平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十八年九月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
────────────────────
議事日程 第四号
 平成十八年九月二十二日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに報
第八号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに報
第八号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議案とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして順次質問させていただきます。
 一番目に、和歌山県の医療についてであります。
 一つ目、医師の確保について。
 本年三月、和歌山県地域保健医療協議会医療対策特別委員会は、「和歌山県における医師の確保のための取り組みについて」と題して中間報告を発表されました。和歌山県内の医師数からすれば全国平均は上回っているものの、和歌山市に集中しており、県内の多くの地域で医師が不足するという地域偏在が生じており、深刻な状況であります。まさに、今後、臨床研修医に一定期間の間、僻地と言われる地域の医療機関での研修を必須にしたり、若手の勤務医に僻地での病院診療を義務づける手だてはどうしても必要ではないかと思います。
 県立医大からの派遣にも限度があり、自治医大を卒業した医師にもどんどん和歌山県へ来てもらうよう、さらに要望はしていくべきだと思います。また、開業医の力もどうしても必要であり、単に患者に対する病診連携にとどまらず、病院勤務医の過重労働や医師不足を補ってもらえるような病院における診療体制の構築も必要であります。
 早急にこうした体制を県において前向きに推し進めていただきたいと思います。それでないと、医師不足に悩む僻地の病院を統廃合せざるを得ない状況になり、余計身近な医療が過疎地では受けられなくなるというような事態に陥ってしまいます。今こそ、医師確保のために県当局は大なたを振るうべきであります。県内バランスのとれた医療が行えるよう、医師会など医療団体との連携のもと、県当局の弾力的な施策が急がれますが、いかがでしょうか。具体的な検討を、福祉保健部長、聞かせてください。
 二つ目に、ドクターヘリであります。
 我が県の僻地の医療不足を補うものとしてドクターヘリも平成十五年一月に導入されて以来、和歌山県のみならず奈良県、三重県にも飛び、大活躍であります。平成十七年六月には新生わかやま共同研究支援事業として、和歌山県での夜間ドクターヘリ運航における救命効果及び経済効率についての研究が実施されました。このときの結論としては、二十四時間運航が望ましいが、まずは段階的に時間延長していくことが妥当であるとの趣旨になっておりました。
 本年四月一日からは、ドクターヘリの運航が午前八時開始と改善されてきております。朝八時から夜八時までのまず十二時間運航にすれば、現在非対応の時間帯のうち約四〇%の適応患者に対応できると言われております。
 もちろん、現状では夜間の運航区域は限られてくると思います。騒音の問題もありますが、防災・安全面からも、和歌山県立医科大学附属病院のヘリポートに夜間照明がどうしても必要であります。将来の二十四時間運航に向けて、まずこの夜間照明設置は県内第一番目の災害拠点病院への設置として災害医療に大いに貢献していくものであります。
 ドクターヘリの午後八時までの運航延長と医大病院のヘリポートの夜間照明の設置について、ぜひとも前向きに推し進めていただきたいと思いますが、福祉保健部長、いかがですか。
 三番目に、高速道路におけるドクターヘリの活用についてであります。
 去る二月二十七日には、阪和高速道路の紀ノ川サービスエリア下り線の臨時へリポートにおいて、県、警察本部、市、消防局、西日本高速道路株式会社、県立医科大学附属病院が参加してドクターヘリの着陸検証会が行われました。組織的な取り組みとしては全国初の試みになると思われます。ヘリの離着陸時に発生する風の影響もなく、通行車両のわき見運転も見られなかったようで、今後、高速道路においてもドクターヘリが大いに活用できるのではないかという期待が膨らんだ次第です。
 ただ、下り車線では大阪側の消防の協力が必要であるし、大阪府側との協議は進んでいるのでしょうか。
 また、紀ノ川サービスエリアにおいても、ヘリポート用スペースとして一定以上の面積を確保しなければなりませんが、一部植栽を切るなど、西日本高速道路株式会社との話はどうなっていますか。
 紀ノ川サービスエリアのみならず、他のサービスエリアやパーキングエリアでのドクターヘリの離発着はいかがですか。
 以上、福祉保健部長、お答え願います。
 二点目に、防災と災害医療についてであります。
 平成七年の神戸市内における検死統計によれば、阪神・淡路大震災においては家屋の倒壊などによる圧死が死因の八割を占めるといったデータがあるようですが、ある被災者によれば、「これは誤解を与える表現であり、建物の外部がしっかりしていても家の中がぐちゃぐちゃになって、外にも出られずに屋内で亡くなった方が実に多いのに」と言っておられました。
 総務省消防庁のホームページの生活密着情報をあけてみますと、阪神・淡路大震災における震度七の地域では、住宅の全半壊を免れたにもかかわらず、全体の約六割の部屋で家具が転倒、部屋全体に散乱したという日本建築学会の住宅内部被害調査報告書のデータを紹介しております。続けて、しかもただ倒れるだけでなく、食器棚などは扉が開いて中の食器が散乱し、また冷蔵庫やピアノは移動してしまい、テレビや電子レンジが飛ぶといった、日常では考えられない現象も確認されております。つまり、建物が無事でも家具が転倒すると、その下敷きになってけがをしたり、室内が散乱状態のために延焼火災から避難がおくれてしまうなど、居住者被害も大きくなるというわけであります。前述の方によれば、実際被災した朝、寝ていたら突然体が空中に浮き上がり、目の前を家具が飛んでいき、あっという間にたんすや本棚、家電が転倒していったということです。
 大地震が発生すると、みんなが被災者になるのです。まず、地震が起きたら外へ脱出できなければなりません。家屋の耐震補強は、もちろん大事です。でも、事前対策としての屋内対策も大切であります。家では、家具などの転倒防止、上からの物の落下の防止、ガラスの飛散防止など、日ごろからでき得る事前対策を講じていなければなりません。
 また、避難道路や玄関近くに自動販売機やロッカーといった転倒したら障害物になってしまうようなものがあると、逃げおくれてしまいます。保育園、幼稚園や学校などで一番懸念されるのは、ピアノが暴走したり転倒したりして、もし幼児、児童が下敷きになったらと考えると身震いがいたします。
 病院ではどうでしょうか。阪神・淡路大震災のときも少なからずそうでした。外の建物がたとえ持ちこたえたとしても、病院内のモニター、手術機器類が固定されていなくて転倒、落下してしまう、薬はあたり一面に飛散してしまって何が何だかわからなくなるわ、注射器、注射針もばらばらになってどこへ行ったかわからなくなってしまったりして、応急治療もできなければ手術もおよそできないといった状態になるのです。そして、医療スタッフも被災者です。機械の下敷きになったらどうすることもできません。まして手術中の患者は一体どうなるのでしょうか。そして、避難先として指定されている公共施設も安全でしょうか。
 こんな悲惨な状況を最小限に食いとめるためにも、被災後の莫大な損失額を考えれば、事前対策、すなわち屋内対策は当然日ごろから講じられてしかるべきであります。
 東南海・南海大地震と同時に起こることも予想される東海大地震に備えて、愛知県や静岡県ではかなり先進的な取り組みがなされております。例えば、昨年の愛知博のときに、愛知医科大学教授、高度救命救急センターの野口宏先生の御指導のもと、救急体制を手厚くしてAEDを百台余り設置、消防署を特設し、診療所に救命医を待機させ、ドクターヘリを二分で飛んでこれるよう配置しました。開幕前、約三千人のスタッフが救命講習を受け、開幕三カ月のうちに五人が心停止で倒れましたが、うち四人は蘇生法や電気ショックで助かったそうです。
 野口先生は、日本集団災害医学会会長として震災時の転倒防止、ガラス飛散防止を熱心に説いておられますし、愛知県や静岡県では、保育園、幼稚園、そして小学校の子供たちに親子ともどもに日曜に講習日を設けて、朝、昼、夜のそれぞれの震災の発生を想定しまして、事前対策としての日ごろの注意を呼びかける取り組みも行っております。何か、東海地方に比べて東南海・南海地域の取り組みがおくれていないだろうか、危機感が足りないのではないかと思えてしまいます。
 和歌山県の災害医療についてでありますが、以前、平成十四年九月議会において災害医療のための毎年の訓練の必要性をお尋ねしたことがありましたが、まさに医療の防災体制とは、災害時に被災患者を迎えられる体制、事前対策を整えておくことが肝要であります。せめて医大附属病院、日赤医療センターを初めとする県八つの災害拠点病院には、モニターなど機械の固定の検証に真剣に取りかかるべきだと思います。ドクターヘリをもっと活用した広域搬送訓練も必要でしょう。
 この九月二十二日金曜日──きょうですね──十三時より県立医大でトリアージや応急処置などの体験型訓練を行い、災害拠点病院、災害支援病院、医師会、病院協会及び保健所などが参加して各医療チームの点数を競うメディカルラリーも行うと聞いておりますが、総合防災訓練の中でも、病院の医療機能が麻痺する事態に陥らないような災害医療に比重を置いた訓練が望まれます。
 そこで質問に移りますが、一点目、災害医療先進県と言われる愛知県や静岡県と比べた和歌山県の災害医療にかかわる予算配分の比較を、福祉保健部長、聞かせてください。
 二番目に、阪神・淡路大震災時の大地震時の経験にかんがみて、被害、特に人的被害を最小限に食いとめるために事前対策は必要であります。事前の備えについて、今後県は、啓発活動はもちろんのこと、公共施設などの屋内の転倒防止対策、物の落下防止対策、そしてガラス飛散防止対策など速やかな対策を講じていくべきだと思いますが、危機管理監、いかがですか。
 三点目、災害拠点病院における大地震発生時のための事前対策について、福祉保健部長に県の取り組みをお伺いいたします。
 四点目、県内八つの災害拠点病院の幾つかも耐震補強がおくれていると聞いております。災害医療対策について、ハード対策も重要ですが、計画策定、災害医療教育、訓練などソフト対策についての取り組みを、また福祉保健部長、お聞かせください。
 五点目に、また、大震災時には集団救急体制が要求されます。医大病院、日赤といった総合災害医療センターで大震災時どれくらいの患者の対応が可能ですか。福祉保健部長にお伺いいたします。
 三点目に、和歌山県農業大学校についてお伺いいたします。
 JR和歌山線中飯降駅から徒歩約十分の緑に囲まれた高台に、全寮制の和歌山県農業大学校があります。昭和四十六年四月発足、「二十一世紀を生き抜く農業の振興を目指して、その担い手にふさわしいグローバルな視野と先端技術を駆使した専門知識及び技術に加えて、経営感覚を持った後継者並びに農村地域における中核的指導者の養成と農業者及び小・中・高校生を含めた一般県民を対象とした幅広い研修を行い、本県農業の振興及び地域社会発展に寄与するものとする」という目的のもと、これまで千三百名の卒業生を生み出しております。
 さらに、平成十八年四月一日から、当校は農業研修施設であるとともに、文部科学省の学校教育法に基づく専門課程二年制の専修学校に生まれ変わりました。外来講師陣も、県のみならず、大学、企業など、バラエティーに富んだ先生方を招聘されております。平成十八年度より社会人対象に農業技術訓練課程が新設され、将来の高度専門課程の新設も視野に入れていると伺っております。
 近畿大学生物理工学部生物工学科の仁藤伸昌教授が座長になって、県農業大学校あり方検討会において県農業大学校の今後の方向性を鋭意検討いただいております。その中で、「農業後継者及び農村地域の指導者養成を目的とする教育機関、技術経営の研修機関としての機能はもとより、農業を取り巻く文化の担い手、推進役としての機関である」というのと、「農業の多様な担い手の育成確保とともに、若者に対する高等教育機関、社会人に対する農業技術、文化の伝承継承機関としての情報発信源の役割を担っている」というまとめがあります。今後に期待の持てる意味合いを感じます。
 和歌山県は日本有数の農業県で、梅、柿、ミカンを初め、全国トップクラスの果樹王国と言うべき農産物資源を持ち合わせながら、文部科学省所管の高等教育機関としての大学に、残念ながら農学部がありません。和歌山県の農業関係従事者の技術レベルは全国的に見て非常に高いと言われています。だからこそ、県農業大学校の今までの和歌山県に対する貢献を評価すべきであるとともに、農家の後継者づくりにもっと活用しながら、今後、和歌山県の農産物資源、そしてこれまでの研究成果を教育研究機関として大いに生かして発展させ、一つの産業振興を果たしていく役割を担っていただけるのではないかと思います。
 県農業大学校において、この農産物資源を加工してもっと広く老若男女にさらにおいしく食してもらえるような加工食品を生み出していく研究、また要介護老人をできるだけ生み出さないための若いときからの身体の健康に留意した機能性食品、医薬品をつくり出していく研究にも取り組んでいただいて、そういった研究の中から、ひいては若者の雇用創出ができる企業を誘致、そして新たに企業を生み出していけるような学び舎にしていってもいいのではないでしょうか。
 ぜひ、和歌山県の農業と、そして農業から派生する生命科学、生物工学分野の研究の核として、県の農林水産総合技術センターや各試験研究機関、工業技術センターやJA、企業、そして和歌山大学、和歌山県立医科大学及び近畿大学生物理工学部などと連携を深めながら県農業大学校をさらに活用して、研修施設にとどまらず、もっと領域を広げていただきたいと思いますが、農林水産部長、いかがですか。
 四点目に、イノシシ対策についてであります。
 今議会、私で三人目でありますが、地域ごと状況も異なると思いますので、質問させていただきます。
 イノシシ被害については、平成十六年十二月議会、十七年の二月定例会と二度にわたって質問をさせていただきました。平成十六年と言えば、相次ぐ台風の襲来と暑い夏の日が続いた年でありましたが、春先のタケノコ被害のみならず、秋の実りを迎えた十月初めに各地でイノシシにより野菜畑を踏み荒らされたり、黄色く色づき甘くなりかけて収穫を間近に控えたミカンの実が食われたり、稲刈り直前に田んぼに入られて大被害をこうむることが多い年でありました。
 そこで、平成十七年度予算において、有害捕獲を一層推進するということで、市町村がイノシシ用おりを購入する者について一台につき二分の一、五万円を限度として補助、捕獲許可期間も「三十日以内」から「三カ月以内」に、一人当たり捕獲頭数についても「一頭以内」から「必要最小限」に、有害鳥獣捕獲の従事者の要件についても「五年以上の狩猟経験を有する者」から「三年以上」へといった緩和を進めていただきました。しかし残念ながら、和歌山市内でも、イノシシは減少するどころか、どうもふえているみたいであります。
 この夏も、殊のほか暑い炎天下の雨が降らない日が続きましたが、お盆明けに名草山の東側、広原地区からお電話をいただき、名草山中腹にある墓地を見に行きましたところ、墓石は倒されるわ、墓地の根元は掘られているわ、何とも罰当たりな状況で、農道沿いの植物の根も掘り崩されておりました。その後、軽トラックで農道を奥へ進みますと、沿道ののり面には掘り散らかした跡、農道のわきも一部掘り崩されたところがありました。ほうっておいたら土砂崩れが起きるのではないかと思われました。ミカン畑に着いてあたりを見渡すと、九割方のミカンの木の根元が掘り返され、若い根が表面に出ていたり、木自体が枯れかけた状態で、はかり知れない被害状況でありました。今までは、真夏の時期の被害は余りなかったということです。
 それから間もなくして、名草山の西側、三葛、紀三井寺地区側の西国三十三番第二番札所の観音霊場・紀三井寺の三井水の一つ、吉祥水がイノシシのふんで水質が悪化して大腸菌が検出されたと新聞報道もされました。紀三井寺地区の方々からも、「今までイノシシの話なんか聞いたこともなかったのに、新聞記事を見てびっくりした。どうなってるのか」というお問い合わせもいただきました。現場を見ますと、吉祥水のわき水のところへ上る階段の右側の竹やぶはイノシシの絶好の隠れ場所でもあり、イノシシに掘り返された跡や、イノシシのものかどうかはわかりませんが、けもの特有のふんのにおいが漂っていました。
 先週、和歌山市が水質再検査を行ったところ、また大腸菌が検出されたようであります。聞けば、名草山西側の三葛、紀三井寺地区にもここ数年かなり出没しているとのことで、市の農林水産課もたくさんのイノシシ出没に頭を抱えており、先日、「名草山一帯で何百頭もいるのではないか。ここ五年間これだけ被害が激しいので、平成十八年度より農家の届けがなくても有害捕獲可能な予察捕獲を行っているのだが、今年度になって六月から八月三十一日までの三カ月間で二十一頭捕獲したとはいえ、まだまだ満足できない」と言われておりました。
 名草山は、頂上付近からの風景は絶景で、山菜摘みなどでハイキングで登ってこられる一般の方も多く、くくりわなの設置も制限せざるを得ないし、箱わな同様に猟犬がかかってしまうこともあるようです。もともと最近までイノシシなどいなかった名草山でありますから、地元にハンターもほとんどいなくて、猟友会の皆様にも協力いただきながら有害捕獲、そして山の東側だけ認められている猟期の猟銃での捕獲もなされています。
 和歌山市当局も名草山からイノシシを一掃して根絶したい意向でありますが、「三十人ぐらいのハンターが必要ではないか。それも、一致協力してかからないと根絶やしにはできない」とのお話でした。
 九月に入って間もなく、今度は山口地区の湯屋谷の田んぼに、それもあと数週間で稲の刈り入れという時期にイノシシが侵入して、通ったところに大きな穴を幾つもつくっておりました。ここもあたりに竹やぶが多く、近所の住民もすぐ近くをイノシシが歩いているのを見かけたことがあるとおっしゃっていました。防護さくで一帯を囲い込んでいるにもかかわらず、飛び越えたり、少しでもつくりの弱いところがあると無理やり壊して入ってしまうようです。
 もちろん、イノシシの被害はこれだけではないでしょう。ことしの夏、県内各地で、気象条件も手伝って人間の生活圏内に頻繁に出没していることが容易に推察されます。このままでは、捕獲頭数より繁殖頭数の方がずっと多くなるばかりであります。各市町村も数多い被害対策に追われて頭を抱えるばかりであります。
 県当局におかれましては捕獲について実効ある早急な対応をお願いしたいと思いますが、いかがですか。環境生活部長、お答えいただきたいと思います。
 以上四点、一般質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 和歌山県の医療についての御質問のうち、まず医師の確保についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県においても医師の地域偏在や診療科偏在が著しい状況にあることから、県といたしましては、自治医科大学制度に加え、わかやまドクターバンク制度や医師修学資金制度、医師求人情報ホームページの開設など、さまざまな医師確保対策に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、医師不足が一層深刻化し、早急な対策が必要なことから、新たに地域医療支援事業を創設し、診療体制の維持が困難となった中核的医療機関への医師供給を初め、医師の定着を図るため、医療機関に対し勤務環境の改善指導や地域医療に従事する医師の支援策の実施などを県立医科大学に委託することといたしております。
 また、議員御提案のとおり、医師臨床研修制度におけるカリキュラムを見直し、僻地を含む医師不足地域の医療機関での一定期間の研修を義務づけることなどにつきましては、去る六月、知事を先頭に、厚生労働省に対し強く提案、要望したところでございます。
 今後とも、県民が安心して医療を受けられるよう、病院の機能分担や診療所との連携体制など、地域における効果的、効率的な医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
 次に、ドクターヘリの運航時間延長と夜間照明についてでございます。
 現在、県立医科大学附属病院のヘリポートには固定の照明装置は設置しておりませんが、災害時には、防災ヘリ等の離着陸のため、簡易形式の照明装置を使用することといたしております。
 ドクターヘリの運航は段階的に時間延長していくことが望ましいと考えておりますが、安全面を最優先するという観点から、現在は日中の運航しか認められていないのが実情です。
 経費面、人的体制や騒音による影響など課題もありますので、時間延長については、夜間照明の設置も含め、今後も引き続き検討してまいります。
 次に、高速道路のヘリコプターの活用につきましては、昨年八月十八日付で国の関係省庁による通達が出され、運用の暫定案が示されたことから、本県においても高速道路におけるヘリコプター離着陸が円滑かつ効果的に実施できるよう、医大や運航委託会社、消防、警察、道路会社等の関係機関が協議を開始しております。
 本年二月には、阪和自動車道の紀ノ川サービスエリアにおいて関係機関の参加による検証会が実施され、今秋には大阪府側の消防機関を含む関係機関の訓練が予定されております。また、ヘリポート用スペースについては、道路会社が植栽を移設することになっております。
 なお、今後は紀南地方の印南サービスエリアなどでも離着陸ができるよう、関係機関と検討してまいります。
 次に、防災と災害医療についてお答えいたします。
 まず、災害医療にかかわる先進県との予算配分の比較につきましては、平成十八年度予算においては、愛知県は災害拠点病院の整備に要する経費など約一億一千七百万円を計上しております。一方、静岡県の予算額は約一千六百万円となっておりますが、これは既に整備が進んでいることによるものでございます。
 本県の平成十八年度予算額は、災害拠点病院の設備整備や医療機関の耐震診断補助などに約二千三百万円を計上しており、平成九年度から十年間の合計では八億円以上の経費を投入しております。今後とも、安全で安心な和歌山の実現に努めてまいります。
 次に、災害拠点病院における事前対策についてですが、議員御指摘のように、災害発生時には病院内の医療機器等の転倒などが想定されることから、特に災害拠点病院においては事前に転倒防止策を講じておく必要があります。
 県といたしましては、災害拠点病院や医師会、病院協会を中心に構成する災害医療対策会議等において具体的な転倒防止策について研究するとともに、災害拠点病院に対しても適切な措置を講じるよう指導してまいります。
 次に、災害医療におけるソフト対策についてでございますが、災害医療の教育及び訓練につきましては、災害時に医療救護活動を円滑に行うことができるよう、本県の総合災害医療センターである県立医科大学と日赤において、災害拠点病院等の医療従事者を対象とする研修会を毎年開催しております。この研修会では、講義だけでなく、参加者が実際に訓練に参加し、トリアージや救急蘇生法を修得できるよう、実践的な内容となっております。
 今後、保健医療計画の見直しにあわせてハード・ソフトの両面にわたる災害医療体制の計画的な整備について検討を進めるなど、災害医療について一層の対策を講じてまいります。
 次に、総合災害医療センターの集団救急体制についてですが、県では、災害時医療救護活動の中核施設として、県立医科大学及び日赤の二病院を県内全域をカバーする総合災害医療センターに指定しております。
 大災害発生時には、両病院を中心とする大規模な集団救急体制が要求されますが、現時点では両病院合わせて五百名程度の患者受け入れが可能な体制が整備されております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 公共施設等の災害に備えた事前対策についてお答えを申し上げます。
 お話のように、災害時、震災時、屋内での家具等の転倒防止対策は、地震被害の軽減化を進める上で大変重要な課題であると認識しており、防災講座など機会あるごとに県民に対し啓発に努めているところであります。
 また、いざ地震が発生した際に行政が即応できるためには、庁舎等施設の被害をできるだけ軽減する必要があり、そのためには、耐震化だけではなく備品などの転倒防止が欠かせず、職場研修等を通じて取り組みを促しているところであります。
 今後、庁舎管理担当部局と連携しながら、一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業大学校についてお尋ねがございました。
 農業大学校につきましては、農業後継者及び農村地域の指導者等を養成する研修教育機関でございまして、開校以来今日まで、多くの卒業生の方々が本県農業の中核を担っていただいてございます。
 議員のお話にもございましたように、今年度から社会人課程を新設いたしまして多様な担い手の育成に努めるとともに、専修学校に移行するなど、学生の卒業後の進路選択の拡大を図ったところでございます。
 今や、農業経営におきましても、バイオテクノロジー、情報処理といった幅広い知識、また先端的な技術といったものが求められるところでございます。近隣する大学等の協力、また試験研究機関との連携を深めながら、こうした時代の要請にこたえられる農業大学校として、今後とも有識者の御意見もお聞きする中で、その研修教育内容のさらなる充実を図ってまいりたい、このように考えてございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) イノシシ対策についてお答え申し上げます。
 この問題につきましては、県内各地域におけるイノシシによる農作物等への被害の深刻さと、その対策の重要性を改めて痛感しているところでございます。
 議員御指摘のとおり、有害鳥獣捕獲の有効性にかんがみまして、市町村が行う有害捕獲に対し、捕獲に要する経費や捕獲用のおりの購入に要する経費に対し補助を行ってきたところでございますが、イノシシによる農作物被害が深刻となっていることを踏まえまして、平成十七年度から有害捕獲許可を受ける従事者に必要な狩猟経験年数の条件を緩和するとともに、イノシシの捕獲許可日数や一人当たりの捕獲数を拡充するなど、許可基準の見直しを行ったところでございます。その結果、平成十七年度の有害捕獲数は、平成十六年度の一・三倍に当たる約千六百頭を捕獲することができました。
 また、平成十七年度の狩猟による捕獲数は、三カ月間で約五千二百頭を捕獲しており、狩猟による捕獲もイノシシの個体数を減ずるため有効な方法でございます。
 そのため、今年度、イノシシ保護管理検討会を立ち上げまして、イノシシに係る特定鳥獣保護管理計画を策定し、狩猟期間を延長するとともに、特に被害を受けております農業者みずからがイノシシを捕獲するための狩猟免許の取得の啓発を行いまして、免許所持者の増加を図るなどの対策の検討を始めたところでございます。
 今後は、この検討会の検討結果を踏まえまして特定鳥獣保護管理計画の策定作業を迅速に進めるとともに、引き続き市町村、関係団体との連携を図りながら、より一層の捕獲を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 大地震に備えた屋内対策、これ、本当に大事なことだと思います。特に病院。ふだんから心がけておかないと、被災時に一番機能してもらわなければいけないところが機能停止に陥っていたらどうしようもありません。
 それと、学校のあの大きなグランドピアノ、本当に恐ろしい凶器になりかねません。教育委員会におかれましても学校施設の事前対策をよろしくお願いします。
 一つ提案なんですけど、県のホームページにも写真入りで特集コーナーを設けても啓発にいいかもしれないなと、一つ提案さしていただきます。
 県農業大学校ですが、今は研修教育機関でありますが、御答弁にありましたとおり、これからの農業経営には幅広い知識や技術が求められます。せっかくの和歌山県の誇るべき農産物資源を生かすため、ぜひ時代の要請にこたえるために、教育研究機関としても発展を遂げられるよう、引き続き農業大学校のあり方を前向きに検討いただきたいと思います。
 そして、イノシシ被害。本当に多いです。先日、テレビで、神戸市において六甲山のふもとにおりてきて、墓は荒らされるわ、四匹家族が仲よく門から堂々と家に入ってきたと、そんな話もあれば、九月の十九日早朝、広島県呉市で七十歳の男性が畑でわなで捕獲された手負いのイノシシに襲われてかまれて──かまれたっていうんですね──死亡したという報道がありました。
 猟友会──ハンターの方以外の被害に遭われた農家の方々を初め、一般の方々へも有害捕獲、狩猟の資格者を広げるように、一層の要件の緩和、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 食べていくため、生きていくためにはどこの世界も大変であります。生死のかかったイノシシの山下り、増繁殖に対しては国の力もぜひおかりして、県、市町村、地域住民、そして猟友会など、協力団体の一致協力した一掃大作戦がそれこそ行えるように早急な対策をどうかよろしくお願い申し上げます。
 以上、要望させていただいて、私の一般質問を終わります。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきました。通告に従いまして一般質問さしていただきます。
 最初に、県有施設の耐震診断とその改修についてお尋ねいたします。
 県は、県有施設の耐震化の状況を発表いたしました。四百五十一施設のうち三百六十九施設の耐震診断は終わり、そのうち九十八施設は大半が学校関連施設であります。そして、改修が必要であるにもかかわらず、いまだ着工されておりません。診断していない八十二施設は平成十九年度までに実施し、全県有施設の耐震改修は平成二十六年度までの完了を目指すとしております。
 東南海・南海地震に備えて、県では、災害対策拠点となります県庁本庁舎、警察本部庁舎、総合庁舎、避難場所となります県立学校施設など、防災対策上重要な施設の耐震化を優先して進め、その他の施設についても、平成十七年二月に策定をいたしました耐震診断実施方針に基づきまして、平成十九年度までに耐震診断を予定しております。耐震改修は、優先施設を平成二十二年度まで──四年後ですね──に、その他の施設を平成二十六年度までに完了する計画となっております。
 しかしながら、対象建築物の中に「県営住宅、未使用施設及び県民の利用を見込めない施設等は除く」となっております。私は、早急に県営住宅の耐震診断と改修を実施すべきであると考えます。なぜならば、県営住宅の入居者は自分で耐震診断とか改修はできないわけであります。入居者は県である管理者に家賃を払っており、県には管理責任があるわけでございます。
 県有施設の耐震診断及び改修の課題とその対応について、危機管理監にお尋ねいたします。
 また、県営住宅の耐震診断について県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、県有施設の耐震診断及び改修に関連いたしまして、心臓突然死を防ぐAED(自動体外式除細動器)の学校などへの配置についてお尋ねいたします。
 今回の県有施設の耐震診断及び改修の対象建築物は、防災拠点や救護施設、避難所や多数の人が利用する施設であります。小・中・高等学校は災害時の避難場所にも指定されております。
 病院外での心疾患による突然死者数は、年間約三万人と言われております。病院外の心疾患による突然死者のほとんどが、AEDによる蘇生を二分ないし三分で行えば助かる命だと言われております。
 田辺市では、本年五月、県立高校の生徒がクラブ活動後に心肺停止となり亡くなりました。その事故を受けて、田辺市では全小学校・中学校にAED設置の予算案が九月定例会に提出されております。県教育委員会は全県立学校にAEDを設置したと伺っております。
 最近、児童の胸にボールが当たったり、胸をたたかれて震盪を起こし、心停止に至る報告がされております。ぜひ、公共施設とあわせ、災害時の避難場所に指定されております小学校、中学校にはAEDの設置を強力に推進すべきだと考えます。教育長の御所見を承りたいと思います。
 次に、PFI事業の推進についてお尋ねいたします。
 皆様御承知のように、PFI事業とは民間資金主導型の公共施設整備手法であり、従来公共部門が提供していた公共サービスを民間主導で実施することにより、設計、建設、維持管理、運営に民間の資金とノウハウを活用し、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る仕組みであります。またPFIは、民間の技術、経営ノウハウを活用し、市場原理により事業の効率化やVE(バリュー・エンジニアリング)手法の採用等によりコストダウンを実現させ、利用者に最良のサービスを提供することを目的としています。
 すなわち、PFI事業は、低廉かつ良質な公共サービスの提供、公共サービスの提供における行政のかかわり方の改革、民間の事業機会を創出することを通じた経済の活性化を実現することができるわけであります。
 本県においては、いまだPFI事業は実施されておりません。それは、従来からの補助金や地方債を充当した公共事業が実施されているからであります。
 現在、地域振興に資するような地方債に対して交付税措置がなされております。この交付税措置は、交付税総額の約二割と言われております。しかしながら、経済財政諮問会議の地方財政改革の「地方財政制度の問題点と対応」によりますと、交付税の二割を地方債の元利償還として地方の借金の返済を国が支弁している、また国に依存しているとして、分権改革の中でこのような交付税措置の廃止が議論をされております。
 また、団塊の世代を含めた県職員の退職手当債は、今後、平成十八年度、本年度並みに推移するとすれば、十年間で四百億円必要になってまいります。今後、この退職手当債は財政悪化の大きな要因ともなってまいります。地方の財政事情は、三位一体改革などで近年変化しつつあります。財政事情が厳しい中、公共事業への資金調達については今まで以上に知恵を出さなければならない時代に入ったと思うわけであります。
 聡明で財政事情にも詳しい改革派の木村知事は、早くからPFI事業の導入についてお考えでありました。今からちょうど六年前、平成十二年九月定例県議会で知事の説明がございました。このときは知事は初当選されたばかりで、知事の就任のあいさつを兼ねたものでありました。知事は、「公共施設等の整備について、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行う、いわゆるPFI──プライベート・ファイナンス・イニシアチブでございますが──の事業手法の検討も積極的に行ってまいりたいと思います」、このように述べられております。
 PFIなどの事業手法の検討をどのように今日まで行ってきたのでありましょうか。検討の結果はどうだったんでしょうか。知事にお尋ねいたします。
 私は、PFI事業を実施するに当たっては、県として、地元中小企業の育成による地域の活性化の観点に加え、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律のとおり、中小企業者の事業機会の創出を図らなければならないと考えます。
 また、選定事業者を決定するための審査基準については、地元の活性化につながること、県の税収の増加に寄与すること、地域の実情、住民のニーズを把握していることなどは県のメリットとなるため、地元中小事業者の審査基準の加点要素──点数を加える要素──になるよう配慮することが必要であると考えます。さらに、申し上げるまでもなく、選定過程の透明性、公平性を確保しなければなりません。
 一方、県は、市町村に対して助言をする立場にあります。市町村からのPFI事業への問い合わせ等について的確に答えなければならないと思うわけであります。
 したがいまして、公共事業のPFI実施に向けて、PFI事業推進検討委員会を設置し、和歌山PFI事業導入方針を早急に策定すべきであると考えます。知事の見解を承りたいと思います。
 次に、県民文化会館などの県有施設改築へのPFI事業の導入についてお尋ねいたします。
 先ほど耐震診断で改修が必要と診断され、未着工の九十八施設は大半が学校関連施設であります。学校以外では和歌山県民文化会館、県経済センターなどがありますが、改修が必要であるにもかかわらず、いまだ耐震改修されておりません。県民文化会館については、今年度、平成十八年度中にリニューアルプランを策定の予定であります。
 ここで、かつて東洋の殿堂とも言われた東京の杉並公会堂のPFI事業について御紹介をさしていただきます。
 昭和三十二年の開館以来、長年にわたり多くの人々に親しまれ利用されてきました東京の杉並公会堂が老朽化したため、これを改築して杉並の文化拠点にふさわしいホール、練習室等を整備し、すぐれた文化・芸術に区民が触れ合う場を提供するとともに、区民の多様な文化活動や創造的な芸術活動に必要な場を提供することを目的とする事業をPFI事業で実施し、本年七月、開館されております。ちなみに、杉並公会堂のPFI事業は三十年契約で総事業費約三百億円となっております。
 日本政策投資銀行は、この事業が始まった平成十四年八月、杉並区が実施するPFI事業に対して、杉並公会堂改築並びに維持管理及び運営事業に対し、LOI(レター・オブ・インテント、関心表明書)を発出いたしております。
 この杉並公会堂改築並びに維持管理及び運営事業は、平成十一年九月に施行されたPFI推進法──民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律──に基づき杉並区が実施するPFI事業で、東京都内で実施されるPFI事業としては最大規模でありました。新しい杉並公会堂は杉並区の地域文化創造を目的に設置されるもので、杉並の文化拠点にふさわしい施設として、千二百席程度のクラシックコンサートホール、二百席程度の演劇ホール、六つの練習室等で構成されております。杉並公会堂改築並びに維持管理及び運営事業は、施設の設計、建設、維持管理だけではなく、ホールの運営についても民間事業者にゆだねている点がPFI事業としての特色の一つとなっております。
 日本政策投資銀行は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した効率的かつ効果的な公共施設の整備、維持管理、運営等の事業を推進するため、無利子、そして低利子融資制度として民間資金活用型社会資本整備融資を行っているほか、政策遂行機関としてPFIの推進、普及啓蒙に努めているところであります。
 こうしたことから、日本政策投資銀行は、入札検討中であった事業者からこのPFI事業者に対する見方を問われることが多くありまして、PFIを推進する立場の政策金融機関として、そのスタンスを幅広く各入札予定者に知っていただくことを目的に関心表明書を発出しております。
 この関心表明書は、融資を決定するものではありませんが、PFI推進のための政策金融機関からのメッセージであり、一つ、公共サービスとしての妥当性、二つ、選定過程の透明性、公平性、三つ、リスク分担方針のフェアネスと合理性、四点目、環境変化に耐え得る柔軟性の四項目が一定水準に達していると認められる案件に対し融資を検討する意向がある旨を伝えるため、発出しているものであります。
 本県においても、多数の人が利用される施設で耐震性に問題があり耐震改修が必要な県民文化会館や県経済センターなどは、これから耐震化に向けての改修費用がかさむわけであります。この機会に県民文化会館や県経済センター、県営住宅などの県有施設を民間の資金、経営能力を活用したPFI事業で改築したらどうかと考えます。知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、少子化対策としての若者の出会い応援事業と妊婦健診の負担軽減についてお尋ねいたします。
 平成十七年国勢調査結果の速報集計によりますと、本県の人口は、皆様御承知のとおり、三万三千八百五十一人減少いたしまして百三万六千六十一人でございます。人口減少率全国ワースト二位であります。
 平成十八年度「一〇〇の指標から見た和歌山」によりますと──これは二年前の二〇〇四年のデータであります──合計特殊出生率の全国平均は一・二九でありましたが、本県は一・二八、全国平均とほぼ同一、同じような状況でございます。ところが、出生児数は人口千人当たり、全国平均は八・八人でありますが、本県は七・八人と一ポイント少ないわけでございます。ちなみに、秋田県が六・九人、高知県は七・六人に次ぐワースト三位、全国第四十五位でございます。若者が結婚しなければ子供は生まれません。少子化に歯どめをかけることができないわけであります。
 結婚できない理由は、若者の出会いの場が少ないからだと言われております。
 山口県では、実は人口百五十万あった山口県がいきなり百五十万を割ったために、急に何か新たな施策をぼんぼん打ち出してまいりまして、拝見いたしますと、この平成十八年度の事業といたしまして、少子化に歯どめをかけるため、若者が自然な形で出会える機会を創出して結婚に向けた動機づけを図るため、独身男女の出会いを演出するイベントや活動に助成する若者の出会い応援事業を実施しております。内容は、標準事業費五十万円、十企画をNPOや、また青年団体、子育て支援団体からの提案型公募であります。いわゆる会場費であるとか、またコーヒー代、ケーキ代、さらには講師の方の講演料であるとか、そういったことに充当されるようでございます。
 この種の事業は、奈良県でも、そしてまた兵庫県でも実施されていると伺っております。したがいまして、NPO、青年団体、子育て支援団体などの民間主導で若者の出会い応援事業を実施することについて、福祉保健部長の御見解を承りたいと思います。
 あわせて、子供を安心して産み育てられる社会環境を整備するための妊婦健診の負担軽減について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山市の中心市街地活性化の起爆剤とも言われる旧丸正百貨店ビル再生事業についてお尋ねいたします。
 和歌山市内ぶらくり丁にあります旧丸正ビルは、地下一階、地上七階を和島興産が買収し、食料品店やニット博物館、カルチャーセンター、飲食店などが入る商業複合施設として再生を計画しております。和歌山市は、階段や各フロアの通路など同ビルの共用部分の整備を補助の対象として、全体事業費を九億円と算定をし、うち六億円が補助対象としまして、和歌山市が二億円、国が三億円、県が一億円を交付することになっております。この県の一億円は、九月定例議会、本議会に補正予算案として中心市街地再生のモデル事業として計上されているわけであります。
 今後、和歌山市の中心市街地の活性化のためにどのような支援を行っていくお考えか。また、他の市町村に対する支援策はどうか。商工労働部長にお尋ねいたします。
 最後になりました。青少年の健全育成に関連いたしまして、万引き防止についてお尋ねいたします。
 福岡県では、全国に先駆けて万引き本などの転売を防止するための販売証明シール制度が本年七月一日より福岡県内の書店で一斉にスタートしました。これは、万引きをより悪質な少年犯罪の入り口と位置づけまして、万引きをさせない社会環境づくり、換金目的の万引き防止のため、業者と県警が抑止に向けてスクラムを組んで取り組んだものであります。シールには、万引き防止で、魚のマンボウをあらわしております。私もこういうチラシをちょっと手に入れまして見たんですけど(資料を示す)、何でマンボウかなというたら、よう考えたら、万引き防止の「万防」かなと思いながら。万引きは犯罪だという、こういうチラシですね。この宣伝に、なぜこういうふうに至ったかと言いますと、福岡県が日本一、万引き犯罪が多いということで何とかしなければいけない、一つの書店で二百十一万円も万引きに遭ったりしてる、そういう状況で、県と県警が協力しまして、それでこの啓発費に九百九十万円も予算を組んで、こういうチラシをつくったりとかしながら、今取り組みが行われているところでございます。
 レジで店員が書籍に直径一・五センチのマンボウをあしらった「まんぼうシール」を張って、正規購入のお墨つきを与える仕組みであります。一個一円というふうに言われておりますが。そして、古本屋さんで、このシールのない書籍を持ち込まれたら万引きの可能性があるとして買い取りを拒むことができる仕組みになっております。正規購入本から万引きへのシールの張りかえ使用を防ぐため、一度張ったらシールの塗料が本側、書籍側に付着してはがれるような仕組みになっております。なかなかとれないと。
 確かに、福岡県以外ではこの制度の導入がなされておりません。長崎県、隣の佐賀県であるとか大分県とかなされておりませんので、シールのない本が直ちに万引き本とは言いにくいわけでありますけれども、古本屋さんなどで買い取り拒否はしづらいわけでありますけれども、この制度導入による心理的な抑止効果、これをねらっていると。これが大きな期待ができると、抑止効果が大いに期待ができると考えるものでございます。
 そこで、万引き本などの転売を防止するための販売証明シール制度に対する警察本部長の御見解とあわせ、本県における万引き防止への取り組みについて承りまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) PFIの推進についての御質問でございます。
 これまでも、県政全般にわたって「民間でできることは民間で」という考えに立って、指定管理者制度の導入や自治体として初めて採用した市場化テスト、事業の仕分けなど、行政の業務範囲の見直しに積極的に取り組んでまいりました。
 公共施設等の整備に当たっては、運営管理も含めたトータルコストを節減しながら、よりすぐれた施設の整備とサービスの提供がなされるよう、幅広く民間のノウハウを活用することが必要であると考えております。
 本県では、PFIについて研究を進めてきたものの、これまでのところ明確な優位性が見出せず活用には至らなかったところでございますが、昨年、PFI法の一部改正や国による支援措置の拡充など、PFI活用に向けての周辺環境が非常に整いつつあるということでございます。
 今後、整備・更新を行う施設に関しては、PFIの導入の可否について、個々の施設の規模、特性に応じ検討を十分に前向きに進めていくとともに、県民の方へもPFIの周知や市町村への情報提供もあわせて進めていきたいと、このように考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 県有施設の課題とその対応についてお答え申し上げます。
 議員お話しのように、県有施設の耐震化については、現行の建築基準法の耐震基準に満たない施設等を公表したところであります。この中で、既に改築工事に着手しているものや完了しているものもありますが、残る施設についても平成二十六年度末を目標に耐震化を完了することとしてございます。
 このため、所管する各部局においては、現在、耐震改修の方法等を検討しているところでありますが、効率的に耐震化を進めるとともに、必要な予算を確保していくことが重要であると考えています。
 今後の方針としましては、防災対策上の重要度や耐震性能のほか、施設の規模、利用者数、耐用年数などの特性を総合的に勘案し、緊急度の高い施設から耐震化を進めるため、今議会の補正予算案に三施設の改修に係る実施設計等に要する経費を計上しているところでございます。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 県営住宅の耐震診断についてお答えをいたします。
 県営住宅につきましては、中高層建物を対象とし、公共住宅建設事業者等連絡協議会が策定した公共住宅耐震診断・改修マニュアルにより平成八年に予備診断を実施したところ、支障なしとの診断結果が出ております。
 その後、平成十七年に新たな耐震診断法として、財団法人日本建築防災協会が中高層建物を対象とした既存壁式鉄筋コンクリートづくりの簡易耐震診断を策定し、また、社団法人プレハブ建築協会が低層プレハブ建物を対象とした工業化住宅の耐震診断を策定しましたので、今後、新診断方式による計画的な診断の実施を検討してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 若者の出会い応援事業と妊婦健診の負担軽減についてですが、若者の出会い応援事業につきましては、若者の未婚・晩婚の一つに結婚相手になかなかめぐり会えないことが言われております。
 結婚には男女それぞれの多様な価値観もあり、行政がどこまでかかわるべきかということもございますが、このように少子化が進展している中、議員御提案の若者の出会いを応援する事業につきましては、他県の状況をも参考にし、取り組んでまいります。
 また、妊婦健診の負担軽減についてでございますが、妊婦一般健康診査につきましては、現在、各市町村において、すべての妊婦に対し、妊娠の前期・後期に各一回、また三十五歳以上の妊婦については超音波検査もあわせて公費により健診を実施しております。しかしながら、出産に至るまでは十回余りの健診の受診が望ましく、経済的負担も大きいものと認識しております。
 安全な分娩と出生のためには妊婦一般健康診査は大切であり、御提案の健診費用の負担軽減につきましては、今後、他府県の状況等も勘案しつつ検討課題としてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 中心市街地の活性化事業に対する今後の支援と他の市町村に対する支援策についてでございます。
 和歌山市の中心市街地活性化に対しましては、まちづくりセミナーの開催、中心市街地活性化協議会への参画や国との連絡調整などの支援を行ってまいりました。また、今議会において御審議をお願いしておりますが、国土交通省の暮らし・にぎわい再生事業を活用した旧丸正ビル再生事業に対して補助を行うこととしております。
 今後は、現在、和歌山市が作成中の中心市街地活性化基本計画が内閣総理大臣の認定を受けられるよう、国との協議に積極的に関与するとともに、国の補助制度の活用など、計画を確実に実現するための有効な支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、他の市町村に対する支援策についてでございますが、改正法の中心市街地活性化基本計画は、数値目標の設定など、具体性と実現性が求められております。県内では和歌山市のほかでも計画作成の準備が進められていると聞いておりますが、県といたしましては、計画作成とその実現に向けて支援を行ってまいります。
 また、計画作成までには至らないものの、中心市街地・商店街の活性化に積極的に取り組む市町村につきましても、商店街活性化総合支援事業などにより引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校等へのAEDの設置についてお答えいたします。
 AEDは児童生徒の生命を守る上で大変有効な機器であると認識しており、県立学校につきましては、七月中にすべて設置を完了したところであります。県教育委員会所管の公共施設についても、昨年度から今年度にかけて順次設置を進めております。
 また、小中学校に関しましては、八月に各市町村教育委員会に対して速やかにこれを設置するよう要請いたしました。九月一日現在で小中学校二十三校にAEDが設置されておりますが、まだまだ十分だとは言えませんので、引き続き強く働きかけてまいります。
 国に対しても、近畿学校保健連絡協議会を通じ、AED設置促進のための財政措置を要望しているところでございます。
○議長(向井嘉久藏君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 万引き防止についてお答えいたします。
 最近三年間の本県での万引き事犯、これは書店のみならずスーパーマーケット等で敢行されたものも含めてですけれども、その検挙人員は九百人前後で推移いたしておりまして、うち少年の検挙人員は二百五十人前後、割合にしますと二七%前後となっております。
 平成十四、五年ごろには、書店やレコード店で万引きした商品を古書等買い取り業者に売却するといった事案が発生するなど、社会問題となった経緯がございます。
 こうしたことから、警察といたしましては、小中学生対象の万引きなどをテーマとした非行防止教室を開催するなど、少年の規範意識を高める対策を講じるとともに、平成十六年七月には教育委員会などの関係機関と書店・レコード商業組合、さらには古書等買い取り業者と協議を重ねまして、和歌山県書店商業組合・和歌山県レコード商組合万引防止連絡会を発足させ、相互に緊密な連携を図りながら、店舗内外の防犯カメラの設置、陳列方法の改善、買い取り時の身分確認の実施等、その防止に取り組んできたところでございます。
 議員御指摘の、福岡県が導入している換金目的の万引き防止のための販売証明シール制度は、こうした万引きの機会をなくし、盗みの決意にハードルを設けるといった点で効果的であろうと思っておりますが、本年七月にスタートして間がなく、今後その効果等の推移を検証し、本県での対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 御答弁、ありがとうございました。
 すべての質問にわたりまして積極的かつ前向きの御答弁をいただきましたので、二問目の質問はございません。ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十五分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、第一日目の中村議員と若干重複いたしますが、お許しをいただきたいと思います。
 去る七月四日夜から降り続いた雨は、翌五日早朝、印南町で一時間に百ミリを超える雨量を計測し、民家や田畑、道路、河川等に大きな被害をもたらしました。その傷跡も修復されない今月六日夜、またも雷を伴う集中豪雨が中紀地方を襲い、被害が相次ぎました。私も被害の状況を視察し、その悲惨な家屋の状況や田畑の荒廃を目の当たりにし、愕然といたしました。被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 当日、県当局におかれましては速やかに現地の被害状況の確認をしていただき、災害査定をしていただいておりますが、台風や大地震等の災害とは異なり大変局地的な集中豪雨ですので、国や県の災害救助の対応がどのようになるのか、少し心配しております。
 一件当たりの被害額は案外大きいと思うのですが、広範囲に被害が及んでいないため、県内はもとより同じ町内であっても災害に対する認識が薄いのは、いたし方ありません。
 例えば、記憶に新しい福井県や長野県を襲った大洪水による被害は目を覆うばかりの惨状でしたし、先般九月十七日夜、九州を襲った台風十三号による風水害は道路や河川や人家に壊滅的な打撃を与え、宮崎県で突然起こった竜巻はとうとい人命を奪い、家屋等を破壊いたしました。被災された方には本当にお気の毒で、かける言葉も見つかりませんが、心から重ねてお見舞いを申し上げます。
 このような大きな規模の災害に際して、国は地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力のもとに応急的に必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的として災害救助法が制定されております。
 本県では、昭和六十三年、新宮市が豪雨により千九百十六棟が浸水し適用になって以来、該当する大きな規模の災害は幸いにして起こっておりませんが、それに満たない災害は毎年県内各地で起こっています。
 また、政府は平成十年に新たに、自然災害の被災者に対して生活再建資金を給付する被災者生活再建支援法を制定いたしました。対象となる災害は暴風、洪水、地震その他の自然災害に適用されるとありますが、災害規模によって適用範囲が定められています。まず、災害救助法の適用がなされていること、もしくは市町村で全壊家屋が十世帯以上、都道府県で全壊家屋が百世帯以上のいずれかの条件を満たすとあります。
 このたび中紀地方を襲った集中豪雨による被害については、軒数にすれば決して多くありませんが、御坊市で五軒、日高町で五軒、日高川町で一軒、そして印南町で二軒の床上浸水の被害であり、対象外であります。家が床上まで水につかるという状況は、災害の規模の大きさに関係なく当事者にとって大変な災難であり、何とか災害支援ができないものかと痛感いたしました。
 当局にお伺いしたところ、災害見舞金として県単独事業で、人的被害は死者には五万円、重傷者には五千円、家屋の被害で全壊家屋には一万円、半壊家屋には五千円、床上浸水家屋には五千円が支給されることになっております。この制度は昭和四十二年度から、床上浸水二千円で始まりました。当時の県職員の平均給与が四万五千八百二十円ですから、現在と比較すると約十倍近くになるのではと感じます。
 床上浸水のお宅の家財道具は水浸しになり、一時家には住めないのでどこで寝泊まりしようかと思案されている被害に遭われた方のお話を聞きながら、五千円の見舞金というのは少し違和感を覚えるのは私だけでしょうか。また、このお宅にはそばに河川があるわけではなく、また特別低いところに住居が立地しているわけでもありません。このたびの集中豪雨がいかに激しかったかがうかがい知れますが、自然環境も含め、いろいろな周辺の開発等による住環境の変化により、最近水につかり出した箇所もあるのではないでしょうか。
 七月のときも今回も、印南町印南地区は、役場、小学校、郵便局、農協、銀行やショッピングセンターが集中しており、町民の生活の中心的な位置にありますが、このたびの豪雨でかなりの広範囲で浸水し、印南小学校は二日間臨時休校になり、大型食料品店も二日間閉店するなど、一時的に麻痺状態になり、住民生活に大きな影響を与えました。今回は四十年ぶりと言われるほど予想をはるかに超える集中豪雨であったことは間違いありませんが、台風等による少し大きい雨でも冠水するこの地区の治水対策について抜本的に見直さなくてはならないのではないかと考えます。
 また、同じ町内の津井地区の田畑は、津井の川のはんらんで耕作面積の大部分が水没し、苗つけをしたウスイエンドウや菊の苗が冠水、流出、埋没いたしました。ハウスも損壊し、畑の表土が流されてしまい、私の知る限りでは近年一番被害が深刻ではないかと思うほど悲惨な状況でした。
 また、県道御坊由良線も大きな被害に見舞われ、由良町の白崎少年自然の家に通ずる道路の陥没や美浜町の三尾地区の落石、倒木による通行どめになり、出勤や通学にも影響が出ました。さらに、御坊・日高地方の他の県道や国道も冠水により一時通行どめとなる等、生活の足が乱れ、住民生活に大きな影響がありましたが、一刻も早い完全復旧を望むものであります。
 今回に限らず災害時にいつも思うのですが、それぞれの地域の土木建設業に携わっておられる会社や従業員の皆様には、昼夜を問わず、さらに危険を顧みず、いち早く道路やライフラインの仮復旧に御尽力をいただいておりますことに、心から感謝と敬意を表します。
 そこで、このたびのように一時間に百ミリを超える集中豪雨による被害は、面積的には被災地域は限られており、台風時のように風による被害もありませんし、地震のときのように多くの家屋が倒壊する状況にありませんが、床上浸水や農作物等の個々の被害を考えますと、台風時より大きい場合もあるのではないかと、このたびの集中豪雨による災害で痛感いたしました。
 そこで、和歌山県は床上浸水したお宅に対して現行制度では五千円の見舞金を支給していただいておりますが、近畿では、滋賀県は二万円、兵庫県は三万円支給されており、他の自治体でも最高五万円を支給しているところがあるとお聞きいたしました。
 しかし、全く支援制度のない自治体の方が全国では圧倒的に多い中、本県においては他の都道府県に先駆け災害見舞金の支給を制度化し、今日まで心ある対応をしていただいていることに対し高く評価と敬意を表しますが、被災した当事者の心情や、また現在の一般庶民の感覚に照らして若干の見直しをしてはいかがかと考えますが、福祉保健部長の今後の対応に期待をいたします。
 そして、農林水産部長には、今回の集中豪雨による御坊・日高地方の農作物の被害や農地の復旧に対して速やかに対応していただきますことをお願いいたします。
 県土整備部長にも、印南町印南地区のたび重なる冠水について、印南町とも御協議をいただきながら抜本的な対策を御指導いただけますようお願いを申し上げます。
 また、各地域の道路の復旧や今後の河川改修等にもお力添えをいただきたく重ねてお願いを申し上げ、以上三点すべて要望とさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 我が県の県立自然公園についてお伺いをいたします。
 私たち和歌山県の海岸線や山間地域には風光明媚な箇所も多く、それぞれの地域の自然や環境またはその景観を保護するため、昭和三十四年の県条例改定以降、現在に至るまで十の地域を県立自然公園に指定し、守ってまいりました。私たちの県民の共有の財産として当然のことでありますが、その結果として、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録されましたし、ラムサール重要湿地に選ばれた串本沿岸海域は世界に高く評価される等、県内には他府県はもとより世界に誇れるすばらしい自然環境が残されることになりました。
 須川議員から報告がありましたので詳しくは申し上げませんが、先般、吉野熊野国立公園内にある那智勝浦町の那智の滝と中国貴州省の黄果樹大瀑布との姉妹滝の締結に同行させていただきました。中国にも大変すばらしい自然環境や世界遺産に登録された地域もありますが、我がふるさと和歌山県の海岸線の美しさや豊かな緑に抱かれた森林地帯を思うとき、改めて先人の残してくれた貴重な財産を大切にしなくてはいけないと感じた次第であります。そして、自然に恵まれたこれらの地域を未来にわたって私たちの子孫に残し保護していくことは、今の私たちの責務であると考えます。
 お伺いいたしますと、県内にはかつらぎ高野山系県立自然公園、紀仙郷県立自然公園、大池貴志川県立自然公園、生石高原県立自然公園、西有田県立自然公園、白崎海岸県立自然公園、煙樹海岸県立自然公園、田辺南部海岸県立自然公園、熊野枯木灘県立自然公園、大塔日置川県立自然公園の十カ所の県立自然公園が指定され、さらに瀬戸内海国立公園、吉野熊野国立公園、高野龍神国定公園を含めますと、県土のかなりの面積が公園に指定されており、今日まで自然環境や景観を良好に保全してきましたが、これは高く評価されるものであります。
 しかし、ひとたび県立自然公園に指定されますと、当然のことと言えば当然のことでありますが、大変厳しい規制がかかり、たとえ自分の土地であったとしても建物や工作物の設置が自由にできないとお伺いをいたしております。
 私が調べたところによりますと、和歌山県では県立自然公園に指定されている面積のうち約八割が私有地であり、これは全国で二番目に高い割合であります。また、特に規制の厳しい特別地域の割合も約八割を占め、全国で五番目に高い割合となっております。
 このように、全国的に見ても厳しい規制を課すことで自然環境の保全を図ってきた結果、貴重な自然やその景観が長きにわたり守られてきたことは間違いのないところでありますが、県立自然公園の指定から既に約五十年近くが経過し、これを取り巻く経済や社会状況は大きく変化をいたしております。自然公園近くまで別荘や民家が建ち並び、公園内の道路も整備され、もはや居住区と渾然一体となっている場所も見受けられます。さらに、県民が県立自然公園に求めるニーズや価値観も、おのずと公園制度発足当時とは大きく異なっているのではないかと思います。当然、地権者には自分の土地を活用する権利もあります。自然公園だからといって全く何もしてはいけないというのは少し行き過ぎているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
 最近注目され出した風力発電の適地は海岸線が多いと考えますが、我が県の海岸線はそのほとんどが国立もしくは県立自然公園に指定されており、建設することは事実上不可能な状況にあります。環境に優しい新エネルギーを推進していくということは世界的な要請であり、国家もその政策の推進に力を注いでいる現在、そういった施設の建設に対しても柔軟に対応していかなければなりません。また、森林においては、人と共存することによってその活力を維持し、環境を守っていくのであって、適度に人の手を入れていかなければ、さらに荒廃していく懸念もあります。
 保護すべきところは厳正に保護していくことは当然のことでありますが、自然公園であっても、比較的活用しても環境や自然破壊につながらない場合はむしろ積極的に活用できるように考えていく、すなわち自然環境保全と地元の経済活動が両立した持続可能な発展があってもいいのではないかと考えます。和歌山県の大切な観光資源であります県立自然公園のさらなる活用をこの際考えてみてはと思います。
 そこで、和歌山県の自然公園制度について環境生活部長にお尋ねをいたします。
 まず、県立自然公園内においての施設の建設やその他の構造物に対する規制についてお伺いをいたします。
 また、県立自然公園が指定され約五十年たつわけでありますが、現在抱えている問題点があるとすれば、それについてもお伺いをいたします。
 そして、もし現行の県立自然公園の規制や区域等の見直しについても当局のお考えがあればお聞かせください。
 さらに、県立自然公園の利活用を含め、今後の自然公園行政の目指すべき方向性についてお伺いをいたします。
 次に、合併浄化槽の普及と維持管理についてお尋ねをいたします。
 私たちが生きていく上でどうしても必要な水は、生活の多様化や化学物質の混入等により大変汚染されてまいりました。人口の多い都市においては、生活排水の処理に対して公共下水道の整備が進み、そのほとんどは最終処理をして河川や海に戻しております。また、人口の過疎化や高齢化が著しい地方の市町村でも、ある程度人口が密集している地域では公共下水や農業・漁業集落排水が推進されております。しかし、和歌山県において下水処理の普及率は依然全国平均を大きく下回り、大きな政治課題の一つとなっています。
 山間地域の多い我が県において、地形的に見ても、また過疎化や高齢化が一層進む中、下水道処理を推進しようとしても加入者の確保が大変厳しい状況にあると考えます。たとえスタート時に加入者がある程度確保できても、年々過疎化、高齢化し世帯数が減少し、維持管理が将来的に見て困難な状況も十分予想される中、下水の処理は我が県の永遠のテーマであり、環境浄化はもとより、農林水産業への影響や、また観光立県を標榜する我が県にとっても観光資源の保護にも影響を及ぼさないかと心配をいたしております。
 そこで、今後、下水処理施設の困難な地域を多く抱える我が県においては合併浄化槽の推進が最も有効であり、かつ現実的であると考えます。
 現在も、家を新築する際、または増改築する際には、合併浄化槽に係る助成金をつけて推進をしていただいております。また、建築基準法により合併浄化槽の大きさが住宅の延べ床面積百三十平方メートル以下は五人槽、それ以上は七人槽と決められていますが、和歌山県においては比較的他府県よりも敷地がゆったりととれるため延べ床面積も広くなると考えられ、平成十二年四月より百五十平方メートル以下ならば五人槽であっても建築確認ができるように緩和措置をしていただきました。
 二世帯住宅では、ふろとキッチンがそれぞれの世帯に設置していれば、延べ床面積に関係なく十人槽の設置が求められていると聞いております。新築の際、五人槽や七人槽よりも大きな十人槽を設置すれば、当然、建築費やその他の経費も当初かさむわけであります。しかしながら、二世帯住宅であっても家族が六人未満の御家庭もあり、また先ほど述べたように、将来御両親がお亡くなりになったり、ふろやキッチンの使用も一つだけになり、さらに子供たちが進学や就職により家を出ていく等、過疎地においては住居人が最終二人や一人になってしまうことも十分予想されるところであります。
 公共下水やその他の下水道施設は、水道の使用量や住んでいる人によって料金が算定されているとお聞きをいたしました。つまり、家族が多ければ当然水道の使用量は大きくなるわけで、そういう意味では住んでいる方にとって納得のいく算定方法だと思います。
 しかし、合併浄化槽は、住んでいる人の数ではなく処理槽の大きさで設置時に決定され、以後、浄化槽の機能を維持していく上で管理費を負担していかなくてはならないということになっています。設置後の維持管理費は、十人槽のように大きくなりますと浄化槽清掃料金も高くなり、年間トータルでは隣近所と比較して負担が重いと受け取られはしないかと危惧をいたしております。
 我が県の水環境の保全推進のために欠かすことのできない合併浄化槽でありますが、以上のような疑問点も現実としてあるのです。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 現在、県内の合併浄化槽の普及率など現状をお聞かせください。
 また、建築基準法における合併浄化槽の設置基準や助成金についてどのようになっているのか、お答えください。
 そして、先ほどから述べているように、合併浄化槽は水環境を守る上でさらに推進していかなくてはなりませんが、維持管理について住民の理解を得ることが重要であると考えます。そこで、助成金を伴う事業ですので、設置時、維持管理費の御負担についてだれがどのように御説明をいただいているのか、お聞かせをください。
 最後に、市町村がみずから設置主体となって行う浄化槽市町村設置推進事業があるとお伺いをいたしました。この事業は市町村が合併浄化槽を設置する事業であり、二十戸以上あれば浄化槽市町村整備推進事業に採択され、二十戸未満でも個別排水処理施設整備事業が実施できると聞いております。
 個人設置の合併浄化槽は住民負担が六割ですが、この事業は下水道事業債が適用されるため住民負担は一割で、設置時の個人負担は約六分の一となるそうです。また、農業集落排水事業よりもそれぞれの市町村の財政事情に合わせて事業計画を立てることができ、その地域の人口、世帯数に合わせて柔軟に対応できるため、結果、市町村の事業費負担が軽減できるとあります。
 また、住民の希望によって施設を設置するので加入率が一〇〇%確保でき、維持管理費は自己の施設分だけで済み、住民負担が軽減され、また公平性も確保されるとあります。まさしく、先ほど述べてきた個人設置の合併浄化槽の疑問点を補っているのではないかと考えます。
 当局におかれましては、この浄化槽市町村整備推進事業について、市町村や住民に対して周知啓発等積極的にお取り組みをいただき、下水道普及率全国ワーストツーの汚名を一日も早く返上し、名実ともに環境先進県と胸を張れるような当局のますますの御尽力を心からお願いを申し上げたいと思います。
 次に、農業普及指導員についてお尋ねをいたします。
 我が県は、御承知のとおり農業が主要産業でありますが、それを取り巻く状況は年々厳しくなっております。後継者や新規担い手の確保はままならず、また食糧の自給率は低下の一途をたどり、食糧を海外からの輸入に頼る我が国の現状は一刻の猶予も許されないところまで来ていると言っても過言ではありません。木村知事も我が県の農業の発展に一方ならぬお力添えをいただいておりますことは、よく承知をいたしております。
 農業の持っている潜在能力は、新しい企業の農業への参入を呼び起こし、また、ここ数年急激にふえる団塊の世代の定年退職者やIターン、Uターン者の農業への参加等、取り巻く状況も大きく変化しようとしております。
 そういう状況の中で、農業の技術指導や経営について、支援体制はどのように行っていくのかが大きな課題となってまいります。今回質問させていただく農業普及指導員の役割がさらに重要になってくることは当然でありますし、さらなる充実を強く求めるものであります。
 昭和二十三年に国と県との共同事業として、農業改良助長法に基づき共同農業改良普及事業が発足したと伺っています。役割としては、試験研究機関で開発された新しい技術を地域の農業条件に応じて現場で組み立て実証し、農業者に新技術の取り組みを促し、産地形成を進め、地域全体に波及させることにより地域農業の振興を図ることを目的とするとあります。
 具体的には、農業・農村の担い手の育成や産地育成に向けた取り組みへの支援、環境と調和した農業生産に向けたエコ農業の推進、食の安全・安心につながる食育や地産地消等の推進、さらに農村地域の振興に向けた取り組みへの支援等、取り組む課題は大変重要であると考えます。
 和歌山県においても、現在、その人員は各振興局の農業振興課に八十六名の普及指導員を配置し、産地グループと担い手グループを置いて、技術指導や担い手の育成等、地域農業の振興に向けた活動を行っているとお伺いをいたしております。また、農業総合技術センターに三名、果樹園芸課に二名を配置し、試験研究機関や行政との連携を図るため県全域を担当する広域普及員を置き、振興局と協力して重要課題の解決に向けた活動を行っていただいていることは、御承知のとおりであります。
 また、普及指導員の任用については、農業改良助長法の規定により普及指導員資格試験という国家試験に合格した優秀な方が任用されるとあり、大変心強く思うものであります。
 先ほど述べましたように、今後、小泉内閣の目玉でありました農業特区の制度により、いろいろな形で農業に参画してくる法人、個人も想定されますし、福祉施設やNPO法人等も農業への取り組みに大きな期待と関心が寄せられております。
 障害者の方にとって農業に従事することがいやしにつながるのでしょうし、工場などで機械的に仕事をするよりは自分のペースで仕事を進めていくことが比較的可能な農業は、職場環境も穏やかで、精神衛生上もよりよいのではないかと申される福祉関係者の御意見もお伺いをいたしました。
 しかし、このような福祉に携わる団体において農業技術者を常勤で確保しておくことは大変経費負担となりますし、農家の方や農業に精通されたボランティアの皆さんにいつも御協力をお願いするというわけにもいかない場合もあるでしょう。そんなとき、一番身近でよりどころとなるのは、農業普及指導員の方の存在であり、御指導、御協力いただければ大変心強く、頼もしい限りであると思います。
 今まで述べたように、普及指導員の今後の活躍の場は多岐に広がっていくことが予想され、さらに重要な役割を担ってくるのではないでしょうか。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 まず、普及指導員の農家への技術指導に関して、現在どのような活動状況にあるのかをお答えください。
 さらに、IターンやUターンの方や定年退職され新たに農業に従事することを希望する方、及び他の業種から参入される企業、団体への農業技術の支援、指導について今後どのように取り組まれるのか、お答えをください。
 また、福祉施設やNPO法人等から要望があった場合、どのように対応されるのかもお聞かせください。
 最後に、六月議会でも取り上げましたが、障害者自立支援法が施行され、一割負担が求められる中、いかにして障害者の皆さんの収入と生活を安定させていくかが大きな課題となっています。
 先般、和歌山県福祉事業団の方と意見交換する場がございましたが、そのとき、海外の福祉施設との職員交換や留学生等を含む交流も活発に行いたいが県当局にお力添えをいただきたいとの御要望もありました。特に農業については、農業技術習得のための研修生等の受け入れも視野に入れ、農業と福祉がさらに融合され、一体化し、より相乗効果が得られる体制づくりや環境づくりに対し当局の御理解と御協力をお願いし、また木村知事におかれましても今後格段の御指導、御高配を賜りますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 県立自然公園に関する四点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自然公園内における規制についてでございますが、議員の御質問にもございましたように、本県の県立自然公園、昭和三十四年に施行された和歌山県立自然公園条例に基づきまして十公園を指定しております。
 各公園ごとに定められる公園計画におきまして、自然公園の風致景観の特質あるいは環境保全の必要性の度合い等に応じまして、一種、二種、三種に区分される特別地域及び普通地域の四種類の地域に区分をされております。これらの地域区分によりまして工作物の新築あるいは増改築など一定の行為に対する制限を定めまして、国、市町村と連携、協力しながら自然景観の保全と管理を行っているところでございます。
 次に、現在抱えている問題点についてでございます。
 御指摘のとおり、自然公園を取り巻く諸状況は大きく変化をしてきていると認識をしております。自然公園内でも一部では自然環境の資質が低下している箇所も見られ、また一方では、自然公園ではないものの将来的に開発圧力から保護していかねばならない自然環境も県内には存在するのではないかと考えております。さらに、風力発電を初めとする新エネルギー推進政策との調整も新たな課題であるものと認識をしております。
 次に、現行の規制や区域の見直しと今後の方向性についてでございます。
 自然公園区域及び公園計画については、指定後の社会経済情勢の変化に伴う利用形態の多様化や都市化等に伴う周辺環境の変化などに対応するため、見直しにつきましては個別公園ごとに随時行ってきたところでございます。
 最近では、平成八年度から毎年、公園ごとに見直しを行い、今年度をもって県内十公園の見直しが一巡いたします。しかしながら、県立自然公園の指定から五十年近くが経過した今、これまで行ってきた公園ごとの個別の見直しでは、県内全体から見た自然環境の保全が難しくなっているものと認識をしております。
 したがいまして、自然環境保全の意義、保護対象の再精査、各自然公園間の保護のバランス、保護と開発が両立する公園のあり方など、さまざまな観点を考慮しながら、広く県民の皆様の御意見も伺いながら、県全体における県立自然公園の抜本的な見直しを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 合併浄化槽の普及と維持管理について三点お尋ねがありました。
 一点目の合併浄化槽の普及率についてお答えをいたします。
 和歌山県の汚水処理人口普及率は平成十七年度末で四〇・八%であり、そのうち合併浄化槽の普及率は二二・三%と、汚水処理人口普及率の約二分の一を占めております。
 次に設置基準につきましては、議員御案内のとおり、地域の実情に応じて住宅の処理対象人数は百五十平方メートルまでは五人槽としており、また二世帯住宅につきましては二軒分として最小となる十人槽を採用しております。
 助成事業につきましては、市町村がそれぞれ独自に要綱を定め、年間約四千基に対し助成をしておりますが、その助成額に対し、原則、国と県が三分の一ずつ補助をしております。
 三点目の合併浄化槽設置時の説明につきましては、助成窓口である市町村が住民の方々に対して維持管理に係る説明をしております。特に、維持管理にかかる費用につきましては、県が出向いて新規の浄化槽管理者を対象とした講習会を開き、住宅を建てる方に浄化槽の規模により負担していただくよう理解を求めております。
 今後も、水環境を守る上で合併浄化槽の維持管理の大切さを認識していただくよう、「県民の友」など各種広報媒体を活用して一層の啓発に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業普及指導員の現状とあり方につきまして、一括してお答えをいたします。
 普及事業につきましては、これまで農業改良普及員が中心となって農家ニーズに対応し、技術指導や情報提供など行ってまいりましたが、高度な技術力や地域農業を総合的にコーディネートする機能が求められる中で、昨年、普及指導員制度が新たにスタートをしたところでございます。
 現在、多様な担い手の育成確保や遊休農地の有効利用を初め、ポジティブリスト制への対応など、それぞれの地域の課題について重点的に取り組むことといたしてございます。
 農家への技術指導の現状についてでございますが、現在、地域農業の方向を見通した普及指導基本計画に基づきまして、JAや生産組織と連携を図りながら、栽培講習会を通じ、梅の土づくり対策、ゆら早生のマルチ栽培、またトマトの病害虫対策、こういったことに取り組んでございますほか、個々の作目に応じた農薬の適正使用を指導するなど、農家の経営安定に努めているところでございます。
 また、定年退職者あるいはU・Iターン者などへの技術支援につきましては、県の重点施策でもございます総合帰住政策を進める上でも普及指導員の果たす役割は大変重要と考えてございまして、就農支援センターを核に市町村等関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
 さらに、農業への取り組みに関心のございます福祉施設あるいはまたNPO法人などに対しましては、これまでも花の栽培指導などを行ってきたところでございますけれども、御要望がございますれば、その内容に沿って積極的に対応してまいりたい、このように考えてございます。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(谷 洋一君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速、質問をさせていただきます。
 まず最初に今議会に条例提案されております認定こども園についてお尋ねをいたしますが、この問題については福祉保健部長からお答え願いたいと思います。
 この十月一日から、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が施行されます。
 簡単に言えば、就学前の子供の保育、教育を一律に提供するとして、認定こども園制度を創設されたところであります。法律に基づき、都道府県が条例をつくり、県が認定するものであります。本年六月に成立したばかりです。しかし、この国会論議の中でも数多くの問題点が提起をされてきました。しかし、非常に国民の皆さんに十分知らされない間に加速的に強行された感が強いものでもあります。
 そういう中で、この認定こども園の中でも肝心なことは、保育所や幼稚園に入所・入園している保護者や保育者、あるいは教諭さえ十分知らされていないまま条例提案になっていることだと思うんです。
 県は、条例制定を前にして、「七月二十一日から八月十一日までわずかの期間に市町村の担当課長や室長、あるいは私立幼稚園や保育園などの関係者に一応説明をした」と言っております。法律が六月成立という中での説明が果たして理解を得たと言えるのか、甚だ疑問であります。「七月二十四日から八月十一日まで県民に対してパブリックコメントを行いました」と言っております。
 そこで私はお尋ねをいたしますが、少なくとも保育園あるいは幼稚園、市町村関係者には条例提案に値するにふさわしい周知ができたというふうに考えておられますか、お答えください。
 県内には、公立・私立保育園、幼稚園が数多く運営をされております。また、無認可保育所もあります。加えて、認定こども園のモデル事業施設となった白浜幼稚園や橋本市ムーミン谷子ども園や太地町の町立幼保合同保育所が構造改革特区として運営をされてきましたが、こうした種々の運営は、認定こども園との関係は一体どうなるのでしょうか、お聞かせください。
 幼稚園では、一日四時間教育とするという基準があります。母親のパート、アルバイトとして働く人がふえる中で、今や預かり保育が当たり前のように行われております。本県でも四十六の私立幼稚園のうち四十三園で実施をされているところです。その時間も、午後三時から午後七時まで実施する園もふえてまいりました。
 一方、保育所では、保育に欠ける乳幼児を、一日八時間を基本にゼロ歳から五歳まで、ほとんど朝七時から夕方七時まで長時間保育が行われている現実でもあります。このことから考えてみましても、子供にとって今最善の利益を尊重し、そうした養護や保育、教育とは一体何なのかをここで改めて考えてみる必要もあるというふうに私は感じております。
 少子化の進む中、子供たちが異年齢の中で集団で遊んだり学んだりする機会は極めて少なくなっています。母親たちの働き方もさまざまです。こうしたことに配慮と工夫を凝らしながら幼保施設の中で一貫性を持った保育や教育が進められることに反対するものではありません。
 しかし、認定こども園では、公的保育制度を現行よりも後退させるものになっていますし、何よりも財源縮減が出発点にあります。それは、これまで市町村が責任を持ち、入所措置がとられてまいりました。認定こども園は、直接こども園に申し込み、入所決定もこども園が行う直接契約方式に変わります。保育料についても、こども園が自由に決められることになっております。保育園では市町村が所得に応じた料金を決めて市町村に納入していましたけれども、こども園になりますと直接支払うことになります。そして、保育料を滞納したり払えない場合は、退所させることは現段階ではありませんけれども、しかし、こども園は、滞納した場合、退所を命じられる可能性も考えられます。低所得層や母子・父子の育児困難な場合など、それぞれの地域によっては新たな保育格差をつくり出す危険性も十分考えられると思うのです。どのようにお考えになりますか。
 この認定こども園の中でも、職員の配置基準です。現保育所あるいは幼稚園基準の低い基準を定めております。具体的に見ますと、特に満三歳児の場合、保育園基準は二十対一であります。子供が二十人に対して保育者が一人であります。三歳以上の子供のうち一日四時間程度の保育をする幼稚園の場合、幼稚園基準がおおむね三十五対一以上となっています。この時間帯は、最も多くの子供たちの活動時間として、また集団として活発な行動が保障されるためにも、また教育的配慮から、職員は二十人に一人と引き上げるべきではないのでしょうか。学校でも今や三十人学級、少人数学級が進められる時期です。ぜひ検討を求めたいと思いますが、いかがですか。
 次に、施設整備についてであります。
 幼稚園型こども園の調理室は必要と私は考えます。幼稚園の現行の設置基準では「備えるように努めなければならない」、こういうふうになっておりますが、預かり保育が進む今、保育時間と子供の生活を考えれば調理室の設置は当然だと考えるものです。
 いずれのこども園であっても、乳幼児期からの食育の観点から調理室は必ず置くべきだと思うのであります。最近は、アトピーや、何でも食べられるという子供は数少なくなっています。ここに配慮がとても必要だと思うんです。三歳から五歳児については外注もよろしいとなっていますけれども、調理する人の顔を見ながら、時には調理人さんとおやつを一緒につくる計画など、食への豊かな心をはぐくむことにもなります。ぜひ調理室の義務化を条例に入れていただきたい。いかがでしょうか。
 さらに、保育所型こども園では、屋外遊戯場の問題です。同一敷地内か隣接が望ましいというふうに一定の条件をつけておりますけれども、しかし、最近小さい子供たちの命が奪われる大きな事件や事故がふえています。安心して安全に過ごせる場を保障することが重要な問題だと思います。このようなことを大変心配するものでありますが、人員配置基準の低い中で隣接設置は安全確保から無理があります。いかがお考えでしょうか。
 二つ目の質問に入ります。
 障害者自立支援フォーラムを受けて質問を申し上げるところです。この議会でも多くの方々が障害者自立支援法について随分と論議が交わされているところでありますが、私もこのフォーラムを受けて提示してみたいと思います。
 障害者自立支援法がこの十月から本格化されます。既にこの四月からの利用料の一割負担や食費の自己負担化で障害者にとっては施設の利用を断念したり利用を抑制したりする事態が起き、施設の経営にとっても、月額勘定から日額に変更されたこともあり、大変な収入の減少が起き、私たちが初めから懸念した事態が進行してまいりました。
 私は、六月議会においても、利用料の負担の重さに耐えかねて障害のある方が、施設を退所する人が相次いでいることを申し上げました。県としての負担軽減策を求めてきたところです。そして、その後も利用を抑制したり施設を出ざるを得ない事態が今まさに進んでいます。
 今、県内を縦走する形で障害者自立支援フォーラムが各地で展開をされているところです。八月三十日には有田川町きび会館で二百十人の方々が集まりました。応益負担という名前の負担増加を抑えてほしいとの願いが切実に語られました。
 九月二日には、田辺市の紀南文化会館で四百名の方が集まられて切実な声を上げられました。このフォーラムに先立って、田辺市と白浜町が利用者負担を軽減する制度を独自につくる考えが市や町から明らかにされて、こうした軽減策を全県に広げていこうとの訴えがなされたところです。
 この八日の岩出市あいあいセンターで開かれたフォーラムには三百五十人の方が参加をされ、ある自閉症児のお母さんは、「通園施設に子供が通うようになって笑顔が見られるようになったのに、自立支援法によって負担が三倍から四倍にふえた。通いたくても通えない人もいる」と訴えられています。また、小規模作業所を立ち上げたばかりの保護者は、「五年の実績がないと援助がない。これから作業所をつくっていく者に希望の持てないものになっている」と訴えられたのです。
 九日の和歌山市民会館でのフォーラムには五百人もの方が集まりました。参加者のアンケートを読ませていただきましたが、その中では、「保護者の方、当事者の方の思いに胸が詰まりました。この方たちの思いを形にできるよう行政にアピールしていかなければならない、こう強く感じたところです」、「つらい思い、施策への怒りに対して同感します」、「障害を持つお子様を持つお母様たちの嘆願が心を動かした。小さな子供たちが育つために必要な支援を確約する法律に変えられるよう私も願います」などと、無慈悲な自立支援法への怒りがつづられています。
 どの会場にも、応益負担といって大変な負担が負わされ、施設の利用をあきらめるような事態にストップをかけてほしいという願い、行政への期待が語られているのです。この三十日には、新宮市でも同様のフォーラムが予定をされていると聞きます。
 障害者の負担がふえることから退所や利用抑制が進んだことは、施設の経営にも大きな影響を与えています。和歌山市のフォーラムでは、ある施設の場合、自立支援法の施行によって日割り報酬制度になったことから、昨年と比較して四月で百九十一万三千円、五月で十八万一千円、このまま推移すれば年間二千四百万円の収入減となり、施設の経営が破綻してしまうとの報告もありました。
 自立支援法が半年間施行され、十月からは新たな負担がふやされる中で、障害のある方の自立を本当に願うなら、ぜひ耳を傾けていただきたい。県当局の見解を求めるものであります。
 その一つは、障害児施設を利用する方への支援です。
 京都府では、施設に通園する障害児の世帯に対して、利用料や食費負担を府の負担で現在の利用者負担額まで軽減する補正予算をこの九月議会に提案しているとのことです。大分県でも、負担増加分の半分を県が独自に助成したり、児童デイサービスについても県と市町村が半額ずつ負担して利用者負担を軽くする支援策を明らかにしています。授産施設に対しては、和歌山県は賃金をアップさせるための支援を県として行っているとの話も聞いているわけですけれども、子供たちに対する支援の手を伸ばしているとの話は聞きません。ぜひ、和歌山県としても現行の負担をふやさないための軽減策を求めたいと思います。
 二つ目、小規模作業所への助成の問題です。
 障害者作業所は、養護学校の保護者の方々などが、障害のある子供が学校などを卒業して障害に応じた作業所を地域の中で立ち上げてきた歴史があります。県が移行を促している生活活動支援センターの3型と言われるものは市町村が独自に利用条件を設定することになっていますが、三年ないし五年の活動実績が必要です。十人程度は利用することがセンターとして認定される条件になるとのことです。これらの条件を達成できない作業所は、県や市町村の助成がなければ閉鎖に追い込まれかねません。小規模作業所への助成は、自立支援法の枠外の助成として今後とも継続、充実を求めるものですが、いかがお考えですか。
 最後に、精神障害者の通院費の問題です。
 和歌山県では、重度障害者の医療費については自己負担を県と市町村が負担する制度がつくられ、医療の必要度が高い重度障害者にとっては大変助かる制度であるわけです。この対象には精神障害者が含まれておりません。今回の自立支援法の施行によって精神障害者の通院費は、これまでの五%から一〇%に負担がふやされました。これまでは県内では通院費の自己負担を助成する自治体があったわけですが、自立支援法は身体と知的、精神の三つの障害を同じように障害者対策として法の対象者としながら、県の重度障害者の助成対象から除外されたままになっています。一〇%への負担増加に対して、県内では幾つかの市や町が精神障害者の通院費に対して助成する施策を行っていると聞いています。その状況を報告してください。
 また、県は入院中の精神障害者が地域で社会生活を営む施策を推進していることからいっても、医療費を気にせず通院できる環境をつくるためにも、通院費の自己負担をなくしていくことが必要と考えるものですが、いかがお考えでしょうか、お答えください。
 以上については福祉保健部長からお答え願いたいと思います。
 次に、新宮港第二期整備計画について御質問を申し上げます。
 この整備計画の目的は四点あるというふうに書かれております。一つは外国貿易船舶の大型化に対応した水深岸壁の整備、二つには大規模災害時に対応できる耐震強化岸壁の整備、三つには災害時の緊急避難所物資集積の拠点となる防災緑地の整備、そして熊野地域の観光交流の海の玄関口として整備を行うとして、工事が今進められているところです。総面積三十五ヘクタール、総事業費約二百五十五億円、新宮市と県の共同事業で、工業用地は新宮市の事業となっているところです。既に水深七・五メートルの耐震強化岸壁は供用されています。水深十一メートルの岸壁工事も、十八年度末の完成を目指して関係者の方々の努力が今続いているところです。とりわけ特定地域振興重要港湾としても選定をされていますから、その役割が期待されるところです。県土整備部長、整備計画の進捗状況は今いかがでしょうか、お聞かせ願います。
 ところで、この工事も何の問題もなく順調に進んでいるのだろうと思っていた矢先、去る七月初め、新宮港港湾改良工事が進む中、エプロン舗装路盤材に質の悪い鉄鋼スラグが使われているのではないか、異常にpHが高い、産廃も混入しているのではないだろうか、現地調査してほしいという住民からの依頼がありました。工事請負契約書では、工期が平成十八年三月十七日から平成十八年十月三十一日、請負契約金は四千二百一万七千八百五十円、路盤材には自然石の粒調砕石を使用するとの承諾願が五月一日付で出されておりました。
 七月十二日、新宮建設部と管理整備課の担当者に現地に出向いてもらい、敷設されている路盤材を試料採取し、成分検査をしていただきたいという申し入れをいたしました。早速、県は七月十三日にその場所から三カ所で試料を採取し、同時に工事請負業者滝谷組などに対する事情聴取を始めたところです。ところが、その日に業者は、自然石の砕石から高炉スラグの一種で路盤材として一般的に使われているHMS25に変更したいとの承諾願が出されたとのことであります。
 そして、七月二十六日に現地で採取した試料の成分検査結果が明らかになりました。それによりますと、三カ所の試料のうち二カ所の試料から鉄鋼スラグMCS30と見られること、一カ所は砕石が使用されているとのことでありました。また、その中に一部、溶出試験で鉛が基準値を超えたため再試験しましたけれども、基準値内であったことが判明をしたところです。
 私は、各種のスラグを販売している住友金属和歌山製鉄所内にある住金鉱化を訪ねて、スラグの製造過程やこのHMSスラグとMCSスラグの性質の違いや用途の違いなどを聞き、現物も見せていただきました。これは鉄鉱石でありますけれども(現物を示す)、これから鉄だけをとるために石灰とかいろんなものを入れるそうですけれども、そこで製造されて最後に出てくるのがいわゆるかすなんだそうですね。これも見せていただきました。それを聞いてきたわけですけれども──これ、知事見といて。(現物を知事に手渡す)住友金属へ行ってまいりましたし、現物も見せてもらったわけです。
 HMSの場合は、自然石の砕石と変わらない使い方をされて、値段も自然石と同じようなもので、道路の路盤材にも使われているとのことでした。ところが、このMCSの方は水に大変反応するということで、約二倍にも膨張するということであります。ですから、路盤材にはとても適さないというものです。
 MCSは、埋め立てに使う場合には土砂とサンドイッチのように交互に重ねることで地盤が固く締まるように利用され、値段もHMSよりも安いとのことでもありました。住金鉱化の担当者によりますと、埋め立てに使うようなMCSスラグを販売する場合にはどの現場でどのように使うのかも確認して売るとのことで、新宮の港へ運んだMCSスラグは三重県の御浜町のある現場用に販売したとのことでもありました。
 既に新宮港のエプロン舗装で使用されたMCSスラグは撤去され、工事は既に進められているようですけれども、なぜこのような事態が起こったのか。事情聴取を行って原因は明らかになったのでしょうか、お聞かせください。
 請負業者の滝谷組を初め下請業者の海辺組、そして資材納入業者の日本土石工業株式会社に対する対応はどのようにされたのでしょうか。
 また、自然石と鉄鋼スラグの違いがわかるよう、県職員の専門的技術や質的向上対策はどうされているのでしょうか。県土整備部長から御答弁をお願いします。
 最後に、熊野川河川災害復旧工事についてお尋ねをいたします。
 新宮市熊野川町宮井地区内において、熊野川右岸側災害復旧護岸工事が行われました。時期は、昨年の二月十八日から十月二十日までの二百六十日間を要する工事が行われました。工事請負代金金額は五千五百六十五万円となっております。請負業者は株式会社果無建設と言います。
 延長百四十七メートル、面積二百六十四平方メートルを、工事材料としてラップストーン、割り栗石を使用して、布団かごや円形型蛇かごで固定をさせ、栗石などの飛散を防止するのでしょうか。この地の護岸工事は、同じ延長、面積を幾つかの地元業者に発注し、材料などもそれぞれの業者による使用が任されているようであります。
 工事は、完成期限の平成十七年、昨年の十月二十日を待たずして八月の二日、そして完工検査も八月の十二日にもう既に済んでいます。夏のさなかの工事でしたから、大変な御苦労もあったというふうに思います。
 しかし、問題はこの割り栗石です。工事終了して、しかも完成検査も合格している。なのに栗石の劣化が至るところで発生しています。これについても住民の方から調査を求められましたので、昨年の九月十一日、現地を案内していただきました。確かに、日傘の先や靴でトントンと踏んだり、棒切れ、金づちでたたいただけでぽろぽろと割れる状況があちこちで見られたのです。
 早速、河川課にお伝えいたしまして調査を求めてまいりました。現在まで工事施工業者に改善策を求めて話し合いが続いていると報告を受けているところです。
 私は、この一年間ですが、五回ほどでしょうか、この九月五日にも現地を訪ねまして、その劣化状態を観察していました。劣化は大変広がりを見せています。ところどころ、天端ではすき間が深く広がっています。一見かたそうな栗石も割れ目ができて、容易にぽろぽろに崩れてしまいました。一日も早い改善が必要ではないのでしょうか。本当に私もびっくりいたしました。
 この場所だけかと思っていましたけれども、新宮建設部管内における河川、道路工事について、平成十二年以降の工事を調査されたそうでありますが、昨年の十月までに十件の異変が見つかり、栗石の劣化が進んでいると聞きます。しかも、その納入業者は、すべて日本土石工業株式会社から納入された栗石であることも判明をいたしました。
 それぞれの工事材料承諾願に栗石に係る適性検査結果が添付をされていますが、現場では、不適正栗石が納入をされて工事の改善が必要となってきています。工事施工業者は信用して一生懸命仕事を行ったんですけれども、本当に困っていらっしゃるのではないだろうかというふうに思います。
 公共工事の質と信用性が問われるときです。特に護岸に使われる材料は、安定性、安全性を重視したものでなければならないはずです。十カ所での異変というのも異常ではないでしょうか。熊野川の護岸工事を初め、多くの河川や道路工事に劣化の進んだ粗悪な栗石が使用されたのでしょうか。わかる範囲で、県土整備部長、お答えをいただきたいと思います。
 材料納入業者に責任があるのか。粗悪な材質を見抜けなかった請負業者が悪いのか。いずれにしても、現場は改善が急がれなければなりません。
 行政にあっては、材料のよしあしを見抜く力を、工事の段階での検査体制の見直しを行うべきでありませんか。県としてのコンサルや業者任せの姿勢を改め、専門技術職員をふやして、専門的な知識、技術向上のため、研修体制も確立されていると思いますけれども、なお一層確立することを求めたいと思います。この事象に関し、どのような研修が行われたのでしょうか。部長の答弁をお願いします。
 さきに質問した新宮港で発生した問題でも、資材納入業者は日本土石工業です。納入した材料は違うとはいえ、いずれの現場にも粗悪品を納入した業者の責任は、業者としての社会的責任が問われる重大問題と言わざるを得ません。ほかに資材業者がないわけではないのですから、この際、県工事では問題を起こしている業者の資材は使用しないよう徹底する処置が必要ではないのでしょうか。今後どのような対策が必要か、改善費はどこが負担するのか、率直な考えを、県土整備部長、お聞かせ願いたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 認定こども園についての五点の御質問にお答えいたします。
 まず、条例制定に係る関係者への周知についてでございますが、認定基準の策定に当たり、各市町村の保育行政担当課長及び教育委員会幼稚園教育担当課長への説明会を初め、私立幼稚園関係者、民間保育園関係者との意見交換会を実施するとともに、広く県民の皆様方にも御意見を伺うため、七月二十四日から八月十一日までの間、パブリックコメントを実施したところでございます。
 今後、認定こども園制度の円滑な実施に向け、県ホームページ等を活用して、施設を利用する子供の保護者を初め、県民の方々への周知を図ってまいります。
 特区で認定された幼稚園または保育所における幼保合同活動事業につきましては、平成十七年四月二十二日に閣議決定された「構造改革特別区域基本方針の一部変更について」により、全国一律に実施が可能となりました。当該事業を実施する施設につきましては、既存の認可幼稚園及び認可保育所の制度を基本としており、今後も運営に支障を来すことはありません。
 また、特区で事業実施の県内各施設につきましては、既に認定こども園の認定基準を満たしておりまして、認定に向けた調整を行っております。
 新たな保育格差をつくるのではとの御指摘についてでございますが、認定こども園の認定を受けた私立認定保育所においては利用者と施設の直接契約となりますが、保育に要する費用、家計に与える影響、児童の年齢等に応じて保育料の額を設定するとともに、その額を当該市町村長に届け出なければならないことになっております。このような保育料設定の基本的考え方に適合しないと認められる場合は市町村長はその額の変更を命じることができることとなっており、現行制度の基本的考え方を維持した仕組みとなっております。また、利用者保護を図る観点から、私立認定保育所の長は正当な理由がない限り子供の入所を拒むことができないことになっております。
 認定こども園における職員の配置基準の見直しについてでございますが、この基準につきましては、国の指針を参酌し、短時間利用児は幼稚園設置基準と同様の割合で、長時間利用児は保育所と同様の基準で、認定こども園全体で確保すべき職員の数を算出することになっております。また、午前を中心とする四時間程度の共通利用時間については、学級を基本とする教育内容とするため、幼稚園の基準を適用しております。
 基準の見直しに関しましては、今後、認定こども園の運営状況を見ながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 施設設備の基準に関する御提言についてでございますが、調理室については、子供の年齢やアレルギー等に配慮した食事の提供など一定の要件のもと、三歳から五歳児に限定して給食の外部搬入を認めることとしております。
 また、屋外遊戯場についても、これにかわるべき公園、広場等が保育所の付近にあり、子供の安全確保など一定の要件が満たされる場合、これにかえても差し支えないこととしております。
 このように、施設設備の基準については、現行制度との均衡を保ちつつ、国の指針を参酌して、既存施設からの転換の妨げとならないよう配慮しております。
 基準の見直しにつきましては、今後、認定こども園の運営状況を見ながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 障害者自立支援法フォーラムを受けての三点の御質問にお答えいたします。
 まず、障害児通園施設や児童デイサービスへの助成についてでございますが、障害者自立支援法の段階的な施行に伴い、本年十月からは障害児通園施設の利用者負担につきましては原則一割の負担と食費の実費負担をいただくことになっておりますが、国に対する要望の結果として、一般の子育て世帯との均衡から、保育所の保育料程度の負担水準になるよう軽減されたところでございます。
 また、児童デイサービスにつきましては、既に他の障害福祉サービスと同様、利用者負担をいただいておりますが、十月からは新事業体系に移り、療育を充実させるとともに対象児童の拡大が図られることになっております。
 利用者負担につきましては、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられるよう引き続き注視し、その上で必要があれば国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、小規模作業所への助成の継続についてでございますが、現在、法的な位置づけのない小規模作業所が障害者自立支援法の施行によりNPO法人格等を取得することで、新事業体系の中にある就労継続支援事業等の自立支援給付事業への移行や、市町村が実施する地域活動支援センター事業への移行が可能となりました。このため、県では小規模作業所の安定的な運営や障害者の自立促進が図れる自立支援給付事業へ円滑に移行できるよう、各種の経営アドバイスや施設改修など、ソフト・ハード両面から支援を行っているところであります。
 また、市町村の義務事業であります地域活動支援センター事業につきましては、地域の実情に応じて実施することになっており、従来、小規模作業所分として県、市町村に二分の一ずつ交付税措置されていたものが全額市町村分として交付税措置されることになっております。
 こういった状況の中で、小規模作業所の運営補助につきましては、今後の移行状況や他府県の状況を踏まえ、検討してまいります。
 次に、精神障害者の通院医療費についてでございますが、障害者自立支援法に基づく自立支援医療として、国と県で公的負担を行っております。自己負担は原則として一割の定率負担ですが、世帯の所得水準に応じ、また継続的に相当額の医療費負担が生じる場合、一月当たりの負担額に上限額を設定し、自己負担がふえないよう配慮もされているところであります。
 また、県内では六市八町においてその自己負担の全部または一部を負担していると聞いておりますが、精神障害者の通院医療費に対する県の軽減措置につきましては、県単独の医療費助成制度全体の状況を勘案しながら研究してまいります。
○副議長(谷 洋一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 新宮港第二期整備計画についてお答えをいたします。
 まず、整備計画の進捗状況についてでございますが、新宮港においては、現在、二期計画の整備を進めております。議員御指摘のとおり、本年六月には耐震強化岸壁を含むマイナス七・五メーター岸壁二バースを供用しており、また本年十一月にはマイナス十一メーター岸壁一バースの供用を予定しております。本年度末には二期計画全体の進捗率は約五一%となり、引き続き早期完成を目指して整備を進めてまいります。
 次に、鉄鋼スラグMCS30の使用の問題についてお答えをいたします。
 新宮港岸壁エプロン舗装工事において、工事中に路盤材として不適格な鉄鋼スラグMCS30が使用されたことが判明したため、これを業者の責において適切なものに置きかえるよう指示し、その処置が完了したところです。
 なお、調査の結果、業者が路盤材として使用可能な鉄鋼スラグHMS25と形状、色合いが似ている鉄鋼スラグMCS30とを取り違えて施用したことが原因と考えております。
 次に、請負業者、下請業者、資材納入業者に対する対応についてお答えをいたします。
 今回の取り違い施工については、現地の建設部長が関係業者を呼び、経緯、原因等について聞き取り調査を行うとともに、口頭による厳重注意を行い、再発防止の指導を行っております。
 次に、熊野川河川災害復旧工事について四点お尋ねがありました。
 まず、栗石材の劣化についてお答えをいたします。
 御指摘の箇所と同様に割り栗石を用いた工事について昨年十二月に県内を調査した結果、より詳細な調査が必要な箇所は十カ所ございました。その対策及び改善費の負担についてお答えをいたします。
 これらの工事につきましては、JIS規格で定められた材料の使用を承諾し施工したものですが、その後、一部の割り栗石に劣化が見られるなどの現象が起きたものであり、これらにつきましては瑕疵担保条項等を活用し、業者から必要な補修を行う旨の確認をこの五月に取りつけております。
 現在、学識経験者の意見を聞きながら、劣化を見きわめつつ補修方法の検討を行っており、出水期の終了を待って必要な補修を行ってまいります。
 次に、工事業者、材料納入業者に対する指導、さらには資材納入業者に対して厳しい姿勢で臨むべきではないかというこの二点について一括してお答えをいたします。
 割り栗石の劣化判明後、施工業者に対しては補修を行うべく指導しているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。また、工事に使用する資材につきましては、いずれの資材業者の製品であれ、規格に合った適正な資材であれば使用を承認すべきものと考えております。今後とも、規格に合った適切な資材が使われるよう、業者に対し適切な指導をしてまいります。
 最後に、新宮港第二期整備及び熊野川河川工事復旧工事で御指摘の技術職員の技術力向上について一括してお答えをいたします。
 地元説明や用地買収等の調整業務の比重が高まるにつれ、現地で養われるべき技術や知識を習得する機会が減少してきており、平成十六年四月に県土整備部職員能力向上アクションプログラムを策定し、専門知識を取得させるため構造物、施工管理などの基礎研修や専門的な設計計画研修などを実施しております。
 また、各職場においては研修責任者を定め、年間研修計画を策定し、重要構造物の設計担当者によるプレゼンテーションを実施したり、各地域の実例を活用した職場現地研修を行うなど、技術力向上に努めております。
 なお、御指摘の割り栗石に関する研修も新宮建設部で既に実施をしており、さらに各建設部に対して文書で注意喚起を行っております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をしていただきました。
 自立支援法の部分なんかで、デイサービスの問題とか、今お尋ねしました。小規模作業所の、いわゆる自立支援法へ移行できなかったところの部分を一体どうするのかということが、最低の部分の、市が責任を持ってやるということになるわけですけれども、だけども、今、和歌山県でも県単独自の補助事業をやってますよね。それをやっぱりゼロにしないで。やっぱり、本当に努力をしてもできないところというのはありますよね、作業所の中には。そういう人たちに対してはやっぱり援助策を持つということにしないと、その人たちはせっかく努力をしてつくっていても、また何にもしてあげられないという、こういう状況になるわけですから、せめてもの、県単独自でやってる部分では何とか継続をして援助してあげてほしいというふうに思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 やっぱり五人、六人といってやっているところなんていうのは、登録者もなかなかできてこないし、一生懸命頑張っても頑張ってもなかなか到達できないという人たちは、結構、無認可の中にはたくさんあります。そういう部分をすくい上げてほしいということはぜひお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、今、応益負担になって随分と事業所の方も、それから利用者の方も本当に困ってるというのが実態だと思うんですよね。そういう部分で、この法律自体が本当に実態に即したものだったのかどうかというのはもう一回考え直さなあかんというふうに思うんですよね。法律が通ってこれだけ多くの人たちが大問題だと、こういうふうに運動がどんどん広がってるというような法律というのはやっぱり問題なんだということになるわけですから、そこらをもう一回、県行政としてもちゃんと実態を把握されて、そして国へ意見を述べていくということにうんと力を注いでいただきたいというふうに思います。
 それから、市町村がいろいろと支援策をしんどい中でやってるわけですから、ここに対しても市町村を支援するという立場で、軽減策なり助成策なり、ぜひ手を差し伸べてほしいというふうに重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、こども認定保育園は、これは本当に問題はないというふうに思ってるかもわからないけれども、しかし、今の認可保育所や幼稚園があるのにもかかわらず、あえてまた新たなものを新設して一体どうなるんだと。現場で大混乱をしてるんです、今はね。だから、そういう点でも、認定こども園の中にもまた幼保連携型と、それから幼稚園型、それから保育園型、そして地方──無認可のところをここへ、こども園へ持ってくるという、そういうものまであるわけですけれども、この無認可保育所というのは、今でさえも行政の支援は何ももらってないわけですよ。あえてそれをこども園に認定をさせていくというのは、さらに補助を出すかと言えば、出さないわけですからね。勝手にやりなさいと、こういうことになるわけですから。法律の届かないところの分まであえてこれをこども園に認定していくということ自体の方が、私は保育の後退を招くというふうに思いますので、ぜひそこはもう少し検討していただきたいし、今度のこの条例の提案というのは非常に拙速過ぎると私は思ってるんです。
 和歌山県、担当者はもう一生懸命努力をして何とかつくらなければいけないって、本当に徹夜でやりはったと思うんですけども、だけども、それが現実的に本当に県民の役に立つものになるのかどうかというところは、下から、法律ができたよと、条例についても九月には間に合わないからもうちょっと検討してみようじゃないかというふうに、もっと現場の声をどうやって反映させたものをつくるかというとこらあたりをもうちょっと検討していただきたかったと思ってるんです。非常に拙速過ぎるというふうに私は思います。問題をはらんでいるというふうに思います。
 それから、新宮港の問題と熊野川の問題ですけれども、これやっぱり、土木部長がいとも簡単に「規格品に合うてたからそれは今後とも使います」と言うのは結構です、それはね。それはそうだと思うんですけれども、しかし、現実的に規格品に合うてたやつでもこういう十カ所にも及ぶところに、不良品と言えばいいんですか、そういうものが入ってたわけですから、これは大問題ですよ。だから、そういう点で見れば、この材料納入業者ですか、ここらのあたりにもっとやっぱり慎重さが必要だと思うんです。
 それから、請負業者が直接契約ですから、そこが最大の責任になるというふうに思うんですけれども、しかし、これはやっぱり材料納入業者の質が問われますよね。規格に合うてたからというて──確かにそれは合うてたんでしょう。これを使いますといって申請したときには。だけども、日にちが経過して実際に入ったものというのはそれじゃないと思うんですよ。
 だから、そういう点で見れば、そこで見抜ける力、それから県の行政側の検査──工事を追っていくたびに検査してるんでしょう、一定の時期には。完成したときに全部を丸めてやるというんじゃないわけでしょう。途中で途中で、節々で検査してるはずですけど。そこのところでどうやって適正なものかどうかというのを見抜けるような技術や研修体制というのも必要じゃないかというふうに思うんですけれども、これは、部長、可能なんですか。それとも、そういうことは必要ないというふうにお感じになりますか。これだけはちょっと答弁してください。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 県土整備部では年間に約二千五百本の工事を発注し、これを監督してございます。その中には、例えば時間がたってふぐあいが発生するものも、もちろんございます。そういったことに対応するために瑕疵担保条項を設け、一年ないし二年の責任期間を設けておりますので、そういったものを活用しながら適切に対応してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 時間ありませんけどもね。今部長がおっしゃったのは、瑕疵担保で事を済ませるよというね、それはあきませんよ。やっぱりその段階段階できちっとすれば、こういう問題──瑕疵担保というのは、また別な問題として出てくると思うんです。その段階段階においてきちっと検査できるか、まともな材料なのかどうかというのをやっぱりきちっとやるべきだというふうに思うんです。
 それは、もう部長、答弁する気ないかもしれんけれども。(「答弁いたしますよ」と呼ぶ者あり)だから、どっちにしても一つ一つの区切り区切りをやっぱり技術力をもって、いいものをつくっていくということを心がけていただきたいというふうに、もう要望しておきます。(「要望や、要望や」と呼ぶ者あり)
○副議長(谷 洋一君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、九月二十五日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十一分散会

このページの先頭へ