平成19年1月 和歌山県議会臨時会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十九年一月 和歌山県議会臨時会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十九年一月十七日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号及び議案第二号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
  第二 意見書・決議案
  第三 議案第三号(委員会付託等省略・表決)
会議に付した事件
   一 緊急質問
   二 議案第一号及び議案第二号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
   三 決議案
   四 議案第三号(委員会付託等省略・表決)
出席議員(四十三人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     三十九番       阪   部   菊   雄
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         仁   坂   吉   伸
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       髙   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長職務代行者
                湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     総務班長       小   山       良
     総務課主査      岡   本   浩   幸
     調査課長       辻       和   良
     調査員        山   崎   博   紀
     調査員        中   岡   雅   之
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時一分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 本日は一月十七日、阪神・淡路大震災の日であります。十二年前に六千四百三十四名のとうとい方々がこの大震災の犠牲となりました。これらのとうとい方々の命が大震災で犠牲になったということで、本議会は黙祷をささげたいと思います。三十秒の黙祷をささげます。
 黙祷。
  〔起立・黙祷〕
○議長(向井嘉久藏君) ありがとうございました。黙祷を終わります。
 この際、報告いたします。
 尾崎要二君、玉置公良君、藤井健太郎君、新田和弘君、東幸司君から緊急質問の申し出があります。
 お諮りいたします。緊急質問を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 緊急質問を議題といたします。
 まず、尾崎要二君の質問を許可いたします。
 三十一番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 昨年の十二月十七日施行された知事選挙において見事当選された仁坂知事が初めて出席のもと、臨時議会が開会され、そのトップバッターとして自由民主党県議団を代表して質問をさせていただきたいと思います。
 まず、初当選された仁坂知事に、改めて当選のお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
 昨年の秋以降、本県にとって大変な年でありました。県発注の公共工事をめぐる談合は、知事及び出納長の辞任、逮捕という県政始まって以来の不祥事に至り、その間、県民の県政に対する信頼は大きく揺らぎ、怒りに満ちた厳しい声が事態の対応に追われる私ども県議会へ数多く伝わってまいりました。今回の事件を深刻に受けとめ、議会としてチェック機能を高め、二度とこのような不祥事が発生しないようにしなければと強く感じているところであります。
 「ふるさとの危機に際し、養ってきた経験、知識、人脈をすべてつぎ込む覚悟だ」と言われる強い郷土愛と難局に立ち向かう決意を聞き、知事選挙において党の推薦のもと自由民主党県議団全員一丸となって仁坂候補を支援してきたことからも、和歌山県の再出発、県政の信頼回復に向かって走り出した仁坂知事を、今後全力で支えてまいりたいと考えております。温かく支えるだけでなく、十分議論をしながら、時には議会人として是は是、非は非として厳しい対応もしてまいるということもあわせて、この際、申し上げたいと思います。
 知事は、県の行く末を心配する多くの人たちと話をし、みずから出馬の決意をされたと聞いております。私も、あなたの高校時代の同級生である人たちともお会いし、人柄などを聞いておりました。「彼なら必ず和歌山県のために活躍をしてくれる人材である」と、熱く語っておられました。その後、選挙戦に入り、私の地元であります紀美野町での街頭演説のときに、近くに住むおばあさんが来られ、「この子なら間違いない」と、仁坂候補の手を強く握っておりました。聞いてみると、仁坂知事が小さいころ子守りをしたというおばあさんでありました。その姿が私の目には強く残っております。
 仁坂知事、あなたは、信頼を寄せ駆けつけてくれた友人や同級生がおり、手を握り締めてくれた、小さいころ子守りをしてくれたおばあさんを初め、多くの県民の大きな期待がかかっているのであります。それを受けて、県政のかじ取りをしていかなければならない大きな責任があるということを片時も忘れることなく頑張ってほしいと思います。
 常に訴えておられた政治姿勢の中で、「よく聞くことがすべての第一歩。皆さんの意見を県政に反映させるために、まず大きな耳で皆さんの声を聞くことから始めます」と話されておられました。早速、知事就任後、庁内各部の主要施策について、土日を返上して聞いておられたようであります。また、予算のレクチャーについては、予定の時間を大きく後にずれてしまうほどよく聞き、議論をされているようであります。県内の市町村を初め県民の皆様に対しても、ぜひこの姿勢を続けてほしいものであります。
 まず初めに、仁坂知事が選挙戦等を通じて和歌山県内を回られてどのように感じたかについて、お伺いをしたいと思います。
 今回の知事選では、仁坂知事は県内をくまなく回ったとお聞きしております。三十数年ぶりにふるさと和歌山のために大きな一歩を踏み出され、知事には、県内を回られたとき、ふるさと和歌山はどのように映ったのか。知事が和歌山に住んでおられたころとは大きくさま変わりしていたのではないでしょうか。知事が東京から見ていたふるさと和歌山と県内を回られて見聞した実際のふるさと和歌山では、違いがあったことと思います。まずは、県内を回られてどのように感じられたかについてお聞きをしたいと思います。
 次に、談合問題解決への決意についてお聞きしたいと思います。
 昨年の前知事の官製談合事件は、県民の県政への信頼を失墜させ、今まさに県庁はマイナスからの再スタートを切らねばなりません。信頼の回復こそ、やはり和歌山ではだめだと元気をなくしている県民に対して、県が取り組むべき最初の課題であろうと思います。選挙の公約において、談合をなくし、清潔で透明な県政を実現、今回の不祥事の再発を断固防止するためのルールの見直しを早急に実施する等、清潔で透明な県政の実現を図りますと訴えられておられます。
 知事は、就任後、早速この問題に着手され、公共調達検討委員会の設置、一月十日に第一回委員会の開催と、スピーディーに手を打ってこられました。委員には、見識が日本で最も高い人、志が高い人、日本で最もよい制度をつくる気持ちを持っている人、現実感覚があり具体的、現実的な提言ができる人を選定したということであり、知事の並々ならぬ決意を感じたところであります。
 委員会設置の趣旨において、談合について二度と起こらないよう最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭するためと記されております。談合防止と事件の検証に向けた知事の取り組みと決意についてお聞きをしたいと思います。
 談合決別と同時に、競争を通じた県内建設業の健全な育成も県の重要な使命であります。建設業界の方々に体を張って体力をつけてもらって、道路改良率の向上など公共工事の成果に結びつけていくことが県勢発展にとって大変重要なことであります。また、本県において建設業は就労の大きな柱の一つでもあります。知事に、県内建設業の育成についてどのようにお考えか、お聞きをいたします。
 最後に、県勢発展に向けた取り組みについてお聞きしたいと思います。
 知事は、和歌山を離れてから大学を卒業後に当時の通商産業省に入省され、日本産業界を世界に羽ばたかせるため積極的に職務に精励されてこられ、日本各地、世界各地でさまざまな地域をいろいろな角度から見聞、分析し、高く広い視点から発展の方策を考えてこられたと思います。経済的に恵まれた地域、発展への階段を上りつつある地域、取り残されてしまった地域など、状況は千差万別であったと思われます。今後は、みずから学んでこられた知識と経験とノウハウをふるさと和歌山のために大いに発揮していただきたいものと期待をしております。
 知事は、和歌山を元気にするため、一番目に職づくり、人づくり、地域づくり、二番目に談合をなくし清潔で透明な県政の実現、三番目に安全・安心の確保、四番目に和歌山の美しさを生かした観光の振興、五番目に楽しい和歌山の実現の五つの政策目標を掲げておられます。
 最初に掲げられた職づくりに関しましても、和歌山は非常に厳しい状況にあります。一例として、平成十八年度の住友金属の中途採用において、四月の募集では六十名程度の採用予定に対して千百五名の応募があり、実に十八倍の競争率であります。十月の追加募集では、五十名程度の採用予定に対し八百六名の応募があり、結果的に百三十三名の方々が採用されたことは喜ばしいことではありますが、和歌山ではたくさんの人々が職を求めていることが如実にわかるわけであります。
 このほかにも、本県のいろんな指標を見ますと、相当立ちおくれているものが目立ちます。例えば、平成十二年から十七年にかけての人口減少率は全国第二位、県内総生産、これも四十位、道路改良率四十五位、汚水処理人口普及率四十六位、国体順位四十六位、平均寿命も四十一位、企業立地はずっと四十台を維持しております。
 現実として、長引く県経済の低迷、高齢化、過疎化など、課題が山積しております。これらのすべての課題に対応することは大変困難なことではありますが、着実に対応していかなければなりません。限られた予算と人員の中で、政策決定には選択と集中が大事であると言われておりますが、知事はこの多くの課題に対してどのような思いで立ち向かわれるのか、お聞きしたいと思います。
 以上で、一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県を代表いたしまして、知事からご答弁を申し上げたいと思っております。
 先ほど尾崎議員から、大変過分にお褒めの言葉をいただきました。それから、期待のお言葉もいただきました。まさに尾崎議員がおっしゃった期待というのは、和歌山県民の全体の期待だ、和歌山県民の総意だというふうに考えております。逆に言いますと、私はその期待に絶対にこたえなければいけない。そのこたえることの責任の重さというのを現在ひしひし感じているところであります。
 まず、質問の御趣旨とは違いますけれども、二つ申し上げながら御質問に答えたいと思います。
 私は、選挙のときにずっと、県民の意見を聞きながらやっていきたいと申し上げました。この姿勢を、先ほどの県民の期待にこたえるという意味でも、それから県政を充実させるという意味でも、ずうっと堅持していきたいと思っております。そういう意味では、県民の代表である皆様とまず一番熱心に、かつ具体的に、真摯に討論をしながら政策を進めてまいりたいと思います。それから、県内を広く回り、それからできるだけ多くの人と話をしながら県政を進めていきたいと思っております。
 さて、県内を回ってどのように感じたのかという御質問でございますけれども、佐藤春夫先生が「空青し山青し海青し」と詠んだ県土、和歌山県の美しさを選挙の車から実感をし、再認識をしながら、しかし一方では、和歌山県の方々が全体として元気をなくしているなあというふうに感じました。私の考えでは、その原因は二つあると思います。
 一つは、県民の皆さんが、前職の知事が犯された──と思いますけれども、犯罪に対して大変裏切られた気持ちになっている。県庁というのは県民にとって大変大事な役所であり、組織でありますから、それのトップがああいうことになっては県民の失望感は大きい。特にやっぱり期待が大きかっただけ失望あるいは裏切られた怒りというのは大きかったというふうに考えました。
 第二は、私が過ごしました三十数年前と比べまして経済的な活力が随分失われている。それに対する期待が逆に大変大きくなっているということを感じました。都市部においては空き店舗が目立ちますし、山間部においては過疎化あるいは高齢化の進展が深刻な状況になっているということを感じました。特に、いろいろな方から、自分たちの息子や孫が働ける場所がなくて、どうしても和歌山から出ていかざるを得ない、したがって、何とかその働き場所を確保して、あるいは働き場所をもっとふやして、和歌山にいたいという息子やあるいは孫さん、あるいは娘さんがもっと自分たちと一緒に暮らせるようにしてくれないかというようなことを切実に訴えられておられるのが大変印象的なことでありました。
 したがって、私は、これら二つの問題を解決して和歌山を元気にするということを県政の目標としたところでございます。私がこれまで培ってきました経験、知識あるいは人脈などを総動員して、しかも、県民の意見を常に聞きながら和歌山のために尽くしてまいる所存でございますので、議員各位の御支援、御協力を改めてお願い申し上げたいと思います。
 第二に、談合防止と、それから事件の検証あるいは再発防止の制度、こういうものについての決意を申し述べさせていただきたいと思います。
 私は、選挙におきまして、このような事件の再発防止、それから清潔な県政の実現を目指すということを大きな目標の一つに掲げました。今回の不祥事の再発を断固防止するためのルールづくりがそのために一番大事なことだと私は思っておりますし、それを訴えさしていただきました。それによって──それだけではありませんけれども、それを含めて清潔な県政を実現していこうと考えております。
 自分自身は、あのような事件に巻き込まれることはないという自信があります。しかし、これは個人の問題ではなくてシステムの問題として対処する必要があると考えましたので、これに対する最善の手段を講じてまいりたいと思っております。このため、我が国のトップクラスの有識者による公共調達検討委員会を設置いたしまして、県の入札制度の検証を徹底的に進めまして談合の再発を防止するとともに、最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言いただく手はずにいたしました。
 既に報道にございますように、先日十日に第一回の委員会を開催いたしまして、このときは私も五時間ぐらいずっと議論に参加さしていただきました。私は、その場で、四つぜひこのシステムの中で実現していただきたい法益、まあ利益、目標があるんだということをお願いいたしました。
 一つ目は、効率性の向上であります。県の公共事業予算は県民の大切な資産であります。談合による工事費高騰を避けて、おくれている公共インフラを強化するためには効率的にこれを使うということが県の使命であると考えております。
 二つ目は、公共工事の質の確保であります。幾ら安く上がっても、その質がむちゃくちゃでありますと大変なことになります。公共インフラ施設は、やはり県の重要な資産であります。したがって、不適切な工事あるいは不適切な入札参加によって、その質の低下あるいはおくれ、そういうことを招かないようにする必要があると感じております。
 三つ目は、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保であります。これは、必ずしもその公共調達制度だけの問題ではありませんけれども、しかし、現に知事という最高責任者があれに関与されたということを言われている限り、そういうことは徹底的に排除をする、だれがやってもそういうことができないようにするということが大事だと思っております。したがって、要人がそれに不当に関与するということはないとともに、公共発注に関与する県職員に不正行為が発生する余地もなくしたいと考えております。
 四つ目は、和歌山県の建設業界の健全な発展であります。新しい発注システムへの移行によりまして、建設業界に過大な打撃が生ずるということを防止するとともに、建設業界の健全な発展を慫慂するような公共発注制度と産業政策の検討を行ってまいりたいと思っております。この産業政策の検討は必ずしもこの公共調達検討委員会の課題ではないと思いますけれども、そういうふうに私は思っております。
 いずれにしても、委員会の結論は公表いたしまして、県議会を初めとする県民の皆さんの意見も聞きながら早急に実施してまいりたいと考えております。
 次に、尾崎議員の御質問にありました県内業者の育成であります。
 先ほど申し上げましたように、私は、四つの利益の中には建設業界の健全な発展というものをビルトインしたような公共発注制度というのをつくっていきたいと思っております。建設業は和歌山の重要産業であります。大きな働き場の一つであります。また、ただでさえおくれている公共インフラの整備の大切な担い手であります。この担い手が存在し得なくなるようなそういう制度というのは、必ずしも現実的ではないというふうに思っております。
 一方、建設投資額が大幅に減少している中において、この建設業界の方々が現在でも大変苦境にあるということもわかっております。このため、公共入札制度の検討におきまして、先ほど申し上げました四つ目の目標を他の三つの目標と同時に達成できるような制度を御検討いただく、それを採用していただくとともに、県独自の政策においても建設産業の振興のための政策を続けていかなければいけない、あるいはもっと強化していかなければいけないと思っております。
 現在、県では、建設産業振興のため、新分野進出の支援などを行ってまいりました。しかし、本来の産業政策は、建設業界がほかのところへ移れというようなことを助けるだけではなくて、建設業界そのものの体質の強化ということも図らないといけないと思っております。そのために、例えば技術力の強化とか経営基盤強化とか、そういうこともやっていかないといけないと思いますし、さらに、新たな入札制度ができますと、これに建設業界の方々が支障なく参加できるようにいろいろなオリエンテーションをやっていかないといけないというふうに思っております。このための政策を、産業界の方々とも相談をしながら県庁としてはやっていく所存でございます。このようにして、和歌山県の建設産業の健全な発展という観点も政策の重要な柱としながら、今後政策を進めていきたいと思っております。
 それから、尾崎議員の御質問で、今後県勢発展に向けてどのような覚悟で取り組んでいくのかというようなお話がございました。
 議員御指摘のように、さまざまな指標を見る限り、本県は全国的に立ちおくれている、大変な危機にあるというふうに申し上げざるを得ないと思っております。ただ、たくさんの潜在的な可能性も和歌山県は秘めていると一方では思っております。
 具体的なデータで挙がっているだけ見ても、例えば梅、柿、ミカンに代表されるような果実産出額が全国のトップである、しかもたくさんの種類をつくっている、それから預貯金残高などは全国で上位にある、あるいは持ち家比率も十分高い位置にある、それから和歌山には物すごくたくさんの観光資源がある、それから、選挙のときに回りましてわかりましたけれども、中小企業を中心として他に追随できないような技術力を持っているような企業、世界的にもきらりと光るような企業がたくさん育ってきている、そういうふうに思います。これからは、本県の現状をよく分析した上で、計画的、戦略的に強みを伸ばして弱みを克服するということをやっていきたいと思っております。
 こういった観点から、和歌山を元気にするために掲げたのが五点の政策目標でございます。具体策は、今後県内を回ってたくさんの人と議論をしながら具体的に進めていきたいと思っております。
 まずは、先ほども申し上げましたように、清潔で透明な県政を実現し、あわせて経済活性化のためにトップセールスによる企業誘致をやり、地域経済を支える中小企業の方々を支援し、発展してもらい、本県の強みである農林水産物の競争力の強化を図り、産業振興のための基礎的なインフラの整備などに取り組んでまいりたいと思います。また、安心・安全の和歌山を築く。そのためには、医療体制の充実、医師不足の解消、少子化対策、高齢化対策、あるいは和歌山が特に危機にある防災対策などにも具体的に直ちに取り組んでいきたいと思っております。
 また、幸いなことに、和歌山にある、県の遺産であるところの自然遺産である、あるいは文化遺産である高野・熊野の世界遺産あるいは多種多様な観光資源を生かして和歌山売り出し作戦も敢行していきたいと思いますし、それから、和歌山で選挙のときからずっと感じておりましたけれども、歴史、伝統、文化を生かした楽しい和歌山を実現するためのさまざまな試みを県としては一生懸命応援していきたいと思っております。
 二月には県議会をもう一度お願いをして、十九年度予算を提案させていただくということになっております。現在、そのための作業に大わらわなんでございますけれども、できるだけ今申し上げましたような政策の芽を予算の中でも出していく。これは他のところで申し上げておりますように、既に大きな流れ、骨格みたいなのが営々として積み重なって今の予算作業は進んでいますから、これを一から全部やり直すということをすることは現実的ではないと思います。ただ、できるだけ今の政策に沿った具体策を可能な限り本県の予算に盛り込んで皆さんと議論をして、和歌山を元気にするような具体的な政策をどんどんと実現していきたいと考えております。どうぞよろしく御協力、御支援のほど申し上げます。ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 次に、玉置公良君の質問を許可いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。
 まず、新生わかやま県議団を代表いたしまして、知事の御就任のお祝いを申し上げたいと思います。本当におめでとうございます。
 そしてもう一つ、昨年の年末に白浜でパンダの双子が生まれるという明るいニュースが届きました。ことしは和歌山県が、県民にとって明るく、そして展望の持てる、そういった年になることを心から願うものであります。
 私ども新生わかやま県議団は、県議定数の削減や新税を県民に求める紀の国森づくり税の反対など、県民の声を重視しながら積極的な政策提言を行うとともに、県政の不正を見抜き徹底追及をするなど、県政改革の取り組みをしてきました。新しく就任された仁坂知事に対しては、是々非々の立場で取り組んでいくことをまず明らかにしておきたいと思います。
 さて、知事、大変でしょうが、官製談合汚職という県政史上前代未聞の不祥事を県政刷新のチャンスと受けとめて真の改革を推進し、県民の信頼を回復していくことを、知事を初め私ども議員もお互いに決意をしたいと思います。
 前宮城県知事は昨年の十一月六日付の「朝日新聞」に、今回の官製談合防止への究極の処方せんは「談合はれっきとした犯罪である。納税者が被害者である。談合を断固排除するという強い意志と方法論が発注者であるトップと役所側になければならない」、「トップはまず、入札契約制度の策定に指導力を発揮しなければならない。そして、側近や役所の職員に対して、談合にかかわることを絶対に許さないという命令を明示的に発することが必要である。その姿勢を取り巻きや側近にも理解をさせ、そのように行動させる義務がある」、このように述べています。今回の事件の原因を踏まえて、官製談合防止への知事の決意をまずお伺いしたいと思います。
 続いて、一月十四日に知事肝いりの官製談合防止策を検討するという公共調達検討委員会が発足し、知事があいさつで、「前知事逮捕という不祥事の根っこは官製談合問題。二度と発生しないシステムをつくるため、精力的に御検討いただきたい」と述べられたと報道されていますので大変期待するところですが、その主たる目的は何なのか、お伺いをしたいと思います。
 続いて、国の談合防止関係諸法に基づく県のこれまでの体制整備についてお伺いをします。
 皆さん方に配付をしております、まず資料その一を見てください。これです。(資料を示す)国が行ってきた公共工事の入札・契約制度の改革を見ると、明治二十二年に会計法の制度が行われ、そのときに一般競争入札を原則としてスタートし、現在に至っています。政から官へのあっせん、官から業への働きかけ、業から政へのあっせん依頼の構図による談合は、過去においても社会をにぎわせているところであります。その後、新たに発注者の行為を規制する法律として、平成十二年に入札契約適正化法、平成十四年に官製談合防止法、平成十七年に公共事業の品確法が制定をされています。本県は、発注者側より引き起こされた官製談合でありますが、この三つの法律の体制整備は整っていたのでしょうか。国の談合防止関係諸法に基づく県のこれまでの体制整備について、お伺いをしたいと思います。
 続いて、今後の具体的な官製談合防止への体制整備についてお伺いをします。
 資料のその二を見てください。公共建造物と一般の商品との違いが示されています。一般の商品の最終目的は企業の利潤追求であり、公共建造物の最終目的は公共の福祉の増進であり、税金の有効活用です。そして、その目的はそれぞれ違い、一般の商品はマーケットによる評価を反映し、企業の利潤につながっていきます。片や公共建造物は税金を投入して行われるので、県民による評価を公共建造物の調達に反映し、最終目的の公共の福祉の増進を満たすことになります。このように、国の法律や体制整備についてのマニュアルなどは既にできているのであります。
 国の政策も変わってきました。公共建造物は中央から地方へ、官から民へと言われています。さらに、それに合わせて規制も緩和をされてきました。例えば、全国一律のルールから地域の実情に合わせて決定されるローカルルールが認められてきました。これは、地方でできることは地方で行い、民間でできることは民間で行うという意味であります。したがって、これからの公共建造物は何のために、だれのために整備するかに重点を置き、何度も見直してよりよい公共建造物をつくることは異論のないところであると思いますが、今回は、すべての権限が知事に集まっていることを悪用し、私物化し、それをチェックできなかった職員、また議会の姿を露呈したものと思います。あとは県としての体制整備が必要なのであります。つまり、公共工事は、政策決定から工事完了、評価まで、その事業の透明性を打ち出して広く県民の皆さんに知らしめるシステムを構築することが大変重要なポイントになると思います。
 例えば、新聞報道では、今回の官製談合汚職の原点と言われていますIT総合センター(Big・U)を例に挙げますと、政策決定、基本設計、実施設計、施工者の決定、工事中の地盤沈下の追加予算の決定における透明性、公平性、競争性の確保が大変重要なポイントになるのですが、基本設計から工事監理まで一社で行ったことが官製談合の温床になったのではないかと私は思います。
 具体的に説明をしたいと思います。
 まず、政策決定であります。この政策決定のとき、発注者が選定をした委員のみならず、働きかけた地域住民の参加や公共建造物の構築に要する建設コストの総事業費に占める割合が適切かどうか、複数以上の第三者による評価を受けること。平たく言えば、お金のわかる人で建築コストやライフサイクルコスト、環境コスト、将来の採算ベースのわかる人、また完成予想図を書ける人、条件を羅列できる人などが必要だと思います。さらに、インターネットにて情報公開などをすることが重要だと言われています。既に一部、国では行われています。
 続いて、設計者の選定であります。設計者の選定に当たっては、政策決定の反映をする基本構想業務業者と設計者及び監理者の分離発注を提案したいと思います。基本構想業務業者は、この事業には参加できないようにします。そして、その設計を行った設計者は監理業務に参加できないようなシステムを図るべきであると思います。基本設計では、選定委員が今回は県関係者という身内でありましたが、外部から一般公募をした人や専門家を入れること、政策決定をした条件がきちんと入れられているのかどうかなどをチェックし、議論をした経過を県民にオープンにすること、つまり、だれにも見えるようにすることが必要だと思います。
 続いて、実施設計があり、工事の入札があり、施工業者決定後、工事が始まります。IT総合センターでは地盤沈下が起こり、平成十五年九月議会で、予測できなかったということで四億三千万円もの補正予算が提案をされ、大きな問題となりました。私ども新生わかやま県議団の五人は一貫して、県だけでなく設計者に責任がある、一社だけの調査でなく、再度外部の専門家を入れ調査をすべきだと反対を貫いたただ一つの会派でありましたが、ほかの議員はすべて賛成をしたため、疑惑を晴らすことができませんでした。その調査を、一社だけでなく、耐震擬装の教訓のように複数の業者がペアチェックをするべきであったと思います。これを調べてみますと、一社だけがこのチェックをしたということの報告を受けております。そのことによって、だれの責任なのか、その工法がよいのか、金額が妥当なのかがよりはっきりし、今回の談合汚職の原点と言われるところにメスが入っていたと悔やまれます。つまり、各段階での政策決定、各設計・入札・工事の透明性、公平性、競争性を堅持し、第三者による評価を受け、公共工事の調達にフィードバックをし、最終目的の公共の福祉の増進を図るべきであり、税金の有効活用につながっていくと思います。
 今申し上げたことについて、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
 もう一つ、国土交通省の一部が実施をしています品確法に基づく発注者支援技術者の和歌山県バージョンを提案いたします。ひいては民間技術者の活用による事業の妥当性につながることであります。いかがでしょうか、お伺いします。
 さらに、技術評価方式の導入に当たり、いわゆる公共工事の品確法が決定をされるときに衆参両院から附帯決議が出されているように、評価技術提案にふなれな県内地元の中小建設業者の育成の弊害にならないよう考慮していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 続きまして、知事の県政にかける基本姿勢についてお伺いをいたします。
 まず、知事の考える和歌山県政の進路についてであります。
 私は、七年前の平成十二年十二月議会で二十一世紀の和歌山県政の進路についての考え方を述べておりますが、その一部を申し上げさせていただきます。「二十一世紀は、積極的に和歌山県のよさを全国にPRし、県民一人一人が知恵を出し合って、自分たちに必要な経費をみずから生み出すことを求められている時代だと思います。国に依存することが難しい今日の状況では、知事みずからが県民の先頭に立って知恵を出し、豊かな想像力を駆使して、和歌山県内に蓄積されている資源や人材、生き抜くノウハウを持ち、レベルアップをすることが必要ではないでしょうか。それは、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて、和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる。それが二十一世紀の和歌山県の県政の進路であると私は思います。 本県は、幸いに世界遺産に指定されるほどの豊かな自然に恵まれています。環境時代の二十一世紀──世界の人々が地球人として強く求めているのは地球自身が太古に創造した大自然のたたずまいであり、これが地球を救うのであります。我が県は幸いにしてこの立地条件を持っており、最大限に生かしながら県民一人一人の知恵と創造、工夫を凝らし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことであります」と申し上げました。その一つが、県民が一丸になって努力をした、三年前に実現しました世界遺産登録であります。既に、登録後、観光客の大幅な増加を含め、いろんなところに効果が出ています。
 世界遺産は私たちに、小さな和歌山、日本という中で物事を考えるのではなくて、世界規模の視野で物事を見るということを教えてくれました。世界遺産がいかに地球にとって貴重なものであるかということを学んできました。そして、私たちが住んでいるかけがえのない地球を守るための地球温暖化防止や環境問題に取り組むことによって新しい和歌山のビジネスや雇用が生まれてきていますし、さらに県民と一緒になってつくり出していくことが求められていると思いますが、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 最後に、知事の政治姿勢について、引き継ぐもの、改めるもの、新しい考えについてお伺いします。
 前知事の政治倫理の欠如は、決して許されるものではありません。ただし、政策としては、例えば自然豊かな和歌山県にあって環境重視をした県政の推進であるとか、県の基幹産業である農林水産業の振興であるとか、和歌山の魅力を引き上げる政策も多いのであります。言うまでもなく県政に停滞は許されず、県民が安心して暮らしていくためには行政の継続性は大事であります。こうした政策を仁坂知事はいかに継承していくのでしょうか。
 しかし、継承だけでは発展はありません。仁坂知事は経済産業省に長くおられ、世界の中の日本、和歌山を体感してこられたはずです。こうした経験を踏まえ、地方自治という初めての世界で、失礼な言い方かもしれませんが、初めてゆえの思い切った施策を打ち出せると県民は期待をしていると思います。この期待に十分こたえていただきたいと思います。
 初めてと言えば、知事は今回初めて政治家になられましたが、これまでのいわゆる事務方の視点とは異なる政治家としての視点を問われる立場になられたと思います。さきの選挙で得票された票の重み以上に、すべての県民に責任を持つ非常に重い立場になられました。前知事は地方行政のプロであったかもしれませんが、この政治家としての志が欠如していたのだろうと思います。仁坂知事には、ぜひ政治家としての高い志のもと、和歌山県政を進めていっていただきたいと思います。このために、経済重視ばかりではなく、すべての県民が和歌山に生まれ、暮らしてよかったと思う政治家としての思いやりのある県政を実現してもらいたいと考えます。
 そこで、和歌山県政のたゆまない継続、発展に向けて、高い志のもと、県政を引き継ぐ、改める、新しい考えを入れるという点から、知事の県政の基本姿勢を、政治家としての生の声でお聞かせ願いたいと思います。
 以上、知事の見解をお伺いし、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの玉置議員の御質問に対して、和歌山県を代表いたしまして答弁をさせていただきます。
 まず第一に、談合防止にかける決意及び公共調達検討委員会の主たる目的でありますけれども、昨年の県発注工事をめぐる談合事件は、知事及び出納長の逮捕、起訴という県政史上前代未聞の不祥事に至りました。このような事態は深刻に受けとめまして、このような事態が二度と起こらないように最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭したいと考えております。これが決意でございます。
 もとより、先ほども申し上げましたように、自分はあのような事件に巻き込まれるということはないという自信はありますが、これを個人の問題で終始することなく、システムの問題として対処することが必要と考えまして、議員御指摘のように公共調達検討委員会を設置して県の入札制度の徹底検証を進め、談合の再発を防止するとともに最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただき、それを実施するという覚悟でございます。
 浅野前知事のお話あるいはお言葉が引用されました。まさに意志と方法論が大事だと。意志については申し上げましたとおりで、選挙のときからずっと申し上げております。大事なのは方法論であります。方法論のうちの検討の体制はできました。あとは、この検討の結果をどういう形でつくっていくかというのが一番大事な方法論そのものに当たると思います。私は、意志だけでは解決できないとずっと申し上げてきました。方法論でシステムをきちんとつくるというのが一番大事。そういう意味で、その検討に着手したということで、多分、浅野前知事からお褒めいただけるんじゃないかと思っております。
 私といたしましては、どういうようなシステムをつくりたいかということについては、これまた先ほど尾崎議員の御質問にお答え申し上げましたとおり、四つの観点から最も望ましい制度をつくってもらいたい、こういうふうに思っております。四つというのは、効率性の向上、公共工事の質の確保、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保、それから和歌山県の建設業界の健全な発展ということであります。委員会の結論が出ましたら直ちにそれを公表いたしまして、皆さんの御意見を聞きながら実施してまいりたいと思っております。
 第二に、国の談合防止関係諸法について玉置議員からお話がございまして、これについて県はどういう取り組みをしているかということと、それについての現在の見解を申し上げたいと思います。
 談合防止関係諸法に基づく県の取り組みについては、御指摘のように、平成十二年に公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律が成立しまして、これに基づきまして平成十三年三月に、これは国全体でございますけれども、同法に基づきます適正化指針が策定されております。この法律、指針では、大きく目標として、透明性の確保、公正な競争の促進、適正な施工の確保、不正行為の排除の四つの基本原則が明示されております。これに従いまして、この法律に基づき、県でも入札監視委員会の設置でありますとか入札に係る資格や入札の経過等の公表、そして入札契約の方法の改善としての一般競争の導入──かなり進んでいますが──などに積極的に取り組んできたところであります。
 次に、公共工事の品質確保の促進に関する法律についての言及がございました。通称「品確法」と申します。これは平成十七年四月に施行されております。これの私の理解は、単純な価格競争から価格と品質で総合的にすぐれた調達をしようという思想への転換であったというふうに思っております。具体的には、一番端的に申し上げますと、総合評価方式というのが望ましいという思想ではないかというふうに思います。
 県では、本年度から、これに基づきまして総合評価方式の試行導入を既にいたしております。そのための外部評価委員会も設置いたしまして、品質確保、それから効率的、効果的な調達、そういうことのための具体的な作業に取り組んでおります。さらに、県といたしましては、今後ともこの方式の拡充というのをやっていきたいというふうに思っております。
 また、平成十五年一月には、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律、通称「官製談合防止法」が施行されました。公正取引委員会は、従来から、通称「独禁法」に基づく当該入札談合を行った業者に対する処分が可能である──これは当たり前でありますが──この法律により、公正取引委員会が発注機関側に対しても法的な措置を講じるということが可能となったものであります。県では各発注機関の担当者あるいは各市町村の担当者を対象に研修会を開催し、同法の周知徹底を図っているところであります。
 さらに、多分今回の一連の不祥事を受けてでありましょうが、平成十八年十二月に、この発注機関側の関与行為の範囲の拡大、それから罰則規定の整備などの強化改正が行われたところであります。
 玉置議員から、体制は整っていたのかというお話がありました。そういう意味では、法律の規定に基づく体制はきちんと整っていたというふうに申し上げざるを得ないと思います。しかし、事件は起こったわけであります。したがって、県としては、法律の枠組み、それから枠組みに基づくいろんな努力の上に立って、さらに公共調達検討委員会でこういうものを全部検討してもらって、それで効率な、かつ効果的な制度、和歌山県にとって最も望ましい制度をつくっていくような努力をこれからしていくということであります。
 私は、新聞記者に聞かれました。これの委員の発表のときに聞かれました。「どういう人を選んだんですか」と聞かれました。「よく短期でこんなのを選べましたね」と言われましたが、必死で選びました。三つ言いました。一つは、日本一の知識水準の人たちを選びました。二つ目は、志が高くて、和歌山県のためにぜひ一番いい制度をつくってやろうということを考えてくださる人を選びました。三番目に、現実的に物を考える能力のある人を選びました。そういうことを申し上げました。そういう要素を入れて、こういう方々の意見を踏まえ、いい制度をつくっていきたいと思っております。
 それから、先ほど玉置議員からいろんな方法についての御提言がございました。例えば、設計と施工を分ける。あるいは、工事のチェック、あるいは施工のチェック、あるいは設計のチェックにさらに外部の人を雇って、それでそれをやらせる。そういうような話が幾つかございました。それについては、すべていろんな長所のある制度だと思っております。玉置議員のお話のとおりだと思います。
 ただ、私はいつも申し上げておりますが、いろんな名案には同時にいろんな副作用がある。例えば、たくさん手続を分ければ分けるほど、実は手続リスクというのが発生します。それは、一つには手続に関してたくさんの費用がかかる。つまり、実際の公共インフラができるよりも手続をするためにお金が要るということも、また一つ否定できない事実かと思います。それから、分けてもその制度が不十分であれば、例えば設計だけでも怪しげなことが起こるということも、また他県の例で警察が明らかにしているところであります。したがって、こういうことを全部範囲の中に、頭の中に入れながら、最も効率的で効果的な制度は何であるかということを検討していって実行していくというのが私の使命だと思っております。
 それから、総合評価方式についての具体的な運用の方法、これについて御説明がありました。これは、私どもは、透明性、公平性、競争性を確保するために、公共事業再評価委員会あるいは総合評価審査委員会など、既に第三者による外部評価の実施、あるいは各年度の発注見通し、入札契約の過程と契約内容に関する情報公開などに積極的に取り組んでいるところでありまして、今後とも第三者による評価も含め、県民に開かれた公共事業の実施体制の構築に努めてまいりたいと思っております。
 それから、お話のありました公共工事発注者支援業務技術者認定制度につきまして、これも先ほど申し上げました一般論の批判が一方ではあります。例えば福島県で、これがよかったのかどうかというような議論が随分熱心になされています。これにつきましては、国土交通省近畿地方整備局や、あるいは本県を含めた府県市で構成する近畿地方公共工事品質確保推進会議というところで現在検討しております。そのあり方について検討しておりまして、その検討結果を少し見守りたいというふうに私どもは考えております。
 また、中小企業者が総合評価方式にきちんと参加できるかというお話がありました。
 御承知のように、総合評価落札方式につきましては、高度技術提案型と、それから標準型、それから簡易型、いろんなタイプがあります。特に我が県の実情に即しまして、私どもとしては、中小建設業者を対象にして簡易型──これは必ずしも提案を伴いませんが──そういうものにつきましても適用を大いにしていって、それで中小企業者もちゃんと総合評価方式の中で活躍できるんだということをやっていきたいと思っております。
 今回の議員の御提言の内容あるいは公共調達検討委員会でこれから検討される内容、それらをすべて取り込み、かつ既にございます関係諸法の趣旨にのっとった具体的な政策を今後適用してまいりたいと思っております。
 それから、目指す県政の進路はいかん、あるいは基本方針はいかんということでございます。
 私は県内を回って、県民の方々はあのような事件で元気をなくしてしまったのではないか、また私が過ごした三十数年前と比べて和歌山が経済的な発展から取り残されているのではないかというふうに感じました。この二つを解決し、和歌山を元気にする方法として、職づくり、人づくり、地域づくり、あるいは談合をなくし清潔で透明な県政の実現、あるいは安心・安全の確保、和歌山の美しさを生かした観光の振興、楽しい和歌山の実現といった五つの目標を掲げました。私がこれまで培ってきた知識、経験あるいは人脈などを総動員し、かつ人の意見を大いに聞きながら、和歌山を元気にするために全力を尽くしてまいりたいと思います。
 和歌山は、先ほど申し上げましたように、たくさんの潜在的可能性があると思います。私どもの努力、皆さんの御協力、そういうのが相まって潜在的な可能性に火がつけば、和歌山は決してこれ以上後退することはないというふうに心の中では確信しております。こういう種を伸ばしていくために、議員御提言のように、グローバルな視野に立って県民と一緒になってやっていきたいと思っております。
 環境問題については、私は思いがございます。環境は守らなければいけない、あるいは環境とそのほかの政策課題というのは両立するもんだと、両立できるもんだというふうに思っております。例えば、環境を守ることが観光の振興になるという要素は大変大きいというのは、皆さん、よく実感でわかっておられることだと思います。一方、環境問題と言って口に出せばそれが実現できるものではないし、環境問題といってもだんだん複雑になってきております。例えば地球環境問題を、どうやってこの地球全体を守るかということは、小さい正義感だけで解決できるものではありません。したがって、現実的な観点に立って、環境問題を常に考えながら政策を進めていかなければいけないと思っております。
 政治姿勢でございます。
 議員御指摘のように、これまで実施されてきた施策につきましては、本県の発展に大変有効なものもあると私は思っております。ましてや、県庁として、あるいは県議会で認められた堂々とした政策として実現されているものについては、私がたまたま──たまたまと言ったらおかしいですが、私が新たに知事になったからといって、全部一からやり直しだということを申し上げるのは、これは間違っていると思っております。組織として行っているものについては組織として尊重する、それで徹底的に検証して、もしそれが欠けているところがあれば足すし、改めるものは改め、それについては説明をちゃんとするというのが正しい方法ではないかというふうに思っております。したがって、そういう方法によって政策の充実を図ってまいりたいと思っております。
 それから、政治家としての姿勢についてお話がありました。
 私は、政治家として、あるいは県知事として、あるいは県庁を率いるリーダーとして、これまで申し上げましたように、和歌山を元気にするために誠心誠意頑張っていきたいと思っております。ただ、先ほど、今回は政治家になったがこれまでは事務方であったというお話がありました。私は、事務方が志を持たないでどうするということも申し上げたいと思います。県庁の職員は四千人おります。この四千人が高い志を持って、県民を幸せにするために頑張るということが、和歌山県のために一番役に立つわけであります。したがって、これまでと同じように高い志を持って、和歌山県のために、和歌山県の幸せのために、県民の幸せのために県庁一丸となって頑張っていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 今の高い志については後ほど触れさしていただきますけども、まず官製談合汚職防止については、具体的に説明いただきました。特に今回の私の提言のことも検討していただくという積極的な答弁をいただきましたので、先ほど知事が、申し上げた、前浅野知事がびっくりするような、そういう全国一のすばらしい制度をぜひともつくっていただきたいと思います。
 それと、知事の基本姿勢でありますけども、実は私、環境問題について少しきょうは提案をいたしました。きのうの所信表明では、そういった和歌山県にとって大変重要な地球温暖化防止とか環境政策とか、それに伴う環境ビジネスというところの文言が余り見られなかったということだったんで、特にそれを今回お聞きをしたかったということであります。
 私は、このように思うんですよ。先ほどもちょっと若干申し上げましたけども、いわゆる世界遺産というのは、いろんな意味がありますけども、特に言われているのは地球環境を守るシンボルだと。こういったものを和歌山県にいただいた。だとすれば、地球環境にとってもっとほかの県よりも進んでおると。こういった環境政策とか地球温暖化防止対策とか環境ビジネスとか、そういうものをつくっていかなくてはならない使命もまた持っておると私は思っておるんです。そうした視点で、新しい環境政策、さらには地球温暖化防止対策、ビジネス、こういうものをぜひとも大きな柱としてやっていただきたいと思っています。
 既に、先ほど継承していくものとかいろいろ言われておりましたけども、その中にも家庭の省エネの事業とか、さらには、もちろん風力発電とか自然エネルギー事業とか、緑の雇用事業でもCO2を吸収すると、そうした視点を具体的に入れた事業とかされておりますし、これをやっぱり和歌山モデルとしてこんなことを発信をしていけるような取り組みをぜひともお願いしたいと思います。
 それと、私、地球環境を守っていく、そういったところを、地域を、具体的に世界も見てきたわけですけども、特にやっぱり今世界が求めていること、そして和歌山県が求めておること、これが一致をするようなことが大変新しい環境ビジネスとか新しい雇用を生んでいくということを実感した次第でありますけども、そこらを一つのいい機会としてよろしくお願いをしたいと思います。
 そして、私は、事務方──事務から政治家になったと、そういうことであります、言うたのは。だから、ぜひとももう一歩、政治家になられたんですから、いろんな面で私たちに光を当ててくれるような、そういう高い志を持っていただいて頑張っていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 次に、藤井健太郎君の質問を許可いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 仁坂知事、まず最初に、知事就任おめでとうございます。お祝いを申し上げます。
 知事におかれましては、県民全体の奉仕者として県民福祉の向上、県勢の発展に尽力されることを願うものであります。私の議員としての任期も残すところあとわずかでありますが、私は私の立場でそれなりに精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 まず、官製談合事件の教訓と今後の取り組みについてでありますが、知事の今回の官製談合事件についての所見と、今後の県政にどのように生かしていこうと考えておられるのか、そういった問題についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年九月議会開会中に、知事室が大阪地検により談合容疑で捜索を受けました。その後の推移については、御承知のとおりであります。その九月議会での私のこの問題に対する前知事への質問に対して、前知事は、「知事就任以来、公共事業の透明性の確保を県政の最大重要課題の一つとしてきた。今回の問題も、個人的には人から誤解を受けるようなことは何もしていない。公共事業の品質確保を図るとともに、より透明性、競争性が高い入札制度改革に全国に先駆けて取り組んできた。本県の入札制度は透明性が高く、私を含め、県庁がかかわっていく余地など一切あるものではない」と、こういう答弁をされました。この答弁どおりなら、前知事は辞職する必要も逮捕されることもなかったわけであります。ところが、県の最高責任者の知事や幹部職員の出納長が、公共事業の発注者でありながら談合に深く関与していたとして逮捕、起訴されるに至ったわけです。県政史上にかつてない不祥事となり、県民の県政への信頼は大きく揺らぎました。仁坂知事は、この問題、どのようにとらえ、今後の県政に生かすべき教訓をどのように酌み取っておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
 二点目に、公共調達検討委員会と事件の全容解明の問題についてであります。
 知事は、公共調達検討委員会を設置され、このような事態が二度と起こらないように最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭する必要がある、このように言われております。大変重要な課題でもありますが、新たなシステムづくり、制度づくりを進める前提として、また県行政の不信を払拭するためにも、なぜこのような事態が起こったのか、その原因は何だったのか、個人の問題なのか組織の問題なのか、はたまた入札制度の問題なのか、全容の解明、その真相の解明が新知事に求められているのではないかと思うところですが、知事は、この点、どのように考えておられるのでしょうか。
 今回設置をされた公共調達検討委員会がその役割を担うことになるのでしょうか。十二月議会では、全容解明のための調査委員会の設置は新知事の意向を踏まえてという答弁が知事職務代理者からされていましたが、知事は行政として全容解明を進める意思をお持ちなのかどうかをお尋ねしたいと思います。
 三点目に、知事自身の政治姿勢についてであります。
 知事は、執行機関の長として、また全体の奉仕者として、また政治家としてのあるべき姿を県民に示していくことが求められていると思います。そこで、何点かお尋ねをしておきたいと思います。
 知事には、前知事──木村前知事ですが──元ゴルフ場経営者の井山氏のような、そういう特定の関係にある人物というのはいないのかどうか、この際、最初に確認をしておきたいと思います。
 公務員としての倫理の確立の問題です。
 県はこれまで、利害関係者との会食、遊戯やゴルフなどでの交流を初め特別の便宜を受けることは県民の疑惑や不信を招くとして、厳に慎むこと、こういう通知、通達を副知事や総務部長名で出されてきていました。所信では、知事は新たに倫理規程をつくっていきたいと、こういうふうに述べられておりまして、一歩前進だと評価をするわけですが、この際、知事、副知事、教育長など特別職、知事部局だけではなくて行政委員会も含めて制度化のための倫理条例づくり、こういったものを検討してみてはいかがでしょうか。その内容の一つとして、知事は県と契約関係にある、取引関係にある業者からの政治献金は受け取らない、こういう姿勢を示していく、こういう条項も含めてはいかがかと思いますが、知事の所見を聞かせていただきたいと思います。
 知事は、同時に内部監査査察の強化も言われておりました。内部通報制度と言われるものでありますが、これも含めて公益通報条例ということで、これも制度化をするという考えはないでしょうか。
 最後に、前知事が持っていた、秘書課職員が──親睦会というふうに行政の皆さんは言われておりますが──その会費を管理していた、こういった会についてどのように考えておられるのか。知事はそういった会をつくろうとされるのか。公室長は、時期が来たらこの内容についても話すことができるということで総務委員会で答弁をされていましたが、知事はこの会の全容を解明する考えはあるのでしょうか。
 また、会員から行政委員が三人選ばれているということでありました。今後、行政委員の選任のあり方をどのように考えておられるのか、お答えを願います。
 次に、新年度予算編成についてお尋ねをいたします。
 所信では五つの目標ということで幾つかの施策を述べられておりましたが、新年度予算編成において県政の最重要施策をどのように考えておられるのでしょうか。木村前県政の何を継承して、何を変えていくのか。首長が変われば政策が変わることにもなります。政策が変わることによって県民生活が影響を受けることもあります。県民の暮らしをより応援することになる、そういうふうに政策を変えていくということであれば歓迎するところでありますが、どのように考えておられるのでしょうか。
 二点目に、企業誘致と県内産業の振興についてであります。
 知事は、産業政策として企業誘致の推進を第一の課題に掲げておられるように見受けられます。新たな企業誘致は新たな雇用と所得を生み出し、産業連関の広がりによっては経済波及効果も十分期待をできます。前知事は企業誘致のために一企業に最高百億円という破格の奨励金制度をつくりましたが、現在、全国多くの自治体が破格の補助金制度をつくり、誘致合戦をしている状況にあります。立地や雇用に対する補助金制度をつくっても、効果的に活用されなければ意味がありません。和歌山の経済の状況から見て、なぜ企業誘致が第一の課題になってくるのか、知事の企業誘致に対する基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 また、企業誘致のための新たな用地の確保や土地造成を考えているのか。既存の未活用地の活用、これを優先して考えているのかどうかもあわせてお尋ねをいたします。
 雇用や所得の創出という点から見れば、県内で根づいてきている、県民のなりわいでもある農林水産業や中小の地場産業と言われるまさに県経済の担い手への支援、新たな事業拡大や創出に努力しておられる事業者の皆さんへの支援も企業誘致以上に重要な課題だと思うわけですが、知事の所見はいかがでしょうか。
 三点目に、県民の暮らしと社会保障についてであります。
 県民の暮らしの実態をどのように把握されているのでしょうか。本県では、総人口が減少するもとで、生活保護、ひとり暮らし高齢者、障害を持った人、ひとり親家庭など、援護を必要とする人がふえてきています。県経済の活性化とあわせて、県が実施をする社会保障制度の充実も緊急の課題でもあります。県民の暮らしの実情から見て、本県での社会保障施策はどうあるべきか、知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
 医師確保問題については具体的に触れられていますが、医療、介護、障害者福祉など施設整備の問題や、とりわけ県民負担が増大してきている問題について、どのように対応していこうとされているのか。県での独自助成策など考えておられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
 四点目に、行財政改革プランについて。
 行財政改革プランついての見解と内容を見直していく考えはないのか、お尋ねをいたします。
 歳入確保では、年金への課税の強化、定率減税の廃止、住民税の一律一〇%課税、税等の滞納整理など、県税収入を十七年度八百八億円から二十一年度には一千五十一億円と見込んでいます。歳出削減として、公共事業の削減、職員数の削減、民間委託の推進、事業仕分けでの事業の縮小・廃止などで歳出削減を進める内容となっています。問題は、県民生活にも大きくかかわってくることとなり、職員や県民に犠牲を転嫁していくことになるのではないでしょうか。財政のバランスをどのようにとっていくのか。県民への負担押しつけにならないような行財政運営の努力が必要だと思いますが、知事の所見をお聞かせ願います。
 また、手始めに知事自身の報酬や退職金を見直していく考えはないのか、あわせてお答え願います。
 五点目に、県民の意見を聞くことについて。
 知事は、県民の意見を聞いていくということをその政治姿勢の第一にも掲げられておりますが、その基本的な考え方について、また具体的な施策を何か考えているのか、お尋ねいたします。
 地方自治体として、広報と広聴制度の徹底は重要な問題であります。行政にとって都合のいい情報だけ流すのではなく、県民には主権者として知る権利と県政運営に参加していく権利があります。住民参加の県政運営は重要な柱だと考えるものであります。
 ところで、私たちが十二月二十日に知事選挙後に仁坂知事あてに新年度の予算要望書を提出したところでございますが、知事は目を通していただけたでしょうか、お尋ねをいたします。
 最後に、県立自然公園について。
 県立自然公園について一月五日の記者会見で触れられていました。なぜ県立自然公園なのか。県立自然公園の果たすべき役割と現状の認識をどのように考えて、どこをどのように見直していこうとされているのか。
 現在、美浜町では、煙樹海岸県立自然公園を後背地として、煙樹ケ浜と海域を使用して自衛隊が水際地雷の訓練を計画し、関係機関と協議が重ねられているところです。煙樹海岸県立自然公園は、和歌山の自然を代表する景観の一つとして貴重な財産でもあり、保全すべき公園だと思いますが、自衛隊の訓練場の計画があるという問題を視野に入れての県立自然公園の見直しということなのかどうか。この点もあわせてお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの御質問の中で、官製談合事件の教訓と今後の取り組みについての御質問がありました。
 これは、まさに先ほどの玉置議員の御質問にありましたように、志と方法論という問題ではないかと思います。志については、たくさんの方が、こういう問題はぜひやめるんだというようなことを言っております。しかし、大事なことは方法論であります。私は、志については、既に申し上げましたとおり、こういう忌まわしい事件の再発を絶対に防止したいということを申し上げております。しかし、大事なことは、方法論をきちんとやるかどうかということであります。もしやらなければ、それは志を疑ってもいいということだと思います。
 既に、公共調達検討委員会の発足で走り出しております。方法論に関して、私の志がきちんとしたものであるということをわかっていただけると思っております。次は、この検討結果を踏まえて実施することであります。それによって今の御質問に対するお答えをしたいと思っております。
 それから、これまでの原因は何であったか、あるいは実態調査をしたらどうか、こういうような議論がありました。
 これについては、私は一番大事なことは、だれがそれを運用してもきちんとできる、あるいはああいうようなことが二度と起こらないというようなシステムをつくるということだと再三申し上げてきました。そのシステムをつくるためには、当然、あの事件がなぜ起こったか、どのようにして起こったか、あるいはそれがどういうインセンティブでどうなってああいう事態になったのかというようなことはきちんと頭に入れておく必要があります。したがって、その限りにおいて実態把握をするのは当たり前であります。したがって、公共調達検討委員会においては、なぜああいうことが起こったかということは当然作業の一つとしてそれがビルトインされていると考えていただいていいと思いますし、私はそれを期待しています。
 ただし、その検討結果といいますか、過去何があったか、あるいはどんな犯罪があったか、そういうことを調べることが私の今の目的ではなくて、志は、もう二度とああいうことが起こらないようないい制度を和歌山につくるということでありますので、結論は──もちろんその原因は説明いたしますけれども、システムをつくるということにあるというふうに私は思っております。
 それから、私自身の政治姿勢であります。
 政治姿勢でこのようなことを申し上げるのもちょっと恥ずかしい思いがいたしますが、私は前知事と井山さんのような特定の関係にある人物があるかないか──そんなものはありません。もちろん、多くの方から意見を聞かなきゃいけないということは思っております。したがって、あの人はちょっと怪しいから意見は聞かないんだとか、この人は排除しなきゃいけないと、そういうことを申し上げるつもりはありません。したがって、ありとあらゆる方から意見は聞きたいというふうに思っておりますが、やましい心を持って、あるいはやましい志を持って特定の人と結託して何かをするというようなことは決してありません。
 それから、知事を含めた職員の倫理の確立につきまして、条例を制定してはどうかというお話がありました。
 それも手段の一つであるというふうに考えますけれども、実は国の制度も、よくおわかりと思いますけれども、実際の内部的な、あるいは実際の内容は、実は行政の規律で決まっています。したがって、私は今何をしなきゃいけないかというと、これを具体化するための内部規律という形で具体的な規則をつくるということをまず始めたいと思っております。そういう意味で、知事及びその他の特別職も含めた知事部局の職員に係る倫理行動規範の作成を十二月二十日──これは私が初登庁した日でありますが──検討するようにというふうに申し上げた次第であります。
 それから、県と契約関係にある業者からの政治献金の受け取り禁止の条項を内容に含めてはどうかというようなお話がありました。
 これにつきましては、多くを語るまでもないと思いますけども、政治資金につきましては、政治資金規正法等の関係法律の定めるところに従って、適正に、かつ合理的に処理をしてまいればよろしいかと思っております。
 また、不正防止のために内部監察制度、それから内部通報制度の充実というようなお話がございました。
 それについては、大事なことだと思っております。したがって、これも十二月の二十日に私が初登庁したときに、内部監察査察制度の検討を指示したところであります。これも作業を進めておりますので、おいおい発表して県庁の中で守るようにしたいというふうに思っております。
 ただし、この問題は昨年発生した例の官製談合事件、あるいは知事の逮捕につながるような事件だけのためにやるわけではありません。例えば、県庁の職員が不正を働いていなくても効率があんまりよろしくないとか、あるいは県民の皆さんから不満を持たれているとか、そういうようなことについても十分対応できるような、そういう制度にしていきたいと思っております。したがって、集合の概念でいきますと、公共調達制度の一部であるとともに県庁全体の規律の充実という点でも役に立つようなものにしたいと。倫理規程もそうでございますが、この二つについてはそういうふうに思っております。したがって、内部部局にまず検討を命じたところであります。
 それから、御質問にありました、前知事が持っていた親睦会についてでありますが、これは前知事を囲む私的な親睦会であったと聞いております。御質問の趣旨については、私が感想を持ったのは、公私混同はいけないということであります。したがって、私は、こういう問題について、もちろん幾つもこういう親睦会を持って特定の人とだけつき合うという気持ちはありませんが、より重要なことは、県庁の職員にこういうものに関与させると、私的なものに関与させるというのは、それは公私混同だというふうに思います。命令権者の影響力は絶大ですから、私は、県庁の職員にこういう私的なものについて関与させるつもりは全くありません。
 なお、その木村前知事の親睦会に何人かの方々が参加していた、その方が行政委員をされていたということについてどう思うかということでありますけれども、行政委員につきましては、その方の品格あるいは識見、それから影響力の大きさ、人物、そういうことを総合的に勘案して決めています。木村知事も、多分そういう有力な方々あるいは立派な方々と私的にお話をしたかったというふうに私は思います。したがって、そういう方々がたまたまそこに入っていたということについてとやかく私は申し上げるつもりはありません。
 ただ、もちろんその関係が、その方と木村知事との関係が仮に法に触れるようなものであったり、あるいは非難されるようなものであったりすれば、それについては改めてその人の品格を疑わざるを得ないということになりますので、改めて考え直さないといけないのかもしれません。今のところ、そういうことについて何ら情報には接しておりません。
 それから、政治姿勢についてということでありましたが、御質問の趣旨は木村県政のいいところは継承するかということだと思います。これについては、先ほど申し上げましたように、県の制度として、あるいは政策として県庁で堂々とやっていることについては、それは新任の知事としては、まず受け入れざるを得ない。もし変えるとすれば、よく検討して、これについて説明をしながら変えていかざるを得ないと私は思っておりますので、そのようにさしていただきたいと思います。
 それから、新年度の予算編成におきましての具体的な話ということでありました。
 現在、予算編成中であります。和歌山県を元気にするために五つの政策目標を大きな柱として、かつ人件費の抑制とか事業の見直しとか、そういうことをやって捻出した予算を重点的にめり張りをつけて配分することによってこのような政策の実現を図っていきたいと思っております。
 それから、企業誘致と、あるいは県内産業の振興について幾つか御質問がありました。
 企業誘致の推進についてなぜ必要かということでありますが、これはもう県民の多くの方の実感として働く場所を拡大してもらいたいということはあると思います。したがって、ありとあらゆる手段を通じて働く場所を拡大するという中に企業誘致、新しい血も導入するということも当然含まれるということは、議論をしなくても皆さんがお感じになっておられることだと思っております。
 それから、どういう土地かということでありました。
 これについては、県についてもまだ利用されていない遊休土地を持っております。それから、市町村も持っておられると思います。そういう遊休地をできるだけ活用して、これをセールスしていくというのが基本ではないかと思っております。
 ただ、企業ニーズは大変いろんなものがあります。これでは間尺に合わないようなものというのは、例えば民間に持っているような用地も対象にしていかないといけないし、いろんなことも考えていかないといけない。新しいことも考えていかないといけないのかもしれません。だけど、まず今そこにある土地というのをぜひ早く、売りたいといったら変ですが、そこに企業に来てもらいたいということを念頭に置いて努力をするのが筋ではないかと思います。
 これについては、私は県庁の諸君に、県の土地だけを売るのが県の政策ではない、県のプロジェクトだけをやるのが県庁の政策ではない、市町村が持って困っているプロジェクトも、それから民間が抱えているプロジェクトも、県内に働き場所が拡大するのであれば、みんなそれを一致協力して努力して働く場所を拡大するためにやっていこうということを申し上げております。そのために、市町村の方々と県の当局の諸君が今大いに話し合いに入っているということだと信じております。
 それから、御質問にございました奨励金、これを大幅に引き上げたことにつきましては、私は、和歌山県の積極的な誘致姿勢がPRされるなどの面で大いに効果が出てきている、企業誘致活動にも力になっているというふうに思っております。ただ、もちろん、これだけですべて企業が来てくれるわけではありません。したがって、この辺のPR効果も生かしながら、いろいろな戦略を立てて企業誘致に努力していきたいと思っております。
 さらに、県内産業の振興について御質問がありました。
 私は、経済団体の新春互礼会で、働き場所を拡大するためには企業誘致ももちろん大事であるけれども、その企業誘致と並んで、それから企業誘致を成功させるためにも、ここにいる企業の方々がもっともっと発展するということが大事だということを申し上げました。県内産業が大いに発展して元気が出てくるということなしに和歌山に行きたいという企業はなかなかあらわれないというふうに思います。これは、私の長い経験の中でも大いに経験したことであります。したがって、何も新しい血を導入するんじゃなくて、県内産業を振興するということが大事だと思いますので、そのためのありとあらゆる政策手段を動員して、県内の方々も鼓舞しながらやっていきたいと思っております。と同時に、県民全部がその県内の企業、県に現に操業している企業、それを大事にするということも大事だと思っております。いろんな問題は生じます。しかし、同時にその企業は雇用を提供しているということを忘れないで、県民の資産としてみんなで盛り上げていこうということを私は訴えたいと思っております。
 それから、新年度の予算編成について、特に安心・安全の政策をきちんとやるということについての話がございました。
 社会保障費の増加、かさが高くなって、その制度を維持可能とするための制度改正、今、国あるいはもちろん地方公共団体でも大変な問題になっております。その過程で、現に県民の負担が増しつつあるということも認識しております。急激な負担増に対しましては、引き続き国に対して改善の要望を行うということも必要だと思います。
 ただ、社会保障や福祉政策の充実というのは県民のセーフティーネットとして重要な役割を担っているということでありますので、その維持可能性についても、また念頭に置いてやっていかないといけないと思います。そのために、あるいはその前提として県民生活の実態把握に努め、県民の多様なニーズに的確に対応するとともに、必要な人に必要な政策が行き渡るように配慮して充実に努めてまいりたいと思います。
 私は、こういうような政策については精いっぱい予算をふやして、それで充実していきたいと思っております。ただ、同時に、県の財政が仮にそれによって破綻すれば、その先はもっとその人たちの福祉がかなえられないということもまた考えながら、いろんなことをやっていかないといけないと思います。したがって、苦しい中にあってもできるだけ安心・安全の水準が下がらないように、あるいはもっと充実するように今後予算編成で努力していきたいと思っております。
 それから、行財政改革プランについての話がありました。
 これについては、この間も外に発表しておりますけれども、あるいは県庁の職員の前でも申し上げましたけども、基本的には堅持をしていきたいと思っております。
 それから、知事の報酬や退職金の見直しについてというお話がございました。
 これにつきましては、既に給料月額については、特別職報酬等審議会の答申に基づきまして昨年七月一日から六・二%引き下げた、それから給料カットについても六%さらに減額をしているということでありますけれども、御質問の知事の報酬や退職金については、十九年度について県の厳しい財政状況等を考慮して検討してまいりたいと考えております。
 新年度予算編成について、特に県民の意見を聞くことについて具体的にどうしておるかというお話がありました。
 これはまだ実現しておりませんが、できるだけ全県を回りたいと思っております。全県を回っていろんな方と話をしたいと思っております。
 それから、これはちょっと県庁を見張っていていただくとわかると思いますが、物すごく大勢の方と今もお会いしています。少し一人の方とのお話の時間が少なくて、詰めた話ができないなというのが今のところ私の悩みでありますけれども、できるだけ多くの方とお会いするようにしております。
 それから、どうしてもお会いするのは代表の方とかそういう方になっていきます。したがって、個々の人たちの意見を知事につなぐようにという工夫もしております。したがって、手紙やメールあるいはファクスなどで御意見を寄せられることがたくさんあります。毎日このぐらいの紙が来ます。それを私は持って帰りまして、それを全部読んで、それで必要な場合は答えを書き、それから必要な場合は答えを書いてもらうように指示し、あるいは、ちょっとこれは検討すべきだと思ったら検討の指示をしております。したがって、自分自身の言葉で書ける部分というのは、時間的な制約がありまして大変短いということを重々おわび申し上げたいと思いますけれども、そういう御意見はどんどん寄せていただいたらいいかと思います。
 また、県内で大変元気にいろんな活動をしておられる方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々と直接話し合う場というのを「紀の国いきいきトーク」ということで名づけまして、今後積極的にやっていきたいと思います。
 そういうふうにいろんな面から──もちろん県議会の方が一番大事でありますけれども、いろんな面からいろんな方の意見を聞きながらやっていくということであります。これが主として広聴。それから、広報の制度についてもできるだけ充実して意見を聞く実を上げていき、かつ県庁の政策について皆さんにPRをしていくということをやっていきたいと思っております。
 最後に、県立自然公園についてのお話がございました。
 県立自然公園は、県内にあるすぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることを目的に指定されております。既に制度発足から半世紀近くが経過しております。中には都市化の進行、あるいは道路等の整備、あるいは世界遺産、ラムサール条約による重要湿地の指定など、周辺の環境や景観、自然に対する社会の考え方も大きく変化しているところもあります。今後は、県全体のバランスを考慮しながら県立自然公園の指定の見直しについて検討してまいりたいと思います。こういうふうに正面切って考えたものですから、見直しを考えたわけであります。
 私は、常に目的を明らかにして直球勝負でいきたいと思っております。したがって、私の頭の中には、御質問にありましたような隠された他の目的を持って別の政策をするというようなメニューは一つもございません。
 ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 御丁寧な答弁いただきまして、ありがとうございます。
 一つ再確認をしておきたいんですが、さきの知事のいわゆる官製談合事件、それから秘書課でのやみ献金と言われるような問題について、行政の目標というのは、司法当局と違いますから、いかにその再発防止策を立てていくのかということが大事だということは、私もそう思っております。それが制度の問題であるのか、個人の問題であるのか、組織の問題であるのか、さまざまな要因が絡んでの問題というようなことも考えられるわけですが、先ほどの知事のお話ですと、公共調達検討委員会がそういった原因の解明というのももうビルトインされていると。当然その公共調達検討委員会でやっていただきたいというようなニュアンスというふうに理解したわけですが、県民はまだ真相を知らされておりません。司法当局での捜査とか、これから公判ということになっていくだろうと思うんですが、やっぱりこの問題は県民の非常に大きな関心事でもあります。それをどう再発防止策をつくっていくのかという上でも、原因が何だったのかと、どこに問題があったのかと、県としてはこれをどう反省していくのかというそういう真摯な態度を示してこそ、再発防止策ということについても納得がいくものになると思うんですね。そういう点で、仁坂知事としては、この事件の真相解明をするという意思を持ってこれに当たろうとされているのかどうか。その点をもう一度きちっとお答えを願いたいと思うんです。
 新年度予算が今編成時期でありまして、これができてからまた拝見させていただきまして、いろんな意見も言わせていただきたいと思うんですが、ただ、やっぱり今、県民の暮らしというのは大変です。中小零細事業者の皆さんにしても、高齢者、障害を持った皆さんについてもですね。国のシビルミニマムとしての最低基準としての制度はありますが、やっぱり和歌山県としてそれで十分なのか、どこがどう足りないのか、じゃあどうするのかということを、その限られた予算の中でありますけども最大限努力していくということもやっぱり大事な問題であります。そのことによって財政破綻するというような、そんなことはだれも申し上げてないわけで、そういうことも含めて十分予算査定に当たっていただきたいと、これは要望を申し上げますが、先ほど申し上げました一点、その真相の解明についての知事の態度というのをちょっと聞かせてください。
○議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの一点につきまして御答弁を申し上げます。
 真相解明についての真摯な気持ちがあるから、真相解明をして新しいシステムをつくってそれを防止するということでございます。私の今抱いている気持ちとしては、アウトプットはこういうことにしたらいいんだということになろうかと思います。ただ、それは、こういうのを防止するため。その防止するためというのは、実は過去に起こったああいうことを防止するためですから、したがって、何が起こってどういうのが問題だったのかとわからなければ、そういうことは、いい制度はできないわけです。
 したがって、私が申し上げているのは、真摯な気持ちで検討委員会でびしっと検討してもらって、それでその真相解明にとどまることなく、それを改善するための制度をきちんとつくって県民に信を問わないといけないということを申し上げているわけであります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 以上で、午前中の質問を終わりたいと思います。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十五分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 緊急質問を続行いたします。
 次に、新田和弘君の質問を許可いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、平成十九年一月の臨時県議会で緊急質問をさせていただきます。
 まず初めに、昨年十二月十七日に執行されました和歌山県知事選挙におきまして多くの県民の皆様の御支持で初当選を果たされました仁坂吉伸新知事に、心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
 今回の県知事選挙は、県政史上初めての談合事件で知事が辞職するという異常事態の中で行われました。県民の皆様は、新知事に清潔な政治の実現と県民を裏切らない信頼できる県政の確立を強く願って一票を投じたものと確信いたしております。私は、仁坂知事にまず取り組んでいただきたいことは、清潔な政治の実現のため談合防止システムを確立させて県政に対する信頼をぜひ回復させていただきたいと思います。
 昨年十二月に全国知事会は、県政のトップの相次ぐ逮捕を受けて、知事会の談合防止策検討チームが入札改革指針を決定いたしました。指針の柱は、一、指名競争入札を早期に廃止する、二、予定価格一千万円以上の工事は原則として一般競争入札とする、三、独立した内部告発窓口を設置する、四、課長級以上の幹部職員は担当職務と関係ある企業への天下りを最低二年間は禁止する、五、電子入札は三年以内に全面導入を目指す、などとなっております。さらに、知事会は指針の中で、談合は税金の詐取であり犯罪と言い切っております。
 しかし、まことに残念なことに、昨年十二月一日の日高振興局建設部の日高川河川工事と、十二月十九日、有田振興局建設部の広川町内の道路整備工事において、いずれも談合情報があり、情報どおりの業者及び応札金額であったため入札を無効としたとのことであります。
 仁坂知事は、談合防止システムをつくるため、郷原信郎桐蔭横浜大学法科大学院教授を委員長とする公共調達検討委員会を設置し、本年一月に初会合を開催してきております。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
 本県で昨年起こった官製談合事件の再発防止を図り、県政に対する信頼回復にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、仁坂知事の所信表明と平成十九年度予算編成に関連してお尋ねいたします。
 本県は、厳しい財政状況の中、行財政改革に取り組んできております。平成十八年八月に、総務省が地方公共団体における行政改革のさらなる推進のための指針を通知しました。新指針では、行政改革推進法、公共サービス改革法、骨太方針二〇〇六を踏まえ、地方行革のさらなる推進に向けた指針となっております。総人件費改革では、地方公務員の職員数を五年間で五・七%純減させる、地方公務員の給与は地域民間給与のさらなる反映など給与適正化の推進、第三セクター等の人件費等の改革などが挙げられております。公共サービス改革では、事業の仕分けを踏まえた公共サービスの見直し、市場化テストの積極的な活用等の改革が示されました。
 本県では、行財政改革の推進に当たり集中改革プランを策定し、事業の仕分けを実施し、ゼロベースから業務の見直しなどにより、平成二十二年四月までの五年間で職員数を一〇・六%の純減を図る、さらに、市場化テストの導入、民間委託の推進により二十億程度の人件費を削減するとしております。
 そこで、知事は本県の行財政改革の推進に対してどのように推進されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、今回の地方自治法の改正に伴い、平成十九年四月より出納長の設置がなくなり、会計責任者を置くと改正されました。こうした改正により、副知事を二名にする動きがあります。また、地方行政のあらゆる分野で公正の確保と透明性の向上を図るため、監査機能の充実の観点から、識見を有する者から選任する監査委員の定数を条例で増員することができることになりました。鳥取県では昨年十二月県議会で定数を二名増員したと伺っております。知事は今臨時議会に副知事選任の議案を提案されましたが、三役人事及び監査委員制度、監査機能の強化に対する見解はどうか、お尋ねをいたします。
 次に、知事が所信で述べられました和歌山を元気にするための五つの目標のうち、職づくり、人づくり、地域づくり、安心・安全の確保、和歌山の美しさを生かした観光の振興の三点についてお尋ねをいたします。
 平成十九年度の政府予算案では、公共事業関係費が厳しく抑制され、道路関係予算の全体が三%カットされる中、本県では海南─吉備間四車線化、みなべ─田辺間が平成十九年度供用に向けた予算計上、また京奈和自動車道等必要な予算が確保され、高速道路事業の促進が期待されております。また、関西国際空港関係予算においても、二期滑走路が本年八月二日に限定供用するための予算が認められたことは、本県にとりまして大変喜ばしいことであります。
 知事は、公共インフラを整備して企業誘致を図り、若者が地元で安心して働けるようにしたいと述べております。先日、私も、和歌山市で事業を営む方から、「和歌山県は苦労して苗木を育てても、大きくなってこれから実がなるというころに大阪や東京に根こそぎ持っていかれてしまう。ぜひ和歌山に若者の働く場を確保していただき、人がにぎわう町をつくってほしい」との強い要望を受けました。企業誘致については、本県でも今日まで努力をしてきておりますが、さらに知事の経験と人脈を生かしていただき、企業誘致に取り組むなど、若者が本県で安心して働ける職づくり、人づくり、地域づくりに知事は今後どう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、安心・安全の確保に関して、少子化対策についてお尋ねいたします。
 本県の人口は、県の推計人口によりますと、平成十八年十月一日現在で百二万八千四百二十四人であります。一年間の人口の増減数は七千五百四十五人の減少と〇・七三%の減となり、減少幅は前年に比べ拡大してきております。本県の平成十七年度の合計特殊出生率も一・三二で、全国第三十四位であります。
 最近、福井県が合計特殊出生率をアップさせた県として注目を浴びています。官民一体の取り組みを行っている福井県の例を挙げますと、病児デイケア施設が八市二町で十五カ所設置されております。また、ふくい三人っ子応援プロジェクトがスタート。三人目の子供は保育所等の利用料金が三歳に達するまで無料化されております。さらに結婚対策にも力を入れ、結婚相談事業では相談員を二百人に増員して、昨年は四十三組のカップルを誕生させたとのことであります。また、父親子育て応援企業に対して知事表彰を行い、表彰を受けた企業が県中小企業育成資金から融資を受けた場合、保証料を県が全額負担するなどの取り組みを行っております。
 本県においても、少子化対策として今日まで、乳幼児の医療費の無料化の拡大を初め、多様な保育サービスの提供など種々の施策を実施してきていますが、知事は本県の少子化対策にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、和歌山の美しさを生かした観光振興についてお尋ねをいたします。
 本県は、高野・熊野が世界遺産に登録され、豊かな自然と白浜、勝浦に代表される温泉地など、数多くの観光資源に恵まれております。平成十九年度の政府予算案では、観光・サービス産業支援に向けた新たな施策として広域総合観光集客サービス支援事業が創設されるとともに、新規事業として、中小企業地域資源活用プログラムにおいて地域資源を活用した新商品、新サービスの開発、事業化等に対して九十三億円余の予算が計上されました。さらに、観光産業への人材育成として和歌山大学経済学部観光学科が認可され、本年四月より開講されることは大変に喜ばしいことであります。
 本県では、県産品の販路拡大や観光客誘致の取り組みを行い、生産量が日本一となったミカンの紀州和歌山みかん日本一祭を東京で開催や、県内企業の中国市場進出を支援するためテキスタイル製造企業と中国アパレル企業との商談会を上海市で開催、さらに昨年十月には韓国メディアによる県内観光地視察を実施してきております。また、本年一月二十三日には社団法人和歌山県観光連盟と独立行政法人中小企業基盤整備機構近畿支部が主催をして、田辺市で「観光産業の新時代へ そのヒントは和歌山にある」と題してパネルディスカッションが開催される運びであります。
 そこで、観光立県を目指す本県の観光振興に知事は今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 私は、新知事の県政のスタートに当たり、知恵は第一線の現場にあると言われるとおり、知事は県民の声を十分聞いていただき、県職員の力を十二分に発揮できるようお願いしたいと思う次第であります。私たち県議会も県政への提言とチェック機能をさらに高め、当局と議会が車の両輪のごとく、ともに切磋琢磨し、県政に対して県民の信頼回復に邁進することを決意し合い、質問を終わらせていただきます。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの新田議員の御質問に対しまして、お答え申し上げます。
 再発防止対策と県政の信頼回復についてでありますが、今回の不祥事の再発を断固防止するため、先般、我が国のトップクラスの有識者六名によりまして公共調達検討委員会を発足さして第一回目の検討委員会を行ったということは、御指摘のとおりであります。これによりまして、最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築について御提言をいただくことにしまして、このような事態が二度と起こらないような最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭したいと考えております。そのためには、この委員会におきましては徹底的に、この事件が何で起こったか、それでどういうふうにして起こったか、それ、どういうところに問題があるのかということを実態を解明してもらいつつ、それに対する処方せんをきちんと書いてもらうということをお願いしたいと思っております。
 また、御指摘のように、実は私の当選の翌日でございますが、全国知事会から都道府県の公共調達改革に関する指針が示されました。この指針も参考にしながら、効率性の向上あるいは公共工事の質の確保、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保、それから和歌山県の建設業界の健全な発展という、私が申しました四つの観点から御検討をお願いしていただくことにしております。この委員会の結論を踏まえ、県議会を初めとする県民の皆様の意見も聞きながら早期に、談合及び官製談合が起こりにくい、いえ、起こり得ないシステムを構築してまいりたいと思っております。
 二番目に、本県の行財政改革の推進につきまして御質問がありました。
 行財政改革につきましては、一番大事なことは県政の持続可能性であると考えております。行財政改革は大変な痛みを伴うものでございますけれども、私は引き続き推進していく必要があると考えております。
 本県では、昨年三月に策定いたしました行財政改革推進プランに沿って事業の仕分けや市場化テストなどを実施し、現在、予算編成や職員定数の改正に取り組んでいるところでございます。このプランにつきましては、私は先ほどから他の議員の前の質問に対してお答えいたしましたけれども、前の県政のいいところはきちんと承継するというふうに申し上げました。私は、今のところ、このプランについては、その実施を推進すべきだ、承継すべきだというふうに思っております。
 今後も、限られた予算や人員を重点的に取り組むべき施策に配分するために、職員数の定数、職員数の削減、あるいは事業の廃止、あるいは民間委託の推進等、あらゆる行財政改革をこのプランに沿って着実に実施してまいりたいと思っております。また、もちろん、その実施の過程でいろいろ欠けているところが発見されましたら、それを是正していくということにはやぶさかではありません。
 次に、三役人事と監査委員の制度あるいは監査機能の強化という御指摘がございました。
 議員御指摘のとおり、地方自治法の改正に伴い、平成十九年四月から出納長を廃止し、これにかわり会計管理者を置くことになります。副知事の定数につきましては、この機会に複数制への他府県の動向あるいは適切なトップマネジメント体制の構築などを総合的に勘案いたしまして、できますれば定数二名という方向でお願いをしたいと私は考えております。今回、副知事選任議案をお願いしているところでありますが、残り一名の選任につきましては、今後、行政需要を見きわめた上で改めて御相談したいと考えております。
 また、今回の不祥事件にかんがみまして、県行政全般に対するチェック機能を強化する必要があるということは痛感しております。御指摘のように、監査あるいは監察、そういう方面についての強化をすべきだということは全く共感を持つところであります。
 そこで、私は昨年初登庁いたしましたときに、「監察査察制度」と自分では命名しましたけれども、それの抜本的な強化をしたいんだ、したがって前例なども含めて徹底的に勉強してほしい、検討してほしいということを事務当局に申しまして、その成果は実は着々と上がっております。いずれ、それを改めて成案を皆さんに御説明申し上げることができるかと思います。
 他県の例も御指摘がありましたけれども、私は、全体の監査制度の強化あるいは監察制度の強化の中でどういう形が一番効率的か、あるいは効果的かということを考えてやってまいりたいと思っております。したがって、今おっしゃった人数をふやすということについては、もちろんメニューの一つではあろうかと思いますけれども、必ずしもそれにこだわらず、全体的な効果が出るような制度は奈辺にありやということを考えていきたい、こういうふうに思っております。
 それから、その次に職づくり、人づくり、地域づくりへの取り組みについて御質問がございました。
 御指摘のありましたとおり、私も、選挙期間中、県内各地を回った際に、経済を活性化して働く場所をふやしてほしい、子供や孫が働く場所がほしいという御要望が多いことを痛感いたしました。そのために、地域に住み続けたい、地域で働きたいという若者がふるさとを離れずに済むように職づくりを積極的に展開してまいりたいと思っております。
 まず、企業誘致に関しましては、市町村との連携をさらに強めて、今後成長が見込まれる分野を絞り込んだ上で、雇用効果の高い企業を対象にして戦略的に取り組んでまいりたいと思います。また、私自身の経験、人脈等を活用し、必要に応じてトップセールスを行うなど、企業誘致の先頭に立って努力する所存でございます。
 ただいま大変忙しくて電話をかける暇が少ないというのが、今、私の悩みでありますけれども、この議会が終わりましたら、全国知事会が開かれますので東京に参ります。そのときに早速、少しこれを、手がかりをつけていきたいというふうに思っております。いずれまた具体的な話は申し上げたいと思います。
 また、本県の企業がもっと飛躍できるように地域経済を支える中小企業を総合的かつ戦略的に支援してまいりたいと思っておりますし、本県が誇る豊富な農林水産物につきましては、生産者はもとより、流通業者あるいは販売業者から消費者に至るさまざまな関係者や関係団体の御意見をお伺いして、販売促進のための戦略を立ててまいります。
 私は、企業誘致にしろ、あるいは産業発展にしろ、農産物の販売促進にしろ、観光にしろ、全部県を挙げて、あるいは県民の総意を結集してというふうにやっていきたいと思っております。県の行政だからといってそこだけにこだわるのではなくて、市町村のプロジェクトも全部一緒に実現に向かって働いていくというのが県政のあるべき姿だと思っております。そういうふうにして、今後、市町村や関係団体の方々あるいは関係企業の方々と連絡を密にしながら、県庁一丸となって頑張っていきたいと思っております。
 あわせて、産業の振興に不可欠な基礎的なインフラの整備も進めていかなければいけません。和歌山の交通ネットワーク、これについては他県と比べても特に脆弱だと思います。これは、いろんなところで発展の阻害になると私は思います。企業誘致のところでもそれはマイナスのハンデになりますし、それから産業発展もそうですし、観光の振興にしてもなかなか重荷になります。嘆いていてもしようがないので一斉に始めますが、これについても県としても、あるいはまた国にお願いして努力をしていきたいと思っております。
 その他の企業の立地や成長も、その地域の人材やその地域の持っている長所の発揮なくしては考えられないと一方では思います。和歌山県民が持つ進取の気性、高い道徳心をいま一度見詰め直して人づくりを進めるということをやっていきたいと思っておりますし、本県の豊かな自然を活用して都会の人が安らぎを感じるような地域づくりを行い、これによって県外からの人の流入もぜひ進めてまいりたいと思っております。
 次に、少子化対策を中心とするような安心・安全の政策についての取り組みについての御指摘がございました。
 安心・安全政策の中でもとりわけ少子化対策につきましては、私は重点を置いていきたいと思っております。既に県の次世代育成支援行動計画、「紀州っ子元気プラン」と申しますが、それに基づきまして、県としてもこれまでも取り組んでいるところであります。安心して子供を産み育てることができる環境づくりは、私は県政の重要かつ喫緊の課題であると認識しております。
 新田議員から他県の例を御紹介されました。これにつきまして、私はいろんな政策メニューが詰まった政策であると思います。少子化対策には出産前、それから妊娠期あるいは育児期、ライフステージごとにいろんな対策が必要だと思います。ただ、私が一番重点を置きたいのは、特に働く女性が抱えている育児期の政策であります。育児期の支援、子育て支援、そういうことだと思っております。なぜならば、そこがきちんとしておれば、出産をしようと、あるいはそのために妊娠の問題について問題を解決しようとか、そういうふうに皆さんきっとおなりになるというふうに信じるからであります。したがって、そこのところにつきましてはこれから予算編成をしていくわけでございますけれども、できるだけ重点的に考えて、働く女性の子育て支援を県としては全面的に支援していけるように考えていきたいと思っております。
 次に、観光振興への取り組みについてお話がございました。
 本県は、緑の山、青い海、澄んだ川などの美しい自然、あるいは世界遺産に登録された高野・熊野地域に代表される奥深い歴史、文化、さらには四季折々のしゅんのさまざまな味覚を満喫できる新鮮な食材や心をいやす温泉など、すばらしい地域資源を有しております。私は、今後このような県内各地域固有のすぐれた地域資源を効果的に活用することで観光客の増加に努めるとともに、地域が取り組む観光を核とした新たなビジネスの創出を支援する、そういうことをやっていきたいと思います。それによって観光集客サービス産業の振興を図りまして、各地域の活性化を進めていきたいと思っております。
 先ほど新田議員から、国の施策についても御紹介がございました。これにつきましては、私はかねがね申し上げておりますけれども、利用できるものは国の施策はどんどん利用して、和歌山県が得になると思ったものは利用した方が得ですから、利用したいと思っております。そのためには、この政策がどうやったら利用できるか、あるいはこの政策のねらいとしているところは何で、また、合否がありますから、その合否の合になるための戦略あるいはプレゼンテーション、そういうものはどういうものかということもまず勉強しておかないといけません。それで、電話をかける暇がないと言って嘆きましたけれども、数日前から早速手を打ちまして、県の非常に有望な若手職員を東京や大阪に派遣して、今回新たにつけ加わった政策は何だ、それから、その政策適用のメルクマールは何だというようなことについて徹底的に勉強してくれというふうに申し上げたところであります。
 また、同じようなことは、いろんな機会を用いまして和歌山県のいろんな方に情報を提供していく必要があると思っております。私のところに、幸いにしてたくさんの方があいさつに来られます。ちょっとここで申し上げるような言葉ではないんですが、「飛んで火に入る夏の虫作戦」と言いまして──言葉遣いは不適当でありますが──来られた方につきましては、単にあいさつをしてお帰りになるんじゃなくて、ぜひ和歌山県に情報を落としていってもらいたい、そういうことを申し上げております。近畿経済産業局長が数日後に当県にあいさつに見えます。そのときに、ぜひ産業界の方々に新しい経済産業政策のあり方について説明をしてほしいというようなことを申し上げまして、快諾を得ています。今、県庁がその案内をあちこちにばらまきつつあるというところであります。そういうふうにして、情報は全部和歌山県の人たちがたくさんいただいて、それの適用についてみんなで考えて、それで経営をどんどんよくしていく、あるいは事態をどんどんよくしていくために努力していくということが大事だと思っております。
 こういうふうに、国の施策等も十分に活用しながら、各市町村、地域の観光業者、あるいは和歌山県だけに限りませんが、旅行エージェント並びに観光を取り巻く産業界や産業支援機関と一体となって各地域ごとの戦略的売り出しをしていきたいというふうに思っております。さらに、メディアも活用しまして和歌山売り出し作戦を積極的に推進してまいる所存であります。
 なお、先ほども申し上げましたように、この和歌山売り出し作戦を展開するに当たりましては、県庁だけが独走するということではなくて、あるいは皆が孤立して行うということではなくて、地域の関係者の方々と活発な意見交換を交わしながら役割分担も決めて、それで一丸となって進めてまいりたいと思っておりますし、幾つかの地域とはこういう話し合いを既に始めているところであります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 次に、東幸司君の質問を許可いたします。
 二十五番東 幸司君。
  〔東 幸司君、登壇〕(拍手)
○東 幸司君 本日の緊急質問のラストバッターとなりました。
 前出の質問者の皆さんと内容が重複するところが多々ございますけども、御容赦いただきまして、あとしばしの間、御清聴のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まずは、仁坂知事、御就任、まことにおめでとうございます。県政への信頼が失われた中での船出ということでありまして、これから先、いろいろと大変な御苦労も多いことと存じますが、県政の信頼回復と本県の活性化に向けて全力でお取り組みをいただきたいと思います。
 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきたいと思います。
 まずは、不正防止策についてお尋ねをいたします。
 仁坂知事は、選挙期間中より、知事就任の暁には真っ先に今回の不祥事、再発防止のためのシステムづくりについて取り組んでいく旨の御発言をされ、また県民にそのことを強く訴えてこられました。そして、就任後間もなく今月五日に、その言葉どおり、まずは公共調達検討委員会を設置され、その構成メンバーを発表し、また十日には第一回の委員会が開催されたわけでありますが、このスピーディーな動きには一定の評価をさしていただき、今後の対応に大いに期待したいと思っております。
 昨年の福島、本県、そして宮崎の一連の官製談合事件を受けまして、全国知事会でも埼玉県の上田知事を座長として公共工事の入札・契約の適正化を図るプロジェクトチームを組織し、その対応策についていろいろと議論・検討され、昨年十二月十八日に開かれました全国知事会の総会で、可能な限り早期に指名競争入札を廃止し、当面、予定価格一千万円以上の事業を原則として一般競争入札にし、また三年以内に電子入札を全面導入して、極めて談合しにくい状況をつくり出すとしております。また、談合に関し違法や不法行為にかかわった業者につきましては、最低でも十二カ月以上の入札参加停止にすることや違約金の割合を契約額の二〇%以上にすることなど、そのペナルティーを強化することと決めました。また同時に、課長級以上の職員を、退職前五年間の担当業務と密接に関係する民間企業への再就職を最低二年間制限することといたしました。そして、この指針をより実効性のあるものにしていくために、定期的にそれぞれの都道府県の取り組み状況などを調査、進捗ぐあいを点検、公表していくとのことであります。
 そうした流れの中で、知事会の指針に沿っていち早く大阪府がその対応を決め、二〇〇八年度から原則指名競争入札を廃止し、発注工事のすべてを一般競争入札とすることを年末に発表しております。しかしながら、今回の不祥事の舞台となりました本県や福島、宮崎の各県がまず率先して全国に対し談合防止システムのモデルケースを示すことが、その責任を果たす意味でも大変重要であると強く思うわけであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 まず、ここで改めて知事の談合防止に対する意気込みといいますか、その決意のほどをお伺いいたしたいと思います。それから、知事の肝いりで設置されました公共調達検討委員会の今後の活動方針とその見通しについてもお聞かせをください。
 次に、昨年十二月議会の一般質問におきまして私は、談合問題も含めて自治体としてのすべての不祥事を防止するために、独立性を保った形で県庁内部を監視できる特別監査官なるものを提案させていただきました。今回の本県の不祥事では、前知事が改革派と称され、入札改革にも着手をしながら、他方でその入札に関して不正に手を染めていたことが最大の問題であり、たとえ県のトップが不正の意思を持ったとしても、また何人たりとも不正を働けないようなシステムをどうつくっていくかが最大のポイントであると思うわけであります。組織の内部を監視しなければならないということは、県行政にかかわる者としても非常にじくじたる思いもありますが、ここは性悪説にのっとり、その監視機能を高める以外に不正防止を確保する道はなく、また県民の皆さんの県政に対する信頼回復への道はないと思うところであります。
 そこで、このような第三者機関的な独立した組織で、内部通報などにも対応でき、県庁内部に対する調査権を付与されたような機関について、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、今ちょうど来年度の当初予算査定の最中でありますが、仁坂知事は、これからの県政運営に先立ち、この和歌山県をどのような県にされたいのか、ぜひともその青写真といいますかビジョンをお示しいただきたいと思うわけであります。もちろん、就任されたばかりでありますので、詳細についてまではなかなか難しいとは思いますが、しかし、まず最初に大きなビジョンがあって、そこからいろいろな課題が認識され、そしてどのようにその課題を解決するかという計画となり、次に具体的な行動となって物事が効果的に前進していくと思うわけであります。しかし、もしビジョンなしにさまざまな事柄に取り組まれたとしましたら、それは場当たり的なことにしかならず、結果として生まれてくるものは何とも無秩序な状況をつくり出してしまうだけとなってしまう懸念があるわけであります。
 本県は、年間平均気温十七・六度、年間日照時間二千二百八十時間と、全国平均よりもはるかに温暖な気候の中で多種多彩な農産物や海産物などの自然の恵みを受け、大変風光明媚な土地柄でもあり、世界遺産を初め、その観光資源にも事欠かない状況にあります。しかし、またその一方で、本県の人口減少やその過疎化、少子高齢化の加速、また社会インフラ整備のおくれなどなど、深刻な課題も山積しております。このような状況にあるからこそ、今、本県が持っておる優位性を生かしながら、かつ課題を解決でき得る大きな視点からのビジョンがぜひとも必要であると思うわけであります。
 そこで、知事に、この和歌山県を今後どのようにしていくのか、将来のビジョンをお伺いしたいと思います。
 次に、本県の活性化についてお尋ねをいたしますが、和歌山県をいかにして元気にするか、そのことが使命であるとも知事は県民に強く訴えてこられました。そこで、まずは本県活性化のために必要不可欠であります人口減少対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 皆さんも御承知のように、本県の人口は、平成十七年度国勢調査によりますと、平成十七年十月一日現在でその総数は百三万五千九百六十九人であります。平成十二年度から十七年度の間の人口増減数は三万三千九百四十三人の減少であり、その増減率はマイナス三・二%と、秋田県の増減率三・七%に次ぐ全国ワースト二位という残念な状況であります。また、本県の人口調査を見ましても、平成十七年十月一日からの一年間を見た場合、出生数から死亡数を差し引いたいわゆる自然増減数はマイナスの三千二百四十四人であり、特に本県の二三・二%という全国でも十三番目という高さの高齢化率と、さらには少子化から判断しますと、この自然増減数は改善される見込みよりも、むしろ悪化の一途をたどることは容易に予想のつくところであります。
 また、平成十七年十月一日からの一年間に県外から県内に転入してきた人数と県外へ転出していった人数の差し引きは、マイナス四千三百一人と、平成八年以来十一年間連続の転出超過であります。特に若者の県外大学、短大への進学者割合が八八・八%と十九年連続の全国一位であり、恐らくその大半が卒業後も県内に就職先がないなどの理由によりそのまま県外にとどまり、そのことが本県の人口流出の大きな一因であるとの指摘もあります。
 以上のことからいたしまして、本県の人口減少につきましては一刻の猶予もならないほどの危機的状況にあり、本県の活性化を議論する上で、その有効な解決策に向けて最も迅速に手を打たなければならない喫緊の課題であると危惧いたしております。
 言うに及ばずでありますが、資本主義の世の中である限り、人がたくさんいてこそ物やお金が活発に動き、そのことが地域の活性化につながっていくことは当たり前のことであります。人口減少に歯どめをかけられなければ、その地域の勢いは、当然のことながら先細りになっていく以外にないわけであります。
 そこで、日本全体が人口減少社会を迎えたこともあり、これからの時代は魅力のある自治体には人口が集中し、また逆に魅力に乏しい自治体からは人口の流出がとまらない状況となり、市町村も絡んだ形で各自治体による人口争奪戦のような様相を呈してくるとも言われております。
 そこで、本県としてこの大きな課題にどのように取り組んでいくべきか。もちろん、一朝一夕に解決できるような施策はなかなかあるわけではなく、さまざまな施策を複合的に用いることによってのみその効果を発揮できる可能性が出てくるわけでありますが、本県としてのこの課題に対して知事はどのようなお考えをお持ちであるのか、お聞かせをください。
 次に、経済の活性化についてお尋ねをいたします。
 この年末年始の報道等によりますと、いざなぎ景気を超えてさらに好景気が続くとの話が多く取り上げられましたが、依然として地方におきましては、まだまだその実感がつかめないのが実情であります。ちなみに、昨年末の近畿財務局和歌山事務所が発表しました県内の景況判断指数が十年ぶりにプラスに転じたとのことであります。特に中小企業の売り上げ増がその一番の理由であったということが、今後の県内景気好転への可能性を示唆しているとのことでありました。
 この調査結果からしますと、確かに本県におきましても、ようやく景気回復の足音がかすかに聞こえてきたような状況にあると思われます。しかし、またその一方で、先ほどの人口減少問題とも大きく関連いたしますが、県内の有効求人倍率は昨年の十月現在で全国平均の一・〇六倍を大きく下回る〇・八二倍というのが実情であるとの報道もあり、県内の景気回復にはまだまだ予断を許さない状況であるとも言えるわけであります。
 こうした状況を打開するための一つの有効な手段として、まずは雇用をふやすための企業誘致があり、当局にも積極的に取り組んでいただいておりますが、社会インフラの整備や情報通信網の整備など、まだまだほかの地域に比べておくれている面もあり、また本県の地理的条件など、その条件面でなかなか苦戦を強いられているのが現状であると聞いております。
 そこで、知事にお尋ねいたしますが、今後企業誘致をどのように促進していかれるのか。また、県内の中小企業の活性化など、本県経済を活性化するためにどのような施策が必要であると考えておられるのでしょうか。あわせてお聞かせをください。
 最後になりますが、本県の産品の輸出、特に農産品についてお尋ねをいたします。
 仁坂知事の御経歴の中で、社団法人日本貿易会の専務理事をされておられたことがあると聞いておりますので、このテーマはまさしく知事の得意分野の一つであると御推察をいたしますので、個別的な案件になりますが、ぜひとも知事のお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
 この件に関しましては、以前にも質問させていただいたわけでありますが、本県の最大の産業の一つが農業でありますことは言うまでもないことであります。その農産品の巨大消費地ということで、国内だけではなく、アジアの市場にももっと積極的に打って出るべきであるということは以前にも申し上げたところであります。特に十三億という圧倒的なその人口を誇る中国の市場が日本のすぐ目の前に大きく広がり、存在しているわけであります。中国は、WTOに加盟してからのこの五年間を経て、昨年の貿易総額が三倍以上の一兆七千億ドル、日本円に換算して約百九十六兆八千億円以上にもなるとのことで、今や世界第三位の貿易大国に躍進いたしました。恐らく今年度末には、ドイツを抜いてアメリカに次ぐ第二位に踊り出るとも言われております。また、中国国内の経済成長率を見ましても、一九九五年から二〇〇五年の十年間の年平均で一三%の成長があり、名目GDPは推定で世界第五位となり、既に日本の五〇%程度の水準に達しているとのデータもあります。このペースで成長が続けば、最も遅くとも今後十年前後で日本の経済規模を抜き去ることが確実視されてもおります。このような状況に比例して中国国民の所得水準も年々向上し、富裕層も確実に拡大してきていると言われております。
 また、東アジア諸国に関しても近年成長が著しく、昨年までの五年間連続で力強い成長を記録しており、もちろん中国が東アジア全体のGDP成長を支えている感はあるものの、東アジア地域の一日二ドル未満で生活をしているいわゆる貧困層とされる人口も、この経済成長に伴い、二〇〇五年以降、約二千五百万人以上の人々が貧困から脱したというデータもあるわけです。さらには、今後、早ければ二〇一〇年ころには東アジア地域全体で九〇%近い人々が貧困から脱して、いわゆる中所得者層に変わるとする調査見通しもあるほどであります。したがって、当然のことながら、所得水準の向上に伴って消費市場としての魅力も大きく高まってくることは容易に想像できるわけであります。
 次に、中国や東アジア諸国と比べますと少し日本からの距離はありますが、もう一つの有望な巨大市場がインドであることは言うまでもありません。インドの人口も既に十億人を超え、中国に次ぐ世界第二位の人口を有し、その経済成長率でも、ここ数年は一〇%前後の成長を遂げ、成長率では今年度中に中国を抜く可能性も出てきました。また、インドと日本の関係は、中国と比較した場合、政治的にも安定しており、また歴史的な問題もないということでは、中国よりもむしろインドの方が、検疫の問題なども含めてその交渉がしやすいということも言えるかもしれません。
 いずれにしましても、同じアジア圏に世界の一、二を誇る巨大市場があり、また勢いのある東アジア諸国の市場があることは間違いなく、何としてもこうした市場に本県産の農産品をもっと果敢に売り込んでいくべきであると考えますが、そこで、知事にこうした国々への輸出に関するお考えをお尋ねいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの東幸司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの東議員の御質問に対しましてお答え申し上げます。
 まず、談合防止及び公共調達検討委員会の活動見通しについて御質問がありました。
 私は、先ほどからるる申し上げておりますように、談合の再発防止と清潔な県政の実現を目指すということを公約の大きな一つと掲げておりました。そこで、今回の不祥事の再発を断固防止するために、ルールの見直しを早急に検討していただくために公共調達検討委員会を設置いたしまして、去る十日に第一回の委員会を開催したところであります。この委員会では、効率性の向上、公共工事の質の確保、いわゆる天の声の徹底排除と県庁の規律の確保、和歌山県の建設業界の健全な発展という四つの観点から御検討していただきたいと私はお願いをしたところであります。
 先ほど、全国知事会のお話もございました。全国知事会におきましては、一つの提言をいたしました。この提言の内容の幾つかは、実は和歌山県においても全く無縁ではなくて、既に採用しているものも結構あるわけであります。しかしながら、それに対してあの事件が起こってしまったということをもう一度肝に銘じて、制度全体を見直して、それで全国のまさにモデルケースとなるような制度をつくって、和歌山県を今度は名声の和歌山県ということにしたいというふうに思っております。県議会を初めとする県民の皆様の意見もお聞きしながら、検討委員会の結果が出ましたら、それを早速実施して、先ほどのような名声を和歌山に取り戻したいというふうに思っております。
 それから、県庁の内部特別監査官というお話がございました。
 実は、談合を初めとするようなこうした不正を防止すると、そのためにコンプライアンスの徹底をするということは、とても大事なことであります。そのために、私は就任早々、「内部監察査察制度」という自分の名前をつけましたが、そういう制度を、徹底的にいい制度をつくりたいということで、前例も調べながら、今、内部で検討をしているところであります。
 これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、不正の防止というだけではなくて非効率な行政の是正という面もあわせてやっていただくような、そういう制度をつくりたいと思っております。例えば、不正だけが県庁の行政の問題点ではありません。例えば、いろいろな意見を言われた、それが十分県庁の中に届いてなかった、そういうことがあっては県民の皆さんに申しわけない。あるいは約束したことが実施されていなかった、あるいは、怠業と言ったらおかしいんですが、非効率なために仕事が進んでいないところがないかどうか、態度の悪い職員はいないかどうか、そういうことも含めて、全部県庁の規律を高め、効率を高め、効果的な行政をするためのそういう制度をつくっていきたいと思っております。
 和歌山県の将来ビジョンについてお話がありました。
 多分、二つの御質問の意味があったと思います。一つは和歌山県をどういうふうにしたいかという問題と、それから、私が所信表明演説で申し上げましたような県の長期総合計画という問題と、二つあったように私は思いました。二つについて申し上げます。
 前半の方の問題点につきましては、私は和歌山を元気にしたいとずっと申し上げております。そのために五つの政策目標を具体化して、それによって和歌山を元気にするんだ、そういう和歌山にしたいということを申し上げました。そのために具体的な政策を積み重ねていくんですが、県の長期総合計画においては、そのような和歌山が元気になっていく姿と、それから、元気になったときのある一点を切ったときのあり方、そういう目標みたいなもの、それからそのための基本的な政策のあり方、そういうことをぜひ描いていきたいと思っております。なぜならば、私がこうやって口で申し上げているのはやっぱり限度がありますので、したがって、もっと具体的な姿を県民の皆様に提示して、それでこういう方向に和歌山を持っていこうではないかということを語りかけていくということが大事だからだと思っております。このために、県議会の皆様初め県民の皆様の御意見を聞きながら、将来に向けて県として責任を持って取り組んでいくべき施策の基本的方向を、繰り返しになりますが、県議会の御意見も聞きながら各分野の基本構想を盛り込んで策定したいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 和歌山県の活性化、特に人口減少対策についてお話がありました。
 ティブーの「足による投票」というのが理論であるんですけれども、そんなものはまあなかなか起こらないなあというふうに昔は実感しておりました。ただ、まさに長い時間をかけてこういう問題も起こり得るというのが現実の事態になってきております。それによって人口が減るところ、ふえるところができて、地域間競争、あるいは別の言葉で言えば地方公共団体間の競争というのがこれから盛んになってくる時代だというふうに実は思っております。和歌山も負けてはいけない。そういう意味で、これから心を引き締めて政策をつくっていかないといけないと思っております。
 少子高齢化の進展によって、日本全体としても、もちろん人口が減少傾向にあるわけですけれども、本県の人口減少は、より急速に進んでおります。活力の低下にこれはつながるということを懸念するところであります。少子高齢化の進展という全国共通の自然減の要因に加えて、これは、和歌山県が以前に比べて働く場を求める勤労世代を中心とした本県の人口の県外への急速な流出という社会減に起因するところもあると認識しております。もちろん、自然減もあるわけですが、こういう社会減にも対応しなければいけない。
 こういう傾向に少しでも歯どめをかけるためには、まず社会減につきましては経済を活性化すること自体に尽きる。企業誘致、観光振興、農産物の振興、それから企業の成長を支えること、そういうことによって働く場を確保して、そこから人口を吸収していくというようなことを一生懸命やらないといけないということだと思っております。
 それから、自然減につきましては、安心して子供を産み育てるということができるような政策を提供して和歌山県民に示すということが一番の近道だと思っております。そのために、新田議員の御質問にお答えしましたように、特に来年度予算でもそういう問題を正面から受けとめるような政策をできるだけ盛り込んでいきたい、それによって、県内それぞれの地域特性をもちろん踏まえながらでございますけれども、効果的な対策を展開してまいりたいと思っております。
 それから、経済活性化、特に企業誘致についてのお話がございました。
 戦略性を高めながら、より効果的な活動を展開していかなければいけないと思っております。それから、市町村との連携によって、企業ニーズに対応した用地あるいはオフィス、あるいは人材確保に努めていきたいと考えております。また、企業誘致にとどまりませず、県内企業の育成並びに活性化につきましては、県内には、今後いわゆるオンリーワン企業に成長していくような可能性のある、すぐれた技術を持っている中小企業が数多くあります。その芽を伸ばすべく地場産業の振興あるいは企業の経営革新、技術開発、海外との商取引の拡大などにつきまして、きめ細かな支援を行ってまいりたいと思います。例えば、技術開発プロジェクトをつくって県内の企業に多く参加してもらって、その中から世界に通用するようなオンリーワン技術を確保して成長してもらうというようなことはとても大事なことだと思っております。そういうような政策をたゆまなく進めていくというのが私どもの使命だと思っております。
 今後とも、誘致企業も含め県内企業のニーズを酌み取りながら迅速、的確な施策の推進に努めてまいり、活力ある和歌山、元気な和歌山経済を目指してまいりたいと思っております。
 また、県農産品の輸出についてのお話がございました。
 議員お話しのとおり、中国、東アジアあるいはインド、そういう世界の経済成長の中で和歌山の産品を売っていくということは大事なことだと思っております。富裕層がふえていく、購買力のある層がそういう国でもふえていくというのは、全くそのとおりだと思っております。
 私は、経済産業省で働いておりましたときに中国と経済交渉をしておりました。そのときに、夜、暇なものですからマーケットを見に参りました。そしたら、和歌山ではもちろんのこと、日本で、どこへ行っても「そんなに高く売ってるか」というような高い果物が、もちろん立派なものでありましたが、高く売られていたというのを発見しました。中国にはそういう購買層が既に存在しています。これは五年前のことであります。そういう層がもっともっとふえていっているというのが事実でありますから、これに適応して我が方も農産物の輸出振興に努めていく必要があると思っております。とりわけ和歌山県は、高品質なミカン、柿、桃、梅など、果実生産を基幹とする県であります。輸出振興はまさに攻めの農政を展開していく上で重要な柱でございますので、生産者団体はもちろんのこと、産地の皆さんと一体となって、あるいは全国的な貿易企業の力もかりながら県産品の輸出拡大に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 もちろん、植物防疫上の問題などから輸出が難しい国もあることも承知しております。そういう点につきましては、これは国で交渉するしかないわけですから、政府に対して一日も早く輸出ができるような、そういう素地をつくってくれということもまたお願いをしながら政策を進めていかないといけないと思っております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、東幸司君の質問が終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後二時七分休憩
────────────────────
  午後二時三十二分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第一、議案第一号及び議案第二号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 農林水産委員会委員長浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(浅井修一郎君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案一件であります。
 委員会は、一月十六日、第四委員会室において開催し、農林水産部から付託案件について説明を聴取した後、議案第一号について慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 建設委員会委員長尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(尾崎太郎君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案二件であります。
 委員会は、一月十六日、第五委員会室において開催し、県土整備部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第一号及び議案第二号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については、討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第二号を採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(向井嘉久藏君) 起立多数であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 次に、議案第一号を採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(向井嘉久藏君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 次に日程第二、和議第六十号「国民体育大会招致に関する決議(案)」を議題といたします。
 案文はお手元に配付しておりますので、まず提出者の説明を許可いたします。
 十九番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 スポーツ議員連盟の事務局長でございます。第七十回国民体育大会招致決議の提案理由を説明させていただきます。
 国民体育大会は、我が国最大のスポーツの祭典として広く親しまれ、国民の体力向上と健康増進及び地域の活性化と発展に大いに寄与してまいりました。
 本県においては、昭和四十六年に第二十六回大会黒潮国体が、「明るく・豊かに・たくましく」のスローガンのもと、多くの県民が参加し、盛大に開催されました。また、県民の郷土意識を培うとともに、スポーツ水準の向上、施設整備の充実等、本県スポーツ発展の基礎を築き上げました。この黒潮国体の成功により、県民に大きな自信と誇りが生まれたことを忘れてはならないと思います。
 既に和歌山県体育協会から県議会議長あて国体開催についての要望書も受理しており、二巡目となる国体を本県に招致することは、スポーツの振興はもとより、県民の豊かな心をはぐくみ、活力に満ちた和歌山県づくりを推進する上で極めて意義深いものがあります。
 よって、本県議会において平成二十七年の第七十回国民体育大会を本県に招致することを提案いたします。
 議員各位の御賛同のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 提出者の説明が終わりました。
 これより質疑に入ります。
 本案について質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。本案については、委員会付託等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 和議第六十号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(向井嘉久藏君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 次に日程第三、議案第三号を議題といたします。
 お諮りいたします。本案については、委員会付託等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第三号和歌山県副知事の選任につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決は、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十二人であります。
 お諮りいたします。立会人に、六番吉井和視君、十八番前岡正男君、二十一番飯田敬文君、二十八番原日出夫君の四君を指名いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票は無効といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(向井嘉久藏君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(向井嘉久藏君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県副知事に原邦彰君を選任するにつき同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼・投票〕
○議長(向井嘉久藏君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(向井嘉久藏君) これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔開票〕
○議長(向井嘉久藏君) 投票の結果を報告いたします。
   投票総数     四十二票
     うち有効投票     三十七票
       無効投票       五票
     有効投票中
       賛成       三十七票
       反対         なし
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第三号はこれに同意することに決定いたしました。
 この際、ただいま副知事選任について同意されました原邦彰君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕(拍手)
○原 邦彰君 議長のお許しをいただきましたので、一言ごあいさつ申し上げます。
 ただいま副知事選任に同意いただきまして、ありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
 もとより微力であり、副知事という重責に身の引き締まる思いがございますが、和歌山県政への信頼を回復するため、そして和歌山県を元気にするために全力を尽くしたいと考えております。
 議員各位におかれましては、より一層の御指導、御鞭撻をいただきますようお願い申し上げ、簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、今期臨時会に付議された諸案件の審議はすべて終了いたしました。
 このたび、我が和歌山県は新しい知事を迎えました。これを機に本県が一層飛躍発展するよう強く願うものであります。
 これをもって、平成十九年一月臨時会を閉会いたします。
  午後二時五十二分閉会

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