平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 質問通告に基づきまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 私は、まずアスベスト対策についてお尋ねをいたします。できるだけ重複を避けた視点からお伺いをいたしますので、当局の答弁も、重なる部分は簡潔に答弁をいただきますようお願いを申し上げます。
 このアスベスト問題は、国の方も甘い基準ながら対策が必要だという位置づけをして、一九七二年にはILOがアスベストによる職業がんを公認するなど、以前から指摘をされてきた問題です。それが急に大騒ぎになってきたのは、この六月に国会でILOのアスベストの使用における安全に関する条約、この批准が審議されるようになってからです。
 このILO条約は今から十九年前にできていたわけですが、国は国内法の整備を怠ってきました。それで批准をしていませんでした。これが今回、国会審議にかかったものですから、これまで決して表に出てこなかったこの被害の実態がクボタやニチアスなどのメーカーみずからの手により公表されるようになりました。また、被害者の運動によりクボタ周辺の被害住民がテレビでも取り上げられるなど、隠し切れなくなってきたということでもあります。政府の責任も重大であり、政府と原因企業による救済措置が強く求められています。
 私ども共産党県議団は、去る七月二十一日に木村知事にアスベストによる健康被害の調査・救済と再発防止についての申し入れを行い、健康被害の正確な情報提供や企業への指導、実態調査と対策、公共施設や学校への対応、国への働きかけなど、六点にわたって対応の強化を求めてきたところであります。
 私は、この間、子供たちが通う小・中・高等学校や民間の事業所さんにも足を運び、実態と御要望をお聞きしてまいりました。
 ある小学校では、講堂の天井への吹きつけ塗料にアスベストが含まれている可能性がある、こういうことで専門業者に調査を依頼するとともに、子供たちの使用や社会教育の貸し出しなどをストップしています。この学校では、県教委の調査と文部科学省の調査の指示に基づいて、夏休み中に町の職員と業者さんが見に来てくれたそうです。音楽室が一番可能性がありということで調べたそうですが、ここは天井も成型品のボードが張ってあり、やれやれ大丈夫やと安心したそうです。「そりゃそうと、講堂の天井を一遍見てくれやんか」と、こういうふうに先生がお願いして講堂へ行ってみると、業者さんが「これは先生、こっちの方が危ないや。吹きつけや。一遍確かめてもらおうか」、こういうことになって、その日は帰ったそうであります。
 この講堂は結構古いものでして、文部科学省は、設計図面で使用製品を確認しなさい、こういうふうにいとも簡単に言ってくれますが、保管期限の切れた地方の古い建物の設計図、これは探すだけでも大変です。現場よりも設計図から入るというのは霞ケ関の発想ですね。結局、設計図が見つかって、含有の可能性あり。このことがわかったのは二学期の始業式の前日の夜だったんですね。教育委員会と校長先生が緊急に話し合って、その結果、飛散をしているということではないけども、安全をとって調査結果が出るまでは使用をとめようという判断をされたそうであります。
 さて、それからが大変でして、始業式もかんかん照りの校庭でしなければならず、校長先生のあいさつも超短くしたそうであります。しかし、雨が降ったら運動場は使えませんし、運動会に向けての練習がメジロ押し。運動会の練習は、校庭とあわせて遠く離れた公立の体育館まで、町のバスで送り迎えをしてもらってやったそうであります。しかし、送り迎えといってもその時間をとられてしまいますし、これから音楽会など学校行事も連続します。校長先生は卒業式ができるのかというところまで心配しているとおっしゃっていました。一日も早い使用再開にこぎつけたい、こういうふうに願っておられました。
 また、別のある小学校では、今度は体育館の壁への吹きつけが設計図面から可能性ありということになって使用中止の措置をとっているということでした。ここは、時間のかかる含有量の調査とは別に浮遊量の調査もやって、浮遊量がゼロだという結果が出たということで胸をなでおろしていました。保護者からも、「可能性がわかった時点ですぐに公表をして、そして浮遊調査の結果も発表してくれた。対応が早くてすぐに知らせてくれたので安心です」と、そういうふうに喜ばれているそうです。
 また、ある中学校は、玄関のエントランス、応接室、会議室などの天井の吹きつけ、それから美術室や図工室の天井裏の鉄骨への吹きつけなど十数カ所が可能性ありということで、専門業者に調査を出していました。案内された美術教室、図工室の天井はボードが張ってあって、おかしいな、普通教室と一緒の成型品やけども、なぜかなというふうに私は思ったんですが、よく聞いてみると、その特別教室は後から増築した建物で、普通校舎のような鉄筋コンクリートではなくて鉄骨の建物だったんですね、見た目にはわからなかったんですが。だから、その天井裏に吹きつけがあったわけです。
 「目視で確認をしてください」とか「図面で確認をしてください」、こういうふうに簡単に言いますけれども、専門家でもない者にとって、特に子供たちを預かる現場の責任者は、大変な責任の重さを感じておられるようでありました。
 また、私は、「県からアスベスト調査の書類を送ってきたんだけども」という小さな民間事業所にも足を運びました。倉庫の二階が事務所になっている、だから耐火構造にしなければならないということで、一階の鉄骨のはりにずうっと綿状の吹きつけがされていました。「ロックウールやから大丈夫やろと皆が言うんだけども、設計図と言われても、わしわからんし、調査するにもどこへ出したらええんや。金もかかるんやろ。それでもしアスベストがまじっているということになったら大ごとや。改造にもえらい金がかかる。これは本来、役所が建築基準か何かで、これ使えと決めておいて、そのとおり使ったら、これは後で、あかん、やりかえよと。そんなこと、皆わしがかぶらんなんのかえ」とおっしゃっていました。ごもっともな話だとお聞きいたしました。
 私、この間、回らせていただいて感じたことは、何を一体どこまで調べていいのかわからない、調査するにも専門業者がない、あっても満杯、あるとわかったらどれだけの対策が必要なのか見通しがつかない、お金もどれだけかかるかわからない、こういうふうにアスベスト対策のガイドラインやマニュアルも監督官庁によって年度もばらばらですし、こういう中で具体的にわかりやすく県民の不安にこたえる必要があるということでした。
 そこで、以下三点について、まずお尋ねをいたします。
 第一に、健康被害の問題など県民への影響と相談窓口での対応状況については福祉保健部長より御答弁を願います。
 次に、学校施設などの調査方法や状況については教育長に御答弁を願います。
 そして第三に、調査マニュアルや関係者へのアドバイスなどアスベスト使用建造物の調査や対策の確かな情報提供が必要だと思いますが、これについては環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 次に、今後は老朽化したアスベストの使用建物の解体が予想されていますから対策をとる必要があるわけですが、特に目の前の課題としては、これから公共施設などのアスベストの撤去、回収、これがことしにもすぐにラッシュになってくるんだと思うんですね。大気汚染防止法や労働安全衛生法、廃棄物処理法、建設リサイクル法など、幾つもの関係法令が入り組んでまいります。子供たちを初め、施設利用者の安全や、周辺住民、そして作業員の安全確保にきっちりと取り組まなければなりません。この点では、正確な事前指導がされ、現場や処分地への立入検査ができる用意はできているんでしょうか。アスベスト使用建築物の改修、解体、廃棄に際しての適切な指導や立入調査について、並びに昨日追加提案されましたアスベスト対策の条例改定について、考え方や対応を環境生活部長よりお答えを願います。
 次に、アスベストの除去、回収に当たっての補助制度や支援についてお伺いをいたします。
 「アスベストの含有量調査をするにも一カ所三万円かかる。いや、今は五万円らしい」、こういうふうに言われています。発見されたアスベスト材を撤去する場合にも、場合によっては部屋をビニールで包んで、一台数十万円もするような集じん機を使って宇宙服のような格好で作業をして、着がえをするにも別室のクリーンルームを使ってから出入りをする、そういうことまでしなければならないと聞いております。
 アスベストの調査や除去、その上にもとどおりに使えるようにする改築費用がかかるとなれば、財政難に悩む地方自治体は頭を抱え、不景気であえぐ中小業者にとっては命取りになりかねません。ぜひ国に対して特別の財政支援策を早急に講じるよう要望すべきであります。そして、県としてできることはすぐに始めるべきだと思います。
 島根県では、アスベスト除去等対策資金の創設を決め、この九月十六日から既に受け付けを始めているそうであります。埼玉県では、彩の国環境創造資金制度の活用を発表するとともに、県内民間金融機関にも低利融資の要請をしています。また東京都内では、千代田、中央、新宿、渋谷、品川、港区などが中小企業向けに、アスベスト除去だけでなく、除去後の機能回復工事も対象とした融資制度の拡充をする、また民間企業に向けては、除去工事への融資を初めアスベスト調査や除去費用の二分の一を助成する、こういうところまで踏み込んだところも出てきています。
 和歌山県としても、既存の事業が活用できるもの、また既存の事業の枠を拡大して活用できるもの、新たに加えて支援策を講じるべきもの、これらをタイムリーに打ち出して、また県民に早く知らせ、県民の不安解消と適切な対策工事の実施に力を尽くすべきではないでしょうか。知事並びに教育長から答弁をお願いいたします。
 次に二つ目の柱、土砂埋め立てや残土処理の管理規制についての質問に移らせていただきます。
 今から四年前の十月、湯浅町の山田山において、畑の造成を名目に、残土へ産業廃棄物を混入して投棄したとして廃棄物処理法違反で業者が逮捕される事件がありました。私は以前の質問で、この問題等を示しながら、環境保全のための条例制定を進めるべきだと求めてまいりました。
 混入された廃棄物は掘り起こされましたけれども、それは確認できた分だけであって、二十万立方メートル、十トントラックにして約三万三千台分という膨大な土砂が今も谷間に積み上げられたまま放置されているのが現状であります。そして水質検査をして、今も監視を続けています。環境の面からも、そして災害対策の面からも、こういったことを繰り返させない、そのための行政の対応が求められてきました。
 ところが、この過去に事件のあった問題の土地に、新たな残土搬入の動きが昨年暮れから始まり、現在に至っています。お配りしているこの資料のように、こういった看板が山田川沿いの入り口だけではなくて、切り立った山の上の広川町の町道の側にもつけられていて、建設機械が入って工事を始めました。あっという間にプレハブの小屋が建ち、ダンプの足洗い場ができました。現地に立入調査に入った保健所に対して、現場にいた県外の業者は「近く残土を入れる予定だ」と返事を繰り返しています。
 この看板をごらんください。「湯浅老人ホーム建設予定」「マサ土販売」「良質残土受入」、こういうふうに口上を並べていますが、要は残土を搬入するということですね。よく平気でこんなことが書けるものです。「土佐犬注意」なんてのもあり、まさに威圧的な態度で、文句言うなという態度であります。
 この業者は、伐採届けも出さずに入り口の斜面を切り開き始めましたから、保健所、振興局、湯浅町が連携をとって現場に入り、届け出が必要なことや廃棄物が投棄されないようにすることなどを指導し、連日監視を続けてこられました。おかげで不法投棄やむちゃな工事をされるまでには至っていませんが、決して安心できる状況ではありません。
 湯浅町はこの事態を重く見まして、生活環境の保全と災害の防止を目的とした湯浅町土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例、これを三月議会に提案し、議会が慎重に審議して六月議会で成立、八月から施行をされています。
 私は、この地元区の区長さんにお会いして御要望をお聞きしてまいりました。区長さんからは、この四年前の残土問題のときの苦労が出されました。「区としても、あんなに土砂をたくさんほり込んで大丈夫かと心配をしたけれども、どうにもならなかった。何度も区の会を持った。業者に「やめてくれ」と言っても、「嫌なら山の上の方から土を入れるぞ」と言われて、急な谷の上から土砂を入れられると災害の危険性が余計に高くなると思って、それ以上のことは言えなかった」というんですね。においがひどい、こういうふうに訴えに行くと、「わしら命は欲しくないんや」と逆にすごまれて恐怖を感じたこと。また最後には、エコポリスの手によって不法投棄の証拠が押さえられてこの搬入はとまったわけですが、地元区長さんは、「もう前回の二の舞を絶対踏んではならない。前回詰め切れなかったこと、例えば不法投棄の証拠が出るまで手が出せなかった問題や土地所有者の責任とか、そういう教訓をもとに、こんなことが今後起こらないようにしてほしい」とおっしゃっていました。災害のおそれという点では、区長さん御自身も昭和二十八年の水害を経験されていて、万一大量の土砂が崩壊して山田川をふさぐと、土石流となって下流は大変なことになるのではと心配もされていらっしゃいました。
 この湯浅町山田川における過去の不法投棄現場への新たな土砂や残土搬入計画に対して、県はどう対応してきたのか。また、看板にあるような老人ホームの計画はあるのか、ないのか。環境生活部長、福祉保健部長より答弁を願います。
 さて、この問題とは別に、先日、新宮港にこの間荷揚げされている土砂について住民から相談がありました。村岡県議も現地へ調査に出向いたんですが、その土砂の成分分析によりますと、普通の山や畑の土というのはpH、酸性度が四ぐらいなのに、この土砂はpH一一・七という大変強いアルカリ性であり、専門家の意見としては、建設工事の現場などでやわらかな地盤をかたくするためにセメントなどをまぜたときにできる、まあいわば改良土のようなものが土砂にまじっているのではないか、そういうふうな意見だったということでした。
 私どもがこの新宮港における本年一月から七月の土砂の荷揚げ実績を調べてみると、一月から七月までの全部で十九回の入港のうち八回が大阪から、そして残る十一回が遠く神奈川県の川崎港からのものでありました。これらの土砂は建設資材に使うための、そういった目的のある土砂ではなく、ただ埋め戻しをしているだけだというんですね。私は、はるか遠い神奈川県からなぜわざわざこの和歌山まで土砂を捨てに来なければならないのか、不自然さを感じています。
 そこで、新宮港など県外からの土砂搬入についてお尋ねをいたします。
 県外からの土砂搬入は大阪方面からのトラックの輸送がほとんどだと思いますが、これは、把握できる仕組み、残念ながらまだ我が県にはありません。ただ、船は入港時の記録があると思います。船によって県外から運び込まれている土砂の量はどうか、また新宮港に入港したこの土砂をどう見ているのか、県土整備部長と環境生活部長より答弁を願います。
 私は、こういった土砂の埋め立てに関するルールづくりが全国的にはどう進んでいるのかを調査に千葉県に行ってまいりました。千葉県が全国で初めて土砂の埋め立てに関する条例をつくったのが八年前であります。その先駆的な役割や残されている課題も含めて、県の担当者の方々からお話を伺いました。その中で、首都圏の産業廃棄物や土砂、残土が千葉に大量に運ばれていること、また土砂に関して言えば、県外からのこの土砂搬入の七割が東京と神奈川から持ち込まれているということもデータでいただきました。千葉から良質の山土を販売するために、船で首都圏に運び出すそうです。それで、空で帰ってくるのはもったいないので、建設残土やしゅんせつ土、改良土などが運ばれてきている、こういう実態だそうです。
 全国でも、調べましたところ十四の都道府県、和歌山県内でも十三の市町村がこういった条例を制定して、秩序ある土砂の埋め立てなどのルールの確立を目指しています。条例の整備を図るタイミングとしては決して早くはないし、遅過ぎるぐらいではないでしょうか。
 既に整備された条例を調べてみますと、一定規模以上の土砂を埋め立てたりするときには、どこの土砂をどこへどれだけ持っていったのか、これがきちんと記録されていること、埋め立て全体計画を明らかにすること、環境や災害にかかわって配慮や対策がとられること、地元の同意が得られることなどが大事だ、そういう思いを強くしてまいりました。
 過去の例のように、ダンプで一日何十台も土砂が運び込まれるのに、だれが運んでいるのかも、どこの土かも、どれだけ捨てるのかも、これはだれも正確にわからないし、大雨による土砂災害も心配。それなのに、行政も住民も不安を抱えながら手をくわえて見ているだけしかないというのではだめだと思うんですね。土砂や残土処理を適正に管理・規制する条例整備に踏み出すときだと考えます。
 木村知事にお尋ねをいたします。環境保全、不法投棄未然防止、災害防止の観点から、土砂の埋め立てを条例により管理・規制すべきではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 さて、最後に、三つ目の柱である広川町津波防災教育センターについての質問に移らせていただきます。
 今議会に提案をされた補正予算案の中で、津波防災教育センターの整備として、本年度予算では約四千万円、債務負担行為として二億一千万円が計上をされています。
 私は、二年前の六月議会、県議会での初質問で、この津波防災教育センターへの県の支援をと提案させていただきました。知事からは積極的な御答弁をいただき、その後、町立とか県立とかにこだわらずに一緒になって事業を進めようと準備を進めていただき、国の補助制度にも第一号として指定され、広川町で三億七千万円、国が二億五千万円、県も二億五千万円をそれぞれ分担して建設が実現されることとなりました。県の二億五千万円は、津波の恐ろしさを体感することができる3D映像のソフト、ハードの整備費用だということです。御尽力いただいた関係者の皆さんに改めてお礼を申し上げます。
 東南海・南海地震への住民への備えとしては、科学的な地震・津波への知識とともに、3Dを駆使した現実のものとしての体験とか、それから「稲むらの火」のような物語、こういった感性と心に訴える、このことも非常に大事だというふうに思います。頭にも心にもずしんと響くそういった施設として、津波から命を守る記念館、津波防災教育センターとしての役割を存分に発揮していただきたいと期待をするものであります。
 また一方で、今回作成する映像ソフトも、この先同じものばかり上映をし続けるわけにもいかなくなると思いますし、企画展の展示なども含めて、新しい内容もつけ加えていく必要も出てくるでしょう。こういったソフト面の更新、ハード面のメンテナンスも必要です。この津波防災教育センターを県と町が共同して整備を進めてきたその積極面がこれからも一層生かされて、そして県の持つこの専門性やネットワークが生かされる、そして地元自治体による地域とぴったりつながった運営、こういうふうにそれぞれの力を出し合い、一層の連携や役割分担についても今後広川町とよく相談して進めていく必要があろうかと思います。
 津波防災教育センターの事業概要と特色について、並びに広川町との連携、役割分担について危機管理監から御答弁をお願いいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まずアスベストの問題ですが、昨日条例案を追加提案して和歌山県も一躍先進的な県に躍り出たわけですけども、これは条例案だけじゃいけないんで、やっぱり実質的に健康を守るような対策をいろいろとっていかなければなりませんし、それからまた、それの対象の施設を持っている人はお金がかかるということも事実だと思います。現在も制度融資等で対応できる部分はあるんですけども、これはまた他県の状況なんかを見ながら県も積極的に進めていく必要があると思います。それから国の方も、これだけ全国的に大きな話になったんで、今いろいろな制度を検討していると思いますが、県の方も引き続き働きかけを強めていきたい、このように思います。
 次に土砂の埋め立てに関する条例ですが、県内の各市町村が実情に合った誘導や規制を目指して条例化しているわけですけども、県についても、御質問にありましたように、いろんな県がもう既にやっているところもあるわけですから、前向きに検討していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) アスベスト対策についての中で、県民への影響、相談窓口での対応状況についてでございますけれども、七月の八日、各県立保健所に相談窓口を開設以降、九月十五日現在、百八十八件の相談に応じました。
 その相談内容といたしましては、住宅及び施設に使用されている建材に関する相談が多く、そのほか健康影響不安に関する相談といたしましては、アスベストが原因で発症する病気に対する不安、それから専門医療機関についての問い合わせがございました。
 県としましては、引き続き健康相談に応じますとともに、肺がん検診の受診率向上や精度の向上、正確な情報提供などを図ることにより、関係機関と連携し、県民の健康不安の解消と健康状態の把握に努めてまいりたいと考えております。
 次に、湯浅町の山田山における湯浅老人ホームにつきましては、そのような建設計画を、現在のところ、県としては了知してございません。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストに関する三点と土砂搬入に関する二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、アスベスト使用建築物の調査や対策への情報提供についてでございます。
 吹きつけアスベスト等の対処方法についての情報提供といたしまして、既に県のホームページにアスベスト関連情報を掲載し、県民の皆様方への周知・啓発に努めているところでございますが、さらに県民向けのアスベスト取り扱いマニュアル等を新たに作成いたしまして、市町村及び建築関係団体等関係者に配布する予定にしております。
 次に、アスベスト使用建築物の改修、解体、廃棄に対する指導や立入検査についてでございます。
 本年七月に、建築物の解体に当たって飛散防止の徹底を図るために、県建設業協会あるいは県内産業廃棄物処理業者など関係業者に対しまして、大気汚染防止法及び廃棄物処理法などの遵守について指導を行ったところでございます。さらに、八月より随時、非飛散性のアスベスト廃棄物処理事業場に対し、立入調査を実施しているところでございます。
 また、昨日、大気汚染防止法で適用除外となっております小規模な建築物の解体作業に対する規制を徹底するために、県の公害防止条例の一部改正をお願いしているところでございます。
 今後とも引き続き、適正処理について事業者を監視・指導をしてまいる所存でございます。
 次に、今回改正する県公害防止条例の内容についてでございます。
 現行の大気汚染防止法におきましては、延べ床面積五百平方メートルかつ吹きつけ石綿の使用面積が五十平方メートル以上の解体工事につきまして、知事に対し届け出が義務づけられているところでございます。しかしながら、小規模な建築物の解体工事につきましては適用外となっておりますため、これらの解体における飛散防止を徹底するため、面積要件の撤廃等を盛り込んだところでございます。
 次に、湯浅町山田山における土砂・残土搬入計画への対応についてお答えを申し上げます。
 昨年の十二月ごろから過去に不法投棄が行われた現場付近におきまして議員御指摘の開発の動きが見られることから、現在、休日を含めました監視体制を強化しながら、湯浅町、地元警察など関係機関が連絡して注視しているところでございます。
 今後も引き続き廃棄物が不法に投棄されないよう、産業廃棄物適正処理連絡会議等を通じて関係機関がより一層連携を深めまして、関係法令の適用により未然防止に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、新宮港における県外からの土砂搬入のうち、廃棄物処理法との関連についてお答えを申し上げます。
 当該土砂が陸揚げ後、三重県内へ搬出をされておりますことから、三重県の廃棄物関係部局とも連絡を密にいたしまして、そのものが産業廃棄物に該当しないかどうかも含めまして現在調査中でございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 港湾への土砂搬入量についてお尋ねがありました。
 本県港湾の公共岸壁において県外から土砂として搬入されているものは、平成十六年度では、和歌山下津港で約二千トン、日高港では約二千八百トン、新宮港においては約二万八千トンとなっております。また平成十七年度におきましては、八月末現在で新宮港において約四万トン搬入されております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 広川町の、仮称でありますが津波防災教育センターについてお答え申し上げます。
 まず事業概要と特色ですが、津波防災教育センターは地震や津波に対する備えを教育・啓発することを目的に、広川町と県が共同で建設し、平成十八年度末に完成する予定になってございます。
 本センターは、浜口梧陵記念館と同敷地内に、三階建て、延べ一千二百平方メートルとなっており、災害時には、海に近い周辺の避難住民のうち高齢者等いわゆる要援護者約二百名を収容できる施設にもなります。また、これらの津波避難機能のほか、防災教育機能、備蓄機能を有し、平成十七年度内閣府の地域防災拠点施設整備モデル事業の採択を受けております。
 本施設の特徴は、日本でも初めての地震・津波防災教育に特化した施設であり、最新の技術を駆使した3Dハイビジョン映像により津波の怖さを体験できるほか、「稲むらの火」や浜口梧陵翁の精神を基軸に、防災の重要性を県内の子供、住民のみならず国内外に向け発信する施設となってございます。
 次に広川町との連携、役割分担についてでありますが、県が持っている防災に対する情報やノウハウを施設整備や展示内容等に生かせるよう設計段階から町と共同で進めており、まさしく県と町の施設整備として、他県には類を見ない取り組みを行ってございます。
 また、完成後の管理運営については、同敷地内に整備中の浜口梧陵記念館と一体的に運営を行うことが効率的という考えから広川町に委託したいと考えておりますが、本センターの利活用等につきましても、町並びに関係機関と連携を図りながら進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) アスベスト対策についてお答えいたします。
 学校施設の吹きつけアスベスト等の使用については、これまで御質問のありました各議員にお答えいたしましたとおり、児童生徒の安全確保の観点から県独自の第一次調査と文部科学省依頼の調査を実施し、現時点でアスベストを含む吹きつけが判明した学校では、当該箇所について使用禁止を継続しているところです。
 文部科学省調査は、特に有害なアスベストが全面的使用禁止となった平成八年度以前の建物で、学校及び社会教育施設等を対象に行っております。その実施に当たっては、各市町村の担当者に対して対象となる部材や疑問点等が生じた場合の対処方法についても詳細に説明をするなど、調査の徹底と統一を図りながら進めているところであります。
 今後、除去等の対策を講じる場合は現行の国庫補助制度とは別に予算措置をとる必要があるため、新たな補助制度の確立について、全国都道府県教育委員会連合会と連携をとりながら国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきました。ありがとうございました。答弁を踏まえて何点か要望をさせていただきたいと思います。
 まず初めには土砂埋め立てに関する条例整備についてですが、知事からは、他県の状況も踏まえた上で前向きに検討していくという御答弁をいただきました。ありがとうございました。
 二年前の六月議会で環境の面からこの問題を質問したときには必要性、有効性について研究していきたいという答弁をいただいておりましたから、一歩踏み込んだ前向きな答弁だと思い、歓迎するものであります。これからそのルールづくりに向けて具体的な作業が進むように期待をするものです。
 今回、その答弁の中にも、市町村の条例化の状況について触れられてたわけですけども、今回のようなむちゃな土砂搬入の動きがあって、湯浅町の相談を受けて県は、町で条例をつくったらどうですかというふうに指導をしたわけですね。それで今度は、湯浅が条例ができると広川町側が危ないから、それじゃ広川町にも同様の条例をつくってもらおうかということになってるというんですが、こういうことを続けていると、モグラたたきみたいなことになってうまくないと思うんですね。
 今回、全国的にも、首都圏を初め西日本にもこういう土砂埋め立ての条例ができた、遠いところからわざわざ土砂が県内まで来るようになったと。部長の答弁では、昨年で二万八千トンだったのがことし四万トンだということで、随分ふえているという答弁もありましたけども、県内の町村では、紀の川筋がその条例整備が進んだもんですから、そこではこの問題が一段落して条例整備のできてない南の方にこの問題が移ってきてる、こういうことだと思うんですね。
 ですから、これを解決するには、基本的な土砂の埋め立てのルールは、一定の規模以上は県が担当して、その網をかけると。それ以下の小さな規模のものとか、地域の特性に合わせて規制の厳しさを変えるといったケース・バイ・ケースのことは市町村の判断でどんどんやってもらって、市町村の独自条例をそれに優先させると、こういう体制を早くつくるべきだというふうに思うんですね。知事初め関係部局の今後の具体化への努力を強く要望をしておきたいと思います。
 それから二つ目には、今回取り上げた山田山の個別の件ですけども、この山田山周辺というのは、湯浅町と広川町、吉備町、金屋町とつながっています。特に今回紹介した広川町の町道側というのは、広川インターをおりたら、民家の前をたった一軒しか通らずに即山の中に入れるという道なんですね。ですから、地域住民の監視も届きにくい、そういう道です。この先、金屋町側にも道路が伸びる予定です。
 この地域については、今後とも不法投棄を未然に防止するために監視を強化していただきたいということをお願いしておくとともに、そして過去の不法投棄現場への進入路として山田川の川から入る、そういうかけられている仮橋があるんですけど、占有許可期限が切れたまま放置をされているという状態です。この問題への対応も引き続きお願いをしておきたいと思います。
 それから、アスベスト対策について三点要望をしておきます。
 今回の質問では、アスベストを使用している建物の対策を中心に私の方からはお話をさせてもらいました。健康被害での県民への影響については、調査、救済に向けてぜひ取り組みを強化していただきたいというふうに思ってるんです。
 県内には、アスベストの製造工場、それ自体はわずかでありましたけども、住友金属を初め大規模な工場もたくさんあるわけで、住金の労働者からは、工場内至るところの配管の断熱用にアスベストを長い間使ってきたという下請業者さんの話や、大型クレーンの操作の方からは、アスベストを使用したブレーキライニングの音を聞きながらクレーン操作をするらしいですが、三週間で二十ミリもすり減る、こういった粉じんの舞う中でずっと作業をしてこられた、こういう報告が来ています。
 県内で中皮腫で亡くなった方が九年間で四十九人ということですが、アスベストとの関係は資料からはわからないという担当課のお話でした。しかし、その労働災害の分野は国の仕事だからということで、ちょっとよそごとのような感じもしたわけですね。もっと県民の健康と命にかかわる問題として、今後とも被害者の救済、そして県民の今後の健康対策としっかりと取り組んでいただくよう、これは要望しておきたいと思います。
 それから、アスベスト使用建造物への対応についてですけども、調査や対応について新しいマニュアル、そういうものをつくるという答弁をいただきました。ありがとうございました。この上に立って、撤去や回収に当たっての指導、それから立入調査について、ちょっと要望をしておきたいと思うんです。
 廃棄物関係の立入調査には触れていただいてたんですけども、撤去・回収現場、ここへ指導に入ったり、立入調査に入ったりすることは、もっと構えてかからんといかんと思うんですね。大気汚染防止法に基づく立入調査だと言うんですけども、この間、どれぐらいそういった申請があって実績があるのか僕調べてみたら、九年間でたった二十五件ぐらいだって言うんですね。これまで余りなかった。このことが、今回、条例も規模要件を撤廃するわけですから、一気にこの年内から件数も、それから立ち入りに行かんなんというようなところもふえてくるわけだと思うんですね。そして、何よりもラッシュに、一遍にやってくるというふうに思うんです。ここら辺は対策会議でもよく詰めて、関係機関ともよく協議し、人的体制も含めてしっかりとした対策ができるように、作業員の方の安全や利用者の方、周辺住民の方の安全を確保されるよう強く要望しておきます。
 最後に建物の調査、撤去、改修への支援についてですけども、木村知事の方からは、これについて積極的に対処していくという答弁をいただきました。国への働きかけや県の既存の事業なんかも活用していくという答弁だったと思うんですが、これは、例えば中小企業に対しては振興対策基金、これの環境枠、それとか中小企業応援資金のことをイメージされての答弁だと思います。
 教育長からはまた、今ある補助制度以上のものをしていかないかんということで、六十二年のあのアスベスト対策で使った四百万円以上の工事への補助制度があるけども、それ以上のものが必要だという意味の答弁であったかと思うんです。
 私は、どういう支援制度が現在あって、どういうものが活用できるのか、どういうものをやっぱりこれから求めていかないかんのか、こういうことはアスベストの対策会議では具体的にテーブルにまだのってきてなかったと思うんですね。ですから、こういった支援策が活用できますよ、こういうことを県は考えていますよ、そういう打ち出しといったものもどんどん県民に知らせていただき、そして国の方に対しても、自治体や住宅向けの財政支援も含めて強く要望していただきたい。このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十五分休憩
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