平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十七年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十七年九月二十六日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百三十三号(当局説明)
  第二 議案第二百四号から議案第二百三十三号まで、並びに報第十四号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二百三十三号(当局説明)
   二 議案第二百四号から議案第二百三十三号まで、並びに報第十四号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第一、ただいま報告の議案第二百三十三号を議題といたします。
 議案はお手元に配付いたしておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案第二百三十三号について、御説明を申し上げます。
 本議案は、石綿の粉じんの飛散等を防止し、県民の健康の保護及び生活環境の保全に資するため、一刻も早い対応を図る必要があることから、和歌山県公害防止条例について所要の改正をお願いするものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第二、議案第二百四号から議案第二百三十三号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、おはようございます。
 ただいま吉井議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回、六月議会に引き続きまして、観光について、これ一点に絞り質問をさせていただくことになりました。十五分ほどで私の質問は終わりますので、何とぞ御清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。
 知事は、さきの六月議会におきまして、私の質問中、和歌山大学の観光系学部の設置の問題について、非常に意義があること、文部科学省の方も難しいことを言っているようでありますが、地道に努力をして常に声を上げ続けているところに栄光が来る、実現に向けて県もこれを目指したいとの答弁をいただいたわけでございます。
 これから四項目にわたりまして、質問、また提言をさせていただくわけでありますけれども、これすべて観光につながるものでございまして、幾つかの部にわたり、それぞれ知事並びに担当部長に答弁をいただくわけでありますが、時あたかも、観光立県和歌山の創造に向け、またその確立に向け、その実現に向け、走り出したのではないかと期待をするところであります。また、財政改革が叫ばれる中、観光は重要な収入源の一つと考え、歳入をふやせるチャンスが目の前にあるのではという考え方を基本として質問をいたすものであります。
 県は、世界遺産登録後、観光に対し、守りの姿勢でいくのか、またそれとも攻めの姿勢で取り組まれるのか、何とぞ誠意のある御答弁をお願いいたしたく存じます。
 それでは、質問に入ります。
 去る七月六日、七日と大沢副議長、前芝議員、そして私の三名にて、徳島県上勝町並びに香川県高松市に行ってまいりました。目的は、一つ目、上勝町における葉っぱ産業「いろどり」という会社の視察でございます。二つ目、香川県におけるフィルムコミッションの設置等についての調査でありました。
 ちょうど九月十九日、我々視察に行って、それから後のことでございますけれども、新聞報道に「「つまもの」不老の彩り 平均年齢六十八歳農家 全国の七割出荷」、これがこのときの新聞記事でございますけれども、見出しのもとにこのことが大きく取り上げられております。
 徳島県上勝町、徳島空港から車で約一時間、人口二千二百人余り、四国の中でも人口が少ない町の一つでありまして、四割以上が高齢者、町の一年間の予算約三十億円、土地の九割が山、当時からこの山と高齢化が町の最大の課題であったそうであります。この町で、町長が代表者となり、第三セクターである株式会社いろどりを平成十一年四月に立ち上げました。
 上勝町は、昔から林業と建設業とミカンといった産業で成り立っておる町でありまして、町民からは「うちの町はだめだ」と嘆く声ばかり、愚痴の繰り返し。そんな状況の中、いろどりの実質的経営者であり、実はこのシステムの構築者でございますけれども、この会社の専務取締役を務められております横石さんという方とお会いしたわけでございますけれども、その横石さんは、初めは軽トラックを一台購入して徳島市まで上勝町の農産物の行商に行き、以来十六年間、今日までこつこつとその実績をつくってこられたそうであります。
 山の中でかすみを食っては生きてはいけない、自分のやっていることが楽しくないと決して続けてはやっていけない、そのように考えたそうであります。また、地域の一部の人間だけでできるものではだめ、町全体がよくなるものは何かないか、丸二年間考えていたときに、大阪の料理屋さんで隣の席の若い女性が食事をしていたときのことでございまして、食材よりも、今言っておりますつまもの、すなわち料理に添えられた季節の風情を盛り上げるもみじの葉やハギの花のことを盛んに褒める話が聞こえてきたそうであります。横石さんは、これを聞いて「これだ」というふうに思ったそうでございます。何かその女性のお客さんが会話している中で、食材のことよりも、「この葉っぱ、きれいやね」とか、それから「こんなふうにしたらこのお料理がおいしく思うよね」なんていう話がどんどん聞こえてきたそうなんですね。必要なときに、必要な人に、必要なものを持っていけばお金になるということであるわけです。現在、葉っぱものだけで約二億五千万の売り上げを上げております。どこにでもあるものがお金になったわけであります。
 きょうも、ちょっとその視察に行ったときの資料を持ってきたんですけれども、例えばアジサイ、それからレンコン、ハスイモ、ビワの葉、ヤマブドウ、たくさんあるわけなんですけれども、こういう葉っぱが実はどんどんお金に変わっていくという、うらやましい話でありました。
 横石さんは──ちょっとこの根拠がわからないんですが──「人の悪口は二十三倍広がって、いい話は六倍しか広がらない。暗い話は地域の活力を低下させるけれども、明るい話は次から次へつないでいって、みんなの喜ぶ顔をいい流れにすることが大切」というふうに話されておりました。
 また、「この町民の意識改革をするのに随分と時間がかかった」ともおっしゃっておられました。すなわち、「田舎はいつも負け組という意識を持っている。人を批判することは日常茶飯事。女性の出番が少ない環境。これからこういうものから脱却をしなければならない。成功するまで随分苦労もしたし、時間もかかりましたよ」というふうに笑顔で話をされておられました。その努力のかいがあって、結果、町全体で、寝たきり老人と言ったらちょっと語弊があるかもわからないですが、体の調子が悪くて寝たままのお年寄りの方がたった二名しかおらないと。町一番の稼ぎ頭のおばあちゃんで月七十万円の売り上げがあるとのこと、びっくりしましたですね。老人たちは、こぞって葉っぱを求めて山を歩きます。そのおかげで元気で健康になって、医療費が減ったと。個人所得がふえ、町の税収は上がり、まさに一石三鳥の結果となったそうであります。この葉っぱ、「吉兆」を筆頭に全国の一流料亭に出荷されておりまして、今やおばあちゃんたちの生きがいとなっているそうでございます。
 実は、もう一つこの上勝町には付加価値がございまして、ごみの分別三十五種類、二〇二〇年までにごみ排出ゼロの町を目指すとのことであります。今も町から出るごみの八割をリサイクルしており、ごみ処理に税金投入という考え方を見直してほしいという、そういう町長さんの考えに沿って頑張っているそうであり、そのごみの排出がゼロの町の葉っぱであるということで、余計に一つその付加価値がついておるわけなんですよね。
 町の規模は小さくとも、大変うらやましい限りでございました。実際に、私と大沢副議長、そして前芝議員が視察で訪ねましたときにも、その後に、実はもう観光バスで次の視察が入ってきております。なかなか視察に行くにしましても、予約をとってから来てくださいということで、大変な人気なんですね。でも、それはよく考えますと、実はもうそのこと自体観光になっているわけなんですよね。そういうことを強く感じた次第でございます。
 葉っぱビジネスは、観光はもとより生きがい対策、すなわち福祉事業と位置づけ、景気低迷の中、今でも需要を伸ばしている上勝町、大きなお金をかけなくても知恵と努力で勝負はできると、私はそのように感じた次第でございます。
 視察の最後に、横石専務さんから一言、「世界遺産に登録された和歌山さんも葉っぱビジネスをやったらどうですか。次は海版、海のこういう形での「いろどり」を考えてみてはどうですか」と、そのようなこともおっしゃいました。私はそのとおりだと思いました。以前からこのことを考えていたからであります。本県において、実はヒロメという海藻の話を聞いたことがあったからであります。
 テングサやハバノリ等の海藻の資源をうまく活用できないものだろうか。これらのことについて、今、本県の、特に申し上げました海藻の現状はどうなっているんだろうか。また、本県において、これらを上勝町の「いろどり」のように商品化したり、さまざまな取り組みをされておられるのかどうか。しているのなら、もう一工夫を、していないのであれば、早速一つの例として取り組まれてみてはいかがかということを農林水産部長にお尋ねをいたしたく存じます。
 次に、社団法人香川県観光協会内、香川フィルムコミッションについてであります。
 香川県議会開会中にもかかわらず、大変懇切丁寧なおもてなしをいただきました。香川県では、平成十三年四月より、社団法人香川県観光協会を事業主体として、県の知名度の向上を図り、観光客の集客力を強化するため、地元市町村及び関係団体の協力を得て、映画、テレビ、コマーシャルフィルム等のロケーション撮影の誘致、支援を行うための香川フィルムコミッション事業を開始いたしました。香川県を、国内はもとより、より効果的に世界へ情報発信をし、風景や食や資源を売っていくことが目的。改めてフィルムコミッションの重要性を認識したものであります。実際、私たちが視察をさせていただいたとき、007の映画のロケを、直島というところがあるんですけれども、そこでやっておりました。
 香川フィルムコミッションは、先ほども申し上げましたが、平成十三年四月一日設立、全国で六番目の立ち上げということでございまして、事務局長、課長、課長代理は県からの出向となっておりました。全国フィルムコミッション連絡協議会に加盟し、作品は拒まない、内容のチェックも一切しない、手数料等は一切取らず、また資金提供もしない、とにかく当該地域での撮影の便宜を一括して図るという徹底したものでありました。二〇〇一年に五件しかなかったロケが二〇〇三年に十八件、二〇〇四年には二十三件、二〇〇五年は今日まで既に二十一件を誘致、映画、テレビやコマーシャルフィルムのロケを誘致し続けております。
 当日御説明をいただきました観光協会の松岡専務様や県の観光交流局長の村井様より、「和歌山県は既に設立していると思っていた。今までフィルムコミッションがなかったのが不思議。あれだけ風光明媚な地であるのに、ぜひ一日でも早くつくる方がいいですよ」というふうな指摘がなされました。
 私は、過去数回にわたり、経済警察委員会や一般質問等におき、この提案をしてまいりました。なぜ進まないのでしょうか。これにかわる別のやり方があり、それでやっていけるということであれば私は納得するものでございますけれども、いかがでしょうか。
 ここに新聞記事がございます。九月十八日付の報道でございますけれども、皆さんもごらんになったかもわかりませんですね。「「心の風景」残る古里」「田辺の魅力 スクリーンに」「地元東陽中の木造校舎で」「田辺出身、太田隆文監督に地元支援」「映画「ストロベリーフィールズ」の撮影を開始」と大きく報じられておるものでございます。この映画は、同校だけではなくて、地元田辺の天神崎や屋敷町などの田辺の自然や文化が残る場所で撮影をされておりまして、地元高校生約四十名がエキストラで出演をいたし、来年四月にクランクアップ、来春、田辺で封切りをした後、全国各地で上映予定とのことであります。とてもいいことだと感じました。
 でも、制作費約三千万円のうち一千万円は地元実行委員会や個人に寄附の協力を呼びかけているとのことでございまして、御苦労な点も多々あるわけでございます。こういう点も、県が率先してフィルムコミッションを早く立ち上げ、こういうことに協力できればいいのになと、そう感じたわけでございます。フィルムコミッションに対する私の考え方は間違っているでしょうか。(「間違ってない」と呼ぶ者あり)──ありがとうございます。
 映画は一つの文化だと思います。例えば、皆さん方よく御承知の映画で「ローマの休日」というのがあると思いますが、それを見て、実際にローマへ行き「真実の口」に手を入れてみたいと思うことがあるように、映画等を通じその地方を知る、またもっと知ってみたいと思う人は多いと思います。映画等はその地方を映す鏡であり、文化であるのと同時に、効果的な観光宣伝の機能を持っているというふうに思います。当然、映画やテレビの撮影地になることによってその地域の知名度を向上させ、関連産業を通じて地元に及ぼす経済効果と雇用の創出に貢献し、地域の文化育成にもつながると思います。事実、私ども和歌山県におきましてNHKの朝の連続テレビ小説「ほんまもん」がその放映をされておったときも、そうであったと私は今も思います。観光立県和歌山県を目指すなら、何とぞこの提案を実現すべく御努力をいただきたく、よろしくお願いを申すものであります。
 なお、ここに「和歌山県観光振興指針」というのがありまして、この中に、本県プロモーション戦略として、具体的な事業例といたし、「ロケ地プロモーション」と載ってございます。この和歌山県フィルムコミッション設立に向けての予算組みをなされるおつもりはあるのかどうか、商工労働部長に改めてお尋ねをいたすものでございます。
 続きまして、和歌山大学の観光系学部設置についてお尋ねをいたします。
 和歌山市内中心部におき、とりわけ中心市街地活性化の一助を担うため、ロイネットホテルが建ち、済生会病院が移設され、ぶらくり丁を中心として、新たに十月一日より旧大丸跡にディスカウントショップ「ドン・キホーテ」の出店が決まり、営業時間を午前十時から午前三時までの深夜営業を展開するとのことであり、多方面にて懸命に努力が続けられていることは認識をするものであります。
 今申し上げました和歌山市の中心市街地は、昨年、国の構造改革特区「和歌山元気まちおこし特区」に認定され、大型店の出店手続などが緩和され、ドン・キホーテは特区を生かした進出の第一号となったものであります。
 続いて和歌山市は、この中心地でにぎわいをつくり出す策の一つとして、路上で営業する京橋ウイークエンドカフェというものを九月十七日に開業させました。市堀川にかかる京橋上の広場でオープンカフェの店舗が設けられ、開放的な雰囲気の中、家族連れなどがくつろぐ姿が見られました。このカフェは、和歌山市、地元商店街、市民グループ、和歌山大学の学生などでつくられます和歌山まちなか観光交流促進協議会が、国土交通省が今年度実施しておりますオープンカフェ等地域主体の道活用に関する社会実験で実施されたものであり、軽食、アルコール類も用意するとのこと。この日、このカフェを訪れた海南から来られた御夫婦だそうでございますけれども、「料理もおいしく、ほっとする雰囲気があります。通り全体を歩いていて、楽しい場所になってくれればもっといいのに」というふうに話しておられたそうであります。
 私は、六月議会でも申し上げましたように、市堀川の遊歩道の利活用として、例えばジャズや音楽のできる場所の提供、フリーマーケット、また夜間は夜店などの場に提供いたし、これらを継続することによって面的な観光スポット、若者から高齢者まで触れ合いの場等々、にぎわいを取り戻す機会になればと訴えてまいったわけでございます。事実、これから京橋の下を流れる市堀川を活用したボート体験や写真展等、イベントも計画されていると聞きます。
 これは、私が行ってまいりましたテキサス州のサンアントニオ市の例を六月議会にて話させていただきましたが、まさにそのような形になっていくわけなんですね。ですから、この機会に、和歌山市とも、また地元自治会や関係団体と協議をして実現を進めていただきますよう、御努力をお願いいたしたく存じます。
 なお、和歌山大学経済学部足立助教授いわく、「イギリスでは、中心市街地と郊外型店舗が共存共栄し、中心部もうまく活用しており、オープンカフェなど居心地のいい場所を提供して、町でのんびり過ごす雰囲気をつくり、町の滞留性を高められれば」と述べられております。私はこのことを考えたときに、くどいようですけれども、さきの六月議会にて申し上げましたように、和歌山大学における観光系学部がこの地にできれば、なお一層付加価値のあるものになると考えます。
 また、九月十九日の新聞で、私立ではございますけれども、大阪明浄大学というのがあったんですが、名称を変更して二〇〇六年四月から「大阪観光大学」となるという掲載もなされております。したがって、私は、一日も早く和歌山大学の観光系学部の設置について御検討を進めていただけるよう切に望むものであります。このことについて、改めて県のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また今回、このことに関連し、百万円の補正予算が組まれておりますが、この補正予算の内容についても、あわせて企画部長にお尋ねをいたすものであります。
 最後であります。ラムサール条約についてであります。
 これは環境生活部の所管でありますが、私は、実はこれも本県の観光対策につながるものと考えます。本県にとって重要な観光資源、すなわち海についてのことであるからであります。
 ラムサール条約とは、一九七一年、イランのラムサールという町で、水鳥と湿地に関する国際会議が開催され、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約というものが採択されました。この条約が、開催地の名前にちなみ「ラムサール条約」と一般に呼ばれるものであります。
 この条約による湿地の定義は幅広く、天然の湿地から人工の湿地まで含まれ、湿原だけでなく、川岸、海岸、干潟、水田もこの条約で言う湿地に含まれます。湿地には、魚、貝など多くの生物が集まっています。一方で、工業廃水や家庭排水などで汚染された水や土砂、ヘドロが流れ込み、湿地が開発の脅威にさらされているのであります。この条約は、容易に破壊されやすい重要な湿地を世界各国が保全することを目的とした条約なのであります。
 日本においては、北海道の釧路湿原、クッチャロ湖、ウトナイ湖等で、近畿では滋賀県の琵琶湖など、十三カ所が登録されております。本県におきまして、串本沿岸海域のサンゴ群落が登録されると聞いているところでありますけれども、私は、本県の大切な財産とも言えるこの海を守っていくということは、実は高野・熊野の世界遺産登録後、考え方によっては、ある種の第二の世界遺産とも言えるのではないか、それぐらい価値のあるものではないかと考えるわけでございます。したがって、これもまた本県にとって大切な観光振興であり、観光資源と考えます。このことにつきまして、ぜひ知事の御所見を賜りたいと思うわけでございます。
 以上、四項目につきまして、すべて観光という観点からお聞きをいたしてまいりました。知事初め担当部長の御答弁をよろしくお願いを申し上げ、私の第一問を終わりにさしていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのラムサール条約、これはもう私も大いに期待をしているところでございます。中身はなかなか難しくて、串本沿岸にオオナガレハナサンゴというのがあって、これが国内では最大規模、それで世界で見ても最北にあるということで非常に貴重なものだということで、ことしの十一月にウガンダで開かれる会議で登録をされるというふうなことでございます。
 先ほど、環境と観光の融合ということがございました。どちらも「カン」がつくので、本当にそういうふうな形で、県の中では担当部署は異なっておりますけども、これはもう一つになってやっていかないといかんと思います。
 昨年、和歌山県は高野・熊野が世界遺産に登録されて、おかげで観光客もふえたわけですけども、こういうのはもう第二弾、第三弾をつなげていく必要があるんで、このラムサール条約、観点は環境保全ということですし、またその環境保全ということを主眼にやっていかないといかんことはもちろんですけども、これを和歌山県の第二の世界遺産というふうな形で、いろんな形で生かしていく、そしてそのことを環境保全に結びつけていくということが大事だと思います。
 エコツーリズムの面でありますとか、各種イベントとか、これに関連していろんなことを行って観光和歌山ということの振興を図っていくつもりですし、またいいアイデアがあったら議会の方からもいろいろ教えていただいたら、そういうことに即していろいろやっていきたい、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 徳島県の上勝町における葉っぱ産業を御視察されまして、本県において海藻など海の資源をうまく活用できないものかとの御質問についてお答えをいたします。
 まず、海藻の現状についてでございますが、海藻類は、ミネラルを多く含む良質な食材として、近年の健康ブームの中、大変注目されているところでございます。本県におきましては、ヒロメを初めヒジキ、テングサ、ワカメ等が豊富に水揚げされているところであり、とりわけヒロメにつきましては、養殖技術の普及にあわせ、本県特産品として販路開拓に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、本県沿岸域には、アントクメ、ハバノリ、トサカノリ、アカモクなどの有用な海藻類が数多く存在することから、これら未利用資源の掘り起こしや、食材として、また新鮮なつまものとしての利活用の研究を行い、その商品化を図ることにより漁業従事者の新たな収入源の確保や漁村地域の活性化につながる事業の展開について検討を行っているところでございます。
 また、この事業を始めるに当たりましては、地元の高齢漁業者の方々にもやりがいを持って喜んで参加していただけるような、まさに議員御提言の海版「いろどり」に当たるものを目指してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) フィルムコミッションについての御質問にお答えをします。
 フィルムコミッションは、映画やテレビ番組のロケを通して本県の景観や文化、産物などを広く情報発信するため、観光客の誘致の有力な手段であるとともに、地域のすばらしさを再発見する機会にもなり、新たな地域おこしを図っていく有力な手段と認識をしてございます。
 議員のお話にもございましたが、現在、田辺市や白浜町、上富田町などの若者がフィルムコミッションを発足させるなど、地域で活発に活動されておりますが、県といたしましても、本年度中に県内のロケ地等の適地を調査・集約してまいります。
 また、議員御提言の組織の設立に向け、県内で既に取り組まれている団体との連携を深めるとともに、関心を持つ地元自治体や民間団体等へ働きかけるなど、準備を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 和歌山大学の観光系学部設置についてでございますが、和歌山大学では、平成十九年四月の学部設置を目指しまして、現在、観光学部構想の具体化に取り組まれているところでございます。
 県といたしましては、観光系学部の設置を促進するために、去る八月十七日に、和歌山市、和歌山県商工会議所連合会、和歌山県観光連盟と連携いたしまして、和歌山大学観光系学部設置促進協議会を立ち上げたところでございます。
 協議会におきましては、文部科学省などへの要望活動のほか、設置に向けたPRなどに取り組んでいるところでございますが、平成十九年四月の設置を強力に後押しするため、今回の補正予算におきまして、機運の一層の盛り上がりのための公開講座の開催など、協議会活動の拡大・拡充のための経費を計上しているところでございます。
 県といたしましては、今後とも和歌山市など関係団体との連携を一層密にいたしまして、協議会への参加団体の拡大を図るとともに、観光系学部の実現に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、知事並びにそれぞれ担当部長から御答弁いただきました。
 実は、西岡農林水産部長も上勝町は行っていただいてあるんですよね。それはすごくうれしかったです。ああ、すぐ行っていただいたんやなと。これは本当に感謝するものでありまして、実際に見てきていただいたことと私が今回訴えたことと一緒だということは御理解いただけると思います。何とぞ、この先も海版「いろどり」の実現に向けて御努力をお願いするものでございます。これは要望です。
 そしてもう一つ、商工労働部長の答弁でございます。フィルムコミッション設立に向けて準備を進めていくという答弁をいただきました。これも大変うれしく思います。でも、ようやく一つ進んだかなと。できるならば、フィルムコミッションを一日でも早くやっていきますというふうに私は理解をしておるわけでございまして、どうかその期待を裏切ることのないように頑張っていただきたいというふうに思います。
 この問題、実は商工労働部長さんだけに僕は申し上げるつもりはないんですよね。前にも申し上げましたですけれども、商工労働部だけの問題としてとらえるのではなくて、実は、「いろどり」の例も申し上げましたですけれども、生きがい対策であったり、それから福祉事業であったり、いろんなことが関連してくるわけですよね。それが、六月議会のときに申し上げました、あのカリブ諸国の小学生用の教本の話であったわけでございまして、そういう認識に立って、福祉保健部、県土整備部、企画部、あらゆる面からこの観光に一緒になって、横のつながりを常に持っていただいて一緒になって観光立県和歌山を目指すんだというふうにこれからも頑張っていっていただきたい。そう進んでいただけることを要望にかえさしていただいて、私の第二問を終わります。
 ありがとうございます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、三位一体の改革と地方分権の推進についてお尋ねいたします。
 さきの総選挙では、与党が国民から三分の二を上回る議席を与えられ、第三次小泉内閣が発足いたしました。小泉首相は記者会見で、今後の課題について、国・地方の効率的な税財政システムを構築するための三位一体改革や公務員改革、政府系金融機関の統廃合や民営化などを強調しました。さらに公務員改革では、九月二十七日に開催される経済財政諮問会議が、歳出を削減するため、公務員の総人件費改革の基本指針を今秋までに策定することを提言するとのことであります。
 また、本年三月に総務省は、各地方公共団体あてに新地方行革指針を通知しました。それによりますと、我が国は少子高齢化による人口減少時代を迎え、国・地方を通じた厳しい財政状況の中で、地方公共団体が中心となって、住民の負担と選択に基づき、おのおのの地域にふさわしい公共サービスを提供する分権型社会システムに転換していく必要があります。
 現在、市町村合併が推進され、その規模、能力は急速に拡大しつつあり、地方公共団体の果たすべき役割が改めて問われています。また、NPO活動等の活発化など、公共的サービスの提供は住民みずからが担うという認識も広がりつつあります。これまで行政が提供してきた公共サービスについても、今後は、地域の住民団体を初め、NPOや企業等の多様な主体が提供する仕組みを整えていく必要があります。
 このような状況の中で、地方公共団体は、新しい視点に立って不断の行政改革に取り組み、その体制を刷新していくことが必要であります。地方公共団体において推進されてきた行政改革により公務員総数の純減やラスパイレス指数も一〇〇を切るなど、行革の成果が上がってきております。また、行政評価システムの取り組み、情報公開条例の制定、事務事業の民間委託等も着実に進展してきております。さらに、給与・旅費等に関する事務の集中化、アウトソーシングといった新たな取り組みや指定管理者制度の活用も見られるようになってきています。しかし、厳しい財政や地方経済の状況等を背景に、行政改革の進捗状況に対する国民の厳しい視線があり、危機意識と改革意欲が強く求められております。このため、平成十七年度を起点として、おおむね平成二十一年までの集中改革プランの公表と行政改革推進上の重要事項が示されたところであります。
 さらに、本年六月には、国において「経済財政運営と構造改革に関する基本指針二〇〇五」が閣議決定され、平成十八年度までに三位一体の改革を確実に実現するための取り組みが示されました。しかし、これまでの三位一体の改革への政府における取り組みは、真の地方分権改革を推進するものとなっていないと評価されております。
 国は、第一期改革として、三・二兆円に上る国庫補助負担金を廃止し、それに見合う税源として所得税から住民税へ三兆円程度の移譲を実施すると提言しましたが、実際に税源移譲に結びついたのは三・二兆円のうちわずか一兆円余りであり、一年おくれの平成十六年度分の税源移譲額と国民健康保険国庫負担金分を含めて、税源移譲額は、政府の目指す三兆円の八割である二・四兆円にとどまっていることは大きな問題であり、さらに平成十九年度以降の第二期改革に着手することを強く求める必要があります。
 そのため、七月八日に本県の地方六団体代表で構成する和歌山県自治体代表者会議及び和歌山県地方分権推進連盟において、「「真の三位一体の改革」の実現についての緊急アピール」を行いました。また、七月二十日には、全国知事会等地方六団体が、昨年先送りされた税源移譲額六千億円に結びつく国庫補助負担金改革案を小泉総理に提出いたしました。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 平成十八年度の予算編成に当たっては、三位一体改革に伴う国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税の見直し、歳出面で団塊の世代の退職による退職手当の大幅な増加が見込まれます。知事は、財政改革プログラムに基づいて人件費の抑制や包括予算制度の導入等、財源を生かして重点事業を行ってきております。知事は、三位一体改革による本県への影響と平成十八年度予算編成にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、総務部長及び教育長にお尋ねいたします。
 一、新地方行革指針では、平成十七年度を起点として、おおむね平成二十一年までの集中改革プランを平成十七年度中に公表するとありますが、本県では平成十六年十月に財政改革プログラムが策定され、実施されてきておりますが、どう対応されますか。
 二、定員管理の適正化計画では、退職者数及び採用者数の見込みを明示し、平成二十二年四月一日における明確な数値目標を掲げることとしております。財政改革プログラムでは、平成二十年までに知事部局で約四百三十名、教育委員会で約四百名の職員定数の削減を行うとしております。さらに、この期間に団塊の世代の職員の退職を迎えるが、どう対応されるのか。
 また、給与の適正化については本年、人事院勧告において国家公務員については本俸を四・八%引き下げるとともに地域手当の創設が勧告されております。加えて本県では独自の給与カットが実施されておりますが、どう対応されるのか、お尋ねをいたします。
 三、三位一体改革における税源移譲の見直しと自主財源の確保のため、徴税体制の充実対策はどう進めるのか。
 四、指定管理者制度への移行により、県より派遣職員への対応はどうか、また財政的メリットはどうか、逆にリスクや損失発生への対応はどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、少子化社会へ次世代支援対策の充実についてお尋ねいたします。
 本年三月末に、政府は人口推移の速報値を発表しました。それによると、二〇〇四年の出生数は百十二万一千人で、前年に比べ一万四千人の減少となり、戦後四年連続の最少記録を更新しました。全国の合計特殊出生率においても、二〇〇四年は一・二九であり、東京都が一・〇一で、過去の推移を見てみると全国の出生率は東京での十年おくれであるため、「子供一人」が今日本の現実の姿となってきています。加えて、日本の人口は二〇〇六年がピークとなり、二〇〇七年から減り始め、五十年後には一億人を割るという試算もあります。
 本年は国勢調査の年であり、新たな人口動態が明らかになります。少子化現象が深刻とされるのは、人口構成の急激な変化により高齢者がふえていく一方で、若年層が対比して極めて少ないという問題であります。このままで進むと、我が国は二〇二五年には世界の最長老国となり、アメリカや中国など諸外国と比べて総合的な社会活力の低下が強く懸念されます。
 出生率が低下した原因は、女性の社会進出による晩婚化、未婚化が挙げられます。しかし、未婚者の九割は結婚願望があり、そのうち九割の方は子供を産みたいと思っているという調査結果があります。
 富士通総研の上級研究員・渥美由喜氏は、雑誌「潮」六月号の「少子社会をストップさせる次世代支援とは」において、「日本は高齢者対策に力を入れ過ぎ、少子化対策をおざなりにしてきた。新ゴールドプラン、九四年から二〇〇〇年で九兆円を投入し、現在も高齢者に対する給付費は増加しているのに対し、今年度の少子化予算は前年度の三千八百億円とほぼ同額規模で、大きなアンバランスとなっている」と指摘しております。さらに、「スウェーデンでは、出産・育児のための休暇制度を導入している企業は十割で、すべての企業に子育てのための休暇制度が設けられています。そのうち休暇制度を取得した女性は九割、男性も八割が取得しており、これは公務員、民間、正社員、契約社員の区別なく、すべての雇用者を対象にした数字である」と述べています。
 これに対して日本では、育児休業制度を導入する企業は全体の約六割であり、就労女性のうち出産や育児を機に退職する女性が七割に上り、就労女性の二割が育児休暇を取得しているにすぎません。また、就労男性の育休取得率は一%未満であり、日本では制度があっても機能していないと指摘をしております。
 また、公明党代表代行・参議院議員の浜四津敏子さんは、インタビュー「チャイルドファースト社会へ」において、「現行の子育て支援は親への支援という視点で考えられてきたが、視点を百八十度変えて子供たちへの視点で考え直し、子供優先の社会をつくろうと、「チャイルドファースト社会」という言葉であらわしました」と述べています。さらに、これまで働くことが中心で、それにあわせた子育てから子育てを中心軸に据えた社会システムを構築することを提案しております。子育ては親や家族だけの責任という考え方から子育てを社会全体で支える形に変えていく、家庭内育児・保育から地域や職場での共同保育へシステム変革を提案しています。インタビューの最後で、「子育て支援に大事な視点として、本当の意味での男女共同参画社会の実現です。EU諸国では、児童手当とか経済的な面の子育て支援をしている国がたくさんあります。ところが、出生率が上がっている国とほとんど効果のない国があります。効果の上がらない国というのは、男女共同参画社会になっていない国である」と述べております。
 また、日本経済新聞に本年一月から連載されました「少子に挑む」が七月に単行本として発売されました。その中の一部を紹介させていただきますと、秋田県では、九年連続で出生率が全国最下位。県内各地で母親たちと懇談すると、保育料がかさむ、子供三人を抱え生活に余裕がないとの意見に、同県では最下位からの脱出を目指して、早ければ本年八月から保育園、幼稚園に通う一歳以上の子供の保育料を現在の半分にする、ゼロ歳児には原則として月一万円を給付することを決定したとのことであります。
 また、名古屋市では、二〇〇三年の合計特殊出生率は一・一八で、九〇年に比べ〇・二九ポイントも低下しており、全国平均一・二九と比べて低いことから、市民を対象に意識調査をしたところ、理想の子供の数は三人なのに二人しか生まない夫婦が多いことがわかった、理由は、経済的負担を挙げる人が最も多かった、そこで市では二〇〇四年から三人目以降の子供を保育園に預ける場合、ゼロ歳から二歳児までの保育料を無料にした、子供を保育園に預けない場合は子育て支援手当を月二万円支給する、この結果、市の支出は年間十三億円増加した、他方、高齢者に対しては、市営交通を無料で使える敬老パスを三年かけて関係者の理解を得て一部自己負担を導入することで〇四年には敬老パスへの市の支出を十一億円抑制することができたとのことであります。高齢者からは「一部負担は孫へのプレゼント」と評価する声が寄せられていると、松原武久名古屋市長は述べております。
 また、ある女性から、「経済的に最も援助してほしい年齢は、子供が中学・高校生になって進学に必要なお金です。せめて、簡単な手続で借りられるシステムや、公立校なら第三子以降は授業料を割引にしてくれる優遇策があってほしい」と述べております。
 本県においても、少子化は全国より深刻で、二〇〇四年の出生数は八千六十五人と前年に比べ四百九十六人減少し、出生率も七・八で、全国と比較すると過去六年連続で全国平均を下回り、本県の人口減少の大きな原因となっております。本年五月に和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」を発表、少子化対策に数値目標を設定し、取り組んでいるところであります。
 そこで、木村知事にお尋ねいたします。
 少子社会へ、知事の所見と本県の次世代支援対策の推進についてどう進められるのか。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、家庭内育児・保育から地域や職場での共同保育へ変革していく方策として「つどいの広場」支援事業がありますが、本県ではどう推進するのか。
 二、保育サービスの向上対策にどう取り組まれるのか。
 三、乳幼児の医療費支援の向上にどう取り組まれるのか。
 四、群馬県太田市では本年一月より男性職員に育児休暇の取得を義務づけたと伺っていますが、本県における官民の育児休業の取得状況及び取得率向上対策はどうか。
 五、本年十月に国勢調査が実施されますが、個人情報保護法の制定後、初めて実施されるわけでありますが、どう対応されるのか。
 以上五点、お尋ねいたします。
 次に、健康被害の原因となるアスベスト問題への対応についてお尋ねいたします。若干重複する点については御理解を賜りたいと存じます。
 本年六月末に、大手機械メーカーでアスベスト被害と見られる死者が多数に上ることが発覚して以来、全国にアスベストに対する不安が急速に広がっています。
 厚生労働省は、健康被害や死亡事例が報告されている企業への立入調査の実施、労災申請への迅速な対応や各種の相談窓口の設置を決めたほか、アスベストを使用していた企業に対し、従業員や退職者に対する健康診断を行うことを指導するとともに、アスベストを使った建物などの解体時に飛散したり作業員が吸い込まないような対策を強化するなどの対応策を決めました。
 アスベストは、天然に産出する繊維状珪酸塩鉱物で、石綿とも呼ばれています。高い耐熱性、絶縁性などの特性を持つことから住宅の断熱材などに広く利用され、九割以上が建材に使用されてきました。我が国では、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)を輸入し、六〇年代から増加した輸入は、七四年の三十五万トンを最高に年間三十万トン前後で推移し、九〇年代からは減少傾向に転じ、本年は百トン以下になると予測されております。
 この間、七二年にILO(国際労働機関)やWHO(世界保健機関)の専門家会議などで、アスベストががんの原因物質であることが認められました。我が国では、旧労働省が七六年にアスベストの危険性を指摘する通達を出しましたが、その後、具体的な対策がとられず、九五年にやっと、特に有害性の高い茶石綿、青石綿の製造、使用を禁止しました。そして昨年は、それ以外の石綿を含む建材、摩擦材、接着剤の製造、輸入、譲渡、提供または使用を禁止したところであります。
 アスベストの繊維は極めて細いため、人が吸い込むとその繊維は悪性の中皮腫の原因になるとされ、肺がんを起こす可能性があることで知られております。その健康被害は、アスベストを吸ってから長い年月を経てから出てくる、中皮腫は平均三十五年前後という長い潜伏期間の後に発病することが多いと言われております。
 アスベストによる健康被害が問題化したのは今回が初めてではなく、八〇年代には全国の学校で使われたアスベストが危険視され、旧文部省が教育委員会などに処理をする旨指導してきたところであります。
 本県では七月八日に各保健所に健康相談窓口を設けるとともに、アスベスト問題庁内連絡会議を設置いたしました。また、七月十四日には、全国知事会から国へ「アスベストによる健康被害に関する緊急要望」を提言した旨、知事より報告されました。さらに、県有建築物に対し、第一次調査、第二次調査を実施し、速やかに対応を行う、さらに、吹きつけアスベストの使用された建築物を解体、改造、補修する場合、大気汚染防止法、廃棄物処理法、建設リサイクル法等関連法令を遵守するよう関係業界に対し指導している旨報告されたところであります。
 一昨日の土曜日に、和歌山市内に在住する女性の方から電話をいただきました。「実は、夫は中学校の理科の教員をしてきましたが、退職後、肺に水がわいているとの診断で、平成十三年三月、向陽病院に入院。その後、五月に県立医大病院に転院し、診察の結果、悪性中皮腫とのことで治療を受けてきましたが、同年十二月に六十七歳で亡くなりました。死亡解剖の結果でも悪性中皮腫が確認され、アスベストとの関係を主治医より聞かれましたが、当時はアスベストに対する認識もほとんどなく、今回のマスコミ報道で私の夫もアスベストが原因だったのではないかと心配になり、電話をした」とのことでありました。
 そこで、関係部長及び教育長にお尋ねいたします。
 一、アスベストの使用の有無を確認する第一次調査及び第二次調査の結果と健康被害への安全対策はどうとられるのか。
 二、本県では、大気汚染防止法に基づく特定粉じん(石綿)発生施設は過去に二カ所あり、特定粉じん排出等作業の実施は和歌山市で十一カ所、和歌山市以外の県内で十四カ所あるとのことです。アスベスト作業従事者に対する健康診断や治療体制の整備はどうか。また、県民への健康対策はどうか。
 三、アスベストを使用した建物における消防活動を行う消防隊員にはどう対応されるのか。
 四、アスベストを使用した建築物の解体、補修については、大気汚染防止法で県への届け出が義務づけられているのは、延べ床面積が五百平米以上で石綿を吹きつけた壁や天井などの面積が五十平米以上という要件があります。同法で規制対象外にしている小規模な建築物に対しても、解体や補修計画を県に届ける、違反があれば改善の勧告や命令もできる等の条例の制定や条例改正が各府県で進められています。本県では、知事の決断により、本日、条例の改正案が提案されました。
 また、建築物の解体作業等におけるアスベスト暴露防止措置、大気環境への飛散防止措置を徹底する、さらに、解体後の廃棄物(廃アスベスト)等の適正処理を確保するための対策を徹底する等の指示がありました。本県における小規模な建築物の解体、補修への対応及びアスベスト廃棄物の適正処理への対応はどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 最後に、文字・活字文化の振興に関する施策の推進についてお尋ねをいたします。
 本年七月二十二日に文字・活字文化振興法が成立し、七月二十九日から施行されました。同法では、活字文化を振興するための国や地方自治体の責務を定め、学校教育や地域で施策を講じることが定められています。
 具体的には、地域の施策として、必要な数の図書館を適切に配置する、司書の充実や情報化の推進で読書環境の整備を図る、また、学校教育では言語力の涵養を図ることが盛り込まれ、国語力の向上を目指すとしております。このほか、活字文化の国際交流の促進や読書週間の初日に当たる十月二十七日を「文字・活字文化の日」とすることなどが定められました。
 この文字・活字文化振興法は、さきに成立した文化芸術振興基本法を土台に、より具体的な施策を展開するための個別法であります。基本法の第十八条に、国語についての理解を定めています。そこには、「国語が文化芸術の基盤をなす」と明記され、国語教育の充実や調査研究、知識の普及など、必要な施策を講ずることがうたわれております。
 また、同法制定の背景には、急速に進む国民の活字離れや若者の読解力低下があります。経済協力開発機構(OECD)が、中・先進諸国の高校生を対象にして行われている国際学習到達度調査の二〇〇〇年では、毎日の読書量を聞いた設問に対して「趣味で読書をすることはない」と回答した日本の高校生は五五%で、調査対象国の中でワースト一位となり、二〇〇三年の調査では二〇〇〇年に八位だった日本の高校生の読解力が十四位まで後退し、活字離れを裏づけるデータが相次いだため、国語力低下が学校教育を揺るがす大きな問題となっております。
 今回の法制化に当たり劇作家の山崎正和氏は、国の活字教育に対する使命、国民が活字を初めとする言語教育を受ける義務と権利が今まで以上に明確になると評価しています。さらに、文化的な活動から日常生活のコミュニケーション全般に至るまで、人は必ず言語的な要素を介して物事の意味や関係性を理解することを指摘し、言語に対する能力を発達させることは自己実現を大いに助けるものであると強調しております。
 一方、子供の活字離れに対する対策として、二〇〇一年十一月に子どもの読書活動の推進に関する法律が制定され、二〇〇二年八月には同法の規定に基づいて基本的な計画が閣議決定され、二〇〇二年から二〇〇六年までのおおむね五年間にわたる施策が示されました。
 基本計画では、家庭、地域、学校を通じた子供が読書に親しむ機会の提供が促され、学校における朝の読書の奨励などが定められました。また、図書館の整備・充実として、司書教諭の発令の促進や学校図書の計画的整備の推進として、〇二年度から毎年約百三十億円、五年間で総額約六百五十億円の地方交付税措置が実施されてきています。さらに、四月二十三日が「子ども読書の日」と定められてきております。
 本県においても、子供の読書活動の推進にはブックスタート事業や朝の読書の推進が図られ、国語力向上対策として、「きのくに学びのルネサンスプラン」の実施や子ども読書活動推進計画にのっとり、学校教育において読書機会の提供と環境の整備充実を図る、また学校図書館教育の充実を目指してきております。さらに、学校関係者の専門性の充実を図るため、国立教育政策研究所と和歌山県教育委員会が主催して、全国を三ブロックに分けた平成十七年度中部地区学校図書館活用フォーラムが本年十月二十日から二十一日、本県で開催され、十三府県五市から参加し、その成果が期待されております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、文字・活字文化振興法の制定に対する所見と今後の同施策の推進と実施をどう進めるのか。
 二、若者の活字離れや、本県が実施している学力テストにおいても国語科の読解力の向上が指摘されています。本県の国語力向上へどう取り組まれるのか。
 三、図書館の活用と充実をどう図るのか。また、学校図書館への地方交付税は十分に生かされているのか。
 四、学校図書館への司書教諭の人的配置はどうか。
 以上、四点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革と本県への影響ということでございますが、先般の衆議院選挙の結果を受けて、きょうの新聞にも載っておりましたけども、三位一体の改革ということが今後の小泉改革の大きな柱の一つになるというふうな感じが非常に強くなってきているわけでございます。
 今、この六千億円の補助金の改革の問題についてもはっきりした状況は見えませんし、さらには、義務教育の給与のあり方、生活保護の扱い等々未処理の問題は大きいわけでございますけども、先般の結果がこの三位一体の改革にいい影響を及ぼすというふうな感じが強くなってきている。そういう中で、本県としても、全国知事会等と協力しながら、この地方分権へ向けた三位一体の改革をさらに進めていくようにしたいというふうに思っているわけでございますが、これと来年度の和歌山県の予算の影響ということになりますと、ただいま申し上げましたように、まだ今後の様子ということがはっきりいたしませんので、これを見積もることはできないわけですけども、本県のように財政的な基盤の弱いところにしわ寄せが来ないように、交付税等を通じる調整措置ということの確保もあわせて強く要求をしていきたい、このように考えているところでございます。
 また、こういうふうな状況下でございますので、来年度の予算の編成等に当たっては、当然のことながら、税収の徴収率が低いというようなこともありますので、歳入の確保、そしてまたいろいろ公務員制度の改革等、国の方でも焦眉の急になっているわけでございますけども、歳出の削減、そして現在、景気がようやく回復基調に乗ってきているというふうな認識もありますので、こういう時をとらえて、和歌山県が元気になるような予算の重点的、効率的な配分ということに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、少子化の問題でございます。
 少子化については、合計特殊出生率──これ、ちょっと言葉が難しいんですけども──和歌山県は一・二八ということで、全国平均より〇・〇一低いということでございます。全国で今三十六位ということで、決して誇れる数字ではございません。この少子化の問題につきましては、もう日本の国はことしから人口減少に入ったというふうな話もございまして、社会の活力を維持するという面からは大変ゆゆしき事態だというふうに考えております。
 県では、ついおとつい、子育て大賞というのを初めて行いまして、私が表彰式を行ったんですけども、子供を五人、七人育てて明るい家庭を築かれている方々とお話をいたしました。本当に皆さん元気で頑張って、そしてまた子供がたくさんいるということを非常に前向きにとらえておられるので、感動したわけでございます。
 しかしながら、この少子化ということは、私自身も、これは文明病の一種かなというふうな認識を以前は持っていたんでございますけども、最近いろんなところで勉強いたしますと、ヨーロッパなんかでこの少子化問題に真剣に取り組んだ国では出生率が回復しているというふうな傾向が出てきているというふうなことなんで、これは文明病というふうなことで退けるものではなく、高齢化、老人問題と同じぐらい、そしてまたそれ以上に力を入れていけば効果も出てくるというふうなことが期待されますので、和歌山県でも本年度を初年度として数値目標を入れてこの少子化対策に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 行政改革など五点のお尋ねがございました。
 まず、行政改革のプランについてお答えいたします。
 本県におきましては、御質問にもありましたとおり、昨年の十月に平成十六年度から二十年度までの五年間を計画期間と定めました財政改革プログラムといったものを策定しまして、人件費総額の抑制あるいは事務事業の見直し、県税収入の確保などに努めてまいりますとともに、知事部局の職員も四百三十人削減するということで職員定数適正化計画も策定しまして、行財政改革に全庁挙げて取り組んでいるところであります。
 御質問にもありました集中改革プランにつきましては、今御説明申し上げた財政改革プログラムなどを一年ずらした形で十七年度から二十一年度までの五年間を計画期間とする行政改革プランでございまして、現行のプログラムを基礎にして具体的な取り組みを盛り込むなど必要な見直しを行いまして、平成十八年の三月には公表できますよう検討を進めてまいります。
 それから次に、団塊の世代の大量退職への対応と給与の適正化についての御質問がございました。
 知事部局におけます平成十八年度から平成二十年度までの三年間の定年退職者予定者数は五百六十名でありまして、この期間における適正な人員体制につきましては、行政サービスの低下を招かないように留意もしながら、先ほどお答えしました集中改革プランを策定する中で、その大量退職への対応も含めて検討してまいりたいと考えております。
 また、本年の国の人事院勧告における俸給表の平均四・八%の引き下げや現行の調整手当にかえた地域手当の支給につきましては、十月に予定されております和歌山県の人事委員会の勧告を踏まえまして、国やほかの県の状況も踏まえて適切に対応したいと考えております。
 また、県独自の給与カットにつきましては、平成十三年度に管理職など二%、十四年度からは管理職二%、その他の職員一%ということで行ってまいっておりまして、来年度につきましても財政状況を考慮して関係団体と協議を進めてまいりたいと考えております。
 それから三番目に、三位一体改革における税源移譲についてのお尋ねでありました。
 個人住民税の一〇%フラット化によりまして国から地方に三兆円の税源移譲がなされますと、和歌山県にも、県と市町村を合わせましておおむね二百億円程度の住民税がふえるというふうに推計されております。ただ、そうなりますと所得税より個人住民税の方が多くなる住民が多くなるわけでございますので、御指摘のとおり、徴収対策は今後ますます重要な課題と考えております。
 平成十六年度の県税の徴収率でございますが、九五・八%であります。特に個人住民税が八八・一%と低くなっております。これを除いた県税では九七・四%となっております。個人県民税につきましては、収入未済額全体の四九・三%を占めている状況にありますので、本年度から、地方税法四十八条に基づきまして、徴収困難なものにつきましては県が直接徴収を行うという取り組みも行っているところであります。
 また、自動車税等の徴収や県税に係る滞納処分の強化を図りますために、振興局への納税推進員の配置につきましても補正予算案でお願いしているところであります。
 県といたしましては、本年度の目標収入率を九六%と掲げまして、こうした取り組みとあわせまして、市町村と共同で滞納処分に当たるための滞納整理組合の設立、あるいは市町村との共同公売、共同納税窓口の設置など、市町村への支援や連携強化にも取り組みまして一層の収入率向上に努めてまいりたいと考えております。
 四番目が、指定管理者制度の御質問でございました。
 まず、県から指定管理者制度が適用される法人への派遣職員の対応についてでございますが、現在、派遣職員は知事部局と教育委員会で五十名ございます。これらの職員については、当該職員の適性等もかんがみまして、基本的にはほかの部署への配置を検討してまいります。
 次に、指定管理者制度移行による財政的効果でございますが、平年度の一般財源ベースで総額約九億円の節減になるものと推計しており、今後決定する指定管理候補者からの提案内容によってはさらに節減効果があるのではないかと考えております。
 次に、リスクや損失発生への対応につきましては、債務負担行為で設定している委託料がこれまでの施設管理運営実績あるいは民間同種施設の運営状況を参考にしておりまして、通常の管理運営には支障のないものと考えております。
 いずれにしても、指定管理者がみずから提示した委託料の範囲で適切に管理運営を行っていただく必要があると考えております。さらに、指定管理者が万が一その業務を果たす上で適正を欠くこととなった場合には、直ちに指定を解き、新たに指定管理者を選定することといたしております。
 最後に、育児休業についてのお尋ねがございました。
 知事部局における平成十六年度の育児休業取得状況は、女性職員が九六・八%、男女合わせますと取得率は六二・二%となっております。男性職員も、平成十六年度に初めて二名が取得したところであります。
 取得率向上対策といたしましては、平成十五年度に公布されました次世代育成支援対策推進法に基づいて、県も十七年度から五年間にわたる和歌山県子育て推進プログラムを策定しておりまして、育児休業取得者の負担を軽減し、子供を育てやすい環境を整備することが重要との観点から、育休代替職員の確保にさらに努めますとともに、業務に関連した情報を提供するなど、このプログラムに基づきまして一層推進を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、少子社会へ次世代支援対策の充実についての御質問の中で、まず「つどいの広場」についてお答えを申し上げます。
 少子化の原因の一つとして、母親の子育てについての負担感あるいは不安感の増大が言われてございます。そのような中で、これからの育児は社会全体で支援することが基本的な方向として求められてございまして、つどいの広場は、乳幼児期の子育て中の親子が気楽に集い、打ち解けた雰囲気の中で相談、交流、情報交換を行う事業でございます。核家族化が進行する中、その役割は今後ますます重要でございまして、平成二十一年度までに六市町村六カ所の設置に向け、市町村に積極的に働きかけてまいります。
 なお、今年度、県では単独事業として田辺市本宮町において地方型つどいの広場モデル事業を実施してございます。
 次に保育サービスの向上対策でございますが、本年四月、橋本市に幼保一元化施設が開園し、県内初めての病後児保育が始まったところでございます。また、受け入れ児童数の拡大、延長保育、一時保育などさまざまな保育サービスにつきまして紀州っ子元気プランにおいて今後五年間の数値目標を設定したところでございまして、その進捗状況を見きわめるとともに、地域社会の少子化が進む中、和歌山モデルの地方型子ども園の推進など、和歌山の地域の特性に応じた多様な保育サービスの充実に取り組んでまいります。
 次に、乳幼児への医療費支援についてでございます。
 乳幼児への医療費助成は少子化対策の重要な柱と考えてございまして、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため本制度を実施しておりますが、市町村を初め各種団体からも、さらなる制度の拡充について御要望をいただいているところでございます。
 こうした中、乳幼児医療費助成制度につきましては、県単独医療費助成制度全体の見直しの中で、対象年齢の拡大も含めまして、本年度内に検討を行い、来年度中にも実施いたしたいと考えております。
 次に、健康被害の原因となるアスベスト問題への対応についての御質問の中でのアスベスト作業従事者に対する健康診断や治療体制についてでございますけれども、これにつきましては、厚生労働省の地方機関である和歌山労働局及び産業保健推進センターなどにおいて、七月以降、労働者やその家族からの健康相談などに応じているほか、和歌山労災病院等において専門的な健康診断や治療が行われているところでございます。
 また、県民に対する健康対策としましては、七月八日、各県立保健所に相談窓口を開設いたしました。九月十五日現在、百八十八件の相談を受けてございまして、その相談内容としては、住宅及び施設に使用されている建材に対する相談が主なものとなってございます。
 なお、医療機関の受診を希望される方には労災病院等の専門機関を紹介するなど、県民のアスベストの健康影響に対する不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員からお話がございました方も含めまして、県内での中皮腫で亡くなられた方は、平成七年から平成十五年までの九年間で四十九名と把握してございます。アスベストによる健康影響につきましては、その解明に向け、国において専門家による研究がなされることになってございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 私からは、民間企業の育児休業の取得率及び取得率の向上対策についてお答えをいたします。
 まず、平成十六年度の和歌山県労働条件等実態調査によりますと、育児休業制度の規定を設けている事業所は六二・五%で、育児休業の取得率は、男性が〇・〇九%、女性が六九・六三%であります。
 県の施策といたしましては、従来から仕事と家庭の両立に関するセミナーを開催しており、本年度も来月十八日から県内四会場で育児休業に関する説明会を開催することとしております。あわせて、県が委嘱した社会保険労務士が企業を巡回訪問する中小企業労働施策アドバイザーの活用によりまして、子育て支援に対する意識向上のための啓発に取り組んでいるところでございます。
 また、育児中の労働者の負担を軽減し、子供を育てやすい環境を整備することが重要な課題であると認識しており、働くことをやめずに子供を育てられるようにするためには、男女ともに育児休業等を取得しやすい職場の環境づくりと意識の向上が必要不可欠であると考えております。引き続き、和歌山労働局など関係機関と連携しながら、事業者等に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 国勢調査と個人情報保護法に関してでございます。
 個人情報保護意識の高まりに対応いたしまして、今回の国勢調査では調査書類整理用封筒を用いた封入提出方式が採用されております。こういうふうな封筒を用いまして(現物を示す)提出するというようなことでございます。
 また、調査員等関係者には統計法によります秘密の保護が課せられておりますし、また調査員は非常勤の国家公務員として守秘義務が課せられております。さらに、調査員向けの個人情報保護マニュアルを作成いたしまして、市町村を通じてプライバシー保護の徹底を図っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストに関する二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、一点目の県有施設の調査結果についてでございますが、本年八月から五百十一の県有施設につきまして、施設管理者及び県建築関係職員による調査を実施してまいったところでございます。その結果、県立学校を除く施設につきましては、アスベストの含有吹きつけのある施設が三カ所、そのうち県民文化会館小ホール及び県立体育館ロビー天井につきましては、既に対策工事が完了しております。残りの一カ所につきましては、紀伊風土記の丘資料館で現在使用中止の措置をとっているところでございます。
 アスベスト含有の可能性があり現在分析中のものが四十七施設、そのうち飛散の可能性があるため現在使用中止のものが二十七施設、飛散の可能性がないものが二十施設でございます。残りの四百六施設につきましては、アスベストの使用はないと確認をしております。
 今後の対応につきましては、現在分析調査を実施しております施設のうちアスベストの含有が認められた施設につきましては、対策工事を実施してまいる予定でございます。
 次に、小規模な建築物の解体、補修及びアスベスト廃棄物処理への本県の対応についてでございますが、既に県の建設業協会及び県建築士会等関係団体に対しまして、大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業に係る大気環境中への飛散防止対策の徹底を依頼したところでございます。
 また、作業従事者の安全対策の観点から現在石綿障害予防規則が定められているところでございますが、今後、和歌山労働局と連携の上、必要に応じ立入調査を合同で実施するなど、作業基準の遵守を徹底してまいりたいと考えております。
 また、現行の大気汚染防止法で適用外となっております小規模な建築物の解体時におけるアスベストの飛散防止の徹底を図るため、ただいま県公害防止条例の一部改正を提案させていただいたところでございます。今後とも、建築物の解体時における飛散防止及び作業従事者の安全対策の徹底に努めてまいる所存でございます。
 最後に、アスベスト廃棄物処理についてでございますが、飛散性及び非飛散性アスベスト廃棄物の取り扱いにつきましては、本年七月、県の許可を有するすべての産業廃棄物処理業者に対しまして、その適正処理について周知を図ったところでございます。飛散性アスベストにつきましては、県内に処理可能な施設がないため、近県の処理可能な施設で適切に処理するよう指導しております。また、非飛散性アスベスト廃棄物処理事業場に対しましては、本年八月より随時立入調査を実施しているところでございます。
 今後とも、適正処理について事業者を監視、指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) アスベスト問題に関しての消防隊員への対応についてお答え申し上げます。
 消防隊員は、火災など災害現場での活動時にアスベストを含んだ粉じんを吸入する可能性があることから、災害現場では防じんマスク等の着用をさせるとともに、早急に必要な整備を行うこと、また関係部局とアスベストを使用した建築物の情報共有に努めるよう、本年八月、文書で県内各消防本部に対し周知徹底を図ったところであります。
 今後も引き続き、災害現場での消防隊員の安全確保の徹底に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育関係六項目についてお答えいたします。
 初めに、定員管理計画に関して教育委員会では、児童生徒数の減少に伴う学級減や事務局組織の改編に伴う事務の効率化等により、四百人の定員削減を行うこととしております。財政改革プログラム期間中には一千三十九人の定年退職があり、中でもいわゆる団塊の世代が定年を迎える平成十九年、二十年度には、その半数を超える退職者が見込まれます。こうした状況を考慮し、教職員の採用については従前から計画的に進めてきているところであり、今後も適切に行ってまいります。
 次に、学校施設の吹きつけアスベスト等の使用に係る調査については、議員御指摘の児童生徒の安全対策の観点から七月に県独自の第一次調査を実施し、小学校十三校、中学校三校、高等学校六校にアスベスト含有のおそれがある吹きつけ材を確認しております。これらは飛散の可能性はありませんが、児童生徒、教職員の健康に万全を期するため、安全性が確認できるまでの間は当該箇所への立ち入りを禁止したところです。
 また、八月以降は第二次調査として、文部科学省が示した基準に基づき、県立学校五十四校、千三百二十九棟を対象とした建築関係職員による立入調査を行うとともに、小中学校については市町村教育委員会に依頼しております。現時点で判明したところでは、県立学校二校、小学校一校においてアスベストを含む吹きつけが認められますので、立入禁止を継続するとともに速やかに除去する等、適切な措置を講じるよう進めております。
 今後とも児童生徒の安全確保を最優先するとともに、重大な健康被害のおそれがあると判断される場合は必要な健康診断を行うなど、適切な対応をしてまいりたいと考えています。
 続いて、このたび制定された文字・活字文化振興法は、国語を日本文化の基盤として深く広くとらえ、昨今の活字離れや読解力の低下を是正する上で大きな意義を持つものと受けとめております。
 本県では、これまでも「きのくに学びのルネサンスプラン」を初めとするさまざまな取り組みを進めてきたところであり、このたびの法制定を機に関連施策の一層の充実に努めたいと考えております。
 特に、国語力の向上については、学力診断テストにおいて読解力等に課題が見られたため、昨年度庁内に設置した国語力向上推進会議での検討をもとに、小中学校が連携した系統的な指導のあり方の研究や全校種・教科での読解力向上に向けた工夫、改善に取り組んでおります。
 また、和歌山県子ども読書活動推進計画を踏まえ、朝の一斉読書等を全県的に進めるほか、小学生と交流活動を行う高校生よみかたりボランティア活動を展開し、好評を得ております。
 図書館の活用と充実については、県立図書館全体の利用者数が年々増加傾向を示し、特に本年一月に移転・開館した田辺市の県立紀南図書館では、八月末までの入館者数は十一万人を超え、昨年の同時期に比べて約八倍に、同じく貸し出し冊数は約四倍に増加しております。
 今後も県立図書館の整備充実に努めるとともに、市町村に対し、住民への貸し出し用として一千冊程度の本を一括貸与するほか、図書館運営に関する助言を行うなど、支援してまいります。
 一方、学校図書館については、学習活動や読書活動を一層推進するため、その中心的な役割を担う司書教諭を十二学級規模以上の学校に置くこととされており、本年度、小学校では一〇〇%、中学校八七・九%、県立学校九三・三%の配置となっています。今後すべての学校に配置するよう努めてまいります。
 また、学校の図書費については、地方交付税措置を中心に県内の市町村が合計約一億四千万円を支出し、蔵書も充実してきておりますが、市町村によっては予算措置が十分でない実態も見られるため、改善に向けてさらに指導してまいります。
 この十月に本県で開催する、議員御紹介の中部地区学校図書館活用フォーラムでは、各学校の実践発表やさまざまな観点からの研究、協議を行い、本県学校図書館のさらなる活性化への契機にしてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。所定の時間の六十分を過ぎておりますので、再質問される場合は簡潔に願います。再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 新生わかやま県議団の浦口高典でございます。
 議長のお許しをいただき、質問に入らせていただく前に、皆様に御紹介したい本がございます。それは、この「ふれあい川柳 人生いろいろ」という本でございまして、ことしの一月、エヌ・ピー・オー川柳というところから発刊されました。その事務局長が大江寛さんといい、昨年の秋に、和歌山にかかわりのある方に川柳を詠んでもらって本をつくり、心温まる交流の場をつくりたいという趣旨のもと、以前からNPOとかかわり合いが深い県議会議員ということで、私の事務所に訪ねてこられました。
 ここで、せっかくですので、その中で二、三、作品を紹介させていただきます。
 まず、木村知事であります。「踏みしめて 変わらぬ山河 穏やかに」。「選挙期間中、四年ぶりに訪れた山村の谷や畦道を見て、その自然の美しさが変わらないと感じた様子」というコメントで、知事として──このときは候補者でありますが──和歌山県の豊かな自然に対する深い愛情とその思いが伝わってくる、なかなかの秀作であります。
 次に、小川前県議会議長であります。「夏休み 孫と二人で 宝塚」。コメントは、「県議会議長という忙しい日々の合間に、夏休み中のかわいい孫と二人きりで宝塚歌劇を楽しみ、また、気持ちを新たに明日からの職務に精励していこうという思いで詠まれた」そうであります。公人である議長として御多忙の中、私人に返り、おじいちゃんとしてお孫さんとのほのぼのとした情景が目に浮かぶ人間味あふれる作品であります。
 ところで、この大江事務局長が、私にもぜひつくってくれということでありました。しかし、文才もなければ、まして川柳など今まで一度もつくったことがないものですから、初めは丁重にお断りしたのですが、大江さんのこの本を世に出したいという情熱に負け、一句詠ませていただくことになりました。
 私は、御存じのとおり、選挙に三回落選するという世間的には余り褒められたものではない経験をしておりますが、そのことをストレートに表現していいということだったので、つくったのが「三度落ち ふるさと和歌山 もっと落ち」という川柳でございます。決してこれは、和歌山をばかにしたものでも茶化したものでもありません。私には正直、今も和歌山の姿がそのように見えるからであります。
 マスコミでは、日本の景気はよくなった、四十七カ月連続で景気が拡大しているということを言っておりますが、和歌山の地元経済はいかがでしょうか。決してよくなっているということをまだまだ実感することはできません。
 その一つに、土地の価格、地価について、この二十日に国土交通省が発表したデータによると、バブル崩壊後、今まで全国で地価が下落傾向にあった中、一部都市圏で上昇に転じたところも出てきているということであります。しかし、和歌山県では、住宅地については、近畿圏でほぼすべての府県、用途でマイナス幅が縮小した中、唯一、前年度マイナス四・四%から本年度四・八%へと下落率が拡大をいたしました。また商業地では、ぶらくり丁の下落率が全国の商業地五千三百九十地点の中で二番目に高い、つまりワーストツーの前年度比二二・二%という大変大きな下落率であります。これらに象徴されるように、地価の下げどまりは、まだまだ下落率が拡大中であります。これは地元経済の状況そのものではないでしょうか。
 また、人口減少について、全国でことしの上半期に約三万一千人が減少したとのニュースでありましたが、一昨年の十二月議会で私も申し上げましたとおり、和歌山県では既に今から二十三年前の昭和五十七年、百九万五百二十一人をピークに、多少ふえた時期もありましたが、減少傾向に転じ、本年四月で百四万五千二百四十一人と、既に四万五千二百八十人減少しております。
 また、これから四半世紀つまり二十五年間でその傾向がさらに端的にあらわれ、国立社会保障・人口問題研究所が平成十五年十二月に公表した日本の市区町村別将来推計人口によりますと、和歌山県で平成四十二年には八十七万八千三百一人と、昭和五十七年の人口を一〇〇とした場合、八〇・五と約二割の人口が減少いたしますし、また減少傾向が最も著しい旧東牟婁郡では五一・七と最多人口時の半分になってしまいます。
 少し長くなりましたが、私が言う「ふるさと和歌山 もっと落ち」という意味を十分御理解いただけたかと存じます。ここでは参考までに数字を挙げさせていただきましたが、この数字だけを見ていると、和歌山県の将来に対し、何か暗い気持ちになってきてしまいます。しかし、県当局の皆様には、すべてを右肩上がりに戻せと言っているのではありません。また、この数字だけを見て将来を悲観する必要もございません。こんな和歌山をいかにして活性化するかが問題であります。
 それには、いろいろな考え方、方法はあるかと思いますが、私は一言で言って、県民の皆さんが持てる力、私は内から発する力、「内発力」と呼んでおりますが、その力を最大限発揮してもらうことが活性化への第一の道だと思います。そのための手助けをしたり仕組みづくりのお手伝いをするのがこれからの政治、行政の仕事だと思いますが、あわせて申し上げますと、余計なことをしないことも大切であります。
 そこで、その内発力を発揮する方法を模索するため、これから通告に従い、報告並びに質問をさしていただきます。
 一番目に、第二回紀州よさこい祭りについてであります。
 第一回紀州よさこい祭りについては、昨年の九月議会でも御報告させていただきましたが、市民が中心となり実行委員会を設立し、約一千六百万円の費用のほとんどを自分たちで集め、約七万五千人の観客を動員し、成功いたしました。ことしは、正式には「おどるんや二〇〇五~第二回紀州よさこい祭り」と申しますが、昨年以上のスケールで、予算額二千七百万でこの七月二十三、二十四の二日間にわたり、約十二万人の観客を動員して大成功をおさめることができました。その間の実行委員会の活動やプレイベント等については今回は割愛をさしていただきますが、和歌山の内発力を引き出し、よりよい方向に変えていくために、二つの視点から御報告をさしていただきます。
 皆さん、打田町に仙渓学園というのがあるのを御存じでしょうか。私自身、「和歌山県職員録」をあけたときにその名前は見ていたのですが、どのような施設であるか、正直知りませんでした。この施設のパンフレットの説明によると、さまざまな事情で家庭や学校あるいは地域の環境になじめない児童を受け入れ、職員と起居をともにしながら、豊かな自然の中で生活、学習、作業、スポーツ活動を通じて心身を健やかに育て、健全な社会の一員として自立できるように支援する施設ということであります。もう少し具体的に言いますと、犯罪を犯したり不良行為をした子供たち、もしくは親からネグレクト、つまり養育放棄された子供たちなどが自立できるように支援する施設ということであります。
 この施設に、よさこい実行委員会の最年長で和歌山市片男波自治会の会長でもある玉置成夫さんとよさこいの踊り子たちが、ことしの五月三十日に初めて筒井園長の招きで訪問し、踊りを見せ、子供たちに感想を聞くと、「よかった」「楽しかった」「踊りたい」というものだったそうです。その後、子供たちの強い要望もあり、よさこいを指導してほしいとの学園側の要請で、六月二十七日、七月十一日の二日間、総合学習の時間に、よさこい踊りを踊り子たちが指導に行きました。私も七月十一日に一緒に見学に行ったのですが、筒井園長の話によると、ふだんの体育の授業に比べて生き生きと取り組んでいるということでありました。
 そして、七月二十四日の紀州よさこい祭りの当日、学園関係者の方に引率されて六人の生徒が片男波会場で初めてチームで踊る姿を見、みんなで踊る総踊りのとき、一緒になって彼らも踊りました。私はそばでその様子を見ておりましたが、他の踊り子たちの中に溶け込んで楽しそうに一生懸命踊る姿は大変印象的でありました。玉置さんが言うには、「どのような家庭で生まれても、生まれながらにして非行要素を持って生まれた子供などはいない。すべて親や周りの大人に責任がある。しかし、不幸にして学園生活を送らなければならなくなった子供たちに希望と目的を持てるように指導や援助が必要であり、その一つにこのよさこいがなれるのではないか。子供たちが一つのことに熱中し、社会に戻ったときに、それを通して人の出会いを大切にし、たくさんの友達をつくり、うまく社会に溶け込んでいけるように役立ててもらいたい」とのことでありました。まさに、よさこいを通じて子供たちの内なる力を少しでも引き出せたのではないでしょうか。
 さて、もう一つ、この紀州よさこい祭りを通じて和歌山の内なる力が発揮されたことについて、二人の公務員の活躍ぶりを御紹介さしていただきます。
 よく「お役所仕事」だとか「役人だからなあ」と、役所や役人と言うと、どちらかというと消極的で非効率的なマイナスイメージでとらえがちであります。特に、大きく時代が変わろうとしているこの時期に、一般市民から見ると変化に対応できないかた物という感じがあることも否定はできません。それは法律や条例に基づいて仕事をしているから仕方がないと言えばそれまででありますが、その法律や条例に前例がついて回るから余計厄介なのかもしれません。しかし、この紀州よさこい祭りを通じて、新たなる公務員像を私は見ました。
 一人は県立医大の高垣晴夫氏で、彼は一昨年の秋からこの祭りの実行委員としてかかわってくれておりますが、昨年はボランティアの総括として約二百五十名のボランティアを集め、その采配で祭りそのものをスムーズに運営できるように陰ながら支えてくれました。さらに、ことしの祭りでは、五百名のボランティアを目標にありとあらゆる人脈を通じて声をかけてくれ、結局、五百四十四名のボランティアが二日間にわたるこの祭りを支えてくれました。もちろん、この五百四十四名の中には、県庁の職員もたくさん入ってくれていたこととともに、高垣氏の上司で和歌山県立医大の黒田事務局次長の御理解もあったことも申し添えておきます。これは決して公務ではありませんが、公務員として奉仕と協働の精神でもって地域おこしの祭りのために尽力してくれたことは、私は大変うれしく思いますし、心強く感じました。
 また、もう一人の公務員とは、和歌山西警察署の、あえて名前は伏せますが、署長であります。私は、この祭りを四年半前に、以前御紹介いたしました内田嘉高君と上森成人君という二人の若者と踊りのグループの立ち上げからかかわってきましたが、議員という立場上、実行委員にはならず、サポーターとしてずっと応援してきました。その実行委員の若者から祭りの準備の進捗ぐあいや行政とのかかわりについて聞くと、よくその西署の署長の話が出てまいりました。それは、西署長は、役所や警察にありがちな初めから規制や規則で縛るのではなく、逆に、あれもやったらどうか、これはどうかとハッパをかけてくれるので準備するのに大変勢いがつくというものでありました。それを聞いて私はこの方に大変興味を持ち、西署に訪ねてお話を伺いました。この西署長いわく、「犯罪が起こって対応するのではなく、犯罪を少しでも起こさない社会をどのようにつくるかが重要である。紀州よさこい祭りのように、みんなが参加し、町を少しでも活気づけて、非行に走りそうな若者たちをどんどん巻き込み、いい方向に向けてもらい、あわせて地域経済も活性してもらいたい。そのために、警察としてできるだけのことは協力する」ということを言われました。まさに警察官のかがみであります。
 ここで、単にこの二人の公務員を称賛するのが私の目的ではありません。先ほども述べましたとおり、和歌山がまだまだ落ち込んでいく中で、役人も市民と目線を同じくして地域の活性化に取り組んでいくことの大切さと、実際に、今までのように管理することだけではなく、協働の精神で市民と一緒に仕事をしている公務員が現にいるということを皆さんに伝えたかったわけであります。それだけに、県職員の方にも、これから事に当たって、法を曲げてまでとは言いませんが、フレキシブル、柔軟な対応をしてくださることを、この二人の公務員を例とさしていただき、申し上げた次第でございます。(「余り個人名出すなよ」と呼ぶ者あり)
 また今回、木村知事の御了解のもと、野添公室長を窓口に──済みません、個人名を出しまして──県三役並びに県幹部の皆様にも陰ながら御支援、御協力をいただいたことを、おくればせながら感謝申し上げます。ありがとうございます。
 紀州よさこい祭りについて、それでは一つだけ質問をさしていただきます。申し添えさしていただきますが、高嶋企画部長にも祭りのコンテストの審査員をしていただきました。ありがとうございました。
 知事の代理で入賞者へのプレゼンターとして参加し、御自身もじっくりと祭りをごらんいただいた環境生活部長、第二回紀州よさこい祭りの率直な御感想と、来年以降、県としてどのようにかかわりを持たれようとしているか、できるだけ積極的なお答えをお願いいたします。
 二番目に、ローカルマニフェストについてであります。
 この九月十一日に行われました総選挙におきまして、政党としてのマニフェスト、つまりパーティーマニフェストについては、新聞、テレビ等のマスコミを通じて紹介され、また論じられたこともありましたが、残念ながら今回は、小泉首相の郵政民営化についてのイエスかノーかという、いわゆるシングル・イシュー・ポリティックス、つまり一つの政策についての是非を問うものとなってしまった感がありました。結果は御存じのとおりでありますが、もちろん政治というのは郵政民営化の問題だけではないことは、有権者の皆さんもよく御存じのとおりであります。
 その点、昨年八月の知事選で木村知事が掲げられました「私の政策宣言~「改革と発展」を目指して~」ということで、これは非常に多岐にわたり、この四年間──もう一年間が過ぎましたが──数値目標、期限、財源等を有権者に明示し、この一月にそれを行政に落とし込んだ「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」──皆さんのお手元にずっといかれていると思うんですが、このとおりですね──その具体的な工程表、ロードマップまで示され、大変精緻でよくできたものであると私は高く評価をしております。
 そこで、これをもとに四点質問さしていただきます。
 まず初めに、全体として低迷を続ける和歌山県経済を活性化させるカンフル剤はこの中に入っているのでしょうか。つまり、このローカルマニフェストの中にビジネスチャンスが含まれているかどうか、知事、お答えください。
 このことに関連してでありますが、皆さんも御存じのとおり、今まで県の基幹産業と言ってもいい公共事業の土木費を決算ベースで調べてみますと、平成十二年度は約一千二百二十一億でしたが、平成十六年度は約八百四十一億と、この四年間で実に三百八十億円、つまり三一・一%のダウンであります。和歌山県は、平成十五年三月末のデータによると人口十万人当たりの建設業者が五百七十八社と全国で一番多いと言われる中で、これだけ公共事業が減少すると地域経済が冷え込んでいくのは当たり前であると思います。それらにかわり得るものがあるのかどうか、あわせて県土整備部長、お答えください。
 次に、県民生活についてであります。
 経済の低迷や雇用や老後不安等で県民の将来に対する不満感が大きくなるにつれ、若者の県外流出やモチベーション(やる気)が低下し、地域にますます活力はなくなってくるのではないかと私は心配をしております。このマニフェストの中で、何を信じ、何にかかわることによって日々の生活に希望を持ち、満足を得ることができるのでしょうか。つまり、不特定多数の県民が生活者として満足感を感じるかどうかということは、木村知事がこのマニフェスト作成時に大きなテーマであったと思いますし、木村知事みずからの政治理念や政治哲学にもかかわってくることですので、知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 さて、この七月に知事公室政策審議室より「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」、つまり木村マニフェストの進行レポートというものが発表されました。一部企業誘致等を除いておおむね順調に目標を達成しているということでありますが、その中で、私が三月議会にも質問いたしました雇用の確保の推進ということについてでありますが、この中では四年間で一万五千人の雇用を数値目標として掲げ、この一年間で実に五千八百八十人もの雇用を生み出したという驚くべき数字が掲載されております。しかし、私はそれだけ雇用が生み出されたという実感がないというのが正直な感想であります。
 確かに、住友金属和歌山製鉄所が約一千億円を投資し新しい高炉建設をするにあわせて、ことしの七月、六年ぶりに中途採用のために四十人の募集をしたということは聞いております。しかし、その四十人に対して実に千百三名の応募があったということであります。幾ら住友金属さんが待遇がよくて安心して働ける場であるとしても、いかにも和歌山に雇用の場が少ない証拠であると思うのですが、いかがでしょうか。この五千八百八十人の具体的な根拠と仕事内容、正社員かアルバイトかということも含め、商工労働部長、明確にお答えをお願いいたします。
 三番目に、地方分権時代における地方議会についてであります。
 二年五カ月前の初当選以来、私自身自問自答してきたことがございます。それは、県議会議員の仕事とは一体何なのか。一般的には、県民の皆さんの声を県政に訴え、さまざまな議論を通じて県民のよりよい暮らしづくりに貢献するということでありましょうが、一議員として果たしてどこまでできるのか、また、同志として会派のあり方、さらに地方分権時代と言われる中で地方議会のあり方等についてであります。
 このような中、昨年より、以前から懇意にしていただいております北川正恭前三重県知事の勧めもあり、マニフェストつまり政権公約の地方版でありますローカルマニフェストとのかかわり合いを持ち、いろいろな方々に御指導をいただきつつ、自分なりに見聞を広げてきたつもりであります。
 ただ、マニフェストにつきましては、まだまだ日本の政治風土の中で進化過程であるということをお断りしておきますが、地方における首長側からのマニフェストではなく、議員側からマニフェストにかかわっていこうということで、ことしの五月二十二日に東京で約五百名の地方議員が参加し、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟を立ち上げ、本議会から山下大輔議員も参加されておりますが、その三人の共同代表に私が選ばれました。そのことにつきましては、県職の皆さんもよくお読みだと思うんですが、この「ガバナンス」の七月号に詳しく書かれております。
 また、ちょうど連休中にですが、日本経済新聞から「日経グローカル」という本を送ってまいりました。実はこの間、共同代表三人で東京でちょっとインタビューを受けたんですが、地域経営を考えるローカルマニフェストということで、ここに特集が組まれております。和歌山県のことも書いております。定期購読だと思いますんで、これは本屋では売ってないと思いますんで、知事ごらんになりましたか。(「それは持っています」と呼ぶ者あり)──持ってますか、そうですか。なかったら進呈しようと思ったんですが。その運営に当たり、以後、月一、二回のペースで東京で他府県の地方議員の方たちとさまざまな議論をしてきておりますが、二〇〇〇年四月からの地方分権一括法の施行、それから二〇〇四年からの三位一体の改革が進む中で、これから本格的に地方分権になったときに本当に地方議会はどうあるべきか。地方議会の存在そのものを含めて、さらに私は疑問がわいてまいりました。
 この六月議会に、吉井議長が議長就任のごあいさつの中で、住民と身近な私たち地方の議会がこの国の形を変換する、そういったものを逆に提案していかなければならない大変な時期であると述べられておりますが、私も全く同感であります。
 そこで、地方分権が進む中で、地方議会、特に和歌山県議会のあり方、役割について、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 それに付随して、どうしてもここで木村知事に御意見をお伺いしたいことがございます。それは、地方議会における与党と野党ということについてであります。
 話は昨年の一月のことになりますが、議会運営委員会の一員として沖縄県議会に調査に行ったときのことであります。沖縄県議会の事務局の方の説明の中で、与党については何々、野党については何々という言葉が何度も出てまいりました。議会運営委員会は、御存じのとおり各会派ベテランの議員の方ばかりなので、そう言われたことについて皆さん恐らく当たり前のこととして感じられていたかと思いますが、私は地方議会において、そもそも与党、野党とは何なのか、果たしてそのようなものがあるのかどうかという疑問が起こり、一連の説明が終わった後、沖縄県議会の事務局の方から「何か質問がありませんか」と聞かれましたので、議運の説明の内容はさておき、「済みませんが、沖縄県議会における与党と野党というのは一体何なんですか」という質問をいたしました。そしたら、向こうの事務局の方は大変返答に困ったようで、少々時間を置いて、知事選において力になったのが与党で反対だったのが野党というような、わけのわかったようなわからんような答えをされました。
 そのとき、和歌山県でも八月の知事選に向けさまざまな動きが起こっておりましただけに、私はそれ以上のことはお聞きしませんでしたが、そもそもこの辺に国の制度である議院内閣制、つまり、国民に選ばれた議員が行政のトップである内閣総理大臣を選ぶのと、地方の二元代表制における行政のトップである知事や市町村長も我々議員と同じく直接住民から選ばれているということを勘違いしているなと私は正直思いました。
 そこで、ことしの七月に、秋のローカルマニフェストの全国大会の打ち合わせでローカル・マニフェスト推進首長連盟──ちなみに木村知事も御入会されてますが──の共同代表である岩手県の増田寛也知事と同席したときに、その辺の疑問をぶつけてみました。「増田知事、岩手県議会で知事の与党、野党というのはあるんですか」とストレートに質問したところ、すかさず増田知事は「そのようなものはありません」と明確な答えが返ってまいりました。
 そこで、木村知事にお伺いいたします。和歌山県議会において、そもそも知事の与党と野党というのは存在するんですか。もし存在するというのであれば、その根拠をお教えください。さらに、その場合、我々新生わかやま県議団と日本共産党県議団について、与党であるのか野党であるのか、知事はどのように思われているか、はっきりとお答えをください。
 これで、第一回目の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、ローカルマニフェストの内容について。
 ローカルマニフェストの中のビジネスチャンスについてということですが、マニフェストでは、地域の活力を向上させる施策の柱として、「産業の振興と雇用の確保」「都市との交流による地域活性化」を掲げ、地域経済の自立的な活性化と都市から地方へという流れを加速することにより和歌山県地域の活力につなげてまいりたいといたしております。
 具体的には、「産業の振興と雇用の確保」では、県内産業のイノベーション、地産地消のためのコミュニティービジネスの創出、県産品のブランド化による販路拡大、農産物和歌山ブランドのブラッシュアップ、企業誘致の促進、雇用創出と若年者雇用対策などを、そしてまた「都市との交流による地域活性化」では、世界遺産登録を契機とした国際観光や地域資源を生かした体験型観光の推進による交流人口の拡大、緑の雇用事業、農業をやってみようプログラムなど新ふるさとづくりの推進などをそれぞれ重点施策と位置づけております。
 和歌山県民が、地域が、持てる力の限りを引き出すことが県経済を活性化させることにつながるという基本的な考えのもとに、これらの施策を組み合わせ、相互に効果を増幅させていくことにより県全体の活性化につなげてまいりたいと考えております。地元の知られざる魅力を発見し、光を当てることが大切であり、失われた県民の自信を取り戻すという意味で、世界遺産登録も大きな力となっております。
 ふるさと和歌山県の持てる力を再認識できたことから、県民の中から自分たちにできることから取り組もうという機運も芽生えつつあります。緑の雇用でIターンした定住者が五百人を超えて、山村の地域づくりを担うという気概を持った人も出てきております。
 こうした県民の自発的な動きは頼もしい限りで、県としても、単に支援するというより、民間と行政がそれぞれ責任を果たしつつ、足らずを補い合い、協働を進めることにより、出るくいを伸ばしたいというふうに考えております。
 次に、生活者の満足感の質問でございますが、少子高齢化が進む中で、地域活力を担う若者の県外流出など、将来に対する県民の不安の払拭は喫緊の課題です。与えられた便益を当たり前のように享受するだけでは新たな活力につながるアイデアも生まれません。しかしながら、住民みずからが主体的な取り組み、住民相互の協力、行政との協働の関係を構築することができれば、ふるさとに対する愛情、愛着が増すとともに、自己責任、自己選択による地域づくりに参加することにより住民の満足度もおのずから高まると考えられます。
 次に、地方分権時代における地方議会についての御質問でございますが、地方分権推進の目的は身の回りの課題に関する地域住民の自己決定権の拡充にあるというふうに思います。分権型社会においては、国の役割は国家としての存立にかかわる分野に重点化し、内政に関することは地方公共団体が担うことが基本ということでございます。
 このような分権型社会における地方議会のあり方については、基本的には議会で御議論いただくことと思いますけども、分権型社会の実現により、地域住民の代表機関として地方公共団体の最終意思の決定にあずかる地位にある議会と首長の責任は格段に重くなり、議会としての政策提言機能がより強く求められてくるものと思います。
 次に、地方議会における与党と野党についてでございますが、御指摘のとおり、内閣総理大臣が国会議員の中から国会の議決で指名されるのに対し、地方公共団体の長は住民の直接選挙により選ばれておりますので、地方議会において与党、野党という考え方はないというふうに言われております。
 以上です。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 第二回紀州よさこい祭りについてお答えを申し上げます。
 本年七月の二十三、二十四日の二日間で、県内外から四十七チーム、約二千百人の参加、約十二万人という人出を記録し、昨年よりさらにスケールアップしたお祭りとなったものと思っております。
 このお祭りを見せていただきまして特に強く印象に残ったことは、小さな子供たちから年配の方々に至るまで、世代を超えて生き生きと踊る姿と観客の一体感でございました。また、五百人を超えるボランティアの方々も会場各所で活躍をされ、中には親子でボランティアとして参加されている御家族もおられ、この祭りのすそ野の広がりを見せられた思いがいたしました。
 さらに、リデュース、リユース、リサイクルを考えたよさこい三R作戦ということで、ごみを減らす、使い捨てをやめるということを会場内で実践をしておられました。県民の方々にも循環型社会を考えていただくよい機会にもなったと思っております。
 だれもが主役として参加できるこの紀州よさこい祭りが和歌山にしっかり根づきまして、今後ますます発展することを願うものであり、今後ともこういった自主的な取り組みに対しまして、県といたしましてもさまざまな側面から応援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 建設業につきましては地域の経済や雇用を支える基幹産業の一つでございますが、議員御指摘のとおり、建設投資額の大幅な減少に伴い、供給過剰な構造となっております。今後とも公共投資の抑制が予想される中、経営環境はさらに厳しい状況になるものと思われます。
 このため、意欲のある建設業者の経営多角化及び新分野進出を支援する目的で、近畿の中では初めてこの一月から各振興局建設部に建設業相談窓口を設置し、進出相談、情報の提供等を行うとともに、講演会などを開催し、新分野進出の機運づくりに努めております。また、十七年度新規事業としまして、アドバイザー派遣事業や新分野進出の戦略プランを策定するための費用を補助する事業を実施し、現在、環境、福祉、農業分野などで相談を受けております。
 今後とも、地域の雇用を支える建設業の健全な育成と新分野進出に取り組む意欲ある建設業者の支援を行ってまいる所存でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ローカルマニフェストの対応について、雇用に係る御質問にお答えをいたします。
 先般発表いたしました「雇用創出プログラム~わかやまジョブ・クリエイション~」の初年度の速報値でありますが、目標値を上回る五千八百八十人の成果数値を得たところであります。四年間での一万五千人の目標達成については、順調な滑り出しと判断をしているところでありますが、県経済の状況は一進一退状態が続いており、今後の雇用動向は厳しいものがあろうと認識をしてございます。
 本プログラムは、県の施策効果により新たに創出された人数を実数及び統計的手法により加算したものでありますが、何よりも、さまざまな施策を駆使して雇用機会の新規増大を図るという観点から実施をしているものであります。
 なお、平成十六年度実績の数値は、雇用のセーフティーネットとしての緊急雇用対策の実績を含んでいるため短期雇用にやや偏重している面がありますが、今後はより安定的な雇用が創出されるよう、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、どうもありがとうございました。二つの御答弁に対して要望をさしていただきたいと思います。
 まず県土整備部長ですが、「建設投資額の大幅な減少」という言葉で言われましたけども、その額は、私がここでお話しいたしましたように約三百八十億円で、四年間で三一・一%のダウンということは、ほとんどの県民、特に建設関係の方も余りこの数字を御存じではないのではないかと思います。
 また、商工労働部長は一年間で五千八百八十名の雇用を生み出したということを言われました。正直なところ、これ、短期にしろ、常用にしろ、なかなか実態はつかめていないのが実際であるようです。そして私は、この短期雇用はもちろんですが、常用雇用もアルバイトやパートが大変多いのではないかというふうに思います。雇用ということにつきまして、この辺、いわゆる県の皆さんのとらえ方と県民の希望するところに何か大きなギャップがあるような気がしてしようがありません。
 先ほど住友金属さんの例も挙げさしていただきましたが、やっぱり四十人に対して千人以上が受けに来るということは、それだけ安定雇用を求めているにもかかわらず、数字として上がっている数字は大変多いんですが、実際にはアルバイトだとかパートが中心ではないかと思いますので。
 今後この二点、今の県土整備部長と商工労働部長が言われましたことも含めてですが、各部局の数字とかそのパーセンテージ、割合、内容をはっきりと県と県民の皆さんが情報を共有して、これから、余り望ましいことじゃないんですが、急激な人口減少社会に私は入ってくると思いますんで、健全な意味での危機意識を共有してもらいたいなというのが私の正直な感想であります。そしてまた、先ほども申し上げましたように、県民の持てる力、内発力を発揮してもらえるように県も努力するべきではないかと、そのように思います。
 最後に、木村知事。和歌山県議会において与党も野党もないという木村知事の御答弁でございましたが、大変高い御見識であると私は評価をいたします。
 地方分権時代の地方議会の責任は、今まで以上に重くなってくることは間違いありません。それだけに、吉井議長も言われましたように、住民と身近な立場にある我々地方議会、地方議員が、より一層住民の視点で地域に合った新しいルールづくり──例えば議員提案条例などですが──していかなければならない時代にもう入ってきたんだと私は思います。そこには、私は国政でいう与党とか野党とかいう考え方はなじまないと思います。
 きょうの知事の御発言で、私もすっきりといたしました。ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会

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