平成18年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百六十六号から議案第百七十六号まで、知事専決処分報告報第九号から報第十一号まで、並びに議員提出議案第五号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 県政は県民や県勢振興のために機能すべきであるというその存在目的を考えますとき、前代未聞、県政史上最悪の汚点とも言うべき、このたびの知事や出納長が──厳密に言えば前知事、前出納長でありますが──競売入札妨害容疑で逮捕や起訴に至り、本県のイメージ低下を招いたことは遺憾のきわみであります。
 県政に寄せる県民感情に思いをいたすとき、県執行部をチェックすべき任にある県議会に県民の負託を受けて身を置く者として少なからざる責任を感じ、県民の皆様方や県組織のそれぞれの部署でまじめに任務遂行に励む県職員の方々に対し、自由民主党県議団を代表して心から深くおわびを申し上げるものであります。
 私たち自由民主党県議団は、こうした事態に目を背けることなく、また、いたずらに批判に終始することなく真正面から対峙し、公共事業の性格、またその発注方法や入札制度のあるべき姿等を深く広く検討し、その制度整備や運用方法等の確立を急ぎ、こうした不祥事の再発防止に万全を期すべく、考え方を同じくする会派の議員諸公と連携をとりながら、総力を挙げ取り組む所存であります。何とぞ、県民皆様方の御理解のほどをお願い申し上げます。
 政治は最高の道徳である、信なくば立たず、信なければなせず、そうした考え方のもと、自由民主党県議団は全員一丸となって、一日も早くこうした事態の収拾を図り、県民皆様方の期待や信頼にこたえ得るクリーンで元気のある和歌山創造に向け、新しい、新しい県政樹立のため、目下、県内それぞれの地域で懸命に運動を展開中であります。県民皆様方の深い御理解と温かい御指導のほどを、冒頭、心からお願い申し上げます。
 それでは、通告順に従い、質問を始めます。
 さて、予算編成に向けての第四・四半期の十月、十一月、十二月の三カ月は、一番大事な時期でもあり、期間でもあります。この大事な時期に、先述のとおりの不祥事により県政が混乱を来し、また、最高責任者である県知事が不在という異常事態に至りました。多くの県民の皆様方は、県予算が及ぼす県民生活や県経済への影響大なりにかんがみ、来年度予算編成について通年どおりの予算編成ができるのかどうか、また財政厳しい折でもあり、その規模についても大変御心配をされております。来年度予算編成に向けての現状を、県民の不安を払拭する意味からも説明を求めるものであります。
 なお、十七日には、現在知事選挙が行われておりますが、県民の厳粛な審判により新県知事が誕生いたします。選挙期間中、県内の各地で県政への思い、県政の推進方を県民に強くお訴えをされております。新県知事誕生後、事業見直しや組織の改編を含め、新年度予算に新知事色を出せる編成が時期的に、また時間的に可能かどうか、お尋ねをいたします。
 以上二点について、総務部長に答弁を求めます。
 次に、治水対策についてお尋ねをいたします。
 近年の降雨状況は、那辺に起因するか定かではありませんが、多分、地球温暖化、そうした現象がもたらしておるんだと思いますが、集中的、局地的傾向を持ち、局地的に大きな被害を生み出しております。本年七月と九月の二度にわたり紀中地域では集中豪雨に見舞われ、その都度、二百世帯を超える家屋に床上・床下浸水等の大きな被害が生じました。その被災状況の現場を目の当たりにして、「水を治めるは国を治めるなり」と言われますが、地域住民の安全・安心に向けての治水対策の重要性を再認識させられました次第であります。
 近年、毎年県内の各地で集中豪雨による多くの浸水被害が頻発している状況を踏まえ、県民の生命、財産を守る上で治水安全度の向上を図り災害防止を図るという観点からも、河川整備は近々の大きな課題であります。特に、農地の宅地化傾向が進む地域においては遊水効果が薄れ、治水安全度が著しく低下し、浸水被害の可能性が増大しつつあり、現にそうした地域では被害が頻発、増大しつつあります。
 県内の各地で浸水被害対策として、財政厳しい中、河川改修整備に県当局におかれましては取り組まれているのは承知をいたしておりますが、頻発する被害状況にかんがみ、地域防災に向けての河川整備を中心とした治水対策の現状をどのように認識されているのか。また、その認識に基づき、今後の取り組み対策を県土整備部長にお尋ねを申し上げます。
 なお、この機会に、県当局の考え、取り組みに対し要望いたしたいと思いますが、平成十年、日高川流域町村の行政関係者が中心となって、旧中津村村長、現日高川町長の笹さんが会長として、日高川環境保全協議会が設立されました。今年さらにその会を拡大して、民間人も多数加わる中でこの会が増大いたしました。その会の目的、趣旨は、日高川流域の環境保全を図り、川の持てるポテンシャルを蘇生させようという取り組みであります。
 御承知のとおり、昭和二十八年、日高川流域は、未曾有の大降雨により大きな被害をこうむりました。そうした被害の再発を防止すべく椿山ダムが建設されました。その存在、建設により洪水から守るという効果の大なるはひとしく流域住民の認めるところでありますが、そのダムの建設により、一つ、大事な川の持てる恵み、ポテンシャルが失われようとしております。
 今、そうした川のポテンシャルを蘇生させようという付近住民の願いが、社会情勢の変化により大きく起きております。県におかれましては、巨額の財政投入を必要といたしますが、いっときの財政投入でこの川の持てるポテンシャルが蘇生されるということになれば、県当局としても放置せざる問題ではない。どうか前向きにお取り組みいただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 来年度の予算編成についてのお尋ねがございました。
 来年度予算につきましては、歳入面で県税収入や地方交付税といった一般財源の動向が不透明であり、一方、歳出面では、社会保障関係経費あるいは退職手当といった増嵩が見込まれ、本県を取り巻く財政環境は依然厳しいものがございます。
 このような状況の中、知事が不在でありますが、財政健全化の取り組みを着実に実施するとともに、限られた財源を県勢発展につながる施策に重点的かつ効率的に配分することを基本に、粛々と作業を進めているところでございます。
 新知事が決まり次第、事業見直しや組織改編を含め、早急に新知事の判断を仰ぎながら新年度予算の編成に取り組みまして、このたびの事態により県民の皆様に不安を与えることのないよう、また県民サービスの低下につながらないよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 治水対策についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、近年、全国的にも局地的な集中豪雨による河川のはんらん、越水、浸水などの被害が頻発しており、河川の治水対策につきましては県民の安全・安心を支える根幹をなすものであると考えておりますが、まだ課題が多々残されていると認識をしております。
 今後の取り組み方針につきましては、治水対策は一連区間の整備により効果を発現するものであり、時間と費用を要することから、流域の開発状況、上下流の流下能力のバランスや河川環境に配慮しつつ進めてまいります。また、下流からの河川改修とあわせて、必要に応じ、上流の土砂災害を防止する観点から砂防施設の整備についても推進をしてまいります。
 また、一定のハード整備を進めながら、河川・雨量情報の提供や洪水予報、ハザードマップ等のソフト対策の充実を図っているところであり、財政状況の厳しい中ではございますが、今後ともソフト・ハード一体となった総合的な治水対策に鋭意努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。

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