平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、第一日目の中村議員と若干重複いたしますが、お許しをいただきたいと思います。
 去る七月四日夜から降り続いた雨は、翌五日早朝、印南町で一時間に百ミリを超える雨量を計測し、民家や田畑、道路、河川等に大きな被害をもたらしました。その傷跡も修復されない今月六日夜、またも雷を伴う集中豪雨が中紀地方を襲い、被害が相次ぎました。私も被害の状況を視察し、その悲惨な家屋の状況や田畑の荒廃を目の当たりにし、愕然といたしました。被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 当日、県当局におかれましては速やかに現地の被害状況の確認をしていただき、災害査定をしていただいておりますが、台風や大地震等の災害とは異なり大変局地的な集中豪雨ですので、国や県の災害救助の対応がどのようになるのか、少し心配しております。
 一件当たりの被害額は案外大きいと思うのですが、広範囲に被害が及んでいないため、県内はもとより同じ町内であっても災害に対する認識が薄いのは、いたし方ありません。
 例えば、記憶に新しい福井県や長野県を襲った大洪水による被害は目を覆うばかりの惨状でしたし、先般九月十七日夜、九州を襲った台風十三号による風水害は道路や河川や人家に壊滅的な打撃を与え、宮崎県で突然起こった竜巻はとうとい人命を奪い、家屋等を破壊いたしました。被災された方には本当にお気の毒で、かける言葉も見つかりませんが、心から重ねてお見舞いを申し上げます。
 このような大きな規模の災害に際して、国は地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力のもとに応急的に必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的として災害救助法が制定されております。
 本県では、昭和六十三年、新宮市が豪雨により千九百十六棟が浸水し適用になって以来、該当する大きな規模の災害は幸いにして起こっておりませんが、それに満たない災害は毎年県内各地で起こっています。
 また、政府は平成十年に新たに、自然災害の被災者に対して生活再建資金を給付する被災者生活再建支援法を制定いたしました。対象となる災害は暴風、洪水、地震その他の自然災害に適用されるとありますが、災害規模によって適用範囲が定められています。まず、災害救助法の適用がなされていること、もしくは市町村で全壊家屋が十世帯以上、都道府県で全壊家屋が百世帯以上のいずれかの条件を満たすとあります。
 このたび中紀地方を襲った集中豪雨による被害については、軒数にすれば決して多くありませんが、御坊市で五軒、日高町で五軒、日高川町で一軒、そして印南町で二軒の床上浸水の被害であり、対象外であります。家が床上まで水につかるという状況は、災害の規模の大きさに関係なく当事者にとって大変な災難であり、何とか災害支援ができないものかと痛感いたしました。
 当局にお伺いしたところ、災害見舞金として県単独事業で、人的被害は死者には五万円、重傷者には五千円、家屋の被害で全壊家屋には一万円、半壊家屋には五千円、床上浸水家屋には五千円が支給されることになっております。この制度は昭和四十二年度から、床上浸水二千円で始まりました。当時の県職員の平均給与が四万五千八百二十円ですから、現在と比較すると約十倍近くになるのではと感じます。
 床上浸水のお宅の家財道具は水浸しになり、一時家には住めないのでどこで寝泊まりしようかと思案されている被害に遭われた方のお話を聞きながら、五千円の見舞金というのは少し違和感を覚えるのは私だけでしょうか。また、このお宅にはそばに河川があるわけではなく、また特別低いところに住居が立地しているわけでもありません。このたびの集中豪雨がいかに激しかったかがうかがい知れますが、自然環境も含め、いろいろな周辺の開発等による住環境の変化により、最近水につかり出した箇所もあるのではないでしょうか。
 七月のときも今回も、印南町印南地区は、役場、小学校、郵便局、農協、銀行やショッピングセンターが集中しており、町民の生活の中心的な位置にありますが、このたびの豪雨でかなりの広範囲で浸水し、印南小学校は二日間臨時休校になり、大型食料品店も二日間閉店するなど、一時的に麻痺状態になり、住民生活に大きな影響を与えました。今回は四十年ぶりと言われるほど予想をはるかに超える集中豪雨であったことは間違いありませんが、台風等による少し大きい雨でも冠水するこの地区の治水対策について抜本的に見直さなくてはならないのではないかと考えます。
 また、同じ町内の津井地区の田畑は、津井の川のはんらんで耕作面積の大部分が水没し、苗つけをしたウスイエンドウや菊の苗が冠水、流出、埋没いたしました。ハウスも損壊し、畑の表土が流されてしまい、私の知る限りでは近年一番被害が深刻ではないかと思うほど悲惨な状況でした。
 また、県道御坊由良線も大きな被害に見舞われ、由良町の白崎少年自然の家に通ずる道路の陥没や美浜町の三尾地区の落石、倒木による通行どめになり、出勤や通学にも影響が出ました。さらに、御坊・日高地方の他の県道や国道も冠水により一時通行どめとなる等、生活の足が乱れ、住民生活に大きな影響がありましたが、一刻も早い完全復旧を望むものであります。
 今回に限らず災害時にいつも思うのですが、それぞれの地域の土木建設業に携わっておられる会社や従業員の皆様には、昼夜を問わず、さらに危険を顧みず、いち早く道路やライフラインの仮復旧に御尽力をいただいておりますことに、心から感謝と敬意を表します。
 そこで、このたびのように一時間に百ミリを超える集中豪雨による被害は、面積的には被災地域は限られており、台風時のように風による被害もありませんし、地震のときのように多くの家屋が倒壊する状況にありませんが、床上浸水や農作物等の個々の被害を考えますと、台風時より大きい場合もあるのではないかと、このたびの集中豪雨による災害で痛感いたしました。
 そこで、和歌山県は床上浸水したお宅に対して現行制度では五千円の見舞金を支給していただいておりますが、近畿では、滋賀県は二万円、兵庫県は三万円支給されており、他の自治体でも最高五万円を支給しているところがあるとお聞きいたしました。
 しかし、全く支援制度のない自治体の方が全国では圧倒的に多い中、本県においては他の都道府県に先駆け災害見舞金の支給を制度化し、今日まで心ある対応をしていただいていることに対し高く評価と敬意を表しますが、被災した当事者の心情や、また現在の一般庶民の感覚に照らして若干の見直しをしてはいかがかと考えますが、福祉保健部長の今後の対応に期待をいたします。
 そして、農林水産部長には、今回の集中豪雨による御坊・日高地方の農作物の被害や農地の復旧に対して速やかに対応していただきますことをお願いいたします。
 県土整備部長にも、印南町印南地区のたび重なる冠水について、印南町とも御協議をいただきながら抜本的な対策を御指導いただけますようお願いを申し上げます。
 また、各地域の道路の復旧や今後の河川改修等にもお力添えをいただきたく重ねてお願いを申し上げ、以上三点すべて要望とさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 我が県の県立自然公園についてお伺いをいたします。
 私たち和歌山県の海岸線や山間地域には風光明媚な箇所も多く、それぞれの地域の自然や環境またはその景観を保護するため、昭和三十四年の県条例改定以降、現在に至るまで十の地域を県立自然公園に指定し、守ってまいりました。私たちの県民の共有の財産として当然のことでありますが、その結果として、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録されましたし、ラムサール重要湿地に選ばれた串本沿岸海域は世界に高く評価される等、県内には他府県はもとより世界に誇れるすばらしい自然環境が残されることになりました。
 須川議員から報告がありましたので詳しくは申し上げませんが、先般、吉野熊野国立公園内にある那智勝浦町の那智の滝と中国貴州省の黄果樹大瀑布との姉妹滝の締結に同行させていただきました。中国にも大変すばらしい自然環境や世界遺産に登録された地域もありますが、我がふるさと和歌山県の海岸線の美しさや豊かな緑に抱かれた森林地帯を思うとき、改めて先人の残してくれた貴重な財産を大切にしなくてはいけないと感じた次第であります。そして、自然に恵まれたこれらの地域を未来にわたって私たちの子孫に残し保護していくことは、今の私たちの責務であると考えます。
 お伺いいたしますと、県内にはかつらぎ高野山系県立自然公園、紀仙郷県立自然公園、大池貴志川県立自然公園、生石高原県立自然公園、西有田県立自然公園、白崎海岸県立自然公園、煙樹海岸県立自然公園、田辺南部海岸県立自然公園、熊野枯木灘県立自然公園、大塔日置川県立自然公園の十カ所の県立自然公園が指定され、さらに瀬戸内海国立公園、吉野熊野国立公園、高野龍神国定公園を含めますと、県土のかなりの面積が公園に指定されており、今日まで自然環境や景観を良好に保全してきましたが、これは高く評価されるものであります。
 しかし、ひとたび県立自然公園に指定されますと、当然のことと言えば当然のことでありますが、大変厳しい規制がかかり、たとえ自分の土地であったとしても建物や工作物の設置が自由にできないとお伺いをいたしております。
 私が調べたところによりますと、和歌山県では県立自然公園に指定されている面積のうち約八割が私有地であり、これは全国で二番目に高い割合であります。また、特に規制の厳しい特別地域の割合も約八割を占め、全国で五番目に高い割合となっております。
 このように、全国的に見ても厳しい規制を課すことで自然環境の保全を図ってきた結果、貴重な自然やその景観が長きにわたり守られてきたことは間違いのないところでありますが、県立自然公園の指定から既に約五十年近くが経過し、これを取り巻く経済や社会状況は大きく変化をいたしております。自然公園近くまで別荘や民家が建ち並び、公園内の道路も整備され、もはや居住区と渾然一体となっている場所も見受けられます。さらに、県民が県立自然公園に求めるニーズや価値観も、おのずと公園制度発足当時とは大きく異なっているのではないかと思います。当然、地権者には自分の土地を活用する権利もあります。自然公園だからといって全く何もしてはいけないというのは少し行き過ぎているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
 最近注目され出した風力発電の適地は海岸線が多いと考えますが、我が県の海岸線はそのほとんどが国立もしくは県立自然公園に指定されており、建設することは事実上不可能な状況にあります。環境に優しい新エネルギーを推進していくということは世界的な要請であり、国家もその政策の推進に力を注いでいる現在、そういった施設の建設に対しても柔軟に対応していかなければなりません。また、森林においては、人と共存することによってその活力を維持し、環境を守っていくのであって、適度に人の手を入れていかなければ、さらに荒廃していく懸念もあります。
 保護すべきところは厳正に保護していくことは当然のことでありますが、自然公園であっても、比較的活用しても環境や自然破壊につながらない場合はむしろ積極的に活用できるように考えていく、すなわち自然環境保全と地元の経済活動が両立した持続可能な発展があってもいいのではないかと考えます。和歌山県の大切な観光資源であります県立自然公園のさらなる活用をこの際考えてみてはと思います。
 そこで、和歌山県の自然公園制度について環境生活部長にお尋ねをいたします。
 まず、県立自然公園内においての施設の建設やその他の構造物に対する規制についてお伺いをいたします。
 また、県立自然公園が指定され約五十年たつわけでありますが、現在抱えている問題点があるとすれば、それについてもお伺いをいたします。
 そして、もし現行の県立自然公園の規制や区域等の見直しについても当局のお考えがあればお聞かせください。
 さらに、県立自然公園の利活用を含め、今後の自然公園行政の目指すべき方向性についてお伺いをいたします。
 次に、合併浄化槽の普及と維持管理についてお尋ねをいたします。
 私たちが生きていく上でどうしても必要な水は、生活の多様化や化学物質の混入等により大変汚染されてまいりました。人口の多い都市においては、生活排水の処理に対して公共下水道の整備が進み、そのほとんどは最終処理をして河川や海に戻しております。また、人口の過疎化や高齢化が著しい地方の市町村でも、ある程度人口が密集している地域では公共下水や農業・漁業集落排水が推進されております。しかし、和歌山県において下水処理の普及率は依然全国平均を大きく下回り、大きな政治課題の一つとなっています。
 山間地域の多い我が県において、地形的に見ても、また過疎化や高齢化が一層進む中、下水道処理を推進しようとしても加入者の確保が大変厳しい状況にあると考えます。たとえスタート時に加入者がある程度確保できても、年々過疎化、高齢化し世帯数が減少し、維持管理が将来的に見て困難な状況も十分予想される中、下水の処理は我が県の永遠のテーマであり、環境浄化はもとより、農林水産業への影響や、また観光立県を標榜する我が県にとっても観光資源の保護にも影響を及ぼさないかと心配をいたしております。
 そこで、今後、下水処理施設の困難な地域を多く抱える我が県においては合併浄化槽の推進が最も有効であり、かつ現実的であると考えます。
 現在も、家を新築する際、または増改築する際には、合併浄化槽に係る助成金をつけて推進をしていただいております。また、建築基準法により合併浄化槽の大きさが住宅の延べ床面積百三十平方メートル以下は五人槽、それ以上は七人槽と決められていますが、和歌山県においては比較的他府県よりも敷地がゆったりととれるため延べ床面積も広くなると考えられ、平成十二年四月より百五十平方メートル以下ならば五人槽であっても建築確認ができるように緩和措置をしていただきました。
 二世帯住宅では、ふろとキッチンがそれぞれの世帯に設置していれば、延べ床面積に関係なく十人槽の設置が求められていると聞いております。新築の際、五人槽や七人槽よりも大きな十人槽を設置すれば、当然、建築費やその他の経費も当初かさむわけであります。しかしながら、二世帯住宅であっても家族が六人未満の御家庭もあり、また先ほど述べたように、将来御両親がお亡くなりになったり、ふろやキッチンの使用も一つだけになり、さらに子供たちが進学や就職により家を出ていく等、過疎地においては住居人が最終二人や一人になってしまうことも十分予想されるところであります。
 公共下水やその他の下水道施設は、水道の使用量や住んでいる人によって料金が算定されているとお聞きをいたしました。つまり、家族が多ければ当然水道の使用量は大きくなるわけで、そういう意味では住んでいる方にとって納得のいく算定方法だと思います。
 しかし、合併浄化槽は、住んでいる人の数ではなく処理槽の大きさで設置時に決定され、以後、浄化槽の機能を維持していく上で管理費を負担していかなくてはならないということになっています。設置後の維持管理費は、十人槽のように大きくなりますと浄化槽清掃料金も高くなり、年間トータルでは隣近所と比較して負担が重いと受け取られはしないかと危惧をいたしております。
 我が県の水環境の保全推進のために欠かすことのできない合併浄化槽でありますが、以上のような疑問点も現実としてあるのです。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 現在、県内の合併浄化槽の普及率など現状をお聞かせください。
 また、建築基準法における合併浄化槽の設置基準や助成金についてどのようになっているのか、お答えください。
 そして、先ほどから述べているように、合併浄化槽は水環境を守る上でさらに推進していかなくてはなりませんが、維持管理について住民の理解を得ることが重要であると考えます。そこで、助成金を伴う事業ですので、設置時、維持管理費の御負担についてだれがどのように御説明をいただいているのか、お聞かせをください。
 最後に、市町村がみずから設置主体となって行う浄化槽市町村設置推進事業があるとお伺いをいたしました。この事業は市町村が合併浄化槽を設置する事業であり、二十戸以上あれば浄化槽市町村整備推進事業に採択され、二十戸未満でも個別排水処理施設整備事業が実施できると聞いております。
 個人設置の合併浄化槽は住民負担が六割ですが、この事業は下水道事業債が適用されるため住民負担は一割で、設置時の個人負担は約六分の一となるそうです。また、農業集落排水事業よりもそれぞれの市町村の財政事情に合わせて事業計画を立てることができ、その地域の人口、世帯数に合わせて柔軟に対応できるため、結果、市町村の事業費負担が軽減できるとあります。
 また、住民の希望によって施設を設置するので加入率が一〇〇%確保でき、維持管理費は自己の施設分だけで済み、住民負担が軽減され、また公平性も確保されるとあります。まさしく、先ほど述べてきた個人設置の合併浄化槽の疑問点を補っているのではないかと考えます。
 当局におかれましては、この浄化槽市町村整備推進事業について、市町村や住民に対して周知啓発等積極的にお取り組みをいただき、下水道普及率全国ワーストツーの汚名を一日も早く返上し、名実ともに環境先進県と胸を張れるような当局のますますの御尽力を心からお願いを申し上げたいと思います。
 次に、農業普及指導員についてお尋ねをいたします。
 我が県は、御承知のとおり農業が主要産業でありますが、それを取り巻く状況は年々厳しくなっております。後継者や新規担い手の確保はままならず、また食糧の自給率は低下の一途をたどり、食糧を海外からの輸入に頼る我が国の現状は一刻の猶予も許されないところまで来ていると言っても過言ではありません。木村知事も我が県の農業の発展に一方ならぬお力添えをいただいておりますことは、よく承知をいたしております。
 農業の持っている潜在能力は、新しい企業の農業への参入を呼び起こし、また、ここ数年急激にふえる団塊の世代の定年退職者やIターン、Uターン者の農業への参加等、取り巻く状況も大きく変化しようとしております。
 そういう状況の中で、農業の技術指導や経営について、支援体制はどのように行っていくのかが大きな課題となってまいります。今回質問させていただく農業普及指導員の役割がさらに重要になってくることは当然でありますし、さらなる充実を強く求めるものであります。
 昭和二十三年に国と県との共同事業として、農業改良助長法に基づき共同農業改良普及事業が発足したと伺っています。役割としては、試験研究機関で開発された新しい技術を地域の農業条件に応じて現場で組み立て実証し、農業者に新技術の取り組みを促し、産地形成を進め、地域全体に波及させることにより地域農業の振興を図ることを目的とするとあります。
 具体的には、農業・農村の担い手の育成や産地育成に向けた取り組みへの支援、環境と調和した農業生産に向けたエコ農業の推進、食の安全・安心につながる食育や地産地消等の推進、さらに農村地域の振興に向けた取り組みへの支援等、取り組む課題は大変重要であると考えます。
 和歌山県においても、現在、その人員は各振興局の農業振興課に八十六名の普及指導員を配置し、産地グループと担い手グループを置いて、技術指導や担い手の育成等、地域農業の振興に向けた活動を行っているとお伺いをいたしております。また、農業総合技術センターに三名、果樹園芸課に二名を配置し、試験研究機関や行政との連携を図るため県全域を担当する広域普及員を置き、振興局と協力して重要課題の解決に向けた活動を行っていただいていることは、御承知のとおりであります。
 また、普及指導員の任用については、農業改良助長法の規定により普及指導員資格試験という国家試験に合格した優秀な方が任用されるとあり、大変心強く思うものであります。
 先ほど述べましたように、今後、小泉内閣の目玉でありました農業特区の制度により、いろいろな形で農業に参画してくる法人、個人も想定されますし、福祉施設やNPO法人等も農業への取り組みに大きな期待と関心が寄せられております。
 障害者の方にとって農業に従事することがいやしにつながるのでしょうし、工場などで機械的に仕事をするよりは自分のペースで仕事を進めていくことが比較的可能な農業は、職場環境も穏やかで、精神衛生上もよりよいのではないかと申される福祉関係者の御意見もお伺いをいたしました。
 しかし、このような福祉に携わる団体において農業技術者を常勤で確保しておくことは大変経費負担となりますし、農家の方や農業に精通されたボランティアの皆さんにいつも御協力をお願いするというわけにもいかない場合もあるでしょう。そんなとき、一番身近でよりどころとなるのは、農業普及指導員の方の存在であり、御指導、御協力いただければ大変心強く、頼もしい限りであると思います。
 今まで述べたように、普及指導員の今後の活躍の場は多岐に広がっていくことが予想され、さらに重要な役割を担ってくるのではないでしょうか。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 まず、普及指導員の農家への技術指導に関して、現在どのような活動状況にあるのかをお答えください。
 さらに、IターンやUターンの方や定年退職され新たに農業に従事することを希望する方、及び他の業種から参入される企業、団体への農業技術の支援、指導について今後どのように取り組まれるのか、お答えをください。
 また、福祉施設やNPO法人等から要望があった場合、どのように対応されるのかもお聞かせください。
 最後に、六月議会でも取り上げましたが、障害者自立支援法が施行され、一割負担が求められる中、いかにして障害者の皆さんの収入と生活を安定させていくかが大きな課題となっています。
 先般、和歌山県福祉事業団の方と意見交換する場がございましたが、そのとき、海外の福祉施設との職員交換や留学生等を含む交流も活発に行いたいが県当局にお力添えをいただきたいとの御要望もありました。特に農業については、農業技術習得のための研修生等の受け入れも視野に入れ、農業と福祉がさらに融合され、一体化し、より相乗効果が得られる体制づくりや環境づくりに対し当局の御理解と御協力をお願いし、また木村知事におかれましても今後格段の御指導、御高配を賜りますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 県立自然公園に関する四点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自然公園内における規制についてでございますが、議員の御質問にもございましたように、本県の県立自然公園、昭和三十四年に施行された和歌山県立自然公園条例に基づきまして十公園を指定しております。
 各公園ごとに定められる公園計画におきまして、自然公園の風致景観の特質あるいは環境保全の必要性の度合い等に応じまして、一種、二種、三種に区分される特別地域及び普通地域の四種類の地域に区分をされております。これらの地域区分によりまして工作物の新築あるいは増改築など一定の行為に対する制限を定めまして、国、市町村と連携、協力しながら自然景観の保全と管理を行っているところでございます。
 次に、現在抱えている問題点についてでございます。
 御指摘のとおり、自然公園を取り巻く諸状況は大きく変化をしてきていると認識をしております。自然公園内でも一部では自然環境の資質が低下している箇所も見られ、また一方では、自然公園ではないものの将来的に開発圧力から保護していかねばならない自然環境も県内には存在するのではないかと考えております。さらに、風力発電を初めとする新エネルギー推進政策との調整も新たな課題であるものと認識をしております。
 次に、現行の規制や区域の見直しと今後の方向性についてでございます。
 自然公園区域及び公園計画については、指定後の社会経済情勢の変化に伴う利用形態の多様化や都市化等に伴う周辺環境の変化などに対応するため、見直しにつきましては個別公園ごとに随時行ってきたところでございます。
 最近では、平成八年度から毎年、公園ごとに見直しを行い、今年度をもって県内十公園の見直しが一巡いたします。しかしながら、県立自然公園の指定から五十年近くが経過した今、これまで行ってきた公園ごとの個別の見直しでは、県内全体から見た自然環境の保全が難しくなっているものと認識をしております。
 したがいまして、自然環境保全の意義、保護対象の再精査、各自然公園間の保護のバランス、保護と開発が両立する公園のあり方など、さまざまな観点を考慮しながら、広く県民の皆様の御意見も伺いながら、県全体における県立自然公園の抜本的な見直しを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 合併浄化槽の普及と維持管理について三点お尋ねがありました。
 一点目の合併浄化槽の普及率についてお答えをいたします。
 和歌山県の汚水処理人口普及率は平成十七年度末で四〇・八%であり、そのうち合併浄化槽の普及率は二二・三%と、汚水処理人口普及率の約二分の一を占めております。
 次に設置基準につきましては、議員御案内のとおり、地域の実情に応じて住宅の処理対象人数は百五十平方メートルまでは五人槽としており、また二世帯住宅につきましては二軒分として最小となる十人槽を採用しております。
 助成事業につきましては、市町村がそれぞれ独自に要綱を定め、年間約四千基に対し助成をしておりますが、その助成額に対し、原則、国と県が三分の一ずつ補助をしております。
 三点目の合併浄化槽設置時の説明につきましては、助成窓口である市町村が住民の方々に対して維持管理に係る説明をしております。特に、維持管理にかかる費用につきましては、県が出向いて新規の浄化槽管理者を対象とした講習会を開き、住宅を建てる方に浄化槽の規模により負担していただくよう理解を求めております。
 今後も、水環境を守る上で合併浄化槽の維持管理の大切さを認識していただくよう、「県民の友」など各種広報媒体を活用して一層の啓発に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業普及指導員の現状とあり方につきまして、一括してお答えをいたします。
 普及事業につきましては、これまで農業改良普及員が中心となって農家ニーズに対応し、技術指導や情報提供など行ってまいりましたが、高度な技術力や地域農業を総合的にコーディネートする機能が求められる中で、昨年、普及指導員制度が新たにスタートをしたところでございます。
 現在、多様な担い手の育成確保や遊休農地の有効利用を初め、ポジティブリスト制への対応など、それぞれの地域の課題について重点的に取り組むことといたしてございます。
 農家への技術指導の現状についてでございますが、現在、地域農業の方向を見通した普及指導基本計画に基づきまして、JAや生産組織と連携を図りながら、栽培講習会を通じ、梅の土づくり対策、ゆら早生のマルチ栽培、またトマトの病害虫対策、こういったことに取り組んでございますほか、個々の作目に応じた農薬の適正使用を指導するなど、農家の経営安定に努めているところでございます。
 また、定年退職者あるいはU・Iターン者などへの技術支援につきましては、県の重点施策でもございます総合帰住政策を進める上でも普及指導員の果たす役割は大変重要と考えてございまして、就農支援センターを核に市町村等関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
 さらに、農業への取り組みに関心のございます福祉施設あるいはまたNPO法人などに対しましては、これまでも花の栽培指導などを行ってきたところでございますけれども、御要望がございますれば、その内容に沿って積極的に対応してまいりたい、このように考えてございます。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(谷 洋一君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。

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