平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 おはようございます。議長に提出した項目に従って質問したいと思います。
 一つは、梅産業振興についてであります。
 まず冒頭に、紀州梅の会が中心になって行われた六月六日の梅の日制定記念行事及びイベントに、知事は小泉首相を表敬訪問し、青梅、梅干し、梅製品の贈呈に参加くださったことに感謝申し上げたいと思います。
 六月六日、「梅の日」──梅が日本の国民の中に、六月六日は梅の食べる日、参る日として定着することを私たちは期待しております。また、このイベント、記念行事が民間主導で進められたことは大きな今後の意義があると私は考えております。
 しかし、一方で梅産業を取り巻く情勢は大変厳しいものがあります。とりわけ中国からの優良製品の輸入増、国内他産地の生産増による台頭、長期経済不況下での梅干し消費需要の低迷、低品質の安価な梅干しの市場での流通、それから梅の消費量、消費単価そのものが低下してきていること。こういった梅生産農家にとって昨年からの梅干したるの流通低迷と価格の値下がりの中でことしの青梅の動向に不安を抱いていましたが、ことしの梅の生産量は、昨年初め、平年に比べ七から八割にとどまると聞いておりますし、しかも、三月のひょうの被害で生産量は少ないことで、青梅、漬け梅の価格は少なくとも昨年もしくは平年のキロ当たり五百円台をキープできると信じていました。
 ところが、ふたをあけてみると、最初の市場値が五百円を最初から切る。しかも、昨日の六月十九日では、秀品、一番いいものでキロ当たり三百四十円。しかも、ことしは雨の日が多くて日照りが少ない。梅の品質も、そういう一番よい秀品が率として非常に少ない。そんな中で、その十九日のキロ当たり、いいもので三百四十円ですが、次の優というやつがあるんやけど、二百四十円。次のランクの良というのが百十円という、本当に二分の一、もっと二分の一以下という状況に現状はなっています。
 しかも、漬け梅の価格にも波及して、今までにない低価格で終わるのではないかと心配しています。農家にとっては、梅干したるの在庫を抱え、しかも漬け梅の価格にも私たちは波及するのではないかというふうに心配しております。したがって、梅干したるの在庫を抱えて、しかも現状の青梅の価格ということで、農家ではダブルパンチではないかというふうに思います。
 そういう中で、農家の生産意欲、地域経済にも大きな影響を及ぼします。梅産業の地域経済への果たす役割は、昨年からことしの状況だけ見ても、じわじわと出てきています。地域の消費である小売店、飲食、パーマ、理髪店、その他小売業をなしている人たち自身から、農家の人たちの消費が減り、もろに影響を受けていると語られていますし、梅を取りに毎年雇っていただいている人たちも、昨年に比べて非常に減った、賃金も下がったと、非常に梅の状況が、そういった人たちからも厳しさを肌で感じると言っています。
 流通の担い手である梅の産地仲買商を初め、農業機械、生産資材販売業、容器・段ボール製造業、梅干しや塩、調味資材供給業、印刷業、運輸業、廃棄物処理業等の梅関連産業による、まさにこの紀南の地域産業複合体で形成し、地域経済を支え、しかも梅関連業者のほとんどが地域で経営する、その地域でお金が循環するという全国でも唯一の産業形成です。そういう意味からも県行政の果たす役割は大変大きいものですが、県当局は、今の梅の現状、ことしの現状を見てどう把握しているのでしょうか、お聞かせください。
 次に、梅振興にかかわる課題について問題提起したいと思います。
 一つは、つくれば売れたという時代から、健康効果としての付加価値を前面に出した消費宣伝、毎日常食することの生活習慣、サプリメントと違ったよさをアピールすることが必要ではないか。二つ目は、梅と家庭生活をアピールしてはどうか。梅を漬ける、梅でジュース、シロップ、梅酒をつくる、そういう生活体験と、それを活用することと健康効果。三つ目は、子供、若者も梅に関心を持てる商品開発。四つ目は、外国への販路拡大するための商品づくり。五つ目は、安全・安心な紀州梅とブランド化。六つ目は、生産者、加工業者による安定した梅干し価格の追求。こういったことを私自身まとめてみましたが、これらに対して県当局としての見解があれば、今後の需要拡大、消費拡大に当たっての私の見解に対して御意見があればお伺いしたいと思います。
 さらに、これらを保障するために、私は、日本の食文化をもう一度取り戻す大きな政治、社会問題があると考えます。学校給食や家庭の食生活がフライドポテトにチキンナゲット、ピザ、ハンバーガー、冷凍食品や缶詰といった生活習慣病につながる食生活を日本人のだれが望んできたのでしょうか。戦後の食生活をこのようなファーストフードに一気に転換したのは、ほかならぬ毎日の学校給食の場ですり込まれたからですし、ひいては日本の食糧自給率をどんどん低下させてきました。
 私は、この三月に制定された食育推進基本計画は、法律にとどめることなく、ファーストフードがすり込まれた日本の食生活を、逆に現場、地方から日本の食文化を回復させる実践しかありません。白御飯と梅干しの給食が日本の食文化を取り戻すことにつながると考えますし、和歌山の梅の振興になると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、私は梅は、生産から環境までを考えた和歌山の安全・安心と、そして梅の香りする和歌山にと考えています。一つは、減農薬、減化学肥料を目指すエコファーマーが増加しつつありますが、さらに定着させるとともに、梅から発生する梅の剪定枝、梅の種、梅酒、梅酢、調味液、加工残渣などのバイオマス資源を地域で循環させ、生産から加工まで一貫したリサイクルシステムをつくり上げ、環境に優しい農業、農村をつくることが梅の持つ健康食品としてのイメージを向上させるとともに、産地を訪れる人に和歌山の梅産業のよさを認識してもらうことになり、梅の環境を含めた振興につながるものと考えます。
 とりわけ、梅の調味液や加工残渣は、約四分の一が海洋投棄されているのが現状です。一九七二年にロンドン条約が採択され、経過措置を経て二〇〇七年、来年平成十九年には全面禁止になります。
 このような状況から見て、梅を中心としたバイオマスプランの早急な作成が求められています。作成は市町村ですが、国のバイオマス・ニッポン戦略に基づいて農・林・水産から排出されるバイオマスをリサイクルして循環させるシステムづくりを県当局はどうとらえ、どう指導されていくのでしょうか、お聞きしたいと思います。
 このように、私は、日本一の梅産業を抱える和歌山が率先して梅の持つ機能性や文化の発信と環境に優しい産業との取り組みを行うことが今後の梅産業の発展につながるものではないかと考え、質問させていただきました。農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、残留農薬のポジティブリスト制をどう見るのか、どうしていくのかという点であります。
 食品衛生法の改正に基づき、これまで残留農薬の基準値が設定されていない農産物や食品にも一定の基準値、〇・〇一ppmが設定され、これを超えた場合は販売を原則禁止されるというポジティブリスト制度がこの五月二十九日から施行されました。
 ポジティブリスト制度は、本来は輸入野菜の残留農薬を問題視して制度化されたと言われていますが、このような画一的な制度はこの国内産業においても大きな問題をはらんでいます。今まで残留基準がなかったものにも基準値が設定されるため、現場では農家の不安が高まっております。
 この制度の施行による現場農家での最大の課題は、農薬の飛散、いわゆるドリフトによる基準超過です。例えば、これまでなら稲専用の農薬の残留基準が野菜に設定されることはないから問題にはならなかったんですが、今回のポジティブリスト制では、稲専用の農薬が野菜にかかってしまい、野菜で基準値を超える可能性が出てくるわけであります。果樹と野菜が隣接したり、果樹でもミカンと梅が隣接しているところや混植しているところでは、かなり気を使った栽培管理が要求されます。
 そこで、第一の質問は、このようなポジティブリスト制度をどのように見ているのか、お伺いしたいと思います。
 第二には、ポジティブリスト制度に関連して農薬の飛散を防ぐためにどのような指導を農家にしてきたのか、お伺いしたいと思います。
 これまでの農産物の栽培はある程度個々の農家の自主性に任せてきたわけですが、これからはドリフト防止いわゆる飛散防止対策や消費者からの信頼を得る産地農産物を提供するため一定の集合的管理が要求され、そのための栽培転換が必要となってきます。また、農産物の安全証明を考える余り残留農薬という観点を最優先するのではなく、消費者に信頼される減農薬栽培の推進や農薬そのものが人体に与える影響はどのようなものなのかを理解してもらう必要があります。つまり、受け身の安全証明ではなく、防除の実情や、外見だけきれいだという消費者、市場の意向から、やっぱり消費者に農産物の安全性を求めることをきちっとして、外見だけを求める市場や消費者に対して、やはり我々生産農家、行政が安全性を伝える必要があるんではないかということを感じております。
 また、食の安全性を確保・追求するには、残留農薬または農薬使用について正しい認識が求められると思います。日本の農業栽培での農薬使用及び残留基準は、今までよりも厳しく規制し、食の安全は日本では確保されています。無農薬栽培は完全ですが、農業は哲学ではなく、経済学的要素を組み入れたもので、とりわけ食の安全性に対する農業が最も今農家に求められています。つまり、適正な農薬の使用、減農薬の工夫を積み重ねる努力が今求められています。
 農林水産省は、ポジティブリスト制度の制定を機会に、昨年末、「農薬の飛散による周辺農作物への影響防止について」という通達が出ています。個々の農家が行う農薬の飛散影響防止対策等の冒頭で、病虫害防除については、病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することを見直し、総合的病害虫・雑草管理に努めるとしています。これは、従来からのスケジュール的防除を見直し、減農薬に向けた防除法の改善を本格的に進めるように指摘されているわけであります。
 もちろん、個々の農家では減農薬に向けてさまざまな工夫や努力をされていますが、国の言うこの指針を県下でどう具体的な栽培方針として指導していくのか。県と農協、試験場が協力し合って推進していくべきでしょうが、どういうふうな形態で農家に指導していくのでしょうか。
 また、多品目栽培が可能な現状──飛散防止という立場からいけば、現状では多品目栽培が非常に厳しい。そういう中で、多品目栽培が可能な減農薬栽培への努力が必要ではないか。環境保全型農業の安全・安心な農産物栽培への栽培指導と管理を策定し、現場と一体となった協力・協働が求められているというふうに思いますが、農林水産部長の見解をお伺いします。
 次に、三点目の新介護保険についてです。
 二〇〇〇年四月の介護保険制度がスタートして六年目にして、大幅な見直しによって、高齢者を介護する事業所や医療機関はどういう状況であり、このことで介護サービスが向上したのか、するのか、それともサービス低下につながっていかないか、真に介護を必要とする高齢者にとってどう受けとめられているのでしょうか。
 私は、介護保険について今まで議会において考え方を述べてきましたが、今回の見直しの問題点を指摘し、県当局の見解をお聞きしたいというふうに思います。
 一つは、介護予防サービスは利用者にとってどのような影響が出ているのか。また、これによる事業者の参入の状況はどうか。介護予防サービス地域包括支援センターの機能は果たせているのか。それによる個々人利用者の対応は十分できているのか。お尋ねしたいと思います。
 次に二つ目は、地域密着型サービス、とりわけ小規模多機能型サービスは現場にこたえているのか。最も我々は期待していた事業であったわけでありますが、通いを中心に訪問、泊まりを組み合わせた小規模多機能は、本来は全国の宅老所、事業所の実践で積み上げてきて、それを国に提言したこととは大きな隔たりがあり過ぎて、地域に密着したサービス、そしてそこに参加する事業所、利用者に十分こたえるものではないと考えます。
 まずは第一に、利用者はそこに住む市町村に限定されること。第二は、登録利用者は定員二十五名で、一日の通いの利用者は登録の二分の一の十五人に限定されている。第三は、利用者は他の事業所の訪問介護、通所介護を併用して利用できない。第四は、介護報酬は定額制であることの矛盾。第五は、三百六十五日、二十四時間受け入れる体制をつくっておらなければならない。第六は、小規模でありながらケアマネジャーを配置しなければならない。
 全国の宅老所を運営する人たちは、こういう枠をはめたものではなく、利用者がもっと自由に選択できて、通所介護の宅老所でも利用者の要望が、泊まりを望んだときそれにこたえるように、そういう制度に期待していましたが、それに反して当該市町村でしか利用できず、近隣の市町村の人は利用できないし、利用者の定員も十五人という枠にはめられ抑えられているため、柔軟な運営が非常に難しい。利用者のケースによっては負担額が上がる。通所介護の宅老所と他の事業所の訪問介護、また他の事業所サービスと組み合わせたケアマネジメントができない。結論的には、利用者の意向に関係なく、一つの事業所が登録された人たちを囲い込むことが地域密着型としていることは、現場の実情を知らない人たちの制度であるとしか考えられません。
 また、定数の枠をはめ、三百六十五日、二十四時間、通所、夜間、泊まりに対応したスタッフの体制とケアマネジャーもスタッフに配置することは、NPOの人たちが地域で高齢者を支えようという積極的に取り組む人たちの門を閉ざすことになります。この制度は、特養や老人保健施設、福祉法人等の大規模に併設した小規模多機能型の施設しか運営できないのではないかという疑問が持たれますが、県当局にお尋ねしたいと思います。
 次に、介護療養型施設、医療療養型施設の病床削減についてであります。
 これからの問題でありますが、私は、介護療養型施設の廃止と医療療養型の削減により、病院から退院、転院を強いられる高齢者がふえることであります。厚労省は、医療と介護の療養型それぞれに医師による直接的な医療の提供がほとんど必要でない人が約五割入院しているとの調査結果を公表し、これをもとに、現在十三万床ある介護療養型病床を二〇一二年三月までに全廃し、また同年度中に二十五万床ある医療保険適用の療養病床を十五万床に減らし、減る病床の多くは老人保健施設に転換させるとしています。このような療養病床の削減について医療機関はどう考えているのでしょうか。県は把握されておればお尋ねしたいと思います。
 二十三万床減らすことは、そこに入院している高齢者はどこに行くのでしょうか。どこが受け入れるのでしょうか。老健施設といっても、それに対応できるだけの施設は可能なのでしょうか。介護を必要とする高齢者は、医療にかかわる必要がないというのでしょうか。これは大きな問題であります。
 県内の医療療養型施設病床数は二千六百十一床、介護療養型施設病床数は七百九十八床あります。医療療養型施設病床数が、国の削減率でいけば約千四十五床削減されます、県下では。介護療養型病床数は全廃になりますから七百九十八床削減され、合計、県下では約千八百四十三床が削減されるわけでありますから、千八百四十三人の高齢者はどこに行くのでしょうか。そのことについて、県当局としてはこれに対してどう対策を講じていくのか、福祉保健部長にお尋ねします。
 次に、最後になりますが、環境と調和させる公共事業を進めようということで、このテーマは質問というより要望に近いのですが、問題提起したいと思います。県当局におかれても公共事業の各分野において環境に配慮した事業が進められていることを理解した上で、さらに積極的に取り組まれることを提案したいと思います。
 県下の漁港、港湾整備事業は、海を埋め立て、コンクリート、そして陸上に土地をつくり出してはいますが、この埋め立て事業による周辺へ与える環境を考えた事業になっているかといえば、必ずしもそうなっていません。海からの防風、防潮、高潮対策や津波対策を含め、近隣に住む人たちとの調和を考える緑地帯が必要です。緑の防波堤であり、魚つき林であり、人々のいやしの場でありたいと私は考えます。
 また、道路整備、河川整備においても同じことが言えます。自然界との調和、周辺の環境との調和、農地造成についても、農地づくりと防風林についても、これも一つのものになっていません。農地では感じますが、防風林、垣根は病害虫の天敵のすみかでもあり、防風林はやってくる野鳥のすみかになり、果樹や野菜も防風して病気を防いでくれています。
 そこで、私は、これらの公共事業は、環境と調和させるために設計の段階から関係者と検討され、それら環境を調和させる事業として位置づけていくことを提案したいと思います。工事が完了してから新たにそれらを考えていくことは、それは何倍ものエネルギーと費用を必要とします。
 以上のことについて、要望ではありますが、県土整備部長の感想なりお考えをお聞きできたらと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 梅産業の振興について、一括してお答えをさせていただきます。
 本県梅産業が、中国や他産地の影響、また食料消費の嗜好や形態の変化などにより大きな転機を迎えているところと認識をしてございます。また、本年産の青梅につきましては、近年にない低価格で推移してございまして、大変厳しい状況にあるというふうに承知をしてございます。
 こうした中で、安全・安心で高品質な梅の安定生産を基本に、これまでの消費拡大対策に加え、海外輸出による販路開拓や機能性に着目した商品開発など、新たな需要の掘り起こしとともに、日本の伝統的な食文化としての情報発信や地産地消の促進などさまざまな取り組みが必要である、このように考えてございます。
 先般、紀州梅の会の皆さんの熱意が実を結び、六月六日が「梅の日」として制定され、文化的な面を取り込んだ多彩な行事が実施されましたことは、今後の消費拡大につながってまいるものというふうに考えてございます。県といたしましても、生産振興や消費拡大などの取り組みに加え、食育を推進する中で梅の健康機能性やその食文化を広く発信してまいるとともに、学校給食など幅広い分野での利活用を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、議員お話しの剪定枝や調味残渣等のバイオマス資源の有効利用につきましては、地域循環システムを構築する上で自主的な取り組みが重要であると考えてございます。こうした地域におけるバイオマスプランの取り組みが進展するよう、関係市町や団体等に対する啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 本県の梅産業につきましては、生産から加工、販売、消費拡大に至る一つの地域産業複合体ととらえ、さまざまな分野において支援をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、ポジティブリスト制度についてでございますが、平成十五年五月の食品衛生法の改正に伴い、本年五月二十九日から導入されたところでございます。
 議員の御質問の中でも触れられてございましたように、この制度を要約して申しますと、基準が設定されない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する、こういった制度でございます。残留基準値がこれまで設定されていなかった農薬につきましても、EU──欧州連合でございますが──並みの〇・〇一ppmという一律基準値が適用されることとなり、生産農家では隣接した農作物への農薬の飛散──ドリフトと申しますが──や混植されている園地での薬剤散布に特段の注意と対策が必要となるなど、農業分野にとりまして厳しい内容と承知をしてございます。
 こういったことを踏まえ、県といたしましては、生産農家への周知を図るため、平成十六年度から農業協同組合、農薬販売業者等への啓発を行ってまいったところでございます。
 平成十七年十一月には具体的な残留基準値が告示されたことに伴いまして、農協の営農指導員、また生産者に対するドリフト防止対策に関する研修会の開催、またパンフレット配布等により、一層重ねての周知徹底を図っているところでございます。また、本年四月には各振興局や農業協同組合に相談窓口を設置いたしまして生産者からの具体的な相談に応じることとするとともに、当該制度に対応した栽培マニュアルの作成にも取り組んでいるところでございます。
 今後とも、各地域の病害虫防除対策協議会を中心として、ドリフト低減ノズルの使用、またドリフトに対応した新しい防除暦の作成に努めるとともに、国に対しましてマイナー作物──生産量の少ない地域特産農産物でございますが、こういったものへの農薬の登録拡大について要望してまいりたいと考えてございます。
 また、農薬の散布回数の削減を目的に、天敵などさまざまな防除手段を利用したいわゆる総合的病害虫管理、こういったものを推進するとともに、減農薬による特別栽培農産物の生産振興やエコファーマーの育成を図り、消費者に対し、より安全で安心な県産農産物の供給に努めてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 改正介護保険制度についての三点の御質問についてお答えいたします。
 まず、介護予防サービスの利用者への影響についてでございますが、今回の介護保険制度の改正においては予防重視型システムを確立することが大きな柱の一つになっており、サービス提供事業者の参入につきましては、平成十八年四月一日現在、介護予防訪問介護で三百八十一事業所、介護予防通所介護で二百十九事業所などを指定しております。
 介護予防サービスについては、市町村が設置する地域包括支援センターの職員及び居宅介護支援事業所の介護支援専門員が利用者と十分話し合い、作成したケアプランに基づいて行われ、利用者の状態に応じたサービス利用が図られております。県といたしましては、昨年から地域包括支援センター職員等を対象に介護予防支援業務に関する研修を実施するなど、地域包括支援センターが十分機能するよう取り組んでいるところでございます。
 次に、小規模多機能型サービスについてでございますけれども、これは、利用者の特性に応じたサービスを可能とする、これまでになかった全く新しい仕組みでございます。定額の介護報酬、少人数の利用定員、スタッフ体制等における運営の難しさ等もあって、現在のところ本県では指定を受けている事業者はありませんが、今年中に幾つかの事業者が市町村の指定を受けると聞いております。県といたしましては、事業者を初め各方面の意見を踏まえて利用者が利用しやすい仕組みとなるように取り組んでまいります。
 最後に、療養型施設の病床削減についてでございますが、療養病床の再編に係る医療機関の受けとめ方としては、療養病床の再編に係る経過措置の内容等がいまだに国から示されていないことなどから対応に苦慮されているところであり、県といたしましては、できるだけ早期の情報収集に努めてまいります。
 今回の療養病床の再編につきましては、高齢者が住みなれた地域で生活ができるよう、在宅療養の推進を初め、地域全体で高齢者を支える体制の確保が重要であると考えております。そのため、今年中に国から示される整備指針を踏まえた地域ケア整備構想を策定し、平成十九年度に策定する医療計画や次期介護保険事業支援計画に反映させ、療養病床の介護老人保健施設への転換等、計画的な体制整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共事業と環境の問題についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、公共事業を進める上では、環境との調和を図ることが大変重要だと考えてございます。港湾、河川、道路等の事業着手に当たっては、生態系の調査や環境への影響調査を必要に応じて行い、計画を立案するとともに、のり面の緑化及び緑地の確保など関係者との協議も含め、周辺環境との調和に努めているところでございます。
 また、平成十八年度からは、自然にやさしい県土づくり事業として技術者認定制度を発足させるなど、自然環境保全に資する人材の育成にも取り組んでいるところでございます。
 公共事業の実施に当たっては、地域の実情に合ったさまざまな工夫を行い、効率的な推進に努めているところであり、今後とも環境に配慮した県土の基盤整備を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございました。
 梅の振興策については、当局並びに生産者や関係する業者の皆さんと、この今のちょうど節目に当たる非常に厳しい中で、さらにプラスに転じていく力を、一緒になって力を出していくということで、お互いが協力し合っていく大きな課題だと思っております。
 そういう意味で、私は幾つか提案をさしていただきましたが、やっぱり県を中心にはもちろんですし、関係する市町村や関係するJAや、それから関係している企業の皆さんが本当に一体となっていく。今までは、つくっておれば必ず売れたし、利益も上げられたという時代をずっと経過してきたわけですが、事ここに至っては、ミカンとかリンゴとかカキとかというふうに、一定保存食的なものもされていますが、梅そのものは生で取引がされるというものではありませんから、少なくとも加工商品に、いずれにしても、青であれ、漬け梅であれ、加工されながら消費者に届けていくという意味では、価格というのは一定安定さしていかなければならない代物であります。そういう意味では、非常にそういう意味での大切さを感じております。
 そこで、私は、今までにない県行政と関係者とが一体となった組織的、またはマンパワー、財政的にもきちっとした確立をして全国に発信していく、販売していく体制がようやく望まれて、皆自覚してきたかなと思いますので、その点の御支援をお願いしたいというふうに思います。
 また、先ほども言いましたけども、なぜ私は梅が大事かと言いますと、そういう意味では、ほかももちろん果樹王国ですから大事ですけれども、地域産業複合体というふうに、本当に地域でこの梅によっていろんな関係者がここで商売をして事業をしていると、こういう形で非常に大切な基幹産業でありますから、そういう点の押さえをもう一度我々は確認しておく必要があるんではないかというふうに思います。
 また、うめ研究センターについてでありますが、二本の柱を据えるべきではないか。一つは、もちろん梅立ち枯れの原因究明、梅の生理生態を研究していくという意味での大きな柱がありますが、二つ目は、梅の効能性を科学的に、センターを中心とした工業技術センター、関係する大学機関とも協力してきちっとした踏まえを、研究センターも一つのあり方として今後の方向として出していただけないだろうか。
 例えば、梅のチョーヤというのはよく聞くと思うんですが、チョーヤ自身が、今回、この六月の九日に梅研究機関の施設を設置して、梅の効能や梅がいかに健康──梅酒が健康酒のイメージをアピールしていくか、その効能や効果を科学的に証明することを企業自身が立ち上げて研究機関をつくったと、こういうことが報道されていますし、こういう意味では、梅産地の研究機関がその二つの柱でぜひ強力な力を発揮していただける、そういう研究センターにしていただけたらと考えております。よろしくお願いしたいと。
 最後に、その梅に関係して梅産業で、私は、平成十八年度新規就農者の調査結果を手元にもらいました。農業専従者であります。やっぱり梅でどんどん頑張ってるところは新規の就農者がやっぱり多いんだなというふうにデータで出ております。全体の百三十三名の県下の就農者の、日高と西牟婁で七十二名が新規に就農されているわけであります。そういう意味では、梅産業の基盤がきちっと確立しておれば新規就農者が定着していくということもこの事実の中に証明されているわけですから、非常に大切にしなければならないと考えております。
 次に介護保険の問題ですけど、一応、部長から答弁がありました。私は、今回の改正は基本的には制度の主体である被保険者及び保険者──いわゆる自治体ですね、市町村並びに県ですけど──の声が反映されずに、報酬の決定を初め指定基準、それからサービス内容を厚労省が一元的に抱え込んで、そこの機関で決定してしまった。だから、今後この一年間ではかなりの矛盾が起こってくるだろうし、現場や保険者である市町村、こういった中ではかなりの矛盾が起こってくるというふうに私は考えております。
 そういう意味では、県がやはり現場の実態をよく把握して、国からおりてきたものをただ市町村や関係機関におろすというような形ではなくて、和歌山県として今後介護保険事業を、しかも利用者である高齢者のためにどうあるべきかということをきちっと位置づけておく必要がある。国がこうだから、国がまだそうだから、国がまだそこまで至ってないからで物事を判断する問題ではない。
 福祉は、和歌山県において主体的に──高齢者が少なくとも二〇一五年には三〇%になるんですよ、高齢化率が。そういう中で、どういうふうに県として責任を負っていくのかという主体的な政策方針を持たなければいけないと私は常々考えてるわけですが、常々考えておっても、国が、国がという返事しか来ません。そういう意味では、主体性を持って、やっぱり福祉保健計画を立てる必要があるんではないか、そういう点を要望しておきたいと思います。
 もう一つは地域密着型でありますが、これも私、感じて──答弁聞きましたけれども、事実上は今は希望者が全然ゼロです。ということは、なぜかといえば、中身を検討すればするほど、実際に地域密着型の、小規模多機能型のサービスを事業としては非常にやりにくい実態であるということを証明しているわけです。幾つかこれから出てはくると思うんですが、そういう意味では、もう少し現場の声をきちっとつかんで、先ほども言いました、国に対してここの問題点や矛盾をきちっと伝えていくという役割も県はすべきではないかと、このように思います。
 もう一つは、介護療養型と医療療養型でございます。
 これ、実際に、きちっと立てていかないと、先ほども言いましたように、一千名を超える人たちが行くところがなくなるというのが実態であります。だから、そういった人たちが、受け皿として簡単に老人保健施設で受けると言うけど、老人保健施設を建てて、いわゆる入所型施設をどんどんふやしたら、それだけ介護保険がどんどん上がっていくんですよ。だから、そこらを簡単に「老人保健施設で対応します」ということになるのかどうか、もっと真剣に今後の方向をきちっと立てていかないと大変だと思うんです。
 それと、併設している医療機関が実際このことによって経営が成り立っていくのかという不安もかなりありますよ、これ。だから、そういう意味では、本当に医療機関や介護に関係する、我々、介護保険を指導する県行政が一定きちっとした先を見通した計画をきちっと立てていく必要があるし、それは県が立てるんではなくて、関係する市町村、保険者である市町村や被保険者である人たちとの共同のプロジェクトで策定していく必要があるというふうに思いますので、それを要望しておきたいと思います。
 以上で、要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十二分休憩
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