平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入っていきたいと思います。
 私は、最初に「梅産業の厳しい現状をどう切り開いていくのか」というテーマで、一つは、昨年からことしにかけての梅を取り巻く現状について、まず知事に御理解をいただいておきたいと思いますし、それによって梅生産農家を初め地域経済にどんな影響を与えているのだろうか、また、そのことによって今我々が、梅はつくれば売れるという時代から、やはり紀州の梅のブランドを強化して内外に打って出る時代に来たなという立場から質問させていただきます。
 ことしの青梅の市況の現状ですけど、もう皆さんも御存じのように、最初はどうしても高く、市場が求めていますから六百円から七百円という値をつけたんですが、その後、今まで梅干しのたるが余っていた現状の中から青梅を一気に出す生産地が多くてずっと出された関係上、後半にはキロ六十円という事態になり、山村部では、とりわけ地域によっては、南部川の奥とか田辺の奥とか、龍神とか中辺路とか、そういう山村地域は青梅は全部ストップされて、もう畑へほってしまったという状況が生まれました。
 そういう状況を見たときに、私たちはこの現状をこのまま見過ごすわけにいかないということで、市場のこの価格の低迷は、どうしても一つには気候的に、市場や量販店の対応が、全体のその年の気候に関係なく毎年五月の初めに出しなさいというスケジュールに乗っかって、生産現場の実態とはマッチングしない状況で市場または量販店が求めておると。
 こういう中で非常に──そこで何が問題かと言いますと、一つは、紀州の産地の出るときより九州や四国の出る時期の方が気候的に早い場合、そこがまず優先されて、だあっと市場へ出て回りますから、そういう非常に厳しい産地間競争に陥ってると、そういうことの状況であります。そういう意味で、とりわけまたことしは気候変化に伴う非常に厳しい中で品質が非常に低下したということの話題もあります。
 また、漬け梅の価格の低迷も、昨年から在庫もあって、消費動向と業者の関係ですけど、漬け梅価格が非常に──今まではブランドとしてA級品が売れてたんですけど、ことしはCとか外とか、そのつぶし梅が、いわゆる低品質の梅が市場に出回ってしまったという、これは我々としては非常に厳しいという一面、また、その紀州梅に対する信頼度が薄らいでいくんではないかという心配をしております。
 そこで、私は、他産地間との競争・競合や中国産加工梅との競合をどう切り開いていくかということもありますが、そういう意味で、私たちは九州産、四国産との競合が今後ますますされていくだろう、そして、中国の梅が、少なくとも消費量の半分が中国から来てるというこの問題と真っ正面から向き合いながら紀州の梅をどう振興さしていくかということについての課題が今求められてると思います。
 そういう中で、昨年からことしにかけての現状の中での生産農家、地域経済への影響でありますが、生産農家は、まず梅の将来への不安が非常に高まってきています。今まではつくれば売れた時代から、これから農家はどう展望して行動すればよいか、全く不安だらけで見通しができない状況にあると言われております。生産農家の人たちは、異口同音、「今、私たちはそれでいいけども、後継者初め、既に梅農家を継いでくれている若い世代の人たちはどうするのでしょうか。このまま続けてよいのか。家族ではそのことが今一番悩みである」と語られています。
 ちなみに、十八年度の就農状況を日高と西牟婁の梅産地だけ見ましても、新しく十八年度に就農している方が七十五名。日高・西牟婁で、梅産地には過去五年間でもう三百人もの若者が定着してきてると、こういうデータでありますから、大変な梅産地に就農する若い世帯が、地域では非常にかけがえのない、産地としての力を発揮していると思います。
 したがって、梅は県内で生産、加工、流通、販売と一貫したシステムがあって、それにかかわる幾つかの関連産業が地域経済を複合した産業として──私、いつもこの場で言わしてもらっている七百億円産業として県内の経済の基幹産業であること、そして、各関連産業への影響が非常に大きいことであります。
 そこで、消費経済も、もう田辺市内とか市街地を一つ見てみましても、昨年からの梅のこの傾向に対して、商店街、サービス業、飲食業にも、もう既に非常に影響を与えていますし、そのことは、生産農家は、ことしの紀南農協の管内だけですけども、最低四十億円は下らないと言われるぐらい今度減収になるというふうに言われています。これは農協の調査の結果であります。
 そういう意味で、この厳しい梅を取り巻く状況を我々はどう打開していくかという方策について、私なりに提言して知事の御見解をお聞きしたいと思っています。
 一つは、今まで非常に少なかった情報──梅が全国、国内外にどの程度出回っているか、紀州梅の需要調査がやっぱりやられていない。これはやる必要があるんではないかと。紀州梅の流通販売状況を調査して、県内の梅干し、梅酒などの梅商品が全国にどのように流通しているのかマーケット調査をすることが必要だと思いますし、同時に、他産地や中国梅の実態把握を行い、その競合関係を分析する必要があるんではないかというふうに思います。
 もう一つは販路拡大でありますが、消費者ニーズや企業ニーズ等マーケットの実態把握を踏まえて、販売戦略を考えながら販路開拓を進めていく必要があるというふうに私は思います。これについても、私なりに調査しますと、一部分の販路市場に乗っかっておればもう十分売れたということで、それに我々全体が非常に甘えていたように思います。
 ずっと調べますと、本来もっと攻めなければいけないところを攻めていなかったという反省の上に立って、販路拡大は、我々産地でも行っていますけども、新たな販路の開拓について、やっぱり県が産地とその市町村やJAと協力し合いながらコーディネーターの役割をぜひとも果たしてほしいというのが私のお願いであります。
 また、もう一つは新たな商品開発ですが、新たな需要が創出できるような新たな商品開発についてやっぱり考えて──いたんですけれども、加工業者、いろんな人に聞きますと、梅干しの方が十分利益を上げられるので、新たな商品開発に対して投資をして薄い利益を求めるよりも利益の高いものにどうしても走ってきてるという状況を言われておりましたけれども、それだけではもう済まされない時期に来ているということで、私たちは、生産者、加工、JAという産業、それから県や市町村という官、そして大学や工業技術センターである学がお互いに協力をし合って、一つのテーマを設けて新しい商品開発に取り組む時期に来ているというふうに思います。そういう意味では、県の支援が非常に大切な時期に来ていると思っております。それは、今そういう条件にあると思います。
 僕、ちょっと資料忘れたんですけど、株式市況を見てちょっと特異な──今、要するに健康食品の部分が、もちろんサプリメントもそうですけど──株価がずっと持続して上がってきてる。そういう健康食品の飲料水やそういうものがどんどんはやってきてる。
 そういう意味では、子供や若い人たちに好みの商品、梅商品を開発するとか、例えば外国では肥満対策に対して和食が非常にブームを起こしてる中で梅の消費はどうするか、その人たちに見合った商品開発をどうしていくかということも、販路開拓ではまだ手をつけられてない分野ですので、我々は考えていく必要があるんではないかというふうに思います。
 こういった意味で、私は、そういう体制の中で、今、何をほんならしていくのかということであります。そこで一つは、各産地では今これではいかんということで、例えば紀南農協管内では、生産農家が一たる運動でそれを加工業者に買っていただいて──これは積算しますと一年で一億円の販売、PR活動への予算が集まるというふうに言われています。これを来年度からやりたいという方向。だから、まず農家がこの厳しい状況を切り開くために一たる運動をして、一億円を拠出して、そしてJAと行政と加工業者が協力し合って全国展開、内外に展開していくということが今考えられています。
 そういう意味では、私は、じゃ、そういうふうに産地が頑張ろうとしてるときに県の果たす役割は何だということで、県として私が求めたいのは、そういった産地を組織化して、みずから生産農家もお金を出してやるという時期に、県はやはり──今の果樹園芸課というのは、桃、柿、それからミカン、梅と、こういうふうな全体的な管轄でやられていますが、私はこれは、桃と柿が一部類、ミカン二部類、梅を三部類にして専門的に、梅なら梅に対して産地と協力し合いながら、いわゆる生産、加工、販売、PRまでの協力体制を県の組織として人的配置をして、そういう組織体制にぜひしていただきたいと。そうすれば、県と市町村と、そして産地のJA、農家とが一体になって汗をかきながらこの難関を切り開けるという意味では、県の組織的な指導、人的な体制、そういうものを皆期待してると思いますので、知事の御見解をお聞きしたいと思います。これが第一点であります。
 そして──これは要望やから委員会でやりましょうか。ちょっと済みません。──ちょっとまあ聞いてもろとこかな。
 この前、国会の梅議員連盟というのがあって、そこの資料の中に、梅の原産地表示の中で、中国梅と国内梅、紀州梅との違い、それから九州ブロック、近畿・中国・四国ブロック、関東・東海ブロックというふうに三地域で出てきた梅が紀州梅と違うということの判別をすることができたというふうに書かれていたんですけど、実際にそれができるのであれば大変──識別調査で可能であれば立ち入りチェックをして、いわば私から言えば、中国梅がずっと出回るとか、紀州梅と中国梅をまぜて出回ってるとか、それから産地が違う、いわゆる九州や中国・四国・近畿ブロックのやつとか、東海ブロックのやつがまざっている場合でもチェックが可能だと、こう思うんです。
 そういうことを、可能であればぜひやってほしいんですが、たまたま私の調査では、農林水産省から委託を受けた農水省の外郭団体である独立行政法人農林水産消費技術センターがそこを受けてやっているということなんですけど、県のうめ研究センターもそこにかかわりながら、その識別調査が可能な状況にできるだけ早く──今の段階では一〇〇%できていないという状況なので、できるだけ早い機会にこの識別技術を完成させていただいてやっていただきたいということを要望しておきます。
 次に、梅の立ち枯れの原因究明について。
 「久々にやるんやの」と言われたけど、そういうことで、要はこの表を見ていただいたらわかるんですけど、(資料を示す)平成十二年から十六年までは、いわば一〇%、五%を下る御坊火力発電所の稼働率で、これ、見てもらったらわかるんですが、その状況によって、十五年からもうずうっと新規に立ち枯れの発症することが非常に少なくなってきました。そういう意味で、我々は安心をしていたんです。
 ところが、最近、私、農家を回ってみますと、「ハウスにすすが黒くつくように最近なってきてよ」、また「最近、関西電力、よけたき出したん違うんか」という質問をされた。それで、それを聞かれて、私は平成三年か四年のときにちょうど農業をしていたんですけど、その当時はハウスなんかは真っ黒で、それから車のボンネットは手ですれるぐらいすすがかかっていたという状況でした。現在はそこまでいってませんけど、すすが既にもうハウスにかかり出した。
 じゃ、稼働率を調べてみました。ここで、見ていただいたように、下の欄に平成十七年の十二月から十八年の六月までの稼働率を書いてますが、二三・八から四〇、五〇近いパーセントで稼働率がずうっと上がってきております。これは、私がこの議会で言わしてもらったのは──こういう稼働率がどんどん上がってきたことと、前に新規発症した、昭和五十九年から稼働した火力発電所が何年かして平成三年からずうっと立ち枯れの発症が起こってきたというその相関関係では、今度この十七年から十八年にたかれている状況を見ますと、非常に不安を感じているというふうに言われております。
 したがって、こういう意味では、きょうの議会で言わしてもらうのは、私はその不安を、この時系列の計数を見て、稼働率の状況を見て、これは二年後ぐらいにまた発症が起こるおそれがありますよということで、私は議会できちっと言うときたい。そして二年後、もしこの発症が起こったときには、いわゆる御坊火電の稼働率と梅の立ち枯れとの相関関係が立証されていくんではないか。科学的ではないですよ。現象面で実証されていくんではないかということで言わしてもらっています。
 そこで、私は、質問といいますかお聞きしたいんですが、一つは、月の稼働率はやっぱり一〇%程度に押さえてほしいと。一号機、二号機、三号機も。そして、それを関西電力にぜひ要望してほしい。それができなければ、いわゆる一〇%を超える場合、脱硫装置を設置している三号機でもって稼働するよう強く申し入れていただきたいということであります。
 我々、三号機につけたというのは、御坊第二火電の建設に伴うこともあったんですが、三号機だけを見ると、SOXの濃度は九九%低下してる。ほとんどもうSOXの濃度がなくなるぐらい脱硫装置の効果は働いているんです。
 そういう意味では、関西電力に三号機を稼働さしてほしいと言うことは何ら問題はないと思うんですが、実際、現実を見ますと、一号機、二号機、三号機は、例えば今月、一号機が三〇%たくとしたら、次は二号機がまた三〇%、次、三号機がそれに続いて、全体として循環させながら稼働しているという実態であります。
 そういう意味からいくと、我々何のために脱硫装置をつけたのかという意味がわからないわけであります。これは、関西電力に言わせれば、絶えず機械を稼働さしてないと問題だということでありますけれども、それだけの企業の理由でなくて、三号機に脱硫装置をつけたんですから、それを稼働するように県が強く申し入れていくことが、この今稼働率の上がっている段階の中でそのおそれをなくしていくんではないかと、こう思いますので、ぜひとも関西電力に強く申し入れてほしいというのが私の考えであります。企画部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、ばいじん暴露による大気と梅、桜の影響調査をすることはずっと言い続けてきたんですが、その知見が国内的にもまだ確立はされておりません。私たちは、なぜこのばいじん暴露の調査を県当局に申し込むか、そして県当局はそれをなぜやらないのかということについて非常に疑問を感じてるわけでありますが、御坊火電と梅の立ち枯れの因果関係は、科学的に実証するまでもなく、火電の稼働率とその相関関係があるというふうに今述べさせていただきました。
 そこで、県は栽培管理、水分ストレスに矮小化しないで、私は、ばいじんによる暴露試験を加えてこそ梅の立ち枯れの原因究明ができるということを一貫して言うてきましたが、いまだに実現しておりません。
 人間と大気、この御坊火電のばいじんと、それから植物とばいじんの関係する新しい知見が確立するために、今、田辺市のうめ対策協議会では独自に、広島大学大学院生物圏科学研究科の中根教授グループによるテーマ、二年間のばいじん暴露がヤマザクラの成長に及ぼす影響調査報告書が、この七月、発表されました。私はそれを熟読しながら、これは大変なまとめ方をしているし、我々が研究テーマとしてぜひやってほしいということの意味がなされております。
 その中の分析を少し紹介しながら述べたいと思うんですが。「田辺市とその周辺のヤマザクラの年輪成長と二〇キロメートル北西に位置する御坊市に立地する火力発電所の稼働率との間には有意な負の相関があることを報告している。すなわち、火力発電所から排出する煤塵またはそれに含まれる汚染物質がウメの生育障害やヤマザクラの衰退の原因である可能性を示唆している。 しかし、以上のウメ生育障害やヤマザクラの衰退に関する研究においても、煤塵そのものによる具体的な影響について、また影響があるとすればどのようなメカニズムで衰退を起こすかについて、明らかにする調査・研究は依然としてなされていない」、したがって、「煤塵の影響については、ウメやヤマザクラに限らず、暴露実験を通して」成長量や光合成に与える影響についてやっぱり十分調査検討することが必要だということでやられております。だから、「煤塵によるヤマザクラの衰退過程への関与、メカニズムが明らかにされ」といったことで、本当にその地域での衰退現象がどうあるべきかという梅の生育障害の原因究明ということでの大切さがこの研究で述べられております。
 また、このばいじん調査は、実は中国の火力発電所のばいじんで調査しています。というのは、関西電力からもらえませんでしたので、やりました。このことで、「煤塵暴露にしても、煤塵の成分はその燃料によって大きく異なると思われる。それ故に、幾つかの煤塵について暴露実験を行うことが、煤塵の影響の一般化には不可欠である。少なくとも、御坊発電所での使用原油の煤塵による暴露が不可欠であろう」というふうに締めくくられております。
 したがって、私たちは、こういう研究を一大学グループではなかなか検証しにくいということで、東京農工大に改めてこの実験結果を提出しまして東京農工大の意見を仰ぐことにしているわけでありますが、そういったことに対して、和歌山県も、うめ研究センターにおいて新しい知見を確立するため、これら研究グループとも共同して原因究明に取り組むべきと考えますが、いかがなもんでしょうか。そのことをお尋ねしたいと思います。
 次に、農薬のポジティブリスト制度による中山間地域の現場の悩みについてお尋ねします。
 食品衛生法の改正に伴い、本年五月二十九日から導入されております残留農薬基準のポジティブリスト制度は、輸入野菜等の残留農薬の規制と消費者からの食品の安全・安心を求める声に対応するために制度化されたと言われております。このような画一的な制度の導入により一律基準として〇・〇一ppmという厳しい値が設定されたため、生産現場では隣接作物への農薬の飛散が懸念されるなど農薬散布には細心の注意が必要となっており、生産農家の間では戸惑いと不安が広がっており、全国から制度の改正を求める機運が高まっています。
 この制度の導入により、生産現場においては農薬の飛散による基準超過への農家の不安が高まっています。例えば、どれぐらいの飛散によって〇・〇一ppmに達するのかといった、生産する視点からわかりやすい目安などがないことで数字だけがひとり歩きをしてる嫌いもあり、不安を助長しています。
 具体的には、今回のポジティブリスト制は、梅の収穫時期に隣のミカン園で農薬散布をする場合に梅へ農薬が飛散して基準値を超えないかや、果樹類を混植しているところでは、かなり気を使った栽培管理が必要になる。県はこのような生産現場からの声をどの程度把握してるのでしょうか、お尋ねしたい。
 そこで、このようなポジティブリスト制度によって生じている問題について、生産現場の声を聞き、農薬の飛散防止を防ぐために具体的にどのような対応をしていくのか、お伺いしたい。
 また、農薬の飛散防止を解決するためには、県と農協、それから県の普及所、試験場、そして農協、生産者が協力し合って一つの問題点を挙げて解決法を探っていくべき時期に来てる。そのためには、現地での実証試験、例えば、今言いました関係機関等がドリフト防止マニュアルを充実させるなり、農家のさまざまな問題をするために実証園をつくって研究していくということが今求められています。
 さらに、隣接する作物に対して農薬散布する際に必要以上に気を使わなくてもよいように、できるだけ多くの作物に使用が可能な農薬の登録拡大を推進していくことも、今、大変重要なことだと考えております。この要望も非常に強いわけでありますから、その点のお考えをお伺いしたいと思います。農林水産部長にお願いします。
 次に、防災と社会生活を守る立場からの提案で──これ、ちょっと時間ないんで、いっぱい書いていますが、簡単にまとめれば、私は、和歌山県は山林地域を多く抱える中で、将来的に県行政が市町村行政と協力し合って災害から県民の生命と財産を守り、地域ごとの社会生活、つまり人間関係、福祉、医療等の公平なサービスを受けられる環境づくりをどうしていくのかが大きな課題だと考えております。
 私はこのことについてはたびたび議会でも言ってきたんですが、県はこのほど八月一日に、わかやま土砂災害マップを公開されました。非常に見やすく、箇所、箇所が的確に把握できて、役に立っています。ありがとうございます。
 県内に一万八千四百八十七カ所の土砂災害危険箇所があります。このマップによって、そこに住む人たちが、危険箇所であることの認識や、いつでも避難できる準備をしておくことはもちろん大切です。しかし、この危険箇所の多くは過疎・山村地域で、高齢化率は非常に高いところです。
 そこで、私は、将来的に見て大胆な政策を提示することも一つの考えではないかと思います。土砂災害危険箇所一万八千四百八十七カ所をハード面での対策として予算措置をするとしたら、それは考えられない規模の数字になると思います。
 そこで、私は、土砂災害危険箇所への予算を見てみますと、過去十年の時系列で見ますと、平成十年の百二十億円をピークに毎年下がり続け、平成十八年には四十五億円となり、ピーク時の三分の一になっているのが現状であります。県としては、非常に危険度の高いところから対策してると思いますが、この予算についても考えなければならない一つの要素かと思います。
 また、私は、一万八千四百八十七カ所全部に対策するという発想の転換をして、危険箇所の住民の移転を考えることも県の主要施策の一つとしていくことが必要ではないかというふうに考えているわけであります。もちろん、これは住民の理解と市町村の協力が必要ですが、県が大胆に提案することで関係する住民の中で議論され、よい方向が選択されていくのではないかと考えます。
 特に、高齢化している過疎地域での土砂災害危険地においては、災害から守ること、それとまた高齢化により人間関係が薄くなっていること、福祉・医療サービスが公平に受けられないこともありますから、そういった移転ということが将来的に見て大きなテーブルに着くんではないかということで、県の施策として取り上げてほしい。
 国の施策では、がけ地近接等危険住宅移転事業や防災集団移転促進事業、過疎地域集落再編整備事業などがありますが、この過疎地域集落再編事業についても、国は二分の一、市町村が二分の一で、県として責任ある明確な補助体制ができてません。今はゼロです。そういう意味では、県の施策として考えていくことが市町村をも誘発させながら住民合意が得られていくんではないかということで私は考えてるわけですが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 最後になりますが、中村議員が見解をただした県土地開発公社のコスモパーク加太開発事業に係る今回の補正予算についてであります。
 私は、十五年六月議会において、この件に関して、開発公社の金融機関からの借入金に対して、県は債務保証していない立場からその責任をすべて負わされることはないと指摘しました。しかし、平成十五年十二月議会において、特定調停による決定によって、開発公社借入金四百三十八億一千五百三十万円のうち二百六十五億円の債務保証をすることで合意し、議会でも承認されてきました。開発公社は、銀行借入金四百三十八億一千五百三十万円と県から既に百五億円の借り入れで、五百四十三億一千五百三十万円の借金をしています。
 さらに、県が開発公社へコスモ加太用地の借地料を平米当たり五百六十円支払っていながら、カゴメへは平米当たり百円と五分の一以下で貸し付けている。県内のトマト産地を脅かす企業を企業誘致として評価することは私は疑問を感じているところですし、これらの疑問と矛盾を感じながら、今回の県土地開発公社への金融機関債務に係る繰り上げ償還十七億円の補正予算について、私としては一つの考え方を述べたいと思います。
 繰り上げ償還については県の政治的判断として理解はしますが、私は、企業的センスで対応することがよいのかどうか。企業は、借入金等を繰り上げ償還しながら新たな借り入れを起こしたり企業経営する上での対応をしていますが、県行政は、繰り上げ償還しても、別にそれによって新たな何かが生まれてくるのでしょうか。開発公社の債務額三十八億五千七百万円が消滅するだけで、開発公社が新たなスタートになるのではなく、残債借金を抱えて右往左往してるだけではないでしょうか。県が十七億円を貸し付けることで債務額が減るが、県はそこまでする必要があるのでしょうか。むしろ平成四十五年三月三十一日まで開発公社にそこの責任をゆだね、県は土地の売却や土地の貸し付けに力を注ぐことも一案ではないのでしょうか。
 今回、住友信託銀行三億三千六百万円、UFJ銀行が五十三億五千万円をオリックスに債権回収を渡しています。これは、特に住友信託銀行なんかは、十五年にして翌年にすぐ丸投げをしています。また、UFJは十八年という形ですが、そういう形で、実際に国の金融庁が各メガバンクに対して何をやったかと言うたら、早く不良債権を処理しなさいと、そして、公的資金は投入しますからびしびし貸しはがしをして、あかん金はきちっと不良債権で整理せえという、早くしなさいという指導をしたわけですね。
 そういう意味では、このことの対案がここに出てると思いますね。UFJや住友信託が、実際はどうですか、金額五十五億五千七百万、こういう金を実際には十七億でもうオリックスに丸投げして、あとの残りの額は不良債権として、もう銀行、メガバンクは処理してしまうんです。
 そういう形でどんどんやられている中で、慌てて十七億円を開発公社に貸し付けてやらいでも、四十五年までほっとけば、だんだん時代も変わり状況が変わりしてくるん違うかと。今やられてることは、金融庁のメガバンクに対する施策に対しての裏づけとして──これで、十七億円でオリックスは三%の手数料取ったらどうですか。十二億ぐらいですよ、これ。五億ぐらい、オリックスはこれで金もうけしてるんですよ。これが今の日本の経済の──実際にオリックスだけでなくて、実質は外資やあの村上とかいろいろするファンドが、そういったものを皆集めて金もうけをしてるんですよ、その際。そういう状況から見たら、私は非常に慌てて──県が二百六十五億円の債務保証やってるけども、慌ててその処理をしなきゃならんのだろうかと思います。まあ、私の考えですけど。政治的判断は否定するわけではありませんが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 以上で、一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 梅産業の厳しい現状をどのように切り開いていくのかということでございますが、紀南地方の中核をなす梅産業を取り巻く環境は、中国産や他産地との競合が厳しくなる中で、本年産青梅については、天候等の影響による出荷おくれなどもあり、近年にない市場価格の低迷を招いたところでございます。また、食品衛生法の改正に伴う残留農薬の問題もあり、農家は大変厳しい状況に置かれていると認識しています。
 県では、これまで県産物のブランド強化と販路拡大を図るため、大手スーパーと連携したソフトアンテナショップの展開や香港など海外輸出による市場開拓等を行ってきたところでございます。
 こうした中で、梅の振興については、地域に密着した試験研究機関としてうめ研究所を平成十六年に設置し、生育不良対策を初め、新品種の育成など、産地対策の強化を図ってまいりました。
 また、梅は、他産地とは異なり、県内において生産から流通、加工販売が一体的に行われていることから、消費動向を踏まえる中で、これまで以上に食品産業と連携し、機能性に着目した新商品の開発や新たな需要開拓などトータルとしての振興策が重要であり、県としても梅産業のコーディネーターとしての役割を果たしてまいりたいと、このように考えております。
 なお、県では県政の重点施策や新しい行政需要等に的確に対応できる組織づくりに取り組んでいるところであり、御提言の趣旨も踏まえ、より効率的な組織体制の実現に努めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、防災と社会生活を守る立場からの御提案でございます。
 県では、御案内のように、東海・東南海・南海地震同時発生等、三つの地震を想定した被害想定調査等について実施し、人的被害や土砂災害危険箇所等について公表をしております。
 御指摘の中山間地域の防災対策については、減災のための優先順位などの見直しを、東南海・南海地震に備えた具体的な施策をまとめた和歌山県地震防災対策アクションプログラムの中で行ってまいりたいと思っております。限られた予算の中で効率的に防災対策を実施するには、国の集団移転などの手法も検討してまいります。
 また、防災と関連して、過疎・高齢化が進む中山間地域において集落再編を進めることは、身近に医療、福祉などの行政サービスを受けるためには有効な手段の一つであると考えております。しかしながら、既存の集落の共同体としての機能が維持、存続できるような方策を講じることも、これまた重要と考えております。
 いずれにしても、集落移転に当たっては、住民の意向が第一であり、関係市町村と連携を密にし、地域全体あるいは集落ごとの話し合いを通じて、移転機運が高まれば県としても支援をしてまいりたい、このように考えております。
 最後に、コスモパーク加太事業に関する今回の補正予算についてでございますが、御指摘のとおり、将来、計画どおりに土地を売却することができた場合は県の債務保証を実行する必要は生じないわけで、まずそのための努力を今後とも継続していくことは当然のことでございます。
 しかしながら、景気が上昇傾向に転じたとはいうものの、将来の経済情勢が不透明な中で今回の繰り上げ償還の内容を詳細に検討いたしましたところ、現在の弁済計画をこのままの形で継続するよりも現時点で将来の債務保証の実行という県民負担リスクを確実に軽減しておくことの方が明らかに有利かつ重要であり、今回のオリックス債権回収からの申し出は公社及び県にとって大きなチャンスであるというふうに判断をいたしました。このようなことから今回の処理を進めることにしたところでございます。
○議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 御坊火電の稼働率に関連した質問についてでございます。
 関西電力御坊発電所の稼働率は最近上昇傾向にあることは承知しておりますが、周辺地域の大気汚染濃度は環境基準値を大幅に下回る濃度で推移をしているところでございます。
 また、一号機から三号機までの各発電機には排煙脱硝装置や電気集じん装置が設置されており、加えて、三号機については排煙脱硫装置が設置されております。
 議員の御質問にありました三号機の集中運転につきましては、技術的に可能かどうかも含め、事業者に確認をしてまいります。
 また、脱硫装置の三号機以外への増設につきましては、三号機への設置当時には設置スペースの関係から物理的に困難であったと聞いておりますけれども、これにつきましても再度事業者に確認をしてまいります。
 いずれにいたしましても、御坊発電所の稼働状況につきましては、関西電力株式会社から随時情報提供を受け、その推移を見守ってまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) まず、梅の立ち枯れの原因究明についてお答えをいたします。
 生育不良の原因究明につきましては、うめ研究所での生理生態特性の解明を初め、生育不良の再現実証、またオゾン濃度の継続測定を行うとともに、現地での発生本数調査、また実証園での調査、こういったことにさまざまに取り組んでいるところでございます。
 これまでのこうした調査研究におきまして水分ストレスが樹体に及ぼす影響といったデータなどを蓄積してございまして、こうした地元農家に役立つ情報の提供を行い、実践につなげているところでございまして、今後とも産地と一体となって粘り強く取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
 なお、ばいじんによる直接暴露試験につきましては、これまでもお答えをしてまいりましたが、科学的に評価できる研究手法が現段階では難しい、こういう状況でございますが、新たに研究手法の御提案があった場合には、多くの専門家の意見等をお聞きしながら検討してまいりたい、このように考えてございます。
 次に、農薬のポジティブリスト制度による現場の悩みについてでございますが、議員お話しのとおり、生産現場では、ポジティブリスト制度の導入によりまして、収穫期を迎えた梅園に隣接したミカン園での農薬散布、あるいは野菜園に隣接する稲の防除、こういったことで農薬の飛散、いわゆるドリフトによる基準値を超える残留農薬への懸念がございまして、生産農家は農薬散布に当たり大変気を使われている、こういうふうに承知をしてございます。
 県ではこれまで、ポジティブリスト制度に対応した農薬の適正使用を推進するため、生産者、指導者を対象にした研修会の開催、また、啓発パンフレットの配布を初め、ソルゴーといった遮へい作物を利用した展示圃を設置するなど、市町村またJAと連携をしながら課題解決に向けた取り組みを進め、農家の不安を払拭できるよう努めてまいっているところでございます。
 今後とも、農薬の飛散量の調査や生産現場での実証圃の設置など、産地に即した調査を引き続き実施するとともに、梅、ミカン、柿といった主要作物を対象としたドリフト対策マニュアル、またドリフトに対応した防除暦の作成、こういったことに努めてまいります。
 また、各作目に広く使えるよう農薬の登録拡大、このことにつきましても国に対して要望しているところでございます。
 今後とも、生産農家の意見を聞きながら農薬の一層の適正使用に努め、安全・安心な県産農産物の生産振興、こういったものに努めてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 今やっぱり、先ほど知事の御答弁いただいたんですけど、組織的に今の現状、いずれにしても梅だけでなくて、柿、桃、ミカン──大体、今我々、産地間競争でちょっと立ちおくれるというのは、ミカンにしても、愛媛は愛媛で県ぐるみで打って出てきてる。最近は、鹿児島なんかは薩摩梅という形でぼんと県ぐるみで打ち出してきてるという。そういう意味では、我々は、それの産地間競争も大変厳しいと言いながら、じゃ我々はそのために、打ち勝つための体制でばんと打って出てるかというと、非常に反省すべき点があるんじゃないかなと。
 そういう意味では、県が組織的に産地が──もちろん原点は産地なりそこの市町村が頑張ることですから、それを支援しながら協働して、それで、それについても梅の専門職員がきちっと複数でおって一体となって打って出ると。行動する職員、行動する係、課という形でやっていかんといかんのではないかと。そうなれば、全国的発信なり国際的発信なりいろいろできる可能性はいっぱい秘めてると思うんで、それに手をつけていない、手をつけようではないかということで、きょう訴えさしていただきました。
 それと、梅の立ち枯れで企画部長がお答えしてくれました。ただ、一号機、二号機、三号機──一号、二号をとめて稼働可能なのかって。稼働可能なんです。これ、全部資料もろうてますから。一号、二号、三号の月別稼働率というのを持ってますから。一号、二号全然せんと三号機、一号、三号機全然稼働せんと二号機という形で十分可能なんですね。この実績から言ってですよ。
 だから、そういう意味では、どうして三号機に集中して脱硫装置──しかも、九九%この物質を削減できるというすばらしい機械があるんですから、そこに集中さした指導は十分可能だと思いますんで、そのことは要望しておきたいと思います。そういう指導を要望してください。
 それから、最後になりますけど、コスモパーク加太事業に対する十七億円のあれですけど、政治的判断だからどうやこうやと私は執行部に対して言える立場ではありませんけれども、私自身は執行部が判断してもらえればそれでいいんですけども、実際、四十五年という──まあ三十年でやったんですから、私たちは、その中の経済情勢、そして国が進めてきた不良債権処理の中で生まれてきて、そしてオリックスが数%の差額を抜いてもうけようとする、このシステムに乗っかる必要はないやないかと。別に乗っかる必要はないやないかと。
 だから、開発公社が非常に苦しみながらもそこで頑張ってもらうと。しかも、県はその土地をいろんな企業誘致や貸し付けながら有効に活用して、その土地代金をもらっていく、また借地金もらうと、そういう部分でやっていけばいいんじゃないかなと。今、慌てて十七億円というのは、私は、非常にこの財政厳しいときに十七億円を県民のためにもっと有効活用していく方が県民的支持を得られるんではないかということを思いましたんで、そのことを訴えて終わりたいと思います。
 終わります。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でございましたので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
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