平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十八年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十八年九月二十一日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに報第八号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに報
     第八号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    島       正   博
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 九番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速、質問に入りたいと思います。
 まず一点目、和歌山─海南間の道路網について、以下二点にわたって質問さしていただきます。
 まず、国道四十二号線の紀三井寺─海南間渋滞緩和のための幹線道路の必要性についてお尋ねをいたします。
 皆様も御承知のとおり、和歌山県は紀伊半島の西半分に位置しており、南部は非常に起伏のある美しい海岸線、それから陸側は豊かな山々の緑に恵まれております。しかし、その地理的な制約から道路網の整備がおくれており、改良率は全国各県と比べますと下から二番目の約五〇%で、やっと二十五年前の全国平均値といった状況であります。
 ただ、前回シーニック・バイウェイについて質問さしていただいたときも申し上げましたが、新宮から旧金屋までを抜ける本県東部を縦貫する路線や、また、和歌山・紀北地方では西脇山口線、湊神前線、南港山東線、北バイパス、紀の国大橋、国道二十四号の紀州大橋の四車線化など、各所で工事が進められ、所によっては道路網が大分整備されつつあると実感できるようになってまいりました。
 さて、今さら申し上げるまでもないことですが、和歌山市は県下最大の人口を抱える経済、産業の集積地であり、県文化の中心でもあり、通勤や買い物、流通、文化活動等、周辺地域からの行き来が多く、これらの動きをスムーズにする道路網整備は、県経済の活力並びに安全で快適な暮らしの確保においても重要であります。
 和歌山市街地への交通の流れは大体三つに分けることができると思われますが、一つ目は泉南等の大阪方面からのルート、二つ目は紀の川筋方面からのルート、そして三つ目は新宮、田辺、日高、有田等の紀南方面からのルートであります。このうち紀南方面、すなわち海南市から南に位置する地域からの交通は、すべて海南市内を通過して和歌山市街地へ入っていくこととなります。いわば、海南市はエントランスホールのような役割を果たしていると言えます。
 ところが、この和歌山市と海南市を結ぶ道路網が、どう考えても脆弱であると言わざるを得ないのではないでしょうか。和歌山市と海南市を結ぶ道路としては、紀三井寺を通過する国道四十二号線、そしてマリーナシティを経由して和歌川沿いを走る和歌山市道があります。そのほかには県道が七本あるわけでありますが、これらはすべて曲がりくねり、幅が狭く、スムーズに車の対向もできない状況で、中には車一台がやっとという広さの道路もあり、和歌山─海南間の県道は、どれ一つまともに幹線道路としての機能を果たしていないと言っても過言ではないと思います。唯一整備されている国道四十二号線も、紀三井寺付近では一日に四万台を超える通行があり、特に朝の通勤・通学時には慢性的に大渋滞を引き起こしている状態であります。
 国勢調査結果によりますと、和歌山市への通勤・通学者の数は、海南市、紀美野町、有田方面からが約一万一千人で、岩出市、紀の川市方面からは約一万五千人となっており、さほど大きくは変わらない状況でありますが、海南市東部及び紀美野町方面からは公共交通機関がバスしかなく、それも渋滞により時間が読めず、紀勢線への連絡が不安であるがゆえ、マイカーでの通勤の割合がかなり高いものと思われます。
 また、和歌山─海南間を結ぶそれぞれの道路の渋滞状況を見てみますと、国道四十二号線は紀三井寺付近を先頭に海南市まで、県道小野田内原線は国道四十二号線との布引の交差点から羽鳥橋付近まで、そして秋月海南線は多田地内の紺屋橋付近など、至るところで慢性的な渋滞を引き起こしております。
 経済的にも結びつきの強い和歌山─海南間にあって、輸送のかなめとなる道路網がこの状況では、観光はおろか、和雑貨、漆器、家具、繊維といった地場産業の活性化にも少なからず支障を来していると思うのは私だけでしょうか。私は、県経済の活力並びに安全で快適な暮らしの確保において、国道四十二号線の紀三井寺─海南間の渋滞緩和策を早急に図ることが必要と考えます。
 現在、海南市内において国道三百七十号線の阪井バイパスや日方大野中藤白線などの整備事業を進めていただいているところでありますが、これらを走る車もほとんどが国道四十二号線に流れ込むしかないわけでありますので、そういった観点から、将来的にも和歌山と海南を結ぶ幹線道路を国道四十二号一本に頼るのは非常に無理があると思います。そこで、国道四十二号線を補う幹線道路の整備が必要であると考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長にお伺いをいたします。
 次に二番目として、海南東部から和歌山市への道路整備についてお伺いをいたします。
 現在、紀の川市及び紀美野町方面から海南市を通過して和歌山市街地へ入るルートは、海南市東部の国道三百七十号線の野上新橋を経て紀陽銀行海南東支店前の交差点、小野田地内を通過し、亀の川紺屋橋に至り、安原小学校、竈山神社付近を経て和歌山市街地へと向かうルートがよくとられているようであります。ところが、この中で、先ほども申し上げましたが、特に海南市多田地内の亀の川紺屋橋付近では、通行量も多い上に、車が対向できないほど幅員が狭く、朝夕の通勤・通学時だけでなく、毎日渋滞が発生し、通行の安全上も問題がある状態であります。さらに、幅員が狭く見通しのきかないカーブ半ばにボトルネック部が存在する箇所があるなど、非常に危険でもあります。
 そこで、通行量が多いにもかかわらず未整備状態である紺屋橋付近から竈山神社付近までの間において、渋滞緩和策及び安全を確保するために整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長にお尋ねをいたします。
 次に二番目といたしまして、国道三百七十号線の阪井から沖野々間の渋滞の緩和策についてお尋ねをいたします。
 先ほども触れましたが、国道三百七十号線は海南、紀美野町地域に住む者にとって必要不可欠な生活道路であります。また、観光の面においては、カジカが鳴き、蛍が舞うなどすばらしい自然景観があるほか、チューリップ園やひまわり園、天文台、それに温泉地もある上、貴志川ではアユ釣りやアメノウオ釣りができるなど、高野山への参拝とセットで自然景観を楽しみ、また体験観光もできるといった大変ロケーションの整った可能性を秘めたルートであります。ところが、現在整備促進に取り組んでいただいております阪井バイパスの進捗がどうも余り図られていないという状況かと思います。地元住民の方々の御意見を十分にお聞きしながら、整備促進を図っていただきたいと切にお願いするところであります。
 それとともに、今回は計画全体の進捗とあわせて当地域の渋滞緩和策について一つ提案をさしていただきたいと思います。
 現在、このルートで最も渋滞が激しいのが、貴志川の新橋交差点から紀陽銀行海南東支店前の交差点までの一・一キロメートルと同交差点から龍部池付近までの一・三キロメートルの合計二・四キロメートルであります。大体、和歌山駅から汀丁の交差点ぐらいまでの間を、海南市の東部で毎朝渋滞をしておるわけであります。
 この渋滞の解消策として、阪井バイパスの東半分と国道四百二十四号線の木津バイパスの整備を進めてはいかがでしょうか。そうすることによって、海南市街地方面への車は、木津バイパス、阪井バイパスにより亀池遊園の手前まで進むことができることになります。一方で、和歌山市方面へ向かう車は、現道の三百七十号線によるか、木津バイパスから阪井バイパスを経て紀陽銀行海南東支店前から沖野々森小手穂線に入るかすることができるのであります。つまり、現在の紀陽銀行海南東支店前の信号の右折だまりでの渋滞を迂回させることで渋滞を緩和できると考えるわけですが、いかがでしょうか。阪井バイパス計画全体の進捗を図る上でも一考の余地があると思いますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
 次に三番目、医師確保対策についてお尋ねをいたします。
 現在、和歌山県の人口十万人当たりの医師数は約二百三十七人で、全国平均の二百一人を上回っているものの、全体の五〇%超が和歌山市に集中している状況であります。また、勤務体制が苛酷なこと、診療報酬上の評価が不足していることなどから、小児科は和歌山、那賀、田辺医療圏を除き全国平均以下、また産婦人科、麻酔科に至っては、和歌山医療圏を除き全国平均以下となっております。さらには、人口十万人当たりの診療所数が百三と全国でトップであることからもわかりますように、開業志向も強いようであります。
 こうしたことから、和歌山県内における医師は、地域における偏在、診療科の偏在、病院勤務医の不足が大きな課題になっており、一部の医療機関においては医療法に定めるところの標準医師数を満たせず、医療体制の維持に苦慮している状況にあるところもあると聞いております。
 医師不足の影響により、公立那賀病院においては一般内科の休診がありましたし、新宮市立医療センターの内科では、苦肉の策とも言うべきでしょうが、新規患者については原則として紹介状による外来診療のみに切りかえられたと聞いております。地元でもあります海南市民病院の産婦人科は数年間休診状態であり、国保野上厚生総合病院では、産婦人科、小児科もないといったかなりの医師不足に悩んでいる状況かと思います。
 こうした医師不足に対応するため、県でもドクターバンク制度等対策を講じていただいているところでありますが、現状とそれぞれの対策の成果についてお聞かせください。
 また、新たな取り組みとして、今議会には県立医科大学に対して効率的な地域医療支援体制づくりを委託する予算案が上程されておりますが、県としてこれによりどの程度の効果を見込んでいるのか、お伺いをいたします。
 国では新医師確保総合対策を取りまとめたところですが、本県においても、例えば医大における入学試験の地域枠の拡充や地域医療に従事する意志を有する人を対象としました入学枠の設定など、より一層総合的な対策を進める必要があるのではないでしょうか。県が積極的に取り組んでいる人口対策の一環としても必要だと考えますが、いかがですか。
 以上、三点について福祉保健部長のお考えをお聞かせください。
 最後に、地震防災対策について要望を申し上げたいと思います。
 東南海・南海地震が発生すれば、串本、田辺に続き、海南市の沿岸地域は津波による大被害が予測されております。海南市を例に挙げさしていただけば、津波による浸水地域には四千九百世帯、一万三千人が居住する市街地と商店街があり、臨海部には電力、鉄鋼、石油等の企業が立地していることから、地震はもとより津波による甚大な被害が予測されています。また、当地域においては、近いところでは昭和南海地震やチリ津波により大きな被害を受けていることから、津波対策について地域住民や臨海部企業の関心はかなり高い地域でもあります。
 あくまでも国の試算の一つでありますが、海南市の現況被害額について、埋立地の液状化により施設が沈下し津波が越流してくることを仮定した場合は五千億程度でありますが、水門、堤防の処置や液状化対策を行った対策後の被害額は百億円程度にまで大幅に減らすことができると聞いております。
 しかしながら、我が県における海岸防災関係の年間予算は十億円であり、国全体の海岸予算も事業費ベースで千二百億円でありますので、大変厳しい状況であるとは思いますが、効果額は大変大きいものであります。
 これまでは、自分の命と財産は自分で守る、地域の安全は地域で守るという認識のもと、主としてソフト対策に軸足を置いて取り組んでこられましたが、そろそろハード対策にも取り組むべきときが来ていると考えます。
 県としても、公共施設や企業等の集積地域で甚大な被害の発生が懸念される地域の対策が必要であると十分認識をされているとは思いますが、全県下的に広範囲な上、財政的にも大変負担の大きいことは十分承知をしております。しかし、タイムリミットは確実に迫ってきておりますので、自治体と地域住民や臨海企業とが一つになって、こうした水門、堤防の処置、液状化対策など、人を守る、町を守る事業の実現を図り、さらには国に対しても整備費の確保を強く働きかけていくべきだと思いますので、要望さしていただきます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの藤山将材君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路問題についてお尋ねがありました。
 まず、国道四十二号紀三井寺─海南間についてお答えをいたします。
 国道四十二号紀三井寺交差点は海南市方面から和歌山市に至る主要ルート上の隘路であり、これまでも国土交通省が交差点の部分改良を行ってきたところですが、さらなる対策の実施を求めてまいります。
 御提言の和歌山─海南間の幹線道路の整備につきましては、現在、和歌山市神前地内で整備を進めております都市計画道路松島本渡線の南伸及び海南市内の都市計画道路岡田大野中線がその機能を果たすものと考えられますが、整備については、厳しい財政状況を踏まえ、今後、既存ネットの中で優先度を考慮しながら、段階的かつ効率的な整備を検討してまいります。
 次に、海南東部から和歌山市への道路整備につきましては、和歌山市中心市街地への流入部に当たる幹線道路として、都市計画道路南港山東線、湊神前線、松島本渡線及び県道三田三葛線等の整備を進めてきたところであり、南港山東線につきましては、ことし八月に和田川を渡る六百メーターの区間を供用し、十一月にはさらに東に五百メーターの区間を供用する予定であります。
 また、和歌山─海南間に関係する道路として、現在、県道岩出海南線、和歌山野上線など四路線、六カ所で現道拡幅を進めております。
 議員御指摘の区間については、今後、関連する道路網の中で優先度を考慮しながら、特に狭隘な箇所、危険箇所などのネック区間を重点に整備に取り組んでまいります。
 次に、国道三百七十号の渋滞緩和についてお答えをいたします。
 国道三百七十号阪井バイパスについては、平成十七年に新規事業着手し、現道が狭隘でセンターラインがなく大型車が対向しにくい箇所を早期に解消するため、龍部池側から整備を進める方針で、現在、現地調査等を行っている状況であります。
 議員御指摘のような逆側からの整備手順の考え方もあり、今後の事業展開については、地元や海南市の意見も踏まえ、調整・検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医師確保対策について、現状とこれまでの成果、地域医療支援の内容と効果、及び県立医大における地域枠の拡充等について一括してお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県においても医師の地域偏在や診療科偏在、病院勤務医の不足が大きな課題となっております。県といたしましては、これまで六十八名の医師が地域医療に貢献してきた自治医大制度を初めさまざまな医師確保対策に取り組んでいるところですが、平成十七年度に創設した和歌山ドクターバンク制度につきましては、数名の照会があり、そのうち一名の採用を内定したところでございます。
 また、県内の臨床研修医につきましては、平成十六年度以降、四十八名、五十七名、六十名と増加傾向にあるなど、確保対策が徐々にその効果を上げていると考えております。
 また、今議会に補正予算をお願いしております地域医療支援事業につきましては、一層深刻化する県内の医師不足に対応するため、医師供給など、地域医療を支援するための新たな仕組みづくりを和歌山県立医科大学に委託するものです。
 事業効果といたしましては、医師不足により診療体制の維持が困難となった中核的医療機関へ緊急避難的な医師供給などを行うことにより、地域の医療体制の維持・確保ができるものと考えております。
 議員御提案の県立医科大学における入学試験の地域枠の拡充や地域医療を志向する者を対象とする入学枠の設定を含め、今後とも効果的な医師確保対策について、県立医大等関係機関と連携して研究してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。――再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 通告に従いまして、四点質問をさせていただきます。
 最初に、防災拠点と仮設住宅用地の確保についてお伺いいたします。
 去る五月末に、県は独自に三つのケースを想定した巨大地震の被害想定書を作成いたしました。東海・東南海・南海地震が同時に発生し、マグニチュード八・六の巨大地震を起こした場合、中央構造線による地震、マグニチュード八・六の場合、田辺市内陸直下型地震、マグニチュード六・九の場合を想定したものですが、グラフや地図を使った比較的わかりやすい報告書にでき上がっており、私もざっと目を通させていただきました。
 特に最大の被害が予想される東海・東南海・南海地震が同時に発生する事態を想定した場合を読んで、驚きました。それは、県内の死者数予測が五千人になっているのに対し、田辺市の死者数はその二五%に当たる千二百六十人と想定され、県内の各市町村別死者数では最大の数字となっているのであります。死者数に限らず、負傷者、要救助者数予測、建物全壊・焼失予測数のいずれをとりましても、田辺市、とりわけ旧田辺市の被害が大きいことがわかりました。
 確かに、震源地に近い串本町など、紀南地方の市町村の全人口、全家屋数に対する被害比率は高いものがございますが、人口が集中している田辺市の被害総数が飛び抜けて高く、その予測に田辺市に住む者として愕然としたわけでございます。
 さて、この被害想定書の中で木村知事は、「この結果は、あくまでも現在の地震に関する知見や過去のデータから最悪の状況を想定し、導き出された予測であり、発生する地域の規模や震源の位置等により実際の被害は違ったものになるかもしれません」と述べた後、「しかしながら、こうした予測結果に基づき地震対策を進めていくことが肝要であると認識しております」と述べられているのであります。
 また、さきの二月の予算委員会で知事は、「防災拠点の必要性を十分に認識し、被害想定を策定中であり、それを受けてどのような防災拠点をつくればよいのか、どういうふうな内容にしていくのかということの検討に入りたい」と答えておられます。五月末に被害想定書が出されたわけでありますから、ここで改めて紀南地方での防災拠点の整備について知事の基本的な考えをお伺いいたしたいと思います。
 防災拠点については幾つかの候補地が考えられますが、最も大きな被害が予想される旧田辺市の南紀スポーツセンター付近が適地と私は思っております。それは、田辺市を中心とした被害地での迅速な救援活動ができる場所で、高速道路が間近にある、またヘリコプターの発着が可能な広場であるなど、救援物資の搬入に大変便利であるという観点から最適地であると思われます。
 また、災害後に必要なのは仮設住宅ではないでしょうか。田辺市の場合、特に三つの地震が同時に冬の午後六時に発生した場合には、全家屋数の五五%に当たる二万九千戸余りが地震で倒壊し、さらに津波や火災で流出、焼失する予測がされておるのであります。こうなりますと、一時的に学校の体育館や公民館などで避難生活をした後、各種の復旧が進むまでの間、仮設住宅での生活が避けられないと思います。このため、仮設住宅予定地の場所を確保しておくことも重要な課題ではないかと思います。
 阪神大震災の場合、仮設住宅地がもとに住んでいた場所から遠く離れた不便な場所であったり、各地の被害者を寄せ集め住ませたことから、孤独でストレスの多い仮設住宅生活を余儀なくされたケースもあったと伺っております。仮設住宅の建設については、あらかじめ設置場所を想定し、用地を確保しておくことが大切ではないかと思います。
 大規模地震に限らず、近年は、地球温暖化傾向の中で、巨大台風や梅雨末期の豪雨による洪水や土石流で家を失うケースがふえておるのは事実であります。ことしも、長野県や九州地方で洪水や土石流による被害が相次ぎました。防災と同時に仮設住宅建設を含めた復旧対策も十分考えておかないと、いざというときに対応できないんではないかと心配するものであります。
 今回出された被害想定をもとに、今後どのような仮設住宅用地の確保をどう進めていくのか。また、防災拠点整備の取り組み状況とあわせて危機管理監にお伺いしたいと思います。
 次に、スポーツ振興のためのサポートシステムと南紀スポーツセンターの整備についてお伺いいたします。
 過日、和歌山県議会スポーツ振興議員連盟の総会があり、二巡目の国体が平成二十七年度に和歌山県で開催予定になっているとの話を伺いました。平成二十七年と言えば九年後であります。意義ある国体にするためには、今から次の国体をどう迎えるかを真剣に考える必要があろうかと思います。あと九年しかないという考えに立って、次期国体に向け早急に対応方針をまとめられ、今からその準備を進められるように願う一人であります。
 昨今の和歌山県のスポーツ界の成績は低迷を続けております。御存じのように、平成十五年度の国体成績は四十三位、平成十六年度は四十七位、平成十七年度は四十三位という成績でありました。同じく、都道府県別駅伝大会の成績も芳しくありません。参加することに意義があるとはいえ、これでは青少年のスポーツ意欲を刺激することにはならないと思います。
 次期和歌山国体を担う選手は、現在の小学生から中学生です。県は、ことしから新規事業として小中学生のスポーツ選手発掘、競技力向上に取り組むため、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトを立ち上げました。その前向きな姿勢は大いに評価するものでありますが、それだけでは不十分ではないかと思います。具体的には、スポーツ選手の発掘のためのサポートシステムをどうつくるかが課題ではないでしょうか。
 学校のスポーツ振興だけに頼ることなく、民間でのスポーツ指導者の力をどう生かすのか。本県には前回の国体で赴任していただいた元国体選手も大勢おられます。そろそろ退職されると思いますが、こうした方々の力をかりて本県のスポーツ振興を図るのも一つの方法かと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国体開催に当たって大切なことは、すぐれた選手の発掘や選手養成ということにとどまらず、国体を通じ、各種競技人口のすそ野を広げることも大事なことではないでしょうか。
 ことし三月に教育委員会は、二〇〇五年度の小中高生の体力テストの調査結果を発表されました。それによりますと、県内の中学生と高校生の体力、運動能力は、七割近い種目で全国平均より劣っていたことが判明いたしております。例えば、中学一年男子の千五百メートルは過去最低の結果で、最も成績のよかった一九八四年度に比べると五十秒余り遅くなっていると言われております。つまり、一九八四年度の中学一年生と二〇〇五年度の中学一年生が千五百メートル競争したとき、百五十メートルから二百メートルぐらいの差がつくと言われております。こうした中学・高校生の運動能力の実態について、教育委員会も「危機的な状況」と言うほど県内の中高生の体力は低位にあると言えます。
 子供たちが外で遊ばなくなったことや食生活の変化など、原因はいろいろあると思いますが、私は国体を、一部の選手養成に終わることなく、子供たちにスポーツへの興味を取り戻し、体力を回復させる最高の機会ではないかと思うものであります。単に勝てばいいということではなく、勝つことを通じながら子供たちの体力向上を図るという広い視野が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
 また、そのためには、各種スポーツ施設の充実など、ハード面の対策も必要ではないかと思います。南紀スポーツセンターの整備は紀南地方にとっては必要不可欠で、ぜひ実現していただきたいと願うところであります。特に、南紀スポーツセンターが整備されますと、地域の青少年のスポーツ振興のみならず、各種スポーツの近畿大会、全国大会の誘致も可能になり、そうなれば全国から大勢の方々が紀南にやってくることになります。来ていただいた方々には、あわせて世界遺産の熊野古道を散策していただければスポーツと観光による地域振興に大きく貢献でき、地域の活性化に寄与するものと思います。
 これまで、南紀スポーツセンターの整備要望に対し県当局の答弁は「二巡目の国体をにらんで総合的に検討したい」ということでございますが、今後どのような計画をお持ちなのか、教育長にお伺いしたいと思います。
 次に、温暖化防止施策についてお伺いいたします。
 現在、我が国では、さきの京都議定書にのっとり、官民一体となって地球温暖化防止に取り組んでおります。本県でも炭酸ガスなど温室効果ガスの削減計画を立て地球温暖化防止に取り組んでおり、八月九日に発表された内容によれば、県の二〇〇五年度の温室ガス排出量は一九九九年度の基準年度から一四%削減され、目標が達成されたとされています。その取り組みと努力を大いに評価したいと思います。
 しかし、地球温暖化現象は、我々の温暖化防止の努力をはるかに超え、進行しているように思います。例えば、新聞等では、北極海の氷の面積が過去最小となってホッキョクグマがすめなくなり、ことし五月に国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定したと報道されております。また、ツンドラ地帯の氷が解け、多くの小さな沼や湖が出現したとも伝えられております。テレビでも、温暖化による海面上昇で南太平洋の島々の水没が始まり、海岸のヤシの木が波に洗われ、海中に沈んでいく様子が伝えられております。
 外国のニュースを聞くまでもなく、この和歌山県に暮らしてことしの暑さは地球温暖化を肌で感じた一つの例ではないでしょうか。このような現実に直面すると、和歌山県のみが頑張ってもという無気力感に陥りますが、小さな努力を積み重ねない限り事態は悪化するばかりではないでしょうか。
 そこで、一つの方法でありますが、学校内の緑化を進めてはいかがでしょうか。
 昔と違い、鉄筋コンクリートの校舎が多くなりましたが、その屋上などに小さな木や芝生を植えて学校の気温を和らげる試みはどうでしょうか。また、校庭やグラウンドに芝生を植える取り組みも他府県では進んでいます。文部科学省の調査によると、校庭の三百平方メートルを芝生化した公立学校は年間百校ずつふえ、全国で千二百九十一校に上ると言われております。芝生化は、温暖化防止に役立つばかりか、子供たちのけがを減らし、ストレスを解消するといった教育効果もあるそうです。このため、文部科学省では、小・中・特殊教育学校に対して、一校につき一千万から六千万円の芝生化に対し三分の一の補助をしており、芝生化を奨励しております。大学の農学部と提携し費用を抑える学校もあると聞いておりますが、財政難の折でありますが、一度試験的に芝生化に取り組んでみてはいかがでしょうか。教育長のお考えをお聞きいたしたいと思います。
 最後に、高齢者対策と企業誘致についてお伺いいたします。
 県は、ことし三月末の県内の高齢化状況をまとめられました。それによりますと、本県の六十五歳以上の高齢化比率が近畿府県でトップで、全国では十四位になったと公表されました。県全体では二三・八%ですが、特に紀南地方の高齢化比率は高く、新宮・東牟婁地方は三〇・九%、次いで御坊・日高地方は二六%、田辺・西牟婁地方が二五・四%と続いております。高齢化比率が五〇%を超えますと「限界集落」と言われ、交通、医療、消防、教育などの村落機能が一気に崩壊し、廃村に至ると言われていますが、その限界集落は紀南の山間部に数多く存在しているのであります。
 私の住む田辺市も、平成の大合併によって近畿一広い市として生まれ変わりましたが、先ごろ、その山間部を回らせていただきました。改めて田辺市の広さに驚くとともに、お年寄りの悩みに直接触れる機会を得まして、その悩みの大きさに大変驚いております。単なる高齢者でなく、子供たちは都会に出てしまい、ひとり暮らしや高齢者夫婦で生活されてる方々が多いというところにその悩みの深刻さがありました。多くのお年寄りは、将来介護を要するようになったとき、子供と都会で同居するより住みなれたこの地で生活を終えたいと望んでおられます。動けなくなったときには、地元でいつでも入居できる福祉施設が欲しいというのが高齢者の願いであります。現実的には厳しいものがあります。
 ことし三月末現在で県が調査した特別養護老人ホームの待機者数の調査でも、待機者が県全体で二千四百六十人、そのうち田辺・西牟婁地方では約二〇%に当たる五百二十一人の人々が待機中であるという報告が出されております。財政難の中、不足する老人福祉施設をどうするか、大きな課題であると思います。
 一方、山間部では、小中学校で廃校となったところもあります。こういった施設を福祉施設として有効に活用するのも一つのアイデアではないかと考えますが、いかがでしょうか。高齢者対策をどう進めていくのか、基本的な考え方を福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、過疎地でのお年寄りは、こうも言っておられます。「子供たち、孫たちが帰ってくれば、老人ホームに入らなくても一緒に暮らせる。そのためには、働ける場所が紀南地方に欲しい。ぜひ企業誘致に努力してほしい」と訴えておられます。私は、この言葉をそのまま知事にお届けしたいと思います。
 確かに県としては、地域活性化、雇用創出のためのモデルとなるコミュニティービジネス支援事業を募り、補助金を出すなど、それなりの努力を積み上げられておりますが、こうした事業の実態と紀南地方への企業誘致の状況について商工労働部長にお伺いいたしたいと思います。
 第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 防災拠点と仮設住宅用地の確保についての御質問にお答えをいたします。
 東海・東南海・南海地震が同時発生した場合、紀南地域では震度六弱以上の揺れが発生し、県下全域で大きな被害が予想されます。この状況下で災害応急活動を迅速、的確に実施するため、県全体の広域防災拠点のあり方について、現在検討を進めているところでございます。
 特に田辺市周辺においては津波等による甚大な被害が予想されますので、以前申し上げたとおり、南紀スポーツセンター周辺なども候補地の一つとして検討してまいりたいと、このように考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 防災拠点と仮設住宅用地の確保についてお答えを申し上げます。
 広域防災拠点につきましては、被害想定結果を踏まえ、庁内ワーキンググループにおいて検討を始めたところでございますが、現在、基本的な機能、配置、整備方法等を盛り込んだ基本構想を平成十九年度末までに策定すべく取り組んでいるところでございます。
 また、災害時における応急仮設住宅対策につきましては、県内調査を実施した結果、面積など一定条件を満たす候補地を把握しておりますが、今後とも関係課室並びに市町村と連携し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 高齢者対策と企業誘致についてのうち、高齢者対策についてでございますが、急速な高齢化が進む中で、高齢者の自助とそれを支える行政の公助並びにともに支え合う地域の共助のもと、高齢者が社会を構成する一員としてその能力を発揮して、安心で快適に暮らしていけるような地域づくりを進めていくことが必要であると考えております。そのためには、まず高齢者が元気で生き生きと暮らしていけるよう、青壮年期からの健康づくりや介護予防の推進を積極的に進めてまいります。
 また、たとえ介護が必要になった場合にでも、できる限り住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、地域全体で高齢者を支えるケア体制の整備を促進するとともに、二十四時間体制の地域密着型サービスの導入等介護サービス基盤の整備に努め、切れ目のない在宅サービスを推進してまいりたいと考えてございます。
 一方、より重度で在宅介護が困難な高齢者にとっては、特別養護老人ホーム等の施設サービスも欠くことのできないものでございますので、引き続き市町村と十分調整しながら介護保険施設の計画的な整備を図ってまいります。
 なお、廃校の活用方法については、設置者である市町村が主体的に判断して地域の合意を形成しながら決定していくものであろうかとは思いますが、市町村から地域資源を有効に活用するための相談があれば協議をしてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 企業誘致の状況についてでございますが、トップセールスを実施するなど、既に約四百五十社の企業と接触をしており、うち約四十社については将来新規立地の可能性があるものであり、さらに十数社については現在誘致に向け交渉中でございます。
 紀南地方への企業誘致については、ベアリング製造業一社が上富田町に進出することが決定しているところでございますが、これは現工場への近接性ということが大きな要因となったもので、全体的には、企業向け用地やオフィスの不足、インフラの整備状況、用地の価格、物流コスト等の要因により誘致が進まないのが現状であります。
 県では、企業向け奨励制度の拡充や県所管用地を不動産鑑定価格で売却するなど、課題を解決することで企業誘致を推進しているところですが、特に紀南地方への誘致については、豊富な農林水産資源や観光資源を活用できるなど、地域や用地の特性に合った企業へのアプローチを実施しているところでございます。
 また、進出の候補地となる市町村の企業誘致に関するビジョンの有無や積極性についても誘致をする上での大きな要因であり、今後につきましては、市町村と協働、連携しながら積極的な誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
 次に、コミュニティービジネスの振興についてですが、平成十七年度より、ビジネスモデルの創出や普及啓発、ビジネスの創業に関する相談、指導などを実施しているところであります。モデル事業につきましては、平成十七年度並びに十八年度において、合わせて十六件が選ばれております。その中で紀南地域は八件で、いずれの事業も高齢者支援や地域資源を生かした観光振興、過疎地域の後継者育成、新たな特産品の開発など、地域の活性化や雇用創出を目指したものとなっております。
 今後とも積極的な企業誘致活動を進めるとともに、コミュニティービジネスを初めとした地域に密着した地域活性化の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツと環境問題に関する二点の御質問にお答えいたします。
 まず、スポーツ振興については、競技力向上対策関連の予算として、昨年度の二・五倍となる一億円を計上し、お話のありましたゴールデンキッズ発掘プロジェクトを初め、きのくにジュニアトレーニングセンター事業や重点競技への支援拡充など、トップアスリートの育成に取り組んでおります。これらを通して各種競技団体や学校等における指導者の一層幅広い緊密な連携を進め、一貫した指導体制を確立していく考えであります。
 本年度は、その一環として、すぐれた指導力を有する教職員や退職した指導者をきのくにエクセレントコーチとして中学校、高等学校へ派遣する制度を創設したところであります。
 国体の開催に当たっては、スポーツ施設の整備や競技力の向上だけでなく、さまざまな競技に対する県民の関心や意欲、さらには積極的に取り組む機運を高めることが大切であり、このことが子供たちの体力向上にもつながっていくものと考えております。
 次に、南紀スポーツセンターについては、紀南地方における拠点施設としてスポーツ振興に大きく貢献してまいりました。平成十七年度の利用者の実績は、県内外合わせて七万五千人に上っております。ただし、昭和四十四年の開設から三十七年経過し、老朽化してきておりますので、最近では宿泊棟の空調設備工事、屋外プールや体育館の改修工事などを行っており、本年度もボイラーの改修を予定しております。国体が開催される際には紀南地方の競技会場の一つとなることが想定されますので、全県的なスポーツ施設整備の中で、リニューアルを含め、検討してまいります。
 次に、環境保全対策や児童生徒の安全性の向上等につながる屋外教育環境整備についてであります。
 小中学校では、国の補助を受けて校内に樹木を植えるなどして教育環境を整えている学校はここ十年で八校、グラウンドを芝生化している学校は、単独設置も含め小学校で三校でございます。また、県立学校においては、平成十五年度からエコスクールの取り組みとして植樹等を推進するとともに、校地内の余裕空間を利用して三百平方メートル以上の芝生化を行っている学校は十校に上っております。
 学校における構内の植樹やグラウンド等の芝生化については、温暖化防止対策のみならず、児童生徒の体力の向上、けがの防止等の効果があることから、地域住民やPTAの協力を得るなどの体制づくりを含め、これを一層推進してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。――再質問を許します。
 三十番野見山 海君。
○野見山 海君 御答弁、ありがとうございました。
 第一点の防災拠点については、平成十九年度中に基本計画を策定し、被害想定結果を踏まえながら、他府県の設置状況も参考にしながら取り組んでいくと言われておりますが、いつどこで起きるかわからない地震、津波あるいは地球温暖化による災害は、海岸線に住む住民にとっては大きな関心の一つになっているわけでございます。
 この被害想定の中にもありますように、紀南地方に集中することが言われております。それだけに、防災拠点整備と防災拠点の用地をできるだけ早く選定されますことを心から願うものであります。
 また、仮設住宅対策の用地については、やっぱりまた多目的活用も視野に入れた取り組みをぜひともしていただきたい。この仮設住宅の用地を広く求めておくとすれば、そこで防災の訓練もでき、あるいはまた仮設住宅の建設もでき、いろんなスポーツの施設もできるんではないだろうかというふうな感じがいたしますんで、ぜひその辺も頭に入れて考えていただければありがたいと思います。
 もう一つは南紀スポーツセンターの整備ですが、もう何回も質問して申しわけございませんが、このたびリニューアルな含めの中で検討していくということなんですが、紀南の住民にとっては、スポーツ振興と観光をどうしても結びつけたい、このようなお考えの方々がおられますので、ぜひこの南紀スポーツセンターの整備に当たっては、地域住民の意見を十分取り入れながら一日も早く整備をしていただくことを心から願います。そしてこの施設が、目玉として、これは他府県にないんだというようなものをひとつつくっていただければありがたいということをお願いして、要望といたします。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でございますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時五十八分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、御報告とお礼を申し上げたいと思います。
 私は、昨年六月のこの議会で、JRの安全問題にかかわって、乗降人数が多いJR黒江駅のプラットホームと電車の段差の問題を取り上げました。企画部長からバリアフリー法の活用など前向きの助言と答弁をいただきまして、海南市地元で一気に機運が盛り上がりました。結果としてバリアフリー法にはよらなかったのですが、県から三分の一の補助をいただき、このほどプラットホームのかさ上げ工事が完成し、皆さん、大変喜んでおられます。この場をかりて関係者の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 さて、最初の質問に入ります。
 正直に申し上げておきますが、私は、福祉の問題には詳しくはございません。こうした私ではありますが、昨今の介護医療制度などの改革の中では「これは」と思う問題にぶつかるわけであります。素人の私なりにぶつかって「いかにもではないか」と思われる問題について、福祉保健部長としてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 第一点、九月十日に和歌山市民会館で障害者自立支援法フォーラムが開かれました。このフォーラムは、障害者団体十団体が県下で連鎖集会として開いている取り組みの和歌山市、海南市・紀美野町集会でした。市民ホールはいっぱいで、入り切れない方はロビーでテレビを見る状態でした。主催団体を代表して和歌山県手をつなぐ育成会の鈴木俊男理事長が障害者自立支援法を「自立と相反するもの」と批判され、障害者と保護者からの切実な願いが語られました。
 その一つでございます。三人の子供さんを持っているお母さん、一人が障害を持ち、こじか園という知的障害児通所施設に通わせておられます。あとの二人を一般の市立の保育所に通わせている。一般保育所の保育料は第一子で三万円、第二子は半額の一万五千円、第三子は無料だそうです。合計四万五千円となる。ところが、一人が管轄の違うこじか園に通っている関係で約八万五千円になるというお話でございました。これは、制度が改悪されたからやむを得ないということでは済まされません。私は、「制度の谷間」ということをよく言いますが、まさに制度の谷間、欠陥であると思います。こういう制度の欠陥は和歌山市だけのものなのか、全県的に一般にある問題なのか、福祉保健部長はどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 第二点、地元のかたつむり共同作業所などにお伺いしても出されるのは、「自立支援法で利用者の負担が大変だ。利用者負担が工賃を上回るのでは働く意欲がわかない」という声でございます。こうした中で、施設利用をあきらめる方も出てきているとお聞きします。また、田辺市、白浜町などで補助制度が実現したとお聞きしています。県内で施設利用への影響はどうなっているのでしょうか。県内外で負担軽減の補助の動向はどうでしょうか。県として、こうした共同作業所を利用する皆さんにどういう負担軽減などの支援をされるのでしょうか。
 第三点、介護保険制度改定にかかわってお伺いいたします。
 ことしの四月に介護保険制度の改定があり、介護保険での福祉用具貸与サービスのうち、介護度一以下の方は、車いす、特殊寝台、エアマットなどが九月までの経過措置期間を置いて一部認められなくなりました。ケアマネジャーの方にお伺いしますと、例えば特殊寝台では、脳梗塞などで起き上がりが困難な人や腰痛のために床から立ち上がれない人などは大変困っていると言います。また、電動車いすでは、自力歩行で移動が困難な人なども、買い物に行けないなど支障が出ると心配されています。車いすというのは、日常的に歩行が困難だから使っているわけです。また、特殊寝台を利用している方も、それを利用して精いっぱい生活しているのであります。特殊寝台を頼りにし過ぎるのはよくないという言い方もありますが、その方の状況が一番よくわかっているのはケアマネジャーなどかかわっている皆さんだと思います。
 この問題について、県へはどういう通達があり、県から市町村へはどのような内容で指導されているのでしょうか。
 第四点、産婦人科医がなくなっていく問題です。
 医師不足が言われていますが、中でも産科の医師不足は深刻であります。海南・海草地方では、公立病院である市民病院にも野上厚生病院にも産科がなくなりました。民間病院からも産科がなくなり、産科の病院はたった一つであります。少子化対策と言われるとき、これでいいんだろうか。全県的な産科病院の状況と対策についてお伺いいたします。
 第五点、「心臓が悪くて長い間入院していた高齢の姉が、退院してほしいと言われているんです」という相談を受けました。私もよく知っている民間病院なので、事務長さんにお会いいたしました。事務長さんは、言いにくそうに言われます。「実は、院長の奥さんも――この奥さんもお医者さんなんですが――『長いおつき合いのこの患者さんに出てくれと言えるの』とおっしゃるんです。でも、今の医療制度のもとでは、退院してもらわないとうちの病院は倒産するしかないんです」、こういうお話です。
 今、療養病床を大幅に削減する方向が出され、それに合わせて診療報酬の改定が行われた結果でしょう。私も相談者も、それ以上の無理をお願いすることができず、相談者の方はアパートの二階の狭い自分の一室にお姉さんを引き取っておられます。療養病床から出されても老人介護施設の受け皿がない、その実態をどう把握しておられるのか、どうすればいいのか。
 以上の点、福祉保健部長の見解をお伺いしたいと思います。
 第二の柱として、イノシシ鳥獣被害対策についてお伺いいたします。
 最近、海南・海草地方は、どこへ行ってもイノシシ、イノブタの被害の話ばかりです。タヌキやアライグマもあります。イノシシなのかイノブタなのかは両論ありますから、ここではイノシシと呼んでおきたいと思います。
 ここ数年の鳥獣被害問題を振り返ってみますと、四年ほど前にはタイワンザルが大問題になっていました。海南市では、北野上小学校あたりの通学路に猿が出没し、民家の屋根などに猿の群れがいるのが見られました。県の方では、県外から専門業者を呼んで専門的な対策をされました。それは最後には大きな成果を上げ、今ではこうした猿の群れは海南市では見られません。
 ところが、そのころから問題になっていたのがイノシシ被害でありました。三年ほど前に、北野上の高津という地域では、特産品の桃を守るために、農家の皆さんが総出で山のふもとを防護さくで囲んでイノシシを山に封じ込めるのに成功しました。その後、隣の孟子という地域でも、農家の皆さんは力を合わせて農地を防護さくで囲むような形でイノシシを締め出しました。この二つの地域では、イノシシ対策は一定の成果を上げていると言えます。
 昨年からイノシシ被害が大きくなってきたというのは、海南市南部の中山間地であります。前回の議会で紹介した富夢想野というレストランがある別所という地域、三年前ぐらいから始まったイノシシ被害がことしはひどくなっています。藤白山のふもと、冷水地域でもひどい。藤白山を越えて、下津でも被害が出始めました。また、大きな農地もない市街地に近いところにもイノシシの出没をお聞きします。
 私は、今、イノシシ被害対策のために専門的な検討が必要だと思います。
 第一に、イノシシがふえているのか、そうでないのに山にすめなくなって田畑を荒らすのか、こうしたことを専門家の力をかりて調査する必要があると考えます。
 第二に、個体がふえているなら、本格的な個体を減らす方策を考えるべきです。猟友会の皆さんの協力を得るんですが、一般に皆さん、高齢化されている。大変御苦労です。狩猟できる方をふやす施策、おりをふやすことなど、積極的な施策が必要です。
 そして第三に、差し当たりの対応としての防護さくですが、海南・海草地方では県の補助制度をよく活用させていただいています。さきに紹介した高津、孟子では成功しています。しかし、別所という地域では、山の中に畑が飛び飛びに散在している。この地域全体を防護さくで囲もうとするんですが、地域の皆さんは、「さくの中にイノシシを飼っているようなもんだ」、こういうふうにおっしゃいます。有効な防護さくの活用が必要だと思います。
 そこで、関係部長にお伺いいたします。
 第一は、イノシシ、アライグマなどの被害の実態をどう把握されているのか。また、どういう対策をなさっておられるんでしょうか。
 第二に、イノシシの個体数、生態研究の専門的知識を踏まえて対応が必要だと思います。県として、個体数の把握や生態研究など、どこまでできているのでしょうか。
 第三に、イノシシの個体を減らす狩猟、おりへの公的助成などについて、お考えはいかがでしょうか。被害対策についてどういう指導をなさるのでしょうか。
 以上は、農林水産部長と環境生活部長への質問でございます。
 第三の柱は、住友金属での労働災害にかかわる問題でございます。
 最近、地域で産業格差を含みながらも景気が上向いている一つのあらわれとして、住友金属が増産に転じて収益も上がっているということは明るいニュースとして報じられています。私も、和歌山県の活性化や雇用の改善の引き金になれば大変うれしいと考えておりました。しかし、その陰の部分として労働災害、死亡災害がふえていることについては大変残念なことです。
 最近、私のところに各所から情報が入ってくるようになりました。実は私は、以前は労働組合に関係していまして、県地評の事務局長などとして民間の労働組合の皆さんとかかわっていたことがございます。
 その一九九一年、もう大分前のことですが、住友金属では一年間に七名の死亡災害という異常事態が起こったことがあります。私たちが収集したデータでは、その年に死亡災害以外に二十一件の休業災害があるはずでした。しかし、国会議員が立ち入りした調査でも、会社は「十四件です」と言い切ります。そこで私は労働基準監督署に出向いて、私たちがつかんだ事案について一件一件について突き合わせをし、どの事案が報告されているのか、されていないのか突き詰めました。すると、報告されていない事案の二件は、住金和歌山製鉄所の構内で起こっているんですが、尼崎の会社から派遣されている労働者だからというので、尼崎の労働基準監督署に報告されているということがわかりました。さらに、三件は極微災害、休養しなくてもいい災害だということであります。その話を下請労働者の皆さんが集まった場でお話ししました。その実態を下請労働者の一人の方が教えてくれました。「○○さんなら毎日会社に来ているよ。下請会社の専務が車で送り迎えして事務所に座らせておくんだよ」。こういう追及の中で、二十一件中一件だけを残して、つじつまが合うところまで労災隠しを含めて明らかにしたことがございます。そのときのまとめがこのパンフレットでございますが、私が労働組合運動をやったことで言うと、一つの記念碑的なパンフレットでございます。
 その後、住金での重大災害が少なくなったのは、会社や現場労働者の皆さんの努力によるものですが、私たちの追及も大きな力になったと自負しています。それだけに、災害がその後少なくなったことを喜んでおりました。ところが、ことし七月に入って重大災害が続いています。
 七月十八日、和歌山製鉄所で六十三歳の下請労働者の方がパイプの束に挟まれて亡くなりました。「北署の調べでは」と新聞報道されていますから、警察署としても発表されたのでしょう。
 ところが、住金海南工場で七月二日に紀美野町にお住まいの五十五歳の住金社員の方が亡くなっています。私たちが調べて「しんぶん赤旗」七月十九日に報道するまで、どこにも報道されていないように思います。
 この事故について調べているうちに、次のようなことがわかってきました。その一年前、この工場の今回の事故があった同じラインの近くで同じような事故が起こっている。そのとき、事故が起こったこの現場では、さく内に入れば自動的にラインが停止するような対策が打たれた。しかし、その隣の現場には安全対策がなされなかった。だから今回の事故が起こったと言うのです。事故には、もちろん本人の不注意やルール違反があるかもしれません。しかし、人間には間違いがあることを前提にして、さきに起こった事故を教訓にして安全対策をしなければならないと思います。
 こうした調査をしているさなか、さらに八月二十四日、新たな事故が起こりました。「本日、住金スチールにて休業災害発生(新人十九歳)」という表題がついています。「安全靴の先端の金具ごと挟まれたため、相当の重症という情報」として、「管理監督者及び指導員にお願い」として「新人に対して、初作業など一人作業をさせないこと」など、注意を喚起しています。現場の皆さんが事故防止に真剣になって取り組まれていることが手にとるようにわかります。
 しかし、先日、労働基準局に行ってみて、この災害についてお聞きしました。何と会社は、この災害を不休災害――休まなくともいい軽微な災害として処理しようとしていることが判明したわけであります。
 私は、この間、遺族や被災して苦しんでいる労働者を訪問し、現場の労働者の方からも、「労働災害隠しはやめさせてほしい」、「人をふやして、被災しても助けを求められない一人作業はなくしてほしい」、「老朽設備を改善してほしい」という声を聞きました。また、労働基準監督署を訪問した折、「八月一日から総合安全衛生管理指定事業所に指定しました。年度途中で指定するというのは異例のことです」とお聞きしました。これは、事故が多い要注意事業所という意味だそうです。「住金は、事故防止を労働者の注意に頼り過ぎるのではないか」とも漏らされました。
 今、住友金属は大きな利益を上げておられます。二〇〇四年三月期には六百八十七億円だった利益が、二〇〇五年三月期には一千七百三十二億円で、史上最高を記録しました。二〇〇六年三月期は、さらに大きく上回る二千八百七億円であります。この利益を安全対策にも振り向けてほしいと思います。
 住友金属は、和歌山にとっては大事な企業です。恥ずかしくない企業として県民と共存共栄してほしいと私は思っています。重大災害や事故隠しの問題について、木村知事の所見をお伺いいたします。
 次に、商工労働部長にお伺いいたします。
 担当課に労働災害問題についてお伺いすると、「労働災害については労働局の担当なので、私たちは新聞報道で見るしかないんです」という答えが返ってくるわけですが、県民の安全にかかわる問題に県政として無関心でいてはならないと思います。労働局と連携しながら、住金の問題に限らず、働く者の権利や安全を図る施策を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県は特定企業対策連絡協議会を開いて住友金属との話し合いをしてきたという経緯がございます。労働災害の問題も含めて協議する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、事故防止の安全教育についても問題があります。
 昨年、JR福知山線の重大事故があり、あのとき、日勤教育という懲罰的な教育が問題になりました。事故防止の教育という趣旨ではありますが、事故を起こした労働者への懲罰的な教育が「列車をおくれさせてはならない」というプレッシャーをかけ、結果としてああいう大きな事故につながったのではないかという指摘がありました。
 住友金属の場合も同様なことがやられています。安全担当の方は安全、事故防止という意図からなのでしょうが、結果として事故隠しにつながる場合がございます。下請会社へのペナルティーというものもその一つです。
 さらに、私の手元に届いた資料に、「特定ルール違反者に対する自己研鑚全社制度」という書類がございます。平成十七年一月十七日、株式会社住金ユナイテッド和歌山安全健康課というふうに署名が入っています。その書類には、違反合計点数により事故始末書を書かせたり、特別作業(一週間)を科すことにしています。「特別作業は、当該課屋内外の共用スペース美化や緑化推進」と書かれています。つまり、ペナルティーとして草むしりをやらせるということであります。これは、JR尼崎事故の後、問題になった日勤教育そのものではないかと思います。
 商工労働部長にお伺いいたします。
 こうした労働者管理が事故を少なくするとお考えでしょうか。和歌山を代表する企業である住友金属が労働者の安全についても全国に誇れるものになってほしいと私は考えていますが、お考えはいかがでしょうか。
 最後に、こうした重大災害が増加し、しかも新聞報道されていないことについて私は問題を感じています。
 七月十八日の事故は発表されているわけですが、七月二日の海南の事故は新聞には発表されていません。届けがあったのでしょうか、なぜ発表されなかったのか、警察本部長にお伺いしたいと思います。
 最後に、第四の柱として、「和歌山県教育史 史料編」についてお伺いしたいと思います。
 大変立派な本になりました。お送りいただいて大変うれしく思いました。というのは、私もこの史料編集作成の一端を担わしていただいたという自負があったからでございます。
 この史料編の戦前部分で大きな地位を占める「紀伊教育」という資料があります。戦前の教育団体が発行したものですが、この教育団体の財産は、私が委員長をしていました和歌山県教職員組合が受け継ぎましたから、「紀伊教育」は和教組の書庫に保管をされておりました。この史料集が計画されたときに担当者が和教組本部においでになり、私も一緒に書庫に入って古い「紀伊教育」のバックナンバーを探したわけであります。そんな経過もあって、特別な思いで史料集に目を通したわけであります。「紀伊教育」がよく活用されているので、協力してよかったなと思いました。
 いろいろな感想はあるんですが、とりあえず「和歌山県教育史 史料編」をどういう観点で編集されたのか、教育史からどういうことを学ぶかなど、教育長からお伺いしたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 住友金属での重大災害の頻発についてということでございますが、住友金属工業和歌山製鉄所は本県経済の相当なウエートを有しており、最近の好調な業績や今後の大規模な設備投資などにより、地域経済に幅広く大きな波及効果を及ぼすものと期待しております。しかしながら、労働災害については本来起こしてはならないものであり、本年になって住金の構内で二名の方が亡くなられたことは、まことに痛ましいことであると思います。
 今後、再発防止に住金として全力を尽くしていただきたいと県としても考えているところでございます。
○副議長(谷 洋一君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医療、福祉問題についての五点の御質問にお答えいたします。
 まず、知的障害児通園施設と保育所通園の費用負担についてでございますが、知的障害児通園施設は障害のある幼児に対し療育訓練を通して発達を促すことを目的とし、一方、保育所は保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とするもので、施設の役割や保護者負担などの制度の相違がございます。このため、両者を統合した軽減措置はございませんが、保育所徴収金につきましては、国に対し軽減措置を講ずるよう、近畿府県とともに要望しているところでございます。また、障害のある子供を持つ御家庭の負担を軽くするため、特別児童扶養手当や税の減免措置などの支援制度もあります。
 なお、障害者自立支援法の施行に伴い、十月からは障害児通園施設の利用に見合った負担や食費の実費負担をいただくことになっておりますが、過大な負担とならないよう、また保育所の負担との均衡が図られるよう、低所得の方への減免措置や食費負担の軽減措置がなされております。
 次に、障害者自立支援法施行に当たっての作業所通所等の問題についてでございますが、本県の知的障害者通所授産施設の利用者の状況につきましては、六月時点で、調査回答施設の定員八百二十七人中、利用者負担を理由として退所された方が八人――これは一・〇%に当たります――利用回数を控えている方は十人、一・二%となっております。
 障害者自立支援法では、利用者負担につきましては国が全国一律のルールを定めておりますが、サービス提供は市町村が一元的に行うこととなっていることから、県内市町村においても地域の実情に応じて独自の軽減措置を行うところがあると聞いております。県といたしましても、利用者の就労意欲の促進が図られるよう、経営コンサルタント等専門家の派遣等を通して、利用者が受け取る工賃水準が改善されるよう支援してまいります。今後とも、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられるよう引き続き注視し、その上で必要があれば国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に福祉用具の貸与問題ですが、要支援、要介護一のいわゆる軽度者に対する福祉用具の貸与については、その状態像から見て利用が想定しにくい車いす、特殊寝台等の品目が介護保険の給付の対象とされなくなりました。ただし、軽度者であっても一定の条件に該当する場合は保険給付の対象とされており、その該当性につきましては、原則として要介護認定における基本調査の結果を活用して判定することとされております。その際、車いすについては、基本調査結果による以外に、「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」に該当するか否かについて、適切なケアマネジメントを通じて指定介護予防支援事業者及び指定居宅介護支援事業者が判断することができるとされております。これらのことは、これまでも福祉用具貸与事業者を初めとする関係事業者や市町村に対し説明を行ってきたところでありますが、先般の厚生労働省の通知を受けて、改めて通知を図ったところであります。
 また、現在、国が示した事由以外で特殊寝台等が必要と考えられるケースがあるのかどうか市町村に照会しております。速やかに把握し、その実態を国へ伝えてまいりたいと考えております。
 産婦人科医不足についてお答えいたします。
 苛酷な勤務や訴訟の増加などから、新たに産婦人科医を希望する医師が減少するとともに、分娩を取り扱わない産婦人科医がふえるなど、全国的に産婦人科の医師不足は深刻な状況になっております。
 平成十六年末の国の調査では、本県における人口十万人当たりの産婦人科医師数は九・二人で、全国平均八・三人を上回っているものの、和歌山医療圏に集中し、地域的に偏在している状況です。こうしたことから、議員御指摘のとおり、海南・海草地域においては産婦人科医が非常に少ない状況にあります。
 県といたしましては、わかやまドクターバンク制度に加え、今年度から、産科を初め小児科、麻酔科の医師を確保するため、医学生や臨床研修医等に対する修学資金制度や医師求人情報ホームページの開設を行ったほか、診療体制の維持が困難となった中核的医療機関への医師供給等を行う地域医療支援事業の創設を考えており、今後とも産科医療を含む地域医療体制の確保・充実に努めてまいります。
 次に、療養病床削減と介護施設不足の問題についてでございますが、療養病床を有する病院の意向や入院患者のサービスニーズ等を把握するため、本年十月一日時点で調査を行った上で、来年秋ごろを目途にケア体制の計画的な整備を図る地域ケア整備構想を策定することとしてございます。この構想を平成十九年度に策定する医療計画や次期介護保険事業支援計画に反映させ、療養病床の介護老人保健施設への円滑な転換など、計画的な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) イノシシを初めとする鳥獣被害対策の一点目、鳥獣被害の実態と対策についてお尋ねがございました。
 平成十七度における本県の農作物の鳥獣による被害金額につきましては、約三億円と把握をしてございます。内訳といたしましては、イノシシによるものが全体の約四〇%に当たる一億二千万円と最も多く、次いで猿、シカ、アライグマの順となってございます。
 農林水産部におきましては、従来からの電気さくや、また議員のお話にございました防護さく、こういったものの設置に加えまして、近年増加傾向にございますアライグマの捕獲おりに対する助成を新設いたしまして、環境生活部と連携をして取り組んでいるところでございます。
 さらに、農作物鳥獣害対策アドバイザー認定制度を創設いたしまして、イノシシを初めとする有害鳥獣からの被害防止を図るため、三年間で二十名の地域リーダーを育成することとしてございまして、現在既に七名が認定研修を受講中でございます。
 今後とも、こうしたマンパワーの充実をも図りながら、農作物の被害防止に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 鳥獣被害対策に関する二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、イノシシの生態把握についてでございますが、イノシシは個体数の変動が激しく、目撃が困難である上、他の動物に比較して繁殖力が高く、行動範囲が広いことなどから、有効な個体数の調査方法は現時点では確立されておりません。
 しかしながら、農業被害がここ数年一億円を超える水準で推移していることや、平成十七年度の有害鳥獣捕獲数が約千六百頭、狩猟による捕獲数が約五千二百頭、合計で六千八百頭に上り、五年前と比較いたしまして、有害鳥獣捕獲では五倍、狩猟による捕獲でも二倍と飛躍的に増加しておりますことから、かなりの個体数が県下全域に生息していると考えております。したがいまして、農業被害を軽減するためにも、急激に増加した個体数を削減することが急務であると考えております。
 次に、イノシシの個体数を減らす狩猟、おりへの公的施策についてでございます。
 中山間地域におけるイノシシによる農作物被害が問題になっておりますことから、今年度、イノシシ保護管理計画検討会を立ち上げまして、イノシシに係る特定鳥獣保護管理計画を策定し、狩猟期間を延長するなど対策の検討を始めたところでございます。
 その対策の一つといたしまして、狩猟免許所持者の確保に関しまして、特に被害を受けている農業者みずからがイノシシを捕獲するための狩猟免許を取得するよう啓発を行い、狩猟免許所持者数の増加も図ってまいりたいと考えております。
 今後は、この検討会の検討結果を踏まえまして、特定鳥獣保護管理計画の策定作業を迅速に進めてまいりたいと考えております。
 また、これとは別に、市町村が行っておりますイノシシの有害捕獲に対しまして、捕獲に要する経費や捕獲用おりの購入に対する経費に対し補助を行っているところでございますが、今後ともこれらの施策を中心とし、市町村、関係団体と連携を図りながらその捕獲を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(谷 洋一君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 住友金属での労働災害についての御質問にお答えをします。
 労働災害については、労働安全衛生法に基づき国が所管する事項ではありますが、死亡事故が発生していることはまことに残念なことであり、住友金属には、安全について十分配慮するよう申し入れをしているところであります。
 八月には、住友金属は和歌山労働基準監督署から総合安全衛生管理指定事業所の指定を受け、監督署からの指導のもと、安全管理の取り組みを進めていると聞いております。
 今後、和歌山労働局に対し、企業内での効果的な再発防止策や安全思想の普及啓発、さらに労働者に配慮した安全教育についても要請を行ってまいりたいと考えております。
 なお、お話の特定企業対策連絡協議会については、特定企業の経営動向が地域経済に及ぼす影響に対応するために開催するものであり、労働安全に関しては本協議会になじまないものと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 「和歌山県教育史 史料編」についてお答えいたします。
 県教育委員会では、本県教育の歴史を振り返るとともに、新しい時代にふさわしい教育のあり方を考える基本資料とするため、「和歌山県教育史」全三巻の編さんに取り組んでおります。その第一冊目としてこのたび刊行した「和歌山県教育史 史料編」には、江戸時代から現代に至るまでの歴史史料七百七十二点を収録しました。
 編さんに当たっては、幅広い分野の多くの方々から史料の御提供をいただき、和歌山県教育会が発行した雑誌「紀伊教育」を含め、貴重な史料を多数掲載することができました。
 現在は、明治五年の近代教育制度の創設及び戦後の諸改革に並ぶ大きな教育改革の時期であると言われております。こうしたときに、本書におさめられた史料の数々を通して我が県の教育の歴史をたどることによって先人の営みを再認識し、次の時代の人々に正しく伝えていくことは大変重要で意義深いことであると考えております。
 今後は、本史料編などをもとにしながら、戦前編、戦後編で構成する通史編二巻を作成し、本県教育の姿をより明らかなものにしたいと考えております。その中で、県内の学校等に残された写真や旧制中等学校の校歌の合唱CDを作成するなど、県民の皆様に親しまれるものにしてまいりたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) お答えいたします。
 お尋ねの七月二日に海南鋼管で発生いたしました事故につきましては、発生当日に海南警察署に届け出がございましたけれども、警察広報はいたしておりません。
 警察広報につきましては、発生した事案の性質や公益性の有無、人権の保護、捜査上の支障等を総合的に検討し、発表すべきかどうかの判断をいたしております。
 労災事故の場合、過失の所在等も考慮し、発表の要否を慎重に判断しているところでございます。その点、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。――再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。
 要望と再質問を申し上げたいと思います。
 まず、医療福祉の問題で、私はあえて「私は詳しくない。素人だ」と申し上げて、素人だからできるような問題の羅列をいたしました。
 県民の皆さんにとっては、本当につらい問題がたくさんあります。障害者の作業所から退所された方が一%、八人と言われましたが、これを一%だけかと見てはなりません。八人の一人一人が大変な思いで退所を余儀なくされたのでしょうし、どうするのか悩んでいらっしゃる。今後ふえることが心配されるわけであります。
 実は、けさになって知ったんですが、滋賀県が今度この問題で補正予算を組んだそうです。その説明に、「なぜ稼ぎよりも多い利用料を負担しなければならないのかという根源的な疑問にこたえ、負担軽減の予算を組んだ」というふうに説明されています。この、だれでも考えるような、こういう素朴な、おかしいじゃないかというのを県当局として「根源的な疑問にこたえ」というふうに言って、そしてそれに対する予算を組まれた、この姿勢については大いに和歌山県も参考にしなければならないんではないか。そして、私の申し上げたような極めて素人っぽい素朴な疑問、その疑問が実は根源的な問題なんではないかという、私の質問に自信も強めたようなぐあいでございます。
 本来、弱者のためのものであるべき福祉が弱者に厳しいものになっている中で、地方自治体は「国がやることだから仕方ない」で済ますんではなくて、県民が困っている実態を国に突きつけていっていただきたいと思います。
 そして、介護保険改定に伴う福祉用具の貸与の問題では、最近、生活保護申請などで全国的に問題になっていますが、そういう国の制度が悪くなると担当者が自粛をして、どうしても萎縮をするということがよく起こってまいります。そういうことにならないように――実はそういう声が多いから今度厚生労働省が改めて通知したんだと思うんですが、そういうことにならないように市町村を指導していただきたいということも申し上げておきたいと思います。
 イノシシ被害の問題も少し申し上げようと思ったんですが、余り時間がありませんので、次に住友金属の労働災害の問題について少し申し上げます。
 警察本部長から新聞発表の問題について御答弁いただきましたが、現に人が亡くなっているわけです。病気で亡くなったんじゃなくて、機械に巻き込まれて亡くなったわけです。過失致死というような立件の対象かどうかということは別にして、労働安全への警鐘を鳴らすという意味で発表された方がいいのではないかという思いもいたしますので、意見として申し上げて、ひとつ検討をお願いしたいと思います。
 そして、労働災害と安全教育の問題なんですが、私も住友金属が労働災害を軽視しているとは決して思っていません。私の友人の中にも、この話をしますと、「今の会社は生産優先よりも安全優先と言ってるよ」と言う人もいます。また、地域を回って「住友金属へ行ってるんです」という話で奥さんに聞くと、「事務所勤務だったのが、八月からパトロールで現場を回ることになった。いつまで続くのか」というお話を聞きました。事故防止に一生懸命になっておられるようです。
 私はここに、手元にSUW――住金ユナイテッド和歌山だそうですね――「労働安全かわら版」六月号という壁新聞があるんですが、それに四月十六日、機械に小指を挟まれた労働者の反省決意文が掲載されています。実はこういうやり方、労働安全対策に、労働者の注意にだけ頼るところに問題があるんだろうと私は思います。事故に遭いたいと思っている労働者はいないんです。不幸にして事故が起こったとき、労働者や下請企業を事故隠しに追い込むようなペナルティーや見せしめ的反省文や懲戒的研修でなくて、本当の安全対策、生産に見合う人員や老朽設備に投資されることを望んでおきたいと思います。
 答弁では、国の所管事項だからと言うので、なかなか県には権限がないと言うので、ちょっとまどろっこしい答弁なんですが、労働局としっかり連携し、知事としても積極的に発言していただきたい。
 そこで、私はこの問題で労働基準監督署に出向いて、大きな災害でも不休災害扱いをしたり伏せたりしているという指摘をしたのが今月の十一日のことであります。それを受けて、労働基準監督署は住友金属に改めて指導に入ってくれたようです。すると、十五日に──十五日と私は聞いているんですが、戸崎住金副社長が現場においでになって、そして事故をなくさなくてはいけないんだという指導をし、労働災害を隠すようなことはするなというふうに指導されたという情報が私のところに入ってきました。
 私のような一県会議員が情報をつかんで動いただけでも、やはり会社は対応してくれてるんです。権限があるかないかというような、そんな問題ではない。やはり知事は県民の代表として、県民の命を守る立場で頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 最後に、和歌山の教育史の問題ですが、いろいろ興味深い話もあって、時間があったらもっとゆっくり聞きたいんですが、時間がございません。
 ただ、私が少し気になったのは、戦後和歌山の教育史で、立場はどうであっても、大問題だった勤務評定反対闘争などはどうなっているんだろうかという疑問も興味を持って見たわけです。すると、一九五八年に勤務評定の条例制定があって、それから十九年後に教育委員会と教職員組合がその勤評闘争の処分などを和解したというその和解文書があって、この二つの文書が入ってるわけですね。私は絵のない額縁みたいだという気はあるんですが、初めと終わりだけがあって中身の勤評闘争そのものがないというんで、担当者に申し上げたら「この六倍ぐらいの資料から涙をのんで削ったんです」というお話ですから、そういう苦労をなさったので、とやかくここでどうこうということは言いませんが、そういう感じを持ったということを申し上げるのと、それから、最近の時期になると教育委員会が打ち出した施策がずうっと並べられているんですが、こんなのは年表さえあったらいいので、そんなに一ページをとって史料として要るのかなという気もいたしました。
 教育委員会が中心になってつくる史料ですから、自分が打ち出した施策を載せたくなるのは人情なんですが、教育の歴史はいろいろな方でつくるものですから、もっと民間教育運動というものの視点があってもいいんではないかという気がいたします。通史編が出されるときに私の心配が取り越し苦労に終わることを期待いたします。
 また、歴史的評価が定まらない最近の時期については、余り評価を確定して書かない方がいいんではないかということも申し上げておきたいと思います。
 一つ教育長にお伺いするんですが、「和歌山県教育史」で、年表の巻は出るんだろうか。年表で広く、今私が申し上げたような民間の教育運動にかかわるものなども拾っていただきたいなと思いながらお伺いいたします。
○副議長(谷 洋一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 「和歌山県教育史」に関して、史料編についてのいろいろな御感想なり見解を今聞かせていただきました。
 これは、最終的に千ページの予定が千百ページにぎりぎりふやしたという経緯もあるぐらいで、最大限可能な限り史料は収録したものでございます。限りなくたくさんある中からの選択であったということを御理解いただきたいということと、年表については、これは全体の流れが理解できるという点で非常に有効なものでありますので、今後刊行する戦前編、戦後編の二巻の通史の中で十分工夫を凝らした年表を掲載するように編集に当たっていきたいというふうに思っております。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。――再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(谷 洋一君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 一般質問を行います。
 最初に、第二次市町村合併についてであります。
 平成十三年一月の和歌山県市町村合併推進要綱により市町村合併のパターンが県により示されて以来、県下各地でさまざまな組み合わせ議論、町づくり協議が行われ、結果的に三十二の市町村が合併して、十二の新しい市町が誕生しました。また、さまざまな議論の結果、合併に至らなかった市町村においては、単独での生き残りのための特色ある町づくり、行政のスリム化の取り組み、新たな合併を目指す取り組みが進められているところであります。
 そして、今、より強力な行財政基盤を構築するため、より大規模の政令市や中核市を目指す取り組みや地域の資源を結集して地域の魅力をアピールする取り組みなど、ねらいとするところはさまざまでありますが、全国各地で新合併特例法による二次合併の取り組みが進められています。本県においても、全国に先駆けて市町村合併推進審議会の答申を得て市町村合併推進構想が策定され、六組の合併の組み合わせが示されたところで、県内十三市町村体制を目指す取り組みが始まりました。
 官から民へ、国から地方へという構造改革が進む中で、少子高齢化の進展、人口減少時代への突入など、社会経済の変革への行政対応のあり方という面では、とりわけ住民に最も近い基礎的自治体として市町村が担う役割は極めて大きいものがあります。市町村合併の持つ意味は何か、市町村合併により何を目指すか、それぞれ地域により、また立場により答えはさまざまにあろうと思いますが、一般的には住民に身近な存在である市町村が地域住民の福祉、地域活力の維持、向上のための行政サービスを継続していけるだけの行財政基盤の強化であろうと思います。
 未合併の十八市町村の中には、和歌山市や市制施行したばかりの岩出市を初め、人口五百人の北山村から人口三万弱の御坊市までいろいろありますが、それぞれに地域の活性化に向けて懸命の努力を傾注してきた市町村であり、きらりと光る地域力、磨けば光る潜在的要素は豊富にあります。しかし、国の合併指針で示されている人口一万人以下の小規模団体が十一も残されているのが現状であります。また、合併したといっても、人口規模が一万人そこそこの町もあります。景気の回復によって財政状況が好転の兆しを見せているといっても、こうした小規模町村に日が当たるまでの状況ではありません。財政逼迫のおそれのある自治体もあるのではないですか。
 現在の三十市町村がそれぞれに一生懸命の努力を重ねてまいったとして、全三十市町村が現状のまま行政サービスを継続していくためにはさらなる行政のスリム化、行財政基盤の強化が必要であり、市町村合併はその有効な手段であります。しかるに、いまだ住民間ではこうした取り組みに対する関心は低い状況であります。本県市町村、特に小規模で財政が苦しい自治体の住民にとっては、将来に不安が募っているのではないでしょうか。
 そこでお尋ねいたしますが、和歌山県が策定した第二次合併構想に対して、現時点で合併協議会設立への動きが見られる市町村はあるのか。また、全く合併協議会設立への方向性が見出せない市町村に対してどのように対応していくのか。また、将来的に今より財政が厳しくなって万一赤字再建団体となってはどうなるのでしょうか。以上三点、総務部長にお尋ねいたします。
 続いて、本年四月より施行された障害者自立支援法についてお尋ねいたします。
 この法律は、障害者を施設で援護する施策を改め、自宅などで自立した生活を送れるように支援するのが目的で、国と都道府県に福祉に必要な費用の負担を義務づける一方、利用者にも原則一割の自己負担を求めるものであります。
 支援費制度では自治体ごとにサービスの格差ができるなどの問題点がありましたが、全国どこでも公平にサービスが受けられるよう共通のサービス支給決定基準を導入し、就労支援も強化するなど、これまでサービスを受けられなかった人も制度上は支援が行き渡ることになりますが、その一方で障害者の約六割が年収百五十万円未満という実態が調査で明らかになっており、減免や上限が決められているとはいえ、生活が圧迫される障害者は少なくありません。また、サービスを提供する事業所の業態変更に対する対応など、当面の課題であると思われます。
 そこで、障害者の低所得対策、就労対策、自立に向けた環境整備など、和歌山県としてどのように考えられているのか、また、サービス事業者も、支援費制度からこの障害者自立支援法に制度が変わったことから現場の業態変更やサービス拡充による混乱が心配されますが、この点についてはどのように対応されているのか、福祉保健部長にお尋ねします。
 続いて、スポーツコンベンションの充実に向けてです。
 平成十一年に開催された南紀熊野体験博を大きな契機に、高野、熊野を世界遺産にという機運が盛り上がり、平成十六年七月に紀伊山地の霊場と参詣道がユネスコの世界遺産に登録されました。
 私たちは、これを地域浮上の絶好のチャンスととらえ、知恵と汗を出し、大型観光キャンペーンや古道ウオーキング、語り部育成、川下りの復活などを中心に、観光客の誘致と雇用の確保に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。その結果、県全体で平成十六年は過去最高の入り込み客数を記録し、新宮・東牟婁地方でも、厳しい時代にあって一定の増加を見ております。しかし、登録から二年を経過した今、世界遺産を前面に打ち出したPRはやはり新鮮味に欠けるというか、大きな誘客効果は期待できなくなっているのが現状だと思います。
 そこで、世界遺産「高野・熊野」という訴求はベーシックな誘客方法として核にしながらも、従来にない誘客方法を用いてはどうでしょうか。
 その一つとして私が提案したいのは、本格的なコンベンションビューローの立ち上げをにらんだ取り組みであります。コンベンションには、大会や学会等の誘致、受け入れを主として行う観光コンベンションと、スポーツの大会や合宿、キャンプ等の誘致を行うスポーツコンベンションの二つがあります。観光コンベンションについては、県や和歌山市を中心にそれぞれの市町村が従来より誘致活動や開催実績もあり、今後、支援サービスの充実やネットワーク化を図ることや、情報の交換や共有化をするなど、工夫すれば誘致は可能だと思っております。私は、スポーツコンベンションの取り組みを強化しながら、コンベンションをもう一つの観光振興の大きな柱としていただきたいと考えています。
 先月末、二〇一六年のオリンピックに東京都が立候補することに正式決定し、財政力や安全面等の総合力で開催決定の可能性はあると思います。また、二巡目の和歌山国体も、二〇一五年に開催すべく準備を進めていると聞いております。まさにスポーツは健康ブームと相まってますます盛んになってきていますし、九年後の国体開催に向けたハード整備も期待できます。今からスポーツコンベンションを目指して動き出すのは絶好のタイミングだと思っています。
 和歌山県のスポーツ関係施設は、他府県と比較すると充実しているとは言いがたい状況にありますが、県下各地には優良施設が幾つかあって、プロのキャンプや社会人、学生の合宿も行われているようです。サッカーワールドカップ日韓大会のときにはデンマーク代表が紀三井寺サッカー場でキャンプを張り、その後、アルゼンチン代表やJリーグの名古屋グランパスエイトがキャンプを張りました。古くは、昭和四十六年の和歌山国体時に、釜本さんがいたサッカー日本代表の合宿が新宮市で行われたこともあります。
 スポーツの大会は、全国レベル、地方レベルが競技別、男女別、年齢別で行われています。和歌山県が誘致できる大会は少ないかもわかりませんが、まず情報収集してターゲットと開催年度を絞り、誘致方法を考えれば不可能ではないと考えます。ハードは負けてもソフトは負けないといった特徴ある受け入れ態勢や協力をすることによって一周おくれのトップランナーになることだってあり得ると思います。
 一つの例ですが、ねんりんピックという全国大会があります。これは、第一回の兵庫大会から各都道府県持ち回りで開催しているようで、ことしは静岡県で開催され、五十万人もの参加者を見込んでいるビッグイベントであります。既に平成二十四年度までの開催地が決まっていますが、それ以降の誘致はできないか、ぜひとも検討していただきたいと思います。
 スポーツ大会誘致は全国が競争相手になりますが、県が主になって市町村との連携、競技団体との連携を強め、あらゆるネットワークを生かしながら情報収集と誘致活動することによって可能になると思います。ここでそのメリットについて長々と申し上げませんが、競技者や関係者の宿泊やマスコミを通じての発信、北は北海道から南は沖縄までの人々が和歌山に集うといった和歌山の魅力発信の大きなチャンスになりますが、この提言に対しての知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、中高一貫教育についてであります。
 社会構造や国際社会の状況が大きく変化し、社会が混迷の様相を深めている今、時代を切り開き、未来を託す人材育成を進めるためには教育制度そのものの抜本的改革が必要であると、各方面で活発な議論が進められています。まさに教育改革は政治改革の柱と位置づけられており、中央政界においても政権構想の最重要項目として取り上げられています。
 教育は人づくりであり、あらゆる社会システムの基盤を形成する場であります。その教育が営まれている学校システムの変革こそが改革を進める上で重要な意味を持つことになります。その中にあって、六年間の一貫したゆとりある教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会を選択できるようにする中高一貫教育は、その先導的な役割を担っているかもしれません。が、しかし、過疎化が進む地域での実施は果たしていかがなものでしょうか。
 岡山県では、中高一貫教育は岡山市、倉敷など都市部のみでの当面の間の実施と決定しています。なぜならば、過疎地での実施は生徒数の減少でその影響が出るのは必至で、地元公立学校とのあらゆる意味での格差が激しく出るのは当然で、地元公立学校へのサポートも十分検討・対応していくプランが必要不可欠だと思います。
 特に新宮・東牟婁地方では、新宮市の光洋中学校と三輪崎小学校が小中一貫教育のモデル校としてことしからやっと実施し始めたばかりであり、当地域での中高一貫教育はもう少しその推移を見守っていただきたい、そのように思います。
 本県における中高一貫教育は、とりあえず十九年度開設予定の桐蔭高校で一たん打ち切っていただき、その他の地方においては、田辺、橋本の推移を三年間は見守っていただき、その上ですばらしい結果が残せると検証されれば、地元の意見もよく聞き、実施の検討に入るというのはいかがでしょうか。教育長の見解をお尋ねします。
 続きまして、紀南の地域医療の崩壊の危機、深刻な救急医療の現状をどう克服するか、また、地域経済を支える医療産業としてどう支えていくかという視点で質問します。
 現在、新宮市立医療センターは医師の不足が深刻であり、「救急や重症患者への対応のため外来診療を制限させていただきます」というような市民へのお知らせが盛んに目につくようになりました。
 例えば内科では、かつて九人いた医師が現在は五人に減り、四月からは週一回内科の初診がなくなりました。しかし、患者はふえる一方であり、「六月からは症状の落ちついた慢性的な患者を医療センターから開業医に逆紹介し、患者を減らすという方法をとります」という広報がされました。それでも対応できないということで、七月の地方新聞には「この九月からは内科の初診は紹介状持参を原則とします」というお知らせが載り、患者数の抑制を図ろうと懸命です。その広告の横には、「外科も水曜日休診します」というお知らせが載っております。日々を重ねるごとに深刻な状況が伝わってくる状況であります。
 また、産婦人科は、二人で二十四時間、一年三百六十五日の対応です。小児科も同じ二名で、一年三百六十五日待ったなしの対応をしております。ほかの科も厳しい現状であります。さらには、救急患者は年々急増し、平成十三年の医療センターの開院時は救急患者は五千六百人でしたが、毎年約千人ずつ増加し、現在では年間約九千七百人と、非常な勢いでふえています。そのうち三分の一は内科系の患者であります。
 しかし、医師は減っていくという過酷な現状の前に一医療機関としての努力の限界を超えていると思われますが、今や全国的な問題で、地域の医療行政を所管する当局はもちろんそのことを把握されていると思いますが、速効性のある抜本的な解決策がないのも現状でありましょう。
 和歌山県は、その地形上、紀北、紀中、紀南と区分されますが、紀南の最も南において、新宮医療広域圏で医療、特に救急医療の中核を担っているのは市立医療センターであります。和歌山市には県立医科大学、日赤病院ほか合計二十九の医療機関が救急告示をされ、体制は充実しています。田辺市においても、公立の紀南病院と国立南和歌山医療センターがあり、また民間の救急指定病院が複数存在します。片や新宮地域医療圏は、救急体制において、県の施策から最も手薄な状態に置かれているのが現状であります。
 毎年、新宮周辺広域圏の要望として県立救命救急センター設置の要望が出されていますが、今日ほどこれが深刻な要望として意味を持つときはありません。このままでは、本当にある日突然、新宮市立医療センターから医師不足のため救急医療の告示病院を辞退するということが起こりかねない状況にあると私は見ていますが、当局はどのように把握していますか。今後の紀南の地域医療に対する方針を含めて、まず第一点目として福祉保健部長にお尋ねいたします。
 続いて、第二点目です。
 私は、県立医大の本義は県民の医療を確保することに当然あると考えます。今、全国自治体病院協議会は、文部科学省に対し、国立大学における地域枠の確保を真剣に考えるよう要望していますが、今日のように医師が不足しますと、県立大学こそ卒業生が地域に残るように募集の段階で地域枠を確保することが最も現実的で有効な施策だと思いますが、いかがでしょうか。県立医大こそ、この制度を早急に導入すべきであると私は考えます。
 和医大の募集定員の五割を和歌山県内の受験生枠とし、さらに地域枠の中での地域枠として、紀北、紀中、紀南枠をそれぞれ分配し、地域医療に貢献したいという志を持った人間性豊かで学力優秀な受験生を優先的に確保するという制度を導入すべきであると思います。
 また、看護師の慢性的不足を解消するためにも、看護学校にも地域枠を設けることを提言いたします。例えば、なぎ看護学校には、新宮周辺の高校生の中から地域医療に貢献したいという志のある生徒を優先的に確保するという地域枠を二割から三割設け、卒業後は地域に残り地域医療に貢献するというシステムを構築すべきであります。この提言に対する福祉保健部長の見解をお尋ねいたします。
 第三点目の質問です。
 地域医療は、また地域産業でもあります。医師一人の確保は、本義的には地域住民の切実な医療確保にこたえるとともに、副次的には地域経済の観点から一億数千万の収入をもたらし、看護師、医療技術者、薬剤、給食従事者、医療事務関係者など多くの雇用を生み出し、地域経済に多大な貢献をする極めて社会的貢献度の高い事業であり、今や紀南地方では福祉は第一次産業であると言ってもいいくらいであります。
 医療という一観点だけにとどまらず、地域経済の活性化の観点からも、住民の本当に望む医師を確保することで健康と命が守られ、雇用も確保され、地域経済も活性化するなら、これに勝る企業誘致はありません。地方自治体の最も重要な責務である医療対策を通じて、住民に感謝されて、なおかつ地域の経済が活性化する、この視点の重要性を声を大にして私は訴えたいと思います。
 県の立場、県の持っている力、本来なすべき役割を再度見据えていただき、この深刻な地域医療崩壊の危機の時代を乗り切っていくために紀南医療確保プロジェクトを立ち上げて具体的な支援策を早急に立案し、実施していただくようお願いし、福祉保健部長の答弁を求めます。
 最後の項目に入ります。
 私は、中国貴州省政府からのお招きを受け、木村知事や谷副議長、浅井議員、花田議員、そして中村那智勝浦町長を初めとする那智勝浦町の皆様方と、那智の滝と黄果樹大瀑布との友好の滝提携調印式典に出席するため、去る八月二十八日から中国の貴州省を訪問してまいりましたので、その報告と若干の質問をさせていただきます。
 八月二十八日、関西空港を出発、広州空港で乗りかえ、貴州省の省都貴陽市にあります貴陽空港に到着しました。貴陽空港では、遅い時間にもかかわらず、貴州省政府の方々に丁重なお出迎えをいただきました。
 貴州省は、総面積約十七万六千平方キロメートル、九〇%以上を山地と丘陵地帯が占める自然豊かなところであります。また、人口については、約三千九百万人が暮らし、その三分の一がミャオ族などの十七の少数民族が占めております。工芸品として銀製品やろうけつ染めが有名で、世界三大銘酒の一つであり中国の国酒と言われる茅台酒の産地でもあります。観光資源が多く、省域の大部分を山地が占めるという点は、本県とよく似ているという感想を持った次第です。
 貴州省の省都貴陽市は人口三百三十万人の大都市でありますが、「太陽を貴ぶ」という都市の名前が示すとおり、通常は晴れる日が非常に少ないところですが、私たちが訪問した期間中、まるで来訪を祝福するかのように晴れた日が続きました。
 翌二十九日、警察車両が先導してくれる中、貴陽市から安順市に向かい、黄果樹大瀑布を視察いたしました。この滝に最も近い観覧ポイントへは、駐車場からエスカレーターに乗り、さらに徒歩で約十五分のところにありますが、そのポイントが近づくにつれ、水が滝つぼへ落ちる音が聞こえてまいります。間近で滝を見ますと、あたりに響き渡る轟音、すさまじい水量、もうもうと立ち上る水煙など、さすがに中国一と言われる滝だけあり、その迫力は見る者を圧倒します。幅八十一メートル、高さ七十四メートルの威風堂々としたこの滝は、同様に勇壮で荘厳な我が那智の滝と友好提携を結ぶのにふさわしい名瀑であると感じた次第でございます。
 その後、滝近くの唯一のホテルである黄果樹賓館に場所を移し、夕刻から那智の滝と黄果樹大瀑布との友好の滝提携調印式典が挙行されました。中村詔二郎那智勝浦町長と申暁慶安順市常務副市長の署名の後、今回の特別立会人である木村知事並びに蒙啓良貴州省副省長の署名により無事調印がなされ、ここに日本一の那智の滝と中国一の黄果樹大瀑布の友好の滝提携が成立いたしました。
 協定書には、「風光明媚な自然に囲まれた歴史的、文化的な財産である両名瀑の保全はもとより、互いの相手国における認知度の高揚に努め、より一層の観光振興と脈々と受け継がれる伝統・文化の継承に尽力することを誓う」と記され、また中村町長からは、そのごあいさつの中で、世界じゅうの有名な滝同士による世界滝連盟の発足などが提案されました。
 その後、貴陽市に戻り、貴州省の王正福常務副省長を訪問し、今後のさまざまな交流についての意見交換を行いました。
 以上が、貴州省訪問の状況でございます。
 今回の中国への訪問では、貴州省並びに安順市の政府要人を初め多くの方々とお会いし、友好を深めてまいりましたが、総じて皆様は大変和歌山に興味を持っていると感じました。私は、このたび日本一の那智の滝が中国一の黄果樹大瀑布と友好の滝提携を結ぶことにより、中国からの観光客の受け入れなど、観光開発に意義があるものと考えます。
 そこで、知事に、今後県としてこうした貴州省との交流をどのようにお考えか、お伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(谷 洋一君) ただいまの須川倍行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) スポーツコンベンションの充実に向けての御質問でございます。
 コンベンション誘致による誘客活動は、交流人口をふやして観光振興を図っていくための効果的な取り組みの一つであると考えております。このため、本年度も当初予算で各種大会等の誘致活動に必要な予算措置を行ったところでございます。
 現在、各種大会等の開催に対する助成制度に加えて、事前視察の受け入れやアフターコンベンションなどの具体的な誘致活動において、市町村と一体となって取り組むための本県独自の制度設計も完了し、今後の各種大会等の誘致活動に向けた情報の収集やツールの製作に着手しているところでございます。
 御提案のスポーツ大会でございますが、その他の大会や会議と同様、非常に魅力的な対象と認識しております。今後は、本年度に体制を強化した東京の喜集館の機動力を生かした首都圏での誘致活動を中心に、スポーツ大会を含む各種大会・会議などの誘致に向けて、市町村や観光関係者等と十分連携を図りながら積極的に展開をしていきたいと思っております。
 次に貴州省との交流でございますが、今回、貴州省において締結いたしました日本一の那智の滝と中国一の黄果樹大瀑布との友好の滝の提携は、中国における那智の滝の知名度の向上、ひいては中国から本県への観光客増加につながるものと期待をいたしております。
 今後は、さらに多方面に働きかけを強め、本県の観光の発展に努めてまいりたいと、このように考えております。
○副議長(谷 洋一君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 市町村合併と市町村財政についてのお尋ねがございました。
 現在、県内におきましては合併協議会の設置はございませんが、県としては、まず各地域で県も参加した形の研究会等を設置して、地域の将来像、市町村のあり方、財政の見通し、地域における課題などについて議論を進めてまいります。
 先日、田辺市におきまして一次合併の総括と二次合併検討のスタートとする市町村合併フォーラムを開催いたしましたところであり、今後は、各地域におけるシンポジウムの開催などを通じ、地域住民の方々も交えた活発な議論が展開されるよう、県も一緒になって取り組んでまいります。
 次に、財政再建団体についてであります。
 県内市町村の財政状況が厳しい状況であることは御指摘のとおりでありますが、先般、全国的に北海道の夕張市で行われましたような一時借入金に関する調査を行ったところ、現在、県内において夕張市のような危機的な状況というような団体はございません。
 各市町村においては、集中改革プラン等に基づき行財政改革に取り組んでいるところであり、県も適切な財政運営に関する助言、支援を行ってまいります。
 いずれにいたしましても、市町村合併は地域の将来像を描き、市町村の行財政基盤の強化を図る有効な手段と考えておりますので、県もしっかりと役割を果たしていきたいと考えております。
○副議長(谷 洋一君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 障害者自立支援法についての御質問にお答えいたします。
 県では、知的障害者に対するホームヘルパー養成研修の実施や授産施設が関係する企業への一定期間の受け入れ事業などを通しまして、働く意欲のある方に対し、就労へ向けての支援を行ってまいります。また、授産施設に経営コンサルタント等の専門家を派遣し、利用者の工賃アップを図ることで、利用しやすい魅力的な施設づくりを支援してまいります。
 本年十月からは、障害者施設の新事業体系への移行が始まります。そういった中で、各施設が円滑に移行できるよう、施設改修や居住の場の確保として、グループホームの整備・改修費への補助や県単独整備のグループホームの支援を行っております。
 また、施行に伴い現場での混乱が生じないよう、市町村を初め施設関係者、事業所に対しまして積極的に事業説明会等を開催するとともに、新事業体系の移行に向けての相談や指導を行ってきているところでございます。
 今後とも、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられるよう引き続き注視し、その上で必要があれば国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に紀南の地域医療について、紀南の地域医療の現状と今後の方向についてですが、議員御指摘のとおり、新宮保健医療圏は紀南地方の中でも最も南に位置し、医療資源も乏しいことから、救急医療体制の整備は従来からの課題でありました。そのため、県といたしましては、平成十五年一月にドクターヘリを導入するとともに、ことし四月には南和歌山医療センターに新型救命救急センターを開設するなど、紀南地方の救急医療体制の整備を図ってきたところです。
 しかしながら、新宮保健医療圏の救急医療体制につきましては、さらなる充実を図る必要があることから、医療機関や地元自治体などで構成する検討会を設置し、協議しているところであり、新宮市立医療センターにおける救急医療体制を含め、具体的な検討を進めてまいります。
 次に、県立医科大学及び看護学校における地域枠についてでございますが、県立医科大学におきましては、平成十四年度から定員の一割程度が県内高校出身者を対象とする推薦枠として確保されており、平成十八年度の推薦入学者は十名となっております。また、県立なぎ看護学校につきましては、紀南地方の看護師確保を図るため、平成七年四月に新宮市に開校し、一学年定員四十人のうち約半数に当たる二十人程度の推薦枠を設けております。
 議員御提言の地域枠の拡大や細分化などにつきましても、県立医科大学と連携し研究し、県内の地域医療に貢献できる医師及び看護師確保に努めてまいります。
 紀南地方の医療確保についてお答えいたします。
 全国的に医師不足が大きな問題となる中、本県でも一部の医療機関において診療体制の維持が困難な状況になるなど、地域偏在、診療科偏在等による医師不足が深刻化しております。そのため、県といたしましては、わかやまドクターバンク制度や医師確保修学資金制度などの施策を講じるとともに、新たに地域医療支援事業を創設することといたしております。
 当事業は、県内の地域医療を支援するための新たな仕組みづくりを和歌山県立医科大学に委託するもので、専任教員十名を増員し、診療体制の維持が困難となった中核的医療機関への医師供給等を行うことといたしております。
 議員御指摘のとおり、地域における医療の確保は住民の健康と命を守るために大変重要であり、地域経済の活性化にもつながることから、今後とも医師確保を初め医療提供体制の整備・充実に努めてまいります。
 以上です。
○副議長(谷 洋一君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 中高一貫教育についてお答えします。
 本県では、中学校、高等学校の教育を多様化し、特色ある教育づくりを全県的に展開するため、連携型中高一貫教育を三地域で実施するとともに、併設型中高一貫校の設置を進めてきております。来年四月には四校目となる県立中学校を桐蔭高等学校に開設することとしており、市町村立中学校と切磋琢磨しながら地域の教育力の向上を目指してまいります。
 現在、平成十七年五月に策定した県立高等学校再編整備計画第一期実施プログラムに基づき、関係者からの意見聴取や協議を進めているところであり、今後とも慎重に検討してまいります。
○副議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。――再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(谷 洋一君) これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十六分散会

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