平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行います。
 まず初めに、平成十八年度予算と行財政改革の推進に関連いたしましてお尋ねいたします。
 小泉内閣の構造改革の一つである「地方にできることは地方に」とのスローガンを具現化する三位一体の改革が、昨年十二月に国庫補助負担金改革で約四・七兆円、税源移譲が約三兆円、地方交付税改革で約五・一兆円の削減と、第一期の決着を見ました。今回の改革では地方の裁量権の拡大や三兆円の税源移譲が行われたことは、分権型社会の実現に向けて評価できるものであります。
 我が国の経済情勢は、企業収益の改善と個人消費の増加により緩やかな回復を見せてきていますが、本県経済は、長期的な停滞からの脱却については楽観視できない状況にあります。
 また、昨年十月の国勢調査で、本県は百三万六千人と前回調査より三万二千人減少する人口減少社会を迎え、団塊の世代の大量退職、「下流社会」という言葉が注目される二極化の進展、東南海・南海地震に備えた防災対策など、本県の活性化、安全・安心な社会の実現に課題が山積している状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、人件費の大幅な削減を中心とした行財政改革を行うとともに、財政健全化への新手法を導入するなど財源確保に努め、人口減少問題への対応、地域力の強化、安全で安心な社会の実現という課題に対応して、総額五千二百十億円の新年度予算を計上しております。しかし、本県の財政構造は、地方交付税等の依存財源に多くを頼らざるを得ない厳しい状況にあります。そのため、団塊の世代の大量退職を考慮して、行政のスリム化、効率化に努めなければなりません。
 本年三月一日に、県は平成十七年度から平成二十一年度に実施する行財政改革推進プランを作成しました。改革の具体的プランによりますと、人件費総額の抑制や効率的な行財政システムへの転換などで歳出を八百六十一億円削減し、県税収入の確保や退職債の活用等で歳入を六百九億円確保することで一千四百七十億円の収支差解消に努めるとしていますが、それでも平成二十一年までの財源不足の解消はできないとの予測であります。
 また、定員の純減が実施されると、ますます優秀な人材が求められるわけでありますが、従来からの年功序列的な給与から勤務実績を評価する給与体系に改めていくことも必要であります。木村知事は、行財政改革推進プランを実施し、今後本県の行財政改革をどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、事業の仕分けの推進については、多様化、高度化する県民のニーズに対して、県行政のみが運営主体となることに限界があります。今日までも、選択と集中による施策の重点化を図り、民間委託や指定管理者制度の導入などが図られてきたところであります。
 しかし、さらなる歳出削減に当たっては、ゼロベースから徹底した事業の仕分けを実施する必要があります。民間シンクタンク・構想日本の協力を得て、平成十四年から三重県や新潟県など全国で九県五市を対象に事業の仕分けを実施し、国が行うべき事業、市町村が行うべき事業、民間に委託すべき事業、不要な事業に分け、行政のスリム化に努め、歳出削減を図ってきております。
 本県では、今後、事業の仕分け作業にどう取り組まれるのか、総務部長にお尋ねをいたします。
 次に税収の確保については、本県では県税の徴収率向上対策として県税徴収対策本部を設置し、特別徴収対策チームを組織して税収確保に努めてきています。三位一体改革により、所得税から個人住民税への税源移譲が実施されました。平成十八年度は税源移譲額の全額を所得譲与税として措置されますが、平成十九年度以降は、個人住民税の徴収率が悪いと、せっかくの税源移譲の効果が減少してしまいます。
 本県の県税徴収率は、平成十六年度決算で九五・八%と、全国三十四位であります。さらに、個人県民税の徴収率は八八・一%と低く、県と市町村が協力して滞納の徴収に当たる体制の強化として、本年四月に県内の全市町村が参加する和歌山地方税回収機構を設立し、滞納整理を推進するとしています。もちろん、税の総額を増加させていくためには、景気の回復による企業収益の増加が法人税収の増加につながるため、景気回復への取り組みや思い切った企業誘致への取り組みも当然必要であります。
 そこで、総務部長に、県税収入の確保に今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に分権時代にふさわしい税制については、税収の偏在の問題が指摘されております。その原因の一つは、都道府県税制においては法人関係税への依存度が高いため、景気に左右され、不安定な税収構造となっております。
 平成十五年度の税制改正で法人事業税に外形標準課税が導入されたことは、改善の一助であります。しかし、今後の課題として、法人関係税のウエートを下げる改革を行うとともに地域的偏在性の低い消費課税のウエートを高めることで、より安定した地方税体系の構築が必要であると言われております。
 また、経済的格差や基本的インフラに格差がある中で地域間競争を行っていくことに無理があるため、分権時代にふさわしい都道府県のあり方として、現在の都道府県にとらわれず、各県が長所を生かして共生できる都道府県を広域自治体へ再編するという、いわゆる道州制の導入が提言されております。
 そこで、木村知事に、税収の偏在の改善と道州制の導入について所見はどうか、お尋ねをいたします。
 次に、人口減少や二極化社会の進行が問題となっていますが、その対策として、公営住宅の建てかえ事業が必要と思っております。県においては、和歌山市にある雄湊団地、西浜団地、千且団地、川永団地等で建てかえが進み、新年度も今福団地の建てかえ事業に予算が計上されております。これに対しまして和歌山市は、市営の鳴神団地や岡崎団地、菖蒲ケ丘団地など、建てかえ事業が必要と思われる団地でも事業が実施されず、老朽化した平屋住宅では入居者のないままとなっております。
 建てかえが進まない理由には、入居者が高齢化し、高い家賃になるのであれば今のままでよいとの意見や、市においても、修繕するのは市単であるため予算が厳しいので古い家屋へは入居を遠慮していただいている等のことで、現状が続いているようであります。
 県の新年度予算に、本県の今後十年間の住宅施策の体系と重点を明確にし、地域ごとに特性に応じた居住環境の姿を明らかにするため、きのくに住宅マスタープランの策定が計上されております。
 和歌山市においては、国勢調査で人口が一万八百三十三人も減少しており、若者の流出をとめ、二極化のセーフティーネットの構築の上からも、利便性の高い市営団地から建てかえ事業を行ってほしいと要望いたします。特に建てかえの場合、高齢者に対しては居住水準を適正に考慮するとか、新家賃の設定には地域住宅交付金の活用に工夫して和歌山方式を考案するなど、家賃の軽減を図ることで建てかえ事業に協力していただいてはと考えます。
 そこで、県土整備部長に公営住宅の建てかえ事業の推進についてお尋ねをいたします。
 次に、通学路等における子供の安全対策についてお尋ねいたします。
 昨年末には、子供たちが犯罪の犠牲になる事件が連続して発生しました。広島では、女児が下校途中に通学路周辺に住む犯人によって誘い込まれ、殺害されました。栃木県今市では、下校途中に女児が自動車で誘拐され、殺害されました。都市部では直接犯行が行われ、地方では自動車が絡んだ犯行が行われるなど、犯行の形態は異なりますが、都市部から農村部まで、子供たちにとって危険な状態になっております。
 地域社会が子供たちにとって危険になってきた要因としては、子供たちの生活空間がこれまで身体に直接被害が及ぶ犯罪など想定されずにつくられてきたこと、また子供たちを育てる地域のコミュニティーの弱体化などが指摘されております。子供たちを犯罪の危険から守る対策としては、一、子供自身に危険を回避する能力を高めるサポートをする、二、子供が犯罪や事故に巻き込まれにくい町づくりをすること等が必要であります。特に、子供の安全対策を講ずる上で、通学路など路上での連れ去りをどう防ぐかは重要な課題であります。
 国では、昨年十二月に登下校時の安全を確保するための緊急対策を決め、急ピッチで実施してきています。その内容は、全通学路の安全点検、すべての児童生徒が防犯教室を受講できるようにする、不審者情報の共有体制を立ち上げる、スクールガードの充実等を本年三月までに実施するほか、スクールバス導入の検討、国民への協力を呼びかけるなど行っております。
 本県においても、子供一一〇番の家である「きしゅう君の家」を設置、新年度はコンビニの協力もいただき、子供の安全を目指しております。また、防犯グッズの配布、地域の住民の協力をいただいて、学校安全ボランティアを充実させてきています。さらに、昼間、保護者が家庭にいない小学校低学年児童等のために、放課後児童クラブが充実されてきています。加えて国では、昨年末の事件を踏まえ、新年度予算には、学校の終業時間の早い低学年児童を空き教室で地域の住民と交流を深めながら待機し、高学年児童と一緒に集団下校する事業がスタートします。また本県では、今議会に和歌山県安全・安心まちづくり条例が提案されているところであります。
 そこで、教育長、県警察本部長、関係部長にお尋ねいたします。
 一、子供の登下校時の安全確保にどう取り組まれるのか。
 二、放課後児童クラブの充実にどう取り組まれるのか。
 三、子供待機スペース交流活動推進事業の実施にどう取り組まれるのか。
 四、子供を犯罪や事故から守る町づくりの推進にどう取り組まれるのか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、和歌山の未来をひらく義務教育改革に関連してお尋ねをいたします。
 我が国の義務教育は、時代の変化に応じ、さまざまな改革を進めてきました。しかし、昨今の地方分権化の進展や三位一体改革における義務教育費国庫負担制度についての議論や国際学力調査等の結果から、子供の学力低下に対する不安に加え、フリーターやニートが増加する社会問題等を受け、制度のあり方からもう一度教育を根本的にやり直さないと日本がだめになるとの議論が起こっています。
 雑誌「Voice」の三月号、「日本よ、輝きを取り戻せ」と題して、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏と作家の堺屋太一氏が対談されております。その中で稲盛氏は、「現在の教育界には心の荒廃があります」と指摘され、「人生の目的は人間性を高めることであり、人間性を高めるための基本的な心構えを教育の場で教えるべきだと信じています。─中略─人間性を高める方法は、労働であると考えています。教育の場でこの働くという真の意義を教えるべきだと思います」と述べております。また、堺屋太一氏は、「教育改革については、学校設立の自由、学校選択の自由、教職員採用の自由を認めるところから始めなければなりません」と述べ、「教育の供給者たる学校と教師の側に競争が生じないため、悪貨が良貨を駆逐するような状況になってしまった」と、厳しい指摘を行っております。
 国では、義務教育のあり方について審議を行うため中央教育審議会が義務教育特別部会を設立し、平成十七年十月に新しい時代の義務教育を創造する答申を取りまとめました。この答申は、新しい時代の義務教育を創造するために断行すべき改革の基本的方向を示し、改革の具体的方策を提言したものであります。
 本県においても、市町村合併の進展や人口減少時代を迎え、義務教育ニュービジョン研究会議が県教育委員会から今後の義務教育の推進方策について諮問を受け、本県において早急に取り組まなければならない課題をテーマに協議を行い、本年一月に「和歌山の未来をひらく義務教育」との報告が提出されました。報告では、義務教育改善の方策として、一、小中学校は子供の社会的自立を支える確かな学力、二、和歌山の個性ある教育の創造、三、少子化に対応した学習環境として学校の適正規模化、四、教職員のスキルアップと学校体制強化が提言されております。
 確かな学力の定着については、本県では平成十五年度から学力診断テストを実施し、その結果を学校に知らせ、自分の学校の学力課題を明らかにして指導方法の工夫・改善に努めてきています。また、食事や睡眠といった子供の生活習慣が確かな学力の定着と相関関係が見られるとの指摘もなされてきています。
 生活習慣の改善や百升計算の実践などで子供の学力向上に成果を上げている広島県尾道市の陰山英男先生は、「学力が低下した原因の一番は睡眠不足です。早寝、早起き、朝ごはんの実践が学力を向上させる」と述べております。
 また本県では、三十五人学級の実施、中高一貫教育、小中一貫教育の取り組みや授業日数や授業時数を確保するための二学期制への取り組み、小学校における教科担任制への工夫も行われてきております。
 和歌山の個性ある教育の創造については、本県では総合的な学習の時間を活用して、かつらぎ町天野小学校では地元の漁業組合の方々の協力でホタルを守る学習や、みなべ町岩代小学校では梅の体験学習など、自然学習体験を行っています。また、広川町の南広小学校では郷土の偉人・浜口梧陵翁を通しての防災学習や、串本町田並中学校では熊野古道大辺路街道をテーマに世界遺産や地域の歴史等の学習を行ってきております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県の次代を築く確かな学力の定着に今後どう取り組まれるのか。あわせて、フリーターやニートと呼ばれる若者が増加するなど、職業的自立のおくれが社会問題化していますが、就業体験学習などにどう取り組まれるのか。
 二、和歌山の個性のある教育の創造に対して、和歌山県の豊かな自然や歴史・文化、偉人の業績等を生かした学習の推進にどう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、本県では市町村合併により三十市町村となり、市町村の行政範囲が拡大されました。また、少子化の進行により、本県では学級編制基準を弾力化して三十五人学級を実施してきていますが、適正規模を下回る小規模校、過小規模校が小中学校全体の約七割もあります。各学校には歴史と伝統があり、地域住民にとってはコミュニティーの場となっています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 本県では、市町村教育委員会との協力で学校の適正規模化に向けてどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、教職員のスキルアップと学校の体制強化に関しては、十七年度事業として、県教育委員会と和歌山大学が相互に講師を派遣し講座を開くジョイント・カレッジ事業を開催し、それらを総括するフォーラムを開催するなど、教員の授業力の向上に努めてきています。さらに、教員評価についても、県立学校では十七年度から取り組みが開始されております。学校評価についても実施され、公表も行われてきています。
 そこで、教育長に、義務教育の教職員のスキルアップと学校の体制強化にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に、県立高等学校入学者選抜制度の改善についてお尋ねをいたします。
 今回の主な変更点は、従来から実施されてきました推薦入学を廃止して前期選抜とする、従来の一般入学は後期選抜とするとしております。さらに、前期選抜には学力検査五教科をすべての学校で実施することになります。
 県教育委員会は、推薦入学を廃止した理由として、中学校における校内推薦の基準が不明確で、推薦してもらえなかった生徒からの不満をなくするため志願者全員が受検できるようにした、学力検査の実施については、受検生の基礎学力の定着につながるためとのことであります。
 平成十八年度の推薦入学出願状況は、県立高校全日制で受け入れ枠三千五百四十名に対しまして出願者五千二百二十五名、市立高等学校全日制では受け入れ枠四百名に対して出願者三百三十一名と、広く県民に定着してきております。今日まで推薦入学が導入されてきた経緯は、偏差値重視の受験教育からの改善であり、専門学科からスタートし、総合学科、普通科へと拡大されてきました。また、中高一貫教育の導入により高校入試を受けずに高校に入学できるなど、生徒の受検への負担軽減が図られ、中学校の日常の学習に頑張り、スポーツやクラブ活動等に励んでいれば高校入試の心配は要らない状況になってきていました。
 中学校の二年生や一年生の父兄からは、推薦入試がなくなると、せっかく通知簿の評定点を頑張ってきたのに、また入試のテストの偏差値を心配しなければならない、逆戻りではないかとの意見や、周知期間を置いて中学生に選抜方式の変更を徹底するためにも一年間でもずらしてほしいとの要望がありました。
 私は、前期選抜に学力検査を実施することは、昨今の生徒の学力向上が指摘される中で、中学生の基礎的な学力向上の方策の一つとして高校入試に学力検査を導入することは中学校の生徒や教員の意識を変える上では効果があると考えますが、推薦入試が導入されてきた経緯を大切にしていただきたいと思います。また、生徒への周知徹底する期間を考慮して実施をおくらせることも必要だと思います。
 そこで、教育長に、高校入試制度の改善に対してどう取り組まれるのか、お尋ねをいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、行財政改革プランについての考え方でございます。
 現今、国、地方とも非常に借金の量がかさんでいる、そしてまた、景気は一応回復の兆しは見えるものの、なかなかそれが税収にすぐに結びつくというふうな状況ではないということから、和歌山県でも、こういうふうな状況を反映して行財政改革プランというのをつくりました。これの一番の要点は、向こう五年間にわたって、これは全国最大規模と思いますけども、二七%の職員の削減を行うというふうなものでございます。
 そしてまた、あわせて能力主義の徹底というふうなことを内容とするものでございますが、これは当然のことながら、歳出の一番大きな部分の人件費というものを考えなければ、この財政構造の改革はできないということ。そしてあわせて、当然のことながら、そういうふうに職員が減っていく、仕事はふえていく、こういうふうな中では、能力主義を徹底してよく頑張る職員の適正な評価を行っていくということなくしては住民サービスが低下する。この二本を柱にして行財政改革を徹底していこうと思っております。
 ちなみに、こういうふうな能力の評価ということは、今まで言うは易くして行うはかたしと、公務の部門ではこれは非常に難しいことなんですけども、和歌山県としては、こういうことに鋭意取り組んで県民サービスの低下をもたらさないように努めてまいりたいというふうに思っております。
 次に、税源の偏在と道州制についての御質問でございます。
 確かに、現在、法人二税を中心に大都市部と地方部では非常に税源に多寡があって、偏在の問題がございます。そういうふうな中で、当然のことながら、一つは、法人関係税を国税に移して、そして消費税については地方税とする、こういうふうな形での税源偏在の解消ということが考えられるわけでございますけども、なお進めて、今のように、やはり企業とかいろいろ税源のあるような地域の偏りがある以上、これを道州というふうな形で幾つかの大きなくくりにして、その地域ごとにエンジンを持ったような地域をつくって、そして、そこがそれぞれ自立しながら競い合うというふうな道州制の体制というふうなものも、やはり究極的な税源の偏在というものをなくし自立した地方をつくっていくという意味では非常に有効な方法ではないか、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 事業の仕分けと県税収入の確保についてのお尋ねがありました。
 まず事業の仕分けですが、多様化、高度化する県民ニーズに的確に対応しながら歳出削減に取り組んでいくためには、ゼロベースからの事業の洗い直しに努め、業務の削減、簡素化を図る必要がございます。
 また、洗い直しの結果、行政の責任領域とされる事業についても、行政責任のもとでサービスの質の保持、向上等を図りながら、民間企業のみならず、NPOや住民団体等の多元的な実施主体との協働や運営形態を検討していく必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、有効な仕分け方法を検討の上、平成十八年度から積極的に対応してまいります。
 次に県税収入の確保についてですが、企業誘致や雇用創出により税源涵養を図ることと賦課した税をきちっと徴収することが重要であります。徴収面では、御指摘のとおり、個人県民税の徴収対策が重要になってくると考えております。
 本年四月には、市町村税等の滞納整理を行う専門組織である和歌山地方税回収機構を設立することとしており、専門家の助言を受けつつ、滞納処分を前提とした滞納整理を行ってまいります。これにより、個人県民税の収入確保も期待されております。
 また、県としても、すべての振興局で総額一億六千万円余の個人住民税の徴収を市町村から引き継ぎを受けまして、直接徴収に取り組んでおります。さらに、四つの市や町の参加を得て、電話加入権や不動産の合同公売も実施したところであります。また、みずから徴収すべき税の徴収対策として、納税推進員を配置して自動車税を中心とした徴収にも取り組んでおります。
 今後とも、県税収入の確保のため、税収対策の強化に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公営住宅の建てかえ事業についてお尋ねがありました。
 議員御指摘の住宅マスタープランにつきましては、住宅の量的な充足だけではなく、既存ストックの質の向上及び良質な住宅ストックの市場における有効活用など、今後の住宅のあり方を検討するために策定するものでございます。
 また、公営住宅の建てかえ事業につきましては、各市町村において地域の特性を踏まえた再生マスタープラン及びストック活用計画を策定し、進められているところであり、和歌山市におきましては平成十五年三月に計画が策定されております。
 県といたしましては、地域住宅交付金制度を十分活用していただき、これらの計画が推進されるよう、市と連携して国に働きかけてまいります。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 放課後児童クラブの充実についてお答えします。
 放課後児童クラブは、昼間、保護者のいない小学校低学年児童等を対象に、学校の空き教室や地域の公共施設等を活用し、遊びを主とした健全育成活動を行う場でございますが、子供たちの放課後の安全な居場所となってございます。共働き世帯の増加などによりニーズは年々高まってきており、一定以上規模のクラブに対しましては国庫補助制度がございますが、国の基準に満たない一部の小規模クラブにつきましても、県単独で補助を行うなど、その推進を図っているところでございます。
 県内で、平成十三年度は七十五クラブでしたが、十五年度には百、十七年度には百十四と毎年拡充してきており、平成十八年度には百二十四クラブを目途に設置を促進してまいります。
 県としましては、紀州っ子元気プランにおいて平成二十一年度に百四十クラブの目標値を設定しており、市町村に対し今後とも放課後児童クラブの設置を積極的に働きかけ、充実を図ってまいります。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 子供の安全対策のうち、子供を犯罪や事故から守る町づくりについてお答えを申し上げます。
 今議会に上程をいたしております和歌山県安全・安心まちづくり条例では、地域における人と人とのきずなを大切にし、相互扶助、自主自立の精神に支えられた安全で安心な地域づくりを目指すものでございます。
 なお、この条例の施行に当たりましては、「県民の友」、広報用のパンフレット、生活情報誌等による幅広い広報を行いながら条例の趣旨の徹底を図るとともに、市町村や関係団体等への協力をお願いすることとしております。
 議員御指摘のように、昨今、通学路等において児童生徒が被害に遭うことが多く、児童生徒の安全を確保することが喫緊の課題でございます。このため、条例では、学校、通学路、道路、公園等につきまして、それぞれの分野の関係機関が共同して定める指針に基づきまして犯罪の抑止のための環境整備に努めるとともに、警察はもとより関係者及び県、県民、地域活動団体、事業者等が互いにその役割を分担し、連携して安全の確保に取り組むこととしておりますが、特に児童生徒につきましては、議員御指摘のとおり、地域社会全体で見守る体制の確立が何よりも重要でございますので、その推進に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題七項目についてお答えいたします。
 まず、子供の安全確保の件でございます。
 教育委員会といたしましては、和歌山県安全・安心まちづくり条例案の考え方、趣旨に基づきながら、各関係機関と連携を図り、安全確保のための包括的な指針の策定に臨んでまいります。
 具体的な事柄に関しては、平成十八年度から県内すべての小学校区に約三千人の学校安全ボランティアを配置するとともに、通学路セーフティーネットの日を設け、一斉に登下校を見守る活動を実施します。さらに、これまで海南市や湯浅町などで行っていた防犯についての専門的経験を積んだスクールガードリーダーによる通学路等の巡回を、今後、他の市町村にも拡大することとしております。
 一方、新たに子供の危機回避能力を高めるため、子供自身が安全マップを作成し、安全について考え、みずからの命を守る取り組みをすべての小学校で実施するよう努めてまいります。
 次に、議員お話しの子供待機スペース交流活動推進事業につきましては、低学年の児童が上級生と一緒に下校することや地域ぐるみで子供の安全を確保することなど、意義ある取り組みであると考えており、本事業の積極的な活用を市町村等に働きかけていきます。
 なお、現在、地域の協力を得て、子供たちが安心して活動できる拠点いわゆる居場所づくりの開設を推進し、その充実に努めているところでございます。
 次に、義務教育改革についてお答えいたします。
 第一点目の確かな学力の定着については、議員からもお話がありましたように、平成十五年度から実施している県独自の学力診断テストの結果を踏まえ、それぞれの学校が授業改善に努め、着実に学力を向上させている学校がふえてきております。
 また、十八年度から新たに「ことばの力」向上プログラム事業を実施し、すべての学習の基礎となる国語力やコミュニケーション能力の向上に取り組むとともに、義務教育九年間を見通した小中一貫教育のさらなる充実に取り組んでまいります。
 一方、就業体験については、本年度から三カ年計画で県内すべての市町村立中学校で五日間の職場体験を行うキャリア・スタート・ウイークを実施しており、生徒に望ましい勤労観、職業観をはぐくみたいと考えております。
 和歌山らしさを生かした教育については、地域の人材や施設を活用したり児童生徒が社会体験活動を行うなど、各学校が企画したすぐれた取り組みに活動費を支援するきのくに「学びの創成」支援事業を実施し、より一層多様で豊かな学びの場を提供してまいります。
 次に、学校の適正規模化への対応についてであります。
 児童生徒数の減少により、既に十七年度に小学校十校一分校が、中学校三校が統廃合されております。今後、学校の活性化と教育効果を高める観点から、義務教育ニュービジョン会議の報告を踏まえ、積極的に市町村教育委員会との協議を進めていく必要があると考えております。
 教員のスキルアップと学校の体制の強化については、個々の教員の授業力を向上させる観点から、研修内容の充実や研究指定校の成果の普及に取り組んでいるところであります。また、昨年から試行を行っている教員評価制度や教員の公募制などを活用しながら、指導力の向上と組織の活性化に努めてまいります。
 最後に、このたび発表いたしました県立高校入学者選抜制度の改善については、そのねらいは、すべての生徒に複数の受検機会を保証し、生徒の主体的な進路選択を促すとともに、前期選抜においても学力検査を導入することにより中学校での基礎学力の一層の充実に資するという点にあります。前期選抜では、新たに学力検査を導入するものの、調査書や面接、作文、実技検査等の結果を活用するなど、従来行っていた推薦入学の趣旨を十分引き継いでおります。また、スポーツ推薦についても、学力検査を加えて従来どおり実施します。
 こうしたことを踏まえ平成十九年度から実施することとしたものであり、三月中に中学二年生全員とその保護者向けにリーフレットを配布するとともに、六月には高等学校ごとの具体的な選抜方法などについて中学校等への説明会を開催するなど、新しい入試制度の周知に努めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(吉井和視君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 子供の登下校時等の安全確保についてお答えいたします。
 警察といたしましては、制服警察官を中心とした通学路における要点警戒やパトロールの強化、各小中学校における防犯教室の開催、「きしゅう君の家」あるいは「移動きしゅう君の家」──この「きしゅう君の家」は、本年二月末現在で県下で約一万六千カ所に及んでおります。「移動きしゅう君の家」につきましては、県の公用車を含めまして二月末現在で約七千台に上っておりますけど──これらの拡充などによりまして子供安全対策の強化を図っているところでございます。
 また、本年二月末現在、県下で百三十八の自主防犯ボランティア団体が各警察署と連携してそれぞれの地域の通学路などにおいて子供の見守り活動を展開しており、県警ではこういったボランティアの活動に対し、合同パトロールや情報提供など、積極的な支援を行っております。
 また、県警ホームページに、声かけ事案の発生日時、場所、不審者の特徴、事案概要等を「子ども危険地図」として掲載し、広く県民に情報発信しているほか、県下各自治体、教育委員会、学校等へ「きのくに安全安心メール」としてタイムリーな不審者情報を配信するなど、情報の共有化を図っております。
 現在、子供の安全を中心とした地域安全に対する県民の方々の関心も大いに高まっており、今後とも引き続き県教育委員会等関係機関と緊密に連携しながら、子供の登下校時等における安全確保のための諸対策を推進してまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十番新田和弘君。
○新田和弘君 知事初め関係部長の皆さんから御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 一点だけ要望させていただきます。
 教育委員会関係で、高校入試の改善の問題でございますが、教育長の方から御答弁をいただきました。いわゆる教育委員会の方からの、こういう制度に変わるということに対して、やはり各中学校、また父兄等のパブリックコメントと申しますか、そういった意見を聞く場をつくっていただいてあげて、それで改善できるところは、やはり来年度実施する場合に生かしていただきたい。やっぱりそういう子供さんたちや父兄の御意見を聞いて実施していくと、こういった姿勢を教育委員会にぜひ要望いたしまして、第二問とさしていただきます。
 以上です。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。

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