平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十八年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十八年六月二十三日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに報第一号から報第七号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに報第一号から報第七号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十二人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十四番欠員
     二十六番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に移らせていただきます。
 最初に、先般、東京都港区の公営団地において高校生がエレベーターの誤作動により死亡するという痛ましい事故が起こりました。製造した海外のエレベーター会社やメンテナンス会社の対応を見ていますと、被害者の御家族にとって怒り心頭ではないかと思いますが、亡くなられた少年に心から御冥福をお祈りいたします。
 また、このエレベーター事故が公営団地で起こったことも大きな衝撃を受けました。このエレベーター会社の製品は日本のメーカーのものより二割程度安かったそうですが、公共の建物の安全性はだれが保障するのでしょうか。公共事業で最も大切なことは、住民に安全を確保することではないでしょうか。(「速過ぎるよ。ゆっくりしゃべって」と呼ぶ者あり)はい。ちょっと長いもんで。
 構造計算の偽造事件のときも過当競争による低価格の問題について取りざたされましたが、価格競争と安全性の問題について、さらに企業のモラルについて、今回の事件で再び考えさせられました。安い受注金額であっても、それを裏づける技術力と社員の工夫と努力により立派に完成される建設業者がほとんどですから、単純に低価格と安全性を比較することはできませんが、その安全性と品質保証に一抹の不安を感じるのは私だけではないと思います。
 公共事業の安全性を裏づける品質の確保について、当局においては今後ともぜひ適切な対応をしていただきたいと思います。
 このたび事故を起こしたエレベーター会社の県内でのエレベーター設置状況を当局は把握しておられると思いますが、事故を起こしたエレベーターの公共建築物やその他の一般建築物の設置状況と安全性について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、このたび木村知事は和歌山県地球温暖化対策地域推進計画をまとめられました。その冒頭で、「環境と経済が両立した持続可能な社会の構築を目指す」とあり、事業者、県民、行政ごとの地球温暖化防止に対して役割を明確にされ、温室効果ガスについて削減を目指すと決意を述べられております。
 まさしく今世紀は環境の世紀であり、我が県も世界遺産に登録された紀伊山地の霊場と参詣道や串本町がラムサール条約に採択される等、和歌山県の自然が改めて国内外から注目を浴びました。私も県民の一人として大変誇らしく思いますが、また反面、その環境を守り後世に引き継いでいくことの責任の大きさに身の引き締まる思いであります。
 しかし、私たちは、山あり海あり川ありとすばらしい環境の中で暮らしていますが、昨今、身近な環境に心を配りますと、海岸はいそ枯れが目立ち、里山や経営林は手入れ不足で荒廃が進み、川も生活排水で汚染され続けています。
 今回の知事の提言のとおり、地球の温暖化は大きな地球規模の環境問題でありますが、関連して、身近な私たちの生活に必要不可欠な水が循環する過程で環境が汚染されていることにも思いをいたさなくてはなりません。海から空に、空から陸に、陸から川を伝って海に戻るという循環の中で水質が損なわれるのです。小川や河川に家庭からの未処理の生活排水が流され、魚やその他動植物にも影響を与えているのではないかと大変憂慮されております。
 我が県が全国的に比較して最もおくれているこうした水質汚染対策にも早急に対応するため、一刻も早いインフラ整備を進めていただくことを当局に切にお願いしたいと思います。
 また、昨年十二月議会において、紀の国森づくり税等を創設することにより広く県民の皆様にもふるさとの環境に対して関心を持っていただき、さらに御理解と御協力を賜るべく提案していただいていますが、来年四月実施に向かって、皆さんそれぞれのお立場で啓発や御説明に御尽力をいただいていることと存じます。
 もう既に隣の奈良県では、同趣旨の森林環境に関する新たな課税森林環境税をことし四月一日から導入されました。課税対象や徴収金額の設定についてはほぼ和歌山県と同じで、個人県民税と法人県民税から成り、森林環境保全基金を創設して森林環境の保全を目的とした事業を実施していくとのことであります。
 御承知のとおり、奈良県は大和川水系、淀川水系、紀の川水系、新宮川水系、北山川水系から成り、その人口分布は大和川、淀川水系で百三十四万六千人、実に九三%の人口を抱えております。一方、紀の川、新宮川、北山川水系の擁する森林面積は二十一万六千ヘクタールで、県土の七六%を占めております。奈良県の環境税は、主に和歌山県の水源地に当たる三水系の森林環境保全に充当されると言っても過言ではありません。奈良県のお取り組みに対し、心から敬意を表したいと思います。
 森林の持つ恵みは、その多様な公的機能にあり、県土の保全や水源涵養機能や保健休養機能、自然環境の保全機能、地球温暖化防止機能等があり、私たちの生活と深くかかわっております。
 全国的にも、多くの森林を擁する地域のこうした動きはさらに加速し、改めて森林環境保全に対して和歌山県も積極的に取り組んでいかなければならないと強く認識をいたしました。
 大変重要でかつ大きなテーマである環境問題でありますが、知事が述べられたように、行政は行政の分野において諸問題にお取り組みいただくと同時に、私たちも一人一人が生活の中で身の回りの環境保全に対し意識を向上させ、取り組まなければと思う次第であります。
 こうした中、このたび日高川町の笹朝一町長さんに会長をお引き受けいただき、日高川の環境を守る会が発足され、先般、その趣旨に御賛同される皆さんが県庁を訪れ、木村知事は不在でしたが、小佐田副知事を初め幹部の皆さんを訪問され、日高川の環境保全について強く要望をお願い申し上げました。
 特に問題となっているのは、どこのダムでも抱える共通の問題であると思いますが、ダムにより上流と下流の流れが阻害され、さまざまな影響が出てきたことであります。
 椿山ダムは、御承知のとおり、昭和二十八年七月二十八日に起こった大水害を目の当たりにし、二度とその惨劇を繰り返さないため、巨費を投じ、地元美山村民の協力により建設に至ったものであります。ダムが完成するまでは、少し大きな台風が来ると道路にまで水がはんらんし田畑も浸水する等、私たちの生活に多大の被害を及ぼしました。昭和六十三年三月に完成してからはその水量の調整によりほとんど大きな被害にも遭わず安心して暮らしていけることに、完成に至るまでの県当局や関係各位の御労苦に心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 かく言う私は旧美山村出身で、中学校を卒業するまではこの母なる川、日高川にはぐくまれ、成長してまいりました。私たち子供は、夏になれば朝から夕方まで川に入り水泳や魚とりなどに熱中し、時のたつのも忘れて遊び、自然から多くのことを学んだものでありました。しかし、昨今の日高川の環境について、いろいろな方から厳しい御意見を伺う機会が多くなりました。
 私も、ダム建設以前の日高川をよく知る者の一人として、ダムの必要性、重要性は認めるものの、その環境保全についてもう少し改善できないものかと常々思いをめぐらせてまいりました。ダムが川の流れをせきとめることにより、ダム上流では土砂が堆積し、ダム下流においては砂や石が補給されずに流出し、ダム直下の川底は二メートル近く低くなり、川本来の浄化作用も衰え、生態系に大きな影響を与えているということであります。この状況を解決することは大変難しいことは承知の上で何か改善策はないのだろうかと、いつも川沿いを通るたびに思います。
 昔、日高川は関西屈指のアユの友釣りのメッカであり、五月にもなりますと、橋の上から見ると勢いよく遡上する若アユの姿に私たち地域に住む住民は心を躍らせたものであります。現在も天然アユは遡上してくるのですが、ダムがあるため、日高川河口に近い若野堰でくみ上げ、椿山ダムの上流に再度放流しております。もちろん、日高川漁業組合の養殖アユも放流しており、一見昔と変わらないように見えますが、近年、原因はよくわかりませんが、冷水病という病気にかかるアユがふえ、大変危機的状況が続いております。
 原因はともかくとして、生態系保全の観点からも、ダム上流と下流をつなぐバイパスが必要ではないかとの意見も拝聴いたします。全国にも、このような生態系を守るために魚道の設置等積極的に取り組んでいる自治体もあるとお伺いいたしております。
 以上のことを踏まえて、幾つか御質問します。
 十二月議会で議決された、来年四月から導入される紀の国森づくり税についてでありますが、実施するに当たり、この一年間を県民への周知期間であると理解いたしております。私も新聞紙上等をおかりして、その必要性や重要性を御坊・日高の皆さんに御理解賜るべく、二度お訴えをしてまいりました。
 そこで、総務部長にお伺いします。
 新年度に変わり、当局におかれまして県民への紀の国森づくり税の広報や啓発活動等に御尽力いただいていることと思いますが、その方法や現在の状況をお尋ねいたします。
 県土整備部長にお尋ねをいたします。
 私たちの身近な生活排水の処理について、現況とその対応をお聞かせください。
 農林水産部長にお尋ねをいたします。
 日高川の生態系を取り戻すために、河川のバイパスとも言える魚道の建設について、その必要性と可能性についてお考えをお聞かせください。
 来年は和歌山県も紀の国森づくり税を実施しますし、また知事の所信表明にも環境問題に対し強い意欲を示されておられますので、こうした諸問題にも積極的にお取り組みをいただきたいと思います。それぞれの地域で抱える環境問題は多種多様であると思いますが、日高川を母なる川として、その優しさに抱かれ、ともに生きてきた流域住民の願いを重く受けとめていただき、ふるさとの川が一日も早く、少しでも環境が回復されることを願いつつ、次の質問に移らせていただきます。
 本年四月から導入されました障害者自立支援法が施行されるに当たって、三点に絞ってお尋ねをいたします。
 私は、昨年からたびたび、この法律を運用するに当たって、自立支援法の趣旨は諸般の現状をかんがみますと理解できますが、当局に対し、運用後の利用者やそれぞれの施設の生の声に対して注意を払っていただきたいと申し上げてまいりました。
 施行からまだ二カ月半しかたっておりませんが、私の存じ上げるある施設の方から、心配していたことが現実化してくるかもしれないとお聞きいたしました。それは、施設利用者に費用の一割を御負担いただくという制度にあると思いますが、思った以上に負担額が利用者の方にとっては重く感じられているということであり、四月分の請求に対し、こんなにたくさん負担しなければいけないのかと保護者の方から驚きと戸惑いのお問い合わせがあったそうです。まだ作業所を退所されるとこまではいっていないようですが、今後の状況次第ではその可能性もあると大変心配をされていました。
 国の財政事情や利用者の平等性、公平性、継続性という観点から考えますと自立支援法の趣旨もわかりますし、私たちも前向きに対応していかなくてはならないことは理解できます。しかし、現実にその一割負担が予想以上に重くのしかかり、食費や施設に通う交通費等を含めますと、それに収入が伴わないため、せっかく通い始めた授産施設に行くことをためらう利用者の方もいらっしゃるとお伺 いしました。
 当初から懸念されていたことではありますが、障害者の自立支援を行っていくという本来の目的を達成するためには、どうしても職業支援を同時に力強く進め、利用者の所得増を図らなくてはなりません。支援費制度によりせっかく社会と共存していくことに希望が膨らみ喜んで通所していたところが、一割負担に応じられない障害者の方は、以前のように自宅に引きこもり暮らしていかねばならないのかと不安を募らせています。保護者の方が経済的にも健康的にも問題のない御家庭であれば今までどおり通うことができますが、今後、保護者の高齢化等により通所できなくなる方も出てくるのではと心配をいたしております。
 もう一つ心配なことは、もし利用者が減ることになれば、先ほど述べた授産施設の経営についても大変心配になってまいります。障害者の方が各施設に通所されると、授産施設に対し支援費制度により支給される仕組みになっております。この支給額は、平均的な施設についての算定額になりますが、知的障害者通所授産施設で、定員三十名で利用者一人当たり十四万八千九百四十円支給され、施設には月額四百四十六万八千二百円が支給されます。同じく身体障害者通所授産施設は一人当たり十四万四千三百二十円で、定員二十名の施設だとすると二百八十八万六千四百円、精神障害者通所授産施設には一人当たり十三万三千八百五十円で、二十名の定員とすると二百六十七万七千円が支給されております。通所者が減るとその一人分が減額され、施設運営が大変厳しい状況になることは一目瞭然です。
 支援費制度が導入され、利用者がふえ、当然その方々を介護するための職員数もふえておりますし、施設等も充実させてまいりました。しかし、障害者自立支援法が施行され、利用者に一割負担と食費の負担を求めたため、利用者が通所できない状況も今後出てくるのではないかと懸念されます。そうすると、必然的に施設への支援費が減り、当初計画していた施設運営に大きな影響を与えるのではないかと考えます。
 通所授産施設としては、これ以上新たな負担を利用者の方に求めることはできませんから、職員のリストラによるサービスの低下や、また施設自体の統廃合により利便性が低下し、利用者がさらに減るという悪循環になり、ますます運営が立ち行かなくなることが心配されます。
 そこで、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 今述べたような事柄を県当局もある程度予想されていたと思います。まだ始まったばかりなので県内の現況を統計的に把握できていないと思いますが、実際そのような現場の声もありますので、今後そのような状況がより顕在化したときの対応についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
 障害者の収入をふやすという観点から、木村知事を初め県すべての部局にお願いいたしたいと思いますが、手持ちの仕事の仕分け作業の際、授産施設等に発注できるような仕事がないのか、あればぜひ随意契約等の方法もお考えいただき、障害者の方の仕事場をふやしていただくようお願いを申し上げます。
 次に、療養介護及び重症心身障害児(者)のための医療型入所施設の費用負担について、大変矛盾した負担が特定の町だけに求められはしないかということについてお尋ねをいたします。
 私の住む日高郡には、美浜町に国立和歌山病院が、また由良町にはあかつき園がございます。この施設に入っておられる方で、医師の治療を受けておられる方がたくさんおられます。特に、国立和歌山病院には重度心身障害児(者)の方が百五十九名、入院治療を行っておられます。そして、このたびの自立支援法は、こうした方々の医療費についても一割の負担を求めております。
 この方々の治療費は、ことし十月以降、保険給付で七割、在住する国、県、町で障害児施設医療費、療養介護医療費として二割負担し、残り一割は原則利用者負担となりました。今までは、和歌山県は重度心身障害児(者)医療費補助金交付要綱を定め、低所得の方には住所地の市町村が負担すれば県も応分の負担をすることを定め保護してまいりましたので、低所得者の実質負担はありませんでした。
 しかし、このたびの自立支援法が運用されるに当たり、療養介護、重症心身障害児施設等の利用者の家庭において、生活保護家庭の負担はありませんが、上限額を低所得者Ⅰの家庭では一万五千円、低所得者Ⅱの家庭では二万四千六百円、一般家庭で同居されている方は四万二百円を御負担いただくということにそれぞれ設定されています。特に規定以上の収入のある一般家庭においては、福祉部分の利用者負担額が三万七千二百円と食費等の負担も加算されるので大きな負担になります。
 そこで、障害者と他の家族が世帯を分離して本人の収入を障害者年金のみとすると低所得者ⅠもしくはⅡに分類され、低額に抑えることができるので、世帯分離の方法がとられることが予想されます。また、世帯分離をするとき、現在の病院に実質住んでいるのですから、美浜町に住所を移してこられる方も多いのではないでしょうか。現在、美浜町内の方は二名ですが、他の府県や県内の各市町村から住所を美浜町に移してこられると、その方々の医療費も負担することになり、財政的に大変心配されているのであります。
 資料によりますと、国立和歌山病院には美浜町以外の御坊・日高郡の方は十一名、その他の県内の方が五十九名、大阪府からは六十一名、京都府から三名、兵庫県から五名、奈良県から十四名、その他一名となっております。この制度はことしの十月から運用されますが、現在入院されている方々全員美浜町に転入されると仮定して年間の医療費負担額を算定いたしますと、少なく見積もっても約一千五百万円以上になるとのことであります。ことしの一般会計予算が約三十億しか組めない小さな町に一千五百万円以上の負担を、制度とはいえ、拠出できるでしょうか。また、厳しい予算の中、この医療費を町財政から負担することについて議会の承諾や町民の理解が果たして得られるのか、難しいと思います。
 和歌山県も、他の府県から美浜町に転入されると同額の負担が必要となりますが、県当局は他府県の施設に県内の方もお預かりいただいているのですから、一概に出費の部分だけを強調するわけにはいかないということはわかります。
 当然、我が県の各市町村から他の府県の医療施設や療養施設がある市町村に住所を移される方もおられると思いますが、相手先の自治体で同様の混乱が起こります。
 先ほど述べた県の要綱では市町村の負担をまず求めておりますので、道義的にはないと思いますが、一町だけの負担が余りにも重くなれば負担を拒否する自治体も最悪考えられ、そうすると全額利用者の負担となり、一番立場の弱い障害者やその御家族に高額な負担が向けられはしないかと心を痛めております。
 もう一点、障害者のショートステイ制度についてお伺いいたします。
 現在、各施設で行っているショートステイは、四時間未満、四時間以上八時間未満、八時間以上のコースが設定され、国、県、市町村に補助していただき、利用者も応分の負担をし、行われてきました。それぞれの家庭の事情で必要な時間預かっていただけるので大変利便性が高く、好評でした。
 しかし、このたびの改正で十月から従来のサービスと位置づけが異なり、今後はタイムケアという新しい制度により各自治体が施設に依頼するという方法で引き継がれるということをお聞きいたしました。保護者の方から、それぞれの自治体によって対応が異なるのではないか、果たして今までのようなサービスが提供していただけるのだろうかと不安の声が上がっています。
 以上のことを踏まえ、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 もし世帯分離により美浜町に転入してこられる方が多い場合、負担額も大きくなりますが、どのような対応をお考えでしょうか。そして、町は住所の転入を拒否することはできませんが、応分の医療費の負担を拒否した場合、障害者や御家族が負担することになるのでしょうか。道義的にも大変問題があると思いますが、いたし方なくそうした状況になった場合、県の要綱に定められた他の障害者との支援格差が生まれてきます。一町の問題だからと思わないで、十月に向かっての当局の対応をお聞かせください。
 もう一点、ショートステイのあり方について、利用されている皆さんの立場に立って、今まで同様のサービスが提供できるかをお答えいただきたいと思います。
 続きまして、動植物性残渣、いわゆる本県においては梅加工の過程でできる残渣の海洋投棄についてお伺いをいたします。
 一九七二年、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約をロンドンにおいて採択されました。海洋投棄による海洋の汚染防止を目的とする条約であり、我が国は一九七三年に署名し、一九八〇年十一月に国内において発効いたしました。しかし、このロンドン条約による廃棄物管理は十分でないとの認識から、一九九六年に、新たな議定書をもとに廃棄物の管理の仕組みが再構築されることになりました。九六年の議定書は、海洋投棄及び洋上焼却は原則禁止とし、海洋投棄を検討できるものを限定列挙する方式を採用するとともに、海洋投棄する場合には、その影響の検討等に基づいて許可を発給することを義務づけています。さらに、九九年以降、ロンドン条約の報告を行った締約国の中で、我が国は産業廃棄物では投棄量、投棄品目数ともに世界最大となっています。
 そんな背景の中で、梅加工の過程で出る残渣の海洋投入の規定がさらに厳格になり、来年の四月以降、今までのように無期限に許可を発給することができなくなるとお伺いをいたしました。
 条約自体は、地球環境をよくするために世界の国々が決めたことでありますし、今の地球環境の保全の観点からも当然のことと受けとめております。しかし、現実にどのように対応していいのか、実施期間が来年の四月からと対応する期間が短いこともあって、大変戸惑われています。
 梅を漬ける過程で発生する不要となった梅の種や不良梅等の残渣は、平成十六年には約一万六千トンがあり、そのうち浄化槽設置により約一万二千トンを自社処理され、残り約四千トンの残渣が海洋投入されていると県当局は調査結果をまとめています。
 今まで原則禁止でしたが、梅の調味残渣は天然に由来する有機物質に該当すると判断されて海洋投入の許可を認めていただき、業者に委託し、行ってまいりました。これらの残渣は、発生量の多くが有効利用され、また一部陸上処分されており、海洋投入を中止するに当たっての技術的な障害はないと認識されていましたが、残渣を発生する者の数が比較的多く、その多くが個人農家や零細企業であることから、体制を整備し、海洋投入の中止に向けて今後取り組んでいくことが必要であると報告されています。
 そこで、和歌山県の主要産業である梅の加工の過程で出る残渣の処理の規定について、また国から指導並びに今後の数値目標も示されていると思いますが、現在置かれている状況を環境生活部長にお尋ねをいたします。
 また、ロンドン条約に批准しているのですから、その場限りの対応や、まして脱退などは当然考えられませんが、今後、当局は国からの指導に対し、関係者にどのように説明し理解を求め、支援していくのでしょうか。
 私は、処理プラントをつくり、残渣を固形化し陸上処分する方法が理想的ではないかと考えますが、中小零細企業、さらに農家にとっては大変な金額の負担が予測され、今後の見通しも立たないのではないかと考えます。
 そこで、残渣の処分方法について、機械処理プラントの開発等、既に当局において研究が進められているとお聞きいたしておりますが、現在の状況について商工労働部長にお伺いをいたします。
 また、解決の方法や施策が具体化した場合、助成金や補助金、低金利の制度資金等で支援していくべきだと考えますが、農家等に対しての対応については農林水産部長に、企業に対しては商工労働部長にお伺いいたします。
 次に、企業誘致についてお尋ねをいたします。
 本年度予算において、木村知事は一件につき上限百億円の奨励金制度を打ち出し、企業誘致を積極的に進めたいと申されました。若者の働く場が少なく、活力に乏しい我が県にとってはインパクトのあるすばらしい決断であったと高く評価するものであります。たくさんの広告料を使ってもこれほどのインパクトは与えられません。
 私の地域の御坊第二企業団地も完成から随分長い年月がたちますが、高速道路の完成がバブルの崩壊後となり、和歌山精器一社の誘致しかできていません。
 政府によりますと、ことし我が国の経済もようやく踊り場を脱し、緩やかな景気回復に向かいつつあると発表されています。しかし、我が県の景気回復は、いつも飛行機の後輪に例えられるように、上がるときは最後に、下がるときは最初にという表現のとおり、まだその兆しは弱く感じられます。ただ、確実に日本全体の景気は回復基調にあるのですから、現在あいている企業団地に他府県から企業を誘致すべく迅速な今回の知事の御判断は時宜を得たものと重ねて評価するものです。
 そこで、この機会に知事に御提案したいことが一つあります。
 企業誘致には、工場の誘致と本社の誘致があります。一般に私たちは、企業誘致と申しますと、たくさんの人を雇用してくれる工場の誘致を思い浮かべます。比較的大きな用地を必要とする工場は、地方の土地が安く、労働単価も都会に比べて安い等の理由から、どうしても大工場の進出を考えてしまいます。今回の百億円の進出企業の条件も、規模や雇用人数によって制限していますが、拝見いたしますと工場の誘致に力点を置いており、本社機能を有した本社の誘致については情報通信産業の立地のみの項目が設けられています。
 今の時代、和歌山県の子供たちも、多くは県内、県外を問わず大学に進学いたします。もちろん、自分の才能を信じ、限りない可能性を求め、都会で暮らしている我が県出身の多くの方にもエールを送るものであります。しかし、大学を卒業してふるさとに帰ってきたくても、ふるさとに自分の専門知識や能力を生かせる就職先がないという若者の声もよく耳にします。
 大学生を一人都会の大学に進学させると、学費はもちろんですが、住居費や食費等を含めますと月額十万以上の仕送りになるのではないでしょうか。ある調査によりますと、地方で子供を産み育て、大学まで出すと一人当たり二千万円ぐらいの投資になると聞いたことがあります。田舎で両親は子供の将来のため懸命に働き頑張っておられますが、卒業してふるさとに帰っても働くところがないというのが悲しい現実であります。そして、都会では多くの地方出身者を雇用し、企業は大きな繁栄を見ています。地方交付税との比較もありますが、個人が望めば所得税の一割ぐらいは出身地を含む特定の地域に納付できる選択税制などがあってもいいのにと思います。
 少し脱線しましたが、これまでの我が県の企業誘致は比較的工場誘致が主で、それはそれで地域の若者の働く場所の確保ということでは有意義であり、大変ありがたいのですが、本社機能を有した企業の誘致が少なかったように思います。
 設備投資や雇用規模は少し小さいかもしれませんが、本社機能を備えた企業に対しても、今回の奨励金制度等、積極的な誘致にお取り組みをいただきたいと願います。
 一時期、日本の法人税が高過ぎるという理由で本社を海外に移す企業もあり、国内企業の空洞化も叫ばれたことがあります。和歌山県は人情味豊かで、温暖な気候や大自然に恵まれています。高速道路もまだまだ延伸しなくてはなりませんが、順次促進されております。また、関西空港にも近く、白浜空港もジェット化され、重要港湾の整備も進み、インターネットの発達や光ファイバーの敷設も、地域によって格差はありますが利用できる体制が整い、さらに住宅土地価格等も安価で、都会に比べて犯罪からの抑止力といった面でもまだまだ地域には結束力があり、安全で安心して暮らせる和歌山のような地方にこそ本社機能を置く魅力があるのではと考えます。
 そこで、知事に、本社機能を備えた企業の誘致についてお考えをお聞かせください。
 さて、まだわずかな期間ではありますが、この百億円の奨励金制度はかなりインパクトの強いものでありますので、かなりの問い合わせ等があったと思いますが、どのような反応があり、どのような結果になったのか。それらを踏まえ、今後の対応について、答えられる範囲で結構ですので商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。
 企業の誘致は二十一世紀の和歌山県にとって必要不可欠な重要な取り組みでありますから、その誘致活動により一層の御尽力を知事並びに県当局にお願いを申し上げ、第一問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの本社機能を備えた企業の誘致をということでございますが、和歌山県としては、工場ももちろん大事なんですけれども、本社が来てくれたら、これ、言うことがないというふうなことなんです。ただ、実際問題として、工場は来るけれども、なかなか本社は来ないというのが現実だろうと思います。だけど、初めからあきらめてしまうということじゃなくて、そういうふうなすばらしい環境とか、いろいろなインフラの整備も進んでいるわけだから、本社が来ませんかというふうな誘致ということも積極的に行っていく必要があると思います。
 それというのも、実は、和歌山県も有効求人倍率は景気の回復に伴ってよくなってきてるんですが、事務的な職業の有効求人倍率は〇・三五ということで高くないというふうなことで、生産関連であるとかサービスに比べると、この事務部門が非常に有効求人倍率が少ない。しかしながら、Uターンとかを希望している人はこの事務的な部門の希望が多いというふうなミスマッチもあるので、そういう点からも、何とかこういうふうな本社機能もしくは支社機能、そういうふうな事務的部門の誘致ということも進めていきたいと思いますし、また、そういうものが来るということになれば優遇措置等も工場に限らず考えていく必要があると、このように思っています。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) エレベーターの安全性と生活排水処理対策についてお尋ねがありました。
 民間建築物等のエレベーターやエスカレーター、非常照明などの建築設備については、建築基準法に基づき定期検査の結果が報告されることとなっております。
 今回のエレベーター事故を受け、この定期報告をもとに、事故を起こしたシンドラー製のエレベーターを設置していると思われる民間建築物等に対して、六月六日に詳細な点検結果の報告を求めたところ、異常があるとの報告はありませんでした。その後、国土交通省からシンドラー製のエレベーターのリストを添付した調査の通知がなされ、シンドラー社前身の日本エレベーター工業製を含め、県内に十四台の存在が確認されております。
 現在、これらの所有者に対しては、さらに安全管理など注意喚起を行うとともに、緊急点検の実施及び結果の報告を求めているところであります。
 今後とも、公共建築物も含めて定期的に点検がなされるよう、施設管理者と連携し、安全性確保についてなお一層適切に対応してまいりたいと考えております。
 続きまして、生活排水処理対策についてお答えをいたします。
 生活排水処理は、県民の快適で衛生的な生活環境を確保し、河川などの水環境を保全するために重要であると考えております。しかしながら、本県の現況につきましては、全県の汚水処理人口普及率が平成十七年度末現在で四〇・九%と全国に比べかなりおくれており、日高川流域においても約四二%とおくれている状況にあります。
 県では、和歌山県全県域汚水適正処理構想に基づき、平成二十年度末の汚水処理人口普及率五〇%を目標とし、今後とも市町村と連携を図りながら、下水道、農業集落排水、浄化槽など、地域の実情に応じた汚水処理施設の整備を効率的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 紀の国森づくり税に関するお尋ねがありました。
 紀の国森づくり税につきましては、県民の皆様の御理解と御協力を得ることが何よりも大切だと考えております。
 既に「県民の友」で県民から意見募集を行ったところであり、今後も県民へのアンケート調査や各地域での説明会を行い、使途などについて広く御意見をいただくこととしております。
 また、税の趣旨について幅広く理解が得られますよう、啓発用パンフレットの作成・配布、県のホームページなども活用し、積極的に周知・啓発を行ってまいります。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 日高川水系の漁業振興についてお尋ねがございました。
 河川に生息する魚類などの中には、ダム、堰堤等の工作物の設置によりその遡上が妨げられ、また生息域が限定されるといったことから、放流事業の実施により資源の維持に努めているところでございます。
 議員御質問の椿山ダムへの魚道につきましては、内水面漁業振興の観点から、これまでの経過も踏まえつつ、関係部局と連携し研究してまいりたい、このように考えてございます。
 次に、梅の調味残渣の処分についてでございますが、これまで浄化施設の設置やリサイクルによる新たな商品開発など自主的な取り組みによりまして、海洋投入による処分量は以前に比べまして減少傾向にございます。現在、約四千トンとなっているところでございます。
 しかしながら、平成十九年四月より海洋投入処分は原則禁止となることから、梅加工業者においては、陸上処理への速やかな対応が求められてございます。
 こうした課題の解決のためには、地域の実情に応じた多様な展開や方策が考えられるところでございます。今後、こうした地域や業界の具体的な取り組みに向けて支援してまいりますとともに、バイオマス資源としての利活用が進展するよう、関係の市町や団体等に対しまして引き続き働きかけてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 障害者自立支援法の運用についての三点の御質問にお答えいたします。
 まず、障害者自立支援法施行後の動向についてでございますが、本年四月より、利用者負担については、所得に応じて軽減策を講じた上でサービス量に見合った負担及び食費等について実費負担をいただくことになってございます。
 利用者の負担がふえることにより利用抑制もあるとの議員の御指摘でございますけれども、障害者自立支援法が施行されて二カ月半であり、今後の利用状況を注視して対応してまいりたいと考えております。
 また、利用者の利用促進を図る意味からも授産施設等で支給される工賃の状況を改善すべきであると考えており、県では、経営コンサルタント等専門家の派遣を行い、施設経営の強化を図るとともに魅力ある製品づくりにつながるよう支援してまいります。このことが利用者の定着や経営基盤の安定につながるものと考えております。
 今後とも、利用者や施設の方々の御意見をお伺いし、障害福祉サービスが不当に抑制されるようなことがないように注意してまいります。
 次に、医療型入所施設の費用負担についてでございますけれども、本年十月から、福祉型、医療型にかかわらず、障害児施設のサービスにつきましては従来の措置制度にかわり障害者自立支援法に基づき実施されることになっております。
 議員御指摘のとおり、施設所在の市町村では、医療型入所施設の入所者に係る重度心身障害児(者)医療費の負担が大きくなることも考えられます。県といたしましては、こうした状況は十分認識しているところでございますけれども、この制度は市町村が実施主体であり、その改正についてすべての市町村の御理解と御協力が必要でありますので、他府県との整合性や県内の市町村の意向を調査した上で検討してまいりたいと考えております。
 次に、障害者の日帰りのショートステイ制度につきましては、これまで障害者やその保護者の方々に有効に利用されているところでございます。
 このサービスは、十月からは、これまでの個別給付サービスとしてではなく、市町村の必須事業であります地域生活支援事業の地域活動支援センター事業として、利用者の方に対して同様のサービスが提供されることになっております。
 県といたしましては、今後とも利用者の方が必要で適切なサービスが受けられるよう取り組むとともに、市町村に対して適切に指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 梅調味残渣の処分に係る御質問のうち、現在置かれている状況についてお答えを申し上げます。
 議員御質問のとおり、我が国では、これまで廃棄物の海洋投入処分につきましては、ロンドン条約の求めるところを国内法に盛り込み、適切な管理が行われてきたところでございます。
 しかしながら、世界的な海洋環境保全の認識の高まりを受け、九六年議定書が採択され、海洋投棄は原則禁止とされたところでございます。ただし、天然に由来する有機物質を初め、下水汚泥等の特定七品目につきましては海洋投棄を検討してもよい仕組みとなっております。
 このため、国におきましては、本議定書に基づき、平成十六年の五月にこの七品目の許可制度への移行を内容とする海洋汚染防止法の改正が行われ、来年、平成十九年四月から施行されることとなっております。したがいまして、梅の調味残渣につきましても、平成十九年四月一日以降、海洋投入処分をするためには環境大臣の許可が必要となります。
 また、本年十月から受け付け開始される海洋投入処分に係る許可申請に先立ちまして、排出事業者は、廃棄物の海洋投入処分量の削減を鋭意進めながら、全量陸上処理を五年以内で実現するための計画づくりを国から求められているところでございます。
 今後は、この実現化に向け、国ともより一層連絡を密にするとともに、関係部局と連携を図りながら排出事業者に対して適切な助言等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 梅加工に係る調味残渣の問題につきましては、県工業技術センターにおいて戦略的研究開発プラン事業として、平成十六年度から今年度までの三年計画で調味残渣の処理システムを開発中であります。
 現在、実際にみなべ町の梅加工場にパイロットプラントを設置して実証実験を行っているところであり、性能はもとより、コスト面でも実用可能なものとなるよう努力をしているところです。
 また、梅加工業者が調味残渣の処理施設を導入する場合の必要な経費につきましては、中小企業向け融資制度の中で、振興対策資金の環境枠や零細企業者の事業活動を支援する小企業応援資金等、利用可能な低利資金がございます。
 次に、企業誘致についてでございます。
 最高百億円の助成制度の反響でございますが、報道発表直後には三十件の問い合わせがあり、中でも企業から直接問い合わせがあったものは八件で、うち一社については現在交渉中でございます。
 また、本年度に入り首都圏向けに報道提供を行い、本県の誘致施策を発信しているところでございます。現在も問い合わせをいただいておりますが、直ちに企業訪問を実施するなど、スピードある対応を行っているところです。
 誘致活動におきましてもその効果は大きく、企業誘致を推進する県として広く認知されていて、スムーズな企業訪問等を可能にしてございます。特に、最高百億円を助成できるような大量雇用、大規模投資が想定される企業に対し、副知事による企業訪問を実施するなど、数社と接触をしているところです。
 今後、そうした企業の立地場所の選定に当たっては、立地候補地の一つとなり、最終的に立地につなげるよう、インフラ整備等、企業ニーズに対応しながら積極的な誘致活動を展開する所存でございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番花田健吉君。
○花田健吉君 質問ではありません。要望ですけども、平成十八年度──この間、ちょっと勉強部屋にこれ置いていただいたんで見ると、法人事業税がやはり県の収入の中で一番大きい額を占めております。県内に所在する法人の方が納めていただいている税金だと思うんですけども、この部分を多くすることと先ほど申し上げた大卒者の就職先を確保するということが、もちろん連動もしておりますので、ぜひこの百億円の助成の対象枠にも法人の、本社の誘致ということにも大きく門戸を開いていただきたいとお願いを申し上げます。
 それと、美浜町の件なんですけども、これは美浜町だけじゃなくて、和歌山県には何町か対象になる町があると思うんですが、確かにこれは市町村からの事業、それを県が応分の負担をするという制度にはなっておるので、なおさら心配をしているんです。特に美浜町は国立病院の重心患者が多いので、医療費というのはかなり莫大な──これ、今千五百万以上と言いましたけども、もしみんな来られると、住所を移されると三千万ぐらいの美浜町の自己負担になるというように町長さんも大変心配をされております。
 もうそれ、いや、じゃうちは大きいからそれを拒否するということは、もう基本的にはできません。道義的にもできませんので、それはもう最終そうなった場合、もういたし方ないと言ったら失礼ですけども、どないしてでもその三千万ぐらいの予算を立てて対応したいということは町長さんも申されておりましたけども、それにしても美浜町の方が二名しかないのに、だあっと皆住所を移してこられて美浜町が三千万の予算を計上しなくてはならないということは、これは大変な御負担になると思いますんで、その辺も県も、それは市町村の個別の対応だからと言うてそういう御返答でしたけども、もう少しそれぞれの──たくさんの、全部の町じゃないんで、少し話も聞いてあげていただきたいと。県もそれについて前向きな対応をしていただきたいとお願いをしたいと思います。
 あと、ダムの魚道についてですけども、これは県の皆さんから資料をいただいたんですけども、熊本県の球磨川水系の球磨川に荒瀬ダムというのがあるということで、ここには魚道を設置されて、重力コンクリート式で椿山ダムに景観は似てるんですけども、規模は、高さは二分の一ぐらいの高さだということで、ちょっと参考にはならないかもわかりませんが、そういう取り組んでいるダムも全国的にはかなりあるようにお聞きしてますんで、予算的にも大変厳しい折で難しいというのは大体僕もわかってるんですけども、まあ前向きにお考えをいただきたいと思います。
 ちょっと今、これ、僕読んでると、二〇一〇年にこのダムはもう撤去されるて書いてますね。もうダムの能力がなくなったということで、全国初めてで、二〇一〇年に水利権が失効するんで、もうこのダムは撤去すると書いてますけども、僕も撤去する前に今度一回見に行ってきたいなと、そのダムの魚道を見に行きたいなと思うんですけども、地元の漁業組合も多分これを視察に行ってこられたようにお聞きしました。
 椿山ダムというのはかなり大きなダムですんで、いろんな難しい問題があると思いますけども、ぜひこれもう、アユだけの話じゃなくて日高川の生態系の保全という観点からも調査に取り組んでいただきたいと思います。
 大体、以上です。すべて要望でございます。よろしくお願いします。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 議長の許可を得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 三つの点について質問をさしていただきますが、きょうは福祉保健部長のみに質問を集中的にさしていただきたいというふうに思います。
 最初に、医療問題についてであります。
 今、医師不足で、自治体病院も中小病院も危機的状況にあると聞きます。中でも、医師不足を理由に診療報酬が減額されるからです。医療法が定める必要医師数に対して七〇%以下だと一割の減額、五〇%以下だと一・五割もの入院基本料が減額されるからです。医師不足の影響は、病院経営にも患者にとっても深刻な状態を招きます。そこに四月一日から三・一六%もの診療報酬が引き下げられましたから、なお問題は深刻となってきております。
 入院患者に対する看護職員の配置でも、一般病棟で見てみますと、これまで入院患者十人に対し看護師一人が入院基本料金として一日当たり一万二千九十円でしたが、これが若干上がりましたものの一万二千六百九十円に、そして新たに患者七人に対し看護師一人という配置基準が設定されました。入院基本料は、一日一万五千五百五十円です。しかも、病棟では、夜勤は月一人七十二時間以内とする規制が盛り込まれました。県でこの条件を満たせる病院は一体幾つあるでしょうか。
 今までは、現場では、夜勤は一人が我慢をしながらでも十回でも十一回でもやらざるを得ない状況もありました。それだけに、多くの看護師を必要とする今度の診療報酬の改定です。看護師配置が低いと診療報酬もぐっと低くなります。
 三交代勤務では月九日以内ということになりますから、看護職員の夜勤は二人以上で月八日以内という現場の要求には近づいたと言えますけれども、慢性的な看護師不足のもと、いろいろな事情で夜勤のできない人も多くあります。職場では、回数はふえてもと思いながら、調整しながら入院患者の看護が続けられてきました。こうした職場の血のにじむような努力は一体どうなるのでしょうか。
病院の経営はどうなるのでしょうか。大変気になるところです。
 入院の在院日数が長いから診療報酬を引き下げる。医師、看護職員不足等の対策が不十分のまま、まず医療費削減ありきでは、よい医療、よい看護の保障はいつまでたってもできないままになってしまいます。
 六月十四日、医療改革法が強行採決されました。参議院での審議でも多くの問題点が浮き彫りになったところでありますけれども、いずれの公聴会や参考人公述を含めて、法案への批判や不安の声が相次いだところです。負担増反対の署名においても、短期間に一千七百万人もの賛同者がありました。
 七月からは療養病床の患者を、医療の必要性が低いとされる患者の診療報酬は大幅に削減されます。病院収入が減るため、退院を患者に余儀なく求めることになります。十月からは、七十歳以上の現役並み所得者は窓口負担が二割から三割に、療養病床に入院している七十歳以上の居住費と食費は自己負担に、これが月三万円から四万円の負担増となるところです。そして、療養病床を三十八万床から十五万床にと、これから六年の間、二〇一二年までに減らすとしています。そして二〇〇八年四月からは、七十歳から七十四歳の窓口負担が、これまた一割から二割に引き上げられることになります。
 さらに、七十五歳以上のお年寄りに新たな後期高齢者医療制度をつくり、全高齢者から保険料を徴収します。保険料は月五千円とも六千円とも言われていますし、一万五千円のわずかな年金をもらう方からも保険料を天引きするとしています。六十五歳以上の国保加入者の保険料も年金から天引きするということになっています。
 その上、重大なのは、滞納した場合、一年以上たつと保険証を取り上げ、資格証明書を発行されることになりますし、そうなりますと、医療費は一たん全額十割払うことになります。
 さらには、保険のきく診療ときかない診療を組み合わせる混合診療を導入することになっています。これまでは差額ベッドや高度先進医療など例外を除いて原則的には禁止をされてまいりましたが、国内未承認薬などを加えて適用範囲を広げていこうというものです。
 以上、改悪内容を申し上げましたが、まさに医療費削減先にありき、そのものだと言えます。どこまで高齢者を痛めつければ気が済むのでしょうか。私は、強い怒りを禁じ得ません。
 私は、これらの改悪法が──地域医療をまじめに支えてこられた和歌山市内と有田地方の五つの中小病院を訪問して事務長さんなどと懇談をしてまいりましたが、皆さん異口同音に、地域医療は壊れるのではないだろうか、一般病床から療養病床に施設整備して三年もたってないではないか、それに要した借金も返済はこれからなんだ、そんなときに療養病床の縮小とは本当に非情だ、これから先どうしたらよいのか迷っている、患者の受け皿の整備もないのに退院は勧められない、全く国は無責任きわまりない、医療現場を十分知った上で事を進めるべきだ、こんな怒りの声が多く寄せられたところです。いずれの中小病院も医師や看護師確保に苦労されております。こうした声はいつになく切実なものでした。
 そこで、お尋ねをしたいと思います。
 一つは、どのような医師や看護師の確保対策を考えていますか。高齢者の皆さんからは、「病気になっても入院できへんな。医療を受ける権利も生きる権利もなくなったんやな。死ねと言うとんのか」、こういう声があります。また、「医療、介護、これ受けられへん難民がいっぱい生まれるんやないか」とため息まじりに訴えられたお年寄りに、私は答えるすべがありませんでした。
 本県の七十歳以上の人口は、二〇〇五年三月三十一日現在で十八万二千五十人です。全人口の一七・一%。七十五歳以上の高齢者は十一万八千二百三十八人、一一%です。全国順位十六位となっています。
 二つ目の質問ですが、これほどまでにお年寄りに負担を強いる大改革をどのように受けておられますか。率直な御意見をお聞かせください。
 三つ目に、地域医療を守り、県民の医療と健康を守る立場から県独自の支援を考えておられることがありましたらお聞かせください。
 福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問に入ります。
 障害者自立支援法の施行のもとでの施策についてであります。
 先ほども御質問がありました。私も、重なる部分もありますが、お尋ねをしたいというふうに思います。
 障害者自立支援法が四月に施行されました。法律に対して最も批判が多かったのが、障害がある人の負担が応能負担から応益負担の一割負担に変えられたことでした。生きていくために必要なサービスを受けることがなぜ益とされるのか。十分な所得保障もないのに障害が重いほど負担が大きくなるという生存権を否定するようなやり方への怒りと不安の声が相次いだところです。
 県は、昨年、この法案が国会へ提出される前に、関係する県民の声を県内各所で聴取をされ、その声をまとめて国に提出をされてまいりました。こうした取り組みはかつてなかったことではないかと思います。この姿勢については関係者からも大変歓迎を受けましたし、私どもも評価するところであります。
 法律の施行から二カ月余り経過した今、利用者や施設関係者などの声に県が改めて耳を傾けて必要な施策を講じていただきたいと強く願うものであります。この立場から、幾つかの問題について質問を申し上げてまいります。
 先日、県共同作業所連絡会が、施設の利用状況や今後の見通しなどについて、五月から六月にかけてアンケート調査を行われました。私は、その結果を拝見するとともに、施設関係者の皆さんからも直接お話を伺ってまいりました。
 そのアンケートで明らかになったことの一つ目は、応益負担で利用料金の負担が重いため施設の利用を続けられなくなっているケースや、昼食を、施設が出す昼食から安価なものに切りかえるということが起こっています。知的障害者の授産施設の利用をやめた人が三月から四月にかけて十六人あります。やめるかどうか今考えている人も、十人ほどありました。合わせると二十六人です。アンケートへの回答は、二十施設、施設利用者の合計は五百四十八人ですので、約五%になろうかと思います。また、利用を控えている人も、四月以降、毎月十人前後あります。
 また、障害者自立支援法は、小規模通所授産施設や無認可の作業所が地域生活支援や就労支援といった新事業を進めることを求めておるところです。五百五十一人の利用者がありますが、ことし十月以降、新事業へ移行して経済的負担が重くなったときのことを考えると通えるかどうか思案中だという人は二十八人もあります。その上、施設の側から、新事業のことを十分説明し切れていないケースや利用者の気持ちを把握できていないという回答もありました。今後、このことはふえる可能性が十分にあるというふうに思います。
 知的障害者の授産施設で給食をやめた人は何をしているか、何を食べているかと聞きましたら、コンビニエンスでカップラーメンを買ってきて食べている、あるいは売れ残って安くなった弁当を食べるなど、これを見ると、栄養面からは余り好ましくない状態に置かれている人もあるようです。また、施設の利用をやめた人の中には、高齢で年金暮らしの両親に負担をかけるわけにはいかないと家にこもってしまった方もあるとお聞きしました。
 二つ目は、施設は四月から日々の利用人数に応じて支援費を請求しなければならなくなり、収入が減少しているという問題です。
 一カ月二十二日が基本とされていますが、ある施設では、四月に実際に開けたのは二十日間でした。利用者の中には、体調が悪く施設に行けないこともあるため、平均すると七五%程度の出席だったと言います。激変緩和措置などもありますけれども、施設の収入は大幅減ったと言います。ことし一月から三月までは毎月四百七十万円前後の収入だったのが、四月には三百八十万円まで落ち込んだそうです。
 施設の収入の減少は、即人件費にしわ寄せがいかざるを得ません。福祉には専門的な人の手が大切ですが、収入の減少は、障害がある人へのサポートにも職員の暮らしにも暗い影を落とすことになります。
 施設の収入の中には、利用者の負担も含まれています。多くの人がこれまで要らなかった利用料を払わなければならなくなり、平均一万円の負担増になると言います。
 施設に払われる報酬が日割り単位に変わりましたから、入所施設でも同様のことが起こります。グループホームの利用者は、お正月やお盆には帰省します。しかし、それでは施設の収入減になってしまうという仕組みにも変えられてしまっているわけです。自立のために働きに行った施設で、工賃を上回る利用料を払わなければならない。そして、利用者と事業者を分断させるような、こんな理不尽なことをいつまでもほうっておくわけにはいかないと思うんです。
 県は、昨年六月、国へ提出された障害者自立支援法案に関する提言の中で、「現在の利用者が施設からの退所を余儀なくされることのないよう柔軟な対応が必要である」と述べられています。障害がある人とその家族からも、負担がふえることへの不安の声も国へ届けられました。
 そして、今るる紹介しましたように、利用者が施設からの退所を余儀なくされたり施設の収入が激減するなど、懸念されていた問題が現実のものとなってきていることも、ぜひ国へ届けていただきたいと思うところです。
 県として、法施行後の障害者とその施設の動向をどのように調査し、把握しておられますか。調査は繰り返し行い、必要な提言が継続されることを期待するものです。
 小泉首相は、法案審議の中で、「法律を実施し、問題があるとわかればしかるべき対応をとる」、このように答弁しています。応益負担を応能負担に戻してほしい、施設の報酬は切り下げられた単価を月単位の計算に戻してほしい、こうした要求は今切実になってきています。国へ提言をすると同時に、県独自にも利用者の軽減措置をとることを強く求めたいと思います。
 全国各地の自治体では、独自の軽減策がとられています。京都では利用者の負担上限を住民税非課税世帯は国基準の半額にするなど、きょうされんのまとめでは、八都府県と二百四十三の市区町村で利用料や医療費の軽減策がとられています。和歌山県でもこうした負担軽減策に踏み出すべきときだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 障害程度区分認定についても意見が寄せられていますのでお伺いするわけですが、各自治体に障害がある人に面談し聞き取りをするスタッフが置かれていますが、障害者のことがわかる人を配置してほしい、適正な判定がなされるのだろうか、従来受けられてきたサービスが抑制されるといった問題が起きないかという声が上がっております。調査員は専門性が発揮できるような人員の配置がどうしても必要だと考えます。どのようにお考えですか。
 以上三つの点について、福祉保健部長、お答えいただきたいと思います。
 今、障害者福祉の関係者が直面している問題は、施設の存続にもかかわる問題です。作業所が果たしてきた役割を考えるとき、そこをつぶすようなやり方は絶対に許せないというのがみんなの気持ちです。多くの人たちの努力で、障害がある人が働き、暮らす場はふえてまいりました。しかし、今でも地域で障害を抱えてひとりぼっちで暮らすなど、大変な苦労をしていらっしゃるケースはまだまだ残されていると思います。
 私のもとに、数例、寄せられている事例があります。その一例を御紹介させていただきます。
 精神障害に加えて病気のため弱視になっている五十八歳の女性は、通院も服薬も拒否しているため、病状は非常に悪い上、対人関係もつくれない状態にあると言います。家の中は散らかり放題、布団を敷いて休めるという状態ではなくて、ホームレスに近いような状態で、訪問した障害者施設の職員も言葉を失ったと言っております。人間らしい暮らしが保障されていないと話していました。そして、もっと若年の段階で作業所や支援センターなどのサポートが必要だったと思いますし、そうした社会資源がなかったことが最大の問題だと思いますと話してくれました。
 地域にもっと多くの社会資源が必要であるにもかかわらず、それに逆行して障害者の負担をふやす、サービスを抑制する、施設の経営も危うくする。自立支援法とは名ばかりで、自立破壊法だと言わざるを得ません。むしろ自立し人間らしい暮らしを保障することを妨げるようなやり方は、到底見過ごすことはできません。
 利用者の負担をもとに戻すこと、自立を支える職員の頑張りに報いることができる制度に改善されることを願って、意のある答弁を求めたいと思います。
 三つ目の質問です。学童保育と地域子ども教室についてお尋ねをいたします。
 まず、学童保育についてお尋ねをするものです。
 近年、低学年の子供たちのとうとい命が奪われる事件・事故が多く発生して、心の痛む毎日です。学校の登下校の放課後の安全対策が極めて重要になってまいりました。今、学校を初め保護者や地域住民等による見守り対策などが取り組まれているところであります。
 学童保育は、共働き家庭やひとり親家庭になくてはならない施設となっていますが、働く親たちの切実な願いから生まれたものであります。法制化されるまでの間は、みずからの家を開放したりアパートの一室を借り、かぎっ子をなくそうと長い間の自主的運動とその実践の積み上げの中で発展をしてまいりました。
 私自身も、働き続けるため、その必要性を実感してきた一人です。幸いにして地域に民間の学童保育が設置されたため、入所ができました。そして、安心して働くこともできました。当時は学童保育とは名ばかりで、宿題を見る程度のものでしたが、それでも子供の居場所があるという安心感は何よりもありがたい思いでまいりました。
 一九九七年、国は、児童福祉法に基づき、放課後児童健全育成事業の名称で法制化をいたしました。そして、法制化された後、全国に急激に学童保育数と入所児童数もふえました。その必要性と期待はこれからもますます高まってくると思うのです。
 国は、少子化対策、仕事と子育ての両立支援、次世代育成支援対策の重要な施策であるとして、必要な地域すべてに整備をしていくという方針を持っております。二〇〇五年五月一日現在、学童保育数は二千三十三市区町村に一万五千三百カ所となっています。本県の学童保育設置数は、小学校総数三百三十六校に対し百十三カ所、その設置率は三三・六%です。全国水準では、最も低い高知県に次ぐ四十六位です。随分おくれているというふうにしか言いようがありません。
 そこで、紀州っ子元気プランによる設置目標はどうなっておりますか。目標に対する取り組み状況をお聞かせください。
 厚生労働省は、学童保育に対する補助金単価基準を、入所児童数別と、年間開設日数二百八十日以上と二百日から二百八十日とした不十分なものになっております。障害児受け入れ加算は、開所二百八十日以上のみ補助を切ってしまいました。そして、長時間開設加算のみを年額支給という形になっています。三位一体改革の中でその補助金も年々削られ続けています。
 学童保育の設置数をふやす方針はあるというものの、その質的充実の方針は全く明確になっていません。法律に位置づけた制度であると言いながら、国としての最低限保障されなければならない行政水準がいまだに確立されていないのであります。設置運営基準をつくることは国の最低の責任だと考えるものです。国にぜひ求めていただきたい。
 同時に、県としても設置・運営基準を関係者の声も聞きながらつくることを願うものでありますが、いかがでしょうか。
 この設置基準、運営基準等については、既に全国でつくられ始めています。埼玉県では既にそれが実施に移っておりますし、今、石川、群馬県などでも検討が始まっています。こうした点でも、ぜひ運営基準をつくっていただきたいというふうに思います。
 次に、地域子ども教室についてお尋ねをします。
 地域子ども教室は、文部科学省が進める事業です。目的は、地域の大人の協力を得て、学校の余裕教室や校庭などに安全・安心、そういう中で活動できる子供の拠点でもありますし、遊びの場でもあります。放課後や週末におけるさまざまな体験活動や地域住民との交流活動を推進するという内容になっております。
 対象は、小学校から中学校までのすべての児童生徒が自主的に参加する、週一回程度、ほぼ毎日実施まで、地域のさまざまな分野の大人が指導員として配置をされ、十六年度から十八年度までの三カ年の事業となっております。十六年度では九十九カ所、十七年度百二十八カ所、十八年度百四十二カ所で、和歌山県下で学校や公民館などの社会教育施設を使って実行委員会主催で多種多様の体験行事が行われてまいりました。文部科学省の委託事業となっています。
 今後、こうした子供たちを地域で育てていく、そういうコミュニティーを一層広げていくということでは大変重要なものだというふうに思いますし、今後はもっと需要が増すだろうと思います。それらを一層拡充するための財政措置が今後も必要だと考えるものです。この地域子ども教室推進事業の終了に当たり、ぜひとも総括を協議会としてしっかり行うべきではないのでしょうか。
 教育長、この間の取り組みからどのような感想をお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医療問題についての御質問のうち、まず医師、看護師不足対策についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、県内の医療機関においては医師や看護師の確保に大変御苦労されております。
 医師確保対策につきましては、自治医科大学制度を初め、わかやまドクターバンク制度や医師臨床研修連絡協議会の設置に加え、平成十八年度から、医師確保修学資金制度の創設や医師募集など、県内のあらゆる医療情報を発信するホームページを開設いたします。
 また、医師確保対策等を検討する医療対策特別委員会の中間報告を受け、関係機関と連携を図りながら、引き続き効果的、効率的な医療体制づくりに努めてまいります。
 なお、この問題は全国的な課題であり、県独自の取り組みだけでは限界があるため、全国知事会において政府要望を行うとともに、本県としても、去る六月十五日に厚生労働省等に対し、抜本的な対策を強く提案、要望したところでございます。
 また、看護職員確保対策としては、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を四本の柱に量・質の両面にわたる対策に取り組んでおり、今年度から離職防止対策として看護職員の不安やストレスの軽減を図るためのナース相談窓口の開設等、さまざまな看護職員確保対策を実施しているところでございます。
 県といたしましては、県内の医療機関の状況把握に努めながら、医師、看護師確保対策に一層取り組んでまいります。
 次に、医療制度改革をどう受けとめているのか、また県としての独自の支援策を考えているのかについてお答えいたします。
 今回の医療制度改革は、日本社会が急速な高齢化に直面している中で、国民共通の財産である国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものにしていくために、患者負担の見直しや新たな後期高齢者医療制度の創設、また療養病床の再編など、大きな改革となっております。
 議員御指摘の高齢者の負担増等につきましては、低所得者への自己負担限度額の据え置きや保険料の軽減措置などの配慮がなされておりますが、県といたしましては、高齢者等利用者の視点に立った適切な制度運営がなされるよう、市町村及び後期高齢者医療広域連合に対し必要な助言や指導を行ってまいります。
 また、療養病床の再編につきましては、国において検討中である経過措置等の情報の早期収集に努めるとともに、療養病床の介護老人保健施設への計画的な転換等、地域全体で高齢者を支える体制づくりを進めてまいります。
 今後とも、国や関係機関との連携を図りながら、県民が安心して医療、介護を受けられるように努めてまいります。
 次に、障害者自立支援法施行についての動向調査、利用の控え、応益負担、報酬単位、県独自の軽減措置の五点の質問について、一括してお答えいたします。
 障害福祉サービスを利用される方がこの先も安心して利用できるよう持続可能な制度とするため、本年四月から障害者自立支援法が施行され、二カ月半が経過いたしました。
 議員御指摘の利用者の利用抑制等につきましては、現在調査中であり、調査結果を分析した上で対策等検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、県では、利用者の定着や事業者の経営基盤の安定につなげるため、授産施設等に経営コンサルタント等の専門家を派遣し、施設経営の強化や利用者の工賃アップが図れるよう支援を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、今後とも利用者や施設関係者などの御意見をお伺いし、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられ、不当に抑制されることがないよう注視してまいりたいと考えております。
 次に、障害程度区分認定調査員についてでございますが、調査員の業務は、障害福祉サービスの支給決定を行う市町村が実施するものでございます。そのため、市町村が障害の種別や障害者の人数等を勘案して、認定調査員の人員等について適切に配置するものと考えております。
 認定調査員は、市町村職員または市町村から委託を受けた指定相談事業者等であり、障害者等の保健または福祉に関する専門的知識及び技術を有する者として国が定める認定調査員研修を修了した者とされております。
 県といたしましては、障害程度区分認定における客観的かつ公平・公正な認定調査を実施するために障害程度区分認定調査員研修を実施し、養成してきているところでございます。
 今後とも、市町村の障害程度区分認定に必要な知識、技能の習得及び向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、学童保育の設置目標数と取り組みについてでございます。
 和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」は、次世代育成支援対策推進法に基づく県の行動計画でございまして、平成十七年度を初年度とし、平成二十一年度を目標年次とする五カ年の計画でございます。放課後児童クラブにつきましては、平成二十一年度において県内二十四市町村、百四十カ所の設置を目標としております。
 放課後児童クラブ拡充に向けた取り組みにつきましては、市町村に対して地域の実情に合わせ拡充に向けた取り組みを依頼するとともに、国に対しても財政措置の充実を要望しております。平成十七年度末で百十四カ所、本年六月一日現在で百十七カ所に設置されており、引き続き拡充に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
 次に、設置運営基準を国も県もつくるようにという御質問についてございますが、国の放課後児童健全育成事業実施要綱は、事業の運営について必要最低限の要件を定めているものと考えております。
 指導内容の充実を図るためには放課後児童指導員の資質向上等が必要であり、国に対して要望を行うとともに、放課後児童指導員の研修を通じて事業の充実に取り組んでまいります。
 また、議員御提案の設置・運営基準の策定につきましては、今後、他府県の取り組み等も踏まえ、研究してまいります。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 地域子ども教室推進事業についてお答えします。
 この事業、本県では県教委の生涯学習課長が会長を務める和歌山県ふれあいネットワーク推進協議会が中心となって、県内四十七の実行委員会を設けて実施しております。この教室を本県では「地域ふれあいルーム」と名づけ、年間を通してこれを拡充する努力を続けてまいりました。現在、百四十二カ所に開設しております。これらの教室では、平均週二回、毎回三十人ほどの子供が参加をして、それに十人前後の地域の住民の方々が協力をしていただきながら、各種スポーツ大会や和太鼓、郷土料理などの地域の実情に即した多彩な体験活動が行われております。
 こうした活動によって、子供たちがそれぞれ社会性や自立心を身につけるだけではなくて、この事業に参加した大人自身が新たな学びやお互いのつながりを生み出し、地域の教育力の向上に極めて大きな役割を果たしてきているというふうに総括をしておるところでございます。
 ほかに、本県では、小中学生が普通の授業のある曜日に公民館等に通って共同生活を送り、一緒に学校に通うという通学合宿を行っておりまして、これらも地域と大人と子供をつなぐ重要な施策になっているというふうに考えております。
 このような成果を踏まえ、今後とも地域の人々や各種団体の協力を得ながら、福祉部局と連携のもと、地域全体で子供を育てる取り組みの充実に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 御答弁をいただいて。国の制度の問題もたくさんあるんで、まだもたもたしてる部分が医療改悪の中にはあるというふうに思うんです。しかし、方向はもうはっきりしてるわけですよね。
 高齢者への負担というものは、これまでも異常なほど法律でつくられて改変されてきたというふうに私たちは思っています。特に、これまでの間に、老年者控除とか、あるいは扶養控除とか公的年金控除、それから高齢者の住民非課税限度額の廃止というような、定率減税の問題も含めて、六十五歳以上のお年寄りの負担は、これまでに所得税もふえてきましたし、最近では、今ちょうど住民税、県民税の請求通知が来てるわけですよね。市役所へ聞いてみましたら、もうお昼御飯も食べられないぐらい電話での怒りの声、そして「これ一体何や」と言うて詰めかけてくるというような現状が、先ほども聞きましたけれども、まだ続いているそうです。それだけに、やっぱり高齢者の皆さん方が今度の──これまでの問題として、なぜこんなに年寄りをいじめるんやという気持ちが爆発してきたんだというふうに思うんです。
 それで、これからまた何年間はこの医療の負担増というのが押しつけられるわけですから、本当に高齢者が病院へ行く足が遠くなるということと、それから今まで行っていた医療機関への足がますます遠のいてくるし、飲まなければいけない薬も我慢をしていくという実態はもういっぱい出てくると思うんです。そういう部分を今度の改悪で行政としてどう受けとめるのかというのは、大きな課題だと思うんですよ。
 今、福祉保健部長は、「継続可能な」という、いわゆる政府が言うやつを優等生みたいにだあっと言ってるけれども、現実的にはもう本当に和歌山県の七十五歳以上、七十歳以上のお年寄りの皆さんたちが、今から先、生活どないなるやろう、私の体どうなるんやろうと、こういう不安はずうっと続いていくんですよ。これに対して、何がそうなのかということをやっぱり深く突きとめていただきたいと思うんです。
 そういう点では、病院に入院──病院は受け入れ側ですから。だけども、療養病床はもう介護型を全廃されますし、そして療養型も十五万床に減らされるということですから。和歌山県だって、今、介護型が七百九十何床ですね。そして、いわゆる医療型そのものが二千六百余りありますよね。だから、この二千六百余りのもんがどれだけ減らされていくのかと、ここが問題になるわけですよね。そうすると、本当にここにいてなくちゃいけない人だって、「あんたは医療の程度が軽いからもう出てよ」と言わざるを得ない。収入が減ってくるわけですからね、軽い人を入れてたら。
 そういう点で見ると、その人たちの行き場は完全に閉ざされます。老健施設へ行きなさいって言ったって、今満杯でしょう。特別養護老人ホームだって、毎年毎年待機者がふえていっているわけですから。今申し込んでる人でも二年も三年も待たなくちゃならないという重要なときに、一体、療養病床から退院をさせられる人がどこへ行けばいいんですか。受け皿がないままに法律を先につくっちゃって、そしてあとは、地方自治体でやれよ、病院努力せえよと、こういうのは余りにもひど過ぎると思うんですよ。
 こういう点で、国が法律を決めたといえども、地方自治体は何よりも県民の福祉という点で健康を守るというのが最大の任務だと思いますから、そういう点では再三、病院関係者やら、あるいは患者さんたちの会もいっぱいあると思いますから、そういうところで実態を把握する努力をしてください。
 それから、自立支援法の方の問題ですけれども、今調査中と言うてますから、この中で大いに反映をさせていただけたらありがたいというふうに思います。ぜひその実態把握、それを県ができることはちゃんとやる、そして国へ言うべきこと、ちゃんとやっていただきたいというふうに思います。
 この調査、一体いつごろ結果は出るんですか。まず、それを聞かしてください。
 私がるる申し上げましたように、もう全国の共同作業所も調査をやってますし、それももうインターネットでも出てます。それから、和歌山の共同作業所も現実的にやりましたから、私が先ほど述べましたように。やっぱりもう、負担があるからやめる、やめようかな、サービスの量を減らそうかな、こういうふうに現実に出てきてますよね。この人たちを一体どうするのかと。
 施設自体も成り立たない状況も出てくると思いますし、小規模の共同作業所は、もう補助金も出さないよ、これからは要らんよという姿勢ですよね。今ある、せっかく努力してつくってきた小規模の共同作業所を切り捨てていくのかということを私は思うんです。
 そういう点で、障害者の人たちが自立をするために自立支援法をつくったのに、自立するどころか自立を阻害するような方向になってきてるというのをしっかり受けとめていただきたいと思うんです。
 そういう点で、自立するための支援として、この自立支援法が阻害している問題があるところは改善をさせていくということをぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 それから、学童保育については、今、地域ふれあいルームというので、和歌山県は独自のことでいっぱい努力をされているんですけども、すばらしい内容だというふうに思います。これは、放課後、どんな子供たちでも地域で遊びの場を保障しますよということになるわけですが、だけど、生活の場ではないんですね。遊びの場ということですから。
 学童保育は生活の場なんですね。厚生労働省がちゃんと法律のもとにつくったやつですから。これはかけがえのない問題だというふうに思いますので、これから先、文科省と厚生労働省が相互連携していくというようなことになっているわけですけれども、私は、絶対にこのふれあいルームを学童保育の代用にしないでいただきたいんです。目的は全く違うわけですから、そういう点で学童保育はもっと充実させてほしいというふうに思ってますんで、そこんところをきちっと仕分けをしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 さっきの点について、どうぞ答えてください。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) ただいまの再質問は、医療制度改革について。
 この改革、法律については国でもかなりな議論をされまして、この成立につきましても附帯決議もたくさんついているような状況でございます。
 その内容につきましては、病院の病床の変換とかということにつきましても激変を緩和することとかというような内容が含まれておりますけれども、内容については詳細が我々も十分わかっておりませんので、できる限り早く詳細を把握して、また医療関係者等に周知させたいと思っております。
 以上でございます。──(「調査結果」と呼ぶ者あり)調査結果は、できるだけ早くというふうにさしていただきたいと思います。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
    ────────────────────
  午後一時四分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、交通安全対策につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 一問目は、昨日先輩議員より質問をされましたので、私なりに視点を変えまして、駐車監視員につきましてお尋ねをさしていただきたいと思います。
 既に御承知のとおり、六月の一日より、違法駐車取り締まり対策として、道路交通法改正に基づき、全国で駐車監視員制度が始まりました。この駐車監視員制度発足の背景には、近年の治安の悪化を受けて警察官の街頭パトロールなどの対応に人員が不足した結果、放置駐車違反の取り締まり件数は一九九五年の二百四十万件から二〇〇五年の百五十一万件へと、年々低下したわけでございます。一方で、違法駐車に絡む苦情相談の一一〇番通報は、一九九五年の約三十万件から二○○五年の約六十六万件へと増加の一途をたどっています。また、これまでの法律では違法駐車をしても車の運転者にしか責任を問えなかったため、反則金の納付を逃れる事例もあったようであります。
 こうした問題点を踏まえ、二〇〇四年六月に今回の取り締まり方法について見直され、違法駐車車両に対し直ちに放置車両ステッカーを張りつけ、後日、駐車違反取り締まりセンターから反則金納付書が運転者か所有者あてに送付され、駐車違反した運転者が反則金を納めない場合、車の使用者に放置違反金、いわゆる反則金と同額でありますが、納付をしなければならないように改めたことが特記すべきことだと思います。また、常習者には車両の使用を制限できるようになり、逃げ得は許さないとのことであります。また、放置違反金を滞納して督促を受けた者は納めるまで車検手続が完了できなくなるという、こういう法改正でございます。
 以前から違法駐車車両は、交通渋滞や事故の原因になるなど、国民生活にさまざまな弊害をもたらしています。現実に、私の知り合いの方の青年が車を走行中、市内の幹線道路に駐車したまま買い物をしていた車を避けたとき、後方より走ってきた乗用車に追突され、お亡くなりになりました。駐車していた車の持ち主には責任がなく、何とも後味の悪い事故でありました。今回の制度施行で、二度と起こらないことを願う一人でもあります。事故は一瞬の出来事でありますから、できる限り事故が起こらない道路環境をつくることが大事であると思います。そして、今回の法施行の一番重要な点はこういうことではないでしょうか。
 以上のことから、警察本部長にお伺いいたします。
 第一点目は、今回の制度施行に伴う指定区域内での成果について、第二点目は、商業地域での買い物客や近くに一時預かりのパーキングがない場合の対策として時間制限駐車区間の増設について、以上二点お伺いいたします。
 二点目は、自転車の夜間無灯火走行についてお伺いしたいと思います。
 これは今さら声を大にして論議するまでもなく、社会通念上常識のことで、夜暗くなれば電気を灯火し走行するのが当たり前ではありますが、しかしながら現実はどうでしょうか。私の知る範囲では、十台に一台程度しか灯火せず、無灯火で自転車を運転している人が余りにも多いと思います。多くの方より、自転車マナーについて、安全運転走行を徹底すべきさらなる啓発の必要性を求められております。実際に、交差点での出会い頭の冷やっとした経験は私だけではないと思います。
 一方、環境生活部県民生活課が策定いたしました第八次和歌山県交通安全計画では、十八年度から二十二年度までの五年間でそれぞれの数値目標を示し、人命尊重の理念のもとに安全かつ安心な県民生活を実現するため交通事故のない社会を目指すとありました。
 以上のことから、一点目は、自転車事故の件数並びに無灯火走行をなくす啓発について、警察本部長にお伺いいたします。
 二点目は、教育委員会における無灯火走行の防止対策の実施状況について、教育長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、県議会定数問題についてお伺いいたします。
 去る二月定例議会、最終日三月十七日に、賛成多数で県議会議員定数の条例が改正されました。そこで、先輩議員より、県民が理解できる条例改正でなければ到底納得できるものでないと反対討論をし、強く訴えましたが、残念ながらかなえられませんでした。
 そこで、私どもは、都道府県では全国で初めての議員定数条例改正を求める署名運動を始めました。広く県民の皆様に人口比率での適正な定数配分の案を示し、自署による署名と捺印を求め、去る四月の二十六日より五月末をめどに県下で実施し、当初の目標でありました二万三千人を大きく上回る二万四千四百八十二人の方々に御協力をいただきました。現在、各選挙管理委員会にて選挙人名簿をもとに照会チェック作業が行われております。
 忘れもしませんが、五月の二十三日、雨が降る中、主な市を回り街頭に立ち、署名活動を地元議員とともに行いました。特に橋本市役所前では、雨にもかかわらず車の窓をあけ、応援のエールもいただきました。三名の橋本の市会議員もマイクを持つ手に力が入るのが印象的でもありました。
 署名の委任者の多くの方が異口同音に言っておられたことは、県議会の皆さんは本当に何をやっているんだ、中小零細企業の経営者は今必死になって頑張っているんだ、議員さんも頑張ってくれよと叱咤激励をいただいたところでございます。そのとき、御心配をかけ大変申しわけないなという、こういう思いでいっぱいでありました。
 さて、皆さん、全国で定数削減を行っていない都道府県は、我が和歌山県のみになりました。去る四月二十八日には、徳島県議会は臨時議会を開催し、二名の削減を決めました。また、岩手県議会では、六月二十日、本会議冒頭、五十一名から四十八名に三名の定数を削減、さらに六月の二十一日、山口県議会でも五十三名から四十九名に四名の定数削減を全会派賛成で可決されました。両県とも今六月定例議会にて定数削減を行ったのであります。現実といたしまして、四十七都道府県中、我が和歌山県のみ定数の削減をしない県となったわけであります。
 さて、話は変わりますが、署名活動の日々の中、私の家に「新しい波」と書かれた封書が送られてきました。内容の一部を御紹介さしていただきます。
 この「新しい波」の発行は、経済産業大臣の二階俊博先生が会長をなさっている政策グループが作成をした、二階大臣の近況の報告等であります。私は一気に拝読をさしていただき、大いに感銘をしたところであります。特に、テレビ東京解説委員をなさっている篠原文也氏との対談で、ポスト小泉にふさわしい人物論の箇所で、「日本の国のリーダーは、自分の国のことだけ考えておればいいというものではない。少なくともアジアの指導者としての役割があります。そういうスケールの持ち主の登板が期待されている」。
 また、次に、二階大臣が遠藤三郎先生に仕えていたときにお聞きした言葉に、「下民は虐げ易きも上天は欺き難し」と。この言葉は、実は福島県の二本松市内にある二本松五代藩主・丹羽高寛公が藩士に示した訓戒であります。史跡「戒石銘」に刻まれているいい言葉だと二階大臣は言われておられました。その言葉の前に、「爾の俸、爾の禄は民の膏、民の脂なり」と書かれていて、お上からいただく俸禄は国民の汗と脂の結晶であると、政治家としての心情を言われておりました。本当に感銘をした一部分でもございます。
 今回の署名運動を通し感じたことは、多くの県民がさきの条例改正については納得をされていないのではないか、こういうふうに思いました。私どもは、主張してまいりました人口比率を根拠とした改正案を示し多くの方々の賛同を得た、この事実こそ公平な議員定数配分、そして民主主義の根幹であると思います。この原理原則を崩してしまえば将来に大きな禍根を残すことになりかねないと思う次第であります。
 以上のことから、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併支援の今後の進め方についてお伺いをいたします。
 平成の大合併に伴い、全国約三千三百あった市町村が昨年度末で約千八百の市町村になり、本県でも県下五十市町村から三十市町村と合併が進んでおります。先ほどの報告いたしました山口県では五十六の市町村から二十二市町に合併が進み、岩手県では五十八市町村から三十五市町村になったとのことであります。
 本県でも、総務部が示されました和歌山県市町村合併推進構想、昨年行われました国勢調査にも顕著にあらわれているように、本格的な少子高齢化、人口減少社会に入り、本県としても各市町村の財政基盤の強化を図り、新法下において引き続き個性豊かな町づくりを推進していくために積極的な役割を果たしていく必要性を肯定しております。
 以上の観点から、県は六つの合併すべき各対象市町村の組み合わせについて、私どもの関係者から今後県当局としてどう進めていくのかといった問い合わせが多々ございます。市町村合併支援、今後どのように進められるのか、総務部長にお伺いいたします。
 次に、がん対策についてお伺いしたいと思います。
 先週六月の十六日に国会で成立いたしましたがん対策基本法、この法律は日本を対がん戦略の先進国にするために議員立法で審議を重ね、成立させた法律であります。
 現在の日本ががん対策で立ちおくれてきた背景に、摘出手術中心の診療が行われてきたことにある。現在、がんは日本人の死亡原因の第一位を占め、三人に一人ががんで亡くなっています。十年後には二人に一人ががんで亡くなるとも予想され、国民の健康にとって大きな脅威となっています。そこで、一九八四年以降、我が国が取り組んできた対がん戦略の実効性を高め、がん対策を計画的に推進するための法律であります。がん対策を推進する基本理念を定め、政府と都道府県にそれぞれがん対策推進基本計画、そしてがん対策推進計画を策定することを規定し、また国や地方公共団体の責務を明記し、がん予防、早期発見の推進やがん診療の均てん化の促進、がん研究の促進を柱とする基本的施策であります。
 この基本法に基づいて、今後は具体的な目標と達成時期を明記し、五年ごとに計画を含めた見直しも行われるとされています。この基本計画策定に国民の声や専門家の意見を反映させる仕組みも盛り込まれています。我が党としても、この法制化に当たっては、次の三点を強く主張してまいりました。一点目は放射線治療医や品質管理の専門家の育成、二点目には緩和ケアの充実、三点目にはがん登録の必要性を一貫して主張してまいりました。
 現在の生活様式の変化によってがんの欧米化が進み、その治療に高い成果をおさめている放射線治療の需要が急増する中、がん患者の二五%が放射線治療を受けており、十年後には二倍以上になると予測されています。
 そういった中、現在でも不足している放射線治療医を大幅にふやす必要があり、そうすることで、従来のがん治療イコール手術だけではなく、患者自身が自分の価値観に応じて治療法を選択できる社会を築くことが可能になります。さらに、日本ではがん患者の終末期医療として行われてきた緩和ケアをがん患者に早期から行うことで痛みや苦しみを抑え、患者のクオリティー・オブ・ライフを高め、その人らしい生き方ができるよう、医療体制が可能になります。
 一方、がん登録については、法案には今回盛り込むことができませんでしたが、がん患者の罹患状況を把握するため、地方自治体が進めるがん登録を支援していくとなっております。
 さて、福祉保健部健康局医務課のまとめによりますと、本県の平成十七年の人口動態統計の概況は、出生は七千八百三十七人で一時間七分四秒に一人、死亡は一万一千二百五十二人で四十六分四十三秒に一人、婚姻は四千九百五十六組で一時間四十六分三秒に一組、離婚は二千百八十一組で四時間五十九秒に一組、こういうふうに発表されておりました。これは、出生より死亡の方がはるかに多く、少子化が進み、人口減少の一因になっていることが明確になっております。
 死因別死亡の第一位はがん、第二位は心疾患、そして第三位は脳血管疾患で、過半数を占めています。また、死亡率の年次推移でも、明らかにがんにより死亡される方が多くなってきています。特にがんによる死亡数は、他の死亡要因と違って乱高下なく上昇しているのが特徴であります。また、全国と比較してもわかるように、我が和歌山県はワースト第五位であり、また特に肺がんは第三位と、依然高い位置であります。全国にあってもがんによる死亡数は年々増加の一途をたどっており、先ほども申し上げましたように、国としても早急に抜本的な対策が必要となってまいりました。
 以上のことから、県民の健康維持と長寿社会構築の観点から、本県のがん対策の現状と今後の取り組みについて福祉保健部長にお伺いをいたします。
 次に、平成十八年二月一日付で厚生労働省は「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」を定め、施行日については本年四月の一日としています。内容は、平成十三年八月三十日付の「がん診療連携拠点病院の整備について」の旧指針を廃止し、全く新たな指針が示されました。
 新指針のポイントとして四つございます。一つ目には、旧指針にない都道府県がん診療連携拠点病院が新設されました。二つ目には、旧指針では積極的に認められていなかった特定機能病院も認定される方向であります。三つ目には、地域がん診療連携拠点病院については二次医療圏に一カ所程度となっています。四つ目には、指定要件が非常に厳しくなっているということであります。
 次に、新指針の主な指定要件について、一つには診療ガイドラインに準じた標準的治療や各診療科連携の集学的治療の実施、二つには苦痛を取り去る緩和医療の提供、三つには抗がん剤治療、放射線診断及び治療、病理診断の専門の医師の配置、四つには患者に情報を提供し相談を受け付ける相談支援センターの設置、五つには治療成果を網羅的に集積する院内がん登録の実施、六つには地域のほかの医療機関との連携が挙げられております。その他には、主な課題やメリット面について示されておりました。
 改定になった新指針とがん対策基本法の趣旨から、我が本県には公立大学法人和歌山県立医科大学がございます。最先端の高度医療を研究し、地域医療をバックアップしてきた経緯をかんがみ、がん撲滅に今まで以上に本格的に取り組むべきであると思います。
 本県の公立大学和歌山県立医科大学に課せられた使命は多大なものがあると思います。県下に多くの卒業生が現場で地域医療を支えております。このネットワークを生かし整備することによって、医大のステータスの向上はもちろん、医学生のさらなるやる気につながると考えます。
 今回のがん診療連携拠点病院の指定を受けるため、ぜひとも県当局は本県のがんによる死亡率の高さを考慮し、厳しい現状を把握していただき、公立大学法人和歌山県立医科大学を中心とした地域間医療の格差をなくし、県民に安心して医療を提供できる体制づくりの確立に御尽力を傾注していただきたいと願うものであります。
 また、私は、公立大学法人和歌山県立医科大学にさらなる信頼と期待を寄せる一人として、早急に推薦意見書を添付し、厚生労働大臣あてに新規指定推薦書を提出すべきと考えますが、福祉保健部長のお考えをお教えください。
 次に、国民健康カード──仮称でございますが──導入についてお伺いいたします。
 さきの通常国会にて、六月の十四日に新たな医療制度改革関連法が成立いたしました。人口の急速な高齢化や人口減少の訪れにより医療費の増大が避けられない中で、だれもがいざというとき安心して医療が受けられる国民皆保険の医療制度を将来にわたって維持するために制度の構造改革を行い、国民が負担可能な範囲で医療費の適正化を図ることを目的とされています。
 今回の制度で四つの柱がございます。一つには治療重点から予防重視へ、二つには七十五歳以上の新保険制度創設、三つには都道府県単位で保険者再編、四つには出産一時金を三十万円から三十五万円に引き上げなど、改正されました。
 これからの地方公共団体における国保業務の今後の取り組みについては、市町村国保再編・統合への機運が高まり、保険財政基盤の安定と事務処理体制の整備と事務の効率化、保険者機能の強化、保険料の平準化などが考えられます。
 本県の国民健康保険事業の年次推移を「図表で見る県勢」によりますと、平成十六年度では保険者数は市町村で四十六市町村、国保組合で三組合、世帯数では市町村で二十三万四千七百二十五世帯、国保組合で三千七百四十二世帯、被保険者数は市町村で四十六万九千百六十九人、国保組合では八千三百五十六人、一世帯当たりの被保険者数は二・〇〇人で、被保険者一人当たりの保険料(税)は七万四百五十七円、医療費が三十七万四千五百四十四円、そして老人医療費が七十七万一千九百二十五円と年々増加の一途をたどり、国保への加入者の増加と医療費の増大が現実にあらわれております。
 そして、二〇〇一年四月より健康保険証の個人カード化が始まりました。今まで原則一世帯に一枚配布されていた連名式の健康保険証が家族一人に一枚あて配布されることになり、小型化で常時携帯できること、家族同士が別の医療機関で同時に受診できること、遠隔地などの特別扱いが不要になること等のメリットがあります。
 一昨年までにカード化導入されている団体は、政府管掌、国民保険、組合管掌、共済組合など、それぞれの予算化のできたところから移行しているようであります。
 特にICカードのメリットは、個人の履歴と処方の現状並びに不必要な検査受診を省くことができます。また、緊急事態の際には、今まで診療を受けていた内容が、ICカードであれば直ちに重要な参考資料として活用できるのであります。
 また、一方では、今までよく耳にいたすことは「検査、検査ばかりの検査漬け」といった声であります。私は医療についてはずぶの素人ではありますが、現場の声を皆さんとともに、議会を通し、県政遂行に少しでも生かしたいと願うものであります。また、世界にも類を見ない国民皆保険制度維持のためにも、方策の一つとして、私は、この保険証のカード化を進める中、ICカードを推進すべきと考えます。
 以上のことから、一点目は本県の保険証カード化の進捗状況はどうなっているのか、二点目は国民健康カード(仮称)の導入についてどのようにお考えか、福祉保健部長にお伺いいたしたいと思います。
 最後に、これは要望でございます。きょうは議長にお許しをいただきまして、皆様のお手元に会報の資料をお届けさしていただいております。
 皆様のお力添えをいただきまして、このパンフレットにもありますとおり、現在、都道府県の枠を超え、そしてまた政令指定都市を初め各地で脳脊髄液減少症の理解の輪が広がり、ブラッドパッチ療法の保険適用の声が一段と高まる中、今通常国会の参議院予算委員会において、渡辺孝男議員の質疑に対し、厚生労働大臣、国土交通大臣、文部科学副大臣より脳脊髄液減少症について研究費を含めた積極的な答弁をいただきました。本当に、皆さん、ありがとうございました。二〇〇三年十月に千葉県より署名運動が広がり、今日に至っております。
 この十月には、山形大学医学部附属病院脳神経外科教授の嘉山先生より、脳神経外科学会の総会を京都で開催しようとの提案もいただいております。さらに、嘉山先生は、「患者が強く研究を望んでいると、それにこたえるのが医師の務めであります。何もしないで批判ばかりしているより研究することに意義がある」と言われ、あくまで患者本位でなければいけないと言われております。
 また、日本医科大学脳神経外科助教授の北村先生は、「脳外科医ではだれもがこの病態を勉強しなければいけない時期に来ましたね」とも言われ、今、この病態について積極的に取り組んでいます。
 本県の医大において、一日も早い段階でブラッドパッチ療法の研究に取り組んでいただきたいことを強く要望いたしまして、第一問を終わります。
 御清聴、まことにありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県議会議員の定数の削減と選挙区の選挙すべき議員の数の是正について直接請求の署名活動が行われ、現在、関係市町選挙管理委員会において署名簿の審査等が行われていると聞いております。今後、請求代表者から有権者の五十分の一以上の署名とともに本請求が行われれば、議会に付議をすることとなります。
 地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の意思決定機関として住民主権を実現するための根幹をなすものであり、とりわけ議会定数は議会の構成の基本にかかわる大変重要な問題でありますので、県民の理解が得られるよう、県議会において総合的な見地から検討をいただくべき事項と考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 市町村合併についてのお尋ねがありました。
 市町村合併につきましては、各市町村の地域で自主的な議論が活発に展開されることが重要であると考えておりますが、合併新法においては合併推進に関する県の役割が強化されておりますので、各地域における議論の促進について、県としても積極的に取り組んでまいります。
 まずは、各地域において県も参加した上で研究会等を設置することといたしております。また、シンポジウムの開催などを通じ、地域の将来像、市町村のあり方、地方財政の見通しなど、地域を取り巻く状況について共通認識の涵養を図り、機運の醸成に努めるとともに、各地域におけるさまざまな不安感の除去、課題の解決のため、市町村と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) がん対策について、二つの御質問にお答えいたします。
 がん対策の現状と今後の取り組みについてでございますが、議員御指摘のとおり、本県のがん死亡率は年々増加傾向にあります。
 県では平成十三年に元気わかやま行動計画を策定し、たばこ対策を初め、生活習慣の改善による一次予防やがん検診の受診率の向上などに取り組んでまいりました。また、専門家や医療関係者で構成する和歌山県成人病検診管理指導協議会において各種がん検診の実施要領を見直し、がん検診の精度向上を図っているところでございます。
 議員御指摘のとおり、放射線治療ができる人材育成や緩和ケアの充実などが大変重要であり、今後は国が策定するがん対策推進基本計画を踏まえて県の計画策定を進めるとともに、がん対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、がん診療連携拠点病院の指定についてですが、議員御指摘のとおり、先般、厚生労働省から「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」が通知され、がん医療水準の地域格差をなくするため、地域におけるがん診療の拠点となる施設の整備充実や診療連携体制の確保について示されたところであります。
 本指針では、二次医療圏に一カ所程度の地域がん診療連携拠点病院及び都道府県におおむね一カ所の都道府県がん診療連携拠点病院を整備することとされております。
 本県におけるがん診療連携拠点病院については、公立大学法人和歌山県立医科大学を含め、指定要件や医療機関のがん診療体制の整備状況を踏まえながら、本県のがん医療水準の向上にふさわしい医療機関を指定、整備してまいります。
 次に、健康保険被保険者証のカード化についてお答えいたします。
 まず、本県の国民健康保険における被保険者証のカード化の進捗状況についてでございますが、県内二十八市町村国保保険者のうち、現在のところ導入されていますのは、御坊市ほか三カ町国民健康保険事務組合及び高野町の二保険者となっております。
 次に、被保険者証のカード化に対する考え方についてですが、議員御指摘のとおり、被保険者証をICカード化することにより、資格確認などの迅速化、事務の効率化が図れるほか、カードに医療データを入れることによって医療機関相互の患者の医療情報の共有が可能になるなどのメリットがあります。
 国民健康保険におけるICカードの導入については、個人情報保護や導入コストの問題など課題もありますので、県といたしましては、国や他府県の動向等を見据えながら適切に対処してまいります。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 自転車の無灯火走行の防止についてお答えいたします。
 県教育委員会では、児童生徒の交通事故防止のため、各種の担当者会議や文書をもって交通安全指導を行っております。
 また、小中学校においては、自転車の乗り方、交通安全教室、自転車通学生への集団指導などを実施するとともに、また高等学校においては、新入生を対象にテキストを使用した交通安全教育や街頭登下校指導などを実施しております。
 自転車の無灯火走行を初め並進、二人乗りの禁止等、自転車運転マナーやモラルの向上への指導が大事であると考えております。
 今後とも、児童生徒への自転車運転を初めとする交通安全指導を徹底してまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 角田議員の御質問にお答えいたします。
 第一点目の駐車監視員制度施行に伴う指定区域内での成果につきましては、昨日の本会議においてもお答えいたしましたとおり、駐車監視員が活動する重点路線・地域におきましては目に見えて違法駐車車両が減少しており、好評を得ているところでありまして、駐車監視員制度の導入効果には大きなものがあると考えております。
 次に、商業地域等での時間制限駐車区間の増設についてお答えいたします。
 本県での時間制限駐車区間、いわゆるパーキングチケット運用区間は、和歌山市内の三カ所で六区間、六十一台の駐車枠を設けているところであります。
 時間制限駐車区間の設置は、短時間の駐車需要があり、交通の安全や車の流れに支障がなく、周辺住民の皆さんの理解が得られ、かつ道路管理者や関係機関との協議が必要となります。今後、設置条件に適する場所があるかどうかも含め、検討してまいりたいと考えております。
 次に、自転車事故の発生状況及び無灯火走行の防止対策についてお答えいたします。
 平成十七年中の自転車事故の発生件数は千百八十七件で、年齢層別では、十八歳以下の事故が四百九十八件四二%と最も多く、続いて六十五歳以上の高齢者事故が二百八十七件二四%となっております。
 一方、夜間事故は二百七十件発生しておりまして、このうち無灯火でありましたものが百八十三件と夜間事故全体の六七・八%を占め、昨年十月には、無灯火自転車が歩行者と正面衝突し、歩行者が死亡するという痛ましい事故も一件発生しております。
 議員御指摘の無灯火事故をなくする対策につきましては、交通安全教室や街頭における指導取り締まりのほか、交通情報板を活用した広報を実施するなど、安全走行の徹底を図っているところでございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 何点かにつきまして要望とさしていただきますが、交通安全対策につきまして、警察の関係並びに教育委員会の方で徹底はしていただいているということはよくわかりました。
 やっぱり夜間の無灯火というのが、特に私が気になってそういうふうに見る傾向性があるのかわかりませんけども──大きなというか、主要幹線道路では少ないとは思うんです。というのは、周りに商店街等々ありまして結構明るいんですが、ちょっと中に入りますと、やはり和歌山市内も暗いところがたくさんございます。今後さらに徹底して講習等でいろいろと生徒、並びに啓発活動を行っていただきたいということを要望さしていただいて。
 あわせて、今また一点気になるのは、ここ近年、携帯電話の普及がありまして、携帯電話をやりながら片手で自転車を運転するという生徒さんが特に目立ちます。これは教育委員会の方へ、できましたら。メール打ちながら、前なんか見てないんですね。若いから片手運転でうまくいくとは思うんですが、事故になりますとまた悲惨なことも起こるというふうに思いますので、今度あわせて注意徹底をお願いしたいというふうに思います。
 次に定数の問題なんですが、本当にいよいよ和歌山県が最後になりました。私どもが一番ある意味では本当に残念だなというふうに思っております。山口も、また岩手県にもお電話をさしていただきまして、山口につきましては全会派がもう一致で削減していこうよと、こういうふうになったということであります。岩手県につきましては、若干いろいろ御異論はあったようでありますけども、今の時代からいくと定数は削減するのが順当であろうということで、十九日の議会運営委員会、そして二十日の本会議冒頭で議員発議で先議で可決をしたということをお聞きいたしました。私どもも、今後手続に準じながら粛々と今回の件につきまして進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 あと最後に、きょうお配りいたしました会報のこの件につきましても、近畿におきましては奈良の県立医科大学でもスタートをしております。また、滋賀県の医科大学の附属病院の脳神経外科の松田昌之教授の方も、診療の申し出があればさしていただきますという、こういうふうに近畿地区でもようやくたくさんの診療を受けられる病院が出てきたということで、非常に喜んでいるところでございます。
 また、県立医科大学、和歌山の病院においてでもひとつ研究の課題の一つにしていただきまして、このむち打ち症の患者の苦痛を取り除くためにも早期にスタートしていただきたいということを重ねまして要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十三番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 議長のお許しをいただきましたので、最後の一般質問でございます。お聞きいただきたいと思います。
 私は、きょうは、団塊の世代について、またその後の世界遺産について、また釣り客にターゲットを絞った観光行政についてお伺いしたいと思います。
 一般質問に入る前に、団塊世代のことでございますが、町田会長を長といたしまして、私ども自民党議員団の中で福祉議員連盟というのを結成しておりますが、去る六月一日に北海道は伊達市に研修に行ってまいりました。大きな規模でやっている特養──ここは初め特養でスタートしたのですが、既に病院を二カ所も経営しているという、すごい福祉事業を展開しているとこでございまして、もう一カ所は伊達市でございました。伊達市の地域支援センターを研修さしていただきました。そこで私は、私なりのちょっと誤解があったなあというふうに思ったのは、お年寄りや体の御不自由な方を受け入れる政策はお金ばかりかかって市の出費が非常に高くつくという誤解がありました。それが払拭された思いで研修をさしていただきました。
 といいますのは、後から述べますが、本和歌山県もわかやま田舎暮らしということで調査した結果が出ておりますが、決して決してそうじゃなくって、やはり大勢の方々がそれぞれのところへ住んでいただくことによってその町が活性するということを研修さしていただいた次第であります。
 既に二〇〇五年から伊達市は団塊の世代の移住の受け入れに対応しておりますし、また四百人もの障害を持った方々がそれぞれ自立して町の中のマンションとかアパートとか、また民家を借り上げて生活をしている。たった二万五千人の町でありますが、その中で四百人もの障害の方が自立して暮らしている。こういう研修をさしていただいて、最近にない本当に価値のあった研修だったなあという思いで帰ってきて、この団塊の世代について質問さしていただこうと、こういうふうに思った次第でございます。
 したがって、団塊の世代とはいかなる世代なのかということを、ちょっとくどいようですが、御説明を入れながら質問に入らしていただきたいと思います。
 いわゆる団塊の世代があと二年で定年を迎えます。このことは、日本にとって、また和歌山県にとってどんな意味を持っているのかを考えてみました。
 まず、団塊の世代というと、一九四七年(昭和二十二年)から四九年の三年間に生まれた八百六万人を指すようでありますが、シニアマーケティング的に解釈いたしますと、この三年間の人々と学校生活並びに家庭生活をともに過ごした人々が同一であるというふうに解釈するのが妥当のようでございまして、後の二年を加えまして五年間の人、すなわち一千万人がそのシニア時代の対象者というようになるようでございまして、この一千万人という人々の大きな固まりが、いろいろ生まれたときから日本のあらゆるものに関係してくるということでございます。
 今後いろいろな施策を考えていく上で、この一千万人は避けて通れない数であります。いわゆる団塊の世代への対応であります。生まれたときは「ベビーブーム」という言葉がつけられました。以来、この皆さん方はスポットを浴び続けるわけであります。日本の経済発展に少なからず影響を与え続けているのが、この団塊世代であります。
 団塊の世代とは本当はどのような世代なのかについては、多くはあいまいなイメージでしかとらえられていません。現在の日本の人口が約一億三千万人ですから、一九四七年から五年間で一千万人、全人口の約八%弱を占める最大のボリュームであります。その直前の昭和二十一年と比較いたしますと、急激に人口が増加いたしました。前年に比べて五九・六%が急増しているわけでございます。これが五年間続くわけでございます。これが団塊の世代が注目される最も大きな要因であります。つまり、それ以前を対象とした社会的インフラ、キャパシティーでは対応できなくなっているのであります。あるいは、人口を前提として行われてきた社会生活などの運営ルールが変更を余儀なくされてしまう現象が発生しております。
 例えば、彼らが学齢に達すると──学校へ行く年ですね──学校数、教室数、教師など、すべてが不足してしまう現象を引き起こしました。これが学校の新設開校を呼びました。一方では、名門校と呼ばれる学校への入試倍率が急に高くなりました。結果的に「受験戦争」なる言葉が生まれ、社会の価値観そのものが変わっていくのであります。
 今、団塊の世代が注目されているのは、彼らがライフステージ上の大きな変化期に突入したことであります。定年退職後の社会生活あるいは子供が独立した後の新たなるライフステージでいや応なく対処せざるを得ない時期にもかかわらず、インフラも運営ルールもスムーズに対応できるような十分な準備がなされていないという社会状況であります。社会問題が生じることが予想されるところであります。今後、国を初めとする地方自治体は、この五年間のシニア世代への取り組み方を従来とは大きく変化させていかなければなりません。
 団塊の世代の特徴は、彼らが初めて戦争の体験を持たない世代であり、戦後の社会的ムーブメントや社会環境変化をすべて体験してきている特異な世代と言えます。戦争の体験を持たないということは、それ以前の私のように戦前の教育や価値観の影響を受けずに育ってきたということであると思います。
 この年代上の対立構造を理解した上で、それぞれの年齢のときに呼ばれた名称を挙げてまいりますと、何に対して興味を持ち、どのような共通体験を過ごしてきたかがわかるのでございます。彼らが十代中盤の折には「グループサウンズ世代」、十代後半では「全共闘世代」、また二十代前半では「フォーク世代」、二十代中盤では「ニューファミリー世代」、こういう名称がつけられております。また、これらの代表的な呼称以外にも、女性の場合の「アンノン族」「クロワッサン世代」、また男性の場合は「企業戦士」などがございます。
 私見ではありますが、団塊の世代の特徴的な傾向として、おのおのの人間として個性的でありたいという強い望みを持ちながらも集団としての呼称を与えられてしまったという点であります。
 彼らは常に以前と異なる新しいことを始めることになるのですが、これが後に続くロールモデル──役割モデルでございますが──となる傾向が強いとも考えられ、常にトップランナーでいるとの意識が強いようであります。
 一方、特徴的な共通事項としては、意外なようでございますが、その多くが地方出身者で、都会生活を営みながら幼少時代の思い出を多くの人が保有している、ただ一つ、唯一の世代でもあります。
 このような世代体験の影響ですか、老後や余暇は自然と触れ合いたいと願っている人が多いようでございます。事実、「定年帰農」──定年後は出身地に戻って農業を営むという定年帰農でありますが──と呼ばれる現象や、アウトドア志向、田舎暮らしなどの自然回帰に対してより強烈な関心を寄せているようであります。
 ここで、「日経ビジネス」アンケート調査の結果がおもしろい推論を展開しておりますので紹介いたしますと、退職後の移住について、「国内外にあなたは移住したいですか」と、こういうアンケートを実施しておりますが、「移住したい」という人が四九・五%。今の都会では住まないという人が半分近くいる。その内訳は、「国内で過ごしたい」というのが三分の二、「海外で過ごしたい」という方が三分の一であります。「思わない」という方が三七・八%、「わからない」という人が一二・七%。こういうふうになっております。
 以上の結果を踏まえまして団塊世代の国内移住者数を見積もると、三百三十万人となります。この人たちはあくまでも国内移住に関心を持っている方々の数であり、非常に高い確率でロングステイや下見ツアーや一カ月から三カ月ぐらいの体験ステイを実行したいと、このように考えておる。これはあくまでも受け入れ体制が整っての話であります。
 この世代はどのくらいのお金を持ってるんかなと、こういうことをちょっと調べましたら、専門の調査機関の試算では、平均的金融資産は二千万円、またこれらの方々に支払われる五年間の退職金の総額は百七十兆円と試算されている富裕層であります。このことから、彼らの移住を和歌山県にと決めていただくためにも積極的な取り組みを望みたいのであります。この方々が決断するのは、これから五年の間であります。早急な受け入れ体制を、積極的な取り組みをお願いしたいと思うのでございます。
 ちなみに、本年から和歌山県もわかやま田舎暮らし事業を実施するということで発表しております。その中で、団塊世代の和歌山移住に係る経済波及効果として、財団法人和歌山社会経済研究所が団塊世代が県内移住した場合の経済波及効果を試算した結果、多大な生産と雇用の誘発が期待されると推計しております。また、懸念しておりました市町村の医療費等の公的負担の増大についても、それを上回る税収が確保されると推計されております。
 ちょっと数字的に申し上げますと、五百家族千人が和歌山県に移住してきていただいた場合という設定で調査しておりますが、三十年間の生産誘発額総額というのが七百三十億と。すごい額ですね。それから、三十年の間に医療費等の公的負担が十一億、三十年間の市町村税の誘発額が二十五億円、こうあります。この五百家族千人の方々が出費する費用を換算すると観光客五万人から七万人に匹敵する、こういうふうにこのわかやま田舎暮らしの調査で発表されております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 労働力としての受け入れについて、また富裕購買層としての受け入れについて、また三つ目には庁内横断的な新組織として団塊世代対策課室の設置についてということでお伺いしたいと思います。
 次に、その後の世界遺産について御質問いたします。
 その質問に入る前に、せんだって、六月の十五日、十七日あたりの新聞にとんでもない記事が載っておりました。というのは、世界遺産に登録されているかつらぎ町の天野の丹生都比売の神社です。そこで、そこの神木とされている百年以上たった木に穴をあけて除草剤を入れて、その木を枯らそうということですね。既に木の葉っぱが茶色くなっていると。穴あけたとこは、その木の皮でふたしてあったから長いこと気つかなんだと。ここの神社の宮司さんが何か変なので調べてみたら、そういうことをしてあったということで警察に届けたと。こういうとんでもない人がおるということですね。これはその新聞の紹介でありましたが、世界遺産について御質問さしていただきます。
 平成十六年七月一日、和歌山県にとっては記念すべき日となりました。高野・熊野が世界遺産に登録されるということが中国で開かれたユネスコの会議で決定されたわけですね。あれから二年、華やいだ騒ぎが一段落した今、いよいよこれからが正念場であります。
 私は、平成十五年十二月議会で、高野・熊野が世界遺産に登録されればと、大いなる期待と不安を感じながら質問をいたしました。登録されれば、その周辺の我が橋本市、伊都はどのようにお客様を迎えれるように協力したらいいのか、また、私としては個人としてはどのように対応したらええのかなと、こういうふうに質問いたしました。その中で考えたのが、お客様に喜んでいただけるのは、花を植えよう、それじゃ木を植えよう、桜一万本を植えよう、「桜一万本の会」を立ち上げようということで、NPO法人を立ち上げました。立ち上げて、ことしの冬にちょうど二千本の桜を植栽いたしました。まだまだ一万本にはほど遠いですが、これからも頑張っていきたいということでございます。
 この一般質問の中で、交通渋滞について御質問申し上げました。また、排ガスによる環境不安についても御質問さしていただきましたが、その後どのように取り組んでおられるのかもあわせて御答弁いただければありがたいと思います。
 高野山に絞って質問さしていただきます。
 過日、高野山に行ってまいりました。当日は汗ばむ陽気で、奥の院の駐車場には十数台の大型観光バスが駐車しておりました。エンジンは切られておりませんで、むんむんとする排ガスが周辺に漂っておりました。このようなことが続いたら、早晩、高野山の杉木立は立ち枯れするん違うかなと、非常に心配でございます。
 紀伊山地の自然がなければ成立しなかった霊場と参詣道、及びそれらを取り巻く文化的景観が主役で世界遺産に登録された。そういうことを考えれば、我々はこれを忘れてはならないし、努力を怠ってはならない、このように思うわけでございます。CO2の削減の見地からも、早急に抜本的な対策を講じる必要がございます。
 高野山へ車で参詣された方々はお気づきと思いますが、あの国宝の大門から奥の院までの高野のメーンストリートとも言うべきこの道路の両わきに立ち並ぶ家々、高野山の雰囲気に似つかわしくない建築物も点在しております。最近、外国人の高野山への参拝も、訪れる姿も多く見られるようになりました。彼らの目にはこの景観がどのように映っているのかな、日本人の私には感じられない何かを感じておられるんと違うかなと、こういうふうに思った次第でございます。
 そこで、私は企画部長にお尋ねしたいと思うんです。
 環境汚染対策についてお伺いします。
 それと、具体的にやっぱり何かこうやらないと、アイドリングストップというのは無理ですね。大型観光バスが入ってきて、エンジンをかけてだれがその中でおるかと言ったら、お客様のために冷房をしているということもあるでしょう。しかし、お客様は奥の院へ参拝に行って大体二時間から二時間半は帰ってこない。しかし、お客様をおろした後でも、エンジンを切らないでそのままバスが駐車しております。だれのため。バスの乗務員が二人、その中で涼んでおるわけです。外へ出たら暑い。そのためにバスが数十台並んで排ガスを排出しているわけです。幾ら言うてもやめてくれません。
 そしたらどうしたらいいんかということで、私は、アイドリングストップのためのバス乗務員の休憩室をつくらないと、これは何ぼ言うてもやめてくれない。ちょっとお金かけるだけでアイドリングストップがとまるんであれば、CO2の削減の見地から立って大したお金の節約になるんやないかな、このように思って企画部長に質問いたします。
 続いて、教育長に質問いたします。環境、景観の整備についてということでお願いいたします。
 三番目の観光行政についてでございます。
 せんだって、日本ヘラブナ選手権決勝大会というのが橋本市清水の隠れ谷池というところで開催されました。この決勝大会には百名の参加がありました。全国で四カ所、関東、東海、近畿、九州で予選がありました。それを勝ち抜いた百名──韓国の方も五名参加しておりますが、この大会がありました。
 橋本市は、御存知のように、へらざお生産日本一でございまして、九五%のシェアを持っております。そういうことでヘラブナ選手権大会が六月四日に開かれて大変なにぎわいでありましたし、反響も非常に強うございました。
 そういうことで、きょうは釣りについて──私、釣りはしないんですが、観光客としてのとらまえ方でひとつ御質問したいなというふうに思います。
 たかが魚釣りと言うことなかれ、魚釣りを楽しむ人を観光客ととらまえて、家族ごと誘客活動し、大勢の釣り客に来ていただくことは県経済の浮揚の一助になると思います。いかがでしょうか。
 和歌山県には釣り堀公園というのが四つございます。和歌山北港にある公園、それから和歌山港にある公園、それから下津にある公園、マリーナシティにある公園、それと釣り宿にお泊まりになって釣りに行かれる方々、この方々のトータルを集計すると年間百万人という数字を教えられまして、私、びっくりしました。これ、百万人はちょうど高野山に参詣する方々と同じ数字であります。ですから、この釣り客を観光客ととらまえてもっともっとアピールすれば、もっともっと多くの方々がこの和歌山の地に訪れていただけるんじゃないかということで質問さしていただくわけでございます。
 和歌山の海は非常にきれいでございます。また、海岸線も美しゅうございます。その上、魚影も多い。半島の三方を海に囲まれて、海岸線が六百キロ。まさに、これは和歌山県の宝でございます。その上、高速道路が南進──整備が進みまして、京阪神、特に大阪からの釣り場としての絶好の場所になりました。このことから、大阪の釣り客に対し積極的にアタックすることが大切じゃないか、こういうふうに思うんです。
 釣り客の受け入れについて。これは、体制の整備、釣り場にトイレを備えつけるとか簡易な売店をつくるとか、こういうことをすることによってなお一層釣り客としての観光客が来ていただけるんではないか、こういうことで釣り客の受け入れ体制について。
 また、パンフレット。パンフレットはいろいろつくっていただいておりますが、和歌山県の釣りだけのパンフレットというのはないんです。それで、これをつくりまして大阪の市内の観光案内所へ配布することによってより安価で大勢の観光客を受け入れられるんじゃないか、このように思ってパンフレット。
 また、ホームページ。これも立派なホームページつくっていただいておりますが、もうちょっと見やすいというんか読みやすい──この釣り場、目の下一尺余りの鯛を釣り上げた人の談話ですとか、そんなん載せてもうてもっと楽しく読めるホームページをつくっていただければこのホームページへのアクセスも進むんじゃないか、このように思っております。
 ホームページの充実を含む情報の提供について商工労働部長にお伺いいたしまして、一般質問を終わります。ありがとうございます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 団塊の世代問題についての御質問でございます。
 御質問にもありましたように、団塊の世代というのはこの戦後の社会の中で非常に大きな役割を果たしてきて、会社等で今までいろいろ個性を生かしながら自己実現をしてきた世代であるわけですけども、これからは一般社会においてその自己実現を続けていく世代というふうなことになって大きな影響が見込まれるということが一般に言われているわけです。
 そういうふうな中で、和歌山県なんかの場合、人口が減ってきているので、何とかこの団塊の世代の人たちのエネルギーというものをこの和歌山へもう一遍引き戻すことができないかというふうなことで、これはもう和歌山県、かなり先進県だと思いますけども、まだ団塊の人たちはやめてないんですけど、やめる前から準備をしていろいろなことを進めています。
 一つには、和歌山出身の人で都会でずっと働いてきたと、だけど、やはりひととしとったんでふるさとへ帰ってみたいなと思うような人にいろいろな情報を提供して和歌山県へ帰ってきてもらうような方策。それからまた、アウトドア派という話がありましたけども、そういうふうな自然とか歴史にあこがれているような人に、和歌山はいいとこだからずっと住んでもいいし、そしてまた一生住むような形でなくてもいいけれども和歌山を第二のふるさとにしてもらえませんかというふうな運動、こういうふうなことをどんどん進めていこうと思っています。
 リタイアするわけですから労働力としてというわけにはいかないと思うんですけども、だけど、農業でも生産を目指す農業じゃなくて、やっぱり自分たちが地域とかかわりながらいろんなことをやっていくというふうな形での農業、そういうふうな第一次産業への参画ということもこの団塊の世代の人には僕は可能だろうと思います。
 そしてまた、御質問にもありましたように、この方々、まあみんながみんなじゃないんですけども、かなりお金も持っていて、またそういうことを自分のために使っていこうというふうな気持ちも強い人たちなので、そういうことについていろいろなメニューを和歌山県が提供することができれば、これは当然来てくれるというふうなことになるわけです。
 これも、今、非常に地域間競争の時代になっているので、和歌山県、近畿の中にあるという、ある意味での優位性というものを失うことなく対応していきたい。そして、そういうことを思い切りやっていこうということで、ことしの四月から総合帰住支援の窓口を農林水産部に置いているわけですけども、こういう施策もどんどん進んでいって、農林水産業関係だけじゃなくてもっともっといろんなほかの分野でもいろいろ考えられるということになってくれば、今も各部連携をとり合ってるんですけども、さらに新たなそういうふうな対応の組織をつくっていくということも十分考えられると思いますが、とりあえず今、四月にできた窓口を中心に、ほかの各部とも連携をとりながらどんどんこの団塊の世代対策を進めていきたいと、このように思っています。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 環境汚染対策等についてお答えをいたします。
 まず、平成十五年十二月議会におけます議員の御質問に対する経過を御報告いたします。
 高野山における交通渋滞、排ガスによる環境不安への対応につきましては、平成十六年度に県、近畿運輸局、そして地方自治体、交通事業者等で構成する高野山パーク&ライド実行委員会を立ち上げまして、平成十六年十月下旬から十一月中旬にかけての日曜、祝日、計五日間にわたって実証実験を実施いたしました。その結果、渋滞対策、環境保全、公共交通の利用促進に対しまして一定の成果が得られたものの、山上までの時間がかかり過ぎること、そして県外へのPR方法について工夫が必要であるといった課題があることから、高野町初め地元関係者と協議をしながら検討を進めているところでございます。
 また、議員御指摘のとおり、本県の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、単に寺社や古道だけではなく、周辺の自然と一体化した文化的景観が高く評価された、世界でも類を見ない資産であります。
 世界遺産高野が将来にわたり世界じゅうから訪れる方々にいやしと安らぎを与える地として良好な環境を維持していくことは極めて重要な課題であり、現在、県世界遺産センターを中心に、文化的景観に関する理解と認識を深めるためのセミナー等、啓発活動を初め、保全活用推進のリーダーとなる人材育成にも取り組んでいるところでございます。
 今後も、環境との調和を目指し、関係部局や市町村と連携しながら、議員御提案のアイドリングストップに関するバス乗務員の休憩室の設置も含め、有効な保全活用方策を検討してまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 釣り客を観光客ととらえるという議員の御指摘は、まさにそのとおりだというふうに考えます。そうした観点から御質問にお答えしたいと思います。
 まず、釣り客の受け入れについてでございますが、御指摘にございました釣り場のトイレ等施設の整備につきましては、地域の意向を踏まえながら、関係部局と調整を図り、個別に検討を進めていく必要があるというふうに考えます。
 次に、釣り客に向けての情報発信についてでございますが、現状では、県の観光ホームページで、家族で楽しめる釣り場を中心に、主要四十カ所の概要、それから魚の種類、交通アクセスなどを紹介してございます。また、観光情報誌やパンフレットに各種の釣り情報を随時掲載をしているところでございます。
 今後とも、釣り情報の内容をより一層充実させるとともに、関係する事業者の皆さんとも連携をしながら、和歌山の海の魅力を積極的にPRしてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産に係る環境、景観の整備についてお答えいたします。
 紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録に際しては、新しく文化的景観という考え方が重視されたことを踏まえ、高野町においては平成十四年に高野町の歴史と文化を活かした街並景観及び自然景観に関する条例を制定し、建物の高さや色彩等の外観について一定の規制を設けて景観の保全に努めております。
 これまで建物等の改修については八十四件の申請があり、条例に照らして許可されております。また、電線を地下に埋設するなどの改善も見られます。しかしながら、議員御指摘のように、文化的景観にふさわしくない建物も少なからず残されておるのは事実であります。
 県教育委員会としましては、高野町の条例の精神を生かした景観づくりに向けて、特に先導的役割を果たす公共施設の整備を初めとして、良好な町並み景観が形成されるよう、町と連携を図りながら取り組んでまいります。
 なお、お話のありました丹生都比売神社の杉の損傷につきましては、国内の世界遺産関連では初めてとなる文化財保護法違反容疑で告発をいたしたところでございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。六月二十六日及び二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、六月二十六日及び二十七日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、六月二十八日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十七分散会

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