平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。少しずつですけれども、秋めいてまいりました。昨日も晴天のもとに各市内の小学校では運動会が行われて、子供たちの元気な演技を見ることができました。
 きょうは、一般質問もラスト二人ということで、大変お疲れのこととは思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。
 まず、児童虐待問題についてお伺いをします。
 近ごろ、虐待の問題が前ほども報道されなくなっているようにお感じになられる方がいらっしゃると思います。しかし、問題が解決の方向にあるのかと言えば全く逆で、件数が多過ぎて、よほどの死亡事故でもない限り事件として報道されないという状況になってきております。
 インターネットで虐待の記事を検索したところ、八月には茨城県で二人の幼い命が虐待によって失われていますし、暴行による逮捕も相次いでいます。和歌山県においても、十七年度には三件の検挙事件が報告されています。また、先ごろの新聞報道によると、児童虐待の件数は全国的に三万件を超えるとのことであります。
 和歌山県においても、平成十五年度から平成十七年度までの県内の児童相談所が受け付けた虐待についての相談処理件数は百九十一件、二百四十九件、二百九十三件と、増加の一途をたどっています。
 日本では、六年前の二〇〇〇年に児童虐待防止法が成立し、その後二〇〇四年には、児童福祉法の改正で、各自治体は市町村要保護児童対策地域協議会を置くことができるようになりました。しかし、残念ながら虐待から子供たちの命を守るシステムが迅速に機能しているとは言いがたい状況が続いています。
 少し古い話ですけれども、私は、二〇〇一年に、児童虐待防止の地域システムにいち早く取り組んでいるイギリスの方に研修に行かせていただきました。イギリスでは、一九八九年に虐待防止法が成立して以来、子供たちを守るためのシステムが研究され、構築をされていました。
 大きな特徴は、医療、保健、教育、福祉、法律、警察などの第一線で働いている方々を中心に二十名から五十名のメンバーで成る地域子供保護委員会が設置されており、権限を持って児童虐待に対処できるといった点でした。地域子供保護委員会の活動は多岐にわたり、幾つかの小委員会では、地域のガイドラインの作成や改正、その施策の配布の担当委員会、関連機関合同のトレーニングや機関ごとの職員に対するトレーニングを提供する委員会、死亡例や重症例の再検討やシステムに関する監視を行う委員会などがあり、日常業務を通じて頻繁に開催をされていました。
 例えば、児童虐待が通報されると、警察とソーシャルワーカーが動き、通告事例が虐待かそうでないか初期評価が行われます。イギリス警察の子供に対する対応は、本来の触法行為に関する警察とは異なり、子供に関するすべてを担当するため独立した行政組織で仕事をしており、警察の権限は保持しているのですが、常にソーシャルワーカーと連絡をとりながら行動され、服装も制服ではありませんでした。
 虐待が通告されると、まずソーシャルワーカーと警察が即座に動き、その家庭を訪問します。そこで虐待の状況があると判断された場合、ソーシャルワーカーがすぐさま児童に関するすべての情報を調査できるよう裁判所に申請し、指示を受けます。その調査内容は詳細にわたり、出産状況から家庭、学校の様子まで、すべて調査する権限が与えられています。
 また、子供が危険であると判断されたときは、地域子供委員会が子供に関しての会議を二十四時間以内に開かなければなりません。そこでは、警察を含め、医療、保健、福祉、法律など、すべての関係機関が子供のために話し合いを持ちます。虐待の事実が認められた場合、子供委員会は八日以内に関係機関の人々を集め、会議をしなければなりません。
 日本の虐待の対応との違いは、日本では、それぞれの関係機関が協議会やネットワークといった方法をとり緊密に連携をしながら取り組もうとしているのに比べ、イギリスでは、すべての関係機関の関係者が一つの委員会に結集し対処しているところが大きく違うところだと思います。
 日本では、虐待が起こった場合、各市町村、また県の子ども・障害者センターが対処することになっていますが、対応の現状は、残念ながら十分ではありません。平成十七年度に児童福祉法施行令が改定になり、児童福祉司の配置基準が五万人から八万人に一人ということで引き下げられましたが、さまざまな相談の件数が五千件もある中では、到底対応できるものではありません。また、虐待をとめるためにも親への支援がとりわけ重要になってくるにもかかわらず、十分対応できていません。
 イギリスの場合は、子供委員会の権限が大きいため、虐待の事実やなぜ委員会が調査をしているのか親に通告し、解決に向けた協議、処遇を説明し、説得します。親の了解を得られない場合でも、裁判所の判断で緊急に一時保護を行います。
 親への支援として、子供が虐待に遭ったとしても親の保護のもとで生活することが一番と考えられ、親に対しても家族を立て直すためのプログラムが用意されており、保健師や医師の指導のもと実施をされています。しかも、これは法律で義務づけされています。
 そう思うと、日本の状況はどうでしょうか。通告しても、センターの職員が足りない。なかなか調査をしてもらえない。親への話がうまくいかないために保護できていない。保護した後も親への教育とケアができていない。子供は施設に行きっ放しであります。児童虐待防止法ができたものの、本当に子供の命を救う仕組みになっていないのではないでしょうか。何人の子供が命を落とせば、この国は真剣に対処をするのでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 和歌山県においては虐待の現状はどうなっているのでしょうか。また、虐待防止のためにどのような対策をされていますか。
 また、二〇〇四年に要保護児童対策地域協議会を置くことができることとなり、現在、幾つかの市町村で設置をされていますが、情報交換やケース検討になっており、緊急対応や子供の保護、家族へのケアができていないように思います。今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをします。
 また、全国に先駆け、和歌山県独自に虐待から子供の命を守るための条例が必要だと思いますが、知事のお考えをお伺いします。
 次に、教育委員会にお伺いをします。
 平成十九年度の高等学校入学者選抜実施要項が発表されました。受検者本人はもちろんですが、保護者や関係者は気が気ではなかっただろうと思います。
 さて、今回、二段階方式、前期試験と後期試験に分けて選抜をするということですので、その趣旨をお伺いしたところ、「すべての子供に受検のチャンスを」というお答えでした。今までは、中学校の方で高校の推薦枠が設けられていたため、推薦を受けたくても受けられない生徒がいたという状況でしたので、今回、中学校で選抜をするのではなく、受けたい生徒が自分で選択し受検ができるという方法だということで、当初は大変いいことだと思いました。
 しかし、前期選抜では高校の三〇%から一〇〇%の枠を設けて選抜するということになっています。前期では三〇から五〇の枠で選抜を行うのは一定理解するところですが、一〇〇%の枠を設けている学校があることについては、私は納得がいきません。前期で一〇〇%の生徒を合格させた場合、後期の選抜はないということになります。
 しかも、一〇〇%の選抜を行う高校は、和歌山北の体育、向陽の文化科学、桐蔭の数理、総合人文、星林の国際交流、和歌山商業の会計、南紀の看護ということになっています。教育委員会の皆さんはどうお感じになるかはわかりませんが、一般県民の意識からすると、学力的に高いとされる高校の学科が前期だけの選抜を実施するという受けとめ方をされると思います。学力的に高いとされる生徒の青田刈りという印象を受けます。教育委員会は「すべての子供に受検のチャンスを」ということですが、私は整合性がないように思います。その点についてお伺いをします。
 また、高等学校入学者選抜実施要項の中に選考基準が示されています。各学校の求める生徒像という項目があり、それぞれの学校が求めている生徒の姿が書かれています。
 私は、おかしなことを書くものだなあと思い、拝見をしました。というのは、各学校の特色を出し、うちの高校はこんな特色があり、こういった勉強をしますということを明記し、生徒が選択する際の情報を提供するということなら理解ができます。しかし、この書き方からすると、反対ではないでしょうか。「すべての子供に受検の機会を」とおっしゃる教育委員会ですが、求める生徒を取捨選択し、この条件に当てはまらない生徒は要りませんと言っているように思います。
 そこで、高校受験に対して、今回の改正の経過と目的、お考えについてお聞きします。
 九月十四日付の毎日新聞に、県立の中途退学者は全日制で四百九十八名、在籍生徒に対する割合が一・九%、ここ数年の割合が大体二%で推移していると掲載をされていました。この数字を教育委員会はどのようにとらえられているかわかりませんが、私は大変大きな数字だと感じています。
 どの親でもそうだと思いますが、せめて高校ぐらいは卒業させたいと思っています。しかし、この数字を見ると、毎年五百名近い生徒が中学校卒業という経歴で社会に出て働かざるを得ないということです。しかも、この学歴社会の中、何か資格を取るのでさえ高校卒業程度の経歴は必要です。こういった中途退学の生徒がやり直すことのできる制度が必要だと思います。
 そこで、お伺いをします。教育委員会は、このようにドロップアウトしてしまった生徒の実態を把握していますか。また、その対策についてお伺いをします。
 次に、学力テスト結果についてお伺いをします。
 和歌山県では、全県で小学校四年生から中学校三年生に毎年学力テストを実施して、四年目に入っていると認識をしています。また、この小学校五年生と中学校二年生については、統一テストを四県合同で行っているとお聞きをしています。継続して学力テストを実施した結果、県としての傾向と課題がつかめているかと思いますので、県教育委員会として、他の県との比較もあわせ、学力問題についての傾向と課題、今後の対策についてお伺いをしたいと思います。
 次に、中高一貫教育についてお伺いをします。
 向陽中学校が設立され、三年が経過をしました。来年度は桐蔭高校で新たな中高一貫教育校が設置され、県の教育委員会としてはさらに増設される予定とお聞きをしています。向陽中学校の競争倍率も高く、人気のほどをうかがわせますが、私としては、義務教育段階の公立中学校の受験、また受験校をふやすという方向性の意図がどうもわかりかねているところです。また今後、競争熱がさらに過熱するのではと懸念をしています。
 私立と公立の中高一貫中学校への進学者を合わせますと、全生徒のほぼ一二%の生徒が進学するという状況になります。もちろん、学習への意欲が高いとされる生徒が抜けるということで、地元の中学校への影響は大変大きいと思われます。
 教育委員会の皆さんも御存じかと思いますが、学習への意欲が高い生徒の一割が抜けると授業そのものが成立しにくくなります。また一般的に、学力を引き上げようとすると、一部の学力の高い者を引き上げるといった方法をとると、学力格差がさらに広がり、平均値がより低いところに寄るといった現象が起こってきます。学力曲線がなだらかな山型ではなく、その山の頂点が低い点数の方に推移するという状況が起こります。県内の九〇%近い生徒の通う公立中学校において、このような現象が今まさに起きようとしています。
 国際学力調査PISAの学力テストでここ数年世界一位のフィンランドの様子を調べますと、和歌山県と正反対の施策をされています。一学級の生徒数を少人数にする、低学力の生徒をほうっておかない、授業での生徒同士の教え合いを尊重するといったことを積み重ねた結果、世界一の実績をつくり上げたと言っても過言ではありません。低学力の生徒への手厚い働きかけが全体の学力の底上げを支えたと言えます。
 そこで、お伺いをします。公立中高一貫教育を進めようとされていますが、目指す方向と、どのような生徒を育てようとしているのか、お伺いをします。
 また、県教育委員会として、大多数の生徒の通う公立中学校の学力面での課題や学級運営での問題点を把握されているのか。今後どういった対策をされていくのか。
 以上、教育長にお伺いをします。
 最後に、耕作放棄地について、農林水産部長にお伺いをします。
 私の知人で、他の仕事についていたのですが、心機一転、農業で生計を立てたいということで、葉野菜を栽培されている知り合いに指導をお願いしたそうです。その方は、一年じゅう収穫可能なホウレンソウ、チンゲンサイ、コマツナなどの野菜をつくっています。「農地があればすぐ収益を上げることができる。教えてやろう」ということで、どこか農地がないかと探したそうです。県の方が御好意で探してくれたのですが、なかなかいい場所がなく、見つけてくれたものの、道がない、水がないというような、ちょっと使い道のないようなところばかりで途方に暮れてしまったと言われていました。「とりあえず余った土地を貸してやるから一緒に栽培しよう」と指導してくれたその知人が誘ってくれたので、何とか始められました。始めて三カ月余りですが、今では野菜を市場に納められるようになり、生活のめどが立ってきたと喜んでいます。
 県の耕作放棄地、いわゆる空き農地の割合を調べると、全国の平均より高い数字になっています。梅やミカンといった収益性の高い農業を実施している市町村は高い耕作率を示しているけれども、それ以外は高い放棄地率になっているようです。そういった耕作放棄地の解消、発生予防ということで県としても支援対策を行っているところですが、今の例のように空き農地の状況がわからない状況です。
 そこで、耕作放棄地の現状と対策について農林水産部長に御答弁を願います。
 また、新規就農者も生活をしなければなりません。本気で農業者をふやそうとお考えならば、採算性の確保もある程度考えるべきではないでしょうか。福井県や岡山県では、農業研修者に対しては月々の生活保障を行っているところもあります。和歌山県でも、農業をしようという人材を育てるためにはそういった手だても必要だと思います。
 そこで、知事にお伺いをします。
 私は、和歌山県を農業立県として将来的に採算のとれる農業構想が必要だと思います。農業がこれから先、大変重要な産業だと認識しているのですが、耕作放棄地の解消や新規農業者の受け入れも念頭に置きながら、農業のハローワーク的機能を持ったものを立ち上げてはどうでしょう。
 例えば、地域の農業従事者に指導者として登録をしていただき、農業をしたい人が本格的に農業のできる仕組みをつくり、これから退職を迎える団塊の世代にも一役買っていただけるような制度を考えていただきたい。
 知事は緑の雇用ということで一躍有名になられましたが、和歌山県の特徴を最大限に生かしていただき、農業のハローワーク的機能を持ったものをぜひとも実現していただきたい。
 知事の御所見をお伺いしまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、子供虐待防止条例の制定についてでございますが、御指摘の、県独自で子供の虐待を中心とした子供の命を守るための条例を制定してはどうかということです。
 児童虐待は子供の人権を著しく侵害する行為であることは言うまでもなく、また非常に大きな問題であるというふうに考えておりまして、次の世代を担うすべての子供が健やかに育つ社会の実現に向けて、幾つかの県で例があるようですけども、条例を制定することは大変意義のあることだというふうに思っております。
 条例の制定に当たっては、他府県の状況も踏まえながら、子供の人権救済につながる実効性のあるものとなるよう内容を検討し、前向きに取り組んでいきたいと、このように思っております。
 次に、農業のハローワーク的機能についてでございますが、この問題については、今、県は、団塊の世代の人とかが農業に従事するときに、いろんな形で農地情報とか住宅情報とか提供して、いろんな形で農業従事者がふえるような形で努力はしてるんですけども、御質問にありましたハローワークというのは、非常にネーミングもおもしろいし、そして取り上げ方の切り口も非常にユニークなものだと思いますので、これについても前向き、積極的に対応していきたい、このように思います。
○副議長(谷 洋一君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 児童虐待の現状についてでございますが、十七年度の総処理件数を種類別に見ると、身体的虐待とネグレクトがそれぞれ約四割で、加害者別では、実母が七割強を占めております。また、市町村の相談受け付け件数は二百二十九件でありました。
 次に、児童虐待防止対策についてですが、まず予防対策として、乳幼児の健診時等に虐待リスクのある家庭を把握するとともに、必要に応じて家庭訪問等を行っております。
 また、市町村域ごとに、警察、教育、医療等関係機関並びに民生・児童委員などで構成する要保護児童対策地域協議会の設立を推進し、児童虐待の防止を図っているところでございます。これまで十八市町で設置済みであり、平成二十年までに全市町村に設置することを目標としております。
 この協議会では、重大な事態に陥るおそれのある事案等の早期発見や緊急時に迅速かつ適切な対応ができるよう、速やかな情報共有ができる体制の構築を図っているところです。
 県といたしましては、今後、協議会が中心となって、児童相談所との緊密な連携のもとに、ネットワークの強化や緊急対策マニュアルの作成等を通じて、地域における支援体制の充実について指導、助言してまいります。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 耕作放棄地の現状と対策についてでございますが、耕作放棄地につきましては、二〇〇五年の農林業センサスによりますと県内三千六百三十六ヘクタールとなってございまして、経営耕地面積に占める割合は一二・一%となってございまして、年々増加の傾向にございます。
 こうした中、各市町村におきましては、昨年の農業経営基盤強化促進法の改正を受けまして、遊休農地対策に関する事項といったことを盛り込んだ基本構想の見直しを行ってございまして、これによりまして農地の集積や農業経営の合理化の促進に努めることとしてございます。
 また、中山間地域等直接支払制度による集落協定活動でありますとか農地・水・環境保全向上対策、こういった施策の推進などによりまして農村資源の持つ機能の保全に努めているところでございます。
 県におきましては、遊休農地の利用や保全を図る農業者に対しまして奨励金を交付する遊休農地解消総合対策促進事業を実施するとともに、今年度から新たな取り組みといたしまして、就農支援センターなどでの研修を受け就農を目指す方々に対しまして農地を無償で貸し付けする、こういった事業を県農業公社において実施をしているところでございます。
 さらに、今年度、新規就農希望者の受け入れを進める鄙の里づくり事業のモデル地区、こういうものを五カ所指定いたしてございまして、これらのモデル地区におきましては、先ほどの就農支援センターとの連携のもと、農地情報の提供や農業のアドバイスなど、円滑に就農できるようサポートをしているところでございます。
 今後とも、市町村、農業委員会及び関係団体と連携を密にいたしまして、JA等による農作業受託組織の育成支援、また新規就農希望者への農地のあっせん、滞在型市民農園の開設による地域づくりへの支援、また企業の農業参入など、さまざまな取り組みを展開いたしまして農地の有効活用に努め、地域の活性化に資してまいりたい、このように考えてございます。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する四点についてお答えいたします。少々長くなりますので御了承ください。
 まず、高校入試につきましては、平成十九年度から、これまでの推薦入試を前期選抜に、一般入試を後期選抜に変えて、新たな制度で実施いたします。
 推薦入試は、昭和五十四年度に導入して以来、志願する生徒の増加や学校の個性化の進展に合わせて、順次その枠を拡大してまいりました。今回の改善は、これまでのこうした流れを受けて、希望するすべての生徒に複数の受検機会を保障し、生徒の主体的な進路選択を促すという観点に立って行ったものであります。
 前期選抜の募集につきましては、専門性の高い学科の特性を考慮するとともに、過去の推薦入試においても八〇から一〇〇%の募集定員枠を大幅に超える出願があった状況も勘案して、御紹介のありました六校七学科に一〇〇%枠を実施したものであります。
 次に、平成十七年度の県立高校における中途退学者数は、前年度と比較して、全日制で〇・一ポイント、定時制で二・二ポイント減少したものの、依然として課題であるととらえております。
 各学校では、目的意識を持たせるための進路指導や基礎学力の向上など、地道できめ細かな指導を行っているところです。また、今年度はハイスクールサポートカウンセラー等の配置校を二十三校から三十四校に拡充し、個々の生徒が抱える悩みや学習のつまづきへの支援を行っております。
 中退した生徒の実態把握については難しい面もありますが、今後とも中退後の進路の選択に対する相談や援助などをより一層充実するよう努めてまいります。
 次に、学力診断テストの結果及びその傾向、対策については、教育委員会として詳細な分析を行うとともに、具体的な指導事例を示しております。各学校ではこれらを活用して授業改善に取り組み、従来に比べ、基礎的な知識や技能の定着状況が向上してきております。
 岩手、宮城、福岡の各県と合同で実施している統一学力テストの結果では、小学校の算数、中学校の数学、英語において本県の正答率が高くなっております。しかし、文章を読む力や書く力といった国語力に課題が見られたことから、今後とも中学校の国語科担当教員による小学校での指導を初め、授業力向上のリーダーとなる教員の育成や読書活動の推進など、国語力向上推進プロジェクトの取り組みをより一層充実させてまいります。
 最後に、中高一貫教育は、現行の中学校、高等学校に加え、新たな選択肢を提供することを目的に導入し、連携型三校に続いて併設型三校の合計六校では、生徒、保護者のニーズにこたえるすぐれた実践を行っており、高い評価と大きな期待をいただいているところです。
 来年度新たに設置する桐蔭中学校を含めこれらの学校では、それぞれ特色ある教育課程を編成し、学力面だけでなく、中学生と高校生の交流などのさまざまな体験活動を通して、社会性や豊かな人間性をはぐくむ教育を積極的に進めることとしております。
 公立中学校につきましては、市町村教育委員会と連携し、地域や保護者の願いにこたえ、学力向上や生徒指導上の課題を解決するため、小中一貫教育の推進や三十五人学級編制の実施、少人数指導の充実、非常勤講師及びスクールカウンセラーの配置など、各学校の実情に応じた施策を充実させているところです。
 今後とも、中高一貫教育校と公立中学校とが互いに切磋琢磨することにより、本県中等教育全体の向上に資するよう努めてまいります。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 御答弁いただきましたので、何点か要望させていただきます。
 まず、児童虐待問題です。
 先ほど御答弁では、子供の人権救済につながるような内容を検討して取り組んでまいりますとの御答弁でした。県としてもお取り組みをいただいてるところですけれども、虐待がなくなるどころか、もう本当に増加の一途をたどっているというふうな現状で、私は、虐待から子供たちを守るためにも一刻も早く条例を設置していただきたい。
 他府県の状況も調査していただくということはもちろんですけれども、実際に現場で対応されている方とか、そういった関係者の皆さんの意見をしっかりと聞いていただいて、本当に、さっき知事からも答弁いただきましたけれども、実効性のある、そういった条例にしていただきたいというふうに強く要望いたします。
 次に、高校入試についてもちょっと要望いたします。
 教育委員会の皆さん、また県民の皆さんも承知されていると思いますけれども、高校受験というのは、古い言い方で言いますと本当に「十五の春」というふうなことで、中学生にとっても、また親にとっても、本当に一生一度の大きな問題だと思っています。
 今議会においても、各中学校のPTAの皆さんから要望をいただきました。その中では、こういうふうに書かれています。「大幅な改定により、学校や生徒、保護者ともに入試への対策が大変困難を来しています。今後、入試要項の大幅な改定や学科の新設、改廃、統合等の計画がある場合は、計画段階で広く教育現場の意見等を聞き、制度に反映させるべく相互理解の場を設定いただくとともに、入試要項も含め、できるだけ早く公表していただきたい」というふうに強い要望を私は受けております。
 今回の改正についても、大変皆さん不安に感じておられると思いますので、こういうふうに今回のような大きな改定をされる場合は、市町村ももちろんですけれども、各学校に対しても説明会の回数をふやすなどして対応していただきたい。関係者の皆さんの不安をやはり払拭していただくように強く要望をいたします。
 また、前期試験の募集のパーセントも、来年度の入試状況を見ていただいて、改善するところがあれば改善していくといった柔軟な姿勢で臨んでいただきたいんですね。前期で一〇〇%の募集を行うという学科については、受検のチャンスをふやす方向で研究をしていただきたいと思っておりますので、これも要望といたします。
 最後に、中高一貫の公立中学校の問題については、幅広い教育内容の選択ということで一定の理解をするところですけれども、私としては、教育格差の拡大であったりとか中学校の序列化というふうなことになりはしないかということで大きな危惧を抱いているところです。
 教育委員会としては、そういったことにならないように、教育、学校現場の実情をしっかりと把握されて適切な対応をしていただくようにお願いをします。
 以上で、要望させていただき、質問を終わります。
○副議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。

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