市町村などとの緊密な連携のもと、近畿各府県教育委員会や近畿の競技団体とも調整を図り、平成十九年度に設立予定の準備委員会におきまして、さまざまな角度から検討することとしております。
 なお、その際、競技会場については、地域バランスを考慮して広く県内各地に配置するとともに、国体後においても地域スポーツ振興の拠点として住民に広く活用していただけるものにしてまいりたいと考えております。
 最後に、指導者体制の構築については、先日、尾崎要二議員の質問にもお答えしましたとおり、本年度から新たにスタートさせたきのくにエクセレントコーチでは、現在、七競技で八名が指導に当たっております。来年度はこの制度を拡充し、より円滑で実効あるものにしてまいりたいと考えております。
 また、従前から県体育協会と連携しながら中央競技団体のトップレベルの優秀なコーチを招聘し、レベルの高い技術の習得と本県指導者の意識の高揚を図るトップ強化コーチ招聘事業を展開しております。さらに、教員採用試験において、全国大会や国際大会等でトップレベルの成績をおさめた競技者については一次検査の一部を免除し、優秀な指導者となる人材の採用・確保に努めております。
 本県のスポーツ振興を図る上で指導者の確保とその資質向上は重要であり、今後とも優秀な指導者の養成・確保に努めるとともに、県外指導者の積極的な招聘や交流等を含め、総合的な指導体制の確立を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 災害の事前対策についてでありますが、防災先進県の取り組みのように、耐震補強とはあくまで建物対策と室内対策の二つを一つにしたものであるとの認識を強く持っていただきまして、各分野において室内対策も急いでほしいと思います。
 また、自治会単位でそれぞれ自主防災の取り組みもなされていることと思うんですけど、大災害時のパニック状況の中では、防災のリーダーたる方の冷静でかつ情熱あるリーダーシップ、そういうものが欠かせないと思います。防災士の養成についても引き続き御尽力いただきたいと思います。
 和歌山下津港についてですが、日本石油鋼管株式会社の和歌山下津港での輸出展開、これ、当港の命運のかかった大変ありがたい、起死回生の大きな期待の持てるものであると思います。県におかれましては、行政当局としてのできる限りのソフト・アンド・ハード──両面でのバックアップですね──これを引き続きよろしくお願いいたします。
 以上、要望さしていただいて、私の一般質問を終わります。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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