平成19年1月 和歌山県議会臨時会会議録 第2号(玉置公良議員の緊急質問)


県議会の活動

 次に、玉置公良君の質問を許可いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。
 まず、新生わかやま県議団を代表いたしまして、知事の御就任のお祝いを申し上げたいと思います。本当におめでとうございます。
 そしてもう一つ、昨年の年末に白浜でパンダの双子が生まれるという明るいニュースが届きました。ことしは和歌山県が、県民にとって明るく、そして展望の持てる、そういった年になることを心から願うものであります。
 私ども新生わかやま県議団は、県議定数の削減や新税を県民に求める紀の国森づくり税の反対など、県民の声を重視しながら積極的な政策提言を行うとともに、県政の不正を見抜き徹底追及をするなど、県政改革の取り組みをしてきました。新しく就任された仁坂知事に対しては、是々非々の立場で取り組んでいくことをまず明らかにしておきたいと思います。
 さて、知事、大変でしょうが、官製談合汚職という県政史上前代未聞の不祥事を県政刷新のチャンスと受けとめて真の改革を推進し、県民の信頼を回復していくことを、知事を初め私ども議員もお互いに決意をしたいと思います。
 前宮城県知事は昨年の十一月六日付の「朝日新聞」に、今回の官製談合防止への究極の処方せんは「談合はれっきとした犯罪である。納税者が被害者である。談合を断固排除するという強い意志と方法論が発注者であるトップと役所側になければならない」、「トップはまず、入札契約制度の策定に指導力を発揮しなければならない。そして、側近や役所の職員に対して、談合にかかわることを絶対に許さないという命令を明示的に発することが必要である。その姿勢を取り巻きや側近にも理解をさせ、そのように行動させる義務がある」、このように述べています。今回の事件の原因を踏まえて、官製談合防止への知事の決意をまずお伺いしたいと思います。
 続いて、一月十四日に知事肝いりの官製談合防止策を検討するという公共調達検討委員会が発足し、知事があいさつで、「前知事逮捕という不祥事の根っこは官製談合問題。二度と発生しないシステムをつくるため、精力的に御検討いただきたい」と述べられたと報道されていますので大変期待するところですが、その主たる目的は何なのか、お伺いをしたいと思います。
 続いて、国の談合防止関係諸法に基づく県のこれまでの体制整備についてお伺いをします。
 皆さん方に配付をしております、まず資料その一を見てください。これです。(資料を示す)国が行ってきた公共工事の入札・契約制度の改革を見ると、明治二十二年に会計法の制度が行われ、そのときに一般競争入札を原則としてスタートし、現在に至っています。政から官へのあっせん、官から業への働きかけ、業から政へのあっせん依頼の構図による談合は、過去においても社会をにぎわせているところであります。その後、新たに発注者の行為を規制する法律として、平成十二年に入札契約適正化法、平成十四年に官製談合防止法、平成十七年に公共事業の品確法が制定をされています。本県は、発注者側より引き起こされた官製談合でありますが、この三つの法律の体制整備は整っていたのでしょうか。国の談合防止関係諸法に基づく県のこれまでの体制整備について、お伺いをしたいと思います。
 続いて、今後の具体的な官製談合防止への体制整備についてお伺いをします。
 資料のその二を見てください。公共建造物と一般の商品との違いが示されています。一般の商品の最終目的は企業の利潤追求であり、公共建造物の最終目的は公共の福祉の増進であり、税金の有効活用です。そして、その目的はそれぞれ違い、一般の商品はマーケットによる評価を反映し、企業の利潤につながっていきます。片や公共建造物は税金を投入して行われるので、県民による評価を公共建造物の調達に反映し、最終目的の公共の福祉の増進を満たすことになります。このように、国の法律や体制整備についてのマニュアルなどは既にできているのであります。
 国の政策も変わってきました。公共建造物は中央から地方へ、官から民へと言われています。さらに、それに合わせて規制も緩和をされてきました。例えば、全国一律のルールから地域の実情に合わせて決定されるローカルルールが認められてきました。これは、地方でできることは地方で行い、民間でできることは民間で行うという意味であります。したがって、これからの公共建造物は何のために、だれのために整備するかに重点を置き、何度も見直してよりよい公共建造物をつくることは異論のないところであると思いますが、今回は、すべての権限が知事に集まっていることを悪用し、私物化し、それをチェックできなかった職員、また議会の姿を露呈したものと思います。あとは県としての体制整備が必要なのであります。つまり、公共工事は、政策決定から工事完了、評価まで、その事業の透明性を打ち出して広く県民の皆さんに知らしめるシステムを構築することが大変重要なポイントになると思います。
 例えば、新聞報道では、今回の官製談合汚職の原点と言われていますIT総合センター(Big・U)を例に挙げますと、政策決定、基本設計、実施設計、施工者の決定、工事中の地盤沈下の追加予算の決定における透明性、公平性、競争性の確保が大変重要なポイントになるのですが、基本設計から工事監理まで一社で行ったことが官製談合の温床になったのではないかと私は思います。
 具体的に説明をしたいと思います。
 まず、政策決定であります。この政策決定のとき、発注者が選定をした委員のみならず、働きかけた地域住民の参加や公共建造物の構築に要する建設コストの総事業費に占める割合が適切かどうか、複数以上の第三者による評価を受けること。平たく言えば、お金のわかる人で建築コストやライフサイクルコスト、環境コスト、将来の採算ベースのわかる人、また完成予想図を書ける人、条件を羅列できる人などが必要だと思います。さらに、インターネットにて情報公開などをすることが重要だと言われています。既に一部、国では行われています。
 続いて、設計者の選定であります。設計者の選定に当たっては、政策決定の反映をする基本構想業務業者と設計者及び監理者の分離発注を提案したいと思います。基本構想業務業者は、この事業には参加できないようにします。そして、その設計を行った設計者は監理業務に参加できないようなシステムを図るべきであると思います。基本設計では、選定委員が今回は県関係者という身内でありましたが、外部から一般公募をした人や専門家を入れること、政策決定をした条件がきちんと入れられているのかどうかなどをチェックし、議論をした経過を県民にオープンにすること、つまり、だれにも見えるようにすることが必要だと思います。
 続いて、実施設計があり、工事の入札があり、施工業者決定後、工事が始まります。IT総合センターでは地盤沈下が起こり、平成十五年九月議会で、予測できなかったということで四億三千万円もの補正予算が提案をされ、大きな問題となりました。私ども新生わかやま県議団の五人は一貫して、県だけでなく設計者に責任がある、一社だけの調査でなく、再度外部の専門家を入れ調査をすべきだと反対を貫いたただ一つの会派でありましたが、ほかの議員はすべて賛成をしたため、疑惑を晴らすことができませんでした。その調査を、一社だけでなく、耐震擬装の教訓のように複数の業者がペアチェックをするべきであったと思います。これを調べてみますと、一社だけがこのチェックをしたということの報告を受けております。そのことによって、だれの責任なのか、その工法がよいのか、金額が妥当なのかがよりはっきりし、今回の談合汚職の原点と言われるところにメスが入っていたと悔やまれます。つまり、各段階での政策決定、各設計・入札・工事の透明性、公平性、競争性を堅持し、第三者による評価を受け、公共工事の調達にフィードバックをし、最終目的の公共の福祉の増進を図るべきであり、税金の有効活用につながっていくと思います。
 今申し上げたことについて、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
 もう一つ、国土交通省の一部が実施をしています品確法に基づく発注者支援技術者の和歌山県バージョンを提案いたします。ひいては民間技術者の活用による事業の妥当性につながることであります。いかがでしょうか、お伺いします。
 さらに、技術評価方式の導入に当たり、いわゆる公共工事の品確法が決定をされるときに衆参両院から附帯決議が出されているように、評価技術提案にふなれな県内地元の中小建設業者の育成の弊害にならないよう考慮していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 続きまして、知事の県政にかける基本姿勢についてお伺いをいたします。
 まず、知事の考える和歌山県政の進路についてであります。
 私は、七年前の平成十二年十二月議会で二十一世紀の和歌山県政の進路についての考え方を述べておりますが、その一部を申し上げさせていただきます。「二十一世紀は、積極的に和歌山県のよさを全国にPRし、県民一人一人が知恵を出し合って、自分たちに必要な経費をみずから生み出すことを求められている時代だと思います。国に依存することが難しい今日の状況では、知事みずからが県民の先頭に立って知恵を出し、豊かな想像力を駆使して、和歌山県内に蓄積されている資源や人材、生き抜くノウハウを持ち、レベルアップをすることが必要ではないでしょうか。それは、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて、和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる。それが二十一世紀の和歌山県の県政の進路であると私は思います。 本県は、幸いに世界遺産に指定されるほどの豊かな自然に恵まれています。環境時代の二十一世紀──世界の人々が地球人として強く求めているのは地球自身が太古に創造した大自然のたたずまいであり、これが地球を救うのであります。我が県は幸いにしてこの立地条件を持っており、最大限に生かしながら県民一人一人の知恵と創造、工夫を凝らし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことであります」と申し上げました。その一つが、県民が一丸になって努力をした、三年前に実現しました世界遺産登録であります。既に、登録後、観光客の大幅な増加を含め、いろんなところに効果が出ています。
 世界遺産は私たちに、小さな和歌山、日本という中で物事を考えるのではなくて、世界規模の視野で物事を見るということを教えてくれました。世界遺産がいかに地球にとって貴重なものであるかということを学んできました。そして、私たちが住んでいるかけがえのない地球を守るための地球温暖化防止や環境問題に取り組むことによって新しい和歌山のビジネスや雇用が生まれてきていますし、さらに県民と一緒になってつくり出していくことが求められていると思いますが、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 最後に、知事の政治姿勢について、引き継ぐもの、改めるもの、新しい考えについてお伺いします。
 前知事の政治倫理の欠如は、決して許されるものではありません。ただし、政策としては、例えば自然豊かな和歌山県にあって環境重視をした県政の推進であるとか、県の基幹産業である農林水産業の振興であるとか、和歌山の魅力を引き上げる政策も多いのであります。言うまでもなく県政に停滞は許されず、県民が安心して暮らしていくためには行政の継続性は大事であります。こうした政策を仁坂知事はいかに継承していくのでしょうか。
 しかし、継承だけでは発展はありません。仁坂知事は経済産業省に長くおられ、世界の中の日本、和歌山を体感してこられたはずです。こうした経験を踏まえ、地方自治という初めての世界で、失礼な言い方かもしれませんが、初めてゆえの思い切った施策を打ち出せると県民は期待をしていると思います。この期待に十分こたえていただきたいと思います。
 初めてと言えば、知事は今回初めて政治家になられましたが、これまでのいわゆる事務方の視点とは異なる政治家としての視点を問われる立場になられたと思います。さきの選挙で得票された票の重み以上に、すべての県民に責任を持つ非常に重い立場になられました。前知事は地方行政のプロであったかもしれませんが、この政治家としての志が欠如していたのだろうと思います。仁坂知事には、ぜひ政治家としての高い志のもと、和歌山県政を進めていっていただきたいと思います。このために、経済重視ばかりではなく、すべての県民が和歌山に生まれ、暮らしてよかったと思う政治家としての思いやりのある県政を実現してもらいたいと考えます。
 そこで、和歌山県政のたゆまない継続、発展に向けて、高い志のもと、県政を引き継ぐ、改める、新しい考えを入れるという点から、知事の県政の基本姿勢を、政治家としての生の声でお聞かせ願いたいと思います。
 以上、知事の見解をお伺いし、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの玉置議員の御質問に対して、和歌山県を代表いたしまして答弁をさせていただきます。
 まず第一に、談合防止にかける決意及び公共調達検討委員会の主たる目的でありますけれども、昨年の県発注工事をめぐる談合事件は、知事及び出納長の逮捕、起訴という県政史上前代未聞の不祥事に至りました。このような事態は深刻に受けとめまして、このような事態が二度と起こらないように最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭したいと考えております。これが決意でございます。
 もとより、先ほども申し上げましたように、自分はあのような事件に巻き込まれるということはないという自信はありますが、これを個人の問題で終始することなく、システムの問題として対処することが必要と考えまして、議員御指摘のように公共調達検討委員会を設置して県の入札制度の徹底検証を進め、談合の再発を防止するとともに最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただき、それを実施するという覚悟でございます。
 浅野前知事のお話あるいはお言葉が引用されました。まさに意志と方法論が大事だと。意志については申し上げましたとおりで、選挙のときからずっと申し上げております。大事なのは方法論であります。方法論のうちの検討の体制はできました。あとは、この検討の結果をどういう形でつくっていくかというのが一番大事な方法論そのものに当たると思います。私は、意志だけでは解決できないとずっと申し上げてきました。方法論でシステムをきちんとつくるというのが一番大事。そういう意味で、その検討に着手したということで、多分、浅野前知事からお褒めいただけるんじゃないかと思っております。
 私といたしましては、どういうようなシステムをつくりたいかということについては、これまた先ほど尾崎議員の御質問にお答え申し上げましたとおり、四つの観点から最も望ましい制度をつくってもらいたい、こういうふうに思っております。四つというのは、効率性の向上、公共工事の質の確保、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保、それから和歌山県の建設業界の健全な発展ということであります。委員会の結論が出ましたら直ちにそれを公表いたしまして、皆さんの御意見を聞きながら実施してまいりたいと思っております。
 第二に、国の談合防止関係諸法について玉置議員からお話がございまして、これについて県はどういう取り組みをしているかということと、それについての現在の見解を申し上げたいと思います。
 談合防止関係諸法に基づく県の取り組みについては、御指摘のように、平成十二年に公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律が成立しまして、これに基づきまして平成十三年三月に、これは国全体でございますけれども、同法に基づきます適正化指針が策定されております。この法律、指針では、大きく目標として、透明性の確保、公正な競争の促進、適正な施工の確保、不正行為の排除の四つの基本原則が明示されております。これに従いまして、この法律に基づき、県でも入札監視委員会の設置でありますとか入札に係る資格や入札の経過等の公表、そして入札契約の方法の改善としての一般競争の導入──かなり進んでいますが──などに積極的に取り組んできたところであります。
 次に、公共工事の品質確保の促進に関する法律についての言及がございました。通称「品確法」と申します。これは平成十七年四月に施行されております。これの私の理解は、単純な価格競争から価格と品質で総合的にすぐれた調達をしようという思想への転換であったというふうに思っております。具体的には、一番端的に申し上げますと、総合評価方式というのが望ましいという思想ではないかというふうに思います。
 県では、本年度から、これに基づきまして総合評価方式の試行導入を既にいたしております。そのための外部評価委員会も設置いたしまして、品質確保、それから効率的、効果的な調達、そういうことのための具体的な作業に取り組んでおります。さらに、県といたしましては、今後ともこの方式の拡充というのをやっていきたいというふうに思っております。
 また、平成十五年一月には、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律、通称「官製談合防止法」が施行されました。公正取引委員会は、従来から、通称「独禁法」に基づく当該入札談合を行った業者に対する処分が可能である──これは当たり前でありますが──この法律により、公正取引委員会が発注機関側に対しても法的な措置を講じるということが可能となったものであります。県では各発注機関の担当者あるいは各市町村の担当者を対象に研修会を開催し、同法の周知徹底を図っているところであります。
 さらに、多分今回の一連の不祥事を受けてでありましょうが、平成十八年十二月に、この発注機関側の関与行為の範囲の拡大、それから罰則規定の整備などの強化改正が行われたところであります。
 玉置議員から、体制は整っていたのかというお話がありました。そういう意味では、法律の規定に基づく体制はきちんと整っていたというふうに申し上げざるを得ないと思います。しかし、事件は起こったわけであります。したがって、県としては、法律の枠組み、それから枠組みに基づくいろんな努力の上に立って、さらに公共調達検討委員会でこういうものを全部検討してもらって、それで効率な、かつ効果的な制度、和歌山県にとって最も望ましい制度をつくっていくような努力をこれからしていくということであります。
 私は、新聞記者に聞かれました。これの委員の発表のときに聞かれました。「どういう人を選んだんですか」と聞かれました。「よく短期でこんなのを選べましたね」と言われましたが、必死で選びました。三つ言いました。一つは、日本一の知識水準の人たちを選びました。二つ目は、志が高くて、和歌山県のためにぜひ一番いい制度をつくってやろうということを考えてくださる人を選びました。三番目に、現実的に物を考える能力のある人を選びました。そういうことを申し上げました。そういう要素を入れて、こういう方々の意見を踏まえ、いい制度をつくっていきたいと思っております。
 それから、先ほど玉置議員からいろんな方法についての御提言がございました。例えば、設計と施工を分ける。あるいは、工事のチェック、あるいは施工のチェック、あるいは設計のチェックにさらに外部の人を雇って、それでそれをやらせる。そういうような話が幾つかございました。それについては、すべていろんな長所のある制度だと思っております。玉置議員のお話のとおりだと思います。
 ただ、私はいつも申し上げておりますが、いろんな名案には同時にいろんな副作用がある。例えば、たくさん手続を分ければ分けるほど、実は手続リスクというのが発生します。それは、一つには手続に関してたくさんの費用がかかる。つまり、実際の公共インフラができるよりも手続をするためにお金が要るということも、また一つ否定できない事実かと思います。それから、分けてもその制度が不十分であれば、例えば設計だけでも怪しげなことが起こるということも、また他県の例で警察が明らかにしているところであります。したがって、こういうことを全部範囲の中に、頭の中に入れながら、最も効率的で効果的な制度は何であるかということを検討していって実行していくというのが私の使命だと思っております。
 それから、総合評価方式についての具体的な運用の方法、これについて御説明がありました。これは、私どもは、透明性、公平性、競争性を確保するために、公共事業再評価委員会あるいは総合評価審査委員会など、既に第三者による外部評価の実施、あるいは各年度の発注見通し、入札契約の過程と契約内容に関する情報公開などに積極的に取り組んでいるところでありまして、今後とも第三者による評価も含め、県民に開かれた公共事業の実施体制の構築に努めてまいりたいと思っております。
 それから、お話のありました公共工事発注者支援業務技術者認定制度につきまして、これも先ほど申し上げました一般論の批判が一方ではあります。例えば福島県で、これがよかったのかどうかというような議論が随分熱心になされています。これにつきましては、国土交通省近畿地方整備局や、あるいは本県を含めた府県市で構成する近畿地方公共工事品質確保推進会議というところで現在検討しております。そのあり方について検討しておりまして、その検討結果を少し見守りたいというふうに私どもは考えております。
 また、中小企業者が総合評価方式にきちんと参加できるかというお話がありました。
 御承知のように、総合評価落札方式につきましては、高度技術提案型と、それから標準型、それから簡易型、いろんなタイプがあります。特に我が県の実情に即しまして、私どもとしては、中小建設業者を対象にして簡易型──これは必ずしも提案を伴いませんが──そういうものにつきましても適用を大いにしていって、それで中小企業者もちゃんと総合評価方式の中で活躍できるんだということをやっていきたいと思っております。
 今回の議員の御提言の内容あるいは公共調達検討委員会でこれから検討される内容、それらをすべて取り込み、かつ既にございます関係諸法の趣旨にのっとった具体的な政策を今後適用してまいりたいと思っております。
 それから、目指す県政の進路はいかん、あるいは基本方針はいかんということでございます。
 私は県内を回って、県民の方々はあのような事件で元気をなくしてしまったのではないか、また私が過ごした三十数年前と比べて和歌山が経済的な発展から取り残されているのではないかというふうに感じました。この二つを解決し、和歌山を元気にする方法として、職づくり、人づくり、地域づくり、あるいは談合をなくし清潔で透明な県政の実現、あるいは安心・安全の確保、和歌山の美しさを生かした観光の振興、楽しい和歌山の実現といった五つの目標を掲げました。私がこれまで培ってきた知識、経験あるいは人脈などを総動員し、かつ人の意見を大いに聞きながら、和歌山を元気にするために全力を尽くしてまいりたいと思います。
 和歌山は、先ほど申し上げましたように、たくさんの潜在的可能性があると思います。私どもの努力、皆さんの御協力、そういうのが相まって潜在的な可能性に火がつけば、和歌山は決してこれ以上後退することはないというふうに心の中では確信しております。こういう種を伸ばしていくために、議員御提言のように、グローバルな視野に立って県民と一緒になってやっていきたいと思っております。
 環境問題については、私は思いがございます。環境は守らなければいけない、あるいは環境とそのほかの政策課題というのは両立するもんだと、両立できるもんだというふうに思っております。例えば、環境を守ることが観光の振興になるという要素は大変大きいというのは、皆さん、よく実感でわかっておられることだと思います。一方、環境問題と言って口に出せばそれが実現できるものではないし、環境問題といってもだんだん複雑になってきております。例えば地球環境問題を、どうやってこの地球全体を守るかということは、小さい正義感だけで解決できるものではありません。したがって、現実的な観点に立って、環境問題を常に考えながら政策を進めていかなければいけないと思っております。
 政治姿勢でございます。
 議員御指摘のように、これまで実施されてきた施策につきましては、本県の発展に大変有効なものもあると私は思っております。ましてや、県庁として、あるいは県議会で認められた堂々とした政策として実現されているものについては、私がたまたま──たまたまと言ったらおかしいですが、私が新たに知事になったからといって、全部一からやり直しだということを申し上げるのは、これは間違っていると思っております。組織として行っているものについては組織として尊重する、それで徹底的に検証して、もしそれが欠けているところがあれば足すし、改めるものは改め、それについては説明をちゃんとするというのが正しい方法ではないかというふうに思っております。したがって、そういう方法によって政策の充実を図ってまいりたいと思っております。
 それから、政治家としての姿勢についてお話がありました。
 私は、政治家として、あるいは県知事として、あるいは県庁を率いるリーダーとして、これまで申し上げましたように、和歌山を元気にするために誠心誠意頑張っていきたいと思っております。ただ、先ほど、今回は政治家になったがこれまでは事務方であったというお話がありました。私は、事務方が志を持たないでどうするということも申し上げたいと思います。県庁の職員は四千人おります。この四千人が高い志を持って、県民を幸せにするために頑張るということが、和歌山県のために一番役に立つわけであります。したがって、これまでと同じように高い志を持って、和歌山県のために、和歌山県の幸せのために、県民の幸せのために県庁一丸となって頑張っていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 今の高い志については後ほど触れさしていただきますけども、まず官製談合汚職防止については、具体的に説明いただきました。特に今回の私の提言のことも検討していただくという積極的な答弁をいただきましたので、先ほど知事が、申し上げた、前浅野知事がびっくりするような、そういう全国一のすばらしい制度をぜひともつくっていただきたいと思います。
 それと、知事の基本姿勢でありますけども、実は私、環境問題について少しきょうは提案をいたしました。きのうの所信表明では、そういった和歌山県にとって大変重要な地球温暖化防止とか環境政策とか、それに伴う環境ビジネスというところの文言が余り見られなかったということだったんで、特にそれを今回お聞きをしたかったということであります。
 私は、このように思うんですよ。先ほどもちょっと若干申し上げましたけども、いわゆる世界遺産というのは、いろんな意味がありますけども、特に言われているのは地球環境を守るシンボルだと。こういったものを和歌山県にいただいた。だとすれば、地球環境にとってもっとほかの県よりも進んでおると。こういった環境政策とか地球温暖化防止対策とか環境ビジネスとか、そういうものをつくっていかなくてはならない使命もまた持っておると私は思っておるんです。そうした視点で、新しい環境政策、さらには地球温暖化防止対策、ビジネス、こういうものをぜひとも大きな柱としてやっていただきたいと思っています。
 既に、先ほど継承していくものとかいろいろ言われておりましたけども、その中にも家庭の省エネの事業とか、さらには、もちろん風力発電とか自然エネルギー事業とか、緑の雇用事業でもCO2を吸収すると、そうした視点を具体的に入れた事業とかされておりますし、これをやっぱり和歌山モデルとしてこんなことを発信をしていけるような取り組みをぜひともお願いしたいと思います。
 それと、私、地球環境を守っていく、そういったところを、地域を、具体的に世界も見てきたわけですけども、特にやっぱり今世界が求めていること、そして和歌山県が求めておること、これが一致をするようなことが大変新しい環境ビジネスとか新しい雇用を生んでいくということを実感した次第でありますけども、そこらを一つのいい機会としてよろしくお願いをしたいと思います。
 そして、私は、事務方──事務から政治家になったと、そういうことであります、言うたのは。だから、ぜひとももう一歩、政治家になられたんですから、いろんな面で私たちに光を当ててくれるような、そういう高い志を持っていただいて頑張っていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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