平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 新生わかやま県議団の浦口高典でございます。
 議長のお許しをいただき、質問に入らせていただく前に、皆様に御紹介したい本がございます。それは、この「ふれあい川柳 人生いろいろ」という本でございまして、ことしの一月、エヌ・ピー・オー川柳というところから発刊されました。その事務局長が大江寛さんといい、昨年の秋に、和歌山にかかわりのある方に川柳を詠んでもらって本をつくり、心温まる交流の場をつくりたいという趣旨のもと、以前からNPOとかかわり合いが深い県議会議員ということで、私の事務所に訪ねてこられました。
 ここで、せっかくですので、その中で二、三、作品を紹介させていただきます。
 まず、木村知事であります。「踏みしめて 変わらぬ山河 穏やかに」。「選挙期間中、四年ぶりに訪れた山村の谷や畦道を見て、その自然の美しさが変わらないと感じた様子」というコメントで、知事として──このときは候補者でありますが──和歌山県の豊かな自然に対する深い愛情とその思いが伝わってくる、なかなかの秀作であります。
 次に、小川前県議会議長であります。「夏休み 孫と二人で 宝塚」。コメントは、「県議会議長という忙しい日々の合間に、夏休み中のかわいい孫と二人きりで宝塚歌劇を楽しみ、また、気持ちを新たに明日からの職務に精励していこうという思いで詠まれた」そうであります。公人である議長として御多忙の中、私人に返り、おじいちゃんとしてお孫さんとのほのぼのとした情景が目に浮かぶ人間味あふれる作品であります。
 ところで、この大江事務局長が、私にもぜひつくってくれということでありました。しかし、文才もなければ、まして川柳など今まで一度もつくったことがないものですから、初めは丁重にお断りしたのですが、大江さんのこの本を世に出したいという情熱に負け、一句詠ませていただくことになりました。
 私は、御存じのとおり、選挙に三回落選するという世間的には余り褒められたものではない経験をしておりますが、そのことをストレートに表現していいということだったので、つくったのが「三度落ち ふるさと和歌山 もっと落ち」という川柳でございます。決してこれは、和歌山をばかにしたものでも茶化したものでもありません。私には正直、今も和歌山の姿がそのように見えるからであります。
 マスコミでは、日本の景気はよくなった、四十七カ月連続で景気が拡大しているということを言っておりますが、和歌山の地元経済はいかがでしょうか。決してよくなっているということをまだまだ実感することはできません。
 その一つに、土地の価格、地価について、この二十日に国土交通省が発表したデータによると、バブル崩壊後、今まで全国で地価が下落傾向にあった中、一部都市圏で上昇に転じたところも出てきているということであります。しかし、和歌山県では、住宅地については、近畿圏でほぼすべての府県、用途でマイナス幅が縮小した中、唯一、前年度マイナス四・四%から本年度四・八%へと下落率が拡大をいたしました。また商業地では、ぶらくり丁の下落率が全国の商業地五千三百九十地点の中で二番目に高い、つまりワーストツーの前年度比二二・二%という大変大きな下落率であります。これらに象徴されるように、地価の下げどまりは、まだまだ下落率が拡大中であります。これは地元経済の状況そのものではないでしょうか。
 また、人口減少について、全国でことしの上半期に約三万一千人が減少したとのニュースでありましたが、一昨年の十二月議会で私も申し上げましたとおり、和歌山県では既に今から二十三年前の昭和五十七年、百九万五百二十一人をピークに、多少ふえた時期もありましたが、減少傾向に転じ、本年四月で百四万五千二百四十一人と、既に四万五千二百八十人減少しております。
 また、これから四半世紀つまり二十五年間でその傾向がさらに端的にあらわれ、国立社会保障・人口問題研究所が平成十五年十二月に公表した日本の市区町村別将来推計人口によりますと、和歌山県で平成四十二年には八十七万八千三百一人と、昭和五十七年の人口を一〇〇とした場合、八〇・五と約二割の人口が減少いたしますし、また減少傾向が最も著しい旧東牟婁郡では五一・七と最多人口時の半分になってしまいます。
 少し長くなりましたが、私が言う「ふるさと和歌山 もっと落ち」という意味を十分御理解いただけたかと存じます。ここでは参考までに数字を挙げさせていただきましたが、この数字だけを見ていると、和歌山県の将来に対し、何か暗い気持ちになってきてしまいます。しかし、県当局の皆様には、すべてを右肩上がりに戻せと言っているのではありません。また、この数字だけを見て将来を悲観する必要もございません。こんな和歌山をいかにして活性化するかが問題であります。
 それには、いろいろな考え方、方法はあるかと思いますが、私は一言で言って、県民の皆さんが持てる力、私は内から発する力、「内発力」と呼んでおりますが、その力を最大限発揮してもらうことが活性化への第一の道だと思います。そのための手助けをしたり仕組みづくりのお手伝いをするのがこれからの政治、行政の仕事だと思いますが、あわせて申し上げますと、余計なことをしないことも大切であります。
 そこで、その内発力を発揮する方法を模索するため、これから通告に従い、報告並びに質問をさしていただきます。
 一番目に、第二回紀州よさこい祭りについてであります。
 第一回紀州よさこい祭りについては、昨年の九月議会でも御報告させていただきましたが、市民が中心となり実行委員会を設立し、約一千六百万円の費用のほとんどを自分たちで集め、約七万五千人の観客を動員し、成功いたしました。ことしは、正式には「おどるんや二〇〇五~第二回紀州よさこい祭り」と申しますが、昨年以上のスケールで、予算額二千七百万でこの七月二十三、二十四の二日間にわたり、約十二万人の観客を動員して大成功をおさめることができました。その間の実行委員会の活動やプレイベント等については今回は割愛をさしていただきますが、和歌山の内発力を引き出し、よりよい方向に変えていくために、二つの視点から御報告をさしていただきます。
 皆さん、打田町に仙渓学園というのがあるのを御存じでしょうか。私自身、「和歌山県職員録」をあけたときにその名前は見ていたのですが、どのような施設であるか、正直知りませんでした。この施設のパンフレットの説明によると、さまざまな事情で家庭や学校あるいは地域の環境になじめない児童を受け入れ、職員と起居をともにしながら、豊かな自然の中で生活、学習、作業、スポーツ活動を通じて心身を健やかに育て、健全な社会の一員として自立できるように支援する施設ということであります。もう少し具体的に言いますと、犯罪を犯したり不良行為をした子供たち、もしくは親からネグレクト、つまり養育放棄された子供たちなどが自立できるように支援する施設ということであります。
 この施設に、よさこい実行委員会の最年長で和歌山市片男波自治会の会長でもある玉置成夫さんとよさこいの踊り子たちが、ことしの五月三十日に初めて筒井園長の招きで訪問し、踊りを見せ、子供たちに感想を聞くと、「よかった」「楽しかった」「踊りたい」というものだったそうです。その後、子供たちの強い要望もあり、よさこいを指導してほしいとの学園側の要請で、六月二十七日、七月十一日の二日間、総合学習の時間に、よさこい踊りを踊り子たちが指導に行きました。私も七月十一日に一緒に見学に行ったのですが、筒井園長の話によると、ふだんの体育の授業に比べて生き生きと取り組んでいるということでありました。
 そして、七月二十四日の紀州よさこい祭りの当日、学園関係者の方に引率されて六人の生徒が片男波会場で初めてチームで踊る姿を見、みんなで踊る総踊りのとき、一緒になって彼らも踊りました。私はそばでその様子を見ておりましたが、他の踊り子たちの中に溶け込んで楽しそうに一生懸命踊る姿は大変印象的でありました。玉置さんが言うには、「どのような家庭で生まれても、生まれながらにして非行要素を持って生まれた子供などはいない。すべて親や周りの大人に責任がある。しかし、不幸にして学園生活を送らなければならなくなった子供たちに希望と目的を持てるように指導や援助が必要であり、その一つにこのよさこいがなれるのではないか。子供たちが一つのことに熱中し、社会に戻ったときに、それを通して人の出会いを大切にし、たくさんの友達をつくり、うまく社会に溶け込んでいけるように役立ててもらいたい」とのことでありました。まさに、よさこいを通じて子供たちの内なる力を少しでも引き出せたのではないでしょうか。
 さて、もう一つ、この紀州よさこい祭りを通じて和歌山の内なる力が発揮されたことについて、二人の公務員の活躍ぶりを御紹介さしていただきます。
 よく「お役所仕事」だとか「役人だからなあ」と、役所や役人と言うと、どちらかというと消極的で非効率的なマイナスイメージでとらえがちであります。特に、大きく時代が変わろうとしているこの時期に、一般市民から見ると変化に対応できないかた物という感じがあることも否定はできません。それは法律や条例に基づいて仕事をしているから仕方がないと言えばそれまででありますが、その法律や条例に前例がついて回るから余計厄介なのかもしれません。しかし、この紀州よさこい祭りを通じて、新たなる公務員像を私は見ました。
 一人は県立医大の高垣晴夫氏で、彼は一昨年の秋からこの祭りの実行委員としてかかわってくれておりますが、昨年はボランティアの総括として約二百五十名のボランティアを集め、その采配で祭りそのものをスムーズに運営できるように陰ながら支えてくれました。さらに、ことしの祭りでは、五百名のボランティアを目標にありとあらゆる人脈を通じて声をかけてくれ、結局、五百四十四名のボランティアが二日間にわたるこの祭りを支えてくれました。もちろん、この五百四十四名の中には、県庁の職員もたくさん入ってくれていたこととともに、高垣氏の上司で和歌山県立医大の黒田事務局次長の御理解もあったことも申し添えておきます。これは決して公務ではありませんが、公務員として奉仕と協働の精神でもって地域おこしの祭りのために尽力してくれたことは、私は大変うれしく思いますし、心強く感じました。
 また、もう一人の公務員とは、和歌山西警察署の、あえて名前は伏せますが、署長であります。私は、この祭りを四年半前に、以前御紹介いたしました内田嘉高君と上森成人君という二人の若者と踊りのグループの立ち上げからかかわってきましたが、議員という立場上、実行委員にはならず、サポーターとしてずっと応援してきました。その実行委員の若者から祭りの準備の進捗ぐあいや行政とのかかわりについて聞くと、よくその西署の署長の話が出てまいりました。それは、西署長は、役所や警察にありがちな初めから規制や規則で縛るのではなく、逆に、あれもやったらどうか、これはどうかとハッパをかけてくれるので準備するのに大変勢いがつくというものでありました。それを聞いて私はこの方に大変興味を持ち、西署に訪ねてお話を伺いました。この西署長いわく、「犯罪が起こって対応するのではなく、犯罪を少しでも起こさない社会をどのようにつくるかが重要である。紀州よさこい祭りのように、みんなが参加し、町を少しでも活気づけて、非行に走りそうな若者たちをどんどん巻き込み、いい方向に向けてもらい、あわせて地域経済も活性してもらいたい。そのために、警察としてできるだけのことは協力する」ということを言われました。まさに警察官のかがみであります。
 ここで、単にこの二人の公務員を称賛するのが私の目的ではありません。先ほども述べましたとおり、和歌山がまだまだ落ち込んでいく中で、役人も市民と目線を同じくして地域の活性化に取り組んでいくことの大切さと、実際に、今までのように管理することだけではなく、協働の精神で市民と一緒に仕事をしている公務員が現にいるということを皆さんに伝えたかったわけであります。それだけに、県職員の方にも、これから事に当たって、法を曲げてまでとは言いませんが、フレキシブル、柔軟な対応をしてくださることを、この二人の公務員を例とさしていただき、申し上げた次第でございます。(「余り個人名出すなよ」と呼ぶ者あり)
 また今回、木村知事の御了解のもと、野添公室長を窓口に──済みません、個人名を出しまして──県三役並びに県幹部の皆様にも陰ながら御支援、御協力をいただいたことを、おくればせながら感謝申し上げます。ありがとうございます。
 紀州よさこい祭りについて、それでは一つだけ質問をさしていただきます。申し添えさしていただきますが、高嶋企画部長にも祭りのコンテストの審査員をしていただきました。ありがとうございました。
 知事の代理で入賞者へのプレゼンターとして参加し、御自身もじっくりと祭りをごらんいただいた環境生活部長、第二回紀州よさこい祭りの率直な御感想と、来年以降、県としてどのようにかかわりを持たれようとしているか、できるだけ積極的なお答えをお願いいたします。
 二番目に、ローカルマニフェストについてであります。
 この九月十一日に行われました総選挙におきまして、政党としてのマニフェスト、つまりパーティーマニフェストについては、新聞、テレビ等のマスコミを通じて紹介され、また論じられたこともありましたが、残念ながら今回は、小泉首相の郵政民営化についてのイエスかノーかという、いわゆるシングル・イシュー・ポリティックス、つまり一つの政策についての是非を問うものとなってしまった感がありました。結果は御存じのとおりでありますが、もちろん政治というのは郵政民営化の問題だけではないことは、有権者の皆さんもよく御存じのとおりであります。
 その点、昨年八月の知事選で木村知事が掲げられました「私の政策宣言~「改革と発展」を目指して~」ということで、これは非常に多岐にわたり、この四年間──もう一年間が過ぎましたが──数値目標、期限、財源等を有権者に明示し、この一月にそれを行政に落とし込んだ「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」──皆さんのお手元にずっといかれていると思うんですが、このとおりですね──その具体的な工程表、ロードマップまで示され、大変精緻でよくできたものであると私は高く評価をしております。
 そこで、これをもとに四点質問さしていただきます。
 まず初めに、全体として低迷を続ける和歌山県経済を活性化させるカンフル剤はこの中に入っているのでしょうか。つまり、このローカルマニフェストの中にビジネスチャンスが含まれているかどうか、知事、お答えください。
 このことに関連してでありますが、皆さんも御存じのとおり、今まで県の基幹産業と言ってもいい公共事業の土木費を決算ベースで調べてみますと、平成十二年度は約一千二百二十一億でしたが、平成十六年度は約八百四十一億と、この四年間で実に三百八十億円、つまり三一・一%のダウンであります。和歌山県は、平成十五年三月末のデータによると人口十万人当たりの建設業者が五百七十八社と全国で一番多いと言われる中で、これだけ公共事業が減少すると地域経済が冷え込んでいくのは当たり前であると思います。それらにかわり得るものがあるのかどうか、あわせて県土整備部長、お答えください。
 次に、県民生活についてであります。
 経済の低迷や雇用や老後不安等で県民の将来に対する不満感が大きくなるにつれ、若者の県外流出やモチベーション(やる気)が低下し、地域にますます活力はなくなってくるのではないかと私は心配をしております。このマニフェストの中で、何を信じ、何にかかわることによって日々の生活に希望を持ち、満足を得ることができるのでしょうか。つまり、不特定多数の県民が生活者として満足感を感じるかどうかということは、木村知事がこのマニフェスト作成時に大きなテーマであったと思いますし、木村知事みずからの政治理念や政治哲学にもかかわってくることですので、知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 さて、この七月に知事公室政策審議室より「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」、つまり木村マニフェストの進行レポートというものが発表されました。一部企業誘致等を除いておおむね順調に目標を達成しているということでありますが、その中で、私が三月議会にも質問いたしました雇用の確保の推進ということについてでありますが、この中では四年間で一万五千人の雇用を数値目標として掲げ、この一年間で実に五千八百八十人もの雇用を生み出したという驚くべき数字が掲載されております。しかし、私はそれだけ雇用が生み出されたという実感がないというのが正直な感想であります。
 確かに、住友金属和歌山製鉄所が約一千億円を投資し新しい高炉建設をするにあわせて、ことしの七月、六年ぶりに中途採用のために四十人の募集をしたということは聞いております。しかし、その四十人に対して実に千百三名の応募があったということであります。幾ら住友金属さんが待遇がよくて安心して働ける場であるとしても、いかにも和歌山に雇用の場が少ない証拠であると思うのですが、いかがでしょうか。この五千八百八十人の具体的な根拠と仕事内容、正社員かアルバイトかということも含め、商工労働部長、明確にお答えをお願いいたします。
 三番目に、地方分権時代における地方議会についてであります。
 二年五カ月前の初当選以来、私自身自問自答してきたことがございます。それは、県議会議員の仕事とは一体何なのか。一般的には、県民の皆さんの声を県政に訴え、さまざまな議論を通じて県民のよりよい暮らしづくりに貢献するということでありましょうが、一議員として果たしてどこまでできるのか、また、同志として会派のあり方、さらに地方分権時代と言われる中で地方議会のあり方等についてであります。
 このような中、昨年より、以前から懇意にしていただいております北川正恭前三重県知事の勧めもあり、マニフェストつまり政権公約の地方版でありますローカルマニフェストとのかかわり合いを持ち、いろいろな方々に御指導をいただきつつ、自分なりに見聞を広げてきたつもりであります。
 ただ、マニフェストにつきましては、まだまだ日本の政治風土の中で進化過程であるということをお断りしておきますが、地方における首長側からのマニフェストではなく、議員側からマニフェストにかかわっていこうということで、ことしの五月二十二日に東京で約五百名の地方議員が参加し、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟を立ち上げ、本議会から山下大輔議員も参加されておりますが、その三人の共同代表に私が選ばれました。そのことにつきましては、県職の皆さんもよくお読みだと思うんですが、この「ガバナンス」の七月号に詳しく書かれております。
 また、ちょうど連休中にですが、日本経済新聞から「日経グローカル」という本を送ってまいりました。実はこの間、共同代表三人で東京でちょっとインタビューを受けたんですが、地域経営を考えるローカルマニフェストということで、ここに特集が組まれております。和歌山県のことも書いております。定期購読だと思いますんで、これは本屋では売ってないと思いますんで、知事ごらんになりましたか。(「それは持っています」と呼ぶ者あり)──持ってますか、そうですか。なかったら進呈しようと思ったんですが。その運営に当たり、以後、月一、二回のペースで東京で他府県の地方議員の方たちとさまざまな議論をしてきておりますが、二〇〇〇年四月からの地方分権一括法の施行、それから二〇〇四年からの三位一体の改革が進む中で、これから本格的に地方分権になったときに本当に地方議会はどうあるべきか。地方議会の存在そのものを含めて、さらに私は疑問がわいてまいりました。
 この六月議会に、吉井議長が議長就任のごあいさつの中で、住民と身近な私たち地方の議会がこの国の形を変換する、そういったものを逆に提案していかなければならない大変な時期であると述べられておりますが、私も全く同感であります。
 そこで、地方分権が進む中で、地方議会、特に和歌山県議会のあり方、役割について、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 それに付随して、どうしてもここで木村知事に御意見をお伺いしたいことがございます。それは、地方議会における与党と野党ということについてであります。
 話は昨年の一月のことになりますが、議会運営委員会の一員として沖縄県議会に調査に行ったときのことであります。沖縄県議会の事務局の方の説明の中で、与党については何々、野党については何々という言葉が何度も出てまいりました。議会運営委員会は、御存じのとおり各会派ベテランの議員の方ばかりなので、そう言われたことについて皆さん恐らく当たり前のこととして感じられていたかと思いますが、私は地方議会において、そもそも与党、野党とは何なのか、果たしてそのようなものがあるのかどうかという疑問が起こり、一連の説明が終わった後、沖縄県議会の事務局の方から「何か質問がありませんか」と聞かれましたので、議運の説明の内容はさておき、「済みませんが、沖縄県議会における与党と野党というのは一体何なんですか」という質問をいたしました。そしたら、向こうの事務局の方は大変返答に困ったようで、少々時間を置いて、知事選において力になったのが与党で反対だったのが野党というような、わけのわかったようなわからんような答えをされました。
 そのとき、和歌山県でも八月の知事選に向けさまざまな動きが起こっておりましただけに、私はそれ以上のことはお聞きしませんでしたが、そもそもこの辺に国の制度である議院内閣制、つまり、国民に選ばれた議員が行政のトップである内閣総理大臣を選ぶのと、地方の二元代表制における行政のトップである知事や市町村長も我々議員と同じく直接住民から選ばれているということを勘違いしているなと私は正直思いました。
 そこで、ことしの七月に、秋のローカルマニフェストの全国大会の打ち合わせでローカル・マニフェスト推進首長連盟──ちなみに木村知事も御入会されてますが──の共同代表である岩手県の増田寛也知事と同席したときに、その辺の疑問をぶつけてみました。「増田知事、岩手県議会で知事の与党、野党というのはあるんですか」とストレートに質問したところ、すかさず増田知事は「そのようなものはありません」と明確な答えが返ってまいりました。
 そこで、木村知事にお伺いいたします。和歌山県議会において、そもそも知事の与党と野党というのは存在するんですか。もし存在するというのであれば、その根拠をお教えください。さらに、その場合、我々新生わかやま県議団と日本共産党県議団について、与党であるのか野党であるのか、知事はどのように思われているか、はっきりとお答えをください。
 これで、第一回目の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、ローカルマニフェストの内容について。
 ローカルマニフェストの中のビジネスチャンスについてということですが、マニフェストでは、地域の活力を向上させる施策の柱として、「産業の振興と雇用の確保」「都市との交流による地域活性化」を掲げ、地域経済の自立的な活性化と都市から地方へという流れを加速することにより和歌山県地域の活力につなげてまいりたいといたしております。
 具体的には、「産業の振興と雇用の確保」では、県内産業のイノベーション、地産地消のためのコミュニティービジネスの創出、県産品のブランド化による販路拡大、農産物和歌山ブランドのブラッシュアップ、企業誘致の促進、雇用創出と若年者雇用対策などを、そしてまた「都市との交流による地域活性化」では、世界遺産登録を契機とした国際観光や地域資源を生かした体験型観光の推進による交流人口の拡大、緑の雇用事業、農業をやってみようプログラムなど新ふるさとづくりの推進などをそれぞれ重点施策と位置づけております。
 和歌山県民が、地域が、持てる力の限りを引き出すことが県経済を活性化させることにつながるという基本的な考えのもとに、これらの施策を組み合わせ、相互に効果を増幅させていくことにより県全体の活性化につなげてまいりたいと考えております。地元の知られざる魅力を発見し、光を当てることが大切であり、失われた県民の自信を取り戻すという意味で、世界遺産登録も大きな力となっております。
 ふるさと和歌山県の持てる力を再認識できたことから、県民の中から自分たちにできることから取り組もうという機運も芽生えつつあります。緑の雇用でIターンした定住者が五百人を超えて、山村の地域づくりを担うという気概を持った人も出てきております。
 こうした県民の自発的な動きは頼もしい限りで、県としても、単に支援するというより、民間と行政がそれぞれ責任を果たしつつ、足らずを補い合い、協働を進めることにより、出るくいを伸ばしたいというふうに考えております。
 次に、生活者の満足感の質問でございますが、少子高齢化が進む中で、地域活力を担う若者の県外流出など、将来に対する県民の不安の払拭は喫緊の課題です。与えられた便益を当たり前のように享受するだけでは新たな活力につながるアイデアも生まれません。しかしながら、住民みずからが主体的な取り組み、住民相互の協力、行政との協働の関係を構築することができれば、ふるさとに対する愛情、愛着が増すとともに、自己責任、自己選択による地域づくりに参加することにより住民の満足度もおのずから高まると考えられます。
 次に、地方分権時代における地方議会についての御質問でございますが、地方分権推進の目的は身の回りの課題に関する地域住民の自己決定権の拡充にあるというふうに思います。分権型社会においては、国の役割は国家としての存立にかかわる分野に重点化し、内政に関することは地方公共団体が担うことが基本ということでございます。
 このような分権型社会における地方議会のあり方については、基本的には議会で御議論いただくことと思いますけども、分権型社会の実現により、地域住民の代表機関として地方公共団体の最終意思の決定にあずかる地位にある議会と首長の責任は格段に重くなり、議会としての政策提言機能がより強く求められてくるものと思います。
 次に、地方議会における与党と野党についてでございますが、御指摘のとおり、内閣総理大臣が国会議員の中から国会の議決で指名されるのに対し、地方公共団体の長は住民の直接選挙により選ばれておりますので、地方議会において与党、野党という考え方はないというふうに言われております。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 第二回紀州よさこい祭りについてお答えを申し上げます。
 本年七月の二十三、二十四日の二日間で、県内外から四十七チーム、約二千百人の参加、約十二万人という人出を記録し、昨年よりさらにスケールアップしたお祭りとなったものと思っております。
 このお祭りを見せていただきまして特に強く印象に残ったことは、小さな子供たちから年配の方々に至るまで、世代を超えて生き生きと踊る姿と観客の一体感でございました。また、五百人を超えるボランティアの方々も会場各所で活躍をされ、中には親子でボランティアとして参加されている御家族もおられ、この祭りのすそ野の広がりを見せられた思いがいたしました。
 さらに、リデュース、リユース、リサイクルを考えたよさこい三R作戦ということで、ごみを減らす、使い捨てをやめるということを会場内で実践をしておられました。県民の方々にも循環型社会を考えていただくよい機会にもなったと思っております。
 だれもが主役として参加できるこの紀州よさこい祭りが和歌山にしっかり根づきまして、今後ますます発展することを願うものであり、今後ともこういった自主的な取り組みに対しまして、県といたしましてもさまざまな側面から応援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 建設業につきましては地域の経済や雇用を支える基幹産業の一つでございますが、議員御指摘のとおり、建設投資額の大幅な減少に伴い、供給過剰な構造となっております。今後とも公共投資の抑制が予想される中、経営環境はさらに厳しい状況になるものと思われます。
 このため、意欲のある建設業者の経営多角化及び新分野進出を支援する目的で、近畿の中では初めてこの一月から各振興局建設部に建設業相談窓口を設置し、進出相談、情報の提供等を行うとともに、講演会などを開催し、新分野進出の機運づくりに努めております。また、十七年度新規事業としまして、アドバイザー派遣事業や新分野進出の戦略プランを策定するための費用を補助する事業を実施し、現在、環境、福祉、農業分野などで相談を受けております。
 今後とも、地域の雇用を支える建設業の健全な育成と新分野進出に取り組む意欲ある建設業者の支援を行ってまいる所存でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ローカルマニフェストの対応について、雇用に係る御質問にお答えをいたします。
 先般発表いたしました「雇用創出プログラム~わかやまジョブ・クリエイション~」の初年度の速報値でありますが、目標値を上回る五千八百八十人の成果数値を得たところであります。四年間での一万五千人の目標達成については、順調な滑り出しと判断をしているところでありますが、県経済の状況は一進一退状態が続いており、今後の雇用動向は厳しいものがあろうと認識をしてございます。
 本プログラムは、県の施策効果により新たに創出された人数を実数及び統計的手法により加算したものでありますが、何よりも、さまざまな施策を駆使して雇用機会の新規増大を図るという観点から実施をしているものであります。
 なお、平成十六年度実績の数値は、雇用のセーフティーネットとしての緊急雇用対策の実績を含んでいるため短期雇用にやや偏重している面がありますが、今後はより安定的な雇用が創出されるよう、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、どうもありがとうございました。二つの御答弁に対して要望をさしていただきたいと思います。
 まず県土整備部長ですが、「建設投資額の大幅な減少」という言葉で言われましたけども、その額は、私がここでお話しいたしましたように約三百八十億円で、四年間で三一・一%のダウンということは、ほとんどの県民、特に建設関係の方も余りこの数字を御存じではないのではないかと思います。
 また、商工労働部長は一年間で五千八百八十名の雇用を生み出したということを言われました。正直なところ、これ、短期にしろ、常用にしろ、なかなか実態はつかめていないのが実際であるようです。そして私は、この短期雇用はもちろんですが、常用雇用もアルバイトやパートが大変多いのではないかというふうに思います。雇用ということにつきまして、この辺、いわゆる県の皆さんのとらえ方と県民の希望するところに何か大きなギャップがあるような気がしてしようがありません。
 先ほど住友金属さんの例も挙げさしていただきましたが、やっぱり四十人に対して千人以上が受けに来るということは、それだけ安定雇用を求めているにもかかわらず、数字として上がっている数字は大変多いんですが、実際にはアルバイトだとかパートが中心ではないかと思いますので。
 今後この二点、今の県土整備部長と商工労働部長が言われましたことも含めてですが、各部局の数字とかそのパーセンテージ、割合、内容をはっきりと県と県民の皆さんが情報を共有して、これから、余り望ましいことじゃないんですが、急激な人口減少社会に私は入ってくると思いますんで、健全な意味での危機意識を共有してもらいたいなというのが私の正直な感想であります。そしてまた、先ほども申し上げましたように、県民の持てる力、内発力を発揮してもらえるように県も努力するべきではないかと、そのように思います。
 最後に、木村知事。和歌山県議会において与党も野党もないという木村知事の御答弁でございましたが、大変高い御見識であると私は評価をいたします。
 地方分権時代の地方議会の責任は、今まで以上に重くなってくることは間違いありません。それだけに、吉井議長も言われましたように、住民と身近な立場にある我々地方議会、地方議員が、より一層住民の視点で地域に合った新しいルールづくり──例えば議員提案条例などですが──していかなければならない時代にもう入ってきたんだと私は思います。そこには、私は国政でいう与党とか野党とかいう考え方はなじまないと思います。
 きょうの知事の御発言で、私もすっきりといたしました。ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会

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