平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 私は、去る十月二十四日、二十五日に、農林水産委員会委員長の藤山将材議員に御同行いただき、農林水産部の方や印南町議ほか十一名とともに、千葉県の山武町にあります株式会社ワタミファームを視察・見学する機会を得ました。
 ワタミファームは小泉内閣の農業特区に認定され、北海道や群馬県、京都丹後などで農場を経営し、千葉農場では、大根、玉レタス、サニーレタス、カブ、ベビーリーフ、ロメインレタス、シルクレタス、フリルレタス、小松菜、白菜、キャベツ、ホウレンソウ等、三十種類以上を有機農法で生産されておられました。製品は、主に系列会社の外食産業で全国に五百店舗以上を擁するワタミ株式会社に納入し、一部は小売スーパーにも出荷しているとのことでした。株式法人が生産から販売まで一貫して行われている農業経営に対しての武内社長さんの熱意や経営に対する厳しさが、ひしひしと伝わってきました。
 御説明をいただいた後、現地の農場にも御案内をいただきました。ワタミファームは有機農法を取り入れており、国の厳しい認定基準がありますので、畑もほかの畑と隔絶した場所にあり、近隣農家とも連携して御協力いただいている等の苦労話もされておられました。有機野菜は少し高価格になるのでスーパーなどの小売店での売れ行きはどうですかとお尋ねをしたところ、有機野菜ということで安心・安全だと、かえって一般消費者の方にも御好評をいただいているとのことでした。
 かねてより、和歌山県の農業のあり方や農家の育成に対し、厳しい現状を踏まえ、何とか未来に向かって可能性を見出せないかと考えている者の一人として、とても興味深いお話で、時間のたつのも忘れ、気がつけば夕暮れが迫っておりましたので、お礼を申し上げ、帰路につきました。
 私は、六月議会でも、農家の安定した労働力の確保という観点から、海外の労働力の受け入れの可能性についての御見解を知事並びに農林水産部長に御答弁をいただきました。皆様も御承知のとおり、我が国の食糧自給率は既に四〇%に落ち込み、先進国の中でも突出して低く、大変深刻な状況になっております。また近年、世界的に異常気象が続き、いつ何どきアメリカや中国等の農作物に甚大な被害がもたらされ、我が国に対し輸出することが非常に困難な状況になったということを想定したときに、私たちの食生活はどうなってしまうのでしょうか。
 ことし、アメリカのニューオリンズにハリケーン「カトリーナ」が上陸し、石油コンビナートの基地を襲いましたが、その被害から来る原油の高騰によりガソリンや軽油、灯油等が値上がりし、我が国のあらゆる産業が大きな打撃を受けております。もし食糧において同じような状況が発生した場合、関連食品が高騰し、国民生活はパニック状態に陥ります。
 ことしの八月二十日、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、欧州連合の農政担当閣僚が農業問題を話し合う五カ国の農相会議の本会合がオーストラリアのブリスベーン郊外で行われました。日本からは前岩永農相が出席され、基調演説で、世界の食糧需給が気候変動や途上国の人口増加、中国の需要拡大で中長期的に逼迫する可能性があると指摘し、輸入に過度に依存している国は国内農業を持続的に発展させることで食糧安全保障を確保する必要があると、農業保護の必要性を強調いたしました。
 この会議の主目的は、十二月、現在行われている世界貿易機構(WTO)の新多角的貿易交渉の輸入関税の制限のあり方についての各国の議論の中で述べたものでありますが、農業が国の基礎であることや、独立国として食糧を自給する体制を保持することについての我が国の主張は当然のことであります。しかし、本当に国内の農業政策に農相が述べられた農業保護の施策が持続的に行われているのかどうかを改めて検証してみるときに来ているのではないでしょうか。
 我が国の農業就業者は人口の数%しかなく、その農業者の平均年齢も高齢化が進み、労働力の低下と不足が顕著になり、放棄された耕地が目立ち始めております。和歌山県の農業就業人口も年々減少し、反して高齢化率が高くなり、安定的に供給されなければならない良質の労働力の確保は困難な状況に早晩なることは明らかであります。(「林業も言うといてや」と呼ぶ者あり)はい、林業もそのとおりであります。こんな状況では、いずれ我が国の方から農産物の関税を取り払い、逆にお願いしなくては農産物が日本に入ってこないというジレンマにも落ち込みかねません。
 農水省は、今後十年間に食料・農業・農村基本計画を策定し、競争力の脆弱な日本の農業の効率化を図るため、補助対象農家を大規模農家で農業経営に意欲のある担い手に絞り込み、経営安定化のための補助金を所得保障として集中的に支援する政策に転換し、足腰の弱っている農家に対しても自立に向けた創意と工夫を求めていく方針を打ち出しております。
 担い手の規模は、全国に約十八万人いる認定農家の個別経営が四ヘクタール以上、北海道は十ヘクタール以上、地域の小規模農業や兼業農家が一体となって農業を営んでいる集落営農約一万は二十ヘクタール以上の設定だそうです。一見、農家を支援するような施策になっていますが、中小農家への取り組みはどうなるのか、不安も残る政策であると私は危惧するところであります。我が県には大規模農家は数少なく、ほとんどは中小農家であります。さらに、中小農家にとって昨今の農薬問題もあり、大変厳しい経営環境になってきております。
 また、小泉総理は、二〇〇三年春に、先ほど述べたワタミファームなどのように構造改革特区を設け、民間企業の農業への参入を許可いたしました。二年たったことし八月には、株式会社やNPO法人等を合わせると百四十六法人が参入しているそうです。特区地域は七十一カ所に及び、安全な作物の安定調達を目指す食品メーカーや外食産業のほか、建設会社の参入も目立つそうであります。また、本年九月より全国的に法人の農業参入が解禁になりましたが、さらに新規参入のすそ野が広がることは間違いありません。
 特区による農業参入は、農家や農業法人などに限っていた農地の賃貸を株式会社などにも認める仕組みであり、企業はリース料を支払って農地を借り、野菜や果物を栽培するという試みであります。参入は、株式会社が最も多く七十一社、有限法人が三十五社、NPO法人等が三十三社だそうです。業種別では、建設会社が四十八社と最も多く、食品メーカーと外食産業などが三十六社で続いているとのことであります。
 食品メーカーは、農薬や化学肥料をできるだけ使わない有機農作物を売り物にし、生産の履歴がわかる、顔の見える商品を消費者に直接提供することに力を入れ、さらに、品質や価格の変動が大きい輸入作物に頼らなくてもいいし、機械設備等において生産を効率化することでコスト削減の余地もあるとメリットを挙げております。また、建設会社は公共事業にかわる収益減を確保することがねらいで、遊休地を利用して特産物を生産し、地域の雇用創出と農地の有効利用に貢献できればと参入に期待を寄せているようです。
 農業の担い手が企業に広がる背景には農業就業者の減少があり、農業就業者人口は約三百六十万人と二十五年前の約半分になり、国内の農業総生産額は五兆三千億であり、GDPの一・一%にしかすぎません。しかし、世界のどこの国を探しても類を見ない四季折々の気候や豊富で良質な水資源に恵まれた我が国の農業は、経営の方法によって大いに可能性がある産業だと考えられても不思議ではありません。
 今までいろいろ述べてまいりましたが、我が和歌山県は、今後の農業と農家のあり方について、このたびの法改正に伴い、どのような農政を考え、また発展させていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
 まず木村知事に、法人が農業へ参入できるということについて、基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。また、農業に法人が参入した場合、今まで農業を支えてきた農家がどのような影響を受けるのか心配するところですが、あわせて御見解をお伺いいたします。
 今のままでは、県内で二十年後、どれだけの農家が農業を営んでいるのか大変心配しております。そこで、私は、このたびワタミファームの視察を終え、かねてから農業の三位一体化を推進していかなければならないと考えておりましたが、改めてその意を強くいたしました。三位一体とは、農業経営のマネジメントと農業技術と労働力の確保、農産物の販売促進が合理的に一体化し、ある程度の規模のもと農業経営が行われるのが理想的だと考えております。プロの農業者である担い手による効率的な農業経営で国際競争力をつけていく以外、自由化し、グローバル化する農産物の市場において生き残る道はないのではないでしょうか。
 小泉内閣の特区制度やこのたびの法改正は、硬直した日本の農業に新しい風を吹き込むものだと考えますが、現在、県内において法人参入の具体的な動きがあるのかどうか。また、今後、我が県においても法人の参入が始まるとすれば、農林水産部として県内の農家や農業法人に対してどのように指導し、株式法人やNPO法人等とよりよい関係を構築し、お互いがさらなる発展をなし遂げるにはどのような対応をお考えなのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
 現在、懸命に農業を営んでいる農家と株式法人の参入をうまく融合させ、農業立県和歌山を実現させていただくことを期待して、次の質問に入ります。
 昨日、原議員からも御質問があり、一部重複する箇所もありますが、障害者自立支援法について、今後の和歌山県の対応についてお尋ねをいたします。
 御承知のとおり、先月三十一日に、障害者福祉制度の再編に伴い、原則一割負担の導入などを柱とする障害者自立支援法が成立いたしました。障害者を施設で保護することに重点が置かれていた今日までの政策を見直し、自宅やグループホームなどで自立した生活を送れるよう支援するのが大きな目的であります。障害福祉の分野では半世紀ぶりの大改革となります。
 身体、知的、精神の障害で縦割りになっている現行制度を、市町村に実施主体を一元化し、国と都道府県に福祉に必要な費用の負担を義務づける一方、福祉サービスの利用者に対し原則一割の自己負担を求める内容になっています。全国どこでも公平にサービスを受けられるよう共通支給決定基準を設け、また就労支援も強化するとのことであります。しかし、運用に当たって、重い障害者の方や保護者の方からは大変心配されている面もあります。
 この法律のポイントとして五項目の改正が挙げられますが、まず、三障害の制度格差を解消し、市町村に実施主体を一元化し、都道府県がバックアップすること、三十三種類に分かれていた施設体系を六つの事業に再編し、あわせて地域生活支援、就労支援のための事業や重度の障害者を対象にしたサービスを創設し、利用者本位のサービスに体系を再編すること、現在、就労を理由とする施設退所者はわずか一%しかない現状を踏まえ、就労支援の抜本的強化を図ること、支援の必要度に関する客観的な尺度を導入し、審査会の意見聴取など支援決定プロセスを透明化すること、国の費用負担の責任を強化し、利用者にも応分の御負担をお願いし、安定的な財源の確保を図ることとなっております。
 以上のとおりでありますが、本当にこのたびの法改正が障害者の方に負担増になりはしないのでしょうか。自己負担の上限額は所得に応じて定率負担あるいは応益負担になり、一定のところで頭打ちになるように上限額が設定されていますが、課税世帯の方では最高で四万二百円となっており、大きな負担につながるのではないかと関係者の方から不安の声が上がっております。
 国は、社会福祉法人が提供するサービスを受ける場合は、上限額を半額にし、低所得者への配慮をしているとあります。しかし、大半の障害者は負担増となり、これからの生活に不安をお持ちであることは明らかであります。
 現在、国では内容の検討を進めていると聞いておりますが、ある方によると、将来、グループホームを希望する若い利用者では、年金収入六万六千円だけの場合は手元に二万五千円が残るのみとなり、生活用品等を購入すれば貯金はほとんどできない状況にあるとのことであります。また、グループホームに入居する場合、施設によっては、当初の敷金や家財道具の購入等で三十万程度が必要となります。また、万一の病気入院や不測の事態に備え、ある程度の貯金も必要となってまいります。このようなことを考えると、施設から地域社会に出ていくこと、自立することは大変不安があると訴えられる方もございます。
 また、ある方の場合は入所授産施設で働いており、年金六万六千円と工賃の三千円の収入を合わせて六万九千円の方と工賃が二万七千円で九万三千円の方を比べると、手元に残る金額は二万六千五百円と同額で、先ほどの就労していない方と比べても千五百円しか違わないとお聞きいたしましたが、これでは本当に働く意欲がなくなってしまうという声もあります。
 医療負担についても、施設医療受給者証が廃止され、身体障害者手帳一、二級や療育手帳Aの方は重身医療費受給者の対象であり、てんかん等は自立支援医療の対象となりますが、それに該当しない身体障害者三級以上の方や療育手帳Bで自立支援医療の対象でない方は医療負担が三割になります。医療負担三割の方のうち、住民税非課税世帯の一カ月の負担限度額は三万五千四百円とされていますが、低所得の障害者の方では、入院すると収支がマイナスになる場合もあるのではとの心配も挙げられておられます。
 グループホームの利用者についても、今後、グループホームとケアホームに分かれるため、新しいグループホームはホームヘルプを受けられないと言われており、この先、移動介護や入浴など身体介護をどうするか、不安であるという方もいらっしゃいます。
 食費の負担も、通所サービスやショートステイを利用する人、またはグループホームから通所施設に通う人の場合、食費を全額支払わなくてもいいよう、食費の三分の二を免除するということになっています。しかし、今までなかった負担に対し、通所施設や作業所では献立をやりくりし、切り詰めなくてはやっていけないのではないかと、不安の声も聞こえてまいります。
 そこで、当局は、広がる不安に対し、障害者自立支援法の運用に当たり障害者の方の生の声にどのように対応され、配慮がなされるのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 また、大改正ということもあって内容を深く理解し切れていないので不安が広がっているのではないかと思いますので、だれにでもわかりやすく理解しやすいような啓発等をどのようにしていくのかも、あわせてお伺いをいたします。
 そして、今回の改正の一番重要なテーマは、障害者の方が一般社会とどのようにかかわり、共生していくかであると考えます。今回の法改正の理念を支えるには、どうしても障害者の方の自立を支えていく体制を充実させなくては成り立ちません。それには、障害者の方の収入を得るための就職活動をしっかりサポートしていくことがより重要であり、就職先をしっかり担保し、いろんな職場で障害者の方の就労に対しさらに理解を深めていただかなくてはなりません。
 そこで、本法案が成立した今後、障害のある方の雇用対策について、どのように体制を強化し、サポートしていくのかをお尋ねいたします。現在は、それぞれの地域の職業安定所が窓口となって就職の御相談に乗っていただいているとお聞きいたしておりますが、障害のある方の就職状況を商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。
 また、障害者の方の就職相談窓口を、職業安定所と連携をとりながら、それぞれの地域のよりバリアフリーの進んだ公共的な施設にも設置し、体制の整備・充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。あわせてお伺いをいたします。
 次に、福祉作業の現場からの声ですが、現在行われている公共的な事業の分野で障害者の方にできる仕事があれば積極的に活用していただく必要があると考えますが、いかがですか。
 現在、公共的な事業の分野で障害者の方にもできる仕事に対しての就労率は、まだまだ低いのではないかと考えます。もちろん、重労働や障害の程度によってできない仕事は当然あるわけですが、できる仕事もあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。今後の対応も含めて、他の部局にも関連していると考えますが、総括して福祉保健部長にお答えをいただきたいと思います。
 公共事業そのものを直接受注させてくださいというのではなく、ある会社の受注した公共事業の中で、福祉施設や作業所、NPO法人等が窓口になって、障害者の方でもできる仕事を選別し、従事させていただく、例えば環境美化等の軽微な公共的な事業の中でお手伝いできるような仕事がないのか、今後御検討いただきたいと思います。
 法改正に当たり状況の変化に戸惑う方も多数おられると思いますので、市町村だけに対応を任せておくのではなく、しっかり障害者の方や保護者の方をサポートするため、いろいろな御相談の窓口の充実もお願いいたしたいと思います。
 また、障害者の方を現場で指導する指導員の不足も言われておりますが、今後の対応について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 そして、国の特定難病疾患の方に対しても、今回、法改正において附則及び附帯決議の中で述べられておられますが、障害者手帳の発給についても引き続き御当局の御支援をお願いいたします。
 この法案が真の障害者の自立支援につながり、安心して安全に暮らせる共生社会の実現に寄与することを心から願い、御当局の温かい御支援を重ねてお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 南海・東南海地震の発生とともに津波が押し寄せたとき、各地の海岸近くにお住まいの方の避難路の整備状況についてお伺いをいたします。
 大地震が起きたときは津波が来るので高いところに避難するということは、既によく県民に知られているところであります。我が郷土の偉大な先覚者である浜口梧陵の「稲むらの火」の話は、昨年のスマトラ沖地震の際の津波の恐ろしさと同時に、多くの人々の知るところとなりました。また、「備えあれば憂いなし」のことわざのとおり、ことし七月には約二万人を超える住民の方に御参加、御協力をいただき、木村知事が先頭に立って県下各地で避難訓練が行われました。
 来るべき地震や津波対策の中で、特に沿岸地域に住んでおられる方々の命と財産を守るに当たり各所で護岸の補強やテトラの設置等を推進していくことは当然でありますが、もういつ来ても不思議ではないという状況下において、優先順位を命の安全確保に置き、避難路の整備促進を重点的に、かつ早急に行わなくてはならない地域が紀南地域には多々あると思います。
 また、避難路の照明器具等について、ことし六月に県土整備部砂防課において設計コンペを行ったと伺いました。多数の応募があり、その中から優秀な作品を取り上げ、モデル的に施工する試みであるとお伺いをいたしております。まさしく稲むらの火構想の現代版でありますが、私も自分自身に置きかえ、ぜひお願いしたい事項があります。
 避難路の照明設備や路面の整備が必要なことは言うまでもありませんが、避難する際、避難路に手すりが設置されているかいないかで、避難速度においても、また安心感においても各段の違いがあると考えますが、いかがでしょうか。
 我が県は大変高齢化が進んでおりますが、特に紀南地域はその傾向が顕著であり、地形も海から急に山に上がるところが多いように思います。南海・東南海地震が発生してから約五分から十分で押し寄せる大津波に対してどの道をどのようにして避難すればよいのか、まさしく避難路は命の道になるわけですから、日ごろから地域住民の皆様に啓発し、御認識をいただいておかなければならないと考えます。
 しかし、いざというときに、高齢者や障害者にとって心が焦り、なかなか思うように足が運べない等、想像するだけで息苦しくなってきます。さらに、障害者や高齢者の方を背負って避難しなくてはならない方も想定しておかねばなりません。そして、避難する場所は必ず高い場所になることは当然のことでありますが、現在の指定された避難地の手すりの設置状況をお伺いいたします。
 また、単に手すりを設置するのではなく、いろいろな付加価値やアイデアを盛り込んだ手すりを設置していただきたいと思います。例えば、設置場所も避難路の路肩に設置するのではなく、中央に設置した方が安心感は増しますし、夜間であれば手元の照明などにも気を配っていただきたいし、工夫を凝らした手すりの設置をぜひお願いいたしたいと思います。
 特に、夜間に地震が起こったときを想定して照明に対して配慮が必要となることは言うまでもありませんが、頭上から照らすよりフットライトなども取り入れた方が有効であると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、毎日その避難路を発光ダイオードを利用した照明等で照らしておくことは地域住民の避難に対する啓発にもつながり、実はこのことが一番重要であり、まさしく「稲むらの火」になるのではないかと考えます。関係市町村でモデル的な避難路の手すりの設置状況はどうなのか。また、今後の避難路の設置に対して手すりの素材に紀州材を積極的に活用するため市町村と一緒になって御検討いただきたいと考えますが、あわせて危機管理監にお伺いをいたします。
 最後に、フリーゲージトレインの現況についてお尋ねいたします。
 フリーゲージトレインは、御承知のとおり、狭い軌道の在来線から軌道の広い新幹線への直接乗り入れできる電車であります。一九九四年、運輸技術審議会の答申で軌間可変台車の開発が重要と提言され、一九九四年から三年間、基礎技術開発で試作を行い、一九九七年から試験車両の製作を開始、国内での狭い軌道予備走行試験により最高速度百キロまで性能が確認されました。一九九九年度から二年間、アメリカのプエブロ試験線で高速走行試験や耐久性確認試験を行い、最高速度二百四十六キロを記録いたしました。二〇〇一年度以降、国内で狭軌走行試験と軌間変換試験を行い、在来線最高速度百三十キロを達成いたしました。今後、技術開発を進めながら、新八代地区を中心に走行試験を行う計画だとお聞きいたしております。利点は、言うまでもなく、新幹線へ直接乗り入れるため、乗りかえ時間の短縮や心理的不便さの解消やミニ新幹線の導入よりも工事費等で大幅なコストダウンが可能なことであります。
 かねてから二階俊博経済産業大臣は、東北新幹線に直通運転をしているミニ新幹線を紀勢線にも導入できないかと考え、訴えてこられました。私は当時、二階俊博代議士の秘書をしておりましたが、私たちの暮らす紀伊半島は国土の中央軸から外れているため、フル規格の新幹線を導入することは困難な状況でありました。
 しかし、紀伊半島の高速交通体系の整備は、産業の面でも、観光の面でも重要な課題であります。特に紀勢線の高速化は県内のビジネスマンや観光産業にとって最大の課題でありますし、オーシャンアロー号の導入に伴い線形の改良や新大阪駅への直接乗り入れ等が実現し、随分時間短縮し、利便性も向上いたしました。
 また、昨年は紀伊山地の霊場と参詣道が、木村知事を初め関係各位の御尽力の結果、世界遺産に登録されるという快挙をなし遂げ、観光立県和歌山として、日本はもとより世界の人々からも注目を浴びることとなりました。関西空港の二期工事も完成に向かって邁進いたしております。また、和歌山大学においては、観光学部を設置するため、学長を先頭に一丸となって取り組み、日本の国立大学初の観光学部の設置に全力投球で頑張っていただいております。
 そんな状況の中で、大都市へのビジネスマンの交通手段として、また他府県からお越しになる観光客の利便性向上にフリーゲージトレインの果たす期待と役割は大変大きいと考えますが、いかがでしょうか。フリーゲージトレインの本県への導入の可能性と今後の対応について、木村知事にお伺いをいたします。また、フリーゲージトレインの導入について他の都道府県の動向はどのようになっているのか企画部長にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの農業への法人参入の御質問ですけども、非常に感心をして、賛同するところがたくさんありました。和歌山県でも農業が中心なんですけれども、高齢化が非常な勢いで進んでいること、そしてまた耕作放棄地が非常にふえているというふうな問題があって、何とか新しい担い手による新しい農業、しかも、それが現在農業をやっている人とバッティングしないというふうな形のものを考えていかなければならないという非常に大事な時期に来ているわけです。
 そういう中で、新しい担い手に和歌山へ来てもらうべく農業をやってみようプログラムというのをつくって都会の人が和歌山で農業をする手助けをしたり、ことしからはこれをさらに進めたような形で鄙の里塾というのを進めて、これは非常に全国的にも注目されるようになってきています。
 そしてまた、こういう形で来た人たちを労働力としてというか働き手として、担い手として、それの受け皿となって農業をやるというふうなものとしての法人──株式会社になるか、もしくは農協なんかが絡んだような農業法人になるか、これはいろいろ形態はあると思いますけども、そういうものをつくって、和歌山県の農業──これは稲作中心じゃなくて、果樹とか花卉とか、そういうようなものが中心で、ちょっと特殊性があるんですけども、そういうものに合ったような形での新しい農業形態というものを模索していく時期に来ているというふうに思っています。この問題については来年度の施策の中でも中心的なものとして進めていきたい、このように考えているところです。
 次に、フリーゲージトレインですけども、これから和歌山県は観光立県というふうなことになってくると、例えば熊野古道へ行くにしても、車で来る人もいるわけだけども、鉄道で来るというふうな人がやっぱり多いというふうな中で、今の状況が満足すべきものでないことは、もうはっきりしているわけです。
 そういうふうな中で、今検討が進んでいるフリーゲージトレイン、これが和歌山県へ導入されることになれば、この紀伊半島に対するイメージというものも大きく変わってくるというふうな可能性があると思いますので、大分いろいろ実験なんかも進んできているんで、県としても積極的に前向きな対応をしていきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) まず、県内における法人参入の動きでございますが、株式会社等の法人が農地を借り受けまして農業を始めた、参入したという事例は、ただいまのところございません。しかしながら、県外企業からの問い合わせでありますとか、県内建設業者からの相談等は受けておるところでございます。
 次に、法人の参入に際しましては、その企業の持つ経営手腕でありますとか販売戦略等と地域農家の持つ技術あるいは経験といったものが互いに生かされ、地域農業の発展につながっていくことが大切であるというふうに考えてございます。
 県といたしましては、農業への参入を希望される法人の意向も踏まえ、市町村や農業団体等と連携しながら、当該法人と地域農家とのよりよい関係が構築され、また持続されるよう積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害者自立支援法施行に関する御質問にお答え申し上げます。
 まず、障害者自立支援法運用に当たっての対応についてでございますが、障害者自立支援法は来年四月一日から施行されることになってございますけれども、議員の御質問にもございましたように、利用者や保護者の方々の新たな負担などに対する御心配、不安の声、そうした方々のお気持ちは十分認識をしているところでございます。県としましては、法案が示されましたこの四月から五月にかけて、県内三十六カ所で開催しました意見交換会におきまして利用者や保護者の方々の生の声をお聞かせいただき、六月にはその声を反映すべく国に要望してまいったところでございます。
 今回の制度は、非常に複雑で、わかりにくい一面がございます。一般的な制度の説明だけでは不十分であると考えてございます。そのため、利用者の方の置かれている状況もさまざまでありますので、その人、その人に合った具体的な説明が必要であると考えてございます。
 県としましては、利用者や保護者の方々に対して、こうした観点に立った、きめ細やかで具体的な説明や相談ができるよう、事業主体となる市町村に対する説明会を初め、機会あるごとに説明、周知を積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
 また、啓発につきましても、この法律における各種制度について、さまざまな手法を取り入れて、利用者の視点に立った具体的でわかりやすいパンフレットの作成や県のホームページへの掲載などに取り組んでまいりたいと考えてございます。市町村に対しましても同様の観点で、利用者の方々に対して十分に周知するよう指導してまいる所存でございます。
 次に、公共的な事業分野での就労支援についてでございますけれども、県での取り組みを私の方から総括してお答えを申し上げます。
 まず、本年四月に「物品等の調達における障害者雇用促進企業等に対する優遇措置の実施に関する要綱」を制定しまして、物品調達に際し、障害者雇用に積極的に取り組む企業を追加して指名・選定することや、授産施設等が供給できる物品は優先的に調達できるよう、優遇措置を講じているところでございます。
 また、県建設工事の入札参加企業の評価にも障害者雇用の項目を平成十八年度から設ける予定にしてございます。また、授産施設等で製作される物品や提供できる役務等を掲載しましたカタログ「Only One」を作成しておりまして、庁内各課室を初め市町村、関係機関に配布して活用を周知したところでございます。
 このほか、障害者の職域の拡大や就労を支援するため、今年度から県庁や民間企業で──現在、県庁で五名の方、民間企業で十二名の方が職場体験実習をされております。そういうことや、知的障害者を対象としたホームヘルパー養成研修などを実施してございまして、今後、福祉施設や民間企業での雇用が期待できるものと考えております。今後とも引き続き、障害のある方々の就労支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、施設の現場で支援を行う生活支援員や作業指導員などの不足についての御質問でございます。
 直接支援に携わる人員につきましては、施設指定基準におきまして、施設の入所者数に応じて、最低限置くべき人員に加えまして、障害程度区分に応じた適切な対応を図るための必要な人員を配置しなければならないとされているところでございます。このため、県では、施設の指導監査において、施設利用者に対して適切な支援を行うために必要となる人員を確保するよう指導を行っているところでございます。
 来年四月施行の障害者自立支援法では施設の機能や体系が大きく見直されることから、今後、施設での支援体制に影響が出ないよう、人員の配置基準について注視をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 初めに、障害者の就職状況についてでございます。
 県内の障害者雇用の現状でございますが、平成十六年六月一日現在の障害者雇用率は、民間企業で一・九四%で全国第三位の高位にございますが、未達成の企業が約半数に上ること、産業別、企業規模別で格差が存在すること、また、公的部門におきましても全体では法定雇用率を満たしていないなどの状況にあります。特に景気の長期低迷や企業の生産拠点の海外シフトなどによりまして、障害者雇用率は平成十年度以降低下傾向にあり、障害者の雇用の場の確保は重要な課題であると認識をしてございます。
 このため、県としましては、県障害者雇用促進協会を初め、関係機関と連携をした事業主等への啓発活動や委託訓練方式による職業能力の開発に取り組むとともに、NPOと協働で企業開拓やジョブサポーターの職場への派遣等により障害者の社会的自立と職場定着に努めているところでございます。
 次に、就職相談窓口の充実についてでございますが、現在、和歌山市と田辺市で開設をされています障害者就業・生活支援センターが就業及び日常生活の両面から障害者をサポートする拠点として大きな役割を果たしており、引き続きバリアフリーの視点を重視しながら、支援センターの全県下的な設置促進に取り組んでまいります。
 今後とも、和歌山労働局等と密接な連携のもと、障害者個人の特性に応じたきめ細かな施策により福祉的就労から一般就労への円滑な移行を支援してまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 防災避難路の整備についてお答え申し上げます。
 避難路への手すりや照明の設置につきましては、高齢者等の災害時要援護者の避難対策からも必要なものと考えてございます。
 災害時の避難場所や避難路の指定・整備は、基本的には市町村が行うことになっております。このため、津波等の緊急性のあるものにつきましては、現在、沿岸市町で作成が進められている津波避難計画の中で定められることから、今後、手すりや照明についても整備が進むものと考えられます。
 避難路整備に係る費用につきましては、県の地域防災体制整備支援事業による補助対象として支援しているところでございます。この制度を活用して、本年度、那智勝浦町では千人以上が避難できる避難場所の造成や避難路の整備を行い、同時に手すり、照明を設置するなどの取り組みが行われております。
 今後とも、避難路整備については、議員御指摘のようなバリアフリー的な考え方、さらには夜間の対応などにも十分留意する必要があります。また、手すり等への紀州材の利活用についても、有効なものは検討すべきと考えますので、実施協議の場を通じ、市町村に対し周知をしてまいりたいと考えてございます。
 なお、フットライトにつきましては、現地の状況によりますが、避難場所全体を照らす照明と併用するのが現実的ではないかと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) フリーゲージトレイン導入に向けての他の都道府県の動向についてでございますが、大分、愛媛、それに島根の各県が、本県同様、国に対しフリーゲージトレインの早期実用化について要望を行っているとのことでございます。
 県といたしましても、国と情報交換を続けまして、開発状況や走行試験等の推移を見守るとともに、その実用化やコスト削減について国に対し要望活動を継続してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。

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