平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、質問に入らせていただきます。
 私の質問は、きのう、おとついと皆さんの質問と共通して同じような質問があるわけでありますが、少し切り口が違うということで御勘弁願いたいと、そのように申し上げさせていただきます。
 まず、地方分権についてお尋ねをさしていただきます。
 この地方分権の改革につきましては、ちょうど一昨年、私が昨年議長をやっていた当時、夏場に三位一体の改革ということで盛んな論議がされました。その結果、小泉内閣の三位一体改革は、四兆七千億円規模の国庫負担金の改革と、そして個人所得税から個人住民税への三兆円規模の税源移譲という形で決着がつきました。決着した内容についてはさまざまな意見がありますが、三兆円規模の税源移譲が実現したということは、これはまさに画期的なことであり、ようやく財政面の方向から地方分権がスタートしたという感じがいたします。
 それで、私がこの三位一体改革の中で一番大きく評価できるのは、いわゆるその国庫負担金の改革についてであります。国が地方の意見を聞いてくれたということであります。結果は、満足する結果ではなかったわけでありますが、小泉首相が、総理大臣が、今回は一度地方の意見を聞いてやろうということで聞いてくれたことであります。従来でありますと、国は決めたことについて地方に決定通知をするというような形であったわけでありますが、国と地方が同じテーブルに着いたということについて、私は大変評価をさしていただきたい、そういうふうに思うわけであります。そして、この地方の意見を聞くという道筋がついたことについても、大変な大きな評価であると思います。そして、全国知事会が今後も制度的にこういうふうな地方の意見を聞く場をつくってほしいということは、私は必然であろうと思うわけであります。
 そして、三位一体改革。これはもう国と地方の六十年──正式には五十九年──六十年続いたという、その中で組織システムが大きく変わったという大改革であったと言えるわけであります。そういうその三位一体の改革について、これから地方分権の入り口が確かに決まったという、スタート台に着いたということで、私は非常に喜んでおるところであります。
 そして、昨年十二月には地方分権改革推進法が成立し、政府の地方分権改革推進委員会が四月にも発足し、地方分権の第二期に向けての大きな推進計画がスタートしたと思えるわけであります。
 知事は、経済産業省の官僚として、国と、そしてまた地方の役割というものを官僚の立場で考えてこられたと思うわけでありますが、今、和歌山県の知事になられて地方の立場から今後の地方分権についてどういうふうに考えておられるのかということをまずお聞かせ願いたいと思います。そして、地方分権が今後どういった形で進んでいくのが望ましいかと、そういうことについてもお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 そして、きのうの質問で坂本議員から市町村合併の質問があったわけでありますが、私からもこの市町村合併についての質問をさしていただきたいと思います。
 地方分権の推進のための受け皿づくりとして市町村合併が大事であるということについては、私もこの議場で数回聞かせてもらいました。国の財政改革、危機的な財政状況をどう改革するかという地方の責任としての市町村合併、そしてその合併についてはさまざまな意見、メリット・デメリットがあったわけでありますけれども、平成十三年の──私もそのときの審議会の委員にならしていただいたわけですけども、線引きはやりました。二十何とおりの──六とおりの線引きがあったわけですけども、それで各地域において合併協議会が設置されて、そして自分たちの地域の発展、本当にいろんな形で悩み抜いて苦悩の末に合併をされた。五十の市町村が三十になったわけであります。それで、これは一応の平成の大合併ということで成果を私は評価するわけでありますけれども、もう一段の合併、本当に和歌山県の姿が五十から三十の姿でいいのか。知事は、選挙中、各地域を回られて、いろんな形で和歌山県の将来像というものを語られたと思います。当然、この市町村の行政、その自治体の数、あるいはまた規模についても、これから知事は和歌山県の姿ということで語っていく責任があると思うんです。そういう中で、和歌山県の将来像というものはどの程度のものかということについてお尋ねをしたいと思います。
 そしてまた、知事は、今般、議会の中でも、長期総合計画について作成をされると聞いております。その中でも当然、市町村の姿、和歌山県の全体構想というものをやっぱり確立していかなきゃいけないと私はそのように思いますので、その長期計画の中でどのように位置づけて和歌山県の姿というものを描くかということについても、同時にお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、平成の大合併によって市町村の数が三千二百から千八百になったわけであります。次は広域自治体である都道府県のあり方について論議が行われるというものであります。つまり、道州制については、昨年二月に首相の諮問機関である地方制度調査会が、広域自治体改革を通じて国と地方の相互の政府のあり方を再構築し、新しい政府の姿を確立する、そういう目指す具体策として道州制の導入が適当であるということを答申されております。都道府県の事務は大幅に市町村に移譲して、そして国の出先機関とかそういうものをできる限り廃止して一本化すると、そういう案であります。
 また、昨年十二月にいわゆる道州制特区推進法が成立したことを受けて、先ごろ、新たな国家像と地方のあり方を協議するために道州制ビジョン懇話会が政府に設置されました。懇話会では、今後一年間、道州制の理念や大枠に関する論点を整理した中間報告をまとめるとされております。
 一方、全国知事会では、ことし一月に道州制についての基本計画をまとめ、道州制の基本原則として、地方自治体を道州といわゆる市町村の二層制にすることや国と地方の役割分担の見直しの必要性など、七つの項目を挙げております。また、国と地方が一体となった検討機関の設置や国民意識の醸成の必要性などを提言しております。このように、道州制について、いよいよ本格的な議論がなされてきております。国と地方の仕組みをどうするのかということを問うておるわけであります。
 知事会の中では、この道州制について、各知事、時期尚早であるとか、そしてまた、地方分権を後戻りさせる、いわゆる税源移譲とかそういうものについて後戻りさせるような議論になるんではないかという慎重論者もあるわけでありますが、私は、本当の地方分権が完結するためにはどうしても国と地方の役割分担を改革する道州制みたいなものと地方分権と一緒になって制度改革というものをやっていかなきゃいけないんだと、そのように思いますので、知事の御見解をお聞かせ願いたいな、そういうふうに思うわけであります。
 次に、教育改革についてお尋ねをさしていただきます。
 教育改革を語る前に、私は、現行の日本国憲法について少し語ってみたい、そのように思います。
 日本国憲法は、皆さんも御承知のように、敗戦の占領統治下、その占領統治下の中でGHQ──連合国の司令部ですね。これは、実際、米軍であろうと思うんですけども。米軍です。マッカーサー率いるホイットニーとかケーディス、ラウエル、ハッセー、そういうようなアメリカのGHQの民政局の連中が、これ、たった二週間という短期間で英文で創案された、まさに日本人にとってはけしからん憲法であるということであるわけであります。第九十回帝国議会の中でも、たしか日本共産党さんもその制定過程に問題があるとかいうことで、私の記憶では反対されたと思うわけでありますけども、とにかく自民党も立党の精神は自主憲法制定であります。そのことを訴えてずっと戦後やってきた中で、ようやく憲法について、改正するかどうかについて議論することについて、これはもうだれも文句を言わないような状態になってきたんではないかと私は思うわけであります。
 かつて、和歌山県選出の中西啓介衆議院議員が初めて入閣、いわゆる防衛庁長官に入閣したときに、「憲法も見直し論議をしなければいけない時期に来ているんではないか」ということをちょっと発言しただけで首になった、辞職したという、そういう話があるわけなんですけども、その当時はそうであったわけです。しかし今は、みんなが新しい自主憲法を制定しなけりゃいけないという機運になっておるということは、私は、反対・賛成を問わず、オープンに議論をしてはどうかという機運になっていることは確かだと思うわけであります。
 そういう中で、私は、今、教育改革について、教育基本法について質問するわけでありますが、教育基本法も、まさにそうであるわけであります。憲法制定と同時に制定されたこの教育基本法、これは、その一年前にアメリカの教育使節団が日本に来て、たった一カ月の視察をした中で「教育改革」という名のもとに教育基本法を制定された、憲法と同じような性格のものであります。そして、その要求の中には、びっくりするのに、日本の国語をローマ字にしてはどうかという、そういう案も押しつけられようとしたわけであります。そのときはさすがに日本人も抵抗して、そのことについては拒否をしたわけでありますけれども、しかし、こういう短期間によって教育基本法もつくられたというわけであります。そして、六十年が経過してようやくことし、安倍内閣が教育基本法を改革、新基本法を作成・制定したわけであります。これは、六十年ぶりの──私は、いろいろ各条項、不満が残るところがあると思うわけでありますけれども、画期的な改正であったろうと思います。
 中曽根内閣の臨教審、あるいはまた小渕内閣から森内閣の教育国民会議、そしてまた遠山文部大臣の中教審への答申、そういったことをずうっと積み重ねてきて、そして今皆さんが議場の中で大変問題にされている教育現場の大変な荒廃──いじめ、不登校、そういったとんでもない、学校が荒れているというような状況が今の教育現場に出てきておるわけであります。それを何とか改革したいという思いでずうっと取り組んできたその基本法の改正がようやくされて、私は、これは歴史的なことであって、安倍内閣のみならず内閣の一つや二つが吹っ飛んでもいいような大きな仕事であったろうと、そういうふうに思うわけであります。
 それから、この教育基本法の道徳教育について、前文に公共の精神を学ぶことが掲げられ、第二条については、「教育の目標」として豊かな情操と道徳心を養うことなど、育成されるべき姿が示されております。愛国心については、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ということがあります。旧法では、こうした愛国教育がなされてなかったのであります。また、十条の「家庭教育」、十三条の「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」の項目も追加されました。こうして新たに生まれ変わった教育基本法を教育長はどのように評価して、そしてまた教育行政にどのように生かしていくのか。特に、道徳教育の充実に向け、教育の現場で具体的にどのように取り組むのか、お尋ねいたします。
 次に、ミカン対策についてお尋ねいたします。
 本年度の温州ミカンの生産量は、裏年であったため、八十六万トンが見込まれております。この数字は裏年であったため平成十六年度の生産量の八一%に当たる数量であります。ミカン農家は百万トンを超えると価格が大幅に暴落し、いわゆる豊作貧乏に陥ってしまいます。そして、そのような中でも、農薬代、肥料代、輸送コスト等の生産経費を差し引かなければなりません。そうすれば収益がほぼ存在しないのが現状であります。「農業経営者の多くは労働に見合った報酬が得られない」、「子供に後継者になってもらいたくても到底それを勧めることができない」との声が大変多く、これはミカンづくりの将来に期待の持てないことの象徴であります。
 しかし、農業経営者は、そのような中でも、新品種の導入であったり、低農薬への取り組みであったり、日々創意工夫をしております。本年度のような百万トンを下回る生産量なら加工品に回す果実も少なく、市場へ順調に出荷できたことは生産者にとって大変喜ばしく、このような状態が持続されれば農業経営者は安定に向かい、ひいては後継者の問題の解決にもつながるものと考えます。また、表年であれば、大変残念なことながら、思い切った摘果をして収穫したミカンの廃棄を余儀なくされる厳しい状態が続いております。つまり、本年度のような百万トンを下回る生産量を維持するためには、生産調整の強化を進め、適正な生産量への早急な誘導が必要であると考えます。また、一説には、現在、ミカン離れである消費動向から割り出すと、八十万トン台が適切な需給バランスであると言われております。そこで、本県としてどのような対策を検討しているのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
 また、昨年十月二十七日には、地域団体商標制度の認定第一弾として「有田みかん」が地域ブランドとして認定されました。このことは有田地域の生産者にとって大変喜ばしいことであり、心強いことであります。しかし、単に登録されたことから有田みかんの売り上げが好調になるといった安直なことはないでしょう。いかに地域ブランドを高め、そして浸透さすかが勝敗の分かれ目になるのではないでしょうか。
 ここで少し話が変わりますけれども、販売戦略という観点からお話をさせていただきます。
 何の製品でもそうでありますけども、ミカンも、今までは人や場所で売ってきたと思います。そういう中で、私は、ミカンをその物語性とか、そしてまた感性、フィーリング──そのフィクションとフィーリング二つのFで売ってみてはどうかというふうな話であるわけなんですけれども。実は、皆さんも御承知のように紀伊国屋文左衛門、これは有田郡湯浅町出身であるということがほぼ事実であろうと言われております。一説には熊野とかいろんな意見があるわけでありますけれども、湯浅町が出身であります。この紀伊国屋文左衛門の物語をミカンの付加価値につけて売ってみてはどうかと、そういう話であります。
 紀伊国屋文左衛門と言えば、皆さん御承知のように、江戸のふいご祭りにミカンが不足しているので下津港からミカンを運んで、台風の日に運んで一躍お金をもうけて材木商になり、そして材木商で上野寛永寺の建立とかいろんなことをして江戸の一大商人になった話であるわけであります。その話の中には、紀伊国屋文左衛門が柳沢吉保との交流、そしてまた忠臣蔵の浪士との交流、そしてまた、私が一番おもしろいなと思うのは、材木商の娘さんの綾野という人との恋物語、その恋を実現するために命をかけて有田から江戸へミカンを送ったという、こういう話を物語にして、これを売り出していったら非常にいいんではないかということで、今、湯浅の人たち、あるいはまた有田のJAの農協の人たちと相談して大きな紀伊国屋文左衛門祭り、あるいはまた文左衛門踊り、そういう観光戦略等を交えたミカンの販売戦略の方向性というものを研究しているところでありますので、こういった方向性について県も協力していただきたい、そのように思うわけであります。
 そしてまた、かつてベータクリプトキサンチンということで、がん予防に効くと言うたら、これ、問題になるという話もあるわけなんですけれども、しかし、それは事実、ミカンを何個か毎日食べればがんが、治るというんじゃなくして予防できるというのは事実な話であります。
 そういうことで、こういったことの話を組み立てて、県が中心になって販売戦略、これ、一年や二年でできると思っておりません。長い戦略期間をかけてやっていければいいなと、そういうふうに思っておりますので、この点についてのお答えもよろしくお願いいたします。
 また、ミカン輸出の問題でありますけれども、上海では日本のリンゴが一個二千円とかイチゴが一個三百円で売れるという話も聞いております。こういった話が事実であれば、有田みかんも相当、キロ五百円、六百円で売れるんではないかと、そのように思いますので、このミカンの輸出についても農水省も、単発的に取り組むんじゃなくして各地域が連携して取り組む問題であるということもかつておっしゃっておりましたので、そういうことをやっていただきたい、そのように思うわけであります。
 それから、そこで海外で渡り合える農産物に育て上げるための絶好の機会であるんで、県としても今回の地域ブランドを活用しながらどのようにPRしていくのか、また海外戦略への取り組みについても農林水産部長にお尋ねいたします。
 最後に、森林対策についてお尋ねをさせていただきます。
 この森林税について、いわゆる紀の国森づくり税が議員の提案として、県条例としてことしの四月一日から施行されます。
 既に全国でも導入済みが十六県、導入予定が八県。ことしから大体二十四県が導入されるわけであります。そして、検討中が十九県、ほかの地域は、何も検討していないというのはたった一県で、そのほかは、環境税の動向を見る、そしてまた地下水の条例をつくるといったところで、これはもう全国的にほとんどの県が森林税──もう都市部、大阪府なんか除いて近畿でもすべてが完成するわけであります。私は全国的な国民運動に盛り上がってきたと思うわけであります。そしてまた、このことは国民的に認知された大きな前進であると私は思うわけであります。それについても、これは課税自主権に基づいて、目的税ではないわけでありますけれども、目的税に近い形で和歌山県が議会が中心になって議員提案したということについては、私は全国に働きかけた和歌山県のこの行動は本当に政治的な行動であったと思うわけで、大きな評価をされておると、そういうふうに思っておるわけであります。
 また、国においても、京都議定書による国際的な約束、貢献ということで、中長期的に一・五倍の大きな予算をつけると聞いております。森林の多面的機能を保全するためにこれからはこの予算の仕組みを抜本的に変える必要があると私は考えるわけであります。
 そういう中で、私が知事にお願いしたいのは、四県を除いて四十三県がこの森林税をことしから実施されるわけであります。そういう実施する県と連携を組んで──そしてかつて、我々もそうでありますけども、林業活性化議員連盟というのを全国でつくっておりました。この会長は、我が県議会の故木下秀男さんがしておったわけでありますけども、そういった議員連盟と、そして知事会とが一緒になってもっと大きな運動を展開して、この森林の多面的機能を守るために──予算の一・五倍とか、そんな小さな予算では私は到底解決できないと思います。集中的な公的資金をこの森林に投入しないと私は短期間で実現できないと思うんで、そういった運動、国民運動的な盛り上がりを一度、森林県である和歌山県から発信させていきたい、そのように思いますので、知事の考え方をお聞かせ願いたいなと、そのように思います。これは、知事に聞かず関係部長にお尋ねいたします。知事も、これについてはよろしくお願いいたします。
 それから、最後に森林税の使い道についてでありますけども、森林税は、集める額については二億数千万だと聞いております。これはやっぱり目的税ではないわけでありますけれども、課税自主権に基づいた、いわゆる森林のために使うということは決まっておるわけであります。そしてまた、森林と関係する環境に使うということは決まっておるわけでありますけれども、それでお願いしたいのは、この資金を林業の活性化──林業で大変みんなが困っておるわけであります。林業の活性化、そして新しい産業がその中から発生するような、そういう資金に使っていただきたい。このことを私は強く要望という形でさせていただきます。
 最後に──もうついでに最後の要望も言っておきます。あそこでまたやろうと思うたんですけど、もうこの場でやっておきます。
 私は教育長に対して、教育基本法の、新基本法の行政についてどのように取り組むかという質問をさせていただいたわけでありますけれども、近く来週、皆さんも御出席されると思うんですけども、卒業式が行われます。私も、常に卒業式に行って思うことは、一番最初の国歌斉唱のとき、突然雑音の入ったテープが流れるわけであります。そしてしばらくたって、ピアノか楽団の物すごく迫力のある校歌が流れるわけであります。最近の新聞でもこのことを、最高裁で判決が出ようとしておりますけれども、なぜピアノあるいはまた楽団で、校歌と同じようにみんながこぞって歌えるような環境が整備できないのか、そのように思うわけであります。教育基本法の中に、新しく国家の愛国心、あるいはまた道徳、規律、規範、そういうものができております。学習指導要領の通達には、私は、国歌あるいはまた国旗について厳粛にするようにという通達が出ていると聞いております。そういうことであれば、学習指導要領も、これは法律の一部であります。今度の教育基本法に、「不当な支配に屈することなく」とありますけれども、法律に従うということが書かれております。
 そういう中で、この問題について、私は、卒業式の中で厳粛に国旗掲揚、国歌斉唱がやられるような、本当に子供たちが卒業していって記憶に残るような、そういう卒業式にしていただきたいということを最後に要望させていただきます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地方分権についての御質問がございました。
 地方分権改革の目的は、地域のことはその地域の人たちが決めるということができるような、そういう社会をつくるということであります。地方の自主性、自立性を高めるためにも、地方分権を推進していかなければならないと思います。しかしながら、現時点では地方の自己責任ですべてができる状況にはありませんので、国と協力しながら徐々に自立を進めていかなければいけないと考えております。
 また、議員御指摘のように、さきの三位一体改革では国と地方の協議の場が設置され、補助金改革等を地方も参画して行ったことが大きな成果であるというふうに考えております。今後の改革につきましても、全国知事会や全国都道府県議長会などで組織する地方六団体は、地方にかかわる事項については政府の政策立案及び執行に関して政府と地方の代表者が協議を行い、地方の意見が反映される仕組みとして、仮称ではありますが、地方行財政会議の設置を国に求めているところでございます。
 なお、地方分権改革推進法に基づき、政府に設置される地方分権改革推進委員会の委員として地方の代表者が選任される見通しとなっております。
 これからの地方分権改革は、これまでにも増して国において地方の意見を十分聞きながら進めていく必要があると思いますので、本県といたしましても、和歌山県民の幸福につながる改革となるように全国知事会などを通じて国に働きかけてまいりたいと思います。
 第二に、市町村合併についてのお尋ねでありますが、地方分権改革を推進し、自立した個性豊かで元気な地域づくりのためには、一つには合併による効果を生かした行財政基盤の強化も有効な一つの方策となると思いますし、一方では地元の方々の気持ちも大切だというふうに思います。その意味で「真摯な議論が必要だと考えております」ということを先日の御質問に対しても率直に申し上げたところであります。今後、長期総合計画を作成していく上で、このような議論の結果をできれば取り入れてまいりたいと考えております。
 県の合併構想は、あくまでも現行合併特例法下において合併を目指すための議論のきっかけとなるように、各地域に一通りの組み合わせを提示したものであります。この構想に基づき、有田、新宮、東牟婁地域に引き続き他地域でも議論のスタートとなるシンポジウムを順次開催し、議論をする機運の醸成など、県の役割を果たしてまいりたいと思います。
 いずれにしても、地域の現状や抱える課題等を十分踏まえ、地域の将来像や行政のあるべき姿について、合併も含め、住民の方々も交えたしっかりとした議論を行うことが今必要であると考えております。県もこの議論には積極的に参加をいたしまして、地域の方々と一緒になって取り組んで、またできるだけの支援を行ってまいりたいと考えております。
 第三に、道州制についてでございます。
 私は、道州制を導入するのであれば地方分権を推進するものでなければならないと考えていますが、現時点では、道州制の姿について、国と地方、あるいは都道府県、国民の間でも明確なイメージが共有されているとは言えないと思います。今後、道州制のメリットなどについて十分検証していかなければならないと考えております。
 例えば、道州制下における資源配分が和歌山県に居住する住民にとって現在及び未来において現状よりも有益なものになるかどうか、そういう点を見きわめる必要もあると考えます。また、議員御指摘のとおり、道州制を導入する際には、国と地方の役割分担を明確にして、地方が主体的に実施すべき事務はできるだけ地方に移譲し、それにふさわしい財源もきちんと地方に移さなければならないと思います。
 なお、国と地方の役割分担を検討するに当たっては、内政に関する事務は基本的には地方にという考え方もありますが、それだけではなくて、世界の動向も視野に入れ、あるいはグローバルな観点から議論する必要もあると思います。
 いずれにしましても、道州制は我が国の統治機構全体を改革するものでありますので、道州制のあり方について国民的な議論を展開していく必要があると思います。本県といたしましても、道州制が和歌山県民の利益につながるかという観点から、今後も全国知事会等を通じて道州制の制度設計やあるいはその必要性等について積極的に私も議論に参加させていただきたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) まず、ミカン対策についてでございますが、国におきましては、十年先を見通した温州ミカンの目標生産量を現状の約八割程度というふうに考えておられるところでありますけれども、本県といたしましては、より一層品質を重視した生産構造への転換を図り、銘柄産地を維持することが何より重要であると、このように考えてございます。
 これまで、オリジナル品種のゆら早生、田口早生の産地化やマルチ栽培の拡大など、高品質生産を基本とした産地育成やブランドの強化に取り組んできたところでございます。今後は、新年度──十九年度からでございますが──スタートいたします国の新しい果樹対策とも連動しながら、各JAが中心となって推進してございます果樹産地構造改革計画に基づきまして、担い手の確保、あるいはまた園内道の整備、園地のフラット化に取り組みまして、名実とも日本一の果樹産地の形成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地域ブランドを生かしたPRについてでございますが、食料消費の大幅な伸び、こういったものが期待できない諸環境の中で地域ブランドを大切に育てていくことは重要であると考えてございます。このたびの地域団体商標登録を十分に生かし、物産展や商談会などさまざまな方法で積極的なPRに努めるとともに、議員お話しございましたようなストーリー、物語性、また健康機能性といった切り口も含め、販売促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、輸出につきましては、攻めの農政の展開を図る上で重要な柱と考えてございます。ミカンを初めとした本県農産物は品質もよく、輸出商品として十分な魅力を備えているところと考えてございまして、今後とも国やジェトロ、また都道府県レベルの協議会、こういったものを通じまして情報収集に努めるとともに、アジア諸国への輸出や、また海外見本市への積極的な出展などを生産者団体と連携しながら進めてまいりたいと考えてございます。
 しかしながら、植物防疫上の課題もございますので、この点につきましては、引き続き国に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に林業対策につきまして、僭越ながら私から御答弁さしていただきます。
 林業採算性の悪化等から手入れが放棄されるなど、森林の荒廃とその対策が重要な課題であると認識してございます。このため、間伐等の森林整備予算を重点的に配分いたしまして、低コスト林業の推進、また担い手の育成、森林所有者への啓発、こういったことを実施するとともに、県民や企業による森づくりへの参画を働きかけるなど、幅広く取り組んでいるところでございます。
 また、国におきましては、森林吸収源対策、また美しい森林づくり推進国民運動、こういったものを積極的に展開しようとしているところと聞いてございまして、こうした国の動きを手がかりにいたしまして、地方独自の税源による森づくりを実施している自治体、またこれから実施しようと考えておられる府県、こういった府県相互の連携協力を働きかけるとともに、いわゆる林活議連のお力添えをいただきながら森林所有者と地方負担の一層の軽減につながるような新しい仕組みづくり、こういったことを検討し、森林の多面的機能の保全施策の展開に資してまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育改革についての御質問にお答えいたします。
 このたびの六十年ぶりとなる教育基本法の改正においては、これまでの普遍的な理念は継承しつつ、新たに公共の精神など日本人が持っていた規範意識を大切にすることや家庭教育にかかわって保護者が子供の教育について第一義的責任を持つことなど、今日の教育に求められる理念や目標が幅広く明示され、充実強化が図られたと受けとめております。さらに、これらを実現するために教育振興基本計画の策定が国に義務づけられたことは、教育行政を進める上で大変意義深いことと思っております。
 さらに、教育の目標の一つとして豊かな情操と道徳心を培うことが盛り込まれるなど、道徳教育の重要性が示されたことについては共感を覚えるものであります。毎週一回の道徳の時間における指導の充実はもとより、職業体験活動や地域学習を生かして社会の中で必要とされる規範や郷土愛の育成に努めるなど、道徳教育の一層の充実に努めてまいります。
 教育委員会としましては、このことを含め教育基本法改正の趣旨を十分に踏まえ、関係法令の改正状況を見きわめながら、和歌山らしさを生かした教育施策を積極的に展開してまいる所存であります。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(谷 洋一君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は二月二十六日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十七分散会

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