平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 月日のたつのは早いものでございまして、昨年のきょう、六月二十二日、ちょうど、私ごとでございますが、五十歳の誕生日に一般質問をさせていただいたことを今思い出します。(「おめでとうございます」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。その後、九月議会、そして二月議会に引き続き、今回も質問をさせていただくことになりました。
 今回は、地方交付税改革について──これは要望でございます──それから和歌山地方税回収機構について、フィルムコミッションの活用について、企業誘致について、民間駐車監視員制度の導入について、そして改正まちづくり三法について、以上六点につき、要望、質問をさせていただきたく存じます。
 ことしもこうして元気に五十一歳の誕生日に一般質問させていただきますことを、改めまして、常日ごろ私を支えていただいております後援会の皆様、また先輩・同僚の議員の皆様、そして知事初め県職員の皆様方のおかげと感謝をいたし、元気いっぱい質問させていただきたいというふうに思います。その点で、御答弁いただきます関係部長さん、何とぞ意のあるところをお酌み取りいただきまして、心ある御答弁をお願いしたいと思います。(「いつも心あるで」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 まず、質問に先立ち、御報告をさせていただきたいと思います。
 私は、大沢副議長、前芝議員の三名にて、去る三月二十八日より三十日まで、福岡県北九州市並びに山口県下関市と萩市の方に行ってまいりました。目的は、新空港と漁協合併等の視察でありました。
 今、全国で漁協合併が行われている中、我々が訪れた山口県はこのことについてかなり進んでおり、その合併効果も大なるものがあり、今後進んでいくだろう本県における県下各漁協合併についても大変参考になるものと感じました。
 共同で市場を持ち、鮮度のよい魚介類などを安く販売されており、当日も多くの観光客が訪れておりました。また、別の漁協グループでは、とれたての魚介類など、その場で料理をして消費者に食べていただく店舗をつくり、魚離れのないよう、また料理のつくり方等指導しながら販売をされており、これまた観光バスで多くの女性客が訪れており、漁協合併と水産関係の考え方も場合によっては大きな観光の一つではないかなというふうに感じた次第でございます。
 特にユニークだったのは、ちょっと小さなことなんですけども、道の駅「萩しーまーと」というところにて説明をいただいた施設の運営責任者、駅長さんでありますけども、この方の名刺に驚きました。大変小さいもので見にくくて申しわけないんですけども、(名刺を示す)ここに「中澤さかな」さんて書いてある。「さかな」て平仮名なんですけど。「中澤さかな」さんと、こうありました。びっくりしましたですね。すぐ「これ、本名ですか」と尋ねましたら、「さかなは本名ではありませんが、これでいいんです」と、そのようにおっしゃいました。うまい宣伝方法をするなと私は思いました。彼いわく「私と名刺交換した人は私のことは忘れないだろうし、この施設のことも萩市のことも忘れないでしょう」と、そうおっしゃいました。少しもお金のかからない一つのアイデアだと私は感じました。
 このユニークなアイデアの背景には、旧大蔵省の官僚を経験した萩市長さんの「萩を出て初めて萩のよさがわかる」という強い思い入れがあったそうでありまして、マスコミを積極的に利用し、話題づくりに力を注いだこと等が今日の成功につながったと、そう話されておりました。今後の和歌山県下における漁協合併の一つのヒントになると感じ、御紹介を申し上げる次第であります。
 また、新北九州空港についてでありますが、二〇〇六年三月十六日に開港いたしましたこの空港は、すばらしく近代的な二十四時間空港であり、東京からは夜中の十二時を過ぎても地元に帰ってこられるという便利なダイヤとなっております。また、飛行機の利用者だけでなく多くの観光客が空港を訪れており、この方々が少しでもいやされるように、空港屋上に足湯をつくられてありました。空港駐車場はPFI方式にて運営をいたし、メーンターミナルの横のわずかなスペースにおいても有効利用が図られておりまして、土曜日、日曜日は、イベント関係や地元物産の販売等、多彩な催しを実施、集客努力をされておられるなというふうに感じました。
 こうしたアイデアをふんだんに取り入れたすばらしい空港を見せていただきました後、私たち三名は、南紀白浜空港においても取り入れていただくことのできるものもあったんではないかなとお互いの感想を述べ合い、気がつくと視察の予定の時間を大幅にオーバーするという大変充実した視察となりました。
 なお、七月五日から半島振興、農林水産振興議連にて先輩・同僚議員の皆さん方が視察に行かれるそうでありますが、行った後、必ず今お話をさせていただいた感想を持っていただけるというふうに思います。御多忙の中、当日御案内いただきました国土交通省北九州港湾・空港整備事務所長の吉本様に改めてお礼を申し上げ、御紹介いただきました本県県土整備部、石井港湾空港振興局長にもお礼を申し上げ、報告とさせていただきます。
 それでは、ただいまから質問に入ります。
 まず、地方交付税改革について要望させていただきたいと思います。
 去る六月十三日、六月定例会開会日におきまして、木村知事より上程されました諸議案について説明がなされました。地方交付税改革につきましては、一般質問初日、自民党県議団・新島議員より、また昨日、公明党県議団・新田議員よりそれぞれ質問がありましたので、私は、この地方交付税改革について、次のとおり要望させていただきたいと存じます。
 現在、国においては、いわゆる骨太の方針二〇〇六の取りまとめに向け、歳出・歳入一体改革についての議論が大詰めを迎えておりますが、中でも地方交付税改革が大きな争点となっております。地方交付税改革をめぐりましては、財政再建の立場から地方交付税を削減しようとする国と安定的な財政運営に必要な地方交付税を確保しようとする地方の双方が激しく対立し、どのような決着になるのか一向に先行きが読めない状況にあります。
 このような状況にあって、県はいち早く試算を行い、一つ、人口、面積を基本に配分する新型交付税導入は本県のような財政力の弱い地方自治体は大打撃をこうむるおそれがあるため、地域の実情を踏まえて激変緩和措置や格差是正措置が必要であること、二、国税の地方交付税への配分割合、すなわち法定率の引き下げの議論があるが、中期的な地方財政の姿を前提にすれば法定率はむしろ引き上げる必要があることといった、非常に時宜にかなった問題提起をされました。
 県議会といたしましても、今議会の開会日に「地方交付税の改革に対する意見書」を全会一致で採択をし、また来る二十四日には県内地方六団体及び県選出国会議員の方々とともに地方自治危機突破総決起和歌山県大会を開催し、地方交付税の一方的な削減の断固阻止などを強くアピールすることとしております。
 いずれにしましても、地方の一般財源の大部分が社会保障などの義務的経費に充当され、裁量の及ぶ経費に充てる財源が極めて乏しいことから、地方交付税の一般的な削減は福祉や教育といった県民生活に密着した住民サービスの提供さえできなくなるおそれがあると感じます。
 こうしたことから、本県や本県市町村のような財政力の弱い地方の立場から、今後もあらゆる機会を通じて、真の地方自治確立のため、国等に提言されるよう要望いたすものであります。
 なお、五月二十二日の新聞に、気になる記事が掲載されておりました。地方交付税に、総額削減問題に対する地方自治体の首長と国会議員との見解の違いがアンケートにて明らかになったというものであります。地方自治体の安定的財政運営の必要性から総額を維持すべきだと考える首長が八割以上なのに対し、国会議員では四割弱にとどまったというものであります。
 しつこいようでございますけれども、地方交付税の総額維持は知事の八六%、市長さんの八二%が主張して一方的な削減に反対しているのに対し、国会議員は、維持すべきというものが三九%、逆に二〇%は総額を削減すべきと考えている。おかしいなというふうに感じたのは私だけではなかったと思います。木村知事におかれましては何とぞ全力にてお取り組みいただきますよう、再度要望を申し上げる次第でございます。
 次に、和歌山地方税回収機構についてお尋ねをいたします。
 私は、本年二月におきまして、県税収入の確保の観点から、本年四月一日に設立された和歌山地方税回収機構について、県の歳入確保についてどのような効果があるのかを質問させていただきました。
 和歌山地方税回収機構は、県内市町村では処理困難な滞納案件の移管を受け、弁護士や国税OBなども配置し、専門的徴収手法を駆使し共同処理する組織でもあり、納税秩序の維持向上を図るため、「公平は税の原則」「悪質な滞納は絶対に許さない」を基本姿勢として活動されているとお聞きをいたしております。
 本県の市町村税徴収率は、平成十六年度が八六・三%であり、五年続けて全国で下から二番目でありました。過疎の市町村では、徴収に当たる職員が滞納者と顔見知りのケースが多く、なかなか差し押さえ等の強硬手段に踏み切れないというのが現状ではないでしょうか。私は、このような現状の中、本機構の果たす役割は大変重要であると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 機構が設立されてから三カ月、現在の活動状況、効果について、また、滞納者に対しては厳しく対応されていると思いますけれども、今後の活動方針について、総務部長の御答弁をお願いいたします。
 次に、フィルムコミッションの活用についてお尋ねをいたします。またかというふうに思われるかもしれませんけれども、私なりのこだわりがございます。お聞きをいただきたいと思います。
 私は、去る二月議会におき、過去数回にわたり訴えてまいりましたフィルムコミッション設立が実現をいたしましたことにお礼を申し上げると同時に、その活躍を大いに期待いたすものであると述べました。そしてその後、二度にわたり、突然私のもとに手紙が届きました。封書には「太田隆文」というふうに書かれてありました。実は、田辺市を舞台に撮影された「ストロベリーフィールズ」の監督さんでありました。私のホームページをごらんになり、私がフィルムコミッションの設立について県当局に訴えてまいったことに対し、その感想で、大変丁寧で熱い心のこもったお手紙をいただきました。
 その手紙の中で、「ストロベリーフィールズ」がスタートしたときに和歌山のフィルムコミッションにコンタクトしようとしたのですが、活動していないことを知ったそうです。ほかの都道府県ではほとんどあるのに大変残念なことだと思ったそうであります。映画の世界では、今、フィルムコミッションの存在は物すごく大きなものとなっており、地方ロケのときは必ずコンタクトするそうであります。
 特に長野県と、それから今「YAMATO」という映画が大変ブームになりましたけども、そのロケ地が特に有名でございまして、それがないことは、和歌山の人たちは今の時代を理解してるんかなと、自分たちをアピールしようとする思いはないのかなと憤りを感じたそうであります。私は、そのお手紙を拝見し、感激をいたしますとともに、私が再三訴えてきたことが間違っていなかったと確信をいたしました。
 ちなみに、この太田監督は、一九六一年、田辺市に生まれ、四歳のとき、お父さんの仕事の都合で和歌山市に引っ越しをされまして、幼稚園から小学五年生まで和歌山市で住んでおられたそうであります。映画が大好きで、アメリカにあこがれ、南カリフォルニア大学の映画科に留学をされ、その間さまざまな土地を旅して人と触れ合う中で、逆にふるさと田辺市の魅力を知ることとなったと、そうおっしゃっております。
 太田監督のふるさとに寄せる思いがひしひしと伝わる文章に、私は何度も深くうなずきながら拝読をさせていただきました。観光に対する考え方、フィルムコミッションの役割についてや重要性について、全く同感、同じ思いでありました。
 特に、お手紙につづられていた中で感動しましたのは、昭和四十年代の名残がある田辺市がいかに美しい町であるかということに気づいた点、またペンペン草の生えた土手、古い漁師町、坂の美しい町、天神崎の夕日、木造の校舎等々、昔の日本にはどこでもあった風景、でも今はなくなってしまった懐かしい情景がこの田辺市には今もある。東京の人に田辺の写真を見せると、きれいだ、心がいやされる、そうおっしゃるそうです。大人だけでなく、昭和四十年代を知らない若い人が見ても、懐かしいと言うそうであります。
 しかし、それらの写真を地元の方に見せると──ちょっとこれ、手紙のまま言いますんで言葉に不適切なことがあるかもしれませんが、「何でこんな汚いところばかり撮るんや」と言われたそうであります。懐かしい場所をどんどんつぶして新しく便利にすることが町のためと思い込んでいる。そうしないと都会の若い人たちが観光に来てくれないというふうに言われた。でも、東京から連れていった若いスタッフとか友人とか、それから女優さんなんかが本当に感動していやされるのは、実は町の人たちが汚いとそのようにおっしゃった、例えば細い路地であるとか不便な木造の家が彼らにとってはいやされる場であったということであります。
 単に珍しいというだけではなくて、都会での厳しい仕事や生活からひととき離れて心安らぐ場所、そこで過去と未来を考え、心の傷をいやしてまた都会へ帰っていける、いわば心の里帰りができる町──昨今、レトロブームで懐かしいグッズや古い町がクローズアップされているのも、同じ背景があるからだと考えます。日本人が、若い人が忘れている大切なことを伝えること。地元の人も、観光客に来てほしいと言いながらも、自分たちの町のすばらしさに気づいてくれない。確かにそのとおりだと思いました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 私は、今回設立されましたフィルムコミッションの今後の活動について、県内市町村と連携を図るとともに首都圏を中心にしたロケ地誘致等の活動を期待するものでありますが、商工労働部長に今後の活用についてお伺いをいたしますとともに、今紹介させていただきましたこの太田監督の手紙の内容につきまして、商工労働部長の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
 次に入ります。企業誘致についてお尋ねをいたします。
 全国の有効求人倍率につきましては、平成十四年を底にほぼ右肩上がりで上昇を続け、本年四月においては一・〇四倍と、五カ月連続で一倍を上回っております。しかしながら、本県では四月の有効求人倍率が〇・八一倍で全国平均を大きく下回り、低水準で推移している状況にあります。これは、言うまでもなく和歌山県に就職の場が少ないということであり、私の方にも就職先を探す父兄の声が寄せられています。和歌山県で就職したいが会社が少ないので仕方がなく大阪や兵庫などへ就職している若者が多いのも現状であり、現実のこととして大阪府南部の企業に和歌山県人が多いということもお聞きをいたしております。
 子供をふやすという人口の自然増のための施策についてはもちろん必要と考えますけれども、和歌山県の若者を県外に出さないことや、和歌山県出身者のUターンの希望者、県外からのIターン者の吸収など社会減を食いとめ、社会増を果たしていくのが喫緊の課題であり、効果的であるのが、やはり企業を誘致し、働く場所を確保していくのが県民の切実な願いであり、私は重要であると考えております。
 全国的な工場立地の状況を見ますと、有効求人倍率と同様に右肩上がりで増加し、平成十七年には平成十四年の約二倍の立地数となっており、企業の設備投資が増加をしております。この機会を絶好の契機ととらえ、企業誘致を積極的に展開し、雇用の場の確保のみならず、立地による地域経済への波及効果や税収増を図ることが重要であります。
 県では、本年度から最高百億円の奨励制度を策定するとともに、二年間で一千社以上の企業訪問を実施するなど、積極的な企業誘致施策を展開しようと御努力を続けられております。企業を訪問し、企業の生の声や今後の動向、業界情報など多様な情報を収集するとともに、誘致施策のほか、観光などの本県のPRを実施していると聞き及んでおります。こういう情報を発信しながら収集するという地道な活動が企業誘致だけでなく和歌山県のPRに必ずつながるということは、そのとおりだというふうに思うわけであります。
 しかしながら、誘致活動や奨励制度は重要なファクターであることは間違いありませんが、インフラの整備と地元市町村の企業誘致に対する姿勢や県との連携がさらに重要であると考えております。特にインフラの整備につきましては、道路網、上下水道、工業用水、排水設備、電力、ガス等、さまざまな要素がありますが、誘致をする上でこれらが整備されている企業向け用地は少ない状況にあると感じるとともに、地道なインフラの整備により企業誘致が促進されると考えます。
 また、企業向け用地につきましても、大規模な雇用、投資の伴う企業を誘致するにはかなり大きな面積の用地が必要であり、現状の企業用地では面積的に不足すると考えますが、対応は可能なのでしょうか。さらに、市町村にとっては、地域により立地条件が違うため、市町村が住民ニーズを把握した上で長期ビジョン等による誘致戦略を構築する必要が重要であり、県と市町村の緊密な連携が必要であるというふうに考えます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 新たな企業誘致施策を策定して三カ月が経過しようとしていますが、その現状とインフラ整備の考え方や今後の用地の確保、市町村との連携について、商工労働部長の御答弁をお願いいたします。
 次に、民間駐車監視員制度の導入についてお尋ねをいたします。
 道路交通法の一部が改正され、駐車違反車両への違反ステッカーの取りつけなどを民間の駐車監視員が行う民間駐車監視員制度が六月一日から全国で始まりました。この制度は、国民、県民の皆さんから多くの駐車違反に対する取り締まり強化の要望が寄せられているにもかかわらず、治安情勢の悪化等により駐車違反取り締まりに向ける警察力が不足し、実態に見合った取り締まりができないため、警察が委託した民間法人の駐車監視員が警察官にかわって放置駐車車両にステッカーの取りつけなどを行うものであると、そう聞いております。
 和歌山県でも、駐車問題に係る一一〇番件数は年々増加し、昨年までの十年間で二・五倍まで増加しておりますが、警察官の不足のため、駐車違反の取り締まり件数は同じ十年間で約四分の一にまで減少しており、なかなか実態に見合った違法駐車取り締まりができていないということから、特に車両台数や一一〇番件数が多い、この私が暮らしておる和歌山市でございますけれども、和歌山市内にこの制度を導入したということについては承知をいたすものであります。
 違法駐車は、悲惨な交通事故や交通渋滞の原因となるほか、救急車とか消防自動車等緊急車両の通行の妨げになるなど、県民一人一人の生活に著しい弊害をもたらしております。また、交通渋滞は多大な経済的損失をもたらし、その自動車から排出される大気汚染物質や二酸化炭素などが環境にもたらす影響も決して無視できるものではありません。
 民間監視員が活動を開始した六月一日以降、私自身も幹線道路等の駐車車両が目に見えて減っていると感じます。また、走りやすくなったといった声も聞いており、この制度が道路交通の安全の確保や円滑化を図っていく上で大変効果のある制度であり、その成果について非常に大きな期待をしているところであります。
 一方で、これまで警察官が行ってきた駐車違反の取り締まりを民間の方が行うことによるトラブルの発生などないかと心配もしております。また、六月九日付の新聞報道によりますと和歌山県では目立ったトラブルや機械の不都合などはなかったということでありますが、今後この制度の内容を十分に理解されていないドライバー等とのトラブルの発生も懸念されるわけでありますけれども、そういった意味から、この駐車監視員制度について県民の皆さんにもっと理解をしていただき、この制度がさらに充実をしていければと願っているところであります。
 そこで、次の三点についてお尋ねをいたします。
 一点目は、駐車監視員は具体的にどのような活動を行っているのか。また、民間が行うことによるトラブルの発生や苦情などは寄せられていないのかどうか。
 二点目は、駐車監視員の運用状況や施行後の道路交通の状況は具体的にどうなっているのか。駐車監視員制度の効果について、どのように分析をされておられるのでしょうか。
 三点目、今後、和歌山市以外、例えば田辺市や新宮市というような市などにおいてもこの制度を拡大していくおつもりなのかどうか。また、必要であれば和歌山市内の駐車監視員の増員などについて検討してもよいのではないか。
 以上三点について、警察本部長の御答弁をお願いいたします。
 最後になりました。改正まちづくり三法成立に対する県の対応についてお尋ねをいたします。
 今国会で決定した都市計画法の改正と中心市街地活性化法の改正の主なねらいは、大規模集客施設の郊外立地の規制と中心市街地への選択と集中投資により中心市街地の活性化を図るというものであります。
 平成十年にまちづくり三法が整備されましたが、郊外居住や大規模集客施設の郊外立地が進み、中心市街地の衰退に歯どめがかかっていないという実態があります。こうした町の拡大は、道路や上下水道などのインフラの整備・維持、またコストの増大をもたらす一方で、文化やコミュニティーをはぐくみ、居住、公益、産業等の機能を担ってきた町の顔と言うべき中心地の消滅をもたらし、町中での生活、特に高齢者の身の回りの買い物や近所づき合いの欠如など、安全面でも支障が生じるという状況をも生み出しております。
 こうした問題に対応するため、町の拡大に歯どめをかけ、中心市街地を再生するために、今回、まちづくり三法のうち、都市計画法と中心市街地活性化法が改正されました。現行法が結果として大規模集客施設等の郊外立地を促進したわけでありますけれども、今回の法改正は、さきに述べたとおり、中心市街地活性化支援を強化することにより、市町村が町づくりにおいて、郊外型を選ぶか、中心市街地を選ぶか選択できる環境を整備したものであるというふうに解釈をいたします。郊外拡大型の町づくりを選択するのか、中心市街地に集約した町づくりを選択するのか、その間を行くのか、大変難しい問題でありますが、まさに今回の法改正は、市町村、住民に町づくりを考える大きな機会を与えるものでもあります。
 和歌山市を例に見た場合、郊外に大型小売店舗やシネマコンプレックスが立地し、かつて和歌山市の中心として栄えたぶらくり丁の人通りが大変寂しく、衰退しております。一方で、飲食店、美容院、ファッション関係などで若者の出店が最近目立つようになり、市堀川でのイベント、大学生によるオープンカフェなどの外部からの活性化への働きかけ、そうした動きも芽生えつつあります。また、町づくりにおけるゾーニング、例えばJR和歌山駅、ぶらくり丁本町周辺、南海和歌山市駅、それに郊外を加えた和歌山市全体をどのような町にしていくべきなのか、それぞれの市町村が、すなわち町のゾーニングを検討するのも一つの手法であると私は考えます。
 法改正により自然に中心市街地、商店街ににぎわいが戻ってくるというものではないと思いますが、市町村、住民の主体的な取り組みにより中心市街地ににぎわいを取り戻す大きなチャンスでもあると私は思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 改正まちづくり三法成立による和歌山市の取り組みに対する県の対応について、商工労働部長、県土整備部長にそれぞれ御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 和歌山地方税回収機構についてのお尋ねがありました。
 この回収機構は、議員御指摘のとおり、本年四月に県内全市町村の参加により設立されたところであります。このような全県的な滞納整理のための組織は、全国で三番目、近畿では初めてのものとなっております。
 これまで、市町村において機構への滞納事案の移管に先立って機構に移管して徴収をするぞというふうに納税催告をいたしましたところ、そのアナウンス効果によりまして、実際に約二億円が納付をされ、さらには約九億円の納付の約束が取りつけられるなど、大きな効果があったところであります。これに伴いまして、個人県民税の方も約五千万円程度の効果があったと見込んでおります。
 現在、機構において市町村では徴収困難な滞納事案等について引き継ぎを受けており、期限内に納付していただいた納税者の視点に立ちまして、財産調査や差し押さえ等の厳正な滞納処分の実施を通じ、今後一層の税収確保と税負担の公平が図られることを期待しております。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 観光振興におけるフィルムコミッションの活用についてでございます。
 フィルムコミッションにつきましては、その必要性についてこれまでも議員から御提言をいただいてきたところですが、本年二月に和歌山県観光連盟内に和歌山県フィルム・コミッション推進委員会を設置し、活動を開始したところであります。
 現在、県の観光連盟において、県内すべての市町村や観光協会等と連携を図りながら、映画やテレビドラマ等のロケ誘致に向け、ホームページを立ち上げて情報発信を開始するとともに、今年度から体制を強化いたしました東京のわかやま喜集館を拠点として、首都圏を中心に積極的なロケ誘致活動に着手したところであります。
 今後は、そういったロケ誘致に向けた情報発信や誘致活動、さらに実際の撮影が円滑に進むためのさまざまな支援について市町村や観光協会等と一体となって積極的に取り組むとともに、県民の皆様に映画の魅力やロケ誘致の効果をPRするためのイベントの実施も検討しております。
 映画「ストロベリーフィールズ」は、私も鑑賞させていただきましたが、地域の人たちにとってはごく当たり前の風景や町並みであっても、映画に取り上げられることで改めてそのすばらしさを再認識する一つのきっかけとなるものと考えます。地域の人たちがふるさとに自信を持ち、そこから新たな地域づくりにつなげていくためにも、フィルムコミッションの活動を積極的に展開をしてまいります。
 次に企業誘致についてでございますが、議会冒頭の知事説明にもございましたように、本年度に入り製造業二社三工場の誘致が決定をしており、両社で二百三十九名の雇用が予定をされております。また誘致活動については、四月から現在までの約三カ月間で約二百社の企業と接触し、企業動向や業界情報の収集、本県のPRを実施するとともに、企業誘致サーチャーなどからの企業情報の収集を行うなど、多方面から誘致のための情報収集に努めているところでございます。
 次にインフラの整備についてでございますが、議員御指摘のとおり、企業を誘致する上で基本的要件であり、極めて重要な要因となります。現状では、財政状況等により先行投資をして整備をすることは困難であると考えますが、誘致案件があり次第、速やかに対応できるよう、関係機関や市町村に要請をしているところであります。また、企業向け用地につきましては、十分とは言えない現状ではありますが、民有地や市町村有地を企業用の用地として活用できるよう、関係機関に要請をしているところであります。
 市町村との連携についてでございますが、進出の候補地となる市町村の企業誘致施策の有無や積極性についても、誘致をする上での大きな要因となります。今年度進出決定をした二社につきましても、市町村との連携により誘致が成功したものであります。特に人材の確保やインフラ整備、立地前後の行政手続など、市町村の役割は大きいものと認識をしております。したがいまして、企業立地連絡協議会等を通じ県の誘致施策を説明するとともに、特に用地の所在する市町村に対しては積極的な企業誘致施策の実施を要請しているところであります。今後につきましても、市町村と協働・連携をしながら積極的な誘致活動を展開してまいります。
 次に、改正まちづくり三法成立に対する県の対応についてでございますが、和歌山市の中心市街地の活性化のためには国の支援策を活用することは大変有効であり、そのためには商業機能を初めとした総合的な町づくりの基本計画が必要と考えております。
 御質問にもございますが、和歌山市中心市街地の活性化は県にとりましても大きな課題と認識をしており、現在、和歌山市が進めております新たな基本計画の策定に向けた取り組みに対して、県としましても、市と地元商工団体との協議や市と国との協議に参画するなど、緊密な連携を図りながら基本計画の策定や国の補助制度の活用などに対して積極的に支援を行っているところであります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 今回のまちづくり三法のうち、都市計画法の改正は、町自体の郊外化、中心市街地の空洞化等を背景に、人口減少社会、超高齢化社会といった新しい環境の変化に対応できる町づくりの実現に向けて行われたものであります。
 改正の内容につきましては、大規模集客施設の郊外部における立地を規制し、用途規制などを適正に運用することにより中心市街地での立地を促進するものとなっております。
 今回の法の改正を受けまして、和歌山県といたしましては、今後、国より示される政令等を見きわめながら、市を含め他部局とも連携を図り、都市計画法の改正内容の効果が発揮できるよう検討を進めてまいります。
 特に、和歌山県の発展のためには県都である和歌山市のにぎわいを取り戻すことが重要であり、そのためにも、和歌山市内の中心市街地活性化に向け、特別用途地区の設定などに取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 議員お尋ねの民間による駐車監視員制度についてお答えいたします。
 まず、駐車監視員の具体的な活動、トラブルの発生などについてでありますが、本県におきましては、和歌山市内を二つの地域に区分して民間二法人に委託し、警察署長が定めた取り締まり重点路線・地域をガイドラインに示すなどして六月一日から運用を開始したところであります。具体的には、このガイドラインに沿って二名一組で巡回を行い、議員の御質問にもありましたとおり、放置駐車車両の確認を行い、ステッカーの取りつけなどを行っているものであります。
 一部の府県におきましては機器や現場でのトラブルなどが発生しておりますが、本県では、現在までのところ、使用機器のふぐあいや現場のトラブル等はございません。また、駐車監視員の活動についての苦情等も寄せられておらず、運用については順調に推移しているものと考えております。
 次に施行後の運用状況につきましては、六月二十日現在、和歌山市内で延べ駐車監視員百七十四人、車両八十七台で活動を行い、六百六十四件の確認標章の取りつけを行っております。
 道路交通の状況につきましては、和歌山市内の主要路線から約一キロメートルを選出して、施行前と施行後における違法駐車台数、当該区間を走行するために要する旅行時間について調査した結果、平均で違法駐車台数で約七一%の減少、旅行時間で約二六%の短縮という非常に良好な結果で、ドライバー等から駐車車両がなくなりスムーズに走れるようになったなどの好評を得ているところであり、制度導入の効果は非常に大きいものと考えております。
 次に、他の地域への制度の拡大や和歌山市内の駐車監視員の増員についてでありますが、議員御指摘のとおり、本制度は、違法駐車取り締まりに向ける警察力の不足を補うことや常態化する放置駐車を排除することを目的としておりますことから、一定の放置駐車違反が恒常的に存在する地域でなければ大きな成果が期待できないものと考えております。
 本年は駐車監視員制度の初年度でもあり、その成果を見て総合的に勘案した上で慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、それぞれの質問項目に対しまして御答弁をいただきました。
 一つだけ、まだ言うかと言われるかもわからないんですが、フィルムコミッションに関して一言申し上げたいと思います。
 なぜ映画なのかということであります。多分同じ思いを持っていただいておるとは思うんですけれども、テレビじゃなくて映画というのは幾つかメリットがあるわけなんですよね。これは、もう皆さん方、映画を見に行ってよく経験あると思うんですけども、ヒットした映画のロケ地になりますと、それはもうそれだけで大変大きな反響があるわけであり、多くの観光客が来てくれます。それは皆さんが言うことやと思います。
 それで、少し前まではテレビが大変喜ばれたわけですよね。特にNHKの大河ドラマなんていうのは、本当にそうだったと思います。そのときには多くの人が訪れてくれますけれども、それが終わってしまうと、ぱたっととまるというような現象があちこちでやっぱりあるそうです。和歌山市でも、吉宗効果で観光バスが何台もやってきて、駐車場が狭くなったからと少し大きなスペースをつくったのに、その放送が終わると来なくなってという話をやっぱり聞くわけであります。
 それで、先ほど私言いましたですけども、尾道とか長野に見られる現象というのは、いきなり多くの観光客は来ないんです。訪れないんです。でも、一定量の人が長く何年にもわたってやってくる。それが映画特有の効果であると私は思います。
 テレビドラマというのは、これは放映されたら放映されたでありがたいんですけど、放映されれば終わり、忘れられるのが大変早いと。映画は、映画館で公開されて、またテレビでも放送されて、もっとヒットしたらDVDとかビデオにもなって、ケーブルテレビや衛星放送でも流れると。名作というのは特に繰り返し何回でもやるというようなところがございまして、そういう意味から、やっぱりそういう映画とかドラマに感動した人たちがそのロケ地を実際に訪ねてみたいという思いで来るんであって、長期にわたって観光客が来るようになるということを私は思うわけでありますけれども、この点につきましては御理解いただけると思うんですよね。ですから、こだわってきました。
 それでまた、県は、今回、全国初ですね、この取り組み。企画部の地域振興課さんでシネマーケティング事業、十八年度予算で六百万組まれております。ええことやなというふうに思うわけですよ。この事業は、地方自治体が映画制作広報費の一部負担で、映画の企画段階から映画制作に参画をして、地域の観光資源や特産品等を自然な形で映画のストーリーに盛り込んだ作品に仕上げていく、それで、映画と連動した地域のプロモーション活動を推進して地域の活性化を図ろうとするもんやというふうに聞いております。物すごくええことやと思うわけですよ。
 ちなみに、このことを受け、本年二月、前回御紹介いたしました「ストロベリーフィールズ」に続いて、またまた田辺市の上秋津というところになるんですが、今度は「幸福のスイッチ」というこの映画、今、撮影に入ってますですよね。それで、今回のこの「幸福のスイッチ」という映画で、また田辺市のよさ、紀南方面のすばらしさがこの映画によっていろんなところへPRされるというふうに考えます。非常にうらやましいなと、すばらしいなというふうに感じます。ですから、できたら今度はこの和歌山市の方におきましてもこういう取り組みをやっていただいたら大変ありがたいなと思う次第であります。
 この「幸福のスイッチ」というのは、小さな町の電気屋さんを支える頑固なお父さんと三人姉妹の心温まる家族のきずなの物語やというふうに聞いております。この映画のヒットを願うものであります。
 先ほども言いましたように、映画というのはそれだけすばらしいものがあるので、それをうまく使って町づくりができれば、ある種いいんではないかなというふうに考えていたわけでございます。そういう利点がいっぱいあるわけでございますから──もう一つ、先ほど僕が紹介した太田監督の手紙の中に、映画に協力するという過程において、何よりも若い人たちとか年配の人たちみんなが参画してきて地域の活性化とか地域づくりの核として自然と人材育成にも役立っていくところがあるんですよと、そんな話も聞いたわけで、実にそのとおりだと思いました。
 トータルで言いますと、私が言うてる映画、フィルムコミッションにこだわったというのは、観光という観点です。観光というのは、今まで何回も言うてきましたが、総合施策であります。ですから、いつも知事さんがおっしゃっておられますけれども、このことにつきましても、商工労働だけで、企画部だけでいいというのではなくて、やっぱり県土整備部さんも、時には教育委員会さんもみんな協力していただいて、横の連携を持って当たっていただければ大変いいもんができてくるんではないかなと、そういう強い思い入れがあるから何回も言うてきました。ですから、しつこいなと思わんといてほしいわけなんです。私見を述べさせていただきました。
 最後に申し上げます。質問の最後に改正まちづくり三法のことを言わせていただきました。今回、僕は、このまちづくり三法にも、実は観光ということはかかわりが大変大きいもんだというふうに思ってるんです。ですから、今回は、改正まちづくり三法が改正されたばかりでありますし、和歌山市の考え方や取り組みというものも大きく左右される部分もあると思いますので、今回は知事さんの答弁はいただきませんでした。部長さんにお願いしました。でも、十二月ぐらいには多分知事さんのお考えを聞かせていただけるときが来るんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、また十二月議会で改正まちづくり三法について、今度は知事さんのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 以上で、私の再質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。

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