平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十七年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十七年十二月六日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    島       正   博
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員    守   屋   駿   二
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 今期定例会に提出されております議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号について、字句の訂正がありました。正誤表及び案文はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 まず、平成十七年十二月定例会の一般質問におきましてトップを飾って質問させていただく機会をいただき、心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、本日は、私の地元御坊市熊野地区の皆さんが傍聴に来てくれております。市会、県会通じて十八年余り私を応援してくれた父兄のような、保護者のような皆さんでございまして、きょうは参観日のような気持ちで一生懸命質問してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、通告に従い、一般質問を行います。
 まず、紀の国森づくり税について伺います。
 昨年、紀南地方の有力山林家が所有していた山林千八百ヘクタール余が売りに出されました。うち約千ヘクタールは県有林で、地上権のみの設定でありますが、伐採後の利益の二五%を地代として支払う契約でしたが、この買い手が長い間見つからず、大変心配いたしておりました。
 以前に、わずか四十ヘクタールの山林を産廃業者に買われないよう町が買収したことがありましたが、実にその四十五倍、当時の龍神村村土の約一〇%にも及ぶ山林がひっそりと売りに出され、県当局、村長や村関係者、私も及ばずながらいろいろ努力をいたしましたが、売れませんでした。結局、ことしになって関係者の努力で三重県の木材関係者が債権ごと買収してくれたと聞きましたが、今回のことで私なりにわかったことは、もう山は山持ちだけに任せておけないということ、そして、森林の公益的機能とは言ってみても大方の人は関心を持たず、他人事であるということであります。
 映画「大誘拐」でも紹介された和歌山の山持ちイコール金持ちという話は、もう昔のことです。かつて山林家は豊富な資金でほかにも事業を営み、林業が不振になった後も食いつないできましたが、バブル崩壊でそちらもお手上げの状態にあります。多くの小規模・零細所有者の惨状は推して知るべしであります。
 民有林の多い和歌山県では、山林家がうまく事業を行うことによって森林の公益的機能を守ってきたわけでありますが、もはや彼らだけに頼るわけにはいきません。また、奥山ばかりではなく里山も、特に和歌山市から海南市にかけての高速道路の沿線などは、目を覆うばかりの竹林が浸食しています。
 私たちは、この窮状を何とか県民の皆さんに知っていただくことを第一の目的に、そして従来の施策では行えなかった新しい分野への貴重な血税を充当すべく、先般、本会議におきまして、賛成者を代表して宇治田栄蔵議員が紀の国森づくり税、紀の国森づくり基金案を提案したわけでありますが、このことについて知事はどのような評価をされているのでしょうか、御所見を伺います。
 次に、三位一体改革と平成十八年度当初予算編成について伺います。
 三位一体改革につきましては、生活保護費、義務教育費、そして施設整備費の国庫補助負担金の取り扱いをめぐって国と地方が対立するなど難航していたことから私も注目していたところでありますが、去る十一月三十日、平成十八年度までの国庫補助負担金改革及び税源移譲について政府・与党で合意し、地方六団体もその受け入れを決定したところです。この結果、平成十八年度までに四兆円の国庫補助金の削減と、三兆円を国から地方へ税源を移譲する三位一体改革の数値目標を達成し、一応の決着を見たところになります。
 今回の政府・与党合意の主な内容でありますが、児童扶養手当や児童手当の地方の負担割合が引き上げられることになったものの、単なる責任転嫁だと地方が反対をしておりました生活保護費の国の負担割合の引き下げは見送られ、また、建設国債対象経費であるため移譲財源がないと財務省が反対しておりました施設整備費は、廃止・縮減分の五割にすぎませんが、地方の主張に沿って税源移譲対象に盛り込まれました。これらは、地方が結束して国に働きかけた成果だと思っております。
 一方で、今回の国庫補助負担金の削減とは別に、暫定措置とされていた義務教育費国庫負担金の取り扱いについては、地方は中学校分の一般財源化を求めていましたが、小中学校を通じて国庫負担率を現行の二分の一から三分の一への引き下げが採用されました。このような国庫負担割合の単なる引き下げでは、地方の自由度が高まるわけでもなく、地方分権の推進につながるものではないと思います。
 また、今回の政府・与党合意では、地方交付税の取り扱いについて、国の予算編成にゆだねることとして具体的に触れられていませんが、今後、地方交付税などの一般財源が十分確保されなければ、本県や本県市町村のように財政力が弱く、その財源の多くを地方交付税に依存している地方自治体は立ち行かなくなってしまうのではないかと大変危惧しているところであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 知事は、今回の三位一体改革について、政府・与党合意を何と評価されているんでしょうか。また、こうした三位一体改革を受けて平成十八年度予算編成をどのように行うつもりなのか、基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
 三番目は、指定管理者制度導入についてお尋ねします。
 指定管理者制度については、六月定例会での各施設関係の条例改正、債務負担行為の設定の後、募集、選定委員会での審議等を経て、今議会に四十一施設の指定管理者の指定に係る三十八議案が提案されており、これらの議案が可決されれば、いよいよ来年四月から本格的に指定管理者による県の公の施設の運営が始まるわけであります。
 そこで、総務部長にお伺いしますが、さきに、調査の結果では指定管理者として民間やNPOが選定されたのは一割程度との新聞報道もありましたが、県の発表による今回の候補者選定の結果では、対象四十一施設の中で、公募された二十五施設中、十三施設において新たに民間やNPOが指定管理候補者に選定され、その他の十二施設では、従前の管理運営者である外郭団体が引き続き指定管理候補者となっております。つまり、新たな管理運営団体に変更するケースが対象全施設中の三割、公募施設中では半数を超えておりますが、この結果をどのように評価されているのでしょうか。
 また、今回の指定管理候補者の提案の成果として十七年度と比較して十五億円程度のコスト縮減が見込まれているとのことでありますが、この点についてはどのように評価されているのでしょうか。特に、この十五億円の中には、非公募施設を初め、従前の管理運営団体が引き続き指定管理候補者となっている施設も含まれていますが、指定管理者として応募するに当たってコスト縮減を優先したため県民サービスの低下につながるような心配はないのか、伺いたいと思います。
 さらに、今回の指定の結果、有功ケ丘学園など二施設が直営から指定管理者による管理運営に移行することとなっていますが、その他の直営施設について、今後の導入意向についても考えを伺いたいと思います。
 四番目は、公務員制度改革について伺います。
 さきの総選挙において小泉自民党は、郵政民営化、さらに小さい政府といった公約が国民に支持され、圧勝したわけでありますが、その後、本格的な人口減少、超高齢化社会の到来やグローバル化の進展など、時代の潮流に適切に対応していくため、国においては、官から民へ、国から地方へとの方針のもと、小さくて効率的な政府への取り組みが進められています。最近では、郵政民営化の着実な実施、三位一体改革、政策金融改革の議論とともに、公務員の総人件費を抑制する議論も活発に行われています。
 一方、景気はようやく踊り場を脱し、緩やかな回復基調にあるとはいうものの、民間企業においては引き続き人事・賃金制度の改革に精力的に取り組んでいます。
 日本経済新聞社が実施した賃金動向調査、平成十七年五月二十日付でありますが、それでは、職務給など成果主義の賃金制度を取り入れている企業が回答企業の八六・七%に上り、プロセス評価を加味するなどの必要な修正を行いつつも、全体として成果重視の人事管理体系が浸透しつつあります。このような社会経済動向のもとで、公務員の人事管理等について、経済財政諮問会議、経済同友会等から種々の提言がなされております。
 こうした公務や公務員を取り巻く厳しい環境の中、県職員が県民本位のより良質で効率的な行政を支える専門集団となり、二十一世紀の和歌山県政を担っていく必要があると考えますが、知事は県における公務員制度改革をどのように進めていこうと考えておられるのか、以下二点に絞ってお考えを伺います。
 まず、能力、実績に基づく人事管理についてであります。
 平成十六年十二月二十四日に、平成十三年の公務員制度改革大綱の趣旨を踏まえ、今後の行政改革の方針が閣議決定され、その中の地方行革の推進項目において、地方公務員の人事制度については、地方分権の進展、住民の行政に対するニーズの高度化、複雑化等に対応して公務の能率的かつ適正な運営を確保するため、より客観的な評価制度の導入を通じた能力・実績重視の人事制度の確立がうたわれておりますが、このことについての県の方針を伺います。
 次は、能力・実績主義の確立に伴う勤務実績の給与への反映についてであります。
 人事院勧告では、五十年ぶりに給与構造を抜本的に改革し、勤務実績を給与に反映することも勧告しており、県人事委員会勧告でも国に準じるよう報告がされています。知事はことしの六月からボーナスを職員の勤務実績によって差をつけているということですが、都道府県レベルではなかなかできなかったことを思い切って実施したもので、全く画期的なことであると思います。
 公務員の給与については、横並び意識が強く、年をとれば給与が順番に上がっていくという年功序列型の給与がある意味では常識だったわけですが、職員のボーナスだけではなく、この際、一歩進んで、勤務実績を評価して給料の昇給にも反映させるようなことを先駆けてやっていくおつもりがあるのか、御所見を伺いたいと思います。
 五番目は、企業誘致の強化について伺います。
 東京株式市場では、先週、日経平均株価がほぼ五年ぶりに一万五千円台を回復したのをきっかけに続伸し、時価総額が五百兆円を突破し、大盛況であります。株価の上昇の原因は、外国人投資家の日本買いやインターネットを利用した個人投資家の参入などに加え、過去最高の利益を上げている企業業績によることが報道されています。大企業でなくても、企業誘致で御坊へ進出した企業の経営者や印南町の自動車関連部品を製造しているメーカーの創業者の話でも、いよいよ景気回復に力強さが見えてきたとの話であります。そして、景気が回復するのにあわせて企業の設備投資が加速しているとも言われています。かつて海外に向かっていた設備投資も、シャープの亀山工場以来、国内に戻ってきつつあります。まさに企業誘致の絶好機会が到来したと思います。
 自治体の産業政策のうちで企業誘致は、投資経済効果、雇用、税収、どれをとっても大きな即効性のある政策で、予算的にも人件費と旅費だけの最も効率のよい政策と聞いております。ぜひこの好機に合わせて、スタッフや旅費などの予算を大幅に、それこそ局を設置するぐらいの勢いで強化をすべきであると思います。
 また、三重県のシャープ亀山工場誘致の際の巨額補助金とは言わないまでも補助金枠の増額を、そのほか和歌山県特有の問題点として、来るべき東南海・南海道地震対策に要する経費、おくれている下水道対策として合併浄化槽の補助対象となっていない五十人槽以上についても繰り入れるなど、他の部局が所管する政策についてもさらに企業誘致の条件として充実させるべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。あわせて商工労働部長から御答弁願います。
 最後に、和歌山大学の観光系学部の設置についてお尋ねします。
 和歌山大学の観光学部設置につきましては、本年六月定例会におきまして学部設置を求める意見書を全会派賛成で採択し、七月に文部科学省などに要望を行いました。その後、九月定例会において、山下直也議員の質問に対し、県も観光系学部設置促進協議会を通じて積極的に応援していく旨の答弁を企画部長がされました。また、和歌山大学の小田学長からは、二十一世紀は観光の時代であること、本県の恵まれた地域資源を生かした地域貢献を行うという時代潮流を見据えて観光学部の設置に向けて取り組んでいるということを伺いました。
 そういった中、去る十一月八日に、本県の串本沿岸地域がラムサール条約に基づき登録されました。これは、昨年の「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されたことに続く快挙であり、観光立県を目指す本県にとって世界に誇れるものがふえることは大変心強く、今ちょうど和歌山に向かってフォローの風が吹いているように思います。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 九月定例会以降、県や大学ではどのように取り組みをされているんでしょうか。また、今後の見通しについてもお答えを願いたいと思います。
 以上六点、私の一般質問を終わらしていただきますが、ぜひ県当局の力強い御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、今議会に議員提案されている紀の国森づくり税についての所見ということでございますが、御案内のように、和歌山県は県土の八割近くが山というふうなことがありまして、私も就任以来、緑の雇用事業でありますとか、企業の森でありますとか、何とか環境ということに着目してこの和歌山県の林業、そしてまた森林というものを守っていく必要があるということで、殊のほかこの分野については力を入れて政策を進めてきているところでございます。
 こういうことの中で、御提案の紀の国森づくり税ということでございますが、三年前に県が設置いたしました県税検討委員会の中では、こういうふうなものは重要なものであるというふうな答申をいただいているところでございます。さらに、二年前にも超過課税というふうなやり方も有力な方式であるということを提言してもらっているというふうなことでございまして、また、同様の税については全国で既に十四の県が導入している、近畿でも多くの県が導入しているというふうなことがあるわけです。
 ただ、いずれにせよ、税金というものは、これは強制的に賦課していくというふうなものでございますし、また議員提案ということもございますので、議員各派、議会各派の中で十分御検討をいただいたらというふうに考えているところでございます。
 次に、三位一体の改革に対する評価ということでございます。
 まず、今回の三位一体の改革については、最終段階で官房長官を中心として各省への割り当てという方式がとられたというふうなことの中で、大きな進展を見たというふうに見ております。
 ただ、その中で、一つは例えば義務教育費、中学校の人件費については補助金ゼロにしようということだったのが小・中合わせて補助率を下げるというふうなことになったことや、それから児童手当の補助率を下げるというふうなことになったことについては、これは残念な結果だと思っておりますが、一方、生活保護は地方六団体が一緒になって運動した結果、手つかずに終わったということ、そして、建設国債を財源とする施設整備費の一部についても税源移譲が行われること、それから、私がかねてから主張しておりました、金額的には小さいかもしれないけど、各種の奨励的補助金、これも割り当ての中で相当部分が整理されるというふうなことになってきたので、この三兆円ということで考えれば小泉改革の中で一つの成果があったと。今後、これをどういうふうにさらに大輪の花を咲かせていくかということがこれからの問題であろうというふうに思っているところであります。
 そういう中で、来年度の予算編成についてどういうふうに考えるかということですが、三位一体の交付税の方が今物すごく大きな争点になってきていて、財務省なんかは二兆円ぐらい去年から減らそうというふうなこと。だけど、二兆円減らしたら大変なことになるというようなことで今攻防が行われているということで、この交付税の額もまだわからない。
 それから、非常に景気が──和歌山でもある程度は回復してきています。ただ、それがどれぐらい税収増ということに結びつくのか、これもまだはっきりしないというふうな状況で、そして一方には、国の方でも、唯一こういうふうな改革のおくれている分野である公務部門というものに対する削減ということが来年度の国会でも中心的な課題になってくるということのようでございますので、県もそういうことを前向きに取り組んでいく。
 そういうふうな不確定な要素がある中で、しかしながら、必要なところは積極的に伸ばす。特に先ほど言われていたような企業の誘致なんかについては、ようやく景気がトンネルから脱出したときですので、こういうときにこそやっぱり攻めの姿勢に転じるということは私は非常に大事なことだろうと思っておりますし、めり張りのきいた予算編成というふうなことを行っていきたいと思っております。
 最後に、公務員制度の改革ですけども、公務員制度については、私は就任以来、出るくいを伸ばすということで能力主義、やらないでほっておいた人より、やって失敗した人の方がいいというふうな感覚でいろいろなことを行ってきました。そういう中で抜てき人事とかいろんなことを行ってきたわけですけれども、これから国の方でも大きな公務員制度の改革が予定されている中で、国から言われて地方が追随したということにならないように、和歌山県から先行するような形でいろいろなことを発信していきたいというふうに思っているわけです。
 そういう中で、例えば、今までほとんど発令されることのなかった分限免職であるとか分限降任というふうな制度をまた生かしていくということや、そしてまたボーナス。これはもう、働いた人も働いてない人もほとんど同じような状況になっていたのを、これに差をつけていく。特にこの十二月のボーナスからはチャレンジ加算ということで、思い切ったことで頑張ったような人にボーナスをふやすような制度。そして、これが一番大きいことだと思いますけども、国は来年度から管理職について昇給を実績評価に基づいて行うという制度を導入することにしております。和歌山県では、これは全国で初めてだと思いますけれども、一般の職員からすべてこの実績評価の昇給ということを行っていくというふうなことで、先ほど御質問にもありましたように、全国に先駆けてこの公務員制度の適正化ということに努めてまいりたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 指定管理者制度に関するお尋ねがございました。
 今回、四十一施設について指定管理候補者の選定を行いました。うち二十五の施設については、公募という形で多数の提案をいただき、その半数を超える十三施設にNPOを初めとした民間事業者が選定されたことは、指定管理者制度導入の目的である県民サービスの向上と行政コストの削減ということを達成するための第一歩を踏み出せたのではないかというふうに思っております。
 御指摘にもありました新聞の全国調査によりますと民間指定は一割程度ということでございますので、和歌山の場合は、ほかの自治体と比較しても比較的高い割合で民間事業者が選定されたものというふうに考えております。
 また、従前の管理運営団体が引き続き指定管理候補者となった十二施設についても、これまでの実績を生かしながら、それぞれ民間事業者との競合に備えて経営改善を重ね、それぞれの施設に応じた有意義な提案をいただき、ひいては行政コスト縮減の一つの要因になったというふうに理解しております。
 さらに、非公募となった、特に福祉施設につきましては、引き続き入所者の方が安心して利用いただける運営ができるものと考えており、今回の指定管理候補者の選定については、全体としては評価できるのではないかというふうに思っております。
 今後は、御指摘にもありましたが、利用者により満足していただけるよう各指定管理者の手腕に期待する一方、県もコストの縮減等が利用者の不利益にならないように設置者としての責任を十分果たしていきたいというふうに考えております。
 また、現在直営としている公の施設への制度の導入につきましても、制度導入済み施設の管理運営に対する県民の評価等も踏まえまして今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 企業誘致の強化についてでございます。
 企業誘致は、地域経済の活性化や雇用の創出、税収の確保等に大きな効果がございます。そのため、企業立地室の設置、人員の配置等、誘致体制の整備充実に努めてきたところでございます。
 議員御指摘のとおり、製造業等の旺盛な設備投資や国内回帰が多く見られる今が企業誘致の絶好の時期であり、関西圏、中部圏、首都圏を中心に誘致活動を展開することとしております。このため、企業誘致対策本部を中心とした庁内関係各課との連携を一層強化し、ワンストップサービスの推進等、誘致体制の一体化を図ってまいりたいと考えてございます。
 支援策につきましても、可能な限り充実に努め、市町村や企業誘致サーチャー等民間の方々にも御協力をいただき、官民一体となった誘致活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 和歌山大学観光系学部の設置に関する二点の御質問にお答えをいたします。
 和歌山大学では、十月に全学を挙げて新学部設置準備委員会を設け、そのもとにカリキュラム等検討委員会を置いて具体的な内容を検討するなど、新学部構想の実現に向けて本格的な取り組みを進めております。
 去る十一月二十八日に和歌山大学が文部科学省と四回目の協議を行った結果、観光に関する新たな教育研究組織を設置することについて、文部科学省からは、教育体制のあり方等、今後早急に検討すべき課題はあるものの、一定の理解を得られたと聞いております。
 県といたしましては、十二月一日に文部科学省に対しまして設置についての要望活動を行ったほか、和歌山大学観光系学部設置促進協議会を通じましてホームページやリーフレットの活用による啓発を進めているところであり、さらに、来月からは公開講座の開催などによる一層の機運の盛り上げに努めてまいります。
 今後とも、平成十九年四月の設置に向けまして、関係団体とも連携を一層密にし、その実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 今回は、限られた時間で五つの質問をさせていただきたいと思います。テーマは、小さな一人一人の人間の命と人間を含め生物の存在を左右する地球の命、きょう、あすの緊急課題についてであります。
 まず、小さな一人一人の人間の命についてでありますが、県民の命を救うために、きょう、あすからやらなければならない、和歌山県民にとって本当に大丈夫なのかと心配をしています鳥インフルエンザを原因とする新型インフルエンザへの対応と紀南への救命救急センター設置について、これから質問してまいりたいと思います。
 最初に、鳥インフルエンザについてでありますが、鳥インフルエンザの発生の世界的な拡大、人への感染報告の増加を背景に、国はことしの十月、新型インフルエンザ対策推進本部を設置しました。
 鳥インフルエンザについては、昨年一月に我が国では七十九年ぶりとなる発生が山口県で確認をされ、本年六月までに大分県、京都府、茨城県の四府県で発生があり、約百七十万羽の鶏が処分をされました。これで終息かと思われたやさきの十一月に入り、新たに茨城県の五農場で感染が認められ、防疫活動が今も行われています。
 また、海外では東アジア、東南アジアで発生が続発をし、東南アジアでは人への感染も確認をされ、六十人以上の死亡が確認されており、ロシアを経由してヨーロッパへの拡大も見られ、今、国際的な規模での対策が求められております。
 和歌山県では、本年七月に危機管理室を中心に和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対応マニュアルを策定し、全庁的な体制が確立されたようですが、世界の対応や日本の対応について、県民の立場に立って幾つかの点について質問をしてまいりますので、県民が安全で安心できる当局の答弁を求めたいと思います。
 まず一つ目は、きょう現在、和歌山県では鳥インフルエンザの感染者は全く発生をしていないのかどうか、また、和歌山県内で第一号が出たら、その対応はどうするのか。
 二つ目は、県内で隔離をする場合に、その収容する施設があるのかないのか。
 三つ目は、海外旅行者に発生した場合、どういう対応をするのか。
 以上三点は、福祉保健部長にお伺いします。
 四つ目は、新型インフルエンザの治療薬についてお伺いします。
 ここに、皆さん方のお手元にもございますが、十一月二十日付の毎日新聞の全国調査が発表されています。対応の遅さにびっくりをしています。少し紹介します。
 「新型インフルエンザの治療薬として有効とされる「タミフル」の備蓄量が十八日現在──これは十一月十八日現在ですけども──栃木県を除く四十六都道府県で計一万五千八百人分しかないことが毎日新聞の全国調査でわかった。政府の行動計画は、国と都道府県に各一千五十万人分の備蓄目標を設定しており、都道府県側の達成率は〇・一五%。厚生労働省は今月中に約七万二千人分を備蓄する見通しで、国側は来年度中の実現を目指すが、財源確保や購入方法などで不安感が強い都道府県側は、「国の助成がなければ達成は不可能」との声が大勢だ。厚労省は今月中にも支援策を明らかにする方針だ」、このように報道をされております。
 タミフルの備蓄量の調査結果を見ると、和歌山県はゼロになっています。ちなみに、隣接をしている奈良県は百人分、大阪府は六百人分、三重県は二百人分は確保しています。
 そこで、お伺いをいたします。新型インフルエンザの治療薬は今現在どれくらいの備蓄があるのか、新聞発表ではゼロになっているが、その理由は何なのか、どのくらいの備蓄目標を考えているのか、治療薬は県内の病院に配られるのか、なぜその数にしたのか、数の基礎をどこに置いたのか、福祉保健部長にお伺いをしたいと思います。
 最後に、国に対して求めることは何か。県民の命を守るため先頭に立つ知事としての決意をお聞かせください。
 続いての質問に入ります。生きるか死ぬかの人を救う救命救急センターの紀南への実現についてであります。
 救命救急につきましては、現在、和歌山市内に救命救急センターが日赤及び和医大の二カ所設置されているとともに、ドクターヘリを導入され、県全体の救命救急に取り組まれているところでありますが、南北に長い地勢の上からも紀南地域を対象とする救命救急センターの設置の必要性について叫ばれながら、実現をしていませんでした。
 長年、県議会で訴え続けてきました先輩・同僚議員の悲願であり、私自身も三年前の九月議会において知事にその設置を迫ったところですが、今回、十床の新型救命救急センターの紀南への設置ということで長い間の懸案が日の目を見ることはありがたく、感謝を申し上げる次第でございます。
 そこで、せっかく設置を決めていただいたこのセンターをよりよいものにしていくために県民の要求があるのですが、県としてはどの程度対応していただけるのか、これからお伺いをしたいと思います。
 まず、設置場所についてであります。私としては田辺市内に設置をすることが適当であると考えておりますが、その中でも紀南病院にぜひとも指定をお願いをしたいのです。このことは、県議会開会日の二十九日に、田辺、西牟婁選出の県議会議員そろって県当局に対して要望したところです。
 紀南病院は六十年の歴史を持ち、ことし新病院としてオープンをし、救急医療を果たす機能、設備機器及びマンパワーを有し、過去の救急医療に果たしてきた役割、実績を持っています。
 具体的に申し上げましょう。まず、紀南病院の救急外来者数は一日平均四十一・二人と、医大の四十三・一人とほとんど変わらないのです。また救急車の搬送患者は、周辺の田辺、白浜、日高救急での平成十七年度の六カ月の現状を見ると、全体で二千九百五十五人で、そのうち紀南病院は断トツで一千三百二十七人と、約五〇%弱も占めています。ことしの新病院オープンで、ヘリポートはもちろん、施設面や配置人員体制、救急外来体制を備えています。つまり、ほかの病院よりも一歩進んだ体制を持っているのです。
 以上、申し上げてきましたが、救命救急センターを紀南病院へ設置することについての福祉保健部長の考えはいかがか、お伺いをしたいと思います。
 もう一つ大事なことがあります。今回は十床の新型救命救急センターからスタートしますが、今後どういう趣旨でやられようとしているのか、どのような考え方を持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
 患者が飛び込んできてもすぐ対応できる医療体制を持っていることに県民は安心をし、そのことが医療費の抑制につながっていくと私は思います。救命救急センターをつくることによって安心できることにより、医療費の抑制や早期発見、早期治療以前の大事な問題が、つまり予防医療につながっていくかもしれないと思います。
 そうした意味において、今回の十床での新型救命救急センターが田辺にできることはうれしいことですが、御坊・日高医療圏域や新宮・東牟婁医療圏域にも今後も必要であると私は思いますが、当局の救命救急センターと医療ビジョンについての考え方をお伺いしたいと思います。
 今までの質問はきょう、あすの緊急課題で、しかも県民を中心とした医療のあり方を追求してきました。これからの質問は、同じ命ですが、人間を含めた生物の存在を左右する地球の命の緊急課題について取り上げてまいります。つまり、今から私たちが緊急に取り組まなければ地球上の生物が絶えるという問題です。
 最近、あすは我が身だと感じる事件があり、他人事ではないという気持ちで現地に飛びました。それは、五月に行ったロシアと十一月に行ったスペインでの出来事であります。この二カ所は地球温暖化が確実に広がっており、既に深刻に悪化が進んでおりました。
 まず、ロシアに参りました。皆さん御存じのシベリアにあるツンドラですが──この資料の中にもシベリアのツンドラの写真も載せておりますけども──地球温暖化のおかげでツンドラの凍土が解け、本当は喜ばしいことではないのですが、皮肉にも、ことし名古屋で開催されました愛・地球博で人気を博した、凍土の中から発見されたマンモスが展示をされたということでも、ツンドラのことはすぐ連想されるかもしれません。
 ツンドラとは、北半球の亜寒帯に広がる針葉樹林地帯で、何万年と永久凍土に覆われて地球の温度調整をしてくれている、そういう地帯です。シベリアには地球上に存在する永久凍土の半分があり、それは日本の面積の二十六倍にもなると言われています。これが実は解けてきているのです。表面が解けると山の地すべりのように崩れ、氷河が崩れるよりも衝撃的な災害が起こるのであります。ツンドラは、地球温暖化で永久凍土がだんだんと氷解をしてきて、地中に何万年と眠っていたのが表面に出てきたのであります。
 専門家の広島大学総合科学部助手の中坪孝之さんによると、ツンドラが解けるということは、地中にあった大量の有機炭素が──その量は地球全土壌の炭素量のおよそ四分の一を占めると言われていますが──それらが二酸化炭素の形で大気中に放出をされ、これはさらに地球温暖化を加速する最悪の結果となる、このような地域には温暖化の影響が最も大きくあらわれると予想されている、それまで進入できなかった生物が進入し、その結果、生態系のバランスが崩れ、予想もしなかった結果をもたらすかもしれないと言っています。つまり、まさかツンドラまでは解けてはこないだろうとロシアの専門家や世界の学者が言っていたのが、予想を裏切るように温暖化が進んでいるのであります。
 ツンドラは長期に起こり、範囲が広大であります。しかも、ロシア当局も経済的な負担を考えて真剣に取り組まれていないのが大使館での調査でわかりましたが、私はこれは緊急を要する一人一人の命の問題であると思っていますが、知事はこのことをどのように受けとめられるのか、また和歌山はまだまだ大丈夫だと思っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 もう一つは、スペインの例です。スペインと和歌山県とはいろんな意味において非常に似ており、親しみを持っている国です。具体的には、和歌山県とは緯度が近くて、熊野古道とスペインのサンティアゴの道とは姉妹道提携をしていること、和歌山と同じように農業国であるということ、さらに、地中海という海岸線を持っており、海を持っている和歌山とよく似ているのであります。
 そのスペインで、ことしの六月にスペイン環境省が、スペインの全土の三一・五%が砂漠化の危機にある、特に三つの州では九〇%以上の土地が砂漠化の危機にさらされているということを発表し、大変深刻な事態なので、私はその現場を見るために現地に飛んでまいりました。そこで大変ショックを受けました。スペインで起こっていることがこの日本の和歌山でも起こるのではないかと心配になってきたのであります。
 これまたお手元の──これ、下手な写真ですけども。写りが悪いんですけども──この中に、日本でも三十三年にわたり帝国劇場を初舞台に松本幸四郎が主演をしていますミュージカル「ラ・マンチャの男」でも有名なラマンチャ地方です。九州程度の広い土地で、砂漠化が広がっているラマンチャ地方の砂漠化の写真であります。「乾いた大地」「不毛の地」「不名誉な地」と呼ばれ、恥ずかしいぐらいの、作物がとれないところだそうであります。
 もう一つの写真は、バレンシア地方であります。皆さんも御存じのように、和歌山のミカンのように、バレンシアオレンジの生産で有名なところであります。実は、この地域がこのままいくと九〇%の領土が砂漠化になるだろうと言われているのです。
 また、これはバルセロナで写した地中海の写真ですが、水を畑に散水をして、それに塩分が海から入り、大変深刻になっているのが海岸寄りの地中海であります。和歌山のように海岸寄りの土地は土質の変化が起きてくるのは必至ではないかと心配になってきました。
 スペイン当局は、作物も塩分に強いトマトなどに変えていくなど、農家のスタイルが変わってきているのであります。知事におかれても、和歌山の海岸寄りの土地への関心をもっと持っていただいて現場を見学されてはと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、砂漠化対策の中心である水利用の地中海の塩害対策のために、脱塩化施設の整備に三十九億ユーロ、日本円では約五千八百九十億円の投資を予定していることを聞きました。これは和歌山県の当初予算に等しい費用であります。
 このように、これから長い目で見ると、農業を営々と築いてきたのが根本的に覆されてくるのです。日本でもその対策はどうなのか、心配になってきました。スペイン当局は、救急策として植えるものを変えています。しかし、変えても定着できるかどうかわからないのです。
 和歌山も地下水を散布していますが、その実態はどうなのか。点検はされているのか、それに該当する土地はどれだけあるのか。また、土質の変化が起きてはいないのか、その点検とパトロールを始めるべきではないでしょうか。さらに、日本の農地、山林を調査をして土の成分マップみたいなものをつくったらどうでしょうか。例えば、危険度一、危険度二とか。もしかすると日本の畑は安全だという神話は崩れるかもしれません。農林水産部長にお伺いをいたしたいと思います。
 また、国連主導のミレニアム・エコシステム調査委員会というところが、二十一億の人々が住む世界の乾燥地域が食料生産不能になる危機にあるという新たな報告書を発表しました。土地が砂漠化したら本来の土質に変えることはできない、戻すことはできないのであります。つまり、人間が生きていくための陸地がだんだんとなくなってきているのであります。日本の九州あたりは、今は温帯ですが、だんだんと亜熱帯、熱帯になり、東北地方の冷帯が温帯になり、亜熱帯になっていく日は近いかもしれません。
 日本では砂漠化を防ぐためには何が必要なのか。単なる農業をやっている個人と土地の問題だけでなく、国や県行政の危機管理というものが必要ではないでしょうか。今は専門家から言われていますが、行政としてその現状と見通しについてどう対処しようとしているのか、環境生活部長にお伺いをしたいと思います。
 以上、ロシアやスペインの地球温暖化の深刻な実態を報告し、他人事ではない、いつ和歌山もこうなるかもしれないという危機感を私は抱いていますが、知事の御見解を求めたいと思います。
 深刻な話ばかりではなく、明るい話もあります。続いて、私のライフワークとして取り組んでいます世界遺産について入りたいと思います。
 まず観光客ですが、昨年の七月に世界遺産登録で大幅にふえた熊野古道の中心であります田辺市本宮では、もしかしたら減っているのではと心配しながら、ことしはどうなっているのか調べてみました。観光客が多い七月、八月の昨年と、ことしの日帰り、宿泊客も含めて比べてみますと、十九万四千三百三十五人から二十二万七千三百八十九人とさらに伸びているという、うれしい結果が出ています。先日、東京の旅行会社へ行ってきましたが、一番熊野古道が人気があると喜んでくれています。
 そこで、ことしと来年の世界遺産に対しての予算は、どこにアクセントをつけていくのか、タイトルはどのように考えておられるのか。例えば愛知万博のように「愛」というテーマをつけたように、和歌山の知名度が広がるような世界遺産の来年度への課題について、まず知事にお伺いをしたいと思います。
 さらに、具体的な提案をこれから申し上げます。
 私どもの高野熊野世界遺産連絡会での主な要望や意見を集約したものでありますが、まず一つ目は、手前みそですが、六月議会で御紹介しました「空海の知恵袋」が実は出始めました。旅行業者の皆さんに好評であります。来年からスタートすることが決まりました。早いところは、来年の三月から六月までの間で千人を超える第一陣が来るようになりました。このことによって、私たちにとって念願でありました雇用のスタートが始まればよいのだと思っています。
 これは、世界遺産というふるさとの素材を生かしながら新しい雇用というものを生み出し、生活の糧を与えることができるように、年々大きくなっていくだろうと期待しています。働く仕事の場を創出することが大きなねらいだったことが実現しそうで、主婦や高齢者の方々や身障者の人々にもその仕事がつながっていくことになります。ふるさとの人たちが世界遺産によって元気が出、ふるさとが美しくなり、世界の人々が来てくれている。わずかな日当だけど、一生懸命世界のために、和歌山県のためにやってくれて、具体的に動き出しました。
 そこで、県行政にも支援をお願いしたいと思います。企画部長にお伺いをいたします。
 二つ目は、身体障害者や外国の方々を大切にした観光客の受け入れについてであります。
 地域限定通訳案内士試験制度が法律改正で来年度から県独自で導入できるようになりましたが、これを積極的に取り組んでいただきたい。私ども連絡会の方へは、外国語の語り部学校を開こうと、県内の専門学校やNPOの人たちが相談に来ています。この機会にこうしたところと連携していただいて外国語での語り部育成に取り組むことを提案しますが、いかがでしょうか。商工労働部長にお伺いをしたいと思います。
 また、昨年からことしにかけて、県も支援をしていただき、世界遺産連絡会が推薦をしました七カ国語音声案内装置が完成しました。それを熊野本宮大社で、行政や神社の御協力を得て試験的に設置をして取り組んでいますが、大変好評です。数値で言えば、本年二月の設置より五月までの三カ月で、英語が四百十八人、韓国語三百六十三人、中国語二百九十六人、フランス語百四十八人、イタリア語百六十人、ドイツ語百九十人、日本語二千九百七十三人と出ており、関係者も大変喜んでくれています。
 こうしたことからも、世界の人々に訪れてもらうための諸条件づくりにこのような設備の有効的活用や設置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。企画部長にお伺いをしたいと思います。
 三つ目は、ふるさとを見直す世界遺産についてであります。
 大辺路では、ことしの五月に富田坂の地元の子供たちが、土に溶ける風船に世界遺産のPRや自分の名前を書き、全国、世界の空に向けて飛ばしました。こうしたことによって、子供たちも自分たちのふるさとをだんだんと誇りに思うようになってきました。このような行事、イベント等についても教育の一環として取り上げてはどうでしょうか、教育長にお伺いをしたいと思います。
 また、大辺路の仏坂では、安居の渡し舟が地元の方から寄附をしていただき復活をし、ふるさとに活気が出てきました。しかし、大辺路は中辺路に比べてまだまだ保全整備や受け入れ態勢がおくれているのが現実であります。世界遺産に先行投資をすることで多くの経済効果を地域に起こしていますが、来年度予算の中で特に大辺路について配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いをしたいと思います。
 最後に、一言言わせていただきたいと思います。
 今議会に自由民主党県議団を中心に提出をされています議員提案条例の紀の国森づくり税及び基金条例についてであります。
 私は、環境を守って、世界から来られる観光客に喜んでもらい、世界遺産にふさわしい森林や環境づくりに膨大な費用がかかることは十分承知をしています。それゆえに、今回の議員提案に関して頭から反対するものではありません。ただし、この条例の財源、趣旨、名称等にかなりの不満や疑念があるのは事実であります。その上、余りにも拙速な条例の提案の仕方に再考を求めるものであります。これは、新生わかやま県議団全員の意見でもあります。
 まず財源についてでありますが、まだ記憶にある人がいると思いますが、三年前に私が議会で提案をし、知事がいち早く取り上げていただき、ストップ温暖化家庭の省エネの施策として実現をしていただき、全国に先駆けて取り組み、既に実績が出ています。地球温暖化防止のため家庭の省エネ指導をすることで、環境省の試算では一軒当たりの省エネが年間約四万一千円になると言われております。県下の省エネ実績結果では、これ以上の省エネ金額になっているところもあります。そして、実践をされた主婦の方から、例えば年間千円や二千円ぐらいなら環境をよくするために寄附をしてもよいと言ってくれています。こうした活動を広めていくことによって、県下の三十八万世帯で千円なら三億八千万円、二千円なら七億六千万円の基金ができ、県民の意識改革にもつながり、県民の賛同も得られるのではないでしょうか。
 このように、環境をよくしていく活動は、まじめに努力して取り組んだ者が報われ、活動してよかったと実感ができます。反対に、努力をしない人にはペナルティーを科すという税の公平感が保てるような仕組みを考え、そのように実施しないと県民の理解や協力が得られなく、長続きをしないと私は考えます。
 また、平成十五年から始まり県立学校を中心に取り組まれている和歌山方式のエコスクールは、全国的にも高く評価をされています。努力した学校には前年度と比べた経費の六割を還元し、さらに努力した学校にはボーナスを与えるという、全国に例のない仕組みを取り入れることによって大きな成果が出ています。──資料の中にも入れております。
 この二つの事例を示し、私が何を訴えたいのか申し上げてきました。
 今回提案されています内容では、税という形で結果的に上から強制をして一律に徴収をするのは、環境に対する一人一人の意識を改革するという観点からはなじまないし、長続きをしないと考えます。なぜなら、このことはそのときだけよかれというのではなく、地球が存在する限り永久に取り組まなければならないからです。
 環境というのは他人任せでは守れません。一人一人の努力によってこそ、よい結果が出てくるのであります。環境を守り努力する人が報われる、それを契機としてさらに広がっていくような施策を行うことが県行政に求められているのであり、税を県民から一律に徴収するのではなく、県民から努力して浮いたお金の一部をみずから進んで提供してもらうという財源づくりをまず考え、そうしたことも含めて取り組むことが必要ではないでしょうか。
 二点目として、条例の趣旨についてですが、今回のように税として県民から取ったら、森林や環境に対する造詣や愛着というものに県民の心が向かなくなってしまうのではないかとの心配をします。それより、今、県知事が積極的に取り組んでいただいています緑の雇用事業や企業の森事業のさらなる拡大や、大阪府が今度、自治体や企業、大学と連携をし森林整備を呼びかける「森の貯金箱CO2制度」など参考にしていただくことや、私どもも来年から、世界の観光客に自然林を植林して世界遺産の保全に貢献してもらう事業を、微力ですが、取り組む準備を進めています。
 このような県民一人一人のそれぞれの知恵を出し、努力し、協力をすることで和歌山の森林を初めとする環境を守っていくことが、本当の意味での世界遺産や森林や環境に対する造詣や愛着が生まれてくるのではないでしょうか。そして、そのことによって県民の理解と、それを守り、後世に手渡していくため、みずから進んで献金しようという郷土愛というのが生まれてくるのだと私は思います。
 三点目として、行政に対してですが、森林を守るために当然しておかなければならない事業、行政はやられているのかどうか、まず見直しが必要ではないでしょうか。
 例えば、公的資金の使途の見直し、次に、私も四年前から議会でずっと提案をしています県民の飲み水を守る危機管理条例の制定に関して、地下水の涵養や取水の制限や水を利用する企業等に対する協力金制度などは、まだできていません。水をはぐくむ森林育成が大事だといっても、今申し上げたようなことができていなくては、本当に県民が理解してくれるでしょうか、疑問です。まず、行政がやらなければならないことを先に取り組むべきです。
 最後に、環境をよくしていくためには県民の一人一人の理解と協力が欠かせないものであり、県行政は、まず森林や環境に対する県民の意識や考え方をパブリシティーすべきだと考えます。また、先に森林環境税を導入している自治体、高知県を例に見てみますと、導入に至るまで県民に対する啓発や理解を得るために二年近くの時間をかけています。それゆえ、今回の提案は全く拙速過ぎます。知事の御見解をお聞かせください。さらに、今回条例提案をされました自由民主党県議団からも責任ある答弁を求めます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの玉置公良君の質問に対する提出者及び当局の答弁を求めます。
 まず、提出者の答弁を求めます。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 玉置議員の質問にお答えをいたします。
 かつて和歌山県の豊かな森林は、林業経営が順調に行われることで適切に管理が行われてきました。しかし、最近の林業経営をめぐる厳しい状況の中で、間伐材等の森林整備が十分に行われなくなっており、森林の荒廃がどんどん進んでいます。特に小規模林家の林業経営は一層厳しさを増しています。杉立木価格については昭和五十年時の〇・一九倍と低迷し、林業経営の収益率を非常に悪化させています。もはや、森林所有者や林業関係者だけでは森林の公益的機能を守ることは明らかに困難であります。
 そこで、今回提案しております紀の国森づくり税は、税収自体を第一の目的とするのではなく、広く薄い負担を県民にお願いし、一年でも早く森の重要性を認識していただき、県民みんなで森を守っていくこと、そのことを一番の目的にしております。
 税についての県民へのPRについては、各議員により地元あるいは近隣の市町村に出向き、税の必要性などを説明して回るとともに、十月の二日には「森林環境税を考える」と題してみんなの森づくりシンポジウムを開催し、県民参加による森林環境保全のための新たな取り組みについて広く情報発信したところであります。
 また、森林環境税懇話会からの中間報告や最終報告の答申時には記者発表を行い、新聞、テレビ、ラジオ等に取り上げていただくとともに、自民党県議団のホームページに掲載するなど、広く県民に情報を発信したところであります。
 なお、税を導入するだけで和歌山県の森林・林業関係の課題がすべて解決されるとは思っておりません。宇治田議員から提案説明で申し上げた中にも、特に、現行の施策、予算の配分をさらに森林整備に重点化すること、企業の森事業を無償貸与から一歩進めて所有してもらうようにすること、わかやま森林と緑の公社経営改善の推進に努力すること、木づかい社会の実現にさらに力を入れることを県当局に強く要請したところであります。御理解を賜りますようお願いをいたします。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 次に、当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、第一点の鳥インフルエンザについての御質問でございます。
 この鳥インフルエンザについては、既に東南アジアを中心に六十人を超す人が亡くなっているということで、理論上はこのタミフルというのがきくのではないかというふうなことで、今、国の方も二千五百万人分の備蓄計画をつくって、和歌山県もその中で備蓄していこうというふうなことになっているわけです。
 一説によると、これは普通のインフルエンザでも発熱期間が二日ぐらい減るだけだというような説もあって、これが万能だというふうに考えるのは明らかにおかしいということのようですが、今の現状で一番有効であろうというふうに思われているものはこのタミフルということですし、そしてまた、今は鳥から人に感染しているわけだけども、人から人に感染する新型になった場合に今のところほかに対応策はないわけなので、十分に危機管理という観点から国と協力しながらこの薬剤の備蓄というふうなことを進めていきたいと思いますし、和歌山県では、本年中をめどに行動計画をいち早くつくろうということで今作業を進めているところでございます。
 次に、地球温暖化に伴う問題点ということですけれども、先ほどお話のあったロシア、スペインの事例、大変な状況であるということを改めて認識をいたしました。日本でも最近は局地的な豪雨が多発したり、地震は関係ないかもしれませんけども、いろんな今まで考えられなかったような天変地異というようなことが起こっているというふうなことだろうと思います。
 そういう中で、本年の二月に京都議定書が発効し、日本は地球温暖化ガスの六%の削減ということを公約したところでございますので、これを着実に守っていくというふうなことが必要だと思いますし、今、和歌山県でも独自に計画を立てて、和歌山でできるCO2の削減ということを行いながら、また企業の森等によってCO2を森林で固定させ、そしてまたこれを県独自に認定していくという制度も今つくっているということで、この問題は本当に重大なことですし、そしてまた、和歌山だけがやってもというふうな発想では許されることではなくて、みんながやっていくということが大事だろうと思っております。
 そういう中で、スペインと同じようなことが和歌山の海岸部でも起こるのではないかというふうな御質問ですが、和歌山は、御案内のように高温多湿の温帯モンスーン地帯ということで、砂漠からシロッコが吹いてくるスペインとはちょっと同義には考えにくいというふうに思いますけれども、しかしながら、この問題は和歌山がどうということじゃなくて、地球全体として本当に危機的な状況にあるということだろうと思いますので、いずれにせよ深刻に受けとめて、県でできること、最大限の努力を払っていきたいと、このように思っております。
 それから、世界遺産の来年度の課題ということですけども、おかげで世界遺産については観光客が着実にふえておりますし、そしてまた、関東を中心に非常に関心が高いということがあります。ただ、そのことにあぐらをかいていては、これは観光客が潮が引くように去っていくということもまた考えられますので、新たに付加価値をつけていかなければならない。
 例えば、ことし始まった川下りであるとか、それから渡しであるとか、こういうふうなものはまた新しい魅力としてこの熊野古道に付加価値をつけてくれると思います。そしてまた、熊野健康村構想とかいうふうなことを進めることによって、新たに団塊の世代の人たちの理解を深めていくということも可能だと思います。
 来年は、これはまだ計画中ですけども、例えば「平成の旅籠」というふうなものをこの熊野古道につくって旅行する人がよりしやすいような方向にしていくとか、そういうふうないろんなことをやっていこうというふうに考えているところでございます。
 さらに、大辺路の振興ということですが、この大辺路というのは距離も長いし、海が見えるところが非常に多いのですばらしいと思うんですが、ただ、熊野古道自体がなくなっているようなところがあって、今、NPO的な人たちとか、それから刈り開き隊の人たちとか、いろいろ自分たちの努力で新たに道をつくっていくというふうな努力をされてます。
 県もこういうことを大いにバックアップするとともに、遺産登録されているか、されていないかは別の問題として、この道を例えば「海の見える熊野古道」というふうなキャッチフレーズのもとに新たな魅力として売り出していくということも、非常に大事なことだろうというふうに思っております。
 紀の国森づくり税につきましては、先ほどお答えしたとおりで、環境づくりにもお金が要ることです。そしてまた、県民の人が広く負担することによって理解を求めるということも非常に有意義なことだということは、もう二年前、三年前の委員会の意見でも出ているというふうなことの中で今回提案がなされたというふうに考えているところで、いずれにせよ、議員間そしてまた各会派間でお互い十二分に御検討いただけたらと、このように思います。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、新型インフルエンザの対応についてお答えを申し上げます。
 一点目の患者の発生状況についてでございますけれども、鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例の報告は、きょう現在、和歌山県を含む国内ではございません。また、現在これらが変異してできる人から人に感染する新型インフルエンザウイルスの発生につきましても、世界的に報告はされておりません。
 次に、患者発生があった場合の対応についてでございますが、高病原性鳥インフルエンザの発生時の健康危機管理指針に基づきまして対応することとしてございますが、さらに、新型インフルエンザ対策として、先ほど知事から答弁がございましたが、本年中を目途として和歌山県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、患者の治療や感染の拡大を防止するための施設につきましては、菌が外に出ないようにした設備を持った感染症指定医療機関等が県内に七施設あります。適時連携を図り、施設の確保に努めてまいりたいと考えております。
 三点目の海外からの旅行者の対応についてでございますが、基本的には、発生・流行地域からの入国者につきましては、検疫の強化とともに、万が一県内での発生時には迅速かつ適切に対応できるように医療関係機関との協力体制の強化に努めてまいりたいと思っております。
 四点目の治療薬についてでございますが、お示しの新聞に掲載された備蓄量につきましては直接買い上げされている数量でございまして、本県では医薬品卸業界との契約によりまして、いわゆる流通備蓄として現在百人分を別途確保しております。
 また、新型インフルエンザ対策として抗インフルエンザウイルス薬の備蓄については、国から明示のあった人口の約八・三%に相当する八万八千人分を目標数量としまして、国と連携を図りながら確保に努めてまいりたいと考えております。
 今後、新型インフルエンザが発生した場合、医療機関で混乱が生じないよう、当該抗インフルエンザウイルス薬を県において備蓄するとともに、必要な場合には県内の医療機関でスムーズに使用できる体制を構築してまいります。
 次に、救命救急センターを紀南病院にとの御質問でございますが、重篤患者に対しまして緊急治療を行う三次救急医療体制の整備は重要でございまして、現在は救命救急センターが和歌山市内に二カ所設置されているものの、紀南地域への設置は従来からの懸案事項となっております。新たに国において人口おおむね約三十万人規模で十床型の新型救命救急センターの制度が加えられたことによりまして、このたび、田辺市にある社会保険紀南病院及び独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターから設置申請書が提出されているところでございます。
 県としましては、保健医療に関する重要な事項を協議する場である和歌山県地域保健医療協議会に検討を依頼し、保健医療に関する専門的な立場から御意見をお伺いすることにより、総合的かつ適切に判断してまいりたいと考えております。
 二点目の救命救急センターと医療ビジョンについてでございますけれども、県民の皆さんが安心して暮らすことができるよう、救急医療体制の整備を進めていくことが重要でございます。新型救命救急センターを新たに紀南地域に一カ所設置することにより、県内どこに住んでいても三次救急医療を受けることのできる体制づくりを進めてまいりたいと考えてございます。新型救命救急センターは、御坊、田辺、新宮の三つの保健医療圏を合わせた人口おおむね三十万人規模で一カ所となってございます。
 今後は、ドクターヘリの有効活用とあわせまして、いずれの医療圏におきましても三次救急医療体制に対応できるような体制の整備について検討を行うことにより、紀南地域の救急医療体制の機能充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 地球温暖化に関連いたしまして、和歌山県における土質変化と、農業用水としての地下水の塩害実態とその点検とパトロールについてお答えいたします。
 農業用水の地下水利用につきましては、浅井戸──打ち抜き井戸でございますが──などによりまして、県内に約三百カ所、かんがい面積は約八百ヘクタールございます。これらにつきましては、定期的に調査いたしているところでございます。うち、塩害の発生につきましては、過去に河口部の砂地地域で二例程度、過剰くみ上げによる被害がございましたが、いずれも局地的なものであったと把握をしてございます。
 次に、土質の変化につきましては、国土調査法に基づきます土地分類調査を実施いたしまして県全域の土性等を調査しているところでございます。また、農地の土壌につきましては、土壌機能実態モニタリング調査により定点調査を実施いたしてございます。農作物の栽培に影響を与えるような変化は見受けられないとの調査結果を得ているところでございます。
 しかしながら、議員御指摘の温暖化の影響につきましては、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構におきまして日本の農業への影響が懸念されているところでもございますので、こうした土壌等の調査を継続して実施しつつ農地や水の保全を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 地球温暖化に伴う砂漠化に関する御質問でございます。
 一般的に砂漠化とは、干ばつなどの気候変動による要因のほか、放牧地の再生能力を超えた家畜の放牧や過度な土地の耕作などの人間の活動によってももたらされる現象であると認識をしております。
 最近では、地球温暖化に伴う気温の上昇や降雨量の減少により乾燥化が進むなどの要因でも砂漠化が進むと考えられております。我が国では、地球温暖化の影響として既に局地的な大雨や勢力の強い台風などの発生、これによりまして、地球温暖化がこのまま進めば海面の上昇あるいは生態系や農林水産業への影響も懸念をされております。
 地球温暖化を防止するための京都議定書が本年二月に発効した今、県では、既に県地球温暖化防止活動推進センターの指定を行うとともに、県内の温室効果ガスを削減するため、排出削減やCO2吸収源対策を盛り込んだ地域計画の策定に向け、現在、地域推進計画検討会において数値目標の設定などさまざまな検討を行っているところでございます。
 今後は、温室効果ガスの削減に向け、県民の皆様方の御協力をいただきながら、県民総ぐるみの運動として展開をしていくことが何よりも大切であると考えております。
 議員御指摘のスペインの状況につきましては、その深刻さを再認識いたしたところでございます。今後の取り組みに当たって参考とさせていただきます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 世界遺産のことについてでございますが、本県の豊かな自然と文化を生かした地域づくりを進める上で、世界遺産の保存にあわせて、それを適切に活用していくことが大変重要であると認識しております。その中で、議員のお話にありましたように、「空海の知恵袋」のような世界遺産の魅力を生かした新たな雇用創出などの積極的な取り組みが始まっていることについては、非常に心強く感じているところでございます。
 県といたしましても、こうした地域活動がより拡大し、地域全域の活性化につながるよう、他部局と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 また、世界遺産を訪れる方々の受け入れ態勢の整備は大変重要なことであります。特に、議員御指摘の外国人観光客あるいは体の不自由な方々への対応につきましては、さらに充実を図っていく必要があるものと考えております。
 こうしたことから、外国語のPRパンフレットの充実や体の不自由な方々にも利用いただける展示物の設置などの検討を進めるとともに、議員お話しの音声案内装置の設置につきましても今後研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 外国語での語り部育成についてでございます。
 地域限定通訳案内士試験制度については、現在、導入に向けてのガイドラインを国において策定中であります。ガイドラインが示された後、各都道府県で実施に向け具体的に検討することとなりますが、本県でも地域固有の魅力を外国人観光客に伝えるため、積極的な取り組みが必要と考えてございます。
 また、議員御提案の外国語での語り部育成につきましては、外国人観光客受け入れのために大変重要なことと認識しており、NPOの方々を初め、広く連携し、進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産を活用したふるさと教育についてお答えいたします。
 教育委員会では、昨年度から高野・熊野の価値を伝え、その保全に取り組むとともに、小中学生の現地学習のサポート活動等を行う高校生「高野・熊野ワールドヘリテージレンジャー」の育成に取り組んでおります。
 また、熊野古道のロングハイキングを実施している高校や、地域の文化遺産を絵画マップにまとめたり歴史や文化についてのガイドブックを作成したりするほか、街道の整備や清掃活動を行うなど、世界遺産に関するさまざまな学習を積極的に展開している小中学校も数多くございます。
 県教育委員会で定めている「学校教育指導の方針と重点」では、文化遺産を活用した学習をその柱の一つに位置づけ、子供たちがふるさとへの愛情や誇りを一層高め、豊かな情緒や感性、国際性を身につけることを目指しております。
 今後とも、こうした観点に立って、世界遺産を大いに活用してまいる所存であります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 御答弁、ありがとうございました。時間がございませんから、もう一点に絞って再質問を行います。
 紀の国森づくり税についてであります。
 先ほど御答弁いただきましたけども、私は、まだ財源のあり方とか、その趣旨についても議論はしたいんですが、時間がございませんから、一つに絞って質問いたします。
 先ほどの話の中ででも、果たして県民の理解と協力というのは得られたということを判断しておられるのかどうか、ここが私はやっぱり大きな焦点やと思っております。県の考え方もこういった──九月議会でも請願書が出てますけども、そこに県はこういう書き方をしています。「県民の理解を得る中で」と、答弁でこういう書き方をしております。
 さらに、私も先ほど申しましたけども、今、十四県がされております。私なりに調べました。平均して、やっぱり二年間の県民に対する啓発とか理解を得るための時間をかけておるんです。
 こういったことも含めて、実は、きのう和歌山市議会がこの税や基金に対して反対決議を全会一致でやられたものを、きょうは見さしていただきました。ここで簡潔に聞かれておりますし、私は、この県民の税の三分の一以上納める和歌山市がこういうことをやられておるということについて大変危惧をしておりますから、このことについて、一本に絞って質問したいと思います。
 この中に、一つは、「議案提出に当たって、「県民の理解と協力のもと」としながら、和歌山県民はもとより、その税の三分の一以上を負担する我が和歌山市民にいかなる説明をしたのか、現時点において和歌山市民のコンセンサスが得られたものとは認められず、全くもって一方的な議案提出と断じざるを得ない」と、こう書かれておりますけども、このことについて一点。
 二つ目、「今回示された議案では、実質的な県民税の増税であり、現下の本市経済状況を勘案するとき、適切な施策といえるのか甚だ疑問である」。これが二点目。
 三点目、「地方税上、その県民税の徴収は、市民税の徴収と併せて行うものとなっており、今回の増税は、その徴収率にも大きく影響を与えることが危惧されるところである」。これが三点目であります。
 四点目、「かかる議案の提出に当たっては、県民に対する十分な説明責任を果たすことはもとより、各市町村との協議、検討がなされた上でされるべきである」。
 この四点について、大変大事なことでありますので、先ほど答弁をされました新島議員に答弁を求めたいと思います。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する提出者の答弁を求めます。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 再質問にお答えをいたします。
 まず、私ども自由民主党県議団では、二年前より森林に関する研究会を立ち上げてまいりました。その中で調査研究をしてまいりました。そして、先ほどの答弁をさせていただいた中でも、各議員がいろんなところで話をし、また森林環境税懇話会をつくってまいりました。そして、その中間報告並びに最終報告を受ける中で、新聞、テレビ、ラジオを通じて県民の皆さん方に報告をするとともに、私どものホームページに掲載もしてまいりました。
 そして、先ほどの答弁で申し上げた中にも、私どもは、今回、税を導入するだけで森林・林業の関係がすべて解決されるとは思っていませんし、また、税収自体を第一の目的とするものではないということであります。
 今の御質問の中で、確かに増税でありますが、県民から広く薄く県民の知恵をいただき、そして有効に活用する財源を求めるものであります。
 各都道府県では二年間の経緯ということを申しておりますが、私どもも各地域を調査研究する中で、二年の歳月をやってきたのは事実であります。
 また、質問の中で、経済に与える影響ということになってきますと、私個人の考えから申し上げますと、そんなに大きな影響がない、そのように考えているものであります。
 御理解を賜りたいと思います。以上です。
  〔「理解できない」「質問の趣旨に答えてない」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間、六十分が過ぎておりますが、再々質問をされますか。──答弁漏れですか。
  〔「答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 答弁漏れがあるようですので、提出者の答弁を求めます。
  〔「答弁漏れって何や。ちゃんと答弁してあるやないか」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁漏れありと言ったんですけどね、出てこられませんので。
 私は、やはりこれは大変大事な問題で、重く受けとめております、この決議も含めて。したがって、時間の関係もございますから、もうあえてしつこく言いません。これはこれから委員会、本会議等で議論をされてきますけども、ぜひとも、先ほど言ったことも含めてきちっと答弁をしていただくように、そのことがやっぱり県民に果たす我々の役目やと思っておりますので、よろしくお願いをして終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、早速一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、今議会に議員提案をされました紀の国森づくり税関連議案に関しての質問をさせていただきます。
 私は、森林整備の必要性、緊急性について、繰り返し、一般質問また農林水産委員会審議の中で訴えてまいりました。今、和歌山の山は、間伐などの手入れができないために昼間でも懐中電灯を持って入らなければならないほどの真っ暗な森がふえ、下草が生えずに土がむき出しの山が続出し、遠くから見れば緑に見える山も、緑のダムどころか緑の砂漠なのだと警鐘が鳴らされています。
 豊かな自然環境を守り、災害防止、林業再生のさまざまな観点からこの森林を何とかしなければならないというのは、広く県民、国民の願いです。その共通の目標に向かって何をすべきかが国や県行政に問われてきたわけであります。果たして、この紀の国森づくり税の導入が県民の願いにこたえたものになるでしょうか。
 私は、この一般質問を通じて、森林と県行政の現状と紀の国森づくり税提出者の姿勢、考え方について、基本的な点をお伺いしたいと思います。
 まず、和歌山県の森林の現状と課題について、並びに森林整備及び啓発のための県予算と事業内容についてお尋ねをいたします。
 税導入の是非の前提問題として、和歌山の森林がどこに課題を抱えていると考えているのか、それに対して県はどう取り組んできたのかを整理する必要があります。全体で五千二百億円のこの県予算、百億円の森林関係予算の中で、森林整備と、それから県民啓発の事業にこれまでどれだけの予算を充てて、どう取り組んできたのか。農林水産部長より、まずお答えください。
 私は、これまでの県議会の一般質問で、こう訴えてきました。国や県の森林予算の実態は、直接森林整備につながる予算よりも大規模林道や砂防ダムなどの土木工事に大部分が充てられていて、国の林業予算を見ても、ひどいときは二割対八割という状況であったと聞いています。この逆立ちを正せば財源はある。人工林をどんどんふやしておきながら、外材輸入野放しで木材価格を崩壊させた国の政治の責任は重大です。林業関係者から聞いた声、「大銀行を救うために税金投入した一千分の一でも山に光を当ててくれれば、山は生き返るのに」、この声に政治はこたえるべきではないでしょうか。
 私は、この間、地元の清水町、金屋町、広川町を初め、県内の森林組合や林業関係者の皆さんと、この問題で懇談を重ねてまいりました。その中で出された声は、「補助金をいただいて間伐をするのは本来の姿ではないと、みずからを戒めながら頑張っている。補助金で緊急の措置として助けていただきながらも、間伐材を山から出すための毛細血管である作業道をつけることや近代的な機械導入への援助をぜひお願いしたい。作業道で言えば、清水町でことしやっと一千メートル、去年や一昨年は二、三百メートルしか予算がおりないのです」と要望が出されました。
 調べてみると、県の作業道の予算が龍神村の予算よりも少なかった年もあります。間伐材が川下に出て利用される、そしてそれがまた次の間伐に進むというサイクル、そしてそれを保障する作業道が欲しいという現場の願い、こういった声にこそこたえるべきではないでしょうか。この森林土木と森林整備の予算配分の点についてはどうなっているか、農林水産部長から答弁をお願いいたします。
 引き続き、今度は条例提案者の皆さんに具体的にお伺いをいたします。
 今、税金のむだ遣いに対する県民、国民の怒りは頂点に達しています。新たな税負担を提案するなら県民理解が大前提です。答弁の中で条例案の考え方を明確にお示しいただきたいと思います。
 まず第一に、どんな事業をするための税金かという中身の問題です。今議会に提案された条例案は二本、一つは税金を値上げをします、こういう条例案、そしてもう一つは、その財源でもって基金をつくるという条例案です。ところが、肝心かなめの、どんな目的のどんな事業に幾ら使うのか、こういう具体的な事業内容、事業計画書がありません。税金の集め方と使い方、これは一体のものです。議会はもとより県民がこの税に納得できるかどうかは、事業の妥当性、事業効果、予算規模を審議しなければ答えは出せないんじゃないでしょうか。
 私は、先月、神奈川県庁へ行って、神奈川県水源環境保全税における県議会での審議経過を調査してまいりました。ここは、都市部の県らしく、きれいな水道水の確保、これを目的として議論が始まったものでした。当たり前のことですが、税改正の条例案、基金の条例案、そして事業計画の詳細案、この三つがセットになって提案をされています。
 研究会報告による当初計画は、和歌山県の森林面積の六分の一しかない六万ヘクタールの神奈川県の森林に対して、何と二十年間で総額一千百億円かけて森林整備をする、そのためにまず毎年百四億円の税金を当面五年間、県民から徴収する、こういう巨大で、そして中身も総花的な計画でありました。これに議会は反発し、知事からの提案の表明があってから約三年間、一度は条例案の取り下げもしながら、事業総額も百四億円から七十八億円、四十一億円、もうひとつまけて三十八億円と再提案をされてきたんですね。
 何がそこで議論をされてきたのかというと、計画にある一つ一つの事業が新しい税金を取ってまでやる事業かどうか、そういう点だったんですね。新しい税金を取ってまでするにふさわしい事業かどうか、また予算額は適当か、この二点について議論がされていました。つまり、この事業計画の妥当性を議論することによって、この税額が変わっていったんですね。大切なのはまず事業の是非であり、幾ら税金を取るかというのは後なんです。
 私も資料をたくさんいただきましたけども、どこを対象にした、どんな事業に、幾らの予算を、何年打つのか、こういうように細かく提案された事業案を審議する中で、啓発や都市部の取り組みも大切やけども、新たな税ということであれば水源環境保全に直接効果のある事業に絞るべきだ、こういう意見が出たり、また、この事業はこれまで公共事業でやっていたものを新税の事業として振りかえているだけではないか、こういった大論議がされて事業が絞り込まれていきました。私は、この審議の経過、ここに大変注目をして帰ってまいりました。
 そこで、本条例案についてお伺いをいたします。
 紀の国森づくり基金事業、この目的や焦点、使途、予算はどうか。使途を示さずに増税だけを押しつけることになれば県民の理解を得られないのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 二点目に、この税による事業と既に今やっている県事業との関係をお尋ねいたします。
 今回の条例案は、国や県の予算が足りないから、お金がないからもうちょっと県民に負担をしてくれないか、そういうふうな議案なのか、それとも既存の県事業とは違うものに使おうとしているのかをお聞きしたいと思うんです。既存の事業を新規財源で賄うことになれば、県財政の穴埋めに用いることになるのではないでしょうか。この点についての考えをお示しください。
 三点目は、事業額のサイズについてです。
 この税金で徴収される二億六千万円という額は、森林整備のハード面、啓発のソフト面に半分ずつ振り向けると仮定しますと、約一億円ずつです。昨年度決算でも、高度化資金の貸付金など百七十六億円もの収入ができなかった額があり、支出の面でも依然として高い落札率など、多くの改善が求められています。そういうことから見れば、県全体の予算の中でむだを省き、予算を組みかえれば十分に生み出せる額だと思いますが、いかがでしょうか。
 四点目です。今の厳しい経済状況の中、県民負担増をどう考えているのかという点であります。
 この間、税と社会保障の負担のふえ方は、まさに軒並みです。税について言えば、所得税においては老年者控除が廃止され、公的年金控除が百四十万から百二十万に引き下げられました。定率減税は来年一月から半減されます。住民税においても同様の措置が待ち受けています。定率減税は〇七年には全廃することが予定されています。医療費、介護保険料と次々と弱者への負担が続き、消費が冷え込んで戻らない中、苦しい県民生活への影響をどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 第五点目に、今度は、森林整備の責務をだれに求めるのか、税負担をだれに求めるのかという問題です。
 これまで県内の市町村長さんや林業関係者が声を上げられてきた問題は、森林の公益的機能をもっと評価すべきだと、森林を抱える地方だとか自治体だけに任せるんではなく、国がその役割を果たして都市部の住民も一緒になって森林を支えるような、そういう仕組みづくりをと主張されてきたのではないでしょうか。それがいつの間にか県民に負担を求める、こういうことになっては百八十度方向転換ではないでしょうか。森林保全事業は国の施策として、森林交付税の創設など地方交付税制度の活用により財源調達をされるべきではないか。この点について答弁を願います。
 この問題の最後に、一番大事な県民合意という点で質問をいたします。
 私は、高知県にも森林環境税の調査に、夏に出向いてまいりました。森林県である高知県では、知事の提案により、森林の荒廃を県民の生活環境の問題としてとらえ、県民挙げて森林保全に取り組むことを目標に、何よりも県民議論を大切に相談を進めてきました。
 十二年度に県庁の中に検討組織を立ち上げ、二回のアンケート、試案の発表、六十五回もの意見交換会、シンポジウム、市町村長さんや森林所有者との協議に取り組み、二年後の十四年冬に全体構想を発表し、十五年の予算議会で、税改正の条例案、基金の条例案、そして新たな事業を盛り込んだ来年度予算案、これをセットにして議会に提出し、議会での慎重審議を経て、全会派の賛成でこれは成立しました。
 県民から寄せられた意見には、制度の意義には賛同するが、税の使い道についてはいろんな意見が出されています。ソフト重視でなく直接山に投資をするべきではないか、こういった意見から、林業支援ではなく森林の公益的な機能の発揮を目的にすべきだ、こういったさまざまな立場からの意見が出されて、高知の山にとって、県民にとって何をなすべきか、このことが県と県民との間でキャッチボールを繰り返されて練り上げられたものだというふうに思うんです。
 私は、森林保全の問題は、国が全国的な視野で責任を持って財源を保障すべきだと考えています。しかしまた、国の林業政策への評価は違っても、自分たちの地域の急務の課題に、自分たちでお金を出し合って力を合わせることはあり得ることだと考えています。ところが、今回の条例案の強行は、県民との議論や時間をかけた検討もなしに、具体的な使い道、事業計画も示さずに、県議会が県民に増税だけを押しつけるという結果を招こうとしています。幾ら趣旨がよくても増税押しつけではマイナスです。
 現に昨日、和歌山市議会が全会派一致の反対決議を知事と県議会に提出をされたではありませんか。これは、県民合意もなしに一方的な進め方をする今のやり方に正面から批判が出たものであり、大変重く受けとめる必要があるのではないでしょうか。県民の理解を得ないままの課税は拙速であり、導入の是非は一定の時間をかけた県民議論の後に決定すべきではないかという点について、お考えを伺いたいと思います。
 条例提案者には、以上六点、簡潔明瞭に答弁をお願いいたします。
 さて次に、二番目の柱であるミカン対策についての質問に移らせていただきます。
 昨年は、全国的な台風の影響などもあって、総体的にいい価格がつきました。しかし、ことしはミカンの表年に当たることから、農家の皆さんは価格の動向を大変気にしておられました。そして、農家の心配が不幸にも的中する結果となり、安かった一昨年を下回る時期もあります。
 ことしは、夏の気候条件にも恵まれ、昨年を上回る味と品質に仕上がっていながらも安値で推移をしている、味がいいのに価格が上がらない、ここにことしの農家の悩みがあります。うまいミカンをつくれば売れるのだと言われて元を入れて頑張った、しかし、うまいミカンができても値段がつかずに売れない、また、ミカンが多過ぎるから売れないのだと言われ、減反や出荷調整に協力したが、表年でも裏年でも安い。こういう状況が、この間、続いてきているわけであります。
 農家が自信を持って出荷した農産物が期待どおりの値段がつかないという現在の価格形成における問題点が指摘されています。市場では競りがほとんど行われず、大部分が相対取引です。スーパーが価格を支配し、量販店からの「何月の第何週に何円でセールをかけるような品物をどれだけ調達してほしい」、こういうような取引で商品価格が決まっていきます。また一方で、市場の価格が一キロ百四十円であっても、二百四十円になっても、量販店の店頭では一キロサンキュッパ、三百九十八円は変わらない、こういった矛盾した状態になっているんです。
 そんな中、自分たちがつくった農産物を自分たちが希望する値段に近づけたいと、さまざまな努力がされています。農家から消費者への産直や小売を初め、量販店の仕入れ人・バイヤーに商品の魅力を積極的に伝える努力や食べ方の提案、対面販売など店頭での販売形態の工夫など、消費拡大と価格形成に対する努力が求められています。これらの努力は、農家や産地、販売組織にまず求められるべきものです。しかし、県内地場産業を支える県の果たすべき役割は大変大きいと言わなければなりません。
 私は、一昨年の質問で、和歌山県のミカンは京阪神市場では高い評価を得ているが、東京のど真ん中では弱い、全国ブランドとして復活するには、お世話になっている京阪市場を大事にしながら、この東京の中心市場に果敢に攻めることがどうしても必要だと訴えてまいりました。
 今回、十一月十七日に木村知事が初めて東京の大田市場にトップセールスに行っていただき、生産者のキャンペーンを励ましていただいたことは大きな意義がありました。地元も大変喜んでいました。改めてお礼を申し上げるものです。
 知事がキャンペーンをした次の日には、有田ミカンの新聞広告、一面広告が──(資料を示す)こういったもんですが、関東から東北にかけて掲載をされ、この中で、有田ミカン五キロ箱三十ケースプレゼント、こういうコーナーに何と二万通を超えるはがきが寄せられまして、それから電話注文も朝からもう鳴りっ放しだったということです。加えて、市場の協力も得て関東圏の二百カ所の量販店で、販促ビデオなんかも使って店頭キャンペーンといったものに取り組まれました。これらを通じて、和歌山県のミカンのブランド力が大きく高まったと関係者も喜んでいます。ぜひこの流れを今後も一層強めていただきたいと願うものです。
 県によるこの間のミカンの価格対策及び販売戦略について、知事並びに農林水産部長から答弁を求めたいと思います。特に知事からは、大田市場などでのキャンペーンの感想や今後の県としての取り組みの決意をお聞かせ願います。
 次に、魅力ある新品種を生み出すための取り組みと体制についてお尋ねをいたします。
 先ほど申し上げました二年前の一般質問で、和歌山県は四国とか九州の各県に比べて魅力的な新品種を生み出すという点では取り組みが大きくおくれをとっている、十年ほどは枝変わり以外の新品種も出ていない、こんな農家の声を紹介しながら、閉塞感に悩む農業経営の中で消費者や市場のニーズにマッチした魅力的な新品種への期待が強く寄せられていると訴えました。この二年間、この問題にどう取り組み、取り組みや体制がどう前進し、今後どう取り組んでいくのかをお聞かせください。
 三つ目に、この間、農家の皆さんのお話を聞くと、熱心な農家は愛媛や九州の果樹試験場によく勉強に通っておられます。そして、それらの試験場は大変熱心だと言うんですね。それに比べて和歌山の試験場は、研究員も三年ほどでころころかわっていて、あんなんでは腰の据えた研究なんかできるはずないと、品種改良ができないのもそんなところに原因もあるのではないかと、厳しい御意見もいただきました。
 私、調べてみますと、この十年間で果樹試験場を人事異動で離れた職員を見ると、試験場での勤続年数四年以下という人が実に七五%を占めていました。試験研究機関の現場に機械的な人事異動を当てはめては無理があると思います。新品種を生み出すための研究員の配置や人事異動期間についてどう考えているのか。
 以上、新品種の育成にかかわっての二点を農林水産部長から答弁をお願いいたします。
 次に、県内小中学校におけるエアコン利用料徴収についてお尋ねをします。
 教室の温度調査などのデータでも明らかなように、子供たちが学ぶ教室の学習環境は大変な状況にあります。このほど吉備町では、扇風機やエアコンの設置を求める住民の願いにこたえて、再来年度までに小学校三校と中学校一校にエアコンを設置すると表明し、既に今年度から設置が始まっています。大変積極的な対応だと思いますが、このエアコンの利用料を保護者から徴収する計画があるとお聞きいたしました。
 エアコン設置は県内ではまだまだ例が少ないんですが、高等学校などとは違って義務教育の学校ですから、その暖房費や冷房費等の水道光熱費を保護者から徴収するという例は、県内でも、全国的にも聞いたことがありません。保護者、住民からは戸惑いの声が上がっています。市町村立の義務教育小中学校でエアコン利用料の徴収をすることについて、県教育委員会の基本的な考え方を教育長より御答弁願います。
 最後に、道路問題で四点お尋ねをいたします。
 まず第一に、今議会の補正予算案で債務負担行為の設定として提案されております吉備インターチェンジ改良の取りつけ道路に関連して、近畿自動車道海南─吉備間四車線化に伴う県道吉備金屋線バイパスについて、今後の整備、供用開始等の見通しを御答弁いただきたいと思います。
 第二に、県道海南金屋線のトンネル計画について伺います。
 県内陸部を南北に縦断する道路軸に位置づけられ、海南と有田を結ぶトンネルとして地元の期待が大きい計画ですが、長く調査が続いているのになかなか先が見えてこない、こういう状況があります。一体どのような調査をどこまでやってきたのか、その到達点を費用も含め具体的に明らかにしていただき、今後の方向もお示しいただきたいと思います。
 第三に、国道四百二十四号金屋町西ケ峰地内の危険箇所対策についてお伺いをします。
 この地点は、木村知事にも昨年春の生石山の山焼きの後、現場を実際に見ていただきましたが、軽自動車も対向できない狭く危険な未改良区間が続き、大きな事故も起こった箇所です。土砂を積んだ大型ダンプが行き交い、狭くとも一応国道ですからカーナビが積極的にこの道を選択することもあって、他府県の車両の交通量も多い路線です。町内の区間の中でも特に急いでいただきたい部分として地元から要望の上がっていた場所でもあり、この区間の改良工事の見通しについてお聞かせ願います。
 第四に、県道吉原湯浅線の吉見地内の道路整備についてお尋ねをいたします。
 この県道は、国道四十二号や高速道路から国道四百二十四号線へのバイパス的役割を期待されていますが、吉見地内の有田聖苑前でぷつんと行きどまりになっています。積年の課題として、毎年毎年、地元吉見区と有田聖苑事務組合から要望が出されており、県道吉原湯浅線の未着工区間の早期完成を強く望むものであります。
 以上、四点について県土整備部長より答弁をお願いいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する提出者及び当局の答弁を求めます。
 まず、提出者の答弁を求めます。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 松坂議員の質問にお答えをいたしたいと思います。
 まず、基金関係の二つの問いに、あわせてお答えいたします。
 紀の国森づくり基金の使途については、事業効果が広く県民全体に及ぶ公益性を重視するとともに、県民から見てわかりやすい施策に充当することが必要です。例えば、森林の公益的機能に対する県民の理解を深めるため、テレビ、ラジオでのPRやシンポジウムの開催など、県民への普及活動などのソフト事業と、都市近郊等の里山林や世界遺産周辺の森林整備、地域住民の生活を守る森林整備など、管理を放棄した森林の環境整備のためのハード事業が挙げられます。
 しかし、税の具体的な使途に当たっては、税導入により森林の危機的な状態に気づいていただいた県民や基金運営委員会等の意見を広く聞き、県民が知ること、県民が理解すること、県民が参画することを基本理念とし、公益性を重視し、和歌山らしい特色のある新規の事業に限定するなどのルールに沿って使ってもらいたいと思います。
 むだを省けば資金が捻出できるのではとの御質問ですが、行財政改革の必要性は認めますが、残念ながら行財政改革は森林整備のためだけに行われるものではありません。その成果を森林整備だけに用いるということは難しいと思います。むしろ逆に、国、地方を通じて財政状況が一層厳しくなる中で、森林の荒廃状況から森林環境を保全するための新たな施策の展開が必要となっており、そのためには新たな財源を求めざるを得ない状況にあります。しかし、今回の税導入の第一の目的は、税収自体ではなく、広く薄い負担で県民の皆様の関与や参加をお願いすることにあります。
 弱者対策についてでありますが、新税は県民税均等割の超過課税方式により課税することになっておりますので、一、生活保護により生活扶助を受けている方、二、障害者、未成年者、寡婦(寡夫)で前年中の合計所得が一定額以下の方、三、前年の合計所得金額が市町村の条例で定める金額以下の方については、現行の非課税措置が適用されることになっております。よって、弱者に過重な負担がふえるとは考えておりません。
 国の支援についてであります。森林交付税の創設には大いに期待し、県議会でも取り組んだ経緯があります。しかし、実現できませんでした。現下の森林・林業の混迷は、急激な経済社会情勢の変化と、それに順応できなかった政策の失敗が大きく影響しています。その意味で、国には大いに頑張ってもらいたいと思います。また一方、私たちもみずからやれることからやっていくということが大切ではないかと考えております。
 税についての県民へのPR、理解については、賛同する各議員が地元や近隣の市町村に出向き税の必要性などを説明して回るとともに、十月二日、和歌山市におきまして、「森林環境税を考える」と題して、みんなの森づくりシンポジウムを開催いたしました。案内は、県下の大勢の市議会の先生方にも御案内をさせていただきましたが、県民参加による森林環境保全のための新たな取り組みについて広く情報発信するとともに、アンケート調査を行うなど県民の意見を聴取したところであります。
 また、森林環境税懇話会からの中間報告や最終報告の答申時には記者発表を行い、新聞、テレビ、ラジオ等に取り上げていただくとともに自民党県議団のホームページに掲載するなど、広く県民に情報を発信したところであります。
○議長(吉井和視君) 次に、当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ミカンへの対策です。
 昨年、和歌山県のミカンの生産高が日本一になったことを受けて、ことしも何とか質・量とも日本一を継続できたらいいなというふうなことがありまして、去る十一月の十七日に東京の大田市場へ行って、朝から競りの前にあいさつをして、またその後、業者の人と話をしたり、いろいろやってきました。さらにその後、有楽町の交通会館のビルの前でミカンを東京都内の人たちに頒布するというふうな活動も行ってきたところです。
 大田市場では、ことしの有田ミカンというのは非常に味もいいし、評判がよくて、ほかの産地と比べてもトップクラスだというふうな感じでした。そしてまた、私もそこで食べたけど、非常においしかったんですが、残念ながら、ことしは全国的にミカンがおいしいんだけど安いということで、有田のミカンも、そういう比較の中ではトップクラスにあるんだけども、そういう値段が安いということを今受けていて、産地の方は非常に苦労をなさっているということです。
 ただ、そういうふうな中でも、例えば、味一みかんであるとか味一αであるとかマルチでやったミカンとか、こういうふうなある程度ブランド化したミカンというのは、そういう中でもそこそこの値段がついている。レギュラーのミカンというのは、味はよくても本当にもう極端に値段が安いというふうな状況になっておりますので、県としても、一つは、例えばこのマルチであるとか、それからマルチドリップ──「まるどり」ですけども──こういうふうなミカン、ブランド化できるようなミカンをどんどん生産するようなことに支援をしていきたいなと。それから、ゆら早生であるとか田口早生であるとか、こういうふうな新しい品種をどんどんやっていくというふうなことで、やはり付加価値を高めていくことが非常に大事だと思っています。
 今般、光センサーが導入されて非常に品質が安定したというふうなこともあるということで、いろいろなことでこのミカンのブランド化ということに取り組み、価格の安定ということを目指していきたい、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 和歌山の森林の現状と課題についてでございますけれども、管内三十六万ヘクタールの豊かな森林を生かし守るためには、適切な施業により育成し、管理していくことが必要と考えてございます。しかし、国産材価格の低迷等によりまして林業を取り巻く環境が厳しさを増しております中、手入れのされていない荒廃森林が増加するなど、その公益的機能の低下が懸念されてございます。また、間伐等手入れの必要な森林が全体の約四割に当たる十三万四千ヘクタールに及んでいると認識しているところでもございます。
 このため、平成十二年度からの緊急間伐五カ年対策に引き続き、本年度からは間伐等推進三カ年対策に取り組むなど、計画的に森林整備を推進するとともに、平成十四年度からは緑の雇用による森林の環境保全事業を展開してまいっているところでございます。
 次に、森林整備及び啓発のための県予算と事業内容についてでございますが、平成十七年度の森林整備のための予算として約二十三億円を計上いたしまして、造林事業や治山事業等により約一万ヘクタールの間伐また植栽などを行い、健全な森林の育成整備を進めてございます。また、森林整備に要する経費につきまして、十二年度と比較をいたしてみますと、約一五%増の予算額を確保してございます。
 また、県民への啓発事業につきましては、約一千万の予算ではございますが、「県民の友」等の広報紙によるほか、小学生を対象に間伐体験等を行う森林・林業教室を実施いたしてございます。さらに、森林ボランティア活動への支援などによりまして、森林の持つ多様な機能、役割について広く県民の理解をいただくよう努めているところでございます。
 次に、林道、治山等の森林土木事業と造林、間伐等の森林整備事業の予算配分についてのお尋ねでございますけれども、平成十二年度では、林業関係予算のうち森林土木予算が占める割合は五二%、森林整備予算は一三%でございました。平成十七年度におきましては、森林土木予算が四〇%、森林整備予算は二三%でございまして、今申し上げましたように、森林整備につきましては一〇ポイントの増となっているところでございます。このことは、森林の公益的機能の持続的な発揮が懸念される中、本県の豊かな森林環境を保全していくという観点から、森林整備事業に重点的に予算配分しているものでございます。
 今後とも、森林整備を適切かつ効率的に実施するとともに、林道、作業道等の基盤整備につきましてもコストダウンを図りながら推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、ミカン対策についてでございます。
 ミカンの価格対策及び販売戦略についてでございますけれども、本年、平成十七年は表年でもございまして、ミカン産地におきましては、きめ細かな栽培管理に努めてまいりました結果、品質は良好で、市場におきましても高い評価を得ているところでございます。しかしながら、昨今の消費者の志向の変化でありますとか、また、本年は気象条件の影響から、ナシ、ブドウ、カキなどの出回り時期と重なってしまったといったこともございまして、市場価格の平均はキロ当たり百六十円を下回る水準で推移している状況にございます。
 このような状況を踏まえまして、去る十一月十九日から三十日までの間、主要生産県八県の生産者団体が中心となりましてわせミカンの緊急出荷調整を行ったところでございまして、これに伴いまして市場価格には回復の兆しが見えてまいったところかなというふうにも理解をいたしてございます。
 県といたしましても、各選果場等に対しまして、高品質果実の厳選出荷等につきまして引き続き現地指導を行うなど、和歌山ブランドの強化に努めてまいるとともに、生産者団体との連携を図りながら、流通の多様化に対応した販路開拓に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、魅力ある新品種を生み出すための取り組みと、そのための研究員の配置等につきまして、一括してお答えさせていただきます。
 新品種の育成につきましては、果樹振興を中長期的な視点から戦略的に進める上で極めて重要な課題であると認識をしてございます。現在、果樹試験場におきまして、ゆら早生、田口早生を親とした優良系統の選抜に取り組んでございます。
 また、こうした研究に加えまして、昨年度、育種研究体制の強化を図るため新たなプロジェクトチームを編成いたしまして、浮き皮がなく、しかも高糖度な年内出荷用のミカンの育成を進めているところでございまして、先日も有田地方の生産者の方々とともに優良系統約二十種についての特性の検討を行っているところでございます。
 新品種育成のための体制強化はもとより、生産技術開発や低コスト生産などにつきましてもプロジェクトチームをそれぞれに編成し、産地におけるさまざまな課題に対応しているところでございます。今後とも、こうした諸課題の試験研究を継続して努めるとともに、その成果が早期に産地還元できるよう研究員の適切な配置に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路問題について、四点お尋ねがありました。
 県道吉備金屋線バイパスにつきましては、国道四十二号との取りつけ部までは近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の四車化とあわせて供用できるように取り組んでおります。特に、四車化に伴う吉備インターチェンジの見直しにより料金所への出入りの形態が北側から南側に変更されることになっており、出入りランプについては、平成十九年度完成を目途に西日本高速道路株式会社及び町と役割分担をしながら取り組んでまいります。
 次に、県道海南金屋線のトンネルにつきましては、必要性、可能性の両面から調査を進めており、平成八年度から十六年度までの調査費は約二千六百万円となっております。具体的には、現状交通の問題点、交通特性の把握、概略ルートの検討、さらには飲料水、農業用水への影響を調べるための井戸、ため池等の現況調査、地すべり調査等を行っております。今年度は、約七百万円で地すべり地区の地質ボーリング等の実施を予定しております。
 今後は、得られた調査結果を踏まえ、農業用水等への影響調査を継続し、ルートを絞り込むため、さらに地質ボーリング等調査を行うとともに、費用対効果の検証を行い、計画の熟度を高めてまいります。
 次に、国道四百二十四号、金屋町彦ケ瀬地内から吉田地内の未改良区間につきましては、地元と協議を行いながら、順次、狭隘区間の拡幅整備を進めているところであります。今年度におきましては、金屋町畦田と西ケ峰の中間部約百メーター間を供用できるよう工事を進めているところであります。
 また、現在工事中箇所の南側に隣接する狭隘区間延長約三百四十メーターにつきましても測量及び詳細設計等を進めており、当区域の地籍調査が今年度に完了することから、平成十八年度より用地買収並びに改良工事に着手してまいりたいと考えております。
 今後とも、金屋町西ケ峰地区の狭窄部につきましては、特に交通の支障となる区間から拡幅整備を推進してまいります。
 四点目の県道吉原湯浅線吉見地内の改良につきましては、並行して農免道路が整備されているため、財政状況厳しい中、早期整備は困難と考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 小中学校の教室にエアコンを整備することは、児童生徒の学習環境を大幅に改善する点で意義あるものであり、校舎の新設時や大規模改造を行う際に国庫補助制度も設けられております。
 義務教育である市町村立小中学校における光熱水費等の維持経費は、学校設置者である市町村が本来負担するものであると考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 再質問をさせていただきます。
 紀の国森づくり税の関係で四点、そして道路関係で一点、要望をさせていただきたいと思います。
 森づくり税の関係では、通告の四番目の質問、税の使途、事業内容について、それから六番の予算額について、七番の弱者の配慮、九番の県民合意、この四点について再質問をさせていただきますので、よろしくお願いをします。
 まず、その事業の使途、目的についてですけども、県民が知ることとか理解すること、参画することを基本にソフトや環境重視の事業に取り組むんだ、こういう御答弁であったかと思うんですが、これ非常に、新規事業に使いたい、こういうふうに言いながら、大変抽象的な言葉の答弁しかいただけなかったと思うんですね。これでは納得がいきません。具体的にどんな事業をどれだけするのか、ちゃんとお示しいただきたいと思うんですね。
 和歌山県にとって、県民の啓発事業のようなソフト事業、こちらの方に重点を置きたいと考えていらっしゃるのか、それともハード事業に重点を置きたいと思っていらっしゃるのか、その重点についてもお答えをいただきたいし、そのハード整備の中では、環境に重視したハード事業という御答弁でありましたけれども、それじゃ森林支援、林業支援の事業などは今回は取り組まないのか、こういう点、もう少し具体的に答弁をいただきたいと思うんですね。
 それから、事業内容については委員会の中で県民の意見も聞きながら考えるというふうな御答弁であったかと思うんですけども、事業は税を導入した後から考える、内容と計画は示さない、県民に事前にも相談しないというのは、これは提出者の皆さんがよりどころにされている懇話会の最終答申にも反するんじゃないかというふうに僕は思うんですね。
 最終答申の三十一ページの最後の結論の部分では、税導入の必要性を説いた後にこんなふうに書いています。「しかしながら、森林環境税の導入にあたっては、負担する県民や事業者のことを考え、透明性、公平性のもと、情報開示を行い、意見の反映を図っていくことが不可欠と考えています。また、使途についても、県民にわかりやすく示していくことが必要であり」と。そして、二十九ページにはもっと詳しく使途について書いていまして、「具体的な事業・施策を例示して、そして広く県民の皆様の意見や考えをいただく中で、森林環境税の使途を決めていくことを提言します」、こんなふうになってるんですね。
 一、例を示す、二、県民から意見をいただく、そして三、その中で決めていく。この三つともまだ手がついてないじゃないですか。税導入だけを先行させるおつもりでしょうか。こういう報告を出しておきながら、具体的な事業計画を議会にもかけない、県民にも示さない。これでは筋が通らないんではないでしょうか。先ほどの答弁と、そしてこの最終答申とのこの部分、この関係をはっきりとお答えいただきたいと思います。
 次に、二つ目の予算額の話ですけれども、節約してもなかなかそれだけにと使えないんだという御答弁であったかと思うんですけども、やろうと思えばできる額じゃないかというふうに私は問いかけたわけなんですよね。緑の雇用で、これまで和歌山県は政府の予算も引き出しながら頑張ってきたわけじゃないですか。緑の雇用のその住宅などは、県単独の予算で年間五億円というようなスケールで何年か予算措置を続けてきたじゃないですか。やればできる額だというふうに思いますが、いかがですか。
 それから、県民がみずから出すことに意義がある、こんなふうにおっしゃいましたけど、みずから出すのと無理やり徴収されるのとでは大違い。県民の理解と納得を得てこそ、負担が参加というふうに感じられるんだって僕は思うんですね。だから、理解も納得も後回しにして請求書だけぽんと突きつけるのは、まさに逆効果です。関心を持ってもらうというのなら一層県民の理解を得ることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、三つ目の弱者への配慮の問題です。これは、非課税措置など一定の配慮をしているんだという答弁であったかと思うんですけども、来年の春からは六十五歳以上の高齢者を対象とする個人住民税の非課税措置が廃止をされますね。だから、今まで非課税であった人が新たに課税者になります。地元の過疎で悩む清水町の役場でも、私、聞きました。今、千五百人の納税者がいらっしゃるそうです。それが来年四月から百人、お年寄りからまた税金をもらわんなんようにせないかん、こういう計算をされていましたね。
 こういう住民の方、高齢者の方にとっては、軽減措置どころか、今まで非課税だったのが新たに住民税がかかり、その上にまだ森林環境税がかかる、こういうふうになるわけですから、まさに税負担が一層ふえるということになると思うんですね。国保税や介護保険料の負担が重くなる。これ、本当に高齢者の暮らしに大きな影響を与えるんじゃないかと思ってます。
 それから、和歌山県、高齢化率の高い過疎地を抱えていますから、このお年寄りにさらにこの税負担をかけるということはいかがなものか。和歌山市の決議でもありましたけども、今の厳しい経済状況に対して影響がないとでもお考えになっているんでしょうか。税負担について、もう少しお答えをいただきたいというふうに思います。
 それから、通告の九番目、県民合意の問題ですけれども、これ、今までいろいろと取り組みはやってきた、情報発信もしてきたという御答弁であったかというふうに思います。午前中にもありましたけれども、それは自民党の県議団の中で取り組まれたことでありまして、県民全体に対しては具体的な相談も議論も行われたことはないというふうに思うんです。とてもこれで理解を得たというふうに判断できないんじゃないでしょうか。
 それから、和歌山市の先ほどのあの決議文、そのことについても質問しましたけども、答弁ありませんでした。これは湯浅町からの全会一致の要望書、これ、県議会あてに届いています。この中身は、県民から税金を取れとは書いてないんですね。税源措置は国に求めてくださいよ、こういう意見書なんです。全くそのとおりだというふうに私は思うんですね。和歌山市議会や湯浅町議会などのこういう意見を無視してまで税導入を急ぐ理由、到底、これ立ちません。こうした決議をどうお考えなのか、はっきりと御答弁をお願いしたいと思います。
 それから、県民合意という点では、今、県当局が新たな条例なんかつくるときには、基本的な考え方を事前に示して、パブリックコメントなんかもとった上で、県民とよく対話してから提案をしていくというのが一般的なやり方だというふうに思うんですけども、今回のこの条例案、特に税金というのは強制的な性格を持つもんですから、条例案に対するパブリックコメントをとるとか、そういった期間を置いた後にこの是非を諮ると、そういうお考えはないのかと、そういう点、ぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。
 最後に要望ですけども、道路問題で、県道吉原湯浅線の吉見地内での件で要望をつけ加えておきたいと思います。
 この県道の未改良区間の整備は、吉備町など一市三町による有田聖苑事務組合、ここが聖苑誘致の条件として、地元とこの県道の拡幅整備の約束を交わしてきた問題なんですね。ところが、この道路整備がとんざしてしまったために、地元からは県や町に対する不信感が、薄れるどころか一層募っている、そういう状況になっている問題なんです。
 私は、この地元と聖苑との約束、これをずっと毎年毎年やりながら県にもお願いしてきているんですけども、この書類、そして地元の思いを託されて、きょうはこの壇上に立って質問をさせていただきました。きょうの答弁はこれまでも繰り返されてきた答弁としてお聞きをしておきますけれども、県としても地元と、町や事務組合と知恵を出し合って、協力し合って解決の方向を見出すべく粘り強い努力をされるよう、これは強く要望をしておきたいというふうに思います。
 以上で、再質問を終わります。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する提出者の答弁を求めます。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 基金の使途についてでありますが、まず、この紀の国森づくり税の目的の第一は、税をちょうだいすることによって県民の皆さんにお気づきをいただく、認識をしていただく、山の危機的状況を認識していただくということでありますから、そのことに気づいていただいた県民の皆さんから広く意見を聞いて、この基金条例によって設置をいたします運営委員会において大いに議論をすればいいことだというふうに思っております。
 そして、むだを省けばということでありますけども、私たちもこの税ですべて森林・林業の課題が解決できるとは思っておりません。宇治田議員の説明のときにも申し上げましたように、森林整備の方に県当局のただいまの事業、予算もシフトしていくべきであるということを強く要請をいたしたところであります。
 そしてまた、弱者対策でありますが、確かに超過課税、県民税の均等割が今千円でありますから、五百円をちょうだいするということは増税ということには間違いありません。しかし、五百円を大金と考えるかどうかということでありますが、私たちは、申しわけないけども、五百円は御負担をいただける額だというふうに理解をいたしております。そして、そのことによって経済が悪化するということはないというふうに思っております。
 インターネットでヤフーというのがありますけども、ワンコインというのを検索いたしました。百万件ぐらい出てきましたけども、私は五百円か百円かどっちかなと思いましたが、ほとんど五百円でございまして、今、五百円というのは、日本国ではお手軽の金額ではないのかなというふうに理解をいたしておりまして、申しわけないという気持ちはありますが、五百円をお願いいたしたいと思っております。
 なお、県民の皆様への周知、理解でありますが、私ども、先ほど申し上げたとおり努力をしてきた次第であります。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ただいまの御答弁、再度いただいたわけですけれども、その税が目的じゃないんだと、税を取ることが目的じゃなくて県民の皆さんに認識をしていただくことが目的なんだと、そういう御答弁だったと思うんですけど、だから、なおさら事業の中身で勝負しなくちゃいけないんじゃないかと私は聞いたわけです。ところが、具体的に示していただくようなその答弁がなかった。私は、これ、大変残念だと思うんですね。
 それから五百円、この額をどう思うか。大したことなくてお手軽じゃないかという感想も出されたわけですけども、これ、大変問題だと思うんですね。これは、県民、国民は値打ちのあることには、それはお金は惜しまずにちゃんと出してくれると思います。ところが、納得できないことには、それはびた一文も出したくない。これが今のやっぱり県民、国民の気持ちだというふうに思うんですね。だからこそ、理解と納得を得てから県民に提案をすべきじゃないか。それ抜きにこの税金だけをかぶせていくという結果になれば、これは筋違いだというふうに思います。
 それから、せっかく今回初の議員提案条例の審議だというのに、なかなかかみ合わないというのは残念ですけども、委員会審議では、より細かな議論が必要になりますから、事業計画を具体的に示されるように、これは重ねて指摘をしておきたいと思います。
 一点、再質問をさせていただきます。
 通告の九番の県民合意の問題ですけれども、パブリックコメントなどやっていったらどうかと私も先ほど質問をさしていただいたんですけども、提案者の答弁の中には、県民の理解を得るための真摯な姿勢というのは、残念ながら、きょうの午前中、それから午後の答弁を聞きましても感じることはできませんでした。このままでは多くの県民が知らないうちに、また、不安や反対の声を押し切って、事業の中身も審議せずに県議会が増税だけを押しつけることになってしまう。これは認めるわけにはいきません。
 提案者は、この税負担が県民の理解を既に得ているという、そういう認識なんですか。そこのところをはっきりとお答えいただきたいと思うんです。そして、県民合意を得るために提案を思い切って保留し、県民議論の期間を設けた上で再度議会に提案すると、こういった柔軟な考え方はないのか。このことをお聞きして、私の再々質問といたします。
○議長(吉井和視君) 以上の再々質問に対する提出者の答弁を求めます。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、理解を得られるような努力をしてきたつもりであります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五分散会

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