平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(前岡正男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番前岡正男君。
  〔前岡正男君、登壇〕(拍手)
○前岡正男君 一月の臨時議会で就任したばかりの仁坂知事に対して問いたいことがいっぱいありましたが、日程の関係で質問は各派代表一人に限り、一人会派の議員には遠慮を願うという議運の決定でしたので、この二月議会を心待ちにしておりました。仁坂知事には、いささか失礼な質問も含むかもしれませんが、県民の厳しい県政への見方を代弁していると思ってあらかじめ御寛恕をお願いするものです。
 さて、昨年の不祥事のことです。
 前知事が、フィクサーか何か知らんけれども、ある人から金をもらって、この工事はあっちの業者、あの工事はこっちの業者というふうに仕事を割り振るのを黙認していた。それで、収賄罪と談合罪で起訴された。前出納長がその連絡係をやらされていて、一々の工事について報告を受けて、「それで結構です」というような返事をしていた。前知事は、もらった金を知事に批判的な勢力の抑えに使った。また一方で、親睦会なるものをこしらえて金をとって、それを自身の政治活動や私的な生活にも流用していた。その金の保管と出し入れは県庁の秘書課でやっていた。そういう事件であります。
 その中で、県の生え抜きの官僚で、元の出納長で建設業界に天下りしていた、隠然たる影響力を持っていたという人、この事件でも聴取を受けていた人が捜査の渦中で自殺するということも起きた。共犯のフィクサーには国会議員も含めて何人かの政治家との交友関係もあるという、まさに県の上層部と一部の政治家とやみの世界がつながった疑獄事件であると思います。県庁の暗部が一瞬照らし出されたわけです。こういうことをすべてひっくるめて昨年の不祥事をとらえ、できる限り真相に迫り、県庁の再生を果たしていかなければならないと考えます。
 私、町の中を歩いておりまして、「今度の知事は大丈夫なんか」、「どうせまた同じことをするんと違うか」、そういう声をたくさん耳にします。私は「大丈夫」とは申せません。知事は「大丈夫」と、選挙の間も議会においても言われておりますけれども、一般市民はそんなことを信用していません。どうやったら県民は、一般市民は信用するんでしょうか。それは、昨年の事件に真正面から向き合ってうみを出し切る改革をやる、そういう姿勢を見せられて初めて信用できると思うのです。
 ところが、知事の就任後の発言からは改革のトーンが明らかに低下している。知事は、「談合できないシステムづくりをする」と、こうおっしゃり、「日本一の委員会ができた」と胸を張られております。談合できないシステムづくり、これは私も大いに賛成です。協力してやっていきたい。しかし一方、事件の真相解明の方はどうなっているのか。知事は一月の臨時議会で「再発防止のために事件の調査は当然やる」と、こうおっしゃっています。ところが、その調査も公共調達検討委員会でやると言うのです。公共調達について調べると、それに関する限りは昨年の事件の調査もやる、そういうことですね。あたかも入札制度さえ変えれば問題は解決するかのような口ぶりであります。
 昨年の事件はなぜ起こったか。それは、単に入札制度に穴があっただけではありません。選挙に金が要ること、その金を多くの政治家が建設業界に依存していること、県の生え抜きの官僚が、知事の直接命令か、あるいは暗黙の命令でかわかりませんけれども、不法な政治献金と受注調整に関与していたことからわかるように、法令遵守の精神、いわゆるコンプライアンスの精神が足りないということ、それが重要な背景としてあるのです。その背景への洞察と切り込みなくして事件の再発防止を言ってもむなしいだけと私は思います。
 一番目の問いです。改めて知事の昨年の不祥事に関する認識をまず問います。昨年の事件は政・官・業の癒着の構造を背景とする疑獄事件であると私は思うのですが、知事はどう認識されておりますか。
 二問目、事件の徹底調査を公共調達検討委員会でできるのでしょうか。具体的な審議テーマはどういうものになるのでしょうか。この委員会でもし調査できないとすれば、ほかにどう取り組むのでしょうか。
 次に、先日の記者会見での「裏金の調査はしない」という知事の言明です。「後ろ向きな問題をあげつらうのは好きではない」と、こういうことをおっしゃったと新聞に出ております。県庁に、事実、裏金はあったんですよ。ちょっとその性格は違うけれども、全国で、和歌山県と同様に過去に裏金の問題を解決したと言われているところで新たに裏金が見つかっています。それなのに知事は、「職員が絶対ないと言うから信じてあえて調査はしない」と言う。職員を信じる根拠は何ですか。「後ろ向きのこと」という言葉に、私は非常にショックを受けました。事件の調査をすることは、確かに後ろ向きのことかもしれない。しかし、それに真実向き合うことなくして県政の信頼回復はないのではないでしょうか。好き嫌いじゃない、前に進むためにもっと真摯に原因と背景の究明、克服に取り組まれたらどうでしょうか。
 三番目の質問です。調査は相変わらず後ろ向きととらえているのですか。職員の「裏金はない」という言葉を信じる理由は何ですか。
 具体的に一つのことを質問します。さきの副知事は問題の金銭授受の現場に立ち会っていたという報道があります。副知事はそれに関してノーコメントを貫いて職から去りました。知事は、あるいは当局は、それに関して前副知事に確かめられましたか。あるいは、今後調査をしますか。知事は「それは犯罪捜査当局の仕事だ」と答えられるかもしれませんが、あらかじめ言っておきたいのですが、検察や警察の捜査と行政側、当事者側の調査は明らかに違います。両方必要なんです。私は、副知事は特別公務員ではありますが、知事の部下の筆頭であり、県職員の中から選ばれているということもあり、官僚側のトップでもあると思います。その副知事が、どうも木村さんのやる不正を黙認していた、あるいはかかわりを持っていたんじゃないかという疑惑がある。それをこのままにしていていいのかと私は強く思うのです。それでは職員に対して示しがつかないだろう。もちろん県民に対しては当然であります。
 四番目の質問です。前副知事が現金授受の現場にいたかどうか、ほかにだれがいたか調査しましたか。あるいは調査するのですか。談合と贈収賄についてほかの職員の関与はなかったかどうかについてはいかがですか。
 五番目の質問です。先ほど申しましたように、県民は、また同じことをするんと違うかと疑っています。それに対して知事は公共調達委員会以外にどういう方法で信頼を取り戻すか、それを伺いたいと思います。
 今回の事件は政治と金の問題でもあります。政治と建設業者の癒着についてははるか昔から喧伝されていて、一向に改まる様子がありません。この際、知事は政治家としてすっきりとそのような癒着を絶つために、あるいは絶つ姿勢を示すために、建設業界からは、個人であれ、法人を通じてであれ、政治献金を受けない、また組織的な選挙支援、例えば会社の推薦とか社員の動員とか、それはもうこちらからお断りする、そういうことで癒着と決別するということにされてはいかがでしょうか。
 六番目の質問です。政治家として建設業界──法人であれ個人であれ、建設業界からの選挙支援、政治献金、これは親睦会として金を受け取るというような抜け道も含めてですが、それを断るつもりはないか。そのことを知事に伺いたいと思います。
 次に、さきの議会で選任同意されたばかりの原副知事に伺います。
 私は、米国の連邦政府のように、閣僚は指名承認される前に議会の公聴会でいろいろ議員から質問という形でテストを受けられるようにしたらいいと思うのですが、それが今は、この議会では審査の材料としては経歴を書いてある紙っぺら一枚で、これで適任であるかどうか審査せよというのは無理であると強く思った次第であります。後から勉強したら人事案件についても質疑、討論ができるようで、黙って投票したことを今は反省しております。それで、今回、この場を借りて、新副知事にそのとき問いたかったことを含めて質問させていただきたい。
 先ほど申しましたように、あなたは特別公務員ではあるけれども、官僚側のトップとして職員の模範とならなければならないと思うわけです。コンプライアンスの問題に関しても、当然そうであります。本当は、もしもあなたが前副知事と同じ立場に立たされて、知事への違法と疑われる献金の授受の現場に立たされたならどうされているでしょうということを伺いたい。でも、それは大変個人的な倫理観の話になって答弁にお困りになるでしょうから、こういうふうに問います。七番目の質問です。もしも新聞報道のように、だれかが知事あてに金を持ってきて「これを役立ててください」というようなことを見聞きする現場にいて職員として何もしなかったとするならば、これは大変問題であると、そういうふうに思われますか、どうですか。そして、一般論として、こういう究極の場合を想定して副知事の職務をどのような倫理観を持って遂行されるおつもりか、伺いたいと思います。
 八番目の質問です。総務部長としては、今回の事件の反省の上に立って、今後、職員のコンプライアンスの向上に向けて何をするお考えかを伺いたいと思います。
 次に、今回の事件では、知事の私的な懇親会のお金を秘書課が管理していたという問題があります。公金ではないけれども、県庁内でいろんな団体の事務局をやっていて、そのお金を管理しているというケースがあろうかと思われます。他府県ではその管理が不適切に行われる、裏金的に使われるといった事件が起こっているようであります。
 九番目の質問です。こうした外部の任意団体の資金管理をしている実態はどうであるか、不正、不適切な使われ方を防止する対策はどうなっているか、伺いたいと思います。
 次に、県土整備部長にお伺いをしたい。福島、和歌山、宮崎と談合で知事が逮捕、起訴される事件が続発して、全国知事会が緊急に談合防止策について指針を出したと伺っております。この指針で提言されている入札改革の中では本県では既に導入されているものもあると思いますが、本県の制度と全国知事会の指針との違いはどうなっておりますでしょうか。具体的にお示しください。
 この問題の最後に、これは質問ではなく、この議場の皆様、同僚議員にお訴えしたいことがあります。
 木村知事が辞任表明をする前、本議会の会派代表者会議で事件の徹底究明のための調査委員会をつくることが議論されたと伺っておりますが、その後、一向に動きがありません。私は、その代表者会議には参加しておりませんが、たとえ知事がかわっても、事件の調査は必要であると強く思っていることは先ほど知事にも申し上げたとおりです。「議員は一体何をしてんのよ」、これもまた事件の発覚以来、市民から問われることであります。この事件の本質の解明、なぜ議会がチェックできなかったか、再発防止のためにどのような取り組みをしていったらいいか、議会もまた真摯に考えるべきであり、知事の出す改革案だけを待っていていいものではないと思います。
 本議会は四月に改選を迎えますから、現メンバーで調査委員会をつくるといっても無理がありますので、改選の後、私がこの議場に戻ってこられるかどうかもわかりませんけれども、新しい構成の議会においてぜひ調査のための委員会を発足させ、真相究明と再発の防止のために議会の役割を果たされるよう要望しておきたいと思います。
 次に、大きな二番目のくくりとして地球温暖化防止について質問したいと思います。
 地球の温暖化に関する関心が広がってまいりました。昨夏の暑さ、また天候不順、この冬のような暖冬を経験して、多くの一般の方が「何か地球がおかしなってきたな」と肌で感じ始めているという気がいたします。折しも気候変動に関する政府間パネル・IPCCの作業部会による報告書が出まして、地球温暖化は従来予想されていた以上の速さで進んでいて、このまま進めばこれから百年先五度も六度も地球の平均気温が上昇するという科学的な予測結果が報告され、全世界に大変な衝撃を与えています。京都議定書から離脱し、温暖化対策に冷淡であると思われていたアメリカのブッシュ政権でさえ、改めて温暖化対策を論じる必要に迫られているようであります。
 さて、温暖化対策は各国政府の責任であると同時に、この地球上で生を営む我々一人一人の将来世代に対する責任であります。地方政府も全力で取り組まなければならない課題であります。今回、和歌山県として、具体的な温暖化対策の第一歩として今議会において和歌山県地球温暖化対策条例が提出されております。私は、大変時宜を得た取り組みであると賛同いたします。
 そこで、知事に対して、一番、今般のIPCCの報告も踏まえて地球温暖化問題をどのように認識されて、和歌山県としてどのように取り組んでいくお考えであるか、伺いたいと思います。特に知事は経産省の御出身ですので、産業の育成がこれまでのお仕事でありました。従来、温暖化対策は産業の成長を阻害するとして歓迎されなかった向きもありますが、温暖化対策と県内産業の育成との関係についてどのようにお考えかも含めてお答えを願いたいと思います。
 今回の条例には、温暖化ガスの排出量について、その量の大きい企業には報告を義務づけるようになっております。県としては、どのような趣旨でこのようなことを義務づけられたのか、お聞かせ願いたい。温暖化防止に関して、産業界を監督、場合によっては指導するということにしたと理解してよろしいわけでしょうか。また、今回の条例では、各企業の温暖化ガス排出量については県への報告は課すわけですけれども、個々の企業の数値については公表するのでしょうか。
 以上、知事の御答弁をお願いいたします。
 次に、一般市民としましては、自動車の使用による温暖化ガスをどう削減していくかが大きな課題となります。ところが、和歌山県の現状を見ますと公共交通が大変貧弱でありまして、それも赤字の鉄道路線、バス路線ばかりで、縮小する危惧はあれ、一向に拡大する機運がないわけであります。ところが、昨年、南海電鉄貴志川線が公的な助成もあって和歌山電鐡に生まれ変わり、健闘しているという明るいニュースがあります。今回の条例でも、「知事は、県民の自動車の使用から公共交通機関等の利用等への転換を促進するため、必要な措置を講ずるものとする」と明記されております。この「必要な措置」とは具体的には何をお考えでしょうか。環境生活部長にお願いいたします。
 県として、現在、自動車交通への代替、つまり公共交通の育成に関して現状、対策、将来への展望についてどうお考えか。企画部長に伺いたいと思います。
 以上で、私の第一問を終わります。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの前岡正男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県発注工事をめぐる談合事件につきまして、知事及び出納長の逮捕、起訴という県政史上前代未聞の不祥事に至ったということは、まことに深刻な事態と受けとめております。
 現在、検察庁が徹底的に事実関係の調査を行っているところであり、いずれ司法により多くの分野が解明されていくものと考えております。私は、選挙のときから、「本件は検察庁が徹底的に調べてくれとる。したがって、私の義務は、あるいは私の責務は、これを絶対にもう起こさない、再発防止である」ということを申し上げてまいりました。私の現在やってることについて、改革のトーンが低下したとおっしゃいましたけれども、私はずうっと同じことを言っておりまして、一生懸命やっております。
 私自身は、あのような事件に巻き込まれることはないという自信があります。「そういうことを信じられるか」と人に言われますと、私は「失礼な」というふうに申し上げたくなりますが、しかし、ずっと申し上げておりますように、自分自身でも、これは個人の問題で終始することなく、システムの問題として再発防止のシステムをつくるということをやっていく必要があるとずっと言っておりましたし、そのために努力しております。そういう二度と起こらないようなシステムをつくっていくということが一番大切だと常に言っておりますし、そのとおりやっているつもりでございます。
 それから、公共調達委員会についての御質問がありました。
 先月立ち上げました有識者による公共調達検討委員会におきましては、私の方からお願いをいたしまして、効率性の向上、それから公共工事の質の確保、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保、本県の建設業界の健全な発展という四項目をぜひ念頭に置いて、熱心なヒアリングをもとに県の公共調達制度と、それから実態の検証を進めてもらいたい。それで、それをもとにして談合の再発を防止するとともに、最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただくようにお願いをし、そのようなヒアリング等々、検討が進んでいると考えております。
 それから、いわゆる裏金の問題でございます。
 過去のいわゆる裏金問題、県庁で起こりました裏金問題、私も聞いております。二度とこうしたことが起こらないように改善策の取り組みを私が来る前から進めてきたところだというふうにも聞いております。それから、一定の内部通報制度により自浄作用を働かせる仕組みも整備したところであるというふうにも聞いております。
 私も、実は気になります。他府県の事例が気になりまして、職員に常に聞いています。自分自身の耳でそれを聞いています。異口同音に自信を持って「ない」というふうに説明を受けています。ただ、私は、だからといって、今のところないだろうなあというふうに言ってるというだけでありまして、絶対ないというふうに──したがって、これについて調査の必要は未来永劫にないんだというようなことを言った覚えはありません。
 私は、すべての職員と対話できるような電子メールシステムを始めて、何か問題があったら発見できるようにしています。それから、外部の声にも耳を傾けております。仮に怪しいというような事実が生じたら、徹底的に調査はしたいと思っております。なぜならば、これは公金、すなわち県の税金を私的に流用するというような話でありますから。したがって、こういう問題が生じたら徹底的に──生じるというおそれがある、あるいは何かあるというふうに少しでも考えたら徹底的に私は調査したいと思っております。
 本件の問題に関して、私は「後ろ向きな問題はしない」とかなんか言っておるつもりはありません。ただ、申し上げたのは、今は、「今のところ、どうもないと思うなあ」というようなことを申し上げたので、「直ちに調べるか」と言われたので、「調べるつもりは今はありません」というふうに申し上げただけであります。
 続きまして、他の職員の関与についてということです。
 談合や贈収賄についての犯罪事実の解明は捜査当局にお任せするというのが適当であり、また現実的でなかろうかと思います。また、既に刑事事件として立件された事件につきましては、裁判を通じて事実解明が行われようとしているところでありますので、今後、裁判の行方を注視していきたいと思っております。
 それから、信頼を取り戻す方法ということをおっしゃいました。これについては、従来から申し上げておりますように、県民の信頼を回復するためには談合のような不祥事を二度と引き起こすことができないシステムづくりが一番大事であって、そのためには公共調達の仕組み、それから職員の倫理意識の向上まで幅広い対策が必要であると考えております。
 後者に関しましては、私は、就任第一日目に、公共調達検討委員会をつくるということと並んで、職員の倫理規程を整備すると、それから監察査察制度の整備をするというふうに申し上げまして、ただいま準備をしているところであります。
 それから、建設業界からの例えば選挙支援、あるいは政治献金についてのお話がございました。
 私は、これもずっと申し上げておりますが、建設業界、あるいはほかの産業もそうだと思いますが、県のシステム上、私と建設業界あるいは企業が何か怪しげな関係になるような可能性を排除するということが一番大事だというふうに考えております。それを改善することに今全力を挙げているところでありまして、あとは、私の県政に取り組む姿勢に対し御賛同いただける方からの政治活動に対する支援については、政治資金規正法等の関係法令に照らしまして適切に処理すればよいと考えております。
 それから、地球温暖化対策について御質問がありました。
 地球温暖化対策に対する基本認識でございますけれども、地球温暖化問題は、その影響の大きさ、深刻さから見て、人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題の一つだというふうに思っております。喫緊に取り組むべき課題であると思っております。この一環として、和歌山県地球温暖化対策条例を今議会で御審議いただくように御提案申し上げたということでございます。
 お話の中で、私は産業の育成に関しての専門家であるので、あるいは本件に消極的だというふうに言われるかもしれないというようなお話がありましたが、そういうふうにおっしゃられることについては、だれがおっしゃっても、私はちょっと失礼だなあというふうに思います。私自身は、実は京都議定書の改定に際しまして政府の一員として参加しました。これについての知識は人並みにはあるつもりでありますし、本件の問題に関する危機意識についても大変あるつもりであります。むしろ本件の専門家というふうに御認識いただきたいと、こういうふうに思っております。
 本件の問題は、実は県内企業のみならず県あるいは県民、事業者全部、すべての主体に絡む問題です。もっと言えば、地球全体の規模で全員が取り組まなければいけない、そういう問題であると考えております。
 次に、企業の排出ガス量の報告についてでございますが、本条例は、国の改正地球温暖化対策の推進に関する法律の趣旨に倣いまして、多量排出事業者の排出状況を県としても把握するということとともに企業の自主的な削減努力を促すというものであります。排出削減を県が強いると、あるいは命令するというものではございません。
 報告の公表につきましては、報告書を提出しないという事業者に対しましては提出を勧告するとともに、これに従わない事業者には公表するという罰則をかけるというところになっておりますが、排出量の公表につきましては県全体の集計をもって行ってまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 私と職員の倫理観などに関してのお尋ね、それから団体事務局の予算の適正執行に関するお尋ねがございました。
 まず、私の倫理観に関してのお尋ねでございますが、仮に違法な行為と判断されるような場面に遭遇した場合には、そのような行為を見逃すことは許されないことだと考えております。また、当然のことですけれども、私自身は常に法令を遵守するという強い意識を持って副知事の職務を遂行してまいりたいと考えております。
 次に、職員の倫理観等に関するお尋ねがございました。
 先ほど知事から御答弁申し上げたように、倫理意識の向上のため国家公務員や先進自治体にあるような倫理に関する規程の整備を準備しておりまして、職員に対して研修等もあわせて実施していきたいと考えております。また、知事からこれも御指示をいただいておりますが、新たに監察査察制度を整備して不法行為の防止を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、団体事務局の予算の適正執行に関してのお尋ねがございました。
 団体事務局が県に置かれ、県の職員が当該団体の出納事務に従事している場合には、当該事務は県の行政目的の達成のために公務の一環として執行されているものであり、県の出納事務に準じて適正に行われるべきものと認識しております。監査委員におかれても、こうした団体に絞った監査が行われたこともございます。今後ともさらに適正な執行について徹底してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 知事会の指針についてお尋ねがありました。
 全国知事会の「都道府県の公共調達改革に関する指針」に示された主要項目のうち、総合評価方式の拡充、電子入札の拡大、情報公開の推進、ペナルティーの強化、地域産業の育成と公正な競争の確保については指針を達成しております。
 一般競争入札の拡大と指名競争入札の原則撤廃についてですが、県では五千万以上で実施しておりますが、指針では、当面一千万以上の工事を原則として一般競争入札で実施することとなっており、この部分で指針と県の実態が乖離しております。
○副議長(谷 洋一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 地球温暖化対策のうち、公共交通の強化についてお答えを申し上げます。
 公共交通機関等への利用の転換についてでございますが、今議会にお願いしております地球温暖化対策条例は、地球温暖化対策に関しまして、県、事業者、県民、環境保全活動団体、あるいは観光旅行者等それぞれの責務を明らかにするとともに、本県の特性を生かしました地球温暖化対策の基本的な事項を定めるものでございます。
 この中で、交通対策につきましては、昨年策定をいたしました和歌山県地球温暖化対策地域推進計画におきまして、ノーマイカーデーの実施と普及など幅広い主体による継続的な温暖化防止に資する取り組みを促進するとともに、県内の公共交通機関の整備状況等かんがみまして、地球温暖化防止に資する渋滞解消のための道路の整備促進、あるいはETCの導入促進など、円滑な交通体系の確保により温室効果ガスの削減を目指すことといたしております。
 今後とも、関係部局との連携を一層密にし、取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 公共交通の強化に関する御質問でございます。
 県内の公共交通機関につきましては、モータリゼーションの進展や過疎化等により利用者は年々減少しまして、特に路線バスにつきましてはピーク時の約二割で、八割減少しているような状況でございます。このため、県におきましては、地域の生活に必要なバス路線を維持するためにバス事業者に対して補助するとともに、公共交通機関の利便性を高めるために鉄道駅のバリアフリー化や低床バスの導入に対して支援をするなど、平成十九年度予算としましては、対前年比約一千二百万円の増の約二億二千万円を今議会にお願いをしているところでございます。
 また、和歌山大学周辺市街地の発展に対応しまして、地域の交通の利便性向上を図るために南海本線に、仮称ではございますが和歌山大学新駅を設置する経費のうち、平成十九年度分としまして約一千三百万円をお願いしているところでございます。
 なお、議員からお話のありましたように、貴志川線につきましても、本年度、和歌山市及び紀の川市に対しまして鉄道用地取得費の補助を行うとともに、今後変電所設備の大規模修繕が生じた際の経費について、昨年度、債務負担行為を計上しております。今後ともこれらの諸施策を講じるとともに、地域の熱意により存続された貴志川線の例にもありますように、地域が鉄道路線やバス路線を危機意識を持って自分たちの路線として活性化していく必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、公共交通の強化につきましては、地球温暖化対策としての二酸化炭素排出量の削減はもちろんのこと、地域の活性化や利便性の向上という観点からも非常に重要でありますので、市町村、事業者等とも連携しながら取り組んでまいります。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番前岡正男君。
○前岡正男君 御答弁ありがとうございます。
 まず、地球温暖化対策については、お答えを受けて要望だけ申し上げておきたいと思います。
 温暖化ガスの排出──県内においては圧倒的に企業の占める割合が大きい。しかも、少数の大企業の排出の占める割合が群を抜いているという状況があります。この企業の数値を公表して実態を県民に知らせることは、県民一人一人の努力を促すことにもなると思います。最も大きな責任を負うべきはずの企業が排出量を明らかにしないようでは、それぞれの責任の自覚が生まれないのではないかと思うわけです。現実を知らせずに不特定多数の県民に「頑張れ、頑張れ」と言っても、言われた方は雲をつかむような話で、なかなか力が入らないと思います。ぜひ今後、個々の企業の報告結果を公表するという方向へ進んでいってもらいたいと思います。また、報告の結果を市民から情報公開条例に基づいて開示請求される場合があると思いますけれども、開示に前向きに対応されるように要望しておきたいと思います。
 公共交通の問題ですけれども、環境問題からも、また高齢者問題からも、公共交通の重要性はますます認識が深まっているように思います。しかし、本県では既存路線の維持だけでも大変であるというのが現状であるようです。この方面でしっかりやっていただきたいのですが、自動車交通、なかんずく自家用車の利用に頼る本県の交通網を根本的に見直し、可能なところから公共交通網を広げていく長期的なビジョンがぜひ欲しいと思います。そして、そのビジョンに基づいて財源等の措置を国に求めていく、県民の理解も得る、また、市町村との協力、分担態勢をつくっていくということを目指していくことを要望しておきたいと思います。
 次に、昨年の不祥事についてであります。
 事件に対する認識ということで、深刻な事態である、そしてシステムの問題であるとも考えているということでありましたけれども、私が指摘した背景等の問題については言及されませんでしたので、個々にお尋ねをしたいと思います。
 一つ、知事の選挙に非常に金が要ること、これは背景として考えられますか。
 二つ、その金の多くを政治家が建設業界に依存していること、これはいかがですか。
 三つ、県庁職員が建設業界に天下りしていて、それが官と業の癒着につながっているということについてはいかがでしょうか。
 四つ、伝統的に県庁では県民全体の福祉よりも県庁一家の団結や利害が優先され、長や幹部の違法、不適切な行為についても追随しやすい風土が形成されていたと私は見るのですけれども、いかがでしょうか。
 それから、事件の調査についてでありますけれども、やはり事件の、いろいろ検察の調査によって結局訴追されなかった事柄について、これについては水に流すような姿勢が見られると思います。
 具体的に二つだけ確認したいと思います。
 「もう答えたやないか」と言われるかもしれませんけれども、現金授受の場に前副知事がいたかいなかったか調査はしない、本人に確認もしないということですね。それから、職員に知事の裏金の管理を命じたのはだれか、それについても調査も聴取もしないということですね。確認したいと思います。
 職員のコンプライアンスの問題、現に昨年起こった問題について調査をしないということで、コンプライアンスを高める対策ということが本当にとれるのか。そこが私は疑問であります。ぜひ、これに関して、公共調達の委員会が調査をしないんであれば、当局として調査委員会を設けるなりなんなりをして調査をするべきであると思いますが、そのおつもりはないでしょうか。
 それから、検討されるという職員の倫理規定については、対象範囲をどう考えておられますか。知事、副知事は入るのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
 それから、最後になりますが、談合防止の知事会の指針について。一千万円以上の工事で一般競争入札を実施するという知事会の方針に従って導入するということになるのであれば、するということになった場合、移行の問題点を教えていただきたい。また、もし移行するとなった場合は準備にどれくらいの時間がかかりますでしょうか、教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの再質問のうち、幾つか整理して御答弁申し上げます。
 まず、知事選挙に非常にお金がかかるか、あるいは建設業界が手伝ったか云々についてでございますが、それが今回の事件の背景であったかどうかということでございましたが、これについては前知事の時代のことでありまして、私は申し上げるべき立場にないと思います。
 次に、在職中の業務と関係のある民間企業への県庁職員の再就職ということでございますけれども、私は、だれによっても不当な働きかけができないようなシステムづくりが重要であるとずっと申し上げておりまして、それを徹底しておけば、あとは個人の能力等によりこういう問題は適正に判断されるべきものと考えております。
 それから、県庁に違法、不適切な行為に追随しやすい風土があったかどうかと、こういうことでありましたが、それはわかりません。ただ、一般論として申し上げますと、組織の不健全というものは、いわゆる一家意識みたいなものが強過ぎると組織の空気がよどみます。それから、恐怖が支配をすると皆が萎縮いたします。したがって、私は、まず職員がやる気が出るようによく意見を聞いてあげようというふうに思っています。
 次に、いわゆる仲間内の組織の論理で何か行われることはないかどうかということは、内部規律が高まるような仕掛けをつくればよいと思っておりまして、このために、例えば先ほど申し上げましたような監察査察制度の導入などがぜひ必要だなというふうに考えた次第であります。こういう制度をきちんとつくることによって、今後、職員一人一人の倫理観と使命感を高め、法令遵守を徹底することができると思っております。
 それから、先ほどの調査の話でございますが、お答えになってるかどうかということですが、もう一度申し上げますと、今回の談合事件に関連する調査ということにつきましては、現在、検察庁が徹底的に事実関係の調査を行っております。それで、公判になるというところです。いずれ、司法によりこの問題が解明され明らかになるものと考えております。
 私は、先ほども申し上げましたように、その事件の解明は検察庁が徹底的にやってくれるだろうから、私の責任は再発防止のシステムをつくることだというふうに言明をいたしまして当選をし、そして忠実にやっているところです。もちろん、再発の防止のシステムづくりのためには発生した事件のメカニズムがある程度わかっていないといけないということは明らかであります。したがって、その限りにおいて、再発防止のためのシステムをつくるのならば原因の究明と実態をきちんと把握してくれというふうに公共調達検討委員会の面々にも申し上げておりますし、あるいは監察査察制度をつくるにおいても、そういうことを十分頭に置いてやっていきたいと考えております。
 それから、裏金の話というのは──多分もう再質問ございませんでしたね──というふうに理解させていただきますが(「再調査しないのかという。するつもりは」と呼ぶ者あり)裏金ですよね。裏金というのは(「秘書課の管理の」と呼ぶ者あり)それでは、わかりました。その問題につきましては、いわゆる木村前知事の私的な資金を県庁の職員が管理をしていたかどうかという問題につきましては、私は、この問題は論理的に考えて二つの要素があり得ると思います。
 一つは、それは刑事事件になっているような問題との関連で、それが重要な意味を持っていたかどうか。これは公判で明らかになると思います。
 それから残りの問題は、私的資金の私的管理の問題だというふうに思います。私的管理を本当は私人がやるべきなのを県庁の職員にやらした公私混同だとずっと申し上げております。もちろん、私も、就任以来この問題について、あれは何であったかということについては県庁の職員から聞いております。聞いておりまして、今のような判断を申し上げたもんですから、したがって、その私的な資金の私的な管理の問題について殊さら調査をするのは気が進まないなというふうに申し上げたところでございます。
○副議長(谷 洋一君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 職員の倫理規定の範囲について、私の方から申し上げます。
 知事、副知事も含めた形で検討してまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 一般競争入札の拡大に当たっての問題点と期間についてお答えをいたします。
 一般競争入札を実施する場合、幅広く入札参加者を募ることから施工経験のない業者が落札することも懸念され、品質の確保が主たる問題だと考えております。このため、総合評価落札方式等の拡大等を検討しておるところであり、一般競争入札の拡大に当たってはこれらの対策の確立のための期間が必要であると考えております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──あと一分。再々質問を許します。
 十八番前岡正男君。
○前岡正男君 再々質問をさせていただきます。
 知事は、秘書課が管理していた裏金の問題について二つ考えられると。一つは訴追を受けて司法当局に任せる問題であり、もう一つは木村知事の公私混同の問題であると。私的な問題について調査をするというのは気が進まないというふうにおっしゃいました。
 私は、二つの問題ではなくって、もう一つの領域があると思います。捜査当局に訴追を受けなかったけれども、公的なことに関する問題があると。秘書課が知事の金を管理していたというのは、まさにそういう問題でありまして、前知事の個人的な資質の問題だけではありません。もちろん、資質の問題もあります。だれに命令されたかわからないけれども、そういう金を管理していた。では、その前の知事はどうだったのか。今後、こういうことが起こったらどうするのか。やはり今回の事件の検証をしなければ出てこない結論というのがあるんではないかと思うわけであります。
 ですから、捜査当局に任せる問題で済ませるんではなくって、当局の何らかの手法によってその事件の解明をすべきだと強く思っているわけです。「気が進まない」ということでは済まされないと思います。それをあくまでやらないというのであれば、なぜそれができないのか。できない──能力がないからできないのか、必要がないとあくまで考えているからできない、やらないのか、どちらかだと思うわけで、「気が進まない」というのは、私は子供みたいな答弁ではないかと思うわけであります。
 そこのところを二つ、つまり知事のおっしゃった二つの領域以外に第三の領域として、やはり公的な問題として調査すべきではないかということ、そしてもう一つは、あくまでしないということであればなぜしないのか、そこを改めてお答えいただきたいと思います。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、大事なことは、何度も申し上げておりますように、再発の防止やと思います。先ほど議員御指摘の第三の要素というのも、実は、私が例えばそういうことは個人の問題としてやるつもりはないし、公私混同は一切しませんということでは済まされないんではないかということではなかったかと思います。そのために、私は、将来に向けて仕掛けもつくっています。例えば、私が「やるつもりはない。やらない」と言っても実際にやっていたときに、例えば監察査察制度でそういうことがきちんと明らかになるような仕掛けをつくっておけば、私が今申し上げました、そんなことは公私混同をしない、県庁の職員を、本来公人であるような県庁の職員に私的なことはやらせないというようなことを言ったのが必ず実行されるということになるだろうと思います。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で前岡正男君の質問が終了いたしました。

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