平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 第一の柱は、JR黒江駅の段差問題についてのその後の報告と要望であります。
 私は、六月県議会でJRの安全対策を取り上げ、黒江駅のプラットホームと列車の段差が大きいということを問題にしました。担当の企画部長は、私の質問通告を受けてJR黒江駅に足を運ばれ、そして、バリアフリー法を活用するのがいいのではないかと前向きの助言をいただきました。
 この問題は、これまでも、地元自治会でも生徒が利用する智弁学園でも課題としてきたものでありましたが、なかなか前に進んでいませんでした。しかし、県議会で企画部長が前向きに答弁してくださるということは大したものであります。海南市を含めて、一気にほうっておけないという機運が高まりました。海南市長も積極的にJR支社に働きかけをされました。JR黒江駅に行ってみますと、駅員さんがおっしゃいます。「この間、和歌山支社から偉いさんが来て、なるほど、段差が大きいなと言って帰りましたよ」というようなぐあいであります。地域でも、皆さんが署名を集めて支社にお届けもしました。
 ところで、ここに一つの問題が起こりました。バリアフリー法を適用しようとすれば、バリアフリーの大がかりな計画を立てて、駅とその周辺の全面的な改修をしなくてはなりません。しかし、今住民の皆さんが緊急に求めているのは、プラットホームのかさ上げであります。今、JR和歌山支社と海南市の間でも、問題解決のための協議が始まっているとお聞きしています。
 私も三日間続けて通勤時間にこの駅前に立って署名を訴えましたが、海南市だけでなく、和歌山市にお住まいの方も多く利用されます。今年度で乗降人数は一日五千人を超すと考えられるのですが、来年、再来年と智弁学園の児童数が八十人ずつふえ、控え目に見て八〇%がJRを利用すると見ても、往復で二百五十人もふえることになります。こういう中でありますので、県におかれましても応分の御支援をよろしくお願いしたいと思います。
 以上は、報告と要望であります。
 第二の柱は、教育の問題です。
 子供と教育の問題といえば、今、小学校一年生の女の子が殺害されるという痛ましい事件が続いています。県民ぐるみで子供を守らなくてはなりません。そのことはまた文教委員会でも議論するとしまして、それはさておき、きょうは学校現場での講師などの教員の問題についてお伺いをしたいと思います。
 ある職場で若い女性の先生が妊娠されました。同僚は当然「おめでとう」と言うところです。けれども、その言葉が詰まってしまったと言います。なぜかというと、その先生は一年間その学校で勤める予定で担任も持っていたんですが、出産と同時に退職しなくてはならないことになるからです。講師の先生だからです。
 学校現場には、本来、正式の教員が採用されるべきであるのに、必要な人数の教員を採用試験で合格させずに、試験で合格していないことを理由に講師として採用されている教員が数百人いると見られています。これを私たちは「定数内講師」と呼んでまいりました。県議会で定められた教員定数の枠内、文部科学省が定めた国庫負担の枠内、議会で認めた予算の枠内でありながら、教育委員会が教員採用試験の枠を絞って採用対象者を確保をしていないために、免許証を持ちながら講師として採用されている方が多くいるわけです。
 今、学校現場では、若い先生が大変少ないのです。小中学校について、人事委員会が作成した資料で見ますと──二十二歳から五十九歳まで、三十七年間あります。その期間を仮に四つに分けてみると、二十二歳から三十一歳まで、期間としては四分の一ですが、その期間の中にいる教員の数をパーセントではじいてみると、約五%程度しかいないわけです。
 学校現場が救われているのは、その年齢層に講師の先生が数百人いるということによってであります。しかし、その若い先生方は、来年は採用されるかどうかわからない、子供と取り組みをしながら採用試験のことを気にしなくてはならない、結婚していても子供を産むこともできないという、大変不安定な状況に置かれているわけであります。
 今、中学校では、運動部活動を持ってくれる若い先生が少なくて大変という管理職の方からの悲鳴が出されています。部活動に限らず、若い先生というものは、児童生徒との年齢差が小さいために、子供たちに溶け込みやすいという特別の教育力を持つものです。ベテランの先生の経験や教育的力量、若い先生の未熟ではあっても子供と溶け込む力、女性の先生の優しさなど、さまざまな先生の特性がハーモニーをつくって学校を構成します。このことは、自分の小学校時代、中学校時代に接してこられたさまざまな先生への思い出から御理解いただけることと思います。
 今、団塊の世代の退職問題があって、優秀な教員を確保することが大きな問題になっています。大阪府が近県から教員の引き抜き採用することについて和歌山県の教育委員会が抗議したこともありましたが、今のままでは、和歌山県で定数内講師として経験を積んだ優秀な教員が和歌山に就職できずに大阪に引き抜かれるということが起こっているのではないでしょうか。
 そこで、教育長に質問いたします。
 第一点、学校現場で働いている、私が定数内講師と呼んだ先生は何人おられるのか。
 第二点、教員採用枠を広げれば定数内講師でなく正式採用の先生を入れることができるわけですが、そうしない理由は何なのか、明らかにしていただきたいと思います。
 第三点、定数内講師、その他講師など、働く者の権利をどう保障されているのでしょうか。すべてお答えいただけないと思いますので、母性保護と少子化問題にかかわって重要な問題である産前産後休暇、育児休暇及びその補充教員の配置などについてお伺いいたします。
 第四点は、教員採用試験の問題にかかわっていえば、何回も一次試験に合格し、補充教員や定数内講師として苦労してきていながら、二次試験で何回も落とされているという方の話を多くお聞きします。一方では、初めての採用試験ですいすい通っていく方もいらっしゃる。何年も学校現場で頑張っているということは、毎日毎日、子供や保護者、同僚教員や校長のいわば面接を受けているわけです。たった二十分ぐらいの面接でそういう方が振るい落とされるというのは、面接官というのはそれほど人を見分ける能力を持っているのだろうかという皮肉も言いたくなると言います。現場で試され、和歌山県の教育を支えてきた講師経験者をもっと優遇してもいいのではないかと考えるわけですが、教育長のお考えはいかがでしょうか。
 第三の柱は、河川改修にかかわる問題です。
 私はこれまでも、河川災害が心配される中で河川改修の予算が減らされていることの問題を指摘してまいりました。本日は、そのことを前提としながらも、少ない予算の中で、その予算をどう有効に利用して災害を少なくするのか、こういうことについて考えてみたいと思います。
 これまでも取り上げてきた亀の川流域、阪井の下河原という地域で、大雨が降ればすぐに川があふれるというお話をしたことがございます。実は、この亀の川というのは周辺の農地のかんがいに大きな役割を果たしてきた川でありまして、至るところに堰が設けられ、そこから田んぼに水を引くようになっています。堰の上流は当然水位が高くなり、少し増水すれば川があふれるわけであります。
 川を広くすることができれば問題はないのですが、それは簡単にはできません。それを別にすれば川のはんらんを防ぐ方法は技術的には二つあると思いますが、一つは堰の上流で堤防を高くすることです。もう一つは、堰を可動堰にするなりして、水量が多くなるときには堰を倒すなりなんなりすることです。自動的に倒れるもの、手動で倒すもの、板を挟んでおいてそれを抜くものなど、いろいろあるでしょう。もしも本当に必要ない堰であるならば、取っ払えばいいとも思います。この二つの方法に必要な予算を考えてみますと、堰をさわるのに比べて、上流の堤防のかさ上げとなると、恐らく何倍、何十倍もの費用がかかることが考えられます。
 ところで、堰を改良しようとすることになると、それは設置者である水利組合の仕事になります。水利組合がお金を出さなくてはならない。しかし、農地の宅地化が進んだ地域で水利組合の力が弱くなっている場合があります。今さら堰をさわるために水利組合としてお金を出すことは難しい。堰の中には、利用する農地が少なくなっているものもあるかもしれません。
 そこで、提案であります。河川管理者である県として、堰の問題は水利組合の問題だ、河川管理者は関係ないとするんではなくて、堰を改良したり必要がなくなった堰を撤去するなど、県としてお金を出す方法を考えてはどうでしょうか。やり方としては、河川管理者として代行する方法、あるいは農林行政の側から水利組合に補助をして堰を改良あるいは撤去してもらう方法、いろいろあると思います。上流の堤防のかさ上げをするよりもずっと少ない費用で河川のはんらんを防げる場合もあるのではないでしょうか。
 もちろん、水利権の問題というのは複雑な、難しいことはよくわかっています。しかし、この水利行政と治水行政の間に厚い壁をつくってしまっていいのかと考えるわけですが、私の提案について県土整備部長のお考えをお伺いしたいと思います。
 第四の柱は、津波対策であります。
 二月の県議会で、私は海南は県内でも一番津波に弱い町であるということを申し上げ、県下で最初の水門の遠隔操作について予算化されたことについてのお礼を申し上げました。もちろん、津波災害は行政施策だけで防ぎ切れるものではなく、地域の自主防災組織で住民が助け合って逃げることを基本にした取り組みを強めなくてはなりません。そのことを前提にしながらも、津波被害を最小にするための防災対策を急がなくてはなりません。
 海南市の場合、深い入り江に入り込むにつれて高くなる津波を防ぐための堤防を確保する必要があるわけです。串本、田辺など、南海・東南海地震が起こった場合、真っ先に津波に襲われる地域への対策はもちろん重要であります。海南市の場合は、多少は逃げる時間はあるわけですが、津波の被害を受ける地域の広さやそこに住む住民、家屋の数は、県が作成されたハザードマップによって見れば大変多いという状況にあると思います。
 ところで、私は最近、大変心配な記事を目にしました。十一月九日の朝日新聞ですが、見出しを言うと、「耐震性調査 護岸八割、未実施 会計検査院 国交省に対策促す」という見出しの記事でありました。その記事を見ると、「調査実施率一〇%以下は、和歌山県のほか五県」と、和歌山県だけが名前が上がっています。さらに、御丁寧にも「和歌山県は、堤防・護岸が想定される津波を上回る高さを確保する割合も三三%と低く」と書かれています。和歌山版ではなくて全国版であります。少し前に私は、堤防が想定される津波よりも低いという問題で、海南市は特に深刻な状況にあるという新聞記事も目にしたことがあります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一点、会計検査院が報告している和歌山県の護岸耐震調査の実施率が低いという問題をどう受けとめておられるのでしょうか。また、どう対応されるのでしょうか。
 第二点、堤防の高さの問題では、和歌山県の堤防の実態はどうなのでしょう。特に、海南市の日方、船尾、名高など中心市街地などはどうなのでしょうか。また、その対策はどう考えておられるのでしょうか。県土整備部長にお願いいたします。
 第五の柱は、さきの県議会で質問し、知事が調査を約束された「紀州藩牢番頭家文書」にかかわる社団法人和歌山人権研究所への不正支出にかかわる問題です。
 調査結果など、記者発表されました。発表資料によって私なりに整理してみますと、第一、県同和室は和歌山県部落解放・人権研究所から紀州藩牢番頭家文書編さん事業への支援要請を受けていたが、正規の補助金として予算化することは検討されなかったとされています。
 第二、平成十一年度から三年間の間、県同和室から二百九十三万一千五百円、県同和委員会から百五十二万四百円が書籍代等の名目で研究所が実質的に運営する出版社に振り込まれ、その後、研究所の編さん事業会計に振り込まれていたというふうに言われています。その際、出版社、つまり解放出版社和歌山支局による架空の請求書、架空の納品書が発行されており、県や同和委員会は名目を偽った支出表や支出調書を作成していたとして、記者発表資料にも添付されました。
 私は、前回の質問で、研究所が和歌山市に提出した事業報告書では、五百八十六万二千五百円の補助金を受け取っていることになっていることを申し上げました。それは、平成十一年から十五年までに及んでいます。その事業報告書と今回県が行った記者発表資料を比較してみますと、初年度である平成十一年度だけは金額がぴったり合うわけですが、他の年度は金額が合いません。さらに、平成十四年度、十五年度は、県は支出していないという報告でございます。
 第三、書籍代など消耗品として支出したということですが、消耗品の支出については、財務規則上、課室長の権限で行うことができた。だから、同和室長の権限で支出したということであります。
 第四、県の調査により判明した四百四十五万一千九百円を社団法人和歌山人権研究所に対し返還を求めますとしているのはいいのですが、さらに、改めて正式な補助金として同研究所に交付するための検討を行いますというふうに言われています。
 そこで、質問であります。
 まず、私が今要約して紹介しました調査結果について、大筋間違いはないでしょうか。この調査結果を踏まえて、どうしてこうした問題が起こったのか、今後どうしていくのか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 第二点、不正支出は本当にこれだけなのでしょうか。人権研究所が和歌山市に提出した実績報告との食い違いがある、それが偽りであるとしたら、人権研究所からそれにかわる信頼できる報告を受け取っているのでしょうか。
 第三点、支出した全額の返還を求めると言いますが、そのうち百五十二万四百円は同和委員会から支出したものであります。一たん県議会の議決を得て同和委員会に支出されたもの、同和委員会が解散した今、一体どこに返還するのでしょうか。
 以上二点は、企画部長にお伺いいたします。
 第四点、改めて正式な補助金として同研究所に補助することを検討するとしていますが、この出版事業は平成十五年度で終了しています。過去の事業についてどういう手続で、どういう根拠に基づいて補助を行うのでしょうか、総務部長にお伺いいたします。
 第五点、不正支出にかかわった団体の責任は全く問わずにその団体に補助するなどということは、県民の理解を得られないと思います。企画部長、いかがでしょうか。また、社団法人への指導という点で県教育委員会はどういう対応をされたのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 社団法人和歌山人権研究所への不正支出についての御質問でございます。
 今回の不適正な支出の問題につきましては、過日、調査結果や職員の処分、今後の対応などについて順次発表をさせていただいたところでございますが、改めて私からも県民の皆様におわびを申し上げたいと思います。
 この問題の原因といたしましては、これまでも発表いたしておりますが、正規の予算要求をせず、別の経費の流用を可能にしていた事務的な問題とともに、地対財特法の失効を控え、業務に精通した職員を長期間にわたり関連部署に在籍させる結果となったことによるものであると考えております。
 いずれにいたしましても、今回の問題を貴重な教訓として、適正な事務執行に万全を期することは当然でございますが、民間団体とのかかわり合いにつきましても、疑惑を招くことのないよう、より一層主体的な行政運営に心がけてまいりたいと考えております。
 なお、不適切な支出の取り扱いについては、今後返還を求めていくとともに、改めて補助金として交付することも検討し、議会の御意見を十分承りながら進めてまいりたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 堰の撤去、改築についてお答えをいたします。
 河川改修は、災害や土地利用の状況、上下流や左右岸の整備状況のバランス等、治水・利水両面から総合的に判断をし、緊急性の高い区間から進めることとしております。
 堰の改築、撤去につきましては、水利上の原因による場合は、原則として原因者の水利利用者が実施するものと考えております。一方、河川改修に伴って堰の改築等が必要になる場合は、これは河川管理者が実施することとなります。
 今後も財政状況が厳しい中ではございますが、いろいろと工夫をして、効率的、効果的な治水対策を推進してまいりたいと考えております。
 次に、津波対策についてお答えをいたします。
 まず、本県沿岸部における堤防、護岸等の耐震調査についてですが、地震・津波対策先進地域である東海・三陸沿岸各県に比べ、本県を含む東南海・南海地震関係の沿岸各県においては、調査状況が非常に低いのが実情でございます。このため、県内においては、今年度より緊急を要する箇所から耐震調査に着手したところであり、今後とも鋭意調査を進めてまいりたいと考えております。
 次に、沿岸部の堤防、護岸高さが想定津波高より高い割合は三三%となっており、海南市域においては、想定津波高さよりも高い堤防、護岸はほとんどないのが現状であります。
 今後、津波から地域の方々が安全に避難することを最優先とし、堤防、護岸、水門等の施設の補修や改良に加え、沿岸部の市町村を対象に住民の避難を支援するハード整備の計画策定を行い、津波減災対策を計画的、効率的に推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人権研究所への不適切な支出に関する三点についてお答えを申し上げます。
 平成十一年度から平成十五年度までの関係書類を徹底的に調査し、また、当時の関係者からも聞き取りを行った結果、県が研究所に対し支出したことを確認した金額は四百四十五万一千九百円でございました。
 また、同和委員会からの、その返還をどこにするのかということについてでございますが、和歌山県同和委員会の解散に伴い、同和委員会の文書や財産は県が引き継いでおりますので、今回の研究所からの返還金も県で受け入れることとなります。
 また、今回の不適切支出の責任は主に県にあると考えておりますので、同研究所へ補助金を支出することは問題ないと考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 過去の事業に補助金が出せるのかというお尋ねがございました。
 補助金につきましては、地方自治法第二百三十二条の二で、「地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と規定されておりまして、過去にさかのぼって支出する場合であっても、特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるとされております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、教職員の採用や講師の勤務条件についてお答えいたします。
 学校に配置しているいわゆる定数内講師の人数は、今年度で小中学校三百十五人、県立学校百三十五人となっております。こうした講師の多くは、少人数指導やチームティーチング、学習支援などの特別な措置として弾力的な配置を行っており、この数は毎年変動するため、正規の教員採用枠にその数をそのまま反映させることは困難であります。
 教員の採用人数については、平成十六年度からは百名を超えており、平成十八年度は百五十名が合格しております。また、採用検査に当たっては、公正・公平な立場のもと、より優秀な人材を確保するため、講師経験者に対して第一次検査の一部を免除するなどの特例を設けるとともに、面接員に民間の方を起用するなどの改善を行っております。
 なお、こうした講師に関して、育児休業は長期間にわたるため認められていませんが、産前産後の休暇は認めており、この期間の補充者を配置することもできるようにしております。
 次に、社団法人和歌山人権研究所についてお答えします。
 当該法人に対しては、本年八月に実施した定期検査に加えて、先月、再度実行委員会形式となっている牢番頭家文書編纂会に関する収支状況も調査、確認いたしました。その結果、当該法人の資産管理及び収支状況はもとより、実行委員会形式の「牢番頭家文書」出版に係る収支等についても、公益法人として不適正と判断される事実は認められておりません。
 今後、社団法人和歌山人権研究所が法人として適正に運営されていくように指導、監督してまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。再質問と要望を申し上げたいと思います。
 第一は教育の問題、特に定数内講師の人数が余りにも多いこと、採用試験合格人数との関係であります。これは再質問であります。
 県議会で定数条例を定め、予算枠を定めたわけですから、教育委員会は、その枠をいっぱいに使って教育のために努力してもらいたいというふうに思うわけです。ところが、今の話にもありましたが、教職員定数がいきなり減らされたら生首を切らなくてはならないという心配をしておられるように聞いております。
 少し専門的な話になりますが、教員の定数は、県下の学校数、学級数に従って算定されます。それに加えて、今お話にありました少人数指導などの名目で加配されている教員が四百三十人ぐらいいると言われています。この部分が変動するというふうに言われるわけです。しかし、すべて半額国庫負担の教員です。この四百三十人、そんなに大きく変動するものでしょうか。
 幾ら財政が厳しいといっても、それをばっさり切るというようなことは、文部科学省も小泉首相も言っておられないでしょう。三位一体の改革で県に任されたとしても、知事は教育は大事だということを繰り返し、繰り返し言っておられるわけですから、これを県に任されたとしても、ばっさり切ることはないでしょう。
 小中学校では、昨年は二百五十人程度の教職員が退職をしています。学校統廃合や生徒数減少による定数減がそんなに多いわけではありませんで、昨年からことしにかけての減は八十九名です。つまり、定数は八十九人減った。しかし、退職は二百五十人ある。それでも定数が減るかもしれないからというので、三百何人ですか、高校も含めたら四百五十人ぐらいになりますか、それだけの定数内講師を置いておかないと心配で心配でしようがないという、こういうことなんでしょうか。
 教職員定数がばっさり減らされるとなると、身を挺して抵抗しなければならないはずの教育委員会が、ばっさり減らされても対応できるようにして、首を差し出しているように見えるわけです。しかも、この問題で、昨年、私は決算委員会でも取り上げました。そのとき教育委員会は、定数内講師の解消に努力しているというふうに答弁されていた。そのときにも定数内講師は小中学校で三百十人でした。今言われているのは、三百十五人にふえている。こういうことになっている。いかにも多いではないか。もちろん、一遍に三百人採用人数をふやしたら、年齢のバランスがありますから、例えば一年間に五十人ずつでも減らして、全くゼロにできなくても、もう百人、二百人ぐらいは採用人数を増やすこともできるんではないかというふうに考えるわけですが、教育長から再答弁をお願いしたいと思います。
 次に、人権研究所の不正支出の問題です。
 県当局の答弁では、この間の問題での県民の疑惑を一掃するものにはとてもなっていません。この責任を亡くなった元同和室長に、すべて亡くなった方に押しつけているという感も否めないんですが、まず金額の問題で言いますと、記者発表では、確認された金額は大体四百五十万円余り、こういうふうに言われている。
 ところが、人権研究所が和歌山市に言っている金額は──県の発表では四百五十万円ですが、人権研究所は五百八十万円余りもらっていると言っている。人権研究所は県から返還を求められたら四百五十万円だけを返還するんだろうか。それとも、五百八十万円余りを自主的に返還するんだろうか。よくわかりませんが、人権研究所は県民の前に何のコメントもしていませんが、公益法人から県の助成を受けるのであれば黙っていることは許されないだろうと思います。そういうあたりが、これから県の発表、それから人権研究所がどういうふうにコメントされるのか、そういうことでだんだんと明らかになっていくだろうというふうに思っています。
 この議会だけですべての問題が解明できるわけではありませんが、さらに県民の疑惑を晴らせるようにしていただきたいと希望いたします。
 ただ、ここで一点だけ、この場で総務部長に再質問させていただきます。それは、一たん返還させておいて、その次の議会で予算化するという問題にかかわってであります。
 私は、行政法の専門家ではありませんから、素朴に、二年前に完結した事業に今さら補助金を出せるのかという疑問を持って質問をしたわけです。総務部長が今答弁をしてくれました。しかし、その答弁の中身を見ると、地方自治法の条文が引用されていますが、それは、過去のことに補助を出せるという条文でなくて、ただ一般的に補助金を出すことができるという条文の引用ですね。それで、その引用をしておいて、そして「積極的かつ合理的な理由があれば可能である」というふうにお答えになった。つまり、前に条文を引用したからもっともらしく聞こえるけども、私の質問に対して根拠を言わずに、「積極的かつ合理的な理由があればできるんです」というふうに答えただけなんですね。こんな答弁があるかという気がするわけです。何ら根拠は示されていない。
 一方で、地方自治法施行令という、つまり地方自治法の細則を決めた政令があります。その百四十三条に歳出の会計年度区分というものが定められていますね。その第一項第四号に、こう書いている。「四 工事請負費、物件購入費、運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があった後支出するものは、当該行為の履行があった日の属する年度」とされています。つまり、補助の当該行為である本の出版は平成十五年で完了しています。ことしは平成十七年度であります。この規定についてどうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに申し上げておきますと、こういう疑問があったので、私は素人ですから財政担当の方に、「私が納得できるような資料があったらくださいよ」、つまり「自治省などで出している実務の手引きでもあったら見せてくださいよ」というふうにお願いしましたら、「実務提要」というものを持ってきていただきました。これであります。(資料を示す)私は素人ですから、こんなものもらっても、どこ見ていいかわかりませんから、「どこ見ていいんですか」と言ったら附せんをつけてちゃんと「ここです」と言うてくれました。ありがとうございます。ところが、それを見ましたけど、そこには何ら、過去の年度にやった事業について補助することができるという、つまり、私が今言いました、その政令をひっくり返すものは何も書かれていない。こういうことがあるわけであります。そこで、総務部長のお考えを聞きたいんですが。
 同時に、和歌山県で過年度に終了した事業について、二年もたってから補助をしたという事例があるんでしょうか。これもお答えいただきたいと思います。行政手続として補助できるのかどうか。今後、私は、こんなに言い切るんでなくて、じっくり検討してはどうかと思うんですが、総務部長、いかがでしょうか。
 さらに、つけ加えておきますと、本当にそれが必要なんかどうかという問題にかかわってでありますが、ここから参考意見として聞いていただいたらいいと思うんですけども、この例の「牢番頭家文書」、「城下町警察日記」という本は、これは「清文堂史料叢書第百十一巻」というものとして発刊されています。清文堂という本の出版社、書店があって、そこは古文書の出版を専門的にやっておられる。その第百十一冊目がこの「城下町警察日記」という本なんですね。それまでに百十冊のそういう古文書は出されている。
 和歌山のものもあります。例えば、和歌山でいうと、田辺の古文書というのは大変有名なんだそうですが。これも、私は今度のことで友人の歴史の先生から聞いたんですが、例えば「紀州田辺万代記全十八巻」という安藤精一先生が監修されたものが出ている。あるいは、最近では「紀州田辺御用留全十八巻」というものが出ている。こういうものについて、それじゃ和歌山県はこれまで補助してきたんだろうかというんで、私は、これは文化遺産課の方へ聞いたんですが、「文化遺産課でそういうものについて一切補助したことはありません」というふうに言っておられる。県のどっかの課で補助しているか、そこまで全部聞いていませんけどね。そうしたら、そういう補助をしなくても、この「紀州田辺御用留全十八巻」、これは全部で七千五百ページあって、本体で二十一万六千円の本ですけども、ちゃんとこの本屋は出版しているわけですね。田辺市が一定の補助をしたんかどうか、それはまだ確かめておりませんが、しかし県としては、そういう補助をしてくださいという話も聞いたこともないんでしょう。
 こういう中で、本当に学術的に大変意味があるということであったとしても、本当に年度をさかのぼってまで予算化をする、そういう理由があるのかどうか、その点が大変気になるわけであります。そういう点も、もし今お答えいただいてもいいですけど、これは今後の──知事もこれから議会の意向も聞きながら判断していくということですから、その判断の資料にしていただけたらと思います。
 あと、河川の問題。これは、少し新しい角度で問題提起をいたしました。そう簡単に答えが出る問題でもありませんので、今後の施策に私の意見も参考にしていただけたらと思います。
 同時に、海岸の堤防の問題。これも大変大きな仕事ですが、今、会計検査院の方でも注目したようで、国の方でも問題意識を持って検討されているようにお聞きしますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で、私の再質問を終わらせていただきます。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 三点の再質問があったと承知しております。
 まず一つ目、年度を超えた補助が本当に可能なのかどうかという政令を踏まえての御指摘がございました。この点につきましては、地方自治法を所管しております国にも確認いたしましたが、一般論として、年度を超えていても、特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるという見解も得ております。
 政令の規定につきましては、突然のお尋ねでございますので、詰めておりませんけれども、一般的な規定であるのではないかというふうに理解をしております。
 それから、事例があるのかというお尋ねがございましたが、この点につきましては承知しておりません。
 いずれにいたしましても、私が御答弁申し上げたのは一般論で、そういうことが可能であるかどうかということでお答え申し上げたわけでありまして、先ほど知事も御答弁申し上げましたが、具体的に補助する段階で、先ほど申し上げました積極的かつ合理的な理由ということについては今後検討する必要があろうというふうに思ってございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問にお答えいたします。
 教職員の定数と採用試験の関係でございますが、教職員定数というのは極めて流動的なものであるということは、先ほど申し上げたとおりです。特に、定数内講師を配置している多くのケースは、毎年内容が変わってまいります。特別な措置という性格がまず基本的に一つあるということ。もう一つは、少子化傾向が極めて急激に進んでいる中で学級数減、これは極めて深刻な状況にあるということ、これが教員定数にはね返ってまいります。それから三つ目には、市町村合併が今急速に進んでいる中で、市町村合併の中で学校の統廃合が並行して行われているわけです。これは、それぞれの地方の状況によってやむを得ずそういう結果が出てくるわけで、そのことも見込まなければなりません。それからもう一つ、間もなく団塊の世代が退職する時期に差しかかりますけども、その定年退職の人数は、当然これは読めます。ただし、それ以前、定年に達する前に退職される方、これを若年退職者と呼んでおりますが、この方々の数字は非常に読み切れないものがあるわけです。
 そういうこともあって、先ほどお答えしましたように、仮に四百人余りの定数内講師がいたとしても、それをそのまま採用者の人数に反映させることは難しいということになるわけでございます。それらも含めながら、採用試験の際の募集人数については、より計画的に、さまざまな要素を加味しながら幅広く検討してまいりたいと思っております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 あと少し御意見だけ申し上げておきますが。
 法律の専門家で地方自治の専門家である総務部長と法律論争する気はありませんので。ただしかし、法令の文言に書いていることを、総務省が「うちの解釈はこうです」ってできるんだろうかという気はありますね。これは、私ももう少しまた研究してみたいと思うんですが。しかし、だからといって、過年度にさかのぼって支出すると決めたわけではないということですから、それはそれでいいでしょう。私が先ほど申し上げたこの古文書の出版の性格などを踏まえて、ひとつこれからも議論をしていきたいと思います。
 それから、教育長がお答えになった退職の数、あるいは定数の流動的というのは、しかし、そんなに大きく変わるわけじゃないですよ。今までから言っても、大体自然減で減ったのを除いたら、この和歌山県でも、かつて同和加配として三十五人学級で県単で持っていた分、百何人を減らしたのがありますけどね。あとは自然減での流動ですからね。あとは国の基準が多少変わるということですから、私は、ちょっとこれは納得できないということだけを申し上げて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十八分休憩
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