平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十七年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十七年十二月七日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員    守   屋   駿   二
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十二番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、少子化対策とふるさと再生の二点に絞って質問をいたします。一年ぶりの質問でもあり、緊張感を感じていますが、当局には誠意ある、わかりやすい答弁をお願いいたします。
 少子化問題はゆゆしき問題とか、将来の日本の根底を揺さぶる問題、さらには少子化問題は根が深いと最近聞かれるようになってきました。
 日本経済新聞の特集に「おらが国が消える」という見出しで、このままの日本では、村や町、すなわち私たちのふるさとがなくなってしまうという記事がありました。日本の人口が減るという事実はわかっているが、いまだ実感としてわいてこないのが現状ではないでしょうか。しかも、つい最近まで、政府も自治体もビジョンを持たず、何の手も打ってこなかったのであります。そのツケとして、長年苦労した高齢者の年金受給額の減少、医療費の負担増等、また過疎化などによる町村合併など、せざるを得なくなったと考えるのは私だけでしょうか。これらの大きな原因は、労働力の減少による税収入の不足によるものではないでしょうか。
 今後さらに進行するであろう少子化による労働力の不足、税収減はどこにあるのか、少子高齢問題は深刻であり、根が深いことに気づいたのであります。
 私は高校時代、学校の先生に、「フランスなどは、高齢者が日本の人口構成のピラミッド形、極端にいえば三角形とは反対の逆ピラミッド形、逆三角形形の人口構成であり、いつかは国が滅びるのではないか。しかし、フランスなどは社会保障制度が充実しているので、老人は安心して生活ができるのですよ」といったことを教えていただいた。
 昭和二十五年ごろ、我が国は、数字で示すとおり、人口構成のピラミッドの底辺は次代を担う子供たちでありました。昭和二十二年には、夫婦が一生の間に産む子供の数は四・五人、夫婦二人が四人ないし五人の子供を育ててきたのであります。これは、単純計算すると、夫婦二人がその二倍余りの子供を産み、この四人の子供が親の生活を見ることになります。当然、高齢化した親は、その老後を安心して見てもらうことができます。
 当時、ピラミッドの上底、三角形の頂点をなした高齢者は、生活の豊かさと医療の進歩で長寿になったことは喜ばしい限りであります。しかし今、老後を見てもらう子供たちが極端に減少し始めたのであります。喜ばしい長寿社会、しかし、少子化の極端な進行で高齢者が安心して生活できなければ悲劇であります。
 人口の規模が維持され、再生される出生率の目安は、夫婦二人で二・〇八人の子供を産むことと言われます。すなわち、二人の親が二人余りの子供に頼るのが目安でしょう。しかし、この傾向は我が国では極端にバランスを欠いているのであります。平成十六年度の出生率は一・二九人、昭和二十二年の四・五人から一・二九人、すなわち五十七年間に三・二一人の減少、昭和二十二年の三分の一以下になってしまっているのであります。これは、世界でも最も低い出生率であります。
 ちなみに、私が学校で学んだときのフランスですら、二十一世紀のスタート時点で一・八九人、アメリカで二・〇一人であり、出生率の目安はほぼ近い状況にあるのであります。
 作家の堺屋太一は、戦後を振り返って「豊かさを得て誇りを失った六十年」として、「戦前は覚悟と我慢が一番の美意識で、主観的な誇りが価値基準であったが、戦後は主観から客観的な物量に変わった」と、さらにこの戦後は、「団塊の世代から始まり、数量の多さを至上の幸せとし、必死になって物をふやそうとした時代であった」とも言っています。
 日本の経済の繁栄の中心となったのが団塊の世代。物質文明を求めたとはいえ、一生懸命に働いて社会に貢献した団塊の世代が、今、退職し始め、二〇〇七年にその数は七百万人にも及ぶと言われています。これと符合するかのように、政府見解では、我が国の総人口は二〇〇六年にピークとなり、少子化の進行による若年者人口の減少が続き、二〇〇七年から減少に転じるとしております。我が国の働き手不足という果てのない難問が待ち受けているのであります。
 私は、人口問題に大きく影響している団塊の世代と少子化対策とは少なからず因果関係があると思いますし、このことは、第三次小泉内閣で少子化対策大臣が誕生し、来年度予算編成の焦点となり、さらに今後、中長期的に国の対策が打ち出されようとしていることでもわかります。
 本県においても、和歌山県次世代育成支援行動計画が策定され、その計画は実に七十項目。まことに細やかに、そしてその数値目標が掲げられ、各部局を横断してのすばらしい対策だと思います。しかしながら、県の施策として、市町村の指導的な立場として果たして実効あるものかどうか。理念や政策体系は立派でありますが、何かしら不安もあります。
 七十項目の指標の中には、二十代女性のやせの者の割合を二三・九%から平成二十二年に一五%以下にとか高校生の飲酒率のように、「ほっといてくれ」や「法律違反もの」といった意味の項目などもあります。これらの中にも見られるように、現代の若者の中には、子供を産みたがらない傾向や定職を持たないフリーターがふえる傾向もあります。
 少子化の中で、さらに若者が定職につかない状況、その勤労観の育成や就労の場所の提供等で調査の意味がありますが、衰えかねない地方の未来に正面から向かい合い、その背景、具体的な問題や影響、そしてそれらを食いとめるための施策や行動の視点に立ち切っているのでしょうか。考えられる範囲の中で実現可能なものを持ち寄ったと見るのは私だけでしょうか。危機管理意識に温度差が見られはしないかと思うのであります。
 先進諸国共通のこの少子化問題の原因の背景は何なのか。その社会的な背景の一つは、働き方の見直しに関しての取り組みが進んでいないこと、二つは、子育て支援サービスが十分な状況にないこと、三点目に、特に二十四歳以下の失業率の高さに関連して、若者が社会的に自立することが難しい社会経済状況にあること、そしてこれらを総括して、子供を産み育てやすい社会環境にないと感じていると厚生労働省が言っております。(私語する者あり)おい、ちょっと静かにしてくれよ。聞こえるぞ。ばんばん入ってくるから。ちょっと、わし真剣にやってんねから。──本県が実施した少子化対策に対する意識調査では、内閣府の実施した調査とほぼ同じ結果が出ております。その一位は子育てや教育に係る経済的な負担の軽減、二位は保育サービスの充実、三位は保育休業、再就職支援など子育てと仕事の両立支援となっています。両調査の結果、最大の課題は子育てに対する経済支援であります。
 観点を変えて、少子化がもたらす将来の問題点として、第一に人口の減少。我が国一億二千万人が二十一世紀末には六千四百万人とその半分になると予測され、とりわけ地方は極端な高齢化となります。地域の活力をどこに求めるのでしょうか。
 第二に、労働力の減少による経済活動の衰退をどうとらえるのか。労働力の減少の中で、今問題になっている、若者が定職につかない、いわゆるフリーターの増加をどう食いとめるのか。額に汗して働いてきた私たちには、どうにも不安な社会がイメージされて仕方がありません。
 第三に、年金制度の破綻が心配されます。高齢化の進行と数少ない若者に大きな負担がかかってくる現状をどうするのか。こうした不安を払拭するための対策を直ちに行い、次の世代を担ってくれる若者たちに希望の持てる社会を準備し、残していかなければと考えます。
 少子化対策の先進国を見てみますと、オランダでは、十八歳未満の子供を持つ家庭は、児童手当を受けるか、税制上の優遇措置を受けるか、どちらかを選択することができる対策をとっています。フランスでは、二十歳未満の子供二人以上を扶養している場合には、家族手当の支給、出産費用の全額支給がなされています。さらにスウェーデンでは、育児休業制度の充実。子供が八歳になるまで、両親合わせて最大四百八十労働時間、ほぼ一年十カ月程度の休業保障がなされます。その結果、オランダの出生率は一・七五人、フランス一・八九人、スウェーデン一・七一人まで、ほぼ基準に近づいております。
 国内においての施策を見ても、東京都江戸川区の私立幼稚園の保育料の補助や乳幼児の就学前までの医療費の無料化、兵庫県では若い世代への宅地分譲割引制度の創設、京都府宇治市の「げんきひろば」の設備を初め井戸端会議等、さまざまな施策を行っております。
 本県においては、人口増加率千人中、マイナス五・二八人、すなわち百万県民で五千二百八十人ずつ減ることになります。これは、四十七府県中、増加率は四十六番目、人口減少からいえば全国で第二位となります。人口の減少に加え、さらに県外大学進学率は第一位。彼らは県外で就職、結婚となり、さらに人口減を加速させます。失業率は全国で九位。若者は県外へ職を求め、出ていきます。
 本県の少子化問題を解決するためには長期的な取り組みが重要であり、国の支援が不可欠であります。小手先だけの施策では解決できないと思います。家族制度のよさを見直し、人を大事にする企業への支援、後継者の育つ地場産業の振興、福祉制度の抜本的な見直しがキーワードであり、加えて、今でも人口減が加速している中で若者が定職につかない、いわゆるフリーターをどうなくしていくのか、緊急の課題だと思います。
 そこで、知事並びに関係部長に質問いたします。
 まず知事に、限られた予算及び職員体制の中で、対策もおのずと限界があると思いますが、全国で一番早く少子高齢化すると思われる本県の少子化対策について、その基本的な認識と今後の取り組みについて伺います。
 各関係部長に伺います。
 本県の少子化について、県がどのような見通しを持ち今後予想される人口構成とその影響を、他府県との差異をも含めて伺います。また、本県の地理的環境から、紀南、和歌山市、紀北地方の地域の特色を出しながらどう活力化させていくのか、伺います。
 この少子化に対する対策の概要、特に今直ちに実施しなければならない施策と中長期的な施策と予算額について伺います。
 本県の少子化は、全国で最も早いと思われます。若者が少なくなっていると同時に、大学、高校卒業生でいわゆるフリーターとなっている人数を見てみますと、全国では二百十三万人と聞いています。本県では何人ぐらい推定できますか。
 これらのフリーターの定義づけは別として、定職につかないことにより税収入が減ります。この若者たちにどう定職につかせるのか、その手だてが必要と思います。私は、高校卒業後も就職相談に行ける施策を考えてはと思います。例えば、卒業後十年ぐらいは自分の母校で就職相談の窓口を開き、学校と職業安定所と連携して相談をしていく制度を考えられると思いますが、関係部長の見解を伺います。
 次に、ふるさと再生について伺います。
 一昨年に「人生の楽園」を引用して質問をいたしましたが、引き続き本県の観光振興と環境保全の視点から質問したいと思います。
 関連する県の施策の一つには、きれいな町づくりがあります。例えば国道や県道の沿線に花を植えているのは、道行く人々の目を楽しませてくれ、大変うれしいことであります。これは本当にボランティアの方々やNPOの方々の協力あってのことと思います。
 そこで、県の計画では、龍神温泉の第二由布院化と電線の地中化は私としては特に注目し、今後も関心を持ってまいりたいと考えています。
 大分県の由布院は、テレビ等でもたびたび紹介され、全国でも知られ渡っています。これまでに至るまで、大分県及び県民の努力は大変なものだったろうと思います。
 電線の地中化は、よき景観だけでなく、車の運転にも視界を広げ、事故防止につながることは立証済みであります。この問題の解決には、長期にわたり、しかも巨額な費用と、県行政のみでできる問題ではないことは私も知っています。観光地や世界遺産に指定されている高野山や熊野三山など、さらには県都和歌山市などでも実施できるよう県の強力な行政指導は行えないものかと考えます。
 国際的にも有名な、日本を美しくする会の相談役でもあり、また株式会社イエローハットの相談役でもある鍵山氏の言葉に、「掃除は自分のためであり、社会や国家のためであることを念頭に置いて、自分の身の回りから取り組んでいただきたい。皆さんの人生も職場も変わってくるとお約束いたします。そして、掃除を続けることが、さまざまな災害を乗り越えていく力になります。幼きころ、私の両親はいつも掃除を行い、住まいの環境を整え、田畑の周りもいつもきれいに草刈りをしていました。子供のころより、環境を美しくするということが心を美しくする大きな力となることを薄々知っていました」。この鍵山氏の言葉から多くのことを学びます。
 掃除をし、周囲の環境を美化することは、自分だけでなく、地域の人々、さらには他の地方から来られた人々の心もいやしてくれます。地域ぐるみで清掃運動や花植え運動をすることは、地域を美しくするだけでなく、この運動を通じて地域住民の交流、連帯感が生まれ、災害時には強力な連帯意識を発揮することにもなります。さらに、幼いころからの掃除、ごみ拾いのしつけ教育や花植え運動は、子供たちの情操教育にとっても特に大切であります。今、子供たち、とりわけ中学生などは所構わずぽい捨て等をしており、これを見ている大人も見ぬふりをしている現状であります。
 戦後六十年、我が国は物の豊かさを求め、事もなげに自然破壊を行い、自然の美しさ、それによって心をいやされることをおろそかにしてきました。その結果、今、ツケが回ってきて、自然を守り、町をきれいにしようということが叫ばれ始めたのであります。
 きれいな町づくり運動は、それほど資金を必要としません。掃除は自分のため、学校のため、地域・県のためを合い言葉に、地道に、しかも強力に推し進める運動を展開する必要があるのではないでしょうか。とりわけ観光県として生きていかなければならない和歌山県を、自然の調和を考え、美しい県にして観光客を誘致する必要があると思いますが、関係部長の所見とその対策を伺います。
 次に、屋外広告物の規制の問題であります。
 特に道路沿線の広告物に限定しても、沿線の建物、また歩道部分、ガードレール、路肩等に広告物が所狭しと並び、張られています。そのため、本来案内すべき観光施設、公的機関や学校、さらには文化施設などの案内板が見えにくく、地元住民ですら本当にわかりにくいと不満を耳にします。県は、市町村を交えて、訪れる方々に優しい配慮のある案内板の整備を考えるべきであります。
 過日、徳島県から愛媛県を車で縦断した折に、車窓から見る風景、集落は本県と同様でしたが、しかし、どこか和歌山県と違うと思い、注意深く観察をしました。それらの県では、使われていない土地や空間はよく整備され、景観の損なわれているものが極端に少なかったのが印象的でした。こうした県の取り組みは、今や全国的に見て当たり前の時代でしょう。
 本県の規制が他府県に比べて緩いのか、それとも規制が県民に周知されていないのか、非常に景観が損なわれています。特に、のぼりや旗が何十本もたなびくさまは、さながら戦国時代を思い出させます。その一因となっているのが、県の機関を含めた公共団体みずからが啓発のための標語や行事のPRのための旗などがガードレールを色とりどりに着飾っています。本当に県条例で広告物規制をかける当事者として何も感じないのか、これでは県民に自粛を促すための説得力に欠けてしまうのではないかと思わざるを得ません。公に供する場合であっても、時代とともに広告の媒体を積極的に見直すべきではないでしょうか、お伺いします。
 さらに、美化運動の初期でしょうか、県の道路河川愛護奨励規定を読みますと、この規程は昭和三十二年の告示のままであり、その文章は、「何々するものとする」「何々しなければならない」、全文がこのように表現されています。これでは、県民が守らなければならない義務であるのか、義務に準ずるのか、判断が難しいと思います。したがって、県民の方々がみずからやろうという意欲がわいたりするのでしょうか。やらされているという感覚の方が強いのではないでしょうか。官僚的な文章にせず、平易なわかりやすい表現にすべきと考えます。
 今、県で準備中の道路アダプト事業案の表現には十分な配慮がなされるよう要望するとともに、その考え方を伺います。
 次に、空き地の芝生化についてであります。
 京都経済同友会が平成十三年から始めた京都の子供たちに芝生の校庭を贈る運動には見るべきものがあります。芝生化によるCO2の削減で環境保全効果、教育環境が改善し、人間形成に役立ち、地域社会の発展に寄与するとして、賛助会員を募り、学校に芝生を贈ろうとしたことであります。同会のメンバーが北欧四カ国を視察し、その後の調査などで幾多の苦労を乗り越え、実現したものであります。
 その後も大きな運動を経て、今は芝生スクール京都としてNPOにも昇格、市民の手でさらにこの輪を広げようとしています。三年間の活動でメンバーが実感したのは、「二十一世紀はやわらかな知の時代と言われているが、芝生化はまさに知の一つではないか」と。また、「人々の知恵を結集した試みや精神的な働きかけであり、それが子供たちの生活や行動を変化させるからです。やわらかな知は、理屈抜きに人を動かしてきました。阪神大震災の献身的なボランティアもそうであります。そして今、子供たちの心をいやすのは、青々とした校庭の芝生であり、それを守り、汗かく周囲の人々の姿ではないか。芝生スクール京都はそう確信しています」と結んでいます。本当にすばらしいことであります。
 この京都の事例を、今、私はふるさと再生に生かせないものかと考えてみました。住宅団地や商業地、そして工業地域、また廃校した運動場跡地、河川、海岸等々、遊休になっているさまざまな土地の活用に官民挙げての空き地の芝生化運動をここに提唱いたします。考え方を伺います。
 以上の点について、県の事業か、市町村にお願いするのか。また、自治会、NPO等の団体への助成、ボランティアの協力等々、規模や能力でおのずとえり分け、また協力すべきもの、さらには国へのお願い等があろうかと思います。
 県が国、市町村、住民すべてを巻き込んだダイナミックな計画こそ、今必要であると思います。県のリーダーシップと長期戦略をベースに県民との協力によるきれいな町づくりを目指すことが観光資源そのものであり、現存する町並みや集落をいかによみがえらせるのかが大きな課題であります。
 以上の点を踏まえて、知事には、きれいな町づくりを通じたふるさと再生に係る総合施策の観点で今後の取り組みの方針を、そして各部長にはそれぞれの点をお願いし、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、一点目の少子化対策の問題ですが、この問題は本当にゆゆしき問題であるというふうに認識をしております。つい先ごろ行われました国勢調査の結果でも、和歌山県の人口は非常に減ってきているというふうなことがあるわけで、人口だけが別に県の勢いというわけではないんですけども、これも非常に大きな要素であるということを考えれば、この少子化問題が和歌山県に及ぼす影響は大変なものがあろうかと思います。
 そしてその中で、この少子化は、もうこれは文明国だと仕方がないというふうにあきらめられていたような傾向があったわけですが、しかしながら、ヨーロッパなんかの先進国、フランスとかスウェーデンとかオランダなどでは、対策を打ったことによって明らかに少子化に歯どめがかかっているというふうなこともあるわけで、これはやはり手をこまねいていてはいけないことの大きな一つであろうというふうに考えております。
 そういう中で、和歌山について考えれば、一つは、合計特殊出生率というのは、これはまあ全国平均よりちょっと低いぐらいなので、これを何とか和歌山県の場合、都市部は別として、特にそうでないところはある程度ゆとりを持って子供を育てられるような環境にあるわけだから、そういうふうなものがこの出生率に反映するような形の和歌山らしい施策ということを一つ考えていくことが大事だろうというふうに思っています。
 それからもう一点は、子供を産む親が減ってきているということで、これが決定的なことでして、これは働く場所が少ないというふうなことが一番大きな原因なわけですが、こういうことの対策としては、やはり都市からの流入人口というものをふやしていく努力をしなければならないということで、緑の雇用で入ってきた人なんかも子供ができたりしているという例がありますし、これから農業や漁業なんかについてもこういうことをしていこうと思っています。
 さらには、これだけではなかなか数がふえるというものでもありませんので、今ようやく景気が回復基調に向かってきているという中で、新規の企業の誘致というふうなことにも今まで以上に力を入れて、やはり新しく子供を産み育てるような人が和歌山へ来てくれるような施策、この二つを両々相まってやっていかなければならないと思っています。
 そして、そういうものをサポートする施策として、いろいろな細々とした施策、和歌山県でも既にやっておりますし、そしてまた、もっと先進的なことをやっているようなところも見習いながら、いろいろな施策をやっていく。ついせんだっても、子育て大賞というのを設けて表彰したところで、やはり五人以上子供がいる家庭というのは非常に明るいところが多いというふうなこともわかってきております。何とかいろいろなことを組み合わせて、和歌山県は子供が産まれ育ちやすい県だというふうにしていきたいと思っています。
 次にきれいな町づくりについて、これを通してのふるさと再生ということについては、私はこれは大賛成で、特に世界遺産の登録であるとかラムサール条約に登録された、行ってみたらごみが落ちていたというふうなことでは、これはもう二度と行かないでおこうというふうなことにもなってくるわけです。そして、今の和歌山県の県内の情勢を見ると、必ずしもよそに比べてきれいだというわけにはいかないというふうに思っています。
 私は、一番大事なのは、これはもう和歌山県だけじゃなくて日本全国のことだけども、子供のときから、どうして小学校で──算数や国語を教えるのも大事だけども、まず、ごみは捨ててはいけませんということを毎朝一回先生が教えるようにしたら、これは、どんな子の頭の中にでも入ってきて、そうするとやっぱり、ぽっと捨てようかなと思ったときに、ああ、先生言ってたなということでポケットの中へ入るということがあるので、いろいろ問題はありますけども、こういうふうなことから少し国民運動として始めていくということが物すごく大事なことじゃないかと思います。
 ただ、そういうふうなことだけ言ってても仕方がないので、これ、和歌山県で何かそういうふうな運動ができないかということを今考えておりますし、さらには先ほどのその広告物、これももう本当に統一とれた形であればそれなりに見やすいものであろうかと思いますが、のぼりなんかがあの熊野古道沿いなんかでも立ってるのを見ると本当に非常に残念な気持ちがするところがあるので、これも先進県の状況などを参考にしながら早急な対応をとっていきたいと思います。
 それから、芝生化ということ。私は、これは余り知らなかったんですが、芝生というのは非常に目にも優しいし──ただ、維持管理は大変なんですけども──こういうことで、和歌山県の空き地になっているところが芝生化されるということになれば、これはもう県土がきれいになるということは間違いないんで、どんなやり方がいいのか研究して本当に前向きに対応していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、本県の少子化の今後の見通しとその影響についてお答えを申し上げます。
 平成十四年に社会保障・人口問題研究所が行いました将来の推計人口によりますと、和歌山県は二〇三〇年──平成四十二年でございますけれども──には八十七万八千人になると予測されております。そのうち、ゼロ歳から十四歳までの年少者が九万八千人で、その占める割合は一一・二%、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は四十八万七千人で、同じく五五・四%、六十五歳以上の高齢者は二十九万三千人で三三・四%と、少子高齢化社会がますます顕著になると予想されております。例えば、二〇三〇年の奈良県の高齢者の割合は二九・六%、滋賀県は二五・一%と予測されておりまして、この二県と比べましても、和歌山県の少子高齢化は一段と進み、地域経済の活力の低下と都市化、過疎化に一段と拍車がかかることが懸念されます。
 そのような社会状況の中にございまして、地域特性を考えた少子化対策を組み立て、地域に活力をもたらすことが大変重要であると考えております。
 今後、団塊の世代が定年を迎える時代となりますが、高齢者の方々が今まで培われてきた技術や経験を、子供たちとの交流活動や一時預かり、送迎など、子育て支援を含むさまざまな分野で発揮できる仕組みが機能していけば地域活力を一段と向上させる力になると考えますので、その構築に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に少子化対策の概要ですが、和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」を本年三月に策定し、総合的に施策を推進しているところでございます。本年十月二日に子ども救急相談ダイヤルを開設、十二月一日には県立医科大学附属病院内に総合周産期母子医療センターがオープンするなど、安心して子供を産み育てる環境の整備を図っているところでございますが、その他、当面の課題といたしまして、延長保育、一時保育や地域子育て支援センターの推進など、プランにおいて平成二十一年度までの数値目標を定め、保育サービスの充実に努めてまいります。
 また、中長期的には、県内企業の育児休業取得の促進、子供に優しい建物のバリアフリー化、小児救急医療の充実などの施策を各地域で子育て支援に積極的に取り組まれている多くのNPOや子育てを応援するため意欲的に取り組んでおられる企業を初め、多くの団体、県民の皆様と連携しながら推進してまいりたいと考えております。各種施策の遂行に当たり、総合的、全庁的に取り組む中で、子育て支援、少子化対策関連予算につきましても今後とも重点的に対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 若者の就労対策についてお答えをいたします。
 初めに、県内のフリーターの状況ですが、昨年度実施したアンケート結果などから、おおむね一万四千人と推計をしているところです。全国的にも過去十年間で倍増していますが、こうした職業能力が蓄積されていない若者の増加は、経済基盤の弱体化のみならず、議員御指摘のように、現在の少子化をより一層深刻化させるものと憂慮をしているところです。
 就職に関する若者のさまざまなニーズに対応するためには、多くの支援策を用意して最適なものを提供していくことが肝要であることから、県としましては、若年者雇用対策として、ジョブカフェ・わかやまでのカウンセリング事業や各企業との合同面談会の実施、それから、今年度から新たにわかやまジョブクラブやワークアドバイザー制度、ビジネスインターンシップなどの取り組みを始めたところです。また現在、国においても、フリーター二十万人常用雇用化プランが進行中であります。今後とも、和歌山労働局や経済界、教育界と連携をしながら若者の常用雇用を促進し、職業的自立を支援することによって少子化対策に寄与したいと考えています。
 次に、環境保全運動と観光客の誘致についてでございます。
 近年、観光の形態は個性化、多様化しており、多くの人々が懐かしさや安らぎを覚える伝統的な町並みや里山的風景が観光資源として着目をされています。こうした町並みや風景を維持、さらには再現する人々の取り組みが今後の観光振興に重要であると認識をしているところであります。
 現在進めている特色ある観光地づくりや熊野川の景観整備事業では、地元の方々と協働して地域の美化や景観形成を積極的に進めるとともに、今後、他部局とも連携しながら、観光振興の視点で美しい県土づくりに取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 環境保全運動と観光客誘致についての御質問でございます。
 和歌山県を訪れる方々に美しい景観や環境を提供することは、私たち受け入れ側の役割でもあり、和歌山県民が環境や美化を大切にしているというイメージアップにもつながるものと考えております。
 先般、串本沿岸海域が貴重なサンゴ群落地域としてラムサール条約湿地に登録をされました。この美しいテーブルサンゴをいつまでも本県の貴重な財産とするため、地元の有志の方々がオニヒトデを駆除するための活動や周辺の清掃活動を行っております。
 このように、地域を愛する大勢の方々が、沿道や駅前に花壇を設置、あるいは緑化運動など地域の特性に応じたさまざまな環境美化運動、環境保全運動に熱心に取り組んでいただいております。こうした運動をさらに広めていくために県民一人一人が理解と認識を深め、地域、職場、家庭、学校など、さまざまな場所において自発的な活動を行っていただく必要があると考えております。
 このため、県では、模範的な取り組みに対して表彰を行います「わかやま環境大賞」を初め、さまざまな活動をしているNPO等に対する支援を行うとともに、次代を担う子供たちの環境教育の充実等に積極的に取り組んでおります。
 今後とも、一人でも多くの方に本県の環境保全に向けた活動に自主的に御参加いただけるよう、関係部局間で連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、官民挙げての空き地の芝生化運動の提唱についての御質問でございます。
 ただいま知事から基本的な考え方につきまして御答弁を申し上げましたが、議員御指摘のとおり、芝生の緑は、地球温暖化問題であるCO2の削減等環境保全効果を初め、人々の心を和ませるなど、さまざまな効果があるものと考えております。
 県では、今年度、県立医科大学の駐車場の一部の区画を芝生化する事業を実施しておりまして、温暖化防止の観点からも、その効果を検証しているところでございます。一方で、NPOや多くのボランティア団体の方々がそれぞれの立場で清掃活動や緑化活動に取り組んでおられますので、今後とも、県民、企業、行政等が協力して、議員御提唱の趣旨も踏まえまして美しい町づくりを推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) ふるさと再生に関連して、三点お尋ねがありました。
 まず、電線の地中化については、安全かつ円滑な道路交通の確保だけではなく、景観の向上、防災面にも寄与する重要な事業と認識をしております。
 昭和六十一年度から現在まで、電気通信事業者の協力も得て、道路事業としまして、和歌山市内を中心に約三十三キロの地中化を実施してまいりました。現在、世界遺産に指定されている地区での取り組みとしては、高野山の国道三百七十一号、新宮市の国道四十二号等で整備を進めております。また、和歌山市内においても、三年坂通りの岡山丁から橋向丁の間について事業着手しているところであります。
 今後とも県内電線地中化促進のため、道路管理者はもとより、電気通信事業者に対し、関係機関から成る和歌山県電線類地中化地方部会を通じ強く働きかけてまいります。
 次に、屋外広告物規制についてお答えをいたします。
 道路沿線の広告物は、屋外広告物条例の中で、設置してはならない区域や場所、構造物を定めて規制をし、また、広告物についても、交通の安全等を阻害するおそれのあるものは禁止広告物として規制をしているところであります。
 本来案内すべきものの弊害になっているのではないかということにつきましては、現場における指導や管理を徹底するとともに、新たな禁止区域の設定などを検討したいというふうに考えております。
 また、訪れる方々に優しい配慮のある案内板の設置を考えるべきではないかということにつきましては、市町村初め関係部局と連携をし、訪れる方々にとってわかりやすい案内板の整備に努めてまいります。
 次に、公共団体みずからが設置している啓発や行事のPRのためののぼり、これらにつきまして、適切なPRの方法の検討や相互調整について努めてまいります。
 なお、屋外広告物条例については、屋外広告物法改正を受け、平成十六年度に改正をし、十七年度より施行しておりますが、この条例改正の中で立て看板や広告旗等の簡易除却制度を導入しており、昨日六日に一斉除却を行って約千三百件の広告物を撤去したところであります。
 次に、道路アダプト制度についてお答えをいたします。
 御指摘の道路河川愛護奨励規程は昭和三十二年に制定されたもので、内容の正確さを期して作成しておりますが、新しい管理のあり方とそぐわない面やわかりづらい面もありますので、修正をしたいというふうに考えております。
 また、現在準備中の道路アダプト事業は、従来の道路愛護会を発展させ、NPO、各種団体、学校、企業等が里親となり、県と協働して清掃、除草、軽微な修繕などを継続的に実施するものであります。これらの活動により地域の愛着や誇りが生まれ、豊かで快適な生活空間が創造されるものと考えております。
 なお、要綱、協定等については、御指摘のとおり、正確でわかりやすい表現になるように努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 若者の就労対策に関連してお答えいたします。
 フリーター等の増加に対して、学校教育においては、在学中に生徒一人一人の勤労観、職業観をはぐくみ、働くことへの意欲や前向きな姿勢を確立するとともに、社会の現実をしっかりと認識させる取り組みを進めることが重要であると考えております。
 このため、現在、各学校において、インターンシップや職業調べなどを中心にさまざまな活動を展開しているところであります。今後は、これらに加え、求人情報の入手方法や相談機関に関する知識を身につけるなど、生涯にわたって職業の選択、決定をいかに適切に行っていくかという観点に立った指導が必要であると考えております。
 また、定職につかないまま高等学校を卒業していく者に対しては、職業安定所との連携を密にしながら、卒業した後も母校で就職相談に応じたり求人情報を提供したりするなど、希望に沿った就職につながる支援を一層進めるよう指導してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 二点、要望いたします。
 少子化対策について、知事並びに部長から答弁いただきました。なかなか難しい、根の深い問題であり、これだという決め手に欠ける分野でもあります。しかしながら、時代は急速なスピードで進展しており、論議を重ねる間に事態はさらに深刻になっていってしまうと思いますので、はっきりしている課題でありますので、一日も、一刻でも早い手だてを講じていただきたいと重ねてお願いし、要望といたします。
 二点目として、きれいな町づくり運動につきましては、この問題は、県民の方々の納得と努力が必要であると同時に、息の長い、粘り強い取り組みが必要であります。熊野川の美観道のように、わかりやすい、皆が喜ぶ町づくりを進め、県外から来た観光客から「和歌山はきれいですばらしいところだった」と言ってもらえるような運動にぜひ取り組んでいただきたい。これを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 第一の柱は、JR黒江駅の段差問題についてのその後の報告と要望であります。
 私は、六月県議会でJRの安全対策を取り上げ、黒江駅のプラットホームと列車の段差が大きいということを問題にしました。担当の企画部長は、私の質問通告を受けてJR黒江駅に足を運ばれ、そして、バリアフリー法を活用するのがいいのではないかと前向きの助言をいただきました。
 この問題は、これまでも、地元自治会でも生徒が利用する智弁学園でも課題としてきたものでありましたが、なかなか前に進んでいませんでした。しかし、県議会で企画部長が前向きに答弁してくださるということは大したものであります。海南市を含めて、一気にほうっておけないという機運が高まりました。海南市長も積極的にJR支社に働きかけをされました。JR黒江駅に行ってみますと、駅員さんがおっしゃいます。「この間、和歌山支社から偉いさんが来て、なるほど、段差が大きいなと言って帰りましたよ」というようなぐあいであります。地域でも、皆さんが署名を集めて支社にお届けもしました。
 ところで、ここに一つの問題が起こりました。バリアフリー法を適用しようとすれば、バリアフリーの大がかりな計画を立てて、駅とその周辺の全面的な改修をしなくてはなりません。しかし、今住民の皆さんが緊急に求めているのは、プラットホームのかさ上げであります。今、JR和歌山支社と海南市の間でも、問題解決のための協議が始まっているとお聞きしています。
 私も三日間続けて通勤時間にこの駅前に立って署名を訴えましたが、海南市だけでなく、和歌山市にお住まいの方も多く利用されます。今年度で乗降人数は一日五千人を超すと考えられるのですが、来年、再来年と智弁学園の児童数が八十人ずつふえ、控え目に見て八〇%がJRを利用すると見ても、往復で二百五十人もふえることになります。こういう中でありますので、県におかれましても応分の御支援をよろしくお願いしたいと思います。
 以上は、報告と要望であります。
 第二の柱は、教育の問題です。
 子供と教育の問題といえば、今、小学校一年生の女の子が殺害されるという痛ましい事件が続いています。県民ぐるみで子供を守らなくてはなりません。そのことはまた文教委員会でも議論するとしまして、それはさておき、きょうは学校現場での講師などの教員の問題についてお伺いをしたいと思います。
 ある職場で若い女性の先生が妊娠されました。同僚は当然「おめでとう」と言うところです。けれども、その言葉が詰まってしまったと言います。なぜかというと、その先生は一年間その学校で勤める予定で担任も持っていたんですが、出産と同時に退職しなくてはならないことになるからです。講師の先生だからです。
 学校現場には、本来、正式の教員が採用されるべきであるのに、必要な人数の教員を採用試験で合格させずに、試験で合格していないことを理由に講師として採用されている教員が数百人いると見られています。これを私たちは「定数内講師」と呼んでまいりました。県議会で定められた教員定数の枠内、文部科学省が定めた国庫負担の枠内、議会で認めた予算の枠内でありながら、教育委員会が教員採用試験の枠を絞って採用対象者を確保をしていないために、免許証を持ちながら講師として採用されている方が多くいるわけです。
 今、学校現場では、若い先生が大変少ないのです。小中学校について、人事委員会が作成した資料で見ますと──二十二歳から五十九歳まで、三十七年間あります。その期間を仮に四つに分けてみると、二十二歳から三十一歳まで、期間としては四分の一ですが、その期間の中にいる教員の数をパーセントではじいてみると、約五%程度しかいないわけです。
 学校現場が救われているのは、その年齢層に講師の先生が数百人いるということによってであります。しかし、その若い先生方は、来年は採用されるかどうかわからない、子供と取り組みをしながら採用試験のことを気にしなくてはならない、結婚していても子供を産むこともできないという、大変不安定な状況に置かれているわけであります。
 今、中学校では、運動部活動を持ってくれる若い先生が少なくて大変という管理職の方からの悲鳴が出されています。部活動に限らず、若い先生というものは、児童生徒との年齢差が小さいために、子供たちに溶け込みやすいという特別の教育力を持つものです。ベテランの先生の経験や教育的力量、若い先生の未熟ではあっても子供と溶け込む力、女性の先生の優しさなど、さまざまな先生の特性がハーモニーをつくって学校を構成します。このことは、自分の小学校時代、中学校時代に接してこられたさまざまな先生への思い出から御理解いただけることと思います。
 今、団塊の世代の退職問題があって、優秀な教員を確保することが大きな問題になっています。大阪府が近県から教員の引き抜き採用することについて和歌山県の教育委員会が抗議したこともありましたが、今のままでは、和歌山県で定数内講師として経験を積んだ優秀な教員が和歌山に就職できずに大阪に引き抜かれるということが起こっているのではないでしょうか。
 そこで、教育長に質問いたします。
 第一点、学校現場で働いている、私が定数内講師と呼んだ先生は何人おられるのか。
 第二点、教員採用枠を広げれば定数内講師でなく正式採用の先生を入れることができるわけですが、そうしない理由は何なのか、明らかにしていただきたいと思います。
 第三点、定数内講師、その他講師など、働く者の権利をどう保障されているのでしょうか。すべてお答えいただけないと思いますので、母性保護と少子化問題にかかわって重要な問題である産前産後休暇、育児休暇及びその補充教員の配置などについてお伺いいたします。
 第四点は、教員採用試験の問題にかかわっていえば、何回も一次試験に合格し、補充教員や定数内講師として苦労してきていながら、二次試験で何回も落とされているという方の話を多くお聞きします。一方では、初めての採用試験ですいすい通っていく方もいらっしゃる。何年も学校現場で頑張っているということは、毎日毎日、子供や保護者、同僚教員や校長のいわば面接を受けているわけです。たった二十分ぐらいの面接でそういう方が振るい落とされるというのは、面接官というのはそれほど人を見分ける能力を持っているのだろうかという皮肉も言いたくなると言います。現場で試され、和歌山県の教育を支えてきた講師経験者をもっと優遇してもいいのではないかと考えるわけですが、教育長のお考えはいかがでしょうか。
 第三の柱は、河川改修にかかわる問題です。
 私はこれまでも、河川災害が心配される中で河川改修の予算が減らされていることの問題を指摘してまいりました。本日は、そのことを前提としながらも、少ない予算の中で、その予算をどう有効に利用して災害を少なくするのか、こういうことについて考えてみたいと思います。
 これまでも取り上げてきた亀の川流域、阪井の下河原という地域で、大雨が降ればすぐに川があふれるというお話をしたことがございます。実は、この亀の川というのは周辺の農地のかんがいに大きな役割を果たしてきた川でありまして、至るところに堰が設けられ、そこから田んぼに水を引くようになっています。堰の上流は当然水位が高くなり、少し増水すれば川があふれるわけであります。
 川を広くすることができれば問題はないのですが、それは簡単にはできません。それを別にすれば川のはんらんを防ぐ方法は技術的には二つあると思いますが、一つは堰の上流で堤防を高くすることです。もう一つは、堰を可動堰にするなりして、水量が多くなるときには堰を倒すなりなんなりすることです。自動的に倒れるもの、手動で倒すもの、板を挟んでおいてそれを抜くものなど、いろいろあるでしょう。もしも本当に必要ない堰であるならば、取っ払えばいいとも思います。この二つの方法に必要な予算を考えてみますと、堰をさわるのに比べて、上流の堤防のかさ上げとなると、恐らく何倍、何十倍もの費用がかかることが考えられます。
 ところで、堰を改良しようとすることになると、それは設置者である水利組合の仕事になります。水利組合がお金を出さなくてはならない。しかし、農地の宅地化が進んだ地域で水利組合の力が弱くなっている場合があります。今さら堰をさわるために水利組合としてお金を出すことは難しい。堰の中には、利用する農地が少なくなっているものもあるかもしれません。
 そこで、提案であります。河川管理者である県として、堰の問題は水利組合の問題だ、河川管理者は関係ないとするんではなくて、堰を改良したり必要がなくなった堰を撤去するなど、県としてお金を出す方法を考えてはどうでしょうか。やり方としては、河川管理者として代行する方法、あるいは農林行政の側から水利組合に補助をして堰を改良あるいは撤去してもらう方法、いろいろあると思います。上流の堤防のかさ上げをするよりもずっと少ない費用で河川のはんらんを防げる場合もあるのではないでしょうか。
 もちろん、水利権の問題というのは複雑な、難しいことはよくわかっています。しかし、この水利行政と治水行政の間に厚い壁をつくってしまっていいのかと考えるわけですが、私の提案について県土整備部長のお考えをお伺いしたいと思います。
 第四の柱は、津波対策であります。
 二月の県議会で、私は海南は県内でも一番津波に弱い町であるということを申し上げ、県下で最初の水門の遠隔操作について予算化されたことについてのお礼を申し上げました。もちろん、津波災害は行政施策だけで防ぎ切れるものではなく、地域の自主防災組織で住民が助け合って逃げることを基本にした取り組みを強めなくてはなりません。そのことを前提にしながらも、津波被害を最小にするための防災対策を急がなくてはなりません。
 海南市の場合、深い入り江に入り込むにつれて高くなる津波を防ぐための堤防を確保する必要があるわけです。串本、田辺など、南海・東南海地震が起こった場合、真っ先に津波に襲われる地域への対策はもちろん重要であります。海南市の場合は、多少は逃げる時間はあるわけですが、津波の被害を受ける地域の広さやそこに住む住民、家屋の数は、県が作成されたハザードマップによって見れば大変多いという状況にあると思います。
 ところで、私は最近、大変心配な記事を目にしました。十一月九日の朝日新聞ですが、見出しを言うと、「耐震性調査 護岸八割、未実施 会計検査院 国交省に対策促す」という見出しの記事でありました。その記事を見ると、「調査実施率一〇%以下は、和歌山県のほか五県」と、和歌山県だけが名前が上がっています。さらに、御丁寧にも「和歌山県は、堤防・護岸が想定される津波を上回る高さを確保する割合も三三%と低く」と書かれています。和歌山版ではなくて全国版であります。少し前に私は、堤防が想定される津波よりも低いという問題で、海南市は特に深刻な状況にあるという新聞記事も目にしたことがあります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一点、会計検査院が報告している和歌山県の護岸耐震調査の実施率が低いという問題をどう受けとめておられるのでしょうか。また、どう対応されるのでしょうか。
 第二点、堤防の高さの問題では、和歌山県の堤防の実態はどうなのでしょう。特に、海南市の日方、船尾、名高など中心市街地などはどうなのでしょうか。また、その対策はどう考えておられるのでしょうか。県土整備部長にお願いいたします。
 第五の柱は、さきの県議会で質問し、知事が調査を約束された「紀州藩牢番頭家文書」にかかわる社団法人和歌山人権研究所への不正支出にかかわる問題です。
 調査結果など、記者発表されました。発表資料によって私なりに整理してみますと、第一、県同和室は和歌山県部落解放・人権研究所から紀州藩牢番頭家文書編さん事業への支援要請を受けていたが、正規の補助金として予算化することは検討されなかったとされています。
 第二、平成十一年度から三年間の間、県同和室から二百九十三万一千五百円、県同和委員会から百五十二万四百円が書籍代等の名目で研究所が実質的に運営する出版社に振り込まれ、その後、研究所の編さん事業会計に振り込まれていたというふうに言われています。その際、出版社、つまり解放出版社和歌山支局による架空の請求書、架空の納品書が発行されており、県や同和委員会は名目を偽った支出表や支出調書を作成していたとして、記者発表資料にも添付されました。
 私は、前回の質問で、研究所が和歌山市に提出した事業報告書では、五百八十六万二千五百円の補助金を受け取っていることになっていることを申し上げました。それは、平成十一年から十五年までに及んでいます。その事業報告書と今回県が行った記者発表資料を比較してみますと、初年度である平成十一年度だけは金額がぴったり合うわけですが、他の年度は金額が合いません。さらに、平成十四年度、十五年度は、県は支出していないという報告でございます。
 第三、書籍代など消耗品として支出したということですが、消耗品の支出については、財務規則上、課室長の権限で行うことができた。だから、同和室長の権限で支出したということであります。
 第四、県の調査により判明した四百四十五万一千九百円を社団法人和歌山人権研究所に対し返還を求めますとしているのはいいのですが、さらに、改めて正式な補助金として同研究所に交付するための検討を行いますというふうに言われています。
 そこで、質問であります。
 まず、私が今要約して紹介しました調査結果について、大筋間違いはないでしょうか。この調査結果を踏まえて、どうしてこうした問題が起こったのか、今後どうしていくのか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 第二点、不正支出は本当にこれだけなのでしょうか。人権研究所が和歌山市に提出した実績報告との食い違いがある、それが偽りであるとしたら、人権研究所からそれにかわる信頼できる報告を受け取っているのでしょうか。
 第三点、支出した全額の返還を求めると言いますが、そのうち百五十二万四百円は同和委員会から支出したものであります。一たん県議会の議決を得て同和委員会に支出されたもの、同和委員会が解散した今、一体どこに返還するのでしょうか。
 以上二点は、企画部長にお伺いいたします。
 第四点、改めて正式な補助金として同研究所に補助することを検討するとしていますが、この出版事業は平成十五年度で終了しています。過去の事業についてどういう手続で、どういう根拠に基づいて補助を行うのでしょうか、総務部長にお伺いいたします。
 第五点、不正支出にかかわった団体の責任は全く問わずにその団体に補助するなどということは、県民の理解を得られないと思います。企画部長、いかがでしょうか。また、社団法人への指導という点で県教育委員会はどういう対応をされたのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 社団法人和歌山人権研究所への不正支出についての御質問でございます。
 今回の不適正な支出の問題につきましては、過日、調査結果や職員の処分、今後の対応などについて順次発表をさせていただいたところでございますが、改めて私からも県民の皆様におわびを申し上げたいと思います。
 この問題の原因といたしましては、これまでも発表いたしておりますが、正規の予算要求をせず、別の経費の流用を可能にしていた事務的な問題とともに、地対財特法の失効を控え、業務に精通した職員を長期間にわたり関連部署に在籍させる結果となったことによるものであると考えております。
 いずれにいたしましても、今回の問題を貴重な教訓として、適正な事務執行に万全を期することは当然でございますが、民間団体とのかかわり合いにつきましても、疑惑を招くことのないよう、より一層主体的な行政運営に心がけてまいりたいと考えております。
 なお、不適切な支出の取り扱いについては、今後返還を求めていくとともに、改めて補助金として交付することも検討し、議会の御意見を十分承りながら進めてまいりたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 堰の撤去、改築についてお答えをいたします。
 河川改修は、災害や土地利用の状況、上下流や左右岸の整備状況のバランス等、治水・利水両面から総合的に判断をし、緊急性の高い区間から進めることとしております。
 堰の改築、撤去につきましては、水利上の原因による場合は、原則として原因者の水利利用者が実施するものと考えております。一方、河川改修に伴って堰の改築等が必要になる場合は、これは河川管理者が実施することとなります。
 今後も財政状況が厳しい中ではございますが、いろいろと工夫をして、効率的、効果的な治水対策を推進してまいりたいと考えております。
 次に、津波対策についてお答えをいたします。
 まず、本県沿岸部における堤防、護岸等の耐震調査についてですが、地震・津波対策先進地域である東海・三陸沿岸各県に比べ、本県を含む東南海・南海地震関係の沿岸各県においては、調査状況が非常に低いのが実情でございます。このため、県内においては、今年度より緊急を要する箇所から耐震調査に着手したところであり、今後とも鋭意調査を進めてまいりたいと考えております。
 次に、沿岸部の堤防、護岸高さが想定津波高より高い割合は三三%となっており、海南市域においては、想定津波高さよりも高い堤防、護岸はほとんどないのが現状であります。
 今後、津波から地域の方々が安全に避難することを最優先とし、堤防、護岸、水門等の施設の補修や改良に加え、沿岸部の市町村を対象に住民の避難を支援するハード整備の計画策定を行い、津波減災対策を計画的、効率的に推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人権研究所への不適切な支出に関する三点についてお答えを申し上げます。
 平成十一年度から平成十五年度までの関係書類を徹底的に調査し、また、当時の関係者からも聞き取りを行った結果、県が研究所に対し支出したことを確認した金額は四百四十五万一千九百円でございました。
 また、同和委員会からの、その返還をどこにするのかということについてでございますが、和歌山県同和委員会の解散に伴い、同和委員会の文書や財産は県が引き継いでおりますので、今回の研究所からの返還金も県で受け入れることとなります。
 また、今回の不適切支出の責任は主に県にあると考えておりますので、同研究所へ補助金を支出することは問題ないと考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 過去の事業に補助金が出せるのかというお尋ねがございました。
 補助金につきましては、地方自治法第二百三十二条の二で、「地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と規定されておりまして、過去にさかのぼって支出する場合であっても、特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるとされております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、教職員の採用や講師の勤務条件についてお答えいたします。
 学校に配置しているいわゆる定数内講師の人数は、今年度で小中学校三百十五人、県立学校百三十五人となっております。こうした講師の多くは、少人数指導やチームティーチング、学習支援などの特別な措置として弾力的な配置を行っており、この数は毎年変動するため、正規の教員採用枠にその数をそのまま反映させることは困難であります。
 教員の採用人数については、平成十六年度からは百名を超えており、平成十八年度は百五十名が合格しております。また、採用検査に当たっては、公正・公平な立場のもと、より優秀な人材を確保するため、講師経験者に対して第一次検査の一部を免除するなどの特例を設けるとともに、面接員に民間の方を起用するなどの改善を行っております。
 なお、こうした講師に関して、育児休業は長期間にわたるため認められていませんが、産前産後の休暇は認めており、この期間の補充者を配置することもできるようにしております。
 次に、社団法人和歌山人権研究所についてお答えします。
 当該法人に対しては、本年八月に実施した定期検査に加えて、先月、再度実行委員会形式となっている牢番頭家文書編纂会に関する収支状況も調査、確認いたしました。その結果、当該法人の資産管理及び収支状況はもとより、実行委員会形式の「牢番頭家文書」出版に係る収支等についても、公益法人として不適正と判断される事実は認められておりません。
 今後、社団法人和歌山人権研究所が法人として適正に運営されていくように指導、監督してまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。再質問と要望を申し上げたいと思います。
 第一は教育の問題、特に定数内講師の人数が余りにも多いこと、採用試験合格人数との関係であります。これは再質問であります。
 県議会で定数条例を定め、予算枠を定めたわけですから、教育委員会は、その枠をいっぱいに使って教育のために努力してもらいたいというふうに思うわけです。ところが、今の話にもありましたが、教職員定数がいきなり減らされたら生首を切らなくてはならないという心配をしておられるように聞いております。
 少し専門的な話になりますが、教員の定数は、県下の学校数、学級数に従って算定されます。それに加えて、今お話にありました少人数指導などの名目で加配されている教員が四百三十人ぐらいいると言われています。この部分が変動するというふうに言われるわけです。しかし、すべて半額国庫負担の教員です。この四百三十人、そんなに大きく変動するものでしょうか。
 幾ら財政が厳しいといっても、それをばっさり切るというようなことは、文部科学省も小泉首相も言っておられないでしょう。三位一体の改革で県に任されたとしても、知事は教育は大事だということを繰り返し、繰り返し言っておられるわけですから、これを県に任されたとしても、ばっさり切ることはないでしょう。
 小中学校では、昨年は二百五十人程度の教職員が退職をしています。学校統廃合や生徒数減少による定数減がそんなに多いわけではありませんで、昨年からことしにかけての減は八十九名です。つまり、定数は八十九人減った。しかし、退職は二百五十人ある。それでも定数が減るかもしれないからというので、三百何人ですか、高校も含めたら四百五十人ぐらいになりますか、それだけの定数内講師を置いておかないと心配で心配でしようがないという、こういうことなんでしょうか。
 教職員定数がばっさり減らされるとなると、身を挺して抵抗しなければならないはずの教育委員会が、ばっさり減らされても対応できるようにして、首を差し出しているように見えるわけです。しかも、この問題で、昨年、私は決算委員会でも取り上げました。そのとき教育委員会は、定数内講師の解消に努力しているというふうに答弁されていた。そのときにも定数内講師は小中学校で三百十人でした。今言われているのは、三百十五人にふえている。こういうことになっている。いかにも多いではないか。もちろん、一遍に三百人採用人数をふやしたら、年齢のバランスがありますから、例えば一年間に五十人ずつでも減らして、全くゼロにできなくても、もう百人、二百人ぐらいは採用人数を増やすこともできるんではないかというふうに考えるわけですが、教育長から再答弁をお願いしたいと思います。
 次に、人権研究所の不正支出の問題です。
 県当局の答弁では、この間の問題での県民の疑惑を一掃するものにはとてもなっていません。この責任を亡くなった元同和室長に、すべて亡くなった方に押しつけているという感も否めないんですが、まず金額の問題で言いますと、記者発表では、確認された金額は大体四百五十万円余り、こういうふうに言われている。
 ところが、人権研究所が和歌山市に言っている金額は──県の発表では四百五十万円ですが、人権研究所は五百八十万円余りもらっていると言っている。人権研究所は県から返還を求められたら四百五十万円だけを返還するんだろうか。それとも、五百八十万円余りを自主的に返還するんだろうか。よくわかりませんが、人権研究所は県民の前に何のコメントもしていませんが、公益法人から県の助成を受けるのであれば黙っていることは許されないだろうと思います。そういうあたりが、これから県の発表、それから人権研究所がどういうふうにコメントされるのか、そういうことでだんだんと明らかになっていくだろうというふうに思っています。
 この議会だけですべての問題が解明できるわけではありませんが、さらに県民の疑惑を晴らせるようにしていただきたいと希望いたします。
 ただ、ここで一点だけ、この場で総務部長に再質問させていただきます。それは、一たん返還させておいて、その次の議会で予算化するという問題にかかわってであります。
 私は、行政法の専門家ではありませんから、素朴に、二年前に完結した事業に今さら補助金を出せるのかという疑問を持って質問をしたわけです。総務部長が今答弁をしてくれました。しかし、その答弁の中身を見ると、地方自治法の条文が引用されていますが、それは、過去のことに補助を出せるという条文でなくて、ただ一般的に補助金を出すことができるという条文の引用ですね。それで、その引用をしておいて、そして「積極的かつ合理的な理由があれば可能である」というふうにお答えになった。つまり、前に条文を引用したからもっともらしく聞こえるけども、私の質問に対して根拠を言わずに、「積極的かつ合理的な理由があればできるんです」というふうに答えただけなんですね。こんな答弁があるかという気がするわけです。何ら根拠は示されていない。
 一方で、地方自治法施行令という、つまり地方自治法の細則を決めた政令があります。その百四十三条に歳出の会計年度区分というものが定められていますね。その第一項第四号に、こう書いている。「四 工事請負費、物件購入費、運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があった後支出するものは、当該行為の履行があった日の属する年度」とされています。つまり、補助の当該行為である本の出版は平成十五年で完了しています。ことしは平成十七年度であります。この規定についてどうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに申し上げておきますと、こういう疑問があったので、私は素人ですから財政担当の方に、「私が納得できるような資料があったらくださいよ」、つまり「自治省などで出している実務の手引きでもあったら見せてくださいよ」というふうにお願いしましたら、「実務提要」というものを持ってきていただきました。これであります。(資料を示す)私は素人ですから、こんなものもらっても、どこ見ていいかわかりませんから、「どこ見ていいんですか」と言ったら附せんをつけてちゃんと「ここです」と言うてくれました。ありがとうございます。ところが、それを見ましたけど、そこには何ら、過去の年度にやった事業について補助することができるという、つまり、私が今言いました、その政令をひっくり返すものは何も書かれていない。こういうことがあるわけであります。そこで、総務部長のお考えを聞きたいんですが。
 同時に、和歌山県で過年度に終了した事業について、二年もたってから補助をしたという事例があるんでしょうか。これもお答えいただきたいと思います。行政手続として補助できるのかどうか。今後、私は、こんなに言い切るんでなくて、じっくり検討してはどうかと思うんですが、総務部長、いかがでしょうか。
 さらに、つけ加えておきますと、本当にそれが必要なんかどうかという問題にかかわってでありますが、ここから参考意見として聞いていただいたらいいと思うんですけども、この例の「牢番頭家文書」、「城下町警察日記」という本は、これは「清文堂史料叢書第百十一巻」というものとして発刊されています。清文堂という本の出版社、書店があって、そこは古文書の出版を専門的にやっておられる。その第百十一冊目がこの「城下町警察日記」という本なんですね。それまでに百十冊のそういう古文書は出されている。
 和歌山のものもあります。例えば、和歌山でいうと、田辺の古文書というのは大変有名なんだそうですが。これも、私は今度のことで友人の歴史の先生から聞いたんですが、例えば「紀州田辺万代記全十八巻」という安藤精一先生が監修されたものが出ている。あるいは、最近では「紀州田辺御用留全十八巻」というものが出ている。こういうものについて、それじゃ和歌山県はこれまで補助してきたんだろうかというんで、私は、これは文化遺産課の方へ聞いたんですが、「文化遺産課でそういうものについて一切補助したことはありません」というふうに言っておられる。県のどっかの課で補助しているか、そこまで全部聞いていませんけどね。そうしたら、そういう補助をしなくても、この「紀州田辺御用留全十八巻」、これは全部で七千五百ページあって、本体で二十一万六千円の本ですけども、ちゃんとこの本屋は出版しているわけですね。田辺市が一定の補助をしたんかどうか、それはまだ確かめておりませんが、しかし県としては、そういう補助をしてくださいという話も聞いたこともないんでしょう。
 こういう中で、本当に学術的に大変意味があるということであったとしても、本当に年度をさかのぼってまで予算化をする、そういう理由があるのかどうか、その点が大変気になるわけであります。そういう点も、もし今お答えいただいてもいいですけど、これは今後の──知事もこれから議会の意向も聞きながら判断していくということですから、その判断の資料にしていただけたらと思います。
 あと、河川の問題。これは、少し新しい角度で問題提起をいたしました。そう簡単に答えが出る問題でもありませんので、今後の施策に私の意見も参考にしていただけたらと思います。
 同時に、海岸の堤防の問題。これも大変大きな仕事ですが、今、会計検査院の方でも注目したようで、国の方でも問題意識を持って検討されているようにお聞きしますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で、私の再質問を終わらせていただきます。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 三点の再質問があったと承知しております。
 まず一つ目、年度を超えた補助が本当に可能なのかどうかという政令を踏まえての御指摘がございました。この点につきましては、地方自治法を所管しております国にも確認いたしましたが、一般論として、年度を超えていても、特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるという見解も得ております。
 政令の規定につきましては、突然のお尋ねでございますので、詰めておりませんけれども、一般的な規定であるのではないかというふうに理解をしております。
 それから、事例があるのかというお尋ねがございましたが、この点につきましては承知しておりません。
 いずれにいたしましても、私が御答弁申し上げたのは一般論で、そういうことが可能であるかどうかということでお答え申し上げたわけでありまして、先ほど知事も御答弁申し上げましたが、具体的に補助する段階で、先ほど申し上げました積極的かつ合理的な理由ということについては今後検討する必要があろうというふうに思ってございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問にお答えいたします。
 教職員の定数と採用試験の関係でございますが、教職員定数というのは極めて流動的なものであるということは、先ほど申し上げたとおりです。特に、定数内講師を配置している多くのケースは、毎年内容が変わってまいります。特別な措置という性格がまず基本的に一つあるということ。もう一つは、少子化傾向が極めて急激に進んでいる中で学級数減、これは極めて深刻な状況にあるということ、これが教員定数にはね返ってまいります。それから三つ目には、市町村合併が今急速に進んでいる中で、市町村合併の中で学校の統廃合が並行して行われているわけです。これは、それぞれの地方の状況によってやむを得ずそういう結果が出てくるわけで、そのことも見込まなければなりません。それからもう一つ、間もなく団塊の世代が退職する時期に差しかかりますけども、その定年退職の人数は、当然これは読めます。ただし、それ以前、定年に達する前に退職される方、これを若年退職者と呼んでおりますが、この方々の数字は非常に読み切れないものがあるわけです。
 そういうこともあって、先ほどお答えしましたように、仮に四百人余りの定数内講師がいたとしても、それをそのまま採用者の人数に反映させることは難しいということになるわけでございます。それらも含めながら、採用試験の際の募集人数については、より計画的に、さまざまな要素を加味しながら幅広く検討してまいりたいと思っております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 あと少し御意見だけ申し上げておきますが。
 法律の専門家で地方自治の専門家である総務部長と法律論争する気はありませんので。ただしかし、法令の文言に書いていることを、総務省が「うちの解釈はこうです」ってできるんだろうかという気はありますね。これは、私ももう少しまた研究してみたいと思うんですが。しかし、だからといって、過年度にさかのぼって支出すると決めたわけではないということですから、それはそれでいいでしょう。私が先ほど申し上げたこの古文書の出版の性格などを踏まえて、ひとつこれからも議論をしていきたいと思います。
 それから、教育長がお答えになった退職の数、あるいは定数の流動的というのは、しかし、そんなに大きく変わるわけじゃないですよ。今までから言っても、大体自然減で減ったのを除いたら、この和歌山県でも、かつて同和加配として三十五人学級で県単で持っていた分、百何人を減らしたのがありますけどね。あとは自然減での流動ですからね。あとは国の基準が多少変わるということですから、私は、ちょっとこれは納得できないということだけを申し上げて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十八分休憩
────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 それでは、議長のお許しを得ましたので本題に入ります。
 その前に、一枚、少し梅に関した資料を議長の了解を得て配らしていただいております。
 最初に、梅産業を取り巻く現状と課題について、県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 今回、梅産業を取り巻く現状についてですが、梅の需要が一定ことしは非常に停滞しているということが、今、非常に心配されています。梅商品の価格下げが梅商品の品質低下を招いていることや、これに伴い紀州梅というブランドに対する信頼を失うおそれ、日本の社会経済の動向が「安ければよい」に振り回されないで紀州梅ブランドを守り日本一の果樹王国をどう発展させていくか、今、大きな岐路に来ていると考えております。幾つかの課題を提起して、県行政の政策の柱として位置づけていただきたいと思います。
 そこで、果樹の中でもとりわけ梅産業は、お手元にお配りさしていただいているように、地域が、梅を中心とした地域産業がこのように複合体として、梅を生産してただ漬けて梅干しで売るというということではなくて、全体として地域産業の複合体、とりわけここで重要視されなければならないのは、ほとんどの関係する第一次から第三次産業が大手ではなくて、すべて地域の地場の企業が全員参加してやっているということについては、そのうちの経済的波及効果というのは大変大きいものがあります。
 梅の収穫量は全国の六〇%を占め、生産農家は六千六百戸、梅干しの出荷額だけでも六百億円という基盤を持っています。そういう意味では、ここで書かしてもらっているように、生産から販売、加工、そしてそれに関する付加産業の影響、それから流通、第三次産業という形で示さしてもらっているように、まさに、紀南というよりも県下全体の経済のやっぱり中心的な役割を果たしているんではないかというふうに感じております。このことは地方財政への波及効果が非常に大きいものですから、梅産業の基盤が県行政と生産者やそういう企業とが一体になって、県経済、この梅の産業が発展するように私たちは支えていかなければならない。
 そこで、私は、今までは梅産業全体を、県行政としては、いわゆる農業基盤を確立するという範囲で十分であったわけです。それだけ民間の梅産業に対する──梅干し加工業者とかいろんな一次、二次、三次は、少なくとも生産農家に対する支援をしておけば民間の力で十分この七百億円梅産業を支えてきたという時期で来れたわけですが、今回、私は、県行政にお願いというんか、今度考え方の発想で、今この時点で足踏みをしたり、そこにあぐらをかいているとあかんのじゃないかということで、もう少し一歩前へ踏み出した梅産業に対する考え方を問題提起したいわけであります。
 今、情勢は大変厳しいので、民間と農家、行政、研究機関が連携して、県の梅産業を振興させるための行動する機関が今求められているんではないかなというふうに感じております。そのことは、農林水産省においても、消費者の視点に立った政策推進を基本に、やる気と能力のある経営を後押しすることにより高付加価値型の農業生産、そして高品質で安全な農産物づくり、その輸出、バイオマスの利活用など、創意工夫に満ちた攻めの取り組みを積極的に支援していきたいとか、経済産業省を含めて、農業と食品産業と関連産業の連携を構築する必要をうたっています。梅産業は、まさにそれに該当しているというふうに思うわけであります。
 そこで、私は、農業生産者の課題については以前から梅の立ち枯れを初めその生産基盤について御質問してきましたが、今回はとりわけ第一点から第五点までについて、その分野ではなくて、具体的な梅産業について御質問したいと思います。
 第一点は、販路、消費拡大の具体的な取り組みについてでありますが、販路拡大を国内外にもっと広く目を向ける、とりわけ欧米諸国やアジアへの進出は可能であり、梅の健康食品は評価されているということであります。
 一例を挙げれば、アメリカの学会でも、梅干しの健康としての医学的証明はされております。私は、たびたび中国へ行くときにも梅干しを持っていくんですが、向こうの嗜好として、梅に対しては、もう酸っぱくて辛くてしょっぱいという部分があるんですが、日本で加工された甘いハチみつとかいろんなものは、案外抵抗なしに食べていただきました。だから、一面的な観念、日本の梅干しはもう辛うて酸っぱいというイメージからまだまだ脱却できてないん違うかなと思いまして、いろんな種類を持っていって食べてもらったんです。
 それとか、アメリカにおいても、一部の州ですけど、こういった梅エキスとかを中心にして健康食品というのは今重宝がられてきてるという問題。それから、この間ちょっとテレビや雑誌を見ていますと、ロシアにおいて石油が非常にバブルになっているらしいんですが、その中で、日本食店が三百二十店を超えたということも言われております。欧米でも、もちろん中国でも日本食店がふえてますけども。
 そういう中で、私は、そこになぜ梅干しがセットで入っていかないんだろうかということを考えまして、そういう意味では、もっと英語やフランス語や中国語版のPR版を作成して、販路拡大の営業を強める必要があるんではないかと。それは、ただ商品ではなくて、梅の効能、医学的証明、そして梅を食べればどんな効果があるんかと言えば、むしろ東南アジアや欧米、アメリカの方が少し肥満的な人たちが大変多いので、今見直されています。だから、和食を見直されているということと、梅の効能によって、健康食品であって、そういう糖尿や肥満をなくしていくという部分での役割をもう少し強く前面に出せば、必ず進路が開けていくんではないかと思います。
 その中で、いろんな雑誌なり医学的な発表なり農業博士の本とか、ばらばらに出てますけども、梅を漬ける六月、七月になると、もう本屋では梅に関するいろんな本がざあっと出ています。ところが、和歌山県として一つにまとめられた梅の効能に対する出版物が、PR商品がないということについては、少し自分も反省はしてるんですけど、少し驚かされました。
 そういう意味では、そういうことの価値をもう一つぜひお願いしたいなということで、私は、国内においても、健康食品として歴史的、学術的にも証明されている梅をもっとPR商品として内外に通じるよう海外へ向けたプロジェクトをぜひつくっていく必要があるんじゃないか。紀南農協の方ともお話しさしていただいたら、もう向こうも一つの大きなテーマに今なってます。そういう意味で、生産農家を中心とした、紀南農協や県行政や学術的に専門家の人たちと産官学で、ひとつそういったもののプロジェクトで、いわゆる県内外へ侵略するPR版の作成を考えていただけたらどうかというふうに考えております。
 もう一つは、今、加工業者とか生産者で考えられているのは、ミカンは、知事を先頭にいろいろと内外、または農の方で、給食とかいろんな意味で宣伝をされていますけど、梅について考えてみたらされてないなという形になりまして、今度、生産者からいわゆる十キロたる一つか二つもう提供しようと、和歌山県の食育のために提供して、梅干しをできるだけ皆さんに、幼稚園、保育所から梅干しを食べてもらう一大運動を起こそうやないかということでテーマを掲げておられました。
 そういう意味では、ミカンとあわせて、地場産業の、そして体にいいという部分との兼ね合いで、食育的な部分の役割をぜひ果たしていただけたらありがたいと思います。それについての見解を聞きたいと思います。
 第二点は、梅干しについて。
 梅干しという感覚から脱却して、梅の新しい商品開発の努力が、さまざまな民間とかいろんなサイドで研究されております。産官学で今いろんなテーマでやってきて、そういう意味では梅が、梅干し、梅酒、ジュースという意義から新しい改良商品の開発が今進められているんですが、とりわけ、その中で私が非常に感銘を受けたのが、梅酢の新しい商品開発の実績があるということで──知事、ここへちょっと一杯持ってきたんや──すごい商品があるんです。ジュースからいっぱいあるんです。(現物を知事に手渡す)
 それで、今までいろんなことを開発したけども、一般的に新しい商品として市場に出回るということがなかなか難しかったと。科学的というんか、そういうプラントがなかなかできなかったんですけど、今度それが成功して、梅酢は紀南中心に約一万二、三千トンあるんですが、今そのことで──ここで利用されてるのは三千トン程度で、あといろんな形で処理されているみたいですが、これをどうしても商品化したいということの運動がなされております。
 そして、梅酢によって、まずは循環型社会、廃棄されている部分に対しても大変な効果がありますので、そういった商品開発に対してやってるところは技術屋でして、資本的に、資金的に非常に大きいところではありません。研究ばっかりしていって、それをさらに商品化して販売していくという形になりにくいところがあります。
 たまたま今、知事に見せた伊藤園が成功しまして、ことしの夏、最初の発売をやったんですが、もう圧倒的な量販店での売り上げを残したと。我々は今度新しい商品を開発した場合は、地元でつくって地元で売るという発想もあるんですが、なかなかそれが成功しない。だから、メーカーさんと協力して一つの商品をつくったら、その販路は全部メーカーさんでやると。メーカーさんにもこの梅の効能をきちっと位置づけしたそういうものをつくっていただいて、メーカーさんと協力できるようなシステムづくりをぜひお願いしたいということを、要望と考え方をお聞きしたい。
 もう一つは、先ほども言いましたけども、なかなか研究体制に入って──産学官で、これもやられました。産学官で、工業技術センター、京都大学農学部、それから企業という形でやらしてもらったんですが、そういう形での成果が上がったけれども、そういう企業というのは研究ばっかりで、じゃ次にテストプラントつくって、そして実用化の大きなプラントをつくっていくという形の段階を踏んでいく中で資金がなかなか回らないと。そういうことの中で、なかなか実用化するには難しい部分もありまして、今後私が考えるのは、そういうところへの支援をもう少し一連で、和歌山県でこれはやっぱり大事な産業やということで、これを発展させる重点的な課題の場合は、そういう部分での研究、テストプラント、そして実用化への一連の支援体制を、どの程度やれるかは別としても、そういうずうっとハードもソフト面でも行政が指導できるシステムづくりをぜひお願いしたいなというふうに思いますので、その見解もお聞きしたいと思います。
 次に第三点目ですけど、いろいろあるんですが、とにかく中国産表示が──梅においてもJAS法が適用されて今きちっとやっているんですが、なかなかそうは言っても、紀州梅と中国産をまぜてみたり、中国産だけのものを紀州梅というふうにしてみたりということがまだまだ全国的な市場では出回っているということで、今回、農水省の外郭団体の農林水産消費技術センターが全国の小売店の約三百の梅干しを抜き取り調査して検査すると。中国梅か国内産かというやつで、ばあんとやるようになりました。今までは、中国産と国内紀州梅とが調査してもわからなかったんですが、ようやく鉛やストロンチウムなどの微量の部分を、中国の部分を調査できる科学的技術が開発されたんで、それでやるということになりました。
 そういう意味では、これは国がやっていくことになったら僕は非常にありがたいんですけど、その部分で、梅産地日本一の我が和歌山県がそういう技術をひとつ学んで、和歌山県も独自に──行政だけではないですよ。もちろん農協や企業とも提携して一つのそういうJAS法という、やっぱり国の検査機関に基づいて、そのノウハウを学んで和歌山県として紀州梅ブランドを守るための検査体制に取り組んでほしいと、こう思っております。そういうことでお願いしたい。
 もう一つは、安全・安心な紀州梅を守るために加工場等の衛生管理、安全対策を徹底するための県の考え方と取り組みをお願いしたいということで、これは一つは、加工組合へ入ったりアウトサイダーももう数えられないぐらい──保健所の梅加工場の登録が県で五百社ぐらいあるらしいですね。そういう五百社もあるんだけども、なかなかそれが安全で衛生で、最低基準の、きちっとした手袋をして帽子をかぶってマスクをしてということにはなってないと。だから、そういうことの中で、もしいろんなことが発生した場合に、一つか二つのそういう安全衛生上、守ってないことが全国的に話題になったときには大変な信頼関係を失うという意味では、どうしてもそういう梅加工場に対しても食品安全衛生上、最低限の基準をつくって指導する体制をぜひとっていただきたいんですが、その点についてのお考えを聞きたいと思います。
 今、私が幾つか言いましたけども、県としての果たす役割って書いてますが、今言った中へもう包含されていますので、省略さしていただきます。ひとつその点についてよろしくお願いしたい。
 次に商業振興についてですけど、第一点は、中心市街地再生への取り組みについてですけども、中心市街地の空洞化が進む中で、今までは、我々商業振興策といったら、商業経営者を中心とした個別施策とか沿道区画型街路事業とか、そういう手法で進められてきたんですが、しかし今、全国的には、もう一度中心市街地を再生する議論をしようということで運動が高まっております。その中で、中心市街地の再生に向けて、経済産業省や国土交通省などは、今、新たに検討の段階に入ってきたというふうに新聞紙上でも見ておりますし、そういう関係者の意見を聞いております。
 そこで、私は、中心市街地をするためには、今の中心市街地の空洞化については、一つは大型店の郊外への進出や、二点目は郊外へのスプロール化を進めてきた都市政策、中心市街地が持っていた機能がどんどん郊外へ散っていったために中心市街地が空洞化してきたというのは、もうこれは当然の明ですけども、そういう中で私たちは、それとか公共的な施設、病院や学校、文化施設、市場とか市営などの公営住宅をすべて郊外へつくっていったと。今まで中心市街地が果たしてきたそういうものがすべて郊外へ行ったことによって中心市街地が空洞化してきた。これをもう一回中心市街地再生へ呼び戻そうやないかという運動が全国的に高まっていくし、もちろん和歌山のぶらくり丁もそれで頑張っていただいているわけですけど、私たちは、そういう部分にもう一度目を通そうやないかということでやってます。
 そのためには、市街地の再生は、第一に商業と住宅の複合集積の町づくり、人が集まるということと人がそこに住むということとが商・住の混合の集合施設的づくりをしなけりゃならないし、もう一つは、拠点設備というんか拠点整備というんか、そういう文化施設や県営・市営の公営住宅とか、そういう文化施設もそこに集積してくるという発想の転換に変えていかなければならない時期に来てるのではないかというふうに私は思うわけであります。
 そこで、そういった点が、やはり県の主体で、国とか市とかではなくて県自身がもう一度そういう市街地再生のための、一つは商・住のあり方、それから拠点施設の整備等を含めた指針、方針は、やっぱり関係者と一緒になってつくる時期に来てるんではないかと思いますが、その点、商工労働部長にお聞きしたい。
 第二点は、こういった市街地再生の動きもあって、国は町づくり三法──大型店舗立地法、中心市街地活性化法、都市計画法の見直しを今求めていますし、県としても、そういう国の動きをただ見詰めるんではなくて、基本的に、先ほど言いましたように、中心市街地再生のためにどのように大型店立地の調整を行いながら市街地再生を目指していくのかという方針をやっぱり示していく時期に来ていると思います。これは、中小四団体──日本商工会議所や全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合が国に対して町づくりに関する要望として、やっぱりもう一度町づくり三法を抜本的に見直すべきだ、そして、そういう立地企業と地域との共生による町づくりの推進をすべきだということでうたわれ、その方向に国も今見直そうという方向で、ぐっとかじを切った方向に進んでいます。非常にありがたいことだと思うんですが、その中で、とりわけ都道府県がいわゆる全県土の土地利用のマスタープランを作成すべきではないか。そして、先ほど言いましたように和歌山県としての町づくり推進協議会をやっぱり設置すべきと違うかと、それをこの中小四団体は要望してるわけでありますから、県としても、国の動きは動きとして、県としては県としての果たす役割をやっぱりきちっとやっていく段階に来ているんではないかと思いますが、この点の見解をお聞きしたいと思います。
 第三点目ですけど、障害者自立支援法施行に伴い、「これからどうなる障害者福祉」ということで言わせてもらいます。
 障害者支援法が来年四月から施行されます。今回の支援法は、障害者、家族、関係者にどう受けとめられているのか。私も現場の関係者の声を聞いたり、その支援法の実施と県の考え方をと、そういうことで以下質問していきたいわけですけども、たまたま新聞を見ていましたら、日弁連の調査の中で、来年四月から施行される障害者支援法に基づいて、どういうことかというアンケート調査を障害者の団体とかいろいろやっています。そこでの問題として幾つか、応益負担の問題、それからサービスの利用の制限、就労支援は期待できるのか、そして、障害者の特性に対応できる障害程度区分の導入というのがあるんですけど、それに対して非常に不安が指摘されております。
 そこで第一点、私が質問したいのは、障害者福祉サービスを利用する際の費用負担は、障害者の福祉サービスの利用料は、これまでの各人の所得に応じた負担方式、いわゆる応能負担に基づいて運営されてきましたが、今回の支援法は大きく転換して、利用したサービス量に応じて負担する方式、いわゆる応益負担に切りかえられます。このことによって、障害者負担はどうなるのでしょうか。少なくとも三%の負担増につながるのは間違いなく、障害者、その障害の度合いによって受けられる福祉サービスが公平にならなく、応益という枠の中でしか受けられなくならないか。しかも、家族や保護者にも負担させることにならないか。私は、障害者の生活実態、所得が安定してない状況の中で応益という選択には問題があると考えますが、どうでしょうか。県当局におかれては、支援法と現場や障害者一人一人の状況を踏まえた中で、県は市町村と協力して、障害者が安心して福祉サービスを受けられる環境と制度づくりを求めますが、いかがでしょうか。
 ちなみに、障害者基礎年金支給額は二級で六万六千円、一級で八万二千七百円にとどまっています。障害者の多くは、この年金にわずかな授産施設等の賃金で生活しているのが実態です。しかも、重度障害者は、この制度が応益負担になると、よりサービスを利用する量が多くなりますから、重度障害者ほど負担が大きくなるというこの支援法であります。
 第二点は、障害者福祉サービスの中身が大きく変わります。これまで福祉施設や居宅支援事業など提供してきた障害者サービスを大きく日中活動の場と住まいの場に分けた上で、それぞれの機能を再編成したり、身体、知的、精神の三障害に共通する福祉サービスの一元的提供、市町村の役割強化、ケアマネジメント手法の導入など盛り込まれています。
 そこで、従来どおりの福祉サービスを、いわゆるサービスの質を今回の支援法によって低下させない、そういうことが提供できるのでしょうか。一つは、地域生活支援事業は市町村が主体で実施することになっていますが、市町村によって格差が生じ、障害者が公平な福祉サービスが受けられるのでしょうか。また、福祉サービスのケアマネジメントは相談支援事業者とケアマネジャーがやることになっていますが、現状の実態としては、障害者のケアマネジメントをするケアマネジャーが養成されているのでしょうか。障害者の障害程度区分について、どこで、だれが、どのような基準で決めていくのでしょうか。このことについてお尋ねしたいと思います。
 第三点は、障害者の就労の現状と、支援法の就労移行支援事業は就労の機会と働く場をつくり出せるのでしょうか。障害者の就労支援状況は、当局からも資料をもらいました。いわゆる県内の障害者の手帳交付は六万七百四十二人、十八歳から六十四歳までの人たちがその中の二万人、雇用者数は身体、知的、精神を含めて二千二百二十五人、そういう状況であります。
 しかし、和歌山県は、民間企業や地方公共団体、教育委員会における障害者雇用状況は全国を上回り、全国三位というふうに評価されてはいますけれども、そういう中で、実際に授産施設や作業所で働く人たちが「一般就労移行」というふうに今度うたわれるんです。就労移行支援事業、とにかく社会へ出て一般企業で働けという形のとられ方をするんですが、しかし、過去五年間で一般就労移行者はたった百一人しか一般企業へ参加できてないというのが実態であります。そういう中で、私はこの問題について、今回の支援法は福祉施設から一般就労への移行を進めるための就労移行支援事業を創設し、関連機関がネットワークをつくり、一般就労への移行をこれから進めようとするんですけど、全体として障害者を雇用される側の努力を促すことが中心で、一般社会がどう受け入れるかの方針が何ら示されていません、読んでみますと。要するに、障害者団体頑張れ、行政も頑張れ、じゃ一般社会の市民や我々が、国民が、障害者のために健常者の社会がどう受け入れていくかということに対する課題が、問題が一つも指摘されない支援法であるということについて、少し読みながら非常に矛盾を感じた一人であります。そういうことがうたわれています。
 そこで、私は、県行政が障害者の一般就労を目指すために、次のことを、私自身かかわりながら、教訓から提案したいと思います。
 「働き、暮らしを支援するセンター」を設置し、障害者の就労ニーズと企業の受け入れニーズを調整させ、企業で働く場の確保と障害者がそこで定着できる役割をする、そのための人材が必要であります。そこで、雇用を支援する人、就労先を営業開拓し、しかも就労後のケアをする人が今必要ではないでしょうか。実際にそのことを自分自身も体験しながら感じました。
 今は、現状はどうでしょうか。就労を支援する専担者ジョブコーチは和歌山県障害者職業センター──これは国の機関ですけど──から派遣され、しかも雇用保険加入の企業に限定された中での広範囲な地域で一人で頑張ってくれています。
 そういう実態で、今度移行する、いわゆる就労移行支援事業を本当にやろうとすれば、それだけの雇用の場を営業開拓し、企業とセッションして、そしてその人に合う障害者を受け入れてもらう、そこでまたずっと定着できるように絶えずコーチしていく、こういう部分の形の人材がなければ絵にかいたもちであります。だから、その体制を県としてどうしていくのかということについてお聞きしたいと思います。
 以上で、この質問は終わります。
 次に、紀の国森づくり基金条例及び税条例についてですが、これについては、もう二人の議員がきのう言われましたので、私から再度繰り返し同じことを言うつもりはありません。
 だけど、私は、森林の持つ役割ということについて、全会派が共通した課題であるし認識であるし、やらなければならないというふうに思ってますんで、何もその、出された議案がどこもここも政策的にどうだということはありません。我々の共通課題として、もちろん議員の共通課題であるし、県民の共通課題だというふうに考えております。
 私は、でも自分自身が、みどりと木の文化のまちづくりネットワークというのをNPOでつくってるんですけど、これを実際に新田辺市で考えたら、皆さん、今度旧田辺市と四町村──七万の人口が市街地の旧田辺市、一万五千人が四町村です。それから言うと七万対一万五千の割合で、一万五千の人は森林や林業における状況というのは非常に理解しているし、何とかしなきゃならんと思ってますけど、実際に新市になって、七万の人たちがそれだけのレベルに自分が上がってるかというと、実際にこれをつくって毎回やっていても、ずうっと宣伝しても、なかなかそこまで来ない。しかし、粘り強くやらなければいけないと、そういう課題はあります。
 私たちは、山に恩返しをしよう、ということは山から恩恵を受けてますよ、我々の生活や地球はとか。まず山に入ろう、みんな山に入って一回経験しよう、山がどういう実態かというものを。それから、木のぬくもり、紀州材のよさを広めよう。私たちのNPOの中には、設計士、工務店、そういう人たちが全部入っています。そういう形の中で、紀州材のよさを広めよう。それと、山と町が手をつなごう。今言いましたように、山の人たちはわかっている。僕たちは「川上」と言うんですけど、もっと川上の人と川下の人がお互いに手をつないでこの紀州の和歌山県の森を何とかしていこうということで、共通の課題で取り組んではいるんです。
 そこで、私は、そういう中で、今度の出された条例に対して何ら矛盾は──お金、税という問題を除けば共通なんです。だけど、そこで提案者に御質問したいんですけども、きのうは松坂議員が言われてたように、神奈川県の事例を挙げていました。私も勉強さしていただきまして、県民の理解を求めるために、二〇〇一年から二〇〇四年の三年間にシンポジウム十回、県民集会が四十六回、それからアンケート調査、それで議会で数回議論をして、税ありきでなく、水、森の保全の政策、施策をまず議論を積み重ねた上で、そんならどれだけの税が必要なんかという議論を三年間かかってやってるんですね。
 だから、そういう意味では、私たちは今提案された条例提出者に対して聞きたいのは、私は第一は、そういう意味での考え方として、一つは、議会がもう少し、拙速でなく、もっともっと県民の努力をすると。例えば、私なら私、田辺市選出の三人の県会議員が本当にみんな市民に対して、こういうことでみんなやろう、こういう意義が深いと、森は我々の地球環境と、そして生活を守ってくれてあるんだということをどれだけの大勢の人にPRをして、本当に議論した中で積み上げていくべきと違うんかなというふうに思っています。
 そういう意味で、もっとわがら努力しよらよと、わし言いたいんや、慌てて出さんとよ。ほんまに努力しようらと。ほんまにして、それで、私たち県会議員も、市町村の自治体も、そして市町村議会も議員も一緒になって、一年なら一年、思い切って汗かいて──我々が出すんですから、我々汗かかな、だれ汗かくんよ。そういう意味で、思い切りやる期間を私は与えないと、逆に今、拙速的にやると、せっかくこのようにみんな努力してある人たちが、先んじて税を決めてしもうたら反発を買い、せっかく協力してくれる人たちまでが、まずこの問題で逆行していくということを非常に憂えています。それも聞きましたら、それは拙速やでと、我々一緒になってもっとやろうよと、その中で積み重ねていこうよという意見が圧倒的です。そういう意味では、ぜひ一回、そういう考え方に立っていただきたいなと思います。
 もう一つですけど、そして、議会が税を課す条例を提出するというの、わし、聞いたことないんや。僕はやで、調べた中で。だから、僕、それは、執行権のない議会が県民に税を課すということが本来議会制度、議会の立場から言うと僕は似合わないし、それはおかしいん違うかなと。──おかしくないんならおかしくないと言うてください──むしろ、こういう問題については執行権のある県が出されてしかるべき問題であって、そういう意味での疑問が私は解決できていませんので、その点についてお聞きしたい。
 最後には、玉置議員の関連質問で、やっぱり説明責任。和歌山市民は県民の三分の一、説明責任は受けていないが、どんな説明責任をしてるんな、市町村の自治体、議会、そして市民に、県民にどの程度の説明責任をしてきたのかという点については、やっぱりきちっと答えていかなきゃいかんの違うかと。この点について提案者の説明を求めたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの原日出夫君の質問に対する提出者及び当局の答弁を求めます。
 まず、提出者の答弁を求めます。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今、原議員の方から質問をいただきました。中には激励をしていただいている、そんなような内容の部分もありました。一括して御質問にお答えをしたいと思います。
 まず、税についての県民へのPRについては、市町村に出向き、森林の現状や税の必要性などを説明し、森林環境税を考えるみんなの森づくりシンポジウムを開催するとともに、アンケート調査を実施いたしました。また、森林環境税懇話会からの中間報告や最終報告の折には記者発表を行い、新聞、テレビ、ラジオ等に取り上げていただくとともに、自民党県議団のホームページにも掲載いたしました。
 今後も、県民参加による森林環境保全の新たな取り組みについて、広く情報発信を続けてまいりたいと考えております。
 また、税を議会が提案することに対しては、今後、皆さん方ともまだまだ議論をする余地があろうかと思いますので御配慮いただきたい、そのように思っております。よろしくお願いいたします。
○副議長(大沢広太郎君) 次に、当局の答弁を求めます。
 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 梅産業を取り巻く現状と課題につきまして五点、御質問をいただいてございますが、一括してお答えをさせていただきます。
 本県梅産業は、健康食品需要の高まりなどによりまして今日まで順調に発展をしてまいりまして、紀南地方の農業振興はもとより、地域経済に大きく貢献しているところと認識をいたしてございます。その背景には、青梅生産と梅干しの加工販売が一体的に行われたという産地特性に加えまして、南高梅という恵まれた品種にあると考えてございます。
 県といたしましては、この産地の強みを最大限に生かしていくことが本県梅産業の維持発展には欠かすことのできないものと考えてございます。そのため、本県の主要果実でございますミカン、梅、カキ、桃の四品目の課題解決を図るため、平成十四年度に県果樹農業アクションプログラムを作成いたしまして、その中におきまして、特に梅につきましては、加工業者と農家の連携体制の整備、品質表示の徹底、また生産出荷体制の再構築などの振興方策を示させていただいたところでございます。
 産地におきましては、生産者、JA、加工業者、また市町村、県等で構成をする地域協議会が本年三月に設立されるとともに、安全・安心を基本とした信頼される紀州梅ブランドづくりのための取り組みが進められているところと承知をいたしてございます。
 議員御提言の海外輸出による販路開拓、あるいは機能性を全面に押し出したPRの展開、新商品、新分野での利用開発はもとより、JAS法に基づく原料原産地表示の徹底、各種認証制度の円滑な推進を進めていくことが今後とも梅振興を図る上で大変重要な課題であると考えてございます。
 県といたしましても、原料生産から加工、販売、そして消費拡大までに及ぶ本県梅産業を一つの地域産業複合体ととらえ、地域協議会を核としてさまざまな分野での技術支援や人的支援を行う中で県としての一定の役割を果たしてまいりたいと考えているところでございます。
 最後になりますが、本年六月に食育基本法が成立をいたしまして、本県におきましても今まで以上に食育運動を展開していく必要があると考えてございまして、その中で、地産地消、また健康増進の観点から、梅の持つ健康機能のPR、また梅干しの消費拡大につきまして関係部局と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 議員御質問の梅に関する新商品開発の支援策につきましては、産学官の共同研究により新事業の開拓などに取り組む研究グループに対し、研究開発を委託するきのくにコンソーシアム事業を初め、新商品開発等を助成する新やる紀支援補助金、中小企業経営革新支援事業などを活用していただくことで一定の成果を上げてきたところです。
 梅産業は、本県の重要な産業の一つであると認識しており、商工労働部といたしましても、関係部との緊密な連携はもとより、国等の助成事業獲得のサポートなど、総合的な取り組みにより新商品の開発や事業化を支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、中心市街地の再生への取り組みについてでございますが、大型施設の郊外立地、商業者の店舗経営、住民の生活行動など、さまざまな原因が重なった結果、中心市街地が空洞化しているのが現状であると認識をしてございます。一方で、人口減少や高齢化社会の進行などから、郊外拡大型から市街地集積型のいわゆるコンパクトな町づくりという考え方が広まりつつあります。
 こうした中、県では中心市街地再生のため、市町村やTMO等が一体となって実施するハード・ソフト事業に対する補助を中心とした支援を行っておりますが、それに加え、今後各地域で、住民、民間事業者、経済団体、自治体等が中心市街地の再生に取り組む機運を盛り上げるとともに、計画策定への参画など各地域の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 町づくり三法につきましては、国において、都市計画法、中心市街地活性化法の見直し作業が進められております。県としましては、中心市街地の問題は大規模小売店舗の立地規制だけで解決するものではないと考えており、法の見直しの動向や他府県の状況も見ながら今後対応を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 紀州梅ブランドの確立と安全・安心の確保についての御質問でございます。
 県では、県民の皆様方の健康を守るという観点から、日常的に消費する食品の安全を確保するための取り組みを推進しているところであり、そうした取り組みの積み重ねが県産品の信頼を高め、産業振興に通じるものと考えております。
 御質問の件につきましては、梅干し製造業の営業を開始する際、食品衛生法施行条例により営業開始届の提出を求め、施設の把握に努めるとともに、施設基準と管理運営基準の遵守等、定期的に指導を行っております。
 なお、平成十六年度からは、和歌山県食品衛生監視指導計画におきまして、届け出対象食品製造施設は五年に一回以上の監視指導を行うこととなっておりますが、梅干し製造施設は県特産品であることに配慮し、特に年一回以上の監視指導を行うことを目標とし、加工施設の衛生管理及び食品衛生法並びに健康増進法に基づく表示の指導を実施するとともに、食品安全面での情報提供もあわせて行っているところでございます。
 今後は、食品の衛生的な取り扱いなどの指針を示した厚生労働省の漬物の衛生規範にのっとり、さらに指導強化に努めてまいります。
 また、定期的に残留農薬、食品添加物等の規格基準検査を実施し、県内産の梅干しの安全性の確保に努めております。
 さらに、昨年、梅干し加工業などを対象とした県独自の食品衛生管理に関する認定制度を創設いたしまして、工程管理により安全を確保する衛生管理手法でございますHACCPの考え方の普及も図ることとしております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害者自立支援法施行に伴う障害者福祉についての御質問にお答えを申し上げます。
 まず、障害者福祉サービスを利用する際の費用負担についてでございますが、支援の必要な方や利用者にとってサービスの制度抑制または過大な負担にならないよう、利用料の上限額の設定を初め、定率負担における個別減免、社会福祉法人減免、並びに実費負担における補足給付など、きめ細やかな軽減措置が講じられているところでございますが、現状の支援費制度に比べれば、一般的には利用者や保護者の方々に対して負担をお願いすることになるものと考えます。
 県としましては、今回の法改正が障害者福祉サービスの大きな改革であり、また、利用者の置かれている個々の状況もさまざまであるため、事業主体の市町村の実施状況を踏まえ、市町村と協力して障害者が安心して福祉サービスが受けられる環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者福祉サービスの質が大きく変化する中で、このことが障害者、家族、関係者の願いにかなうのかというお尋ねでございます。
 今回の障害者自立支援法において、市町村の義務的事業と位置づけられております地域生活支援事業につきましては、市町村障害福祉計画に、その種類ごとの提供体制及びその確保に関し必要な事項を規定することになってございます。県としましては、市町村によって格差が出ないよう、計画策定並びに地域生活支援事業の実施に当たって適切に指導、支援してまいりたいと考えてございます。
 障害者のサービスの支給決定の流れでございますが、利用者からの意向申請に基づき、市町村が利用者に対して百六項目のアセスメントを実施し、要支援及び要介護の一次判定をすることになっております。それを受けて、障害者の生活面等の特記事項や医師の意見書等をしんしゃくして市町村審査会が二次判定を実施し、その判定意見を受けて市町村が障害程度区分の認定を行い、利用者に対して支給決定することになっております。こうした利用者の意向調査の段階で、相談支援事業者は、利用者のケアマネジメントを初め、各種相談事業を行うものであります。
 現在、相談支援事業者の条件等につきましては詳細には示されていない状況でございますが、県としましては、ケアマネジメントの重要性については十分認識をしているところでございまして、現時点では、平成十二年度から国の障害者ケアマネジメント体制支援事業に基づき、ケアマネジメント従事者養成研修を実施し、これまで初級、上級を合わせて約四百三十人が修了しており、今後もその充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者の就労の現状と支援法の就労移行支援事業は就労の機会と働く場をつくり出せるのかというお尋ねでございます。
 これまで、福祉分野からの就労支援につきましては授産施設を中心に取り組んでまいりましたが、施設からの就労移行実績は、年間にして施設利用者の一%程度と、必ずしも十分な成果が上がっていないという現状がございます。
 障害者自立支援法では、まず就労を重視し、中でも就労移行支援事業は、これまでの企業等での就労を目指した作業訓練機能に加えて、職場開拓から就職後も引き続き支援を行うことにより定着を図る機能をあわせ持つものでございます。
 議員御提案の「働き、暮らしを支援するセンター」構想につきましては、現在、同様の機能を担うものとして障害者就業・生活支援センターや県独自のジョブサポーター制度がございますが、今後、議員から御提案がありました職場開拓から職場定着に至る一貫した支援体制を確立するといった趣旨を十分踏まえまして、このセンター等の充実、就労移行支援事業者と雇用施策が連係を強化することなどによりまして、より効果的な支援を実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 御答弁ありがとうございます。
 梅問題については、私はもうくどくど言いませんけど、県がやっぱり三つの点でコーディネートしてほしいということで提案さしていただきました。
 一つは、いわゆる梅の県内外の進出プロジェクトをつくっていく体制、システムをぜひつくってほしいと。それは県がコーディネートしてほしい。
 もう一つは、JAS法に基づく検査体制が、国ではやられてるけども、全国一の我が和歌山県梅産地がこれに準じてやっぱりやっていく体制も必要かと思いますので、よろしくお願いしたい。
 三つ目は、安全衛生上の管理体制で答えていただきましたが、実際、答弁の中身はすばらしく答弁していただいたし、物すごくやっていただけるだろうし、やっていただいていると思うんですが、実際に食品衛生監視指導計画に基づいて県として独自に年一回以上やると、そういうことは大いに評価しますが、食品衛生監視員の体制が十分なんでしょうかということで、ちょっと田辺の保健所とかそこらを聞いてみますと、実際に県の職員というのは、事務局担当はすべて産業廃棄物から始まって環境問題全般で一人、二人で取り組んでいて、なかなかそこまで手が回らないと。もう一つは、検査員いわゆる監視員そのものは四名おりますけど、四名とも非専で、ほかの仕事しやって、これ来てよという感じの体制でしかないと。
 そういうことで、先ほど答弁された幾つかの重要な──五年に一回のところを年一回やるとか、梅に対しては特別な検査体制に入るとかいう答弁がありましたけども、実際にこの体制では非常に難しいんではないかと思いますんで、これをフォローする体制もぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十四分散会

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