平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 それでは、まず初めに、食育基本法制定に伴う県の取り組みについてお尋ねいたします。
 近年、子供たちが好きなものしか食べない、朝食を抜く、御飯がわりにお菓子を食べるなどに加え、外食やレトルト食品などを食べる機会が多くなり、果物や野菜がどのようにつくられているのか、切り身で売られている魚のもとの姿がわからないなど、食に対する乱れと知識が不足しており、このままでは子供たちの健全な将来が大変心配であります。
 このような兆候は大人たちにも広がっており、生活習慣病の増加や、伝統食や地域食が衰退し、スーパーやコンビニでの全国一律の食事メニューが浸透し、自分に合った食生活や郷土食、季節感のある旬の料理といった食文化が失われつつあり、地域文化や農林水産業の衰退といった問題を引き起こしつつあります。
 このように食生活の乱れが言われて久しいわけですが、近々再開されようとしている輸入牛のBSE問題や頻発する産地偽称などにより、食品や食べることに対する国民の関心が高まってきていると感じています。
 このような状況が進行することに対して危機感を覚え、国も本年七月十五日付で食育基本法を制定・施行し、行政、国民、教育・農林漁業関係者、食品関係事業者等の責務を明確化したわけでございます。
 食育基本法では、「国民が健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむ食育を推進するため、施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする」を基本理念とし、家庭や学校における食育の推進、地域における食生活改善の取り組み、生産者と消費者の交流促進、環境と調和のとれた農林水産業の活性化、食の安全の確保などを総合的に進めていこうということであります。
 このことを受けて、県においても食育推進会議等を設置し、基本方針を定め、推進していくことになろうかと思います。県では、農林水産部、環境生活部、福祉保健部、教育委員会が食育推進に関連した施策を実施していると聞いてございますが、既に関係各部の連携方法と方針の検討が行われたことだと思います。
 そこで、まず初めに、食料生産を担当する農林水産部にお伺いいたします。
 食料の生産流通加工を所管する農林水産部では、「食べることは学ぶこと、考えよう皆と私の食の未来」という桃山町の学生が考えたスローガンを掲げ、食べ物を生産する部局として早くから食育に取り組んでおり、食に関する関係者を集めた県食育推進協議会を立ち上げ、農業分野から食育へのアプローチを行っていると聞いております。
 県民全体を対象とする食育を推進する中で特に大事なのは、子供たちの健全な育成を食の分野からいかに図るかではないでしょうか。そのためには、家庭での親の責任は当たり前のことでありますが、学校給食という分野でより安心・安全で機能性に富んで体によい食べ物を提供することが、我々、政治・行政に携わる者の責任ではないでしょうか。
 そういう意味で、農林水産部は、身近で生産され、正体がわかる食べ物を提供する重要な役割を担っていると思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、食の安全を担う環境生活部関係でありますが、御承知のとおり、国においては、大手乳業メーカーの食中毒事件やBSE問題など国民の食の安全を脅かす事件を背景に食品安全基本法の制定や食品安全委員会の設置などが進められ、国民の食の安全の確保に向けて取り組んでいるところでございます。
 一方、本県におきましては、国の動きを踏まえ、環境生活部が食の安全を担う部署として、これまで食の安全・安心、信頼確保のための基本方針やそれに基づくアクションプランを作成し、食の安全確保に取り組んでいただいているところでありますが、国や県の調査によると、残留農薬や食品添加物など食品の安全性に関して多くの方が不安を感じているとのことであります。
 このことは、食に関する知識の情報の不足、生産者との信頼関係が希薄であることなどが考えられることから、今後、食の安全確保を図ることに加え、食の安全性の観点からの食育に取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。
 次に、県民の健康づくりを担う福祉保健部にお尋ねいたします。
 和歌山県における死亡原因の六割は、生活習慣病と言われているがん、心疾患、脳血管疾患の三大疾患が占めており、中でもがんによる死亡が約三割を占めているとのことであります。また、がんによる死亡率では、平成十六年で、がん全体でワースト三位、部位別に見ても、肝がん、子宮がんが二位、肺がんが三位といった状況であります。
 このような状況の中、県民の健康づくりを考えていく上で生活習慣病対策が非常に重要であり、喫緊の課題であると考えております。生活習慣病は、日ごろの健康管理、特に適切な食生活の実践、すなわち正しい食習慣によって予防することや進行をおくらせることが可能と聞いております。つきましては、健康づくりという観点から食育をどのように推進していくのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、学校教育を担う教育委員会関係についてでございますが、学校教育では知、徳、体の調和が大切であると言いますが、これら知育、徳育、体育の基礎となるのが食育であります。
 本県では、子供たちの健全な心身の育成を図るために、安全で安心な学校給食の充実と普及を行い、学校全体でさまざまな取り組みを実施していると聞いております。また、学校給食では生産者の顔が見える地元食材の活用や郷土料理の伝承を行っているとも聞いております。
 このような学校での取り組みを家庭、地域へも広げていただき、朝食欠食、孤食、生活習慣病の低年齢化等を改善するため、学校教育法が改正され本年度から制度化された栄養教諭を任用し、食育のコーディネーターとしての活躍を期待しておりますが、教育長にお尋ねいたします。
 こうした食育について、県全体では各分野でばらばらの施策や地域での取り組みが行われており、正しい食の知識をだれにどのように伝えていくかが明確にされていないのが現状ではないでしょうか。事は人間の健康にかかわることで、非常に重要なことであり、このような一つのことが幾つもの部局に関係してくることは少ないのではないでしょうか。今回、食育基本法という法律の傘ができたということで、県が一つにまとまり、県民みんなが理解して運動を推進できる体制づくりが大変重要だと思うものであります。
 国は来年三月までに基本方針を作成する予定と聞いておりますが、国の方針は方針として、食育は大変広い範囲にわたるので、各部局が連携して本県がどのように取り組んでいくのか、この機会に知事の食育推進に対する所見と関係各部長及び教育長の取り組み方針をお伺いしたいと思います。
 次に、大型クラゲによる漁業被害対策についてお尋ねいたします。
 この大型クラゲについては、さきの九月議会での一般質問の中で玉置公良議員が少し触れられましたが、私は今回、この大型クラゲに絞って質問をさせていただきます。
 近年、水産業を取り巻く環境は大変厳しいものを感じています。全国的に見ても、水産資源の減少については久しく言われてきたところであり、ことしに入っての燃油価格上昇は漁獲量減少に伴う収入源にさらなる追い打ちとなっており、漁師の皆さん方の経営は非常に苦しいものとなっております。
 このような苦しい経営状況の中で、ことしはさらなる異変が水産関係に見られました。それは、大型クラゲの異常発生ということであります。この大型クラゲはエチゼンクラゲと言われるもので、名前のとおり、日本海側では例年夏前から見られ、余り珍しいものではありませんが、ただ、ことしはその発生量が例年になく異常に多いということであります。一説では、日本海に来遊してくる一日の量は五億個体とも言われており、その大きさは大きいもので傘径二メートル、重さ二百キロに達するものがあると言われています。
 日本海側では、このクラゲが各種網漁業に甚大な被害を及ぼしています。とりわけ定置網漁業や底びき網漁業では、入ってきたクラゲが網に張りつき、それによって水圧を受けた網が破れる、さらには、網に入っている魚がクラゲによって死んだり傷んだりすることによって価値が下がり、収入が大きく減少しているとのことであり、大きな社会問題化しています。
 ついては、八月三十一日に和歌山県で大型クラゲが確認されたとの報道があり、本県で大型クラゲによる漁業被害は発生してないのか、九月上旬、地元漁協を回って関係漁業者に話を聞いたところ、底びき網漁業では、今まで見たことのない大きなクラゲが網に入ってくる、一緒に入っていたハモは白くなって死んでいたり、マダイなど魚が弱ってしまって売り物にならない、また漁具も傷める、大きなクラゲは重く、また、刺されると皮膚に炎症を来すため除去作業に手間取り作業性が低下して困っているなどの話を聞き、操業上の対応に苦慮している現況をひしひしと感じたところであります。実際、炎症を起こしている手の甲や腕を見せていただきましたが、変色し、はれ上がっていました。
 そこで、十一月上旬、白浜町の京都大学瀬戸臨海実験所を訪問し、クラゲの生態に御造詣の深い久保田助教授から御指導をいただく中で、エチゼンクラゲに関して今後検討していく上で参考となる幾つかの知見を得ることができました。
 そのときの先生の話を二、三紹介しますと、臨海実験所ができてから約七十年経過するが、この間一度もエチゼンクラゲは確認されていない、田辺湾で捕獲したエチゼンクラゲは雄であり繁殖能力を備えていた、太平洋岸でも潮の甘い干潟域であってポリプの定着物があれば今後繁殖する可能性は十分ある、瀬戸内海を含めた海域で繁殖するとなれば、四月から五月ごろポリプから分離した幼体(エフィラ)はえさとなるプランクトンが豊富であれば七月ごろには大きな成体となって出現する可能性があるとのことであります。
 そこで、大変熱心に御指導くださいました久保田助教授を少し紹介させていただきます。
 久保田先生はベニクラゲが専門だそうですが、大変ユニークな先生で、ベニクラゲの歌を三曲も作詞作曲し、みずから歌ったCDを制作しております。ここにCDがついています。おまけに、歌詞の英訳までしています。
 題名は、「ベニクラゲ音頭」「生命…永遠に」「ぼくの名前は、ベニクラゲ」の三曲であり、ちなみに、「ベニクラゲ音頭」の歌詞を一番のみ御紹介します。歌わしてもらえばいいのですが、まだ曲を聞いておりませんので、申しわけございません。
  ぼくのなまえはベニクラゲ
  ちっちゃいちっちゃいクラゲです
  だけど僕には人にない
  特別な秘密があるんだ
  僕は僕は若返ることができるんだ
  もうだめだと思ったら
  ポリプにもどって一、二、三
  またまた人生をやり直すことができるんだ
  みんなは一度だけの人生だから
  今を大切にしておくれ
  ア、ソウレ、ベニベニ
でございます。
 売れているかどうかはわかりませんが、一枚プレゼントしていただいておりますので、御希望があればお貸しいたします。このベニクラゲは不老不死だそうですが、エチゼンクラゲは一年の寿命だと聞いております。
 久保田先生はベニクラゲを歌にしましたが、島根県ではこのエチゼンクラゲを切り身として食材に、また山形県ではアイスクリームの材料としてクラゲアイスを製品化しているとのことでありますが、中華材料としては二級品だそうです。しかし、クラゲはコラーゲンが豊富であり、美容材料として価値が高いのではということから、単なる厄介者ではなく、有効利用できることを期待するものであります。
 そして、そのエチゼンクラゲの大発生の原因についてでございますが、広島大学の上教授によりますと、魚のとり過ぎによるエチゼンクラゲのえさとなるプランクトンが増加したこと、エチゼンクラゲの発生域と推定される中国沿岸域の富栄養化によるプランクトンの増加、また地球温暖化の影響によるクラゲ繁殖期間の長期化など、いずれも人間の責任によるものではないかとの仮説を述べられています。
 また、例年では東シナ海の北の方で発生し、対馬海流に乗って日本海を北上するのが通常であるが、ことしは南の方で大量発生し、さらには黒潮が北の方へ蛇行するため、それに乗って太平洋から紀伊水道に入ってきたとの説もあります。
 このようなことを思ったとき、今回の大型クラゲによる被害は一過性のものとしてとらえるものではなく、来年もこのような事態になる可能性が十分考えられることから、関係漁業者の窮状を少しでも改善できるよう県の対応に期待するところであります。
 ついては、大型クラゲによる現在までの被害状況並びに今後の対策について農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、有田川河川整備についてでありますが、私が初当選させていただいた一昨年の九月議会、昨年の十二月議会、そして今議会と三回目の一般質問の機会をいただきましたが、毎回このことについて質問をさせていただいてまいりました。
 さて、近年の局地的な集中豪雨による被害が全国各地で相次ぐ中、あの有田川を初めとする多くの河川が決壊し、死者・行方不明者千四十六名を出した七・一八災害のことが、二川ダムができたとはいえ、いまだ脳裏に焼きついており、一たび大雨に関する警報、注意報が出るたび、川を眺め、不安を抱いている状況であります。それゆえに、沿川住民のみならず市民すべてが関心も高く、河川全体が安全で安心のできる整備を強く要望するものであります。
 そのような中、昨年十二月に有田市連合自治会より県に有田川しゅんせつ工事に関する陳情を行いました。その内容は、本来、堤防全体の早期整備を願うものでありますが、近年の国、県の財政状況をかんがみますと短期間での整備を願うことは無理な要望であるとのことから、河積を広げ流下能力の増大を図り、各堤防への負担を余りかけないための対策の一つの手段としてのしゅんせつについての陳情でありました。
 私は、先般、有田市の職員さん方とともに、河床整備の中で砂利採取が行われている熊野川の土砂採取現場や選別作業現場を視察させていただき、採取位置の設定や採取量の測量、そして、川を濁すことなく土砂を採取し運搬する方法など、担当者の方々からお話を伺い、勉強してまいりました。
 しかし、今回の質問は本格的なしゅんせつを願うものでなく、いつ発生するかわからない被害を最小限に抑える手だてとして、有田川の堆積箇所において、洪水に対し安全な流下を図るため、河積の確保が必要であると考えています。有田川の抜本的なしゅんせつにつきましては引き続き調査・検討をお願いしているところでありますが、当面の対策として現在堆積している土砂の移動等河床整正について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、不法係留船対策についてでありますが、この問題につきましては、有田川左岸安諦橋付近の環境整備をしていただくことが本来の願いであります。そのための不法係留船対策としてのマリーナ計画であり、有田市議会ではこの問題については毎回のように一般質問で取り上げられています。それだけにこの環境整備は有田市民の長年の悲願であり、この進捗状況に非常に高い関心を持ち、一日も早く実行していただくことを待ち望んでいるのであります。
 当初のマリーナの整備予定地でありました安諦橋下流左岸は、昨年一月、環境省指定の重要湿地であるとの指摘がなされ、県により春と秋の二回、環境調査が行われました。その結果、予定地周辺に我が国でも珍しい貴重な干潟底生動物が多数生息しているとの報告があり、当局としましては、施設整備による干潟への影響を考慮し、候補地の変更をせざるを得ないとの結論を出したようであります。
 現在は有田大橋下流右岸を新たな候補地として調査・検討を行っているようでありますが、一日も早く着手していただきたいと思いますが、あわせて県土整備部長にお尋ねいたします。
 最後に、今議会、私も提出者の一人となっております紀の国森づくり税に関連してお伺いいたします。
 私の住む有田市の森林率はそれほど高くありませんが、健全な森林づくりは大切であり、そこから流れ出る水は豊富な栄養分を含み、有田川を下り、紀伊水道へと流れ込み、魚などのえさとなるプランクトンを育てるなど、漁業資源の増大にも多大な恵みを与えていただいていると認識しております。そういった意味におきましても、紀の国森づくり税の成立を強く願うものであります。
 また、提案説明で県当局に要請しました四つの項目についても実現するよう、大いに期待する次第であります。
 そこで、一つ、現行の政策、予算の配分をさらに森林整備に重点化すること、二、企業の森事業を無償貸与から一歩進めて所有をしてもらうようにすること、三、わかやま森林と緑の公社の経営改善の推進に努力すること、四、木づかい社会の実現にさらに力を入れること、以上四点の要請についてどのようにお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、食育についての御質問でございますが、御質問の中にもありましたように、BSEに端を発した食の安全の問題、そしてまた、伝統の食文化というものを大事にしなければならないというふうな国民の中の動向等、このところ食の大切さということが改めて認識されるようになってきておりますし、そのために食育基本法というのができたわけであるというふうに思っております。
 こういう中で、和歌山県でも特色を生かした和歌山県らしさを生かした食育ということを推進していこうということで、例えば地元の食材を生かした給食というふうなこと、これをどんどん進めていきたいと思っています。
 例えばミカンであるとかカキであるとか、そしてまた水産製品、さらには、今、鯨を食べるということが東京なんかでもPRして大分進んできておりますが、こういうようなことをどんどんやっていく必要がありますし、さらにはこれを進めて、例えばミカンの産地だったら、ミカンの木を子供たちが植えて、そしてその世話した木になったミカンを給食で食べる、場合によっては、そのでき上がったミカンをよその和歌山のカキをつくっているような地域の子供の給食に使ってもらうようにし、逆にカキを育てたところのカキをミカンの地域の子供たちが食べる、こういうふうな形にしていけば、その地域に対する愛着というふうなのも非常に増してくると思います。そしてまた、沿岸漁業でとれた魚なんかをじかに食べるようにして、そのとっている場所なんかを子供たちが見に行くというふうなことをする、すなわち、ただ単に食べる食の安全ということだけじゃなくて、地域に対する愛着全体というふうな意味での食育ということを考えていくべきだと思いますし、和歌山県でもそういうふうな方向に沿っていろいろな施策を推進していきたい、このように思っております。
 それから、紀の国森づくり税の条例について、関連しての御質問でございますが、あの中にありました森林関係は非常に重要なことなんで、予算を重点的に使っていこうというふうな御提言、さらには企業の森──企業の森、今は無償で借りてもらっているんだけど、実は企業はそれを整備するお金を出しているから企業の森になっているんで、今すぐそんな、買うのまでお金を出しなさいということになると、せっかく進んでいる芽がしぼんでしまうおそれもあるんで、すぐにはいきませんけども、さらに活性化してくればそういうふうなことも含めて考え、さらにはこの公社の経営、これは借金の問題で今全国的に非常に大変な問題になっておりますので、こういうことについて積極的な取り組みを──私も全国の知事の中でこれは中心的なメンバーになって働きかけを行っておりますが、そういうこと。
 さらには、「木づかい社会」。これはなかなか新しい言葉でいい言葉だと思いますけども、木をいろんなところで使っていく。例えばこれから、市町村の統合が進んだわけだけど、その中で小中学校の校舎の統合なんかがあったら、それでできる学校は全部県産材でつくる。それで、少々それが高くなったら、その高くなった分は県が支援してあげる。そういうふうなぐらいの思い切った施策を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 食育基本法制定に伴う取り組みについて、まずお答えをいたします。
 これまで農林水産部におきまして県食育推進協議会を平成十六年三月に設置をいたしまして、関係団体等の連携を図りながら、和歌山の食育を考えるフォーラムの開催、あるいは「みかんで元気!キャンペーン」、また「梅干しで元気!キャンペーン」などを実施してきたところでございます。
 さらに、地域に伝わる郷土料理の講習会、あるいは農産物の収穫・加工などの農業体験等を各地域において実施するとともに、県のホームページに「和歌山食育ひろば」を開設し、県内のさまざまな取り組みや、カキ、ミカンについてその開花から収穫までの成長日記を掲載するなど、食育の推進に努めているところでございます。
 今後とも、県産農産物を活用した地産地消、あるいは消費者と生産者の交流による食への理解促進などを柱に関係部局や関係団体と連携を図りながら、安全・安心で顔の見える農産物の生産振興と一体的に取り組むことによりまして、広く食育を県民運動として展開をしてまいりたいと考えているところでございます。
 なお、議員お話しのように、食育というテーマにつきましては、さまざまな切り口あるいはさまざまな観点から幅広い取り組みが求められているところと認識をいたしてございます。こうしたことを踏まえまして、我が農林水産部が中心となりまして、より多くの方々の御意見をいただきながら食育推進計画等の策定に努め、県の総合施策として和歌山らしい個性あふれる特色ある食育といったものを展開してまいりたいと思っているところでございます。
 次に、大型クラゲ対策についてお答えいたします。
 平成十七年八月十日に紀伊水道で操業してございました小型底びき網漁船の網に大型のクラゲがかかりまして、漁具破損等の被害が発生し、八月二十九日にこれがエチゼンクラゲであることが確認されたことは、議員御発言のとおりでございます。
 日本海では以前から多数見られ、定置網などの漁業に大きな被害が出ていたところでございますが、和歌山県沿岸で確認されたのは今回が初めてということでございます。本年は例年に比べ東シナ海の南方で異常に多く見られたとの情報もあることから、これらが黒潮に乗って運ばれてきたものではないかと推測をしてございます。
 このたびのエチゼンクラゲによる漁業被害につきましては、有田地域を中心とした小型底びき網漁業で見られてございまして、漁具の破損で約四百七十万、漁獲金額では四、五千万の被害額が推計されているところでございます。
 現在のところ紀伊水道には出現をしてございませんけれども、日本海区水産研究所や、ただいま議員からお話のありました京都大学瀬戸臨海実験所などによりますと今後も大型クラゲの発生が予想されることから、その対策が必要と考えているところでございます。このため、本県沖合でのクラゲ発生情報の早期収集と迅速な提供に努めるとともに、関係漁業者の御意見も聞きながら、本県の漁業に適合した独自の漁具の改良、また開発、それからその普及といったことに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 食育基本法制定に伴う環境生活部の取り組みについてお答えを申し上げます。
 健全な食生活をはぐくむ食育を推進していくためには、食品の安全性が確保され、安心して消費できる環境の整備が重要でございます。このため県では、日常的に消費する数多くの食品と県産食品の安全性の確保のため基本的な取り組みの方向を示した基本方針を策定するとともに、その具体化を図るためのアクションプランを策定し、食品の安全性確保のため取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、衛生管理水準の向上を図るため、HACCPの考え方を取り入れた県独自の認定制度を昨年創設をいたしました。今年度中に十数社の認定を見込んでいるところでございます。この認定制度の対象業種につきましても、漬物加工業、水産加工業に加えまして、今年度新たに菓子製造業を対象としたところでございます。今後も順次、対象業種を拡大してまいることとしております。
 また、県内で製造または販売されております食品につきましては、食品衛生監視指導計画に基づき、残留農薬や食品添加物等の基準検査を実施しているところでございます。今年度は、検体数で八百十検体、検査項目で延べ一万二千五百項目を実施することとしており、食品の安全性確保に努めてまいります。
 さらに、県のホームページでありますとかシンポジウム、県政おはなし講座、タウンミーティングなどによりまして食品の安全性についての情報提供や意見交換を行い、食に関する県民の知識と理解を今後ともより一層深めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 食育基本法制定に伴う取り組みの中で、健康づくりという観点から食育をどのように推進していくのかというお尋ねについてお答えを申し上げます。
 県では元気わかやま行動計画に基づきまして県民の健康づくりに取り組んでいるところでございますけれども、議員御指摘のとおり、朝食の欠食、偏食、野菜の摂取不足など食生活の乱れや肥満者の増加などにより、生活習慣病の増加や低年齢化が進行している状況にあります。
 このたび食育基本法が制定されたことから、県内の食の関係者が一丸となって、子供からお年寄りまで広く県民に食生活の改善を促すために、家庭や地域ぐるみで取り組むことが重要と考えております。そのため、すべての年齢層を対象に県民健康栄養調査を実施し、県民の食生活や栄養の実態把握を行いますとともに、親子が一緒に食について考えられるよう食育推進ブックの作成に取り組んでいるところでございます。
 今後、これを具体的な行動に結びつけるため、各市町村や地域の食生活改善推進員などの協力を得ながら、親子料理教室や地元の食材を使った出前教室などを通じて子供からお年寄りまで幅広く食の大切さや正しい食習慣の普及啓発に努め、県民の健康づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 有田川河川整備についてお答えをいたします。
 有田川の治水機能を確保するため、現在、影響の大きい樹木の伐採等を実施しているところであります。
 御指摘の河床整正については、低水流路が蛇行し、堆積や洗掘が著しい区間については、低水護岸の整備とあわせて行う必要があると考えております。今後、効果的、効率的な治水対策を推進すべく検討してまいります。
 次に、マリーナ施設計画に係る候補地の選定につきましては、議員御指摘のとおり、有田川河口域が日本の重要湿地五百に選定されていることから、昨年、詳細な環境調査を実施し、有田川左岸側に数多くの貴重な干潟底生動物の生息を確認いたしました。このため、地元自治会を初めとする関係者で構成する有田川プレジャーボート対策等協議会において検討の結果、有田川右岸側をマリーナ建設の候補地として選定いたしました。
 現在、候補地での流下能力の検討や波浪等の影響調査を実施しているところであり、その成果を踏まえて詳細設計を実施し、マリーナ施設整備に向け、鋭意取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 食育についてお答えいたします。
 児童生徒を取り巻く生活環境が大きく変化し、食生活の多様化が進む中で、議員御指摘の朝食欠食、孤食、生活習慣病の低年齢化など、さまざまな健康問題が生じております。
 このようなことから、昨年度、県内すべての学校で食生活に関するアンケートを実施し、学校ごとの課題を明らかにするとともに、学校栄養職員を中心としてその解決に向けて取り組んでいるところであります。
 また、学校給食で地元の食材を活用することについても、県産米の一〇〇%供給やミカンの導入、鯨肉の復活など、郷土料理や和歌山の食文化の伝承にも努めているところです。
 さらに、このほど制度化された栄養教諭は、子供たちの望ましい食生活習慣を習得させるための重要な職務であると考え、その任用について検討してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 ただいま知事初め関係部長並びに教育長より前向きの御答弁をいただき、ありがとうございます。
 それでは、食育関連で二点、クラゲ対策で一点について要望させていただきます。
 まず食育関連の一点目は、教育委員会関係であります。
 今、国において、学校栄養職員を全員栄養教諭にするよう進めていると聞いています。その中で、本県で栄養教諭の任用がまだ決定されていないとのことでありますが、子供たちに正しい食生活を身につけさせるために、学校教育の中で食育を充実させる必要があると思います。そのためには栄養教諭としての活躍が期待されるところでありますのでよろしくお願いしたいと思いますが、全国では今、その栄養教諭を既に任用し、さまざまな成果を上げていると聞いておりますので、本県も栄養教諭の任用配置を進めていただきますよう強く要望いたします。
 もう一点は、食育関連全体につきましては、早急に本県の食育推進会議等を設置いただきまして和歌山モデルの食育推進基本計画を立ち上げ、実行していただきたいと思うわけでありますが、国におきましては、今、内閣府に食育推進会議を設置して、その委員には食育担当大臣、それから関係大臣、有識者二十五名で組織されているそうでございまして、その会長は内閣総理大臣であります。
 本県につきましても、それらを考慮し食育推進会議なるものを設置していただきたいと思いますし、この食育については新たに食育推進局、こういったレベルの設置を強く要望するものでございます。
 また、クラゲ対策につきましては、紀伊水道汽水域内での発生や外洋クラゲの調査や早期発見をすることによって素早く対応のできるよう、水産研究所の調査船や漁業取締船等──漁業取締船というのは違法操業を取り締まる船でありますが、違法操業もさることながら、大型クラゲもしっかりと取り締まる体制づくりを整えていただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
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