平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成十八年九月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
 平成十八年九月二十八日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百六十二号(当局説明・条例改正請求代表者の意見陳述・質疑・討論・表決)
  第二 議案第百四十三号から議案第百五十九号まで、報第八号、並びに請願三件(委員長報告・同質疑・討論・表決)
  第三 常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
  第四 議案第百六十号及び議案第百六十一号(特別委員会設置・付託・委員選任)
  第五 特別委員会閉会中継続審査の件
会議に付した事件
   一 議案第百六十二号(当局説明・条例改正請求代表者の意見陳述・質疑・委員会付託省略・討論・表決)
   二 議案第百六十三号から議案第百六十五号まで(当局説明)
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時五分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 暫時休憩いたします。
  午前十時五分休憩
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  午前十一時三分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第一、ただいま報告の議案第百六十二号を議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案第百六十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例について、御説明を申し上げます。
 本議案は、去る九月の二十二日、地方自治法第七十四条第一項の規定に基づき、請求代表者浦口高典氏から和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の改正の請求が提出され、これを受理したので、同条第三項の規定に基づき付議するものでございます。
 都道府県議会の議員の定数については、地方自治法第九十条第二項において、地域の実情等に応じた組織・構成の見直しが弾力的に行えるように都道府県の人口規模に応じて上限数が設定され、その範囲内で定めることとされており、また各選挙区における定数配分については、公職選挙法第十五条第八項において人口に比例して配分することとなっており、「特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができること」とされております。
 本件請求は、県においては行財政改革が推進され、全国の都道府県議会や県内の市町村議会では定数削減が進められており、また議員提案により設けた紀の国森づくり税の負担を県民に求めていることにかんがみ、県議会議員の定数については、地方自治法に基づく法定上限数の四十六人から三人を削減し四十三人とし、各選挙区の選挙すべき議員の数については人口比例によることとする条例の改正を求めるとの内容でございます。
 地方公共団体の議会は当該地方公共団体の意思決定機関として住民主権を実現するための根幹をなすものであり、とりわけ議員定数は議会の構成の基本にかかわる大変重要な問題でございますので、県民の理解が得られるよう、県議会において総合的な見地から審議いただくべきものと考えております。
 よろしくお願いを申し上げます。
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 この際、申し上げます。
 本案の審議を行うに当たっては、地方自治法第七十四条第四項の規定により、条例改正請求代表者に意見を述べる機会を与えなければならないとされております。
 お諮りいたします。本件については、条例改正請求代表者であります浦口高典君に意見を述べていただき、時間については六十分以内とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 条例改正請求代表者の意見陳述を求めます。
 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○条例改正請求代表者(浦口高典君) 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、ただいま木村知事より提案されました議案第百六十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例案に対しまして、私浦口高典が条例改正請求代表者であり、新生わかやま県議団を代表して意見陳述を行わせていただきます。
 なお、議長のお許しをいただいておりますので、資料を二枚配付しております。御参照いただければ幸いに存じます。
 今回直接請求いたしました条例改正案は、二月議会において我々新生わかやま県議団が上程し、三月十七日の議会において否決されたものと同じであります。この時点で、全国四十七都道府県の条例定数は法定上限数を八・三%下回っており、法定上限数四十六の和歌山県の場合、三ないし四の削減ということになりますが、各選挙区における議員一人当たりの人口格差を極力少なくするということもあわせて考え、橋本市を現行の定数二から三にふやし、逆に伊都郡、新宮市を定数二から一に、有田郡、日高郡を定数三から二に、各選挙区でそれぞれ一減らすことにより、議員一人当たりの人口格差も、田辺市二万六百二十一人に対し新宮市三万三千七百七十五人で最大格差が一・六四倍におさまるため、定数を法定上限数の四十六から四十三に三削減主張いたすものであります。
 今回、県民署名運動において、条例改正可能な有権者の五十分の一、つまり一万七千二百六十二人を大きく上回る、県下八市町において二万八千七十一人の署名を四月二十四日から、県議補欠選挙の休止期間、六月十四日から七月三十日までを挟み、八月十一日までの間、わずか二カ月間で多大な御協力をいただきました皆様方に対しまして、この場をおかりして心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 この予想を大きく上回る反響は、多くの県民の皆さんが非常に定数削減問題に重大な関心を持ち、心から削減を望んでいることのあらわれであると思います。それだけに、今議会での我々県議会議員の言動は注目されております。どうか、和歌山県の将来を見据えた上での議員の皆様方の良識ある御判断をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 これから新生わかやま県議団が条例改正を目指す理由を資料に沿って述べさせていただきますが、まず資料1─Aをごらんください。これは、全国四十七都道府県別の人口減増率順と同議員定数、それに平成十八年度予算に占める地方税額の割合であります。
 ここでは、あえて、本格的な人口減少時代への突入ということで、増減率ではなく「減増率」という言い方をいたしました。現に、平成十二年から十七年の五年間で減少した県は三十二県にもなり、中でも、既に御存じのとおり、我が和歌山県は秋田県に次ぐ人口減少率が全国第二位で、しかも三%以上減少しているのはこの二県だけであります。
 ちなみに、ことし三月末に新生わかやま県議団として青森市にコンパクトシティー構想等の視察に行ったとき、市の担当職員の方からお聞きしたのですが、本州最北端の県庁所在地青森市では、一昨年の十二月から昨年三月までの合計降雪量──降った雪の量ですね──降った雪が十メーター四十三センチ、その除雪費だけで年間三十億円以上かかるということでありました。このような豪雪地帯の青森市を含む青森県よりも和歌山県は人口減少率が大きいということであります。
 全体を見ていただければ一目瞭然でありますが、和歌山県を除く人口減少県三十一県では当然のこととして定数削減をしておりますが、中でも三十番目の岐阜県では──黄色のラインが引かれてるとこですね──法定上限数が六十一に対し、条例定数が和歌山県の法定上限数と同じ四十六と、実に二四・六%、四分の一近く削減しております。しかも、人口は和歌山県の二倍以上の二百十万七千二百九十三人であります。さらに、三十三番目の京都府以下東京都まで、人口が増加し、予算に占める地方税額の割合が和歌山県よりずっと高い都府県──沖縄県は除きますが──においてさえ定数を削減していることが、これを見ていただければすぐにわかります。
 この点を踏まえていただき、資料2をごらんください。
 これはさきの新生わかやま県議団が条例改正請求者署名簿集めの際に県民の皆様に配布したものですが、この裏面、向かって右下のピンクの部分ですが、県民署名運動を進める四つの理由をごらんいただきながら説明させていただきます。ただし、これは本年三月の時点の数値ですので、訂正をしながら述べさせていただきます。
 まず一番目として、四十七都道府県で法定定数から一人も定数を削減していないのは、既に皆さん御存じのとおり、現在は和歌山県のみであります。
 このことに対して、七月十九日に行われました公明党県議団の定数二削減条例改正臨時議会においての自民党県議団、共産党県議団、県民クラブの三会派の反対討論の中で、「分権型社会の創設が叫ばれる今、全国横並びにする必要はなく、和歌山県独自の定数のあり方を考えるべき」との意見もございましたが、これは、後に述べます紀の国森づくり税のときには、今回とは逆に、それを進める自民党県議団を中心としたメンバーが、たしか「全国で十四の県で既に決まっているので、和歌山県も決めるべきだ」と他の県と比較して強く主張されたこととは矛盾していないでしょうか。
 また、配付資料1─Aの平成十八年の予算に占める地方税額の割合が、例えば東京都のように七三%、また神奈川県のように六三・三%というように高ければそのような独自性も言えるでしょうが、和歌山県のように一六・四%と大変低い割合では、他府県と比較してその方針を決めざるを得ないのではないでしょうか。
 二番目に、県は行財政改革の一環として、五年以内に知事部局の五千二百七十人を一千四百人、約二七%削減しようとしており、また、平成十六年十月から始まった市町村合併において、首長は五十人から三十人に、議員は七百四十五人から──ここでは四百八十人となっておりますが、九月一日現在、さらに削減し四百七十二人と、実に二百七十三人、三六・六%も削減しております。
 この点につきましても、さきの反対討論において、特に我々が削減の対象としている選挙区では、県議会議員定数の現状維持という論点ばかりが目立ちましたが、地域住民の視点に立ち、地域の持続可能な繁栄を考えるのであれば、このように首長、市町村議員も削減されているのですから、それでは県議会議員の現状維持だけではなく県職員の現状維持という点についても、もっと強く当局に言及すべきではないでしょうか。
 このように、県や市町村が厳しい財政状況の中、合理化を図っているのに対し、県議会のみが聖域とされ、議員数を残すという甘えは果たして許されるものでありましょうか。
 三番目に、定数配分の最大格差が二・三倍あることが挙げられます。
 伊都郡二万九千八百十七人、橋本市六万八千五百二十五人で、ともに定数二、また橋本市より人口が少ない有田郡五万一千四百五十二人で定数が三というのは、どう考えてもおかしいし、納得できません。
 我々は、やみくもに定数を削減しろと主張してるのではありません。現に、旧那賀郡では定数三でしたが、現在の定数は紀の川市三、岩出市二となり、結果として三から五に定数は二増しておりますし、このことについては、我々何の反対もいたしておりません。しかし、最大格差二・三倍、しかも伊都郡と橋本市という隣接する地域において、明らかにこのような議員一人当たりの人口格差を許してよろしいのでしょうか。
 三月十七日に、我々新生わかやま県議団の三名削減条例案がこの本会議において否決されました。現状維持の定数条例案が可決された後、すぐに橋本市議会の全議員が当時の吉井議長のもとに反対決議書を持ってこられたことは、既に御存じのとおりであります。
 しかし、その後も怒りがおさまらず、我々新生わかやま県議団が条例改正運動を行っているということを知り、五月末に私のもとに代表の世話人の方から、どのような署名運動を行っているか説明に来てくれという電話がございました。それで、去る六月五日、橋本市議会の会議室に伺うと、そこには十数名の市議会議員が集まっておられ、約二時間、この定数問題について説明を求められました。その結果、市議会議員一人一人の判断ということで、今回この署名活動にも自主的に参加くださっていることをあわせて御報告いたします。
 この選挙区ごとの定数割り振りについては、署名期間中、橋本市以外の方からも「どう考えてもおかしいな」とよく言われました。そして、その内容について詳しく県議会の状況を説明させていただきますと、皆さん、あきれたように「それはお手盛りだ」と苦笑いをした後、怒りをあらわにされていたのが何度もございました。
 四番目に、昨年十二月議会で、自民党県議団を中心とした議員提案により、県民の皆様から年間二億六千万円の紀の国森づくり税を五年間にわたり徴収する条例を議会の多数決で決めたということであります。
 地方分権の時代、議会の積極的役割として、その地域に合った独自のルール、条例をつくり、地域をよりよい方向に持っていくことは、我々新生わかやま県議団も大いに賛成であります。しかし、そのために、議会として、まず条例づくりのためのきちっとした検討委員会を設け、徹底的にそこで議論をし、基本的に全会一致して条例案をつくるのが他府県で行われているシステムであります。
 しかし、悲しいかな、和歌山県議会においてはそのような検討委員会も設けられず、この紀の国森づくり税は、数回の勉強会での後、初めに条例制定ありきと、議会の三分の一の反対を押し切って可決させてしまいました。しかも、これは全国で初めて県議会が県民に対して税金をかける条例をつくったという大変重大な出来事であります。この重大さを、賛成に回った方のどれだけの方がお感じになっているか甚だ疑問でありますが、県民の皆さんに税金という負担を強いるのであれば、なぜ潔く定数削減をみずから積極的に進め、おくればせながら県民の皆さんに範、お手本を示さないのでしょうか。
 県内の民間企業の多くが依然として厳しい経済状況の中にあり、また個人においては税負担の増大感がひしひしと感じられる中、県議会のみがみずからの状況に甘んじ、その立場にしがみついておるとすれば、最終的には県民の皆さんからの信頼を大きく損なわれる結果になりはしないでしょうか。
 昨年の秋から、この紀の国森づくり税や定数削減問題について議会人として大変大きな課題を投げかけられ、また、そのたびに我々新生わかやま県議団は県民の立場に立ち、毅然とした態度で臨んでまいりました。しかし、これは県議会の中での不毛の対立を助長することが目的ではなく、皆さんまくら言葉のように述べられる地方分権時代における県議会自身のあり方そのものを問われているものと思い、真摯な姿勢で臨んできた次第であります。議会には執行権はありませんが、議決権という大きな権限があるだけに、良識ある選択をしていかなければなりません。
 最後に、個人的な見解を一つ述べさせていただきます。
 ことし二月に、尾崎要二議員が会長を務められております和歌山県日華親善議員連盟で台湾を訪問し、李登輝前総統にお目にかかり、約一時間お話をお伺いすることができました。そこで、李登輝前総統から「現在の台湾の繁栄は、日本統治下において日本から学んだ日本精神があったからである。その日本精神とは大和魂と武士道である」という趣旨のお話をお伺いし、身震いするほど感動を覚えました。
 日本に帰ってきて、早速書店で、李登輝前総統の書かれた「『武士道』解題─ノーブレス・オブリージュとは」というこの本を買い求め、むさぼるように読みました。ここでは内容を詳しくは申し上げませんが、田原総一朗氏の解説を引用すると、これは李登輝が日本の現状を憂い、指導者たるべき者の心構えを「ノーブレス・オブリージュ」をキーワードに説いた作品であるというふうに言っております。
 ノーブレス・オブリージュとは、一言で言って、高い身分、地位にある者に伴う義務であります。紀の国森づくり税や定数削減問題において指導的立場にある者、つまり我々県議会議員がみずからを律して、県民の皆さんに対して、納得のできるきちっとした説明義務を果たすべきではないかと私は今回強く感じました。
 いずれにいたしましても、この定数削減問題を契機によりよい県議会が構築されることを心よりお祈り申し上げまして、条例改正請求代表者としての意見陳述といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、条例改正請求代表者の意見陳述が終わりました。
 これより質疑に入ります。
 本案について質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。本案については、委員会付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、討論に入ります。
 玉置公良君から賛成討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 今、新生わかやまの浦口幹事長の方から提案趣旨説明がございました。
 本来であれば、この後、反対討論があって、そして私が賛成討論をすると、こういう形になるんであろうと思います。反対討論がなく、このことについては大変残念でございます。しかし、これから、今提案されましたこの条例に対しまして、私なりに新生わかやま県議団を代表いたしまして賛成討論をしたいと思います。
 まず、議案第百六十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例に対して、賛成の立場から討論をいたしたいと思います。
 今回の条例改正は、県議会の定数削減と各選挙区の議員数の公平な配分を求める直接請求によるものであります。
 御承知のとおり、直接請求制度は地方自治法第七十四条に定められており、地方公共団体に属する住民が発動する基本権で、地方自治にだけしか認められない大変重要な制度であります。本県における直接請求は五十八年ぶりのことであり、二万八千七十一名の住民の直接請求の重みというものを議会は真摯に受けとめていただきたいと思います。
 しかし、残念ながら、どうしたことか反対討論はしないということになりましたが、住民の直接請求という重みをどのように考えているのか、大変残念であります。さらに、さきの三月の定数改正条例では、提出者の提案理由の説明もなく可決をした。これらの事実は、県議会での真摯な議論を通じて県民に訴えるという一番大事な役割を放棄したとも言え、直接署名を実施する中で多くの県民からの批判をいただいたところであります。
 それではまず、賛成をする理由を申し上げます。
 その一つは、県議会定数削減は、昨年の国勢調査で全国二番目に人口が減る率が多いことや行財政改革の流れや県民の声に沿うものであり、とりわけ法定数上限いっぱいの四十六に据え置いている都道府県は和歌山県議会のみになった。こうしたことなどを踏まえ、早急に県民の声にこたえるべきであります。
 和歌山県下の市町村は、合併で五十から三十になり、市町村議員も、平成十八年九月現在、七百四十五名から四百八十名と約三六%の減となっています。県の職員も、知事部局の五千二百七十名を五年で一千四百名減の約二七%の削減をしていることも謙虚に受けとめるべきであります。
 二つ目は、一票の格差を是正し、各選挙区の議員数を公平な定数にするということであります。
 選挙で一人が二票投票できないわけですから、極力二倍以内におさめる必要があります。議員選挙区等検討委員会の委員長案では、橋本市選挙区を一名ふやし、伊都郡及び有田郡をそれぞれ一名削減をし、全体で一名削減であったのが、いつの間にか自由民主党県議団、日本共産党県議団、県民クラブの三会派が同一の修正案を作成し、総定数を法定上限数いっぱいの四十六と定め、定数が全く削減をされませんでした。新聞記事の見出しに、「削減ゼロと一票の格差という問題を残したままでは県民の信頼は得られない。県議だけが聖域か」と厳しく批判をされたのも記憶に新しいところです。
 このことによって、選挙区定数の配置については、橋本市選挙区を三から二にしたことにより人口格差が二倍以上となる選挙区が橋本市二・三倍、有田市二・一一倍と、二つもの選挙区でふえる改悪となったのであります。このことは、平成十二年の国勢調査をもとに定められた改正前の条例では、人口格差二倍以上は有田市二・一一倍と一選挙区であったわけで、人口格差二倍以上の選挙区をさらにふやすことになり、改悪条例であると県民の批判は大変大きいものがございます。
 さらに、定数配分に不合理な格差を持ち込んでいることであります。つまり、議員一人当たりの人口比率による定数配分を考慮し、平等を重視した選挙区の定数になっていないことであります。
 例えば、紀の川市が六万七千八百六十四人で定数三、それより多い橋本市が六万八千五百二十五人で定数二ですから、橋本市議会が反対決議されるのも当然であります。また、伊都郡では、二万九千八百十七人で定数二、伊都郡より人口の多い有田市が三万二千百四十三人で定数一というのも理解できません。
 私どもの提案しています条例は一増四減であり、すべての選挙区が二倍以内におさまり、一票の格差を是正した公平な定数になっていると思います。
 三つ目は、削減を求める県民の声の広がりであります。
 削減を求める声は県下全体に広がっています。県経営者協会、県中小企業団体中央会、連合和歌山、和歌山県地方新聞協会などが、県議会議長あてに相次いで定数削減の見直しの意見書を提出しております。橋本市議会は二度にわたる反対決議を行っています。
 また、こうした県民の声の広がりの中で、緊急でしたが、初めての試みとして、九月二十三日、NPO法人和歌山市民自治ネットワークの主催で県議会議員公開討論会が催されました。参加した方の声を聞きますと、「来年四月から県民に一人五百円の増税をする紀の国森づくり税は他県がしているからと強行し、定数削減では、他県では全部削減しているのに、そのときだけは和歌山の独自性があるからと反対をする言い分は、自分の都合のよいところだけを言って筋が通らない」、このように言っていました。
 そして、今回、私たち新生わかやま県議団は、代表請求者と一緒に、自分自身の署名押印による二万八千七十一名の署名を添えて、九月二十二日に直接請求を木村知事に行ったところであります。
 県民は、県議会の定数削減に重大な関心を持ち、大きな期待を寄せています。そして、さまざまな県民の質問と共感の声が寄せられたことも報告をしておきたいと思います。署名収集委任者を申し出てくれる人も多くあり、署名運動の反響は大変大きなものでした。御協力いただきました皆様方には、この場をおかりいたしまして厚くお礼を申し上げます。
 続いて、定数削減について今までの議会で反対をした会派に対して、主な点だけ反論をしておきたいと思います。
 それは、自民党県議団、県民クラブが主張しています定数削減の先延ばしについてであります。
 反対の理由の言いわけとして、まず、「第二次合併が進捗した段階で、改めて総定数、定数配分について是正を行ってまいる所存であります」と、このように言っておりますが、本県の厳しい財政状況のもと、人口減少率全国ワースト二位となっている中でも法定上限数を維持しているのは和歌山県のみとなった今日、総定数の削減及び各選挙区の議員の数を人口比で公平な配分にし、一票の格差を是正するということを今回是が非でも実現をしなければならない状況だということを県民の目からそらす何物でもありません。
 なぜならば、地方自治法第九十条四項で「議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない」、このようになっており、今回定数の変更がなければ、正確に言えば四年七カ月後の平成二十三年の一般選挙からの施行となるからであります。先延ばしをするための詭弁であることは明らかであります。四年間先送りにし、多大な財政負担を強いることになり、県民の声とのギャップを露呈し、本当の議会改革に逆行するものであると私は思います。それなのに、県民の反対の多い紀の国森づくり税は、「ほかの県もやっている」と言い、来年の四月から県民には約二億六千万円の増税を強いるというやり方は筋が通りません。
 もう一つは、反対をされた共産党県議団の理由の一つに、都道府県議会制度評議会中間報告の引用をしています。
 例えば、「単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ議論する問題ではない」、「単純な定数一律削減論は適当ではない」、このように言っていますが、私どもは行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論じてはおりません。また、単純な一律削減はしていません。法にうたわれています一票の格差をまず重視をしているのであります。それゆえ、橋本市は二から三にふやすことを求めています。
 共産党の皆さんは、本来、橋本市はふやさなければならないのではないでしょうか。一票の格差を何と考えているのでしょうか。この問題に触れずに逃げていると思います。その証拠に、橋本市はふやさないことに賛成をしているではありませんか。
 最後になりましたが、今回の直接請求署名行動をする中で、県会議員に対する厳しい御意見や声を聞かせていただきました。しかし、事実でないことに対してはきちんと説明をし、県議会議員の仕事の重要性について、私なりに一人一人に理解を求める努力を行ってきました。しかし、定数問題をきっかけに、県会議員に対する県民の見方、信頼というものが大きく薄らいできているということを肌で感じてきました。
 私ごとで恐縮ではございますが、私も、自分自身の夢や、また県民の願いというのを実現さすためには、一番近道は政治だと思い、この世界に飛び込んだわけであります。今から約十六年前には衆議院選挙に立候補し、落選をいたしました。そして、約十二年前に県会議員に立候補いたしまして、現職の方々が四人おられる定数四のところで新人として挑戦をいたしまして、当選をさせていただきました。そのときの感動とともに、選挙のしんどさ、大変さ、そういうことを、苦労というものを本当に知りました。今、私は、この県会議員にならしてもらって大変感謝をしております。
 皆さん方の中にも、今、市町村合併で大きく選挙区が広がったところ、また選挙区が小さくなったところ、さらには選挙区を変えなくてはならない、こういう苦渋の決断をして頑張っておられる方もおられます。また、それぞれ皆さん方は、県会議員としての誇りを持って、そして大変な御苦労をなされて、この選挙を勝ち抜きながら県会議員になったと思います。そして、それぞれが、私自身も含めて、県議会に議員としての誇りを持って、さらに県民のために働いていきたいと、そう思っております。だからこそ、県民の信頼を一日も早く取り戻したいのであります。
 一昨日の安倍新首相が所信表明の中で、「隗より始めよ」、こういう言葉を使われました。県民より、まず議員が、政治家が率先する姿を見せることが必要であると思います。それが、新しい県政を豊かにするために県民が協力をしてくれ、信頼を取り戻すことになるのだと確信をします。
 どうか、それぞれの政党や会派の立場の枠を超えて、県民から選ばれてこられた議員の皆さん方一人一人の良心でこの議案に対して判断をしていただくことを切に願い、賛成討論といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) これをもって、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
  〔退場する者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 議案第百六十二号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(向井嘉久藏君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
○議長(向井嘉久藏君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十八分休憩
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  午後零時四分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。ただいま報告の議案第百六十三号から議案第百六十五号までを本日の日程に追加し、これを直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第百六十三号から議案第百六十五号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について御説明を申し上げます。
 まず議案第百六十三号は、県公安委員会の委員島正博君が本年十月十二日をもって任期満了となりますので、その後任として片山博臣君を任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十四号は、県教育委員会の委員須崎恵美君が本年十月十四日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十五号は、県収用委員会の委員勝本僖一君が本年十月十八日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 何とぞ、御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(向井嘉久藏君) 都合により、残りの日程は明日に譲り、本日はこれをもって散会いたします。
  午後零時六分散会

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