平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づきまして、早速、一般質問をさせていただきます。
 まず、公共事業入札と談合問題についてお伺いをいたします。
 昨年の官製談合事件によって、県政の信頼は大きく揺らぎました。そして、相次ぐ税金や福祉の負担増にあえぐ県民の生活をしり目に談合によって税金を横取りしていたことは許せない、こういう厳しい声が渦巻いております。県当局と県議会には、事件の全容を解明するとともに、再発防止に向けた真摯な取り組みが求められております。
 私は、この問題の一つ目に、県土整備部長に談合情報による再入札の問題をお尋ねいたします。
 官製談合事件への県民の怒りが高まる一方で、談合情報が寄せられて再入札となるケースが後を絶ちません。県民から見れば、あれだけ騒がれたのに、まだ談合をやっているのかと、こうなるのも当然です。私は有田振興局管内での再入札のケースを調査してまいりましたが、県全体として、今年度において談合情報によって談合の疑いありと再入札になった数々のケースの状況について、県はどう認識をし、そしてどう対応をしてきたのでしょうか。
 これまでも、〇五年六月県議会で、私は、県庁南別館の建設工事にかかわって談合疑惑の問題を取り上げました。談合情報が寄せられ、疑わしきものはやり直しをすべきだと主張をいたしました。当時の談合対応マニュアルに基づいた対応の結果、機械設備工事は再入札となったわけですが、建設と電気設備工事は問題がないとされ、続行をされました。その後、談合情報対応マニュアルの改正や、それから損害賠償金の引き上げ、指名行為をなくした郵便入札の導入など、入札制度改正を行ってきたわけですが、今後さらに透明性を高めるための改善方法についてどう考えておられるのかも、あわせて御答弁を願いたいと思います。
 次に、小規模事業者登録制度についてお尋ねをいたします。
 私は、公共事業の、公共の仕事の発注については、その透明性と競争性を高めていくその努力と相まって、少額の事業については、手続が簡素で下請零細業者に直接仕事を回す工夫が今日的に求められているというふうに考えています。
 長引く地域経済の落ち込みのもと、中小零細業者の経営は深刻です。さらに、自治体が発注する工事には入札参加資格が要るために、少額のものでも入札参加業者が受注をし、現場では入札参加資格を持たない中小零細業者が安い下請単価で仕事をしているというケースもあります。
 小規模事業者登録制度、これができてきたその考え方は、少額の随意契約してきたような修理や修繕などの仕事を、競争入札資格を持つ業者ではなくて、直接地元の中小零細業者に、一人親方のような業者にも数多く発注できないかと始まった制度です。この小規模事業者に登録を希望する業者は、きちんと税金を納めていると、こういった簡素な資格要件で登録をすることができ、よその下請ではなく、直接この受注をできるので有利であります。この制度が東京二十三区の中を初め全国にも広がり、和歌山市でも〇二年度からこの制度が始まって、市財政を支える納税者を支援する、そういう制度として大変喜ばれているというふうに聞いています。
 県の仕事の発注方法について、一般競争入札の拡大などの競争性、透明性をきちんと強化をする、そういうものとともに、こういった県内中小零細業者を支援する方法、これはきちんと仕分けをして、こういう工夫を県としても積極的に検討をし導入していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長に御答弁を願います。
 次に、官製談合事件の全容解明にかかわって、知事にお尋ねをいたします。
 昨年の談合事件で県民が感じたのは、「口で幾らいいことを言ってても、やってることがえらい汚いことをやってたんや。幾ら全国トップレベルの透明性の入札制度だと言っても、その制度を扱う当事者が談合してたら何にもならん」、こういう上辺と裏の世界の矛盾そのものでした。ですから、上っ面だけでなく魂を入れてやってほしいというのが願いだと思うんですね。
 仁坂知事は、選挙公約で談合問題の再発防止を掲げ、公共調達検討委員会を立ち上げました。ところが、その検討委員会の四つの目的の中には、官製談合事件の全容解明は入っていませんでした。しかし、一月の臨時議会では、「ああいうことが二度と起こらないシステムをつくるためには、当然、あの事件がなぜ起こったか、どのようにして起こったかを頭に入れておく必要がある。その限りにおいて、実態把握をするのは当たり前だ。検討委員会の作業の一つとしてビルトインされていると考えていい」、こういう趣旨の答弁を共産党県議団の藤井議員や他の議員の質問に対しても答弁をされました。また一方で、昨日の議会答弁では、「いずれ司法により解明されるものであると考えている」、こういう趣旨の答弁がありましたが、人任せの印象を受ける答弁でありました。
 私は、県行政と公共調達検討委員会が、県民の信頼を回復するにふさわしい、その全容解明の真摯な努力がなされるよう改めて強く求めるものであります。
 さて、この全容解明の問題で一つのかぎとなる問題ですが、秘書課で管理をしていたいわゆる裏金、この問題です。
 一月臨時議会後の一月二十三日、知事定例記者会見のときに、秘書課で管理していた木村前知事の親睦団体の支出や使途について明らかにしていくのかと聞かれて、知事はこの問題を「公私混同の問題だ。どちらかというと後ろ向きの話であり、熱心に取りかかるのは好きではない」、こういうふうにコメントをされました。この問題は臨時議会でも議論がありましたし、昨日の一般質問でもやりとりがあったところです。
 私は、これは私的なお金だ、公私混同だという問題ではおさまらないというふうに考えます。発注者である県当局の最高幹部が談合に組み込まれていく、また、みずからその役割を果たしていたベースというか、体制、体質が土台にあったのだというふうに思うんですね。そういう土台の上にある一つのあらわれとして親睦会があり、会費や談合の裏金までもが流れていたとの疑いがあるわけです。二一会と言われるものは、木村知事以前の時代からもあったというものですから、木村前知事個人の問題だけでもないわけです。
 県民は、なぜそんなところにお金があったのか、何のためのお金で、そして何に使われたのかを知らなければいけないし、再出発をする県政としては、県民に明らかにする、きちんとお示しをする義務があるというふうに思います。和歌山県としてみずからの説明責任だと思うわけです。
 県政の信頼を回復しながら再発防止に取り組むには、制度改正の立脚点となるその原因究明、全容解明がなされなければなりません。県として事件の検証と官製談合を生んだ体質の点検に取り組み、そして、県みずからが説明責任を果たす、この姿勢で臨むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお示しください。
 続きまして、教育問題について二点、教育長にお尋ねをいたします。
 まず、軽度発達障害児への相談体制強化について伺います。
 近年、軽度発達障害児の子供たちへの対応が重視をされるようになってきました。県の発達障害者支援センター「ポラリス」のパンフレットでは、「軽度発達障害とは、脳の機能障害が原因と言われます。コミュニケーションがとりにくい、落ち着きがない、社会的なマナーが身につきにくい、友達とうまく遊べないなどの行動は、本人の努力のなさや親の育てが原因で起こっているのではありません。その特性を正しく理解し、個々に合ったかかわりをすることでさまざまな力をつけることが可能です」、こういうふうに解説をされています。
 学習障害(LD)、注意欠陥多動性症候群(ADHD)、知的なおくれのない高機能自閉症やアスペルガー症候群などという言葉も一般的になってきましたが、こういったいわゆる気になる子供に対して、その子供たちの立場に立った適切な対応が十分になされているとは言えない状況です。
 私は、この間、何人かの現場の先生方にお話を伺ってきましたが、「教科書を開きましょう」と言っても開けない、「音楽室へ行きましょう」と言ってもどこかに飛び出していく、友達に注意をされたらパニックを起こしてもうとめられない、こういう状況の中で、しっかりとその子供に寄り添うことができずに、私が何とかしなければと自分の力量のなさのせいにして悩む先生や、ある先生は、髪の毛はぼろぼろになってしまいながら、その子供をその年度ずっと教卓で手をつなぎながら授業を続けられたというお話、また、「あの子らADHDだからね」というふうに解釈をしたりレッテルを張ってしまったりという傾向があるなど、この子のために何とかしたいがどうしたらいいのかわからない、こういうような教育者としてのこらえ切れない心の痛みを感じてまいりました。
 また、子供たち本人も、いじめや低学力、不登校、こう言われるいわゆる二次障害に悩みながら、学級の荒れ、虐待、親同士の対立を引き起こしているケースも少なくありません。親は、一緒に教室にいる子供同士、その親同士の関係やその子供同士の関係にすごく気を使って、苦しんでいる毎日です。
 そんな中、教育現場で多く聞かれた声としては、親に「子供のことが気になるので、ぜひ一緒に相談に行きませんか」と誘うんだけれども、このハードルが一番高いというわけなんですね。「うちの子はそんなことない」、そんなふうに言って、なかなか障害を持ってるかもしれないということを受け入れられない親も多くて、また、一緒に相談に行くにも、養護学校は就学指導のイメージがあってなかなか敷居が高い、和歌山市の愛徳医療福祉センターまで行くのも遠い、琴の浦の子ども・障害者相談センターも、本当に相談がいっぱいで激務である、市立病院の小児科の先生の専門家の医師のところには、もう予約が一カ月、二カ月も先までいっぱい詰まってる、こういう状況です。また、自治体や地域によっては相談や支援の格差もあります。
 しかし、この問題は、親の不理解という問題だけじゃないと思うんですね。お医者さんの場合でしたら、「あそこは心臓が偉いから行ってみよら」とか、「糖尿やったら、あの先生のとこへ行ってみたら」とか、そういうふうに行けるんですよね。それを、「あんたとこの子供さん、何かおかしいから行ってみな」と、これではあかんのです。親同士も、「あそこで話聞いてもろたらよかったで。こんなに子供に接したらよなった。ここへ行ってみたら」と、こうなれば、「あれ、ぜひ行ってみよう」と、こうなるんですが、そういう環境が今は整っていないというふうに思うんですね。
 そんな中ですが、県の発達障害者支援センター「ポラリス」が取り組まれている巡回相談や親の会などが開いている地域の相談窓口、大学との共同研究や相談活動など、相談や支援を実際にしていただいている親や学校からは大変喜ばれていますし、幼児期の早期発見、早期の療養や対応で子供が学級の中でみんなと一緒に生き生きと生活できている、そういう状況もふえつつあることは教訓的です。
 親や教師が軽度発達障害を持つ子供たちのその特性や行動をよく理解し、「困った子」というんじゃなくて「困っている子」として、子供たちの立場に寄り添って対応していくことが求められています。困った子によって大人たちがどうしていいのか困っている。しかし、困った子と言われているその子供が、自分が伝えられなくて、大人にわかってもらえなくて困っている子なんだと、そういうことに気づくことが大切です。そのためには、本当に適切で早期の相談や支援が重要だと思います。しかし、その相談体制、求められているものからすれば、まだまだ十分でないと感じてまいりました。
 そこで、お伺いをいたします。
 学校現場で対応する人の配置を初め、発達障害支援センターや子ども・障害者相談センター、養護学校の相談担当、これらの組織体制や人的体制の強化、医療機関との連携、親の会、大学などとの相談活動との連携、こういったものも含め、親や教師が相談にかかりやすい、本当に身近で幅広い体制の強化が求められると考えますが、いかがでしょうか。御答弁を願います。
 次に、小中学校の耐震補強の問題です。
 この間、県内学校施設の耐震診断は、努力のかいあって進んでまいりました。しかし、耐震補強の工事の方は、いまだに低い数字のままの自治体も少なくなくて、十二月末現在の資料では、耐震化一〇〇%の自治体は日高町と太地町の二つだけ、耐震化率の低い方からは、有田市の一二・二%、白浜町の二〇・七%と続きます。
 昨年四月の国の調査では、県立高校の耐震化率、これは我が県は七四%と全国十位を誇っていますが、公立小中学校の耐震化率は、全国平均を七・六%下回って全国三十二位となっています。市町村レベルでの耐震補強工事が進んでいない、ここが和歌山県の課題だと言えると思うんですね。
 私は、先日、耐震補強工事が切望されているという有田市の初島小学校と広川町の広小学校を調査してまいりました。
 初島小学校は、耐震診断の結果、耐震補強が必要だとされて、何よりも築五十二年で老朽化が進んでいます。学校を御案内いただきますと、学校の校舎の壁から三メートル離れたところに、ずうっとフェンスが連続して張られているんですね。これ、なぜかと聞きますと、「壁のコンクリートが次々とはげ落ちて上から降ってくるので危険だ。だから、子供が校舎に近づかないようにフェンスをつけている」と。子供が校舎に近づかないようにと、これはまあ大変なことだと思うんですが、まるで崩壊間近の遺産のような感じで、びっくりしました。また、校舎の中には、今回のこの耐震調査のためにコンクリートに穴をあけた後──これぐらいの穴ですが──何十カ所も壁とか柱とかにあいていました。職員の方の話では、ガーッという穴をあける工事の音が何日も続いて、耐震調査をやってるとわかっていながらも余りに物騒な校舎なので、「お願いだからこれ以上穴をあけないで」と、半分冗談、半分本気ではらはらしたそうです。
 また、築四十九年の広小学校では、「稲むらの火の町、防災の町として、子供たちがいる場所は本当に一番大切にしたい場所なんです」、そういうふうに熱を込めてお話しいただきました。
 私ども日本共産党県議団は、これまでも、県として市町村への耐震補強工事の補助制度をつくるべきだと提案をしてまいりました。学校数や老朽化の度合い、これは市町村の大小や財政状況とは無関係に存在をします。市町村の責任だけではできないと思います。
 全国的には、県としての補助制度を持つところ、これ、県立学校の耐震化が終了するなど先進県であった静岡県、福井県に加えて、この十八年度からは、和歌山と同じように条件も悪くて決して進んでいる方でもない高知県でも補助制度を設けて、一億円の予算を組みました。
 現在の状況を踏まえて、本県でも補助制度を創設して市町村を応援すべきときではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 三点目に、ミカン対策について質問をさせていただきます。
 〇六年産のミカンは、収穫量が少なかったものの、価格的には対前年や二年前を大きく上回る価格を形成することができたとされています。また、京阪神市場では価格的に高水準の結果を出し、全国的には単価的に愛媛県を抜いたと言われています。そして、これまで和歌山県産のミカンが極端に弱かった首都圏の市場でも、東京大田市場の東一において、和歌山ミカンのシェアが五%から九%に、倍近くに伸びたと先日お聞きをいたしました。これは大きな一歩だというふうに思います。そして同時に、生産量日本一といっても、東京ではそのレベルのシェアだという現状でもあります。
 今年度のミカンがすべて終了した段階ではありませんが、〇六年産のミカンの生産、販売の状況を県はどうとらえているのでしょうか。
 次に、普通温州ミカンの有望品種開発について伺います。
 他県がこの間新品種を次々と開発、登録をする中で、他県に負けない魅力ある和歌山らしい新品種を開発、育成することは和歌山ミカンのブランド力アップに欠かせない課題として、私も何度も取り上げさせていただきました。
 今、農家の方の声を聞きますと、高品質な極わせ・わせ品種の普及とともに、年内出荷の十二月の時期に和歌山らしい魅力ある商材が必要だ、昨今の地球温暖化の影響による暖冬傾向に対応した、浮き皮になることのない、そういう品種の開発をという声が数多く出されます。この課題には、一昨年より試験場、行政、農家の方の協力のもとで進めてこられましたが、今般提案をされました新年度予算の中で県としてどう取り組んでいこうとされているのか、お聞かせを願いたいと思います。
 以上二点は、農林水産部長より御答弁を願います。
 ミカン対策の三点目といたしまして、新年度の販売強化に向けた取り組みについて知事にお伺いをいたします。
 私は、かねてより、ミカンの販売強化の課題として首都圏でのシェア拡大とブランド力アップを提起し、長いおつき合いのある京阪神市場に軸足をしっかりと置きながらやはり全国ブランドの地位を確立するためには首都圏市場へも攻勢的な取り組みが要るというふうに主張してまいりました。
 東京の大田市場では、「愛媛や熊本の知事は毎年トップセールスに来るのに、和歌山は力が入ってないのでは」と言われてきましたが、一昨年には知事も足を運び、昨年には紀州和歌山みかん日本一祭に生産者と県が一緒になって取り組みました。このような取り組みは、量販店への働きかけなど地道な販売強化の努力と相まって大変効果的であり、産地を励ますものとなっています。
 生産者からは、「大阪市場の初売りや東京の大田市場にぜひ知事にも行っていただきたい。昨年のような東京でのブランド力アップの取り組み、来年もやりたい」という声が出されているようです。
 和歌山県のミカンは今年度も生産量日本一が予想され、価格的にも愛媛を上回る勢い。このことしの到達点の上に立って、ぜひ新年度においても県の積極的な取り組みと知事のリーダーシップを期待するものですが、いかがでしょうか。御答弁を願います。
 質問の最後に、関西電力の水力発電所データ改ざん問題についてお伺いをいたします。
 先日、関西電力が全国各地の水力発電所において取水量などのデータを改ざん等していた、そういう問題が発表されました。取水データの改ざんや申請漏れなどが、県下の発電所を含む関西電力が所有する国内百四十八カ所の水力発電所のうち、何と百四十六カ所にも及び、出力が規定を超えたときに自動的に上限値まで切り下げる、そういうプログラムを本社の指示で導入するなど、データの改ざんは歴史的、組織的に行われてきたとされています。こんなことをしては、取水権の設定など有名無実であり、万一装置の異常があったとしても、それがデータとして発見できないという危険性すらあります。
 関電は、これまでも、火力発電所の検査データの捏造、原発の測定データの改ざんなど、不祥事を繰り返してきました。今回の不正問題は感覚の麻痺などというものではなく、厳しく戒め、原因の解明と再発防止に努めなければならない問題です。
 今回の改ざん等の問題は、県民に対しても、また水利権を許可している県に対しても、信頼関係を損なう重大な問題だと考えますが、いかがでしょうか。県は関西電力からどういう報告を受け、またこの問題で県はどう対処をしていこうとしているのか。これらの点について県土整備部長の答弁を求めます。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の談合事件の解明につきましては、現在、検察庁が徹底的に事実関係の調査を行っているところでありまして、いずれ司法により解明されるものと考えております。
 県といたしましては、既に御承知のように、談合をなくし清潔で透明な県政を実現するために、一月早々に有識者から成る公共調達検討委員会を設置いたしました。この公共調達検討委員会では、熱心なヒアリングをもとに県の公共調達制度と実態の検証を進め、談合の再発を防止するとともに、最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただくことになっております。
 私といたしましては、公共調達検討委員会からの御提言を受け、議会を初めとする県民の皆さんの意見を聞きながら、だれが運用してもきちんとできる、あるいはああいうようなことが二度と起こらないというシステムをつくることが一番大事だと考えております。
 また、木村前知事の資金を県庁の職員が預かっていたと言われる点に関する御指摘がありました。
 この問題は、私は前々から申し上げておりますように、前知事の公私混同であって、知事の上司としての地位の利用の問題が本質のすべてであるというふうに私は思っています。したがいまして、一番大事な問題解決は、私自身が知事としてこのような公私混同を二度とやらないということではないかと自分では考えております。
 私は、県知事としての職分にかかわることであれ、あるいは私人としてのいろんな行動に関することであれ、自分のことに関しては一〇〇%説明責任があると考えております。しかしながら、前知事木村さんという方の私的なことについて、県庁を調査してというのは、現在、私が前向きの仕事、和歌山県を元気にする仕事を全力を挙げて取り組んでいるという観点からいたしますと、どうも気が進まないなあというふうに思っているのが実情であります。
 それから、第二にミカンの問題について御質問がありました。
 県内の豊富な農林水産物は和歌山の宝でありまして、特に県の農産物は種類が多く、まだまだ伸びる可能性があると考えてございます。このため、農産物を高く売る方法や付加価値をつけた加工品づくりなどについて、地元生産者やJAあるいは加工業者の方々と一緒になって取り組むこととしております。
 また、お話の温州ミカンにつきましては、御指摘のような生産量が三年連続日本一になると聞いてございます。こうした中で、県産ミカンのブランド力を一層高めるとともに、JAや生産者の方々とともに、地理的に近く販売の中心である京阪神はもちろんのこと、価格形成力の高い首都圏においても、その販売に一層力を入れ、先頭に立ってセールスをしてまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共事業入札と、それから関西電力水力発電所におけるデータ改ざんについてお尋ねがありました。
 まず、談合情報による再入札についてお答えをいたします。
 平成十八年度の談合情報の対応についてでありますが、県土整備部では八件の情報を談合情報として取り扱いました。八件のうち五件は、談合情報と入札結果が業者、価格とも一致したため、入札後、即無効といたしました。また、残り三件につきましては、入札参加業者からの事情聴取や工事費内訳書などの詳細な調査を行い、無効とし、結果的には八件の入札すべてを談合の疑いが強いと判断し、無効としております。このような厳正な対応は、他府県と比較しても先進的であると考えております。
 入札無効後の対応でありますが、入札の結果等関係書類を添えて公正取引委員会に報告するとともに、再度の入札はすべての業者を入れかえて実施をしております。
 県の談合情報対応マニュアルにつきましては、平成十七年五月に入札監視委員会から談合等不正行為に対して厳正かつ迅速に対処すべきとの提言を受け、同年六月に全面的に改正をしたものであります。主な改正点は、取り扱う談合情報の範囲の拡大、入札無効の基準の設定、再入札の場合の対応などであります。
 今後も談合情報に対しては厳正に対応するとともに、公共調達検討委員会の報告も踏まえ、さらなる入札制度改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、小規模事業者登録制度についてお答えをいたします。
 議員御指摘の小規模事業者登録制度は、和歌山市等で採用されており、入札参加資格を持たない業者を対象に小規模な修繕等を入札によらず発注をするもので、入札参加資格の制度上、建設業の許可を持たない業者が多く含まれていると聞いております。
 県発注の公共事業への参加につきましては、公共工事の適正な施工を確保するため、和歌山県建設工事等入札参加資格審査要綱に基づき建設業の許可及び経営に関する事項の審査を行った上で、入札参加を希望する建設業者に競争入札で発注することとしております。県としましては、建設業の許可のない業者を初めとする入札参加登録のない業者に対し公共工事の発注を行う考えはありません。
 次に、関西電力の水力発電所データ改ざんについてお答えをいたします。
 国土交通省からの指示に基づき関西電力株式会社が行っていた水力発電所の不適切事案に関する調査結果が、二月十四日に発表されました。それによれば、県が関西電力に河川水の使用を許可した十一水力発電所のうち三田発電所など十発電所において、許可水量以上の水を取得していながらデータを修正し報告していた事例や、発電用水を雑用水など発電目的以外に使用していた事例などの不適切事案が見られました。
 許可水量以上の水を取得した場合、利水や河川環境への影響など、河川管理上の問題が発生いたします。二月十五日に、県は、河川法に基づき、関西電力に対して、十一発電所すべてを対象に調査を行い、不適切事案の内容及び再発防止策について報告を求めたところであります。今後、報告内容を詳細に検討し、適切に対処してまいります。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 〇六年産のミカンにつきまして、全国の生産量が約八十六万トンと近年になく少ない中で高品質な果実に仕上がったことに加えまして、販売時期が競合いたします他の果実でありますとか輸入物の出回り、こういったことが少なかったこともございまして、キログラム当たり二百七十円を超える高価格での取引がなされているところでございます。
 首都圏でのシェアにつきましては、JAありだを初めとした農業団体の方々が東京での販売に力を入れ、積極的に出荷されたこと、こういったことによりまして拡大したところと考えてございます。また、東京神田で実施したイベントや大手量販店でのフェア、こういったことも販売環境によい影響を与えたものと考えてございます。
 次に、普通温州ミカンの有望品種の開発についてでございます。
 県のオリジナル品種といたしましては、ゆら早生、田口早生がございます。現在、その産地化に力を注いでいるところでございます。また、これらに次ぐ年内出荷用の新品種の早急な開発、こういったものが必要と考えてございます。
 このため、果樹試験場におきまして、有田地方の生産者の方々とともに、浮き皮がなく高糖度な優良系統の育成に取り組んでございまして、これまで約三十の有望系統についてその特性調査を行うとともに、昨年でございますが、この中から選抜いたしました七つの系統につきまして現地適応性の調査、これを開始したところでございます。来年度以降も引き続き現地適応調査の拡充を図り、優良品種の開発を加速してまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、二点についての御質問にお答えいたします。
 まず、軽度発達障害児への相談体制についてお答えします。
 現在、県内の盲・聾・養護学校では、軽度発達障害児への教育相談を担当する部署を設け、小中学校へ専門性を有した教員を派遣するほか、直接保護者からの相談を受けるなど、支援を行っております。また、田辺市にある県教育センター学びの丘及び和歌山市のビッグ愛の中にある教育相談室においても、保護者や教員に対して相談業務を実施しております。
 さらに、来年度は盲・聾・養護学校における相談体制をより拡充し、小中高等学校及び福祉、医療等の関係機関との支援ネットワークを構築するなど、相談・支援体制のより一層の充実・整備を図ってまいります。
 次に、小中学校の耐震補強工事についてお答えします。
 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす場であるとともに、非常災害時の地域住民の避難所としての機能も有していることから、早期に耐震化を図るよう、市町村に対し強く指導を行ってきてまいりました。
 耐震補強に係る経費については、国の安全・安心な学校づくり交付金制度を活用することで、設置者である市町村の負担分が大幅に軽減されることになります。また、今回の国の補正予算では補助単価の増額等が見込めることから、私ども県教育委員会といたしましてはこれまで以上に耐震化を促進するよう働きかけを行ってまいりました結果、七つの市町村が事業の前倒しを実施したところであります。
 今後とも市町村に対し積極的に取り組むよう働きかけるとともに、国に対しても、より一層補助制度の拡充を強く要望してまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 三点要望させていただいて、そして一点再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、教育問題。軽度発達障害児の関係では、来年度、特別支援教育が始まるということで、これまでの特殊教育に比べて支援対象となる子供がうんとふえることになるわけです。現場で、学校内での支援体制の強化ですとか、地域における、今回質問で申し上げました相談や支援の網の目、これをしっかりとつくっていくことが大事だというふうに思っています。
 きょうは教育長にお尋ねをしたわけでありますけれども、福祉や医療の面でも、子ども・障害者相談センターなど福祉の体制や医療機関との連携も、これもしっかりと強化をされるように重ねて強く要望をしておきたいというふうに思います。
 それから二つ目に、ミカン対策については、状況や品種開発、販売強化と、それぞれ丁寧に御答弁をいただきました。知事からも、先頭に立って頑張るという決意も聞かせていただきました。
 ミカン対策では、この間、四国、九州各県が次々と新品種を開発、登録、そして県としての力の入れ方というのがやっぱり違ったわけですね。それに対して農家からは、「この十年、十五年、和歌山はどうやったんか」と、こういう厳しい生産者の声が出てるわけでありまして、県としても、この間、大分この姿勢が変わったというふうに思うんですね。そういう意味では、この二年ほどは、生産者、県ともに努力も始まって、天候の関係もありますけども、結果も数字として出始めているというときだと思います。だからこそ、ことし、条件がよかった。次の年──来年ですね──来年度のミカンは勝負どころになってくるというふうに思います。展望が持てる農業とミカン栽培に向けて、県内農家とともに歩んで一緒に一層の支援を求めておきたいというふうに思います。
 それから、三つ目には関電のデータ改ざん等の問題ですが、河川管理者である県として、これは簡単なことじゃないですよと、重大なことですよという認識をお示しいただいたと思います。「何で関電がこんなことすんのや」と。何でというのが県民も県当局も率直な疑問だと思うんですね。
 私、この問題、一つ一つを見れば、小さなこととか、単に技術的なこととかという、そういう問題じゃなくて、こういうことの積み重ねが事故であったり災害につながる可能性をはらんでるし、実際そういうことが起こってきたと今回指摘をさせていただきたいんです。関電に求めた報告の上に立って、しっかりと原因究明、そして再発防止に取り組んでいただきたいと思います。
 私は、有田川の流域の住民として、今回の問題、特別の思いで実は聞かせていただきました。御承知のように、有田川の岩倉発電所は、一昨年に県から関電に売却をされたばかりの発電所なんですね。あのときに、あれだけこの議場でも安全性、信頼性、大丈夫かということで大論議をしたそのやさき、口も乾かないときの出来事ですから、これはいいかげんなことでは済まされないというふうに思っているわけです。
 また、二川ダムからの発電用の取水用の水利権。これはダムと発電所を建設してから五十年間の長い水利権の設定があって、今度、二〇一〇年──あと三年後ですね──二〇一〇年に第一回目の更新時期を迎えます。今日的な災害対策や森林環境のもとで、発電と、それから洪水調節、このバランスをよく折り合いをつける大事な話し合いだというふうに思ってますから、その前提ともなる今回の問題、きっちりと取り組んで、その原因も今後の方向もあいまいにしないようにと要望をしておきたいというふうに思います。
 それから最後に、談合問題で知事に再質問をさせていただきます。
 私は、今回の質問で、制度改革の前提として全容解明が大事だと申し上げて、その大事な部分として親睦会や裏金問題、これは公私混同の問題ではなく、説明責任を果たすという姿勢にかかわる問題じゃないかという質問をさせていただきました。
 知事からの答弁は、いずれ司法によりというその答弁、そして説明責任については、私のことはその説明責任を持っているけれども、前知事個人のことはどうも気が進まないという答弁であったかと思うんですけども、しかし、このいわゆる裏金問題というのは、知事の受けとめ方や、どんな問題をはらんでいるかという想像の域の問題じゃなくて、談合事件でかすめ取った裏金が絡む問題なんですね。そうでなきゃ、検察は調べたりしません。だれが、どの業者やどの人物が裏金にかかわってきたのか、何にどう使っていたのか、お金を持っていた県自身が調べるべきだし、明らかにすべき説明責任があるという質問だったわけですね。
 例えてみるならば、今回の質問でも取り上げた関電のデータ改ざんもそうですが、三菱トラックのリコール問題、耐震偽装の事件、JR福知山の列車事故、パロマのガス湯沸かし器の問題、雪印や不二家の食品問題、テレビのあるあるの問題、こういった、数え上げれば切りがないですが、このすべてに共通するのが「済みません」、「これからもうやりません」と、これだけでは済まない問題なんですよ。
 なぜそういうことが起きたのか、これを、法に触れるかどうか、罪に問われるかどうか、そういう当局や警察の捜査だけに任さずにみずからの問題として検証し、ユーザーや国民に説明責任を果たしてこそ信頼を回復できるというふうに思うんですね。説明責任を果たさずにこの隠ぺい体質が続けば、会社も組織も終わりです。
 「行政は責任とらん」とよく批判をされるわけですが、行政は余計にこのことをしなければならないというふうに思うんですが、知事が、この親睦会やいわゆる裏金問題のことを、まあ前知事の個人のこと、小さなこととして、後ろ向きのことはしないという姿勢をとるとならば、県民はがっかりするどころか、その姿勢が疑われると思うんですね。県民の信頼を回復することはできないと思います。
 小さいことかどうかは、県民の前にその事実を明らかにして、その上で県民がどう受けとめるか、どう判断するかということだと私は思います。県政の再スタートのためには、知事自身が、この際、うみを出し切ろう、どんなことでも言って来てくれ、包み隠さず労をいとわず説明責任を果たすためにどんな苦労でもすると、そういう知事の姿勢が必要ではないでしょうか。
 再度お聞きいたします。県としての説明責任、どう考えているのか。この点を御答弁願います。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 再度御答弁を申し上げます。
 県の説明責任というお話がありましたけれども、私は、この問題の本質は、木村さんの説明責任だと思うんです。それで、木村さんに例えば聞きに行くとか、そういうようなことを期待しておられるとすると、それは検察庁の問題であるし、まあ県の問題ではないなというふうに思うんですね。
 それで、県庁のことは私はもちろんその管理責任があるわけですけれども、物事の本質が木村知事の公私混同であるとすれば、県庁の職員はその上司である木村さんの言い分に従わざるを得ないというのは、これは当然の人情だと思うんですよ。
 そういう意味で、私は、今いろんなことをやらなきゃいけない中で「気が進まないな」というふうに申し上げた次第なんであります。私は、県民の方がいろんなことを総合的に勘案してわかっていただけると思っております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁いただきました。県の責任と──木村前知事の責任という問題だというふうに考えると。そう言えば県民はわかってもらえるだろうという御答弁であったかと思うんですが、私はそうは思わないですね。ですから、今回の問題は、いわゆる裏金を県の職員が小間使いのように使われていたという、そのプライベートな問題じゃなくて、今回の官製談合事件や贈収賄の事件、こういう全体の事件の中で、還流している裏金の、これが入ってるかどうかということの問題だと思うんですよ。
 今回の検察の捜査というのは、ちゃんと令状を持って、官製談合の問題、それから贈収賄の問題、これ、ずうっと関係先を調べたわけですよね。その中で、この二つの件については立件をされました。起訴をされました。しかし、起訴までは及ばなかったところもたくさん捜査をしているわけですね。これは関係ないとこは行きません。ちゃんと関係をするだろうという疑いが持たれたからこそ捜査にも入り、県の職員も事情を聞かれ、そして県の職員も実際そういうお金を扱っていたわけですから。
 検察が起訴をして司法の場で明らかにされる部分は、もちろん、それは検察が責任持って司法の場で明らかにされるでしょう。しかし、この県の行政の中で行われてきたこと、この県庁の中で行われてきたこと、検察が調べただけで、まだまだ「あの先どうなったの。あの後、何が出てきたの。何もなかったの」ということで、県民がわからない部分はうんとたくさんあるわけですよね。この分は検察がやらないわけですから、県が責任を持って、今回の官製談合事件で県民に本当に迷惑かけたというところをやらなけりゃいけないというふうに思うんですね。
 ですから、そういった点はぜひ、知事がこれから県行政の中で、そしてまた調達委員会の中できっちりと調べるように、再度強く要望しておきたいというふうに思います。
 以上です。
○副議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ