平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。本日のトリの質問でございますので、ひとつ最後までよろしくお願い申し上げます。
 まず、行財政運営についてお尋ねをいたします。
 平成十六年度から十八年度までの三年間を改革期間とする三位一体の改革が一応区切りをつけました。地方財政の強化や地方分権はどれだけ進んだのでしょうか。全国ベースでの国庫補助負担金の削減四・七兆円に対し、税源移譲は三兆円、地方交付税等の総額は五・一兆円の抑制という結果に終わり、地方自治体にとっては財政強化につながっていないと思います。
 本県でも、この三年間の影響額として、予算ベースで見ると、国庫補助負担金の削減額二百五十億円に対して税源移譲額は百七十五億円でマイナス七十五億円、地方交付税とそれにかわる臨時財政対策債の削減額が四百九億円で、税収の伸びが七十二億円ある一方で国庫補助負担金と地方交付税等合わせて四百八十四億円もの減額となって財源不足を基金から取り崩しで補うなど、大変厳しいものとなっております。
 地方分権の成果につきましても、地方の自主性、裁量が一定拡大されたというものの、より一層の歳出削減を余儀なくされるもとで、職員定数、職員給与を初め、行政内部の経費はもとより、県民向けの県単独の事務事業についても削減が進められています。国の介護、障害者福祉など社会保障制度改革に伴う県民負担の増大に対して、県独自の軽減策の実施を求める県民の願いもかなえられていません。その上に、今、国においては歳出・歳入一体の改革が強力に進められており、中でも地方財政の歳出削減をめぐっては、公務員人件費の抑制とともに、地方交付税の抜本的見直しを進める動きが伝えられております。
 既に本議会でも議論が交わされたところではありますが、交付税総額を抑制するために、交付税算定の方法を人口や面積を基準にしたものを創設する、交付税財源である国税五税の地方への配分比率を引き下げることなどが検討されています。
 そもそも地方交付税は、国が地方にかわって徴収する地方税としての性格を持っており、地方の独自財源として財源保障の機能を果たすべきものであります。さらなる交付税改革としての地方交付税等の一方的な削減は、地方財政を一層厳しいものにすることは明らかです。
 これらの動きに対して全国知事会など地方六団体は、内閣と国会に対して十二年ぶりに「地方分権の推進に関する意見書」を提出し、国と地方の税源配分を五対五とすることや、地方交付税は国の一般会計を通さず特別会計に直接繰り入れて総額の一方的な抑制はしないことという地方税財源の強化、確保と地方分権の推進を強力に進める意思をあらわしました。
 国は地方自治体に一層の歳出削減を求め、自治体側は財源確保と分権を目指してのせめぎ合いの構図となっているわけですが、自治体としても、どのような自治体づくりを目指すのか、そこでの住民の暮らしはどうなるのか、明確な自治と自立のビジョンを持って住民に説明するとともに、県民的な議論ができるようにすることが今まさに求められていると思います。
 また同時に、自治体が財政的な自立を目指していく上で、一般会計についてはもちろんのことでありますが、特別会計や外郭団体が抱える未収金、債務残高や県からの貸付金返済などに解決の道筋をつけていくことも重要な問題となっています。それらを放置しておいて行財政改革の名で県民に負担と犠牲を強いることには問題があります。
 そこで、知事並びに担当部長に幾つかお尋ねをいたします。
 自治のビジョンと県民的議論についてです。
 竹中総務大臣が発足させた地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の中間取りまとめでは、国から地方への流れを加速させ、道州制を視野に入れての国、地方のあり方が示され、交付税改革、地方行革の新指針の策定、自治体の破綻制度創設や一定規模以上の自治体については半分以上を交付税不交付団体にするべきなど、国から見た自治体の形づくりについての考え方を見てとることができます。
 また、全国知事会が設置した有識者による新地方分権構想検討委員会の分権型社会のビジョン中間報告では、分権改革について、暮らしの安全・安心をつくるなどの五つの視点から分権改革に向けての制度設計を組み立てて提言し、国民的議論を呼びかけています。今まさに各方面で地方自治のあり方、その将来像をめぐって、それぞれの立場からの議論が熱く交わされているところでありますが、三位一体の改革にしても地方分権の問題についても、住民にとっては重要な課題でありながら、肝心の住民のところでいまひとつ県民的な議論の場が提供できていないようにも思えます。地方分権の推進によって住民の暮らしやなりわいがどうなるのか、少子高齢社会を迎えてだれもが安心して暮らせる社会になるのか、地域の産業や雇用問題が前進するのか、子供たちの安全や教育など住民の暮らしをよくしていくことになるのか、日々の生活での現在と将来の不安要素が拡大していく中で住民ニーズに果たしてこたえていくことができるのか、その展望を示すことができるのでしょうか。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、将来の分権型社会として道州制に向けての取り組みを進められていますが、現在の自治体への税財源の拡充と地方分権の推進について、そもそもの目的は何であったのかを絶えず明らかにしながら取り組みを強めていくことが求められているのではないでしょうか。また、知事は、自治や自治体のあり方についてどのようなビジョンを持って県民に理解を求め、県民との議論や運動を進めていこうとされているのか、お答えを願います。
 二つ目に、行財政改革推進プランについて担当部長にお尋ねをいたします。
 県は、平成十八年三月に、今後の行財政改革の根幹をなす計画という位置づけで、平成十七年度から向こう五年間を計画期間とする行財政改革推進プランを策定し、発表しています。平成十八年度から二十一年度までの四年間の取り組みの結果、一般財源ベースで、人件費や民間開放などの事務システム変更による歳出削減額八百六十一億円、県税や退職手当債など歳入の新たな確保額六百九億円で千四百七十億円の対策の強化となっていますが、平成二十一年度では財政調整基金、減債基金とも使い果たし、特定目的基金を臨時的に活用したとしても百二十八億円の財源不足が出ると試算されています。実際の年度ごとの予算は国が示す地方財政対策によって左右されることになりますが、後年度に財政破綻を招くような無謀な事業を避けるためにも中長期の見通しを持った計画的な財政運営が求められています。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。
 県は、国の地方交付税改革の動きをとらえて、人口、面積要件を取り入れた新型交付税での基準財政需要額の試算を発表し、試算によっては減収ワースト十位になるとしていますが、そうなった場合、策定した行財政改革推進プランの中の歳入見込みへの影響はどのように生じてくると考えておられるのか。
 プランの中で、中小企業振興資金の百十八億円の未収金、土地造成事業の企業債残高百五十七億円、和歌山森林と緑の公社の長期債務残高百四十一億円など、特別会計や外郭団体が抱える債務が事業運営のいかんによっては県財政を圧迫させると危惧が表明されていますが、特別会計や外郭団体が抱える未収金、債務等により行財政改革推進プランが影響を受けることは想定されていないのか。
 また、特別会計の未収金、県が出資や貸し付けを行い、指導監督すべき法人、団体などで財政健全化への取り組みが必要だと考えられている法人、団体はどのような団体で、どのぐらいあるのでしょうか。また、具体的な解決に向けてのプログラムはどこまでつくられて、どのように点検、指導する体制になっているのか、お答えを願います。
 三つ目に、市場化テストと事業仕分けについてお尋ねをいたします。
 国は、歳出削減を進める手法として、小さくて効率的な政府を目指し、官から民へ、国から地方へなどの観点から行政改革を進め、行政のスリム化、効率化を一層徹底するとして、地方自治体にも同様のことを求めてきています。
 ことしの五月末に成立した行政改革推進法では、その基本理念において、行政改革の進め方として、政府及び地方公共団体の事務の必要性の有無及び実施主体のあり方について、仕分けを踏まえた検討を行い、民間活動の領域を拡大することなど、行政事務の民間開放を大きく打ち出しています。地方公共団体もその基本理念にのっとり行政改革を推進する責務を有するとされ、民間開放を一層進める方策として、これまでの指定管理者制度、独立行政法人、PFIなどに加え、すべての行政サービスを対象として市場化テスト、事業仕分けの実施が位置づけられました。
 市場化テストは、官が仕事をするか民が仕事をするかを競争入札で決めようとするもので、事業仕分けは、その仕事そのものの必要性にさかのぼって検討し、行政の事務として必要かどうか、また必要だとしても実施主体はどこが適当かを分類・整理し、仕分けをしていくもので、いずれも行政事務の効率化を民間にゆだねることによって進めることが特徴となっています。
 本県においては、国に先立ち、行財政改革推進プランの中で、職員定数見直しの手法として、事業仕分けにより民間委託を推進し、事務量の削減を図るとされており、あわせて官民競争入札制度、市場化テストについても和歌山版市場化テストガイドラインを策定し、県庁南別館の施設管理を実施するほか、対象を拡大するとしています。
 そこで、行政事務の民間開放という観点から担当部長に幾つかお尋ねをいたします。
 県が市場化テストや事業仕分けに取り組もうとする理念と目的は何か。その結果、県政と住民にとってどのような効果をもたらすと考えているのか。
 地方公共団体が直接責任を負って実施していた事務や事業を民間開放していくことになるわけですが、規制緩和と抱き合わせの民間開放ということになりますと、耐震偽装問題に見られるような行政の公的責任が問われる事態の発生も懸念されます。県は、公共性の確保と行政の公的責任をどのように明らかにしていくのか。民間開放していく基準のようなものは考えられているのか。
 また、情報公開や個人情報保護の規定整備をどう考えているのか。
 公務の民間への開放が進めば行政の専門家の育成がより困難となり、ひいては公共サービスの安定的な提供を困難にするのではないか。公務員の専門家の育成について、どのような方針を持っているのか。
 この問題の最後に、事業仕分けについて具体的にお尋ねをいたします。
 仕分けする対象の事業の範囲はどこまでを考えているのか。民間開放の方法はどのように考えているのか。事業仕分けの結果は最終的にどこで決めるのか。また、事業仕分けの民間評価委員会の構成とその役割は何なのか。住民の参加の保障はどこまでできているのでしょうか。ことしの六月三十日までと期限を切っての意見募集が現在行われているところですが、それ以後も意見表明できる場はあるのでしょうか。
 四つ目に、指定管理者制度についてお尋ねをいたします。
 平成十五年の改正自治法によって旧来の管理委託制度が廃止され、改正以前の委託施設について、県が指定する団体に管理運営させる指定管理者制度が発足しております。指定管理者制度は、従来委託できなかった株式会社など、営利を目的とする法人、団体にまで委託の範囲を広げ、単なる管理業務の委託だけではなく、利用許可などの行政処分、条例の範囲内とはいえ利用料金の設定ができ、使用料、利用料はみずからの収入となって利用者の増加を図ることと県からの委託費をより節減して運営することで利益を上げることができる、そういう制度となっています。そういうことから、県は住民サービスの向上と行政経費の削減につながると説明をしてきました。
 現在、これまで直営だった三施設を含め、四十一施設が指定管理者として公共施設の管理運営に当たっています。四十一施設のうち、公募して新たな団体が指定されたもの十三施設、公募して旧来の団体が指定されたもの十二施設、非公募で指定されたもの十六施設となっています。
 十八年度当初予算では、四十一施設の委託費合計額が前年度比十五億円の削減となって、全体として経費が削減されたことについては目に見えてわかりますが、個々の施設の利用状況、利用者サービスの内容やプライバシーの保護はどうなっているのか、またそこで働く従業員の労働条件はどのようになっているのかなど、公共施設としてふさわしい運営管理がされているのかどうかも問われてくると思います。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。
 指定管理者制度での施設の公平・公正な利用と利用状況、サービスの内容、プライバシー保護、従事する人の労働環境など管理のあり方についての検証をするということや検証結果を公表するという方針はあるのでしょうか。
 今議会に、情報交流センター「Big・U」についての維持運営管理委託料四億四百八十二万円が十八年度から二十三年度までの債務負担行為として予算計上されています。Big・Uは施設開設時点から指定管理者制度で運営されているわけですが、どのように評価をされているのでしょうか。今回の債務負担行為の限度額は、前回と単年度比較するとどのように設定されているのでしょうか。また、どのような運営方針を持って今後に臨もうとされているのか。それぞれ担当部長よりお答えを願います。
 次に、震災対策についてお尋ねをいたします。
 県は独自に、東海・東南海・南海地震が同時に発生した場合、和歌山県北部を東西に走る中央構造線による地震が発生した場合、田辺市内陸直下地震が発生した場合の三つの地震について、最悪の状況を想定した県内の被害予測調査の結果を公表しました。
 東海・東南海・南海地震が同時発生した場合では、最大見込みで、人的被害では死者五千人、負傷者八千三百人、建物全壊・焼失十万五千棟、避難所生活者二十四万人の被害想定をしています。その被害の規模は、ことしの五月に確定された阪神・淡路大震災での被害状況の死者六千四百三十四人、全壊住宅十万四千九百六棟に相当する被害の大きさとなっています。
 東海地震については、一九七八年(昭和五十三年)に制定された大規模地震対策特別措置法により、予知観測体制の整備、地震防災計画に基づく地震災害の防止・軽減対策などが多年にわたり蓄積され、関係自治体職員、事業所や住民の防災意識も高くなっています。
 一方、東南海・南海地震への国の対策は、二〇〇三年(平成十五年)に東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、県内すべての市町村が地震防災対策推進地域の指定を受けたところであります。
 東海地震は近い将来に発生する可能性が高いと言われ、東南海・南海地震が三十年以内に発生する確率は約五〇から六〇%、同時または相互に近接して起こると言われています。日本は地震頻発期に入ったとされており、地震防災への備えは緊急の課題となっています。
 文部科学省が今月発表した公立小中学校の校舎や体育館などの耐震化率は、東海地震の影響を受ける神奈川八五%、静岡八一%と全国一位、二位を占めていて、東南海地震の影響を受ける三重が七八・七%と三位、愛知六七・六%で六位、一方、和歌山は四七・一%で三十二位と出おくれている状況にあります。
 ことし五月に発生したインドネシア・ジャワ島中部の地震は、中程度の地震とのことですが、死者六千二百人、家屋の全半壊十万軒を超す大惨事となりました。被災住民への支援活動が各方面から進められているところでありますが、巨大地震が頻発している中で震災対策への備えがどうだったのかという問題も指摘されています。
 今回の県独自の地震被害想定調査の結果は、県の地勢、人口密度、町並み、産業集積、建築物の耐震化の状況、道路輸送の整備状況など、地震の規模のみではなく、県の地理的要素、社会的要素も大きく影響しているものと思います。この結果を今後の町づくりについてどう生かしていくのかがまさに問われています。
 そこで、知事並びに担当部長にお尋ねをいたします。
 地震防災対策の今後の対応についてでありますが、せんだって議会で知事は、この結果を重く受けとめていると、そういうお話がありましたが、今回の結果を受けて、国などの関係機関への働きかけの強化も含めて、地震防災対策の重点をどのように考えておられるのでしょうか。
 二点目に、地震防災対策推進条例の制定について担当部長にお尋ねをいたします。
 地震防災対策の推進について、想定される被害をより少なくしていくという点に着目をして、安全で災害に強い地域社会の形成を目標に、行政、防災機関、住民、事業所の役割分担を定め、総合的な防災施策の体系を明らかにし、その実現のための方針を示して協力体制を構築していく必要があります。そうした取り組みを進めていくためにも、地震防災対策推進条例の制定と防災対策の内容、求められている数値目標、達成時期を示した計画づくりを急ぐ必要があるのではないでしょうか。
 以下、具体的な課題について何点か、到達状況と残された課題、今後の取り組み姿勢について担当部長にお尋ねをいたします。
 一つは、一時避難場所の確保についてです。
 県民の防災意識を高める取り組みが今さまざまに行われているところですが、地域での一時避難の場所の確保と避難のための訓練をすることにより、地震防災がより身近なものに感じられ、自主防災活動への取り組みも高めることができます。
 和歌山市内の中心部で、木造住宅が密集している地域の自治会、消防団で、自主的に事業者と交渉して駐車場を一時避難場所として確保しました。そして、避難訓練に取り組んでいます。体の不自由な人がどこにいるか地図に入れて、車いすで介助をしながら避難する練習や炊き出しをするなど、住民の意識を高めることに努力されています。訓練には、ほとんどの世帯の人が参加をいたしました。一時避難場所づくりと援護を要する人を含めての避難訓練の実施が地域の防災意識を高めるためにも有効だと感じたところです。
 県内での一時避難場所を確保する取り組みはどのようになっているのでしょうか。県や土地開発公社などが所有する土地で利用計画や処分のめどが立たない未利用地を住民の一時避難場所として地域への開放を進めてはどうでしょうか。
 防災ボランティアの受け入れ態勢、支援のあり方の整備についてですが、災害救援ボランティアの活動が活発化してきています。阪神・淡路大震災を機に、新潟中越地震でも全国から駆けつけました。参加者も、各分野の専門家、技術者、学生、勤労者など多様化し、国民的活動にもなってきています。県でもボランティアの登録が始められているようでありますが、保険への加入、現場での業務のコーディネート、必要備品の整備、宿泊などなど、体制整備の内容や手順の充実、マニュアルづくりと受け入れ訓練など、いざというときもたつかないようにしておく必要がありますが、どのように準備が進められているのでしょうか。
 より広域的な自治体間の相互応援協定についてです。
 東海・東南海・南海地震が同時に発生したとなると、自治体間の相互応援協定の必要性がより広域に及ぶことになります。近畿圏内など近隣地域に頼った応援協定では、互いに被災すると実効性を持たないことになります。より広域的な相互応援体制や国による支援体制の確立が急がれます。十九年度の国への要望の中には、津波・高潮対策、木造住宅耐震改修支援、被災者生活再建支援の拡充、緊急輸送道路の確保など盛り込まれていますが、より広域的な被害に対する即応体制の確立を国に強く求めていく必要があります。
 企業、事業所の安全管理と地域防災への協力の要請についてです。
 和歌山市内のガソリンスタンド経営者の中に、燃料タンクが償却期限を過ぎ、更新時期を迎えていることや、原油価格の高騰も重なってタンク劣化による災害への懸念から廃業を選択せざるを得ない、そういう事業者の方が目立ってきています。
 県は、老朽化した橋梁など公共建築物の耐震化、長命化に取り組んでいるところですが、民間事業者で危険物を扱う事業所の安全管理と防災体制の確立、燃料タンクや工業施設プラントの老朽化への対応、保守管理、保安体制など、万全のものとなっているのでしょうか。また、大規模事業所のみならず、中小規模事業所も含めて、防災教育や防災訓練の実施や津波避難ビルとしての利用、重機・機材や物資の提供、避難施設としての開放などなど、地震防災対策への取り組み状況や地震防災への協力要請はどのようになっているのでしょうか。
 最後に、在日米軍再編と米軍艦船入港問題についてお尋ねをいたします。
 ことし五月十一日から十四日まで、和歌山下津港本港区西浜第三岸壁に、米海軍第七艦隊の誘導ミサイル巡洋艦「カウペンズ」が入港接岸しました。目的は、親善訪問とされています。全国で米軍艦船の民用港寄港がことしに入り増大しています。ことしの一月から五月まで、全国十二の港に十六隻が入港しています。この五カ月間で、昨年一年間の十三港十七隻に迫る勢いとなっています。
 五月三十日の閣議で、日米両政府の合意した在日米軍再編に関する最終報告が実現可能であるとの認識が示され、的確かつ迅速に実施すると明記した基本方針が決定されています。在日米軍基地の再編計画の対象自治体となっている沖縄県名護、神奈川県座間、山口県岩国を初め、横須賀の原子力空母母港化などに対し、自治体住民から反対や了解できないとの声が上がっています。また、在日米軍再編に対する施設整備費用は日本が負うことや在沖縄米軍のグアム移転費用負担など、合わせると三兆円にもなるという報道もされています。
 日米安全保障協議委員会の在日米軍再編の最終報告では、在日米軍再編は、日米同盟が新たな段階に入るものであり、日米双方のコミットメント、日本との共同作戦をより強化すると言われています。和歌山下津港への米軍艦船の入港は、二〇〇一年八月の巡洋艦「ヴァンデグリフト」以来五年ぶりになりますが、アメリカの世界戦略への日本の組み込みが強まるもとで、本県においても一層の協力を求められることになるものと思われます。
 そこで、知事に三点お尋ねをいたします。
 在日米軍再編についてでありますが、在日米軍再編による日米同盟関係の強化が進められようとしているわけです。知事は、在日米軍再編をどのように受けとめ、今後どう対応していこうと考えておられるのか。
 知事は以前に、沖縄県の最後の官選知事、島田知事が県民を守って自分も亡くなられたという本を読んでいると、もうお忘れになったかもしれませんが、本会議場でお話をされたことがあります。私はその話を大変新鮮に受けとめたわけですが、日米同盟強化の動きの中で、住民の生命と財産を守る使命を持つ自治体の首長がどのような見解を持って今後対処していこうとされているのか。私は重要なことだと思いますので、この際、知事の見解を尋ねておきたいと思います。
 民用施設と軍事訓練についてでありますが、武力攻撃事態やそのおそれに対する対処を想定した米軍支援法、特定公共施設利用法など有事法制では、空港、港湾など、自治体管理施設の米軍優先使用を求めています。今回の米軍艦船の入港は親善目的としていますが、有事を想定しての軍事訓練も兼ねた入港と見ても不自然ではありません。白浜空港は平常時の軍事訓練には使わせない申し合わせがありますが、自治体管理の港湾施設、その他公共施設についても平常時の軍事訓練には使わせないことが必要ではないでしょうか。
 非核証明書の提出についてです。
 和歌山下津港の地元自治体である和歌山市は非核平和都市宣言をしており、非核三原則を将来とも遵守し、あらゆる国のすべての核兵器の廃絶と軍縮を全世界に強く呼びかけています。和歌山下津港の港湾管理者は県になっていますが、外国艦船の入港に当たっては、非核証明書、核兵器を積んではいないという証明書の提出を求めるべきではないでしょうか。
 以上、お尋ねいたしまして、私の第一問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、地方分権と行財政運営についての考え方ということですが、最近、竹中ビジョン懇の意見であるとか、それから地方六団体の意見であるとか、これからの地方行財政をどうしていくかということについての議論というのは中央の方では非常にかまびすしいものがあるわけですけれども、御質問にもありましたように、住民の人にとっては全く議論も盛り上がってないし、ぴんとこないような状況にあるというのが現実だろうと思います。
 私自身、この分権ということについてどういうふうに考えているかというと、今、例えば自治体のしている仕事の八割から九割、これがいろいろ国の規制によって、こういうふうにやりなさい、ああいうふうにやりなさいということが決まっていて、自由な発想で行えるような状況になっていない。こういうふうな状況を取り払って、地方が住民の要求に合わせたような行政ができるようにするということが一つです。
 それからもう一つは、それに係るお金ですけれども、今、税源が非常に地方の方は貧弱であり、和歌山県でもそうですけれども、補助金であるとか地方交付税というものに頼ってこれを運営するというふうな状況になっているわけですけども、できるだけこの自治体が行っている仕事については自治体の税金で行っていくと。そのことが納税者の意識というふうなものを高めるということにもなるし、必要なことだろうと思います。
 交付税というのは、一般的には地方の財源──我々は地方の財源だというふうに考えておりますけれども、最近の中央の議論では補助金に類するようなものというふうな極端な考え方も出てきているわけで、本来は税源と、税金という形で取れるような形に持っていって、住民に近い形の行政、そして住民のためになるような行政が行われるようにしないといかんと思います。一方では、国は国の本来の仕事というものに特化していって、地方のことは地方に任せるような形ということが望ましいと思います。
 そういうふうな中で、地方ごとに、人口が多いところとか少ないところとか、企業があるところとかないところとか、いろいろなことがあるので、今のままでは税源の移譲ということを行っても調整ということが物すごく大きくなってきて、そうすると、今度は持てる自治体と持たない自治体との間でまた争いが出てくるというふうなこともあるので、今後は、例えば道州制のような形で大きくそれぞれの圏域が大きなエンジンを持ちながら、自分のところで取った税金であまねくその圏域の住民が自発的にいろいろなことに対応できるというふうな形にしていくということが究極の分権の形に近づくのではないかというふうに考えているところでございます。
 次に地震防災対策ですが、先般発表された想定に私も非常に関心を持ち、また大きな脅威を感じているところでございます。こういうことにあわせて、現在、県有施設の耐震化であるとか、教育施設の耐震化であるとか、そういうふうなことをどんどん進めてきておりますし、自主防災組織の設置促進、そしてまた避難路や避難タワーというふうなものの設置とか、いろいろなことをやってきているわけです。そしてまた、紀南の方では今の国道四十二号線、これは海沿いを走っているもんですから津波等に非常に弱いというふうなことが言われておりますので、高速道路の南伸というふうなことについても力を注いでいるわけです。
 しかしながら、自治体としてやれることというのはある程度限界もありますので、この問題は国の大きな災害ということで認定されているわけですから、国についても引き続きこの東南海・南海地震対策について本腰を入れて対策をとってくれるようにいろいろな形で働きかけをしていきたい、このように考えております。
 最後に、在日米軍の再編と米軍の艦船の入港問題ですけれども、これについては一括してお答えを申し上げます。
 まず、在日米軍再編についてでございますけども、在日米軍再編の問題を初め、防衛、外交など国家の基本的事項は、当然のことながら国が責任を持って判断すべきものであるというふうに考えております。しかしながら、自治体は関係ないということではございません。危機管理の中でも大きな役割を果たしておりますので、いかなる事態が発生した状況においても県民生活の安全と安心を最優先に考え、そのことを念頭に県行政を進めていくということは、これは当然のことでございます。
 次に、民用施設と軍事訓練についての関係でございますが、今回の米軍艦船の入港は親善と乗組員の休養が目的であり、軍事訓練を兼ねたものではないというふうに理解をいたしております。また、この港の施設の使用については、米軍艦船は国同士の取り決めである日米地位協定で日本の港に出入りできることとなっており、これは基本的に国が判断すべき問題であるというふうに考えております。
 次に、非核証明書の提出についてでございますが、今回の米国艦船の入港に当たり県から外務省に問い合わせたところ、日米安全保障条約上、いかなる核の持ち込みも事前協議の対象であり、持ち込みについての事前協議が行われた場合、政府としては常にこれを拒否する所存であるので非核三原則を堅持する我が国の立場は確保されている、今回の入港に際しても、事前協議が行われていないので核の持ち込みがないことについて政府として疑いを有していないと、こういう明確な回答を得ており、県としては今後ともこのような対応をとってまいりたいと、このように考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 行財政改革推進プランに関して二点、市場化テストなどに関して五点、指定管理者制度に関して一点、合わせて八点のお尋ねがございました。
 まず、行財政改革推進プランについてお答え申し上げます。
 人口や面積を基本に配分するいわゆる新型交付税の影響ですが、単純に人口と面積で試算すれば本県のような財政力の弱い地方自治体の財源が激減するため、地域の実情を十分踏まえた激変緩和措置や格差是正措置が不可欠であると考えております。
 この点については、地方のこうした懸念が広がっておりまして、先ごろ国から新型交付税の導入には十分な経過措置を講じるといった方針は示されてはおりますが、なおその取り扱いが不透明な状況にあります。また、現在、国の歳出・歳入一体改革の議論の中で地方財政分野の大幅な削減が検討されているというふうに聞いております。
 こうしたことでありますので、現時点で新型交付税など新たな国の制度が導入された場合の行革プランへの影響ということを予測することは困難でありますけれども、いずれにしても、県としてはいろいろな機会をとらえ、地方の安定的な財政運営に必要な地方交付税が確保されるよう、今後とも十分に留意してまいりたいと思っております。
 次に、特別会計における貸付金や外郭団体が抱える将来にわたる債務等についてですが、議員御指摘のとおり、これらの事業運営状況は県の財政にも大きな影響を及ぼすものと認識いたしております。主な債務といたしましては、行政改革プランにお示しした中小企業振興資金の特別会計、あるいは土地開発公社など、六項目を掲げております。県としては、これらについて、例えば従前から償還指導室を設置して貸付金の滞納整理体制を強化したり、公営企業会計の中期計画を策定したり、土地開発公社についても専門の担当課を設置するなどして経営健全化を図っておりますが、今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市場化テストなどに関する五点のお尋ねであります。
 まず、第一点目の市場化テストや事業の仕分けに取り組む理念、目的などについてでございますが、これらの取り組みは、官から民へ、国から地方へといった大きな流れに沿って行政改革を進め、広域的自治体としての県の役割を踏まえた上で簡素で効率的な体制を整備するために実施するものであり、このことにより、真に県が担うべき行政サービスの維持向上に重点的に取り組むことができると考えております。
 次に、公共性の確保や行政の責任、情報公開や個人情報についてですが、現在、県が直接実施している行政サービスを民間委託する場合は、さきに導入しました指定管理者制度の例に倣い、十分配慮する必要があると認識しております。
 また、民間開放の基準についてですが、そもそも県が行うべきなのか、県がやるとしたら、それを民間に委託することができないかといった観点から、ゼロベースで議論をしてまいりたいと考えております。
 四点目の行政の専門家の育成と公共サービスの安定的供給についてですが、民間委託は、行政サービスの質の向上を図るため民間のすぐれたノウハウを取り入れるものであり、逆に特別に公共性が必要とされる分野については、職員の資質の向上を図り、責任ある行政を進めてまいりたいと考えております。
 第五点目に、事業の仕分けの対象事業の範囲、民間開放の方法、民間評価委員会の構成と役割などについてでございますが、現在県が実施しておりますおよそ千六百程度の事業について、現在、広く県民の皆様から意見募集を行っているところであります。いただいた御意見を参考にしながら仕分け案を作成し、民間評価委員会にお諮りし、庁内の検討会を経て仕分け結果を公表したいと考えております。仕分けを行った事業については、その区分に応じ、市町村への権限移譲、国への提言、民間活力の活用など、計画的に進めてまいりたいと考えております。
 最後に、指定管理者制度についてであります。
 民間事業者の専門的な手法やノウハウを活用することで住民サービスの向上を図ることを目的としておりますこの制度は、県民にとっては、より質の高いサービスが受けられるようになるものと期待をしております。県としても、管理の状況や個人情報保護の状況に注意するとともに、以前御答弁申し上げましたけれども、導入後の利用状況やサービス内容なども調査し、公表する予定であります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 情報交流センターBig・Uについてお答えをいたします。
 Big・Uでは、平成十七年一月の供用開始以来、県として初めての指定管理者制度を導入した運営を行っておりまして、現在まで約四十万人の利用があるなど、多くの県民の方々に御利用をいただいております。これは、県による積極的な利用推進はもとより、指定管理者によるIT人材研修等自主的な事業の展開や民間ならではの柔軟な発想を生かした利用者サービスの充実など、複合施設としての特性を生かしたさまざまな効果が生じたものと考えております。
 債務負担の限度額につきましては、前回は新規施設の開設でありまして、単年度で約一億円としたところでございます。今回は、指定管理者により効率的に運営されていることから、昨年度の運営実績を基本に、今後新たに発生する維持管理サービスの充実を見込んだ上で、単年度で約八千万円とする五年間の債務負担行為の設定をお願いしております。
 今後の運営管理につきましては、これまでの成果を生かし、施設の設置目標であります人材育成、産業支援、ITの普及促進等をより一層充実させるとともに、国際的なITフォーラムや企業研修の誘致など、積極的に取り組んでまいります。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 震災対策の五項目についてお答えいたします。
 まず、地震防災対策推進条例についてでありますが、本県では条例は定めておりませんが、地震対策の基本となる地震防災対策アクションプログラムにより、平成十六年度から取り組んでいるところでございます。その中で、自助、共助、公助が連携する防災協働社会の構築が最も重要なことであると明確に打ち出した上で個々の事業の達成時期や目標数値を設定し、防災対策に全庁的に取り組んでいるところでございます。
 議員御提言の地震防災対策推進条例は、先日公表した被害想定を踏まえ、今後、アクションプログラムを見直す中で、防災協働社会の構築に向けた一つの方策として研究をしてまいります。
 次に、災害時に県民の生命を守るための一時的な避難場所の確保については、市町村や地域住民が民間事業者と交渉し、津波避難ビルとして指定するなど、確保に努めているところであります。また、県の施設についても、地域住民の要望を受けて津波避難ビルとして指定されているものでございます。
 御指摘の県等の未利用地の一時避難場所への開放につきましても、所管部局との調整のもと、推進していく必要があると考えてございます。
 次に、防災ボランティアの受け入れ支援についてでありますが、本県の防災ボランティアにつきましては、個人及び団体の構成員を合わせて約千六百名の方が登録されており、現在、募集・登録の充実に努めているところです。その活動を支援し、災害発生時にスムーズなボランティア活動ができるよう、市町村や社会福祉協議会なども対象にして防災ボランティアコーディネーター研修会を開催しており、本年二月には図上訓練も実施したところです。
 また、ボランティアの円滑な受け入れ態勢等につきましては、ワーキンググループを中心に検討を行っているところであり、今後、より一層取り組みを進めてまいります。
 次に、災害等発生時の相互の応援協定につきましては、近畿府県間の応援体制として、近畿二府七県危機発生時の応援に関する基本協定を本年四月に締結したところでございます。また、全国知事会におきましても、全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定を平成八年度に締結し、現在見直しを行っているところです。さらに、国におきましては、東南海・南海地震発生時の応急対策について、関係都府県と連携を図りながら、食糧、生活物資の供給対応など、具体化に向けた取り組みが進められているところでございます。
 最後に、事業所の安全管理と地域防災への協力要請であります。
 危険物等を取り扱う事業所につきましては、定期的に立入検査を行うとともに、企業みずからも保守点検を行っているところであります。一方、震災時の防災対策につきましては、各企業が国の通知に基づき耐震等技術的基準に適合するよう施設の改修などを実施するとともに、予防規程等において災害時の対応を規定しております。県としましては、技術的な強化と防災規程が有効に機能するよう指導するなど、保安体制がより万全なものになるよう引き続き取り組んでまいります。
 また、大規模災害時に被害を最小限にする上で企業防災の果たす役割は非常に大きいと考えており、企業を対象にした啓発冊子を作成するなど、企業の防災力向上を図っているところです。災害発生直後の初動態勢において迅速な協力を得るため、企業等と各種消防協定を締結するとともに、防災訓練なども連携して実施しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 再質問をさせていただきます。
 地方分権の問題でありますが、知事は、住民のための仕事という、そういうことでお話をされましたが、まさにそこが問われているんじゃないかと思うんです。地方分権というのは、あくまでもその器の問題といいますかね。だから、住民のためになる仕事といえば、より住民に身近なところで行政サービスを行うと。それが効率的で住民のニーズに的確にこたえた行政サービスと。それを進めていくためには、今の国のいろんなしがらみを取っ払って、住民のニーズに合った形で的確に迅速にするためにも、地方分権、地方の自主性、裁量を高めていかなくてはいけないというところをしっかり押さえるということが私、大事だと思うんですね。
 それで、住民のための仕事とは何かというふうなことの次の段階の話になってくるわけなんですが、そこで今、行政改革という話が同時に進行しているわけです。それで市場化テスト、事業仕分けということが出てきておりますが、この行政改革というのが、従来は国からの通知、新地方行革指針とか指針という形で示されてきたのが今回法律になったんですね。
 それは、自治体の責務という形でこれを推し進めるということになってきたわけなんですが、私は、例えば市場化テストにしても、官と民を競争させる、これ、同じ土俵で競争すべき問題ではないというふうに思うんですね。もちろん競争できるところはあろうかと思うんですが、競争できないところもある。地方自治体でなければできない仕事もあるし、地方自治体がするべき、公務労働として提供しなくてはいけないという分野もあると思うんです。
 事業仕分けについても、やっぱり公務員がすべき仕事というのがあると思うんですね。総務部長の話では、千六百の事業すべてについて仕分けを行うという話がありましたが、その基準は何かということも同時に聞かしてもらったわけなんですが、余り明確なお話はなかったように、そういう印象を受けたわけなんです。
 やっぱり、今本当に大事なのは、公務員制度が改革を言われてますが、その地方公務員のするべき仕事とは一体何かということをしっかりと議論をして、それと、この市場化テストとか事業仕分けというものに臨んでいくということがないと非常にわからなくなってしまうということになるんじゃないかという点を私は危惧するんです。
 そこで知事にお尋ねをしたいんですが、私は、公的責任を確保するその中身というのは、いろんな公共性サービスの提供主体は幾つかあっていいとは思うんです。NPOであったり、個人であったり、民間事業者であったりしてもいいと思うんですが、公務員でなければできない事務事業もあると思うんですね。それはやっぱり、住民の生存権とか教育権、良好な環境のもとで暮らしをするさまざまな憲法の要請による基本的人権をどう守り擁護していくのか、これは公務員の仕事です。使命であり責務であるわけですね。
 住民参加を進めていく上でも、どれだけ自治能力を持った──自分のことは自分で決める、自立していく市民をどうつくっていくかという、その自治能力を高めるというのも大事な公務員の仕事だと思うんですが、こういう今から事業仕分けとか市場化テストとかいう形で民間開放を進めるに当たって、知事はその公務労働とは一体何かというところのお考えをぜひ聞かしていただきたい。それをもって行政改革にどう臨むのかということによって随分変わってくると思うので、そういった点のお話を聞かしていただきたい。これは知事への再質問です。
 あとは要望という形になろうと思うんですが、県が独自に県の東海・東南海・南海地震という巨大地震が同時に発生した場合という、非常に厳しい深刻な局面を調査されて公表されたわけですが、かなりの決意が要るだろうと思うんです。ただ、それが公表された以上は、これにどう対応していくのかというのが県民からすれば問われてくるといいますか、県民からそれを問わなくてはいけないということになってくるわけなんですね。
 ところが、今の取り組み状況では、かなり温度差がある。地域によっても住民によってもさまざまなとらえ方、事業所、企業によってもいろんな温度差がある中で、県としてこの防災対策というのをどう進めるのかということでは、一つのその指標として条例的なものがやはり要るんじゃないかなということを最近感じるようになってきたわけで、その提案といいますか、そういう考え方というのを話をさしてもらったわけです。
 研究をしていくというお話でありましたが、ぜひそれは──研究ということでありますので、真剣に一度研究をしていただいて、絶えず検証しながら、この防災対策どう進めるのかと。これは行政だけではできません。本当に住民の真剣な取り組み、企業、事業所の真剣な取り組みが必要なわけで、それを一体的に進めるんだという決意を示すという意味でも、私は、条例というのが一つの大きなインパクトになるんではないかなと、そういうふうに思いますので、この点は要望をしておきたいと思います。
 最後に、日米再編の問題で、知事は自分のお言葉で語られたのかどうかわかりませんが、国の方ではどんどんと米国との同盟関係の強化ということで有事法制がつくられる、戦争を想定してのいろんな準備体制がつくられるわけで、その中で、地方自治体として国の方針とか法律に唯々諾々と従っていくということで、それでいいのかという問題が、地方分権という、地方自治ということから言っても明確な方向を一定持つべきではないかなというふうに思うわけです。
 国民保護法制にしても、そうでしょう。閣議が──国で決めるんですね、和歌山県の国民保護の内容を。この議会では、その内容については議論したり議決するという問題でないわけなんですね。この問題もまた議論していきたいと思うんですが、そういう意味でも、自治体の平和行政をしっかり確立していくということが、今、米軍再編の沖縄であるとか、山口であるとか、各地域、米軍基地があるところを見ても思うわけなんです。ぜひそれはまた研究をしていっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
 知事から再答弁をお願いします。
○副議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の公務の範囲とは何かというのは、私は非常に大事な視点だろうと思います。戦後、日本は、あれもこれも公務員がやるべきだというようなことで、いろいろサービス行政の分野なんかで、本来なら別の主体ができたかもしれない、そしてまた、県でなくて市町村がやる方が適切であったかもしれない部分について手を出してきたというふうなことがあって、「官から民へ」という言葉のもとに、こういうふうな、それぞれ仕分けして全部調べてみるとか、それから市場化テストを行うとか、そういうふうな流れが出てきているわけです。
 しかしながら、この公務の範囲というのは時代によって大きく変化はしてきているものの、コアになる部分というのは当然のことあるわけで、何もかも全部民間でやれるんだったらもう都道府県も市町村も要らないというふうなことになるので、そういうことではありません。千六百の事業を全部見直すと言っても、当然のことながら、その多くの部分は将来的にも公が担っていくというふうなことになっていくと思いますし、その限界的な部分について、民間とかそういうところでやった方が効率的にできるだろう、そしてまた、その効率的にできることが、そこへ回している部分をもっと別のサービス、住民サービスに回せるというふうなことで、これは住民のためにもなるというふうな観点で行っていくということだろうと思います。
 ただ、今のところ、そういうふうなきっちりした線が引けるもんじゃないんですけども、基準があるわけではないわけですが、こういうふうな仕分けの中でも委員会をつくって検討していくわけで、そういうふうな中で、一つずつそういう事業を俎上に上げる中で、これは本来的に公がやる部分、これはそうでなくてもやれる部分というふうなことが帰納的にだんだんと明らかになってくるのではないかというふうに思っております。
 それから、安全保障の問題なんですけれども、現在、これは発表はしておりませんけれども、例えば北朝鮮のテポドンの配備について、和歌山県では自発的に県の職員が二人ずつ、何かあったときのために対応して宿直をしているというふうなことで、何もかもそういうふうな安全の問題が国の責任だというふうなことで言っているわけではないわけです。
 言っているわけではなくて、県は当然そうなんだけれども、やはり国が決めてやる部分は、自治体が勝手にいろいろなことをやると、これはもう国としての統一もとれなくなるから、これは決まり事の中でいろいろきっちりやってることだということを言ってるわけで、和歌山県としても自主的に県民の安全を守るためにいろいろな配慮は行っているし、また行っていくと、こういうことです。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。──もう時間も参りました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四分散会

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