平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十八年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十八年三月六日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から
議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から
議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行います。
 まず初めに、平成十八年度予算と行財政改革の推進に関連いたしましてお尋ねいたします。
 小泉内閣の構造改革の一つである「地方にできることは地方に」とのスローガンを具現化する三位一体の改革が、昨年十二月に国庫補助負担金改革で約四・七兆円、税源移譲が約三兆円、地方交付税改革で約五・一兆円の削減と、第一期の決着を見ました。今回の改革では地方の裁量権の拡大や三兆円の税源移譲が行われたことは、分権型社会の実現に向けて評価できるものであります。
 我が国の経済情勢は、企業収益の改善と個人消費の増加により緩やかな回復を見せてきていますが、本県経済は、長期的な停滞からの脱却については楽観視できない状況にあります。
 また、昨年十月の国勢調査で、本県は百三万六千人と前回調査より三万二千人減少する人口減少社会を迎え、団塊の世代の大量退職、「下流社会」という言葉が注目される二極化の進展、東南海・南海地震に備えた防災対策など、本県の活性化、安全・安心な社会の実現に課題が山積している状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、人件費の大幅な削減を中心とした行財政改革を行うとともに、財政健全化への新手法を導入するなど財源確保に努め、人口減少問題への対応、地域力の強化、安全で安心な社会の実現という課題に対応して、総額五千二百十億円の新年度予算を計上しております。しかし、本県の財政構造は、地方交付税等の依存財源に多くを頼らざるを得ない厳しい状況にあります。そのため、団塊の世代の大量退職を考慮して、行政のスリム化、効率化に努めなければなりません。
 本年三月一日に、県は平成十七年度から平成二十一年度に実施する行財政改革推進プランを作成しました。改革の具体的プランによりますと、人件費総額の抑制や効率的な行財政システムへの転換などで歳出を八百六十一億円削減し、県税収入の確保や退職債の活用等で歳入を六百九億円確保することで一千四百七十億円の収支差解消に努めるとしていますが、それでも平成二十一年までの財源不足の解消はできないとの予測であります。
 また、定員の純減が実施されると、ますます優秀な人材が求められるわけでありますが、従来からの年功序列的な給与から勤務実績を評価する給与体系に改めていくことも必要であります。木村知事は、行財政改革推進プランを実施し、今後本県の行財政改革をどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、事業の仕分けの推進については、多様化、高度化する県民のニーズに対して、県行政のみが運営主体となることに限界があります。今日までも、選択と集中による施策の重点化を図り、民間委託や指定管理者制度の導入などが図られてきたところであります。
 しかし、さらなる歳出削減に当たっては、ゼロベースから徹底した事業の仕分けを実施する必要があります。民間シンクタンク・構想日本の協力を得て、平成十四年から三重県や新潟県など全国で九県五市を対象に事業の仕分けを実施し、国が行うべき事業、市町村が行うべき事業、民間に委託すべき事業、不要な事業に分け、行政のスリム化に努め、歳出削減を図ってきております。
 本県では、今後、事業の仕分け作業にどう取り組まれるのか、総務部長にお尋ねをいたします。
 次に税収の確保については、本県では県税の徴収率向上対策として県税徴収対策本部を設置し、特別徴収対策チームを組織して税収確保に努めてきています。三位一体改革により、所得税から個人住民税への税源移譲が実施されました。平成十八年度は税源移譲額の全額を所得譲与税として措置されますが、平成十九年度以降は、個人住民税の徴収率が悪いと、せっかくの税源移譲の効果が減少してしまいます。
 本県の県税徴収率は、平成十六年度決算で九五・八%と、全国三十四位であります。さらに、個人県民税の徴収率は八八・一%と低く、県と市町村が協力して滞納の徴収に当たる体制の強化として、本年四月に県内の全市町村が参加する和歌山地方税回収機構を設立し、滞納整理を推進するとしています。もちろん、税の総額を増加させていくためには、景気の回復による企業収益の増加が法人税収の増加につながるため、景気回復への取り組みや思い切った企業誘致への取り組みも当然必要であります。
 そこで、総務部長に、県税収入の確保に今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に分権時代にふさわしい税制については、税収の偏在の問題が指摘されております。その原因の一つは、都道府県税制においては法人関係税への依存度が高いため、景気に左右され、不安定な税収構造となっております。
 平成十五年度の税制改正で法人事業税に外形標準課税が導入されたことは、改善の一助であります。しかし、今後の課題として、法人関係税のウエートを下げる改革を行うとともに地域的偏在性の低い消費課税のウエートを高めることで、より安定した地方税体系の構築が必要であると言われております。
 また、経済的格差や基本的インフラに格差がある中で地域間競争を行っていくことに無理があるため、分権時代にふさわしい都道府県のあり方として、現在の都道府県にとらわれず、各県が長所を生かして共生できる都道府県を広域自治体へ再編するという、いわゆる道州制の導入が提言されております。
 そこで、木村知事に、税収の偏在の改善と道州制の導入について所見はどうか、お尋ねをいたします。
 次に、人口減少や二極化社会の進行が問題となっていますが、その対策として、公営住宅の建てかえ事業が必要と思っております。県においては、和歌山市にある雄湊団地、西浜団地、千且団地、川永団地等で建てかえが進み、新年度も今福団地の建てかえ事業に予算が計上されております。これに対しまして和歌山市は、市営の鳴神団地や岡崎団地、菖蒲ケ丘団地など、建てかえ事業が必要と思われる団地でも事業が実施されず、老朽化した平屋住宅では入居者のないままとなっております。
 建てかえが進まない理由には、入居者が高齢化し、高い家賃になるのであれば今のままでよいとの意見や、市においても、修繕するのは市単であるため予算が厳しいので古い家屋へは入居を遠慮していただいている等のことで、現状が続いているようであります。
 県の新年度予算に、本県の今後十年間の住宅施策の体系と重点を明確にし、地域ごとに特性に応じた居住環境の姿を明らかにするため、きのくに住宅マスタープランの策定が計上されております。
 和歌山市においては、国勢調査で人口が一万八百三十三人も減少しており、若者の流出をとめ、二極化のセーフティーネットの構築の上からも、利便性の高い市営団地から建てかえ事業を行ってほしいと要望いたします。特に建てかえの場合、高齢者に対しては居住水準を適正に考慮するとか、新家賃の設定には地域住宅交付金の活用に工夫して和歌山方式を考案するなど、家賃の軽減を図ることで建てかえ事業に協力していただいてはと考えます。
 そこで、県土整備部長に公営住宅の建てかえ事業の推進についてお尋ねをいたします。
 次に、通学路等における子供の安全対策についてお尋ねいたします。
 昨年末には、子供たちが犯罪の犠牲になる事件が連続して発生しました。広島では、女児が下校途中に通学路周辺に住む犯人によって誘い込まれ、殺害されました。栃木県今市では、下校途中に女児が自動車で誘拐され、殺害されました。都市部では直接犯行が行われ、地方では自動車が絡んだ犯行が行われるなど、犯行の形態は異なりますが、都市部から農村部まで、子供たちにとって危険な状態になっております。
 地域社会が子供たちにとって危険になってきた要因としては、子供たちの生活空間がこれまで身体に直接被害が及ぶ犯罪など想定されずにつくられてきたこと、また子供たちを育てる地域のコミュニティーの弱体化などが指摘されております。子供たちを犯罪の危険から守る対策としては、一、子供自身に危険を回避する能力を高めるサポートをする、二、子供が犯罪や事故に巻き込まれにくい町づくりをすること等が必要であります。特に、子供の安全対策を講ずる上で、通学路など路上での連れ去りをどう防ぐかは重要な課題であります。
 国では、昨年十二月に登下校時の安全を確保するための緊急対策を決め、急ピッチで実施してきています。その内容は、全通学路の安全点検、すべての児童生徒が防犯教室を受講できるようにする、不審者情報の共有体制を立ち上げる、スクールガードの充実等を本年三月までに実施するほか、スクールバス導入の検討、国民への協力を呼びかけるなど行っております。
 本県においても、子供一一〇番の家である「きしゅう君の家」を設置、新年度はコンビニの協力もいただき、子供の安全を目指しております。また、防犯グッズの配布、地域の住民の協力をいただいて、学校安全ボランティアを充実させてきています。さらに、昼間、保護者が家庭にいない小学校低学年児童等のために、放課後児童クラブが充実されてきています。加えて国では、昨年末の事件を踏まえ、新年度予算には、学校の終業時間の早い低学年児童を空き教室で地域の住民と交流を深めながら待機し、高学年児童と一緒に集団下校する事業がスタートします。また本県では、今議会に和歌山県安全・安心まちづくり条例が提案されているところであります。
 そこで、教育長、県警察本部長、関係部長にお尋ねいたします。
 一、子供の登下校時の安全確保にどう取り組まれるのか。
 二、放課後児童クラブの充実にどう取り組まれるのか。
 三、子供待機スペース交流活動推進事業の実施にどう取り組まれるのか。
 四、子供を犯罪や事故から守る町づくりの推進にどう取り組まれるのか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、和歌山の未来をひらく義務教育改革に関連してお尋ねをいたします。
 我が国の義務教育は、時代の変化に応じ、さまざまな改革を進めてきました。しかし、昨今の地方分権化の進展や三位一体改革における義務教育費国庫負担制度についての議論や国際学力調査等の結果から、子供の学力低下に対する不安に加え、フリーターやニートが増加する社会問題等を受け、制度のあり方からもう一度教育を根本的にやり直さないと日本がだめになるとの議論が起こっています。
 雑誌「Voice」の三月号、「日本よ、輝きを取り戻せ」と題して、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏と作家の堺屋太一氏が対談されております。その中で稲盛氏は、「現在の教育界には心の荒廃があります」と指摘され、「人生の目的は人間性を高めることであり、人間性を高めるための基本的な心構えを教育の場で教えるべきだと信じています。─中略─人間性を高める方法は、労働であると考えています。教育の場でこの働くという真の意義を教えるべきだと思います」と述べております。また、堺屋太一氏は、「教育改革については、学校設立の自由、学校選択の自由、教職員採用の自由を認めるところから始めなければなりません」と述べ、「教育の供給者たる学校と教師の側に競争が生じないため、悪貨が良貨を駆逐するような状況になってしまった」と、厳しい指摘を行っております。
 国では、義務教育のあり方について審議を行うため中央教育審議会が義務教育特別部会を設立し、平成十七年十月に新しい時代の義務教育を創造する答申を取りまとめました。この答申は、新しい時代の義務教育を創造するために断行すべき改革の基本的方向を示し、改革の具体的方策を提言したものであります。
 本県においても、市町村合併の進展や人口減少時代を迎え、義務教育ニュービジョン研究会議が県教育委員会から今後の義務教育の推進方策について諮問を受け、本県において早急に取り組まなければならない課題をテーマに協議を行い、本年一月に「和歌山の未来をひらく義務教育」との報告が提出されました。報告では、義務教育改善の方策として、一、小中学校は子供の社会的自立を支える確かな学力、二、和歌山の個性ある教育の創造、三、少子化に対応した学習環境として学校の適正規模化、四、教職員のスキルアップと学校体制強化が提言されております。
 確かな学力の定着については、本県では平成十五年度から学力診断テストを実施し、その結果を学校に知らせ、自分の学校の学力課題を明らかにして指導方法の工夫・改善に努めてきています。また、食事や睡眠といった子供の生活習慣が確かな学力の定着と相関関係が見られるとの指摘もなされてきています。
 生活習慣の改善や百升計算の実践などで子供の学力向上に成果を上げている広島県尾道市の陰山英男先生は、「学力が低下した原因の一番は睡眠不足です。早寝、早起き、朝ごはんの実践が学力を向上させる」と述べております。
 また本県では、三十五人学級の実施、中高一貫教育、小中一貫教育の取り組みや授業日数や授業時数を確保するための二学期制への取り組み、小学校における教科担任制への工夫も行われてきております。
 和歌山の個性ある教育の創造については、本県では総合的な学習の時間を活用して、かつらぎ町天野小学校では地元の漁業組合の方々の協力でホタルを守る学習や、みなべ町岩代小学校では梅の体験学習など、自然学習体験を行っています。また、広川町の南広小学校では郷土の偉人・浜口梧陵翁を通しての防災学習や、串本町田並中学校では熊野古道大辺路街道をテーマに世界遺産や地域の歴史等の学習を行ってきております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県の次代を築く確かな学力の定着に今後どう取り組まれるのか。あわせて、フリーターやニートと呼ばれる若者が増加するなど、職業的自立のおくれが社会問題化していますが、就業体験学習などにどう取り組まれるのか。
 二、和歌山の個性のある教育の創造に対して、和歌山県の豊かな自然や歴史・文化、偉人の業績等を生かした学習の推進にどう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、本県では市町村合併により三十市町村となり、市町村の行政範囲が拡大されました。また、少子化の進行により、本県では学級編制基準を弾力化して三十五人学級を実施してきていますが、適正規模を下回る小規模校、過小規模校が小中学校全体の約七割もあります。各学校には歴史と伝統があり、地域住民にとってはコミュニティーの場となっています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 本県では、市町村教育委員会との協力で学校の適正規模化に向けてどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、教職員のスキルアップと学校の体制強化に関しては、十七年度事業として、県教育委員会と和歌山大学が相互に講師を派遣し講座を開くジョイント・カレッジ事業を開催し、それらを総括するフォーラムを開催するなど、教員の授業力の向上に努めてきています。さらに、教員評価についても、県立学校では十七年度から取り組みが開始されております。学校評価についても実施され、公表も行われてきています。
 そこで、教育長に、義務教育の教職員のスキルアップと学校の体制強化にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に、県立高等学校入学者選抜制度の改善についてお尋ねをいたします。
 今回の主な変更点は、従来から実施されてきました推薦入学を廃止して前期選抜とする、従来の一般入学は後期選抜とするとしております。さらに、前期選抜には学力検査五教科をすべての学校で実施することになります。
 県教育委員会は、推薦入学を廃止した理由として、中学校における校内推薦の基準が不明確で、推薦してもらえなかった生徒からの不満をなくするため志願者全員が受検できるようにした、学力検査の実施については、受検生の基礎学力の定着につながるためとのことであります。
 平成十八年度の推薦入学出願状況は、県立高校全日制で受け入れ枠三千五百四十名に対しまして出願者五千二百二十五名、市立高等学校全日制では受け入れ枠四百名に対して出願者三百三十一名と、広く県民に定着してきております。今日まで推薦入学が導入されてきた経緯は、偏差値重視の受験教育からの改善であり、専門学科からスタートし、総合学科、普通科へと拡大されてきました。また、中高一貫教育の導入により高校入試を受けずに高校に入学できるなど、生徒の受検への負担軽減が図られ、中学校の日常の学習に頑張り、スポーツやクラブ活動等に励んでいれば高校入試の心配は要らない状況になってきていました。
 中学校の二年生や一年生の父兄からは、推薦入試がなくなると、せっかく通知簿の評定点を頑張ってきたのに、また入試のテストの偏差値を心配しなければならない、逆戻りではないかとの意見や、周知期間を置いて中学生に選抜方式の変更を徹底するためにも一年間でもずらしてほしいとの要望がありました。
 私は、前期選抜に学力検査を実施することは、昨今の生徒の学力向上が指摘される中で、中学生の基礎的な学力向上の方策の一つとして高校入試に学力検査を導入することは中学校の生徒や教員の意識を変える上では効果があると考えますが、推薦入試が導入されてきた経緯を大切にしていただきたいと思います。また、生徒への周知徹底する期間を考慮して実施をおくらせることも必要だと思います。
 そこで、教育長に、高校入試制度の改善に対してどう取り組まれるのか、お尋ねをいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、行財政改革プランについての考え方でございます。
 現今、国、地方とも非常に借金の量がかさんでいる、そしてまた、景気は一応回復の兆しは見えるものの、なかなかそれが税収にすぐに結びつくというふうな状況ではないということから、和歌山県でも、こういうふうな状況を反映して行財政改革プランというのをつくりました。これの一番の要点は、向こう五年間にわたって、これは全国最大規模と思いますけども、二七%の職員の削減を行うというふうなものでございます。
 そしてまた、あわせて能力主義の徹底というふうなことを内容とするものでございますが、これは当然のことながら、歳出の一番大きな部分の人件費というものを考えなければ、この財政構造の改革はできないということ。そしてあわせて、当然のことながら、そういうふうに職員が減っていく、仕事はふえていく、こういうふうな中では、能力主義を徹底してよく頑張る職員の適正な評価を行っていくということなくしては住民サービスが低下する。この二本を柱にして行財政改革を徹底していこうと思っております。
 ちなみに、こういうふうな能力の評価ということは、今まで言うは易くして行うはかたしと、公務の部門ではこれは非常に難しいことなんですけども、和歌山県としては、こういうことに鋭意取り組んで県民サービスの低下をもたらさないように努めてまいりたいというふうに思っております。
 次に、税源の偏在と道州制についての御質問でございます。
 確かに、現在、法人二税を中心に大都市部と地方部では非常に税源に多寡があって、偏在の問題がございます。そういうふうな中で、当然のことながら、一つは、法人関係税を国税に移して、そして消費税については地方税とする、こういうふうな形での税源偏在の解消ということが考えられるわけでございますけども、なお進めて、今のように、やはり企業とかいろいろ税源のあるような地域の偏りがある以上、これを道州というふうな形で幾つかの大きなくくりにして、その地域ごとにエンジンを持ったような地域をつくって、そして、そこがそれぞれ自立しながら競い合うというふうな道州制の体制というふうなものも、やはり究極的な税源の偏在というものをなくし自立した地方をつくっていくという意味では非常に有効な方法ではないか、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 事業の仕分けと県税収入の確保についてのお尋ねがありました。
 まず事業の仕分けですが、多様化、高度化する県民ニーズに的確に対応しながら歳出削減に取り組んでいくためには、ゼロベースからの事業の洗い直しに努め、業務の削減、簡素化を図る必要がございます。
 また、洗い直しの結果、行政の責任領域とされる事業についても、行政責任のもとでサービスの質の保持、向上等を図りながら、民間企業のみならず、NPOや住民団体等の多元的な実施主体との協働や運営形態を検討していく必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、有効な仕分け方法を検討の上、平成十八年度から積極的に対応してまいります。
 次に県税収入の確保についてですが、企業誘致や雇用創出により税源涵養を図ることと賦課した税をきちっと徴収することが重要であります。徴収面では、御指摘のとおり、個人県民税の徴収対策が重要になってくると考えております。
 本年四月には、市町村税等の滞納整理を行う専門組織である和歌山地方税回収機構を設立することとしており、専門家の助言を受けつつ、滞納処分を前提とした滞納整理を行ってまいります。これにより、個人県民税の収入確保も期待されております。
 また、県としても、すべての振興局で総額一億六千万円余の個人住民税の徴収を市町村から引き継ぎを受けまして、直接徴収に取り組んでおります。さらに、四つの市や町の参加を得て、電話加入権や不動産の合同公売も実施したところであります。また、みずから徴収すべき税の徴収対策として、納税推進員を配置して自動車税を中心とした徴収にも取り組んでおります。
 今後とも、県税収入の確保のため、税収対策の強化に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公営住宅の建てかえ事業についてお尋ねがありました。
 議員御指摘の住宅マスタープランにつきましては、住宅の量的な充足だけではなく、既存ストックの質の向上及び良質な住宅ストックの市場における有効活用など、今後の住宅のあり方を検討するために策定するものでございます。
 また、公営住宅の建てかえ事業につきましては、各市町村において地域の特性を踏まえた再生マスタープラン及びストック活用計画を策定し、進められているところであり、和歌山市におきましては平成十五年三月に計画が策定されております。
 県といたしましては、地域住宅交付金制度を十分活用していただき、これらの計画が推進されるよう、市と連携して国に働きかけてまいります。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 放課後児童クラブの充実についてお答えします。
 放課後児童クラブは、昼間、保護者のいない小学校低学年児童等を対象に、学校の空き教室や地域の公共施設等を活用し、遊びを主とした健全育成活動を行う場でございますが、子供たちの放課後の安全な居場所となってございます。共働き世帯の増加などによりニーズは年々高まってきており、一定以上規模のクラブに対しましては国庫補助制度がございますが、国の基準に満たない一部の小規模クラブにつきましても、県単独で補助を行うなど、その推進を図っているところでございます。
 県内で、平成十三年度は七十五クラブでしたが、十五年度には百、十七年度には百十四と毎年拡充してきており、平成十八年度には百二十四クラブを目途に設置を促進してまいります。
 県としましては、紀州っ子元気プランにおいて平成二十一年度に百四十クラブの目標値を設定しており、市町村に対し今後とも放課後児童クラブの設置を積極的に働きかけ、充実を図ってまいります。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 子供の安全対策のうち、子供を犯罪や事故から守る町づくりについてお答えを申し上げます。
 今議会に上程をいたしております和歌山県安全・安心まちづくり条例では、地域における人と人とのきずなを大切にし、相互扶助、自主自立の精神に支えられた安全で安心な地域づくりを目指すものでございます。
 なお、この条例の施行に当たりましては、「県民の友」、広報用のパンフレット、生活情報誌等による幅広い広報を行いながら条例の趣旨の徹底を図るとともに、市町村や関係団体等への協力をお願いすることとしております。
 議員御指摘のように、昨今、通学路等において児童生徒が被害に遭うことが多く、児童生徒の安全を確保することが喫緊の課題でございます。このため、条例では、学校、通学路、道路、公園等につきまして、それぞれの分野の関係機関が共同して定める指針に基づきまして犯罪の抑止のための環境整備に努めるとともに、警察はもとより関係者及び県、県民、地域活動団体、事業者等が互いにその役割を分担し、連携して安全の確保に取り組むこととしておりますが、特に児童生徒につきましては、議員御指摘のとおり、地域社会全体で見守る体制の確立が何よりも重要でございますので、その推進に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題七項目についてお答えいたします。
 まず、子供の安全確保の件でございます。
 教育委員会といたしましては、和歌山県安全・安心まちづくり条例案の考え方、趣旨に基づきながら、各関係機関と連携を図り、安全確保のための包括的な指針の策定に臨んでまいります。
 具体的な事柄に関しては、平成十八年度から県内すべての小学校区に約三千人の学校安全ボランティアを配置するとともに、通学路セーフティーネットの日を設け、一斉に登下校を見守る活動を実施します。さらに、これまで海南市や湯浅町などで行っていた防犯についての専門的経験を積んだスクールガードリーダーによる通学路等の巡回を、今後、他の市町村にも拡大することとしております。
 一方、新たに子供の危機回避能力を高めるため、子供自身が安全マップを作成し、安全について考え、みずからの命を守る取り組みをすべての小学校で実施するよう努めてまいります。
 次に、議員お話しの子供待機スペース交流活動推進事業につきましては、低学年の児童が上級生と一緒に下校することや地域ぐるみで子供の安全を確保することなど、意義ある取り組みであると考えており、本事業の積極的な活用を市町村等に働きかけていきます。
 なお、現在、地域の協力を得て、子供たちが安心して活動できる拠点いわゆる居場所づくりの開設を推進し、その充実に努めているところでございます。
 次に、義務教育改革についてお答えいたします。
 第一点目の確かな学力の定着については、議員からもお話がありましたように、平成十五年度から実施している県独自の学力診断テストの結果を踏まえ、それぞれの学校が授業改善に努め、着実に学力を向上させている学校がふえてきております。
 また、十八年度から新たに「ことばの力」向上プログラム事業を実施し、すべての学習の基礎となる国語力やコミュニケーション能力の向上に取り組むとともに、義務教育九年間を見通した小中一貫教育のさらなる充実に取り組んでまいります。
 一方、就業体験については、本年度から三カ年計画で県内すべての市町村立中学校で五日間の職場体験を行うキャリア・スタート・ウイークを実施しており、生徒に望ましい勤労観、職業観をはぐくみたいと考えております。
 和歌山らしさを生かした教育については、地域の人材や施設を活用したり児童生徒が社会体験活動を行うなど、各学校が企画したすぐれた取り組みに活動費を支援するきのくに「学びの創成」支援事業を実施し、より一層多様で豊かな学びの場を提供してまいります。
 次に、学校の適正規模化への対応についてであります。
 児童生徒数の減少により、既に十七年度に小学校十校一分校が、中学校三校が統廃合されております。今後、学校の活性化と教育効果を高める観点から、義務教育ニュービジョン会議の報告を踏まえ、積極的に市町村教育委員会との協議を進めていく必要があると考えております。
 教員のスキルアップと学校の体制の強化については、個々の教員の授業力を向上させる観点から、研修内容の充実や研究指定校の成果の普及に取り組んでいるところであります。また、昨年から試行を行っている教員評価制度や教員の公募制などを活用しながら、指導力の向上と組織の活性化に努めてまいります。
 最後に、このたび発表いたしました県立高校入学者選抜制度の改善については、そのねらいは、すべての生徒に複数の受検機会を保証し、生徒の主体的な進路選択を促すとともに、前期選抜においても学力検査を導入することにより中学校での基礎学力の一層の充実に資するという点にあります。前期選抜では、新たに学力検査を導入するものの、調査書や面接、作文、実技検査等の結果を活用するなど、従来行っていた推薦入学の趣旨を十分引き継いでおります。また、スポーツ推薦についても、学力検査を加えて従来どおり実施します。
 こうしたことを踏まえ平成十九年度から実施することとしたものであり、三月中に中学二年生全員とその保護者向けにリーフレットを配布するとともに、六月には高等学校ごとの具体的な選抜方法などについて中学校等への説明会を開催するなど、新しい入試制度の周知に努めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(吉井和視君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 子供の登下校時等の安全確保についてお答えいたします。
 警察といたしましては、制服警察官を中心とした通学路における要点警戒やパトロールの強化、各小中学校における防犯教室の開催、「きしゅう君の家」あるいは「移動きしゅう君の家」──この「きしゅう君の家」は、本年二月末現在で県下で約一万六千カ所に及んでおります。「移動きしゅう君の家」につきましては、県の公用車を含めまして二月末現在で約七千台に上っておりますけど──これらの拡充などによりまして子供安全対策の強化を図っているところでございます。
 また、本年二月末現在、県下で百三十八の自主防犯ボランティア団体が各警察署と連携してそれぞれの地域の通学路などにおいて子供の見守り活動を展開しており、県警ではこういったボランティアの活動に対し、合同パトロールや情報提供など、積極的な支援を行っております。
 また、県警ホームページに、声かけ事案の発生日時、場所、不審者の特徴、事案概要等を「子ども危険地図」として掲載し、広く県民に情報発信しているほか、県下各自治体、教育委員会、学校等へ「きのくに安全安心メール」としてタイムリーな不審者情報を配信するなど、情報の共有化を図っております。
 現在、子供の安全を中心とした地域安全に対する県民の方々の関心も大いに高まっており、今後とも引き続き県教育委員会等関係機関と緊密に連携しながら、子供の登下校時等における安全確保のための諸対策を推進してまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十番新田和弘君。
○新田和弘君 知事初め関係部長の皆さんから御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 一点だけ要望させていただきます。
 教育委員会関係で、高校入試の改善の問題でございますが、教育長の方から御答弁をいただきました。いわゆる教育委員会の方からの、こういう制度に変わるということに対して、やはり各中学校、また父兄等のパブリックコメントと申しますか、そういった意見を聞く場をつくっていただいてあげて、それで改善できるところは、やはり来年度実施する場合に生かしていただきたい。やっぱりそういう子供さんたちや父兄の御意見を聞いて実施していくと、こういった姿勢を教育委員会にぜひ要望いたしまして、第二問とさしていただきます。
 以上です。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 議長のお許しをいただきましたので、通告どおり一般質問を行います。
 知事が道州制検討委員会にて御活躍されている現在、都道府県の再編問題等について質問します。
 私は、道州制の導入に関しては積極的に賛成する者の一人であります。今、なぜ道州制が必要なのか。それは、一世紀以上変わらない現在の都道府県の形は、人、物、金が自由に行き交う現状に間尺が合わないからであります。東京都には近県から毎日何百万人が通勤・通学するのに、都政に声が届かない。これでは、統治の仕組みとしては不完全です。日本はこれまで、中央政府が大都市圏から地方への財源再配分を行い、世界でも珍しいほど地域格差の小さい国をつくりました。だけど、地方が、東京からお金が来ると当然のように感じて、自立を失いつつあります。それを取り戻すのが道州制であります。
 具体的な利点としては、九州のある県は香港に事務所を構え、中国全土を対象に県への観光や投資を呼びかけています。しかし、中国人はその県を知りません。魅力を感じてもらえるのは、せいぜい九州という地域であります。グローバル経済の中で地域が生き残る手段は、九州なり関西という州単位でアピールして世界からお金を取ってくることだと思います。
 人口減少が進む中、道州制は、地方分権の話だけでなく、日本の浮沈の問題なのであります。国と地方の役割分担と財源配分を見直し、市町村は福祉や教育といった対人サービス、州は産業振興や治山治水、環境管理といった広域的課題に特化する。つまり、内政は地方で完結させる。今は国から補助金が出て、国の出先機関、県、市町村がそれぞれの職員を張りつかせています。これがなくなれば物すごい行政改革になると思います。したがって、道州制がいつ政治の優先課題になってもいいように政策を練るべきだと考えます。
 私は、都道府県の枠組みのあり方としては、和歌山県は、紀伊半島は一つだという観点から奈良県、三重県と一緒であるべきことが重要であるという立場で発言いたしますが、最近、新聞等で報道された首相の諮問機関である地方制度調査会が、道州制のあり方についての答申案での幾つかの枠組みの中では、いずれもすべて三重県は本県とは異なる枠組みとなっていることに大変残念な思いをしているわけであります。このままではいけない、放っておけないという思いから、和歌山県としては、今よりもさらに県境を越えたさまざまな広域的事業を積極的に提案、実施に移していくべきだと考えます。
 ただし、知事が三重県とは一緒になるべきではないと、そういうようにお考えの場合は話は別でありますが、その点のところも考慮して答弁をいただきたいのですが。
 青森、岩手、秋田の北東北三県は、二〇一〇年から二〇一五年に道州制への移行を目指すべき構想を発表し、さらに、共通の産業廃棄物税の導入や韓国ソウルでの合同事務所の開設、共同でミニ公募債を発行しての資金調達等を行っています。こうした取り組みの積み重ねなどにより、国に対して一層の権限や財源の移譲もアピールでき、本県にとって望ましい広域行政の枠組みも見え、県民意識の醸成につながっていくのではないでしょうか。知事の御所見をお尋ねいたします。
 次に、合併後の市町についてであります。
 第一次の平成の大合併は本県においてもほぼ終結され、早くも新たに合併新法による次の第二次合併の案が答申されました。私は、市町村合併はゴールではなく、新たな町づくりのスタートであると考えています。旧来の市町村の持つ独自制度のすり合わせや合併後の中心地域と周辺部との連携強化など、これから克服すべき課題も多く山積しています。
 そこで、今や、地方分権の主体、受け皿として進めてきた市町村合併は、本格的な機能強化に向け、新たな局面を迎えていると思います。中長期的な視点に立った合併後の自治体の課題として、一つ目に地域の一体感の醸成があり、地域住民の連帯意識を高めるハード面、ソフト面の行政施策の展開が強く求められます。二つ目は、行財政の効率化であります。合併の効果として、行政のスリム化、財政面での効率化が挙げられますが、組織や人員、歳出面での見直しはある程度の期間を要するものであり、現在の地方財政をめぐる状況から見ても、合併後、数年間の行財政運営はむしろ相当厳しいのが現実ではないでしょうか。合併後の市町にとっては、この期間にいかに簡素で効率的な体制を確立するかが最大の課題であると思います。三つ目は、地域を担う人材の育成であります。合併後の新しい町づくりのためには、新しい発想とビジョンを持つ自立型の地域リーダーの育成や支援が必要不可欠であると思います。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、合併後の市町の持つ課題をどのようにとらえていらっしゃるのか。また、分権型社会にふさわしい自治体として、また住民に最も近い自治体としてどのような町づくりを期待されているのか、御所見をお伺いします。
 次に、少子化問題についてであります。
 近年、和歌山県はもちろんのこと、我が国の出生率は低下を続け、毎年、過去最低を更新している現状であります。子供を何人持つかは個人の選択の問題だという考え方もあります。しかし、我々が現在直面している出生率の低下は、個人の選択を超えた国家的な危機と考えるべきだと思うんです。
 子供を育てることが有利になるような、またせめて不利にならないような仕組みを組み込むことや、若者の雇用環境を改善して結婚力を高める必要があると思います。また、保育サービスの充実などによる育児の社会化を進め、子育ての直接的、間接的な費用を小さくする方向で、政策資源を高齢層向けから若年層、子育て層向けに転換していくという、思い切った施策も検討していく段階に来ているやもしれません。
 したがって、現時点では少子化の流れを変えるための出生率回復の具体的な数値目標を掲げて対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、少子化の進行や労働力人口の減少に伴い日本経済の成長率が低下し、いずれ縮小に転じるのは避けられません。そこで、企業活動や財政、社会保障制度、社会資本整備など、これまでの拡大経済に対応したシステムを縮小経済に対応したシステムに早急に再構築する必要があると思います。地方自治においてもそれらを展望した施策が必要だと思いますが、知事の御見解をお尋ねいたします。
 次に、紀南の医師不足についてであります。
 本県の紀南、特に新宮医療圏域における医師不足について一つ提言しますが、これは三重県での取り組み例であります。
 医師不足に悩む三重県南部の基幹病院に若手研修医を集めるため、三重大医学部は、一月から学内の中堅医師を若手の指導に当たる特命教授、特命助教授に任命して派遣する新制度を導入しています。これは、都市部から離れた病院を十分な指導が受けられないと敬遠する若手医師の不安解消がねらいであるそうです。もう少し詳しく説明いたしますと、県立志摩、尾鷲総合、紀南の三病院を地域教育基幹病院と定め、三重大医学部に籍を置く特命教授・助教授が出向、三重大卒の研修医を現地で指導する。任期は一年で、継続は可能、給与は赴任先の病院から支給される。三重大附属病院の内田院長は、「任期終了後は大学に戻ってもらい、数年サイクルのローテーションを組みたい。本人も幅広い経験が得られ、地域医療の活性化につながる」と話しています。
 平成十六年四月から卒業後の医師が研修先を自由に選べる臨床研修制度が始まり、地方病院で研修する医師が減少、さらに、地方大学では大学病院に残る研修医が減少し、人手不足解消のため関連病院から医師を引き揚げるケースも相次ぎ、地域医療機関の医師確保は今や全国的な課題となっています。三重県は、三重大の新制度を全国的にも珍しい試みとして歓迎し、文部科学省医学教育課も「医師不足問題への対応策の一つとして注目したい」と話しています。
 和歌山県としては、今後、医師不足問題に関してどのように取り組むのか、三重大のような取り組みは検討できないのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、熊野川の川舟下りについてであります。
 川の参詣道として世界唯一の世界文化遺産である熊野川は、地域の財産でもあり、世界の宝であります。昨年十二月よりシーズンオフのため休止していました熊野川の川舟運航が三月一日より再スタートいたしましたが、おかげさまで既に四千人を超える予約が入っている状況で、大変人気を博している事業であります。
 佐藤新宮市長を会長とする熊野川川舟運航協議会は、新宮市や新宮市観光協会など五団体で構成されており、運営主体の新熊野体験研修協会をサポートしていますが、ことしは飛躍的な乗客の増加が見込まれることなどから、国、県、近隣町村など十八団体の協力を得て、景観形成、安全運航、地域振興の三部会から成る連絡協議会として発展的に構築する方向で近く再設立する予定であるそうです。
 県としても非常に熱心にこの事業に対しては参画、協力していただいていますが、お話をお聞きしたところ、マイカーで来た乗船客を回送するマイクロバスを貸与することと川舟を新しく一つ製造する補助金を出していただけるらしいんですが、私、この事業、ことし見たんですが、本年度の主要事業の中には何も入ってないんです。予算書の中には、川舟を一つ建造するというのは計上されているんですが、マイクロバスに関しては、どこを探しても見当たらないんですね。ですから、改めて、これが本当であるのか明確な答弁を賜りたいのと同時に、県としての今後のこの事業に対する方針を商工労働部長にお聞きいたします。
 最後に、台湾からの白浜空港チャーター便についてであります。
 このたび、二階経済産業大臣の御尽力により、南紀白浜空港と石川県の能登空港を活用した台湾からの航空機チャーター便が四月から七月まで運航される見込みであります。その内容は、四月中旬から開始し、当面七月末までの五十便程度、このうち南紀白浜空港は十数便の就航見込みだそうです。
 先般、尾崎要二議員を会長とする和歌山県議会の日華友好親善議員連盟は、台湾の台北市議会と李登輝前総統を訪問、面談し、今後の友好交流を深めてまいりましたが、そのときの話によると、和歌山ツアーの評判は大変よく、今回のチャーター便での人気が高まれば、その後も延長されることになる可能性が高いと思われます。
 新宮市には徐福さんのお墓がある徐福公園があり、近年、台湾からの観光客がふえており、今後、その流れに拍車がかかることはもちろんのこと、南紀における白浜温泉、龍神温泉、本宮温泉郷、勝浦温泉、また世界遺産・熊野のさらなる活性化につながると確信しております。
 和歌山県にとりましても、今回の機会を千載一遇のチャンスととらえ、受け入れ体制の充実を図り、何らかのイベントやPR活動を行っていかなければいけないと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
 以上、大変短くて恐縮でございますが、以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの須川倍行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、都道府県の再編についての御質問でございます。
 道州制に関する議員の御意見、非常に参考になりました。
 この区域というふうなことについては、先般の地方制度調査会の答申では紀伊半島は一つという理念は余り表に出ていませんが、あれは一つの案を示したということで、必ずこれで行くというふうなことではありません。当然のことながら、紀伊半島を一つの地域として考えていくというのは、これは大事な考え方だろうと思います。
 ただ、やっぱり道州制を考えるときには、その地域地域に大きな経済的な中心が一つないし二つ以上あるというふうなことを考えると、近畿がどういうふうな形になっていくかということは、おのずから出てくる面もあります。
 ただ、この道州制とは離れて、三重県、そしてまた奈良県というものとの協力ということはもう非常に大事で、今の県境というものをある意味では取り払った形で考えていかないとそこに住んでいる住民の人にとってはプラスにならないというふうな考えがありますので、私もそういうふうな気持ちで行政を進めていきたいというふうに思っております。
 次に、合併後の市町村の考え方ということです。
 和歌山県でも五十あった市町村が三十になるということで、合併されたところは、今まで別々にやっていたところが一つになるということで、現在大変御苦労されているということは私も十分承知しております。ただ、やはりその苦労の中から新しい熱が出てきて、そしてまた地域間の連携ということがさらに高まってくるというふうなことだろうというふうに思っております。
 いろいろな問題を解決する中から、よりよいものが出てくる。そしてまた、職員の人たちも、今までの割と小さな範囲を対象にして行政を行ったり部署の移転を行ったりしていたのが、やはり大きな形で動くことによって見聞も広まり、物の考え方も変わってくるというふうなこと、こういうふうなプラスの面ということが合併ということには考えられますので、県としても、そういうふうな合併のいい面がどんどん発揮されるよういろんな形で支援をしていきたいというふうに思っております。
 次に少子化問題について、数値目標ということですが、これは僕は非常に大事なことだろうと思います。漠然といろんな政策を進めていくというふうなことでは、これは県民の人にも見えません。実際問題として少子化に対応するということは難しいわけですが、ヨーロッパの一部の国では現に小まめにいろんな政策を行ったことによって出生率が高まっているという例もあるわけで、和歌山県でも、来年度から就学前のお子さんの医療費を無料化するとか、こういうふうなこともやっていくわけですが、そのほかにもいろいろなこういうふうな対策が、どんな形で数値に結びついたかということ、また結びつかなかったかということを示していくというふうな努力が必要だというふうに思っております。
 さらに、そういうふうに子供がふえる努力ということは惜しみなく、ある程度税金をつぎ込んででもやっていかないといかんわけですが、しかしながら、日本の国がやはりこれから長期的にある程度人口が減っていくということは、これは否めない事実であって、そういうふうなときに、やはり今までの膨張型の社会というものに合わせた行財政のシステムを完全に見直さなければならないということは、僕はもう必要なことだろうというふうに思っております。
 県でも、そういうふうなことの中から、職員の数を減らしていくとか、いろいろな行財政改革を考えているわけですし、それからまた、日本も本当の意味で、ある意味では人口が減りながら生活の量よりは質を高めていくというふうな形、さらには高年齢者の方の参画というふうなことを促していったり官と民の協働というふうな中からいろんなことを進めていくようなシステムと、いろいろそれぞれの方々が自己実現できるような社会というものを人口が減っていく減少型の中で確立していくということが、和歌山県にとっても、日本にとっても必要なことだろうというふうに思っております。
 最後に、台湾からのチャーター便です。
 これは、御質問にもありましたように、二階大臣の大変なお骨折りによって相当数の数が台湾からチャーター便として来るということで、県としても大いに期待しているところでございます。
 外国からの観光客の導入といっても、やはりその中心は台湾なんかが大きな部分を占めているということは当然のことでございますので、この際、今回のチャーター便というものをきっかけにして、和歌山県への台湾からの観光客の人がもっともっとふえるような政策ということを県も協力して進めていきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 紀南地域の医師不足についてお答えを申し上げます。
 地域における医師不足を解消するためには、医師を養成する県立医科大学、医師を受け入れる医療機関及び行政の三者が連携して取り組んでいくことが必要であろうと考えております。
 県におきましては、従来の自治医大制度に加えまして、わかやまドクターバンク制度を創設し、地域医療を担う医師の確保に努めているのを初め、大学、地域の公的病院、医師会などの関係者による医療対策特別委員会において、医師確保のための方策について協議を進めているところでございます。
 また、十八年度からは、不足の著しい小児科、産婦人科、麻酔科の医師を確保するための修学資金制度の創設や、和歌山の医師募集を含む医療情報をインターネットにより一元的に発信するなど、さらなる医師確保対策に取り組んでまいります。
 議員御提言の三重大学方式による医師の派遣に取り組めないかということにつきましては、三重県では現在一名の派遣があると聞いておりますけれども、本県における医師確保に向けた対策について、今後、こうした方式を含めて医療対策特別委員会等において引き続き検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 熊野川川舟下りについてお答えをいたします。
 本事業につきましては、議員の御発言にもございましたが、地域住民の方々を初め、地元行政機関、関係機関が一体となって取り組んでいただいた結果、昨年は、二カ月間ではありましたが、一千人以上の乗船実績を上げることができ、地域の新たな魅力づくりにつながったと認識をしております。
 この成果を今後も継続し、シーズンを通して安全かつ安定的に運航していくため、予備船の建造及び個人や小グループでお越しになった観光客の乗り場までの回送に必要なバスの購入につきまして、所要の経費を予算計上してございます。
 さらに、この事業を核に地域の魅力を高めるため、流域の熊野川の景観整備に取り組むとともに、今後とも、新聞や旅行雑誌等、メディアを活用した誘客を積極的に行ってまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十六分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得まして、通告に従って質問をさせていただきます。
 早いもので、前回の統一地方選で初当選させていただいて、この四月で三年がたとうとしております。この間、後援者の皆さんの御支持はもちろんですが、議会におきましては会派を問わず先輩・同僚の皆さん、また木村知事初め県当局の皆さんにはいろいろと御指導をいただき、伝統ある和歌山県議会の一員として精いっぱい活動さしていただいたことは私の人生にとりまして大変有意義な三年間であったと、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでございます。まことにありがとうございます。
 しかし、県民を代表する立場の県議会議員として、自己満足だけではいけません。県民の皆さんが不安に思うことを少しでも多く解決し、この和歌山県で暮らしていけることに希望を持てるように努力していくことが私の仕事であると改めて認識をし、この場に立ち質問さしていただきますので、どうぞ明確な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回は、県民の皆さんが言うに言われぬ不安感を抱いている人口減少問題に限定し、知事初め県当局の御認識と今後のビジョンについて御質問いたします。
 既に御存じのとおり、人口減少問題につきましては、私が初めて一般質問に立った平成十五年十二月議会でも行いました。このときは、和歌山県の人口の減少速度が他府県に比べて大変速いということ、そして、同じ近畿圏でありながら滋賀県はまだこの先二十数年にわたり人口は増加傾向にあるのに、和歌山県は既に二十年余り前から減少傾向にあり、さらにこれからそれに拍車がかかるのではないかと、グラフを示して説明をいたしました。その後、答弁に立たれました木村知事は、そのグラフを見て「慄然とするものを感じた」と正直に答えられたことを今でもよく覚えております。ちなみに、この「慄然」という言葉は、「広辞苑」によりますと「おののき震えるさま」とあります。つまり、恐ろしくて震えてしまっている様子ということで、大変なショックをあらわす表現であります。
 それから二年、昨年十二月に、五年に一度の平成十七年度の国勢調査の結果が出てきました。それによりますと、和歌山県は、前回の平成十二年度より人口がさらに三万三千八百五十一人減少し、百六万九千九百十二人から百三万六千六十一人になりました。日本の人口が予想より二年早く昨年から減少に転じ、全国で三十県が減少しているとはいえ、その中でも減少率は、秋田県に次いで二番目に大きく、三・二%であります。
 まず、ここで、和歌山県は人口減少の先進県であるという認識があるのかどうか、知事、お答えください。
 そして、今後これがどのようになっていくのでしょうか。
 実は、お手元にその推移と推計のグラフを配付させていただいておりますが、これは一九八五年からのもので、人口の最大値を百としたものであります。前回の質問のときは和歌山県全体と私の地元和歌山市だけのグラフしか示しておりませんでしたが、今回、皆さんに御理解を深めていただくために、県内の九市六郡の人口の推移と推計をグラフにしました。
 お断りしておきますが、推計については、まだ昨年の国勢調査をベースにしたものはできておりませんので、これは平成十二年度のものをベースにしたグラフで、平成十四年三月に地域づくり推進実行委員会というところから出たものであります。人口推計を提示するときは、普通、国立社会保障・人口問題研究所のものを出すのですが、こちらの地域づくり推進実行委員会の方がより実数に近いので使用いたしました。
 しかし、このデータでも平成十七年度の和歌山県の人口推計が百四万九千八百十四人となっており、実際には百三万六千六十一人でありますので、推計より実際の方が一万三千七百五十三人も減少しているということになります。つまり、このグラフより実際はもっと右肩下がりを描いているということになります。
 また、下には高齢者人口割合、つまり高齢化率の推移と推計のグラフを載せました。ここで特徴的なことは、人口の推計で減少率が大きい郡市ほど高齢化率の進みぐあいが大きいということであります。市部では海南市、新宮市、和歌山市、また郡部では海草郡、伊都郡、東牟婁郡等であります。あわせてごらんいただければと存じます。
 ここで、グラフをもとに根本的な質問をさしていただきますが、なぜこのように人口が減少したのでしょうか。企画部長、お答えください。
 もちろん、先ほども申しましたとおり、全国でも昨年から減少に転じたことは十分わかっておりますが、和歌山県では、昭和五十七年の百九万五百二十一人をピークに、多少ふえた時期もありましたが、減少が続いているということが事実でありますので、その辺も含めて、企画部長、よろしくお願いいたします。
 このような質問をいたしますと必ずといっていいほど「地理的な条件」という言葉が出てくると思います。前回示しました人口が増加している滋賀県との比較をすれば、それで納得できるかもしれません。もちろん、私も地理的な条件を一概には否定はいたしませんが、それでは、地理的に和歌山県より不利であり、人口がもっと減少してもおかしくない沖縄県が東京都、神奈川県に次いで増加率三・二%で、平成十二年度より四万二千六百十人がふえているというのはいかが説明されるでしょうか。自然や環境のすばらしさということでしたら、我が和歌山県もいつも言い続けてきたことではないでしょうか。その点についても、企画部長、御答弁よろしくお願いいたします。
 さて、ここで人口が減少して何が問題なのかについてお伺いをいたします。
 「人口」というのは、人の口と書きます。もちろん人には口だけではなく、目も鼻も体もついております。つまり、単純に言って、衣食住すべてにおいて人口減少により消費経済は縮小せざるを得ないことは容易に想像できます。そのことを考え、木村知事は前回の質問で「慄然とするものを感じた」とおっしゃったのだと思います。
 しかし、木村知事、御安心ください。最近、人口問題を調べていて、こういう本があります。「人口減少社会は怖くない! 人口減少で日本没落、地方衰退なんてウソだ!」というたぐいの本がたくさん出ておりますので、ぜひ御一読いただきたいと思います。ただ、理論的には、私もこの本を読みまして、納得はするのですが、正直なところ、地方の実態がわかっていないなというのが私の感想であります。
 それより、ここにもう一冊「過疎列島の孤独 人口が減っても地域は甦るか」という本がありますが、これは、阪神大震災の翌年の平成八年に日本銀行の神戸支店に支店長として赴任した額賀信氏という方が神戸での実生活を通して書いたもので、その中にはこのようなことが書かれております。「国も地域も経済活力は人から生まれる。逆に人口が減ったら、経済活力は失われる」とあり、また神戸が失った人口力という項目の中で、経済活力イコール人口力と断言されています。私には、この方の言われんとすることの方が大いに共鳴できます。
 そこで、人口が減少して何が問題であるのか、県民生活や産業、そして教育分野について、環境生活部長、商工労働部長、教育長、明確にお答えください。
 さて、もう一冊本を御紹介いたします。これは、九七年に日本経済新聞社から発刊されました「二〇二〇年からの警鐘」という本であります。たしか、九六年の一月より日経新聞に掲載された特集記事を集めたものでありますが、三部作──これは一部目ですが──三冊のシリーズで、一部は「日本が消える」、二部は「怠慢な日本人」、三部は「『終わり』からの出発」というサブタイトルがついております。皆さんの中でもこの本をお読みになった方もいらっしゃると思うのですが、私も浪人中にこの本に出会い、大変な驚きと興味を持って二度も読みました。ここで言う二〇二〇年とは、日本全体の高齢化率が二五%、つまり六十五歳以上の高齢者が四人に一人になり、働く世代もどんどん少なくなる中、年金や介護制度がこのままでは破綻するというところからの問題提起であります。
 私がこの本と出会ったのは九年ほど前ですが、自分の足で歩き、見聞きしたことと照らし合わせながら、時間を忘れ読み通したことを今でも覚えております。また、この本の中には、当時余りまだ言われていなかった人口減少のことについても書かれています。その当時は二〇二〇年といってもまだまだ遠い先のことだと思っていたのですが、気がつけば、あと十年余りであります。しかも、お配りしたグラフもごらんになっていただければわかるように、和歌山県ではもう既に幾つかの地域で高齢化率が二五%を超えているところがあることがよくわかります。
 そこで、二〇二〇年を一つのキーワードとして考えますと、そのときの和歌山県は、さきの推計によると、人口が現在より一〇・五%減少して九十二万七千五百三人に、しかも高齢化率は三一・一%、つまり、四人に一人というより、ほぼ三人に一人が高齢者になっているとあります。もちろん、これはあくまでも推計であり、社会の動向によってこのとおりではないことはよくわかっておりますが、しかし、そのような社会から想像できる和歌山県の未来像について、企画部長、お答えください。
 また、ここで私が心配するのは、冒頭でも申しましたとおり、国立社会保障・人口問題研究所やここで示した地域づくり推進実行委員会の推計よりも、わずか五年間で人口減少が予想以上に進んでいるということであります。つまり、このままではますます人口減少に拍車がかからないかということについて、企画部長、お答えください。そして、このような社会が来るということを県民の皆さんにどのように伝え、理解してもらおうとしているのか、企画部長、あわせてお答えください。
 さて、全国でも予想より二年早く、昨年から人口減少が起こり、ようやく本県でもこの人口減少ということを問題としてとらえ、今回、予算の三本柱の第一番目に人口減少問題への対応ということで六十六事業、約三十億円を計上しておりますが、これによって五年後、十年後、そして二〇二〇年には推計よりも一人でも多く和歌山県に残し、人口減少問題に少しでも解決の糸口を見つけ出そうとしていると思います。
 既に本県では、平成十四年度より、木村知事発案のもと、全国的に有名になりました緑の雇用事業という国の緊急雇用対策や緑の雇用担い手育成対策、また県単の緑の雇用環境林担い手づくり等の事業で四年間で約五十億円を投入し、現在、三百数十人の雇用と、その家族を含めると約五百人を定住させたということをお聞きしておりますが、それでは、この六十六事業全体ではいかがでしょうか。
 また、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策、そして農業をやってみようプログラム推進についても、人口減少対策としての具体的なマニフェスト、期限、財源、数値目標、行程等を総務部長、商工労働部長、農林水産部長、お答えをください。
 さて、このように人口も経済も縮小する中で、木村知事は、先般、県職員の人員を削減する計画を発表されました。それによると、警察、教育関係を除いた県職員を現在の五千二百五十人からこの五年間で約二七%、千四百人削減するというものでありますが、それは、厳しい財政状況の中、効率的で質の高い県庁志向を徹底し、人件費の削減を中心とした行財政改革の断行により財源を捻出し、喫緊の課題にめり張りをつけるということで、私は高く評価をいたしております。
 なぜ私はこのことを改めて言うのか。それは、今議会で予算案審議とともに、我々議員にとって真剣に議論をし、県民の皆さんにきちんと説明でき、納得していただかなければいけない問題に、市町村合併並びに人口減少時代における議員総定数の問題があります。
 御存じのとおり、全国四十七都道府県の議会の定員において法定上限数を適用しているのは、和歌山県を含めてわずか四県であります。また、今回の市町村合併により県全体の市町村議員は、合併前七百十九人から合併後五百七十二人に、実に二〇・四五%も減員しております。もちろん、首長も五十人から三十人になったわけですから、県議会議員だけはそのままにしてよいという理屈は通らないのは明白であります。
 また、昨年十二月議会では、初の議員提案条例として紀の国森づくり税を可決し、県民の皆さんにも、財源不足ということで年間約二億六千万円の税負担を五年間にわたりお願いしていただけに、議会もみずから襟を正し議員総定数の削減に積極的に取り組まなければ県議会そのものが県民の皆さんの信頼を失うと私は思います。このことについては、本来なら知事の御見解をお伺いしようと思っていたのですが、知事も議会のことについてはコメントされにくいでしょうから、今回はあえて求めないことにいたします。
 以上をもちまして、第一回目の私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の人口減少問題、先般の国勢調査の結果で、減少率が、御質問にもありましたように、秋田県に次いで第二位という余り芳しくない結果になったわけでございます。
 人口が減っても十分質の高い生活を維持する方がいいのだというふうな意見も一方にはありますが、やはり地域としては、人口が減っていくということは活力の減少につながります。そしてまた、御質問にもありましたように、これは、ただ単に今回だけの減少じゃなくて、手をこまねいていれば当然十年先、二十年先にどうなるかということは火を見るより明らかな状況でございますので、そういうことから言えば、この和歌山県、そしてまた日本の人口減少というのは非常にゆゆしき問題であるというふうに考えているわけでございます。
 そういうふうな中で、例えば先般から緑の雇用とか、それから農業をやってみようプログラムであるとか、漁師への道であるとか、こういうふうな第一次産業を中心に、和歌山へ外から人が来て暮らすような政策というふうなことを行ってまいりました。そしてまた、観光の振興ということで、流入人口をふやし、また観光産業従事者の職場をふやしていくというふうな努力もしてまいりました。しかしながら、これだけでは十分ではないということが今回の結果からも明らかになったわけで、新年度から大々的に予算も投入して、この人口減少対策をとっていこうというふうなことです。
 一つは少子化対策ということで、やはり子供を産み育てやすいような和歌山県というふうなものをつくっていこうということでいろいろな施策を進めていきたいと思いますし、そして、もう一つは外からの流入と、そしてまた和歌山県にいる若い人たちに職場をつくっていくというふうなことで、企業誘致ということを大々的に進めていこうというふうに思っているところでございます。
 この二つだけで十分役割を果たせるということにはならないと思いますけども、こういうふうないろいろな積み重ねの中で、和歌山に残って働こう、そしてまた外から和歌山へ来て働こう、そしてまた働かなくても和歌山へ住んでみようというふうな人をふやしていく努力をすることによって、和歌山県の場合、後ほど各部長から答弁もあるかもしれませんけども、非常に山がちです。平地が少なくて、そしてまた国土軸から外れているというふうなこともあります。そういうふうなことの中で、また沖縄とは違った意味で大変厳しい状況に置かれているということ、これはもうやむを得ないことなんですけども、それはそれとして受け入れるのではなくて、そういうことにできるだけ抗しながら、和歌山の人口が少しでもふえ、また減りどまるような政策を行っていきたいと思いますので御理解いただきたいと思います。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人口減少問題についての御質問、企画部関係五点についてお答えを申し上げます。一括してお答えを申し上げます。
 本県人口におきましては、自然動態による減少については少子高齢化の進行、社会動態による減少につきましては県内における雇用機会の減少等によるものであるというふうに考えております。また、沖縄県につきましては、社会動態もさることながら、自然動態による増加が大きな要因であると考えられております。
 議員御質問のような状況に陥った場合、労働力人口の減少が生産活動のさらなる縮小をもたらし、地方自治体への歳入が減少する一方、高齢化に伴う需要の増加が見込まれる行政サービスとのアンバランスなど、大変厳しい状況が考えられます。これらの問題はできるだけ避けなければならない課題でありまして、深刻な状況であるとの認識を県民の皆さんと共有することが大変重要であると考えております。
 県といたしましては、人口減少の要因の把握に努めながら、少子化対策や企業誘致、農林水産業の分野など、さまざまな取り組みをさらに強力に進めていくとともに、人口が減少する中にあっても、市町村やNPOを初め県民の皆さんとともに、一人一人が安心して暮らせるような施策を進めていく必要があると考えております。部局横断的に人口対策を推進する本部を立ち上げまして、既存施設の見直しやブラッシュアップ、新規施策の創出等に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 人口減少問題のうち、県民生活への影響に係る御質問にお答えを申し上げます。
 一般的に、人口減少は経済活力の減退をもたらし、直接県民全体の可処分所得の減少に結びつくものと考えられますが、例えば消費の面から見ますと、近隣商店やサービス業の減少等、生活の利便性への影響等が考えられ、中でも高齢者への影響等、特に憂慮をしているところでございます。
 地域における安全・安心の観点からも、地域コミュニティーの担い手が減少することにより見守り機能の低下を招き、例えば、地域における悪質商法による被害や子供の安全が脅かされている問題が既に発生をしているところでございます。このような状況を踏まえまして、県消費生活条例の改正を既に行ったところではございますが、今議会におきましても、和歌山県安全・安心まちづくり条例の御審議をお願いしているところでございます。
 このような状況の中でも、地域における人と人とのきずなを大切にし、相互扶助、自主自立の精神に支えられた安全で安心できる地域づくりのため、NPOを初めとする地域の皆様と連携し、また今後は特に団塊の世代の力も活用するなど、県民生活の向上に向けた環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 人口減少が与える産業分野への影響についてでございますが、人口減少に伴う産業面から見た地域への影響につきましては、まず、地域全体の購買力の低下により消費全般での減退を招き、地域の依存度が高い商業やサービス業などの経済活動は直接的な影響を受け、厳しい状況に置かれるものと考えます。また、若者を中心として地域産業の担い手が供給不足となり、既存産業の着実な成長、多様な企業誘致などへの影響も顕在化し、地域経済の成長を阻害することも想定をされます。
 このように、人口減少は経済活動全般に負の要素を含んではおりますが、本県の活力維持を図るため、地域資源を活用し、経済環境の変化にも対応できる足腰の強い産業の育成と雇用の場の確保に努めてきたところであります。
 今後、これらの取り組みを一層強化するため、さらなる中小企業の技術力の強化、首都圏等への積極的な企業誘致や県産品の販路開拓、中国等への海外市場進出を促進するとともに、世界遺産やラムサール条約に登録された観光資源を最大限活用し、首都圏や近畿圏、さらには海外へ戦略的な誘客活動を行うなど、国内外へ和歌山を売り出すことにより元気で活力あふれる和歌山の産業振興を目指してまいります。
 次に、人口減少問題への対応のうち、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策についてでございます。
 観光とは、人が居住地とは異なる他の地域を訪れることにより成り立っておりますが、いわゆる交流人口に依存する産業であります。したがいまして、人口減少期を迎えた本県にとりましては今後ますます重要性を高めていく産業分野であると認識し、十八年度は首都圏並びに近畿圏を重点エリアに位置づけ、誘客に一層積極的に取り組むこととしております。
 首都圏におきましては、東京に置く観光連盟の体制を強化する中で、歴史や文化、健康に高い関心を持つ一方で経済的、時間的に余裕のある六十歳前後の世代を中心に誘客を図っていくことにしておりまして、具体的には、十七年度から実施している世界遺産出前講座などカルチャーセンター等と連携した取り組みの充実強化や、旅行代理店やマスコミとタイアップした熊野古道などを歩きめぐる旅の具体化を進めてまいります。また、体験観光を活用した修学旅行の誘致拡大にも積極的に取り組んでいくことにしております。
 一方、宿泊観光客の五割を占める近畿圏に対しましては、新たな誘客手法によるリピーター化の促進や新規観光客の掘り起こしを図っていくことにしておりまして、具体的には、西日本高速道路株式会社と連携した道路を利用する観光客への積極的な情報提供や、JR西日本や南海電鉄を初めとする関西私鉄各社とタイアップした誘客活動を展開してまいります。これらの取り組みにより、今後三年程度をかけ、宿泊観光客十万人増を目指すことにしております。
○副議長(大沢広太郎君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 人口減少問題に対する対応についてのお尋ねがありました。
 平成十八年度当初予算においては、予算の三本柱の一つとして人口減少問題への対応を掲げ、先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、企業誘致対策、戦略的首都圏対策、近畿圏誘客対策、それから少子化対策としての乳幼児医療費の適用拡大など、全体として六十六事業、総額三十億円を計上したところであります。
 これらの事業につきましては、人口減少に対する定住促進効果と、それから交流人口拡大効果という観点から十分考慮して予算化を図ったところでありますが、創意と工夫により新たに取り組みを始める事業も多く、現時点で明確な数値目標、期限等を示しがたい面がございます。
 いずれにいたしましても、人口減少問題への対応は本県にとって最も重要な課題の一つであると認識しておりますので、事業の執行状況や効果についても十分検討してまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 人口減少問題への対応のうち、農業をやってみようプログラムの推進についてでございますが、本県の基幹産業でございます農業の担い手不足が年々深刻化し、耕作放棄地の増加や集落機能の低下を招くなど、厳しい環境にございます。
 こういったことによりまして、平成十六年度より就農支援センターを核といたしまして、多様な農業の担い手を確保、育成する農業をやってみようプログラムに取り組んでございます。
 平成十八年度におきましては、農業に意欲のある若者を対象に農業研修を行う鄙の里塾、企業と地域の協働による新たな農村づくりを進める鄙の夢農場を展開するとともに、地域での円滑な就農を支援する鄙の里づくりを進めることとし、年間百五十人──向こう三カ年で四百五十人でございますが──の新規就農者の確保を目指してございます。
 また、こうした担い手の育成策に加えまして、都市部に住む団塊の世代や若者に対しまして、温暖な気候と豊かな自然や文化に恵まれた和歌山における田舎暮らしを積極的に提案し、都会からの人口の逆流動を起こすことにより新たな農山漁村の担い手を生み出し、とりわけ中山間地域の活性化を図らねばならないと考えているところでございます。
 団塊の世代の定年退職が始まります二〇〇七年に向けましてわかやま田舎暮らし支援施策を積極的に展開し、さまざまな形での県外からの移住、Iターン、Jターン、Uターンを促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 少子化に伴う教育分野での課題についてお答えいたします。
 少子化が進むことによって、子供の自立性や社会性、たくましく生きる力をはぐくむといった教育の本質にかかわる点で大きな課題が生じると考えております。具体的には、本県のように山間部を中心にして小規模校が多い県では適正な学校規模が維持できなくなり、結果として、学校の活力の減退を招くだけでなく、特色ある充実した学校づくりが困難になるおそれがあります。また、中学校などにおいて、各教科の専門の教員を配置できない、あるいは多様な部活動の展開に支障を来すといったことも起こってまいります。
 こうした教育的課題の解決に向けて、本県では、去る一月に義務教育ニュービジョン研究会議から学校の適正規模化に向けた対応策等についての報告書が提出されました。今後、市町村教育委員会と連携しながら、適正規模化に資する施策を積極的に進めてまいります。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、まことにありがとうございました。
 実は、人口減少問題というのを少し勉強すればわかるのですが、大変構造的な問題であり、二、三年で解決できるような簡単な問題ではないということですね。それだけに、今回余り細かいことについて私は言うつもりはありませんが、一点だけ少し詳しく掘り下げますと、企画部長の御答弁にありましたように、沖縄県はなぜ人口がふえているのかというと、転入者が転出者より多い、つまり社会増もその一因ですが、自然増が多いということですね。自然増が多いということ。
 しかし、沖縄県の女性の特殊出生率は、二〇〇三年で一・七二人。ちなみに和歌山県はその年、一・三三人だったんですが、本来その社会の人口を維持していくために必要な二・〇八人より少ないにもかかわらず人口がふえているということは、相対的に高齢者よりも若い世代が多くいるということであります。沖縄県は、一言で言って若い人たちを地元に残しているということでありますので、今後参考になると思いますので、ぜひその辺も御研究いただきたいと存じます。
 また、我が和歌山県にとって人口減少問題の何が問題であるかと私も考えたのですが、二十数年前に、つまり昭和五十八年ぐらいから人口が減少し出したときに、先ほども言いましたように、それを構造的な問題としてとらえ対策を講じていなかったことが、つまり問題を問題としていなかったことが大きな問題であるということであります。
 この問題、私が初めて質問で取り上げましたのは二年余り前になりますが、県も今回、ようやく人口減少問題の対策本部を企画部に設け取り組んでいただけるということで、大変うれしく思っております。二年前にこの人口減少を問題としてとらえ、質問をつくって県の職員の方といろいろ意見交換したんですが、そのとき、ある職員の方は「浦口議員、人口減少、人口減少と余り言ってもらっては」というような少々困惑したような顔をされて、できるだけそのことに触れられたくないなという方もいらっしゃいました。しかし、私はその方に対して、「これは悲観論じゃないんですよ。厳然たる事実で、ここから始めなければ県勢の発展なんかないんじゃないですか」と反論をさせていただきました。
 今回、木村知事も、非常な危機感のもと、予算の三本柱の第一に人口減少問題への対応ということを挙げられたことは、私はこれは高く評価しておりますが、今回、事前の県職員との意見交換の中で、前回とは違う職員の方ですが、大変おもしろいことを言われました。これを紹介させていただきますと、「これからの県の最大の仕事は、人口をこれ以上減らさないことですね」と、私に言われたんですね。私も、これを聞いて、なるほどと思いました。
 いずれにいたしましても、人口減少問題はこれからずっと続く問題でもありますので、我々を含め県当局の皆さんの御健闘を祈念いたしまして、私の人口減少問題の再質問を終わらせていただきます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 午後から二人目とあって睡魔に襲われる時間帯でもありますが、一生懸命質問させていただきますので、御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。(「わかりました」と呼ぶ者あり)──ありがとうございます。
 我が国の経済は内閣府では景気は緩やかに回復しているとの判断を示し、和歌山県においても、一部改善の動きが見られるが、まだ厳しい状況であると発表されています。そういった中で、幅広い産業分野で経済波及効果の期待ができる観光についてお伺いいたします。
 知事は、平成十五年に、世界遺産登録を目の前に控え、本年を二十一世紀型観光立県を目指した飛躍の年とし、戦略的な事業を和歌山型観光として積極的に展開していくと、また、台湾、韓国、香港、そして中国本土を中心に国際的な観光客の誘致についても積極的に推進しますとおっしゃられました。
 平成十六年の観光客は三千九十万人と過去最高を記録し、一定の成果があり、この流れを継続するため、今後五カ年の観光振興の方向と重点戦略を示した和歌山県観光振興指針を策定する中で、多様なニーズに対応した観光振興施策の充実に取り組むとありました。
 大変観光を重要施策として取り組んでくれてはいます。それはそれで一定の成果も上げ、評価するところではございますが、高野山を初め本宮等、世界遺産関連の地域に偏っているのではないでしょうか。
 一方、紀南地方は大変厳しい状況が続いています。そういった中で、観光業者も一企業でセールスするだけでなく、団体でみんなで協力しセールスしようということで、平成十二年に和歌山、大阪、三重の業者有志でインバウンド協議会を立ち上げ、現在まで台湾、香港、韓国、中国等へのセールスに励み、一定の効果も上げているところです。
 また、それとは別に、串本町でも串本インバウンド協会を立ち上げ活動する中、韓国光州市の東区──人口約三十万人ですが──との友好関係を持ち、東区長と串本町長の交流、職員の研修、修学旅行生、また文化交流などを行っております。私も一昨年また昨年と参加させていただき、昨年は釜山のエージェントの交歓会や東区でのイベントで串本の獅子舞を披露し、東区民の皆様方に大変喜んでいただいたところであります。
 また、今現在、釜山の旅行エージェントが観光客約三十名を連れて、ストーカ方式の焼却炉と最終処分地の視察に四泊五日で来ることになっています。これは、二月中旬に釜山のエージェントから突然私に電話をいただき、視察先の紹介を依頼されました。ただいま、環境生活部でお世話をいただいているところでございます。
 旅行日程を見てみますと、大阪で焼却炉等の視察を行った後、京都、奈良、大阪等の観光を行いますが、白浜、串本、勝浦も旅行の日程に無理に入れていただいております。これは、これまでの釜山とのエージェントとインバウンド協会の方々との交流の積み重ねによるものであり、セールスの大切さを痛感したところでございます。
 木村知事は、一月の末から先月の初めにかけて一週間にわたって、関西国際空港の利用促進を呼びかけようと、関空会社社長らとともに、団長となって関空のトップセールスに、トルコやUAE、カタールなど、中近東に訪問されました。また、有田ミカンを初めとする和歌山のミカンのセールスにも東京や北海道を訪れて積極的に活動されているのをテレビや新聞で拝見しております。
 そのテレビや新聞では、ラムサール条約の登録前に木村知事が串本の海岸でスキューバダイビングを初めて体験した模様が大きく紹介され、テレビのインタビューを通じて積極的にPRされ、効果が大きく上がったのは間違いのないところであります。
 木村知事は、文字どおり体を張っていろんなトップセールスに取り組んではいただいておりますが、今後も国内外からの観光客誘致に向けての知事のトップセールスが必要と考えていますが、知事に御意見をお伺いいたします。
 続いて、観光と各部局の連携についてお伺いいたします。
 知事も、今議会の所信表明で、「ほんまもん体験を活用した首都圏からの修学旅行誘致、全国規模の大会や学会などのコンベンション誘致、市町村等と一体となって進めるフィルムコミッション事業などの多様な取り組みを行い、観光面からの地域活性化を進めてまいります」と述べられており、私も全く同感であります。観光は観光局だけの施策でなく、各部局の事業等の中にも観光を取り入れてもよい施策がたくさんあるように思います。
 木村知事は、知事就任直後、先輩議員のこの議場での質問で、当時の観光課を観光部にしてはどうかとの問いに対し、観光局などを設置したところでございます。しかし、局制が導入されても、即座に大きな変化を感じないのは私だけでしょうか。観光担当の職員さんが仕事をしていないというのではありません。県の各部局が、観光という大きな目標との一体感や連携が図れていない点もあるのではないかと思われます。
 最近では、教育長の修学旅行誘致のセールス活動、商工労働部長の台湾への観光セールス等、頑張っていただき、それなりに成果も上がっているようでございますが、県庁が一丸一体となった観光立県にどう取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いいたします。
 続きまして、先般、大手ホテルチェーンの東横インが障害者用の部屋などを違法改造して、新聞やテレビで大きく批判されています。観光というものには、くつろぎやいやしといったものが前提としてあるほか、その受け入れ側にはもてなしといった心やマインドが絶対的なものとして存在しております。
 我が国の観光行政の歴史を眺めてみますと、大型旅館やホテル火災を教訓にマル適マークが設けられたり、経済発展とともに障害者対策としての車いす用のスロープづくりやエレベーターの設置などが促進されてきたところであります。
 しかしながら、このバリアフリー化はまだ十分なものではありません。例えば駅のエレベーターの設置などは、都会では大きく前進しているものの、紀南の観光地の駅ではほど遠いものがあります。また、人工透析を受けられている方が紀南地方に三泊四日や長期滞在して観光を楽しむことにも大きな問題点がございます。
 そこで、透析されている方が長期滞在できるような医療ネットワークづくりや障害者に優しい観光地づくりについて、観光立県を目指し和歌山大学に観光学部を誘致しようとする本県での現状と今後の取り組みを商工労働部長にお伺いいたします。
 平成十七年十二月に、串本沿岸地域がラムサール条約湿地登録されました。しかしながら、ラムサール条約に登録されても、地元ではどのように取り組んだらよいのかという戸惑いもあることは事実です。
 知事は、十二月議会で「今後は、登録を契機に、地元関係者との協力のもと、この恵まれた自然環境の保全に努めるとともに、観光振興による地域の活性化につなげてまいりたいと思います」と述べられています。県の職員のボランティア活動によりオニヒトデの除去や海岸の清掃活動が十七年十一月二十七日に行われるなど、保全に向けた取り組みが行われ、ラムサール効果も出ているところではあります。
 一方、環境省は、湿地の恵みを再発見するようなエコツアーを旅行会社に提案するなど、湿地の価値を再確認する機会にしようとしていますが、世界遺産と異なり厳しい保全義務が課せられていないことから、看板倒れになりかねないとの指摘もあります。県当局はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 私は、当選直後の議会で串本町にぜひとも水産試験場の誘致をと訴え、間もなくオープンの運びとなりましたが、その際、従来のような研究面だけの施設ではなく、試験場から体験型観光を発信したり開かれた水産試験場づくりのために、訪れる人たちが楽しみながら水産について学んだり海の幸の料理体験を楽しんでもらってはと呼びかけたところ、当局の皆さん方には、くろしおふれあい講座など、いろいろなアイデアを出していただいたところであります。
 私の住む串本やその周辺には、イセエビやアワビを初めとする豊富な魚介類などの水産物があります。また、古座地方にはヒトハメやアオノリと呼ばれるこの地方特産の海草や、紀南にはセと呼ばれる亀の手の格好をした珍しい海の幸もあり、地元では珍味として重宝がられています。
 そこで、地産地消の点も踏まえ、イセエビなどの高級な食材や魚介類をさらにおいしく味わっていただくためにも、従来の和食、日本料理だけではなく、南部の梅を初め、清水のサンショウ、北山のジャバラなどの和歌山の野菜や果物とのジョイント料理を開発する策として、フレンチやイタリアン料理を手がけている首都圏や近畿圏の有名ホテルのシェフや料理研究家らを招いての料理研究会などを開いて和歌山や紀南地方の食材の発信を行ったり、串本町が友好提携しているトルコ共和国のトルコ料理を提供するなどして、若い世代の魚を初めとする魚介類離れ現象に歯どめをかけられてはいかがなものでしょうか。
 世界遺産登録で熊野三山や熊野古道など中辺路ルートが大きく取り上げられましたが、海岸線を走る大辺路ルートは余り積極的にPRされていないのが現状であります。
 大辺路ルートは、今般、県から、少しではありますが、予算をいただきました。大辺路再生実行委員との官民協働ということで大辺路の熊野古道未整備区間の整備とのことであり、PRまではいっておりません。この大辺路やその周辺には、串本の橋杭岩を初め、すさみ八景、古座川の滝の拝や一枚岩など、すばらしい景勝地や歴史遺産が数多くあります。また、大辺路周辺の山中には数十カ所にも上るすばらしい滝がありますが、余り知られていません。
 このほか、私の出身の串本町では、地元の郷土史研究家やボランティアグループが、潮岬の高塚の森というところの中にある巨石遺跡が日本最古の太陽祭祀の場であったとして、遺跡の復元整備やその遺跡を含めた潮岬周辺の歴史や文化の語り部の育成に取り組み、観光を初めとする地域おこしに役立てようと一生懸命に頑張っております。
 このように、大辺路やまたその周辺には、いまだに知られていない名所や旧跡が数多く点在しています。県当局におかれましては、このような新たな観光スポットを地元の皆さんから調査を行い、新たな観光発信に取り組まれてはいかがでしょうか。商工労働部長にお伺いいたします。
 続きまして、高等学校の再編整備ついてお伺いいたします。
 県教育委員会では、一昨年の八月に、紀美野町の大成高校と私の住む東牟婁郡串本町にある古座高校などの統廃合を決めるとする再編計画を打ち出しました。さらに、地元などから反対意見があるなどしたため、昨年五月にはこれらを見直して、古座と大成高校などについては二年間の出願状況を踏まえた上で統廃合を決めるなどの移行期間を設けました。
 しかしながら、私の住む東牟婁郡では少子高齢化が年々進んでいるのは否めない事実であります。さらに、県は先般、行財政改革プランを発表し、職員定数を今後四年間で千九百人削減する方向で打ち出したことから、私の地元では、高校の先生が減らされ、古座高校が廃校となるのではとの不安が広がっています。
 県教委の計画では、基本的な考えとして、入学者の数が一学年四学級合わせて百六十人の募集定員に対し、その三分の二の百六人という人数が維持確保できない場合は統合するなどの四つの条件が示され、古座、大成の両校は、平成十八年度と十九年度に連続して百六人を下回れば、串本、古座高校はいずれかの校舎に、大成高校は海南高校に統合するというものであります。統廃合の対象となりつつある古座高校では、一月末の生徒数は二百七十一人で、昨年度に比べて生徒数は六十四人減少しています。
 そこでであります。先月二十八日に県立高校の募集出願が締め切られた結果、古座高校は特別入学と推薦入学の内定者合わせて三十九名を除いた一般入試定員枠の八十一名に対して三十名の出願しかなく、一般入試の出願倍率も〇・三七と低くなっています。
 県教委では定員割れについては今月末に追加募集を行うということでありますが、古座高校の場合、一連の状況から見ても、定員の三分の二を達成するのは難しいものが予想されます。串本校舎へ統合されるということになりますと、古座川町など山間僻地から通学しようとする生徒や父母らの不安は、より一層募るばかりであります。
 そこで、私は、教育委員会や学校の思いだけの統廃合は決して好ましくないとの観点から質問させていただきます。なぜならば、教育の原点は子供、生徒が中心にあるという点を大きく踏まえた上で取り組まなければなりません。生徒ができるだけ不便を感じないように勉学、スポーツ等に取り組んでいただくのが教育行政の責務であるということです。
 そこで、古座高校を残していくことについて提案させていただきます。
 串本高校の校長が古座高校の校長を兼務したり、両校の教職員が相互に授業を教えるなどして、人員の効率的な運用方法も取り入れるべきであると思います。古座高校には現在四十人の教職員が、串本高校にも四十五人が勤務していますが、これらの教職員を相互運用して効率化を図ることも必要であります。距離的にも可能じゃないかと思います。
 また、古座高校にはことし六人の非常勤講師が勤務していますが、最も授業の受け持ち時間の少ない先生で週二時間、また四時間や七時間、八時間といった状況で、串本高校でも週二時間しか受け持っていない先生もあるということです。これらの非常勤講師も、受け持ちの少ない授業では給料も少なく、相互運用方式を採用すれば給与も上がります。つまり、古座、串本それぞれの枠の中で人を運用するといった官製的な考えを見直すべき時期に来ているということであります。
 都会の学校では、生徒の成績の偏差値が下がらないようにと、大手の塾と提携して講師の派遣、運用も行われているのが昨今であります。また、両校の人員面での相互運用を図ることによって、両校の生徒間の合同授業も取り入れられたり、生徒間同士の交流もより一層図られるといったプラス効果も考えられます。
 串本校舎へ統合されるとなれば、旧古座町や古座川町などの生徒らは、古座高校から九・一キロ離れた道のりを遠回りして、毎日自転車などで串本高校まで通学しなくてはならない状況に陥ります。このような点を十二分に踏まえた上で、教育委員会の取り組みについて教育長にお伺いします。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 紀南の観光について知事のトップセールスはどうかというふうな御質問でございます。
 私が動いたから観光客がすぐふえるということはありませんが、しかしながら、やはりいろいろ活動することによってある程度観光振興に効果があるということも否めないところだろうと思います。特に近年は韓国でありますとか台湾、特に台湾は、先般、議員団として訪台されて、いろいろ成果があったようでございますが、そういうふうなところへも私自身が出向いて、そして和歌山にはこういうふうなすばらしい自然とか歴史とか、こういうものがあると。先ほどチャーター便の話もありましたが、ぜひたくさん和歌山へ来てくれるようにというふうな働きかけを行っていくことも大事だと思いますし、そしてまた近々、体を張って串本の海へ潜ろうと思っておりますが、そういうふうないろいろアクティブな形での和歌山の観光の売り込みというふうなことも大事だと思っております。
 いろんな機会をとらえて、和歌山の観光地がいかにすばらしいかということを全国、そしてまた和歌山へ来るような諸外国へも発信をしていきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 観光局を中心とした県庁の横の連携についてでございます。
 議員御提言のとおり、本県の観光振興を図るためには関係部局との連携が重要であると認識をしております。現在、世界遺産登録地域やラムサール条約に登録された串本沿岸海域地域については、関係部局とその保全と活用について十分な協議をしているところでございます。
 また、熊野川川舟下りや景観整備、シーニック・バイウェイや修学旅行誘致について関係部局との連携を図っており、水産試験場を初めとする県の施設についても観光面で活用できるものと考えられます。
 今後とも、県行政のさまざまな分野において、関係部局とより密接に連携をして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者に優しい観光地づくりについてでございますが、観光地のバリアフリー化につきましては、市町村の要望に基づき、関係部局と調整しながら観光施設整備事業に取り組んでおります。また、観光関係業者にはバリアフリー研修を実施し、昨年度は福祉保健部と共同で障害のある人へのサポート等を記載したハンドブックを作成し、関係機関に配布をしたところです。
 今月十九日には、多くのボランティアの方々の御協力により、熊野古道バリアフリーウォークを実施してまいります。民間も含めた観光施設のバリアフリー化の状況につきましても、県土整備部と連携を図りながら情報の提供に努めているところです。
 議員御指摘の透析を必要とする観光客の受け入れにつきましては、福祉保健部と連携を図りながら検討してまいります。
 次に、地元の観光資源の発掘と活用についてでございます。
 ラムサール条約に登録された串本の海を初めとする地域の観光資源の発掘と活用につきましては、従来から本県の推進するほんまもん体験の中で、漁業、自然保護、歴史文化、スポーツなど、さまざまな角度から観光資源化に取り組んできております。
 平成十八年度は自然環境学習や職業体験学習などを取り入れた修学旅行の誘致を拡大することとしており、串本沿岸海域とその周辺のさまざまな資源を積極的に活用してまいります。
 議員御提言の新しい観光スポットの発掘等につきましても、地域の皆様と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。
 そういった中で、新設成ります水産試験場を初めとする県の施設につきましても、観光面での活用が期待できるものであり、地域の皆様方の御意見も伺いながら連携を強めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 古座高校と串本高校の件を含め、昨年五月に公表いたしました県立高等学校再編整備第一期実施プログラムでは、平成十八年度及び平成十九年度の入学者の状況を見て統合するかどうかを判断することとしております。また、統合する場合は、その後の学校のあり方について、それぞれの学校の教育活動や地域の実情等勘案して検討してまいります。
 現段階では、入学者等の状況を見守りたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十番前芝雅嗣君。
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。皆さんからは、教育長から以外は皆、かなり積極的にやるという御答弁をいただいたので大変喜んでいるところではございますが、例えば水産試験場に関しても、今度は今までの試験研究だけじゃなしに、やはり知事も最初につくるときにおっしゃっておられましたが、この新しいくろしおふれあい講座とか博学コースとか、やっぱりいろいろなものを提言していただいて新しいものができるんじゃないかと、非常に期待しております。
 ところが、こういう新しいものをつくるときに、観光にもやはり関係があり、また修学旅行で使うと言えば教育委員会も関係がある。そういった中で、これは水産課から出てきた話であります。ここに観光課もみんなが入って、横の連携で、新しいことをみんなの知恵を出し合いながらやっていかないとだめだと思うんですよね。知事も今度のあれで、全国大会のコンベンションやそういう全国大会の学校をやっていくと、大会をやっていくとおっしゃっておられます。その大会にするときには、やはり観光というものを、必ずそこに一緒になって、早い段階から取り組んでいっていただきたいと。もう一人一人、各部局の人は常に観光というものを意識しながら取り組んでほしいなと。それも職員も一人一人、観光というのも頭の隅に入れていただいて、何かあると、こんなのは観光に役に立つんじゃないかと、そういうものを本当に真剣になって考えていかなくてはならない。(「わかった」と呼ぶ者あり)──早う終われということですか、それは。
 いや、本当に和歌山県、立県を目指したり観光学部を本当に誘致しようというこの和歌山県で、環境も何もかも優しい、本当にみんなが観光というものに取り組んでいけば(発言する者あり)やはりもう──忘れたったが、言うこと──雇用も初め経済効果も非常に大きいと思いますので、どうか一丸となって取り組んでいただきたいと、要望として皆さんにお願いしておきます。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十六分散会

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