平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、行財政改革の推進についてお尋ねいたします。
 去る六月十四日、国の財政制度等審議会が「歳出・歳入一体改革に向けた基本的考え方」(建議)をまとめました。これは、近く策定される政府の経済財政運営と構造改革に関する基本方針いわゆる骨太方針二〇〇六に反映されるものであります。
 建議では、国と地方とを合わせた借金の総額が約七百七十五兆円に上り、対国民総生産(GDP)比では約一五〇%に達し、先進国の中でも最悪である、政府が歳出の約四分の一を借金の支払いに充て、利息分だけでも年間約八・六兆円にも及んでいる、そのため、二〇一一年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の達成はもとより、国債残高の圧縮を最重要課題として歳出・歳入一体での改革を求めています。
 さらに、最近の企業業績を背景に昨年の税収が伸びたことを理由に基礎的収支の赤字見通しを圧縮する動きに対して、堅実な財政再建を求め、最大の歳出項目である医療や介護などの社会保障給付と負担に不均衡が生じているため、制度を安定的に維持するため、「社会保障に係る安定財源確保についての論点整理」を公表しました。
 建議は、第二の支出項目である地方交付税について、国税の一定割合を交付税に回す法定率の引き下げを求めています。その理由は、地方は既に基礎的収支(プライマリーバランス)が黒字化しており、国民負担の軽減に積極的に貢献するのは当然だとしているのであります。
 国の基礎的収支の改善の方策として、地方交付税総額を大幅に削減しようとする論議が起こってきています。本年五月二十六日に竹中総務大臣の私的諮問機関である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会が報告書を提出しました。その報告では、地方交付税は、「国の規則・関与の廃止・縮小を大胆に進めるとともに、『結果平等、規律の緩みを生みやすい仕組み』から『機会平等、住民による自己規律が働く仕組み』への転換を目指すべきである」としています。「国の規制や基準づけに基づく部分を縮小させ、地方が自由に歳出を決定できる部分を拡大すべきである。地方が自由に歳出を決定する部分については、現行の複雑な交付税の算定基準を抜本的に改め、誰でもわかる簡便な算定基準に順次変えていくべきである」として、平成十九年度予算から人口と面積を基本として算定する新型交付税を導入し、今後その比率を高めていくと報告しております。
 こうした国の動きに対して、地方は対抗して、全国知事会にある新地方分権構想検討委員会が本年五月十一日に地方財政自立のための七つの提言を行いました。その提言三において、地方交付税は国から地方へ恩恵的に与えられるものではなく、みずからの財源を他の自治体のために融通し合うことによりすべての自治体が国に依存せずに住民に対して一定水準の行政サービスを提供できるようにすべきであるとの考えから、名称を「地方共有税」として、法定率の引き上げを提言しております。
 現在、自治体間の財政力格差がある中で、国による関与や義務づけの見直しを行わないままで地方交付税全体が圧縮されてしまうと、相対的に税収が少ない自治体では住民にとって必要なサービスの提供に余裕がなくなり、財政調整機能が十分機能しなくなると心配されています。
 去る五月三十一日に、東京での地方自治危機突破総決起大会で地域の実情を踏まえた地方交付税の改革に向けた緊急アピールを取りまとめ、本県関係国会議員に対し要請活動を実施しています。さらに、全国知事会等地方六団体においても、六月七日、地方自治法に基づき内閣に意見書を提出しています。
 本県及び県内市町村の行財政運営は地方交付税に大きく依存しており、交付税が削減された場合、住民への行政サービスに重大な支障が生じてきます。さらに、交付税を人口と面積のみで算定・配分しようとする新型交付税導入の議論がありますが、本県の場合、試算によっては現在千八百億円ある交付税が約六百億円減収になることが見込まれる状況にあります。平成十六年度の県税収入が八百二十三億円でありますので、その減収状況は危機的と言わざるを得ません。
 こうした状況の中、県議会においても、六月十三日に「地方交付税の改革に対する意見書」を国に提出したところであります。
 そこで、木村知事にお尋ねいたします。
 国における歳入・歳出の一体改革において地方交付税改革に対する知事の所見はどうか、お尋ねいたします。
 次に、事業仕分けについてお尋ねいたします。
 事業の仕分けは、選択と集中により施策の重点化を図るとともに、行政の責任領域においても民間活力を積極的に活用することによって歳出削減を行うことがねらいであります。去る五月二十六日に成立した行政改革推進法においても事業の仕分けの実施が盛り込まれました。
 本県では、行財政改革推進プランにおいて、今後五年間で知事部局で千四百人を削減し、教育委員会で五百人の削減を行うことを発表してきています。この職員定数の削減計画には県立医科大学の独立行政法人化に伴う減や教育委員会における児童生徒の減少による減もありますが、職員定数を削減する場合は、業務自体を削減しなければ労働強化や行政サービスの低下を招いてしまうことにもなります。そこで、県の実施しているすべての事業を仕分けし、国が行うべき事業、引き続き県が行うべき事業、市町村に移管すべき事業、民間に委託すべき事業、廃止すべき事業に分けて県行政のスリム化を図っていくべきであります。
 本県では、五月三十日に今年度の約千六百事業すべてについて事業の仕分けを実施する旨を発表しました。それによりますと、今年の十月をめどに実施し、全事業の仕分け結果を公表し、新年度の予算編成や組織改革、職員削減に反映させるとしています。
 今回の事業仕分けでは、事業の必要性や事業主体の見直しなどの結果を受けて必要最小限の職員数を割り出して職員削減にまで踏み込む取り組みは全国でも初めてと注目をされております。私は、事業の仕分けに当たっては、弱者への配慮、人格や情操を高める文化・芸術分野への配慮を行って、県民が合意できるよう努力していただきたいと思っています。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 事業の仕分けをどのように実施し、本県の行財政改革を推進されるのか、お尋ねいたします。
 次に、県税収入の確保についてお尋ねいたします。
 五月末で出納閉鎖がされましたので、平成十七年度の県税収入額が確定されました。十七年度は企業業績が伸びた企業も多くあり、株価の上昇も加わり、大手金融機関等は好決算のため、もうけ過ぎとの批判も出てきています。しかし、本県の場合は景気回復がまだまだであるとの意見もあります。
 また、本年四月からスタートした地方税回収機構は、発足して一カ月で初年度の目標である十六億円の三分の二を超える十億八千百万円の実績を上げていると伺っております。今日まで市町村では滞納者の徴収には苦慮してきており、回収機構の設立は税収増に対して喜ばしい結果となっております。
 そこで、総務部長にお尋ねいたします。
 平成十七年度の県税収入の状況と平成十八年度の税収見通しはどうか、お尋ねをいたします。
 次に、都市計画道路の見直しに関連してお尋ねいたします。
 本県の都市計画道路のうち、未着工になっている路線は百四路線あり、区間は三百五十八キロメートルあります。県は今回、これらに対して、廃止も含めて全面的に見直す方針を決めました。見直しの理由は、人口減少に伴う需要の低下や財政難から効率的な事業の推進で少しでも道路整備が進むよう検討するなど、地域の実情を再調査して身の丈に合った道路を整備するとして、平成十八年度当初予算に新規に一千万円を計上いたしました。
 都市計画道路は、都市計画法に基づき、安全性や防災面、景観などを総合的に考慮して都市計画区域内に建設される道路で、整備が予定されている地域では将来の整備事業の妨げにならないよう建物の建築が制限されています。
 本県の都市計画道路は、新法制定の一九六八年前後に計画された道路が大半で、二百八十四路線、約六百九十キロメートルあります。整備率は、県施行分が三三%、和歌山市施行分が四五%であり、いずれも全国平均五四・六%を下回っております。
 今回の見直し事業では、都市計画自体の廃止のほか、車線数の削減、中央分離帯の撤廃、街路樹の植栽部分の縮小などを想定し、道路のスリム化を目指しています。
 県では、見直しの第一号として、田辺都市計画道路内環状線において、平成十八年度から事業化を予定している延長二百六十メートルの区間を地方の実情に応じた形で、両側の歩道部分の植樹帯の幅をそれぞれ当初の四・五メートルから一メートル削減することで事業費の縮減に努めています。さらに、和歌山市の都市計画道路六十谷手平線四百六十六メートルで、総幅員を十六メーターから十四メーターに変更し、現道である県道有功天王線を活用することでコスト縮減を図ろうとしています。
 近年、道路事業を取り巻く環境は、公共投資全体の抑制などの影響で事業評価や徹底したコスト縮減を行い、道路整備において重点化、効率化が求められています。加えて、道路特定財源の見直し問題でも、昨年十二月に政府・与党で見直しに関する基本方針が了承され、一般財源化へ一歩踏み出したことは本県にとっても大きな課題であります。
 大阪府においても、平成十五年三月に基本方針を策定し、平成十六年度末までに見直しを行った結果、二十八路線、三十四区間、三十七・七キロメートルを廃止しています。また、岐阜県では、平成十三年五月に見直し方針案を策定し、平成十六年三月末までに見直しを検討した結果、二十路線、三十四・七キロメートルを廃止してきています。
 本県では、二〇〇二年から通行量の余り多くない山間部で、和歌山方式として一・五車線の道路整備を進めてきています。二車線で工事をすると七メートル必要な道路幅が五メートルで済みます。県では既に十二・四キロメートルが完成しており、事業費も減額できたとのことであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。
 一、本県の都市計画道路の未着工路線を廃止も含め全面的に見直す方針ですが、今後どう見直しを実施されるのか。また、今回の見直しによるコスト縮減効果はどうか。
 二、和歌山市域の都市計画道路の未着工路線への見直しはどう進められるのか。
 三、和歌山市内の交通渋滞対策として進められている都市計画道路市駅小倉線栗栖から国道二十四号線に至る一・四キロメートルは事業が進められております。現在、国道との交差部が国、県、市の協議で二車線部分が立体交差とのことであり、和歌山市施行部分の西側は事業がおくれているため、県は交差部への対応と東側の供用開始にどう取り組まれるのか。また、都市計画道路湊神前線の開通により、都市計画道路松島本渡線が進めば渋滞解消へ大きく寄与すると思われます。同路線の進捗状況と一部供用への取り組みはどうか。
 四、都市計画道路南港山東線は、東工区中島─田尻間〇・七キロメートル及び県道三田三葛線道路改修事業として田尻─坂田間〇・五キロメートルで事業が進められています。また、県道和歌山橋本線において、森小手穂付近約〇・四キロメートルで交差点改良事業が進められております。これらの道路は、交通渋滞の解消のため、早期に供用が求められております。各事業の進捗状況と供用開始の見通しはどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、公立小学校・中学校の適正規模化についてお尋ねいたします。
 少子化の進行により、県内の小中学校は急激な小規模化が進んできており、学校の活力や教育効果などの面で課題が生じていることから、早急に対応する必要に迫られてきています。
 県教育委員会は、教育長の諮問機関である義務教育ニュービジョン研究会議を設置し、同会議から、平成十八年一月に「和歌山の未来をひらく義務教育」と題する報告書をいただいております。報告書の「少子化が進行する現状にあって、学校における教育活動の活性化と維持・発展させる観点から学校の適正規模化を検討すべき」との提言に基づいて作業を進め、本年四月に県教育委員会に小中学校課市町村支援室を設置しました。
 さらに、去る六月十六日に県教育長の定例記者会見で、「公立小・中学校の適正規模化について(指針)」を発表したところであります。指針では、小中学校の適正規模として、小学校ではクラスがえが可能である一学年平均二学級を下限とする十二学級から十八学級、中学校では、クラスがえに加えて教科担任制と学習集団の弾力的な編成等のための教員確保から一学年平均三学級を下限とする九学級から十八学級とし、これらを下回った場合には統廃合を検討すべきとの方針を示しています。
 昨年五月現在の県内の小学生は約六万人、中学生は約三万二千人で、いずれも昭和三十年代の半分以下に減少してきています。また、適正規模に満たない学校は、小学校が二百九十八校中二百十三校で七一・五%、中学校が百三十八校中九十六校、六九・六%と、いずれも七割に達しています。とりわけ市町村教育委員会において積極的な検討が望まれる学校として、適正規模の基準を下回る中学校、複式学級を解消するための過小規模小中学校、小学校の分校、都市の中心部における人口の空洞化による極端に児童生徒が減少している小中学校等を挙げています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、小中学校の適正規模化において、県教育委員会は指針を踏まえ今後どう取り組んでいくのか。また、市町村教育委員会が積極的に検討が必要とされる学校はどの程度あるのか。
 二、県教育委員会は行財政改革推進プランで今後五年間で五百人の教員の削減を行うとしていますが、小中学校の適正規模化への取り組みとの関連はどうか。
 三、小中学校の学級数を確保する観点からすると、現在県が実施している三十五人学級の基準を緩和し、学級数を確保していくことも必要と思われますが、三十五人学級のさらなる充実にはどう取り組まれるのか。
 四、少子化による児童生徒の減少により生じた小中学校の余裕教室の実態と有効利用への取り組みはどう行っているのか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、紀伊風土記の丘事業の充実についてお尋ねいたします。
 県立紀伊風土記の丘は、特別史跡岩橋千塚古墳群の保存と活用を目的として昭和四十六年に設立された考古・民俗系の博物館施設であります。総面積は約六十五万平方メートルあり、古墳や文化財民家、万葉植物園、復元竪穴住居、資料館など、文化財に直接触れながら歴史や自然を体験学習できます。また、桜を初め四季折々の花なども楽しめ、ハイキングコースとしても親しまれています。
 同史跡の沿革をたずねますと、大正十三年八月に和歌山県師範学校代用附属西和佐尋常高等小学校が発行しました「西和佐郷土誌」によりますと、「岩橋千塚の位置と由来」として、「当古墳は岩橋字前山にある元安藤家の所有地であったが、廃藩置県の際、同家より下付され、岩橋共有山としたものである。この前山にある古墳は、その数約五百、今なお原型をとどむるもの約三百、そのほかは多く発掘の厄に遭っている。明治三十三年以降、最も多く発掘されたものである。その年代とその何人の墳墓であるかはわからないが、少なくとも千二百年以前のもので、上古最も尊敬を受けた豪族の墳墓であることは疑うことのできないことである。しかも、その数の多いのと特別の構造を備えていることは、考古学上まことに珍しい遺跡である」と紹介しています。
 さらに、「大正十一年十二月、皇太子殿下(後の昭和天皇)には、四国原野に陸軍特別大演習を統監あらせられ、御還啓の途次、本県へ行啓あそばされ、殊に実業補習学校教員養成所へ行啓のため、我が西和佐村へも駕を迎え奉ったのは、まことに村民無上の光栄であります」とあり、その折に岩橋千塚発掘物なども台覧に供したと記されております。
 少し余談になりますが、同郷土誌には西和佐尋常高等小学校の就学状況が、大正十二年で男子二百七十一人、女子二百四十九人、計五百二十人で、就学率はいずれも一〇〇%とあります。現在の市立西和佐小学校と単純には比較できませんが、男子百七十二人、女子百九人、計二百八十一人であり、生徒数が大正十二年から八十数年を経過して半分近くまで減少しているのには驚かされた次第であります。
 本題に戻りまして、昭和六年七月には岩橋千塚古墳群が国の史跡に指定され、戦後、昭和二十七年三月に国の特別史跡に指定されました。その後、昭和四十三年十月に紀伊風土記の丘建設事務所が県庁内に設置され、県指定文化財旧谷村家住宅、旧小早川家住宅の移築に続いて、国指定の重要文化財旧柳川家住宅、旧谷山家住宅が移築され、昭和四十六年八月に紀伊風土記の丘が開園されました。さらに、関係の皆様の協力で、昭和四十九年にはJR和歌山駅から風土記の丘間に路線バスが運行を開始し、施設がより利用しやすくなりました。
 平成八年には、開園二十五周年記念事業として、古代米などを栽培できるミニ水田の造成や古墳時代の復元竪穴住居が完成し、小学生等を対象にした体験教室が人気を呼んでおります。去る六月十八日、日曜日にも古代人の米づくりの体験教室があり、子供たち約三十人が古代米や米づくりのルーツを学習した後、古代衣装を身につけて田植えを行い、参加者に大変喜ばれました。
 平成十七年四月には資料館への入館者も百万人を超え、今後は、学校における総合学習や職場体験学習など、学校と紀伊風土記の丘が連携した取り組みが一層期待されています。
 さらに、最近の健康志向の中でハイキング等に訪れる人たちも増加して、施設の充実が要望されております。施設設備の充実については、開園以来、周辺の用地の追加買い入れやカヤぶき屋根のふきかえ及び周辺整備事業を実施してきています。しかし、同施設への進入道路を含めた園内の道路等は、昭和四十六年の開園以来改修が行われていないため、傷みが激しい状況にあります。特に、進入道路は風土記の丘の管理道路のため、路線バスが運行し、市営住宅などが隣接している状況で県道や市道に移管されていないため、改修には紀伊風土記の丘が予算計上する必要があります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、紀ノ川緑の歴史回廊の事業を初め、紀伊風土記の丘を活用した事業の充実にどう取り組まれるのか。また、地域力を生かし、語り部の育成に取り組まれてはどうか。
 二、進入道路を初め施設内の道路や風土記の丘の諸施設の抜本的な充実にどう取り組まれるのか。
 以上二点お尋ねをいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、地方交付税改革についての御質問でございます。
 この問題については、一つは地方交付税の総額をどうするかという問題、それからもう一つは配分の仕方が今非常に難しいのでこれを簡素化しようというふうな問題の二つがありまして、簡素化の方は、三位一体の改革で残されたのが交付税の問題というふうなことの中で、一つは面積と人口を基準にしたような配り方というふうなものを考えようという動きが出ておりますが、もう一つは、歳入・歳出一体改革の中で、五年後を見据えて地方交付税の法定率というふうなものを下げていこう──国の方がプライマリーバランスが赤字になっている、地方の方はそうではないということで、簡単に言えば、赤字を国から地方へつけかえようというふうな感じの策動というふうなことが行われているということだろうと思います。
 御質問の中にもありましたように、和歌山県で独自にこの人口、面積を単純に利用した形で試算すると非常に不利な形になるということが一つ配分の問題ではありますし、そしてまた法定率の問題で言えば、県が、これも粗い計算ですけども、してみたら、法定率を下げるというよりも逆に八%引き上げなければならないというふうな形の計算結果も出てきております。
 いずれにいたしましても、地方公共団体がこれだけいろいろな形で行政改革に努力をし、さらにはこれからも努力をしようというふうなときに、まだ理屈なしにむだが多いんだというような形でこういうふうな地方財政に対する攻撃が行われるということは、これはゆゆしきことだろうと思っておりますので、今週の土曜日に、これはまだ全国でも非常に少ないんですけども、地方自治危機突破和歌山県大会というのを関係者で開いて、県当局、そしてまた県議会、町村会、市長会等々と一緒に開いて、この和歌山県の持っている、和歌山県内の市町村の持っている危機感というものを全国に表明していきたい、このように思っているところでございます。
 次に事業の仕分けについてでございますが、これにつきましては、地方行革ということも相当進んできて、今までのやり方ではもうこれ以上進めるのは大変だと。やはり、一つずつ事業を点検していって、そしてそれが本当に県がやるのが適当なのか、民間でできるのか、市町村へ移管すればいいのか、そういうことをきっちり仕分けして対応していこうということですが、今回のこの仕分けの特色としては、この結果を、ただ単にこういうことをやりましたということにとどめるのではなく、予算でありますとか組織でありますとか定数配置というふうなものにきっちりと反映していこうというふうなことが一つ。それからまた、こういうふうな仕分けを県民の人にわからないところでやっていても、これはぐあい悪いので、民間の方を委員とした評価委員会をつくって、そしてその評価委員会の様子は公開で行うということで、県民の方にもこういうふうな形で今事業の見直しということが行われているんだということがわかるような形で対応していこうというふうな形でやっていこうと思っております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 県税収入に関するお尋ねがございました。
 まず、平成十七年度、昨年の県税収入についてでありますが、約八百二十八億円、前年度に比べまして約五億円の増収となる見込みであります。主な原因は、法人二税が減収となりましたが、輸入総額の増加や株価の回復などで地方消費税や県民税配当割などが増収になったことによるものであります。
 なお、収入率につきましては、滞納処分の強化、個人住民税の直接徴収や御案内の和歌山地方税回収機構設立のアナウンス効果などが寄与しまして対前年〇・二%増の九六%と、三年連続で向上させたところであります。
 次に、平成十八年度の今年度の県税収入の見通しについてですが、定率減税の縮減等の税制改正や企業収益の回復における増収などを見込みまして、当初予算として約八百五十四億円を計上しているところであります。また、徴収面におきましても、さらなる滞納整理の強化を図るとともに機構の本格稼働による効果も期待しつつ、県税収入の確保に全力を尽くしてまいります。
 以上であります。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 都市計画道路の見直しについては四点お尋ねがありました。
 都市計画道路につきましては、議員御指摘のとおり、平成十七年三月末で百四路線、延長三百五十八キロが未着手となっております。これらについては、少子高齢化や人口減少など社会経済情勢の変化や公共事業費の縮減などを考慮し、計画路線のスリム化を図るため、総合的に道路の必要性を検証しながら、周辺土地利用や道路の利用状況なども考慮して、地域の実情に応じ、廃止も含め必要な規模に見直すこととしております。具体的には和歌山市の全路線でカルテを作成するなど、順次見直しに着手しております。また、平成十八年度は、カルテの成果を踏まえ、見直しの手順をまとめたガイドラインの作成を予定しております。
 見直しは事業未着手の全箇所を対象として実施することとしておりますが、都市計画道路は町づくりの根幹的な都市施設であり、また現に建築制限がかかっていることもあり、市町村と連携を図り、住民の御意見も取り入れながら作業を進めてまいります。
 コスト縮減効果については、今後、未着手の箇所を対象に具体的な検討を行うことにより明確になりますが、さきに発表した田辺市の内環状線では約八千万円、和歌山市の六十谷手平線では約五億円と試算してございます。
 二点目の和歌山市域の未着工路線の見直しにつきましては、昨年度から県、市の関係部局におきまして個別路線ごとにワーキングを設置し、先ほど申し上げたとおりカルテを作成して全路線で検討を実施してきており、現在、これを見直し案として取りまとめております。今後も和歌山市となお一層連携を図りながら作業を進め、効率的、効果的な道路整備を図ってまいります。
 三点目の市駅小倉線及び松島本渡線についてお答えをいたします。
 市駅小倉線につきましては、県道岩橋栗栖線から国道二十四号までの区間約一・四キロを県で施行しており、県道岩橋栗栖線から丹生神社付近までの約六百メーターを今年度末に四車線で供用する予定でございます。また、国道二十四号との交差部につきましては、和歌山市との調整に努めてまいります。
 次に、松島本渡線につきましては、わかやま電鉄貴志川線神前駅東側の神前地区におきまして、県道和歌山橋本線までの約一キロの区間において平成十七年度から事業に着手し、測量、設計を行っているところであり、今年度から用地買収を進めてまいります。
 四点目の南港山東線及び県道和歌山橋本線についてでございますが、南港山東線の東工区六百五十メーターの区間につきましては、本年八月末に供用開始を予定しております。続く竈山神社西側の県道三田三葛線交差点部までの五百メーターの区間につきましては、本年十一月に供用する予定でございます。
 また、県道和歌山橋本線の森小手穂交差点は三差路が二つ続くクランクとなっておりまして、渋滞の原因となっております。現在、右折車線を新設する等の交差点改良を実施しており、現在の進捗は、用地買収について九八%、工事については七一%という状況で、平成十九年度中に供用する予定でございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、小中学校の適正規模化への支援についてお答えいたします。
 少子化が進む中、県教育委員会といたしましては、学校における教育活動の活力を維持・発展させるという観点から、市町村の参考となるよう「公立小・中学校の適正規模化について」の指針を策定したところであります。適正規模を下回る学校は、現在、小中学校ともに県内の学校数全体の約七割に上り、中でも小規模の中学校や複式学級を含む過小規模校等が多くを占め、これらについて特に統廃合の検討が望まれます。
 こうした検討は、基本的には設置者である市町村が主体的に保護者や地域の人々の意見や考えを尊重しながら行っていくものであります。県教育委員会の役割といたしまして、教職員の配置、児童生徒の通学、学校施設・設備の充実等について必要な支援措置がとれるよう努力してまいります。
 また、小中学校の適正規模化は子供にとって最善の学習環境を確保するという観点から進められるべきものであり、行財政改革推進プランに組み込まれたものではありません。
 次に、このたびの指針においては、国の学級編制基準をもとに適正な学校規模を示しております。少人数学級編制は、よりきめ細かな学習指導や生徒指導の充実を目的として取り組んできており、平成十八年度は小中学校の全学年で実施しております。今後もその成果の検証に努めてまいります。
 小中学校の余裕教室については、従前から特別活動室や少人数指導を行うための教室として、また廃校等による空き教室については学童保育や社会教育施設等に転用されております。今後は、余裕教室の有効活用促進のため県独自に実態調査を実施し、市町村が積極的に地域住民にこれを開放するなど、学校施設の有効利用を図れるよう指導、助言してまいります。
 続いて、紀伊風土記の丘についてお答えいたします。
 特別史跡岩橋千塚古墳群を母体とする紀伊風土記の丘では、これまでの考古・民俗資料の展示活動や体験学習等に加え、平成十五年度以降は紀ノ川緑の歴史回廊事業の拠点施設の一つとして代表的な古墳の再整備を行うとともに、学校教育並びに生涯学習活動に対するより一層の支援に努めているところです。
 地域ボランティアにつきましても、体験学習や資料の整理において既に御協力をいただいていますが、今後は、古墳群としては全国で二例しかない特別史跡の意義やすばらしさを説明できるボランティアの育成並びにその活用について検討してまいります。
 次に、進入道路並びに園内の諸施設につきましては、開館から既に約三十五年が経過して周辺環境が大きく変化するとともに老朽化が進んでいることは、議員御指摘のとおりであります。県道からの進入道路の改修は、必要に応じて部分修繕等の対応をしてまいりましたが、今後は、その所管がえも視野に入れ、関係機関と協議してまいります。
 施設の改修につきましては、平成十五年度に消防設備、十七年度に屋根、空調設備などの工事を実施し、本年度は受水槽などの改修を予定しております。今後とも計画的な改善・充実に努め、より安全で快適な施設にしてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。

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