平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 新年度の予算編成の時期を迎えておりますので、県当局としてどのような基本姿勢で新年度に臨もうとされておられるのか、幾つかの点についてお尋ねをし、要望も申し上げておきたいと思います。
 最初に、三位一体の改革の全体像についての評価についてお尋ねをいたします。
 政府・与党が十八年度の三位一体改革の内容について合意をし、十六年度から十八年度までの三年間にわたる改革期間が一応終わることになりました。十八年度は六千五百四十億円の国庫負担金、補助金の廃止となり、トータルしますと、所期の四兆円程度の国庫補助負担金を廃止し、三兆円の税財源移譲は達成できたことになっています。しかし、問題は、その内容が真に地方分権へとつながり、地方自治体の裁量がどれだけ広がることになったのか、また、国庫補助負担金の削減分に見合う税財源が移譲されたのかどうかです。
 十八年度の焦点となった生活保護費の国庫負担率削減は避けられましたが、小中学校教職員の人件費の国庫負担率が二分の一から三分の一に削減、国民健康保険療養費給付金の国庫負担率の縮小、児童扶養手当が四分の三から三分の一へ、児童手当が三分の二から三分の一へ削減など、地方自治体の裁量が及ばない義務的な事業内容での削減額が大きなウエートを占めているのではないかと思います。
 昭和六十年から始まりました第二臨調で、高齢者福祉や児童福祉など地方自治体への国庫補助率が八〇%から五〇%へ一斉引き下げをされたわけですが、その当時をほうふつとさせるものがあります。
 今回の三位一体の改革は、国の財政悪化を地方自治体へ転嫁することが主要な側面になっていたのではないでしょうか。また、十六年度に大幅削減された地方交付税の行方についても決着がついておりません。果たして地方側が求める一般財源の確保ができるのかどうか、その行方には目を離せないものがあります。地方分権にふさわしい地方税財源の拡充こそが望まれております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、この三年間の三位一体の改革をどのように評価されるのか。また、この三年間の三位一体の改革で、地方分権の推進や県民の暮らし、福祉の充実に向けてどのような前進があったと考えておられるのか。具体的に県民に示せるものがあれば示していただきたいと思います。
 次に、雇用対策についてお尋ねをいたします。
 ことしの十月の完全失業率は四・五%と、かつての五・四%という戦後最悪の数字からは改善されたとはいえ、地域の実情には依然として厳しいものがあります。雇用問題は、国の労働政策や、とりわけ大企業の雇用動向によって大きく左右されます。
 今日、労働力の流動化政策が進められ、派遣や下請労働、パート化など低賃金、不安定雇用がつくり出されてきているもとで、県行政が雇用問題のすべてを解決できるものではありません。しかし、県がことし七月から八月にかけて行った県民意識調査の結果では、県政に望む施策として、働く場、雇用の確保がトップになっていることからも、雇用対策については県政の重要課題であることも間違いないところです。とりわけ、若年層でのニートやフリーターの増加、失業率の高さは、少子化問題、社会保障の担い手問題や技術の継承など、社会の生産基盤の弱体化をもたらす重要な社会問題にもなっています。そういう意味からも、社会全体での取り組みが必要となっています。
 国も、ようやくフリーター二十五万人常用雇用化プランの推進を打ち出し、ジョブカフェなどによる就職支援、ハローワークでのフリーター常用就職支援、若年者トライアル雇用などを進めています。県の若年者雇用の問題については、十六年度に策定いたしました雇用創出プログラムにおいて十六年度から十九年度までに若年者の失業率を一二・三%から全国平均並みの九・五%以下にするとの目標を設定し、各種施策に取り組んでいるところであります。このプログラムでは唯一、この若年者雇用の失業率の改善を目指す、このことが指数化されているわけです。
 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 若年者雇用の取り組みはどのようにされてきたのか。若年者の失業率は改善が進んでいるのでしょうか。どのぐらいの失業率になってきているのでしょうか。また、どのような成果が見られるのでしょうか。新年度の若年者雇用対策をどのように位置づけて新年度予算編成に臨もうとされているのか。目標を示しての取り組みとなるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、災害対策についてお尋ねをいたします。
 世界各地でこれまで経験のしたことのないような災害が頻繁に起こっております。国内においても、近年、相次ぐ台風、地震などで多くの犠牲者や被害者が出ております。台風、地震は防げなくても、被害を最小限に抑えることは可能です。天災を人災にしないためにも、日ごろの備えを確実に積み上げていくことが求められています。限られた予算ではありますが、地域防災計画のハード面、ソフト面での対策を着実に進めていってもらいたいものです。
 そこで、災害対策について幾つか関係部長にお尋ねをし、要望もしておきたいと思います。
 一つは、地震防災対策アクションプログラムの課題についてです。
 本県では、東南海・南海地震など大規模災害への備えとして、地震防災対策アクションプログラムが十六年度に策定をされました。プログラムは予防対策、災害時応急対応、復旧・復興の三区分を設定し、二百二十項目の取り組むべき課題について、短期については十六年度から十七年度、中期については十六年度から十九年度、長期は二十年度以降も継続的実施と、実施期間を定めて取り組まれているところです。
 新年度は、短期の事業については取り組むべき課題は終了し、中期に取り組むべき課題については中間時点まで来ていることになるわけですが、短期の課題については今年度中にすべて終了するのでしょうか。また、新年度の取り組みについてどのように進めていこうと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 二つ目に、消火体制の確保の問題についてです。
 地震防災対策アクションプログラムでは、災害発生時に迅速適切な対策の実施として消火体制の確保が言われています。果たして大規模災害時にどこまで対応できるのか、不安な点もあります。
 プログラムでは、消防ポンプ自動車や防火水槽等の整備支援、山村・農村での防火水槽の設置の推進、消防職員及び団員の教育訓練の実施が目標を長期的に整備を進めていく課題となっていて、消防職員の確保の問題については課題とはされていません。
 消防庁は、ことし六月に、これまでの「消防力の基準」を「消防力の整備指針」と改め、各市町村はこの指針を整備目標として、地域の実情に即した具体的な整備への取り組みを要請したところです。整備指針は、消防庁舎、消防ポンプ自動車などの車両、防火水槽などの設備の配置基準や人員体制として消防職員の総数に関する事項を定め、改正前の消防力の基準と同等の要員を確保するとしています。全国集計されました二〇〇三年四月の消防職員の基準に対する全国の充足率は七五・五%となっていて、基準を満たしていない状況にあります。
 本県の消防職員の確保の状況はどうなっているのでしょうか。市町村合併や自治体職員定数の削減が進む中で、消防職員の基準を満たす配置はできているのでしょうか。基準に満たない市町村へはどのように援助をしていくのか。他府県との協定も結ばれているところですが、災害時に迅速適切な対応をするためには、自前での地域の実情に即した消火・救助活動の専門家である消防職員の指針に見合った確保が必要だと考えるところですが、実情はどうなっているのでしょうか、お答えを願います。
 三つ目に、障害者、高齢者などの要援護者の対応についてです。
 災害時に、病弱な高齢者や身体機能に障害のある人は避難することが困難ですし、避難所での生活も大変です。介護者がいても同様です。また、絶えず医師の管理が必要な病気の人もあります。阪神・淡路大震災でも新潟中越地震でも、昨年の各地の豪雨災害でも、常時援護を必要とする人の犠牲が残念ながら多くなっています。
 昨年の十二月議会で、私は災害時の要援護者の支援のあり方について早急に取りまとめるべきではないかと要請をいたしましたが、福祉保健部長は、防災情報の伝達と避難のあり方、避難所のあり方については十七年度末をめどに対策をまとめていきたいと答弁をされました。進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、どのような内容のものにしようとしているのでしょうか。
 四つ目に、木造民間住宅の耐震化の問題です。
 昨日の一般質問でも取り上げられておりますが、特定民間建築物、公共建築物、公共土木施設などのそれぞれの耐震化の取り組みが進められております。その中で、木造民間住宅の耐震化の事業があります。きのくに木造住宅耐震化促進事業として、十六年度から二十年度までの五年間の計画で二万戸の耐震診断と三千戸の耐震改修を行うとなっています。
 新年度は三年目に入るわけですが、県内には約二十三万戸の木造住宅が存在し、そのうち六〇%強の約十五万戸が昭和五十六年六月以前の建築で、震度六弱以上の揺れに対して倒壊、大破するおそれがあると言われております。
 県の改修制度だけでは賄い切れるものではありません。しかし、早急に耐震改修を進める必要があると思われます。とりわけ、自力では脱出困難な災害時要援護者の住んでいる住宅の耐震化を急ぐ必要があると思われます。
 県のこの耐震改修の制度、計画期間内に目標を達成し、さらに改修が前進できるよう関係機関に働きかけを強め、必要な制度の見直しや改善も進めていってもらいたいと思います。これは、強く要望をしておきます。
 次に、障害者自立支援法と県の対応についてお尋ねをいたします。
 この問題も既に詳細に本会議場で議論がされたところですが、できるだけ重複を避けてお尋ねをいたします。
 衆議院の解散で一たん廃案となった障害者自立支援法がさきの特別国会で成立し、新年度から施行されることになりました。県は、答弁されたように、ことし六月に県内三十六会場で意見交換会を開催、約二千人の参加者から寄せられた意見を踏まえて、障害者自立支援法に関する国への異例とも思える意見書を提出されました。
 意見書の内容は、利用者負担、障害程度の区分、支給の決定、障害福祉サービスの新体系、地域生活支援事業、自立支援型システムへの転換、難病や発達障害及び高次脳機能障害などの七節二十五項目にわたっており、その内容はいずれも障害を持った人や家族の要望を踏まえた納得できるものとなっておりました。
 障害児者の福祉施策は、障害を持つ本人や家族、支援をする人などがみずから運動を起こし、障害を持ちながらも普通に日常生活を送ることができる、そういう社会づくりを目指して必要な福祉施策を整備充実させてきたという歴史があります。それは、必要なサービスを利用することや障害にかかわる病気の治療を進めることで普通の日常生活を送ることができるということでもあります。
 これまでは、サービスを利用する際の経済的負担は、本人収入を基準として収入に応じて負担する応能負担に基づいて行われてきました。ところが、障害者自立支援法は、医療や福祉のサービス利用に原則一割の定率負担を持ち込み、入所施設や通所施設でも食費や居住費も利用者の負担とすることになっています。
 障害者自立支援法は、自立を支援するとうたいながらサービスの利用に応じて利用料を負担するというもので、障害が重いほど負担が大きくなります。低所得者には負担の軽減措置があるとはいえ、経済的負担がふえることには違いがありません。通所授産施設に通う人が、これまで本人収入に基づき無料だったものが、世帯収入となることによって一気に月額三万円が必要になる、そういう試算もされております。
 経済的負担がサービスの利用制限を招き、日常生活に支障をもたらすことになるとしたら、障害者福祉施策の後退ではないでしょうか。障害者自立支援法施行の細目にわたっては政省令にゆだねられている部分が多くあります。今後とも国への働きかけが必要となってまいります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県が六月に提出されました国への意見書、これはどのように反映されてきたのでしょうか。
 県としての今後の対応はどうするのでしょうか。国に対して働きかけをするということももちろんですが、県の施策の中で検討していくべき問題も多々あろうかと思われます。新年度予算に向けて障害者福祉施策の後退につながるようなことにならないのか。福祉サービスを必要とする人が必要なサービスを受け続けられるように、必要な対策について県としても検討していくという姿勢が求められていると思いますが、どのように考えておられるのか。
 また、県単独の補助制度として小規模作業所への補助が行われています。地域で障害を持ちながら生活する人の日中の生活の場、就労の場、生活支援の場として、みずからの力でつくり出し、活動を広げられております。県も財政的支援を行い、活動を支えているわけですが、これまでの施策を維持し、充実させていくことが求められていると思いますが、県はどのように考えているのでしょうか。
 二番目に、大きな柱として、医療制度改革についてお尋ねをいたします。
 まず、厚生労働省試案と政府・与党の医療制度改革大綱の評価と対応についてであります。
 厚生労働省がことしの十月十九日に医療制度構造改革試案を発表いたしました。国民的な合意を得るべく、議論のたたき台として国民に議論を呼びかけております。内容は、国民皆保険制度の堅持、医療費の適正化、給付と負担の透明化の三点を基本として、予防重視と医療の効率化、医療費適正化に向けた総合的な対策、都道府県単位を軸とする医療保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設、診療報酬体系のあり方など、抜本的な組みかえとも言えるようなそういう柱が用意をされ、組み立てられているわけです。
 その四十日後に、十二月一日には政府・与党が合意した十八年度医療制度改革大綱が発表され、来年の通常国会に一連の改革法案を提出するとされています。そこでは、生活習慣病など予防の目標設定と取り組み体制、都道府県医療費適正化計画の策定、都道府県単位を軸とする保険者の再編統合など、都道府県の役割が大きな位置を占めるようになっているように見受けられます。
 患者負担の関係では、三歳未満の二割負担軽減措置を就学前まで拡大、出産育児一時金を三十万円から三十五万円に引き上げなどの拡充される部分と、七十歳から七十五歳までを現行の一割負担から二割負担に、夫婦二人世帯で年収五百二十万円以上ある現役並み所得者は二割負担から三割負担に、長期療養病床では一カ月の食事代四万六千円と居住費一万円を自己負担に、人工透析患者で月収五十三万円以上の人の自己負担を一万円から二万円に、高額療養費の定額部分の引き上げなど、患者負担の引き上げが予定をされています。また、新たな医療保険制度として、七十五歳以上を対象に独立した高齢者医療制度を創設し、保険料は一人当たり年間七万円程度、財政運営は都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合とするとなっています。
 今回の改正案の特徴は、医療費を経済指標の範囲内に抑制し、医療給付の抑制を進めること、保険料や窓口自己負担の増など県民や患者負担が大きくなること、都道府県と市町村の医療保険における責任が大きくなることなど、議論を尽くすべき課題がたくさんあるように思います。
 とりわけ、高齢者の負担が大きくなるわけですが、年金が引き下げられるもとで、介護、医療、税と、新年度は負担増がメジロ押しです。国民生活基礎調査では、高齢者世帯の一五・二%は年間収入百万円未満、四二・六%が二百万円未満と、決して安定した収入を得ているわけではありません。高齢者が必要とする治療の抑制につながるのではないかと危惧がされます。
 また、厚生労働省試案が発表されたとき、都道府県に医療費抑制を競わせるなど、都道府県に求める内容について多くの自治体が異論を唱えました。国民の医療と健康保持について、国の果たすべき役割、自治体の果たすべき役割は何か、国民的議論が必要だと思うところです。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事の今回の医療制度改革についての認識はどのようなものがあるのでしょうか。また、県として医療制度改革について今後どのように対応されていくのでしょうか。
 次に、福祉医療制度についてお尋ねをいたします。
 現在、県の単独施策としての福祉医療制度として、六十七歳から六十九歳の高齢者、乳幼児(通院は三歳未満、入院については就学前まで)、重度心身障害児者医療(身体障害者手帳一、二級、三級は入院のみ、療育手帳A)、ひとり親家庭、父母のいない児童など、福祉医療制度が昭和四十八年から五十四年にかけて、県民の運動もあり、順次実施をされてきました。
 近年は、老人医療は平成十四年八月より生活保護基準を下回るような厳しい所得制限が設けられ、対象者を減らしていく方向です。乳幼児医療は逆に、年齢の引き上げや所得制限の撤廃で対象者をふやしていく方向です。重度心身医療も入院について三級が加えられ、母子医療も母子家庭から父子家庭を含むひとり親家庭へと拡大されてきました。
 福祉医療制度は、県と市町村が医療費の自己負担分を助成することにより、経済的困難さから必要な医療が受けられないという状況をなくし、県民の命と健康を守る上で重要な役割を担ってきました。また、少子化対策として、乳幼児の健やかな成長を保障するために、病気の早期発見、早期治療に資するものとして乳幼児医療制度が有効に機能していると思われます。自治体の単独施策としての福祉医療制度の充実を望むものであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 福祉医療制度についての意義、役割についてどのように考えておられるのか。
 新年度の制度設計をどのように考えておられるのでしょうか。
 精神障害者保健福祉手帳の所持者も福祉医療制度に組み込んでいくべきではないでしょうか。精神医療は障害者自立支援法に組み込まれ、現在の窓口五%負担から一〇%負担、原則一割負担へ引き上げられようといたしております。統合失調症を持ちながらも在宅で服薬を続けながら医療機関にきちんとかかって社会復帰を果たしている、そういう人もたくさんあります。自立を支援するというのなら、福祉医療の対象者として支援していくべきではないでしょうか。
 また、医療保険において乳幼児医療は、現在の三歳児未満まで二割負担を就学前まで二割負担に拡充しようという方向が打ち出されております。全国の自治体でも年齢の引き上げが進められており、県内でも就学前まで入院、通院とも実施している自治体が二けたを超えております。年齢の引き上げを求める県民の運動もあり、行政としてもこたえていくべきではないでしょうか。
 次に、高額療養費の支給についてお尋ねをいたします。
 七十歳以上の前期高齢者、老人保健加入者は、窓口一割負担となっています。収入により外来月八千円、一万二千円の負担上限額が定められていますが、窓口では一たん自己負担分を全額支払って、医療機関の発行する保険点数がわかる領収書を市町村に提出して、後日償還してもらう仕組みとなっています。窓口二割負担の人は月四万二百円で、これも償還払いとなっています。これまでにも、高齢者の高額療養費償還払い手続の簡素化を求めてきたところでもあります。低所得者に配慮した負担軽減策としても有効であると思います。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 七十歳以上の前期高齢者、老人保健加入者の医療費の自己負担分が限度額を超えた場合の高額療養費の申請と償還の実態はどのようになっているのでしょうか。十六年一月の老人保健についての調査の結果を見ますと、高額療養費支給の申請があり支給されている状況は、市町村によって五〇%に満たないところから一〇〇%実施されている自治体もありました。現在はどのようになってきているのでしょうか。
 負担の軽減を図る上から、老人医療高額療養費の支給方法、つまり一回の申請で済む方式を広げていくことが必要だと思います。また、負担限度額までを窓口で支払い、それ以上は支払う必要がないという高額療養費の受領委任払い制度というのが各市町村で取り組まれているところでございますが、この制度についても広げていくことを求めたいと思いますが、どのように考えておられるのか。
 以上お尋ねして、私の第一問といたします。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革に対する評価ですが、先般、ああいうふうな形でまとまったわけです。生活保護費の補助率のカットということにつながらなかったことはよかったと思いますけども、義務教育の方は補助率の削減というふうな形で不完全な形に終わったこと、その点は非常に残念に思っております。
 ただ、一つ言えることは、施設整備費、今まで建設国債対象でやっているものは税源移譲になじまないということでうまくいかなかった箱物に手がついたこと、それから、奨励的な補助金については各省が相当廃止という方向を出してきているということで、これを息長く運動を続けていけば、また今後につながっていくだろうというふうに思っているところです。やり方としては、各省への割り当て方式というのをとったのがこういうふうな成果につながっているのではないかと思います。
 それで、この三位一体の成果ということですが、これはなかなか──今はまだ中途段階なので、県民の人に目に見えるような形での成果というものは余り出てないんですが、幾つか例を挙げれば、例えば高等学校の奨学資金、これの貸与の基準というのが県が独自に行えるようになったので緩和をすることができたことや、それから、漁業近代化資金というのがあって、これは船をつくったりするときにお金を貸すんですけども、この補助制度がやめになったので、県がそういうふうな運営資金にも貸せるようになったということで、非常に対象の人から喜ばれているというふうなことがあります。さらには、細かい奨励補助金なんかで、申請事務で国の方へわざわざ出向いたりするようなことがなくなったというようなこと。これは小さなことですけども、ある意味では非常に重要なことじゃないかと思います。
 今回の三位一体の改革の結果は、まだはっきり細かいところまで出ておりませんので、その成果については今後わかり次第、また御報告していきたいと、このように思っております。
 次に、今度の医療制度の改革ということについての御質問ですけれども、今、少子高齢化と、そしてまた国、地方を通じて非常に財政等が悪化しているというふうな中で、この国民皆保険は、私は世界に誇るべき制度だと思います。日本人の平均寿命がこれだけ伸びてきたのも、やっぱりこの国民皆保険という仕組みというのが寄与したところが非常に大きいと思うので、これをやっぱり維持していかなければならない。ただ、今のままじゃ維持できないというふうな中から、大きな改革ということが必要ということの一環として今回大綱が示されたのではないかというふうに思っております。
 例えば、先ほど質問にもありましたように、生活習慣病対策でありますとか長期入院の是正を行ったりして医療費を適正化していくこと、さらには、県単位の高齢者医療制度を創設したり、国保なんかを広域化していくような再編、保険者の再編統合というふうなことが中心になっているわけですけども、こういうふうな、特に高齢者医療制度の創設でありますとか保険者の再編統合ということになってきますと、これは県としても非常に関係が深い事柄でございますので、今後、自治体の意見が十分反映されることが必要ですし、そしてまた、地方への単なる負担の転嫁にならないように歯どめをかけていく必要があるというふうに思っておりますので、県としてもこの問題については関心を持ちながらいろいろな形で関与していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 雇用対策についてお答えをします。
 景気は回復基調にあるものの、フリーターやニートの増加、高い離職率など、特に若者を取り巻く雇用の問題は依然として深刻なものがございます。このため、県ではジョブカフェ・わかやまを中心に、若年者の就業支援を和歌山労働局など関係機関と連携を図りながら一体的、効率的に展開しているところです。
 具体的には、就職セミナーの実施等による職業意識の向上やカウンセリング等による雇用のミスマッチの減少、また、企業との合同面談会を県下各地で開催し、多様な就業機会の提供に努めているところです。この結果、昨年度はカウンセリング事業や企業面談会などにより、約八百名を就職に結びつけることができました。そのほか、セミナー等により約千四百名の高校生等に対する就職支援を実施をしたところです。
 また、都道府県別、年代別の失業率につきましては、就業構造基本調査が五年ごとの実施でありまして、平成十四年以降の数値は公表されてございません。そこで、県内の二十歳から三十四歳の有効求人倍率を比較してみますと、平成十五年度の〇・五九倍から昨年度は〇・七七倍と改善傾向にございます。
 新年度につきましても若年者雇用対策を重点課題として位置づけ、ジョブカフェ機能の充実、ハローワークとのより一層の連携強化、就業体験の推進など、若者の多様なニーズに応じたきめ細かい支援を実施し、雇用創出プログラムに掲げた数値の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 災害対策の三点についてお答え申し上げます。
 まず、和歌山県地震防災対策アクションプログラムの課題につきましては、すべてのアクションに短期、中期、長期のいずれかの実施期間を設定し、各種の事業に取り組んでいるところであります。
 本年度は短期の最終年度となっておりまして、本年度末に最終的な進行管理を行う予定でありますが、おおむね順調に推移をしていると考えてございます。また、現時点での進捗状況等を踏まえ、中・長期のアクションはもとより、必要のある短期のアクションについても引き続き事業を実施してまいります。
 今後とも計画的な事業の推進を図るため、それぞれの施策の優先順位や整備目標等を踏まえ、予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、消火体制の確保についてでありますが、県内の消防職員の配置状況につきましては、平成十五年四月現在の調査において、消防庁が示している「消防力の基準」に照らし合わせますと、全国平均を下回っております。消防職員の定数は、これまで、「消防力の基準」をもとに、各市町村において業務の体制などを勘案し、条例で定めることになっております。議員お話しのとおり、「消防力の基準」は本年六月に「消防力の整備指針」として改正され、各市町村においてその内容等の点検が必要となっております。
 一方、自治体職員の削減が進んでいる中、県内の消防職員につきましては、本年四月現在、約千四百人が配置されており、平成十五年度からは削減されておりません。厳しい財政状況の中ではありますが、各市町村では消防職員の必要性について十分認識されているものと考えております。
 今後は、市町村に対し、新しい指針に基づき地域の実情に即した消防体制の整備を進めるよう周知するとともに、消防力向上のため、市町村や関係機関と広域化についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に要援護者への対応でありますが、まず避難所のあり方につきましては、本年三月に「避難所のあり方指針検討報告書」を作成し、市町村あてに通知したところでございます。報告書は、災害時要援護者に配慮した避難スペースの確保や食料等の配布方法など、具体的な要援護者対策を盛り込んだ内容となっております。
 今後は、市町村に対し、災害時要援護者に配慮した避難所運営マニュアルが作成されるよう助言してまいりたいと考えております。
 また、防災情報伝達と避難のあり方につきましては、本年度末までに報告書を作成したいと考えております。この内容といたしましては、視覚障害のある人や肢体不自由のある人など、障害の区分ごとに情報の取得や避難行動などにおいてどのような支援が必要か、具体的に示してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、障害者自立支援法と県の対応についての三点の御質問についてお答えを申し上げます。
 まず、議員からお話がございました意見書につきましては、県内三十六会場で開催しました意見交換会においてちょうだいした県民の皆様方の切実な声や要望を集約したものでありまして、支援が必要な方や利用者の方のサービス利用の抑制にならないようにとの考えのもと、提出をしたものでございます。
 国会審議等において、所得の低い方に対する各種軽減措置や世帯の範囲等、具体的に示されたものもございますけれども、十分でない点もあり、また今後見直しを含め検討することになっているものもございますので、今後も引き続き国に対し強く働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、障害者自立支援法施行後の今後の対応についてでございます。
 県としましては、福祉サービスや相談支援の提供体制の整備、各種の地域生活支援事業などについて積極的に支援し、法施行に伴う新体系のサービスが支援の必要な方や利用者の方に適切に実施されるよう取り組んでまいる考えでございます。また、事業主体である市町村の実施状況や実態を踏まえ、障害者が安心して適切なサービスが受けられるよう、市町村と協力して環境の整備に努めてまいる考えでございます。
 次に、県単独の施策に関する小規模作業所への支援の充実についてでございます。
 障害者自立支援法の成立に伴い、従来法律の位置づけがなかった小規模作業所がNPO法人格等を取得することによって、障害者自立支援法の中で就労継続支援事業や地域活動支援センター等の新たな事業運営が可能となります。このため、県としましては、まず、小規模作業所が円滑に法定事業に移行できるよう支援をするとともに、小規模作業所に対する運営補助につきましても維持をしてまいりたいと考えております。
 次に、医療制度改革の中での福祉医療制度についての御質問でございます。
 県単独医療費助成制度につきましては、それぞれの制度によって若干の違いはありますけれども、基本的には、医療費を助成することにより乳幼児や障害者等の健康の保持と生活の安定を図ることを目的としたものであり、福祉の向上に重要な制度であると認識をしております。しかしながら、少子高齢化の進展等に伴い年々その医療費が増加することが予想され、持続可能な制度となるよう制度全体の再構築を図る必要があります。
 一方、国の社会保障制度につきましては、議員お話がございましたとおり、今月一日に公表された医療制度改革大綱では、高齢者の患者負担の見直し、乳幼児に対する自己負担軽減の対象年齢の拡大等、具体的な見直しが検討されておりまして、また、さきに成立した障害者自立支援法では、精神障害者を含めた障害者福祉の一元化が実施されることとなっております。
 県単独医療費助成制度は、こうした国の社会保障制度とも密接に関連するものであり、議員御指摘の乳幼児や精神障害者に係る医療も含め、少子化対策の推進、障害者福祉サービスの一元化、給付と負担の公平化など、さまざまな観点から見直す必要があると考えております。いずれにしましても、国の社会保障制度の見直し議論の帰趨を踏まえまして県単独医療費助成制度を見直してまいります。
 次に、高額療養費の支給についてお答えを申し上げます。
 まず、高額療養費の支給実態でございますけれども、国民健康保険に加入している七十歳以上の被保険者の高額療養費の申請件数及び金額は、平成十六年度で十三万五千三百九十六件、約八億八千九百万円となってございます。また、高額療養費の支給率につきましては、老人保健法の適用となる七十三歳以上の支給率で把握してございますけれども、本年六月には九四・四%で、平成十六年一月と比べ一〇・三ポイント増加をしております。
 今後、高額療養費の支給率を高めるため、市町村に対し、対象となる被保険者に対する通知の徹底など指導をしてまいりたいと思っております。
 次に、国民健康保険の高額療養費の申請における負担軽減でございますけれども、被保険者の利便性の向上を図る観点から、今後、申請手続の簡素化などについて協議を行ってまいりたいと思います。
 次に、高額療養費の受領委任払い制度の拡大についてでございますけれども、高額療養費につきましては、現在のところ償還払いが原則となってございます。しかしながら、低所得者等でやむを得ない事情があり、医療機関の協力が得られる場合には受領委任払いの実施が認められており、現在、県内の三十五市町村のうち三十三市町村において実施をされてございまして、それぞれの市町村が実情に応じて要件を定めているものと認識してございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁をいただきました。
 新年度の三位一体改革の内容、まだ細目について私もよく承知してないところがあるんですが、いずれにせよ、地方分権がどのように進んできたのかということが、私、問題だと思うんですね。
 国庫負担金と国庫補助金というのは、性格が違うんで。よくごちゃまぜにされがちなんですが、国が果たすべき役割、また地方自治体が果たすべき役割、補助金がなくなって一般財源化されて、地方に税財源が移譲をされることによって国の基準よりも地域の基準で、独自の裁量で制度を柔軟に使えるという、そういう点を大いに伸ばしていく必要があるだろうと、そういうふうに思うわけなんですが、これについては今後ともということもありますので、ぜひそういう方向で頑張っていただきたいと思うんです。
 社会保障の分野をとりますと、新年度は大変な状況が予測をされます。介護保険もそうですし、障害者福祉の分野についてもそうですし、医療分野についても来年十月からということで、これから国民的な議論になろうかと思うんですが、和歌山県としても社会保障アクションプランというのをつくるんだということで作業が進められていて、この十二月議会でも議論したかったんですが、まだだということですので、新年度予算とあわせて、こういった国の社会保障制度──大きな改編がされ、県民の生活が大きく影響を受けて必要な福祉サービス、社会保障というのが受けられないと、そのことによって県民が非常に困難な立場に追いやられるということがないように地方自治体としてそこを救済していくという、それを社会保障アクションプランでぜひ組み入れていっていただきたいと思うんです。
 限られた財源で、財政厳しい中でもありますが、県民の暮らしを擁護するという立場でぜひ頑張っていただきたいということを要請いたしまして、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。

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