平成18年7月 和歌山県議会臨時会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

平成十八年七月 和歌山県議会臨時会会議録 第一号
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議事日程 第一号
 平成十八年七月十九日(水曜日)午前十時開会・開議
  第一 会議録署名議員の指名
  第二 会期決定の件
  第三 議案第百四十二号(当局説明・条例改正請求代表者の意見陳述・質疑・討論・表決)
会議に付した事件
   一 会議録署名議員の指名
   二 会期決定の件
   三 議案第百四十二号(当局説明・条例改正請求代表者の意見陳述・質疑・委員会付託省略・討論・表決)
   四 意見書案
出席議員(四十人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(二人)
     十九 番       小   原       泰
     三十九番       阪   部   菊   雄
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十四番欠員
     二十六番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開会・開議
○議長(向井嘉久藏君) ただいまから、平成十八年七月臨時会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期臨時会の会議録署名議員は、十四番大沢広太郎君、二十番前芝雅嗣君、三十四番角田秀樹君の三君を指名いたします。
 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期臨時会の会期は、本日一日間といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、今期臨時会の会期は本日一日間と決定いたしました。
 次に、本臨時会に提出された議案は、お手元に配付のとおり、議案第百四十二号一件であります。
 日程第三、ただいま報告の議案第百四十二号を議題といたします。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 本日、臨時県議会を招集いたしましたところ、議員各位には何かとお忙しい中、御参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
 ただいま上程されました議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例について御説明を申し上げます。
 本議案は、去る七月四日、地方自治法第七十四条第一項の規定に基づき、請求代表者新田和弘氏及び山下俊治氏から和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の改正の請求が提出され、これを受理したので、同条第三項の規定に基づき付議するものでございます。
 都道府県議会の議員定数については、地方自治法第九十条第二項において、地域の実情等に応じた組織・構成の見直しが弾力的に行えるように都道府県の人口規模に応じて上限数が設定され、その範囲内で定めることとされており、また各選挙区における定数配分については、公職選挙法第十五条第八項において人口に比例して配分することとなっており、「特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる」こととされております。
 本件の請求は、全国的な議員定数削減の流れと、本県においても厳しい財政状況の中で不断の行財政改革が進められていることにかんがみ、県議会議員の定数について、地方自治法に基づく法定上限定数の四十六人から二人を削減し四十四人とし、各選挙区の選挙すべき議員の数についても、できる限り人口の格差をなくすための必要な是正を図ることとする条例の改正を求めるとの内容でございます。
 地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の意思決定機関として住民主権を実現するための根幹をなすものであり、とりわけ議員定数は議会の構成の基本にかかわる大変重要な問題でありますので、県民の理解が得られるよう県議会において総合的な見地から審議いただくべきものと考えております。
 よろしくお願いを申し上げます。
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 この際、申し上げます。
 本案の審議を行うに当たっては、地方自治法第七十四条第四項の規定により、条例改正請求代表者に意見を述べる機会を与えなければならないとされております。
 お諮りいたします。本案については、条例改正請求代表者であります新田和弘君に意見を述べていただき、時間については六十分以内とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 条例改正請求代表者の意見陳述を求めます。
 新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○条例改正請求代表者(新田和弘君) 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、意見陳述をさせていただきます。
 平成十八年七月の県議会臨時議会におきまして、ただいま木村知事より提案されました議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例案に対しまして、条例改正請求者は山下俊治氏と新田和弘の二名でありますが、私の方から意見陳述を行わせていただきます。
 なお、議長のお許しをいただきまして配付資料を配付させていただいておりますので、御参照くだされば幸甚に存ずる次第でございます。
 今回の直接請求いたしました条例改正案は、定数を法定上限数いっぱいの四十六から四十四に二削減する、その理由は、国において、総人件費の改革として今後五年間で地方公務員の四・六%以上の純減を目指すことが示されました。和歌山県議会の定数四十六の四・六%は二・一人となり、次期四年間の任期で選出される県議会の定数は少なくとも二人を削減して、県議会みずから人件費の削減に努めるべきであると考えるものであります。
 次に、各選挙区における人口格差は、選挙で一人が二票投票できないわけでありますから、格差は極力二倍以内に抑える努力が必要であります。そのため、橋本市を現行の定数二から三にふやし、逆に伊都郡、新宮市を定数二から一に、有田郡を定数三から二に、各選挙区でそれぞれ一減らすことで人口格差を二倍以内に抑える提案でございます。
 去る三月十七日の県議会で、自由民主党県議団、日本共産党県議団、県民クラブの三会派が全く想定外とも言える同一の修正案を作成し、条例改正案が可決されました。可決されました条例は議員の総定数を法定上限数いっぱいの四十六と定め、定数が全く削減されませんでした。
 本年三月の時点で、四十七都道府県中、法定数の上限いっぱいを定数と定めている県は、本県を含めて四県ありました。資料の「各都道府県議会定数の状況について」をごらんいただければわかるとおり、四月二十八日には徳島県が定数を四十二から四十一に一削減、六月二十日には岩手県が定数を五十一から四十八に三削減、六月二十一日には山口県でも定数を五十三から四十九に四削減したため、現在、法定上限数いっぱいを定数に定めているのは本県のみとなったことに対し、県民は速やかな改善を県議会に求めるとともに、県議会の定数を上限いっぱいのまま放置することへの強い怒りを持っているものであります。
 さらに、選挙区定数の配置については人口に応じた公平な配置が当然でありますが、改正条例では、議員選挙区等検討委員会の町田試案を自民党県議団、共産党県議団、県民クラブが強引に改悪して、橋本市選挙区を三から二へ、伊都郡選挙区を一から二にしたことにより人口格差が二倍以上となる選挙区が橋本市二・三倍、有田市二・一六倍と二選挙区になり、平成十二年の国勢調査をもとに定められた改正前の条例では、総定数四十六で人口格差二倍以上は有田市二・一一倍と一選挙区であったわけでありますので、検討委員会での検討を台なしにする、総定数は上限のまま削減もせず、人口格差二倍以上の選挙区をふやさせ、その比率を拡大させた条例改正は、まさに三会派による改悪条例だと県民が厳しい批判の声を上げております。
 橋本市議会の反対決議を皮切りに、五月十二日には和歌山県経営者協会、和歌山県中小企業団体中央会が、平成十七年国勢調査で人口が百三万六千六十一人と前回調査より三万三千八百五十一人も大幅に減少した、三位一体改革などによる県財政の悪化、行政改革に対応した県行政職員の人員削減や労働条件の見直し、各市町村における議員定数の見直し削減、他府県における議員定数見直しによる削減、民間企業の経営においても厳しい経済の実情等を勘案した合理化に積極的に取り組んでいる等の事由を挙げ、定数上限いっぱいの四十六人を適切に削減すること、さらに人口に応じた公平な定数割を定める旨の意見書が議長に提出されました。
 また、同日、連合和歌山からも、「今後を展望した人口動態、行財政改革に対する県行政職員の人員削減と労働条件の見直し状況、また県下各市町村における行政運営の改革、議員の定数見直し削減の状況、他府県における定数見直し動向等から、和歌山の現行定数四十六名の上限枠内での条例改正内容については再検討し、減員すべきであります」との意見書が提出されました。
 さらに、六月二十三日には、和歌山県地方新聞協会から、「和歌山県の人口はかつて百九万人に迫る勢いを見せていたにもかかわらず、さきの国勢調査では百三万六千人余まで激減した。県初め県下の自治体が職員はもちろん議員も削減して行財政改革に懸命な努力をしているとき、県議会のみ法律の許容範囲内だからといって四十六もの定数に安住することは許されるべきではない。立法権がある者はみずから率先して範を示すべきで、定数を半減するほどの意気込みを持って大幅削減を再考されることを地域住民の声の代弁者として要望し、決議する」との決議が議長あてに提出されたところであります。
 こうした状況の中で、私たち公明党県議団は、地方自治法第七十四条一項の規定に基づいて、本県有権者の総数の五十分の一以上の者の連署をもって直接請求による条例改正の署名運動を開始いたしました。
 四月二十一日に和歌山県条例改正請求代表者証明書の交付を県知事よりいただき、各市及び町の選管へ署名収集委任者の届けを行い、四月二十六日から五月三十一日の期間を実施期間と定め、実施いたしました。直接請求による署名運動に当たりまして、総務部総務管理局市町村課の皆様には大変御指導をいただき、本臨時議会を開催できましたことに対しまして、改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。大変にありがとうございました。
 署名収集委任者の皆様方初め、多くの県民の皆様方の御協力によりまして、県下九市七町で二万四千四百八十二人の署名をいただくことができました。
 六月五日、六日の両日で、市及び町の各選挙管理委員会に署名者について証明をいただく申請を行い、審査の結果、有効署名数が確定し、直接請求に必要な有権者の五十分の一、一万七千二百八十六人を上回る二万三千九百八十八人分の有効署名となりました。七月四日に木村県知事に対して条例改正案と署名簿等を提出し、条例改正を本請求させていただきました。
 条例改正請求代表者として、署名収集委任者初め御署名を下さいました多くの県民の皆様に、心より厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。また、マスコミの関係の皆様方にも、私たちの活動を県民の皆様に広く報道していただき、心より感謝申し上げます。
 先日、和歌山市内で年金生活をしている方から電話をいただきました。「市・県民税の計算が間違っていると思うのですが」とのことで、電話では説明が無理と思い、直接電話の主のお宅を訪問しました。本年度の納税通知書と昨年度の分を並べて、「今年から老年者控除四十八万円が廃止されました。年金の所得計算方式が百四十万円控除から百二十万円控除に二十万円課税対象がふえました」など説明をしても、前年度九千円であった市・県民税が今年は四万二千円になったことに、「どうして八十歳近くになった私たちから四倍以上も税金を取るのか」との厳しい訴えがありました。和歌山市役所でも同様の声が多数寄せられているとのことであります。
 作家の童門冬二氏は、現在の政治状況を見て、「民が本当に頼れる政治が行われることが先ではないのか」と述べ、「国民の信頼があってこその政治家だ」と、求められる政治家像を述べております。さらに、「民意の把握は、いつも弱い立場、苦しい立場のそばにいるという政治家でなければ民意の把握はできない」とも述べております。
 童門冬二氏の「小説 上杉鷹山」の後書きに、鷹山が心身障害者の妻を限りなくいたわり、その愛情を藩政全般に敷衍していったことを知り、童門冬二氏は鷹山にのめり込んだと書いております。有名な「伝国の辞」に、「国家人民のために立ちたる君(藩主)であって、君(藩主)のために人民があるのではない」との言葉から、県議会議員のためにある条例ではなく、県民の民意を反映した条例であるべきと強く思う次第であります。
 今日、人口減少時代を迎え、さらに格差社会の進展する中、県議会で本県のみが総定数を削減しないでいることは断じて許されないと思います。企業の経営に携わる方々や県下各地で働く連合の皆様や県下のマスコミの皆様、そして直接請求に御署名いただきました二万三千九百八十八人の訴えに県議会の皆さんが真摯に受けとめていただき、意識を大きく変えていただき、県民の皆様の理解できる御判断をいただけるよう心より念願をいたしまして、意見陳述とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、条例改正請求代表者の意見陳述が終わりました。
 これより議案に対する質疑に入ります。
 角田秀樹君から発言の通告がありますので、これを許可いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 おはようございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして質疑をさしていただきます。
 ただいま、条例改正請求代表者として新田和弘議員より、地方自治法第七十四条の規定により直接請求の条例改正案の意見陳述がなされました。
 さて、去る二月定例議会最終日、三月十七日の本会議において上程された議員提出議案第二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例が、提出者の提案理由の説明もなく、賛成多数で可決されました。
 我が公明党県議団は、我が国における国会や都道府県議会、市町村議会の定数削減の流れに明らかに逆行するものであり、到底県民の理解を得られるものではなく、条例改正に断固反対するものであると、強く反対の意思を主張いたしました。
 また、橋本市議会においては二度にわたり反対決議を県議会議長に対し意思を表明しており、今もその状況は変わっておりません。さらに本年五月には、和歌山県経営者協会並びに和歌山県中小企業団体中央会、加えて連合和歌山、そして六月には和歌山県地方新聞協会といった各種団体からも反対の意見書、また要望決議が議会に対し提出されています。
 さきの県議会定数問題については、検討委員会が設置され、過去十三回にわたって検討を行ってきました。委員会での方向性として、委員長試案の定数一減が全会派一致で了承される見通しであるかに思いましたが、しかし突然、自民党県議団、日本共産党県議団、そして県民クラブの三会派が全く想定外とも言える同一の修正案を提出し、法定上限定数いっぱいの四十六名のままで変わらず、また不公平かつ不平等なもので、選挙区での定数配分については到底納得できるものではありませんでした。
 そこで、私ども公明党県議団として、県下の市町会議員及び党員の方や意に賛同をしてくださった自治会役員等の応援もいただき、四月二十六日より五月三十一日の間、県民の直接請求のための署名運動を行いました。広く県民に、今回改正された条例について正か否かを直接現地に足を運びお一人お一人から御意見をいただき、和歌山県条例改正に必要な五十分の一である一万七千二百八十六名を上回る、自筆による有効署名数二万三千九百八十八名の署名簿を、七月四日、多くの報道関係者の見守る中、木村県知事に手渡した次第でございます。
 署名活動を通じ、大多数の方々が、さきの条例改正に対し、きっぱりノーと言っています。私は、今臨時県議会に上程いたしました条例改正案は、県議会議員の総定数を四十六名から四十四名に削減し、選挙区での正常な定数配分の見直し案に対する県民の賛成同意をいただいたものと確信いたしました。この県民の民意に対する思いに対し知事の御所見をお伺いいたしまして、質疑とさしていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 去る七月四日、請求代表者から、有権者の五十分の一以上に当たる二万三千九百人余りの署名とともに県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の改正請求があり、執務室においてこれを受理いたしました。
 本日、地方自治法第七十四条第三項の規定に基づき、その内容を議案として提案したところでございます。
 議案に付した意見にございますように、地方公共団体の議会は当該地方公共団体の意思決定機関として住民主権を実現するための根幹をなすものであり、とりわけ議員定数は議会の構成の基本にかかわる大変重要な問題でありますので、県民の理解が得られるよう県議会において総合的な見地から御審議いただくべきものと、このように考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 再質疑はありますか。──答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、角田秀樹君の質疑が終了いたしました。
 ほかに質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) お諮りいたします。質疑は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、質疑はこれをもって終結いたします。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時三十一分休憩
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  午後一時二分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 お諮りいたします。議案第百四十二号については、委員会付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、討論に入ります。
 まず、松本貞次君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 四十五番松本貞次君。
  〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 議案第百四十二号について、反対の立場で県民クラブを代表して討論に参加をいたします。
 「地に落ちたか県会議員」「田舎で四十六人は多過ぎる」「もうかってもうかって笑いがとまらない県会議員」──地方紙の記者はおもしろおかしく議員定数の問題を風評しています。
 二名議員を減らして、和歌山県はよくなるのでしょうか。五年先、十年先の和歌山の将来を考え、あすへの夢と希望が持てる郷土和歌山県を築くためには今何が必要で何をなすべきかを考えるときだと思います。
 田舎に議員は要らない──そうでしょうか。今一番大切なのは、農業、漁業、林業、和歌山の一次産業の活性化なくして和歌山県の発展は、未来はないと考えます。農家の人々、農業を営む人々の政治に対する思い、願いは日々切実に、私たちに対して訴えております。田舎の議員だからこそ県民の目線で話を聞き、思いを語れるのではないでしょうか。
 また、今日、地方分権、行政改革の名のもとに、何もかもがその渦に巻き込まれていないのか。五十市町村が三十市町村になりました。だが、今、木村知事が提唱する二次合併を真摯に考え、県民の声を聞き、県民の目線で将来の和歌山県の市町村のあり方を築くため、暗に今議員を減らすべきではなく、和歌山の将来を見据えた議員定数を定めるべきだと考え、今回我々は本議案百四十二号に反対をいたしたい、そう思います。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 次に、藤井健太郎君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきまして、議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例について、日本共産党県議団の議員定数についての見解を述べて、議員定数を削減する議案については反対する立場から討論を行います。
 付議された条例は、二月議会で改正された議員の総定数を四十六人から四十四人に二人減員し、各選挙区での定数について、橋本市で一人増員、新宮市、伊都郡、有田郡でそれぞれ一人ずつ減員する内容となっています。
 地方自治法第九十条に都道府県議会の議員の定数についての定めがあります。「議員の定数は、条例で定める」とし、人口区分に応じて算出された数を超えない範囲で定めなければならないとあります。人口百万以上の都道府県にあっては、「人口九十三万を超える数が七万を増すごとに一人を四十五人に加えた数」とあり、本県での直近の国勢調査による人口で算出された議員定数の範囲は四十六人となります。つまり、四十六人を超えない範囲で条例により議員定数を定めることとされており、議員定数についてはそれぞれの自治体での住民自治の発揮を期待し、議会の審議にゆだねているわけです。
 私たちは、住民自治の発揮という意味でも、議員定数問題は地方政治における民主主義の基本問題であるとの認識のもとに、この問題を論じるに当たっては、議会の基本的役割と機能について再度確認していく必要があると考えています。
 地方自治体は、執行機関である首長と議事機関である議会の議員を住民の直接選挙で選ぶ二元代表制をとっており、それぞれ独自の権限と役割を持っています。この点は国の議院内閣制と大きく異なる仕組みになっています。
 地方議会の基本的役割と機能とは何でしょうか。私たちは、大きく分けて、住民の声を代弁し住民の意思を代表する機能、条例を立案し定める立法機能、執行機関に対する批判・監視機能があると考えています。執行機関としての行政と議事機関としての議会、この役割分担と権限の違いから来る機能を十分生かした活動が求められているところであります。
 今日、地方財政危機の深まりのもとで、徹底した地方行財政改革の推進が行政の重点施策とされ、職員数の大幅削減、民間委託や県が実施する事業の廃止・縮小が進められております。全国的に議員定数の削減も行財政改革の課題として言われ、削減が進められている状況にありますが、議員定数の削減を行財政改革の対象として議論することには疑問を感じるところであります。
 都道府県議会議長会のもとに置かれている都道府県議会制度研究会中間報告(〇五年三月)に議員定数について言及している部分があります。「議会は地域における政治の機関であり行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない。議員定数は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律削減論は適当ではない。また、競って定数削減を行うことは、地域における少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである」というもので、的を射た指摘であると思います。
 議会の議員定数を行財政改革の対象として削減を進めようとすることについては、議会と行政を同列に置くものであり、議会が住民を代表する議事機関としての役割のより強化が求められている今日において、執行機関の体制と同様に論ずることは適切ではないと思います。
 行財政改革の対象としての議会経費の削減という点から言うならば、既に削減が実施された歳費や費用弁償など議員に支払われる経費を初め、議会全体での事務経費の効率化、簡素化などに取り組むことが必要だと考えます。また、公職選挙法では、「都道府県の議会の議員の選挙区は、郡市の区域による」となっており、原則として人口比例で定数が定められることとなります。人口の少ない区域では定数一となる場合もありますが、住民のより広範な声を議会に届けるためにも、あえて一人区をつくることは好ましいことではないと思います。
 地方財政の危機的状況が深まるもとで議会の果たすべき役割はますます重要となっています。住民の負託に十分こたえていける議会活動の前進を目指し、住民の代表としての審議能力、立法能力のより充実した議会であることを望むものであります。
 以上で、討論を終わります。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 次に、中村裕一君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 議案第百四十二号について、自由民主党県議団を代表して反対の立場で討論を行います。
 このたびの請求において請求者は四点の理由を挙げていますが、私たちはそれぞれについて次のように考えます。
 まず、全国的な流れを理由に挙げていますが、都道府県議会の議員定数は地方自治法九十条一項において定められており、同三項において、条例で特に減少することができるとされていることから、定数は法定数が原則であり、むしろ定数減は例外的であると解するべきであります。
 また、和歌山県だけが残ると言われますが、分権型社会の創設が叫ばれる今こそ、全国横並びにする必要はなく、和歌山県独自に定数のあり方を考えるべきではないでしょうか。
 次に、市町村議会の定数減を理由に挙げていますが、県議会の定数は市町村議会の定数と連動するものではなく、県行政の事務量、人口、地理的条件、面積、過疎、市町村合併の推移、市町村からの要望など、総合的に判断して決定すべきものであります。
 私自身の経験を申し上げれば、市会議員時代は家業をやりながらいろんな本も読めましたし、市の刊行物はすべて目を通し、議案書などは穴があくほど精査できました。しかし、今は、決して怠けているわけではありませんが、そんなことは物理的にかないません。市町村会議員と県会議員では、明らかに対象範囲、事務量が違うのであります。にもかかわらず、議員というだけで何か役所の付録のようにみずからの職責を否定するような一律の削減には迎合できません。
 三番目に、県当局の行革を理由に挙げていますが、県議会の議席は議員個人のものではなく、県民の声を反映し、当局を監視するなどの権利を行使するための県民の貴重な財産であります。それを単に比較して削減することは適当ではありません。
 例えば、県当局も議員相当職に当たる三役や部長級を削減しているわけではありません。また、千九百名の職員削減とありますが、県立医科大学の独立行政法人化に伴う県職員からの身分の離脱や教職員の少子化による自然減もかなり多く含まれていると聞きます。しかも、県立医科大学が直ちに議会の審査対象でなくなったわけではありません。もし今以上に経費を削減せよと言われるのであれば、さらなる報酬の削減や公用車の廃止、事務局定数の見直しなどをまず行うべきではないでしょうか。
 四番目に、定数配分については、人口、地理的条件、面積、過疎、市町村合併の推移、市町村からの要望など総合的に判断して決定するべきであると考えます。あるときは国に対し過疎を訴え、人口比によらず特別の配慮を求めながら、県内では人口比を声高に主張するのは矛盾しています。「一隅を照らす」という言葉がありますが、おくれている地域、弱い立場の人のためにこそ政治は大いに頑張らねばと思います。
 念のため、伊都郡町村会、同町村議長会からは定数維持の要望もあったことを申し添えます。
 ここで、私たち自民党県議団の定数問題についての考えを申し上げます。
 そもそも定数問題については、これまでも本県特有の地理的条件、面積、過疎等の問題を加味し、是正を行ってきたところであります。
 先般、平成十七年末の国勢調査発表を受け、県議会に選挙区等検討委員会を設置し、十三回にわたって幅広い角度から活発な議論を重ねてまいりました。その中で、特に市町村合併については、ことし四月までに旧合併特例法のもとで十二市町が誕生しましたが、新法による合併推進構想が二月に知事から示され、今後のさらなる合併が期待される過渡期にあることや、本県では都市部への人口集中と郡部の過疎化が進行する中で地域間の均衡に配慮する必要があると考えました。
 また、市町村からの要望などもお聞きし、総合的に判断した結果、私たち自民党県議団は、二月定例会におきまして成立した自民党案を提出した次第であります。
 今後、合併新法における二次合併が進捗した段階で、改めて総定数、定数配分について是正を行ってまいる所存であります。
 以上をもって、討論といたします。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) 次に、江上柳助君から賛成討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 公明党県議団を代表いたしまして、議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例に対して、賛成の立場から討論をさしていただきます。
 今回の条例改正案は、県議会の定数削減と各選挙区の議員数の公平な配分を求める直接請求によるものであります。我が国における国会や都道府県議会、平成の合併による市町村議会の定数削減の流れに沿うものであり、法定数上限いっぱいの都道府県は和歌山県議会のみとなった今日、ぜひ実現しなければならない条例改正であると考えます。
 全国的に見て、都道府県において定数に関する条例改正の直接請求は初めてのことであります。また、本県における直接請求は、昭和二十三年七月の電気ガス・鉱産税の改正を求める直接請求以来、五十八年ぶりのことであります。
 五十八年前の昭和二十三年の電気ガス・鉱産税の改正を求める直接請求は、終戦後廃止になっていた電気ガス・鉱産税が県税法定外独立税として復活になりました。これに反対し、電気ガス・鉱産税を廃止するために知事に対して直接請求が行われました。県議会では、直接請求の審議を行うために特別委員会を七月の二十七日と二十八日両日にわたって開き、慎重な審議の結果、否決されております。その理由は、電気ガス・鉱産税は七月七日、ちょうど特別委員会での審議が始まる二十日前に国において法制化されたため、条例の改正は無意味であるとしております。
 直接請求の条例改正案には、知事であろうが、だれ人たりとも手を加えられないことになっております。皆様御承知のとおり、直接請求制度は地方自治法第七十四条に定められており、地方公共団体に属する住民が発動する基本権で、地方自治に限られ、地方自治だけにしか認められない制度であります。
 このたび私どもが行った五十八年ぶりの歴史的な直接請求による臨時会であるにもかかわらず、定数については議論を尽くしたなどの理由で委員会付託は行われず、会期は一日、本会議でのわずか一日の審議であります。このことは、県民の意思、声を軽視したものと言わざるを得ません。直接請求という県民の感情と本県の将来を担う重要な案件を軽々しく取り扱うことは絶対に許されないことであります。
 私は、住民の直接請求の重みを踏まえ、本臨時会において十分に議論を尽くすべきであると考えます。わずか一日間の会期日程及び委員会付託なしの議案の取り扱いについて、まことに残念のきわみであります。
 なぜならば、二月県議会の三月十七日に、法定数を全く削減しない現在の四十六定数条例が採択されたときは、自由民主党県議団、日本共産党県議団、県民クラブの三会派の賛成で、全会一致ではないにもかかわらず、提出者を代表しての提案趣旨説明が行われませんでした。しかも、全国的な定数削減の流れに逆行するものであり、合理的理由を欠く、お手盛りと言われても仕方のない内容でありました。私たち公明党県議団は、到底県民の理解を得られるものではないため、反対討論を行い、条例化には断固反対をいたしました。
 その後の政治社会情勢は大きく変化しております。二月議会の三月十七日現在で法定数を議員定数の上限としている県は、徳島県、岩手県、山口県、和歌山県の四県でありました。しかしながら、徳島県では四月の二十八日に法定数四十二人を四十一人に一人削減、岩手県では六月二十日に法定数五十一人を四十八人に三削減、山口県では六月二十一日に法定数五十三人を四十九人に四人削減いたしました。その結果、法定数上限いっぱいの都道府県は、全国で和歌山県議会だけとなったのであります。
 徳島県議会では、四月二十八日の提出者を代表しての提案趣旨説明の中で、「全国的な市町村合併の流れを受けて、一万人以上の市町村議員が削減される中、都道府県においても法定上限数を維持しているのは和歌山県のみであり、まだ審議途中の二県を含め他の都道府県は、いずれも定数削減の方向であります」と述べられ、徳島県議会議員定数条例改正案の趣旨説明のまくら言葉として和歌山県が紹介されるありさまであります。
 また、県経営者協会、県中小企業団体中央会や連合和歌山、和歌山県地方新聞協会などが、県議会議長あてに相次いで定数削減見直しの意見書を提出しております。橋本市議会は、二度にわたる反対決議を行っております。そしてこのたび、私たち公明党県議団は代表請求者と一緒に、自署による署名、押印による二万三千九百八十八名の署名を添えて直接請求を木村知事に七月四日に行い、本日、臨時会が招集、開会されたわけでございます。
 県民は、県議会の定数削減に重大な関心を持ち、大きな期待を寄せております。私たちは、条例改正を求める直接請求のための署名運動を四月二十六日から五月三十一日までの期間実施する中、さまざまな県民の賛同と共感の声が寄せられました。まず、署名のお願いに伺って「頑張ってください」との励ましの声はあっても署名に反対する人はただ一人ありませんでした。「定数削減は大変いいことである」「協力します」「お手伝いします」、署名収集委任者を申し出る人、「期待しています」「頑張ってください」と電話をしてこられる人、署名運動の反響は大変なものでありました。
 そして、県条例改正に必要な有権者の五十分の一、すなわち一万七千二百八十六名を超える二万四千四百八十四名の署名を収集。六月の五日から六日にかけまして市町の選管に提出をいたしまして、二十日以内の選管での審査を終え、七日間の縦覧、審査の結果、有効署名は二万三千九百八十八名、無効がわずか四百九十六名でございました。有効署名九七・九七%──二%は無効でございますが、普通、このような署名は五%以上の無効が出ると言われております。しかも、二万四千四百八十四名の署名というのは、有権者のいわゆる二・八%、約三%でございます。非常に精度の高い署名であったことを申し添え、御協力をいただきました関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
 そもそも、なぜ私たちは県民の皆様から自署による署名、押印をいただき、知事への提出、条例改正の直接請求を行ったのか。ことしの二月議会では、和歌山県議会議員選挙区等検討委員会での審議の中で、町田委員長、町田試案として、四十六定数を一減の方向で話し合いが進められておりました。私ども公明党県議団は一減の方向に賛成でありました。
 ところが、町田試案を自由民主党県議団、日本共産党県議団、県民クラブの三会派賛成のもと、強引に橋本市選挙区を一減し、伊都郡選挙区を一増し、和歌山市選挙区一減分を有田郡選挙区へ一増したことは、到底認めることができません。
 また、定数は削減なしの四十六人そのままで、各選挙区の議員の数の格差は従来より拡大した内容となっております。その結果、定数は四十六人で法定数上限いっぱい、選挙区の格差は伊都郡選挙区を一とした場合、橋本市は二・三倍、有田市は二・一六倍の格差が生じたわけであります。すなわち、二倍以上の格差を残す内容となっております。橋本市の人口六万八千五百二十五人と伊都郡の人口二万九千八百十七人で、橋本市の人口は伊都郡の人口の二倍以上にもかかわらず同じ定数二であります。
 ある地域の住民の方が別の地域の住民の方の持つ得票の重みの半分しか持てない、こういうことを許してよいのでしょうか。橋本市と伊都郡とは隣接しておりますので、地域性や合理的理由があるとは考えられません。だれが見てもおかしいのであります。「代表なくして課税なし」と言われるように、代表は平等に公平・公正に選出されなければなりません。
 また、今から百二十七年前の明治十二年五月五日に、最初の県議会通常会で、初代議長浜口儀兵衛──浜口梧陵翁でございますが、初代の県議会議長であり、初代の逓信大臣でもございます。今日、向井嘉久藏議員は第七十七代目の議長でございますが、この浜口梧陵、いわゆる初代議長は、県議会を立法者と位置づけ、自負しておりました。まだ国会が開設されていない時代であります。国会が開設されたのは明治の十三年でありました。その時代に議会政治の原則を示したものとして注目されております。議案の提出権は当時なかったものの、県令から提出される議案の審議、地方の利害に関する建議について、立法者という立場に立って真剣に取り組んでいたことがうかがわれます。
 その当時の記録を見ますと、いろんな議案に対してことごとく議論がなされ、そして修正を加えられたという記録が残っております。そのように、県議会、そして立法者はみずから率先して範を示すべきで、公平・公正でなければなりません。しかしながら、一部会派の中には、議員の数は減らすべきでないとの意見があります。百歩譲って議員の定数を削減せず四十六人とした場合、各選挙区間で生じた定数の格差の拡大、不公平・不平等をどのように説明しようとするのか、私には理解ができないのであります。
 本県における市町村合併は、平成十六年十月一日にみなべ町が誕生して以来、五十市町村から三十市町村となりました。市町村合併に伴う定数削減により、市町村議員数は、前回統一選後の平成十五年七月現在七百四十五名であったのが平成十八年三月現在の条例定数は四百八十名と、実に二百六十五人、三五・六%削減されております。このような状況のもと、議員定数を法定上限数である四十六人とすることには、県民の感情からしても到底許されるものではありません。県民の目線に立ち、まず我々県議みずから率先して身を削る覚悟が必要不可欠であります。
 また、三位一体改革により、本県の行財政改革推進プランでは、職員定数、総人件費の大幅削減を実施するために今後五年間で千九百名の削減を図り、行政のスリム化を図ることとしております。選挙区定数の配置については、先ほど申し上げましたように、町田試案を改悪して橋本市選挙区を三から二へ、伊都郡選挙区を一から二にしたことにより一票の格差が二倍以上となる選挙区が橋本市選挙区二・三倍、有田市選挙区二・一六倍の二選挙区であります。
 今回提出されております議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例は、議員定数を四十六人から二人減らし四十四名とし、各選挙区の議員の数は、橋本市選挙区二人を三人に、新宮市選挙区二人を一人に、伊都郡選挙区二人を一人に、有田郡選挙区三人を二人に改めるものであります。このように改めることによりまして、議員一人当たりの人口が一番少ない日高郡選挙区を一とした場合、橋本市選挙区一・一九倍、有田市選挙区一・六七倍を初め、県下すべての選挙区の格差は二倍以内におさまるわけでございます。
 景気の十分回復していない本県で、税制改正による負担増や紀の国森づくり税など県民に負担を押しつけることになっております。さらに、勝ち組、負け組と言われるような格差社会の進展に伴って、高齢者や障害者、フリーターなどの若者にとって厳しい社会経済情勢であります。それぞれ県議会議員みずからも、県民の皆様が懸命に額に汗して働き、御苦労されている痛みを分かち合う中で、県議会だけが聖域なのかとの厳しい批判を回避することができると思うわけであります。そのためには、人口減少率全国ワースト二位、本県の厳しい財政状況のもと、法定上限数を維持しているのは和歌山県のみとなった今日、県議会においても総定数の削減、各選挙区の議員の数を人口比で公平に配分することを今回是が否でも実現しなければならないと考えます。
 なぜならば、地方自治法第九十条四項で、「議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない」となっております。今回、定数の変更ができなければ、正確に言えば、四年九カ月後の平成二十三年の一般選挙からの施行となるからであります。また、都道府県において定数に関する条例改正の直接請求は初めてのことであり、本県においては五十八年ぶりのことであります。住民の発動による基本権とあわせ、県当局、知事の意見も尊重しなければならないと思うわけでございます。
 昨年十二月の第二十八次地方制度調査会の「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」の「議会に対する期待と評価」の中で、「議会には、多様な民意の反映、さまざまな利害の調整、住民の意見の集約などの役割が求められており、議会の構成や運営において、議会の意思と住民の意思が乖離しないような努力が従前にも増して必要とされている」と述べられております。今回の選挙区条例の見直しは改革の第一歩であり、さらに今後、県議会の改革を進めていかなければならないと思います。
 私ども公明党県議団四名といたしましては、住民の意思、県民の世論に真摯に耳を傾け、議案第百四十二号和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例に賛成することを表明いたしまして、討論といたしたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) これをもって、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 議案第百四十二号を採決いたします。
  〔退場する者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(向井嘉久藏君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
  〔入場する者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、「北朝鮮のミサイル発射に対し、厳重に抗議し断固たる措置を求める意見書(案)」が提出されております。
 お諮りいたします。「北朝鮮のミサイル発射に対し、厳重に抗議し断固たる措置を求める意見書(案)」は緊急を要しますので急施事件と認め、これを本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 和議第五十五号「北朝鮮のミサイル発射に対し、厳重に抗議し断固たる措置を求める意見書(案)」を議題といたします。
 お諮りいたします。本件については、提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 和議第五十五号を採決いたします。
 お諮りいたします。本案を原案のとおり決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 以上をもって、本臨時会の議事はすべて終了いたしました。
 これをもって、平成十八年七月臨時会を閉会いたします。
  午後一時三十九分閉会

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