平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 議長の許可を得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 三つの点について質問をさしていただきますが、きょうは福祉保健部長のみに質問を集中的にさしていただきたいというふうに思います。
 最初に、医療問題についてであります。
 今、医師不足で、自治体病院も中小病院も危機的状況にあると聞きます。中でも、医師不足を理由に診療報酬が減額されるからです。医療法が定める必要医師数に対して七〇%以下だと一割の減額、五〇%以下だと一・五割もの入院基本料が減額されるからです。医師不足の影響は、病院経営にも患者にとっても深刻な状態を招きます。そこに四月一日から三・一六%もの診療報酬が引き下げられましたから、なお問題は深刻となってきております。
 入院患者に対する看護職員の配置でも、一般病棟で見てみますと、これまで入院患者十人に対し看護師一人が入院基本料金として一日当たり一万二千九十円でしたが、これが若干上がりましたものの一万二千六百九十円に、そして新たに患者七人に対し看護師一人という配置基準が設定されました。入院基本料は、一日一万五千五百五十円です。しかも、病棟では、夜勤は月一人七十二時間以内とする規制が盛り込まれました。県でこの条件を満たせる病院は一体幾つあるでしょうか。
 今までは、現場では、夜勤は一人が我慢をしながらでも十回でも十一回でもやらざるを得ない状況もありました。それだけに、多くの看護師を必要とする今度の診療報酬の改定です。看護師配置が低いと診療報酬もぐっと低くなります。
 三交代勤務では月九日以内ということになりますから、看護職員の夜勤は二人以上で月八日以内という現場の要求には近づいたと言えますけれども、慢性的な看護師不足のもと、いろいろな事情で夜勤のできない人も多くあります。職場では、回数はふえてもと思いながら、調整しながら入院患者の看護が続けられてきました。こうした職場の血のにじむような努力は一体どうなるのでしょうか。
病院の経営はどうなるのでしょうか。大変気になるところです。
 入院の在院日数が長いから診療報酬を引き下げる。医師、看護職員不足等の対策が不十分のまま、まず医療費削減ありきでは、よい医療、よい看護の保障はいつまでたってもできないままになってしまいます。
 六月十四日、医療改革法が強行採決されました。参議院での審議でも多くの問題点が浮き彫りになったところでありますけれども、いずれの公聴会や参考人公述を含めて、法案への批判や不安の声が相次いだところです。負担増反対の署名においても、短期間に一千七百万人もの賛同者がありました。
 七月からは療養病床の患者を、医療の必要性が低いとされる患者の診療報酬は大幅に削減されます。病院収入が減るため、退院を患者に余儀なく求めることになります。十月からは、七十歳以上の現役並み所得者は窓口負担が二割から三割に、療養病床に入院している七十歳以上の居住費と食費は自己負担に、これが月三万円から四万円の負担増となるところです。そして、療養病床を三十八万床から十五万床にと、これから六年の間、二〇一二年までに減らすとしています。そして二〇〇八年四月からは、七十歳から七十四歳の窓口負担が、これまた一割から二割に引き上げられることになります。
 さらに、七十五歳以上のお年寄りに新たな後期高齢者医療制度をつくり、全高齢者から保険料を徴収します。保険料は月五千円とも六千円とも言われていますし、一万五千円のわずかな年金をもらう方からも保険料を天引きするとしています。六十五歳以上の国保加入者の保険料も年金から天引きするということになっています。
 その上、重大なのは、滞納した場合、一年以上たつと保険証を取り上げ、資格証明書を発行されることになりますし、そうなりますと、医療費は一たん全額十割払うことになります。
 さらには、保険のきく診療ときかない診療を組み合わせる混合診療を導入することになっています。これまでは差額ベッドや高度先進医療など例外を除いて原則的には禁止をされてまいりましたが、国内未承認薬などを加えて適用範囲を広げていこうというものです。
 以上、改悪内容を申し上げましたが、まさに医療費削減先にありき、そのものだと言えます。どこまで高齢者を痛めつければ気が済むのでしょうか。私は、強い怒りを禁じ得ません。
 私は、これらの改悪法が──地域医療をまじめに支えてこられた和歌山市内と有田地方の五つの中小病院を訪問して事務長さんなどと懇談をしてまいりましたが、皆さん異口同音に、地域医療は壊れるのではないだろうか、一般病床から療養病床に施設整備して三年もたってないではないか、それに要した借金も返済はこれからなんだ、そんなときに療養病床の縮小とは本当に非情だ、これから先どうしたらよいのか迷っている、患者の受け皿の整備もないのに退院は勧められない、全く国は無責任きわまりない、医療現場を十分知った上で事を進めるべきだ、こんな怒りの声が多く寄せられたところです。いずれの中小病院も医師や看護師確保に苦労されております。こうした声はいつになく切実なものでした。
 そこで、お尋ねをしたいと思います。
 一つは、どのような医師や看護師の確保対策を考えていますか。高齢者の皆さんからは、「病気になっても入院できへんな。医療を受ける権利も生きる権利もなくなったんやな。死ねと言うとんのか」、こういう声があります。また、「医療、介護、これ受けられへん難民がいっぱい生まれるんやないか」とため息まじりに訴えられたお年寄りに、私は答えるすべがありませんでした。
 本県の七十歳以上の人口は、二〇〇五年三月三十一日現在で十八万二千五十人です。全人口の一七・一%。七十五歳以上の高齢者は十一万八千二百三十八人、一一%です。全国順位十六位となっています。
 二つ目の質問ですが、これほどまでにお年寄りに負担を強いる大改革をどのように受けておられますか。率直な御意見をお聞かせください。
 三つ目に、地域医療を守り、県民の医療と健康を守る立場から県独自の支援を考えておられることがありましたらお聞かせください。
 福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問に入ります。
 障害者自立支援法の施行のもとでの施策についてであります。
 先ほども御質問がありました。私も、重なる部分もありますが、お尋ねをしたいというふうに思います。
 障害者自立支援法が四月に施行されました。法律に対して最も批判が多かったのが、障害がある人の負担が応能負担から応益負担の一割負担に変えられたことでした。生きていくために必要なサービスを受けることがなぜ益とされるのか。十分な所得保障もないのに障害が重いほど負担が大きくなるという生存権を否定するようなやり方への怒りと不安の声が相次いだところです。
 県は、昨年、この法案が国会へ提出される前に、関係する県民の声を県内各所で聴取をされ、その声をまとめて国に提出をされてまいりました。こうした取り組みはかつてなかったことではないかと思います。この姿勢については関係者からも大変歓迎を受けましたし、私どもも評価するところであります。
 法律の施行から二カ月余り経過した今、利用者や施設関係者などの声に県が改めて耳を傾けて必要な施策を講じていただきたいと強く願うものであります。この立場から、幾つかの問題について質問を申し上げてまいります。
 先日、県共同作業所連絡会が、施設の利用状況や今後の見通しなどについて、五月から六月にかけてアンケート調査を行われました。私は、その結果を拝見するとともに、施設関係者の皆さんからも直接お話を伺ってまいりました。
 そのアンケートで明らかになったことの一つ目は、応益負担で利用料金の負担が重いため施設の利用を続けられなくなっているケースや、昼食を、施設が出す昼食から安価なものに切りかえるということが起こっています。知的障害者の授産施設の利用をやめた人が三月から四月にかけて十六人あります。やめるかどうか今考えている人も、十人ほどありました。合わせると二十六人です。アンケートへの回答は、二十施設、施設利用者の合計は五百四十八人ですので、約五%になろうかと思います。また、利用を控えている人も、四月以降、毎月十人前後あります。
 また、障害者自立支援法は、小規模通所授産施設や無認可の作業所が地域生活支援や就労支援といった新事業を進めることを求めておるところです。五百五十一人の利用者がありますが、ことし十月以降、新事業へ移行して経済的負担が重くなったときのことを考えると通えるかどうか思案中だという人は二十八人もあります。その上、施設の側から、新事業のことを十分説明し切れていないケースや利用者の気持ちを把握できていないという回答もありました。今後、このことはふえる可能性が十分にあるというふうに思います。
 知的障害者の授産施設で給食をやめた人は何をしているか、何を食べているかと聞きましたら、コンビニエンスでカップラーメンを買ってきて食べている、あるいは売れ残って安くなった弁当を食べるなど、これを見ると、栄養面からは余り好ましくない状態に置かれている人もあるようです。また、施設の利用をやめた人の中には、高齢で年金暮らしの両親に負担をかけるわけにはいかないと家にこもってしまった方もあるとお聞きしました。
 二つ目は、施設は四月から日々の利用人数に応じて支援費を請求しなければならなくなり、収入が減少しているという問題です。
 一カ月二十二日が基本とされていますが、ある施設では、四月に実際に開けたのは二十日間でした。利用者の中には、体調が悪く施設に行けないこともあるため、平均すると七五%程度の出席だったと言います。激変緩和措置などもありますけれども、施設の収入は大幅減ったと言います。ことし一月から三月までは毎月四百七十万円前後の収入だったのが、四月には三百八十万円まで落ち込んだそうです。
 施設の収入の減少は、即人件費にしわ寄せがいかざるを得ません。福祉には専門的な人の手が大切ですが、収入の減少は、障害がある人へのサポートにも職員の暮らしにも暗い影を落とすことになります。
 施設の収入の中には、利用者の負担も含まれています。多くの人がこれまで要らなかった利用料を払わなければならなくなり、平均一万円の負担増になると言います。
 施設に払われる報酬が日割り単位に変わりましたから、入所施設でも同様のことが起こります。グループホームの利用者は、お正月やお盆には帰省します。しかし、それでは施設の収入減になってしまうという仕組みにも変えられてしまっているわけです。自立のために働きに行った施設で、工賃を上回る利用料を払わなければならない。そして、利用者と事業者を分断させるような、こんな理不尽なことをいつまでもほうっておくわけにはいかないと思うんです。
 県は、昨年六月、国へ提出された障害者自立支援法案に関する提言の中で、「現在の利用者が施設からの退所を余儀なくされることのないよう柔軟な対応が必要である」と述べられています。障害がある人とその家族からも、負担がふえることへの不安の声も国へ届けられました。
 そして、今るる紹介しましたように、利用者が施設からの退所を余儀なくされたり施設の収入が激減するなど、懸念されていた問題が現実のものとなってきていることも、ぜひ国へ届けていただきたいと思うところです。
 県として、法施行後の障害者とその施設の動向をどのように調査し、把握しておられますか。調査は繰り返し行い、必要な提言が継続されることを期待するものです。
 小泉首相は、法案審議の中で、「法律を実施し、問題があるとわかればしかるべき対応をとる」、このように答弁しています。応益負担を応能負担に戻してほしい、施設の報酬は切り下げられた単価を月単位の計算に戻してほしい、こうした要求は今切実になってきています。国へ提言をすると同時に、県独自にも利用者の軽減措置をとることを強く求めたいと思います。
 全国各地の自治体では、独自の軽減策がとられています。京都では利用者の負担上限を住民税非課税世帯は国基準の半額にするなど、きょうされんのまとめでは、八都府県と二百四十三の市区町村で利用料や医療費の軽減策がとられています。和歌山県でもこうした負担軽減策に踏み出すべきときだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 障害程度区分認定についても意見が寄せられていますのでお伺いするわけですが、各自治体に障害がある人に面談し聞き取りをするスタッフが置かれていますが、障害者のことがわかる人を配置してほしい、適正な判定がなされるのだろうか、従来受けられてきたサービスが抑制されるといった問題が起きないかという声が上がっております。調査員は専門性が発揮できるような人員の配置がどうしても必要だと考えます。どのようにお考えですか。
 以上三つの点について、福祉保健部長、お答えいただきたいと思います。
 今、障害者福祉の関係者が直面している問題は、施設の存続にもかかわる問題です。作業所が果たしてきた役割を考えるとき、そこをつぶすようなやり方は絶対に許せないというのがみんなの気持ちです。多くの人たちの努力で、障害がある人が働き、暮らす場はふえてまいりました。しかし、今でも地域で障害を抱えてひとりぼっちで暮らすなど、大変な苦労をしていらっしゃるケースはまだまだ残されていると思います。
 私のもとに、数例、寄せられている事例があります。その一例を御紹介させていただきます。
 精神障害に加えて病気のため弱視になっている五十八歳の女性は、通院も服薬も拒否しているため、病状は非常に悪い上、対人関係もつくれない状態にあると言います。家の中は散らかり放題、布団を敷いて休めるという状態ではなくて、ホームレスに近いような状態で、訪問した障害者施設の職員も言葉を失ったと言っております。人間らしい暮らしが保障されていないと話していました。そして、もっと若年の段階で作業所や支援センターなどのサポートが必要だったと思いますし、そうした社会資源がなかったことが最大の問題だと思いますと話してくれました。
 地域にもっと多くの社会資源が必要であるにもかかわらず、それに逆行して障害者の負担をふやす、サービスを抑制する、施設の経営も危うくする。自立支援法とは名ばかりで、自立破壊法だと言わざるを得ません。むしろ自立し人間らしい暮らしを保障することを妨げるようなやり方は、到底見過ごすことはできません。
 利用者の負担をもとに戻すこと、自立を支える職員の頑張りに報いることができる制度に改善されることを願って、意のある答弁を求めたいと思います。
 三つ目の質問です。学童保育と地域子ども教室についてお尋ねをいたします。
 まず、学童保育についてお尋ねをするものです。
 近年、低学年の子供たちのとうとい命が奪われる事件・事故が多く発生して、心の痛む毎日です。学校の登下校の放課後の安全対策が極めて重要になってまいりました。今、学校を初め保護者や地域住民等による見守り対策などが取り組まれているところであります。
 学童保育は、共働き家庭やひとり親家庭になくてはならない施設となっていますが、働く親たちの切実な願いから生まれたものであります。法制化されるまでの間は、みずからの家を開放したりアパートの一室を借り、かぎっ子をなくそうと長い間の自主的運動とその実践の積み上げの中で発展をしてまいりました。
 私自身も、働き続けるため、その必要性を実感してきた一人です。幸いにして地域に民間の学童保育が設置されたため、入所ができました。そして、安心して働くこともできました。当時は学童保育とは名ばかりで、宿題を見る程度のものでしたが、それでも子供の居場所があるという安心感は何よりもありがたい思いでまいりました。
 一九九七年、国は、児童福祉法に基づき、放課後児童健全育成事業の名称で法制化をいたしました。そして、法制化された後、全国に急激に学童保育数と入所児童数もふえました。その必要性と期待はこれからもますます高まってくると思うのです。
 国は、少子化対策、仕事と子育ての両立支援、次世代育成支援対策の重要な施策であるとして、必要な地域すべてに整備をしていくという方針を持っております。二〇〇五年五月一日現在、学童保育数は二千三十三市区町村に一万五千三百カ所となっています。本県の学童保育設置数は、小学校総数三百三十六校に対し百十三カ所、その設置率は三三・六%です。全国水準では、最も低い高知県に次ぐ四十六位です。随分おくれているというふうにしか言いようがありません。
 そこで、紀州っ子元気プランによる設置目標はどうなっておりますか。目標に対する取り組み状況をお聞かせください。
 厚生労働省は、学童保育に対する補助金単価基準を、入所児童数別と、年間開設日数二百八十日以上と二百日から二百八十日とした不十分なものになっております。障害児受け入れ加算は、開所二百八十日以上のみ補助を切ってしまいました。そして、長時間開設加算のみを年額支給という形になっています。三位一体改革の中でその補助金も年々削られ続けています。
 学童保育の設置数をふやす方針はあるというものの、その質的充実の方針は全く明確になっていません。法律に位置づけた制度であると言いながら、国としての最低限保障されなければならない行政水準がいまだに確立されていないのであります。設置運営基準をつくることは国の最低の責任だと考えるものです。国にぜひ求めていただきたい。
 同時に、県としても設置・運営基準を関係者の声も聞きながらつくることを願うものでありますが、いかがでしょうか。
 この設置基準、運営基準等については、既に全国でつくられ始めています。埼玉県では既にそれが実施に移っておりますし、今、石川、群馬県などでも検討が始まっています。こうした点でも、ぜひ運営基準をつくっていただきたいというふうに思います。
 次に、地域子ども教室についてお尋ねをします。
 地域子ども教室は、文部科学省が進める事業です。目的は、地域の大人の協力を得て、学校の余裕教室や校庭などに安全・安心、そういう中で活動できる子供の拠点でもありますし、遊びの場でもあります。放課後や週末におけるさまざまな体験活動や地域住民との交流活動を推進するという内容になっております。
 対象は、小学校から中学校までのすべての児童生徒が自主的に参加する、週一回程度、ほぼ毎日実施まで、地域のさまざまな分野の大人が指導員として配置をされ、十六年度から十八年度までの三カ年の事業となっております。十六年度では九十九カ所、十七年度百二十八カ所、十八年度百四十二カ所で、和歌山県下で学校や公民館などの社会教育施設を使って実行委員会主催で多種多様の体験行事が行われてまいりました。文部科学省の委託事業となっています。
 今後、こうした子供たちを地域で育てていく、そういうコミュニティーを一層広げていくということでは大変重要なものだというふうに思いますし、今後はもっと需要が増すだろうと思います。それらを一層拡充するための財政措置が今後も必要だと考えるものです。この地域子ども教室推進事業の終了に当たり、ぜひとも総括を協議会としてしっかり行うべきではないのでしょうか。
 教育長、この間の取り組みからどのような感想をお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医療問題についての御質問のうち、まず医師、看護師不足対策についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、県内の医療機関においては医師や看護師の確保に大変御苦労されております。
 医師確保対策につきましては、自治医科大学制度を初め、わかやまドクターバンク制度や医師臨床研修連絡協議会の設置に加え、平成十八年度から、医師確保修学資金制度の創設や医師募集など、県内のあらゆる医療情報を発信するホームページを開設いたします。
 また、医師確保対策等を検討する医療対策特別委員会の中間報告を受け、関係機関と連携を図りながら、引き続き効果的、効率的な医療体制づくりに努めてまいります。
 なお、この問題は全国的な課題であり、県独自の取り組みだけでは限界があるため、全国知事会において政府要望を行うとともに、本県としても、去る六月十五日に厚生労働省等に対し、抜本的な対策を強く提案、要望したところでございます。
 また、看護職員確保対策としては、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を四本の柱に量・質の両面にわたる対策に取り組んでおり、今年度から離職防止対策として看護職員の不安やストレスの軽減を図るためのナース相談窓口の開設等、さまざまな看護職員確保対策を実施しているところでございます。
 県といたしましては、県内の医療機関の状況把握に努めながら、医師、看護師確保対策に一層取り組んでまいります。
 次に、医療制度改革をどう受けとめているのか、また県としての独自の支援策を考えているのかについてお答えいたします。
 今回の医療制度改革は、日本社会が急速な高齢化に直面している中で、国民共通の財産である国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものにしていくために、患者負担の見直しや新たな後期高齢者医療制度の創設、また療養病床の再編など、大きな改革となっております。
 議員御指摘の高齢者の負担増等につきましては、低所得者への自己負担限度額の据え置きや保険料の軽減措置などの配慮がなされておりますが、県といたしましては、高齢者等利用者の視点に立った適切な制度運営がなされるよう、市町村及び後期高齢者医療広域連合に対し必要な助言や指導を行ってまいります。
 また、療養病床の再編につきましては、国において検討中である経過措置等の情報の早期収集に努めるとともに、療養病床の介護老人保健施設への計画的な転換等、地域全体で高齢者を支える体制づくりを進めてまいります。
 今後とも、国や関係機関との連携を図りながら、県民が安心して医療、介護を受けられるように努めてまいります。
 次に、障害者自立支援法施行についての動向調査、利用の控え、応益負担、報酬単位、県独自の軽減措置の五点の質問について、一括してお答えいたします。
 障害福祉サービスを利用される方がこの先も安心して利用できるよう持続可能な制度とするため、本年四月から障害者自立支援法が施行され、二カ月半が経過いたしました。
 議員御指摘の利用者の利用抑制等につきましては、現在調査中であり、調査結果を分析した上で対策等検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、県では、利用者の定着や事業者の経営基盤の安定につなげるため、授産施設等に経営コンサルタント等の専門家を派遣し、施設経営の強化や利用者の工賃アップが図れるよう支援を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、今後とも利用者や施設関係者などの御意見をお伺いし、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられ、不当に抑制されることがないよう注視してまいりたいと考えております。
 次に、障害程度区分認定調査員についてでございますが、調査員の業務は、障害福祉サービスの支給決定を行う市町村が実施するものでございます。そのため、市町村が障害の種別や障害者の人数等を勘案して、認定調査員の人員等について適切に配置するものと考えております。
 認定調査員は、市町村職員または市町村から委託を受けた指定相談事業者等であり、障害者等の保健または福祉に関する専門的知識及び技術を有する者として国が定める認定調査員研修を修了した者とされております。
 県といたしましては、障害程度区分認定における客観的かつ公平・公正な認定調査を実施するために障害程度区分認定調査員研修を実施し、養成してきているところでございます。
 今後とも、市町村の障害程度区分認定に必要な知識、技能の習得及び向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、学童保育の設置目標数と取り組みについてでございます。
 和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」は、次世代育成支援対策推進法に基づく県の行動計画でございまして、平成十七年度を初年度とし、平成二十一年度を目標年次とする五カ年の計画でございます。放課後児童クラブにつきましては、平成二十一年度において県内二十四市町村、百四十カ所の設置を目標としております。
 放課後児童クラブ拡充に向けた取り組みにつきましては、市町村に対して地域の実情に合わせ拡充に向けた取り組みを依頼するとともに、国に対しても財政措置の充実を要望しております。平成十七年度末で百十四カ所、本年六月一日現在で百十七カ所に設置されており、引き続き拡充に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
 次に、設置運営基準を国も県もつくるようにという御質問についてございますが、国の放課後児童健全育成事業実施要綱は、事業の運営について必要最低限の要件を定めているものと考えております。
 指導内容の充実を図るためには放課後児童指導員の資質向上等が必要であり、国に対して要望を行うとともに、放課後児童指導員の研修を通じて事業の充実に取り組んでまいります。
 また、議員御提案の設置・運営基準の策定につきましては、今後、他府県の取り組み等も踏まえ、研究してまいります。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 地域子ども教室推進事業についてお答えします。
 この事業、本県では県教委の生涯学習課長が会長を務める和歌山県ふれあいネットワーク推進協議会が中心となって、県内四十七の実行委員会を設けて実施しております。この教室を本県では「地域ふれあいルーム」と名づけ、年間を通してこれを拡充する努力を続けてまいりました。現在、百四十二カ所に開設しております。これらの教室では、平均週二回、毎回三十人ほどの子供が参加をして、それに十人前後の地域の住民の方々が協力をしていただきながら、各種スポーツ大会や和太鼓、郷土料理などの地域の実情に即した多彩な体験活動が行われております。
 こうした活動によって、子供たちがそれぞれ社会性や自立心を身につけるだけではなくて、この事業に参加した大人自身が新たな学びやお互いのつながりを生み出し、地域の教育力の向上に極めて大きな役割を果たしてきているというふうに総括をしておるところでございます。
 ほかに、本県では、小中学生が普通の授業のある曜日に公民館等に通って共同生活を送り、一緒に学校に通うという通学合宿を行っておりまして、これらも地域と大人と子供をつなぐ重要な施策になっているというふうに考えております。
 このような成果を踏まえ、今後とも地域の人々や各種団体の協力を得ながら、福祉部局と連携のもと、地域全体で子供を育てる取り組みの充実に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 御答弁をいただいて。国の制度の問題もたくさんあるんで、まだもたもたしてる部分が医療改悪の中にはあるというふうに思うんです。しかし、方向はもうはっきりしてるわけですよね。
 高齢者への負担というものは、これまでも異常なほど法律でつくられて改変されてきたというふうに私たちは思っています。特に、これまでの間に、老年者控除とか、あるいは扶養控除とか公的年金控除、それから高齢者の住民非課税限度額の廃止というような、定率減税の問題も含めて、六十五歳以上のお年寄りの負担は、これまでに所得税もふえてきましたし、最近では、今ちょうど住民税、県民税の請求通知が来てるわけですよね。市役所へ聞いてみましたら、もうお昼御飯も食べられないぐらい電話での怒りの声、そして「これ一体何や」と言うて詰めかけてくるというような現状が、先ほども聞きましたけれども、まだ続いているそうです。それだけに、やっぱり高齢者の皆さん方が今度の──これまでの問題として、なぜこんなに年寄りをいじめるんやという気持ちが爆発してきたんだというふうに思うんです。
 それで、これからまた何年間はこの医療の負担増というのが押しつけられるわけですから、本当に高齢者が病院へ行く足が遠くなるということと、それから今まで行っていた医療機関への足がますます遠のいてくるし、飲まなければいけない薬も我慢をしていくという実態はもういっぱい出てくると思うんです。そういう部分を今度の改悪で行政としてどう受けとめるのかというのは、大きな課題だと思うんですよ。
 今、福祉保健部長は、「継続可能な」という、いわゆる政府が言うやつを優等生みたいにだあっと言ってるけれども、現実的にはもう本当に和歌山県の七十五歳以上、七十歳以上のお年寄りの皆さんたちが、今から先、生活どないなるやろう、私の体どうなるんやろうと、こういう不安はずうっと続いていくんですよ。これに対して、何がそうなのかということをやっぱり深く突きとめていただきたいと思うんです。
 そういう点では、病院に入院──病院は受け入れ側ですから。だけども、療養病床はもう介護型を全廃されますし、そして療養型も十五万床に減らされるということですから。和歌山県だって、今、介護型が七百九十何床ですね。そして、いわゆる医療型そのものが二千六百余りありますよね。だから、この二千六百余りのもんがどれだけ減らされていくのかと、ここが問題になるわけですよね。そうすると、本当にここにいてなくちゃいけない人だって、「あんたは医療の程度が軽いからもう出てよ」と言わざるを得ない。収入が減ってくるわけですからね、軽い人を入れてたら。
 そういう点で見ると、その人たちの行き場は完全に閉ざされます。老健施設へ行きなさいって言ったって、今満杯でしょう。特別養護老人ホームだって、毎年毎年待機者がふえていっているわけですから。今申し込んでる人でも二年も三年も待たなくちゃならないという重要なときに、一体、療養病床から退院をさせられる人がどこへ行けばいいんですか。受け皿がないままに法律を先につくっちゃって、そしてあとは、地方自治体でやれよ、病院努力せえよと、こういうのは余りにもひど過ぎると思うんですよ。
 こういう点で、国が法律を決めたといえども、地方自治体は何よりも県民の福祉という点で健康を守るというのが最大の任務だと思いますから、そういう点では再三、病院関係者やら、あるいは患者さんたちの会もいっぱいあると思いますから、そういうところで実態を把握する努力をしてください。
 それから、自立支援法の方の問題ですけれども、今調査中と言うてますから、この中で大いに反映をさせていただけたらありがたいというふうに思います。ぜひその実態把握、それを県ができることはちゃんとやる、そして国へ言うべきこと、ちゃんとやっていただきたいというふうに思います。
 この調査、一体いつごろ結果は出るんですか。まず、それを聞かしてください。
 私がるる申し上げましたように、もう全国の共同作業所も調査をやってますし、それももうインターネットでも出てます。それから、和歌山の共同作業所も現実的にやりましたから、私が先ほど述べましたように。やっぱりもう、負担があるからやめる、やめようかな、サービスの量を減らそうかな、こういうふうに現実に出てきてますよね。この人たちを一体どうするのかと。
 施設自体も成り立たない状況も出てくると思いますし、小規模の共同作業所は、もう補助金も出さないよ、これからは要らんよという姿勢ですよね。今ある、せっかく努力してつくってきた小規模の共同作業所を切り捨てていくのかということを私は思うんです。
 そういう点で、障害者の人たちが自立をするために自立支援法をつくったのに、自立するどころか自立を阻害するような方向になってきてるというのをしっかり受けとめていただきたいと思うんです。
 そういう点で、自立するための支援として、この自立支援法が阻害している問題があるところは改善をさせていくということをぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 それから、学童保育については、今、地域ふれあいルームというので、和歌山県は独自のことでいっぱい努力をされているんですけども、すばらしい内容だというふうに思います。これは、放課後、どんな子供たちでも地域で遊びの場を保障しますよということになるわけですが、だけど、生活の場ではないんですね。遊びの場ということですから。
 学童保育は生活の場なんですね。厚生労働省がちゃんと法律のもとにつくったやつですから。これはかけがえのない問題だというふうに思いますので、これから先、文科省と厚生労働省が相互連携していくというようなことになっているわけですけれども、私は、絶対にこのふれあいルームを学童保育の代用にしないでいただきたいんです。目的は全く違うわけですから、そういう点で学童保育はもっと充実させてほしいというふうに思ってますんで、そこんところをきちっと仕分けをしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 さっきの点について、どうぞ答えてください。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) ただいまの再質問は、医療制度改革について。
 この改革、法律については国でもかなりな議論をされまして、この成立につきましても附帯決議もたくさんついているような状況でございます。
 その内容につきましては、病院の病床の変換とかということにつきましても激変を緩和することとかというような内容が含まれておりますけれども、内容については詳細が我々も十分わかっておりませんので、できる限り早く詳細を把握して、また医療関係者等に周知させたいと思っております。
 以上でございます。──(「調査結果」と呼ぶ者あり)調査結果は、できるだけ早くというふうにさしていただきたいと思います。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
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