平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(須川倍行議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第二百四号から議案第二百三十三号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 一番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を通告どおり行います。
 最初は、今後の国際交流のあり方についてであります。
 最近の国際交流の流れの中で、本県では特に中国との交流が盛んになってきていますが、中国は現在、高度経済成長が継続し、日本の最大の貿易国となり、世界経済の中で存在感を増しています。一方、日本の対東アジアとの貿易比率の増加に示されるように、経済の相互依存関係は深まり、東アジア地域内での経済統合が急速に進展しています。
 本県の対中国との貿易は急増するとともに、中国との輸出入や投資など、対中国ビジネスに対する県内企業の関心が高く、中国からの観光客は年々増加しています。これまでも山東省を中心に行政、文化交流や技術協力などを重ねてきましたが、中国の経済発展を受けて、交流の軸を友好交流、経済協力から経済交流に移し、お互いに実のある交流を図ることが重要であります。経済交流は民間の事業者が主体であることは言うまでもありませんが、県としても県産品の販路拡大、企業支援、観光振興、国際化の推進など、いろいろやるべきことはたくさんあると思います。
 本年三月に中国経済交流推進会議が本県に対して提出された提言書の中でも、七つの基本方策を挙げ、「それらを迅速に推進するために幅広い領域においてさまざまな主体と連携し、県においてもトータルで経済交流を推進する組織の設置を検討すること」とあります。
 そこで、現在、各課、各分野の中でばらばらにいろいろとやっている農林水産品や県産品の販路拡大、地場産業や観光の振興、文化、人材の交流、共同研究などを、例えば「国際局」というような名のもとに一本化できないものか。それは組織とするのか、連携の窓口とするのか、その方策はともかくとして検討していただきたいと思いますが、知事公室長の御見解をお尋ねいたします。
 次に、世界遺産関連宝くじの発行についてお尋ねいたします。
 紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録された今、広範囲にわたり散在する各資産の適切な保全が新たな課題となっています。課題の解決にはマンパワーが欠かせない一方で、保全に要する整備資金も不可欠であります。これらのことから、国内で世界遺産を有する他の府県と世界遺産等振興自治宝くじを発行し、収益金を各地の登録資産の保全や文化振興に充てる取り組みを行うことを提案いたします。この提案は、新宮市の平成十八年度の予算編成に向けた和歌山県に対する要望、提案でありますが、なるほどすばらしい提案だと私自身が深く感銘を受け、今この場で改めて一般質問という形で質問させていただくものであります。
 この事業が実現されれば、その効果は、一つ、財政状況が厳しい中、新たな財源の確保につながります、二つ目は、話題が一段落しつつある世界遺産を再びPRすることができます、三つ、県内の金融機関の活用や県民の購入により県内の経済が活性化します、四つ、世界遺産の登録により増加している観光客の地域内消費に寄与します、などであります。もし他の府県との連携が難しいならば、県独自で富くじのような形で発行することができるならば、その効果は一段と大きなものになると思います。この提案に対する知事の御見解をお尋ねいたします。
 次に、熊野川の整備と川舟下りについてであります。
 熊野川は、流域面積二千三百六十キロ平方にも及び、昭和四十五年に一級河川として指定されました。以降、治水事業や環境整備事業などが行われ、平成十六年には川の古道として世界遺産にも登録された本地域の象徴とも言える河川であります。
 私たちはこの神宿る聖なる熊野川を今後守り続け、また地域活性化のために活用していかなければなりません。それには三つのテーマがあります。一つは、世界遺産にふさわしい清流に満ちた熊野川を取り戻すこと、二つ目は、環境整備により河口付近に点在する熊野速玉大社や新宮城跡、阿須賀神社などの歴史、文化遺産の価値をさらに高めること、三つ目は、地域住民が憩える親水性の高い河川環境を整えることであります。それら三つのテーマ実現のためには、平成九年の河川法改正により、治水、利水、環境の総合的な河川整備計画の策定が求められる中、国が昨年度に設立した熊野川懇談会の動きとあわせ、県の管理区間においても早期に河川整備計画を策成していただきたいと思いますが、県土整備部長の答弁を求めます。
 また、今月二十五日よりスタートしました熊野川の川舟下り事業についてですが、熊野川町田長の道の駅下の河原から新宮市の熊野速玉大社裏権現河原までの約十六キロの区間を、約一時間半をかけて一日二回の運航を予定している事業であります。
 私も先般、熊野川のイベントの際、体験させていただく機会がありましたが、とても風情があって、楽しくて、退屈しないし、新しい紀南の観光の核となるのではないかと確信いたしました。知事も大変力を入れている事業でありますし、恐らく私と同様の感想をお持ちになったんじゃないかなと思います。
 そこで、知事はこの川舟下り事業に関しては人一倍強い思い入れがおありでしょうから、今後のこの事業に対する知事の思いというか、決意のほどをお聞かせください。
 続いて、私なりにこの事業に関して感じた問題点なのですが、利用運賃の設定が一人三千九百円は、かなり高い感がいたします。川舟運航協議会にはもちろん県も参画されていると思いますが、観光事業は息の長い取り組みが必要で、当面は軌道に乗るまで、ある程度採算を度外視するぐらいの方針が大切だと思います。その点十分調査・研究し、何もかも事業主体に任せっきりにしないで、県の立場からも深く参画、提言していただきたいと思いますが、商工労働部長の御意見をお聞かせください。
 また、ことしは県の予算で四そうの川舟を作成いたしましたが、現状四そうでは大型観光バス一台分にしか充当できません。事業の方はまだスタートしたばかりの段階ではありますが、少し長い目でこの事業を見守っていただいて、最低三年計画ぐらいで、来年も再来年も川舟作成のための予算を計上していただきたいのですが、あわせて商工労働部長の答弁を求めます。
 次に、観光振興条例の制定についてです。
 高野・熊野が世界遺産登録されてからはや一年が経過いたしましたが、今後より一層の観光立県として新しい和歌山が全国に認知されるようさまざまな取り組みを推進していかなければなりませんが、和歌山大学の観光学部設置も一つの大きなインパクトとなるでしょう。高嶋企画部長を会長とした設置促進協議会もスタートしたことですし、議会もこの件に関しては積極的に取り組んでいるところでありますので今後に期待したいと思いますが、さらにもう一つの大きなインパクトとして、二年前に私が一般質問で提案した県の基本方針や県民、観光事業者や関係団体の役割などを定めた観光振興条例の制定を急いでいただきたいのですが、現時点での対応について商工労働部長にお尋ねいたします。
 最後に、熊野古道ウオーカーの安全対策についてです。
 昨年七月に世界遺産に登録された熊野古道は、現代人の健康といやしという観点から注目を浴び、多くのウオーカーが訪れてにぎわっています。せんだって発表された観光動態調査によると、熊野古道を有する市町村への観光客はかなり増加しており、今後も大いに期待されているところであります。新宮市でも、リュックを担いだ観光客が高野坂や神倉山、王子ケ浜を歩くため、市内を移動している姿をよく見かけます。
 そこで、問題点なのですが、旅行エージェントが募集する熊野古道ウオーキングとか教室や団体が主催するものは余り心配していないんですけど、一人や二人の少人数での古道ウオークは、場所によっては非常に危険を感じるところも多く存在いたします。特に大雲取越えや小雲取越え、滝尻王子から発心門あたりまでの古道は、何かあったら心配です。個人での入山は把握できないので目的地に到着したかどうか確認のすべがなく、万一途中でアクシデントが発生して山中に迷ったり倒れたりしていても見つからない可能性もあると思います。
 そこで、そういった不安を少しでも解消するための対策を考えていただきたいと思います。
 具体的には、一つ、携帯電話の不通区域をなくすか、不通地域に非常を知らせるベルなどを設置する、一つ、ウオーカーの少ない時期に定期的にパトロールを実施する、一つ、救急医療を要するウォーカー対策を立てる、一つ、県が中心になり、関係市町村やNPO、ボランティアなどが、例えば熊野古道安全対策協議会なるものを組織し、安心して歩ける古道づくりを目指すなどであります。そのほか知恵を絞ればいろいろあるでしょうが、熊野古道を歩きましょうとPRする限り最低の安全対策をしていかなければならないと思いますが、知事の見解を求めます。
 以上、大変短くて恐縮ですが、私の一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの須川倍行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔須川倍行君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの御質問、まず第一点の世界遺産関連宝くじの発行ということですが、これは僕は非常におもしろいと思います。
 日本でも世界遺産に登録されたところが大分出てきたんで──宝くじは、全国自治宝くじと、それから近畿宝くじがあって、どちらもほかの団体の協力ということが要るんだけども、和歌山県一つだけだったらなかなかうまくいかないおそれもありますが、相当数が出てきてるので何とか──正直言って非常に買う人の購買層が限られているわけだから難しいことだと思いますけども、積極的に働きかけてみる値打ちはあるというふうな感じを持っております。
 それから、川舟下り。これはこの二十五日に始まったわけで、私はこの成功に大いに期待してるんですが、これから先、例えば食べる物をうまく売っていく仕組みとか、川原家をつくってもっとアミューズメントみたいなことをふやしていくとか、それから今のプロペラ船、北山村のいかだ下り、こういうふうなものとの連携を図るとか、それから三社めぐりと有機的な連携をつけるとか、いろいろやっぱり地元で考えていってもっと膨らましていく方法はあると思います。県も、もうできたからそれでいいということじゃなくて、これから積極的に関与しながら、これが一つの大きな熊野観光の目玉になるように育てていきたいなというふうに思っております。
 それから熊野古道ウオーカーの件ですが、これはもう御指摘のように、今のところ事件が起こっていないので助かってるわけだけども、一たん、やはり何かそういうふうな事件が起こると、この熊野古道全体に対するイメージに非常な打撃が来る可能性があるというふうなことで、現在も緊急電話を等区間に備えつけたり、それから緊急連絡用の標識をつくったり、こういうことをしてるんですが、やっぱり今一番大事なのは、携帯電話を持ってて何かあったときにかけれるというふうな形にしておくということが一番大事だろうと思いますので、これはまあ予算との絡みもあるんですけども、積極的に進めていきたいと、このように思っています。
○議長(吉井和視君) 知事公室長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○知事公室長(野添 勝君) 今後の国際交流のあり方、統一的な推進組織についてお答えいたします。
 国のレベルはもちろんのことでございますが、県のレベルにおきましても、教育、文化といった面だけでなく、観光や貿易など経済の分野でも海外との交流の重要性はますます高まってきております。県としましては、これまでも国際交流事業を円滑に推進するために、知事公室内に事務局を置く国際交流促進連絡会議という庁内組織を通じて連絡調整を行ってまいりましたが、議員御指摘の時代に即した国際交流に関する統一的な施策の展開が大変重要でございます。
 今後、この連絡会議の充実と相互連携の強化を行い、全庁的な政策調整機能を高めて、経済を中心とする多方面での国際交流の活性化に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 熊野川の河川整備計画につきましては、国土交通省が直轄区間の整備計画を策定するため、昨年度、熊野川懇談会を設立し、県もこれに参画をしております。県管理区間につきましても、懇談会の議論を踏まえ、今年度から河川整備計画の策定に向け、準備を進めております。
 今後、流域の現状や住民の皆様の御意見を踏まえ、治水安全度の向上が図られ、河川の自然環境が保全されるよう、議員御指摘の観点も含め、歴史・文化遺産と調和のとれた河川整備計画の早期策定を目指してまいります。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 議員御質問の川舟下りにつきましては、これまで旅行会社、マスメディア、地元の方々を対象にモニターツアーを実施し、その都度、御意見を参考にしながら事業内容に反映をしてまいりました。また、運航に際し重要となる安全面につきましては、船頭に対して、財団法人日本船舶職員養成協会から講師派遣を得て、船舶法規に基づく座学や実技の訓練、試験を実施してきたところです。さらに、おもてなしにつきましては、語り部に対して接遇を初め十分な研修を行ってまいりました。九月二十六日現在、約五百名の乗船申し込みを受け付けており、おおむね順調な滑り出しができたものと考えています。
 県といたしましては、今後とも旅行会社やマスメディアに旅行商品メニューの造成や観光スポットとしての情報発信を積極的に要請をしてまいります。また、予算面につきましても、事業の推移を見きわめながら適切に対処してまいります。
 次に、議員御指摘の観光振興条例の制定についてでございますが、観光はさまざまな産業が融合した総合産業と言われており、本県における基幹産業と考えられるため、県民並びに観光事業者や関係団体の協力が欠かすことができません。
 また、本年七月に施行された和歌山県世界遺産条例や和歌山県観光振興指針の趣旨との整合や、現在進められている和歌山大学観光学部設置構想とも連携をしながら、世界遺産を中心とした和歌山観光の認知度アップとさらなる観光振興を図る必要があると考えております。今後、関係機関と協議し、早期の制定に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 一番須川倍行君。
○須川倍行君 川舟下りについて、要望を一点だけ。
 これはある地方新聞の記事なんですが、ちょっと一節だけ御紹介したいんですが。「「こんな世界があったのか」という驚きの連続だった。川舟から眺める熊野川の景観は、川と並行に走る国道百六十八号からの眺めとは、まったく異なっている」、「二十一世紀の川舟下りは、熊野川の魅力を再認識させ、貴重な自然環境を末永く守る意識を高める役割を担っている。それは熊野川の未来をかけた試みでもある」と、大変絶賛された記事なんですが、ぜひこの川舟下り、当局の皆様、また議員各位の皆様、機会をつくっていただいてぜひ一度体験していただきたいなと切に要望するものであります。やはり乗っていただかないとそのよさを人に伝えるということはなかなかできません。ぜひとも、その点も踏まえまして、これはもう要望というよりもお願いであります。
 以上であります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で須川倍行君の質問が終了いたしました。

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