平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十七年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十七年十二月八日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員    松   原   敏   美
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、アスベスト対策についてお伺いをいたします。
 この問題で、県においては県有施設使用状況調査や除去工事が進められ、民間建築物についても、使用状況の調査、除去費用への融資制度の創設などが行われてきたところです。公害防止条例の一部改正によって建築物の解体等においてアスベストの飛散を防ぐ措置がとられたことや、融資制度は近畿で初めてという特別融資であったことなどは評価したいというふうに思います。
 保健所における健康相談も行われてまいりました。十一月二十八日現在で二百三十八件の相談が寄せられているとお聞きしております。
 県の施設については、今議会の補正予算案で除去工事の費用も計上されているところですが、今後は、今県で調査されている民間の事業所の実態把握と対応がより一層求められると考えられます。
 知事からは、せんだって、民間建築物の使用状況調査の結果、千三十九件の報告のうち百十三件に露出した状態でのアスベストの吹きつけなどが確認されているという説明がありました。これらにどのように対応されておられるのでしょうか。その対応をお聞かせください。
 アスベストを大量に使用してきた住友金属などで働く労働者から幾つかの訴えがありました。このことを紹介し、質問を申し上げたいと思います。
 九年間アスベストを使用する職場にいたという労働者からです。溶けた鉄を入れるとりなべの下にノズルがあり、保温のためにスカート状にアスベストを巻いたりして扱っていたということであります。そして、それを手でさわっても大丈夫なくらいに冷めてからアスベストを捨てるとき、このときには非常に多くの石綿が飛び散ったという話であります。この方は、初めの三年ぐらいは市販のマスクをつけていたそうですが、その後、防じん効果のあるマスクが会社から支給されたということであります。でも、退職後、最近ではせきやたんがよく出るので、不安だとおっしゃっておりました。
 住友金属の中では、このほかにもクレーンのブレーキシューなどでも使用されてきたということもお聞きをしております。もともと鉄鋼の職場ではアスベストの使用規制が例外扱いされてきたところに問題があると指摘されているところでもあります。
 ことし七月二十日付の新聞各紙は、鉄鋼メーカーの中で、過去十年間に中皮腫で亡くなった人が十四人あったことを日本鉄鋼連盟が発表したと報じています。連盟の会長は製鉄所の配管用の代替品に切りかえていく計画を前倒しで進めていく方針を明らかにしたところでありますが、これは本当に早急に改善を進めていくことを希望するものであります。住友金属においても、事業所の責任で代替品への切りかえと労働者の健康管理について取り組まれることが最も重要だと私は考えるものです。
 住友金属などアスベストを大量に使用してきた事業所の実態把握について調査結果をお示しください。それについての指導や要請はどのようにしてこられたのでしょうか。
 さきに紹介したような健康への不安をお持ちの方は大勢いらっしゃると思います。現在働いている労働者、そして離職・退職者、さらに周辺住民を含めた対応が必要だと考えるものです。住友金属の対応について、どのように掌握されているのでしょうか。環境生活部長からお答えをいただきたいと思います。
 アスベストについては、もう一件、私どもにお話がございました。和歌山市内の方で、七十歳の女性からであります。五十年ほど前、二十歳のころに三、四カ月だけれどもアスベストを扱う仕事をしていたことを思い出し、不安になって労災病院で診察を受けました。そして、CT検査の結果、石綿肺、じん肺と診断をされました。私と同じような人がいるのではないかという不安なお話でもありましたし、私はもっと詳しいお話を聞きたいと思い、早速訪問してまいりました。
 その方は、有田の初島にある会社の中で、朝八時半ごろから午後五時ごろまで、石綿をハンマーで砕いて袋に詰める仕事をしておられたそうです。この方は、十七年ほど前に胃がんの大手術をされています。定期的に検査をしてこられたわけですが、主治医から二年ほど前、「肺が汚いな」と言われたことがあったそうです。その後、「石綿でも吸ったのか」と言われたことがあったそうですが、そう言われてみれば、短い期間だが、そんな仕事をしたということを思い出されたそうです。
 そうしているうちに、ことしの夏、新聞、テレビでアスベストによる健康被害が取り上げられる中で、不安になりました。新聞を見て、労災病院に専門の医師がいることを知って診察を受けられました。検査ではらせんCTという特殊な検査を行い、その結果、先ほど申し上げた石綿肺、じん肺の所見が認められるという診断書と同時に、これからは半年に一度必ず検査するようにと言われたそうであります。
 そして、その診断書を持って、労働災害の相談で労働局を訪れられました。しかし、勤めていたのは大手の会社の下請であったことは確かでありますけれども、その下請の会社名はもちろんのこと、雇用主も覚えていないし、従業員はわずかに二人だけだったということです。これは、ごくごく小さな作業所だったということしか覚えていないということでもありました。労働局では、この女性の訴えを聞いた中で、また診断書を見た中で、確かにアスベストを扱っていたという証明は不可能だと判断をいたしました。現行制度の適用は無理と言われて、健康管理手帳さえも申請できない現実が目の当たりにありました。この女性のことから考えれば、労災対策の枠を超えた緊急対策が求められるところになっています。
 この女性は、「十七年前の胃がんという大病は非常に精神的にもしんどかった」と。いつ再発するかという不安にさいなまれながら医療を続けてこられたわけですから、「そこからやっと立ち直ったと思ったところ、また思いがけないことになってしまった。何と運の悪いことか。そんなに言うても、五十年も何もなかったんやから、よかったと思えばいいのかもしれないけれども、いつ発病するか大変不安になってきている」と、この不安は尽きない思いを私に切々と訴えられました。
 アスベストは、潜伏期間が長いという状況の中で、その変化を医学的に把握することが、健康管理を進める上で、本人にとっても、医療側にとっても大変重要なことだと私は考えるところです。
 そこで、お尋ねをするわけですが、この女性のように、現行制度が適用されない県民の健康被害に対する救済措置を求めたいと思うのです。年二回の健康診断が必要となりました。かかる費用は医療保険適用になるのでしょうか。もし保険適用外であれば一回二万一千円の負担が必要になります。この女性は月三万円の国民年金で暮らしておられますし、こうした人への救済措置をぜひとも国に求めることは当然ではありますが、ぜひとも県としての対応を検討していただきたいと、こう願うものでありますが、いかがでしょうか。福祉保健部長の見解をお聞かせ願います。
 この女性は、「今なお大変情報が不足している。私の知りたい、そういう情報が非常に少ない」、こういうお気持ちだとも言っていらっしゃいますし、また、「私のように大変不安に思っていらっしゃる方もあるのではないか。この方々とも連絡をとり合いたいのだがな。できることは自分たちでやりたい」、こういう話もされました。
 そこで、今、政府は、来年の通常国会に健康被害の救済に関する新法を提案するとしております。先月二十九日に発表されました仮称「石綿による健康被害の救済に関する法律」案の大綱では、救済する被害者を石綿が原因と認定された特定疾患の患者とその遺族とされていますが、特定疾患の範囲は明記されていない、救済費用については国、アスベスト関連企業の負担額さえも明示されていないなど、解決すべき課題は多いと言わざるを得ません。
 和歌山県内で起こっている県民の不安にもこたえられる救済となるよう、県としても県民への十分な情報の提供と実態の把握に努めること、法律制定に対して、すべての被害者が救済されるよう政府に強い姿勢で必要な意見を上げることを求めたいと思いますが、環境生活部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、下請業者保護について、雇用と地域経済を守る観点から質問を申し上げたいと思います。
 十一月二十九日、総務省が発表した労働力調査によりますと、十月の完全失業率は四・五%となり、先月と比べて〇・三%悪化をいたしました。近畿二府四県の有効求人倍率を見ましても、和歌山は〇・七六と最低で、地域経済と県民の雇用問題の深刻さをここにあらわしています。県経済に大きな影響力を持つ県下最大の企業である住友金属の下請業者の状況について、県行政としての対応を求めるものです。
 九九年から始まった住友金属のリストラは、県民に大きな不安を広げました。当時の西口知事は、住友金属の社長と会談をし、要請文を渡されました。西口知事は「一言不満を申し上げたい」と切り出し、経営改革プランという名のリストラ計画の県への事前の説明が不十分だったと指摘した上で、関連企業の進出や新たな産業への取り組みを要請したと当時の新聞は報じています。
 当時、下請業者の間では、三〇%のコスト削減、つまり下請単価の削減ということですが、これができなければ取引停止になるという不安が広がりました。今、下請業者の皆さんからは、当時、住友金属は、取引停止というようなことは一切ないということとともに、業績が回復すれば下請単価の見直しをすると約束したのではなかったのでしょうか、その約束が守られていると言えるのでしょうか、こういう声が大きく上がっております。
 一九九九年には、関係会社、元請会社、下請企業が合わせて二百社を超えていたとされますが、今では関係・元請会社は約半数に減少、下請企業も廃業が相次ぎ、合わせて六十数社が廃業や撤退に追い込まれていると聞きます。住金に残された下請企業では、大幅な人員の削減と労働条件の切り下げが労働者に押しつけられているという訴えが多く寄せられるようになってまいりました。
 労働者と下請企業、職場の日本共産党が下請単価をもとに戻せと運動をする中で、住友金属は、生産ラインを担う作業請負は昨年来一〇%を超える単価引き上げが実行されたと聞きます。設備の保守・点検を担う工事請負においても引き上げたというのが住友金属の説明です。下請業者の声としては、現実はなかなかそうはなっていないという訴えでもあります。製鉄所の所長が二次、三次の下請にも配慮を求めたということに、この現状が示されているのではないかというふうに思います。元請のところで引き上げがあったとしても、住友金属が一〇〇%出資の関連会社を発注者とする入札制度のもとで引き上げ分が下請までは回らないというのが実態で、経営の困難は深刻だとお聞きをするところであります。以前の入札では、いい技術を持っている企業を見きわめるという意味がありましたが、今は設備保全の費用をカットするためのものになってしまっているという怒りの声が関係者から寄せられているところであります。
 保全の費用については、住友金属が経営改革プランを発表した当時、十月二十日付の「鉄鋼新聞」では、当時の製鉄所所長が、設備保全ではコストミニマムに移行する、定期的な修繕という考え方をなくしたいと述べて、コスト削減を明言してきた経過もあります。定期的な修繕は現在行われつつありますが、設備のトラブルはしばしば発生しているとも言われます。しかし、単価が低くて地元の業者はやりたがらない。これでは地元経済の活性化にも業者の育成にもマイナスだという点からも、単価の改善が必要ではないのでしょうかなどとした声が寄せられているところでもあります。
 住友金属は、十一月九日、史上最高の一千七百三十二億円の経常利益を上げてきましたし、来期も二千五百億円もの利益が見込めると発表をしています。しかも、壮大な実験だったと幹部が語る多角化事業の失敗などで一兆六千億円を超えた有利子負債も、半分以下の七千九百六十一億円にまで減らしてきたと発表したところであります。
 今、多くの経営者が、法令順守、コンプライアンスをうたうようになってまいりました。下請中小企業振興法は、親会社が守るべき事項として、下請企業に仕事を発注する際には、優越的地位を利用した不適正な単価を押しつけてはならないことなどを定めているところです。
 また、こうした状況を、マスコミでも先日、「コンプライアンス」と題するコラムが掲載されているのを見ました。朝日新聞の十月二十六日付でありますけれども、コラムニストは、「かつて経営状態が深刻だということで業者に対して単価を下げさせ、今現在そのメーカーは高水準の業績を上げているのに請負単価を戻していないとすればそれは詐欺的行為だとは思いませんか」と告発をしていますし、圧倒的な力関係をもとに下請業者に相対するメーカーの姿勢とそれに基づく契約はコンプライアンスとどうつながるのだろうかと問題提起さえしているところです。
 私は、住友金属が一九九九年当時、知事に約束した地元との共存共栄を実行することを期待するものですが、下請単価がもとに戻り、下請企業の経営の安定と労働者の家計がよくなること、そして雇用の場も広がることが今求められていると思うところです。
 一九九九年の住友金属の経営改革プラン発表直後に、県は、さきに述べましたように要請文を提出するとともに、副知事を座長とする特定企業対策連絡協議会が開かれてまいりました。その後も、住友金属等を議題にした協議会が開かれているとお聞きをしました。その会議の中で、下請業者の苦境について検討されてきたのでしょうか。下請業者の実態について、単価の問題も含めた調査をすることが必要ではないのでしょうか。商工労働部長の答弁をお伺いするものです。
 次に、測量・設計業務等業者選定ガイドラインについて質問を申し上げます。
 このガイドラインは、県工事で測量・設計の入札に参加できる業者の基準を明確にするために、ことし六月一日に基準が改正され、適用されてまいりました。ただし、県内業者については来年の六月一日までの猶予期間が設けられているところです。
 設計業務においては、国家資格である技術士と社団法人建設コンサルタンツ協会が認定したシビルコンサルティングマネージャ、RCCMという資格を持つ人が複数名必要になっています。従来は各振興局の建設部が内規で基準を持っていた状態から業務の難易度に沿った基準を設けられるということは、業者選定の透明性を高めるという意味があると考えるものです。しかし同時に、資格を持った人がいない、あるいは有資格者が一人しかいないという業者では、資格を持つ人を雇うか、勉強をして資格を取る必要があるということになります。したがって、複数の資格者を持たない小さな業者からは、仕事が減るのではないかという不安が多く出されています。もちろん、単に不安だというだけでなく、これを機会に技術力を高める努力を自分の会社でしなければならないという意欲を持った経営者の声もお聞きをしているところです。
 難易度の比較的低い、構造計算を要しない業務などでは、有資格者を求めるのではなくて実務実績を参考に選定するということになっているものの、公共事業が今縮小されているもとでは不安の声が出ることは無理からぬことだと思うところです。
 最近四年間の測量・設計の委託業務総額を、振興局建設部ごとに見てみました。那賀、有田、西牟婁の建設部と東牟婁の串本建設部では、増減はあり、ほぼ横ばいと言える一方で、海草建設部では、二〇〇四年の業務総額は二〇〇一年の五二%になります。伊都や日高でも八割前後に減少している実態を見ました。
 このガイドラインの適用は県内業者は一年間の猶予があるとはいえ、技術士もRCCMも、試験はそれぞれ十一月に年一回きりであります。有資格者を雇用するというやり方もありますが、さきに紹介したように業務量が減少しているもとで社員を減らさざるを得なくなっているのがつらいしと漏らす経営者もいらっしゃるのが現実であります。人件費をふやすことにはちゅうちょすることもあるのではないでしょうか。
 そこで、提案を申し上げたいと思いますが、一年の猶予について二年から三年程度に見直すことを検討してはいかがでしょうか。技術を身につける有資格者をふやし県内業者の水準を高める、育成することからも猶予期間の見直しが必要ではないのでしょうか。県土整備部長のお考えを聞きたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストに関する三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、民間事業所におけるアスベスト使用実態調査でありますが、本県と公害防止協定または環境保全協定を締結している住友金属工業を含む五事業所を対象に実施をいたしたところでございます。その結果、すべての事業所においてアスベストを使用しておりましたが、特に飛散性の高い吹きつけアスベストについては、既に大部分は除去されておりますが、一部について現在分析調査中でございます。また、保温剤やスレート等含有建材につきましては、順次非石綿製品への代替を進める等、アスベスト対策を講じているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、アスベストの使用が確認された場合は、除去、封じ込め等の飛散防止について適切に対応するよう指導を行うとともに、施設の解体、改修に当たっては大気汚染防止法及び県の公害防止条例に基づく作業基準の遵守について監視を行ってまいります。
 なお、民間建築物における吹きつけアスベスト等の使用状況につきましては、現時点で、御指摘のとおり百十三棟においてアスベスト含有の可能性があることを把握しております。このうち除去等の対応がなされていない九十七棟につきましては、現地へ赴くなどして吹きつけ箇所や状態の確認を行った上で、適正な保全管理や除去等の必要な措置を促すなどの指導を行っているところでございます。
 次に、労働者等の健康不安についての御質問でございますが、県といたしましては、既にアスベスト対策について、健康相談窓口の設置、ホームページの作成、啓発パンフレットの配布、広報紙での周知等を図っているところでございます。
 なお、住友金属工業に確認をいたしましたところ、過去にアスベストを使用していた退職者から問い合わせがあった場合等には健康診断を実施するようにしている、また、現従業員につきましては定期健康診断等アスベストの取り扱い状況の有無も確認し、診断をしている、この結果、現在のところ労災認定の対象になるような健康被害はないと聞いております。また、現在のところ周辺地域への影響はないと考えており、周辺住民から当社影響によるアスベストに関する被害の情報は現時点ではないとも聞いております。
 しかしながら、県といたしましては、石綿等を取り扱っている事業場の労働者及び周辺住民の健康障害につきまして広く社会問題となっていることを踏まえまして、新たな健康障害の発生防止や不安の解消を図るため、県と和歌山労働局との労働関係調整会議を活用するなど、国と県の連携を強化し、相互に情報提供を行いながら今後とも適切に取り組んでまいります。
 次に、健康被害の救済に関する新法に関する御質問でございますが、議員御指摘のとおり、石綿による健康被害の救済に関する法律につきましては、現在、大綱が決定され、救済経費等の調整がなされている段階でございます。国が示しました健康被害の救済に関する基本的枠組みの中では、被害者をすき間なく救済する仕組みを構築するため、対象者につきましても、労災補償の対象者以外の者で、石綿を原因とする中皮腫、肺がんに罹患した者及びその遺族であれば幅広く救済できると聞いております。
 また、全国知事会では、去る十月の二十七日、健康被害等に関する事項といたしまして、健康被害者への治療等を早急に実施するため、健康被害が懸念される周辺住民等に対する健診、医療費補助等の必要な措置を講じることを盛り込んだ「アスベスト対策の強化に関する緊急提言」を国に対し要請を行ったところでございます。県といたしましても、情報の収集や実態の把握に努めながら、法律の動向を注視し、機会あるごとに国に対しまして必要な意見を申し上げてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) アスベスト対策の、現行の救済制度が適用されない健康被害者への対応についてでございますけれども、先ほど環境生活部長から答弁がございましたけれども、現在、国において、仮称ですが、石綿による健康被害の救済に関する法律の検討がなされてございまして、この枠組みの中で国の責任のもとに救済がなされるものと認識をしてございます。
 また、議員からお話がございました方のように、精密検査の結果、異常が認められる方の経過観察のために行われる検査につきましては、医療保険の対象となると考えてございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 住友金属の下請企業の実態調査をという御質問にお答えいたします。
 長引く不況の中で、住友金属は下請関連企業の協力を得ながら経営刷新を図り、高炉の更新などの大型投資計画、新規高卒者の採用再開など、ようやく業況も改善の方向に向かいつつあります。このような経営環境を反映して、住友金属におきましても、下請関連企業の健全な発展と良好な連携ができるよう、実勢に応じた作業請負単価の引き上げ等に努力をしているというふうに聞いてございます。
 議員御質問の特定企業対策連絡協議会においては、平成十四年に住友金属が中期経営計画を公表した際に下請事業者等の経営安定について要請をしてきたところです。現時点では、民間取引の実態を把握することは想定をしておりませんが、住友金属とは定期的な情報交換の場を設定しており、今後とも適宜適切に意見交換などを実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 測量・設計等業者のガイドラインについてお尋ねがありました。
 公共施設の設計は、長期にわたる安全性など、品質確保の点から非常に重要なものであります。また、本年四月に施行された公共工事の品質確保の促進に関する法律で、「公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない」と定められました。このため、すぐれた技術力を有する測量・設計業者の透明性ある選定が喫緊の課題となっており、和歌山県県土整備部測量及び設計業務等業者選定基準を本年六月に策定し、施行いたしました。しかしながら、県内企業に配慮し、この基準の猶予期間を一年間としたところであります。
 なお、猶予期間後は、年度途中でも新たな資格取得者や資格保有者の雇用があれば随時申請を受け付けるようにしております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですが、アスベストの問題については、今、法律に向けて論議が交わされていますけども、しかし、その中身そのものがまだ明快に示されていないという部分では不透明なところがあるわけです。しかし、現実的には、労災適用される人たちは──この人たちもなかなか労災認定をされないというような実態、その上に健康管理手帳というのも非常にわずかな人しか支給されていないという状況ですから、国の制度そのものも、大きく労災認定の部分では見直さなくちゃいけないというところもあると思うんです。
 しかし、労災認定から、それに該当しないような人たちを今度はすくい上げるということになっているわけですけども、これは今、私が一事例を申し上げましたけれども、しかし、やっぱりこういう人たちが──私も初めてなんですね、こういう事例が訴えられてきたというのは。恐らく県行政の中には、そういう事例も訴えられてないんじゃないかというふうに思うわけです。非常に長い間の潜伏期を要するあれですから、まさかこういう事態になるとは夢にも思わなかったというのが実感だと思うんですよね。
 それで、やっぱり国の制度、全面使用禁止をしなかったところに最大の原因があるわけですけれども、しかし、そうした適切な代替品がないということでその使用をいつまででも続けさせてきた、続けてきたという使用者側にもやはり責任があるというふうに思うわけです。そういう点でも、やはり使用した企業、そういうところと国に最大の責任は求めていかなくちゃいけないというふうに思っていますし、全国知事会でもそのことはきちっと指摘をしているわけですね。
 しかし、やっぱり本当にこういった人たちが救われるのかどうかというところは、「すき間のない」というふうに知事たちがおっしゃっているわけですけど、まさにそのとおりだと思いますし、一人でもこういう事態の人を取り残してはならないというふうに思いますので、国に対する強い要望活動を担当課なり、あるいは県としての働きかけを、今、法案が論議されている最中ですから、そこへ意見を積極的に求めてほしいというふうに思います。
 恐らく全国知事会は同じような思いでやられたというふうに思いますけども、木村知事も和歌山県にこんな人がいるというのは、恐らく知らんかったと思うんですよね。そういう点では、全国の皆さん方と一緒に適切にやられたというふうに思うわけです。ですから、ぜひこの一人の人をやっぱりすくい上げるということが何よりも大事なことだと思いますので、積極的な国への働きかけを何らかの形でやっていただきたいというふうに思います。これは要望にしておきたいというふうに思います。
 それから、住友金属を退職された方々。これは住友金属もそれなりに努力をされてきているというふうには思っているわけですけれども、住友金属だけではなく、県が公害協定を結んだり環境協定を結んだりしている企業の調査をされたというふうには、ここにいただいているわけですけども。しかし、住友金属だけではなく、きょうは、住友金属の労働者から強い訴えがありましたので、あえて住友金属という名前を出しましたけれども、しかし、そのほかにもあります協定を結んでいる企業に対しても、全部その企業は石綿を使っているわけですから、それと、この方のように、その企業の中でもろに仕事をしていたという訴えがあるわけですから、そういう部分では、こうした企業に対してはもっと厳しい姿勢で臨むべきだというふうに思います。
 とりわけ、退職していった人たちに対して、そういう相談があればというような消極的な姿勢ではだめだと思うんです。言ってこられなかったら放置するんだということではなくて、厳然として今まで使ってきていた部分に対して、そこで働いた労働者、過去であろうと、最もたくさん使っていた時分にそこで会社の維持経営を守るために頑張ってきた労働者、下請業者、そういうところに責任はあると思うんです。
 そういう点で、「来た分に対しては対応するよ。言うてこんもんは知らんわ」というような、そういう企業の社会的責任ではないというふうに思うんです。あえて社会問題化しているこの事態に、そういう受け身的な姿勢ではなくて、会社の責任をもって積極的に通知をするなり──どこでどういうふうに使ってたという職場はもう明確にわかるわけですからね、企業にとっては。そういう部分での職場や作業員に対して、あえてやっぱり通知をすると。そして、地域住民の人たちには、「ありませんよ」というような無責任な態度ではなくて、地域の人たちにもそういった問題を、会社として少なくとも地域については、公害をずっと我慢してきたところについては、あえて会社の方から通知をする、お知らせをするということぐらいの姿勢があっても当然だと思うんです。
 その点について、「県はどないですか」と聞いて「やってまっせ」ということで、我々に、県民にそういう答弁をするというのは余りにも企業に対して積極性がないんじゃないですか。こういう点で、もう一回、環境生活部長、こうした企業に対する姿勢を貫くことを求めたいと思うんですが、いかがですか。御答弁願いたいと思います。
 それから二つ目は、この下請の単価の引き上げの問題です。もう細かくは申しませんけれども、やっぱり作業ラインに入っているところの下請については単価が一〇%引き上げられたというふうに私どもも聞いております。しかし、点検・保守や修繕、そういったものについては上がっていないというのが下請や孫請の人たちの声なんですよ。恐らく中間で、言葉は悪いですが、ピンはねされているところがあるんではないかというようなことも伺いますし、特にこの所長が、二次、三次の人たちにも引き上げた分が加算されるようにということを二回も訓辞をしているわけですよ。だから、そういった点が本当にここに反映されているのかどうかということも大きな問題だと思うんです。そういう点で、それらが本当に実施されているのかどうかという問題があります。ここまで突っ込めるかどうかというのはわかりませんけれども、しかし、声は現実に上がっているわけですから、限界はあったとしても、訴えをちゃんと伝えるということは大事なことだと思います。
 中小企業、下請、孫請の人たちというのは、和歌山県の経済の底支えの部分でしょう。その人たちが元気にならなければ和歌山県の経済活性化というのはあり得ないことですよ。そういう点でも、やっぱりしっかりと県行政が企業に物言うときには──この会議があると言いますけれども、そして定期的に懇談をやったり意見交換をしているとおっしゃいますけれども、下請の人たちの実態を知らないで意見交換をするなんていうのは、何をやっているのかということですよ。
 ただ住友金属だけの下請を調査しなさいと言ってることではないんですよ。県下で下請の事業をやっている人たちというのはたくさんあるわけですから、その人たちにだって、恐らく全体的には単価の引き下げがあると思うんです。でも、それを我慢し我慢ししながらやってきているんでしょう。景気が悪いと言えば「もうしゃあないな」と言うて、うんと我慢しながら、自分ところの身銭を切ったり、あるいは職員を首切ったりしながらやってきたじゃないですか。この下支えの人たちをどうやって行政が救うのか、企業に対してもしっかりとした物を言うのかと。実態調査ぐらいは全県下の中でやれるじゃないですか。それをもって、実態を知らないで何で意見交換や情報交換できるんですか。そのことに対して私は今、行政の姿勢としては何という姿勢だということを言わざるを得ないんですが、もう一回、商工労働部長、実態把握の面で、全県下のそういう中小零細業者の今の苦境について調査することは考えていませんか。そのことについて、もう一回答弁してください。
 それから、土木部長。和歌山県の技術、県内事業者の技術や水準を引き上げていく、品質管理をさらに一層進めていくということで基準がつくられて結構なことだと思うんです。しかし、やっぱりもっといい仕事をしたい、資格も取りたいと、こう思っている人たちがたくさんいらっしゃると思うんですよ。そういった人たちが、年に一回の試験制度の中で、今この基準が定められた時点で、一年ぽっきりで本当にそうなるのかどうか。もっと猶予期間が一年ないし二年あってもおかしくないんじゃないかというのが業者の皆さん方の声なんですよ。
 それで、いつでも登録そのものはやりますよとおっしゃいますけれども、しかし、それ以前に、したいと思っている人たちがこの猶予期間の中で本当に頑張っていこうという意欲を持たせるような配慮がもうひとつ必要じゃないかというふうに思うわけですけれども、これは頑として動かんようですから、ぜひこういう県内業者の技術水準を引き上げていく、技術者を高めるための配慮をお願いしたいというふうに要望しておきます。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 再質問にお答えをいたします。
 議員御指摘の県が公害防止協定等を締結している事業所につきましては、いずれも和歌山県における経済的、社会的に大変影響力のある大きな企業でございます。そのためにも、社会的な責任あるいは使命というものは大きなものというふうに考えております。県といたしましても、今後さらなる実態把握に努めまして、適切に対応をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 再質問にお答えをいたします。
 結論から申し上げて、現段階で下請企業の実態調査をする考えはございません。ただ、先ほどもお話がございましたが、県内に事業所を有する大手企業につきましては、住友金属を含めまして定期的な情報交換の場を持ってございますので、その場の中で、下請関連企業が健全な伸展が図れるように適切なお話をしてまいりたいと、そういうふうに考えてございます。
 また、下請企業への発注を含めまして民間企業間の取引に行政として具体的に関与するということは非常に難しい問題がございますので、そういったこともございますが、今申し上げましたように、この情報交換の場で適切なお話をしてまいりたいと、そういうふうに考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 二人とも「適切な対応をしてまいります」と言うんだけども、これはもう行政用語ですわね。逃げ道やと思うんですよ、私は。でも、具体的にどうするのかという、問題が起きているときにその「適切な対応」というのは一体行政として何を考えているのかということが明確にならないという不透明さがあると思うんです。
 だから、そういう点で見れば、本当に、先ほど申し上げましたように実態を知らずして何を情報交換するのかと。実態を知らずして適切にどうするのかという問題は、やっぱり課題として残ると思うんです。私は、そういう点では、「適切」と言えば言葉はきれいですけれども、中身のない問題だというふうに思っていますので、これについてはきちっとした姿勢をこれからとっていただきたいというふうに思うところです。
 以上は、先ほど申し上げましたように、適切というのは中身的には私が申し上げた具体的な例もありますので、そういう点も含めてぜひ検討して対処していただきたいということを要請しておきます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、御報告を一点申し上げたいと思います。
 去る十一月十九日土曜、和歌山市にございます男女共生推進センター六階大会議室にて、脳脊髄液減少症和歌山患者会並びに和歌山県福祉保健部健康局医務課の共催により、また、NPO法人鞭打ち症患者支援協会の後援による勉強会を無事盛会で終えることができました。当日までの当局の御協力に、この場をおかりいたしまして、患者会を代表し、厚く御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 当日は天候にも恵まれ、会場には医療関係者二十三名と行政関係者の方々も多数御出席いただき、本当に意義ある勉強会になったと確信をいたしております。また、患者会のメンバーも、遠くは北海道の釧路市からも駆けつけて参加されました。さらに、漫画界では有名なまつもと泉先生も神奈川県は川崎市より参加され、現在この「むち打ち症」と題した作品に取り組んでおられます。また、マスメディア関係では「いまじん」の制作部ディレクターの鈴木剛史氏ほか多くの取材者が出席される中、脳脊髄液減少症の実態について勉強会が行われました。
 勉強会冒頭、患者会を代表して和歌山市の中西さんより、「私の鞭打ち症の治療と裁判」と題して体験談発表がございました。ここで、御了解を得ましたので、当日の中西さんの原稿を少し皆さん方に御紹介を申し上げたいと思います。
 私は平成三年七月十二日、二トントラックで走行中、センターラインをオーバーして来た脇見運転の乗用車に正面衝突されました。その瞬間、首から背中にかけて電流が走ったような衝撃を受けました。救急車で病院に搬送されましたが、その時は背中に強い張りを感じた程度で、点滴を受けて楽になり、この程度なら大したことは無いと思い、タクシーで帰宅しました。
 しかし、その夜から体調が悪化し始め、翌朝には頭痛、頸の腫れ、目の奥の痛み、背中の痛みが強くなりました。すぐに角谷整形外科病院を受診し、治療を受けたのですが、症状は日に日に悪くなるばかりでした。微熱は常にあるし、自宅でもコックリコックリ寝るばかりでした。入院して、点滴、リハビリ、針治療、ホットパック、頸の牽引、マッサージなどを受け、ペインクリニックで神経ブロックを受けましたが、病状は悪くなるばかり。上半身に発作的に万力で締め付ける様な強い痛みに襲われました。左肩と首には卵大のこぶのような筋肉の固まりが出来ていました。
 毎晩、手の疼き、首の痛さで眠れず、板の間にタオルケットを敷いて、木製の圧迫器のとがった部分で首や背中を一晩中、押さえつけていました。
 リハビリ専門病院にも二カ月半入院しましたが、痛みや不快感の我慢が出来ず、入院中もスミヤ整形外科病院へ週一回神経ブロックに通いました。点滴と徹底したリハビリに取り組んだ結果、状態に少し改善が見られて退院しましたが、じきに元の木阿弥になってしまいました。
 そのような状況の中で、平塚共済病院の篠永教授の脳脊髄液減少症に関する報道番組をテレビで見たのです。放送されていた患者の症状が、私の症状とそっくりだったので、この治療法を試みてほしいと考えたのですが、なかなか実現できないでいたところ、半年ほど経過して、太田先生からこの治療が受けられるようになりました。暫くは生理食塩水を硬膜外に注入してもらい、頭の痛みが和らぎ体は少し楽になりました。
 平成十六年四月ブラッドパッチを受けるため、一回目の入院をしたのですが、そのときは急に締め付けられるような強烈な頭痛と発熱が起き、何度も吐き、水も受け付けない状態になって倒れてしまいました。部屋を暗くして、ベッドで微動だにできない、そして虫が部屋中を這いずり回り、口や鼻に入ってくる幻覚に襲われました。まさに七転八倒の苦しみを味わったのです。
 このような状況も少しずつ治まり、ブラッドパッチを受けたのです。施術後三十分位たって、全身が温かくなってきて、汗が出てきました。それまでは下半身が氷水にでも入っているように冷たく、真夏でも長ズボン下をはいて懐炉を手放せなかったので、この治療効果には本当に感激しました。
 十六年六月には、二回目のブラッドパッチを受けましたが、このときも同じく体が温かくなり、発汗もありました。
 十七年八月一日には三回目の、八月八日には四回目のブラッドパッチを首から受け、頭と首が楽になりました。術後の状態は少しずつではありますが、着実に改善されつつあると思います。
 何分にも、事故後十四年の長い年月が経過しています。劇的な改善は無理かもしれません。今日までスミヤ整形外科の太田先生、看護師さん達の懸命な治療と根気強く私の訴えに耳を傾けて頂いたことには、どれ程精神的に支えられたか知れません。
 まだ、右半身の強い冷えと痛み、右肩から腕にかけての、あたかも脱臼したかのような痛み、倦怠感、頭痛、睡眠障害などがあります。これからも各先生には全幅の信頼を寄せつつ、希望を持って前向きに治療を続けていきたいと思います。
 云々という、こういう体験談でございました。あとは、保険会社、また裁判の模様がありますので、本日につきましては割愛をさせていただきます。ただ、この十四年間の苦悩の日々を送った、しかし、このブラッドパッチに出会うことによりまして今日通常の暮らしを取り戻すことができたという、こういううれしさを体全体であらわされておりました。
 続いて、医師側からは太田麻酔科医、そして中川脳外科医、山口整形外科医の三名が受診例を披瀝されました。続いて来賓のあいさつ、順次式次第が進み、講演に入りました。講師には、現在、国際医療福祉大学附属熱海病院の脳神経外科教授の篠永正道ドクターが約一時間行い、引き続き質疑応答が出席されました複数の医師よりございました。
 以上が勉強会の報告でございます。
 そして、私自身の所感といたしまして、皆様も御存じのとおり、昨年の交通事故の負傷者数は過去最悪の百十八万人、過去交通事故に遭われ、むち打ち症で苦しんでおられる方の心中を察しますと、一日も早くこの治療について広く認知され、後遺症が改善されることを願うものであります。
 実例といたしまして、一回の血液注射、約二十ミリから三十ミリリットルで、寝たきり状態だった後遺症者が元気で歩けるぐらいまで急回復したケースもございます。今までの受診を受けた患者の約八〇%は症状が好転していることも事実であります。
 今回、県当局の御尽力で開催できた勉強会は、過去、千葉県、長野県での開催内容から見れば本県での勉強会が一番中身の濃い内容であったと、参加された皆さんの感想であったことを申し添え、改めて心から御礼を申し上げる次第でございます。
 さらに、私たちNPO法人鞭打ち症患者支援協会もこの運動を推し進めてまいりますと同時に、県当局におかれましても、今後とも積極的にこの治療法に対しての御理解と御協力をいただきますよう強く要望をいたします。
 なお、関東方面においてですが、本日のフジテレビ、夜八時から「インサイド・ウオッチ」という番組がございますが、先日一月十九日に和歌山で行われましたこの勉強会の模様が十分間程度放映されると先ほど連絡が入りましたことをあわせて御報告を申し上げたいと思います。
 次に、アスベスト問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 現在、県当局において、第一次に続いて第二次調査も完了し、必要な措置を講じられている中、今後の県民の健康保全対策の観点からお尋ねいたします。
 一九七二年にWHOが石綿の発がん性を指摘して以来、三十三年間、石綿への依存は、燃えず、加工しやすく、しかも安価として「夢の物資」とまで言われ、日本でもアスベストを大量に使い始めたのは一九六〇年代からであります。特に六九年から九三年にかけては年間二十万トンを超すアスベストが輸入され、ピークとなった七四年には三十五万トンを超え、日本国内への輸入総量は約一千万トンにも上ると言われております。その結果、産業品から日用品まで約三千種以上の用途に使用されてきました。
 現在、大きな社会問題となっている事案は、アスベスト繊維を吸い込むことにより体内において、「静かな時限爆弾」と指摘され、肺がんや中皮腫の発症まで長期間──約二十年間から長い方で五十年と言われておりますが、ピークは四十年と言われ、発症後は進行が速く、診断されてからの生存期間は大体一年から二年で、五年後の生存率は一〇%未満と言われております。
 全国的に被害が拡大しているアスベストの対策については、国においても石綿健康被害救済基金の新設など、被害者救済に対する措置が講じられようとされております。また、被害はむしろこれから増加し、長い潜伏期間があるため、特定に対する困難な状況になるのではないかと危惧されております。早稲田大学の村山武彦教授は、二〇四〇年までに十万人が中皮腫で死亡すると推計されております。
 非常に危険なアスベストが使用された品目の中で、水道管がございます。これまでさまざまな材質の水道管が使われておりましたが、これはアスベストをセメントで固めて管状にしたものであります。当時は結構広く使われてきたと言われておりますが、実は衝撃に弱く、自動車の交通量の多いところでは、その重みでつぶれてしまったようであります。
 過去の新潟地震では、特にアスベスト水道管が破裂し、断水を起こしたこともございました。また、アスベスト水道管が劣化しますと、アスベスト繊維がはがれ落ちるとされております。さらに、モルタル塗装鋼管のモルタルもぼろぼろとはがれ落ち、このモルタルにアスベストが含まれていると指摘されております。
 現在、動物実験では、口から入ったアスベストが体中に移動することがわかっています。アメリカのセリコフ教授等は、一万人以上のアスベスト断熱材労働者を調査し、一般人に比べ、肺がんのほか、胃がん、結腸・直腸がんにもなりやすいことを明らかにしていますが、なお引き続きアスベスト濃度が高い地域の疫学調査が行われております。
 以上のことからお伺いをいたします。
 県下の布設されている上水道、簡易水道について、アスベストを使用した水道管の安全性はどうか。また、布設がえの際に対する指導徹底については万全か。環境生活部長にお伺いをいたします。
 次に、木造住宅の耐震診断及び改修の実施状況についてお伺いをいたします。
 私の地域では、将来必ず起こると言われている巨大地震に備え、先月十一月二十七日に県総合防災課の職員に出席していただき、講習会を小学校にて行いました。昨年も同様時期に市消防局職員による防火訓練や婦人会による炊き出しを行い、住民の意識向上に積極的に役員の方々も取り組んでおられます。
 今後も、地域防災や講習会を開催し、いざというときに少しでも被害の縮小に努めたいと思うと同時に、十年前の一九九五年の阪神・淡路大震災での教訓は、多くの犠牲者の約九割が家屋や家具類などの倒壊による圧迫死であり、また、焼死した人の多くも住宅の下敷きとなり、逃げ出すことができなかったと見られております。したがって、住宅や建築物の耐震化が地震に負けない国づくりの大きな柱であります。これからも、訓練を重ねることにより一人一人が再確認するきっかけになればと思う次第であります。
 一方、国においても、地震に負けない町づくりとして、大規模地震に見舞われた際、被害を最小限に抑えるのは日ごろからの減災への取り組みが欠かせないとし、その中で最も有効な対策が住宅や建築物の耐震化が急務であるとし、建築物耐震改修促進法の改正が公布されました。内容は、病院や百貨店、ホテルなど多くの人が利用する建築物について、大地震で倒壊する危険性が高く、所有者が改修指示に従わなければ自治体が施設名を公表したり改修命令を出せるというものであります。さらに、耐震改修を促進するため全国の自治体などに支援センターを設置し、一には建築物の耐震改修に必要な費用を所有者が借り入れる際の債務保証、二には耐震工事に関する情報提供などとされております。
 以上のことから、災害に強い町づくりが急務の中、昨年より実施されました旧耐震基準木造住宅の耐震診断の実施状況、また耐震性の劣る木造住宅の耐震改修の状況について、県土整備部長にお伺いをいたします。
 最後に、緑の雇用及び森林整備事業についてお伺いいたします。
 本県は、昨年七月、世界遺産に登録され、観光振興へ向け県民の意識も向上され、私どもも他府県を訪れた際には、必ずといったように、機会があればぜひとも和歌山にお越しいただくようお話をさせていただいております。そういった話の中で、和歌山県の話題となるのは、やはり山村の自然の豊かさであります。
 以前に棚田の保全について質問をさせていただきましたが、その際、案内をしていただいた農林業に携わっている方々より、私に対し幾つかの要望がございました。再び先日、これから申し述べます要望をいただきましたので、本会議で取り上げさしていただくことにいたしました。
 その方々は、山林を守り、棚田を守り、一生懸命汗水垂らし、里山を愛し、重労働を苦になく毎日働いておられます。その労働は、間伐、除伐、植林、枝打ちの職人でなければできない重要な労働であり、誇りに思っていると言っておられました。
 そのことは、山村振興法の目的である「国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全等に重要な役割を担っている山村が産業基盤及び生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある実情にかんがみ、山村振興の目標を明らかにするとともに、山村振興に関する計画の作成及びこれに基づく事業の円滑な実施に関し必要な措置を講ずることにより、山村における経済力の培養と住民の福祉の向上を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的とする」とあります。そういった人々の働きこそ、そのものであると思います。
 一方、環境省は、十二月二日、きれいな緑や空気などを自然資本としてとらえ、森林整備などによる国土づくりを目指す百年構想をまとめ、発表いたしました。同省は、構想実現には年間数兆円規模の息の長い取り組みが必要とし、環境税導入や道路特定財源の活用も視野に入れ、計画を進めようとするものであります。その構想では、森林の十分な手入れには一ヘクタール当たり一日四・四人の人手が必要とした上で、現在、全国に八十四万人いるとされるニートの活用を提言されております。
 それに先駆けて、本県におきましては、木村知事が平成十三年に提唱された、また平成十四年から本格的に取り組みをされております緑の雇用は、全国的にも大変評価されている事業であります。昨年は小泉総理も視察され、また本年五月、我が党首である神崎代表も視察をさせていただいたところであります。本格的に取り組みを始めて三年が経過いたしました緑の雇用について、知事の所感をお伺いしたいと思います。
 次に、先ほど述べました要望を申し出た清水町の人たちの実情について、関係部長にお伺いをいたします。
 清水町で現在作業をされている人たちの労働に対する賃金が遅延して支払われているとお聞きいたしましたが、県の行っている森林整備事業に係る県からの補助金の支出はどのようになっているのでしょうか。農林水産部長にお伺いいたしまして、第一問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 御質問の緑の雇用ですけれども、平成十三年から始めて四年を経過したところでございます。今、和歌山県内に都市等から家族も含めて五百数十人の人が来て活躍をしてくれています。
 山の整備では、強度の間伐とか、こういうふうな仕事に従事して、徐々に和歌山の山もよくなってきているということを言われていますし、最近うれしかったのは、山持ちの人が、初めにこの事業を始めたころには、実は都会から来た人なんかもう役に立たないと、なかなか教えたりするのに大変だというような感じだったのが、四年たってきて、この山の整備でもう本当に欠くことのできない労働力になっているんで、本当に今になって私どもはこの緑の雇用事業に感謝しているんですという話をつい最近聞いたんですけど、これは非常にうれしかったというふうなことです。
 それからまた、家族と一緒に来られたり、また結婚されたりしているんで、だんだんと、高齢化が進んでいる地域の文化の担い手というふうな役割も徐々に果たすようになってきているということで、緑を守りながら地域文化も守るというふうな役割を果たすようになってきているのではないかというふうに思っております。
 最近では、企業の森というような事業も相当進んできておりますので、こういうふうな事業とあわせて、この緑の雇用で来られた方、さらにこれから来られる方が仕事がしやすいように、そして、ひいては和歌山県の山、森林というものが守られるようにいろいろ努力をしていきたい、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストを使用した水道管の安全性についてでございます。
 厚生労働省の見解では、平成四年に改正をいたしました水道水質基準の検討時にアスベストの毒性を評価した経緯がございます。その際、アスベストは呼吸器からの吸入に比べまして経口摂取に伴う毒性は極めて小さく、また、水道水中のアスベストの存在量は問題となるレベルにはないことから、水質基準の設定を行わないこととされております。また、WHO(世界保健機関)が策定・公表しております「飲料水水質ガイドライン」におきましても、飲料水中のアスベストについては、健康影響の観点からガイドライン値を定める必要はないというふうに結論できるとされております。
 次に、布設がえにおける指導についてでございます。
 平成十七年三月末現在の県内の上水道、簡易水道におけるアスベストを使用した水道管の延長は百三十五キロメートルありますが、総延長六千四百二十キロメートルに占める割合は二・一%となっております。
 なお、アスベストを使用した水道管の製造につきましては、既に昭和六十年に製造が中止をされており、事業体において老朽化や漏水対策等で順次布設がえを行っているところでございます。
 石綿セメント管の撤去等を行う場合、石綿の飛散による健康障害防止を図る必要がございます。厚生労働省からの石綿障害予防規則、あるいは水道事業における「石綿による健康障害防止対策への適切な対応について」等の国からの通知がございまして、県内の水道事業者や水道用水供給事業者に対し既に周知を図ったところでございますが、今後とも機会あるごとに指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 木造住宅の耐震診断及び改修についてお答えをいたします。
 旧耐震基準木造住宅の耐震診断及び耐震改修につきましては、きのくに木造住宅耐震化促進事業において、平成十六年度から平成二十年度までに耐震診断二万戸、耐震改修三千戸を計画しております。この事業は、昭和五十六年五月以前に建築された旧耐震基準木造住宅の耐震診断を実施する市町村に対し国と県が支援をするもので、耐震診断の結果、耐震性の劣る木造住宅の耐震改修を行う場合に、改修費を補助する市町村に対し県が支援をしております。
 平成十七年度十一月現在の申し込み受け付け状況は、耐震診断一千四百八十四戸、耐震改修五十八戸となっております。募集戸数に対し申し込みが少ないことから、実施市町村と連携し、広報や説明会を通じ、住民に耐震化促進の重要性を啓発しております。
 なお、建築物耐震改修促進法の改正につきましては、所有者に耐震改修を行う努力義務を課せられる不特定多数の人が利用する特定建築物の範囲を拡大するなど、地震に対する安全性の向上を図るものであります。今後、この法律が施行されることから、市町村や関係部局と連携を図りながら、一層の安全性の向上に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 森林整備事業についてでございますが、いわゆる造林補助事業につきましては、あらかじめ市町村が定めた森林整備事業計画にのっとり、森林所有者から委託を受けました森林組合が事業主体となって実施することとなってございます。事業完了後におきまして、森林組合が市町村を通じて県に対しまして補助金の交付申請を行うところでございます。県は、その交付申請書を受理次第、速やかに検査を行い、補助金を交付いたしているところでございます。
 議員お尋ねの賃金の件につきましては、雇用主であります森林組合と当該山林作業をされた方々の間で十分な意思疎通を図っていただくことが大切かなと思ってございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 ただいま知事並びに関係部長に御答弁いただきまして、ありがとうございました。二問は一応すべて要望という形にさしていただきますが。
 まず初めに、先ほど報告さしていただきました脳脊髄液減少症のこの患者の会の各マスメディアの反応は、非常に驚愕をするような、そういう反応でございまして、本年中にNHKの和歌山、そしてまた、明年一月中にはテレ和歌さんの方でも当時の模様を放映していただくという、こういう内容になっております。
 ただ、今回、和歌山で県当局にも大変御協力いただきまして開催できたということは、西日本では初めてなんですね。いわゆる西高東低じゃなしに、逆なんで。今後、和歌山が中心となりながら西日本へのいわゆる啓発活動も我々もやっていきたいと、こういうふうに考えておりますので、またぜひとも御協力のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、アスベストの水道管につきまして、確かに問題はないということがわかったわけなんですけれども、ただ、延長百三十五キロメートル、これは和歌山県下に今現在現存されているアスベストの水道管でございます。本来、問題ないものについては布設がえをすることは必要はないというふうに思いますけれども、水道事業における云々という御答弁をいただきました。健康障害防止対策への適切な対応についてということで、アスベストの水道管を使うより、それ以外の水道管の方がいいというふうに我々も解釈をさしてもらっていますので、速やかに撤去していただきたいということの啓発をお願いしておきたいと思います。
 次に、木造住宅の耐震の関係でございますが、和歌山県は非常に瞻望にたけた海岸線を持ち、津波とかそういったものにいわゆる注目をされつつございますが、やはり内陸部におきましては家屋の倒壊というのは非常に心配をします。
 「転ばぬ先のつえ」という言葉も申し上げるとおりで、昨年の十六年から五年間にかけまして目標値が掲げられております。先ほど県土整備部長からの御答弁がございましたが、なかなか進捗状況も芳しくないように思われますので、できる限り啓発活動と、そしてあと住宅改修に伴うこのことにつきまして、お金とか地形の問題とか、そういったいろんな問題の絡みもあるとは思いますけれども、今後とも積極的に周知徹底と鋭意努力をしていただくことを重ねて強く要望をしておきたいと思います。
 最後に、緑の雇用につきましては、先ほど知事の御答弁もございました。その地域の新たな文化の担い手ということで、今後とも積極的に推し進めていただきたいということを要望さしてもらっておきます。
 あと、清水町の作業員の分なんですけど、周りの各町においては、それぞれやはり作業をされたその労働に対価する賃金というのは支払われると、そこに森林組合と──県のこの補助事業という整備事業の補助金が支払われている、その先の話やから民民で解決しなさいよという、こういう内容だという答弁というふうに理解をさしていただきましたが、ただ、やはり森林を愛し、この山村振興という観点でされているということを肌身で感じました。
 昨年も、棚田のことにつきまして、私、質問もさしていただきましたが、その人たちのいろんな思いというのを聞いた上で、やはりしっかりとその森林組合の組合員さんとその作業をされてる方とのいろんな意見調整の中で、できる限りスムーズに、なおかつまた円滑に賃金を支払いされるように御指導をいただきたいと。それでなければ、県が今現在行っている造林のこの補助事業制度そのものの見直しということを指摘せざるを得ないという、こういう状況になりますので、そこは適切に担当部局におきましては検討と努力を今後ともよろしくお願いを申し上げまして、終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十分休憩
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  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 私は、去る十月二十四日、二十五日に、農林水産委員会委員長の藤山将材議員に御同行いただき、農林水産部の方や印南町議ほか十一名とともに、千葉県の山武町にあります株式会社ワタミファームを視察・見学する機会を得ました。
 ワタミファームは小泉内閣の農業特区に認定され、北海道や群馬県、京都丹後などで農場を経営し、千葉農場では、大根、玉レタス、サニーレタス、カブ、ベビーリーフ、ロメインレタス、シルクレタス、フリルレタス、小松菜、白菜、キャベツ、ホウレンソウ等、三十種類以上を有機農法で生産されておられました。製品は、主に系列会社の外食産業で全国に五百店舗以上を擁するワタミ株式会社に納入し、一部は小売スーパーにも出荷しているとのことでした。株式法人が生産から販売まで一貫して行われている農業経営に対しての武内社長さんの熱意や経営に対する厳しさが、ひしひしと伝わってきました。
 御説明をいただいた後、現地の農場にも御案内をいただきました。ワタミファームは有機農法を取り入れており、国の厳しい認定基準がありますので、畑もほかの畑と隔絶した場所にあり、近隣農家とも連携して御協力いただいている等の苦労話もされておられました。有機野菜は少し高価格になるのでスーパーなどの小売店での売れ行きはどうですかとお尋ねをしたところ、有機野菜ということで安心・安全だと、かえって一般消費者の方にも御好評をいただいているとのことでした。
 かねてより、和歌山県の農業のあり方や農家の育成に対し、厳しい現状を踏まえ、何とか未来に向かって可能性を見出せないかと考えている者の一人として、とても興味深いお話で、時間のたつのも忘れ、気がつけば夕暮れが迫っておりましたので、お礼を申し上げ、帰路につきました。
 私は、六月議会でも、農家の安定した労働力の確保という観点から、海外の労働力の受け入れの可能性についての御見解を知事並びに農林水産部長に御答弁をいただきました。皆様も御承知のとおり、我が国の食糧自給率は既に四〇%に落ち込み、先進国の中でも突出して低く、大変深刻な状況になっております。また近年、世界的に異常気象が続き、いつ何どきアメリカや中国等の農作物に甚大な被害がもたらされ、我が国に対し輸出することが非常に困難な状況になったということを想定したときに、私たちの食生活はどうなってしまうのでしょうか。
 ことし、アメリカのニューオリンズにハリケーン「カトリーナ」が上陸し、石油コンビナートの基地を襲いましたが、その被害から来る原油の高騰によりガソリンや軽油、灯油等が値上がりし、我が国のあらゆる産業が大きな打撃を受けております。もし食糧において同じような状況が発生した場合、関連食品が高騰し、国民生活はパニック状態に陥ります。
 ことしの八月二十日、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、欧州連合の農政担当閣僚が農業問題を話し合う五カ国の農相会議の本会合がオーストラリアのブリスベーン郊外で行われました。日本からは前岩永農相が出席され、基調演説で、世界の食糧需給が気候変動や途上国の人口増加、中国の需要拡大で中長期的に逼迫する可能性があると指摘し、輸入に過度に依存している国は国内農業を持続的に発展させることで食糧安全保障を確保する必要があると、農業保護の必要性を強調いたしました。
 この会議の主目的は、十二月、現在行われている世界貿易機構(WTO)の新多角的貿易交渉の輸入関税の制限のあり方についての各国の議論の中で述べたものでありますが、農業が国の基礎であることや、独立国として食糧を自給する体制を保持することについての我が国の主張は当然のことであります。しかし、本当に国内の農業政策に農相が述べられた農業保護の施策が持続的に行われているのかどうかを改めて検証してみるときに来ているのではないでしょうか。
 我が国の農業就業者は人口の数%しかなく、その農業者の平均年齢も高齢化が進み、労働力の低下と不足が顕著になり、放棄された耕地が目立ち始めております。和歌山県の農業就業人口も年々減少し、反して高齢化率が高くなり、安定的に供給されなければならない良質の労働力の確保は困難な状況に早晩なることは明らかであります。(「林業も言うといてや」と呼ぶ者あり)はい、林業もそのとおりであります。こんな状況では、いずれ我が国の方から農産物の関税を取り払い、逆にお願いしなくては農産物が日本に入ってこないというジレンマにも落ち込みかねません。
 農水省は、今後十年間に食料・農業・農村基本計画を策定し、競争力の脆弱な日本の農業の効率化を図るため、補助対象農家を大規模農家で農業経営に意欲のある担い手に絞り込み、経営安定化のための補助金を所得保障として集中的に支援する政策に転換し、足腰の弱っている農家に対しても自立に向けた創意と工夫を求めていく方針を打ち出しております。
 担い手の規模は、全国に約十八万人いる認定農家の個別経営が四ヘクタール以上、北海道は十ヘクタール以上、地域の小規模農業や兼業農家が一体となって農業を営んでいる集落営農約一万は二十ヘクタール以上の設定だそうです。一見、農家を支援するような施策になっていますが、中小農家への取り組みはどうなるのか、不安も残る政策であると私は危惧するところであります。我が県には大規模農家は数少なく、ほとんどは中小農家であります。さらに、中小農家にとって昨今の農薬問題もあり、大変厳しい経営環境になってきております。
 また、小泉総理は、二〇〇三年春に、先ほど述べたワタミファームなどのように構造改革特区を設け、民間企業の農業への参入を許可いたしました。二年たったことし八月には、株式会社やNPO法人等を合わせると百四十六法人が参入しているそうです。特区地域は七十一カ所に及び、安全な作物の安定調達を目指す食品メーカーや外食産業のほか、建設会社の参入も目立つそうであります。また、本年九月より全国的に法人の農業参入が解禁になりましたが、さらに新規参入のすそ野が広がることは間違いありません。
 特区による農業参入は、農家や農業法人などに限っていた農地の賃貸を株式会社などにも認める仕組みであり、企業はリース料を支払って農地を借り、野菜や果物を栽培するという試みであります。参入は、株式会社が最も多く七十一社、有限法人が三十五社、NPO法人等が三十三社だそうです。業種別では、建設会社が四十八社と最も多く、食品メーカーと外食産業などが三十六社で続いているとのことであります。
 食品メーカーは、農薬や化学肥料をできるだけ使わない有機農作物を売り物にし、生産の履歴がわかる、顔の見える商品を消費者に直接提供することに力を入れ、さらに、品質や価格の変動が大きい輸入作物に頼らなくてもいいし、機械設備等において生産を効率化することでコスト削減の余地もあるとメリットを挙げております。また、建設会社は公共事業にかわる収益減を確保することがねらいで、遊休地を利用して特産物を生産し、地域の雇用創出と農地の有効利用に貢献できればと参入に期待を寄せているようです。
 農業の担い手が企業に広がる背景には農業就業者の減少があり、農業就業者人口は約三百六十万人と二十五年前の約半分になり、国内の農業総生産額は五兆三千億であり、GDPの一・一%にしかすぎません。しかし、世界のどこの国を探しても類を見ない四季折々の気候や豊富で良質な水資源に恵まれた我が国の農業は、経営の方法によって大いに可能性がある産業だと考えられても不思議ではありません。
 今までいろいろ述べてまいりましたが、我が和歌山県は、今後の農業と農家のあり方について、このたびの法改正に伴い、どのような農政を考え、また発展させていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
 まず木村知事に、法人が農業へ参入できるということについて、基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。また、農業に法人が参入した場合、今まで農業を支えてきた農家がどのような影響を受けるのか心配するところですが、あわせて御見解をお伺いいたします。
 今のままでは、県内で二十年後、どれだけの農家が農業を営んでいるのか大変心配しております。そこで、私は、このたびワタミファームの視察を終え、かねてから農業の三位一体化を推進していかなければならないと考えておりましたが、改めてその意を強くいたしました。三位一体とは、農業経営のマネジメントと農業技術と労働力の確保、農産物の販売促進が合理的に一体化し、ある程度の規模のもと農業経営が行われるのが理想的だと考えております。プロの農業者である担い手による効率的な農業経営で国際競争力をつけていく以外、自由化し、グローバル化する農産物の市場において生き残る道はないのではないでしょうか。
 小泉内閣の特区制度やこのたびの法改正は、硬直した日本の農業に新しい風を吹き込むものだと考えますが、現在、県内において法人参入の具体的な動きがあるのかどうか。また、今後、我が県においても法人の参入が始まるとすれば、農林水産部として県内の農家や農業法人に対してどのように指導し、株式法人やNPO法人等とよりよい関係を構築し、お互いがさらなる発展をなし遂げるにはどのような対応をお考えなのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
 現在、懸命に農業を営んでいる農家と株式法人の参入をうまく融合させ、農業立県和歌山を実現させていただくことを期待して、次の質問に入ります。
 昨日、原議員からも御質問があり、一部重複する箇所もありますが、障害者自立支援法について、今後の和歌山県の対応についてお尋ねをいたします。
 御承知のとおり、先月三十一日に、障害者福祉制度の再編に伴い、原則一割負担の導入などを柱とする障害者自立支援法が成立いたしました。障害者を施設で保護することに重点が置かれていた今日までの政策を見直し、自宅やグループホームなどで自立した生活を送れるよう支援するのが大きな目的であります。障害福祉の分野では半世紀ぶりの大改革となります。
 身体、知的、精神の障害で縦割りになっている現行制度を、市町村に実施主体を一元化し、国と都道府県に福祉に必要な費用の負担を義務づける一方、福祉サービスの利用者に対し原則一割の自己負担を求める内容になっています。全国どこでも公平にサービスを受けられるよう共通支給決定基準を設け、また就労支援も強化するとのことであります。しかし、運用に当たって、重い障害者の方や保護者の方からは大変心配されている面もあります。
 この法律のポイントとして五項目の改正が挙げられますが、まず、三障害の制度格差を解消し、市町村に実施主体を一元化し、都道府県がバックアップすること、三十三種類に分かれていた施設体系を六つの事業に再編し、あわせて地域生活支援、就労支援のための事業や重度の障害者を対象にしたサービスを創設し、利用者本位のサービスに体系を再編すること、現在、就労を理由とする施設退所者はわずか一%しかない現状を踏まえ、就労支援の抜本的強化を図ること、支援の必要度に関する客観的な尺度を導入し、審査会の意見聴取など支援決定プロセスを透明化すること、国の費用負担の責任を強化し、利用者にも応分の御負担をお願いし、安定的な財源の確保を図ることとなっております。
 以上のとおりでありますが、本当にこのたびの法改正が障害者の方に負担増になりはしないのでしょうか。自己負担の上限額は所得に応じて定率負担あるいは応益負担になり、一定のところで頭打ちになるように上限額が設定されていますが、課税世帯の方では最高で四万二百円となっており、大きな負担につながるのではないかと関係者の方から不安の声が上がっております。
 国は、社会福祉法人が提供するサービスを受ける場合は、上限額を半額にし、低所得者への配慮をしているとあります。しかし、大半の障害者は負担増となり、これからの生活に不安をお持ちであることは明らかであります。
 現在、国では内容の検討を進めていると聞いておりますが、ある方によると、将来、グループホームを希望する若い利用者では、年金収入六万六千円だけの場合は手元に二万五千円が残るのみとなり、生活用品等を購入すれば貯金はほとんどできない状況にあるとのことであります。また、グループホームに入居する場合、施設によっては、当初の敷金や家財道具の購入等で三十万程度が必要となります。また、万一の病気入院や不測の事態に備え、ある程度の貯金も必要となってまいります。このようなことを考えると、施設から地域社会に出ていくこと、自立することは大変不安があると訴えられる方もございます。
 また、ある方の場合は入所授産施設で働いており、年金六万六千円と工賃の三千円の収入を合わせて六万九千円の方と工賃が二万七千円で九万三千円の方を比べると、手元に残る金額は二万六千五百円と同額で、先ほどの就労していない方と比べても千五百円しか違わないとお聞きいたしましたが、これでは本当に働く意欲がなくなってしまうという声もあります。
 医療負担についても、施設医療受給者証が廃止され、身体障害者手帳一、二級や療育手帳Aの方は重身医療費受給者の対象であり、てんかん等は自立支援医療の対象となりますが、それに該当しない身体障害者三級以上の方や療育手帳Bで自立支援医療の対象でない方は医療負担が三割になります。医療負担三割の方のうち、住民税非課税世帯の一カ月の負担限度額は三万五千四百円とされていますが、低所得の障害者の方では、入院すると収支がマイナスになる場合もあるのではとの心配も挙げられておられます。
 グループホームの利用者についても、今後、グループホームとケアホームに分かれるため、新しいグループホームはホームヘルプを受けられないと言われており、この先、移動介護や入浴など身体介護をどうするか、不安であるという方もいらっしゃいます。
 食費の負担も、通所サービスやショートステイを利用する人、またはグループホームから通所施設に通う人の場合、食費を全額支払わなくてもいいよう、食費の三分の二を免除するということになっています。しかし、今までなかった負担に対し、通所施設や作業所では献立をやりくりし、切り詰めなくてはやっていけないのではないかと、不安の声も聞こえてまいります。
 そこで、当局は、広がる不安に対し、障害者自立支援法の運用に当たり障害者の方の生の声にどのように対応され、配慮がなされるのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 また、大改正ということもあって内容を深く理解し切れていないので不安が広がっているのではないかと思いますので、だれにでもわかりやすく理解しやすいような啓発等をどのようにしていくのかも、あわせてお伺いをいたします。
 そして、今回の改正の一番重要なテーマは、障害者の方が一般社会とどのようにかかわり、共生していくかであると考えます。今回の法改正の理念を支えるには、どうしても障害者の方の自立を支えていく体制を充実させなくては成り立ちません。それには、障害者の方の収入を得るための就職活動をしっかりサポートしていくことがより重要であり、就職先をしっかり担保し、いろんな職場で障害者の方の就労に対しさらに理解を深めていただかなくてはなりません。
 そこで、本法案が成立した今後、障害のある方の雇用対策について、どのように体制を強化し、サポートしていくのかをお尋ねいたします。現在は、それぞれの地域の職業安定所が窓口となって就職の御相談に乗っていただいているとお聞きいたしておりますが、障害のある方の就職状況を商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。
 また、障害者の方の就職相談窓口を、職業安定所と連携をとりながら、それぞれの地域のよりバリアフリーの進んだ公共的な施設にも設置し、体制の整備・充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。あわせてお伺いをいたします。
 次に、福祉作業の現場からの声ですが、現在行われている公共的な事業の分野で障害者の方にできる仕事があれば積極的に活用していただく必要があると考えますが、いかがですか。
 現在、公共的な事業の分野で障害者の方にもできる仕事に対しての就労率は、まだまだ低いのではないかと考えます。もちろん、重労働や障害の程度によってできない仕事は当然あるわけですが、できる仕事もあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。今後の対応も含めて、他の部局にも関連していると考えますが、総括して福祉保健部長にお答えをいただきたいと思います。
 公共事業そのものを直接受注させてくださいというのではなく、ある会社の受注した公共事業の中で、福祉施設や作業所、NPO法人等が窓口になって、障害者の方でもできる仕事を選別し、従事させていただく、例えば環境美化等の軽微な公共的な事業の中でお手伝いできるような仕事がないのか、今後御検討いただきたいと思います。
 法改正に当たり状況の変化に戸惑う方も多数おられると思いますので、市町村だけに対応を任せておくのではなく、しっかり障害者の方や保護者の方をサポートするため、いろいろな御相談の窓口の充実もお願いいたしたいと思います。
 また、障害者の方を現場で指導する指導員の不足も言われておりますが、今後の対応について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 そして、国の特定難病疾患の方に対しても、今回、法改正において附則及び附帯決議の中で述べられておられますが、障害者手帳の発給についても引き続き御当局の御支援をお願いいたします。
 この法案が真の障害者の自立支援につながり、安心して安全に暮らせる共生社会の実現に寄与することを心から願い、御当局の温かい御支援を重ねてお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 南海・東南海地震の発生とともに津波が押し寄せたとき、各地の海岸近くにお住まいの方の避難路の整備状況についてお伺いをいたします。
 大地震が起きたときは津波が来るので高いところに避難するということは、既によく県民に知られているところであります。我が郷土の偉大な先覚者である浜口梧陵の「稲むらの火」の話は、昨年のスマトラ沖地震の際の津波の恐ろしさと同時に、多くの人々の知るところとなりました。また、「備えあれば憂いなし」のことわざのとおり、ことし七月には約二万人を超える住民の方に御参加、御協力をいただき、木村知事が先頭に立って県下各地で避難訓練が行われました。
 来るべき地震や津波対策の中で、特に沿岸地域に住んでおられる方々の命と財産を守るに当たり各所で護岸の補強やテトラの設置等を推進していくことは当然でありますが、もういつ来ても不思議ではないという状況下において、優先順位を命の安全確保に置き、避難路の整備促進を重点的に、かつ早急に行わなくてはならない地域が紀南地域には多々あると思います。
 また、避難路の照明器具等について、ことし六月に県土整備部砂防課において設計コンペを行ったと伺いました。多数の応募があり、その中から優秀な作品を取り上げ、モデル的に施工する試みであるとお伺いをいたしております。まさしく稲むらの火構想の現代版でありますが、私も自分自身に置きかえ、ぜひお願いしたい事項があります。
 避難路の照明設備や路面の整備が必要なことは言うまでもありませんが、避難する際、避難路に手すりが設置されているかいないかで、避難速度においても、また安心感においても各段の違いがあると考えますが、いかがでしょうか。
 我が県は大変高齢化が進んでおりますが、特に紀南地域はその傾向が顕著であり、地形も海から急に山に上がるところが多いように思います。南海・東南海地震が発生してから約五分から十分で押し寄せる大津波に対してどの道をどのようにして避難すればよいのか、まさしく避難路は命の道になるわけですから、日ごろから地域住民の皆様に啓発し、御認識をいただいておかなければならないと考えます。
 しかし、いざというときに、高齢者や障害者にとって心が焦り、なかなか思うように足が運べない等、想像するだけで息苦しくなってきます。さらに、障害者や高齢者の方を背負って避難しなくてはならない方も想定しておかねばなりません。そして、避難する場所は必ず高い場所になることは当然のことでありますが、現在の指定された避難地の手すりの設置状況をお伺いいたします。
 また、単に手すりを設置するのではなく、いろいろな付加価値やアイデアを盛り込んだ手すりを設置していただきたいと思います。例えば、設置場所も避難路の路肩に設置するのではなく、中央に設置した方が安心感は増しますし、夜間であれば手元の照明などにも気を配っていただきたいし、工夫を凝らした手すりの設置をぜひお願いいたしたいと思います。
 特に、夜間に地震が起こったときを想定して照明に対して配慮が必要となることは言うまでもありませんが、頭上から照らすよりフットライトなども取り入れた方が有効であると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、毎日その避難路を発光ダイオードを利用した照明等で照らしておくことは地域住民の避難に対する啓発にもつながり、実はこのことが一番重要であり、まさしく「稲むらの火」になるのではないかと考えます。関係市町村でモデル的な避難路の手すりの設置状況はどうなのか。また、今後の避難路の設置に対して手すりの素材に紀州材を積極的に活用するため市町村と一緒になって御検討いただきたいと考えますが、あわせて危機管理監にお伺いをいたします。
 最後に、フリーゲージトレインの現況についてお尋ねいたします。
 フリーゲージトレインは、御承知のとおり、狭い軌道の在来線から軌道の広い新幹線への直接乗り入れできる電車であります。一九九四年、運輸技術審議会の答申で軌間可変台車の開発が重要と提言され、一九九四年から三年間、基礎技術開発で試作を行い、一九九七年から試験車両の製作を開始、国内での狭い軌道予備走行試験により最高速度百キロまで性能が確認されました。一九九九年度から二年間、アメリカのプエブロ試験線で高速走行試験や耐久性確認試験を行い、最高速度二百四十六キロを記録いたしました。二〇〇一年度以降、国内で狭軌走行試験と軌間変換試験を行い、在来線最高速度百三十キロを達成いたしました。今後、技術開発を進めながら、新八代地区を中心に走行試験を行う計画だとお聞きいたしております。利点は、言うまでもなく、新幹線へ直接乗り入れるため、乗りかえ時間の短縮や心理的不便さの解消やミニ新幹線の導入よりも工事費等で大幅なコストダウンが可能なことであります。
 かねてから二階俊博経済産業大臣は、東北新幹線に直通運転をしているミニ新幹線を紀勢線にも導入できないかと考え、訴えてこられました。私は当時、二階俊博代議士の秘書をしておりましたが、私たちの暮らす紀伊半島は国土の中央軸から外れているため、フル規格の新幹線を導入することは困難な状況でありました。
 しかし、紀伊半島の高速交通体系の整備は、産業の面でも、観光の面でも重要な課題であります。特に紀勢線の高速化は県内のビジネスマンや観光産業にとって最大の課題でありますし、オーシャンアロー号の導入に伴い線形の改良や新大阪駅への直接乗り入れ等が実現し、随分時間短縮し、利便性も向上いたしました。
 また、昨年は紀伊山地の霊場と参詣道が、木村知事を初め関係各位の御尽力の結果、世界遺産に登録されるという快挙をなし遂げ、観光立県和歌山として、日本はもとより世界の人々からも注目を浴びることとなりました。関西空港の二期工事も完成に向かって邁進いたしております。また、和歌山大学においては、観光学部を設置するため、学長を先頭に一丸となって取り組み、日本の国立大学初の観光学部の設置に全力投球で頑張っていただいております。
 そんな状況の中で、大都市へのビジネスマンの交通手段として、また他府県からお越しになる観光客の利便性向上にフリーゲージトレインの果たす期待と役割は大変大きいと考えますが、いかがでしょうか。フリーゲージトレインの本県への導入の可能性と今後の対応について、木村知事にお伺いをいたします。また、フリーゲージトレインの導入について他の都道府県の動向はどのようになっているのか企画部長にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの農業への法人参入の御質問ですけども、非常に感心をして、賛同するところがたくさんありました。和歌山県でも農業が中心なんですけれども、高齢化が非常な勢いで進んでいること、そしてまた耕作放棄地が非常にふえているというふうな問題があって、何とか新しい担い手による新しい農業、しかも、それが現在農業をやっている人とバッティングしないというふうな形のものを考えていかなければならないという非常に大事な時期に来ているわけです。
 そういう中で、新しい担い手に和歌山へ来てもらうべく農業をやってみようプログラムというのをつくって都会の人が和歌山で農業をする手助けをしたり、ことしからはこれをさらに進めたような形で鄙の里塾というのを進めて、これは非常に全国的にも注目されるようになってきています。
 そしてまた、こういう形で来た人たちを労働力としてというか働き手として、担い手として、それの受け皿となって農業をやるというふうなものとしての法人──株式会社になるか、もしくは農協なんかが絡んだような農業法人になるか、これはいろいろ形態はあると思いますけども、そういうものをつくって、和歌山県の農業──これは稲作中心じゃなくて、果樹とか花卉とか、そういうようなものが中心で、ちょっと特殊性があるんですけども、そういうものに合ったような形での新しい農業形態というものを模索していく時期に来ているというふうに思っています。この問題については来年度の施策の中でも中心的なものとして進めていきたい、このように考えているところです。
 次に、フリーゲージトレインですけども、これから和歌山県は観光立県というふうなことになってくると、例えば熊野古道へ行くにしても、車で来る人もいるわけだけども、鉄道で来るというふうな人がやっぱり多いというふうな中で、今の状況が満足すべきものでないことは、もうはっきりしているわけです。
 そういうふうな中で、今検討が進んでいるフリーゲージトレイン、これが和歌山県へ導入されることになれば、この紀伊半島に対するイメージというものも大きく変わってくるというふうな可能性があると思いますので、大分いろいろ実験なんかも進んできているんで、県としても積極的に前向きな対応をしていきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) まず、県内における法人参入の動きでございますが、株式会社等の法人が農地を借り受けまして農業を始めた、参入したという事例は、ただいまのところございません。しかしながら、県外企業からの問い合わせでありますとか、県内建設業者からの相談等は受けておるところでございます。
 次に、法人の参入に際しましては、その企業の持つ経営手腕でありますとか販売戦略等と地域農家の持つ技術あるいは経験といったものが互いに生かされ、地域農業の発展につながっていくことが大切であるというふうに考えてございます。
 県といたしましては、農業への参入を希望される法人の意向も踏まえ、市町村や農業団体等と連携しながら、当該法人と地域農家とのよりよい関係が構築され、また持続されるよう積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害者自立支援法施行に関する御質問にお答え申し上げます。
 まず、障害者自立支援法運用に当たっての対応についてでございますが、障害者自立支援法は来年四月一日から施行されることになってございますけれども、議員の御質問にもございましたように、利用者や保護者の方々の新たな負担などに対する御心配、不安の声、そうした方々のお気持ちは十分認識をしているところでございます。県としましては、法案が示されましたこの四月から五月にかけて、県内三十六カ所で開催しました意見交換会におきまして利用者や保護者の方々の生の声をお聞かせいただき、六月にはその声を反映すべく国に要望してまいったところでございます。
 今回の制度は、非常に複雑で、わかりにくい一面がございます。一般的な制度の説明だけでは不十分であると考えてございます。そのため、利用者の方の置かれている状況もさまざまでありますので、その人、その人に合った具体的な説明が必要であると考えてございます。
 県としましては、利用者や保護者の方々に対して、こうした観点に立った、きめ細やかで具体的な説明や相談ができるよう、事業主体となる市町村に対する説明会を初め、機会あるごとに説明、周知を積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
 また、啓発につきましても、この法律における各種制度について、さまざまな手法を取り入れて、利用者の視点に立った具体的でわかりやすいパンフレットの作成や県のホームページへの掲載などに取り組んでまいりたいと考えてございます。市町村に対しましても同様の観点で、利用者の方々に対して十分に周知するよう指導してまいる所存でございます。
 次に、公共的な事業分野での就労支援についてでございますけれども、県での取り組みを私の方から総括してお答えを申し上げます。
 まず、本年四月に「物品等の調達における障害者雇用促進企業等に対する優遇措置の実施に関する要綱」を制定しまして、物品調達に際し、障害者雇用に積極的に取り組む企業を追加して指名・選定することや、授産施設等が供給できる物品は優先的に調達できるよう、優遇措置を講じているところでございます。
 また、県建設工事の入札参加企業の評価にも障害者雇用の項目を平成十八年度から設ける予定にしてございます。また、授産施設等で製作される物品や提供できる役務等を掲載しましたカタログ「Only One」を作成しておりまして、庁内各課室を初め市町村、関係機関に配布して活用を周知したところでございます。
 このほか、障害者の職域の拡大や就労を支援するため、今年度から県庁や民間企業で──現在、県庁で五名の方、民間企業で十二名の方が職場体験実習をされております。そういうことや、知的障害者を対象としたホームヘルパー養成研修などを実施してございまして、今後、福祉施設や民間企業での雇用が期待できるものと考えております。今後とも引き続き、障害のある方々の就労支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、施設の現場で支援を行う生活支援員や作業指導員などの不足についての御質問でございます。
 直接支援に携わる人員につきましては、施設指定基準におきまして、施設の入所者数に応じて、最低限置くべき人員に加えまして、障害程度区分に応じた適切な対応を図るための必要な人員を配置しなければならないとされているところでございます。このため、県では、施設の指導監査において、施設利用者に対して適切な支援を行うために必要となる人員を確保するよう指導を行っているところでございます。
 来年四月施行の障害者自立支援法では施設の機能や体系が大きく見直されることから、今後、施設での支援体制に影響が出ないよう、人員の配置基準について注視をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 初めに、障害者の就職状況についてでございます。
 県内の障害者雇用の現状でございますが、平成十六年六月一日現在の障害者雇用率は、民間企業で一・九四%で全国第三位の高位にございますが、未達成の企業が約半数に上ること、産業別、企業規模別で格差が存在すること、また、公的部門におきましても全体では法定雇用率を満たしていないなどの状況にあります。特に景気の長期低迷や企業の生産拠点の海外シフトなどによりまして、障害者雇用率は平成十年度以降低下傾向にあり、障害者の雇用の場の確保は重要な課題であると認識をしてございます。
 このため、県としましては、県障害者雇用促進協会を初め、関係機関と連携をした事業主等への啓発活動や委託訓練方式による職業能力の開発に取り組むとともに、NPOと協働で企業開拓やジョブサポーターの職場への派遣等により障害者の社会的自立と職場定着に努めているところでございます。
 次に、就職相談窓口の充実についてでございますが、現在、和歌山市と田辺市で開設をされています障害者就業・生活支援センターが就業及び日常生活の両面から障害者をサポートする拠点として大きな役割を果たしており、引き続きバリアフリーの視点を重視しながら、支援センターの全県下的な設置促進に取り組んでまいります。
 今後とも、和歌山労働局等と密接な連携のもと、障害者個人の特性に応じたきめ細かな施策により福祉的就労から一般就労への円滑な移行を支援してまいります。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 防災避難路の整備についてお答え申し上げます。
 避難路への手すりや照明の設置につきましては、高齢者等の災害時要援護者の避難対策からも必要なものと考えてございます。
 災害時の避難場所や避難路の指定・整備は、基本的には市町村が行うことになっております。このため、津波等の緊急性のあるものにつきましては、現在、沿岸市町で作成が進められている津波避難計画の中で定められることから、今後、手すりや照明についても整備が進むものと考えられます。
 避難路整備に係る費用につきましては、県の地域防災体制整備支援事業による補助対象として支援しているところでございます。この制度を活用して、本年度、那智勝浦町では千人以上が避難できる避難場所の造成や避難路の整備を行い、同時に手すり、照明を設置するなどの取り組みが行われております。
 今後とも、避難路整備については、議員御指摘のようなバリアフリー的な考え方、さらには夜間の対応などにも十分留意する必要があります。また、手すり等への紀州材の利活用についても、有効なものは検討すべきと考えますので、実施協議の場を通じ、市町村に対し周知をしてまいりたいと考えてございます。
 なお、フットライトにつきましては、現地の状況によりますが、避難場所全体を照らす照明と併用するのが現実的ではないかと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) フリーゲージトレイン導入に向けての他の都道府県の動向についてでございますが、大分、愛媛、それに島根の各県が、本県同様、国に対しフリーゲージトレインの早期実用化について要望を行っているとのことでございます。
 県といたしましても、国と情報交換を続けまして、開発状況や走行試験等の推移を見守るとともに、その実用化やコスト削減について国に対し要望活動を継続してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
 ことし最後の議会、三日目最終の質問者として頑張らせてもらいたいと思います。
 さて、ことしもあっという間に時間が過ぎ、早いもので、もうこの議会が終わると、平成十七年も残すところわずかとなります。本当に時間の流れるのが速く感じます。ことしもいろいろありましたが、とにかく先輩・同僚議員の皆さんと目指す目標は一つ、すばらしい和歌山をつくるということだと思います。この一年を振り返ると、やり残したこともたくさんあるように思いますが、とりあえず、本年最後の議会となりますので、しっかりと締めくくれるよう今回も心を込めて質問いたしますので、当局の皆様には誠意ある御回答をよろしくお願いいたします。
 今回の質問は、テーマを三つに絞り、まず初めに環境問題、次に安全・安心の地域づくり、防犯力の向上、そして最後は産業振興に係る質問をさせていただきたいと思っています。
 さて、その通告の質問に入ります前に、今議会で大きな注目を集めている紀の国森づくり基金条例並びに税条例について、提案者の一人として、少し私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。
 今議会で提案されている紀の国森づくり条例については、これは、俗に言う政策条例として議員間で本格的な議論をされるものでは和歌山県議会初となる議員提案条例です。まず議会として自前で政策条例をつくり、それを議案として提出していくということについては、立法をつかさどる本来の議会の役割としても非常に大切なことであり、今後の議会の活性化ということを考えても大変意義のあるものだと考えています。
 ことし六月にドイツ調査を行ったとき、議員提案の政策について、かんかんがくがくの話し合いがされる現場に立ち会わせていただきました。そこでは、地域をよりよいものとするために、議員が責任を持ち、さまざまな政策立案の主体となって取り組み、議論を闘わせている姿を見て、強く共感するものでありました。
 今、日本でも地方分権が叫ばれる状況で、地方議会としても真剣に地域の自立を目指して責任ある行動が求められる中、少しずつ政策立案の主体としての動きも出てきているのだと思います。そこで我々も、厳しい道ではありますが、歩みをとめてはいけないのだと思います。
 さて、今回提案されている議案について、これまで私自身も、環境に係る諸問題については、さまざまな提案を含め、この議会でも積極的に発言してきましたが、とにかく今は環境問題への県民全体の意識をより一層高め、議論を大きく前進させるときだと考えています。
 今回、この条例案については、いろんな声が寄せられています。議論が尽くされていない、内容的にも本当にこれが最適なのか。私も提案者の一人として、そういった声には真摯に耳を傾けつつ、しかし、そこではしっかりと議論をすればよいのだと思っています。議会は、言うまでもなく言論の府として、その権限を県民から負託されているものであります。議論を尽くす議会としては、大いに考え方をぶつけ合うところから県民にとってよりよい答えが導き出されるものと私自身は信じています。
 今回この条例案を提出するに当たって、提案者の中でもその取りまとめの中心になられた先輩議員には敬意を表する次第です。議員提案となる議案を提出するというのは簡単なことではありません。不十分と指摘される意見の集約についても努力をされてきたことは事実です。
 そもそも、税をかけるといったことでは当然多くの不満が出ることは国の消費税論議などでも明らかで、仮に将来を見据えて必要なものだとしても、税をかけることへの反対の声は強く出ます。しかし、不人気なことを承知でそれを出していこうとすることも時には必要とされます。
 環境問題については、あくまでそのもの自体への取り組みの重要性はだれも否定しないものと思います。また、今回の環境保全に関する税条例は、同様のものが少なからず他の都道府県でも議論され、制定されているところです。さらに、これは後の質問の中でも触れますが、国民の意識としても非常に高い関心、理解が示されています。環境問題を口にする限りは、やはりある程度の不自由さと税負担などの痛みを伴うことが前提となります。やりたい放題やっておいて環境問題はないのです。
 ただ、繰り返しますが、私も今回の議案の提案者の一人として、その責任においてしっかりと議論を尽くすことが必要だと思っています。議案の上程に当たっては、これは当局から出されるものであっても、議員提案とするものであっても、時として修正、また、全体の同意をすぐに得られない場合には我慢強く議論を続けることが議会の責任だと私個人としては考えているところです。
 言うまでもなく、税といったものはその地域のあり方、将来の姿を映すものであり、非常に大切なものです。税の体系をなす理念としても、世代を超えて将来の長きにわたって共有できるしっかりとした考え方を示さなくてはいけないことは当然のことであり、そこでは、この県議会でも議員一人一人の考えをしっかりとくみ上げつつ、そこではよりよい答えを導き出されるよう努力することが必要で、私も微力ではありますが、できる限りの取り組みをさせていただきたいと考えているところです。
 それでは、続けまして、議長のお許しをいただき、通告に従って順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、次の時代の子供たちのために、自然環境の保全と活用について。
 先日、私は、ポール・コールマンという人物と出会いました。ポールさんは、お手元の資料でも御確認いただきたいのですが──一枚物の資料です──一九五四年、イギリスのマンチェスターで生まれ、世界をまたにかけて歩き続け、木を植え続けている人物です。国連からも、その環境機関であるUNEPから正式に「アースウオーカー」という称号を受けています。ひそかに、彼の関係者の間では、将来はノーベル平和賞の栄誉を何とか受けさせてあげたいといったことも努力されているようです。
 全世界をまたにかけて活動を続ける中、ことし五月には、愛知県で行われた愛・地球博で地球を愛する百人に選ばれ、記念講演のため来日されました。その後、六月からは沖縄、続いて私たちの和歌山でも植樹セレモニーなどを行い、その後、熊野古道も歩いてもらいました。そこでは、美しい自然環境と脈々と受け継がれる文化が残る和歌山の地を高く評価してくれていました。
 コールマンさんは、「一人の小さな思いが、十人、百人とどんどん広がって大きな力になり得ることがわかった。だから、自分は希望を持って旅を続けている」と話しています。
 彼は、一九八八年に訪れたアイスランドのむき出しの自然に心を打たれて、地球のために働くという決心をしたそうです。そこから仕事をやめ、無一文となり、以来十五年間、地球を歩き続け、環境保護活動を進めてきています。
 小さな存在でしかない個人が、しかし、強い思い、彼の表現をかりると「正直で正しい動機」があれば大きな仕事をなし遂げられる。「たった一人で何ができる」といった弱い心を持った人間の常套句は、彼の前では無意味です。たった一人の意思、行動で世界は変えられる、それを地でいってるのがポール・コールマンさんです。壮大なミッションをこなしながらも笑顔を絶やさず、気負いのない彼の生き方には多くの人が共感するものであり、今、彼の周りには大きな輪が広がっています。
 これは、彼を紹介した本です。(資料を示す)資料の中にも一部情報を提供しておりますけれども、これは日本人である奥様の菊池木乃実さんが書かれた本です。「木を植える男 ポール・コールマン 四万二千キロ徒歩の旅」──これは下手な冒険小説など足元にも及ばない、壮絶でありながら、しかし、どこかこっけいで、それでいて読む人に生きる勇気を与えてくれるすばらしい本だと思います。ぜひ一度、皆様にもお読みいただきたいと思います。
 彼に会って本当にいろんなことを考えさせられたのですが、今、私たちに必要とされるのは、世界をよりよいものへ変えていこうとする強い気持ちと少しの勇気、そして行動です。彼と話す中で、環境問題に取り組むことの必要性を改めて確信し、議員活動を行っていく上でのさらなる使命感を与えられたと思っています。今回のこともよい機会として、今後さらに環境問題には全力で取り組んでいきたいと思っているところです。
 さて、このポールさんとの出会いを踏まえて、今回は改めて和歌山の環境保全に関する幾つかの質問、提案をさせていただきたいと思います。
 私たちは今さまざまな問題に直面していますが、中でも環境問題は、先輩・同僚議員の多くも指摘されているとおり何にも増して重要なものであり、特にこれからの未来、子供たちの未来を考えると早急に取り組まなくてはいけない課題となっています。また、それは和歌山という地域の未来を考えても、都会にはない個性を輝かせ、より豊かな地域を創造する糸口となるものです。今こそ、この環境に係るさまざまな問題をしっかりと受けとめ、その解決策を真剣に考え、そして行動していくことが求められます。
 そんな中、今、和歌山県では、さまざまな環境保全事業を進めています。ここまで積み上げられてきたそれぞれの取り組みは、他の地域、自治体と比較しても決して見劣りするものではなく、相当に頑張っているものだと私自身も感じています。
 先月、十月二十六日には、サントリーが企業の森事業に参加することを発表しました。これまで、全日本空輸、大阪ガス、イオン、東京海上、ユニチカ労働組合、関西電力労働組合、連合和歌山、また地元企業としても紀陽銀行、和歌山セイカ、住友金属工業和歌山製鉄所さんなど、そうそうたる企業、団体が協力して、合計で百六・四ヘクタールの企業の森が実現するものとなっています。
 今、「環境を守ろう」「森を守ろう」という和歌山から発信されたメッセージは、全国的にも大きな広がりを見せていて、これはすばらしいことだと思います。しかし、県下全域を見渡すと、和歌山の森林面積は県土の七七%を占める三十六万三千七百五ヘクタールあるわけで、まだまだ先行きは長い道のりとなっています。今後は、この流れをもっともっと大きなものとしていくためにも、現状で行われている環境保全に係る取り組みの中で、特に森林環境に関する県の施策についてもう一度点検を行い、それらが将来にわたって継続し、着実に成果を上げていけるものとなるよう見直していくことが望まれます。
 現在の環境保全に係る県の取り組み、特に森林・林業施策などに焦点を当てると、それらは今、大きな転機を迎えています。国としても、平成十三年に林業基本法を公益性を重視する森林・林業基本法として、その大きな方針の転換を図っていますが、その意味は、これまでの森林、山林の振興を単に業、なりわいとしての人の仕事を守るといった側面だけでとらえてきたものを、より幅広く、環境保全といった考え方の中で、公益性を前面に打ち出すものに定義し直そうというものであります。
 また、あわせて、これまで本県が先頭に立って取り組んできた緑の雇用などについても、その背景となる状況が大きく変化しようとしています。緑の雇用が生まれてきた社会的背景を考えてみると、それは、そもそも我が国の経済情勢などが深く関係するものであり、経済不況の中で失業者が増加し、雇用対策の必要性が叫ばれる中で、国の後押しを受けて生まれてきた政策であります。そこでは、経済が持ち直し、雇用環境も改善される中では状況が大きく変わる可能性があります。
 そういった中で、もう一度、これまでの森林・林業施策全般を見渡しつつ、どのようにすれば将来にわたって安定的に継続して緑の雇用事業なども含めた森林整備事業を推進していけるのか、施策全体としてとらえ直すことが必要だと考えます。
 そこで、まず知事に、現在まで和歌山県が行ってきている森林保全、森林整備といった視点から見た環境問題への取り組み状況について、緑の雇用なども含めて、その評価をお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて農林水産部長に、今、国でも森林業に関する施策そのものが方針転換される中で、その考え方をともにするのであれば、公益性を前面に出す環境保全の意味合いがより大きなものとなってきます。そこでは、現在県が進めているさまざまな環境保全に係る事業と従来から行ってきている林業施策などについて、それぞれ積み上げ式に取り組んでいくだけではなく、この辺で整理するタイミングに来ていると思われます。これまでの事業の整理、再編について真剣に考えていかなくてはいけないものと思いますが、部長の御認識をお聞かせください。
 さて、次に国の取り組む環境税問題について。これは県の森林政策、環境保全事業の再編整備といったことにも大きくかかわる問題ですので、私なりの考えを述べ、あわせて質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
 まず、そもそも国の環境税が議論される状況を改めて確認してみると、それは、当然ながら目前に迫られている京都議定書への対応が大きな理由となっています。地球温暖化防止のための京都議定書が発効され、温暖化ガスの排出抑制策が関心を集める中で、税の世界として、石油、石炭など化石燃料に課税して温暖化ガス排出を抑える環境税が議論されるものであり、京都議定書の目標達成に向けた強力な手段と位置づけられています。
 京都議定書の温暖化防止の目標達成に向けた対応としては、大きく二つあります。一つは二酸化炭素の排出削減に向けた対策であり、もう一方は二酸化炭素を吸収して全体の排出量を抑えようとするものです。これには、吸収源となる森林などを整備して二酸化炭素の吸収率を高めることが期待されます。
 このように、温暖化防止には排出対策と吸収源対策が二本柱となるわけですが、その中で環境税は、税をかけることで排出を抑制し、その財源をもって吸収源となる森林を整備していくという二つの役割を同時に担うこととなる大切なものです。このポイントをしっかり押さえておくことが重要です。そこでは、吸収源となる豊かな森林を抱える私たち地方の自治体として早期に環境税を成立させることが県益にかなうものであり、そのための積極的な行動が求められます。
 ちなみに、この二酸化炭素の削減には、特に吸収源対策の期待が大きなものとなっています。現在、日本政府が掲げる六%の削減目標の中で、その半分以上となる三・九%の削減を森林に頼ることが予定されているのです。
 しかし、我が国の森林の状況は、皆様も御存じのとおり、その生業としてきた林業が低迷し、このことから間伐などの手入れが行き届かず、モヤシのように細く災害にも弱い森林がふえ、今のままでは日本が予定している三・九%の二酸化炭素の吸収源としての機能を十分に発揮することができないと指摘されています。
 日本の林業が厳しい状況にある中では、国民の理解を得つつ、国や地方公共団体などの予算措置による森林整備を行っていかざるを得ないわけで、そのためにも環境税の早期導入及びその税収のできるだけ多くを森林整備の財源として地方に分配するよう、国に対して強く働きかける必要があります。そんな中、県も、さきに行った政府要望において財源の確保を要求しています。
 こういった状況を理解した上で、次に、現在の環境税成立に向けた議論を整理してみますと、今、国では環境税に対する議論が活発になり、特にここ一、二カ月のやりとりは、最後の取りまとめを前にして激しい攻防がなされる状況にあります。
 まず、環境省は先々月の十月末に、来年度税制改正で導入を目指す環境税の具体案を取りまとめました。これは、石油、石炭などの化石燃料に課税し、その財源は森林整備や企業の省エネルギー促進などに充てるというものでした。しかし、これに対して政府の税制調査会では、先月の十一月二十二日の総会で二〇〇六年度税制改正の答申案をまとめていますが、その中身を確認してみると、環境税については引き続き検討するとし、来年度の導入を見送る方針を明らかにしています。
 この政府税制調査会の方針が出された背景には、産業界、経済団体などからの強い要請があります。経済団体等は、あくまでこの環境税を経済の活力をそぐものとして反対する立場をとっています。しかし、果たして本当にこの環境税がそんなに経済の足を引っ張ることになるでしょうか。エネルギー源を化石燃料から新エネルギーなどに転換させるということには、長い目で見て、高い技術力を持った日本などの国ではむしろプラスになるといった見方があります。これは経済界の中からも漏れてくる声です。
 先日、最年少で経済同友会の副代表監事に選任されたフューチャーシステムコンサルティングの金丸恭文さんを御紹介いただき、お会いしたのですが、そこでも同じような指摘がありました。二十一世紀の経営者は環境を意識せずに会社を存続させられない、環境問題に積極的に取り組むのは今の経営者の使命だと思う、逆に環境を意識することで大きなビジネスチャンスをつかめる時代であると話されていました。自動車産業などでも、低燃費車や低公害車など環境に配慮した車を開発することで、消費者から支持を得て競争力を高めている状況があります。
 二十世紀の経営は環境にコストをかけるのはマイナスと考えていましたが、そういった主な主張国であったアメリカなどは環境技術でおくれをとり、一面では厳しい立場に立たされている現実があります。あくまで二十一世紀の経済は、単に環境を重視することでマイナスになるものではなく、逆に大きな利益につながる可能性があり、環境と経済の統合こそが二十一世紀の経済構造のベースになるとも指摘されているところです。また実際に、ここ最近のエネルギー価格の上昇局面で原油価格が二倍以上に値上がりしても日本の景気は後退することなく、経済も成長軌道に乗せられている状況を見ると、やはり短絡的に環境税が即座に経済にブレーキをかけるという議論には疑問符がつくものと思います。
 さて、それでは国民の意識としてはどういった反応が出ているでしょうか。先月十一月二日の「日経産業新聞」で、環境税に関しての意識調査の結果が発表されていました。そこでは国民の環境税への関心は高く、「環境税を知っているか」という問いに対して、「よく知っている」二三・一%、「聞いたことはある」六三・五%と、認知度は九割に迫る勢いとなっています。また、「よく知っている」「聞いたことはある」と回答した人を対象に環境税導入の賛否を聞いたところ、「賛成」が六九・八%に達し、全回答者に占める割合でも七割近くの人が環境税の導入には賛成しているという結果が示されていました。ただし、その中で国民からの不信が向けられている先としては、「使い道が不透明」という答えが一番多く、三三%となっております。環境税の使途を明確にしておくことは、国民的な理解を得るためにも最低限の条件となるものであり、我々にとっても環境保全への財源配分を明示させることが大切です。
 そこで、こういった状況を踏まえて幾つか質問させていただきたいと思いますが、まず環境税の成立は、これまで述べてきたように、和歌山にとっては非常に重要な意味を持つものであります。今後は、特に環境保全、森林整備に取り組む県単独の財政も厳しくなる中で、何としても環境税を早期に実現させていくことが望まれます。そこでは、あくまでこれを国の問題として横から眺めているのではなく、環境税の成立に向けてはこれまで以上に積極的に発言をしていくことが期待されます。
 また、あわせて、今まさに環境税の議論が白熱する中で、これを何としても実現したい環境省としては、その成立の条件となる経済界との同意を得るために、税収は省エネ技術の開発支援などに充てるといった論調を強めています。そこでは、単に環境税で得た税収をバーターの取引でその多くを産業界に戻そうとする極端な意見も見受けられるようになっています。これは、私たち地方にとっては看過できない事態です。この環境税の問題を単に経済問題に矮小化されないよう、和歌山県も先頭に立って地方の意見を取りまとめて発言していくことが大切だと考えます。
 そこで、まず知事にお伺いいたしますが、現状における環境税の議論についての認識、見通し、そしてそれへの対応についてどのように考えておられるのか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて、私は、環境税の成立に向けた後押しとその税の分配については、地方における当然の権利を強く主張していくべきだと考えます。今の時期では、法整備に係る国の議論に地方からどれだけの声が届くのかは不安ではありますが、しかし、環境税が先送りされる事態も想定される中で、少しでも将来につなげるためにもここで和歌山県なりの考えを明らかにして、しっかりと発言しておくことが非常に大切なことだと考えます。ぜひ和歌山県独自の主張を明確に打ち出すとともに、全国の知事会などを通じて国の環境税問題に積極的に発言していくことを期待しますが、あわせて知事の御所見を賜りたいと思います。
 さて、続きまして、これも地域にとって大きな課題となっている地域の安全・安心を守る取り組みについて。
 地域の安全・安心を守っていくことは町づくりの基本となるところですが、先日も、広島県、栃木県で立て続けに子供がねらわれる不幸な事件がありました。被害を受けられた子供さん、御関係の皆様には、心からお悔やみ申し上げます。私も小さな子供を抱える親として、このような事件を耳にするたびに本当にやりきれない気持ちがします。何としても私たちの努力で安全・安心な町を築いていかなくてはいけないと思います。
 さて、こういった凶悪な事件が起こるたびに地域住民の不安も高まり、安全・安心を求める声が大きくなります。しかし、本質的には、そのような凶悪犯罪が起こったときだけ急場の対処を行うのではなく、日常から防犯に対しての積極的な取り組みが望まれます。そこでは、治安を守るべきかなめとなる警察の努力に期待するわけですが、同時に地域社会全体として防犯力を高める必要があるのだと思います。
 そこで、今回は、地域の安全・安心を守るためにどのようにして防犯力を高めていくのかといったことについて、幾つかの提案と質問をさせていただきたいと思います。
 さて、今まで日本は治安のよい安全な国だという印象を国内外で持たれてきました。しかし、最近では、テレビや新聞を見ても凶悪犯罪が毎日のように報道されており、この和歌山でも例に漏れず凶悪な事件が発生する状況となっています。先日も、和歌山市の盛り場で、週末夜、たくさんの人出がある中で発砲事件が起こりました。近くを歩いていた一般の方も巻き添えとなり流れ弾が当たるという報道を見て、これには多くの人が驚き、恐怖を感じたものと思います。
 町の繁華街、盛り場は、やはり安全・安心に遊べてこそ町の魅力となるものであり、県外からの大切なお客様、来訪者に対しても危険なイメージを持たれることは、地域にとって大きなマイナスとなります。あくまで、住んでみたい、行ってみたい町の条件は、安全・安心に生活ができ、訪れることのできるのが一番の条件であり、各種の町づくり政策は安全・安心の上に成り立っています。
 ちなみに、和歌山での犯罪の発生件数を調べてみると、この十年間で全国的には増加していながらも、和歌山県では、平成十三年に戦後最高の二万四千件を超えた後、少しずつ減少していて、現在は一万八千件となっています。これは非常に喜ばしいことであり、警察の努力には敬意を表しますが、しかし、ここで気を緩めることなく、さらに治安をよくし、住民の安全・安心を守っていってもらいたいと思います。
 そこで、まず新たに警察本部長に就任された辻本部長から、和歌山の現状における犯罪発生状況の認識と、あわせて治安の維持向上に向けたお考え、決意などについてお聞かせいただきたいと思います。
 さて、平成十六年度版の「警察白書」では、「地域社会との連帯」と題する特集が組まれています。そこでは、治安回復のかぎは警察の諸活動を地域社会と密着したものとし、また、いかにして国民が自主的に行う防犯活動を促進していけるかだとされています。そのための取り組みとして、地域住民と警察との協働の事例を紹介することとあわせて、交番機能の強化や自主防犯活動の支援等の新たな取り組み例が数多く示されていました。その中で、特に私は交番・駐在所に係る問題について提案をさせていただきたいと思います。
 「警察白書」でも、今後は交番機能の強化を積極的に図っていくこととしています。これは政府でも、犯罪対策閣僚会議が平成十五年十二月に策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画において交番機能の強化を掲げ、政府を挙げて取り組むものとしています。こういった方針に沿って、多くの自治体でも交番機能をこれまで以上に強化していくことが検討されています。
 そんな中で、交番の再整備、再配置、並びに交番機能の充実として交番相談員などへの対応についてお伺いしたいと思います。
 町は生き物であり、その時代、時代によって人の住む場所、集まる場所、また商売が活発に行われる地域など、そのあり方を変えていきます。そういった中では、当然交番・駐在所の所在地についても、新しく変化する町の実情に合わせて配置がえしていくべきだと考えます。
 一例として、先ほど発砲事件のところでも触れましたが、和歌山市内の繁華街、盛り場で考えてみると──これはお手元に少し資料を配らせていただいているんですけれども、和歌山を代表する最大の歓楽街である新内というのが大体この赤い印で示されているんですけれども、その周辺には四つの交番が配置されています。その中でも一番中心となるのが、向かって一番左側、真ん中の左側にある大新公園の交番になるんですけれども、しかしながら、この盛り場をケアする交番としてほとんど人通りのないところに置かれているということについては率直に疑問を感じます。──これ、写真を撮ったのは夕方になるんですけれども、夜の写真も撮ったんですが、余り腕前がよくなかったんで、うまく写すことができませんでしたので、ちょっとこの夕方の写真で御確認いただきたいんですけれども──もともと人通りがそんなに多いところでもない、繁華街の盛り場の中心からも外れているというところに立地しております。
 そういった状況というのを確認してくる中で、私も現場に立って状況も確認してきたのですが、とにかくこれでは、盛り場から緊急の要請があっても距離があり過ぎてすぐに駆けつけることはできません。また、あわせて、これは防犯上の観点からも検討の余地があると思います。
 他の町を比較して考えてみると、多くの地方の中核都市などでは、盛り場の中心に交番を据えて外から来るお客様にも安心感を与えています。和歌山の場合も、昔は大新公園の交番が盛り場の中心にあり、その機能を担っていたようですが、しかし今、時は流れて、盛り場の中心も東に大きく移動しています。よって、現状であれば、図の中でもちょっと示しております柳通り沿いなど──赤い印を入れておりますけれども──その新内の真ん中あたりに配置できれば大きな効果があるものと期待します。これは、強く要望しておきたいと思いますが、そのほか、県下全域をとらえて、この交番・駐在所の配置の見直しについて、いま一度御検討いただきたいと思いますが、本部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、この交番の件でもいろいろ勉強させていただく中では、人員の問題も検討する余地がありそうです。現在、県としては県庁全体で人員を減らす中でも、警察だけは増員していく方向で取り組んでもらえています。これは私も歓迎すべきことだと思いますが、しかし、新人採用をどんどんふやしていく対応だけで済ましていくということには限界があります。そこでは、警察業務を補助していただける非常勤扱いの、例えばOBの方などの配置についても、より一層積極的に取り組んでいくことが大切だと考えます。
 今年度以降、特に和歌山県警の退職者数については、年間百名前後の大量退職者が見込まれていて、向こう十年間で、県内で勤務するすべての警察官の約四割が入れかわることが予測されています。そこではベテランの人たちが続々と引退することになり、これまでの経験という貴重な財産も失われてしまう可能性があります。そういった視点も含めて、退職された方を各交番などに配置して交番相談員といった形でお手伝いいただく中で、その経験、知識を若い警官に受け継いでいくことは非常に重要な取り組みだと考えます。
 そこで、これまでも相談員といった形でOBの再雇用を図ってきているようですが、その効果をどのように考えておられるでしょうか。また、交番相談員を増員し、交番業務を強化する取り組みと、あわせて警察OBの再雇用に係る今後の人員確保の計画、見通しといったことについて、これも警察本部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、民間交番の設置についてお尋ねいたします。
 この民間交番とは、警察と地域の防犯協会、地域住民などが協力してパトロール活動などを行う場合の拠点施設となるものであり、全国でも数多く設置されています。警察官や地域住民が立ち寄って地域における犯罪、事故等に関する情報の交換を行うとともに、地域の防犯力強化に大きな効果があると言われています。
 私は、今後、地域の防犯力を住民の皆さん、各種団体の力もかりながら高めていくためには、この民間交番といったものは非常に有効なものだと考えますが、まだ和歌山県では設置の例がないようです。この民間交番の設置について、あわせて警察本部長よりお答えいただきたいと思います。
 この質問の最後に、今後は警察だけに頼らず地域社会全体でどのように防犯力の向上に取り組んでいけるのかが問われるものとなっている中で、現在、和歌山県では、住民、行政、そして警察も協力する形で、和歌山県安全・安心まちづくり条例といったものを制定し、地域の防犯力を高めていこうとしています。
 この和歌山県安全・安心まちづくり条例については、先日、パブリックコメントによる県民からの意見集約も終わり、現状では条例制定に向け急ピッチで作業を進めているものと思いますが、この条例は地域全体として安全・安心な町づくりに取り組む一つの指針となるもので、非常に重要なものだと私自身考えていますが、その進捗状況とあわせて、今後の条例制定に向けた見通しなどその概略について、これは担当である環境生活部長から御説明願いたいと思います。
 さて、最後の質問です。
 産業振興に係る提案として、マーケティング部門の積極的な活用から産業振興財団の充実について。
 この十二月議会では、来年春の組織がえを前にして組織の変更を考える上では非常に大切なタイミングとなりますので、この機会をとらえての質問とさせていただきます。
 これまでマーケティングに関する和歌山県の取り組みは、その設置の先見性と配属されている職員さんの頑張りを見る中では、率直に感心し、評価しているところです。そもそも「マーケティング」とは、商品、サービスを市場へ流すための企業活動を広く指す用語であり、「マーケティングリサーチ」「市場調査」などは日常的にもよく耳にする言葉です。特に今の時代に、サービス、製品を提供する側の論理ではなく消費者サイドに立った視点がますます重要になってくる中ではこれまで以上に力を入れていく必要があり、民間企業などでは、今、一生懸命マーケティングの強化に取り組んでいるところでありますけれども、民間企業のみならず民間企業のお手伝いをする行政にとっても、今後その重要性はさらに大きなものとなります。
 今、マーケティングに対する期待がますます大きくなる中で、各自治体においても、競ってその取り組みが強化されようとしています。
 兵庫県では、ひょうご産業活性化センターというものを設置している中で、ことしの六月、神戸市内で中小企業の商品開発、販路拡大を支援するための会議を開き、マーケティングに力を入れていくことを確認しています。そこでは、商社、メーカーのOBや中小企業診断士ら約百人をマーケティングナビゲーターとしてセンターに登録して、県内の中小企業に販売代理人として紹介する仕組みを検討しているとのことです。
 また、石川県産業創出支援機構などでは、二〇〇五年度から、販路開拓を希望する県内中小企業を一社ごとに個別支援する事業を始めています。従来の見本市や商談会への参加促進、販促経費補助などでは、まだまだ取り組みが十分ではないとの認識に立って、製品や事業分野の特性に合わせて、よりきめ細かく支援する体制をつくっています。
 さて、このように各自治体でもマーケティングに関連する取り組みが加速されようとする中で、和歌山県のこれまでの取り組みは時代を先取りしたもので、時宜を得たものであったと考えますが、しかし、そろそろ中身も見直す時期に来ているようです。現在、県庁内でもこのマーケティング部門の今後のあり方についてはいろいろと議論されているものとは思いますが、私自身としては、その企画立案部門と実施部隊については区分して、特に実施部隊については民間に近いところで、もっと効果的に活動できるよう切り離していくことが大切だと考えています。
 あくまで県としては、職員みずからが専門家になれるわけではなく、また県庁自体が商社となるものではありませんから、マーケティングの専門的な知識、経験を持った民間人の力をかりる方策に知恵を絞り、県内の中小事業者の皆さんをどのようにつなげていくのかということをもっと戦略的に考えていくべきだと考えます。
 そこで質問ですが、今回はマーケティング担当課と産業振興財団の連携について、この一点に絞り提案をさせていただきます。
 今後は、このマーケティング担当課について、これを県庁内の一つの部署として置いておくのではなく、より外向きに機能させていくことが大切だと考えます。そこでは、外部との接触をよりスムーズに図れる場所として産業振興財団の中にマーケティングを持っていき、さらに有効、効果的な役割を果たしてもらいたいと期待するところです。
 前回の議会でもお話ししたように、現在、汀丁の経済センタービルにある産業振興財団は、民間の優秀な人材を得て、その活動を一気に広げているところです。そんな中で、新たにこのマーケティング機能を財団内に移し、産業振興を図る拠点としての位置づけをより明確にしていくことを望みます。あわせて、民間から有能なマーケティングの専門家である人材を受け入れ、もしくは、そういった外部の人材を活用する方策を検討することで産業振興財団の役割も増し、大きな成果が得られるものと思いますが、いかがでしょうか。これは、商工労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
 以上で、私の一問目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県の環境問題への取り組みについての御質問ですが、こういうふうな時代でございますので、和歌山県はこれから観光体験・環境体験と、K・K体験で行こうかというふうに思っているところでございます。
 そういう中で、緑の雇用というふうな事業を進めてきまして、そしてまた企業の森ということ、こういうふうな和歌山県が持っている森林というものに着目して、これを環境保全の観点から一つの大きな施策にしていこうということでいろいろ成果を上げてきたところでございます。
 そしてまた、これにあわせて、ちょうど時期的にも高野・熊野が世界遺産に登録され、そして最近では串本のサンゴがラムサール条約に登録されるということで、こういうふうな施策とそういうふうな自然環境とがちょうどうまくマッチして、和歌山県が環境の県というふうなことをこれからもっと押し出していけるような素地が整ってきたのではないかと思っております。
 そういうことで、例えば企業の森制度については、ただ単に企業に和歌山に山を持ってもらうというふうな今までのことから、さらに広げて、その活動というものが、どれぐらいのCO2の吸収量になっているのかということを県として公的に認定するような制度をつくってもっと多くの企業の参画を求めていくことや、それから、緑の雇用についても、もともとは非常に雇用不安があった時期に、その中山間で、山の仕事で雇用をつくるというふうな観点から出発したわけですが、経済情勢が変わってきたというふうな中で、むしろ積極的な環境維持の担い手としての緑の雇用というふうに徐々に考え方の重点というふうなものを移していって、経済が立ち直った時代にもなお非常に大事な緑の雇用であるというふうな方向へ持っていきたいと、このように思っているところでございます。
 次に、環境税についてでございますが、環境税については、御案内のように昨年度から環境省が導入に向けていろいろやっているんですけども、産業界との対立が相変わらず解けないで、なかなか導入にまではいかないというふうなところです。
 石油製品に課税するということを考えているわけで、今、石油がどんどん値上がりしているというふうなことの中から、そういう意味では非常に環境が悪いというふうなこともあるのかもしれませんけども、いずれにせよ、この税がCO2吸収源対策ということを大きな柱の一つにしているということから考えると、和歌山県なんかが進めている企業の森とか緑の雇用とか、こういうふうな施策と非常にマッチしてくるというふうなこともありますので、環境税については、これが導入されることになった場合、地方へ大きな財源として移されるような形のものになるような努力というふうなことをしていかなければならないし、そしてまた、配分されるということになった場合には、例えば森林の面積とかそういうふうなもの、いわゆる環境に大きな影響のあるものを基準として配分されるような仕組みというふうなものもこれから積極的に提言していきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 森林環境保全に係る施策の整理、再編についてでございますが、議員お話しのように、国におきましては、平成十三年度に森林・林業基本法を制定し、森林の重視すべき機能として水源涵養、生活環境保全、木材等生産の三つを掲げ、それぞれに応じた適切な森林整備を推進する政策へと再構築をされたところでございます。
 これを受けまして、本県におきましても、森林の公益的機能の発揮のため、水土保全林整備事業を重点的に取り組み、そのうちの水源涵養機能の保全に重点的に努めてまいるとともに、先ほど知事も申されておりましたが、緑の雇用事業等による環境林整備をあわせ推進をしているところでございます。
 そうした中で、議員御承知のように、歴史・文化遺産周辺の森林環境の保全でありますとか人工林の混交林化、また広葉樹林化を図り環境保全に貢献する森づくりに取り組んでいるところでございます。
 このように、これまでも事業の見直しや重点配分を図り、林業施策に取り組んでまいったところでございますけれども、今後とも事業の見直しもあわせ行いつつ森林の環境保全に向けたさまざまな取り組みを展開し、森林の持つ多面的な機能の発揮に努めてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 安全・安心まちづくりの条例案についてお答えを申し上げます。
 議員の御質問にもありましたように、昨今のさまざまな事件、これらを見るときに、改めて県民の安全・安心の確保、これの重要性を認識しているところでございます。現在、各分野の有識者から成る和歌山県安全・安心まちづくり条例検討委員会を設置いたしまして、これまで種々御議論をいただいているところでございます。
 この条例案の目指すべきところは、家庭や地域における相互扶助の精神、あるいは自主的な防犯活動等による良好な地域社会の形成を基本理念といたしまして、安全で安心して暮らせるという県民共通の願いについて、警察力での防犯活動の強化のみならず、行政、県民、地域活動団体及び事業者が連携して推進しようとするものでございます。具体的には、学校、通学路等の児童生徒の安全の確保、あるいは高齢者や障害者等の見守り、安全に配慮した環境の整備など、ハード、ソフト両面から取り組むことを内容とする予定でございます。
 進捗状況につきましては、去る十月にパブリックコメントを実施いたしまして、そこでの御意見を参考に最終条例案を取りまとめた上、来年二月議会に上程し、御審議をいただく予定でございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 議員御提案の県産品の販路開拓における専門的なノウハウの導入につきましては、極めて重要だと認識をしてございます。そのため、現在、県職員を、流通小売業最大手で、しかも商品の品質管理等に極めて厳しいイトーヨーカ堂に業務派遣をし、マーケティングノウハウの習得に努めてございます。さらに、商品開発、流通、販売促進、デザイン等の専門家をアドバイザーとして県内の生産・製造業者に派遣をしますアドバイザー派遣事業もあわせて実施をいたしております。
 現在、わかやま産業振興財団では県内中小企業の支援機関として中核的な役割を果たしており、県産品のマーケティング強化につきましても、そうした実践機関で、しかも、できるだけ生産者に近いところでその強化を図ることは大変重要なことと考えてございます。
 これまで、ブランド推進局と財団では、合同商談会の開催や定期的な情報交換会議など緊密な連携を図り、一体的な取り組みを行ってきております。今後とも、県産品の販路の開拓、拡大及びブランドの確立のため、関係機関との連携をより一層強化するとともに、そのための組織体制についても検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) まず、本県の現状における犯罪発生状況についてお答えいたします。
 ただいま議員からもございましたが、平成十年に初めて二万件を超えました刑法犯認知件数ですが、平成十三年にピークを迎えました後、年々減少し、平成十六年では一万八千七百四件、平成十七年、本年十一月末現在では一万五千三百三十二件となっております。しかしながら、刑法犯認知件数は減少しているとはいえ、昭和の水準と比較いたしますと依然として高い水準にあることには変わりがございません。
 また、九月二十六日に発生いたしました阪和自動車道における連続エアガン発砲事件や十月二十二日に新内で発生した銃器使用殺人未遂事件など、多くの県民に不安感を抱かせる事件が依然と発生しております。
 さらに、最近では、広島県、栃木県で相次いで子供が犯罪の被害者となる事件が発生しておりますが、最近公表されましたわかやま県民意識調査の結果を見てみましても、県民が不安に感じる犯罪として子供に対する虐待やわいせつ事件が第一位に挙げられており、この種の事案に対する県民の関心の高さをうかがわせております。
 そこで、警察といたしましては、治安の回復に対する県民の期待と信頼にこたえるため、力強い警察を構築し、安全で安心な和歌山を目指していきたいと考えております。
 さきに述べましたエアガン発砲事件及び銃器使用殺人未遂事件につきましては既に検挙いたしておりますが、今後とも悪質、重要な犯罪の徹底検挙に取り組むとともに、地域住民や関係機関、ボランティア団体等と協力した子供の安全確保や繁華街対策等に取り組み、県民の不安感を一掃することに全力を挙げてまいりたいと思います。
 次に、県下の交番・駐在所の配置見直し等についてお答えいたします。
 これらの見直しにつきましては、地域の治安情勢やその推移、隣接する交番・駐在所・警察署からの距離関係、耐用年数や建設地としての適地の確保などを総合的に勘案しながら進めております。
 議員御指摘の和歌山市内の繁華街を受け持つ新内周辺地区は、現在、大新交番を含め四つの交番で事件・事故に対応しているところであります。特に事犯の抑止と早期検挙を主眼に、事件・事故が集中する夜間には、隣接交番との合同による制服警察官のパトロール強化やパトカーの集中運用に努めています。また、発生した事犯等に応じて、隣接する警察署からの支援体制や機動捜査隊、機動遊撃隊などの機動力を生かして警戒態勢等の一層の強化を図っているところであり、同地区内における刑法犯の認知件数は、平成十三年をピークに大幅な減少を見ているところ──具体的には、十三年、千九十件が、昨年、十六年は六百二十七件となっておりますが、そういう状況にございます。
 いずれにいたしましても、交番・駐在所の配置見直しにつきましては、先ほど申し上げました諸事情を勘案しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、御質問の交番相談員についてお答えいたします。
 現在、交番相談員は、県下十四警察署、四十四交番に四十九人配置いたしております。まず、配置の効果につきましては、パトロール等のため警察官が不在がちになり不便をおかけいたしておりましたけれども、交番相談員の対応によりまして地域の方々から好評を得ているところでありまして、交番機能の強化の一翼を担っていただいております。
 また、議員御指摘のとおり、交番相談員の方々には、豊富な警察経験等を生かした青年警察官に対する伝承教育など、現場における育成指導についても貢献していただいております。
 交番相談員につきましては、本年度は十三人の増員をいただきましたが、平成十八年度、平成十九年度にも同規模の増員をお願いしていきたいというふうに考えております。
 続きまして、いわゆる民間交番についてお答えいたします。
 自主防犯団体の活動拠点や地域の駆け込み寺的な存在として、全国的には、東京都を初め数県で、廃止の交番・駐在所や空き店舗及び自治体などが建設した施設を活用して設置されていると承知いたしております。この施設は、地域住民や警察官が立ち寄って、事件・事故に関する情報交換や情報の発信活動のほか、自主防犯団体の待機場所などとして活用されており、地域の安全・安心ステーションとして貢献しているものと認識しております。
 本県につきましては、「民間交番」という名称は使われておりませんが、現在、県下には百二十九の自主防犯組織があり、それぞれ市役所の支所や公民館などの自治体施設や地域の集会所などを拠点として、情報交換、情報発信、集合・待機場所などとして有効に活用されております。
 警察といたしましては、これら活動拠点に対する立ち寄り、事件・事故に関する情報の提供及び自主防犯団体との合同パトロールなど、今後とも積極的な支援活動を行ってまいりたいと考えております。
 また、民間の防犯力をより高めるために、各自主防犯団体等と協議しながら民間団体の拠点整備についても今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分十九秒であります。再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十三分散会

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