平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得まして、通告に従って質問をさせていただきます。
 早いもので、前回の統一地方選で初当選させていただいて、この四月で三年がたとうとしております。この間、後援者の皆さんの御支持はもちろんですが、議会におきましては会派を問わず先輩・同僚の皆さん、また木村知事初め県当局の皆さんにはいろいろと御指導をいただき、伝統ある和歌山県議会の一員として精いっぱい活動さしていただいたことは私の人生にとりまして大変有意義な三年間であったと、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでございます。まことにありがとうございます。
 しかし、県民を代表する立場の県議会議員として、自己満足だけではいけません。県民の皆さんが不安に思うことを少しでも多く解決し、この和歌山県で暮らしていけることに希望を持てるように努力していくことが私の仕事であると改めて認識をし、この場に立ち質問さしていただきますので、どうぞ明確な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回は、県民の皆さんが言うに言われぬ不安感を抱いている人口減少問題に限定し、知事初め県当局の御認識と今後のビジョンについて御質問いたします。
 既に御存じのとおり、人口減少問題につきましては、私が初めて一般質問に立った平成十五年十二月議会でも行いました。このときは、和歌山県の人口の減少速度が他府県に比べて大変速いということ、そして、同じ近畿圏でありながら滋賀県はまだこの先二十数年にわたり人口は増加傾向にあるのに、和歌山県は既に二十年余り前から減少傾向にあり、さらにこれからそれに拍車がかかるのではないかと、グラフを示して説明をいたしました。その後、答弁に立たれました木村知事は、そのグラフを見て「慄然とするものを感じた」と正直に答えられたことを今でもよく覚えております。ちなみに、この「慄然」という言葉は、「広辞苑」によりますと「おののき震えるさま」とあります。つまり、恐ろしくて震えてしまっている様子ということで、大変なショックをあらわす表現であります。
 それから二年、昨年十二月に、五年に一度の平成十七年度の国勢調査の結果が出てきました。それによりますと、和歌山県は、前回の平成十二年度より人口がさらに三万三千八百五十一人減少し、百六万九千九百十二人から百三万六千六十一人になりました。日本の人口が予想より二年早く昨年から減少に転じ、全国で三十県が減少しているとはいえ、その中でも減少率は、秋田県に次いで二番目に大きく、三・二%であります。
 まず、ここで、和歌山県は人口減少の先進県であるという認識があるのかどうか、知事、お答えください。
 そして、今後これがどのようになっていくのでしょうか。
 実は、お手元にその推移と推計のグラフを配付させていただいておりますが、これは一九八五年からのもので、人口の最大値を百としたものであります。前回の質問のときは和歌山県全体と私の地元和歌山市だけのグラフしか示しておりませんでしたが、今回、皆さんに御理解を深めていただくために、県内の九市六郡の人口の推移と推計をグラフにしました。
 お断りしておきますが、推計については、まだ昨年の国勢調査をベースにしたものはできておりませんので、これは平成十二年度のものをベースにしたグラフで、平成十四年三月に地域づくり推進実行委員会というところから出たものであります。人口推計を提示するときは、普通、国立社会保障・人口問題研究所のものを出すのですが、こちらの地域づくり推進実行委員会の方がより実数に近いので使用いたしました。
 しかし、このデータでも平成十七年度の和歌山県の人口推計が百四万九千八百十四人となっており、実際には百三万六千六十一人でありますので、推計より実際の方が一万三千七百五十三人も減少しているということになります。つまり、このグラフより実際はもっと右肩下がりを描いているということになります。
 また、下には高齢者人口割合、つまり高齢化率の推移と推計のグラフを載せました。ここで特徴的なことは、人口の推計で減少率が大きい郡市ほど高齢化率の進みぐあいが大きいということであります。市部では海南市、新宮市、和歌山市、また郡部では海草郡、伊都郡、東牟婁郡等であります。あわせてごらんいただければと存じます。
 ここで、グラフをもとに根本的な質問をさしていただきますが、なぜこのように人口が減少したのでしょうか。企画部長、お答えください。
 もちろん、先ほども申しましたとおり、全国でも昨年から減少に転じたことは十分わかっておりますが、和歌山県では、昭和五十七年の百九万五百二十一人をピークに、多少ふえた時期もありましたが、減少が続いているということが事実でありますので、その辺も含めて、企画部長、よろしくお願いいたします。
 このような質問をいたしますと必ずといっていいほど「地理的な条件」という言葉が出てくると思います。前回示しました人口が増加している滋賀県との比較をすれば、それで納得できるかもしれません。もちろん、私も地理的な条件を一概には否定はいたしませんが、それでは、地理的に和歌山県より不利であり、人口がもっと減少してもおかしくない沖縄県が東京都、神奈川県に次いで増加率三・二%で、平成十二年度より四万二千六百十人がふえているというのはいかが説明されるでしょうか。自然や環境のすばらしさということでしたら、我が和歌山県もいつも言い続けてきたことではないでしょうか。その点についても、企画部長、御答弁よろしくお願いいたします。
 さて、ここで人口が減少して何が問題なのかについてお伺いをいたします。
 「人口」というのは、人の口と書きます。もちろん人には口だけではなく、目も鼻も体もついております。つまり、単純に言って、衣食住すべてにおいて人口減少により消費経済は縮小せざるを得ないことは容易に想像できます。そのことを考え、木村知事は前回の質問で「慄然とするものを感じた」とおっしゃったのだと思います。
 しかし、木村知事、御安心ください。最近、人口問題を調べていて、こういう本があります。「人口減少社会は怖くない! 人口減少で日本没落、地方衰退なんてウソだ!」というたぐいの本がたくさん出ておりますので、ぜひ御一読いただきたいと思います。ただ、理論的には、私もこの本を読みまして、納得はするのですが、正直なところ、地方の実態がわかっていないなというのが私の感想であります。
 それより、ここにもう一冊「過疎列島の孤独 人口が減っても地域は甦るか」という本がありますが、これは、阪神大震災の翌年の平成八年に日本銀行の神戸支店に支店長として赴任した額賀信氏という方が神戸での実生活を通して書いたもので、その中にはこのようなことが書かれております。「国も地域も経済活力は人から生まれる。逆に人口が減ったら、経済活力は失われる」とあり、また神戸が失った人口力という項目の中で、経済活力イコール人口力と断言されています。私には、この方の言われんとすることの方が大いに共鳴できます。
 そこで、人口が減少して何が問題であるのか、県民生活や産業、そして教育分野について、環境生活部長、商工労働部長、教育長、明確にお答えください。
 さて、もう一冊本を御紹介いたします。これは、九七年に日本経済新聞社から発刊されました「二〇二〇年からの警鐘」という本であります。たしか、九六年の一月より日経新聞に掲載された特集記事を集めたものでありますが、三部作──これは一部目ですが──三冊のシリーズで、一部は「日本が消える」、二部は「怠慢な日本人」、三部は「『終わり』からの出発」というサブタイトルがついております。皆さんの中でもこの本をお読みになった方もいらっしゃると思うのですが、私も浪人中にこの本に出会い、大変な驚きと興味を持って二度も読みました。ここで言う二〇二〇年とは、日本全体の高齢化率が二五%、つまり六十五歳以上の高齢者が四人に一人になり、働く世代もどんどん少なくなる中、年金や介護制度がこのままでは破綻するというところからの問題提起であります。
 私がこの本と出会ったのは九年ほど前ですが、自分の足で歩き、見聞きしたことと照らし合わせながら、時間を忘れ読み通したことを今でも覚えております。また、この本の中には、当時余りまだ言われていなかった人口減少のことについても書かれています。その当時は二〇二〇年といってもまだまだ遠い先のことだと思っていたのですが、気がつけば、あと十年余りであります。しかも、お配りしたグラフもごらんになっていただければわかるように、和歌山県ではもう既に幾つかの地域で高齢化率が二五%を超えているところがあることがよくわかります。
 そこで、二〇二〇年を一つのキーワードとして考えますと、そのときの和歌山県は、さきの推計によると、人口が現在より一〇・五%減少して九十二万七千五百三人に、しかも高齢化率は三一・一%、つまり、四人に一人というより、ほぼ三人に一人が高齢者になっているとあります。もちろん、これはあくまでも推計であり、社会の動向によってこのとおりではないことはよくわかっておりますが、しかし、そのような社会から想像できる和歌山県の未来像について、企画部長、お答えください。
 また、ここで私が心配するのは、冒頭でも申しましたとおり、国立社会保障・人口問題研究所やここで示した地域づくり推進実行委員会の推計よりも、わずか五年間で人口減少が予想以上に進んでいるということであります。つまり、このままではますます人口減少に拍車がかからないかということについて、企画部長、お答えください。そして、このような社会が来るということを県民の皆さんにどのように伝え、理解してもらおうとしているのか、企画部長、あわせてお答えください。
 さて、全国でも予想より二年早く、昨年から人口減少が起こり、ようやく本県でもこの人口減少ということを問題としてとらえ、今回、予算の三本柱の第一番目に人口減少問題への対応ということで六十六事業、約三十億円を計上しておりますが、これによって五年後、十年後、そして二〇二〇年には推計よりも一人でも多く和歌山県に残し、人口減少問題に少しでも解決の糸口を見つけ出そうとしていると思います。
 既に本県では、平成十四年度より、木村知事発案のもと、全国的に有名になりました緑の雇用事業という国の緊急雇用対策や緑の雇用担い手育成対策、また県単の緑の雇用環境林担い手づくり等の事業で四年間で約五十億円を投入し、現在、三百数十人の雇用と、その家族を含めると約五百人を定住させたということをお聞きしておりますが、それでは、この六十六事業全体ではいかがでしょうか。
 また、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策、そして農業をやってみようプログラム推進についても、人口減少対策としての具体的なマニフェスト、期限、財源、数値目標、行程等を総務部長、商工労働部長、農林水産部長、お答えをください。
 さて、このように人口も経済も縮小する中で、木村知事は、先般、県職員の人員を削減する計画を発表されました。それによると、警察、教育関係を除いた県職員を現在の五千二百五十人からこの五年間で約二七%、千四百人削減するというものでありますが、それは、厳しい財政状況の中、効率的で質の高い県庁志向を徹底し、人件費の削減を中心とした行財政改革の断行により財源を捻出し、喫緊の課題にめり張りをつけるということで、私は高く評価をいたしております。
 なぜ私はこのことを改めて言うのか。それは、今議会で予算案審議とともに、我々議員にとって真剣に議論をし、県民の皆さんにきちんと説明でき、納得していただかなければいけない問題に、市町村合併並びに人口減少時代における議員総定数の問題があります。
 御存じのとおり、全国四十七都道府県の議会の定員において法定上限数を適用しているのは、和歌山県を含めてわずか四県であります。また、今回の市町村合併により県全体の市町村議員は、合併前七百十九人から合併後五百七十二人に、実に二〇・四五%も減員しております。もちろん、首長も五十人から三十人になったわけですから、県議会議員だけはそのままにしてよいという理屈は通らないのは明白であります。
 また、昨年十二月議会では、初の議員提案条例として紀の国森づくり税を可決し、県民の皆さんにも、財源不足ということで年間約二億六千万円の税負担を五年間にわたりお願いしていただけに、議会もみずから襟を正し議員総定数の削減に積極的に取り組まなければ県議会そのものが県民の皆さんの信頼を失うと私は思います。このことについては、本来なら知事の御見解をお伺いしようと思っていたのですが、知事も議会のことについてはコメントされにくいでしょうから、今回はあえて求めないことにいたします。
 以上をもちまして、第一回目の私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の人口減少問題、先般の国勢調査の結果で、減少率が、御質問にもありましたように、秋田県に次いで第二位という余り芳しくない結果になったわけでございます。
 人口が減っても十分質の高い生活を維持する方がいいのだというふうな意見も一方にはありますが、やはり地域としては、人口が減っていくということは活力の減少につながります。そしてまた、御質問にもありましたように、これは、ただ単に今回だけの減少じゃなくて、手をこまねいていれば当然十年先、二十年先にどうなるかということは火を見るより明らかな状況でございますので、そういうことから言えば、この和歌山県、そしてまた日本の人口減少というのは非常にゆゆしき問題であるというふうに考えているわけでございます。
 そういうふうな中で、例えば先般から緑の雇用とか、それから農業をやってみようプログラムであるとか、漁師への道であるとか、こういうふうな第一次産業を中心に、和歌山へ外から人が来て暮らすような政策というふうなことを行ってまいりました。そしてまた、観光の振興ということで、流入人口をふやし、また観光産業従事者の職場をふやしていくというふうな努力もしてまいりました。しかしながら、これだけでは十分ではないということが今回の結果からも明らかになったわけで、新年度から大々的に予算も投入して、この人口減少対策をとっていこうというふうなことです。
 一つは少子化対策ということで、やはり子供を産み育てやすいような和歌山県というふうなものをつくっていこうということでいろいろな施策を進めていきたいと思いますし、そして、もう一つは外からの流入と、そしてまた和歌山県にいる若い人たちに職場をつくっていくというふうなことで、企業誘致ということを大々的に進めていこうというふうに思っているところでございます。
 この二つだけで十分役割を果たせるということにはならないと思いますけども、こういうふうないろいろな積み重ねの中で、和歌山に残って働こう、そしてまた外から和歌山へ来て働こう、そしてまた働かなくても和歌山へ住んでみようというふうな人をふやしていく努力をすることによって、和歌山県の場合、後ほど各部長から答弁もあるかもしれませんけども、非常に山がちです。平地が少なくて、そしてまた国土軸から外れているというふうなこともあります。そういうふうなことの中で、また沖縄とは違った意味で大変厳しい状況に置かれているということ、これはもうやむを得ないことなんですけども、それはそれとして受け入れるのではなくて、そういうことにできるだけ抗しながら、和歌山の人口が少しでもふえ、また減りどまるような政策を行っていきたいと思いますので御理解いただきたいと思います。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人口減少問題についての御質問、企画部関係五点についてお答えを申し上げます。一括してお答えを申し上げます。
 本県人口におきましては、自然動態による減少については少子高齢化の進行、社会動態による減少につきましては県内における雇用機会の減少等によるものであるというふうに考えております。また、沖縄県につきましては、社会動態もさることながら、自然動態による増加が大きな要因であると考えられております。
 議員御質問のような状況に陥った場合、労働力人口の減少が生産活動のさらなる縮小をもたらし、地方自治体への歳入が減少する一方、高齢化に伴う需要の増加が見込まれる行政サービスとのアンバランスなど、大変厳しい状況が考えられます。これらの問題はできるだけ避けなければならない課題でありまして、深刻な状況であるとの認識を県民の皆さんと共有することが大変重要であると考えております。
 県といたしましては、人口減少の要因の把握に努めながら、少子化対策や企業誘致、農林水産業の分野など、さまざまな取り組みをさらに強力に進めていくとともに、人口が減少する中にあっても、市町村やNPOを初め県民の皆さんとともに、一人一人が安心して暮らせるような施策を進めていく必要があると考えております。部局横断的に人口対策を推進する本部を立ち上げまして、既存施設の見直しやブラッシュアップ、新規施策の創出等に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 人口減少問題のうち、県民生活への影響に係る御質問にお答えを申し上げます。
 一般的に、人口減少は経済活力の減退をもたらし、直接県民全体の可処分所得の減少に結びつくものと考えられますが、例えば消費の面から見ますと、近隣商店やサービス業の減少等、生活の利便性への影響等が考えられ、中でも高齢者への影響等、特に憂慮をしているところでございます。
 地域における安全・安心の観点からも、地域コミュニティーの担い手が減少することにより見守り機能の低下を招き、例えば、地域における悪質商法による被害や子供の安全が脅かされている問題が既に発生をしているところでございます。このような状況を踏まえまして、県消費生活条例の改正を既に行ったところではございますが、今議会におきましても、和歌山県安全・安心まちづくり条例の御審議をお願いしているところでございます。
 このような状況の中でも、地域における人と人とのきずなを大切にし、相互扶助、自主自立の精神に支えられた安全で安心できる地域づくりのため、NPOを初めとする地域の皆様と連携し、また今後は特に団塊の世代の力も活用するなど、県民生活の向上に向けた環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 人口減少が与える産業分野への影響についてでございますが、人口減少に伴う産業面から見た地域への影響につきましては、まず、地域全体の購買力の低下により消費全般での減退を招き、地域の依存度が高い商業やサービス業などの経済活動は直接的な影響を受け、厳しい状況に置かれるものと考えます。また、若者を中心として地域産業の担い手が供給不足となり、既存産業の着実な成長、多様な企業誘致などへの影響も顕在化し、地域経済の成長を阻害することも想定をされます。
 このように、人口減少は経済活動全般に負の要素を含んではおりますが、本県の活力維持を図るため、地域資源を活用し、経済環境の変化にも対応できる足腰の強い産業の育成と雇用の場の確保に努めてきたところであります。
 今後、これらの取り組みを一層強化するため、さらなる中小企業の技術力の強化、首都圏等への積極的な企業誘致や県産品の販路開拓、中国等への海外市場進出を促進するとともに、世界遺産やラムサール条約に登録された観光資源を最大限活用し、首都圏や近畿圏、さらには海外へ戦略的な誘客活動を行うなど、国内外へ和歌山を売り出すことにより元気で活力あふれる和歌山の産業振興を目指してまいります。
 次に、人口減少問題への対応のうち、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策についてでございます。
 観光とは、人が居住地とは異なる他の地域を訪れることにより成り立っておりますが、いわゆる交流人口に依存する産業であります。したがいまして、人口減少期を迎えた本県にとりましては今後ますます重要性を高めていく産業分野であると認識し、十八年度は首都圏並びに近畿圏を重点エリアに位置づけ、誘客に一層積極的に取り組むこととしております。
 首都圏におきましては、東京に置く観光連盟の体制を強化する中で、歴史や文化、健康に高い関心を持つ一方で経済的、時間的に余裕のある六十歳前後の世代を中心に誘客を図っていくことにしておりまして、具体的には、十七年度から実施している世界遺産出前講座などカルチャーセンター等と連携した取り組みの充実強化や、旅行代理店やマスコミとタイアップした熊野古道などを歩きめぐる旅の具体化を進めてまいります。また、体験観光を活用した修学旅行の誘致拡大にも積極的に取り組んでいくことにしております。
 一方、宿泊観光客の五割を占める近畿圏に対しましては、新たな誘客手法によるリピーター化の促進や新規観光客の掘り起こしを図っていくことにしておりまして、具体的には、西日本高速道路株式会社と連携した道路を利用する観光客への積極的な情報提供や、JR西日本や南海電鉄を初めとする関西私鉄各社とタイアップした誘客活動を展開してまいります。これらの取り組みにより、今後三年程度をかけ、宿泊観光客十万人増を目指すことにしております。
○副議長(大沢広太郎君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 人口減少問題に対する対応についてのお尋ねがありました。
 平成十八年度当初予算においては、予算の三本柱の一つとして人口減少問題への対応を掲げ、先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、企業誘致対策、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策、それから少子化対策としての乳幼児医療費の適用拡大など、全体として六十六事業、総額三十億円を計上したところであります。
 これらの事業につきましては、人口減少に対する定住促進効果と、それから交流人口拡大効果という観点から十分考慮して予算化を図ったところでありますが、創意と工夫により新たに取り組みを始める事業も多く、現時点で明確な数値目標、期限等を示しがたい面がございます。
 いずれにいたしましても、人口減少問題への対応は本県にとって最も重要な課題の一つであると認識しておりますので、事業の執行状況や効果についても十分検討してまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 人口減少問題への対応のうち、農業をやってみようプログラムの推進についてでございますが、本県の基幹産業でございます農業の担い手不足が年々深刻化し、耕作放棄地の増加や集落機能の低下を招くなど、厳しい環境にございます。
 こういったことによりまして、平成十六年度より就農支援センターを核といたしまして、多様な農業の担い手を確保、育成する農業をやってみようプログラムに取り組んでございます。
 平成十八年度におきましては、農業に意欲のある若者を対象に農業研修を行う鄙の里塾、企業と地域の協働による新たな農村づくりを進める鄙の夢農場を展開するとともに、地域での円滑な就農を支援する鄙の里づくりを進めることとし、年間百五十人──向こう三カ年で四百五十人でございますが──の新規就農者の確保を目指してございます。
 また、こうした担い手の育成策に加えまして、都市部に住む団塊の世代や若者に対しまして、温暖な気候と豊かな自然や文化に恵まれた和歌山における田舎暮らしを積極的に提案し、都会からの人口の逆流動を起こすことにより新たな農山漁村の担い手を生み出し、とりわけ中山間地域の活性化を図らねばならないと考えているところでございます。
 団塊の世代の定年退職が始まります二〇〇七年に向けましてわかやま田舎暮らし支援施策を積極的に展開し、さまざまな形での県外からの移住、Iターン、Jターン、Uターンを促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 少子化に伴う教育分野での課題についてお答えいたします。
 少子化が進むことによって、子供の自立性や社会性、たくましく生きる力をはぐくむといった教育の本質にかかわる点で大きな課題が生じると考えております。具体的には、本県のように山間部を中心にして小規模校が多い県では適正な学校規模が維持できなくなり、結果として、学校の活力の減退を招くだけでなく、特色ある充実した学校づくりが困難になるおそれがあります。また、中学校などにおいて、各教科の専門の教員を配置できない、あるいは多様な部活動の展開に支障を来すといったことも起こってまいります。
 こうした教育的課題の解決に向けて、本県では、去る一月に義務教育ニュービジョン研究会議から学校の適正規模化に向けた対応策等についての報告書が提出されました。今後、市町村教育委員会と連携しながら、適正規模化に資する施策を積極的に進めてまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、まことにありがとうございました。
 実は、人口減少問題というのを少し勉強すればわかるのですが、大変構造的な問題であり、二、三年で解決できるような簡単な問題ではないということですね。それだけに、今回余り細かいことについて私は言うつもりはありませんが、一点だけ少し詳しく掘り下げますと、企画部長の御答弁にありましたように、沖縄県はなぜ人口がふえているのかというと、転入者が転出者より多い、つまり社会増もその一因ですが、自然増が多いということですね。自然増が多いということ。
 しかし、沖縄県の女性の特殊出生率は、二〇〇三年で一・七二人。ちなみに和歌山県はその年、一・三三人だったんですが、本来その社会の人口を維持していくために必要な二・〇八人より少ないにもかかわらず人口がふえているということは、相対的に高齢者よりも若い世代が多くいるということであります。沖縄県は、一言で言って若い人たちを地元に残しているということでありますので、今後参考になると思いますので、ぜひその辺も御研究いただきたいと存じます。
 また、我が和歌山県にとって人口減少問題の何が問題であるかと私も考えたのですが、二十数年前に、つまり昭和五十八年ぐらいから人口が減少し出したときに、先ほども言いましたように、それを構造的な問題としてとらえ対策を講じていなかったことが、つまり問題を問題としていなかったことが大きな問題であるということであります。
 この問題、私が初めて質問で取り上げましたのは二年余り前になりますが、県も今回、ようやく人口減少問題の対策本部を企画部に設け取り組んでいただけるということで、大変うれしく思っております。二年前にこの人口減少を問題としてとらえ、質問をつくって県の職員の方といろいろ意見交換したんですが、そのとき、ある職員の方は「浦口議員、人口減少、人口減少と余り言ってもらっては」というような少々困惑したような顔をされて、できるだけそのことに触れられたくないなという方もいらっしゃいました。しかし、私はその方に対して、「これは悲観論じゃないんですよ。厳然たる事実で、ここから始めなければ県勢の発展なんかないんじゃないですか」と反論をさせていただきました。
 今回、木村知事も、非常な危機感のもと、予算の三本柱の第一に人口減少問題への対応ということを挙げられたことは、私はこれは高く評価しておりますが、今回、事前の県職員との意見交換の中で、前回とは違う職員の方ですが、大変おもしろいことを言われました。これを紹介させていただきますと、「これからの県の最大の仕事は、人口をこれ以上減らさないことですね」と、私に言われたんですね。私も、これを聞いて、なるほどと思いました。
 いずれにいたしましても、人口減少問題はこれからずっと続く問題でもありますので、我々を含め県当局の皆さんの御健闘を祈念いたしまして、私の人口減少問題の再質問を終わらせていただきます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。

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