平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入ります。
 最近は秋を感じさせない夏の余波が今続いていますが、果樹王国和歌山では昨日から極わせミカンの出荷が始まり、私にとっては秋を感じさせてくれているなというふうに思っております。
 早速、農業政策について質問させていただきます。
 和歌山県果樹農業振興計画とアクションプログラムについてであります。
 政府の食料・農業・農村基本計画による和歌山県の農業・農村振興計画の策定を先日の六月議会に求め、策定の方向が県当局から示されました。とりわけ和歌山県は、果樹王国として果樹振興についての具体的政策と指針が求められている。県は、果樹農業振興計画を平成十三年四月に、平成二十二年十月、十年後の目標設定での計画が策定され、平成十五年、県果樹農業振興アクションプログラムが策定されております。アクションプログラム、つまり実施計画は一定の成果を上げていると思うが、どう中間総括をしているのでしょうか。
 また、私は、和歌山県の一次産業の基軸となる果樹農業の振興のための政策・指針が生産農家、JA、加工業、流通業、行政の指針になるように絶えず点検し、総括し、目標の達成のためのアクション計画をしていく振興計画でなくてはならないと考えております。
 そこで、そういう立場から、私は次の点で問題提起したいと思います。
 一つは、県農業・農村振興計画を一つとして、果樹農業振興の計画は、五年単位での振興計画とアクションプログラムとその裏づけとしての財源計画という三点セットを一本にした振興計画を策定することを提案したい。
 農業は単年度ですべて成果をはかれるものではない。土から、それから種苗から果実へと大変息の長い、少なくとも五年単位の計画の中での成果判定であることから、この三点セットの政策とその実施計画は重要であります。これは、そのことによって農業経営者が自信と展望を持てる、農業にかかわる加工、販売等の関係者もその目標に向かっていける、そんなものにしなくてはいけないと私は考えます。
 第二点は、振興計画、アクションプログラムの中身の構成は、今まで一つのセクション、つまり果樹栽培と一定の消費という範囲内での計画に限定されております。私は、果樹農業振興の立場を踏まえるなら、農業基盤整備、つまり生産栽培や土壌、園地、かん水、園内道路、そして担い手、農業生産コスト、鳥獣被害を含む環境問題、加工、流通、販売、消費を一連化したものを一本にして、五年後の目標値の設定などを具体的に示したものにすることが大切であると考えます。
 これは、農林水産部が一体となって策定されるべきものであります。一つのセクションだけでつくるのでなくて、農林水産部が一丸となって、今私が提案した問題について策定する必要があるのではないか。私は一通りそれも見まして、今までの計画が資料収集、つまり現状分析と抽象的方針でありまして、それからの転換が必要であります。したがって、果樹農業五年マニフェストにするべきであると考えます。これは、五年後に品目別に一体どうあるべきかということについては、生産から販売流通、それから消費までを含めて一貫した目標値を設定して一丸となって、それに、とりわけ生産者やJA、市町村、加工業、流通販売の専門家の集大成で考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。それが第一点であります。
 二つ目は、県普及指導員の現状と農業者への指導体制についてであります。
 これは、全国的にも今、国の補助金、交付金カットもあって、全国的にも普及指導員が削減されております。二〇〇〇年を基準にして二〇〇五年を比較してみますと、全国的にも約一千四百名が削減されております。当和歌山県においても、二〇〇〇年の百二十九名から二〇〇五年は八十四名になり、三十五名削減されております。予算的にも十二億七千二百万円が七億四百万円になっている実態であります。農業立県の和歌山での農業者への技術指導がこれによって低下しないのか、どう対応していくのか、考え方をお聞きしたいと思います。
 また、そういう現状の中での技術指導を低下させないために、私は一つの案として県普及指導員とJA指導員、そして農業士のOB──農業士のOBといいますと六十五歳以上ですから、元気な、本当に現場で一生懸命やっておられる年齢ですから、そういう農業士として資格を取ってもう卒業してOBの方、こういった人たちを組織化して、県の下請的でなく、農業者への指導に組織的に責任を負う、つまり県普及指導員とJAの指導員と、そして農業士OBとで一つの組織化をして農業者への責任を負っていくという体制をとるならば、その技術低下をさせない裏づけになっていくんではないか。少なくとも振興局単位で組織するそういう農業士OBには、活動費を保証し、専門的に参画してもらうシステムにしてはどうかということを御提案したいと思いますが、以上の質問に対して農林水産部長の御見解を求めます。
 続きまして、二番目の地域医療格差の是正についてであります。
 私は、地域医療はどの地域においても公平であるシステムが望ましいと考えますが、しかし、和歌山県の地域医療の格差が余りにもひどい現実を見たとき、県政の責任は大変重いと考えます。
 和歌山県の地域医療の課題は、第一点は、医師不足をどう解消していくのか、とりわけ地域間格差をどう埋めていくのか。和歌山市を除く他の医療圏は、十万人人口当たり医師は和歌山市の医療圏の二分の一という状況であります。第二点は、とりわけ小児科医師の慢性的不足です。日本は少子高齢化社会の中で、日本の政策の重要な柱である子育て政策であります。ところが、母親が安心して子供を産める環境の一番は小児医療環境ですが、現実はその状況にありません。そこで、小児科医師の確保をどうするのか、小児救急医療体制をどう整備するのかが大きな課題であります。
 そこで、現状を少し見ますと、各地域医療圏の実情は、もう皆さんも御存じのように──これは省略させていただきまして、例えば私の所管する田辺医療圏の中心である紀南病院の小児救急医療の実情を見ますと、小児科の時間外救急を含めての小児の患者数は、年間五千九百人であります。入院が二百五十人でありますから、六千百五十人の小児の入院と時間外救急の診療に当たっているという実態であります。そして、月別に見ますと、最高時は六百六十人、平均してなべて五百七十人という実態であります。月にそれだけの小児の、しかも初診というか初期の診断ではありませんよ、時間外救急だけでそれだけ月にあるという実態であります。それに加えて、NICUは二十四時間体制で行っております。
 こういう実情を見たときに、実際にこれが今六名の小児科医で対応しているという実態であります。医師の勤務実態は、日勤、夜勤、深夜をこなし、ほとんど一日二十四時間その一人の人がかかっているという実態を見たとき、現在の小児科医師は六名の体制で、本来なら交代制をしながら日勤の人、夜勤の人、深夜勤の人ということで当番でやっていくんですが、それができない状態にあるのが実態であります。こういう医師の過重な労働で、このままでは医師がもたない状況が現実であります。
 こういった状況の中で、和歌山県は小児科医師が不足している。では、どうすればいいのか。厚生労働省や日本小児科学会は、医療圏内の小児科医院の輪番、当番制でもって小児救急医療体制をどうするのか、複数の医療圏ごとに小児救急患者を受け入れるかを提起されています。しかし、それをやるところは全国でも少数の県で、なかなか体制がとれないのが実情のようであります。田辺医療圏の中核である紀南病院でも、地域の小児科開業医等を検討しても、医師の高齢化もあってなかなか実現できる状況にないようであります。
 基本的には、各医療圏に小児科医を増員することが前提ですが、私は、地域医療圏ごとの病院の機能の分担と集中を県の医療政策で方針を打ち出すべき時期に来ていると考えます。とりわけ、小児科の救急医療体制を、現在の七つの医療圏区域にこだわらず、中核となるべき公的病院を小児救急医療拠点病院として整備し、位置づけることを早急に検討する必要があります。
 現状から見ても、田辺医療圏では紀南病院は小児科医六名、国立南和歌山医療センターは現在二名がことし一名減少して一名になる。御坊エリアは二病院は小児科医四名、新宮エリアは一病院二名という状況で、初期診断はできても、二次、三次への救急体制は到底できない状況にあります。この三つの医療圏域に十分な小児救急医療体制を県として対応できるのでしょうか。少なくとも喫緊の課題として、紀南病院に医師を増員して紀南の小児救急医療拠点病院として整備することを求めますが、どうでしょうか。
 また、近い将来的には、紀中、紀南の拠点である田辺医療圏の紀南綜合病院と和歌山医大病院とが協力して、県の医療政策の重点政策として県立の小児救急医療センターを設置することを求めますが、いかがでしょうか。
 以上の点について、地域医療に責任を負う福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、医科大学学長には、地域医療に対する貢献という観点から、まず第一には医師不足の解消に向けての努力はどうなされているのか、第二は小児科医不足と小児救急医療体制についての御見解をお尋ねします。
 次に、三番目の介護保険法の改正による課題であります。
 予防重視型システムへの転換ということが打ち出されました。これは改正法の中心でありますが、「要支援」と「要介護一」の人たちの見直しを目的としています。その対象者は介護保険給付者の四五から五〇%を占めている中での介護保険事業費の削減を目指すための一つの施策であります。この人たちを地域支援事業と新予防給付と介護給付に分類し、見直しをするようですが、どこが、だれによって、どのように判別するのでしょうか。公平な判断のシステムがつくられているのでしょうか。第一にお尋ねします。
 二つ目は、地域支援事業及び新予防給付は介護保険事業から切り離されるのでしょうが、その事業費はどうなるのでしょうか。この新たな二つの事業はどこで、だれが、どんな資格を持って対応し、進めていくのでしょうか。県としての考え方や具体的方針は確立しているのでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
 次に、地域密着型サービスと県の考え方でありますが、介護保険法改正の中で、この地域密着型サービスの制度が最も私は評価すべきところだと思います。今までは、在宅サービスと言いながら施設入所中心の制度で、そういう入所施設には支援制度も確立していました。しかし、全国的に自主的な運動は、介護を必要とする高齢者の人格、人権、高齢者の希望に沿い、自分の住みなれた地域で生活できて、それでいて介護サービスを利用しながら生活していける、そういう環境づくりが全国津々浦々で運動が展開されてきました。
 そういう中で、通所サービス、宅老所が土地も建物も設備もすべて支援でなく自主的に進められて、その成果が評価されたことと思います。また、施設入所すると介護度が急激に重度になるが、通所、宅老事業所などは、強い認知症にしても介護度が進むのでなく、現状維持できたり、明るくて元気な状況をつくり出したことが大いに評価されたと思います。とりわけ、介護を受ける高齢者だけでなく、高齢者とともに地域の幼児や知的障害者の集う介護通所サービス施設も、その効果が評価されたと思います。
 高齢者にとって、家族にとって身近な地域で介護サービスを受けるシステムができたことは一定評価しつつも、現在、居宅サービス等事業者は、県内では千四百六十六カ所あります。地域密着型サービスは、市町村が事業者の指定及び指導監督を行うとしていますが、県として主体的に新たなサービスが真に利用者のためになる、利用者のためのサービス事業者にしていくために、どのような認定基準で進めるのでしょうか。県として、在宅重視の立場からいくなら地域密着型サービスへの支援をどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、介護サービスの確保と県行政の指導体制についてであります。
 介護サービスの公表、事業者規制の見直し、ケアマネジメントの適正化の三点が主な今回改正の重点ですが、県には居宅サービス等事業所が千四百六十六カ所もあり、これらの三点についてどう点検し、指導し、監督していくのですか。
 以上の三点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 続いて、四点目の土砂災害防止法と県の取り組みについてです。
 毎年もう全国的に土砂災害による生命と財産が失われております。被害者の場所は、十四号台風で見ても、当然もう避難すべき場所であるにもかかわらず、被害が起こっております。
 そこで第一点は、土砂災害防止法の取り組みについてです。
 県内の土石流危険渓流は五千七百四十五カ所、急傾斜地の崩壊危険箇所が一万二千二百四十七カ所、地すべり危険箇所が四百九十五カ所、合計一万八千四百八十七カ所に及びます。これらに対しまして具体的に法に基づいてどう対処なさるのか、特にイエローゾーン、レッドゾーンへの対策はどうするのかであります。
 第二点に、危険であると思われる場所の宅地造成や開発に対してどう規制を加えていくのか。
 以上、二点について県土整備部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、こういった状況の中で私は私なりの考え方を述べ、問題提起をしたいと思います。
 土石流危険箇所、また急傾斜地崩壊箇所のうちで、民家のあるランク一、ランク二──ランク一は四戸以上、ランク二が一から四戸というふうに区分されているそうですが──こういったランク一、ランク二への対策で、とりわけ過疎地域で高齢化の進んでいる地域での危険箇所への対応についての提案であります。
 例えば、私の田辺市では危険箇所は二千九百七十三カ所あり、県下でのワーストワンを占めています。その中で、ランク一、ランク二の民家の所在するところが二千四百十四カ所で、全体の八一%も占めています。龍神、大塔、中辺路、本宮を見てきて、この危険箇所の対策工事を起こすとしたら、膨大な時間と費用が必要になることを痛感しました。しかし、人の生命は守らなくてはいけません。
 そこで、私なりに一つの案ですが、過疎と高齢の進む危険度ランク一、ランク二に対し、福祉制度と災害予防と公営住宅を併合したものを考えてはどうかという提案であります。
 福祉制度では、例えば既に田辺市の大塔、龍神、本宮では高齢生活福祉センターつまり生活支援ハウスをつくり、地域高齢者が七から九世帯がそこに集い、生活しています。私は、危険箇所に住む人たちに、通所施設であり、宿泊もできる、また長期の生活支援ハウスを含む集合住宅を考えてはどうかという提案であります。災害を防ぎ、高齢者の生きがい、介護サービスの複合施設としての役割を検討すべきと考えます。福祉は福祉、建設は建設、災害は災害ということを取り払う時代であります。
 例えば本宮町では、国の補助金をもらわず、過疎債の起債で生活支援ハウスを建設し、その地域の高齢者のニーズに合った福祉施設をつくっています。その中には、危険区域の範囲に入っている高齢者も入所しているのが実情であります。私は、この実例からいくなら、三位一体改革、地方行政のいわゆる税源移譲の問題の中で地方の特殊性、独自性を目指すなら、県の支援と市町村の企画でそういった災害防止と福祉と公営住宅という地域に見合った複合施設の考え方を検討することを要望したいと思います。一度、県当局におかれては、セクションを外して、人の生命を守る立場から、とりわけ過疎、高齢化した地域での災害対策はどうあるべきかを検討くださることを提言したいと思います。
 次に、最後になりますが、アスベスト対策について、新島議員から質問もあり、当局の答弁も私の質問趣旨の答弁でしたので、私からは要望にかえさしていただきます。
 第一点は、解体、撤去作業による大気環境への飛散防止措置を作業業者に徹底するために汗をかいてください。これは、解体を決めて作業に入ろうとしても、周辺住民はその作業を信頼できていない状況にあります。安全で安心を説明できるその工法を具体的に地域住民に示してほしいと考えております。
 第二点は、大気汚染防止法での延べ床面積五百平方メートル以上かつ吹きつけ石綿使用面積五十平方メートル以上となっているのを、国も規制を撤廃する方向を示していますが、県の主体で徹底してください。先ほど知事の答弁で、既に条例化をして県民の健康、安全を守っていくという答弁がありましたので、これについてはよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業政策の二点についてお答えをいたします。
 まず、県果樹農業振興計画とアクションプログラムについてでございますが、これまで県といたしましては、国の基本方針に即した県果樹農業振興計画に基づき、高品質果実の生産振興やブランドの育成など、果樹農業の振興に取り組んでまいったところでございます。さらに、平成十四年度には、県を代表するミカン、梅、カキ、桃の四品目につきまして県独自の果樹農業振興アクションプログラムを作成いたしまして、農協や農業者、また加工業者等とともに産地体制の整備に努めてございます。その結果、流通面におきましては、ミカン、カキなどを中心としたトレーサビリティー体制の整備、また光センサー選果機の導入が図られるとともに、生産面におきましては、オリジナルブランド「味一ゆら」の産地育成やマルチ栽培の拡大に加えまして、ミカン、梅の改植による園地の若返り対策、桃の防風ネットなど防風施設の整備に鋭意取り組んでおり、これらおおむね順調に進捗していると考えてございます。
 また、議員から、総合的な果樹農業五年マニフェストを策定すべきとの御提案をいただいたところでございます。議員御高承のとおり、産地におきましては、担い手の不足や高齢化、耕作放棄地の発生など多くの課題を抱えてございまして、これらを一体的に勘案した取り組みや対策が求められているところでもございます。
 今後、中長期的な視点を踏まえ、本県農業の指針に反映させ、その中に織り込んでいくとともに、関係団体等との連携をより密にしながら果樹農業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、普及指導員の現状と農業者への技術指導体制についてでございますが、行財政改革や農業改良普及制度の見直しなどによりまして全国的に普及指導員が減少いたしまして、農業者の間に不安の声があることも承知をしているところでございます。
 本県におきましては、各振興局と農林水産総合技術センターに、都合八十四名の普及指導員を地域の実態に即して配置をしてございます。生産現場における積極的な普及活動を通じまして、高度な技術の普及や担い手の育成、そして農村地域の振興などの課題解決に向けて取り組んでございます。
 また、多様化する農業経営に対応するため、地域農業の現状や専門技術に精通した農業士の方々に普及指導協力委員をお願いをいたしまして、研修会の講師を務めていただくなど、それぞれの各地域のリーダーとして活動をいただき、効果的な技術指導に努めているところでございます。
 今後とも、議員御提案の趣旨を踏まえまして、農業者の高度なニーズに対応するため、農協の営農指導員とより一層の連携を図るとともに、農業士など関係者の協力を得ながら技術指導体制の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 地域医療格差の是正についてのお尋ねの中で、まず拠点病院化による医療の充実についてお答えを申し上げます。
 小児科医の不足問題は全国的な課題でもございまして、本県においても大きな課題であると認識してございます。小児救急医療につきましては県としても重点的に取り組んでございまして、二次医療圏単位で小児科を有する病院が休日、夜間の二次救急患者を受け入れる体制の整備を推進するとともに、内科医等に対して小児科の専門知識の研修を実施し、初期救急医療体制の確保を図っているところでございます。
 また、この十月から小児患者の保護者向けの小児救急電話相談事業を開始することにより、保護者の不安を軽減し、患者の症状に応じた適切な医療を提供してまいりたいと考えております。
 今後、小児救急医療拠点病院の整備につきましては、地域保健医療計画の見直しに当たり、紀南地域を含めた将来の医師確保とともに、小児医療対策に必要とされる医療機能と数値目標などを盛り込んでいく予定としてございます。
 なお、議員御提案の小児救急医療センターの設置につきましては、国の動向も見きわめながら、小児科医を地域の拠点病院に集中させるという考え方ともあわせ、今後、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険法の改正による課題についての中で、まず予防重視型システムについてでございます。
 介護保険法の改正による予防重視型システムでございますが、介護保険制度が施行され五年が経過し、さまざまな課題が生じてございます。
 今回の介護保険法の改正では、予防重視型システムへの転換として、要支援、要介護一のいわゆる軽度者に対する新予防給付、また、そのままでは軽度者となるおそれのある高齢者に対する地域支援事業が創設されます。新予防給付の対象者の選定は、現行の要介護認定に調査項目を追加し、市町村が設置する介護認定審査会において審査・判定することになります。また、地域支援事業の対象者は、市町村が健診結果等に基づき選定をいたします。
 次に、新予防給付及び地域支援事業はいずれも介護保険財源で賄われ、市町村を責任主体とする地域包括支援センターの保健師が一貫したマネジメントを行います。また、介護予防サービスの提供につきましては、新予防給付は指定事業者が、地域支援事業は市町村がそれぞれ行います。県としましては、予防重視型システムへの制度の転換が有効に機能するよう、引き続き市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、地域密着型サービスと県の考え方についてでございますが、要介護者等の住みなれた自宅や地域での生活を二十四時間体制で支えるという観点から介護サービス体系の見直しが行われ、平成十八年四月から、新たに小規模多機能型居宅介護など六種類の地域密着型サービスが創設されます。
 地域密着型サービスは、保険者たる市町村がみずからサービス量やその質を管理することとなってございまして、事業者の指定や指導等は市町村長が行います。また、今年度から国において地域介護・福祉空間整備等交付金が創設され、地域密着型サービスの拠点などの面的な配置構想をもとに市町村整備計画を策定して整備するものが交付金の対象となってございます。
 現在、国において地域密着型サービスの仕組みや基準、報酬などが検討されているところでございまして、県としましては、その審議内容等について的確な把握に努めますとともに、事業所の指定や指導等に際して市町村や地域間に格差が生じることのないよう適切に助言してまいりたいと考えております。
 次に、介護サービスの質の確保と県行政の指導体制についてでございますが、議員御指摘のとおり、本年四月一日現在で県内に千四百六十六事業所が指定を受けており、法施行時と比較して約一・五倍にもなってございます。
 このような状況の中、毎年すべてのサービス事業所を対象とした集団指導を実施するとともに、昨年度から介護給付適正化照合システムを活用した計画的、効率的な実施指導などを積極的に実施をしてきたところでございますが、議員御指摘のとおり、今回の法改正によって介護サービスの質の確保が図られているところでございまして、その改正内容の重点は三点ございます。
 第一点目は、すべての介護サービス事業者に公表を義務づける介護サービス情報の公表制度が創設されます。第二点目に、サービス事業所への更新制の導入や不正事業者に対する勧告、命令、公表等の新たな権限の追加など、事業者規制の見直しがなされます。また、第三点目のケアマネジメントの適正化につきましては、市町村を責任主体とする地域包括支援センターが公正・中立の立場から軽度者等へのケアプランの作成を行うとともに、介護支援専門員についても、更新制の導入や各種研修の受講が義務づけられることになります。
 県としましては、介護サービス情報の公表における調査員の養成、実効ある事業者指導、介護支援専門員等への研修の実施などにより、介護サービスの質の向上、確保になお一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 土砂災害の防止についてお答えをいたします。
 土砂災害警戒区域いわゆるイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域いわゆるレッドゾーンは、平成十三年に施行された土砂災害防止法に基づき指定されるものです。イエローゾーンについては、市町村が警戒避難体制を整備するための情報、避難勧告を発令するための適切な情報の提供を行います。これに加え、レッドゾーンでは、特定の開発行為に対する規制、土砂災害時に著しい損壊が生じる建築物に対する移転等の勧告を行い、移転融資制度等の支援を図ります。現在、イエローゾーン及びレッドゾーンの指定に向け、市町村と密接な連携を図り、調査をしているところでございます。
 民間の開発行為や宅地造成指導につきましては、現在は、都市計画法及び宅地造成等規制法の技術基準に適合するよう指導を行っております。
 宅地造成工事規制区域指定につきましては、現在、八市町村において約二万五千ヘクタールの区域を指定しておりますが、今後も関係市町村と連携を図りながら適切な区域指定を行ってまいります。また、レッドゾーンの指定を行った際には土砂災害防止法を活用し、適切な対応を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 地域医療格差の是正について、特に地域医療に対する貢献についてお答えさせていただきます。
 県立医科大学といたしましては、これまで県内唯一の医育機関として質の高い医師育成を行ってきたところでありまして、県内公的病院で勤務する医師の約八割以上が本学出身者となっております。
 将来の地域医療を担う医師確保のためには、本大学附属病院での研修医の確保が不可欠になります。しかしながら、研修医が研修先をより自由に選択できる新卒業研修制度が始まったことにより、全国的に地方における医学部卒業生の歩どまり率が低下している状況にあります。
 このような中で、本大学といたしましては、研修環境の充実、特色と魅力のあるカリキュラムの提供などを通じ、本学卒業生はもちろんのこと、他大学卒業生をも視野に入れた研修医の確保に努めてきております。本学は来春独立行政法人となりますが、法人化後も県と連携し、県の進める地域医療施策に協力してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 再質問は一点ですが、あと要望については、この再質問の答弁をもらって一括して要望したいと思いますんで、まず一点質問をしたいと思います。
 地域医療格差についてでありますが、答弁では、地域保健医療計画の見直しに当たり、紀南地域を含めた将来の医師確保をも含めて小児医療対策に必要とされる医療機能と数値目標などを盛り込んでいく予定となっておりますと述べられました。具体的にどこに、どのように、いつまでにやるのかということが全く示されておりません。
 私は、第一点は、小児科医師の絶対数が少ない中で、どう第二次、第三次小児救急医療に対応していくのかということを質問させていただいたわけです。県の答弁では、例えば御坊医療圏は四名の小児科医師で、第二、第三次の小児科医療体制はできるのでしょうか。田辺医療圏は、今度は、紀南綜合病院は六名で何とか小児救急医療に対応していますが、現実は小児科医師の過重労働で限界に来ており、この体制もいつ崩れるかわからない状況にあります。このままいくと、御坊・田辺医療圏とも、小児救急医療は共倒れ現象を起こしかねない状況にあることを御存じなのでしょうか。それに対して具体的にどう対応していくのかということが喫緊の課題であります。いかがでしょうか。
 県はこの実態を重く見て、和歌山医大の協力を得て、早期に田辺医療圏の紀南綜合病院を核にした小児救急拠点病院を整備することを私は具体的に求めます。再度、福祉保健部長の答弁を求めます。
 もう一つは、安心して子供を産める、子育てができる環境づくりの中で、県は、和歌山県あんしん子育て救急整備運営費補助金交付要綱を定めています。この要綱に基づいて、例えば紀南病院への交付金は七百五十四万二千円です。先ほど言いました年間の救急または入院数は五千八百七十七人。初期の診断は除いています。いわゆるその部分、救急、入院数だけの五千八百七十七人だけです。初期を除いてであっても、小児一人当たり年間千二百円程度の支援であります。これがあんしん子育て救急支援と言えるのでしょうか。もっと改善する余地がないのか。これも福祉保健部長にお尋ねします。
 以上、一点だけ質問させていただきます。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 再質問にお答えを申し上げます。
 小児科医不足による医療圏の現状ということを認識しているつもりでございますけれども、小児救急医療対策につきましては、議員御指摘のとおり、まず当然でございますけれども、小児科医不足を解消する対策を講じること、そして現行の体制の中で医療機関の役割の分担、見直しを図ること、こういう二つが考えられると考えております。県としましても、各公的病院の自助努力にも期待しながら、不足している小児科医などの医師を確保するということのための方策を積極的にこれから講じてまいりたいと考えてございます。
 それと、今後とも県立医科大学とも強く連携を図りながら、議員御指摘の複数の二次医療圏での拠点病院の整備も含めまして、県全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
 それから、あんしん子育て救急整備事業でございますけれども、これは、国の救急医療対策事業の補助基準に基づいて算定してございまして、国、県、市町村三分の一ずつ負担・支出しているものでございまして、今後は、基準単価の引き上げなどについて国に対して強く要望してまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、小児救急医療体制、国も危機感を持って検討中でございます。県も十分、医科大学あるいは医師会等関係者とも、医療圏とも協議、御相談しながら緊急に対応してまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 まず、医療の件で。積極的に私は、現場を見て、そして小児科医とも懇談を何回か重ねながら来た結果の中で、これはもう今議会で言うとかんと、実際、田辺・御坊医療圏における小児科救急体制が非常に崩れてしまうという危機感を感じて、私、質問させていただきました。
 もちろん、和歌山医科大学学長を含めて御協力を得なければならないんですが、そうすることによって、やっぱり一点突破で一点拠点病院として集中させないと、今のこの状況で小児科医の不足をすぐに解消することにはならないんですから、やっぱり過渡期として一点に集中して拠点病院をつくって、御坊・田辺、そして串本・新宮の医療圏の緊急の小児の患者に対応していける状況をつくっていくことが今喫緊の課題だということで、きょうは述べさせてもらいました。よろしくお願いしたいと思います。
 また、医科大学長においては、答弁いただきました、県の地域医療政策が具体的に決まらないと和医大は積極的に手を打てない状況にあることについては理解できますが、県下の地域医療に責任を負う専門家として積極的な政策提言と行動を期待したいと思います。
 また、独立法人化に伴い和歌山医大としての地域医療政策を示し、地域の医療機関、公営・民営を含めて、ともに地域医療に貢献するリーダーシップをとっていただくようお願いしたいと思います。とりわけ独立法人になったからといって、自治体病院は、地域医療を守るためには、少なくとも不採算部門を抱えなければいけない部門もあります。そういう意味では、県医療政策と一体となって進められることを要望したいと思います。
 次に、和歌山県の果樹農業振興計画とアクションプログラムについてでありますが、もう長く要望したいと思いますが、結論的に言えば、農業生産者、加工業者、そしてもちろんJAも含めてですけど、そしてそれを販売する民間業者を含めて果樹について確信と展望を持てるものにしていかないと、梅を例にとって挙げれば、ことしは少し値段が下がった、これは大変だなということで、もう大変なだけが前面に出て、じゃ我々がそれを克服して今後どう手を打っていくのかとか、この目標に向かって改善していこうというアクションが具体的に出てこない。
 そのアクションプログラムというのは、ただ単に机上でつくるものではなくて、そのプランを策定するときにはそういう現場の関係するすべての民間の方も参画して、自分たちで五年のマニフェストをつくって計画をつくるなら、いかにこういう不況の中で左右されようとも、天候に左右されようとも、それを克服していくというエネルギーにかえていく。その目標がないから、どうしてもつい人のせいにしたり、いろんなせいにしてしまうということを克服できない。だから私は、そういう今までのプラン──アクションプログラム計画、実施計画は、少なくとも県の財源的裏づけをしながらも農業者や関係するすべての民間業者も含めて確信を持てるようにしていただきたい、そう思うからこそ提案させていただきました。だから、十三年に振興計画をつくり、そして十五年ですか、十四年か、おくれてアクションプログラムをつくるというようなことは、もうやめてほしい。振興計画と同時にアクションプログラムをつくり、その財源的保証をするという計画をしてほしい。国だって、食料・農業・農村基本法をつくって、国で相当の論議の中で全国の果樹農業振興計画を同時に策定していますよ。
 そういう意味では、そういうおくれの時差があっては実際の力にならないということを私、提案さしていただいたわけですから、その点をお願いしたいと思います。
 次に介護保険ですが、実際にこれだけのことを来年の三月までに具体的に各市町村や事業者に指導徹底するということは、タイムスケジュール上は非常に難しいなと私自身は考えております。そういう意味でも、少しおくれるにしても、さっき私が質問し、答弁もいただいたことについて、確実な、的確な対応をしていただきたいと思います。
 ただ、千四百六十六だったかな、事業所がある中で、今後ほとんどすべてを市町村にゆだねていく形を国はとられましたね、介護保険法の改正に伴って。だけど、その指導監督は県がしなきゃならないと。ほんなら、僕は実際、介護保険の担当者ともいろいろ説明聞いたり勉強さしていただいておりますが、千四百六十六カ所を市町村も指導しながら、事業所も指導しながら、一体この職員体制であんたらできるんかということを冗談で言いました。
 そういう意味で、もう少し重点的人的配置をしないと、介護保険法が改正されて、もう国が──どんどんおくれている。それで、来年四月一日から施行されて実施していかなきゃならない限られた時間の中で、どうこれをしていくかということについては、重点的にやっぱり適正な配置を考えないと、この体制が崩れてしまうんではないかということを感じましたので、その点は十分県当局の総務部の方でも検討いただけたらありがたいと、こう思っております。
 それから、土石流について。知事にちょっと私の提案で意見を聞こうかなと思ったんですけど、もうそれはいいとして、和歌山県は、実際にそれだけの数の、特にそういう土石流渓流の地域や急傾斜、いろいろと地すべりがある中で、これをすべて、景気のええときだったら、ほんまは地方の土木事業を反映して公共事業をどんどん活性化してどんどん金をつぎ込んでやれば、今まではそれが非常に景気活性化、地域活性化になっていたわけですけど、そういう実態にない時代の中に、今そういった非常に危険な一万を超える箇所に対してどうするかということになると、もちろん工事はしていかないかんけども、優先順位でしていかないかんけども、その地域に対して、特に過疎、高齢化の人たちに対して、そういう福祉、災害、公営住宅という部分での一元化したサービス体制を考えていく時期に来ているんではないかと。
 しかも、これからは三位一体──地方財源が移譲されたときに、国のひもつきの福祉サイド、国のひもつきの建設、国のひもつきの災害防止ということではなくて、地域の実情に合った地方の財源の使い方に変わってくると思うんで、そういう発想の転換をしていきながら、地域の災害防止の、特に人の生命を守るという立場からの新たな発想の転換の企画をお願いしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十三分休憩
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