平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十九年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十九年二月二十二日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号
     まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号
     まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         仁   坂   吉   伸
     副知事(総務部長事務取扱)
                原       邦   彰
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行わせていただきます。
 まず初めに、元気和歌山づくりについてお尋ねいたします。
 仁坂知事が知事に就任いたしまして初めての予算である平成十九年度一般会計当初予算は五千百七十八万七千二百四万円で、前年度当初比で三十億八千五百四十二万の減少と、四年連続して縮小されています。行財政改革で、職員定数の削減、県独自の給与カットの実施、事務事業の見直し、事業の仕分け等で歳出削減に努め、新規事業等の財源確保を図ってきました。しかし、団塊世代の大量退職の影響で退職手当が増大し、人件費総額は前年度比〇・八%増となり、臨時的な退職手当債百三十五億円を発行したため、県債残高は平成十九年度末見込みで七千九百二十四億円と、過去最高となっております。
 歳出のうち政策的経費は、仁坂知事の和歌山元気づくりの五本柱を反映して、企業誘致の促進、少子化対策や防災、山間部のネットワーク道路の整備などに予算を重点的に配分してきています。
 知事は、今日までの本県の産業の現状や企業誘致の方向性について、本年一月に大阪で講演されました。その中で、概要、次のとおり述べております。
 「本県の産業の現状について、昭和五十年ごろの和歌山は繊維を中心とした地場産業がたくさんあり、住金や石油、花王など、当時としては他県に比べると大きな企業が県内にありました。しかし、それ以降は、他県に比べると大企業は余り来ていません。そのため、昭和五十年から平成十五年の間の製造品の出荷額の伸び率は四十六位と、事実上、最下位であります。この三、四十年の日本経済発展は、知識集約化産業、ハイテク産業、デバイス、加工組み立ての時代でありました。これが和歌山ではほとんど伸びていません。ハイテク産業の比率は、昭和五十年では一・一%であったのが今でも五・一%であるのに対しまして、昭和五十年ごろ和歌山とそれほど違わなかった岩手県は今では四四・八%、同じく山形県は五〇・九%、熊本県は四三・八%と、和歌山のおよそ十倍増加しています。その結果、製造品の出荷額の伸び率は、和歌山県の四十六位に対して岩手県六位、山形県二位、熊本県五位と、大きな差がついております。これらの三県では、高速道路や空港を整備して工場を誘致してデバイスや精密機械などを出荷し、多くの人を雇用して農業県から脱却を図ってきております。和歌山県は乗りおくれたが、できるだけこうした企業に来ていただき、雇用をふやしていきたい」と講演されたと伺っております。
 また、地域が元気になる取り組みとして、今、北海道の倶知安町が魅力ある地域に生まれ変わる地域再生の町として注目されております。札幌と新千歳空港とは車で約二時間の距離にある同町は、人口が一万六千人で、少子高齢化や行革等による官公庁の縮小などにより人口が徐々に減少し続け、地域経済への影響が避けられない現状にありました。平成十七年七月に、「国際リゾート都市"くっちゃん"の確立」が内閣府から地域再生計画として認定を受けました。近年、同町のスキーリゾートエリアに外国資本が参入し、オーストラリア人を中心とした外国人観光客が急増しています。外国人観光客の宿泊延べ人数は、平成十四年度七千六百十二人であったのが、平成十七年度は七万六千六十七人と、わずか三年で十倍にも増加したとのことであります。外国人観光客は一、二週間の長期滞在のため、地元商店街、飲食店や企業等への利用がふえ、スキー場エリアだけでなく市街地での楽しみ方も模索しており、今後も、国内外資本企業による計画など、外国からのビジネス客や観光客の入り込みがさらに増加することが見込まれております。また、地域提案型雇用創出促進事業として、くっちゃんまちづくり人材育成協議会を町、町教育委員会、商工会議所、地元有識者が実施主体となり、町民向け人材育成と雇用創出に視点を置いた事業を展開しています。具体的な内容としては、実践英会話教室を実施しております。
 さらに、国におきましては、経済成長戦略大綱関連三法案、いわゆる生産性向上に向けた事業者の取り組みを支援する産業活力再生特別措置法の改正案、地域資源を活用した地域の中小企業の取り組みを支援する中小企業地域資源活用促進法案、多様な産業集積に向けた地域への企業立地等を促進する地域産業活性化法案が今国会で成立する運びであります。さらに、総務省では、魅力ある地方に再生しようとする地方独自のプロジェクトに対して地方交付税等の支援措置を行う「頑張る地方応援プログラム」が本年一月に発表されました。プロジェクトの募集は平成十九年から二十一年までの三カ年として、一市町村につき単年度三千万円として三年間措置されるとなっております。
 本県の立地条件を考えてみますと、大阪市や関西国際空港と車で二時間の範囲となれば、仁坂知事が新年度予算で県内のネットワーク道路の整備などを行っていけば、田辺、白浜を含めたかなり広い部分が二時間圏に入ると考えられます。地域を元気にする取り組みが期待されております。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
 一、元気な和歌山づくりを命題として五つの目標を実現するとしていますが、知事は、どれくらいの期間で、どの程度まで実現を目指して新長期総合計画を策定されるのか。
 二、本県への企業誘致の促進と中小企業の支援対策をどう進めるのか。
 三、魅力ある地域の再生を目指して、頑張る地方応援プログラムの推進を生かすなど、本県の地域再生への取り組みをどう支援していくのか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、重点施策として取り組まれております少子化対策についてお尋ねいたします。
 我が国の人口は平成十六年十二月の一億二千七百八十三万人をピークに減少に転じ、人口減少社会に入っております。総務省がまとめた都道府県別の人口推計では、平成十七年は、増加が十都県で、減少は三十七道府県であります。減少率が大きかったのは秋田県、和歌山県、青森県で、増加率が大きかったのは東京都、愛知県、沖縄県などでした。全体的には、東京、関東、中部など大都市圏で増加している反面、地方はほぼ漏れなく減少しており、人口の地域間格差が拡大しています。
 本県は人口の減少率が秋田県に次いでワースト二位という現状にあり、元気な和歌山を目指すためにも、安心して子供を産み育てる環境づくりが必要であります。新年度予算においても、県は少子化対策に当たって、出産時、妊娠時、育児期と、それぞれのステージに合わせた施策の推進を展開するとしております。
 そこで、福祉保健部長に、少子化対策にどう取り組まれるのかお尋ねをいたします。
 次に、がん対策の推進についてお尋ねいたします。
 現在、日本では年間百二万人の方が亡くなり、そのうち約三分の一に当たる三十二万人強の死亡原因ががんであります。近い将来、二人に一人ががんで亡くなる時代がやってくると言われています。その原因は、高齢化であります。がんは細胞分裂の失敗で生じ、長生きすればがんになる可能性が高まります。つまり、急速な超高齢化が日本を有数のがん大国にしております。
 また、日本のがんは、食生活で欧米化が進んでいるため、それまでに多かった胃がんなどが減少する一方で、欧米型の肺がん、大腸がん、男性では前立腺がん、女性の乳がんが増加してきております。しかし、日本での治療方法は、胃がんには手術が有効であるため、がんイコール手術という構図ができ上がっており、欧米では約六〇%が放射線治療を行っているのに対して日本では約二五%と、世界でも最も放射線治療が少ない国となっております。
 本年四月に施行されるがん対策基本法は、我が国の第三次対がん十カ年総合戦略で掲げるがんの罹患率と死亡率の激減を実現するために制定されました。同基本法では、一点目に、がん克服を目指した研究を推進し、予防、診断、治療の技術向上、普及を図る、二点目に、居住する地域に関係なく等しく適切な医療を受けられるようにする、三点目は、本人の意思を十分尊重し治療方法などが選択できる体制を整備することを基本理念として、国や地方自治体、医療保険者、国民、医師などの責務を明らかにしています。その上で、基本的施策として、一、がんの予防、早期発見、二、がん医療の均てん化、三、がん研究の推進を柱にがん検診の受診率向上、放射線治療の専門医育成、早期からの緩和ケアなどを定めるとしています。そのため、国に対してがん対策推進基本計画を、都道府県に対してがん対策推進計画の策定を義務づけております。
 都道府県が策定するがん対策推進計画は、基本的施策として、一、がん予防の推進、二、がん検診の推進と検診の質の向上、三、県立病院などの専門医療従事者の育成、四、医療機関の整備、五、がん対策の療養生活の質の向上、六、情報収集・提供体制の整備等を盛り込んでいくことになっております。
 本県では、がん死亡率が平成十七年の調査では全国ワースト五位であり、がん対策の強化が急務であります。
 また、がん医療水準の均てん化を推進するため、県立医科大学病院が本年一月に県のがん診療連携拠点病院の指定を受けました。地域がん診療連携拠点病院は、日赤医療センターに次いで昨年八月に紀南病院、南和歌山医療センター、本年一月に橋本市民病院が順次指定を受けてきております。さらに、乳がんの早期発見に必要なマンモグラフィーを搭載した乳がん検診車の三台目が昨年七月に整備され、乳がんの早期発見に威力を発揮しております。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 本県におけるがん対策の推進について、一、本県のがん対策推進計画の策定、二、がん患者の把握をするための登録制度の導入及びがん医療水準の均てん化の推進、三、がん検診の受診率の向上対策と検診の質の向上対策、四、がん診療連携拠点病院における放射線治療の専門医療従事者の育成及び充実、五、緩和ケアの提供体制の充実、以上五点についてお尋ねをいたします。
 次に、いじめ、不登校についてお尋ねいたします。
 学校内のいじめが原因で、福岡県の男子生徒と北海道の女子児童が自殺をするという深刻な問題が起こっております。いじめによって将来ある命が奪われる、こうした悲劇はなくさなければいけないことは当然として、早急な対応措置が求められております。
 去る二月十五日、警察庁の報告によりますと、児童生徒がいじめに絡んで起こした傷害、恐喝などの事件が昨年一年間で二百三十三件となり、四年間連続で増加、前年度比四一・二%増と急増しており、ここ二十年では最悪の件数となっております。検挙、補導された児童生徒も四百六十人と、大幅に増加しています。特に中学生が三百五十二人と七七%を占め、中学生の急増が目立っております。警察庁は、昨年秋以降、いじめ、自殺が相次ぎ、いじめが改めて社会問題化したため、事件も顕在化してきたと分析しております。
 今回明らかになった福岡県のいじめは、本来、いじめ解決のために当たるべき教師の言動が発端となったと言われております。一方、北海道滝川市のいじめについては、市教委、学校はいじめはないと固執してきたが、遺書の内容が報道され、自殺から一年以上たって、ようやくいじめを認めております。この二件の自殺は、児童生徒を取り巻く教師を初め学校、教育委員会に問題があると指摘されております。
 いじめはいじめた側が一〇〇%悪いと、ある識者が述べているように、いじめは人道上の犯罪であって断じて許されないという強い意思を学校初め社会全体に行き渡らせることこそ、いじめ根絶の大前提であります。
 本年一月一日の「産経新聞」の年頭の主張で、「凜とした日本人忘れまい 家族の絆の大切さ再確認を」と題して掲載がありました。その中で、「日本人と日本の社会を支えてきた倫理や道徳、伝統、克己心といったものはどうなってしまったのだろう」「かつて日本は「子供の楽園」と表現された。最初にそう表現したのは江戸末期に来日した英国の外交官オルコックだった。以来、訪日欧米人たちはこの表現を愛用してきた」と紹介しております。さらに、「日本の子供はけっしておびえから嘘を言ったり、誤ちを隠したりしません。青天白日のごとく、嬉しいことも悲しいことも隠さず父や母に話し、一緒に喜んだり癒してもらったりするのです」と目撃談があり、「愛らしく、その上礼節を備えた子供たちは一体どこへ消えたのだろう」と述べております。その上で、「隣人を思いやり、苦悩を分かち合う共同体意識の再生が今ほど求められている時代はない。家族は社会や国づくりの一番の基礎にある。家族と共同体の再生こそ日本再生へのかぎである」と結論されております。
 今日の家庭に目を向けると、諸般の事情によって親の離婚が増加し母子・父子家庭になることで、頑張る子供さんも多くありますが、一方では、子供が親に対して大きな不満を持ち、親子の不信から親や家族の注意を聞かず、学校でも学習に専念できず、いじめや非行に走る場合があります。学校に親に来てもらって話し合っても、「家庭ではどうにもなりませんので、先生、お願いします」と親が言うなど、ついには担任の先生が病気になって休暇をとる事態も生じております。
 文部科学省では、本年一月にいじめの定義を「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とすると改めました。また、いじめの「発生件数」を「認知件数」に改めるとともに、学校がいじめを認知するに当たって、アンケート調査など、児童生徒から状況を聞く機会を設けることも加えられました。
 いじめへの対応策について、大阪教育大学の戸田有一助教授は、「いじめの予防のためには子供の健全な自治をはぐくむことです」と、子供たちがみずから問題を予防したり初期的な問題には対処したりできるよう大人が支援するピア・サポート活動の必要性を挙げています。いじめられている子供への対策として、身近な信頼できる人に相談できるようにすることや、電話相談など匿名でも相談できる体制の整備が必要であります。教師の果たすべき役割として、「いじめとけんかの違いを見抜いて適切に対応できる先生は、クラスの子供たちの微妙な関係をわかっているのだと思います。そのような先生の実践知を共有していけばと思います」と述べておられます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県におけるいじめや不登校の実態と学校等における暴力行為の実態はどうなっているのか。
 二、いじめ防止及び不登校児童等への対策はどう推進されるのか。
 三、家庭や地域社会の崩壊が指摘され、その再生を図り、人間としての倫理や道徳の確立にどう取り組まれるのか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、県議会に対しまして私の所見を述べさせていただきます。
 本県の財政の厳しさは、議員の皆様には十分御理解のことと存じます。平成十九年度も、県職員の定数が百六十七人削減される議案が提案されております。さらに、県職員は、新給料表の導入による給与の削減に加え県独自の給与カットが実施され、人件費の抑制が図られ約四十七億円の予算を捻出し、県民への施策の財源に使われております。
 公明党県議団は、昨年、県議会の定数を二名削減して四十四名とし、一票の格差を二倍以内にする直接請求を行いましたが、まことに残念なことに、自民党県議団、共産党県議団、県民クラブの反対により否決されました。県議会議員を二名削減すれば一年間で約二千万円弱削減が可能となり、四年間で一億五千万円程度が県民への施策の予算として計上することができるわけであります。県税等の使い方をチェックする立場にある議員こそ、中国のことわざにありますように「先ず隗より始めよ」のとおり、議員みずから定数を削減して県民にこたえるべきであると申し上げておきたいと思います。
 四年後には、本県の人口は確実に百万人を割ると予想されております。次こそは法定数上限いっぱいの定数にならないよう、定数削減の実施を強く求めるものであります。
 次に、政務調査費のあり方について、今日、問題提起がされております。本日の「毎日新聞」におきましても、和歌山版で問題提起がされたところであります。
 政務調査費は、当然のことながら、税金から予算化されております。それゆえ、より透明性が高められなければならないと考えます。
 本県では、平成十三年四月より、地方自治法第百条十三項の規定に基づき条例による支給となっております。収支報告への領収書の添付は、五万円以上と定めております。しかし、事務費、事務所費、人件費については領収書の添付は除くとされております。政務調査費の透明性を高め、県民の皆様の十分な理解を得られるよう、県議会として改善する必要があると思います。
 以上二点、県議会に対する私の所見を述べさせていただきました。
 質問の終わりに当たりまして、一言御礼を申し上げます。
 平成三年四月の初当選より四期十六年間、真心から御支援、御指導をいただきました県民の皆様に、心より厚く御礼を申し上げます。県議会におきましては先輩、同僚の皆様に御指導いただき、本当にありがとうございました。また、仁坂県知事様初め県当局の皆様にも大変お世話になり、心より御礼を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新長期総合計画の策定につきまして御答弁申し上げます。
 新たな長期総合計画の計画期間といたしましては、人口減少下にあって、いわゆる団塊の世代が引き続き活躍でき、現在の社会構造をもとに見通すことができる、おおむね十年ぐらいを想定したいと考えております。
 また、策定に当たりましては、県議会議員の皆様を初め幅広く意見をお聞きしながら、私の思い描く、県民が経済面で活力を実感でき、心身ともに健康で明るく暮らせる元気な和歌山というものを具体的かつわかりやすくお示しし、その実現に向け、当面県が取り組むべき施策の基本方向についてもしっかり盛り込んでまいりたいと考えております。策定は、ほぼ一年をかけて行いたいと考えております。
 また、昨日、中村議員から御提案のあった条例案の成立に従いまして、県議会でも御議決を得ることになろうかと思います。議会における十分な御検討が可能になるように、途中段階でもお諮りしてまいりたいと考えております。
 第二に、企業誘致の促進と中小企業の支援対策について御質問がございました。
 県経済の活性化には企業誘致の促進と地場産業を初めとする中小企業の底上げが最重要課題でありまして、新年度予算編成におきましても、企業・産業活動の現場からのニーズ、課題に対応して即効性のある施策を推進することとしております。
 まず、企業誘致につきましては、企業の投資計画等を分析しながら、若者が魅力を感じる定着性の高い企業をターゲットとして、昨年から七百社以上へのアプローチを行っているところであります。今後とも、企業訪問等の誘致活動に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 平成十九年度から企業立地促進貸付金制度の貸付限度額を大幅に拡充するとともに、市町村との連携をより強化し、企業用地の確保や基本的インフラの整備等を進めるなど、戦略的な誘致活動を展開してまいります。
 次に、中小企業についてでございます。
 国際化や地域間競争など厳しい経営環境を踏まえ、企業の経営革新支援や新事業創出の促進、それから地場産業の活性化を基本といたしまして政策を進めております。独自の技術、ノウハウを有する物づくり企業への支援として、民間人材による企業経営や企業の知的財産戦略の強化・支援、産学官連携による共同研究推進など、一層政策を進めてまいりたいと存じます。
 また、新たな取り組みといたしまして、専門家による観光産業の経営・育成支援に取り組んでまいりたいと思います。
 今後、国においても、地域資源活用促進法、地域産業活性化法等の地域経済活性化へのさまざまな取り組みが検討されており、県といたしましては、このような国の動きと連動しながら、市町村、民間事業者あるいは関係機関・団体と一丸となって、活力あふれる元気な和歌山経済の構築を図ってまいりたいと考えております。
 次に、地域再生への取り組みに対する支援についてでございます。
 地域再生への取り組みに対する支援については、魅力ある地域づくりを図るためには、何より地域に密着した市町村が主体的に施策を行っていく姿勢が必要不可欠であります。当然、県として地域づくりについては企業誘致あるいは観光振興を初め積極的に取り組んでいるところでありますけれども、県、市町村それぞれの取り組みが有機的に組み合わされ、全体として効果が発揮されるような仕組みづくりが必要であるかと思います。そういう意味で、昨年就任早々、こういう施策を始めるに当たりましては、市町村と意見交換をして一緒にやろうというような動きを今起こしているところでございます。
 今後の地域再生の取り組みのツールについては、議員御指摘の国が打ち出した「頑張る地方応援プログラム」の活用は大変意義あるものであると思います。各市町村のプログラム策定への積極的な支援を含め、県及び市町村の連携した施策推進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 少子化対策についてでございますが、平成十七年の本県の合計特殊出生率は一・三二で、全国平均の一・二六より若干高いものの、全国順位は第三十四位であり、また県内出生数は五年連続の減少が続くなど、本県におきましても、全国と同様、少子化の進行に歯どめがかからず、少子化対策は県政の重要かつ喫緊の課題となっており、県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」に基づいて、主に保育施設に重点を置いた数値目標を定めて取り組んでいるところでございます。
 少子化対策は、子供の成長に応じたさまざまなニーズを有しており、出産前から出生時、育児期等、ライフステージごとに本県の実情に対応した施策を積極的に推進していく必要があると考えてございます。
 平成十九年度予算案におきましても少子化対策を重点事業に位置づけ、「こうのとりサポート」として不妊に悩んでいる方々に対して不妊治療の助成制度の充実を図るとともに、新たに紀州三人っこ施策として三人以上の子供を産み育てようとする家庭への支援を行うなど、さまざまな施策を実施することとしております。
 今後とも、行政だけでなく民間の方々の御意見もいただきながら、だれもが安心して産み育てることができる環境づくりを進め、子育て環境ナンバーワンの県を目指して積極的に取り組んでまいります。
 次に、がん対策の推進に関する五つの御質問にお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、平成十七年の本県のがんによる死亡率は全国ワースト五位と高く、がん対策が喫緊の課題となっております。
 まず、がん対策推進計画の策定及びがん医療水準の均てん化についてですが、平成十九年度中に国が策定するがん対策推進基本計画を踏まえて県のがん対策推進計画を策定し、県内五カ所のがん診療連携拠点病院を中心にがん医療の均てん化を図るとともに、がんの予防及び早期発見の推進など、総合的ながん対策に取り組んでまいります。
 次に、がん登録制度の導入についてですが、がんの罹患率や生存率等を把握するためには患者ごとのデータの登録が必要であり、県内のがん診療連携拠点病院を中心に院内がん登録実施体制の整備を図ってまいります。
 次に、がん検診受診率の向上と検診の質の向上対策についてですが、本県のがん検診受診率は、例えば肺がんで言いますと肺がん検診で三二・三%であるなど、総じて全国平均を上回っておりますが、一層の受診率向上を図るため、市町村と連携してがん予防やがん検診の重要性について一層の啓発に努めるとともに、マンモグラフィーの整備など、検診体制の充実を図ってまいります。
 また、県内の学識経験者等で構成する生活習慣病検診等管理指導協議会におきまして、国のガイドライン改正に対応してがん検診の実施方法等を見直すなど、質の向上を図っているところでございます。
 また、放射線治療の専門家につきましては、全国的に少なく、本県のがん診療連携拠点病院等においても放射線治療に携わる医師等のレベルアップや確保が重要と考えており、県立医科大学等と連携してその育成及び充実に努めてまいります。
 最後に、緩和ケアの提供体制の充実についてですが、議員御指摘のとおり、早期からがん患者の心身にわたるケアや生活の質の向上を図るため、緩和ケア提供体制の充実が必要です。そのため、がん診療連携拠点病院を中心に緩和ケア病棟の整備を図るとともに、すべてのがん患者が緩和ケアチームによるケアを受けられるよう、研修等を通じた人材養成など、緩和ケア提供体制の確保、充実に努めてまいります。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題についてお答えいたします。
 平成十七年度の本県の不登校児童生徒は、小中学校で千二百八十六人、生徒間暴力や器物損壊などの暴力行為が小・中・高等学校を合わせて七百十三件と、前年度よりわずかにふえております。いじめについては、小・中・高等学校で合計八十六件の報告がなされております。
 次に、昨年全国的に発生した、いじめを苦にした自殺問題を受けて、私どもとしては、市町村の教育委員会に対して、児童生徒の日ごろの小さなサインも見逃すことなく、改めてより的確な実態の把握を行うよう指示するとともに、早期発見、早期対応のための指導の手引を新たに作成して、すべての小中学校等に配布いたしたところでございます。
 また、この一月から二十四時間対応の相談電話を設置したほか、子どもと親の相談員やスクールカウンセラーを従来以上に拡充配置するなど、相談体制を充実したところです。
 さらに、平成十九年度からは、落ちついた学習環境づくりを目指し、新規事業として、県独自で地域の人材十名を問題行動対策サポーターに委嘱し、配置することとしております。
 こうした問題の解決には、学校がPTAや警察等と連携して取り組むことが重要であることから、過日、関係機関連携推進会議を開催いたしました。その中で、学校がいじめを根絶する取り組みを定期的に実施することのほか、保護者会でこの問題を取り上げることの必要性についても提言がなされたところであります。
 申すまでもなく、家庭はすべての教育の出発点であり、人間関係に果たす役割は大変大きく、また、それを支える地域の教育力の向上が肝要であります。今後とも家庭教育の支援の充実に努めるとともに、子供だけなく、大人自身が社会性や倫理観を身につけ、ともに希望に満ちた社会を築けるよう努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、昨年、和歌山県の歴史上始まって以来の不祥事が起こり、百余万県民のやり場のない怒りとトップ不在の混乱の中、和歌山県の危機を救おうと御決断をいただき、知事選挙に立候補、見事当選されました仁坂吉伸知事には心から敬意を表しますとともに、新しい年を迎え、心機一転、力を合わせ、またあるときは切磋琢磨しながら和歌山県のさらなる発展を目指し、県民の負託にこたえるため頑張ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 また、早いもので、当選以来あっという間の四年間でしたが、その間、当局の皆様並びに先輩・同僚議員の皆様には格別の御指導、御鞭撻を賜りましたことを厚く感謝と御礼を申し上げ、任期最後の質問へと入らせていただきます。
 さて、昨年起きた官製談合に端を発した公共事業の発注のあり方については、先輩・同僚議員の皆様からも具体的かつ詳細に御質問があると思いますので、私からは、特に公共施設の品質と安全性の確保に焦点を絞り、質問させていただきたいと思います。
 公共施設は、改めて言うまでもなく県民の共有財産であり、現在生活している私たちにとって、また未来の子供や孫の時代にも利用する、永続性の伴った大変大切な共有の財産であります。そして、当然この共有財産の発注の方法は公正で公平な入札でなければなりませんし、適正な価格で契約することは言うまでもありません。しかし、ここで忘れてはならない重要なことは、来るべき南海・東南海地震が予測される中、公共施設の品質と安全性の確保にも特に注意を払う必要があるということであります。
 仁坂知事も所信表明で明確に示されておられますが、あえて私から公共施設の品質と安全性の確保について改めてお伺いをいたしたいと思います。
 昨年末以来、我が県のみならず、他の県や国土交通省等の官公庁においても官製談合や業者間の談合事件が発生し、公共事業の発注のあり方に対し、また建設業界の談合のシステムに対し、納税者である県民の皆様から、当然でありますが、大変厳しい怒りの声が上がっております。
 思えば、私たちの諸先輩は、戦後の貧しさを克服するため懸命に働き、国家の発展と豊かな国民生活の実現に御尽力いただきました。そして、日本の社会は世界でも有数の豊かな国になりましたが、先輩方の意に反し、道徳心や倫理観を置き去りにしてきたのではないかと心配されるほど現代社会はむしばまれ、最近、テレビや新聞等で報じられる犯罪は、肉親同士の殺人が日常茶飯事に行われ、その方法も想像を絶する残虐性を伴い、さらに犯罪の低年齢化が進み、また振り込め詐欺のようなこうかつな知能犯も横行しています。
 そんな世相の中、本来、模範とならなければならないはずの政治家を初め大企業やそのトップの経営者が不祥事を起こす昨今、この国のあり方をもう一度考え直さなくてはならないという危機感を国民の多くは共有意識として持っていると考えます。
 安倍晋三総理の「美しい国創り」は、まさしく規範意識が低下した現代社会の諸問題を解決していくための国家戦略であり、このたびの我が県の不祥事も、根底にあるのは喪失した倫理観にあり、凜とした美しく正しい心が大切だということを教訓として残してくれました。
 予算の執行者であります当局はもちろんのこと、私たちチェック機関の議会も、不信を招いている公共事業の発注の方法に対して一刻も早く県民の信頼を取り戻すため明確なシステムを構築することは当然でありますが、発注者にも施工業者にも公共事業に携わる誇りと高い倫理観を切に望むものであります。
 しかし、この一連の事件から、公共事業の落札価格については安ければ安いほどよい、それが県民の利益につながるという考えが行き過ぎると一抹の不安を感じます。公共事業の本来の目的は、安全で安心な公共施設を県民にリーズナブルな価格で提供することであって、過当な競争原理によって、とにかく何が何でも安ければいいという低価格が目的化してしまってはいけないと思います。
 設計予算は実勢価格を積み上げて予算化されたものであり、本来ならば、設計予算内の落札価格であれば問題はないはずであります。競争入札でありますから、当然、企業努力によってできる限り安い価格で請け負っていただくことにこしたことはありません。しかし、余りにも低い入札価格は、施工過程において資材業者にしわ寄せをしたり、また一次下請や二次下請業者に無理な工事金額や工程を強いたり、また工事現場の安全管理等に支障がないのかと心配をいたします。
 このたび、国土交通省も、品質確保の観点から低入札価格における特別重点調査を実施するとし、ダンピング受注の防止について膨大な資料提出を求めた厳しい通知を出しています。その提出資料の中で特に注目されているのは、赤字受注の場合、その赤字分の財源は本社経費をもって充て、下請業者や資材業者の見積金額を減額するなどしわ寄せすることがないように確約させる誓約書の提出が含まれているということであります。
 現在、入札時の見積書はあくまでも下請業者の参考見積書であり、確定見積書ではありません。受注業者と下請業者や資材業者の力関係はだれが考えてみても明白であり、そのことからいたしますと、実際の工事請負価格が提出された見積書の価格よりさらに低くなることは容易に想像できます。
 アメリカでは、入札参加者は下請業者からの確定見積書をもとに積算内訳を作成して入札し、落札後は原則として見積価格の変更を認めない等の措置を講じているとお聞きいたしました。
 設計会社が緻密に実勢価格を積み上げた設計予算なのですが、ちまたの声を聞いておりますと、落札価格が予算の九十数%だと談合しているのではないかという、談合の目安に使っているようにも受け取られかねない議論をしばしば耳にすることがあり、とても残念に思うことがあります。
 そこで、今回の大変な不祥事を機会に、公共事業の本来の目的と入札のあり方を原点に返ってあらゆる角度から検証し、揺るぎないシステムを構築していただくことと同時に、品質の確保についても万全の体制をつくっていただくことを期待いたしております。
 仁坂知事は、このたび公共調達検討委員会を立ち上げられ、入札制度について徹底的に議論し、全国に先駆けて談合防止のシステムを導入すると述べられております。また、先般の定例記者会見において、全国知事会でまとめた公共調達に関するプロジェクトチームの指針にある電子入札の拡大等入札制度改革について、二〇〇七年度中にすべて実施すると述べられておられます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 公共工事は、公平で公正な入札システムを行うこと、公共施設の品質と安全性を確保することとが同次元で議論されるべきだと考えます。そこで、入札制度の再構築の過程の中で、県民の共有財産であり、県民の生命にもかかわる大切な公共施設の品質と安全性の確保について、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に県土整備部長に、公共事業の品質確保をどのような方法で担保するのか、入札業務に関連して六項目についてお伺いをいたします。
 まず一点目は、今日まで入札システムのより透明化を求めて設計予算と最低入札価格を公表してきましたが、それは談合防止にどのような効果があったとお考えですか、お伺いいたします。
 二点目は、設計予算と落札価格の間に大きな開きがあった場合、公共施設の品質や安全性の確保について、工事完成までのどの段階でだれがどのような方法でチェックし、そして結果責任はだれが負うことになるのか、お伺いいたします。
 三点目は、建設委員会でも一度提案させていただいたことがあるのですが、低入札価格で落札された場合、施工できるかどうかの裏づけとして下請業者の見積書等を提出させ、工事が完成できる根拠を示す資料を審査するシステムになっていますが、契約後、その根拠となる見積書どおりの下請契約がなされ、工事が施工されたのか、今まで調査されたことがありますか、お伺いをいたします。
 四点目は、例えば見積もりした業者でない別の業者が下請をしたり、しかも見積金額が審査時提出された金額よりさらに低い場合、低入札時審査した資料や確認事項はどのような意味を持つのでしょうか、お伺いをいたします。
 五点目、下請業者や資材業者の間では、低入札価格で受注した工事の請負金額も低入札でない落札価格の請負金額も余り変わらないほど厳しいとの声もありますが、県発注の工事において、下請業者や資材業者との工事請負契約の金額を元請企業に資料として提出を求める必要があると考えますが、いかがですか、お伺いをいたします。
 また、一次下請業者いわゆる名義人は他府県の業者であることが多く、地元業者は二次下請からしか参加できないので、さらに請負金額が低くなり、結局値段が折り合わず、他の府県から緊密な関係業者を呼んできて施工している現場もかなりあるとお聞きしたことがありますが、地元企業の育成や雇用という観点から釈然といたしません。
 そこで六点目、当局は入札が終われば後は民間企業間の請負契約だから行政は法律上介入できないということは十分理解しておりますが、介入するのではなく、受益者である県民に対して工事にふぐあい等が生じたときの説明責任があるわけでありますから、元請企業がどこの下請業者や資材業者とどのような金額で契約を交わして工事を施工しているのか把握しておくことは極めて重要であり当然のことと考えますが、いかがですか。
 現在の設計価格は、バブル崩壊後、資材や人件費等のデフレ現象により価格の下落が進みましたが、最近景気が上向きになり現場の工事単価が上がってもすぐに設計単価に反映されなくて困るという声や、公共事業が国家レベルで縮小される中、鉄筋工や型枠大工等工事技術者が減少し、景気がよくなると技術者の確保と工賃の高騰で大変だとの声もお聞きいたしております。
 県内の工事請負業者にとって大変厳しい環境の中でありますが、入札システムの再構築に当たり、入札価格の競争原理だけが議論され、建設に携わる企業のモラルの向上や公共施設の品質や安全性の確保の議論がおざなりにならないようにお願いをいたします。
 知事も、選挙のとき各所で、「地元和歌山県出身だから、おかしなことをすれば、すぐ親戚や友人、知人の方から厳しくおしかりを受ける」と述べられていましたが、県内建設業者も末代まで受けた工事の責任を背負っていくという点では、お互い共通するものがあるのではないかと思います。
 忘れてならない教訓として、建築強度の構造計算偽装事件に端を発し、建築物の安全神話が崩れた当時を振り返り、また最近同じ過ちが繰り返されたことを肝に銘じ、公共施設の建設においては品質や安全性の確保についてあらゆる角度から御検討いただきますよう、重ねてお願いを申し上げたいと思います。(「ええ質問やよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 続きまして、私たち中山間に住まいする者にとって最も心配していた森林の環境保全が、紀の国森づくり税を導入することにより、ようやく都市部にお住まいの皆さんにも目を向けていただき、議論の場を与えていただいたことに、心から感謝を申し上げます。
 そこで、紀の国森づくり税の導入に当たり、環境問題について幾つかお伺いしたいと思いますが、昨日も原議員から地球の温暖化について御質問があり、一部重複いたしますので、あらかじめお許しをいただきまして、質問に入らせていただきます。
 ことしは、観測史上類を見ない暖冬となり、二月上旬だというのに西日本各地では既に気温二十度を記録し、すっかり春めいてまいりました。また、我が国だけではなく、世界各地でも平均気温が観測上最も高いと報じられています。
 そんな異常気象が話題になる中、さらに衝撃的な地球温暖化に関する本がテレビ等で紹介され、話題を集めています。それは、アメリカ大統領選挙に立候補し、惜しくも敗れた元副大統領ゴア氏が警笛を鳴らす「不都合な真実」という環境問題を取り上げた書籍であります。ごらんになった方もおられるのではないかと思いますが、地球温暖化による地球環境の激変の様子を過去と現在で比較し、近未来を予測しています。最近、世界各地で山岳氷河やグリーンランドの永久凍土が加速度的に解け、真っ白にいてついた大地がここ二十年の間に赤茶けた地面に変貌した写真であります。
 また、北極や南極の氷が近年急速に解け始め、あと百年もすると海水面がかなり上昇するということは、だれもが皆知っています。実際、太平洋に浮かぶツバルという小さな島国は、既に水没の危機にさらされ、国家が移住計画を立てていることは御承知のとおりであります。「日本沈没」の映画ではありませんが、現実問題として国が沈没する危機にさらされているのです。このペースで温暖化が進むと、海水面が上昇する速さは予想をはるかに超え、約四十年後には五メートルから六メートルも上昇するという衝撃的な内容であります。
 海水面が六メートル近くも上昇するということは、地球上の大陸のほとんどの大都市が海の中に水没するということになります。この著書のデータに基づいて危機感をあおるわけでもありませんが、確実に温暖化が急速に私たちの周りで進んでいることだけは疑う余地がありません。
 この現象は、言うまでもなく、二酸化炭素等の排出による地球温暖化が大きな要因の一つに挙げられています。我が国を含む先進諸国は、戦後六十年の間、化石燃料で電気を起こし、車や家電製品を量産し、暮らしを豊かにした反面、地球環境に大きな負担を強いてまいりました。近年、中国やその他の途上国も生活が豊かになりつつあり、先進諸国と同レベルの生活水準になれば二酸化炭素の排出量はさらに拡大いたしますが、それらの国を非難することはできません。
 そこで、先進諸国も途上国も二酸化炭素の排出を抑える努力をすることは当然のことでありますが、吸収する森林地帯の現状についてもっと理解を深め、その環境を守っていかねばなりません。特に、我が国は世界でも有数の木材輸入国であるという現実も直視しなくてはなりません。
 私たち日本人は、この半世紀、地球の温暖化や環境の悪化に対して少なからず影響を及ぼしてきました。地球の環境を守っていくのはそれぞれの国の政治的最重要課題でありますが、一番大切なことは、この地球の住人である私たち一人一人が環境に関心を持つこと、そして今地球がどのような状況にあるのかを知ることではないでしょうか。
 近年のハリケーンや台風はその規模を拡大し、歴史上最大の大きさで世界各地を襲い、甚大な被害を及ぼしております。また、ある地域においては干ばつに見舞われ、農作物に大きな影響を与え、子供たちが餓死している地域もあります。昨年の中紀を襲った集中豪雨も、今まで経験したことのない一時間に百ミリ以上の雨量を計測し、民間や農地に大きな被害をもたらしました。
 さらに、最近全国各地で多発する大規模な竜巻は、とうとい人命と財産を奪い、我が県においても、二月十四日、印南町津井地区に、集中豪雨のつめ跡がようやくいえかけたハウスを竜巻が押しつぶすという被害がありました。被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。当局におかれましては、早期復旧に対し、格段の御支援をお願い申し上げます。
 こうした世界じゅうで発生する異常気象の中、地球に住む一人一人が身近な環境を守っていくことに対して認識を高めることが最も有力で、しかも確実な解決方法であることを私たちはいま一度認識することが必要であると思います。
 以上、地球的自然環境の破壊や温暖化現象に対してるる申し上げましたが、さて、それでは私たちの和歌山県の環境はどうでしょうか。一見きれいで豊かに見える森林地帯や里山や海岸地域も、一歩足を踏み入れれば、かなり荒廃していることにお気づきになるでしょう。
 観光資源として見た場合は、世界遺産登録された地域以外でも、豊かな自然に恵まれ、そして豊富な歴史的景観に恵まれた魅力あふれる和歌山であります。しかし、環境の面から見れば、県土もいろんなところで荒廃の兆しがかいま見られ、それほど楽観できる状況にはありません。
 御承知のとおり、林業を取り巻く経済的状況は大変厳しく、間伐等の手入れが行き届かないために放置された山は荒廃し、最近多発する予想を超える集中豪雨が山間部を襲った場合、大崩落するのではないかと危惧をいたします。
 それぞれの河川には、洪水時の水量を調整するためダムが建設されていますが、もしそのダムの上流で山が崩壊し、一時川をせきとめ、その堰がさらに決壊し、一気に濁流がダムに押し寄せた場面を想像いたしますと、ダムの下流に住まいする住民にとっては大変な脅威であります。
 山林の環境悪化と災害は一体であると言っても過言ではありません。県内の各地の植林した山の状況は大体同じだと思いますが、放置林と自然林の現状を撮ってまいりましたので、ごらんいただきたいと思います。(資料を示す)和歌山県の紀州材の植え方というのは、大体一ヘクタールに五千本、これはかたい硬質の材をつくるということで五千本植えるそうで、こんな状況で当初植えるそうです。しかし、力のある山というのは間伐をすると下草がこう生えて、なかなかいい、こういう状況になるんですけども、私の近くで、この間のあれでもそう──今、山はこんな状況になってます。もう下草は生えない。赤土が見えてこういう──入ると、知事、倒木になってきてこんな状況に今なってます。もともと山というのは、里山というのはこういう山で、我々遊んだときの山はこういう山を普通、私、想像してたんですけども、国の林業政策もあって、こういう状況になっております。知事、ちょっと時間あったらまあ。(知事に資料を渡す)
 もちろん、紀の国森づくり税の導入によってこれらの環境を直ちに改善できるということではありません。しかし、税の導入に当たり賛否両論を議場において論戦する中で、マスコミを通じ、県民の皆様に森林や里山の環境保全に関心を持っていただくという一番大切な、そして大きな目的は、図らずも達成されたと思います。そして、平成十五年から始まった企業の森事業も、新たに四企業に御参加をいただき二十五団体となり、延べ百三十五ヘクタールの山林を管理していただいており、関心が高まる一方でありますが、御協力いただいております皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。環境を犠牲に現在の豊かな生活を享受している私たちは、今こそ環境保全に対し意識を高め、今、身近でできることから地道に始めなければなりません。
 一昨年、紀の国森づくり税導入の際、質疑応答の中で、時期尚早ではないか、まだ県民の皆さんの中には理解できてない人も多くいらっしゃる等の御意見もございました。議会に身を置く私たちは、環境問題についてはオピニオンリーダーの役割を果たし、現在置かれている自然環境の大切さや森林環境の悪化を御存じない方に御説明をし、御理解をいただくことが最も大切でないかと思います。
 また、森林の環境保全に対しては一定の御理解をいただきながら税の導入には残念ながら御賛同いただけなかった御意見の中に、税負担を求めず、一般会計を削減して捻出すべきとの御意見もございました。しかし、平成十九年度当初予算案を拝見いたしますと、社会保障費や職員の大量退職に伴う退職手当等、義務的経費が大幅に増加する厳しい財政状況の中、予算編成に当たり、仁坂知事の御苦労が推察できます。予算を議決する私たちも、県の財政事情が大変厳しいことは当然承知していますし、どの部局においても徹底して経費削減のため御努力されていることも承知をいたしております。
 本年度、収支不足は百五十一億円にもなり、財政調整基金及び県債管理基金により対応されておられますが、緊迫した財政の中、もし紀の国森づくり税で試算されている二億数千万円分を一般会計から捻出するとすれば、公共事業はもとより、社会保障費の分野まで削減対象を広げ、検討しなくてはならないのではと考えます。
 しかし、私は、県民生活の安全・安心を確保するためのそれらの予算をこれ以上切り詰めることには、到底賛成できません。むしろ、生活力のある県民の皆さんや大変頑張って業績を上げられておられる企業の皆様から広く薄く税の御負担をいただき、私たちの身近な森林を含む環境保全にお力をいただくことが現段階での最良の方法であると考えます。
 さらに、これも、昨日、中村議員から議員提出された議案第一号の中で、県議会は二元代表制による住民の代表機関であり、多様な民意を反映する議決機関として監視、審査、修正を行い、同時に条例等の政策提案をする重要な立法機能もあわせ持つことを忘れてはならないとおっしゃっておられました。それは、県民の皆様に御理解をいただくことは前提にあるとしても、時として厳しい御提案になることも、当然、覚悟せねばなりません。
 ことしの地球規模の温暖化やそれに伴う異常気象を思うとき、和歌山県議会が紀の国森づくり税を提唱したことは大変意義深いことだと思いますし、提案者の一人として、今後も環境保全に懸命の努力をしてまいりたいと思います。
 次に、二酸化炭素の排出が環境破壊の大きな一つの要因として取り上げられておりますので、エネルギー施策の観点から、化石燃料に頼るエネルギーよりも、最も環境に優しいと言われる風力発電の推進についても、この際、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 風力発電は、将来の電力源として、最も成熟し、コスト効果も高く、そして何よりも環境に優しい発電方法であります。しかし、我が県の風力発電の適地とされる場所は、国立・国定公園または県立自然公園に指定されたエリアがほとんどであり、環境とエネルギーの政策を今後どのように両立させていくか、我が県の大きな政治課題となるのではないでしょうか。
 既に、全国各地で風力発電施設が国定公園内や県立公園内に、規模の大小はありますが、設置されつつあります。主な例を述べますと、国定公園第二種特別地域では、新潟県の佐渡弥彦米山国定公園、愛知県の天竜奥三河国定公園に設置されておりますし、そのほか、第三種特別地域においてはさらに多くの公園内で建設が進められておられます。また、兵庫県では朝来群山県立自然公園二種特別地域に風力発電が設置されています。さらに、県立公園の普通地域ともなりますと、北は北海道から南は沖縄まで広範囲にわたり建設されていますし、今後もさらに風力発電は推進されると考えます。
 また、このたび経済産業省と環境省は、風力発電の規制緩和について合同の研究会を発足させる方針を決定したとお聞きいたしました。規制が厳しい国立公園内においても柔軟に設置できるようにし、自然エネルギーの普及をさらに図ることを目的として検討に入るとのことであります。
 そこで、我が県においても、県立自然公園内であっても、ある一定の条件が整えば設置することも視野に入れて今後検討していかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。環境問題は、将来の課題ではなく、現在進行中の最も大きな政治問題であることを改めて御認識いただきまして、仁坂知事に御答弁をいただきたいと思います。
 それではまず、紀の国森づくり税に関連して、本県の森林や里山の環境の現況についてどのように御認識をいただいておられますか。
 また、紀の国森づくり税の目的や必要性やその意義をどのように御理解いただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 そして、税の用途について、知事として特に御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点、知事は、自然環境の保護と適正な利用を図るため県立自然公園を全体的に見直すと所信で述べられていますが、地球温暖化対策面から、我が県における県立自然公園内の風力発電の設置についてどのようにお考えですか。知事は経済産業省の御出身でもありますから、ぜひ御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、副知事にお伺いをいたします。
 まず、紀の国森づくり税を徴収するに当たり、法人においては当然赤字でない会社となるのでしょうが、個人については年間五百円、月額にして四十一円六十銭余りになりますが、個人県民税均等割に付加して一括して徴収されると聞いています。当然、個人県民税均等割が非課税になっておられる方、つまり経済的に弱い方は対象外になっていますが、実際対象となる方の年間所得は幾ら以上か、またその対象となる方の数はどのぐらいあるのか。およその数値で結構ですのでお答えください。
 農林水産部長にもお伺いいたします。
 紀の国森づくり税の基金の運用に関して県民初め各方面から御意見が寄せられていると思いますが、導入に当たり、その主な項目や目的と期待できる効果についてお答えください。
 また、既に同趣旨で税を徴収されている滋賀県や奈良県のように環境に対し意識の高い先進県の取り組みについても参考にし、すばらしい事例があれば見習うべきと考えますが、いかがですか。
 次に、環境生活部長にもお伺いをいたします。
 全国の国定公園内、県立公園内の風力発電の設置状況を踏まえ、また昨今のエネルギーと環境を取り巻く状況をかんがみ、今後、県立自然公園内での風力発電の設置についてお考えをお伺いいたします。
 また、この条例は昭和三十四年に制定されてから約半世紀が経過し、当時想定されていなかった風力発電等のエネルギー問題も生じております。そこで、県立自然公園の条例についても検討する時期に来ているのではないかと考えますが、いかがですか。
 そして、現在指定している地域についても、当時と随分取り巻く状況が変わってきていますし、また、世界遺産の登録等に伴い新たに指定しなくてはならない地域もできているのではないかと思いますが、地域指定の見直しについてどのようにお考えですか。
 いずれにいたしましても、私たちの身近な環境に対し関心を持ち、よりよい自然環境を残していくことが、現在、政治や行政に携わる私たちはもとより、全県民も次の世代に対して背負っている大きな責務であるということを再確認し、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 最後に、さて、近年、鳥獣による農作物の被害が全国的に問題となっていますが、我が県も例外ではありません。特に近年、鳥獣による農作物の被害は農家の経営に深刻な影響を与えております。
 この問題については、先輩議員からもたびたび一般質問や委員会でも取り上げられ、当局に解決策をただされましたが、今回、私は、モンキードッグ事業という長野県の大町市の取り組みについて御紹介させていただくとともに、我が県においても深刻化する鳥獣被害の対策に応用できないかと考え、一般質問させていただくことにいたしました。
 長野県大町市の常磐泉地区は、御多分にも漏れず、鳥獣、特に猿による農作物の被害が後を絶たず、農業を続けていくことが困難なほど深刻化していたそうです。特に三百頭にも及ぶ猿の群れによる被害がひどかったのですが、大町市も、和歌山県と同じように電気さくやトタン、ネット、花火や人の手によって追い払い対策をしてまいりましたが、猿には余り効果がなかったそうであります。そんな中、大町市の猿の被害対策の話し合いの中で、犬が猿の群れを追っかけ、山に追い払ってしまったとの報告があり、試験的に調教訓練した犬を猿の群れに放ったところ、猿は一目散に逃げ出し、山に帰ったそうであります。そこで、まず被害が多発する同地区の住民が飼っている三匹の犬を民間の訓練所──ここは警察犬の訓練所だそうですが──三カ月間訓練調教を委託するモンキードッグ事業を開始し、訓練を終えた犬をモンキードッグと県が認定し、早速追い払い実施をいたしました。そうすると、この地区では猿の被害がほとんどなくなったとのことであります。
 もう少しモンキードッグ事業について御説明をいたしますと、訓練費用は一カ月五万円の三カ月で十五万円になりますが、長野県と大町市による補助金で全額を賄っております。訓練の主な目的は、飼い主に服従すること、猿以外の人や動物に危害を加えないこと、深追いをせず飼い主のところに戻ってくることだそうであります。また、訓練所では、犬の資質の向上はもとより、訓練所の講師の方の指導により、飼い主も週一回程度犬と一緒に訓練をともにし、実践における連携を高めることがより効果が上がるそうであります。また、犬を放すことに対して地域住民の理解を得ることが最も重要であり、猿を追い払っている最中に万一物を壊したり人に危害を加えた場合に備え、飼い主は損害賠償保険に加入しているそうですが、現在までに事故や苦情等はないそうです。
 最近は、全国各地から、同じ鳥獣害に悩む市町村から大町市を視察に訪れるそうです。また、お隣徳島市も昨年、鳥獣被害防止対策フォーラムが開かれ、モンキードッグ事業が紹介され、大変注目を集めたとお聞きをいたしました。
 そこで、環境生活部長にお伺いをいたします。
 本県において鳥獣の捕獲免許の取得について、狩猟関係者以外の方に対しても、自分の畑は自分で守るという観点から本年度予算にも計上されていますが、私も一昨年の予算委員会において質問をさせていただいておりますので、昨年までの免許取得の状況をお答えください。
 農林水産部長にお伺いいたします。
 今回御紹介させていただきました大町市のモンキードッグ事業についてどのように思われ、また評価されますか、お答えください。
 国は鳥獣保護法を制定し、害獣という名のもとに余りにも行き過ぎた鳥獣の駆除を規制しておりますが、御承知のとおり、現在の農林業を取り巻く状況が大きく変化してきておりますので、今後とも当局におかれましては細心の注意と柔軟な対応をお願い申し上げたいと思います。
 以上、当局の誠意ある御答弁をお願い申し上げ、第一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御答弁申し上げます。
 第一に、談合事件に絡みまして、公共施設の品質と安全性の確保について申し上げます。
 公共施設の品質と安全性の確保は、安全・安心の確保、良好な環境の創出など、和歌山県の発展に大変重要なものであります。一方で、入札制度改革によりまして価格競争の激化、あるいは不良不適格業者の参入等が生ずると、そういうことがもし仮に起こりますと、工事の質の低下あるいは下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化あるいは安全対策の不徹底など、弊害が発生することも懸念されます。したがって、そのため、談合の再発防止と最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築を考える上で公共工事の品質の確保を前提条件とすることが最重要課題の一つと考えまして、私は、公共調達検討委員会へお願いいたしました四つの法益の中にも公共工事の質の確保を挙げさせていただきました。
 さらに、本年度から、単なる価格競争のみならず、公共工事の品質向上が期待できる総合評価落札方式の試行を行っております。これにつきましては、十九年度からさらにその適用を拡充してまいりたいと思っております。
 次に、紀の国森づくり税、あるいはそれの前提として本県の森林や里山環境の現況につきましてお答え申し上げます。
 本県の森林や里山環境の現況について、及び紀の国森づくり税導入の意義等についてでございますが、県土の七七%を占める森林は本県の貴重な財産であります。これは申すまでもないことであると思いますが、知事就任前に県内を回る中で、林業の採算性の悪化あるいは生活様式の変化など、さまざまな理由によりまして放置され荒廃が進んでいる人工林あるいは里山を目の当たりにいたしまして、まことに憂慮すべきことと認識しております。
 こういったことから、議員提案により成立いたしました紀の国森づくり税は、本県の森林の現状を県民の皆様一人一人に理解していただき、森林環境を守っていこうという意識を高める上で、私は意義あるものと考えております。
 税の用途につきましては、貴重な財源を効果的に使うという観点から、本県の豊かな自然、とりわけ森林環境の保全と啓発など、県民の安心・安全につながるような取り組みが重要と考えております。
 次に、県立自然公園内への風力発電の設置について御質問がございました。
 風力発電を初めとする化石燃料代替エネルギーの推進につきましては、その重要性を十分認識しております。本県としても積極的に推進していかなければならないと考えております。
 現在、県内では三市町村において三基の風力発電施設が既に設置されておりますが、その他具体的に協議が進んでいるものや計画段階のものも含めますと、今後は相当数の風力発電施設が立地するものと考えております。
 県立自然公園内でも、議員御指摘のように風力発電の設置も全く否定するものではございませんが、すぐれた風景や希少動植物の生息地、渡り鳥のルートなどを初めとする自然環境の保護と両立するように考えていくべきものであると考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 紀の国森づくり税の課税対象に関するお尋ねがございました。
 同税は、御指摘にもありましたが、県民税均等割の上乗せ課税でありまして、均等割が非課税の方は課税されません。具体的に申し上げますと、生活保護による生活扶助を受けている方や、所得が一定金額以下の障害者、未成年者などは非課税となります。そのほかにも、市町村民税とともに徴収されるものであるため、所得が各市町村の税条例で定める一定金額以下の方も課税されません。一例を申し上げますと、夫婦子供二人のいわゆる標準世帯では、給与収入ベースで二百十万円未満の方は非課税となります。このように、所得がない方や所得があっても一定金額以下の方に対しては一定の配慮がなされているところでございます。
 なお、紀の国森づくり税の課税対象者数のお尋ねがございましたが、個人で約四十三万人、法人で約一万八千社と見込んでございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共工事の品質確保について、六点お尋ねがありました。
 一点目の予定価格、最低制限価格の事前公表については、平成十四年八月から、入札契約事務の透明性の確保及び不正な働きかけの排除を目的に事前公表を行っており、情報漏えいによる談合の防止という観点において意義のある制度だというふうに考えております。
 二点目の設計価格と落札価格の差が大きい場合の品質と安全性の確保については、設計価格と落札価格の差が大きく、いわゆる低入札工事となった場合には重点監督工事に位置づけ、県監督員を二名体制とし、施工段階における現場確認の頻度も多くしております。
 また、平成十八年十月からは、さらに品質管理の頻度を二倍にするとともに、平均工事成績が標準の六十五点未満の請負者に対しては配置技術者を二名体制とすることとしております。
 さらに、請負者に不適切な資材の使用や施工不良等による瑕疵がある場合については、請負者の責任において損害賠償を行うこととしております。
 三点目の低入札工事における工事施工の調査の実施についてお答えをいたします。
 下請金額が三千万円以上で義務づけられている施工体制台帳を、低入札工事においては金額にかかわらず提出させることとしております。施工体制台帳には、すべての下請業者の請負額、技術者及び下請に関する事項等を記載し、元請契約書、下請契約書と施工範囲等を明確にした図書等の資料を添付することになっております。平成十六年十月からは、この施工体制台帳をもとに、いわゆる施工体制Gメン制度を活用し、下請への見積もり条件提示方法や支払い条件等について適正な元請・下請関係となっているかどうか、調査、指導を行っているところであります。
 四点目の低入札工事における調査段階と施工段階の整合性についてでございますが、契約後、調査段階で予定されていた下請業者等に変更が生じた場合、請負契約が確実にできるか、下請いじめをしていないか等の再調査については、御指摘を踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
 五点目の低入札以外の工事における下請へのしわ寄せについてでございますが、低入札以外の工事においても、建設業法の定めにより、土木工事においては下請金額の合計が三千万円、建築一式工事においては四千五百万円を超える場合は、先ほど申しました施工体制台帳の提出が必要となり、同じく適正な元請・下請関係について指導を行っているところであります。
 六点目の入札後における下請業者等に関する状況把握についてでございますが、工事施工中は先ほど申した施工体制台帳により指導を行い、工事完了後は速やかに請負業者から当初提出の積算内訳書との対比や県の積算との対比を行った調査表を提出させ、疑義がある場合は事情聴取を行うこととしております。あわせて、下請代金支払い状況調査表の提出を求め、下請代金の不払いなどがないか、請負業者、下請業者の双方から事情聴取を行っております。
 なお、事情聴取の結果によっては厳重注意などの必要な措置を講じてまいります。これらの措置を通じ、公共事業の品質確保に努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 紀の国森づくり基金の運用についてお尋ねがございました。
 紀の国森づくり基金活用検討会を設置いたしまして、その中で、アンケートあるいはパブリックコメント、こういったものを通じまして県民の皆様方から多様な御意見をちょうだいしているところでございます。
 そのうち、基金の活用に関する意見の主なものといたしましては、荒廃した森林の整備、花粉症対策につながる森林整備、また里山の保全、子供の森林・林業体験や教育、加えて世界遺産周辺森林の景観整備といったような使途が寄せられたところでございまして、このような使途につきましては、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造という、まさに紀の国森づくり税条例の趣旨に合致をするものというふうに考えているところでございます。
 今後とも、県民の方々の発想と自発的な参画による事業提案、こういったものをお聞きしながら紀の国森づくり基金運営委員会にお諮りし、事業実施してまいりたいと、このように考えてございます。
 また、全国的にも二十四県が同趣旨の税を導入している状況下でございますので、これら他県の特色ある事例、こういったものをも参考に、多くの県民が理解を深め、また参加いただけるよう、効果的な運用に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、鳥獣害に関連いたしましてモンキードッグについてお話がございました。
 この事業につきましては、長野県を初め秋田県、また兵庫県等の山間部の水田地帯で試験的に実施をされ、一定の成果、効果を上げているところというふうに聞いているところでございます。
 しかしながら、こうした犬を使って猿を追い払うという手法につきましては、一つには、学習能力の高い猿のことでございますので、追い払いの効率が低下してしまうのではないか、二つ目には、果樹地帯では猿が木の上に登ってしまって効果が得られないのではないかといったような点を指摘される研究者、学者の方もおられるところでございます。
 今後とも、こういったユニークな取り組みにつきまして、大学等研究機関でありますとか他県の情報、こういったものの情報収集に努めてより効果的な対策、こういったものに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 県立自然公園に関する三点の御質問と鳥獣被害対策に関する御質問にお答えを申し上げます。
 まず、風力発電の設置につきましては、和歌山県自然公園条例施行規則におきまして、国立公園、国定公園と同様の許可基準を定めております。
 具体的には、第一種特別地域のほか、第二種、第三種地域の中でも植生の復元が困難な地域では風力発電施設の設置は認められておりませんが、その他の地域では、環境省や他の府県などの動向を勘案いたしまして、自然景観の保全や貴重動植物の保護に配慮をしながら個別事案ごとに設置の許可について検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、自然公園の条例の見直しについてでございます。
 和歌山県立自然公園条例及び施行規則の改正につきましては、上位法でございます自然公園法及び施行規則の改正に合わせて行ってまいったところでございます。風力発電の設置につきましては、平成十六年度に自然公園法施行規則に新たに規定が盛り込まれましたため、同様の改正を本県の施行規則においても行ったところでございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、制度発足後、半世紀近くが経過したことを踏まえまして、環境省におきましても今年度より自然公園法の改正を視野に入れた自然公園のあり方検討会が開催されておりますので、今後ともその動きに注視してまいりたいと考えております。
 次に、自然公園区域の見直しについてでございます。
 和歌山県内には現在十カ所の県立自然公園が指定されておりますが、都市化の進行、道路等のいわゆる基盤整備、世界遺産やラムサール条約の重要湿地の指定など、周辺の環境や景観、自然に対する社会の考え方も大きく変化をしてきております。このような状況を踏まえまして、十九年度から、県全体のバランスを考慮しながら県立自然公園の指定を抜本的に見直すことといたしました。
 見直しの視点といたしましては、保護対象の厳密化あるいは明確化を図りながら、現在指定している公園区域を抜本的に見直すとともに、新規指定も視野に入れまして、自然保護と適正利用の両立を実現してまいりたいと考えております。
 次に、狩猟免許の取得状況についてお答えを申し上げます。
 平成十七年度末における狩猟免許所持者数は、四千三百人でございます。また、平成十八年度の狩猟免許の新規取得者数は二百十八人であり、そのうち網・わな免許の取得者数が百八十二人となっております。これは、前回、議員御質問がございました平成十六年度と比較いたしまして、総数で約一三%、網・わな免許の取得者数で約二五%の増加となっております。
 また、十九年度の新たな事業といたしまして、農家みずからが耕作地を守り、農作物被害の軽減を図るとともに地域全体で被害対策に取り組むことができるよう、有害鳥獣捕獲に必要な狩猟免許の取得に要する経費に対し助成を予定しているところでございます。
 今後とも、市町村、関係団体と連携を図りながら、狩猟免許取得者数の増加を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番花田健吉君。
○花田健吉君 もうすべて要望ですけども、県土整備部長のおっしゃられた透明化が談合防止につながる一定のあれがあるような──情報の漏えい防止という観点から意義あるということですけども、まあ要するに透明化しても、例のこのたびの談合事件が起こったということからいたしますと、それよりも情報漏えいというのが、ここが一番やっぱり問題あると思いますんで、まあ隠すべきとこは隠して、積算する能力とか見積もりする能力もやっぱり業者に求めて、適正な価格で、自分たちが本当にこれであれば自分とこの会社で確実に品質のよいものを県民に対して納めていただけるということ、これが一番大事なことだと再度申し上げて、これは一応要望としておきます。
 また、森林税についてですけども、もう二十数年前──私が二階代議士の秘書になった当時ですから、もう二十年ぐらいになると思うんですけども、本宮町の、今はもう亡くなられましたが、中山町長さんが森林交付税というのを訴えられ、全国に呼びかけました。もちろん、森林行政の大きな責任は、私は国にあるとは思いますけども、国にあるからといって、我々が今、国に責任があるんだ、あるんだと叫ぶばかりで、森林を放置して、もう二十年たってしまいました。
 当時、森林に対しての一番認識の高い本宮町──もちろん和歌山県ですけども──もう十七、先に環境税が導入されて、和歌山県は十八番目になったと記憶してるんですけども、このたび森林交付税が導入されたことに対して、ほんとに中山町長さんも喜んでおられるんではないかなと思います。その先駆者といいますか、先見の明のあったそういうこと、二十数年前には考えられなかった異常気象が今起こっとるわけですから、私たち一人一人がしていくということで、森林交付税のその使い方について農林水産部長にもっといろんなアイデアを入れていただいて、県民が納得するような形で、貴重な税源ですんで、お願いしたいと思います。
 最後に、これはまあ敵もさる者と申しますか、それは猿は確かに賢いんでそういうことですけども、まあそうおっしゃらんと一遍見に行きませんか。私は、農林水産部の方は多分猿よりは能力は上だと思っておりますんで、猿対策に対してさらなる対応を農家の皆さんのためにお願いを申し上げまして、すべて要望といたします。ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づきまして、早速、一般質問をさせていただきます。
 まず、公共事業入札と談合問題についてお伺いをいたします。
 昨年の官製談合事件によって、県政の信頼は大きく揺らぎました。そして、相次ぐ税金や福祉の負担増にあえぐ県民の生活をしり目に談合によって税金を横取りしていたことは許せない、こういう厳しい声が渦巻いております。県当局と県議会には、事件の全容を解明するとともに、再発防止に向けた真摯な取り組みが求められております。
 私は、この問題の一つ目に、県土整備部長に談合情報による再入札の問題をお尋ねいたします。
 官製談合事件への県民の怒りが高まる一方で、談合情報が寄せられて再入札となるケースが後を絶ちません。県民から見れば、あれだけ騒がれたのに、まだ談合をやっているのかと、こうなるのも当然です。私は有田振興局管内での再入札のケースを調査してまいりましたが、県全体として、今年度において談合情報によって談合の疑いありと再入札になった数々のケースの状況について、県はどう認識をし、そしてどう対応をしてきたのでしょうか。
 これまでも、〇五年六月県議会で、私は、県庁南別館の建設工事にかかわって談合疑惑の問題を取り上げました。談合情報が寄せられ、疑わしきものはやり直しをすべきだと主張をいたしました。当時の談合対応マニュアルに基づいた対応の結果、機械設備工事は再入札となったわけですが、建設と電気設備工事は問題がないとされ、続行をされました。その後、談合情報対応マニュアルの改正や、それから損害賠償金の引き上げ、指名行為をなくした郵便入札の導入など、入札制度改正を行ってきたわけですが、今後さらに透明性を高めるための改善方法についてどう考えておられるのかも、あわせて御答弁を願いたいと思います。
 次に、小規模事業者登録制度についてお尋ねをいたします。
 私は、公共事業の、公共の仕事の発注については、その透明性と競争性を高めていくその努力と相まって、少額の事業については、手続が簡素で下請零細業者に直接仕事を回す工夫が今日的に求められているというふうに考えています。
 長引く地域経済の落ち込みのもと、中小零細業者の経営は深刻です。さらに、自治体が発注する工事には入札参加資格が要るために、少額のものでも入札参加業者が受注をし、現場では入札参加資格を持たない中小零細業者が安い下請単価で仕事をしているというケースもあります。
 小規模事業者登録制度、これができてきたその考え方は、少額の随意契約してきたような修理や修繕などの仕事を、競争入札資格を持つ業者ではなくて、直接地元の中小零細業者に、一人親方のような業者にも数多く発注できないかと始まった制度です。この小規模事業者に登録を希望する業者は、きちんと税金を納めていると、こういった簡素な資格要件で登録をすることができ、よその下請ではなく、直接この受注をできるので有利であります。この制度が東京二十三区の中を初め全国にも広がり、和歌山市でも〇二年度からこの制度が始まって、市財政を支える納税者を支援する、そういう制度として大変喜ばれているというふうに聞いています。
 県の仕事の発注方法について、一般競争入札の拡大などの競争性、透明性をきちんと強化をする、そういうものとともに、こういった県内中小零細業者を支援する方法、これはきちんと仕分けをして、こういう工夫を県としても積極的に検討をし導入していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長に御答弁を願います。
 次に、官製談合事件の全容解明にかかわって、知事にお尋ねをいたします。
 昨年の談合事件で県民が感じたのは、「口で幾らいいことを言ってても、やってることがえらい汚いことをやってたんや。幾ら全国トップレベルの透明性の入札制度だと言っても、その制度を扱う当事者が談合してたら何にもならん」、こういう上辺と裏の世界の矛盾そのものでした。ですから、上っ面だけでなく魂を入れてやってほしいというのが願いだと思うんですね。
 仁坂知事は、選挙公約で談合問題の再発防止を掲げ、公共調達検討委員会を立ち上げました。ところが、その検討委員会の四つの目的の中には、官製談合事件の全容解明は入っていませんでした。しかし、一月の臨時議会では、「ああいうことが二度と起こらないシステムをつくるためには、当然、あの事件がなぜ起こったか、どのようにして起こったかを頭に入れておく必要がある。その限りにおいて、実態把握をするのは当たり前だ。検討委員会の作業の一つとしてビルトインされていると考えていい」、こういう趣旨の答弁を共産党県議団の藤井議員や他の議員の質問に対しても答弁をされました。また一方で、昨日の議会答弁では、「いずれ司法により解明されるものであると考えている」、こういう趣旨の答弁がありましたが、人任せの印象を受ける答弁でありました。
 私は、県行政と公共調達検討委員会が、県民の信頼を回復するにふさわしい、その全容解明の真摯な努力がなされるよう改めて強く求めるものであります。
 さて、この全容解明の問題で一つのかぎとなる問題ですが、秘書課で管理をしていたいわゆる裏金、この問題です。
 一月臨時議会後の一月二十三日、知事定例記者会見のときに、秘書課で管理していた木村前知事の親睦団体の支出や使途について明らかにしていくのかと聞かれて、知事はこの問題を「公私混同の問題だ。どちらかというと後ろ向きの話であり、熱心に取りかかるのは好きではない」、こういうふうにコメントをされました。この問題は臨時議会でも議論がありましたし、昨日の一般質問でもやりとりがあったところです。
 私は、これは私的なお金だ、公私混同だという問題ではおさまらないというふうに考えます。発注者である県当局の最高幹部が談合に組み込まれていく、また、みずからその役割を果たしていたベースというか、体制、体質が土台にあったのだというふうに思うんですね。そういう土台の上にある一つのあらわれとして親睦会があり、会費や談合の裏金までもが流れていたとの疑いがあるわけです。二一会と言われるものは、木村知事以前の時代からもあったというものですから、木村前知事個人の問題だけでもないわけです。
 県民は、なぜそんなところにお金があったのか、何のためのお金で、そして何に使われたのかを知らなければいけないし、再出発をする県政としては、県民に明らかにする、きちんとお示しをする義務があるというふうに思います。和歌山県としてみずからの説明責任だと思うわけです。
 県政の信頼を回復しながら再発防止に取り組むには、制度改正の立脚点となるその原因究明、全容解明がなされなければなりません。県として事件の検証と官製談合を生んだ体質の点検に取り組み、そして、県みずからが説明責任を果たす、この姿勢で臨むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお示しください。
 続きまして、教育問題について二点、教育長にお尋ねをいたします。
 まず、軽度発達障害児への相談体制強化について伺います。
 近年、軽度発達障害児の子供たちへの対応が重視をされるようになってきました。県の発達障害者支援センター「ポラリス」のパンフレットでは、「軽度発達障害とは、脳の機能障害が原因と言われます。コミュニケーションがとりにくい、落ち着きがない、社会的なマナーが身につきにくい、友達とうまく遊べないなどの行動は、本人の努力のなさや親の育てが原因で起こっているのではありません。その特性を正しく理解し、個々に合ったかかわりをすることでさまざまな力をつけることが可能です」、こういうふうに解説をされています。
 学習障害(LD)、注意欠陥多動性症候群(ADHD)、知的なおくれのない高機能自閉症やアスペルガー症候群などという言葉も一般的になってきましたが、こういったいわゆる気になる子供に対して、その子供たちの立場に立った適切な対応が十分になされているとは言えない状況です。
 私は、この間、何人かの現場の先生方にお話を伺ってきましたが、「教科書を開きましょう」と言っても開けない、「音楽室へ行きましょう」と言ってもどこかに飛び出していく、友達に注意をされたらパニックを起こしてもうとめられない、こういう状況の中で、しっかりとその子供に寄り添うことができずに、私が何とかしなければと自分の力量のなさのせいにして悩む先生や、ある先生は、髪の毛はぼろぼろになってしまいながら、その子供をその年度ずっと教卓で手をつなぎながら授業を続けられたというお話、また、「あの子らADHDだからね」というふうに解釈をしたりレッテルを張ってしまったりという傾向があるなど、この子のために何とかしたいがどうしたらいいのかわからない、こういうような教育者としてのこらえ切れない心の痛みを感じてまいりました。
 また、子供たち本人も、いじめや低学力、不登校、こう言われるいわゆる二次障害に悩みながら、学級の荒れ、虐待、親同士の対立を引き起こしているケースも少なくありません。親は、一緒に教室にいる子供同士、その親同士の関係やその子供同士の関係にすごく気を使って、苦しんでいる毎日です。
 そんな中、教育現場で多く聞かれた声としては、親に「子供のことが気になるので、ぜひ一緒に相談に行きませんか」と誘うんだけれども、このハードルが一番高いというわけなんですね。「うちの子はそんなことない」、そんなふうに言って、なかなか障害を持ってるかもしれないということを受け入れられない親も多くて、また、一緒に相談に行くにも、養護学校は就学指導のイメージがあってなかなか敷居が高い、和歌山市の愛徳医療福祉センターまで行くのも遠い、琴の浦の子ども・障害者相談センターも、本当に相談がいっぱいで激務である、市立病院の小児科の先生の専門家の医師のところには、もう予約が一カ月、二カ月も先までいっぱい詰まってる、こういう状況です。また、自治体や地域によっては相談や支援の格差もあります。
 しかし、この問題は、親の不理解という問題だけじゃないと思うんですね。お医者さんの場合でしたら、「あそこは心臓が偉いから行ってみよら」とか、「糖尿やったら、あの先生のとこへ行ってみたら」とか、そういうふうに行けるんですよね。それを、「あんたとこの子供さん、何かおかしいから行ってみな」と、これではあかんのです。親同士も、「あそこで話聞いてもろたらよかったで。こんなに子供に接したらよなった。ここへ行ってみたら」と、こうなれば、「あれ、ぜひ行ってみよう」と、こうなるんですが、そういう環境が今は整っていないというふうに思うんですね。
 そんな中ですが、県の発達障害者支援センター「ポラリス」が取り組まれている巡回相談や親の会などが開いている地域の相談窓口、大学との共同研究や相談活動など、相談や支援を実際にしていただいている親や学校からは大変喜ばれていますし、幼児期の早期発見、早期の療養や対応で子供が学級の中でみんなと一緒に生き生きと生活できている、そういう状況もふえつつあることは教訓的です。
 親や教師が軽度発達障害を持つ子供たちのその特性や行動をよく理解し、「困った子」というんじゃなくて「困っている子」として、子供たちの立場に寄り添って対応していくことが求められています。困った子によって大人たちがどうしていいのか困っている。しかし、困った子と言われているその子供が、自分が伝えられなくて、大人にわかってもらえなくて困っている子なんだと、そういうことに気づくことが大切です。そのためには、本当に適切で早期の相談や支援が重要だと思います。しかし、その相談体制、求められているものからすれば、まだまだ十分でないと感じてまいりました。
 そこで、お伺いをいたします。
 学校現場で対応する人の配置を初め、発達障害支援センターや子ども・障害者相談センター、養護学校の相談担当、これらの組織体制や人的体制の強化、医療機関との連携、親の会、大学などとの相談活動との連携、こういったものも含め、親や教師が相談にかかりやすい、本当に身近で幅広い体制の強化が求められると考えますが、いかがでしょうか。御答弁を願います。
 次に、小中学校の耐震補強の問題です。
 この間、県内学校施設の耐震診断は、努力のかいあって進んでまいりました。しかし、耐震補強の工事の方は、いまだに低い数字のままの自治体も少なくなくて、十二月末現在の資料では、耐震化一〇〇%の自治体は日高町と太地町の二つだけ、耐震化率の低い方からは、有田市の一二・二%、白浜町の二〇・七%と続きます。
 昨年四月の国の調査では、県立高校の耐震化率、これは我が県は七四%と全国十位を誇っていますが、公立小中学校の耐震化率は、全国平均を七・六%下回って全国三十二位となっています。市町村レベルでの耐震補強工事が進んでいない、ここが和歌山県の課題だと言えると思うんですね。
 私は、先日、耐震補強工事が切望されているという有田市の初島小学校と広川町の広小学校を調査してまいりました。
 初島小学校は、耐震診断の結果、耐震補強が必要だとされて、何よりも築五十二年で老朽化が進んでいます。学校を御案内いただきますと、学校の校舎の壁から三メートル離れたところに、ずうっとフェンスが連続して張られているんですね。これ、なぜかと聞きますと、「壁のコンクリートが次々とはげ落ちて上から降ってくるので危険だ。だから、子供が校舎に近づかないようにフェンスをつけている」と。子供が校舎に近づかないようにと、これはまあ大変なことだと思うんですが、まるで崩壊間近の遺産のような感じで、びっくりしました。また、校舎の中には、今回のこの耐震調査のためにコンクリートに穴をあけた後──これぐらいの穴ですが──何十カ所も壁とか柱とかにあいていました。職員の方の話では、ガーッという穴をあける工事の音が何日も続いて、耐震調査をやってるとわかっていながらも余りに物騒な校舎なので、「お願いだからこれ以上穴をあけないで」と、半分冗談、半分本気ではらはらしたそうです。
 また、築四十九年の広小学校では、「稲むらの火の町、防災の町として、子供たちがいる場所は本当に一番大切にしたい場所なんです」、そういうふうに熱を込めてお話しいただきました。
 私ども日本共産党県議団は、これまでも、県として市町村への耐震補強工事の補助制度をつくるべきだと提案をしてまいりました。学校数や老朽化の度合い、これは市町村の大小や財政状況とは無関係に存在をします。市町村の責任だけではできないと思います。
 全国的には、県としての補助制度を持つところ、これ、県立学校の耐震化が終了するなど先進県であった静岡県、福井県に加えて、この十八年度からは、和歌山と同じように条件も悪くて決して進んでいる方でもない高知県でも補助制度を設けて、一億円の予算を組みました。
 現在の状況を踏まえて、本県でも補助制度を創設して市町村を応援すべきときではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 三点目に、ミカン対策について質問をさせていただきます。
 〇六年産のミカンは、収穫量が少なかったものの、価格的には対前年や二年前を大きく上回る価格を形成することができたとされています。また、京阪神市場では価格的に高水準の結果を出し、全国的には単価的に愛媛県を抜いたと言われています。そして、これまで和歌山県産のミカンが極端に弱かった首都圏の市場でも、東京大田市場の東一において、和歌山ミカンのシェアが五%から九%に、倍近くに伸びたと先日お聞きをいたしました。これは大きな一歩だというふうに思います。そして同時に、生産量日本一といっても、東京ではそのレベルのシェアだという現状でもあります。
 今年度のミカンがすべて終了した段階ではありませんが、〇六年産のミカンの生産、販売の状況を県はどうとらえているのでしょうか。
 次に、普通温州ミカンの有望品種開発について伺います。
 他県がこの間新品種を次々と開発、登録をする中で、他県に負けない魅力ある和歌山らしい新品種を開発、育成することは和歌山ミカンのブランド力アップに欠かせない課題として、私も何度も取り上げさせていただきました。
 今、農家の方の声を聞きますと、高品質な極わせ・わせ品種の普及とともに、年内出荷の十二月の時期に和歌山らしい魅力ある商材が必要だ、昨今の地球温暖化の影響による暖冬傾向に対応した、浮き皮になることのない、そういう品種の開発をという声が数多く出されます。この課題には、一昨年より試験場、行政、農家の方の協力のもとで進めてこられましたが、今般提案をされました新年度予算の中で県としてどう取り組んでいこうとされているのか、お聞かせを願いたいと思います。
 以上二点は、農林水産部長より御答弁を願います。
 ミカン対策の三点目といたしまして、新年度の販売強化に向けた取り組みについて知事にお伺いをいたします。
 私は、かねてより、ミカンの販売強化の課題として首都圏でのシェア拡大とブランド力アップを提起し、長いおつき合いのある京阪神市場に軸足をしっかりと置きながらやはり全国ブランドの地位を確立するためには首都圏市場へも攻勢的な取り組みが要るというふうに主張してまいりました。
 東京の大田市場では、「愛媛や熊本の知事は毎年トップセールスに来るのに、和歌山は力が入ってないのでは」と言われてきましたが、一昨年には知事も足を運び、昨年には紀州和歌山みかん日本一祭に生産者と県が一緒になって取り組みました。このような取り組みは、量販店への働きかけなど地道な販売強化の努力と相まって大変効果的であり、産地を励ますものとなっています。
 生産者からは、「大阪市場の初売りや東京の大田市場にぜひ知事にも行っていただきたい。昨年のような東京でのブランド力アップの取り組み、来年もやりたい」という声が出されているようです。
 和歌山県のミカンは今年度も生産量日本一が予想され、価格的にも愛媛を上回る勢い。このことしの到達点の上に立って、ぜひ新年度においても県の積極的な取り組みと知事のリーダーシップを期待するものですが、いかがでしょうか。御答弁を願います。
 質問の最後に、関西電力の水力発電所データ改ざん問題についてお伺いをいたします。
 先日、関西電力が全国各地の水力発電所において取水量などのデータを改ざん等していた、そういう問題が発表されました。取水データの改ざんや申請漏れなどが、県下の発電所を含む関西電力が所有する国内百四十八カ所の水力発電所のうち、何と百四十六カ所にも及び、出力が規定を超えたときに自動的に上限値まで切り下げる、そういうプログラムを本社の指示で導入するなど、データの改ざんは歴史的、組織的に行われてきたとされています。こんなことをしては、取水権の設定など有名無実であり、万一装置の異常があったとしても、それがデータとして発見できないという危険性すらあります。
 関電は、これまでも、火力発電所の検査データの捏造、原発の測定データの改ざんなど、不祥事を繰り返してきました。今回の不正問題は感覚の麻痺などというものではなく、厳しく戒め、原因の解明と再発防止に努めなければならない問題です。
 今回の改ざん等の問題は、県民に対しても、また水利権を許可している県に対しても、信頼関係を損なう重大な問題だと考えますが、いかがでしょうか。県は関西電力からどういう報告を受け、またこの問題で県はどう対処をしていこうとしているのか。これらの点について県土整備部長の答弁を求めます。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の談合事件の解明につきましては、現在、検察庁が徹底的に事実関係の調査を行っているところでありまして、いずれ司法により解明されるものと考えております。
 県といたしましては、既に御承知のように、談合をなくし清潔で透明な県政を実現するために、一月早々に有識者から成る公共調達検討委員会を設置いたしました。この公共調達検討委員会では、熱心なヒアリングをもとに県の公共調達制度と実態の検証を進め、談合の再発を防止するとともに、最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただくことになっております。
 私といたしましては、公共調達検討委員会からの御提言を受け、議会を初めとする県民の皆さんの意見を聞きながら、だれが運用してもきちんとできる、あるいはああいうようなことが二度と起こらないというシステムをつくることが一番大事だと考えております。
 また、木村前知事の資金を県庁の職員が預かっていたと言われる点に関する御指摘がありました。
 この問題は、私は前々から申し上げておりますように、前知事の公私混同であって、知事の上司としての地位の利用の問題が本質のすべてであるというふうに私は思っています。したがいまして、一番大事な問題解決は、私自身が知事としてこのような公私混同を二度とやらないということではないかと自分では考えております。
 私は、県知事としての職分にかかわることであれ、あるいは私人としてのいろんな行動に関することであれ、自分のことに関しては一〇〇%説明責任があると考えております。しかしながら、前知事木村さんという方の私的なことについて、県庁を調査してというのは、現在、私が前向きの仕事、和歌山県を元気にする仕事を全力を挙げて取り組んでいるという観点からいたしますと、どうも気が進まないなあというふうに思っているのが実情であります。
 それから、第二にミカンの問題について御質問がありました。
 県内の豊富な農林水産物は和歌山の宝でありまして、特に県の農産物は種類が多く、まだまだ伸びる可能性があると考えてございます。このため、農産物を高く売る方法や付加価値をつけた加工品づくりなどについて、地元生産者やJAあるいは加工業者の方々と一緒になって取り組むこととしております。
 また、お話の温州ミカンにつきましては、御指摘のような生産量が三年連続日本一になると聞いてございます。こうした中で、県産ミカンのブランド力を一層高めるとともに、JAや生産者の方々とともに、地理的に近く販売の中心である京阪神はもちろんのこと、価格形成力の高い首都圏においても、その販売に一層力を入れ、先頭に立ってセールスをしてまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共事業入札と、それから関西電力水力発電所におけるデータ改ざんについてお尋ねがありました。
 まず、談合情報による再入札についてお答えをいたします。
 平成十八年度の談合情報の対応についてでありますが、県土整備部では八件の情報を談合情報として取り扱いました。八件のうち五件は、談合情報と入札結果が業者、価格とも一致したため、入札後、即無効といたしました。また、残り三件につきましては、入札参加業者からの事情聴取や工事費内訳書などの詳細な調査を行い、無効とし、結果的には八件の入札すべてを談合の疑いが強いと判断し、無効としております。このような厳正な対応は、他府県と比較しても先進的であると考えております。
 入札無効後の対応でありますが、入札の結果等関係書類を添えて公正取引委員会に報告するとともに、再度の入札はすべての業者を入れかえて実施をしております。
 県の談合情報対応マニュアルにつきましては、平成十七年五月に入札監視委員会から談合等不正行為に対して厳正かつ迅速に対処すべきとの提言を受け、同年六月に全面的に改正をしたものであります。主な改正点は、取り扱う談合情報の範囲の拡大、入札無効の基準の設定、再入札の場合の対応などであります。
 今後も談合情報に対しては厳正に対応するとともに、公共調達検討委員会の報告も踏まえ、さらなる入札制度改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、小規模事業者登録制度についてお答えをいたします。
 議員御指摘の小規模事業者登録制度は、和歌山市等で採用されており、入札参加資格を持たない業者を対象に小規模な修繕等を入札によらず発注をするもので、入札参加資格の制度上、建設業の許可を持たない業者が多く含まれていると聞いております。
 県発注の公共事業への参加につきましては、公共工事の適正な施工を確保するため、和歌山県建設工事等入札参加資格審査要綱に基づき建設業の許可及び経営に関する事項の審査を行った上で、入札参加を希望する建設業者に競争入札で発注することとしております。県としましては、建設業の許可のない業者を初めとする入札参加登録のない業者に対し公共工事の発注を行う考えはありません。
 次に、関西電力の水力発電所データ改ざんについてお答えをいたします。
 国土交通省からの指示に基づき関西電力株式会社が行っていた水力発電所の不適切事案に関する調査結果が、二月十四日に発表されました。それによれば、県が関西電力に河川水の使用を許可した十一水力発電所のうち三田発電所など十発電所において、許可水量以上の水を取得していながらデータを修正し報告していた事例や、発電用水を雑用水など発電目的以外に使用していた事例などの不適切事案が見られました。
 許可水量以上の水を取得した場合、利水や河川環境への影響など、河川管理上の問題が発生いたします。二月十五日に、県は、河川法に基づき、関西電力に対して、十一発電所すべてを対象に調査を行い、不適切事案の内容及び再発防止策について報告を求めたところであります。今後、報告内容を詳細に検討し、適切に対処してまいります。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 〇六年産のミカンにつきまして、全国の生産量が約八十六万トンと近年になく少ない中で高品質な果実に仕上がったことに加えまして、販売時期が競合いたします他の果実でありますとか輸入物の出回り、こういったことが少なかったこともございまして、キログラム当たり二百七十円を超える高価格での取引がなされているところでございます。
 首都圏でのシェアにつきましては、JAありだを初めとした農業団体の方々が東京での販売に力を入れ、積極的に出荷されたこと、こういったことによりまして拡大したところと考えてございます。また、東京神田で実施したイベントや大手量販店でのフェア、こういったことも販売環境によい影響を与えたものと考えてございます。
 次に、普通温州ミカンの有望品種の開発についてでございます。
 県のオリジナル品種といたしましては、ゆら早生、田口早生がございます。現在、その産地化に力を注いでいるところでございます。また、これらに次ぐ年内出荷用の新品種の早急な開発、こういったものが必要と考えてございます。
 このため、果樹試験場におきまして、有田地方の生産者の方々とともに、浮き皮がなく高糖度な優良系統の育成に取り組んでございまして、これまで約三十の有望系統についてその特性調査を行うとともに、昨年でございますが、この中から選抜いたしました七つの系統につきまして現地適応性の調査、これを開始したところでございます。来年度以降も引き続き現地適応調査の拡充を図り、優良品種の開発を加速してまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、二点についての御質問にお答えいたします。
 まず、軽度発達障害児への相談体制についてお答えします。
 現在、県内の盲・聾・養護学校では、軽度発達障害児への教育相談を担当する部署を設け、小中学校へ専門性を有した教員を派遣するほか、直接保護者からの相談を受けるなど、支援を行っております。また、田辺市にある県教育センター学びの丘及び和歌山市のビッグ愛の中にある教育相談室においても、保護者や教員に対して相談業務を実施しております。
 さらに、来年度は盲・聾・養護学校における相談体制をより拡充し、小中高等学校及び福祉、医療等の関係機関との支援ネットワークを構築するなど、相談・支援体制のより一層の充実・整備を図ってまいります。
 次に、小中学校の耐震補強工事についてお答えします。
 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす場であるとともに、非常災害時の地域住民の避難所としての機能も有していることから、早期に耐震化を図るよう、市町村に対し強く指導を行ってきてまいりました。
 耐震補強に係る経費については、国の安全・安心な学校づくり交付金制度を活用することで、設置者である市町村の負担分が大幅に軽減されることになります。また、今回の国の補正予算では補助単価の増額等が見込めることから、私ども県教育委員会といたしましてはこれまで以上に耐震化を促進するよう働きかけを行ってまいりました結果、七つの市町村が事業の前倒しを実施したところであります。
 今後とも市町村に対し積極的に取り組むよう働きかけるとともに、国に対しても、より一層補助制度の拡充を強く要望してまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 三点要望させていただいて、そして一点再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、教育問題。軽度発達障害児の関係では、来年度、特別支援教育が始まるということで、これまでの特殊教育に比べて支援対象となる子供がうんとふえることになるわけです。現場で、学校内での支援体制の強化ですとか、地域における、今回質問で申し上げました相談や支援の網の目、これをしっかりとつくっていくことが大事だというふうに思っています。
 きょうは教育長にお尋ねをしたわけでありますけれども、福祉や医療の面でも、子ども・障害者相談センターなど福祉の体制や医療機関との連携も、これもしっかりと強化をされるように重ねて強く要望をしておきたいというふうに思います。
 それから二つ目に、ミカン対策については、状況や品種開発、販売強化と、それぞれ丁寧に御答弁をいただきました。知事からも、先頭に立って頑張るという決意も聞かせていただきました。
 ミカン対策では、この間、四国、九州各県が次々と新品種を開発、登録、そして県としての力の入れ方というのがやっぱり違ったわけですね。それに対して農家からは、「この十年、十五年、和歌山はどうやったんか」と、こういう厳しい生産者の声が出てるわけでありまして、県としても、この間、大分この姿勢が変わったというふうに思うんですね。そういう意味では、この二年ほどは、生産者、県ともに努力も始まって、天候の関係もありますけども、結果も数字として出始めているというときだと思います。だからこそ、ことし、条件がよかった。次の年──来年ですね──来年度のミカンは勝負どころになってくるというふうに思います。展望が持てる農業とミカン栽培に向けて、県内農家とともに歩んで一緒に一層の支援を求めておきたいというふうに思います。
 それから、三つ目には関電のデータ改ざん等の問題ですが、河川管理者である県として、これは簡単なことじゃないですよと、重大なことですよという認識をお示しいただいたと思います。「何で関電がこんなことすんのや」と。何でというのが県民も県当局も率直な疑問だと思うんですね。
 私、この問題、一つ一つを見れば、小さなこととか、単に技術的なこととかという、そういう問題じゃなくて、こういうことの積み重ねが事故であったり災害につながる可能性をはらんでるし、実際そういうことが起こってきたと今回指摘をさせていただきたいんです。関電に求めた報告の上に立って、しっかりと原因究明、そして再発防止に取り組んでいただきたいと思います。
 私は、有田川の流域の住民として、今回の問題、特別の思いで実は聞かせていただきました。御承知のように、有田川の岩倉発電所は、一昨年に県から関電に売却をされたばかりの発電所なんですね。あのときに、あれだけこの議場でも安全性、信頼性、大丈夫かということで大論議をしたそのやさき、口も乾かないときの出来事ですから、これはいいかげんなことでは済まされないというふうに思っているわけです。
 また、二川ダムからの発電用の取水用の水利権。これはダムと発電所を建設してから五十年間の長い水利権の設定があって、今度、二〇一〇年──あと三年後ですね──二〇一〇年に第一回目の更新時期を迎えます。今日的な災害対策や森林環境のもとで、発電と、それから洪水調節、このバランスをよく折り合いをつける大事な話し合いだというふうに思ってますから、その前提ともなる今回の問題、きっちりと取り組んで、その原因も今後の方向もあいまいにしないようにと要望をしておきたいというふうに思います。
 それから最後に、談合問題で知事に再質問をさせていただきます。
 私は、今回の質問で、制度改革の前提として全容解明が大事だと申し上げて、その大事な部分として親睦会や裏金問題、これは公私混同の問題ではなく、説明責任を果たすという姿勢にかかわる問題じゃないかという質問をさせていただきました。
 知事からの答弁は、いずれ司法によりというその答弁、そして説明責任については、私のことはその説明責任を持っているけれども、前知事個人のことはどうも気が進まないという答弁であったかと思うんですけども、しかし、このいわゆる裏金問題というのは、知事の受けとめ方や、どんな問題をはらんでいるかという想像の域の問題じゃなくて、談合事件でかすめ取った裏金が絡む問題なんですね。そうでなきゃ、検察は調べたりしません。だれが、どの業者やどの人物が裏金にかかわってきたのか、何にどう使っていたのか、お金を持っていた県自身が調べるべきだし、明らかにすべき説明責任があるという質問だったわけですね。
 例えてみるならば、今回の質問でも取り上げた関電のデータ改ざんもそうですが、三菱トラックのリコール問題、耐震偽装の事件、JR福知山の列車事故、パロマのガス湯沸かし器の問題、雪印や不二家の食品問題、テレビのあるあるの問題、こういった、数え上げれば切りがないですが、このすべてに共通するのが「済みません」、「これからもうやりません」と、これだけでは済まない問題なんですよ。
 なぜそういうことが起きたのか、これを、法に触れるかどうか、罪に問われるかどうか、そういう当局や警察の捜査だけに任さずにみずからの問題として検証し、ユーザーや国民に説明責任を果たしてこそ信頼を回復できるというふうに思うんですね。説明責任を果たさずにこの隠ぺい体質が続けば、会社も組織も終わりです。
 「行政は責任とらん」とよく批判をされるわけですが、行政は余計にこのことをしなければならないというふうに思うんですが、知事が、この親睦会やいわゆる裏金問題のことを、まあ前知事の個人のこと、小さなこととして、後ろ向きのことはしないという姿勢をとるとならば、県民はがっかりするどころか、その姿勢が疑われると思うんですね。県民の信頼を回復することはできないと思います。
 小さいことかどうかは、県民の前にその事実を明らかにして、その上で県民がどう受けとめるか、どう判断するかということだと私は思います。県政の再スタートのためには、知事自身が、この際、うみを出し切ろう、どんなことでも言って来てくれ、包み隠さず労をいとわず説明責任を果たすためにどんな苦労でもすると、そういう知事の姿勢が必要ではないでしょうか。
 再度お聞きいたします。県としての説明責任、どう考えているのか。この点を御答弁願います。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 再度御答弁を申し上げます。
 県の説明責任というお話がありましたけれども、私は、この問題の本質は、木村さんの説明責任だと思うんです。それで、木村さんに例えば聞きに行くとか、そういうようなことを期待しておられるとすると、それは検察庁の問題であるし、まあ県の問題ではないなというふうに思うんですね。
 それで、県庁のことは私はもちろんその管理責任があるわけですけれども、物事の本質が木村知事の公私混同であるとすれば、県庁の職員はその上司である木村さんの言い分に従わざるを得ないというのは、これは当然の人情だと思うんですよ。
 そういう意味で、私は、今いろんなことをやらなきゃいけない中で「気が進まないな」というふうに申し上げた次第なんであります。私は、県民の方がいろんなことを総合的に勘案してわかっていただけると思っております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁いただきました。県の責任と──木村前知事の責任という問題だというふうに考えると。そう言えば県民はわかってもらえるだろうという御答弁であったかと思うんですが、私はそうは思わないですね。ですから、今回の問題は、いわゆる裏金を県の職員が小間使いのように使われていたという、そのプライベートな問題じゃなくて、今回の官製談合事件や贈収賄の事件、こういう全体の事件の中で、還流している裏金の、これが入ってるかどうかということの問題だと思うんですよ。
 今回の検察の捜査というのは、ちゃんと令状を持って、官製談合の問題、それから贈収賄の問題、これ、ずうっと関係先を調べたわけですよね。その中で、この二つの件については立件をされました。起訴をされました。しかし、起訴までは及ばなかったところもたくさん捜査をしているわけですね。これは関係ないとこは行きません。ちゃんと関係をするだろうという疑いが持たれたからこそ捜査にも入り、県の職員も事情を聞かれ、そして県の職員も実際そういうお金を扱っていたわけですから。
 検察が起訴をして司法の場で明らかにされる部分は、もちろん、それは検察が責任持って司法の場で明らかにされるでしょう。しかし、この県の行政の中で行われてきたこと、この県庁の中で行われてきたこと、検察が調べただけで、まだまだ「あの先どうなったの。あの後、何が出てきたの。何もなかったの」ということで、県民がわからない部分はうんとたくさんあるわけですよね。この分は検察がやらないわけですから、県が責任を持って、今回の官製談合事件で県民に本当に迷惑かけたというところをやらなけりゃいけないというふうに思うんですね。
 ですから、そういった点はぜひ、知事がこれから県行政の中で、そしてまた調達委員会の中できっちりと調べるように、再度強く要望しておきたいというふうに思います。
 以上です。
○副議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 議長のお許しを得ましたので、市町村合併について質問をいたします。
 昨年は、和歌山県政史上、最悪の年でした。「談合三兄弟」とやゆされ、全国に向けての報道となり、県政に対して県民の方々の大きな失望と不信を招いてしまいました。青少年や子供たちは、どんなふうに大人たちのことを見ているのでしょうか。
 談合とそれにまつわる金を大きく問題視されていますが、大事なことは、今回不祥事から得たそれぞれの教訓を風化させてはならないことです。県民に軸足を置いた県政を回復してこそ、県民の支持を得ることができ、地方自治体が成り立つと考えます。
 幸い、有能な知事さんのもと、新たなスタートを切りました。もちろん、談合防止策だけを念頭に改革を進めているとは思いませんが、これらの不祥事を思うとき、私は、当事者でなくても周りの者がそれぞれの本分を果たしていける環境づくりに改革の柱を据えていただきたいと考えます。知事の本分、副知事、部長また職員の本分、さらには議員や各種委員会の委員の本分等々であります。
 とりわけ、私たち議会と行政側の緊張感が薄れていることも事実であります。事が起こると、当事者だけがトカゲのしっぽ切りで終わってしまいますが、私自身、これを機に本分をわきまえ、県民に対し責任を果たすことを真摯に受けとめたいと考えます。
 議会と行政が本来掲げ持っている役割とその意識づけを痛感し、暴挙を許した我々議会の責任や機能を十二分に果たしていないことへの反省は、本当に大事なことです。昨今とみに言われている格差社会よりも、むしろ、このようなことで生まれる不信社会の方がより深刻であります。本県では、二度とこのような大きなダメージにつながらない、正義と透明性の高い土壌を形成しなければなりません。
 さて、御存じのように、今、地方は大きく疲弊しております。市街中心部の空洞化、いわゆるシャッター通りに代表される雇用面や環境面、また教育や福祉に及んでいます。一次合併した市町村の現状と二次合併に備えている市町村の行く末を案じますと、今さらながら事の深刻さに気を重くいたしております。
 翻って、トヨタ自動車の純利益が、昨年には九カ月で一兆円の達成と報道されました。大企業の収益はバブル期以上であり、我が国経済のグローバル化による景気は長期化の様相にあります。恩恵のある関東圏や中部圏等と本県のような地方との二極化が著しく、まるでよその国の出来事のようであります。
 中小企業も若干設備投資の上向きもあると言われていますが、本格的には至っておりませんし、また、大企業の好調ぶりをよそに、大多数の個人所得者には反映せず、国内消費に勢いはありません。年金制度の破綻問題、少子高齢化社会の到来、団塊の世代の大量退職への課題、環境問題や防災等々、いろいろなマイナス要因が絡み合う、何と課題の多い現代社会でありましょうか。何より、本県の主産業である農林業も極度に勢いが衰えてきました。
 こうした中で、本県の市町村の二次合併に向けて事務レベル協議が始まっていると思いますが、百年の大計を誤らないためにも、地方においては市町村合併と道州制の是非を最重要事項として徹底した議論が必要であります。
 新合併特例法に基づく県の二次合併構想は、二十三市町村を六に再編成することを示しており、一次合併を経て、最終的には五十から十三の市町村を目指したものであります。県の影響力は非常に大きく、今後の決定を左右すると思われますが、合併推進のあり方と地方自治の本質をどこまでとらえているのかが重要となり、二次合併の考え方と県主導の有無並びに基本姿勢等を当局に質問したいと考えます。
 前知事のもと、一次合併では五十から三十市町村の再編をなした県の役割は大きかったと思います。この二次合併においても、新知事の地方分権と地方自治に対する考え方が示される大切な局面と考えるため、新知事の所信をまずお聞かせ願いたいと考えます。
 私は、平成十四年二月の議会で、大きな合併より小さな合併を取り上げました。南部町と南部川村の小規模合併がモデルとなります。地理的条件に加えて、地場産業の共通点、そして心が一になるという点で理想的でありました。
 しかし、これらの点を全く無視した合併も本県では散見されます。特に、やたらと大きさのみを求めた地域がありました。一次合併を前にして、県の示した案を丸のみし、推進派の当時の首長たちが異口同音にスケールメリットを声高に唱えていたことが鮮明な記憶としてよみがえってまいります。
 今、この大規模合併をなし遂げたそれぞれの住民の方々はどのような思いでいるのか、御存じでしょうか。悔しい思いでいるのか、よかったのか。また、当該自治体の職員の思いはいかばかりでありましょうか。私の把握の範囲では、住民の方々に結論だけが説明され、思案する間がなかった、また、その道のプロである市町村職員の意見が反映されなかった、首長と県の考えが最優先した形等がよく耳にするところであります。
 ここで、私は、県の関与、助言が大きく影響したことも一因であると申し上げておきます。県は、当時、もっと大きな合併構想を市町村に示唆していました。例えば、県は一次合併構想で田辺市を中心とした十カ市町村を平然と示したときには、私は唖然としました。広域合併の行き着くところは一極集中であります。すなわち、山間に点在する集落を一定規模の中心地に一気に集約することを誘発しがちであるからです。
 僻地集落が淘汰された後、山林の保全や河川の保護といったとうとい自然の世話などを一体だれがするのか、不安でもあります。広域合併というものはそのような副作用を有するものである、この点について触れなければ、県はみずからの指導に対して説明責任を果たしたことにはなりません。また、功罪どちらであっても、県の指導により導かれた結果であると言っても過言ではありません。
 いずれにいたしましても、ここで一次合併の検証をしなくてはなりません。予定どおり国の手厚い財政等の優遇措置がなされているのか、その後、危機的財政状況に陥っていないのかどうか、また、小規模でできなかった行政サービスやインフラ整備等の進捗、これらが大規模で有利に働き、住民にプラスになったのかどうか、検証すべきであります。長期視点でなくては判断できないというならば、早々と大規模合併を県が率先して推進したことは適当な想定の範囲でしか判断していなかったからであります。
 先般、報道番組で、夕張市や全国の自治体の状況が放映されました。ちなみに、信憑性のほどは別として、その指数とは、実質公債費比率、経常収支比率、投資的経費比率等、幾つかの指標の総合ポイントをワースト順に紹介したものであります。北海道や、本県も含む近畿圏の自治体が多く見られましたのには驚きました。
 また、「日経新聞」では、経常収支比率のワースト五に本県のA市が記載されていました。法人税収の伸びない本県の事情をまさに反映しています。
 詳しく調べてみますと、まだまだ目を覆いたくなるかもしれません。全国の市町村で十八年度普通交付税不交付団体は百六十九団体で、一番多いのは愛知県で、三十六団体もあります。うらやましい限りであります。ちなみに、本県はゼロであります。夕張市の状況も対岸の火事ではありません。
 昨年秋に、地方財政審議会から「地方財政の健全化の推進に関する意見」のレポートが出されました。重要な二点について申しますと、一つに、地方財政健全化の成果は地域住民に還元することを基本とし、取り組みとして、地方の財政情報の公開など徹底した行政改革を行うと述べています。また、健全化が緊急課題として、一つに、地方が自立できる仕組みを整える、二つ目、地方が潜在力を自由に発揮するとあります。今後、総務省と都道府県の連携により、これらの施策を市町村指導をする上でどう生かしていくのか、地方分権との整合をどう図っていくのか、補助金を減らした税源移譲が十九年度に反映されるが今後何が変わっていくのかを十分論考していくべきであります。
 ここで、今回の質問に関連して、私が議員生活二期八年間において議会で申し上げた町づくりに関する提案事項を当局がいかに取り上げてくれたのか、はたまた聞き流しただけなのかと思いをはせながら、その後の検証の意味を込めて申し上げます。
 一貫して述べてきたことは、美しいふるさと再生、きれいな町づくり、そして農林業を守り育てることを中心に据えたことです。地場産業の振興、地産地消、これらをベースとした息の長い、しかし実現可能な、訪れたい町づくりがテーマであります。空き地の芝生化運動、また国道や県道の広告類、特に旗等の規制や沿道の花いっぱい運動等であります。さらにその先には、人々をいやし、引きつけてやまない町づくりと観光を目指すべきことを強調しました。何もかも世界遺産絡みでなくてもいいのであります。農業にしても付加価値を強調しました。二十一世紀のテーマと言われています水を資源として、循環型社会にあって小規模農業が成長産業になり得るのです。
 そうした中で市町村合併を論ずるべきであって、決して効率本位やスケールメリット等と他力本願的な生き方を根拠に県の姿勢を見せないでほしいからであります。川の流れに、里山に、平野に、海辺に、それぞれに人々が手を取り合って暮らせる、心を一にできる範囲を基本とした合併であってほしい、そう考えます。
 行政サービスの低下や人員効率を得るための推進は徒労であり、同じ水源、下流域に暮らす範囲の合併が限度と考えます。また、産業形態や目的が共通していること、文化に差異がない等、このように人間が将来生きていくためのよりよい効率を模索せずして、本来、合併協議はあり得ないのではないでしょうか。農業も林業も漁業も商業もといった百貨店では立ち行かない。流域が上流と下流に分離するような合併にも、相当無理が生じます。
 ジャーナリストの内橋克人によれば、「生きる、働く、暮らすが新たな農的価値を生み、それを統合した存在として人間はある」と述べています。和歌山県では、このように働き、このように暮らし、このように生きるという将来予測のある行政シナリオがこれからの役所に求められるのではないでしょうか。「グローバルスタンダード」の呪文ばかりでなく、人間が暮らすふるさとを基軸として、二十一世紀に再び見直されるであろう農的価値のある産業復活を県政挙げて取り組んでほしい、きれいなふるさとづくりが、やがて多くの方々が紀州に訪れ、やがて安定した観光資源となるような遠大な計画が実現するグループ分けが合併の根幹となるような発想であってほしいと考えます。
 そこで、推進に向けて指導、助言の立場にある当局にお聞きします。
 一つ目、一次合併の後の検証はどうあったのか。特に、財務状況変化等、予期せぬ事態も含め、どのように把握しているのか。また、その分析を第二次合併に生かせられるのかどうか。
 二つ目、合併を控えた市町村の財務状況等、県民が十分理解できる内容説明が不可欠であり、開示の必要性は重要と考えるが、どのような助言をしているのか。
 理念や将来構想がしっかりしたものなのか。国の数字合わせに終始していないのか。
 四つ目、住民の声を最大限反映するシステムとして合併協議会をリードしているのか。
 以上、新知事から総合的見地からの所信と、当局から四項目について伺います。
 これで、第一回目の質問といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 市町村合併について、総合的見地からの新知事の所信についてというお話でございました。
 市町村合併は地域の将来を大きく左右するような重要な事柄でありまして、基本的には地域において自主的に判断されるものであると考えております。それには住民の人々の気持ちといったものも大事であろうと思います。
 一方、少子高齢化、人口減少社会の進展あるいは厳しい財政状況など、地方を取り巻く現状は大変厳しい中におきまして地方分権改革を推進し、自立した個性豊かで元気な地域づくりのためには、合併の効果等から成る行財政基盤の強化もまた一つの有効策となることも事実であると思います。
 そこで、地域の現状や抱える課題、あるいは文化や産業、議員から御指摘のありました地理的、歴史的なつながりを伴う共通の基盤、そういったものを十分踏まえまして、また一次合併の経緯、経験を重く受けとめ、地域の将来像や行政のあるべき姿について、合併も含め、住民の方々も交えたしっかりとした議論を行うことが一番今必要だと考えております。
 県もその議論には積極的に参加をいたしまして、地域の方々と一緒になって取り組んで、またできるだけの支援を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 市町村合併に関連して、四点のお尋ねがございました。
 まず一点目の一次合併の検証についてでございますが、合併直後は、市町村建設計画に基づく新しい町づくりのための事業の積極的な実施等により臨時的に歳出が多くなる面もありますが、一方では、コミュニティーバスの導入等の行政サービスの向上、地域ブランドの発信や地域資源の売り出しなど、既に合併効果があらわれている団体もあり、また、人件費縮減を中心とした財政効果についても中長期的に今後徐々にあらわれてくるものと考えております。
 次に、二点目の合併協議に当たっての関係市町村の財政状況等の開示などについてのお尋ねですが、積極的な情報開示は合併論議において広く住民の意見を反映させるための前提となるものであり、不可欠であると考えております。
 三点目の二次合併構想の考え方についてですが、合併構想は、その組み合わせの策定に当たり、議員御指摘にもございました地域の地理的、文化的つながり、一次合併における経緯、広域行政の実施状況等を考慮し、あくまで新しい法律のもとで合併を目指すための議論のきっかけとなるように各地域に一通りの組み合わせを提示したものであります。
 最後に、県のリーダーシップに関するお尋ねがございました。
 合併につきましては、知事から御答弁申し上げたとおり、まず地域において活発な議論が展開されることが大事でありますので、広く住民への情報開示が図られ、住民の間で開かれた議論、論議が行われるよう、また一次合併の効果が新たな合併や元気な地域づくりに生かせるよう、県としても情報提供を初め適切な助言を積極的に行ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 知事並びに副知事に答弁をいただきました。
 私は、合併に反対しているのではないのであります。できる限り小さな合併でも、行財政基盤の強化を図るに十分であると言っているのであります。大きな合併は地方自治の自立を促し、個性豊かで元気な地域づくりとは、一体現実をどう見ているのか。過疎を一気に進める副作用はあっても当然と言っているんか。また、行財政改革だけで心の通わない合併、また心の触れ合い、机の上だけで──生きた人間の心の通った合併であってほしい。
 そういう中で、先ほども副知事から、人件費の縮減を中心とした財政効果についても中長期的に今後徐々にあらわれてくるものと言っているが、一体何を考えているのか、理解に苦しみます。職員のやる気をそいだり、住民サービスの低下を招くだけではないのか。もっと大きな視点から合併を考えるべきではないのか。国の考え方そのままの発想で発言するのは、和歌山県人にとって大変不愉快である。住民に受けるつもりであろうが、県内の景気が悪くなり、合併効果をだれも気づかずに終わるだけと考える。
 和歌山県のふるさとを孫子の代まで守り育てていく姿勢が感じられないので、これで質問は終了しますが、最後に、知事並びに副知事の官僚的な答弁には大変失望し、今まで経験したことのないショックを受けたことを伝えて、終わります。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で坂本登君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十二分散会

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