平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
 今議会でも、すばらしい和歌山を何としてでもつくっていきたい、そういった強い思いで一般質問をさしていただきたいと思います。
 さて、今、和歌山の未来を展望すると、やはり期待と不安が入りまじるものだと感じます。知事も議会冒頭の所信で触れられたように、地方の実情、まだまだ厳しい環境にあり、また本格的な競争環境もどんどん厳しくなろうという中において、そこでは和歌山がどのように競争優位に立っていくことができるのか、地域力、自治力を高めるための本当の知恵が試されるんだと思います。
 先日、求人倍率に関するニュースで、全国平均の有効求人倍率がやっと一倍を回復したと報道されていました。厚生労働省の発表によると、二〇〇五年十二月の有効求人倍率はちょうど一・〇〇倍となり、実にバブル崩壊後、一九九二年九月以降、百五十九カ月、十三年と三カ月ぶりに一倍台を回復し、全国的にも明るい兆しが見えてきたということでありました。
 全国の景気動向は上向きで、確かに日本経済の再生も目に見えるものとなってきているようです。しかし、あくまで地方ではまだまだ厳しい状況には変わりなく、特に私たちの和歌山では一層の努力が求められます。これからの時代には、横並びでよくなる、横並びで悪くなるといったものではなくて、よくなる地域と一向に状況が改善されない地域が出てくるものと予測されています。
 さきに触れた有効求人倍率などを見てみても、少し気になったので調べてみたのですが、やはり地域間の格差は大きくなる傾向が見てとれます。お手元にちょっとグラフをお配りしているんですけれども、このグラフは一九九五年から二〇〇五年までの十年間で有効求人倍率の推移を見たものですけれども、景気の回復とともに有効求人倍率も改善されてきている状況があります。しかしながら、地域間の格差が大きくなっていることを見逃すことはできません。
 九五年当時は、最高値と最低値──ちょうどこの一九九五年、お手元の資料で御確認いただきたいんですけれども、ここの最高値と最低値の差というのは〇・一六ポイントでありました。それが二〇〇五年、この十年の間に〇・八八ポイントと、その格差が約五倍以上に広がっているという状況がございます。都道府県別に見てみても、東京都一・五四倍、愛知県一・六一倍、大阪府は一・〇九倍と、やはり大都市部における回復傾向は顕著であります。しかしながら、他の地方都市では、滋賀県は一・二倍と頑張っておるんですけれども、奈良県で〇・七九倍、残念ながら和歌山県は〇・七三倍となっています。今後はますます地域間の格差は大きくなると言われる中で、和歌山県にとっては厳しい現実があります。
 ただ、和歌山県が取り組んでいる方向は決して間違っていないのだと思います。地域の特性を伸ばし、独自の魅力を磨いていく地域の再建といったものは、あくまで長い目で見ていかなくてはいけない部分も多分にあるんだと思います。
 ここで言いたいことは、全国がよくなった、和歌山も明るいムードが出てきているということに流されることなく、やはり厳しい状況にあることをしっかりと認識して、抜本的な改革、改善路線、これは木村知事が今一生懸命進めてくれていますけれども、さらに加速させていただきたいということであります。
 我々は、今、今後の地域のあり方をこの議会でも議論する中で、目先の話だけに振り回されることなく、じっくりと腹をくくって、少しの辛抱はしつつも新しい和歌山の可能性にかけていく、そういった取り組みが求められているのだと思います。
 知事はよく「和歌山モデル」といったことを口にされますが、本当にそれは重要なことであり、今まさに日本という国自体のあり方が問われている時代には、地方においても新たな和歌山県の姿、将来の望むべき理想の姿をしっかりと見詰めつつ、さまざまな布石を打つことが今必要とされているのだと思います。
 今回は、そのような視点を持つ中で、新しい和歌山の地域づくりとして都市計画にかかわる話と、和歌山をどのように全国に発信していくのかということについて、さまざまなPR活動に係る幾つかの質問、提案をさせていただこうと思っています。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので質問に移ります。
 まずは和歌山県が行うPRに関する活動全般について、まず広報室の取り組みについてお尋ねいたします。
 先日、参議院議員の世耕弘成氏が「プロフェッショナル 広報戦略」といった本を出版されています。(資料を示す)これがその本になりますけれども、昨年の夏の郵政解散を受けて行われた衆議院選挙の舞台裏を描いた、ある種ドキュメント作品であり、かつ世耕氏がボストン大学で学ばれた広報研究から広報の効果、また広報の重要性、技術的な面まで踏み込んだ解説も加えられているという、さまざまなエッセンスが含まれている著書となっています。これは、特に政治、行政の分野で政治側からアプローチして広報をとらえた著書としては非常に珍しいものであり、今後も貴重な資料として残っていくものと思います。この本には、県の広報活動、その取り組みの方向性についても数多くのヒントが含まれていると私は感じました。
 書かれている内容としては、私も昨年、広報の重要性について企業広報を例示しつつ提案させていただきましたが、そのときに調査に伺った双日ホールディングスを初めとして、株式会社電通、日本広報協会など、それぞれにまさに同じ視点で広報の重要性が指摘されています。特に、広報を組織の内外を問わずコミュニケーション部局としてとらえる姿勢は、世耕氏の話も含めて、どことも共通した認識だと思われます。
 私は、前回の質問の中で、コミュニケーション力の強化といった視点から広報部門に関しての五つの提案を行っています。一つは、組織内に広報戦略会議などを設けて広報戦略並びに広報計画を検討していく、二つ目に、広報の効果測定の取り組みからより実効性の高い広報の実現、三つ目に、広聴・マーケティング作業の強化、四つ目として、戦略的広報活動から地域のブランド化に向けた取り組み、そして五つ目に、組織内部のコミュニケーション活動の充実といったものでありました。これを受けて、県の広報室では、外部の有識者を集めて和歌山県広報研究会というものを立ち上げて、広報力強化調査といった取り組みを進められています。
 先ごろ、その報告書ができ上がってきたのですが、これがその報告書ですけれども(資料を示す)、この報告書を読ましていただく中では、数々の非常に有意義だと思われるような指摘がなされておりました。その内容を読ませていただくと、短期間によく調査し、ポイントを押さえた提言がされています。今回、研究会を立ち上げ、外部から広報の専門家を集めて取り組まれた意義は非常に大きいと感じますが、ただ、今回提言されたものを単に調査報告を受けたといったことで眠らせてしまうのではなく、どれだけ実行していくのかが問われるものになっているんだと思います。
 そこで、今回は、新年度を目前にした重要な時期でありますので、その報告書の中身に触れながら、ぜひ実現していってもらいたい広報活動について、改めて幾つかの提案と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回提案されている報告書について率直な印象からお聞かせ願いたいのですが、この報告書についての感想と、あわせて今後この報告書で提言されている内容についてどのように進めていこうとされているのか、公室長のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
 また、今回の報告書では、県政推進に当たって喫緊の課題は広報機能の位置づけを全庁的に見直すことであるといった指摘がされています。これは、広報活動の重要性を全庁的、各部局にもっと強く意識づけを行い、その上で、縦割りでない県庁組織全般にわたる情報の総合調整システムをつくるといった提言であると思われますけれども、これを受けてどういった具体的な取り組みを進めようとされているのか、お考えを、あわせてこれも公室長からお聞かせいただきたいと思います。
 あわせまして、広報の基本的な役割として、当然のことですが、広報は県行政の目指す方向を正確に把握している、特に知事の考えについてはしっかりと理解しておく必要があるのだと思います。そのための具体的な対応としては、県庁内における重要な会議には広報担当者も必ず出席しておくようにする。特に庁内の重要な会議として、予算などの知事査定を初め重要決定事項を諮る場面、県の各分野における政策の方向性を決める議論をする会議などには、仕組みとして広報室のメンバーが必ず出席する体制づくりが求められると思います。
 また、あわせて組織体制の充実では、外部からの能力ある人材を受け入れるといったことも重要なことだと考えます。現状では任期つき採用といった制度もあるわけで、広報のスペシャリストである人材を民間から招聘する。全国に公募をかけて、広報の専門知識、経験豊富な能力の高い人材を採用するといった取り組みも有効なものと考えますが、あわせて公室長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、報告書の中で、県庁の広報室が単独で県域全体をカバーして質の高い広報活動を進めるのは難しいといった指摘がされています。そこで提案ですが、今後は県と各市町村の広報をもっと連携させる体制整備を考える、それぞれに定期的に情報交換を行う広報連絡会議のようなものを設けることも一案だと思います。市町村行政にも一定の責任を担う県の立場を自覚した上で、県下全域の広報についてもある面では統括するリーダーシップを発揮して効率的、効果的な広報体制を整備する。そうすれば、県内の情報集約がこれまで以上に容易となり、また、外部からの取材活動などへの協力などでも県下市町村の力をかりて省力化が図れるものとなります。
 さらに、効率化といった面では、すぐには無理でも、例えば「県民の友」と県下市町村が出している広報紙の連携についても検討すべきだと考えます。将来的には、各市町村が持っている広報紙を「県民の友」に集約して、その中の一部をそれぞれの地域ごとに市町村が受け持っていくといったことも有効な取り組みとなります。県民にとっては、県のサービス、市町村のサービスなど、行政が提供するサービスには変わりないわけですから、一緒に提供する方が情報として受けとめやすいものになります。また、これは市町村における広報費用を考えても大きなコスト削減の効果が期待できると考えますが、あわせまして公室長に御答弁をいただきたいと思います。
 続きまして、映画制作への取り組みとフィルムコミッションの立ち上げを含めた観光局の体制強化について、PR活動の二点目としてお尋ねいたします。
 新年度の企画部の予算で、「シネマで元気・地域力向上モデル」として六百万円の予算がつけられています。これは、地元の南紀田辺世界遺産フィルムコミッションの立ち上げに百万円、あわせて映画の制作を県として協力するということで五百万円がつけられることとなっています。映画の制作を手伝う、フィルムコミッションを立ち上げる、そういったことには全く異論はなく、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと私自身思っているところでありますが、しかし、映画制作の協力に関する予算のとり方として、果たしてこういったものでよかったのか疑問を持つものです。
 この映画制作の話は、新聞等でも報道されていましたが、昨年秋ごろから相談されていたようです。私どものところにも、年が明け、一月二十四日に正式に劇場用映画「幸福のスイッチ」制作決定といった知らせが資料提供されました。クランクインは二月六日、映画のフィルムを取り上げるのが三月上旬といったことですので、そろそろ映画撮影も終わるころです。
 そういった中で、新年度予算として今私たちは映画協力に関する予算の審議を行っているわけですが、これはやはり順番としては逆だと思います。あくまで先に予算の裏づけをとって協力する約束をすべきであったのではないでしょうか。今回の件で、私自身は決して映画への協力を否定するものではなく、こういった映画で和歌山県をPRしていただくのは大いに結構だと考えます。しかし、予算のつけ方としては今後はもっと工夫すべきだと思います。
 新年度からは、県としても正式にフィルムコミッションを立ち上げて、これまで以上に和歌山を舞台とした映画制作、ドラマ制作などを誘致するためにさまざまな交渉を行っていってくれることと思います。そういった交渉過程においては、制作への協力、特に費用面での協力要請も出てくる可能性があります。そこでは、しっかりと事前の準備をしておくことが必要だと考えます。事前に映画、ドラマの制作に協力するためのガイドラインをつくっておき、透明性を確保した選考基準、選考方法なども検討しておいた上で、あわせて予算も確保しておく。交渉をまとめるためには、時にはスピードも必要で、のんびりしていてはチャンスを失う事態もあるかもしれません。だからこそ、特に予算措置には工夫をしておくことが必要だと考えますが、これは商工労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、あわせて、フィルムコミッションの立ち上げとその体制について。今回のフィルムコミッションは、特別に事務所を構えてといったものではないようにお聞きしています。どういった体制で進められようとしているのか。これも商工労働部長に御答弁をいただきたいと思います。
 あわせて、観光局の人員体制について。今後、フィルムコミッションの運営を含め、観光局が取り組む事業については大きな期待が寄せられるものとなっています。新年度予算の資料の中でも、重点施策とされる新規の事業だけで、観光振興事業五つに観光交流事業が二つ、計七つの新規事業が立ち上げられ、予算としても約二億円計上されるものとなっています。
 私も、確かに、今の時代、今のこのタイミングで観光事業は非常に大切なものであり、思い切った予算措置のその取り組みということは非常に必要なものだと考えます。ただ、あわせて人員体制の充実も欠かせません。実際問題、現状の体制のままで質の高い仕事をするのは少し無理があるのではないかと心配するところです。新年度を目前として組織改正を控えるこの時期ですので、改めて商工労働部長から観光局の体制強化についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、安全・安心まちづくり条例の啓発について。
 これも大きな意味で、和歌山県のPRといったくくりの中で提案させていただきたいと思います。
 さきの議会でも取り上げました安全・安心のまちづくり条例については、この当初議会で条例案が提出されることとなっていますが、これは地域にとって非常に重要なものだと思います。地域の安全・安心を守るのは、決して警察任せ、行政任せではなく、地域住民の皆さんにも御理解、御協力を得て一緒によりよい地域をつくっていく。そこでは、県行政が率先してその機運を盛り上げていくことが望まれます。ここでも広報力が問われることとなり、どこまで県民の皆さんに声が届き、しっかりと受けとめてもらうことができるのかが重要なポイントとなります。
 さて、そういったことを考える中で、他の自治体の取り組みとして非常に印象に残った啓発活動の事例があります。これも皆様のお手元に資料をお配りしておりますけれども、それは東京都が行った「心の東京革命」推進運動といったものです。お手元の資料を御確認ください。これが心の東京革命というものですけれども、これを東京都が、子供たちに教え伝えていくべき社会の基本的な心構えとして「心の東京ルール」といったものを提案しています。
 石原慎太郎知事が就任されて間もなくのころだったと思うんですけれども、心の東京ルール七つの呼びかけとして、「毎日きちんとあいさつをさせよう」「他人の子どもでも叱ろう」「子どもに手伝いをさせよう」「ねだる子どもに我慢をさせよう」「先人や目上の人を敬う心を育てよう」「体験の中で子どもをきたえよう」「子どもにその日のことを話させよう」。
 最初、この啓発活動を知ったとき、非常に新鮮な驚きがありました。単純な呼びかけではありますけれども、あいさつをさせよう、他人の子供でもしかろう、そういった当たり前の、しかし実際にはなかなかできないことについて、地域全体のコンセンサスをとれるように東京都が率先して考え方を示して、あわせて地域の大人が責任ある行動をとることを求める。当時、この取り組みを勉強するために東京都にお邪魔して話を伺ってきたのですが、この事業を進めるに当たって特徴的なことは、いろいろな機会をとらえて石原都知事自身が先頭に立って都民に対して直接訴えかけを行っていったということでした。東京に住む友人に話を聞くと、この取り組みが発表されたとき、東京都が製作するテレビ番組などを初めとして、さまざまな媒体を使って石原都知事が何度も何度も繰り返し都民に訴えかけを行い、それはかなりのインパクトがあったそうです。
 今回の和歌山県の取り組みも、ある意味同じようなメッセージ性の強い取り組みだと思います。そこでは県民の皆さんにどのように伝えるのかが大切で、単に条例の構成などを書いて、よくあるようにパンフレット作成を行い地域に配布するといったものでは県民の皆さんの心には響かないように思います。
 今回、和歌山県が制定しようとしているこの安全・安心条例については、その中身を見ても非常によく考えられていて、特に地域全体で旅行者までも含めて安全・安心を確保しようとするのは和歌山の独創的なものであり、和歌山県という地域の考え方が明確に出ている、メッセージ性の強いものとなっています。これは伝え方によっては非常に宣伝効果も高いものとなり、例えば安全・安心和歌山アピールといったような感じでまとめて、条例の構成を示す内容についても、最初にわかりやすくシンプルに幾つかの項目をまとめて提示する、そして発表時には、できるだけ知事が直接県民に語りかける、そういった演出を少し考えることで大きく効果は変わってくるように思います。
 ぜひ、今回の条例の広報啓発活動においては知恵を絞り、インパクトのある打ち出し方を考えていただきたいと思いますが、これは知事の御所見を賜りたいと思います。
 最後に、まちづくり三法の改正とコンパクトシティーについて。
 昨年の十二月二十四日、日経新聞で次のような社説が掲載されていました。「自治体のまちづくりに対する自覚さえあればこんなことになるはずはなかった」、「言われるまでもなく地方都市の荒廃は放置できない状態になっている。郊外地域が無秩序に開発された結果、お年寄りには住みにくく景観上も醜い街になってしまった」、しかし、「この惨状を招いた本当の原因は、自治体を筆頭に住民、さらには商店主たち自身がまちづくりや自治への自覚を欠いていたことなのである。 今回の『まちづくり三法』改正の柱は都市計画法の改正である。にもかかわらず、そこでは日本の都市計画への反省や将来ビジョン、住民参加や情報開示のあり方など原点に戻った議論は全く行われず、中小商店街団体の政治要求だけが目立った」、このままの「大型店規制に頼る見せかけだけの都市計画では中心市街地の復活が望めないばかりか、地方都市全体が衰えていくおそれも極めて大きい」。これは、すぐれた見識だと思います。今回、私は、町づくりの基本に立ち返って、そのビジョンについて議論させてもらいたいと思っています。
 政府は、先月二月六日の閣議で、まちづくり三法のうち都市計画法改正案と中心市街地活性化法改正案を決定しました。今国会に提出され、二〇〇七年度にも施行される予定となっています。
 まちづくり三法とは大規模小売店舗立地法と中心市街地活性化法、都市計画法の三つを指しますが、その中で、今国会の政府の対応としては都市計画法と中心市街地活性化法の二法を改正の対象としております。今回の見直し議論の中では、都市計画法の見直しに伴う商業施設の規制に関する議論が盛んになっていますけれども、私はあくまで、町づくり、将来の地域の姿を根本から見直すことが主眼となるべきであり、そこではこれまでの経済成長、人口増加に支えられた地域づくりの抜本的な見直しが迫られているものと考えます。そういった視点から、今後の県の取り組みについて幾つかの質問、提案をさせていただきたいと思います。
 ポイントは、人口がふえ続けることを想定した町づくりから、人口減少社会に合わせた町づくりへの政策転換です。その参考になる事例として、先日、県下の市町村が今後進める都市計画、地域づくりのモデルとなるものと期待してコンパクトシティーを基本理念として持つ青森に行き、現地を見てまいりました。
 青森市は、平成十一年に都市計画マスタープランを策定する中で、その基本をコンパクトシティーの形成と定めて、土地利用の用途制限、助成制度などにおいて先進の取り組みを行っています。今回の国におけるまちづくり三法の見直しも、その根底にはコンパクトシティーを一つの理想とする都市計画の転換があると言われています。
 そもそも、コンパクトシティーの概念については、一九九〇年以降、欧米先進諸国において持続可能な都市のあり方として活発な議論が展開されてきています。一九九二年には、リオデジャネイロで行われた世界環境会議の中で、コンパクトシティーの考え方をもとに資源や環境を守りながらどのように都市は整備されるべきかといったことが問題提起され、世界じゅうに大きな影響を及ぼしています。イギリスでもサッチャー政権時に、シティーチャレンジとして新たな都市計画策定の働きかけを強める中でも重要視されてきました。
 「コンパクトシティー」という言葉自体は、アメリカの都市計画建築家の専門家であったダンツィクとサアティが一九七三年に記した共著で初めて用いられています。(資料を示す)これがその原書の翻訳本ですけれども、もう絶版本になっていて、なかなか手に入れられないところを県立図書館でちゃんと所蔵してくれていまして、今回やっと見つけることができました。
 その翻訳本については、「コンパクト・シティ 豊かな生活空間 四次元都市の青写真」といった論文が現在のコンパクトシティー論のルーツと言われています。これを読んでみると、単に学術的な記述に終始することなく、挿絵もたくさん挿入されていて、ある面では、近未来の人間の生活様式を言い当てようとするSF小説的なおもしろさもあるものです。そこではさまざまなコストを抑える最大効率化された一つのモデル都市が描かれていて、かつゾーニングの徹底から自然との調和も重視した、人間が人間らしく生活するための理想郷が描かれています。
 現在は、日本でもコンパクトシティーの発想は活発に議論されるものとなっていて、その考え方は、都市の拡大により住宅地をふやし続け、人口を増大させる方策をとってきた従来の都市政策とは正反対の発想となっています。
 今、多くの地方都市では、かつて活気にあふれていた中心市街地の面影がなくなり、車社会の進展、人口の郊外流出、大型商業施設の郊外への出店に加えて、病院、学校といった公共施設までもが郊外に出ていくようになった結果として中心市街地のにぎわいを奪い、地域の衰退を招いたとして、改めて中心市街地再生に向けた機運が高まる中でコンパクトシティーによる新たな町づくりが議論されています。
 さて、そういった中で青森市の状況についてですが、青森市は郊外開発を進めてきた従来の都市政策の反省に立って、コンパクトシティーづくりとして、商業、職場、住宅、学校、病院など、さまざまな機能を都市の中心部にコンパクトに集中させることで都市の活力を取り戻そうとしています。青森市の試算によると、一九七〇年から二〇〇〇年まで、この三十年間に市街地の中心部から郊外に人が流出している。これは一万三千人流出しているんですけれども、その一万三千人を受け入れるために、道路や下水道などのインフラ整備により約三百五十億もの行政コストをかけてきた。また、青森市の場合は、日本有数の豪雪地域でありますので、市街地が郊外へと拡大し、道路延長が増加した結果、毎年除雪費にも大きなコストがかかり、昨年は約三十億円の費用がかかったということです。
 そこで、このように増大する行政コストの削減、郊外のスプロール化や中心市街地の空洞化を食いとめるために、大きくは、無秩序な市街地の拡大抑制と、もう一つが町中の再生という二つの視点に立ってコンパクトシティーを実現するための諸施策を立案しているということでありました。
 具体的に、青森市が進めるコンパクトシティーとは、これもお手元の資料を御確認いただきたいのですが、(パネルを示す)これが青森市の都市の全体を計画している様子を示しているものでありますけれども、このコンパクトシティーとは、市内をインナー、ミッド、アウターというふうに三つに分類して、各ゾーンごとに交通体系の整備方針を定め、町づくりを進めている。これ、上が海になるんですけれども、この赤い部分がインナーと言われる地域で、これは昭和四十五年ごろに市街地となっていたエリアで、町並みの老朽化が進む密集地を含む地域であり、都市整備を重点的に行って市街地の再構築などを進めるエリアとして指定しています。
 次に、真ん中の緑の部分、これはミッドと呼んでいるらしいんですけれども、インナーとアウターの中間の地域で、多くが低層の住宅地となっていて、一部を今後の住宅需要などに応じて良質な住宅の供給を行うストックエリアとしています。
 アウター、この下の部分の白いところですけれども、アウターは外環状線から外側の地域を指して、都市化を抑制し、自然環境の保全に努め、特にこの青い点線から外の開発については原則として認めないということにしているそうです。
 また、同時に青森市では中心市街地の活性化にも力を入れていて、平成十三年一月に青森駅前再開発によって地下一階、地上九階建ての「AUGA」という商業施設をオープンさせています。これもここに写真を載せているものですけれども、写真が、ちょうどこの真ん中が中央商店街、中心市街地の商店街になって、右側にあるところがAUGAという建物なんですけれども、これは地下一階、地上九階建てのビルで、地下に生鮮市場──これ、地下にあるんです。これ、ビルの中にこの中央市場──よく和歌山でもありますけれども、そういう市場が地下一階に実は配置されていまして、私も行って驚いたんですけれども、これがすごく実は全国的にも有名になっていまして、そういった生鮮市場、上層階には市の図書館、中間階には商業施設や公共施設が入居して、中心市街地ににぎわいが戻ってくるきっかけとなっているそうです。また、駅前の再開発地区にはケアつきの高齢者対応マンションが完成するなど、ここ数年で中心市街地のマンション建設が急増して中心地のにぎわいが徐々に戻ってきているということでした。確かに、私も昼夜とその商店街の周辺を歩いてきたんですけれども、地方の中心市街地には珍しく非常に活気にあふれる状況があるなというふうに率直に感じました。
 今、大きな岐路に立つ地方都市においては、その拡大路線を転換して実績を残している青森市の取り組みは、新たな町づくりの方向性を確実に示していると思います。実際に青森市では、市内中心部において二〇〇六年末までの五年間に分譲マンションが十二棟建つ見通しとなっている、中心市街地の二〇〇五年の人口は、二〇〇〇年と比較して五年間に四・八%ふえるものとなっているという説明を受けました。
 このような調査を進めてくる中で、私自身は、今後、少子高齢化の進展、人口減少などを前提とする社会の到来が現実となる地方都市において、これまでの町づくりの手法を見直す一つの回答としてコンパクトシティーがあると強く感じています。我々は、これまでの高度経済成長、人口増加時代における右肩上がりの都市計画の発想、そういった頭を根本的に切りかえなくてはならない時期に来ている。今こそ、地域の未来に責任を負って県政運営の現場で新たな町づくりにチャレンジすることが期待されているんだと思います。
 そこで、幾つか質問さしていただきます。
 今後、県内各自治体においてもコンパクトシティーといった概念に沿った町づくりは非常に有効なものになると考えます。また、これは環境先進県を目指す和歌山県にとっても、省エネルギー、効率化といった視点で、エコシティーといった概念にも結びつくものであります。そこでは、県がリーダーシップをとる中で、県下の市町村と連携してコンパクトシティーといった理想を掲げた共通のシナリオを考えていくことは和歌山県全体としても地域の価値を高めることにもつながるものと思いますが、まずこのコンパクトシティーの有効性について知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今回のまちづくり三法の改正により、各都道府県でもさまざまな動きが出ています。今月に入って、この三日の日に北海道議会で高橋はるみ知事は、道独自のガイドラインを策定する方針を明らかにしています。福島県では、郊外の大型店の出店を規制する条例を定め、また富山県なども県独自のルール化に向け、検討に入っているようです。土地利用の新たなルールづくりなど、全国の都道府県でもさまざまな動きが出てきている状況にありますが、ガイドラインの作成、条例化といった動きについて和歌山県の取り組みの見通しを、これは商工労働部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、今回のまちづくり三法の改正について、私は最初も少し触れましたが、これはあくまで経済規制の側面からの視点ではなくて町づくりの転換といった視点から大いに評価するものですが、和歌山県として今回の法改正の動きをどのように見ているのか、県土整備部長にそのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて、今後は県下各市町村においても、新たな人口減少時代に即した都市計画を早急に整備し直す必要があります。二十年、三十年前に策定された都市計画、計画決定の打たれた道路を今も一日千秋の思いでつくり続けている──これは笑い話となってしまいます。私の選出されている和歌山市においても、市街地の拡大といった部分では笑えない話がたくさんあります。
 今、そういった取り組みをほうっておけないといった認識から、今回、国としても法改正を進めているわけですが、そこで県としてのリーダーシップも今後問われるものとなります。今回のまちづくり三法の改正をきっかけとして、新たに市町村が取り組む都市計画の策定などについては、県が主導的な立場で県下全域の取り組みにも積極的にかかわり、新たに描き直される都市計画の中にコンパクトシティーの理念を浸透させた、それでありながら和歌山独自の和歌山モデルといったものを打ち出すこともできるのではないかと私は考えていますが、これも県土整備部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、今回のまちづくり三法の見直しの中では、中心市街地の活性化に意欲的に取り組む自治体を政府が認定し、重点的に支援するとしています。これは、ある意味、国による選択と集中を強化する取り組みであり、あくまで意欲のある自治体だけを優先的に支援していくとしています。ただ、認定取得に向けては、それぞれの市町村単独ではなかなか大変な作業になると思われる中で、そういった県下の自治体が取り組む作業を県が先導する役割も期待されますが、どのような対応を考えておられるのか。これもあわせまして、県土整備部長の御認識をお伺いしたいと思います。
 以上で、私の一問目を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 安全・安心のまちづくり条例についてインパクトのある打ち出しをということですが、この安全・安心のまちづくり条例については、今非常に大事なことということで今議会に提案しているということで、これは審議会なんかを通して非常にいい内容になっていると思います。
 御質問にもありましたように、例えば、和歌山は観光ということを非常に大事な要素として打ち出しているわけだけど、旅行者の安全・安心というふうなことまで入っているということで、これは非常に特色あるわけですが、そういうふうなものができても、この手の条例はできたことすら知らない人がほとんどというふうなことになりかねないということがあろうかと思います。
 どういうふうな具体的な打ち出しの仕方をするかはこれからの対応になると思いますけども、できるだけインパクトの強い打ち出しを行って、県民の人によくわかってもらうようにしていきたいと思います。
 それにしても、この「心の東京ルール」というのを私は初めて見ましたが、なかなかいいことばっかり書いてあるんで、これ、本当に「心の和歌山ルール」というようなことで、これは教育委員会のあれになるかもしれませんけど、打ち出していったらいいなというようなことも思いました。
 それから、コンパクトシティーへの取り組みということです。
 今、まちづくり三法の関係では賛否いろいろあって非常に大きな問題になっていますけども、今のままではよくないというふうなことがコンセンサスになりつつあるんだろうと思います。
 そういう中で、コンパクトシティーというのは私も初めて聞いたんですけども、和歌山県、特に和歌山市でも中心市街地の疲弊ということが非常に長く問題になってきていて、これはもう和歌山市だけじゃなくて、地方都市へ行くと本当にシャッターのおりたところがこれでもかというほど、ここまで来ているかというぐらい多くなってきています。
 ただ、そういうふうな中で一つ最近の新しいいい方向だなと思うのは、今までは郊外へ郊外へとマンションとか住宅とかそういうものが展開していたのが、都会でもそうですし、地方中核都市なんかでもそうだと思うんだけど、町の真ん中にマンションをつくって、そこで住みやすい町をつくっていこうという動きが出てきていること。それからもう一つは、例えば電気屋さんなんかでも、大きな郊外の量販店、これもう非常に栄えているわけですけど、一方では町の電気屋さんも、今までお客さんがなくなっていたようなところへお客さんが戻り出していると。これはどういうことかというと、値段はちょっと高いけども、後、故障したり使い方──デジタルデバイドと言いますけど、使い方がわからなくなったときに巡回してきたりしてくれて非常に頼りになると。特にお年寄りが多くなってくると、むしろ値段よりもそういうサービスの方がいいというふうなことで、またお客がやり方によって戻ってきているというふうなことがあるということを聞いています。
 こういうことが合わさってそのコンパクトシティーになっていくんだろうと思うんですけども、こういうことも、ただ単にそういうふうな現象が起こっているということを後追いしているだけではやはりよくないんで、そういうふうな先進地の事例なんかもよく見ながら、そういうものがどういうふうに和歌山県の中で取り入れていけるか、そしてまた、このまちづくり三法の動きとあわせてどういうふうに対応したらいいか、これを和歌山市なんかともよく相談しながら前向きに対応していきたいと、このように思っています。
○副議長(大沢広太郎君) 知事公室長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○知事公室長(野添 勝君) 県の広報についての御質問四点についてお答えいたします。
 まず、広報への取り組みについてでございます。
 県内においては県民の皆さんの御理解と御協力を得るために、また外に向かっては激化する地域間競争の中で本県がぬきんでるために、広報の果たす役割は非常に大きいものと考えており、そのためにさまざまな創意工夫を行っているところでございます。
 さらに新たな取り組みを進めるために、議員の御提案も踏まえ、和歌山県広報研究会をつくり、行政広報に詳しい大学教授や出版、宣伝、映像などの専門家五名を委員として、県広報のあり方やイメージメディア戦略などの提言、さらに県が製作している広報紙や広報番組などについての意見をいただきました。
 この内容は広範で示唆に富むのですが、行政広報のとらえ方や本県の広報への評価など、委員それぞれ違っており、行政広報の難しさを改めて実感したというのが率直な感想でございます。しかし、その中で、早速「県民の友」や番組づくりにおいて、知事のトップメッセージを多用したり各媒体間で同一テーマを取り上げて相乗効果をねらったりと、可能な限り意見を取り入れ、実践をしております。
 さらに、県外への広報につきましては、今後も東京事務所を活用した首都圏などでのパブリシティー体制の強化を行い、県外企業が本県立地に魅力を感じるような広報、観光を初め交流人口の増加につながるような広報など、一層多様なメディアを活用して広報力の強化に努めてまいります。
 次に、広報機能の位置づけの見直しと情報の総合調整システムの構築につきましては、全庁的な広報意識やバブリシティー向上のため、各部の広報担当代表者で構成する広報連絡会議を毎月開催しており、現在、平成十八年度の重点広報テーマの選定を行っているところでございます。月刊誌や新聞などの掲載実績も増加している中、今後も広報効果を上げるために広報連絡会議の強化と部局を超えたワーキング等も開催し、より横断的、戦略的な広報に努めてまいります。
 次に、県の重要会議への広報の参画についてですが、県政の方針を見据えた広報を推進することは大切なことでございますので、必要な協議の場に積極的にかかわってまいります。
 また、民間の広報スペシャリストの採用につきましては、行政広報はさまざまな分野にわたり、またその対象も幅広く多岐にわたるために民間企業の広報とは同一にはできない部分もございますが、有効な民間ノウハウの活用法について、議員御提案の公募も含めて研究してまいります。
 最後に、市町村広報との連携についてですが、現在、県と市町村の広報担当者で構成する県広報協会において情報交換や広報力向上のための研修会などを実施しておりますが、今後、この会の中で県と市町村の広報の連携のあり方について意見交換を行ってまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 映画制作への取り組みとフィルムコミッションを含めた観光局の体制強化ということで三点の質問がございましたが、初めにフィルムコミッションについてでございます。
 フィルムコミッションにつきましては、去る二月二十六日に県観光連盟内に設立をいたしました。観光連盟内に設立をした理由は、当連盟には過去に取材協力や撮影支援を行ってきた実績があり、また常時、市町村や市町村観光協会などと意思の疎通を図っておりまして、今後のフィルムコミッション事業を最もスムーズに展開していけると判断したためでございます。
 事務局の職員体制につきましては、担当者に加え、連盟職員全員が誘致担当者との意識を持って取り組む所存でございます。
 ロケを積極的に誘致するための経済的支援につきましては、地域のPRや人材育成、さらには観光客の誘致に及ぼす効果等を勘案し、地域振興施策や観光施策として支援する場合もあり得ると考えております。また、その際には、議員御発言のとおり、時期を逃さない対応が必要であり、そのための前提条件を今後検討してまいります。
 来年度の観光局の体制についてでございますが、首都圏や近畿圏からの誘客、さらには映画等の撮影や各種大会の誘致に一層積極的に取り組むため、東京における観光連盟の体制強化や市町村との連携強化に向け、所要の人員確保に努めてまいります。
 次に、まちづくり三法の改正に伴うガイドラインの作成、条例化の見通しについてでございます。
 大規模小売店舗の立地につきましては、立地が住民の生活環境や周辺環境、経済事情に大きな影響を与えるのと同様に、規制についても各方面にさまざまな影響を与えることから、慎重に対応すべきであると考えてございます。
 他府県では、大規模小売店舗の郊外立地に歯どめをかけるための条例やガイドラインを策定している例もありますが、今回の法改正は、現行三法の課題やそうした地方公共団体の動きも踏まえた上でのものでありまして、県としましては、法改正の趣旨に沿って中心市街地の活性化方策を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) まちづくり三法関連の御質問に一括してお答えをいたします。
 今回のまちづくり三法の法改正につきましては、中心市街地が衰退する傾向にある中で、都道府県の広域的な調整機能や大規模集客施設の立地等に着目したものとなっております。
 特に大規模集客施設の立地につきましては、原則、商業系用途に立地を限定し、それ以外の地域に立地する場合は都市計画決定の手続をとることとし、規制誘導の面を強化したものと認識をしております。
 次に、コンパクトシティーといった理念を共有する新たな都市計画の策定をリードすべきではないかという御指摘につきましては、コンパクトシティーの趣旨である中心市街地活性化等の観点から、都市計画行政の中で市町を指導してまいりたいと考えております。
 次に、国による中心市街地活性化基本計画の認定に当たりましては、市町が計画を策定する際に県が窓口となる事業が計画に位置づけされることが重要であると考えておりまして、適切に指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 まず、ちょっと広報の部門なんですけれども、広報の重要性は、公室長のお答えからももう重々認識していただいていると。やっぱり今、県庁内でも各部局でそれぞれにみんなが頑張って広報しようと。悪く言えば、ばらばらにやっぱりなっていると。実はその中でも、情報の受け手の立場に立った本当にいい情報発信と情報の受け手の立場に立たないものがある。
 その中で、いいものとして一つ御紹介したいのが和歌山の東京事務所が出しているメールマガジン、「TOKYO KEY STATION」というんですけど、私も自宅のパソコンで登録していまして、いつも送ってもらっている。県政の動きがすごくよくまとまっていまして、内容的にもおもしろいものになっています。
 特にこの六十三号というのが実はおもしろかったんでちょっと持ってきたんですけれども、県政の動きとしては、「木村知事と南部代表(パソナグループ)が対談」とか、「祝『環境賞』受賞」──地球環境大賞に和歌山県が選ばれましたとか、本当にうまく情報を整理して、しかも、そこからすぐに中身の内容にも飛べるようなリンクが張られていると。すごくおもしろい内容です。
 しかも、この編集後記の部分が実は物すごくおもしろかったんですけれども、六十三号の編集後記で「今回のトリノ五輪。最大の見せ場は、何といっても、フィギュアスケート女子! クールビューティ・荒川静香選手の華麗なフリー演技、金メダルは感動でした。気が付くと、オペラ『トゥーランドット』のメロディーを自然と口ずさんでいるなどいまだに余韻が醒めやらぬ今日この頃です。 そんな中、妙に頭に残るCMが・・・(私だけでしょうか?)。 荒川選手を起用した『金の芽が出る金芽米』こと、トーヨーライス『金芽米』。(中略)トーヨーライスは、和歌山市に本社をおく『東洋精米機製作所』の関連会社・・・。 やはり、元気な和歌山県の企業に出会うと、自然と、うれしい気持ちになってきます。 今後、ますます、和歌山県内から、多くの元気な企業が出ることを祈念して、第六十三号メルマガを終わらせていただきます」と。
 実は、こういうことが、本当に和歌山を好きで和歌山をみんなに知ってもらいたいということがすごく出ているメールマガジンだと僕は思い、毎回感心して読ましてもらっているんですけれども、こういったものが県のホームページと全然リンクしてないと。連携できてない。やっぱりこういう部分を総合的に、お互いに相乗効果を生むような広報活動をしっかりと進めていってもらいたいと思います。
 最後、都市計画の部分ですけれども、青森をまねしろということじゃ決してないです。ただ、これ、実は県の都市計画なんかでも読ましていただいても、この都市計画の最初のところに、序章とかで考え方というのは普通の文章で書いてるんですけれども、この最初にやっぱり理念というものが僕は必要やと。今回、コンパクトシティーというのも、人口増加、経済成長といった社会から今大きく転換されている時代に和歌山県としてどういう地域づくりを進めるかという部分において、やっぱりその理念をしっかりと和歌山県で掲げてもらいたいと。そこから地域の再生というのが進んでいくもんやと思いますので、ぜひそういうことをお願いして私の再質問を終わらしていただきます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十分散会

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