平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十八年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十八年六月二十日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十七号(当局説明)
  第二 議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに報第一号から報第七号まで(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十七号(当局説明)
   二 議案第百十一号から議案第百三十七号まで、並びに報第一号から報第七号まで(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十二人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十四番欠員
     二十六番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時一分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百十五号、議案第百十七号及び議案第百十九号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第一、ただいま報告の議案第百三十七号を議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、御説明を申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案第百三十七号は、県議会議員和歌山市選挙区の欠員が二名となったことに伴い、公職選挙法の規定により執行される補欠選挙の臨時啓発及び執行に要する経費について一般会計予算の補正をお願いするものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第二、議案第百十一号から議案第百三十六号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第七号まで、及び追加提出議案議案第百三十七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただき、各会派の御理解もいただき、今議会、トップバッターとして質問に立たせていただきますことを大変光栄に思っております。最後まで、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、公共広告機構というCMが大好きであります。皆さんも御存じだと思いますが、現在やっているのは「命は大切だ。命を大切に。そんなこと何千何万回言われるより『あなたが大切だ』 誰かがそう言ってくれたらそれだけで生きていける」というCMであります。以前には「大人を逃げるな。」とやっていましたし、また、「子供を抱き締めよう」というキャンペーンもやっていました。ほんの数秒間に現在の日本のあり方を問いただす、すばらしいCMだと思っていますし、世相を反映したタイムリーなCMで、いつも考えさせられます。
 近ごろ、車で走っていますと、自転車の前かごに地域のパトロールをうたったプラカードをつけている人たちが多くなっています。また、六月の初めには、教育長を初めとして、たくさんの教育委員会の職員さんが朝早くから通学路に立ち、児童の通学を見守ったようで、大人がしっかりしないとこの国は大変なことになってしまうと危惧している者の一人であります。未来を担う子供たちの安全・安心が問われています。
 質問に入ります。
 まず最初に、政府が進めている交付税改革についてお尋ねをいたします。
 現在、骨太の方針二〇〇六の取りまとめに向け、歳出・歳入一体改革について議論がされているところでありますが、地方財政改革、とりわけ地方交付税改革をめぐって国と地方が激しく対立しているところであります。
 経済財政諮問会議などにおいて、地方のプライマリーバランスが黒字であることなどを理由に、地方交付税を削減するため、一つ、今後五年間、地方交付税総額を現在の水準以下に抑えるべきであるという提案、二つ目、国税から地方交付税への配分割合、いわゆる法定率を引き下げる提案、それから三番目、人口、面積を基本に配分する新型交付税導入の提案がなされております。
 地方の歳出は、社会保障、教育、治安など、国が法令等によりその実施を義務づけたり国の施策や予算と関連の深い経費が大部分を占める現状にあって、地方の歳出削減のためには国の義務づけの廃止も不可欠であるにもかかわらず、このような「まず削減ありき」の一方的な交付税削減の提案は、地方の実情を全く考慮しない極めて問題のある提案であります。また、職員定数の大幅な削減など、地方のこれまでの歳出削減努力を無視するような国の赤字のツケ回しは、断じて受け入れられないものであります。
 このようなことから、今月七日、全国知事会など地方六団体は、地方税の充実強化、地方交付税の地方共有税化などを求め、内閣に意見を提出いたしましたが、本県議会としても、今議会の開会日に「地方交付税の改革に対する意見書」を全会一致で採択し、国に強く申し入れることとしているところであります。
 私は、二年前の地方交付税が大幅に削減された地財ショックのような事態が今後も繰り返されれば、本県や本県市町村のように地方交付税に大きく依存している自治体は、行政改革に懸命に取り組んでいるにもかかわらず、たちまち窮地に立たされ、県民サービスにも重大な支障が生じるのではないかと非常に心配をしています。本県のように税源が乏しく財政力の弱い地域が将来にわたって安心して財政運営ができるような地方交付税改革を望むものであります。知事の所見を伺います。
 次に、行政改革についてお尋ねをいたします。
 去る五月二十六日、国会において、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法が成立いたしました。これは、国及び地方公共団体が、その基本理念等にのっとり行政改革を推進する責務を有することを明確にしたものであります。
 さらに、自由民主党においては、中川政調会長が座長を務める歳出改革に関するプロジェクトチームにおいて、去る六月十五日、地方公務員の定数純減で一・二兆円削減する方針を固めるなど、地方公務員の人件費の抑制が喫緊の課題であるとされているところであります。
 本県においては、ことし三月に行財政改革推進プランを策定し、行財政改革を積極的に推進することとしています。特に職員定数の削減については、マイナス一〇・六%という全国最大の削減率を目標に掲げ、その実現のため、事業の仕分けといった従来にない新しい手法を取り入れることとしています。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 行政改革に関する知事の決意は、また事業の仕分けという新しい手法をなぜ導入されたのか、それにより何を期待しているのか、御答弁を願います。
 次の質問は、前回も質問をいたしましたし、私自身、重要課題の一つとして取り組んでいる危機管理、防災に関しての質問です。
 まず最初に、先月二十七日に発生したジャワ島中部地震により被害に遭われた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。この地震は、阪神・淡路大震災と同様の直下型地震で、地下の浅いところで発生したことと簡素なれんがづくりの家屋が多くあったことなどにより、被害を大きくしたと言われております。
 和歌山市内において大きな揺れを感じる回数が近ごろ多くなり、先月十五日午前一時四十二分、震度四を観測する地震が発生し、大地震の前ぶれではと不安な日々を過ごしている方も多いと考えます。県と和歌山地方気象台により、一連の地震は東南海・南海地震には直接関係がないという見解が発表され、私自身も少しは安心をしたところであります。
 そんな中、私は地域の人たちと神戸の震災記念館を訪れる機会を得ました。何度も訪れている場所ですが、「天災は忘れたころにやってくる」という言葉がありますように、天災を防ぐことはできませんので、時々心と体にインプットしていかないと忘れてしまい、いざというときに慌ててしまって何もできなかったということが起こります。そういう意味でも大変勉強になったと考えておりますし、地域の人たちも、二度目、三度目という方もいらっしゃいましたが、勉強になったと言っていました。
 先日も、県の発表によると、東海・東南海・南海地震が同時発生した場合の県内の被害想定では、最大で五千人の死者が出るとの報告であり、避難者数も二十四万人に上り、これまでの想定と比べ、死者で二・五倍、避難者は四倍にもなるとの予測であります。そんな数字が出ると、現実のものとして県民は大変不安になると考えますが、今回の被害想定結果を受けての知事の所感と今後の県の取り組みについてお答えをいただきたいと思います。
 次の質問です。
 ミカンの生産量が二年連続で日本一になりました。これは大変喜ばしいことであります。そこで、和歌山の果物について質問をいたします。
 国内では、景気が回復基調にあり、求人の増加など、明るい話題もあります。しかし、地方にとってはまだまだ厳しいのが現実であります。特に、本県の主要産業である農業分野では、長期の価格低迷が続いているのが現状であります。
 その一方で、安全な品物、高品質な品物、こだわりの品物・商品、健康によい食べ物などが消費者の心をつかみ、ヒットをしています。また、食育や地産地消などの運動も始まっております。産地で栽培されている県産の魅力ある果物をもっとうまく全国に発信していくことが地域の活性化に必要ではないかと考え、和歌山の象徴でもあるミカンの振興策についてお尋ねいたします。
 和歌山は、ミカン、梅、カキ、桃など多くの果物が生産され、全国的にも有数の果樹立県であり、季節ごとに絶えずPRできることが果樹王国としての層の厚さではないかと思います。私も和歌山の果物を県外の友人に送ったりしていますが、大変評判がよいものであります。もっとうまく全国へ発信できないかと常々思っていますし、産地の活性化につながるものと考えています。
 日本一の梅に関しても、六月六日を梅の日とする提案がされ、知事を先頭に総理官邸への表敬訪問や梅の記念式典など、消費拡大のPRイベントなどが開催されました。大変よいことだと思いますし、重要なことだと考えます。
 先日、北海道を訪れたときに、夕張メロンと同じような、夕張メロンでない安いメロンが売っていました。聞いてみると、夕張メロンは生産者の中で非常に厳しい基準をつくり、徹底した栽培管理に取り組み、基準に合わないものは夕張メロンというブランドが使えないということであります。関アジ、関サバも同じであります。そんなブランドに和歌山ミカンがなれないか。それには、生産量日本一に加えて品質面でも日本一になることが有名ブランド和歌山ミカン育成にとって大きな課題であると感じております。
 今後は、ミカンの消費が年々減少している中ですが、日本一のブランド産地を目指す上で首都圏で高い評価を得ることが必要であり、主産地の愛媛県などに価格面でも負けない品質の強化と地域ブランドの活用なども視野に入れながら、和歌山ブランドの確立が必要と考えます。県として和歌山ブランドの育成と積極的なPRについてどう取り組まれるのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 続いて、カジノについて質問をいたします。今日まで、カジノについて四名の先輩・同僚議員が質問をされております。
 ことしの二月、自由民主党では、カジノ・エンターテイメント検討小委員会が立ち上がりました。そして、つい最近、カジノ合法化に向けた基本方針を取りまとめたようであります。和歌山県は、早くからカジノについての研究会に参画し、検討を重ねておりますが、今回の基本方針について知事の感想をお尋ねいたします。
 カジノは、観光資源として、また、税収や雇用の面からも期待されていますし、地域の活性化に必要と感じている自治体も多いと考えます。その反面、反対論があるのも事実であります。青少年の健全育成や犯罪がふえるのではないかなど、問題点も指摘されております。設置される場合、地域住民のコンセンサスが得られない場合は、当然設置もできなくなります。しかし、観光産業に従事する方や旅行業界の方たちはカジノに熱い期待を寄せているのも事実であります。これから先、紆余曲折もあると思いますが、今後の可能性や和歌山が思い描くカジノについて、知事のお考えをお答えください。
 次は、六十谷駅のバリアフリー化に関する質問であります。
 バリアフリーとは、高齢者の方や身体に障害を持たれた方が障害を持たない人と同じように社会参加ができるよう、だれでも、どこでも、自由に、使いやすくといった考え方が基本になっているようであります。高齢者や障害者の方はもとより、妊産婦の方はもちろんのこと、すべての方が公共交通機関を利用するため、平成十二年に高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が策定をされております。
 この法律の基本方針では、国の目標として平成二十二年までに、一日当たりの乗降客が五千人以上の駅については段差の解消などのバリアフリー化を実施すると定められております。大勢の人が利用する公共交通機関の駅については早急にバリアフリー化を進める必要があると考えますし、国の支援策も講じられていると聞いております。
 そこで、六十谷駅についてお尋ねをいたします。
 当局も御存じだと思いますが、六十谷駅は、通勤、買い物と生活交通の拠点として、また、開智中学・高校、市和商などの通学の拠点にもなり、一日八千人もの方々が利用しています。そんな駅でありながらホームとホームの間にある跨線橋には階段しかなく、高齢者や障害者の利用は大変困難な状況であります。特に車いすなどは、その都度、駅員さんに車いすごと運んでいただいていると聞いております。いつ事故が起こっても不思議でない状況であります。駅構内のトイレも入り口が階段になっており、不便で仕方がないという声も寄せられております。一日も早いバリアフリー化を望むものです。
 先月、地域住民の方々が、JR西日本支社を初め、県、市に対してバリアフリー化について要望されたと聞いております。高齢者や障害者の方の移動に関して、利便性や安全性の確保とともに、地域の方々の要望も考え、六十谷駅のバリアフリー化が急がれると考えますが、企画部長に、県内の鉄道の状況も含め、今後の取り組みについて答弁をお願いいたします。
 次の質問であります。
 私は、この質問をするに当たり、随分悩みました。まず、事実関係の裏づけがとれていない。それから、私には捜査権がない。万一間違っていたらという心配もありましたが、状況を見、人の話を聞く中で、質問しないでほうっておくことはできないと考え、質問をすることに決めました。
 和歌山県は、これまでにも数社の企業誘致に成功し、和歌山の活性化に努めています。そんな誘致企業の中で、雇用奨励金を目当てとした企業があるのではないかと聞いています。企業が和歌山へ進出すると、県と進出協定を結び、県内の雇用に貢献する、それに対して県、市町村の優遇措置が適用され、その一つとして県からは奨励金が出るという契約であります。
 先日、ある人から相談を受けました。内容は、県が企業誘致した会社にパートとして勤めているが、電話一本で解雇を言い渡され、それも自己退職としてやめてほしいということであります。理由を聞いても、最初の話になかった、成績が悪いとか業績不振であるとかで、一方的に電話も切られたと言っておりました。
 その方は、同じ状況に置かれた方たちと労働基準局を訪ね、相談もし、ハローワークにも行ったと聞きます。おのおのの場所で契約内容を精査してみると、法的にはぎりぎりのところで契約が交わされていて、素人には難しく、大変不利になっています。解雇の電話があった後は、週一回だけ勤務をしてほしい、一カ月後には退職ということであります。その反面、雇用奨励金の基準日前になると、職員採用の募集が頻繁に出るということであります。当然、募集が終わり、基準日が過ぎると職員は解雇されている模様であります。
 和歌山県へは進出から二年たち、新たに愛媛県でも六月から業務が開始されたと聞いています。何かそこには、三年間の奨励金だけを目的に和歌山へ進出したのではないかとうがった見方をしてしまいますが、担当の商工労働部長はどのように実態を把握しているのか、こうしたことが事実であれば雇用奨励金を減額・返還させるべきではないか、今後の対応はどう考えているのか、まずお尋ねいたします。
 こうした問題のある企業を誘致することには、多くの首をかしげる部分があると考えます。そもそも、企業誘致の目的は安定した雇用の創出であり、その意味からも今回の件に関しては問題が多く、雇用奨励金などのインセンティブについては正社員としての雇用に限定すべきと考えますが、いかがですか。商工労働部長の答弁を求めます。
 最後の質問であります。この質問は何度もしておりますので、もうええやろという方も議場にはおられるかもしれませんが、これを最後にこの質問はやめたいと思いますので、御辛抱をお願いし、答弁を知事に求めたいと思います。
 和歌山北インターについてであります。
 和歌山市議会でも質問がありましたが、今後この問題については大変早急な対応が必要と感じておりますので、強い期待と早期着手をお願いしたいと考えています。内容については、申すまでもなく、知事もよく理解をしていただいておりますし、必要なことは必要なときに対応していくことだと考えます。知事には北インターチェンジに対する考えと今後の取り組みについて前向きに答弁をお願いし、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの御質問の交付税改革の問題でございます。
 交付税については、来年度の交付税制度等をめぐって今大変な状況になっております。一つは、総額を確保する問題でございます。この問題については、今、歳入・歳出一体改革というふうな中で、これ、入りというんですけども、要するに国の方から、一般会計から特別会計へ入れる交付税のいろんなもとの税金の法定率というふうなものを下げようというふうな話があります。これはもうゆゆしき問題であって、和歌山県では、本当にそういうことを下げることが可能なのかどうかということについて、全国に先駆けて、粗い試算ですけども、発表をいたしました。したところ、下げるどころか上げなければならないというふうな結論を得たところでございます。
 この問題については、財界であるとか霞が関の一部に、地方はむだをしていて、やっぱりこの交付税はどんどん締めれば締めるほどいけるんだというふうな誤った考え方があるわけですが、これはもうちょっと行き着くところまで来てるもんですから、この問題についてはこれから強く抗議をし、そしてまたそういうことにならないような対応を求めていかなければならないと思っております。
 それから、もう一つは配分の仕方の問題です。配分の仕方については、三位一体の改革の中で、交付税の算定の仕方は少しややこし過ぎると。なかなかアマチュアの人にわからない。わからない中でいろいろ理解できないというようなことが起こっているのではないかと。これを簡素化しようというふうなことがありました。このこと自体は、これは正しいことだろうと思います。ただ、その中で、面積と人口を基準にして需要額を算定していこうというふうな非常に乱暴な話が出ましたので、これについても和歌山県は、人口と面積で計算したらどうなるか、これも非常に粗い計算なんですが、警鐘を与えるために全国に先駆けて発表しまして非常に注目を集めました。実際そういうこともあって、この面積と人口で算定する割合は全体のとりあえずは交付税の中の一割程度、そしてまた、それについても単純に人口と面積ということじゃなくて、いろいろな補正をかけて現状を維持していくような形にするというところまで現在来ているわけです。
 ただ、この問題は、下手をすると交付税総額の減少ということに容易に結びついてくる可能性──頭の中ではきっちり分けてあっても可能性があるので、この問題についても、これから十分、地方の県がもうやっていけないようになるようなこと、県とか市町村がやっていけないことにならないような形での運動を起こしていきたいと思います。近々議会とも一緒になって、そういうふうな集会というのを、これまあ全国で余り例がないんですけども、開いていこうというふうに考えているところでございます。
 それから、事業の仕分け、どうしてこういうことをするのかというふうな話です。
 今まで県も、御存じのように、何年にもわたってピンポイントで、この事業については必要であるとかないとか、金額的にはこうあるべきだとかいうようなことで大いに改革を進めてまいりました。しかしながら、今申し上げましたように、非常にこの地方財政への攻撃というふうなのが厳しくなってきて、そういう中でやはりもう一段の行政改革を進める必要があるということは、これはやむを得ないことだろうと思いますので、そういう中で、やはりすべての事業を本当に必要かどうかという視点に立って見直していくというふうな仕分け方式ということが必要だろうというふうに考えました。
 千六百ほどある事業をすべて、それぞれが、本当に行政がやるべきなのか、民間でもやれるのか、それともやめてしまってもいいのかというふうなことも含めて、そしてまた金額的にもどうかということも含めて、これは大変な作業ですけれども、見直しをしていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、東南海・南海地震についての被害想定ですが、これは、東海地震、東南海地震、南海地震、このすべてが同時発生したというふうな場合を、最悪の場合を想定して、精緻な検討を行って、今度被害想定を行ったところでございます。非常に厳しい結果が出ておりますので、これに基づいて地域防災計画の見直しを行うとともに、アクションプログラムをさらに前向きに推進をしていきたい、このように思っております。
 次に、カジノについての問題でございます。
 カジノについては、先般、自民党の観光特委が、数年内の導入ということを目指して、将来的には全国で十カ所、当面二、三カ所でカジノを開く、そしてそういうときには、暴力団の排除であるとか、マネーロンダリングのようなことが行われないようにするとか、そういうふうなことの対策をとってやるというふうな基本方針を発表いたしました。
 和歌山県は、観光県でもありますので、以前から全国の幾つかの都県と一緒になって、この問題、積極的な検討を進めております。部長も委員になって委員会へ行っておりますが、まあ法的な問題があってなかなか進まなかったんですが、今度の委員会の基本方針でかなり前向きに進んでいく可能性もあります。そういうときに、和歌山では、都市型のカジノでない地方型のカジノ、もちろん教育とか、その地域の問題には十分配意しながら積極的な対応をとっていきたいと、このように思っているところでございます。
 最後に、和歌山北インターの問題でございます。
 この問題については、新島議員が以前から質問をされていて、私も前回あたりから非常に前向きな答弁を行ってきたんでございますけれども、今回、いろいろこれは進めていこうということになってきました。そして、その背景といたしましては、和歌山の川の向こう、北部地域にはもう今十六万人の人が住んでいて、そしてこういうふうな割と簡易なインターチェンジをつくるということも技術面、コスト面で可能だというふうなことになってきております。そしてまた、あの地域で需要予測をすると一日三千台以上の需要が見込まれるということで、これはこういうふうなインターをつくる場合の基準を大きく超えるものになっているわけでございます。
 現在、詳細な接続位置について具体案を和歌山市に提示をし、調整を行っているところであり、あわせて国との事前協議にも着手をしております。このため、今後、早期に事業主体の決定、事業化、完成を目指していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 果樹王国の振興策についてでございますが、和歌山ミカンにつきましては、味一みかん、まるどりみかんといった個別ブランドの育成に加え、品質を重視した産地のレベルアップとあわせて、消費宣伝等PRの展開が重要であると考えてございます。このため、現在、マルチ栽培の推進を初め、ゆら早生、田口早生の産地化に取り組むとともに、光センサーによる選果体制の充実などに努めているところでございます。
 今後は、十二月出荷用の優良品種の選抜を進め、また、地理情報システムを活用した園地の整備とともに、果樹産地構造改革計画に基づいた高品質生産対策を進めてまいることとしてございます。
 次に、全国への情報発信についてでございますが、これまで、関係部局、関係者との連携のもと、市場や店頭での販売促進、またメディアを通じた消費宣伝、量販店でのフェアや商談会の開催を行うなど、県産ミカンのイメージの向上に努めてまいったところでございます。
 また、このたびの商標法の改正に伴い、現在、ミカンでは「有田みかん」、それから「しもつみかん」の申請が行われているところでございます。
 ミカン生産量連続日本一を契機にいたしまして、全国をリードする生産県として、さらなる和歌山ブランドの向上を目指し、生産者やJA等と一体となって首都圏における消費拡大に向けイベントを開催するなど、積極的にPRしてまいることとしてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) JR六十谷駅のバリアフリー化についての御質問でございます。
 まず、県内の鉄道駅の状況についてでございますが、県内百二十三駅のうち一日当たりの乗降者数が五千人以上の駅は、JR和歌山駅を含め、現在九駅ございます。これまで、JR和歌山駅でありますとかJR紀伊駅など五つの駅につきましては国及び県の補助によりましてバリアフリー化が図られておりますが、残りのJR六十谷駅を初め四つの駅につきましては未整備でございます。
 議員御指摘の六十谷駅のバリアフリー化につきましては、国の助成を受けるためには、まず当該市町村において鉄道駅を中心としたバリアフリー化基本構想を作成する必要がございます。県といたしましては、議員御指摘の御質問の趣旨並びに地元自治会の要望等も踏まえまして、今後、地元和歌山市、JR等と連携を密にしながら、早期着工が図られるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 雇用奨励金制度に関する議員御指摘の問題につきましては、ほかにも県民の皆様から幾つかの情報が寄せられておりまして、このため、本年五月に雇用実態に関する緊急調査を実施したところです。また、雇用奨励金の検査制度の見直しを行い、検査体制を拡充するとともに、現在、平成十七年度交付分を対象に再検査を実施しているところです。
 次に、奨励金の返還につきましては、業務量の減少等によりパートタイマーの解雇等を行った結果、前年度に一年以上の雇用見込みであるとして交付額の算定対象となったパートタイマーの雇用期間が一年に満たなかったというような事態が生じることがあります。その場合に、交付確定額がマイナスになれば、当然、要綱の規定に基づき、既に交付した奨励金の減額分を返還請求することになります。また、現在進めている再検査において不適切な案件が見つかった場合にも、法令に基づき、返還請求等の厳正な措置を講ずる所存でございます。
 最後に、議員御指摘の一部の業種について、パートタイマーを雇用奨励金の交付対象とする制度につきましては、正社員比率の高い企業誘致の推進やパートタイマーなど非正社員の正社員化を促進するために、さきに申し上げました実態調査などをもとに見直しを行い、雇用奨励金の交付対象を正社員に限定するとした要綱改正を既に行ったところであります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 七番目の企業誘致の関係のことで少し皆さんに知っていただきたいと思って再質問に立たせていただきました。
 ここに、相談に来た方から、相談する上で興奮して間違ったことを言ってはいけない、また、言いたいことを全部伝えたいのでちょっと書いてきましたという手紙のような、箇条書きになったものも含めて、四名の方がお見えでありましたが、その二名の方から御了解を得て預からしていただきました。ちょっとだけそれを読ませていただきたいと思います。
 「五月十九日に部長に呼ばれて、六月十九日でやめてくださいと一方的に言われた。それなのに、自己退社で解雇ではないと会社側は言い切っている。不審に思い、五月二十五日、十名ぐらいで労働基準監督署とハローワークに相談に行きました。県から助成金をしてもらっているので、みんなを解雇すると助成金がもらえなくなり、返金をさせられるかわからないので、会社側は一方的に自主退社と言い切っていると言われました。だから、県庁の企業立地課などへ行って、私たちの大切な税金を悪質な企業に助成金を出すのはもってのほかですので調べてください」。「五月十七日、四国の愛媛県の過疎地に会社を立ち上げ、愛媛県でもまた助成金をもらおうとしています。去年の十一月、十二月ごろから新入パート社員を募集して、パソコンがなく席もないのに八十人ぐらい──確かな人数ではありません──入社させ、解雇をして助成金をもらっているようである」。一人の方はこういうことを書いておられます。
 もう一人の方。「誘致企業のため──ちょっと固有名詞を出しにくいもんで、えらい済みません──県の助成金を三年間受けており、最後の年に当たることしの一月から三月の間に求人で職員を大募集して新人を多数雇い、本年度の助成金をもらうと、新人の人から次々と首を切り、一年以上勤めている私たちにも、数字が上がっていないという一方的な理由で、五月十九日に部長から、一カ月後の六月十九日付で退職してくださいと言われました。また、五月中もシフトで出勤をかなり減らされ、六月中にはたった三日間の出勤を命じられました。そして、愛媛でも事業をするため、和歌山から機械等を運び、向こうでも助成金をもらい、和歌山と同じ事業をするようです。言葉は大変悪いですが、これは県民の税金を悪用している助成金詐欺ではないでしょうか」と書かれています。
 大変、ここでしゃべったらいかん、ちょっと言葉もあったかもしれません。不確かな部分が多くて問題のあることかもしれませんが、この人たちは、自分がやめさされたことを怒っているのではなく、自分を助けてほしいとかという要望では決してなかったわけであります。この人たちの希望は、和歌山の私たちの税金が悪用されているんじゃないかということに大変怒りを覚えた、そして、これが今度は愛媛県でも同じようなことが起こるんではないか、それを未然に防ぎたいとおっしゃって私のところへ来てくれました。個人のことではなく、地域や制度に問題があるかもしれませんが、今後このようなことのないように十分注意をして十分な捜査をしてほしいな、そのようなことを要望して再質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 おはようございます。議長に提出した項目に従って質問したいと思います。
 一つは、梅産業振興についてであります。
 まず冒頭に、紀州梅の会が中心になって行われた六月六日の梅の日制定記念行事及びイベントに、知事は小泉首相を表敬訪問し、青梅、梅干し、梅製品の贈呈に参加くださったことに感謝申し上げたいと思います。
 六月六日、「梅の日」──梅が日本の国民の中に、六月六日は梅の食べる日、参る日として定着することを私たちは期待しております。また、このイベント、記念行事が民間主導で進められたことは大きな今後の意義があると私は考えております。
 しかし、一方で梅産業を取り巻く情勢は大変厳しいものがあります。とりわけ中国からの優良製品の輸入増、国内他産地の生産増による台頭、長期経済不況下での梅干し消費需要の低迷、低品質の安価な梅干しの市場での流通、それから梅の消費量、消費単価そのものが低下してきていること。こういった梅生産農家にとって昨年からの梅干したるの流通低迷と価格の値下がりの中でことしの青梅の動向に不安を抱いていましたが、ことしの梅の生産量は、昨年初め、平年に比べ七から八割にとどまると聞いておりますし、しかも、三月のひょうの被害で生産量は少ないことで、青梅、漬け梅の価格は少なくとも昨年もしくは平年のキロ当たり五百円台をキープできると信じていました。
 ところが、ふたをあけてみると、最初の市場値が五百円を最初から切る。しかも、昨日の六月十九日では、秀品、一番いいものでキロ当たり三百四十円。しかも、ことしは雨の日が多くて日照りが少ない。梅の品質も、そういう一番よい秀品が率として非常に少ない。そんな中で、その十九日のキロ当たり、いいもので三百四十円ですが、次の優というやつがあるんやけど、二百四十円。次のランクの良というのが百十円という、本当に二分の一、もっと二分の一以下という状況に現状はなっています。
 しかも、漬け梅の価格にも波及して、今までにない低価格で終わるのではないかと心配しています。農家にとっては、梅干したるの在庫を抱え、しかも漬け梅の価格にも私たちは波及するのではないかというふうに心配しております。したがって、梅干したるの在庫を抱えて、しかも現状の青梅の価格ということで、農家ではダブルパンチではないかというふうに思います。
 そういう中で、農家の生産意欲、地域経済にも大きな影響を及ぼします。梅産業の地域経済への果たす役割は、昨年からことしの状況だけ見ても、じわじわと出てきています。地域の消費である小売店、飲食、パーマ、理髪店、その他小売業をなしている人たち自身から、農家の人たちの消費が減り、もろに影響を受けていると語られていますし、梅を取りに毎年雇っていただいている人たちも、昨年に比べて非常に減った、賃金も下がったと、非常に梅の状況が、そういった人たちからも厳しさを肌で感じると言っています。
 流通の担い手である梅の産地仲買商を初め、農業機械、生産資材販売業、容器・段ボール製造業、梅干しや塩、調味資材供給業、印刷業、運輸業、廃棄物処理業等の梅関連産業による、まさにこの紀南の地域産業複合体で形成し、地域経済を支え、しかも梅関連業者のほとんどが地域で経営する、その地域でお金が循環するという全国でも唯一の産業形成です。そういう意味からも県行政の果たす役割は大変大きいものですが、県当局は、今の梅の現状、ことしの現状を見てどう把握しているのでしょうか、お聞かせください。
 次に、梅振興にかかわる課題について問題提起したいと思います。
 一つは、つくれば売れたという時代から、健康効果としての付加価値を前面に出した消費宣伝、毎日常食することの生活習慣、サプリメントと違ったよさをアピールすることが必要ではないか。二つ目は、梅と家庭生活をアピールしてはどうか。梅を漬ける、梅でジュース、シロップ、梅酒をつくる、そういう生活体験と、それを活用することと健康効果。三つ目は、子供、若者も梅に関心を持てる商品開発。四つ目は、外国への販路拡大するための商品づくり。五つ目は、安全・安心な紀州梅とブランド化。六つ目は、生産者、加工業者による安定した梅干し価格の追求。こういったことを私自身まとめてみましたが、これらに対して県当局としての見解があれば、今後の需要拡大、消費拡大に当たっての私の見解に対して御意見があればお伺いしたいと思います。
 さらに、これらを保障するために、私は、日本の食文化をもう一度取り戻す大きな政治、社会問題があると考えます。学校給食や家庭の食生活がフライドポテトにチキンナゲット、ピザ、ハンバーガー、冷凍食品や缶詰といった生活習慣病につながる食生活を日本人のだれが望んできたのでしょうか。戦後の食生活をこのようなファーストフードに一気に転換したのは、ほかならぬ毎日の学校給食の場ですり込まれたからですし、ひいては日本の食糧自給率をどんどん低下させてきました。
 私は、この三月に制定された食育推進基本計画は、法律にとどめることなく、ファーストフードがすり込まれた日本の食生活を、逆に現場、地方から日本の食文化を回復させる実践しかありません。白御飯と梅干しの給食が日本の食文化を取り戻すことにつながると考えますし、和歌山の梅の振興になると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、私は梅は、生産から環境までを考えた和歌山の安全・安心と、そして梅の香りする和歌山にと考えています。一つは、減農薬、減化学肥料を目指すエコファーマーが増加しつつありますが、さらに定着させるとともに、梅から発生する梅の剪定枝、梅の種、梅酒、梅酢、調味液、加工残渣などのバイオマス資源を地域で循環させ、生産から加工まで一貫したリサイクルシステムをつくり上げ、環境に優しい農業、農村をつくることが梅の持つ健康食品としてのイメージを向上させるとともに、産地を訪れる人に和歌山の梅産業のよさを認識してもらうことになり、梅の環境を含めた振興につながるものと考えます。
 とりわけ、梅の調味液や加工残渣は、約四分の一が海洋投棄されているのが現状です。一九七二年にロンドン条約が採択され、経過措置を経て二〇〇七年、来年平成十九年には全面禁止になります。
 このような状況から見て、梅を中心としたバイオマスプランの早急な作成が求められています。作成は市町村ですが、国のバイオマス・ニッポン戦略に基づいて農・林・水産から排出されるバイオマスをリサイクルして循環させるシステムづくりを県当局はどうとらえ、どう指導されていくのでしょうか、お聞きしたいと思います。
 このように、私は、日本一の梅産業を抱える和歌山が率先して梅の持つ機能性や文化の発信と環境に優しい産業との取り組みを行うことが今後の梅産業の発展につながるものではないかと考え、質問させていただきました。農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、残留農薬のポジティブリスト制をどう見るのか、どうしていくのかという点であります。
 食品衛生法の改正に基づき、これまで残留農薬の基準値が設定されていない農産物や食品にも一定の基準値、〇・〇一ppmが設定され、これを超えた場合は販売を原則禁止されるというポジティブリスト制度がこの五月二十九日から施行されました。
 ポジティブリスト制度は、本来は輸入野菜の残留農薬を問題視して制度化されたと言われていますが、このような画一的な制度はこの国内産業においても大きな問題をはらんでいます。今まで残留基準がなかったものにも基準値が設定されるため、現場では農家の不安が高まっております。
 この制度の施行による現場農家での最大の課題は、農薬の飛散、いわゆるドリフトによる基準超過です。例えば、これまでなら稲専用の農薬の残留基準が野菜に設定されることはないから問題にはならなかったんですが、今回のポジティブリスト制では、稲専用の農薬が野菜にかかってしまい、野菜で基準値を超える可能性が出てくるわけであります。果樹と野菜が隣接したり、果樹でもミカンと梅が隣接しているところや混植しているところでは、かなり気を使った栽培管理が要求されます。
 そこで、第一の質問は、このようなポジティブリスト制度をどのように見ているのか、お伺いしたいと思います。
 第二には、ポジティブリスト制度に関連して農薬の飛散を防ぐためにどのような指導を農家にしてきたのか、お伺いしたいと思います。
 これまでの農産物の栽培はある程度個々の農家の自主性に任せてきたわけですが、これからはドリフト防止いわゆる飛散防止対策や消費者からの信頼を得る産地農産物を提供するため一定の集合的管理が要求され、そのための栽培転換が必要となってきます。また、農産物の安全証明を考える余り残留農薬という観点を最優先するのではなく、消費者に信頼される減農薬栽培の推進や農薬そのものが人体に与える影響はどのようなものなのかを理解してもらう必要があります。つまり、受け身の安全証明ではなく、防除の実情や、外見だけきれいだという消費者、市場の意向から、やっぱり消費者に農産物の安全性を求めることをきちっとして、外見だけを求める市場や消費者に対して、やはり我々生産農家、行政が安全性を伝える必要があるんではないかということを感じております。
 また、食の安全性を確保・追求するには、残留農薬または農薬使用について正しい認識が求められると思います。日本の農業栽培での農薬使用及び残留基準は、今までよりも厳しく規制し、食の安全は日本では確保されています。無農薬栽培は完全ですが、農業は哲学ではなく、経済学的要素を組み入れたもので、とりわけ食の安全性に対する農業が最も今農家に求められています。つまり、適正な農薬の使用、減農薬の工夫を積み重ねる努力が今求められています。
 農林水産省は、ポジティブリスト制度の制定を機会に、昨年末、「農薬の飛散による周辺農作物への影響防止について」という通達が出ています。個々の農家が行う農薬の飛散影響防止対策等の冒頭で、病虫害防除については、病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することを見直し、総合的病害虫・雑草管理に努めるとしています。これは、従来からのスケジュール的防除を見直し、減農薬に向けた防除法の改善を本格的に進めるように指摘されているわけであります。
 もちろん、個々の農家では減農薬に向けてさまざまな工夫や努力をされていますが、国の言うこの指針を県下でどう具体的な栽培方針として指導していくのか。県と農協、試験場が協力し合って推進していくべきでしょうが、どういうふうな形態で農家に指導していくのでしょうか。
 また、多品目栽培が可能な現状──飛散防止という立場からいけば、現状では多品目栽培が非常に厳しい。そういう中で、多品目栽培が可能な減農薬栽培への努力が必要ではないか。環境保全型農業の安全・安心な農産物栽培への栽培指導と管理を策定し、現場と一体となった協力・協働が求められているというふうに思いますが、農林水産部長の見解をお伺いします。
 次に、三点目の新介護保険についてです。
 二〇〇〇年四月の介護保険制度がスタートして六年目にして、大幅な見直しによって、高齢者を介護する事業所や医療機関はどういう状況であり、このことで介護サービスが向上したのか、するのか、それともサービス低下につながっていかないか、真に介護を必要とする高齢者にとってどう受けとめられているのでしょうか。
 私は、介護保険について今まで議会において考え方を述べてきましたが、今回の見直しの問題点を指摘し、県当局の見解をお聞きしたいというふうに思います。
 一つは、介護予防サービスは利用者にとってどのような影響が出ているのか。また、これによる事業者の参入の状況はどうか。介護予防サービス地域包括支援センターの機能は果たせているのか。それによる個々人利用者の対応は十分できているのか。お尋ねしたいと思います。
 次に二つ目は、地域密着型サービス、とりわけ小規模多機能型サービスは現場にこたえているのか。最も我々は期待していた事業であったわけでありますが、通いを中心に訪問、泊まりを組み合わせた小規模多機能は、本来は全国の宅老所、事業所の実践で積み上げてきて、それを国に提言したこととは大きな隔たりがあり過ぎて、地域に密着したサービス、そしてそこに参加する事業所、利用者に十分こたえるものではないと考えます。
 まずは第一に、利用者はそこに住む市町村に限定されること。第二は、登録利用者は定員二十五名で、一日の通いの利用者は登録の二分の一の十五人に限定されている。第三は、利用者は他の事業所の訪問介護、通所介護を併用して利用できない。第四は、介護報酬は定額制であることの矛盾。第五は、三百六十五日、二十四時間受け入れる体制をつくっておらなければならない。第六は、小規模でありながらケアマネジャーを配置しなければならない。
 全国の宅老所を運営する人たちは、こういう枠をはめたものではなく、利用者がもっと自由に選択できて、通所介護の宅老所でも利用者の要望が、泊まりを望んだときそれにこたえるように、そういう制度に期待していましたが、それに反して当該市町村でしか利用できず、近隣の市町村の人は利用できないし、利用者の定員も十五人という枠にはめられ抑えられているため、柔軟な運営が非常に難しい。利用者のケースによっては負担額が上がる。通所介護の宅老所と他の事業所の訪問介護、また他の事業所サービスと組み合わせたケアマネジメントができない。結論的には、利用者の意向に関係なく、一つの事業所が登録された人たちを囲い込むことが地域密着型としていることは、現場の実情を知らない人たちの制度であるとしか考えられません。
 また、定数の枠をはめ、三百六十五日、二十四時間、通所、夜間、泊まりに対応したスタッフの体制とケアマネジャーもスタッフに配置することは、NPOの人たちが地域で高齢者を支えようという積極的に取り組む人たちの門を閉ざすことになります。この制度は、特養や老人保健施設、福祉法人等の大規模に併設した小規模多機能型の施設しか運営できないのではないかという疑問が持たれますが、県当局にお尋ねしたいと思います。
 次に、介護療養型施設、医療療養型施設の病床削減についてであります。
 これからの問題でありますが、私は、介護療養型施設の廃止と医療療養型の削減により、病院から退院、転院を強いられる高齢者がふえることであります。厚労省は、医療と介護の療養型それぞれに医師による直接的な医療の提供がほとんど必要でない人が約五割入院しているとの調査結果を公表し、これをもとに、現在十三万床ある介護療養型病床を二〇一二年三月までに全廃し、また同年度中に二十五万床ある医療保険適用の療養病床を十五万床に減らし、減る病床の多くは老人保健施設に転換させるとしています。このような療養病床の削減について医療機関はどう考えているのでしょうか。県は把握されておればお尋ねしたいと思います。
 二十三万床減らすことは、そこに入院している高齢者はどこに行くのでしょうか。どこが受け入れるのでしょうか。老健施設といっても、それに対応できるだけの施設は可能なのでしょうか。介護を必要とする高齢者は、医療にかかわる必要がないというのでしょうか。これは大きな問題であります。
 県内の医療療養型施設病床数は二千六百十一床、介護療養型施設病床数は七百九十八床あります。医療療養型施設病床数が、国の削減率でいけば約千四十五床削減されます、県下では。介護療養型病床数は全廃になりますから七百九十八床削減され、合計、県下では約千八百四十三床が削減されるわけでありますから、千八百四十三人の高齢者はどこに行くのでしょうか。そのことについて、県当局としてはこれに対してどう対策を講じていくのか、福祉保健部長にお尋ねします。
 次に、最後になりますが、環境と調和させる公共事業を進めようということで、このテーマは質問というより要望に近いのですが、問題提起したいと思います。県当局におかれても公共事業の各分野において環境に配慮した事業が進められていることを理解した上で、さらに積極的に取り組まれることを提案したいと思います。
 県下の漁港、港湾整備事業は、海を埋め立て、コンクリート、そして陸上に土地をつくり出してはいますが、この埋め立て事業による周辺へ与える環境を考えた事業になっているかといえば、必ずしもそうなっていません。海からの防風、防潮、高潮対策や津波対策を含め、近隣に住む人たちとの調和を考える緑地帯が必要です。緑の防波堤であり、魚つき林であり、人々のいやしの場でありたいと私は考えます。
 また、道路整備、河川整備においても同じことが言えます。自然界との調和、周辺の環境との調和、農地造成についても、農地づくりと防風林についても、これも一つのものになっていません。農地では感じますが、防風林、垣根は病害虫の天敵のすみかでもあり、防風林はやってくる野鳥のすみかになり、果樹や野菜も防風して病気を防いでくれています。
 そこで、私は、これらの公共事業は、環境と調和させるために設計の段階から関係者と検討され、それら環境を調和させる事業として位置づけていくことを提案したいと思います。工事が完了してから新たにそれらを考えていくことは、それは何倍ものエネルギーと費用を必要とします。
 以上のことについて、要望ではありますが、県土整備部長の感想なりお考えをお聞きできたらと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 梅産業の振興について、一括してお答えをさせていただきます。
 本県梅産業が、中国や他産地の影響、また食料消費の嗜好や形態の変化などにより大きな転機を迎えているところと認識をしてございます。また、本年産の青梅につきましては、近年にない低価格で推移してございまして、大変厳しい状況にあるというふうに承知をしてございます。
 こうした中で、安全・安心で高品質な梅の安定生産を基本に、これまでの消費拡大対策に加え、海外輸出による販路開拓や機能性に着目した商品開発など、新たな需要の掘り起こしとともに、日本の伝統的な食文化としての情報発信や地産地消の促進などさまざまな取り組みが必要である、このように考えてございます。
 先般、紀州梅の会の皆さんの熱意が実を結び、六月六日が「梅の日」として制定され、文化的な面を取り込んだ多彩な行事が実施されましたことは、今後の消費拡大につながってまいるものというふうに考えてございます。県といたしましても、生産振興や消費拡大などの取り組みに加え、食育を推進する中で梅の健康機能性やその食文化を広く発信してまいるとともに、学校給食など幅広い分野での利活用を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、議員お話しの剪定枝や調味残渣等のバイオマス資源の有効利用につきましては、地域循環システムを構築する上で自主的な取り組みが重要であると考えてございます。こうした地域におけるバイオマスプランの取り組みが進展するよう、関係市町や団体等に対する啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 本県の梅産業につきましては、生産から加工、販売、消費拡大に至る一つの地域産業複合体ととらえ、さまざまな分野において支援をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、ポジティブリスト制度についてでございますが、平成十五年五月の食品衛生法の改正に伴い、本年五月二十九日から導入されたところでございます。
 議員の御質問の中でも触れられてございましたように、この制度を要約して申しますと、基準が設定されない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する、こういった制度でございます。残留基準値がこれまで設定されていなかった農薬につきましても、EU──欧州連合でございますが──並みの〇・〇一ppmという一律基準値が適用されることとなり、生産農家では隣接した農作物への農薬の飛散──ドリフトと申しますが──や混植されている園地での薬剤散布に特段の注意と対策が必要となるなど、農業分野にとりまして厳しい内容と承知をしてございます。
 こういったことを踏まえ、県といたしましては、生産農家への周知を図るため、平成十六年度から農業協同組合、農薬販売業者等への啓発を行ってまいったところでございます。
 平成十七年十一月には具体的な残留基準値が告示されたことに伴いまして、農協の営農指導員、また生産者に対するドリフト防止対策に関する研修会の開催、またパンフレット配布等により、一層重ねての周知徹底を図っているところでございます。また、本年四月には各振興局や農業協同組合に相談窓口を設置いたしまして生産者からの具体的な相談に応じることとするとともに、当該制度に対応した栽培マニュアルの作成にも取り組んでいるところでございます。
 今後とも、各地域の病害虫防除対策協議会を中心として、ドリフト低減ノズルの使用、またドリフトに対応した新しい防除暦の作成に努めるとともに、国に対しましてマイナー作物──生産量の少ない地域特産農産物でございますが、こういったものへの農薬の登録拡大について要望してまいりたいと考えてございます。
 また、農薬の散布回数の削減を目的に、天敵などさまざまな防除手段を利用したいわゆる総合的病害虫管理、こういったものを推進するとともに、減農薬による特別栽培農産物の生産振興やエコファーマーの育成を図り、消費者に対し、より安全で安心な県産農産物の供給に努めてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 改正介護保険制度についての三点の御質問についてお答えいたします。
 まず、介護予防サービスの利用者への影響についてでございますが、今回の介護保険制度の改正においては予防重視型システムを確立することが大きな柱の一つになっており、サービス提供事業者の参入につきましては、平成十八年四月一日現在、介護予防訪問介護で三百八十一事業所、介護予防通所介護で二百十九事業所などを指定しております。
 介護予防サービスについては、市町村が設置する地域包括支援センターの職員及び居宅介護支援事業所の介護支援専門員が利用者と十分話し合い、作成したケアプランに基づいて行われ、利用者の状態に応じたサービス利用が図られております。県といたしましては、昨年から地域包括支援センター職員等を対象に介護予防支援業務に関する研修を実施するなど、地域包括支援センターが十分機能するよう取り組んでいるところでございます。
 次に、小規模多機能型サービスについてでございますけれども、これは、利用者の特性に応じたサービスを可能とする、これまでになかった全く新しい仕組みでございます。定額の介護報酬、少人数の利用定員、スタッフ体制等における運営の難しさ等もあって、現在のところ本県では指定を受けている事業者はありませんが、今年中に幾つかの事業者が市町村の指定を受けると聞いております。県といたしましては、事業者を初め各方面の意見を踏まえて利用者が利用しやすい仕組みとなるように取り組んでまいります。
 最後に、療養型施設の病床削減についてでございますが、療養病床の再編に係る医療機関の受けとめ方としては、療養病床の再編に係る経過措置の内容等がいまだに国から示されていないことなどから対応に苦慮されているところであり、県といたしましては、できるだけ早期の情報収集に努めてまいります。
 今回の療養病床の再編につきましては、高齢者が住みなれた地域で生活ができるよう、在宅療養の推進を初め、地域全体で高齢者を支える体制の確保が重要であると考えております。そのため、今年中に国から示される整備指針を踏まえた地域ケア整備構想を策定し、平成十九年度に策定する医療計画や次期介護保険事業支援計画に反映させ、療養病床の介護老人保健施設への転換等、計画的な体制整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共事業と環境の問題についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、公共事業を進める上では、環境との調和を図ることが大変重要だと考えてございます。港湾、河川、道路等の事業着手に当たっては、生態系の調査や環境への影響調査を必要に応じて行い、計画を立案するとともに、のり面の緑化及び緑地の確保など関係者との協議も含め、周辺環境との調和に努めているところでございます。
 また、平成十八年度からは、自然にやさしい県土づくり事業として技術者認定制度を発足させるなど、自然環境保全に資する人材の育成にも取り組んでいるところでございます。
 公共事業の実施に当たっては、地域の実情に合ったさまざまな工夫を行い、効率的な推進に努めているところであり、今後とも環境に配慮した県土の基盤整備を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございました。
 梅の振興策については、当局並びに生産者や関係する業者の皆さんと、この今のちょうど節目に当たる非常に厳しい中で、さらにプラスに転じていく力を、一緒になって力を出していくということで、お互いが協力し合っていく大きな課題だと思っております。
 そういう意味で、私は幾つか提案をさしていただきましたが、やっぱり県を中心にはもちろんですし、関係する市町村や関係するJAや、それから関係している企業の皆さんが本当に一体となっていく。今までは、つくっておれば必ず売れたし、利益も上げられたという時代をずっと経過してきたわけですが、事ここに至っては、ミカンとかリンゴとかカキとかというふうに、一定保存食的なものもされていますが、梅そのものは生で取引がされるというものではありませんから、少なくとも加工商品に、いずれにしても、青であれ、漬け梅であれ、加工されながら消費者に届けていくという意味では、価格というのは一定安定さしていかなければならない代物であります。そういう意味では、非常にそういう意味での大切さを感じております。
 そこで、私は、今までにない県行政と関係者とが一体となった組織的、またはマンパワー、財政的にもきちっとした確立をして全国に発信していく、販売していく体制がようやく望まれて、皆自覚してきたかなと思いますので、その点の御支援をお願いしたいというふうに思います。
 また、先ほども言いましたけども、なぜ私は梅が大事かと言いますと、そういう意味では、ほかももちろん果樹王国ですから大事ですけれども、地域産業複合体というふうに、本当に地域でこの梅によっていろんな関係者がここで商売をして事業をしていると、こういう形で非常に大切な基幹産業でありますから、そういう点の押さえをもう一度我々は確認しておく必要があるんではないかというふうに思います。
 また、うめ研究センターについてでありますが、二本の柱を据えるべきではないか。一つは、もちろん梅立ち枯れの原因究明、梅の生理生態を研究していくという意味での大きな柱がありますが、二つ目は、梅の効能性を科学的に、センターを中心とした工業技術センター、関係する大学機関とも協力してきちっとした踏まえを、研究センターも一つのあり方として今後の方向として出していただけないだろうか。
 例えば、梅のチョーヤというのはよく聞くと思うんですが、チョーヤ自身が、今回、この六月の九日に梅研究機関の施設を設置して、梅の効能や梅がいかに健康──梅酒が健康酒のイメージをアピールしていくか、その効能や効果を科学的に証明することを企業自身が立ち上げて研究機関をつくったと、こういうことが報道されていますし、こういう意味では、梅産地の研究機関がその二つの柱でぜひ強力な力を発揮していただける、そういう研究センターにしていただけたらと考えております。よろしくお願いしたいと。
 最後に、その梅に関係して梅産業で、私は、平成十八年度新規就農者の調査結果を手元にもらいました。農業専従者であります。やっぱり梅でどんどん頑張ってるところは新規の就農者がやっぱり多いんだなというふうにデータで出ております。全体の百三十三名の県下の就農者の、日高と西牟婁で七十二名が新規に就農されているわけであります。そういう意味では、梅産業の基盤がきちっと確立しておれば新規就農者が定着していくということもこの事実の中に証明されているわけですから、非常に大切にしなければならないと考えております。
 次に介護保険の問題ですけど、一応、部長から答弁がありました。私は、今回の改正は基本的には制度の主体である被保険者及び保険者──いわゆる自治体ですね、市町村並びに県ですけど──の声が反映されずに、報酬の決定を初め指定基準、それからサービス内容を厚労省が一元的に抱え込んで、そこの機関で決定してしまった。だから、今後この一年間ではかなりの矛盾が起こってくるだろうし、現場や保険者である市町村、こういった中ではかなりの矛盾が起こってくるというふうに私は考えております。
 そういう意味では、県がやはり現場の実態をよく把握して、国からおりてきたものをただ市町村や関係機関におろすというような形ではなくて、和歌山県として今後介護保険事業を、しかも利用者である高齢者のためにどうあるべきかということをきちっと位置づけておく必要がある。国がこうだから、国がまだそうだから、国がまだそこまで至ってないからで物事を判断する問題ではない。
 福祉は、和歌山県において主体的に──高齢者が少なくとも二〇一五年には三〇%になるんですよ、高齢化率が。そういう中で、どういうふうに県として責任を負っていくのかという主体的な政策方針を持たなければいけないと私は常々考えてるわけですが、常々考えておっても、国が、国がという返事しか来ません。そういう意味では、主体性を持って、やっぱり福祉保健計画を立てる必要があるんではないか、そういう点を要望しておきたいと思います。
 もう一つは地域密着型でありますが、これも私、感じて──答弁聞きましたけれども、事実上は今は希望者が全然ゼロです。ということは、なぜかといえば、中身を検討すればするほど、実際に地域密着型の、小規模多機能型のサービスを事業としては非常にやりにくい実態であるということを証明しているわけです。幾つかこれから出てはくると思うんですが、そういう意味では、もう少し現場の声をきちっとつかんで、先ほども言いました、国に対してここの問題点や矛盾をきちっと伝えていくという役割も県はすべきではないかと、このように思います。
 もう一つは、介護療養型と医療療養型でございます。
 これ、実際に、きちっと立てていかないと、先ほども言いましたように、一千名を超える人たちが行くところがなくなるというのが実態であります。だから、そういった人たちが、受け皿として簡単に老人保健施設で受けると言うけど、老人保健施設を建てて、いわゆる入所型施設をどんどんふやしたら、それだけ介護保険がどんどん上がっていくんですよ。だから、そこらを簡単に「老人保健施設で対応します」ということになるのかどうか、もっと真剣に今後の方向をきちっと立てていかないと大変だと思うんです。
 それと、併設している医療機関が実際このことによって経営が成り立っていくのかという不安もかなりありますよ、これ。だから、そういう意味では、本当に医療機関や介護に関係する、我々、介護保険を指導する県行政が一定きちっとした先を見通した計画をきちっと立てていく必要があるし、それは県が立てるんではなくて、関係する市町村、保険者である市町村や被保険者である人たちとの共同のプロジェクトで策定していく必要があるというふうに思いますので、それを要望しておきたいと思います。
 以上で、要望にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十二分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問を早速させていただきます。
 まず最初に、歴史的町並みを生かした町づくりについてお伺いをいたします。
 去る六月七日、木村知事は、湯浅町の歴史的な町並みを視察されました。この地域は、北町、北鍛冶、北中、北浜と、古くからの風情ある町並みが残されていて、湯浅町として、重要伝統的建造物群の選定に向けて地元を挙げて取り組んでいます。私も一昨年の六月議会の一般質問でこの問題を取り上げ、知事からは応援していきたいとの答弁をいただいたところです。
 和歌山県下で初めてとなる、この国による重要伝統的建造物群の選定に向け、平成十一年から調査を始め、昨年の十二月には町条例が制定をされ、現在さまざまな手続を経ながら秋の文化庁文化審議会に向けた国への申し出、冬には国の選定が無事受けられるようにと、まさに大詰めに入ったところであります。
 この時期に木村知事に現地を視察いただき、町並みや地域資源をすばらしいと評価していただいたことは、地元住民の一層の関心と期待の高まりという点で大きな力を発揮していただいたと喜んでいます。知事もお感じになったと思いますが、地元の自発的な大勢の皆さんの出迎えに地元の熱意がこもっていたというふうに思っています。
 湯浅町は、この重要伝統的建造物群への選定を起爆剤としながら、熊野古道が通る中心市街地の活性化や町並みを生かした誇りある町づくり、暮らしやすい町づくりにと取り組んでいます。歴史的な町並みを大切にしながら、町の耐震性や防火性をどう高めていくのか、快適な住環境をどうつくっていくのかがこれからの課題となってきます。また、お隣、広川町の稲むらの火の堤防とあわせて、観光などの面でも魅力ある地域資源として大きな可能性を期待しているところであります。
 知事が視察においでになって触れ合っていただいた町並み、地元住民、伝統産業、お店屋さんなど含め、湯浅町のこの歴史的な町並みの感想を伺うとともに、県下初の選定を目指す町並み保存や整備・活用への県の支援について、木村知事の御答弁をお願いいたします。
 次に、津波防災教育センター(仮称)について質問をさせていただきます。
 稲むらの火で大変注目をされていますが、浜口梧陵堤防のそばに広川町と県が共同で整備を進めてまいりました津波防災教育センターは、建物の建設はほぼ今月中に完了し、これから館内の施設の工事に入るところであり、今年度中の完成、来年度からの開設に向けて着々と準備が進んでいるところであります。
 国、県の予算的支援を得てこの広川町が津波から命を守った記念館、防災教育の拠点としてこの施設を整備することは大きな意義のあることで、県立、町立とか言わないで一緒になってつくっていこうと、こう支援していただいた知事の姿勢と関係部局のお力添えに改めてお礼を申し上げるものでございます。
 さて、この津波防災教育センターの整備費が昨年九月の補正予算で提案されましたときに、私は、質問でその概要をお尋ねするとともに、広川町との連携、役割分担について十分協議していくように指摘をさせていただきました。その後、さまざまな検討を重ねていただいていることと思いますが、町の方からは、津波防災教育センターを運営するに当たって専門的な知識を持った職員の配置をしてほしい、こういうことを初め、管理運営に県としても積極的に協力してほしいとの要望があると聞いています。
 広川町議会の六月議会でも、一般質問に立たれた議員さんが二人いて、お二人ともこの問題を取り上げられたと聞きました。神戸の人と未来防災センターでは地元のボランティアの皆さんが体験や実感を込めて展示の説明に当たっておられますけれども、こういった取り組みが展示や資料の値打ちや厚みをうんと増しているし、来館者の心にぐっと迫るものになっています。
 この津波防災教育センターが、地域住民はもとより県内外からも広く来訪者を迎えて、震災、津波から命を守る意識の向上に寄与するためにも、また地震、津波や避難体制づくりなどの研究成果や、新しい情報を取り入れた展示や催し、来館者への説明や地域の取り組みに力となるスタッフ、地元ボランティアの育成、こういった人づくりが重要になってくると思います。
 まさに建物は完成を迎えつつあるわけですが、来館者がまた今度は家族を連れてもう一回来ようと、そういうふうになるような、そんな魅力的な施設となるかどうかはひとえに今後の運営次第、ここにかかっているというふうに考えています。
 施設が完成してしまえば県は手を引いてあとは地元自治体にお任せということにならないよう、県と町がそれぞれの立場やネットワーク、地域性や専門性を生かした、そういう役割分担について十分協議をしながら進めていただきたいと願うものですが、木村知事の御答弁をお願いいたします。
 三点目の津波対策防波堤の質問に移らせていただきます。
 現在、湯浅広湾では津波対策防波堤の建設が進められており、だんだんとその堤防が姿をあらわし始め、十年計画の折り返し点を迎えています。地元からは、できるだけ早く、一年でも早い完成をという願いが出されています。また、この湯浅広湾の北隣である栖原湾では、堤防の完成により津波のエネルギーがお隣の湾にどう影響するのか、栖原湾の対策をどうするのかと、こういうことも議論をされてまいりました。
 そんな中、今回、関西電力御坊発電所計画で使用予定であったケーソンを活用して、栖原湾沖に防波堤が設置されることとなったと聞いています。この沖防波堤の事業概要と津波対策としての効果はどうか、こういう点について、まずお尋ねをいたします。
 次に、湯浅広湾の津波防波堤そのものについてお尋ねします。
 湯浅広湾は歴史的にも津波被害の甚大であったところであり、そのV字型の湾の地形によって沿岸部に来れば来るほど津波が高さを増していく、そういう地域であり、過去の大津波では、海抜九メートルほどある広八幡神社、この神社の石段三段目まで津波が押し寄せたという記録があるほどです。この津波を沿岸部、水際で防ごうと思えば巨大な構造物が必要となり、コスト的にも、また海岸線を生かした町づくりという点でもマイナスが大き過ぎるわけです。
 そこで、湾の入り口付近で防波堤をつくって津波の高さが低いうちに津波の力を弱めることができればと事業化され、国直轄でなく県が主体となって建設する津波防波堤は全国初であり、その効果が期待をされてまいりました。
 しかし、その反面、湾の入り口をほぼふさいでしまう、そういう形で人工の構造物ができるわけですから、湾内の水質や自然環境に対する影響、また将来的には湾を埋めてしまうことにつながりはしないか、そういう不安の声など、住民からはさまざまな意見も出されたという経過があります。
 そんな中、今回質問させていただくきっかけになったのは住民からの声でした。堤防の建設が進み、湾内にその姿をあらわすにつれて、住民の皆さんからこんなふうに聞かれます。「ええ堤防できてきたのう。しかし、低いもんやけど、あの高さでもう終わりかえ」とか、「津波というのはあのぐらいの高さで来るんかいな」、そういう素朴な疑問なんですね。そうじゃないんですよね。私は、はっとさせられました。住民にもっと正確な情報を知らせる必要があると思ったんです。
 今回、私が問題提起をしたいのは、この堤防が昭和の南海地震を、その震度や津波の高さを想定して設計された構造物だということなんです。今日、地震被害想定や浸水マップ、避難対策などは、歴史的にも小規模であった昭和南海地震ではなくて、いずれも東海・東南海・南海地震が、この三つが同時発生したときを想定してこの対策を立てています。こういう点からすれば、この津波防波堤が三地震同時発生のときにどうなのかというのを客観的に検証する必要があると思うんです。
 地震が発生したときに防波堤は構造的に大丈夫なのかどうか、液状化でがたがたになっていないか、また、設計を大きく超える津波が押し寄せて、堤防をどんどん乗り越えて湾内に押し寄せてくるわけですから、その場合はどのぐらいの被害軽減効果があるのかなど、確かめることが求められています。東海・東南海・南海地震同時発生では、どの程度の津波対策の効果が見込めるのでしょうか。
 また、津波を人工構造物で完全に防ぐのは、コスト的にも物理的にも不可能です。だからこそ、その限界を冷静につかみ、住民に対しても、この津波防波堤の効果も、そして限界もきちっと示すことが重要です。
 例えば、堤防や水門などの人工構造物が機能したときの浸水シミュレーションと、そして震災などによって機能しなかった場合の浸水シミュレーションも両方見てもらうことにより、意識や認識を高め、避難対策に生かしていく、そういう取り組みが必要になってくるんではないでしょうか。また、一日も早い完成を願うものですけれども、その進捗状況についても御答弁をお願いします。
 以上、防波堤関係二点については県土整備部長よりお願いをします。
 四つ目の柱である道路問題で二点、お伺いをいたします。
 まず、県道吉備金屋線有田川町垣倉地内での地すべり問題についてです。
 梅雨の雨の多い時期を迎えるに当たり、県は先月末に、この工事箇所において地すべりの兆候があることを発表し、住民にその情報を知らせ、警報機の設置を初めとする対策を講じてきました。地元住民への説明会も開いていただきました。私も横で聞かせていただきましたが、住民への説明、意見に対する対応も実に丁寧で、安心して聞いていられました。この間の関係部局の迅速で誠実な対応に、まず感謝を申し上げるものです。
 私は、地すべりという報告を受けたときに、県道工事のために山腹を削った、そののり面がずれてきたんだな、角度も急だったからやはり無理があったんだなと、そういうぐらいに思っていたんですね。配付させていただいている資料の黄色いのり面の部分です。
 ところが、詳しく報告をお聞きすると、のり面の滑りとともに隣接する斜面が滑ってきているというのを聞いてびっくりしたんですね。写真の赤い楕円の部分です。黄色い楕円ののり面に、今現在押さえ盛り土を置いて、これ以上滑らないように対応していただいていますが、四月六日、計測器を設置した以降でも、赤い楕円の部分で最大四十三ミリの地すべり兆候が確認をされています。
 先月末に開かれた地元説明会では、まず住民から出た意見はこうでした。「県はこの山がどんな山かということを工事の前にちゃんと地元に聞いてくれたんか」、こういうことなんですね。どういうことかと言いますと、この山は石切り山として過去に石の採掘を何方向からもしてたんですね。だから、その小さな山のふもとをあっちこっちからも削って、いわばカップケーキのような非常に不安定な形の山になってきていたわけです。
 今回地すべりの兆候があらわれた赤い楕円の斜面の下も、採掘現場でした。現場が何度も崩れてきて採石業者がこれ以上削ると危ないということで、また南の斜面の方に移動したその跡なんですね。二十年ほど前には、大音響とともに地割れがこの上で発生し、幅八十センチ、深さ二メートル、人間が入れるほどの大きな割れ目がずっと広がったというふうに聞いております。「県道工事でその横の隣の斜面をきつい勾配で削ってるんで不安に思っていた」、こうおっしゃるんですね。
 確かに県は、のり面工事をする前に二カ所のボーリング調査をして大丈夫かどうか調べています。しかし、そのボーリング調査は、この黄色いのり面斜面だけでやってたんですね。この隣の赤い斜面は影響なしと考えて、調査すらしていなかったんですね。しかも、その調査したはずののり面の方もずれてしまった。工事を進めた県から見れば想定外の地すべりが発生したと、こういうことかもしれませんけれども、住民から見れば恐れていたことが現実のものとなったということになるわけで、県の見通しの甘さも率直に指摘しなければなりません。
 今回の地すべり対策のために作成した図面──配付資料の下半分ですけども、この図面には、赤い矢印を書き込んでいるこの斜面、ここに上下に並んで六段ほどの過去の地すべりの痕跡と思われる段差が幾つも記されています。その最大のものは、段差二メートル、幅約五十メートルにも及びます。
 私は、地元の方と実際にこの両方の斜面に登って調査をしてきました。黄色いこのコンクリートで固められたのり面の方は、上からずれてきていて、中間に、横に走っていたU字溝、ぺちゃんこにつぶれていました。そして、問題のこの赤い方の隣の斜面ですが、下から見上げるよりもずうっと勾配が急に感じられました。また、地すべりの痕跡と見られる段差、それぞれ高さ一メートルから二メートルで、まるで段々畑のように幾つも幾つもこの痕跡が広がっていたんですね。段差に沿った樹木、これはもう倒れていました。想像をはるかに超えるこの危険な斜面の状態に、調査に行っていた我々も、「おい、そっと歩けよ。我がら体重重いんやから崩れるぞ」、こう言いながら冗談を言ってたんですが、本当にそんな気持ちになるほど危険な状態だったんですね。
 この地形を事前に把握をして地すべり痕跡の段差が記されたこの図面が工事をする前にきちんと作成をされていたら、見る人が見ればすぐに危ないとわかります。つまり、地元住民の声も聞き、周辺の地形に目も配っていれば、結果としてこういうふうなことにはならなかったと思うわけです。
 私は、地すべりに対する住民への周知、安全対策、応急対策などでこの間県が築いてきた地元住民との信頼関係を一層深めながら対策工事に取り組み、一日も早く住民も安心でき、県道バイパスを通る多くの通行者の安全を確保できるよう願うものです。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 今回の県道工事に伴うのり面と隣接斜面の地すべり問題では、関係住民や県道通行者への安全対策、斜面への応急対策に万全を期すとともに、恒久対策については綿密な調査をもとに地元住民の意見もよく聞いて対応策をとるように求めるものですが、いかがでしょうか。
 続いて二点目に、国道四百二十四号修理川バイパスの工事現場では、この間、斜面崩壊により工期がおくれているというふうに聞いています。その後の工事の進捗状況と開通に向けての見通しについても県土整備部長より御答弁を願います。
 さて、最後の柱であります人権課題現況調査についての質問に入らせていただきます。
 私は、昨年の二月議会の予算委員会質問で、この人権課題現況調査がかつての同和問題実態調査の再現やプライバシー侵害の調査になるおそれはないかという点を取り上げてまいりました。質問の中で、同和問題を含めた現況調査は非常に難しい問題だと。法期限前の平成十二年に国、県が指導して湯浅町が実施をしました同和地区実態調査、この調査では調査員が聞き取り調査で各家庭を回り、あなたの出生地はどこですかと、こういう設問をし、一、この地区、二、他の同和地区、三、同和地区外、四、わからない、こういう答えを選択させました。続いて、配偶者にも同じ設問を繰り返しました。こんなことを続けていては、いつまでも行政の側が同和地区と同和地区外に垣根をつくり続けることになる、実態調査ということでこういうことが繰り返されては困ると問題点を指摘し、その調査対象や規模、調査項目をただしました。
 県当局は、さまざまな人権課題を調査するものであり、かつての同和問題の実態調査とは違った視点、手法で行います、調査内容は検討中です、案が確定した段階で予算も含め議会に諮る予定ですと答弁をしていたところです。
 ところが、アンケート調査の原案作成はおくれにおくれて、人権施策推進審議会の開催にも支障が出る、また実施のためのこの間の予算議会の県議会となっても原案は示されないままでした。さきの二月県議会の総務委員会でも、共産党県議団の藤井県議より、人権調査の内容やスケジュールと調査項目について、また議会に相談したいと言っていたが、その予定はあるのか、こういう質問に対し、現在アンケート調査の作成中、調査を行う前には調査票を見ていただく機会もあると思うと、こういう答弁をしています。調査票の作成過程自体も非常に問題があると思います。
 県議会の中ではこういった議論が続けられてきた一方で、県知事の附属機関であり、弁護士を初め障害者、女性など各人権分野に精通する委員で構成された人権施策推進審議会、ここでは県の人権施策について話し合う中でこの人権課題現況調査の問題点が指摘をされ、去る三月二十二日に審議会として六つの理由を挙げてこの現況調査に賛同できないとの意見書、これを決議し、知事に提出をされました。これを受けて県は、六月に予定していたこの調査の実施を見合わせてきました。私は、この質問で、改めてこの人権課題現況調査の問題点を指摘し、調査の撤回と県の姿勢をただすことを求めたいと思います。
 私は、今回の人権施策審議会の意見書を県は重大に受けとめなければならないと考えています。県議会では私ども共産党県議団は、そういうことをやっちゃだめだと主張をいたしました。県は、だめだという意見もあるが、やった方がいいという意見もある、だからやるんだという理屈を立ててきました。
 しかし、今回の意見書が出された審議会は、法の終了後、さまざまな人権の問題にかかわる専門家や代表者の方々に集まっていただいて人権施策への提言や御意見をいただく方々であり、専門家の皆さんからの御意見は、まさに客観的で県民の代表的な意見だと思うんです。この審議会は歴史的な経緯からしても重要な役割があると思いますが、県としてこの審議会の位置づけをどう考えておられるのか、まず最初にお答えをいただきたいと思います。
 次に、審議会の意見書をどう受けとめ、今後の県の人権施策に生かすのかという点で、以下二点について質問をさせていただきます。
 県は、人権課題現況調査の施策概要という文書の中で、その目的を、さまざまな人権について、その今日的課題やその原因を明らかにするとともに、昭和四十四年以来の同和行政の成果を把握し、今後の有効かつ適切な人権行政のあり方を検討するために必要な基礎資料を得る、こういうふうにしています。数多くある人権課題の中で同和問題の課題を引き出すために、調査の対象を旧同和地区、そしてその周辺地区、一般の地区と三つに分けて調査分析をし、結果を出そうと計画をしてきました。
 今回、この人権施策推進審議会で採択された知事への意見書では、県の人権課題現況調査について次のように述べています。「今回の同和問題の実態調査は、かつて行われた同和対策事業対象地域を他の地域との比較において、実態調査しようとするものであることが明らかである。かつて行われた行政施策の『地区指定』は、当時としては止むを得ないものであったにしろ、多くの問題をはらむものである。かつて地域指定された対象地区が、人口の流動や、地域の変動により差別が解消しつつある今日、かつての地域指定を再認識させ、ここが地区であったと、一般の意識に呼び戻すおそれのある調査を行うことは、同和問題の解消に逆行するものと思われる。かような実態調査のあり方は、地域住民から、調査自体が人権問題であるとして指摘追及されるおそれがある」こういうふうに指摘をしているんですね。
 これまで私たちが指摘してきたとおりのことをこの意見書は書いているわけですが、この指摘にあるように、行政の側がいつまでも旧同和地区と一般地域の垣根をつくり続けることは、もうやめるべきです。その大きな転換点として指摘のあった問題点を持つ今回の人権課題現況調査はきっぱりと撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか、答弁をお願いいたします。
 二点目です。今回の審議会意見書では、全部で六項目にわたって調査そのものへの問題点指摘と同時に、県人権局の姿勢に対する意見が出されています。一部を原文のまま引用いたしますと、一番目にはこうあります。「県内の人権問題は数多くあり、女性、子ども、障害者、高齢者等々、多くの課題がある。今回、県人権局が実態調査の焦点として、同和問題を最重点課題として捉えていることには疑問なきをえない。女性問題等上記緊急の課題に取り組む者からすれば、県人権局の取り組む姿勢には、未だに『同和問題をはじめとする人権問題』からの脱却が認められず、失望と挫折感を禁じ得ない。のみならず、同和問題を人権局が突出した形で捉えることは、同和問題自身の解決方法としても好ましいものではない」、こういうふうにあります。また四番目には、「今回の実態調査は、民間運動団体からの実施要請に応諾させられたかの如き印象を拭えない。このことは、いまだに同和問題を含む人権問題への取り組みが、特定の民間運動団体の意図する方向に動かされている感を一般県民に抱かせるものであって、他の人権運動に取り組む運動団体や、一般市民に与えるマイナス影響があまりにも大きすぎる」、こういうふうに指摘をしているわけなんですね。
 県として、審議会のこれらの指摘を真摯に受けとめて、今後の人権施策の方向性に生かしていく必要があるんじゃないでしょうか。県当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
 以上、人権課題現況調査にかかわる質問三点は、企画部長より御答弁をお願いいたします。
 以上をもって、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 湯浅町を中心とする歴史的町並みを生かした町づくりについての考え方ということですが、先般、私、湯浅町へ参りました。湯浅町は、そのときにも思ったんですけれども、しょうゆ、金山寺みそ、そしてミカン山があり、海があり、すばらしい昔の建物があり、熊野古道が通っている。和歌山県でこの重要伝統的建造物群保存地区に選定されるとしたら、本当にここが一番になるのが一番適当なところだろうなという感じを深くいたしました。
 私が知っている、例えば四国の愛媛県の内子とか徳島県の脇町、こういうところと比べても決して遜色のあるところではないという感じを濃くしましたので、早くこの地域が指定されて、そして世界遺産に続く──世界遺産も通っているわけですけども──続く和歌山の大きな観光の重要拠点として発展することを望んでいますし、県もいろいろな協力ということをしていこうというふうに思っているところでございます。
 次に、津波防災教育センターの運営管理についてのお話ですが、この施設は、和歌山県で初めて、県営とか町営とかいうふうなことじゃなくて一緒につくっていこうと。中は仕分けはしてありますけども、そういうところへまた国の補助金も入ってでき上がったというもので、ある意味では画期的な施設だと思っています。
 原則的にこの運営管理は、やはり地元がそこにある浜口梧陵記念館と一緒にやるのがいいとは思うんですけども、ただこれは広川町だけの地域限定の施設ということじゃなくて、日本全体から子供さんとかいろんな人に来てもらって津波のことを勉強してもらおうというふうな施設でもありますので、その運営管理に当たっては県も、どういう形がいいかわかりませんけれども、これから町とよく相談してできる限り協力をしていこうというふうに思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 津波対策について二点、道路問題について二点、お尋ねがありました。
 まず栖原湾沖防波堤の整備につきましては、湯浅町が管理する栖原漁港の港内静穏度の向上を図るため、本年度より二カ年で、湯浅町が漁港事業の一環として約七十メーターを整備する計画となっております。
 なお、御坊第二火力発電所埋立工事で使用予定であったケーソンについては、その一部を関西電力より無償で譲り受け、県が行っている新宮港と当栖原漁港の防波堤工事に活用していくこととし、これにより整備コストを低減できると考えております。
 また、この防波堤は当漁港の入り口に整備することから、ある程度、津波高さの低減が期待できるものと聞いております。
 次に、湯浅広港で整備を進めております津波防波堤は、御指摘のとおり平成十年に着工したもので、昭和南海地震規模の津波を想定して設計がされております。
 その後、平成十四年に国の中央防災会議で検討された東海・東南海・南海地震が同時発生した場合については、平成十七年に公表された施設のない最悪のケースの津波浸水予測によると、湯浅町、広川町のかなりの範囲にわたって一メーター以上の浸水の発生が想定されています。
 事業中の津波防波堤が完成し、また既設の堤防等の耐震対策が完了した場合、浸水面積で約三割程度の低減効果があると考えておりますが、後背地への浸水を完全に防ぐことはできません。これらの結果については、防災部局と調整しながら、県民に的確に情報提供を行い、避難対策や住民の意識向上に生かしていきたいと考えております。
 また、津波防波堤工事の進捗ですが、平成十八年度末で湯浅町側四百五十メーターのうち二百五メーター、広川町側四百メーターのうち二百三十二メーターが概成し、率にして六五%の進捗となる予定でございます。引き続き、平成二十二年度の完成を目途に事業推進を図ってまいります。
 次に、道路問題についてお答えをいたします。
 県道吉備金屋の垣倉地区における地すべりについては、本年一月に兆候を確認し、以来、応急対策を実施してまいりました。梅雨時期を迎えたこともあり、五月には警報装置を設置するとともに、関係住民の皆様には去る六月七日に地元説明会を開催し、現状と対策について説明させていただいたところであります。現在は排水ボーリングと防護さく設置の工事を行っており、七月初旬にはこれらの応急対策を終えたいと考えております。
 また、あわせて詳細な調査を行っており、この結果に基づき、恒久対策を検討していく予定であります。その際には、地元住民の皆様に事前に説明をさせていただき、意見もお聞きしたいと考えております。
 次に、国道四百二十四号修理川地区において平成十七年三月に発生した斜面崩壊箇所につきましては、現地調査、原因究明、対策工法について学識経験者の意見もいただき、検討を進め、平成十七年九月、緩傾斜のり面構築による復旧工法を決定いたしました。本年四月から復旧工事を進めており、平成十八年度において追加工事を発注する予定で、年度末完成に向けて努力してまいりたいと考えております。
 なお、平成十九年度中には有田川町修理川の二・一キロの区間について供用を予定しております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人権課題現況調査についての三点の御質問でございます。
 まず、和歌山県人権施策推進審議会につきましては、和歌山県人権尊重の社会づくり条例におきまして定められている諮問機関でございまして、人権施策基本方針に関する事項、そういったものの審議をいただくほか、さまざまな御提言をいただくこととなっております。委員の方々は各分野の専門家や有識者でありまして、本県が人権施策を進めていく上で極めて重要な役割を担っていただいている機関であるというふうに考えております。
 また、今回のアンケート調査につきましては、調査に当たって旧同和対策事業対象地域を区分することが新たな差別を誘発することも考えられることから、統計法上の規制を含め、個人情報の秘密保持には万全を期すると、そういうふうなこととしておりました。しかしながら、和歌山県人権施策推進審議会におきまして、県が考えておりました調査手法により調査を実施することは県民から調査自体が人権問題と指摘されるおそれがあるというふうな意見が採択されたところでございます。県では、この意見を重く受けとめまして調査手法の見直しを決めたところでございます。
 なお、実態把握につきましても必要であると考えております。その手法等について再検討を行い、必要な調査を実施してまいります。
 同和問題につきましては、現在、平成十六年に策定しました和歌山県人権施策基本方針において人権分野の一つとして位置づけ、取り組んでいるところでございます。今回の調査につきましては、和歌山県人権尊重の社会づくり条例における県の責務として、また平成十五年に和歌山県人権施策推進審議会の方からも必要にして適切な調査を実施すべきというふうな意見もちょうだいしておりまして、人権に関する実態把握のための調査を行うこととしたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきました。
 重要伝統的建造物群の指定や、また津波防災教育センターについては、県としても協力してやっていきたいというふうな知事の答弁もいただきました。ぜひ、これからが大事なところというところでありますので、さらなる支援、お願いをしておきたいというふうに思っております。
 それから、人権課題現況調査の問題で、企画部長に二点、再質問をさせていただきたいと思います。
 人権施策推進審議会の位置づけについては、おっしゃるとおり、重要な役割を担っていただいているというふうに思います。その次の審議会からの意見書をどう受けとめるかという質問に対し、人権調査についてはこの意見を重く受けとめ調査手法の見直しを決めたと、そういうふうに答弁をされました。「見直し」という言葉は大変幅の広い言葉でして、根本的な見直しもあれば、お化粧直しの見直しで済ませることも見直しです。
 そこで、一点目の再質問としてお聞きしますが、今回県が準備してきた旧同和地区と一般地区を分けてする調査というのは、これは取りやめる、撤回するということでよろしいでしょうか。また、今回の調査という問題だけにとどまらず、旧同和地区と一般地区を分けて扱う、旧同和地区を再認識させる、そういうような施策はやめておこうと考えているということでよろしいでしょうか。再度御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、意見書の中で、人権局の取り組みの姿勢に対する御意見もいただいていました。これに対する受けとめ方を問うた質問に対し、部長の答弁は、人権分野の一つとして取り組んでいると。つまり、同和問題だけが突出しているつもりはないということだったですね。また、条例や審議会からの意見に基づいて事業をしているんですということで、特定の運動団体に左右されているつもりはないと、そういう、どちらもはっきりした答弁であったかというふうに思うんです。
 県がその御指摘の点は心配御無用ですというふうに胸を張るのは悪いことじゃないし、そうあっていただかなければならないことだと私は思っています。しかし、今回の審議会の意見書というのは、いつもそうやって胸を張る県当局に対して、今回あえて今度の問題をとらえて、いや現実はそうじゃない、気をつけなさいと率直な御意見をいただいていると、真摯に受けとめるべきだと僕は思うんですね。そんなとらえ方をしている、誤解をされている一部の県民がいるだろうが、県はそんなつもりはないと、そんなレベルの話ではなくて、審議会としての名前で採択をされた意見書なんです。ここが大事だと私はこの質問で思うんですね。
 審議会でも慎重に審議がされてまいりました。この意見書を採択するときに反対意見を述べられた委員さんはお一人だけだったと言います。最終的に賛否をとったらしいですが、そのときも、出席十二人中十人の委員さんが審議会の名で知事に意見書を提出することに賛成されました。まさに人権の専門家、有識者のほぼ全員、大多数の声として、この意見書を軽く扱ってもらっては困ると私は思うんですね。
 ここで、私からももう一点あえて指摘をさせていただきますと、審議会の議事録、これはホームページでも公開をされていますけれども、こういった中を見せていただくと、ただ一人だけ今回の人権調査は意味のあることだというふうに主張をされているんですね。「三層に分けるという分け方は賛成なんです。多分、それでかなり課題が明らかになると思います」、「この調査に賛成です」というふうに発言をされています。社団法人和歌山人権研究所の理事長をされていらっしゃる委員さんだと思います。
 そして、きょうここにあるのは今回の調査の作成を委託した金額の載っている見積書なんですが、今回の調査項目案の作成は、結局この社団法人和歌山人権研究所が約二百五万円で仕事を受けているわけなんですね。私は大学に委託をしてつくっているというふうに報告を受けていましたが、当の人権研究所が窓口です。そして、こういう問題のある調査を作成し、代金二百五万円は既に支払いをされたというふうに聞いています。調査が必要だと主張するところと、そして調査の策定の仕事を二百五万円で受けるところが一緒だというのでは、これでは県の姿勢が問われてしかるべきだと私は思います。
 きょうは、私が今指摘した問題については詳しく見解を求めるものではありません。審議会からいただいた意見書をどう受けとめますかというのがきょうの私の質問の趣旨ですから、二つ目の再質問を整理しますと、県行政の姿勢についてのこの意見書の指摘に対して、県はちゃんとやっていますという見解だけでいいのかと。今回の意見書を真摯に受けとめ、今後の人権局の施策に生かしていくという姿勢が必要ではないでしょうか。
 以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 再質問に対してお答えいたします。
 まず、調査の手法についての見直しでございますが、全面的な見直しか、あるいは少しだけの見直しかというふうな趣旨だったかというふうに思っておりますが、議員御指摘のように、三層についてそういうふうなことをするのは、審議会の意見にもございましたように、新たな人権侵害を起こすおそれがあるというふうなところを重く受けとめまして、これについては見直しをやっていこうというふうなことでございます。
 ただ、そういうふうな、今調査の見直しにつきましては検討中でございますが、あくまで人権侵害にならないような、そういうふうな方法により実施をしてまいりたいというふうに考えております。
 もう一点、審議会自身のことについてでございますが、先ほども申し上げましたように、審議会といいますのは、和歌山県の人権施策についての大きな提言をちょうだいするところでございます。ですから、その審議会の意見というものを十分に重く受けとめるということは当然のことでございますけれども、ただ、先ほどありましたように、私ども県の姿勢といたしましては、さまざまな県民の方々からの御意見をちょうだいする、それが運動団体だけではなくて、さまざまな、いろんなところからの御意見をちょうだいして、それを、審議会にも諮りますが、県が主体的に判断をしながら実施をしていくというのが行政の姿勢ではないかというふうに考えておりますので、その一つの運動団体ということではなくて、いろんなところから御意見をちょうだいしたものを県として主体的に受けとめていくというふうなことでございます。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 人権調査そのものの答弁では、三層に分けてそういうことをするのは、今回指摘もいただいたことだし、もうしないという御答弁であったというふうに思うんですね。そういう点については、私は、今後の県人権局の施策の大きな転換点になる御意見だったんじゃないかというふうに思っているんです。
 しかし、今回の審議会からの意見書を、じゃどう受けとめるのかという点については、余りにもその部長の答弁が竹を割ったような、そんなことございませんという答弁だったから私は再質問したわけで、それに対し、いろんなところから意見をいただくけれども、県としては主体的にやっていくんだというお話でしたね。しかし、私が今回言うてるのは、審議会からの御意見だと。いろんな意見を聞きながら県が主体的にやってると言うけれども、県の姿勢というのをいま一度振り返る必要があるんじゃないかという意見を審議会からいただいたということをきっちりと受けとめなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているわけなんですね。
 ですから、少し話が平行線になっていますから、きょうはこれぐらいにしますけども、私は、本当に今度の審議会の意見書で出された指摘というのをきっちり県が受けとめて今後の人権局の施策や県の姿勢に生かしていただきたい。このことを再度強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十二分散会

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