平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十八年二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十八年三月七日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十三人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     三十九番       阪   部   菊   雄
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    島       正   博
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
     医科大学学長     南   條   輝 志 男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。気分を落ちつけてやります。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、私は、京奈和自動車道の問題に限って、二点に絞り御質問をしたいと思います。
 まず、一点目の京奈和自動車道紀北西道路の促進についてであります。
 京奈和自動車道は、申すまでもなく、京都から奈良を通り和歌山を結ぶ延長百二十キロ、第一種第二級、設計速度百キロメートルの四車線の紀北地域を東西に走る高規格道路として、国土開発幹線自動車道などと連携し関西都市圏外周部の環状交通体系を形成するとともに、京都、奈良、和歌山の拠点都市間の時間短縮を図り、地域の連携を強化することで沿線地域の各種地域振興プロジェクトの支援、とりわけ一体的な近畿圏の形成に寄与し、また関西国際空港も二〇〇七年第二期工事が完成し、オープンいたしますが、大阪、神戸、大阪湾ベイエリア開発にも和歌山県北部地域が積極的に参画できる大変重要な道路でありまして、その完成、開通が一日も早く望まれるところであります。
 和歌山県側の道路進捗状況について、私の知る範囲で確認をしておきたいと思います。
 京奈和自動車道は、今申し上げました全長百二十キロメートルでありますが、和歌山県側としては四十・四キロメートルであります。そのうち、橋本道路として十一・三キロ、紀北東道路として十六・九キロ、紀北西道路として十二・二キロメートルの三つの事業区分に分かれております。十八年度も国の予算として二百億程度の予算が見込まれているとお伺いしております。県選出の国会議員を初め、知事、県当局、関係者の皆さんの大変な御労苦に対して、心から感謝を申し上げたいと思います。
 橋本道路につきましては、資料はありませんが、ちょっと頭の中に浮かべていただきたいと思うんですが、高野口インターから橋本インター、それから奈良県境の橋本東インターまでの暫定二車線で、ことしの春、供用の予定でありました。ところが、先般来御承知のように、垂井高架橋の損傷事故によりまして、高野口インター─橋本インター間、つまり五・六キロのみの供用となりそうであります。したがって、橋本道路全体の供用時期はまだ決まっていないと思います。この間、用地買収を平成四年から開始し、工事着手は平成十年から、そして現在に至っていると、そういう経過であります。
 なお、垂井高架橋の損傷に関する問題については、この後、別途質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 また紀北東道路、これは高野口インターから西へ向かい、紀の川市の神領、つまり県道泉佐野打田線のインターまでの区間ですが、現時点では、用地買収でこの進捗率が六〇%程度とお伺いしておりますし、工事は平成十八年度から着手の予定だとお伺いしております。用地の買収が完了して工事が完成、供用するのはいつのことか、今のところさっぱりわかりません。
 紀北西道路、これは打田インターから岩出インター──これは現在精力的に工事が進められております泉佐野岩出線との交差部でありますが、その岩出インターから雄ノ山にある和歌山ジャンクション──これは参考資料がありますのでお目通しいただきたいと思いますが、このジャンクションは阪和自動車道の大阪方面へ行くための接続部となっております。
 また、南進する、要するに和歌山、白浜方面へ行く乗り継ぎのジャンクションとして和歌山市弘西に予定されている、雄ノ山の向こうの和歌山ジャンクション──これは今申し上げた和歌山行きです──の間を紀北西道路として計画されております。この調査、設計あるいは関係機関との協議は今年度着手する予定とお伺いしておりますが、用地買収のめどや、あるいは工事着手のめどなど、お伺いするすべもありません。
 冒頭申し上げましたように、京奈和自動車道は紀北地域、紀の川流域を東西に走ります。一般国道二十四号線は、沿線の市街化などによりまして交通が大変集中し、日常的に渋滞が発生し、主要幹線道路としての機能を十分果たしていないのが現実であります。地域の皆様方は、一日も早く、ただ単に走る通過交通を排除して地域内の道路機能を回復し、他の主要幹線道路と連携して広域的な道路ネットワークの形成がなされることを強く望んでおられます。
 一方、大阪府と接している地域として、南北道路の整備もまた大変重要であり、その整備も急がれているところであります。
 紀北地域と大阪府間の南北にある連絡道路には、大きくは、泉佐野岩出線、泉佐野打田線、国道四百八十号線、それから橋本を通っております国道三百七十一号線などがあります。それらの主要道路におけるすべての道路で、和歌山県側としては最大限の資本を投入し整備がなされており、大変ありがたいことだと感謝しておりますが、肝心の相手側、つまり大阪府側の対応には歯がゆさを禁じ得ません。逼迫する厳しい大阪府財政の中、南の外れ──和歌山県は玄関だと思っていても、向こうはひょっとしたら通用口か勝手口ぐらいのことしか思ってくれていないかもわかりません。その南の外れの和歌山県境のことまで手が回らないのが実情で、無理からぬところもあるかもしれませんが、府県間道路の整備を強く期待したいものであります。
 いろいろ申し上げましたが、これから私の申し上げるのが本番でございますので、特に御清聴いただきたいと思います。
 京奈和自動車道の橋本道路は、先ほどの垂井高架橋のトラブルがあって供用開始がおくれるものの、渋滞が激しい国道二十四号線のバイパスとしての先行整備は大いに期待されるところでありましょうが、一方で、和歌山県の浮揚、発展については、開発の可能性を有する紀の川流域、特に岩出、紀の川市を中心とした紀北地域のポテンシャルを高めることが不可欠であると、私は確信を持っております。
 幸いにも、泉佐野岩出線については、格段の県のお取り組みをいただき、国道二十四号バイパスの備前というところから峠を越えて府県境の国界橋までは和歌山県側として、お伺いしますと約三百億余りの巨費を投じていただき、完全四車線化の供用のめども十九年度中にはかなうものとお伺いしております。ただし、今、行きのトンネル一本で、帰りのトンネルについては次の段階であります。特にこれに関して、県土整備部あるいは地元那賀振興局の、いろんな難しい問題があったにもかかわらず職員の一丸とした御努力に感謝を申し上げたいと思います。
 知事、次はぜひこの整備された泉佐野岩出線と京奈和自動車道の雄ノ山から岩出間のその紀北西道路の、しかも西からの早期着工を国に対して強力に働きかけをしていただきたいと思います。議会としてもまた、京奈和自動車道建設促進議員連盟の門会長以下、皆様方にも格段のお力添えをお願い申し上げるのは当然のことであります。
 申すまでもなく、道路整備の地域に与える開発効果は、幹線高速道路との接続、一体化してこそ機能は何倍にも拡大いたします。高速道路は、県民生活にも深く密着、定着しています。和歌山県北部にあって、阪和自動車道を目と鼻の先に眺めながら和歌山ジャンクションに乗り込みがたい地域の人口を見ますと、和歌山市河北部、岩出町、紀の川市、伊都郡、橋本市、海南市東北部、紀美野町など、大方二十五万に近い県民が岩出インターからの乗り入れを待望していると思われます。また、岩出、打田、粉河、桃山、貴志川、あるいは近隣地域には、多くの企業も進出されてきています。それらの多くの企業の方々も、幹線高速道路への接続を熱望されていることと思います。
 関西国際空港の第二期工事も順調に進み、二〇〇七年度から供用も開始されます。関西の将来、特に空港三十分圏内に位置する和歌山県の将来は、中国を初めとするアジア諸国との関係が大きく影響することは明白であります。
 こうした視点に立てば、時間、距離、土地利用の可能性、人、物の流動など、関西国際空港に近接した和歌山県北部の県勢浮揚、発展のかぎを秘めた紀の川流域への高速道路の導入、つまり雄ノ山ジャンクションから岩出インターチェンジ方面への先行整備が急がれるゆえんであります。
 なお、蛇足ですが、図面でもごらんのように、岩出インター─雄ノ山はすべて和歌山県領であって、たったわずか三・二キロの至近距離にあります。
 知事、この件に関して、従来どおりの東からの全線早期完成への働きかけも大変重要でありますが、この際、紀北西道路、特に雄ノ山の和歌山ジャンクションから岩出方面への西から東への先行整備への取り組みも大変重要だと考えますが、その重要性についての御認識と、また、今後どのようにお取り組みいただけるか、特段の御配慮をいただけないものか、御所見をお伺いいたします。
 二問目の問題に入ります。
 垂井高架橋損傷事故から波及した和歌山県産の和泉砂岩の風評被害についてであります。
 ことし一月十一日、京奈和自動車道建設促進議員連盟、門会長以下所属議員、県側から宮地県土整備部長以下関係者多数で、問題の橋本東部にかかっております京奈和自動車道垂井高架橋の現場の視察に行ってまいりました。
 当日、国土交通省和歌山河川工事事務所の大槻所長から、垂井高架橋の概要書と、平成十七年九月十二日に作成されました、ここにありますが、垂井高架橋損傷対策特別委員会の中間報告書をいただき、橋脚間の箱げたのたわみや、あるいは両端のアバット──両端のあの部分はアバットと言うんですが、アバット部のシュー部分にある耐震ゴム、ごらんいただいたと思うんですが、橋の中心に、この報告では数十ミリとなっていますが、現在は七十ミリほどあるそうですが、引き寄せられているあの様子を見て、びっくりいたしました。皆さんも大変驚いたことだろうと思います。
 その後、私は私なりに、この中間報告書を何度も読み直しました。報告書の至るところで、コンクリートのひび割れが極端に多いこと。このことについては、ある意味では、後で御説明申し上げますが、PRC構造ということになっていますので、箱げたの鉄筋量が大変多い。というのは、耐震性確保の視点から、多量の鉄筋を使用している。通常の仮枠との体積比では、〇・五%ぐらいのところらしいんですが、この場合は五%を超えているほど、つまりふだんの約十倍ほどの鉄筋量を使用しているために、コンクリートの乾燥収縮が鉄筋の収縮の係数と異なりますので、鉄筋によって拘束されてひび割れが発生したと。そのひび割れがたくさん各所に分散していると考えられると、そういうふうに報告書ではなっております。
 一例を挙げまして、この対策はどうしたらいいんだということになりますが、このひび割れのことについては注入工法というのがありまして、可能なひび割れについてはエポキシ樹脂などによって注入すれば──高架橋本体の設計耐用年数というのは五十年というふうにうたわれていますので、その間、ひび割れについてはこういうことで対応できますよと、一例ですが、こう書いています。
 問題は、橋脚間の箱げたがなぜ垂れたかという問題なんです。この報告書には、コンクリートの自己収縮、乾燥収縮が予想値をはるかに超えていたと。そのコンクリートに使用している粗骨材、つまりグリ、これ「和泉砂岩」という表現はないんですが、当然和泉砂岩を指摘しているんですが、その石に自己収縮、乾燥収縮を大きくする特性があったと推定されるとあります。この報告書の至るところにそういうことが書かれております。
 私は、この中間報告書を作成されました委員長、長岡技術大学の丸山先生を初め、東京工業大学、東京大学、京都大学のいわばその道のエキスパートである大先生と論議するつもりは、そんな知識も能力もありませんから全く思ってませんし、まして国交省とも渡り合うつもりも毛頭考えておりませんが、予想以上に収縮した、縮かんだはずのコンクリートが何で垂れるんやということが私にはどうしてもわかりません。
 中間報告の資料をちょっと添付さしていただいています。ごらんください。──「収縮による桁の変形」とありますが、橋脚間の箱げたの自重で、そのしわ寄せとして引き寄せられて、先ほど申し上げました両端のアバットのシュー部分のゴムパッキンが中心に引き寄せられたと、私は思うんですね。
 この事案があって、私はあることを思い出しました。話は少し横道にそれますが、私は東京オリンピックのときに東京に住んでおりました。昭和三十八年ごろだったと思います。ちょうどオリンピックの前の年です。神宮外苑のそばにある高速道路の建設現場でのこと。今まで通っている現道の上に十メーターぐらいの立体の高架橋を新設する工事で、橋脚間の一スパンがコンクリートを打っている最中に陥落したんです。普通では考えられない事故がありました。これは、有名なスーパーゼネコンの施工でありました。不幸中の幸いでしたが──ちょうどその下を宮内庁の車が通りかかったとこだったんで問題が大きくなったかもしれませんが、ただ人命には関係なかったような記憶であります。だから、波及事故というのはなかったと思います。たかが十メーター上の、しかも足場のしっかりしたとこでポストを立てて、その上のコンクリートを打っている最中にスパンが落ちたということが頭をよぎりました。
 話をもとに戻します。橋脚間の箱げたのコンクリートを打設する場合は、その足場、それを支保工と言いますが、垂井高架橋の高いところでは地上三十二メーターあるんです。その上に何百トンもの生コンが乗ります。聞いた話では、一日に大型生コン車五十車ぐらい行ったということでありますから、あれは五立米は入っていますから、一日に二百五十立米ぐらい打ったと仮定しますと、立米二・五トンですから六百二十五トン、生コンだけでも六百トンから七百トンある。そこに、先ほどから申し上げました多重鉄筋構造ですから、鉄筋がたくさんある。恐らく七百トン、八百トンという、そういう重量がいっときに乗るはずなんです。そのサポートする支保工が三十二メートルありますから、支保工自身の重量で下がることもあるでしょうし、つまりたわんだり沈んだりすることは当然なんですが、それを見越して、その分と、それから、箱げたが打った後垂れますから、その分を少し上へ乗せとかなあかん。これを専門用語では「上げ越し」と言うらしいんです。つまり、かまぼこの背中みたいにむくらしとくわけですね。そういうことをして打って落ちついて水平になると、そういうことになってるんですが、この報告書には、その上げ越し量をどんだけにしたとか、支保工の、鋼材を使っていますが鋼材の強さとか、あるいは出来形、よかったとか悪かったとかというような施工的な要因に影響することについては、施工状態が全く計測されたり記録されていないと、こういうことなんです。だから、この橋の結果に対する影響については、その影響があったかなかったかというのは確認できなかった、こういうことなんです。
 それとまた、今申し上げたコンクリートを打つときには、コンクリートの強度は全くゼロでありますから、べたあっと七百トン、八百トン、もっとかもしれません、その重量がまるっきりかかるわけです。その初歩の初歩と私は思いたいんですが、施工現場で最重要視されるべき肝心の支保工のデータが全くないとは、本当に私には理解できません。
 それから、またさらには、生コン業者さんが現場へ行くときには必ず提出書類があるはずなんですが、そのコンクリートの配合記録さえ工事請負企業にはないため確認できなかったと、この本には明記されております。一ページから終わりまで、不信感いっぱいであります。
 打った後、橋の上部から抜き取ったコンクリートの試験片を用いた結果も、あわせて記載されております。これについては、試験をした限りでは設計強度よりはるかに強いコンクリートが打たれてあると、こう書いているんです。設計予定値より五割も九割も強いコンクリートであったというふうに一方では書いてくれている。また、コンクリートというのは圧縮に強いのがすべてなんですが、引っ張り強度もしたけども、これも予測値より七割も十二割も強かった、だからコンクリートについては全く問題なかったと、こっちはこうやって書いているんです。
 しかし、垂井橋のこの損傷には、何らかの原因があったから、こういう結果になったはずなんです。その事故を受けて、先ほど申し上げました大学の教授など、そうそうたるメンバーで特別委員会をつくったんやから、何らかの結論を出さないといけない。そういうときに、やっぱりどうしても弱い立場のところへ結論を誘導しようとしているようにしか、私には思えません。
 和泉砂岩は、立派な県産品です。JIS規格も、ここに資料がありますが、高い数値でパスしておりますし、またさらには生コン出荷工場も、当然、JIS規格でありますから、その厳しいJISにのっている以上のいろんな厳しい試験をパスしなければ出荷できません。今日まで県内はもとより至るところで何十年もの間、あらゆる地域で数多くの公共建物や橋梁が、この和泉砂岩を使ってつくった生コンクリートでつくり上げてこられました。どこか曲がったり縮かんだり折れたりしたというような問題を聞いたことが、皆さん、あるでしょうか。ありません。
 昨年の八月十二日付の「日経コンストラクション」という建築雑誌があるんですが、そこにもこう載っています。垂井高架橋の件が載り、国交省の関東地方整備局では、この事故以来、PRC構造を本格的に採用する段階に至っていなかったということもあって、去年三月からPRC構造の採用を控えている、たまたま工事の発注が終わった段階であっても、施工前であればPC構造へと設計を見直すことにした、こう書かれている。
 また、ことしの二月十三日、日本テレビのNEWSPLUS1、「大注目 憤激レポート」という番組で、夜六時十七分から約二十分間、垂井高架橋のことについて関東エリアだけで放映されました。なぜ問題の関西エリアに放送しないのかという意味はよくわかりません。私も、後日、ビデオを見せていただきました。放映された番組では、砂利を批判するような内容は一つもありません。高架橋の欠陥については、その原因としては工事の発注方法に問題があるという結論にその放送ではなっております。幸い、県土整備部長も現場へ同行していただき、あるいはまたこの報告書もごらんいただき、吟味していただいたことと思います。
 こんなに多くの問題を含んだPRC構造の橋梁工事のために疑いをかけられ、あらぬ風評が流れ、前年度とことしの対比を見ても現時点で約十万トンもの出荷量が極端に落ち込み苦しんでいる和泉砂岩を生産している県内事業者のためにも、和歌山県として、今後、県発注の公共事業において影響が出ないようにどのように対応していただけるものか県土整備部長にお伺いして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 京奈和自動車道の整備促進についての御質問でございます。
 京奈和自動車道は和歌山県にとっても非常に大切な道路で、幸いなことに、ここ四、五年、非常に多くの予算がついて、橋本道路、そしてまた紀北東道路とだんだんと整備が進んだり用地の買収が進んできているところでございます。
 ただ、御質問にもありましたように、道路というのは物すごい時間がかかるというふうなことがあるんで、百年河清を待つということでは困るわけで、実際に住民の人の役に立つ部分から早期に着工し、そして供用開始していくということも、私は物をつくる上での非常な知恵だろうというふうに思っております。
 そういう中で、紀北西道路、特に岩出と雄ノ山の間は高速道路とそしてまた泉佐野岩出線、これの整備が非常に進んできているんで、ここがうまくつながれば──京都まで行けば一番いいんだけど、そういうことじゃなくて、非常に地元に有益なものになるという認識は私も持っておりまして、かねてから国の方へもこの西の方、必ず東から全部やらないといかんということじゃなくて、西の方からの着工ということも要請してきたところですけども、ただいまの御質問の趣旨も踏まえて、これからもそういうふうな方向で、しかもその有用性というようなことを具体的に示しながら要求していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 和泉砂岩の問題についてお答えをいたします。
 県発注工事においては、設計書に計上する材料のうち、品質規格を満たすものが和歌山県産品で確保できる場合にはそれを優先的に使用するよう請負者に対する努力義務規定を設け、県産品の活用促進に努めております。
 また、生コンクリートにつきましてはJIS規格が設けられており、この規格の中では骨材の品質についても規定されております。県が発注する工事においてはJIS規格に適合した生コンクリートであれば使用を承認しており、今後ともJIS規格に適合すれば使用を承認してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十一番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 京奈和自動車道については、知事の力強い取り組みの姿勢を感じました。よろしくお願い申し上げたいと思います。
 知事は本会議で、冒頭の所信表明の中で、地域自体の力、地域力を高めたいというふうに申されました。私も、性格上ちょっとくどいんかもわかりませんが、重ねて申し上げたいのは、雄ノ山ジャンクションからのアクセスが早期に実現すれば、紀の川エリアから近畿エリアへの内から外への出向きばかりではなく外から紀の川エリアへの企業誘致の大きなセールスポイントにもなりますでしょうし、また歴史・文化の薫りの高い根来、粉河あるいは華岡青洲の里初め、世界遺産の高野・熊野、あるいはまた自然環境、いやしを求めて訪れる観光の誘客効果にもはかり知れないほどの経済効果をもたらすと思います。これこそ紀の川エリアの地域力を高めるための起爆剤になること、間違いありません。
 東からの工事進捗が今の状況であれば、まことに残念ながら、岩出、雄ノ山へ来るのは二十年ぐらい先になるかもしれません。ただただ手をこまねいて見てばっかりはいられません。
 知事、重ねて申し上げますが、特段のお取り組みをいただきますよう、心から強く要望いたします。
 垂井高架橋の報告書の例の件でありますが、先ほども申し上げましたが、私なりに──これはどこからもメールをいただいていません──私なりに勉強する限り、見れば見るほど、読めば読むほど不可解さが募ります。損傷事故の発覚は、ひびがあちこちにあるからおかしいぞということで、調査する過程でたわんだのがわかったと。そんなばかな話はないんですが、現実はそうだと、そう書かれています。そのたわみの発生した時期を特定するデータも、例によってありません。施工中も工事完成した後も計測されていないと明記されているんです。だから、何にもしてない。こういうほんとに歯がゆい思いがします。
 ひび割れが多数発生したという原因は、先ほど申し上げました。過密鉄筋と型枠、いずれの部材にも見合ったコンクリートを使用していなかったため、十分コンクリートが回ってないんです。だから、テレビの放送でもありました空洞、コツコツと音するんです。そういうような組み合わせができてなかった。それから、垂れたもう一つの原因は、プレストレスと言いまして、あの中にピアノ線をよった線を引っ張って、それで垂れる橋を持ち上げてるわけ。そのプレスト量の見積もり、どんだけあるかというような、要するにトータル的な設計としての整合性が必ずしも一致していなかったということを要所要所に記述されております。
 また、先ほど来申し上げています施工の工程上、その都度その都度の大変重要であるはずの計測上のデータが確認されていない。したがって、本工事への影響を推定できるものはありません。私も多少なりとも現場を知っている者の一人として、工事の着手前には工事予定あるいは施工要領書、計画書というのが必ず出てるはずなんです。
 また、慎重な施工管理をしていれば健全な構造物を建造することが十分可能であったとも記述されているんです。これは私なりの調査ですからどっかからクレームがつくかもしれませんが、たまたまこの施工された業者さんにおいてはPCというプレストレス専門の橋のメーカーですが、RCと鉄筋とマッチングした橋のPRC構造の施工実績を調べましたが、私の知る限りの中には確認できませんでした。
 いろいろ申し上げましたが、私には余りにもたくさんの問題点がある、と思われているんですよ。そういう報告書のために苦境に立たされている、先ほども申し上げました弱い立場にある砂利砕石生産協同組合の皆さん、それから、そのまた和泉砂岩を共同購入して──生コンのプラントの中に入れ物があるんですが、ビンというらしいです、そのビンいっぱいに和泉砂岩を詰め込んでいる紀北生コン共同組合の皆さん方のやんどころないこの悩み、不満を払拭するためにも、また県産品の販路拡幅、従業員の雇用確保や、あるいは地域経済の活性化を図るためにも、外に向かって、特に国交省あたりに向かって知事にトップセールスでもしていただけたらなと思うんですが、これは立場上いろいろ問題あるでしょうが、そのことを知事に強くお願い申し上げて、御清聴いただきましたが、私の発表を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、格差社会への対応についてお尋ねいたします。
 「勝ち組」「負け組」との言葉にあらわれているように、改革の進行に伴って競争至上主義の社会へと押し流され、社会の二極化、すなわち格差が広がっているのではないかと言われております。生活保護世帯数や貯蓄残高ゼロ世帯数の増加などにもあらわれているように、私たちが現場で感ずる生活実感として、都市と地方、大企業と中小企業、中高齢者と若年者などの間では格差は確実に広がっています。
 本県においても、人口減少率ワースト二位。昨年十二月の有効求人倍率は〇・七三倍で、近畿圏ワースト。ちなみに、愛知県一・六一倍、東京都一・五四倍、大阪府一・〇九倍となっており、都市部では一倍台を十三年三カ月ぶりに回復。雇用が改善されていない県に共通している点は、公共事業への依存度が高いというところであります。一方、本県においても、生活保護人員も一九九六年度を境に急速に増加しております。
 皆様御承知のように、「下流社会」「希望格差社会」というタイトルの本が今話題になっております。「下流社会」の本の中で、「『下流』とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ」。これは、下流社会の「はじめに」の記述であります。下流社会とは具体的にどんな社会で、若い世代の価値観、生活、消費は今どう変わりつつあるのかを著者が豊富なデータをもとに書き上げたものであります。
 一方、「希望格差社会」という本の内容は、職業、家庭、教育、そのすべてが不安定化しているリスク社会日本で勝ち組と負け組の格差がいや応なく拡大する中で、努力は報われないと感じた人々から希望が消滅していく、将来に希望が持てる人と将来に絶望している人の分裂、これが希望格差社会であるとしております。
 格差は、経済格差だけではなく意識の変化にも及び始めているとの見方もあります。格差が大きくなれば、社会の活力は低下し、安定も損なわれてしまいます。新時代の日本を築くため今後も改革は必要であり、改革に痛みが伴うことが避けられないのであれば、私たちは格差の縮小、解消に努力するとともに、敗者復活が容易な社会に、そしてセーフティーネットを盛り込んだ改革の遂行に、これまで以上に力を入れて取り組んでいかなければならないと思うわけであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 格差社会に対する知事の認識とその対応策について、御見解を承りたいと思います。
 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。
 内閣府の国民生活世論調査では、あなたの生活程度は世間一般と比べてどのくらいですかとの問いに、上中下とありまして、中の中と答える人が一九九六年では五七・四%でありました。これが、二〇〇四年は五二・八%に減っております。いわゆる中の中と答えた人が減ってきている。逆に、中の下は二三・〇%から二七・一%にふえております。上中下の、そのまま下流という下の分ですけれども、下は五・二%から六・五%に微増しており、中の下と下を合わせますと、二八・二%から三三・六%にふえたことになります。特に、団塊ジュニアと言われる三十歳から三十四歳の男性の下が三九・八%であります。「下流社会」の著者、三浦展氏の調査によりますと、団塊ジュニアの世代の男性は四八%が下流社会としております。一九九六年を境として、確実に社会の二極化が進んでいることがうかがえます。
 団塊ジュニアや若年層において下流階層が増加することは、勤労意欲や生活能力の低い人がふえることになります。そのことは、未婚のままでいる確率が高くなる一方、婚姻世帯の出生数にも影響を及ぼし、少子化に拍車をかけることになります。ちなみに、本県の婚姻率は全国三十八位、出生率は四十四位、離婚率は七位となっております。
 そこで、若年者が将来に希望を持ち、子供を産み育てやすい環境を整えることが重要であると思います。将来に、また生活に希望を持って生きていくためには、まず職業につくことであります。県内には、仕事探しや就職に関する相談など役立つ情報を提供してくれる施設は、ジョブカフェ・わかやまを初め、NPO法人などの就職支援施設があるわけであります。
 一方、ニートやフリーターなどの若年雇用への国の積極的な取り組みが始まり、国及び関係機関にはさまざまな支援策が用意されております。例えば、厚生労働省の若者自立塾であります。若者自立塾とは、就労することができないでいる若年者に対し、合宿形式による集団生活の中での生活訓練、労働体験などを通じて社会人、職業人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図るとともに、働くことについての自信と意欲を付与することにより就労等へと導くことを目的としています。平成十七年十一月段階で、全国に二十カ所設けられています。厚生労働省は、平成十八年度、今審議されております予算案で、全国でさらに二十五カ所、十億円の予算を組んでおります。塾の設置、運営者は、広く民間事業者やNPO等から募ることになっております。
 職を求める人たちの中には、自分の力だけでは職業につけない人がいます。そのためには、求職者への公共的支援が必要になってまいります。ジョブカフェ・わかやまの充実強化とあわせ、知事の御所見をお伺いいたします。
 若年雇用問題には、ニートやフリーターだけでなく、パートや派遣労働者も含まれます。ここを少しでも正規雇用、安定雇用へと結びつけるような施策を講じていかなければならないと思うわけであります。これらの施策は、国において、パートに対しての最低賃金の設定であるとか社会保障の設定であるとか、さまざまなことがあると思いますが、これから対策が講じていかれることと存じます。
 ニートやフリーター問題は、若年雇用が不安定化することによって生み出される社会問題であります。若者は、社会にとって希少な資源であります。彼らが社会に貢献できる場が与えられないことほど、若者自身にとっても、また社会にとっても不幸なことはありません。そこで、ニートやフリーター対策に積極的に取り組まなければならないと思います。本県におけるニートやフリーターの実態とその対策について、商工労働部長にお伺いいたします。
 「希望格差社会」の本の著者、山田昌弘氏は、「自分の能力に比べて過大な夢を持っているために、職業につけない人々への対策をとらなければならない。過大な期待をクールダウンさせる『職業カウンセリング』をシステム化する必要がある。これは、フリーターに対してだけではなく、学校教育での導入が望まれる。アメリカでは、学校教育から職業レベルまで、カウンセリングやコンサルティング制度が充実しているので、『努力をなるべくむだにしないよう』過大な期待をあきらめさせ、能力に合った職につくように誘導している。その効果もあって、ニューエコノミーによる職の二極化が生じても、夢見るフリーターの大量発生といった問題が起きないのだ」と述べております。
 教育は、本来、理想を求めていくものであります。当然、若者が安定した職業、仕事につけるための努力を惜しんではならないと思うわけでございます。一方、社会の現実を見きわめて、直視し、理解することも大事であります。したがって、学校教育の中での職業カウンセリングは重要な課題だと考えます。教育現場での職業カウンセリングの取り組みについて、教育長にお伺いいたします。
 次に、和歌山県市町村合併推進構想についてお尋ねいたします。
 市町村の合併の特例に関する法律、旧法において、本県では、昭和三十九年、田辺市が牟婁町を編入して以来、五十市町村であったのが、関係者の御理解と御尽力によりまして、本年三月一日をもちまして八市二十一町一村の三十市町村となり、市町村合併が大きく進展をいたしました。
 合併に至るまでには、さまざまな困難もあったことと推察申し上げます。地域住民が、本当に合併してよかった、この町に住んでよかった、福祉が向上した、地域の活力が生まれたと言えるような施策を実行するまでには、しばらくの時間が必要であると思うわけであります。
 県は、昨年四月に施行されました市町村の合併の特例等に関する法律に基づいて、このたび、和歌山県市町村合併推進構想をまとめ上げられました。県は、従来にも増して重要な役割を担うこととなったわけであります。合併推進に関する基本的な事項について、県は新法下においても自主的な合併を推進していく必要があるとしながらも、県の役割が強化されたこととなります。
 そこで、知事並びに総務部長にお尋ねいたします。
 知事は、今回の平成の大合併、第一次合併で五十市町村から三十市町村になったことについて、どのような御感想を持っておられるのか。また、新たな合併に向けての決意を承りたいと思います。
 また、第二次の合併に向けた取り組みで、人口一万一千六百四十一人の紀美野町、一万一千三百五人の日高川町、一万四千二百人のみなべ町は、合併推進構想の合併対象の組み合わせから外されています。その合理的理由は何か、総務部長にお伺いいたします。
 一方、今回の構想が示した枠組み以外で市町村合併の動きが出た場合は、県が合併構想を変更しない限り財政支援が行われないこととなっております。県は新たな合併の動きに柔軟に対応する用意があるのか、総務部長にお伺いいたします。
 次に、保健医療体制の充実についてお尋ねいたします。
 まず、県立医科大学の公立大学法人への取り組みについてお尋ねいたします。
 県立医科大学は、本年四月から公立大学法人となるわけであります。今日まで医科大学は、教育、研究、医療機関として県民医療、特に都市部との医療偏差を解消するための地域医療に大きく貢献してまいりました。皆様御承知のように、医科大学のシンボルマークはマンダラゲであります。世界で初めてマンダラゲを主成分とした全身麻酔薬を発明した医聖・華岡青洲の遺志を継承すべく、教授陣を初めとする医療に携わる人々の努力によって医療水準の向上に取り組んでこられました。
 今では、全国的に見て高い医療水準とともに、本県においては日赤和歌山医療センターと並ぶ中核的な高度医療機関として、その地位を確かなものにされました。その背景には、県議会の先輩、また同僚議員や知事を初めとする県当局の皆様の御理解と御協力、県民の皆様の医科大学を立派にしようとの思いやりがあったことを忘れてはならないと思うわけであります。
 大学の法人化は、厳しい経済社会状況の中、県民の財産である公共的資源をいかに有効かつ効率的に活用し、一つ、特色ある教育・研究、二つ、地域医療への貢献、三つ、責任ある大学運営を図り県民への医療サービスの充実と向上を図ることにあると思います。この点を踏まえ、医科大学が新たな高度医療を展開していくためには財源が必要であることは言うに及びません。
 設置者である県は業務運営の目標であります六年間の中期目標を作成し、法人はこれに基づいて中期計画を定めることが義務づけられています。その中期計画によって、中期的視点に立った計画的な大学運営が可能となるわけであります。中期目標は大変重要なものであります。県はどのような中期目標を策定するお考えか。中期目標の基本的な方向性について、知事にお伺いいたします。
 また、医科大学長は、県民医療、地域医療に貢献する魅力ある大学改革にどのように取り組むお考えか。その決意をお聞かせください。また、学長がこのような形で本会議出席は、この二月定例議会で最後になります。県当局等に対する要望等があれば、あわせてお聞かせください。
 次に、在宅緩和ケア医療システムの構築についてお尋ねいたします。
 このテーマについては、昨年の六月定例議会一般質問でも取り上げさしていただきました。福祉保健部長は、「患者が在宅緩和ケアを希望する傾向が高まりつつある中、現在、県立医科大学において積極的な取り組みが考えられておりますけれども、今後このような取り組みをモデルとして、地域特性に応じた緩和ケアの推進体制について検討してまいりたいと考えております」と答弁いただきました。
 このたび、新年度予算案で在宅緩和ケアの重要な役割を担う、全国的にも不足をいたしております、本県においても不足いたしております麻酔科医確保対策が、小児科医確保対策とあわせ盛り込まれているところであります。
 本年の一月七日、八日にわたりまして、NHK報道スペシャル、「日本のがん医療を問う」が報道されておりました。その内容は、イギリスにおける緩和ケアの状況と日本の実態でありました。以前、イギリスでは、ホスピスは終末期の患者しか受け入れられていませんでした。今は、がん患者であればだれでも利用できる施設となっています。患者が自宅で暮らすための支援を行う地域の拠点として生まれ変わったのであります。がんになっても普通の暮らしを続けたい──行き届いた緩和ケアが患者の生活を支えております。患者の症状やニーズに合わせて、病院、地域にあるホスピス、自宅で緩和ケアが受けられる体制がイギリスでは充実され、患者を中心とした医療を実現するために幾重にも患者を支える体制がつくられています。総合病院には緩和ケアの専門医と看護師のチームがあり、地域にはかかりつけ医師がいて、緩和ケアセンターがあります。デイホスピスや訪問看護師が、自宅で過ごすがん患者のケアに当たっているのであります。診断したときから継続した緩和ケア、まさにWHO(世界保健機構)方式の疼痛コントロールが実施されているのであります。
 日本では、入院患者を対象として早い段階から緩和ケアを行われるよう、四年前から緩和ケアチームがつくられました。緩和ケアを担当する医師、看護師、精神科医が専従でいることが求められます。本県においては、全国に先駆けまして、県立医科大学病院や南和歌山医療センター、紀和病院に緩和ケア病棟が設置されております。これは、あくまでも入院患者を対象としたものであります。
 日本でも、イギリスのように、がんの苦痛から解放されて安心して暮らせる医療が欲しい、そうした願いを込めて、広島県では十四万人の署名を集めました。そして、広島県立病院の中に緩和ケア支援センターがつくられ、イギリスと同じようにデイホスピスが設けられ、専門のスタッフががん患者の心のケアや生活の支援をしています。一方、デイホスピスには緩和ケアの専門外来も設置されております。
 広島県では、七つのエリアに分け、それぞれの地域にデイホスピスと専門外来を併設した施設をつくる緩和ケアプロジェクト構想が策定され、各地域で今進められているところであります。がん患者は、痛みが強いときは緩和ケア病棟に入院し、集中的に治療を受ける。退院した後は、地元の病院やかかりつけ医、訪問看護師が連携して、地域で緩和ケアを担っております。さらに、デイホスピスの運営や悩みの相談には、ボランティアの力を活用しているのであります。
 本県は、がんによる死亡者が年間三千人を超えております。全国的に見ても高い──第七位ということであります──がん死亡者があるわけでございます。がんの苦痛から解放されて安心して暮らせる医療が欲しい、がんになっても普通の暮らしを続けたいと願うのは、がん患者や家族、すべての人の願いでもあります。がん患者や、また家族の不安を、また苦痛を解消するために、イギリスや広島県のような在宅緩和医療を充実させるべきであると考えます。知事の御所見を承りたいと思います。
 最後に、農林漁業体験民宿についてお尋ねいたします。
 本県においては、新年度予算案に人口減少対策として、団塊の世代を中心に都会からの定住者を呼び込み、若い世代の和歌山離れを食いとめ、農業をやってみようプログラムの推進や企業と連携した農村研修の施策が盛り込まれているところであります。
 内閣府は、先月十八日、都市と農山漁村の共生に関する世論調査の結果を発表しました。それによりますと、都市部の住民で週末は田舎で過ごしたいと考える人の割合は、二〇〇七年、来年から定年を迎える団塊世代を含む五十代で最も高く、半数近くに上っております。また、五十歳代のうち三割は定住を望んでいることもわかりました。
 本県那智勝浦町色川地区ではIターンの取り組みが評価され、毎日・地方自治大賞奨励賞に輝いております。過疎、高齢化が進む地域でIターンの取り組みについて応募し、評価されたものであります。一九九五年から現在までに、都会からの転入者は七十五世帯、二百九人で、地域人口の約三割を占めています。また新宮市では、有機栽培農家が体験農業希望者を受け入れるウーフの活動が始まっております。訪れた人は三カ月で十人に上っています。
 そこで、必要になってまいりますのは、受け皿となります農林漁業体験民宿であると思うわけであります。農林漁業体験民宿は、農山漁村の豊かな自然環境の中で、宿泊しながら田植えや稲刈り、山菜とりや魚とりのほか工芸品づくり等さまざまな体験を行い、訪れた方々に物をつくり育てていくことの大切さや収穫の喜び等を実際に味わっていただくためのものであります。また、宿泊客には、とれたばかりの新鮮な野菜や魚、山菜等を食材にして自慢の郷土料理を提供したり、これらを活用した加工品等を直接販売も行っております。
 農山漁村は、食べ物を生産し、魚をとるだけの場ではなく、地元の人や美しい景観、伝統文化との楽しい触れ合い等、ゆとり、安らぎの空間でもあります。このような都市と農山漁村の交流の窓口として農林漁業体験民宿は、本県への交流人口をふやすとともに、人、自然、文化等との触れ合いによって都会からの定住を促進することになると思うわけであります。
 しかしながら、農林漁業体験民宿を始めるには、さまざまな課題があります。今までは、消防法の問題とか、あといろんな、浄化槽を二つつくれとか、一つ大きな課題になっていますのは公衆衛生上の規制でありまして、調理場を二つつくれということになっております。これは、公衆衛生法上、やはり食中毒等起きたらいけないわけで、当然あるわけですけれども、別につくれというのは非常に負担になっているということで、厚生労働省は都道府県に対して、既存の家屋で農家民宿を行う場合には、一回に提供する食事数、それから講習会の受講、そして施設基準の緩和が可能であるところから、県に対して条例の改正、弾力的な運用についての通達を出しております。県はどのように対応されようとするのか、環境生活部長にお伺いいたします。
 また、田畑のオーナー制度や体験学習などを活用して農山漁村に来て宿泊していただき、都市との交流を通して地域の活性化を図り、定住を促すための農林漁業体験民宿への積極的な取り組みについて農林水産部長にお伺いをいたしまして、私の第一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、最近よく話題にされる格差社会に対する認識という話ですが、日本は戦後ずっと社会主義的資本主義というような感じで、平等社会という形でずっと来たわけで、非常に中産階級意識というものが強かったわけですが、最近の規制緩和でありますとか高齢化でありますとか、それから雇用形態の変化でありますとか、さまざまな要因が考えられるんですけれども、どうもアメリカ型の弱肉強食社会というか、そういうふうな格差社会になってきたのではないかというふうな認識がいろいろなところで示されているわけで、そしてまた、ジニ係数というような、こういうふうな係数でも、もう既にアメリカを超えているというふうなことも言われているわけでございます。
 そして、この格差社会というふうなこと、これはやっぱり社会にいろいろなひずみをもたらすものであるというふうなことから、この見直しということが喫緊の課題とされているわけでありまして、和歌山県でも、御質問にもありましたように、生活保護率が高まってきたりしているということもあります。行政の役割は、こういうふうな弱者──と言ったら言葉は悪いですが──などというような立場の人に優しい手を差し伸べていくというふうなことが非常に大事だという観点から、新年度予算でもそういうところに重点を置いて考えておりますし、それからもう一つは、これは人の中の格差だけじゃなくて、都市と地方の格差というのも、もう構造的に非常に大きなものが出てきているというふうなことの認識がありますので、何とかそういうことが是正されていくようなことをいろいろな形で国の方へも働きかけていきたいと思います。
 さらには、そういうふうな働きかけだけの話じゃなくて、和歌山県で、そういうような新しい社会形態の中で、人が尊厳を持って生きていけるような自立型の生き方の提供ができないかというふうなことで、例えば熊野健康村構想でありますとか、いろいろ和歌山の打ち出せるものというふうなものを出していって、逆にこの格差社会を逆手にとって和歌山県のよさということを広めていくというふうなことも考えられるし、やっていかなければならないと思っております。
 次に、ジョブカフェ・わかやまなどを中心としたフリーターとかニートの人たちに対する対応の必要性ということですが、ジョブカフェ・わかやまは非常に好評だったので、これを今度本町の方に移転して、ハローワークの一部と併設することによってもっともっとジョブカフェ・わかやまの機能を高めてフリーターやニートの人たちが職につきやすいような努力を重ねていきたいと思っておりますし、それから、今まで以上にNPOでありますとかいろいろな組織、団体と協力しながら多面的にこういうふうな若年雇用、そしてまたミスマッチの問題等に対応していきたい、このように思っております。
 第三番目に、今回の市町村合併の感想ということですが、和歌山県でも五十あった市町村が関係者の方の努力によって三十の市町村になったということで、これ全国大体平均ということですけども、大きな合併が行われてきたわけでございます。こういうふうなところは、先日も申しましたように、今、合併後のいろんなことで苦しんでいる面もあると思いますが、将来的に必ずいい効果が出てくるというふうなことをこちらとしても期待しておりますし、また住民の方も合併を受け入れたということの中にはそういう希望があったということだろうと思いますので、県としてもいろいろな形で合併した団体に対しての支援ということを行っていきたいと思います。
 そしてまた、第二次合併については、先日構想を策定したところで、この構想に従って、各地域ではいろいろ今検討を始めているところだと思います。なかなか一朝一夕に、すぐにこうだという結論は出てこないと思うんですけれども、この二次合併については、県の役割ということもより法律上重くなっておりますので、そういうことも踏まえながら県としても積極的な対応をしていきたい、このように考えております。
 次に、県立医大の中期目標の策定に当たってどういうふうに考えるかということですが、法人化したということは、今まで以上にこの運営を効果的、そしてまた効率的に行うことによって、県民医療、そしてまた医学教育というものについて成果を上げていくというふうなことを期待しているわけでございます。
 そしてまた、和歌山県では特に今、医師不足の問題等による地域医療のさらなる確立ということが喫緊の課題となっておりますので、こういうことも踏まえて、自律性を高めた法人によって、医大が今まで以上に県民のための組織として成果を上げていくような方向で中期目標を制定していきたいというふうに思っております。
 それから、在宅緩和医療システムを和歌山でもどんどん進めるべきだというお話でございます。
 がん、末期がん等について、人間の尊厳を確保しながら痛みをとめ、そしてよりよい状況をつくっていくというのが緩和医療ということだろうと思います。そして、その中で、施設でだけの治療じゃなくて、在宅というか、家へ帰ってそういうふうな状況を受けられるようにということが在宅緩和医療ということだろうと思います。
 イギリスなどでは、このような地域、家へ帰っての看護というふうな仕組みも非常に発達しているというふうに聞いておりますし、近年はこの重要性にかんがみて、広島県等でも非常にこの研究が進んでいるというふうに聞いているところでございます。和歌山県でも、県立医大等と協力しながら、この在宅医療緩和システムのあり方について前向きに検討を行っていきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ニート、フリーターの問題についてお答えをします。
 県内のニート、フリーターの状況ですが、昨年度実施したアンケート結果などから、ニートについては約五千七百人、フリーターは約一万四千人と推定をしているところです。
 ニート対策としましては、本年度からNPOと協働でニートに関する講演会を開催したほか、ニート本人や保護者を対象とした臨床心理士によるこころのリフレッシュ相談に取り組んでいるところです。
 また、教育委員会においては、中学生の段階からの職場体験等で健全な職業意識の醸成に努めております。さらに、青少年対策として、今年度から、社会的引きこもりの若者を対象に、ボランティアなどの社会体験に取り組む青少年の自立支援事業を実施中であり、今後とも全庁的に取り組んでまいりたいと考えております。
 フリーター対策としましては、求職者のスキルアップを図るための各種セミナーやジョブカフェの充実による支援強化に加え、来年度より、フリーターの正規雇用化に主眼を置いたフリーター卒業講座を開設することとしています。
 また、現在、国においてもフリーター二十万人常用雇用化プランを推進中であり、今後とも和歌山労働局など関係機関と連携を図りながら若者の就業を支援してまいります。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 市町村合併についての二点のお尋ねがありました。
 まず、構想対象市町村の組み合わせについてですが、市町村合併審議会においても三つの観点が示されたところであります。
 一つ目が原則として広域市町村圏単位で検討するというもの、二つ目が原則として旧法のもとで未合併の市町村を対象とする、ただし、地元の意向、旧法下での合併協議の経緯等を考慮し、地域によっては既合併市町村も対象とするというもの、三つ目が一部事務組合等の広域行政の実施状況を考慮する、この三点であります。
 二つ目の原則で申し上げましたとおり、旧法律のもとで未合併の市町村を主な対象としたということでありますので、御指摘の団体については組み合わせには含まれなかったところであります。
 次に、構想と異なる枠組みでの動きについてであります。
 今回の構想は、ただいま申し上げた三つの観点を考慮して、県として望ましい姿を示したものであります。仮に、議員御指摘のような、これと異なる動きが出てまいりました場合は、その段階で検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 農林漁業体験民宿のうち、厚生労働省の通達への対応についてお答えを申し上げます。
 飲食店営業における施設基準につきましては、食品衛生法において都道府県が公衆衛生の見地から必要な基準を定めることとされており、県条例において基準を定め、食の安全確保に努めているところでございます。
 今般、厚生労働省通知を受け、グリーンツーリズムの推進との協働を図ることとし、関係部局と調整を行ってまいりました。議員の御質問にもございましたように、交流人口の増加や都会からの定住促進などの一環として当該事業を推進する場合には、農林漁業者が既存の家屋で農林漁業体験希望者を対象とした体験民宿での飲食をさせる場合に限り、公衆衛生上、支障のない範囲内で弾力的な運用を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農林漁業体験民宿への取り組みについてでございますが、議員御指摘のとおり、都市住民が和歌山の自然や人情に触れて農山漁村での生活に親しみを感じていただくための手段といたしまして、体験民宿の果たす役割は大変重要であると考えているところでございます。
 和歌山に来て、泊まって、暮らして、そして定住へ結びつけていくという観点から、農家等が体験民宿に取り組むための研修会を開催し、また資金融資や補助制度についての情報提供を行うなどの支援を行っているところでございます。
 また、都市部に住む団塊の世代や若者をターゲットにいたしまして、和歌山での田舎暮らしを提案し、都会からの人口の逆流動により農山漁村に新しい住民を受け入れ、地域の活性化を図るためのわかやま田舎暮らし支援施策、こういった施策を積極的に推進する上においても、農山漁村において滞在し宿泊できる施設がこれからますます必要であると考えているところでございます。
 今後とも関係部局と連携しながら、施設や設備の内容についての手引書、またリーフレット、こういったものを作成し、開設を希望されている農家等に積極的に働きかけるなど、都会から和歌山に来訪された方々が農山漁村での生活を快適に体験していただけるよう、さまざまに取り組みを進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 大学改革への決意についてお答えいたします。
 法人化に移行する日、四月一日が目前に迫ってまいりました。本学は創立以来六十年の歴史を積み重ねてまいりましたが、法人化は、本学創立以来、最大の制度的な改革であると考えております。
 これまで和歌山県立医科大学は、優秀な医療人を輩出するとともに、県民の皆様に高度で良質な医療を提供すること、また、県の医学、医療の中核として健康の維持、増進に寄与することを最大の使命として活動してまいりました。法人になりましても、県民の負託にこたえ、その使命をより一層果たす決意を新たにしているところであります。
 今後、県から示される中期目標を達成するための中期計画を策定し、法人が一丸となって着実に実施することにより、県民の皆様の期待にこたえることができる個性輝く魅力あふれる大学にしてまいりたいと考えております。
 皆様方におかれましては、これまで以上の御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育現場での職業カウンセリングについてお答えいたします。
 職業の選択、決定に当たっては、生徒の目標や希望を大切にしながらも、自己の適性と社会の現実をしっかりと理解させ、それらをすり合わせる中で適切に指導していくことが重要であると考えております。
 現在、県立高等学校では、年間約二千八百名の生徒が企業等でさまざまな内容の就業体験を行っており、また、職業及び職種等についての調べ学習などの活動を展開しております。
 今後とも、こうしたことを通して働くことへの確かな意欲や態度を育成し、職業生活の実際への認識を高めるとともに、キャリアコーディネーターやハイスクールサポートカウンセラーの活用を初め、学校の相談活動の充実に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 知事並びに関係部長から御答弁いただきました。ありがとうございました。
 実は、最近、小説で「県庁の星」というのが出ておりまして、これ映画化されておりまして、今話題になっております。私もこれを読ませていただきましたが、野村聡という主人公なんですけど、部下に工藤というのがいまして──この野村聡という方、係長なんです──部下がいろんな文書をつくるのに相談に行くわけですね。そこで、文書例を示すわけですね。こういうのがありました。「くだんの件、まことに遺憾に存じます。よって、前向きに検討してまいります」と、こうあるんですね。「前向きに検討する」と書いてますから、部下が「こんなん検討してええんですか。すぐやらんなんですよ」と。「いいんだ。検討するということは、何もやらないということなんだ」と。これ、正確に記述どおり申し上げました。
 本県においては、「検討」というのは何もやらないことだということではないというふうに、私は信じております。答弁、前向きな、積極的な御答弁をいただいてありがとうございました。中には、やっぱり「検討」とありましたね。総務部長、やはりこれからの合併の組み合わせ、これからそれを見ないといけんという意味だと思いますし、知事も「在宅緩和ケアも検討していきます」とありましたね。私は、和歌山県庁はそういう何もしないことなんだというふうにはとらえておりません。本当に熱心に職員さん頑張っていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に格差社会への対応ですけれども、都市から地方への人口の逆流動を進めていくと。その前提には、都市と地方というのは格差があるのは当然なんです。その格差が開いてきているというとこが問題なんですね。
 私、生活保護のことをちょっと例に挙げまして、生活保護世帯の名誉のためにも申し上げたいと思うんですけれども、仕事がどうしても病気でできないとか、やむにやまれず生活保護になっている方がいらっしゃるんですね。それが、一九九六年が大体七千六百人でありましたけれども、今、一万三百人と一万一千近くなってきておりますね。これが急激にこの十年間でふえてきたところに問題がある。
 しかしながら、本県の生活保護者、人員というのは、昭和五十年代で大体一万五千人おられました。それが、十年前のときは、平成八年では七千六百に減ってきているんですね。だから、私は、ある意味では非常に一生懸命働く、勤勉な県民であるということもこの際申し添えておきたいと思います。
 それで、逆流動を進めるということでありますけれども、那智勝浦町の色川地区の件も、ちょっといろいろと尋ねてみました。やっぱりPRをして、そして住宅を町で用意して、そして呼んだと。口コミでも言ったということで、自然が豊かだ、生活しやすい、環境がいいということで、お見えになっていると。「どんな生活をされているんですか」と。そうしましたら、インターネットで商売されているとか、パンを焼いているとか、あと、ちょっとした町の会社へ勤めているとかいうことでございました。
 ここで、私、一番必要になってくるのは、一昨日も新聞に出ていましたけれども、いわゆるブロードバンド、高速大容量通信ですね。かつてアメリカの経済学者ガルブレイスが、情報はお金であると。情報伝達の最大は、やっぱり会って対話をすること。そのために鉄道があり、また道路がつくられ、飛行機ができ、今はまさにブロードバンドの世界だと思うんです。
 したがって、この整備をしっかり進めていただきたい。その構想は出ていますけど、順番があろうと思いますけど、デジタルデバイド──かつてから私も、三、四年前からずっと言い続けておりましたけれども、この点をぜひお願いしたい。
 そして、都市から地方に来ていただくには、東京県人会、大阪県人会にもどんどん顔を出していただいて、和歌山も今こんないろんないい施策を実行してますよということでアピールをしていただきたい。ぜひ知事にも大阪県人会にも御出席いただき、お忙しいと思いますけれども、日程が合えばそのようにしていただきたいと思います。
 それから、ニート、フリーター対策ですけれども、和歌山市内、ぶらくり商店街では大変喜んでおられました。あの丸正から入って四、五軒先のとこですね。本当に火が消えたようにシャッターがおりている中で県の関係施設に来ていただくということで、大変喜んでおられました。ぜひ、待ちの姿勢ではなくて、やっぱり攻める、PRするということが非常に大事だと思います。例えばインターネットでしたら、今、四、五千円のカメラ一個つければいながらにして家庭とやりとりできて、おうちの中でのニートとかフリーターの方とも会話ができるんですね。映像、顔を見ながら。そういうことも一つの方法かなと思っております。
 それから、在宅緩和ケアシステムにつきましては、どうぞ医科大学長におかれましては、今後これが進んでいきますと、どうしても医大のお力をいただくことになります。緩和ケア支援センターを設置ということになりますので、御協力をお願いしたい。
 それから、私、今回、農業体験民宿、何でやろうとお思いになったと思いますけれども、実は私もかつては、田植えもやりましたし、稲刈りもやりましたし、また草取りも、いろんなことをやった小さいころの経験がございます。
 それはそれといたしまして、実はこの「ダイヤモンド」に和歌山県の緑の雇用が出てるんです。これ、びっくりしたんは、団塊世代のいわゆる定住の施策として、全国に二十ある中の一つとして緑の雇用がここで掲載されております。よく考えると、緑の雇用は枝打ち、間伐で、重労働ですよね。団塊世代は六十をお超えになっていると。大変厳しいかなと思っても、やはり知事が今から五年前、平成十三年の八月二十一日のあの投稿、新聞記事から緑の雇用への対策が始まりまして、知事初め皆さんの御尽力によりまして今では国家的事業になりましたけれど。
 そこで、定住を進めるということについて、何が必要なんだと。私、これ、ずっと読んでいく中で気になったんです。やっぱり奥さんの力が要る。どうしても、田舎へ行ったら蛇は出るわ、虫は出るわ。やっぱり奥さんを説得せんといかん。それで、書いてました。ただ単に助成金があるとか土地が安いとか生活費が安いとか、お金、助成金があるといった問題じゃないと。そういうことであれば、すぐ飽きてしまう。要するに、人情に触れていく、その地域に来て、そのよさを本当に実感していただくという中から、私は団塊世代の定住が始まっていくんではないかというふうにとらえたんです。
 実は、このことについては、和歌山大学の小田学長もおっしゃっていました。やはりホテルというのはリスクを背負うと。夏場とかシーズンのときはお客さんが来ますけれども、シーズンオフはお客さんは来ない。しかし、あれだけの建物と従業員を面倒見なきゃいけない。コストがかかる。やはりシーズン、シーズンできちっとした形で民宿をやっていくことが非常にこれから重要になっていくんではないかというふうにおっしゃってました。
 また、中津村に農業体験で田植えに来たと。観光バスに乗って、その後は白浜温泉へ行ったと。別に悪いとは言っていません。地下足袋履いて、長靴履いて、白浜温泉かなというふうにも思いました。そういうところに民宿を幾つもつくれば、そこに泊まっていただける。これは、観光ツーリズムということでやられているからこうなっていると思うんです。
 それともう一つは、中山間村のいわゆる収入源にもなると。私、知事の五年前の記事を読ませていただきました。一番心配しているのは、やはり和歌山に移ってきて生活できるだろうか、収入があるだろうかということなんだと。収入の地域の活性化、収入の確保にもなっていくわけですね。
 ですから、ぜひひとつ民宿を進めていただきたい。当然、一問でも申し上げましたように、公衆衛生上というのが、これは忘れてはならないというんか、食中毒が発生したら大変ですから、その点はきちっと講習を受けるなり何人という人数を決めるなりして、きちっと担保していただくということで積極的な取り組みをひとつ強くお願いいたしまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十七分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、早速一般質問に入らせていただきます。
 私は、まず初めに和歌山県市町村合併推進構想について質問をさせていただきます。
 県は、去る二月十四日にこの合併推進構想を発表し、和歌山県内を九つの市と四つの町の組み合わせで第二次合併を目指す考え方を示しました。その内容は、合併が行われなかった市町村を対象としながらも、合併してほやほやの市町村をも含めた、さらに大きな枠組みでの組み合わせになっています。
 県は、この組み合わせによる合併を国の法律に合わせて平成二十一年度までに目指すとして、審議会答申の発表、知事構想の発表に合わせて各市町村を回り、説明の中で「合併協議にはやはり三年はかかる。だから、来年春から合併協議会を考えてほしい」と話しているようですが、説明を受けた市町村長からも「それはいかにも拙速だ。ようやく合併にこぎつけた市町村が軌道に乗るには五年、十年はかかる。とても無理な話だ」と、こういった声も出ています。
 実際、この間合併をした市町村では、合併による効果やメリットが出ている部分もある一方で、住民サービスの低下や住民への負担増、これが相次ぎ、合併の効果への疑問が出されています。
 私の地元、有田川町でも、改善点として、出産一時金の貸し付け制度や在宅寝たきり老人介護手当、生ごみ処理機の購入補助などが向上した反面、旧金屋や清水では、町単独の農業の支援施策の廃止を初め、国保の資格証明の安易な発行、福祉タクシー券の縮小、過疎地における結婚祝い金や地場産業振興奨励金など、これ以外にも数々の過疎定住対策が廃止をされました。吉備でも、ひとり暮らし老人への安否確認を兼ねた乳酸菌飲料の配布が廃止されました。
 また、県内各地からも、防犯灯補助金の廃止、ごみ袋の値上げや粗大ごみ収集の有料化、シルバー人材センターの統廃合や各種公共料金の値上げ、人間ドックなどの自己負担額、し尿くみ取りの料金、公衆浴場使用料、水道や下水道料金の値上げなど、紹介し切れないほどさまざまな分野で住民生活に影響が出てきています。
 私はまた、さきの県議会補正予算審議の中でも合併の影響を感じました。それは、農林水産委員会の審議の中で、緑の山村定住促進事業が当初予算九千四百万円から四千三百万円も減額補正しておよそ半分に、またアグリトライ支援事業でも二百三十万円の減額と、地域を元気づけて応援する事業が減額補正になっている、この要因は何かとただしたところ、市町村財政が厳しい中で市町村の財政が、予算がついてこれない、また市町村合併で体制も整わずに事業に取り組める状態ではない部分もあったと、こういう説明がされました。この話をある市町村関係者にお話をしたら、「県が予算化していても市町村がついてこられないという点では、随分市町村も合併で予算を組むのが苦しいんですね」と、こういうふうにお話をすると、「そんな、市町村のせいにせんといてくれ。県が予算をどんどん削ってくるから、市町村の財政が苦しくなって予算をつけられないんだ」と切り返されました。
 国、県の予算減によって市町村の台所も大変ですが、それよりも、地域のことを考えて地域とともに計画を推進するという基礎的自治体本来の仕事が、合併によって停滞をしたり機能不全を起こしている部分があると感じました。これでは、合併による町づくりどころか、さらに次の合併を急がせることにより町壊しが進むのではないかと危惧をしています。
 さて、今回の県構想に向けて意見を求めた審議会では、どんな議論がされたのでしょうか。要約しかホームページに公表されていませんが、議事録を見ても、県から市町村に対して積極的な働きかけを求める意見もある一方で、今回の合併では、市町村合併の経過から広域行政の関係の運営が非常に難しくなったところもあるんじゃないかとか、第一次の合併でさまざまな動きがあった末に最終的に壊れてしまったところが再度急いで合併するといっても、これは果たして実現可能なのか、こういった意見などが出されています。こういったさまざまな意見が出される中で、答申には、わざわざ附帯意見がこういうふうに別紙でつけられたわけなんです。
 また、この間、既に合併した市町村の首長さんからは、まだ合併の生々しい傷を抱えながら、さあ次の合併だとせかされても、住民はそんな気になれないとか、大きな合併は将来的に必要だと思うが、これから新町のスタートだというのに、十年間は無理だと県の職員に伝えたなどの意見をお聞きいたしました。
 木村知事は、県構想を発表するに当たって、さまざまな地域の実情が出され、附帯意見までつけられた審議会の議論の経過をどういうふうに踏まえておられるのか。また、既に合併をした市町村や住民の声には二十一年度末までに合併を目指すのは拙速ではないかという声があるが、どうお考えになっているのか、答弁をお願いいたします。
 次に、安全で自然環境豊かな有田川を目指しての質問に移らせていただきます。
 私は、これまでも有田川の洪水対策や自然環境を守る問題で質問を重ねてきました。この間のまとまった雨により、今、有田川の水はささ濁りですが、二川ダムは濁水をできるだけため込まないように低い水位で運用しており、住民の願いにこたえたダム運用の改善に感謝を申し上げるものです。
 また、一昨日、三月五日の日曜日には第一回有田川駅伝の大会が新しく誕生した有田川町の記念行事として開かれ、私も応援に行かせていただきました。この有田川の清流は、地元有田川町の住民はもとより、広く県民の誇りであり財産です。この有田川が清流をたたえ、美しい河原を持つ川へと守り育てられるよう、住民と県行政が力を合わせて取り組んでいきたいという思いを持って質問に入らせていただきます。
 昨年のかつらぎ町十二月町議会で、有田川の上流部に当たるかつらぎ町旧花園村での不法砂利採取の問題が取り上げられ、新聞各紙にも「許可申請に虚偽記載」「村が生コン業者に砂利採取を丸投げ」と記事が掲載されました。
 旧花園村では、昭和の大水害以降、山崩れや天然ダムの出現による有田川への土砂の堆積に対し、災害対策や災害復旧・雇用対策として、村直営で機材もそろえて砂利採取事業に取り組んでこられました。村民の命と財産を守り、また村の貴重な収入源としても、重要な役割を果たしてきたものであります。
 ところが、この間の調査により、村直営の砂利採取事業がある時期から民間事業者に丸投げをされ、県への砂利採取許可申請書の記載から外れた砂利採取を行っていた問題が明らかになったのです。町議会では、当局が「不適切な運営であったということについては陳謝をします」と、問題を一部認める答弁をしています。ずさんな事業実態については、当該自治体であるかつらぎ町自身による調査や総括が行われるべきものであります。しかし、県が管理する有田川の土砂を許可申請から外れて採取していたという指摘に対しては、管理者であり砂利採取法の許認可権者として調査権限がある県として、看過できない重大な問題として調査すべきだと思います。
 配付資料の旧花園村の地図をごらんください。旧花園村から県に対し、この十年間の間に四回の砂利採取の申請が行われており、書類が保管されている直近の二回は、青くマークをした小さな三角形の場所でのみ砂利を採取することが申請をされています。しかし、関係者の証言によりますと、村から砂利採取事業を任された有田川砕石、イコール、スカイコンクリートという生コン業者は、村の事業を隠れみのに、川沿いのあちこちで砂利を採取していたと言われています。私は、砂利採取がされていたという場所のうち、赤い丸印の四カ所に出向き、関係者や地元住民の皆さん、また生コン業者とも直接お会いしてお話を伺い、調査を進めてまいりました。
 砂利採取をした後は、幾つかの写真にも見られますように、もともと堆積していた河原の痕跡というのが残っているものです。写真一は、この申請位置よりも上流部数百メートルの区間のものです。写真二は、有田川から分かれて、中南から箕峠へ入っていったところの堰堤から堰堤までの区間のものです。この一つ上の堰堤のところは、河原は草や木が生い茂った状態なんですけれども、その上の状態とは明らかに不連続な、整地した後のようなフラットな状態でした。ここでは、関係者からの証言とともに、住民の方からも、確かに生コン業者が道を通らせてくれと頼みに来て、約一カ月間、砂利を採取していたと証言が寄せられました。写真三は、生コンプラントの上流部の写真です。写真四は、花園中学校より少し上流部ですが、ここには砂利採取を途中で中断した痕跡が今もはっきりと残っています。ここは、河原での砂利採取に加えて、ヒューム管を川に沈めて対岸に渡る仮設の橋までつくって砂利採取をしていたと、これは関係者からも地元住民からも重ねて証言が得られているところですが、この採取が行われていた十五年夏は村が既に砂利採取事業を廃止していた時期でもあり、生コン業者の無法ぶりを示すものとなっています。
 この生コン業者は、村の直営事業としてこの十年間、四回の申請で約五万五千立方メートルの川砂利を採取し、それを精製して二万二千立方メートルの砂利、砂、栗石などの骨材を生産し、それぞれ一立方メートル当たり砂は二千六百円、砂利は二千七百円、栗石は二千六百円で村から購入した、こういう記録になっています。
 しかし、この四回の許可申請と実績報告を調べてみますと、不思議なことに、精製された砂利などの割合が毎回毎回すべてこの許可数量の四〇%にそろっており、砂、砂利、栗石の精製の割合も全く同じ数値となっています。実際にこんなことはあり得ないし、これらの実績報告は机の上での計算でしかなく、以前からの実績に基づく定量だという、信じられない説明がされています。
 また、驚いたことに、私、伊都振興局に出向いて花園村からの申請書類を見せていただいたんですが、申請書類のつづりは、大量の書類や図面までついていたんですけども、「県は実際の砂利採取を見に行っているんですか」と尋ねると、「砂利採取前と途中、そして終わった後に検査に入っているはずです」、こういう答えなんですが、一枚の報告書も、写真も一枚も残っていないという状態だったんですね。これでは、どれだけ砂利を採取していてもわからない。村の机上の計算報告をうのみにしていたとして、県の姿勢も厳しく問われる問題ではないでしょうか。
 ところが、この生コン業者は、地元花園村を初め、高野町、野迫川村、十津川村などへ生コン納入をほぼ一手に引き受けていたと言われています。これは地理的な条件があってのことで、JIS規格によるとつくってから一時間半以内に生コンを打たなければならないということがあり、これにこたえることができる生コンプラントはここしかないという現状があるんです。
 県土整備部の資料によりますと、県道花園美里線地蔵トンネルの工事だけでも、五千三百立方メートルの砂と砂利が使用されたということになっています。この生コン業者がこの間に製造販売した生コン量と県に許可を得て採取した砂利の量を比べてみれば、恐らく許可された量を大幅に超え、それによって多額の利益を得たのではないかという指摘がされているところです。
 これら調査で得た証言が事実であるとするならば、砂利採取業の免許を持たない業者が、手続もなしに国民、県民の財産でもある川砂利を自在にとって利益を得ていたということになりはしないでしょうか。そして、それに対し、村や県はどういう態度をとってきたのでしょうか。
 私は、この問題は、県として重大に受けとめ、その全容を解明すべく、地元自治体、業者、作業員、地元住民などへ徹底した調査が必要だと考えますが、県としてのこの問題への認識、そして厳重な調査の必要性についてどう考えるか、県土整備部長よりお答えを願いたいと思います。
 次に、今回の砂利採取問題が指摘されている生コン業者の排水・廃棄物処理の問題についてもお伺いをします。
 かつらぎ町議会では、この業者の生コンプラントからセメント交じりの濁った排水が有田川に流されているという問題が、写真も示されて指摘をされました。有田川の環境問題として、無関心ではいられません。二年前の冬には右翼が騒ぎ、また住民からの情報提供もあって、生コンプラントの排水管理と産業廃棄物でもあるコンクリートかすの処理について問題提起がされました。私も現場のプラントに調査に出向いて実際に見てまいりましたが、この間、何が問題とされ、事業者にどういう指導をしてきたのか、また今後どう指導していくのかという方向性について、環境生活部長より答弁をお願いいたします。
 三つ目の質問として、生コン業者の育成・指導という点についてお尋ねをいたします。
 私は砂利採取と生コン業者の問題点を指摘してまいりましたが、旧花園地区の山間過疎地においてこの生コン業者は大きな雇用の場でもあり、県を初め公共事業にとっても、この地域で一時間半以内に生コンを納入できる事業者として大事な役割を果たしている存在でもあります。
 一方で、公共事業に使う生コンですけれども、県は昨年九月に通達を出していまして、県工事に使う生コンの品質確保のために、全国生コンクリート品質管理監査会議の基準、一般にマル適マークと呼ばれていますが、そのマル適マークの工場等から選定することを示して、昨年十月からの適用を決めています。ところが、この生コン業者はマル適マークを取得しておらず、取得する方向も持っていないと県の聞き取り調査に答えているようです。
 産・官・学の共同による業界の自主基準ではありますが、このマル適マークの中身を見ると、大変厳しく、進歩的なものです。製品としての生コンの厳しい品質管理はもちろん、問題発生時の対応やマニュアルなどのソフト面、また環境保全についての排水や廃棄物処理など、時代の要請にこたえたものとなっています。
 私は、今回、生コン業界の関係者の方々とも、このマル適マークについてお話を聞かせてもらいました。公共事業の量が減り、また信頼性が問われる中、生コン業界としても公共事業に納める生コンの品質向上にみずから取り組もうと全国的に進めてきたということ、また、厳しい経営状況の中でもレベルアップのための設備投資をしながら進めてきたことなどをお聞きしました。品質や環境、労働条件等の関係法令の遵守はもちろんのこと、企業としての社会的責任を果たすレベルアップが求められていると感じました。
 県担当者によると、県内にはJIS規格を取得して稼働している生コン工場が約六十社あり、そのほとんどが今マル適マークを取ってきており、取得していないのはあと三社程度だと聞いています。県として、公共事業に納入する生コンの品質基準を示して信頼性を上げようというのなら、それだけじゃなくて、それにこたえられる県内業者の育成・指導と、こういう仕事も同時にやっていかなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。県土整備部長より答弁を願います。
 次に、有田川下流の問題に移らせていただきます。
 有田市の安諦橋下流左岸の不法占拠問題についてお伺いをいたします。
 この河原の不法占用は根が深く、大変時間のかかっている問題です。これを解決すべく、県と地元が編み出した苦心の末の解決方法がマリーナ建設計画でありました。しかし、この計画地が環境省の日本の重要湿地五百に選ばれ、貴重な生物種の存在する場所であることがわかり、県の対応については、私からも質問をさせていただきました。また、さきの十二月議会では浅井議員からその後の計画の進展について質問がされ、マリーナ計画は場所を変更して調査中だと、そういう答弁がありました。私、今回は、マリーナ計画の位置変更という状況を受けて、この不法占用問題の解決について質問をさせていただきます。
 この場所は、配付資料の写真の五、六を見ていただくとおわかりのように、プレジャーボートを係留するために河原を人工的に入り江に掘り返して、多くの船が係留をされています。また、廃船も多く放置されています。そして、ナンバープレートのない廃車となった自動車も放置されています。その数は、船については最高時には八十三隻、現在五十七隻、放置自動車は最高時四十一台、現状は数台、ユンボなど建設機械は最高時六台、現状四台という状況です。建設機械で河原を入り江状に掘られるとともに、隣にあった地元老人クラブのゲートボール場までもユンボでつぶされて占拠されてしまいました。また、堤防を通る県道から河原に向けて堤防ののり面に盛り土がされて、駐車場と船置き場までつくられています。
 こういう不法占拠に対して解決を求める地元の声が、有田市議会でも多くの議員によって毎回のように取り上げられてきました。河川管理者の県は粘り強く指導を続け、少しずつ改善されてきたことは承知しております。しかし、根本的な解決にはなってこなかった。そこで、マリーナ等で環境整備することによって不法占拠を排除しようと考えたわけですが、そのマリーナ計画が位置を変更してしまったわけで、じゃ、この肝心の不法占拠対策はどうなるのか、このことが心配をされているわけです。
 公のものである河川、その河川を管理している県が、いわばこの持ち主が、私とこの土地を勝手にそんなことされたら困る、どけてもらってもとどおりにさせていただきますと、なぜ行動できないのかというふうに疑問に思うわけです。
 さらに、今回、重要湿地五百選に選ばれ、希少生物も確認されたわけですから、大変名誉なことだと。この貴重な自然環境を大切にするためにも、この際、環境保全のための整備をしてもとどおりの河原にさせていただきますと、なぜできないのでしょうか。これまでの延長線の指導ばかり続けていてはだめだと思うんです。河川管理者として毅然とした態度で臨むことが求められているのではないでしょうか。
 県土整備部長には、不法占拠是正と環境整備について、これまでの対応から一歩進んだ対応ができないのかどうかお答えください。
 また環境生活部長には、貴重な生態系保護の点からも現状放置すべきでないと思いますが、答弁を願います。
 さて、最後に、森づくり税と森林整備について質問をさせていただきます。
 今当初議会に当たって、私は、条例の成立で、この税と事業の具体化を図る県当局に対してその姿勢を質問するものです。
 まず木村知事に、県民への説明と意見交換についてお伺いをいたします。
 この森づくり税については、早期導入を求める声もある一方で、各界各層から、市町村や議会からも反対意見や慎重な対応を求める意見が寄せられました。一点目にはこういった成立までの経過を踏まえ、二点目には県民の意見を聞きながら税の使途を決めていくという性格からも、また三点目には市町村の理解と納得を得てこそ税の徴収ができるという点からも、広く県民と、また県内市町村や議会、担当課に対し説明責任を果たすとともに、疑問や意見、批判を初め、使途についてもさまざまな角度から意見交換するなど、丁寧な対応が必要ではないかと思います。
 さきの「県民の友」にも意見募集の記事が載っていたわけですが、広く県民に対し、都市部にも山間部にも出かけ、地域での説明会を数多く持つべきですし、県内市町村に対しても十分に対話と説明をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 最後に、農林水産部長にお尋ねいたします。
 私は、さきの議会の質問で、県の森林関係の予算の内訳について、森林整備の予算に一層シフトすることを求めました。また、林業家のグループへの補助金や林業教室のような啓発の予算がカットされてきている実態を示しながら、片や県民にさらなる税負担を押しつけながら片や県の予算を削るというのでは、これは本末転倒だと指摘をいたしました。
 森づくり税成立を受けた当初予算議会ですから、この十八年度予算における森林整備と啓発予算はどう変化したのか、その特徴についてお答えをください。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、市町村合併の推進構想についての御質問でございますが、これについては、審議会で非常に熱心な議論をいただいて、先般答申をいただいたところでございます。
 先ほどの質問にもございましたが、その考え方は、原則として未合併の市町村を対象にするということですが、一部、今回合併したところも入っているということですが、これは地元の意向であるとか、それから旧法のときの経緯というふうなことを反映したというふうなことになっているわけでございます。いずれにいたしましても、ここで示したものをもとに地元で十分議論をしていただいて今後の方策を出していただきたいと思うわけでございます。
 そして、この法律自身は二十一年度までの時限立法ということですので、この法律に即して県の方も対応をしていくということですが、何といっても、地元での議論ということが一番大事だというふうに認識をいたしております。
 それから、森づくり税についての対応ということですが、これは、先般条例が成立したということで、成立のときに、やはり住民の方が余り知らないんではないかというような議論もあったところですので、県としてもこの条例の周知、そして啓発ということを徹底していきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) まず、かつらぎ町旧花園村の砂利採取につきましては、平成九年度から平成十三年度にかけて四回の申請があり、合計五万五千五百三十五立方メートルの砂利採取を認可いたしました。
 昨年のかつらぎ町十二月議会でこの問題が審議されたことから、現在、現地の状況確認や関係者への事情聴取を行うなど、事実関係の確認を進めているところです。
 県では、平成十五年から実施要領を定めるなど、砂利採取の着手や完了時等の検査の徹底を行うとともに、河川区域については平成十六年度から河川パトロールの充実を行うなど、砂利採取法の遵守に努めてきたところです。また、河川区域内外にかかわらず、無許可採取が明らかになった際には厳正に対応すべきものと認識しているところです。
 次に、生コン業者の育成・指導についてお答えいたします。
 公共工事を進めていく上で、生コン業者が品質を確保し、使用者の信頼を高めていくことは重要であると考えております。今後とも、JISや品質管理監査制度等を活用し、公共工事の品質確保に向け、適切に指導してまいります。
 また、有田川安諦橋下流における不法占用につきましては、船舶を適正に保管する施設の確保が課題となっていると認識しております。このため、地元自治会を初めとする関係者で構成する有田川プレジャーボート対策等協議会で検討を行っており、左岸側に数多くの貴重な干潟底生動物の生息を確認したことを踏まえ、右岸側をマリーナ施設整備の候補地として選定し、検討を進めているところです。
 なお、左岸側の環境保全については、協議会等の御意見を聞きながら検討を行ってまいります。
 今後も、不正占用の是正に向け取り組むとともに、適正な河川の利用と河川環境の保全に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 砂利採取問題のうち、排水・廃棄物処理についてお答えを申し上げます。
 議員御指摘の事業場につきましては、一日の排水量が五十立方メートル未満のため水質汚濁防止法に基づく排水基準は適用されませんが、平成十六年五月十八日付で、特定施設の汚水等処理方法の変更届が提出をされております。届け出によりますと、特定施設からの排水につきましては循環使用で、雨水のみが事業場外へ排水されることとなっております。しかしながら、排水処理施設が未設置であったため、保健所から変更届の内容に合致するよう指導をいたしたところでございます。本年二月二十四日付で、保健所に排水処理施設建設計画書が提出をされております。この計画書によりますと、本年の五月一日から着工予定となっており、排水処理施設建設の進捗状況を見きわめながら施設の維持管理の適正指導を行ってまいります。
 次に、当該事業場から発生するコンクリート滓の廃棄物処理についてでございます。
 昨年度に、当該事業場で不法な埋め立て処理をしているとの情報がございました。指摘のあった現場の掘削を行いましたが、当該事実は認められませんでした。
 なお、コンクリート滓の保管方法につきましては、置き場の区域が明確にされていないなど不適切な面が見られたため、改善指導を行ったところでございます。
 県といたしましては、今後とも引き続き適切に指導を行ってまいります。
 次に、安諦橋下流左岸の不法占拠問題のうち、貴重な生態系保護の観点からの御質問にお答えを申し上げます。
 有田川の河口干潟は、絶滅が危ぶまれております巻き貝やカニ等が生息していることから、環境省の日本の重要湿地五百に選ばれた貴重な自然であると認識をしております。現在の状況が良好な環境にあるとは思われません。
 しかしながら、重要湿地に選定されたことによる法的な保護は加えられておらず、また自然公園区域にも含まれておりませんので、湿地の現状に関し自然環境関係の法令により対応することは困難でありますが、しかしながら、環境生活部といたしましては、貴重な生態系を大切にする観点から、重要湿地を初めとする貴重な自然環境を有する区域の情報提供、あるいは普及啓発、あるいは事業実施時における環境保全上の配慮の要請を行うなど、環境保全のための方策をさまざまな視点から検討し、関係部局や関係機関と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 十八年度予算における森林整備と啓発予算の特徴についてでございますが、森林整備に係る予算につきましては、十七年度予算と比較いたしまして一八%増の約二十四億円を計上いたしてございまして、新たに里山エリア再生事業に取り組むなど、健全な森林の育成整備を一層進めることといたしてございます。
 次に、森林・林業に係る普及啓発につきましては一千万円余りの予算を計上いたしまして、引き続き、小学生等を対象とした森林・林業教室の開催、また森林ボランティア活動への支援などを行うとともに、普及指導活動を通じまして森林の持つ多様な機能、役割について広く県民に理解していただくことを重点に取り組むことといたしてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事並びに関係部長から御答弁をいただきました。
 合併問題では、知事から、法律に沿って構想を出した、地元で十分議論をしてほしい、こういう趣旨の答弁であったかと思います。実際、今、合併の作業の中で自治体は大変な苦労を重ねているわけで、そして何よりも、住民が我がふるさと、我が町にどういう思いを今持っているのかということをやっぱり踏まえなければならないと思うんですね。そして、合併をしなかった市町村も、これまた自立を基礎にした広域連携を探る、そういった動きも全国的にあるわけですし、こういったものをきちんと県としても見る必要があると思います。
 合併を選択したところ、また選択しなかったところ、その一つ一つは、やっぱり皆ケース、ケース違うわけで、違った結果が出てきていると思うんですね。ですから、それをしっかりと踏まえて、特例法がこの基準で考えるんじゃなくて、住民の暮らしにやっぱり軸足を置いて、それらを踏まえた県としての対応をしっかりときょうの質問では強く要望しておきたいというふうに思います。
 それから、旧花園村での不法な砂利採取の問題。これは、しっかりと調査すると部長から約束をいただきました。
 また、有田市での不法占拠問題では、左岸側の環境保全について、地元と、そして協議会と検討に入っていくと、こういう答弁であったかと思います。答弁どおりしっかりと取り組んでいただきたいと思うんです。
 知事、今回、私、この川にかかわる二つの問題で共通して県の姿勢をただしたかったのは、無法な行為に対しては、やっぱり県は毅然とした態度で臨むべきだなと思っているんですね。どうしても役所の仕事というのは、まじめな県民、よく言うことを聞く県民には、こんな書類を用意してもらわないかんとか、これしてもらわんなんとか、あれあかん、これあかんという、法や条例を盾にしゃくし定規な対応をする場合が多いんですが、翻って、開き直ってむちゃを通してくる相手には、繰り返し指導はしているのですがとか、指導の限界とか、解決どころかぐるぐる回りになって、だれのための行政なのかと思うことが間々あるわけなんですよね。
 ですから、今回指摘をさせていただいた点については、県民、住民の生活、常識や秩序を守るために法や条例というのはあるわけですから、県民の立場に立った行政を心がけて、必要な場合には県としてしっかりと対応していただきたい。このことを重ねて要望しておきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、今回は四項目について一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入ります前に、御報告、そして一言お礼を申し上げたいと思います。
 実は昨年、私は、垣平代表監査のもと、築野委員、新島委員とともに和歌山県監査委員として平成十六年度行政監査につかせていただきました。一年を通しまして、調査はもちろんのこと、さまざまな意見、要望、提言が出されたわけでございますが、中でも特に県の刊行物についてということでいろいろと議論をさせていただきましたところ、早速、印刷物・広報のあり方プロジェクトチームというものを立ち上げていただきまして、ユニバーサルデザインに配慮したものや刊行物のデジタル化、特に公共物に有料広告をという決断をしていただきまして、今日までの考え方を大きく変えていただいたことになったんではないかなと。金額はそんなに多くはないわけでありますけれども、県にはまさに大きな意識改革をしていただけたという認識をいたしておりまして、知事の大きな功績と評価をさせていただくものであります。
 また、平成十七年九月議会の一般質問におきまして提案を申し上げました徳島県上勝町の葉っぱ産業の海版ということについて、そして本県におけるフィルムコミッション設立につきまして、早速、平成十八年度当初予算案に取り入れていただくなど、知事、それから商工労働部長並びに農林水産部長の迅速かつ積極的な対応に、心から感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず一点目、歳入確保の問題についてであります。
 今議会において、平成十八年度和歌山県当初予算案といたし、一般会計五千二百十億円が示されました。行財政改革で人件費の抑制をしつつも、重点施策に「人口減少問題への対応」「地域力の強化」「安全で安心な社会の実現」の三本柱を掲げ、加えて防災面などの政策的経費の増額を図っておられます。一方、平成十五年度以来減らし続けてまいりました県債発行額をふやすなど、財政運営につきましては相変わらず厳しいなというような感じもいたします。
 このような厳しい財政状況に対処するため、県当局は本年三月一日に、平成十七年度から平成二十一年度までの五カ年間の取り組みといたし、行財政改革推進プランを公表されました。その中で、改革の具体的推進プランの歳入確保策として、県税収入の確保、未利用県有財産の処分が記述されております。
 私も、厳しい財政状況に対処するためには歳入確保の積極的な取り組みが必要であると考え、今回、歳入確保の観点から次の三点につきまして質問をさせていただくものであります。
 一点目、昨年二月議会で県税収入確保の一環としてのコンビニ収納を提案申し上げたところ、導入について御検討していただけるとの答弁でありました。そして、平成十八年度当初予算において、コンビニ収納導入のための経費が計上されております。この積極的な取り組みに感謝申し上げるところでございますが、それでは、導入効果についてどうお考えなのか。また、その見通しについてもお聞かせをいただきたく存じます。
 二点目、税収の確保を支援するため、平成十八年四月一日に設立されます和歌山地方税回収機構への補助金二千五百万円が当初予算に計上されているところであります。この機構の設立が県の歳入確保についてどのような効果があるのか、お聞かせをいただきたく存じます。
 三点目、これも昨年二月議会で提案を申し上げた県有財産の売却について、現在、未利用県有財産の処分にインターネットオークションの活用など新しい手法を御検討されているとのことでありますが、その取り組みについて。
 以上三点を総務部長にお伺いいたしたく存じます。
 次に、県都和歌山市における観光振興についてお尋ねをいたします。
 いつも申し上げておりますが、歳入確保の観点から観光は欠かせないということは、県当局と共通の思いであります。昨日も前芝議員から、紀南の観光について熱いその思いが語られまして、何点か質問があったところであります。
 今議会に、和歌山大学における観光学部設置のための当初予算二百万が計上されております。自前で人材を確保するという点から、また将来の人材を育てるという点からも、これはこれで一日も早い実現を望むものでありますが、高野・熊野の世界遺産登録、またラムサール条約に基づく串本沿岸海域に続いて、今回私は、とりわけ地元和歌山市、和歌浦湾を中心とする観光振興についてお尋ねをいたしたく存じます。
 先ほど申し上げましたが、知事の御決断により、過去数回にわたり訴えてまいりましたフィルムコミッション設立について、県は本年二月二十六日に、わかやまフィルムコミッションを設立していただきました。私は、フィルムコミッションの使い方は大いに重要であって、立ち上げていただいたこのフィルムコミッションのこれからの活躍を大いに期待をいたすものであります。
 時あたかも、田辺市におきまして映画「幸福のスイッチ」の撮影が始まり、また社団法人和歌山青年会議所は映画を制作するとのことをお聞きいたしております。これから県内の数カ所においてロケが行われ、県内外に本県の風光明媚なところが、またいろいろな物産、特産物がどんどん紹介されていく。実にすばらしいことと考えます。
 ここで、皆さん方にひとつ見ていただきたいものがございます。これです。(パネルを示す)漫画なんですけど。ちょっと小さいですね、ごめんなさいね。──これ、御存じでしたでしょうか。実は、「びんちょうタン」。備長炭と言ったら炭なんですが、びんちょうタンと言うらしいんですが、びんちょうタンと呼ばれるアニメのキャラクターです。このびんちょうタンは頭に備長炭を乗せた女の子のキャラクターでありまして、既に漫画雑誌の連載が始まっておりまして、このテレビアニメがTBSにより二月より関東にて、もう始まっております。三月十一日に、土曜日ですけれども、毎週関西にて放映が始まります。まだほかに、クヌギたんとかちくタンとかあろえちゃんとか、実におもしろいものがたくさんキャラクターとしてあるわけなんですね。こういう放映がTBSにより始まります。
 また、日本旅行が地元みなべ町へのバスツアーを募集したところ、もう三十分で定員オーバーということで大変な人気でございまして、続いてオリジナル商品等、関連商品のインターネットを通じた販売は売れ行きが大変好調でありまして、びんちょうタンのフィギュア──これ観賞用の人形ということであるそうでございますけれども──この売り上げも何と二百万個突破。今、若者の間でこのびんちょうタンは大変なブームとなっております。
 今も、みなべ町清川にある紀州備長炭振興館の案内看板を目当てに、このびんちょうタンのファンが町を訪れているとのことでありまして、森林組合の松本参事は、「みなべ町や備長炭にとって、今までにないPR効果だ。組合にとっても、ここでしか買うことのできないオリジナルグッズを開発して、これからも観光客を呼び込むなど、このブームを地域に生かしたい」と話されていますし、町の観光協会も、「みなべ町を多くの人に知ってもらういいきっかけ。観光客の増加につながってほしい」と話されております。
 何か久々にほのぼのとするような温かい話題でありまして、坂本議員の地元みなべ町は、実は梅にとどまることなく、今度は備長炭と農林水産業という観点はもとより、観光戦略という点からも感心するところが大変大でありまして、攻め続ける姿勢に本当にすごいなという思いがするわけであります。
 今回、私は、先ほども申し上げましたとおり、自分の地元和歌山市の観光振興についてお尋ねをするものでありますが、お金をかけずに既存の施設を使って何か和歌山市の観光というものを全国へ──全国へという前に、実はまず関西近郊へ強烈にPRできるものがないかと常々考えてまいりました。そのときに、どうしても和歌浦湾を中心とする海につながった観光戦略は外せないと、そう思うものであります。
 ところが、先日、用があって新和歌浦の旧旅館街を通ったときのこと──ここであえて「旧」と言ったわけでございますけれども、もうとても旅館街とは言えないような状況でありました。実はこの地は、古くは東邦荘、それから木村屋、新和歌ロッジ、岡徳楼、望海楼、市の施設でありますほうらい荘、スシヨシ楼、そして萬波、新和歌浦観光ホテル等々、あの風光明媚な景勝地新和歌浦にたくさんの旅館が建っておりました。それが今一体何軒残っているでしょうか。そして、このままでいいのでしょうか。
 市電が走り、家族で旅館に泊り込み、花火大会を見ていた思い出、遊覧船に乗り、海から新和歌浦や田野、雑賀崎の町並みを見ていたときの思い出、もう遠いものとなったのでしょうか。あのころの新和歌浦、そして今の新和歌浦、もう一度かつてのにぎわいを取り戻すことはもうできないのでしょうか。県、市、地元観光協会それぞれ頑張っていただいていることは承知をいたすところでありますが、私は、また別の見方、やり方があるのではないかと思います。
 一つは、いやしと健康であります。もちろん本県には、世界遺産高野・熊野地域、ラムサール条約に登録された串本沿岸地域、ともにいやしと健康の地がございます。しかし、今も和歌山市、和歌浦地域にいやしと健康の要素はあるのではないでしょうか。今回、和歌浦湾を中心とした観光振興を取り上げたのは、そういうことであります。
 私は、実は前の県立医科大学の学長とお話をさせていただいたことがあります。医科大学の近くで、長期入院加療中の御家族やその付き添いの方が、比較的安価でしかも環境のよいところで、そんな宿泊場所がないということであります。新和歌浦の旅館と提携して、安く泊めてあげられないものだろうか。また、退院してリハビリが必要な方も、まさに眺めのよいこの地において療養することは、いやしそのものであるとのことでありました。大切なことではないでしょうか。
 また、私は今、和歌山県マリンスポーツ連盟の顧問をさせていただいておるわけでございますけれども、昨年まで里浜事業の一環として、昨年五月に二〇〇五ジェットスポーツ全日本選手権シリーズ第一戦和歌山カップ、六月に二〇〇五ジェットスポーツフリースタイル第一戦オールジャパン和歌山カップを初め、七月には障害者との交流の場としてボートを体験していただくなど、二〇〇五マリンリゾートフェスティバル IN WAKAYAMA等の大会を、県、市の御後援をいただき、開催してまいりました。また、来年度当初予算におきまして、海辺で活動する諸団体のネットワークの形成や、県民、観光客の海辺利用促進と環境保全意識の向上に要する経費として紀の国うみべの里親事業──この里親という言い方はちょっと気になるところなんですけども、この事業が計上されております。これは県土整備部の事業であるわけでございますけれども、これらも観光に生かせるつながりが十分あるという、そういう事業であるというふうに考えます。
 先ほど述べましたジェットスキーの大会には、C級、B級、A級、プロの部として、全国から選手を含め一チーム少なくとも三人体制、関係者だけでも、一回大会をやりますと約八百人がやってきます。マリンスポーツフェスティバルを含めますと、約一千人以上の人がこの和歌浦の地にやってまいります。
 しかし、若者中心のチームが多く、経済的なこともあって、彼らはなかなか泊まるところが思うように探せません。彼らは、試合が終わって表彰をしたその夕暮れの片男波の地で、あの海岸から新和歌浦の方を望みながら「あそこに泊まりたいけど、高いんだろうな。和歌山の人はいいな」と、いつもそういうふうに言われるわけでありますけれども、そういうことを聞いておりますと、ついつい考えてしまうわけであります。このままでいいのかなと、そういう思いがいたします。
 そこで、この際、私から以下御提案をさせていただきたいと思います。和歌浦湾を中心として、この際、ゾーン整備ができないものでしょうかということであります。
 実は、これは私の友達がつくってくれたパネルなんですけれども、これから言いますゾーン整備をやったらどうかというパネルでございます。(パネルを示す)これもそんなに大きくないので、ちょっと見にくいかもわからないんですけれども、例えばマリーナシティ、御存じですよね、マリーナシティから片男波海岸にかけては、海水浴はもとより各種マリンスポーツ、ビーチバレー等の催しをやっていただいて、その沖ではヨットも大会をやっておりますし、それからプレジャーボートなんかもたくさんここら辺でやっておるわけですけども、そのようなマリンスポーツの拠点、すなわちレジャー、リゾートと言われるエリアにさせていただいたらどうかと。
 今度は片男波から新和歌浦にかけては、これは実は万葉館も建っておりますし、そういう地でございますから、万葉、いやし等──いやしと健康は一緒のもんやと思うんですけども、そういうものに使わしていくエリアやと。
 新和歌浦から今度は田野、雑賀崎にかけましては、水産振興などのエリアとして、今ある既存施設の有効利用に加えて、それぞれプラスワン、一つくっつけて、付加価値をつけて売っていくという、そういう試み。どれも観光という観点からは、非常に期待ができるものと思うわけであります。
 ここで、知事にお伺いをいたしたいと思います。
 この風光明媚な和歌浦湾を中心とした県都和歌山市の観光振興について、どうお考えでしょうか。加えて、現在の新和歌浦の現状をどうお感じになっておられますでしょうか。御見解と御感想をお聞かせいただきたく存じます。
 二点目であります。次に、障害者自立支援法施行を受けてであります。
 本年一月十八日、私は、先輩・町田亘議員が会長を務められます和歌山県議会自由民主党県議団福祉議員連盟二十三名にて、東京都港区赤坂にございます日本財団ビル一階にあるスワンカフェ&ベーカリー赤坂店を視察させていただく機会をいただきました。福祉と企業の協働ということでありまして、元ヤマト運輸社長がヤマト福祉財団を創設、障害者一人に十万円程度稼いでいただけるようにとの目標を立てまして、スワンベーカリー銀座一号店を皮切りに、現在、全国で十五店舗が出店されているというふうに聞いてまいりました。
 さて、皆様方よく御承知のとおり、いよいよこの四月より、昨年成立いたしました障害者自立支援法が段階的に施行されることとなりました。障害者施策の喫緊の課題は、本来、支援費制度によって施設から地域へと戻れるようになった障害者がどこでも必要なサービスを公平に受けられるようにするとの基本認識に立ち、施策を整えることこそが常道であったと考えます。
 しかし、結果的に障害者の声が、全部という感覚なんですけども、全部届かず、負担増を求めるものとなりました。そして、その定率負担制度が利用者の生活に及ぼす経済的、また心理的な影響が心配されるところであります。しかし、法が成立した以上、その法が障害者にとってためになるものにしていかなければならないと考えるわけです。
 今回、この障害者自立支援法の目指すものは、一つ、障害者が一人一人の能力や適性を持っているという考え方に立ち、それぞれに応じた個別支援を行うこと、一つ、自立した生活を営むことを支援すること、一つ、障害者や障害児の福祉の増進とともに、障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会づくりを進めること、この三点であります。そして、改革のポイントといたし、一、サービス提供主体を市町村に一元化し、障害の種類、いわゆる身体障害、知的障害、精神障害にかかわらず、障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供すること、二、障害者がもっと働ける社会にということで、障害のある方が企業等で働けるよう福祉側からも支援をすること、三、地域に限られた社会資源を活用できるよう規制緩和をすること、四、公平なサービス利用のための手続や基準の透明化、明確化ということで、支援の必要度合いに応じてサービスが公平に利用できるよう手続や基準を透明化、明確化すること、そして五番目として、増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し、支え合う仕組みの強化を図ること等があります。
 以上のことから、本年四月の法施行に向けて、県下各市町村の準備状況はどのようになっているのか。また、支援費制度導入時と比較して大変厳しいスケジュールになっていると感じるわけでございますけれども、各市町村、事業所への指導も含め、県の果たす役割について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 また、自立支援法では、障害程度の軽い人にとっては、できる限り施設から民間企業へとの施策が盛り込まれているわけでありますけれども、施設では就労移行事業を実施し、障害者が民間企業で就労できるよう支援を行うわけでありますが、現実、民間企業で障害者を雇用してもらえなくては、どれだけ事業を実施しても余り意味のないものとなってしまうというふうに感じます。
 現在、ハローワーク等も障害者雇用に力を入れてくれていると思いますが、雇用率が低いことは御存じのことと思います。県行政、市町村行政においても、福祉関係と労働関係の部署がもっと連携をしていただいて障害者雇用を促す施策を行っていただきたいと思いますが、この障害者雇用の推進について商工労働部長の御見解を賜りたく存じます。
 今回、この法におきましては、軽度の障害者は既存の更生施設には入所できないこととなります。この猶予期間はあと五年と聞きます。このような軽度の障害者が入れる施設はグループホームやケアホームでありますが、和歌山県、とりわけ和歌山市では、これら施設が少ないのが現状であります。既存の事業体でも、グループホームやケアホームをこれから建設等していかなくてはならないと思うわけでありますが、報酬単価も安く、なかなか経営上運営が難しくなると推察をいたします。
 しかし、グループホームやケアホームがなければ、現在でも何十人の人が、将来的には何百人もの障害者の行き場がなくなってしまいはしないのか。県、市町村行政において、グループホームやケアホーム事業に参画しやすくなるような、そんな施策を考えていただきたく存じます。この点についていかがなものか、福祉保健部長に御見解をお示しいただきたく存じます。
 最後になりました。コスモパーク加太についてであります。
 平成十八年度当初予算で、県土整備部から紀の川防災公園整備事業といたし、四千八百万円が計上されております。これは、東南海・南海地震発生時に紀北地域の救援物資の集積、集配等の拠点となる防災公園の整備に要する経費であるとお聞きをいたしております。
 私は、東南海・南海地震発生時に備え、防災拠点となるべきところが県内に一つでも多くある方がよいと理解するものでありますが、平成十五年九月議会で、コスモパーク加太が持つ防災機能の可能性についてこの質問をさせていただきました。その中で、和歌山県発展のため企業誘致や各種施設の土地として販売する必要がありますが、来るべき地震に備え、コスモパーク加太の一部を、ふだんは県民の憩いの場としての広場や、市街地に住む人々に対し、四季折々の草花を植え、自然や土地と親しむことのできる公園や貸し農園なんかをつくって広く県民に開放し、事が起こった場合には即座に必要な用途に転用するといったフレキシブルな対応ができる暫定的な利用ができる部分として確保する必要がありますと提案をさせていただき、木村知事からは、コスモパーク加太は防災拠点の有力な候補地の一つであるとの御答弁をいただいたわけでございます。
 今も私はコスモパーク加太は企業誘致のための用地であるとともに東南海・南海地震発生時の重要な防災拠点の一つであると考えておりますが、このコスモパーク加太の今後の土地の利用をどうされていくのか、平成十八年当初議会の場で改めて企画部長にお尋ねをいたすものであります。
 以上、四点につきましてお尋ねいたし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌浦の観光地としての振興と、そしてまた現状認識についての御質問でございます。
 御質問にもありましたように、和歌浦は、歴史的にも大変由緒のあるところで、たくさんの観光客を集めてきたところでございます。近年、いろいろな事情によって非常に厳しい状況下にあるわけですけれども、ようやく北村荘でありますとか、ああいうような廃屋になっていたようなところの取り壊しが進んだり、そして、旅館ではありませんけれども、きれいなマンションが建つとか、そういうふうなことで、若干このところいい方向へ変わりつつあるのではないかというのが私の認識でございます。
 ただ、和歌山県が、例えば高野、熊野、そしてまた白浜、勝浦等々についていろいろな形で観光振興が進んできているのに比べれば、和歌浦はその持てるポテンシャルを十分に生かしているとは言えない状況にあるということも、またこれ否めない事実でございまして、そういう中で、今、議員の御質問にありましたように、ゾーン分けをして、海洋レジャーの基地であるとか、いろいろな形で有機的な連携の中で、都会地から人が日帰りで来るというふうな形での観光地としての振興を図る道があるのではないかというふうに私も思っているところでございます。
 そういう中で、私も前から提言しているんですが、やはりあそこは、東照宮とか天満宮、そしてまた和歌祭り等々、本当にほかにはないものがありますので、こういうものにもっと魅力をつけていくような方法を考えればいいと思いますし、そしてまた、食べることに現代の人は非常に熱心なんですが、和歌浦もお土産物とかいろんないいものはあるんですけども、なかなかここへ行ったらこういうものが食べれるというところまでのブランド化はできていないというふうなことなので、そういうふうなことも含めて、和歌山市が中心になってくると思いますけども、県、市、そしてまた観光業者の人が協力して、何とかいささかでも和歌浦に元気が戻ってくるような努力をしてまいりたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 歳入確保策についてのお尋ねがありました。
 まず県税の確保でございますが、議員御提案のとおり、平成十九年度の自動車税の定期課税分からコンビニ収納の実施を予定しておりまして、平成十八年度中に実施に向けた準備を行うこととしております。コンビニ収納の導入によりまして、納税者の利便性の一層の確保を通じ、収入率の向上を目指したいと考えております。
 また、市町村の税収確保の観点から、すべての市町村税等の滞納整理を専門的に行う組織として、和歌山地方税回収機構を平成十八年四月に設立する予定であります。この取り組みを通じて、市町村で賦課徴収している個人県民税の歳入の増加も期待できます。直接効果に加えまして、こういうものをつくるというアナウンスをするだけで税を納めてくれるという間接効果もあるようであります。
 さらに、その他の収入の確保策として、インターネットオークションを利用した未利用県有地の売却に向け、現在、オークション事業者と具体的な協議を行っております。インターネットを利用することで売却情報の周知範囲が飛躍的に拡大し、また、いつでも、どこからでも入札が可能となり、多数の方の入札が期待されます。
 今後とも厳しい財政状況でありますので、さまざまな歳入の確保策について積極的に取り組んでまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害者自立支援法施行を受けての御質問の中で、まず市町村の整備状況及び県の果たす役割についてでございますが、今回、新法成立から施行までわずか五カ月という厳しいスケジュールとなってございます。各市町村の準備状況は、現在、利用者負担の見直しに対応するための申請手続を実施中でありまして、認定審査会の立ち上げ準備など、施行に向けての体制整備は整ってきております。
 具体的な内容を規定する省令が二月二十八日に国から示され、県といたしましては、収集した情報や準備の方針について、いち早く市町村や施設、事業所等にお伝えするなど、できる限りの支援に努めてまいります。
 また、具体的な支援についてでございますが、新法では、原則としてサービスの提供主体が市町村に一元化されます。県としては市町村に対し、専門性の高い相談支援、複数の市町村による認定審査会の共同設置、相談支援専門員の養成、研修等、障害者の地域生活を支える体制の支援を行ってまいります。
 次に、地域での居住の場の確保についてでありますが、障害者自立支援法は施設体系を再編して地域移行を促進することを目指しており、国の方針では、全国の障害者施設の入所者約十五万人を平成二十三年度までに約七%に当たる一万人の削減という数値目標を設定し、障害者の地域移行の推進を打ち出しているところでございます。そのため、グループホームの要件の緩和やケアホーム制度の新設など、地域移行の施策が図られているところでございます。
 県としましても、紀の国障害者プラン二〇〇四におきまして、グループホームについては平成二十年度までに五百六十二人の確保を目標としており、障害者の居住の場の確保のため、県単独制度のグループホームの開設やその整備・改修費への補助、並びに国の規制を緩和した構造改革特区による全国初のグループホームの認定を受けるなど、積極的に展開をしてきたところでございます。
 今後も、障害者の方々が地域において自立した生活ができるよう、居住の場の確保を図る諸施策の充実に一層取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 障害者雇用の推進についてお答えをします。
 障害者の雇用状況につきましては、景気が長期間にわたり低迷したことなどによりまして、非常に厳しい状況が続いております。さらに、今般の障害者自立支援法の施行を控え、障害者の雇用の場の確保は重要な課題であると認識をしております。
 このため、県としましては、障害のある方が能力を最大限発揮できるよう、民間事業者への委託訓練方式による職業能力の開発や、高等技術専門校の再編整備により知的障害者を対象とした訓練科を新設することとしています。
 また、県障害者雇用促進協会を初め関係機関と連携して事業主等への啓発活動に取り組むとともに、NPOと協働で企業開拓やジョブサポーターの職場への派遣等により一般就労への円滑な移行に努めているところです。
 さらに、身近な地域において障害者の円滑な就業や日常生活などの必要な支援を行う障害者就業生活支援センターが、雇用促進及び職業の安定を図る上で重要な役割を果たしてきております。同センターにつきましては、現在、和歌山市及び田辺市に設置をされておりますが、来年度中の新たな地域での開設に向けて積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、福祉保健部はもとより、和歌山労働局などと密接な連携のもと、障害者個人の特性に応じたきめの細かな施策により障害者の社会的自立と職場定着を支援してまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) コスモパーク加太についての御質問でございます。
 コスモパーク加太におきましては、現在、その一部の土地を県土地開発公社から県が賃借しておりまして、防災対策用地、企業誘致用地として利活用を図っているところでございます。防災対策用地といたしましては、従前から議員の方からいただいております御提言も踏まえまして、大規模災害時には救援物資の集積地などといたしまして利用することにしております。
 引き続き、東南海・南海地震等によります被害想定作業の結果を踏まえまして、防災拠点としての位置づけも含め、関係する部局と連携しながら、その機能の充実に向けた検討を進めることにしております。あわせて、ふだんの利用につきましても、県民の憩いの場としての広場などとして開放できるよう検討を進めてまいります。
 また、企業誘致用地といたしましては、加太菜園株式会社に続いて、雇用機会の拡大や地域経済の活性化などが期待でき、大きな経済波及効果が見込める企業を誘致すべく取り組んでいるところでございます。今後、さらなる誘致活動等を関係部局と連携して進めていくこととしております。
 コスモパーク加太の利活用は、極めて重要なことであります。引き続きまして、関係各方面と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十八分散会

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