平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十七年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十七年九月二十二日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百四号から議案第二百三十二号まで、並びに報第十四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二百四号から議案第二百三十二号まで、並びに報第十四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
     医科大学学長     南   條   輝 志 男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第一、議案第二百四号から議案第二百三十二号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきました。質問を始めたいと思います。
 今議会トップバッターとして質問に立たせていただきます。不十分な点もあろうかと思いますが、温かい目で見ていただきまして、また、終わりましたら御批判や御意見をいただければありがたいな、そのように思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 先月、私は家内と二人で久しぶりに映画を見に行ってきました。福井晴敏さん原作の「亡国のイージス」という映画であります。本を読んだ方もおられると思いますし、映画を見た方もいらっしゃると思いますが、この映画は海上自衛隊の護衛艦を舞台としたもので、日本の防衛に関する内容が含まれていて、国家というものを意識させられる映画でありました。
 主人公の自衛官は、銃で撃たれても撃ち返さず、殴ることだけの専守防衛に徹して、絶対にそれを越えないで戦おうとするのですが、どうしても越えて戦わなければならなくなるのです。内容そのものは、思想的には右にも左にも傾いてはいませんし、普遍的な日本人像を描いています。戦争は、放棄しても、反対しても、なくなっていないのが現実であります。
 この映画は、現代社会に対して問題提起はしているものの、答えを出すものではありませんでしたが、大変骨太の仕上がりを見せています。映画を見た多くの人が私たちの国・日本を自分自身に問いかけ、考えさせる映画であるように感じました。
 そして、八月の厳しい暑さの中で総選挙が行われました。日本の方向を占う選挙であったと考えます。結果は皆さん御存じのとおりですが、まず最初の質問として、今回の衆議院選挙について、和歌山県のリーダーとして国政に望むことなど要望も交え、知事はこの選挙をどう思い、どう考えておられたか、お答え願います。
 三位一体改革についてお尋ねをいたします。
 今回の総選挙では、郵政民営化が最大の争点となりました。郵政民営化は、官から民へという小泉構造改革の重要なテーマでありますが、私たち地方行政、地方自治にかかわる者としては、もう一つのテーマである地方分権、すなわち三位一体改革を柱とした国から地方への分権改革が大変気になるところであります。
 去る七月二十日、全国知事会など地方六団体は、昨年政府・与党が合意した三兆円の税源移譲を目指し、残りの六千億円の税源移譲に結びつく一兆円の国庫補助金削減案を提出し、着実な実施を強く要望いたしました。しかし、平成十八年度予算の概算要求の内容を見ますと、この削減案が反映されていないように思います。各省庁においては、依然として国の権限や省庁の利益を残し、交付金化をよしとする立場をとっているように感じます。
 今回の選挙の結果を踏まえ、政府・与党は「改革を進める」と明言しています。この言葉の中には、地方が真の自立を目指し、独自の判断で地域の実情に合った事業を実施するという地方分権改革も大いに含まれているものと私は信じています。今後、政府・与党合意を実施し、地方に光と活力を与えるべく三位一体改革に邁進することを私は強く望んでいますし、これまでの議論を風化させることなく、真に地方分権につながる三位一体改革の推進について、国にどのように働きかけていくのか、知事の今後の取り組みや決意をお聞かせ願います。
 次に、これからの地方行政、県のあり方、道州制の展望についてお聞きをいたします。
 今回の選挙において我が自由民主党が示したマニフェストには、「道州制導入の検討を促進する」と明記されております。また、政府においても、首相の諮問機関である地方制度調査会において道州制の議論が進んでいると聞いています。全国知事会においても、道州制を含む広域自治体のあり方に関する諸問題について協議し、適切な対策を推進するため道州制特別委員会が設置され、木村知事が委員長に就任されています。
 分権型社会においては、市町村の行財政能力を高め、質の高い行政サービスを住民に最も身近な市町村が責任を持って提供することが基本であります。そのために合併が行われ、和歌山県においては市町村数が全国平均と同程度の四割減少し、三十となりますが、これからも合併が進むものと予想されます。
 市町村合併が進むと、県が担ってきた市町村間の調整、市町村の補完といった役割が薄れていくものと考えます。市町村が分権型社会に対応すべく、みずから血を流し取り組んでいることに対し、県が今のままでよいのかと考えてしまいます。国と地方の役割を見直し、国には国家としての最小限の役割を重点化して、現在国が行っている多くの役割を地方へ移管するとともに、真に分権型の社会を構築することや自立性の高い圏域を形成するためにも県のあり方を見直す時期に来ていると考えます。実際に、都道府県の区域を拡大し、道州制を検討、導入すべきという意見や機運が高まっています。私は、三位一体改革を初めとする地方分権改革が目指しているこの国の姿とこれからの県の姿を県民に示すことが必要だと考えます。
 そこで、分権型社会における国と地方の役割、県が果たす役割、道州制に対する基本的見解、今後の道州制の展望について、知事の御所見を伺います。
 続きまして、指定管理者制度についてお尋ねをいたします。
 さきの六月定例会において、県の公の施設について、指定管理者制度の導入に向けた関係条例改正が行われました。次は十二月定例会での指定管理者の決定、十八年四月からの制度移行となっていきます。県民も、単に管理者がかわるというだけでなく、サービスや料金がどのようになるのかという関心を持っています。
 現在、指定管理者候補者の選定作業が進められていると思いますが、その選定状況について、特に公募を原則とするとした結果、どれだけの施設を公募することになったのか、公募施設における選定評価の具体的な基準、手法はどのようなものなのか、公平性や透明性の確保についてはどうされたのかなど、総務部長の答弁を求めます。
 また、福祉施設については、さきの六月定例会において先輩議員の質問に対して、入所者の安心が最も大事であり、非公募という選択も考えていくとの答弁がありましたが、その結論はどうなったのか、福祉保健部長の答弁を求めます。
 次の質問です。私も積極的に取り組んでおります危機管理、防災に関しての質問であります。
 昨年より、国内外を含め、大きな災害が立て続けに発生しています。とうとい命や貴重な財産が奪われ、とてつもない被害となっていますが、その災害は私たちに新たな課題や教訓を残しています。
 まず、昨年の十二月二十六日に発生したスマトラ沖地震では、被災者百二十万人、死者及び行方不明者三十万人、被害総額七十八億ドルを超えると見込まれております。日本を初め欧米など海外からの観光客も多数犠牲となりました。海溝型巨大地震であり、津波は遠くアフリカ大陸まで到達し、大きな被害をもたらしましたが、いまだその全容は明らかでないと言われております。
 津波に関する知識の欠如や津波早期警戒態勢の不備により人的被害が拡大したと言われており、和歌山県においても、引き続き津波に対する意識の向上を図っていくことが重要と認識を新たにしました。
 また、ことし八月末のハリケーン「カトリーナ」は、ルイジアナ州ニューオーリンズを中心に数千人規模の犠牲者が出ると予想され、いまだ自宅に帰れず避難したままの人や、生存者の捜索や遺体の収容作業が現在も続いています。いずれも近年にない大規模な災害となっていますし、またハリケーンが接近しているようでもあります。
 国内では、昨年の十月二十三日に新潟中越地震、ことしの三月二十日に福岡県西方沖地震が発生、いずれも大きな被害が出ています。それ以外にも、阪神・淡路大震災以降、各地で地震が多発し、西日本は地震の活動期に入ったという学説まであります。
 私は、ことしの七月、新潟県を訪れ、新潟市と長岡市へお邪魔をいたしました。その折、和歌山へもお越しいただきました元山古志村の長島村長さんにお会いをし、お話を聞く機会がありました。長島さんは、先日の衆議院選挙で当選をし、現在は代議士になられました。その方に、議会中のお忙しい中、時間をつくっていただき、当時のことや復旧に当たられたことをお話しいただきました。中でも、覚えている言葉は「地震は防げない」ということであります。災害に対する備えや初動態勢の大切さを力説されていました。
 新潟中越地震では、死者四十六名、負傷者四千八百一人、住宅全半壊は一万五千五百棟の被害が発生し、避難者数は最大で十万三千百七十八人に及び、土石流四件、地すべり百三十一件、がけ崩れ九十件が発生し、道路の寸断などにより山間部の集落が長期にわたり孤立しました。また、孤立時の情報通信手段の確保や救助、避難のあり方など、中山間地域の地震被害における特有の課題も指摘されました。
 和歌山県においては災害時の唯一の情報入手手段である携帯ラジオの電波が届かない地域もあり、今後の改善を強く要望しますし、被災者が地震によるストレスから避難先の車中で亡くなるという新たな課題が発生しています。
 本県からも、災害備蓄品とあわせ、県民の皆様や市町村から寄せられた緊急物資を送るとともに、医師や保健師も派遣されました。この医師や保健師につきましては、先方からも大変喜ばれたと聞いております。
 東南海・南海地震が発生した場合、本県においても孤立する集落が多数発生することが国において発表されており、孤立化対策は津波対策とともに今後の課題であると考えますし、地震だけでなく、台風による風水害に対しても対応が求められております。
 そこで、四点の事柄について、危機管理監の見解をお聞きします。
 まず一点目です。昨年度、和歌山、三重、徳島、高知の四県が共同で実施した地震・津波県民意識調査によると、地震への関心は高いが、耐震診断や防災訓練への参加などの備えは静岡県に比べ四県とも低い状況にあると聞いています。今後、地震への備えも含め、いかに地震・津波に対する県民の意識を高めていくか、取り組みについてお聞かせください。
 二点目、東南海・南海地震においては、道路などに大きな被害が出ることが予想されます。山間部における救助、避難や情報通信手段の確保などの課題についての取り組みをお聞かせください。
 三点目、十七年度「防災白書」によると、新潟中越地震では、阪神大震災の教訓を生かし、自衛隊が迅速に派遣されたという報告がされています。災害時、自衛隊との連携は非常に重要であります。自衛隊との連携強化について見解を伺います。
 四点目、昨年の台風や豪雨災害でも、死者、行方不明者のうち高齢者や障害者などの災害時要援護者の割合は六一%以上を占めていることがわかっています。本県は高齢化率が近畿で一番高く、特に紀南地方ではさらに高くなっています。本県の津波対策を考えた場合、県南部での津波到達時間を考えると、災害時要援護者への支援対策が必要と考えます。取り組みについて伺います。
 次の質問も危機管理の分野になるかと思います。アスベスト問題です。現在、全国的な社会問題となっているアスベストについてお尋ねをいたします。
 本年七月以降、アスベスト関連製品を製造していた事業所の従業員や周辺住民の中で、中皮腫や肺がんなどアスベストが原因と見られる疾病死が多数発生していることが全国で報告されています。これまでアスベストについては、労働安全衛生法や大気汚染防止法などの改正強化により従来の規制や届け出が規定され、一定の飛散防止の措置は講じられてきました。アスベストを原因とする疾病は、発症までの期間が十数年と長く、将来にわたり患者の発生が予想される極めて深刻な問題です。
 我が国では、一九七〇年ごろから九〇年ごろにかけて、年間三十万トンという大量のアスベストを輸入し、大部分が建材に使用されたと言われております。今後、使用されたアスベストが、建築物の建てかえなどによる解体が増加することが予想され、粉じんの飛散防止徹底が急務となっております。
 国においては、去る七月二十九日、アスベスト問題に関する関係閣僚会議において、飛散を防止するための措置の徹底を図るため、大気汚染への飛散防止措置の対象となる解体、補修作業の規模要件などを撤廃するなどの措置が確認されたところでありますが、県としてもしっかりとした取り組みを行っていかねばならないと考えます。
 そこで、知事並びに環境生活部長に次の三点を伺います。
 アスベスト問題に対する県としてのこれまでの対応と、条例も含めての今後の取り組みについて。県有施設におけるアスベストの調査状況と今後の対応について。今後の問題については国はどう対応し、県から国に対しての要望はどうなっているのか。
 また、教育長には、県内教育機関、特に学校においてのアスベストの調査結果と今後の対応についてお尋ねいたします。
 最後の質問でございますが、その前に、昨日この原稿を書いておりますと、大阪の小学校二年生の女の子が学校の遊具で遊んでいて指を切断したというニュースが入ってきました。大変痛ましい事故であったと思っています。大阪の教育委員会では早速に危険な遊具がないか調査に乗り出して、危険なものには使用禁止ということの措置をとったと聞いております。和歌山県内でも十分考えられる事故でありますので、素早い対応をお願いしたいと思っています。
 スポーツの秋であります。国体の夏季大会が終わりました。終わりましたので、成績の中間発表といいますか、秋季大会への取り組みについての質問をいたします。
 私は、昨年の十二月、この場において国体の成績について質問をいたしました。ことしは去年より下がることはありません。昨年の結果をばねに和歌山県の競技スポーツがどんな思いでことしの国体を迎えたのか、また強化に対してどのような戦略、戦術で臨んだのか、大変気がかりであります。
 岡山国体夏季大会は、九月九日から十三日まで開催をされました。本県選手団の成績を新聞で見たところ、フェンシング競技で優勝をしております。カヌー競技のほかにも多数の入賞者がありまして、和歌山県選手団が大変活躍していると聞いております。十月には秋季大会が開催されます。どうか、この夏の勢いをつなげて最下位からの脱出に全力を尽くすとともに、私ども先日発足をしたスポーツ振興議員連盟の四十一名の会員全員が期待を込めて見守っていることを忘れず頑張ってほしいものです。
 そこで最後に、教育長より秋季大会へ向けて大いなる決意を聞かせていただきたいと思います。
 また、これは要望ですが、来年、大阪府主催のインターハイが開催されますが、和歌山においてセーリング競技と相撲競技が行われると聞いております。この開催においては、十分な人的配置と予算措置をしていただき、すばらしい大会になるよう要望いたします。
 最後に、国民体育大会秋季大会においての選手諸君の健闘を心から祈って、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、先日執行されました総選挙に対する所感ということでございますが、これだけ与野党とも改革ということを標榜して行われた選挙というのも余り記憶にないんですけども、その結果は、御案内のように小泉総理が大変な支持を得るというふうな形で終わったわけでございます。
 これは、やはり、いろんなことを変えていくというふうなことを口で言うことは非常に簡単だけれども、小泉総理がこの何年間か体を張るような形で改革を進めてきたということを国民が心の中でやっぱり理解していたというふうなことが今回の結果にあらわれているのではないかというふうに思いますし、それから、この選挙、いろいろ話題があったもんですから、マスコミが多く取り上げたということの中から、今まで余り選挙に行かなかった層の方も、これはやっぱり投票しとかないと後の話題に加われないというふうなこともあったりして非常に高い投票率になり、そして小選挙区制という制度の問題から、その結果が大きく一方に出てくるというふうな形になったものだというふうに思っております。
 私といたしましては、小泉総理のこういう大変な時期にいろんなことを変えていかなければならないということで進められる国政というふうなものを支持しておりますし、そしてまた今後、今御質問にありました三位一体の改革、きょうの新聞を見ておりましても総理がこれを力いっぱい進めるということを言われておりますので、私どもも、つい先日も東京の方で関係の知事が集まって早急な対策──今は、御質問にありましたように、各省とも去年と同じような形で概算要求して何となくそのまま行きそうな感じで思っていたところが今回の選挙というふうなことで、局面が大きく変わりましたので、この機を逃さず的確に対応をしていきたいと思います。
 ただ、若干心配しておりますのは、このごろ新自由主義という言葉が非常に言われて、かなり強者が強く、弱者が弱くというふうな傾向が非常に強くなってきているということも、これはまた否めない事実だと思いますので、そういうふうな中で、和歌山県はどちらかというと地方の県ということになりますから、その弱者切り捨てというふうなことにならないような形での改革ということを我々としては小泉総理、そして自由民主党や公明党、与党ですけども、こういうとこへも働きかけていかなければならない、このように考えているところでございます。
 三位一体については、先ほど申しましたように、税源の六千億円の移譲と一兆円の補助金の廃止削減というふうなことで、もうリストを出しているわけでございます。そしてまた教育の問題、そして生活保護の補助率の問題等々、いろいろなハードルがあるわけですが、これは小泉総理の頭の中には相当もうよく入って、問題の所在というものはよく入っているというふうなことですので、なお一層、これは県だけじゃなくて、ほかの市町村なんかとも連携をとりながら分権改革が進んでいくように働きかけを強めていきたい、このように思っております。
 それから道州制の問題ですけども、この四十七都道府県というのは、明治二十三年に決まってから、ずうっと変わらずに来ているというふうなことです。
 そういうふうな中で、市町村の数は、今回なんか、例えば広島県でありますとか愛媛県でありますとか、こういうところは県内の市町村の数が三分の一になったというふうなところもあって、やっぱり今までどおりの都道府県制度では、これからどんどん市町村へ仕事を、おろしていくと言ったら言葉は悪いけど、そっちの方へ移譲していくというふうなことが進んでいく中で都道府県というものの役割というのがちょっと違ってくるんじゃないかというふうなことを皆さんが感じる中で、今、国の方では地方制度調査会、そしてまた自民党でも委員会ができていますし、それから全国知事会では私が委員長をしている特別委員会で検討がなされていると。
 国民的な理解ということは必ずしも高まっているわけではないので、一足飛びにということはなかなか難しいかもしれませんけども、しかしいずれにせよ、世の中はそうゆっくり何でも構えていられるような時代ではございませんので、この道州制の問題についてもその是非を含めて鋭意検討していきたいと思いますし、またその際、県議会等とも共闘していろいろなことを考えていきたいと、このように思っております。
 それから、最後にアスベストの問題です。
 これは非常に潜伏期間が長いということで大変大きな問題になっているわけで、県としても、この問題が起こってすぐに窓口を設け、さらには連絡会議を設置して種々の対策を講じているところでございます。
 このアスベストについては、もう既に既存の法律で一応の対応がなされる形にはなっているんですけども、実は昭和三十年代、四十年代の建物がそろそろ解体を迎えると。そうすると、そのときにつぶす中で、どおんとアスベストが飛び散るというふうなこと、こういうものを吸い込むということが今一番考えられる危険な状態というふうなことだと思います。
 そういう中で、今の法律では一定規模以下の建物の解体については届け出の必要がないというふうに規制の枠外になっておりますので、これは国の方でもそういうものを規制していこうというふうな動きがあるようですが、やはり地方の県民の健康を守る責任ということは第一義的には私は県に──市町村もそうですけども、自治体にあると思いますので、早急に条例の改正を行ってこれに対応していくということを現在検討しているところでございます。また、条例案等まとまりましたら議会の方へもお諮りして対応を図っていきたいと、このように考えています。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 指定管理者制度に関するお尋ねがございました。
 まず、選定状況でございますが、指定管理候補者の選定につきましては、四十一施設すべてについて順次作業を開始したところであり、福祉関係の十二施設を初め、施設の特性等を考慮、検討した結果、非公募とする施設を除き、二十五施設について公募することとしたところであります。
 これら公募施設につきましては、関心をお持ちいただいた方々への現地説明会はすべて終了し、現在、応募申請の受け付け、あるいは具体的に選定作業中という状況でございます。
 次に、選定の基準や公平性、透明性の確保についてでございますが、公募施設のすべてについて、それぞれの分野に応じ、外部の方を含めた選定委員会を設けることとしており、選定方法についても、利用者のサービスがどのように向上するのか、あるいは管理運営体制はしっかりと大丈夫なのか、経費節減はどうなのか等々、施設に応じた審査基準に基づいて点数評価を実施することとしており、非公募施設の選定経過も含め選定結果につきましては、順次、県のホームページ等を通じて具体的に公表することとしております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 指定管理者制度での福祉施設の選定でございます。
 十二の県立福祉施設の指定管理候補者の選定につきましては、去る八月に指定管理者選定委員会を開催しまして、その意見を踏まえて検討しました結果、選定方法は非公募とするとともに、処遇水準の確保、利用者等の意見などを勘案し、現在管理している社会福祉法人等を指定管理候補者として選定いたしました。
 また、県が直接管理運営してございます有功ケ丘学園の指定管理者につきましても、同種施設の運営実績を有する和歌山県福祉事業団を指定管理候補者として選定をしたところでございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 危機管理、防災に関連しての四点についてお答え申し上げます。
 まず、地震・津波に対する県民意識についてでございますが、インド洋大津波では、津波に対する意識の欠如が人的な被害を拡大させたと言われております。津波に対する知識や啓発の大切さを世界の人々が改めて認識をしたところでございます。
 議員御指摘のとおり、昨年度四県が共同で実施した地震・津波県民意識調査でも、地震への関心は高いが、備えに対しては四県とも低い状況にありました。津波避難のタイミングについても、「大きな揺れですぐに避難する」が本県では二八%にとどまり、また「大津波が来る前に必ず海の水が大きく引く」といった誤った認識を持っている県民が八四%もありました。このため、県民の正しい防災意識を高めるため、地震・津波の啓発ビデオ作成や「出張!県政おはなし講座」による啓発活動などを行っているところです。
 また、広川町と共同して、「稲むらの火」や浜口梧陵の精神を基軸に地震・津波の恐ろしさや災害に対する備えを教育・啓発する拠点として最新の機器を備えた津波防災教育センターの整備を進めており、本議会に補正予算をお願いしているところでございます。完成後は、こうした設備も活用しながら県民の防災意識の高揚を図ってまいります。
 次に、山間部における救助、避難や情報通信手段の確保についてでございますが、さきの新潟県中越地震では、山間部の至るところで大規模な崩壊や地すべりなどにより孤立する集落が数多く発生し、住民同士で助け合うというコミュニティーの力が孤立集落の人々を救ったと言われております。
 本県におきましても、東南海・南海地震が発生した場合、山間部はもとより、沿岸部でも孤立する集落が多数発生すると想定されることから、地域の防災力を高めるため、本年度より紀の国防災人づくり塾を開講し、地域防災リーダーの育成を図るとともに、地域防災対策総合補助金を活用し、自助・共助のかなめとなる自主防災組織の支援なども行っているところでございます。
 また、通信手段の確保については、大災害時には通常の通信ルート以外にも独自の通信手段を持つことが大変重要になってまいります。このため、平成十九年秋完成予定の防災センターに整備する最新の防災情報システムでは、衛星系無線と専用線による県と市町村等の通信回線二重化、さらに移動系無線や衛星可搬局など、複数の手段を用意して災害時の通信確保に努めてまいります。他の設備についても、耐震性を考慮した災害時こそ十分機能が発揮できる設備となるよう努力をしてまいります。
 次に、自衛隊との連携強化についてでございますが、災害発生時における自衛隊との連携は、人命救助や応急対策等において必要不可欠であり、常に緊密化を図る必要があると考えています。このため、防災訓練を初め、あらゆる機会を通じ、迅速な派遣要請などを自衛隊や防災関係機関との連携等について、手順の確認や地理の習熟、意思疎通の強化等に努めているところであります。特に本年十月二十八日、二十九日の両日にわたって本県で行われる近畿府県合同防災訓練においても、図上、実働の両面から自衛隊との連携強化をも含めた訓練を予定をしてございます。
 また、本年四月より退職陸上自衛官一名を採用し、危機管理体制の強化に努めているところでございます。
 最後に災害時要援護者への支援対策についてでございますが、津波の到達時間が短い本県の地域特性から、災害時要援護者への支援対策は非常に重要であると考えております。
 県では、各地域ごとに災害時要援護者に対する支援者をあらかじめ複数定め、避難台帳化することなどを骨子とした和歌山県津波避難計画策定指針を策定し、沿岸市町に提示してございます。
 今後、本指針に基づき災害時要援護者の津波避難対策を検討することになりますが、本年度はモデルとして串本町で避難台帳づくりを進めていただいており、その成果を他の市町にも普及させていきたいと考えております。
 また、津波避難対策で得られた災害時要援護者対策のノウハウは他の災害にも応用できますので、今後、沿岸部以外の地域でも避難台帳づくり等の取り組みを推進していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベスト問題につきまして、二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、第一点の県有施設の調査についての御質問でございます。
 本年八月から五百十一の県有施設につきまして、施設管理者及び県の建築関係職員による調査を実施してまいったところでございます。その結果、県立学校を除く四百五十六施設のうち、アスベストの含有吹きつけが確認をされた施設が三施設ございます。このうち、県民文化会館の小ホール並びに県立体育館のロビー天井につきましては既に対策工事が完了しておりまして、残る紀伊風土記の丘資料館につきましては現在使用中止の措置をとっているところでございます。
 また、アスベスト含有の可能性があって現在分析中の施設、これが四十七施設ございまして、そのうち飛散の可能性があるため現在使用中止の措置をとっている施設が二十七施設ございます。飛散の可能性がない施設が二十施設でございます。残りの四百六施設につきましては、アスベストの使用はないと確認をしているところでございます。
 今後の対応でございますが、現在分析調査を実施している施設のうちアスベストの含有が認められた施設につきましては、今後、対策工事を実施してまいる予定でございます。
 次の、アスベスト問題に絡みまして、国はどうこれまで対応し、県から国に対してどのような要望をしているかという御質問でございます。
 国におきましては、去る七月の二十九日と八月の二十六日に、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合が行われております。その中で、政府としての過去の対応については、関係省庁間での一定の情報提供、情報交換等が行われてはおりましたが、旧労働省並びに旧環境庁を中心に実施されたさまざまな調査・研究の成果等が政府全体として共有され、関係省庁の十分な連携が図られていたかということにつきましては、必ずしも十分であったとは言えず、反省の余地があるというふうに結論づけられているところでございます。
 このことを踏まえまして、現在、各省庁が緊密に連携をいたしましてスピード感を持って対策を実施していくとともに、国民に対する情報提供に努めていくといたしまして、実態の把握あるいは大気汚染防止法における飛散防止の徹底など、さまざまな検討が現在行われているところでございます。
 県からの要望といたしましては、本年七月の十四日、全国知事会を通じまして、専門的な相談支援体制の構築でありますとか、医療費補助等の必要な措置、飛散防止等に係るいわゆる監視体制の一層の強化、あるいは関連事業所の情報開示等について緊急要望を行ったところでございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校施設のアスベスト等吹きつけ使用状況については、七月末に取りまとめた県独自の一次調査に加え、現在、文部科学省から依頼のあった全国一斉調査を実施しているところです。一次調査では、小学校十三校、中学校三校、高等学校六校においてアスベスト含有のおそれがある吹きつけ材の使用が確認されました。
 県立学校においては、念のため当該箇所への立ち入りを禁止し、直ちに専門業者に成分分析を依頼いたしました。そのうち、現時点で三校四カ所の分析結果が出ており、これらすべてにアスベストが含まれていないことが判明しております。
 また、小学校につきましても該当市町村に同様の措置を講ずるよう指導し、小学校一校でアスベストの含有を確認しましたので、適切な処置がとられるまでの間、使用禁止にしております。
 現在行っている文部科学省調査では、八月に県立学校五十四校、千三百二十九棟を対象に建築関係職員による現場での確認作業を行い、このうち三十四校七十一カ所について成分分析の依頼を行ったところです。これらの箇所は、すべて飛散の可能性はなく、大半は品名等から判断してアスベスト含有のおそれがない吹きつけ材料でありましたが、より生徒の安全性を確保するために成分分析を行っております。
 依頼した件数のうち、現在、十八校二十八カ所についてその報告があり、そのうち二校でアスベスト含有が判明したため、立入禁止を継続するとともに速やかに除去する等、適切な措置を講じてまいります。
 幼稚園、小学校、中学校につきましても現在調査中であり、今後とも児童生徒の安全確保のため万全の対応を行うとともに、アスベスト対策工事に係る国庫補助制度の確立について、全国都道府県教育委員会連合会と連携しながら国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、第六十回国民体育大会についてでありますが、議員御承知のとおり、本県選手団は夏季大会において各競技で目覚ましく健闘し、フェンシング競技で成年男子、少年女子の二種別で二年連続優勝、水泳競技でも五名が入賞を果たすなど、良好な成績をおさめることができました。昨年の夏季大会時の男女総合成績は三十八位でしたが、今大会は二十九位と、秋季大会に向け大いに期待をしているところであります。
 夏季大会の好調を維持しながら選手並びにチームがよい成績を得られるよう、教育委員会としましても、県体育協会及び各競技団体と一丸となって本県選手団をバックアップしていく所存でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入ります。
 最近は秋を感じさせない夏の余波が今続いていますが、果樹王国和歌山では昨日から極わせミカンの出荷が始まり、私にとっては秋を感じさせてくれているなというふうに思っております。
 早速、農業政策について質問させていただきます。
 和歌山県果樹農業振興計画とアクションプログラムについてであります。
 政府の食料・農業・農村基本計画による和歌山県の農業・農村振興計画の策定を先日の六月議会に求め、策定の方向が県当局から示されました。とりわけ和歌山県は、果樹王国として果樹振興についての具体的政策と指針が求められている。県は、果樹農業振興計画を平成十三年四月に、平成二十二年十月、十年後の目標設定での計画が策定され、平成十五年、県果樹農業振興アクションプログラムが策定されております。アクションプログラム、つまり実施計画は一定の成果を上げていると思うが、どう中間総括をしているのでしょうか。
 また、私は、和歌山県の一次産業の基軸となる果樹農業の振興のための政策・指針が生産農家、JA、加工業、流通業、行政の指針になるように絶えず点検し、総括し、目標の達成のためのアクション計画をしていく振興計画でなくてはならないと考えております。
 そこで、そういう立場から、私は次の点で問題提起したいと思います。
 一つは、県農業・農村振興計画を一つとして、果樹農業振興の計画は、五年単位での振興計画とアクションプログラムとその裏づけとしての財源計画という三点セットを一本にした振興計画を策定することを提案したい。
 農業は単年度ですべて成果をはかれるものではない。土から、それから種苗から果実へと大変息の長い、少なくとも五年単位の計画の中での成果判定であることから、この三点セットの政策とその実施計画は重要であります。これは、そのことによって農業経営者が自信と展望を持てる、農業にかかわる加工、販売等の関係者もその目標に向かっていける、そんなものにしなくてはいけないと私は考えます。
 第二点は、振興計画、アクションプログラムの中身の構成は、今まで一つのセクション、つまり果樹栽培と一定の消費という範囲内での計画に限定されております。私は、果樹農業振興の立場を踏まえるなら、農業基盤整備、つまり生産栽培や土壌、園地、かん水、園内道路、そして担い手、農業生産コスト、鳥獣被害を含む環境問題、加工、流通、販売、消費を一連化したものを一本にして、五年後の目標値の設定などを具体的に示したものにすることが大切であると考えます。
 これは、農林水産部が一体となって策定されるべきものであります。一つのセクションだけでつくるのでなくて、農林水産部が一丸となって、今私が提案した問題について策定する必要があるのではないか。私は一通りそれも見まして、今までの計画が資料収集、つまり現状分析と抽象的方針でありまして、それからの転換が必要であります。したがって、果樹農業五年マニフェストにするべきであると考えます。これは、五年後に品目別に一体どうあるべきかということについては、生産から販売流通、それから消費までを含めて一貫した目標値を設定して一丸となって、それに、とりわけ生産者やJA、市町村、加工業、流通販売の専門家の集大成で考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。それが第一点であります。
 二つ目は、県普及指導員の現状と農業者への指導体制についてであります。
 これは、全国的にも今、国の補助金、交付金カットもあって、全国的にも普及指導員が削減されております。二〇〇〇年を基準にして二〇〇五年を比較してみますと、全国的にも約一千四百名が削減されております。当和歌山県においても、二〇〇〇年の百二十九名から二〇〇五年は八十四名になり、三十五名削減されております。予算的にも十二億七千二百万円が七億四百万円になっている実態であります。農業立県の和歌山での農業者への技術指導がこれによって低下しないのか、どう対応していくのか、考え方をお聞きしたいと思います。
 また、そういう現状の中での技術指導を低下させないために、私は一つの案として県普及指導員とJA指導員、そして農業士のOB──農業士のOBといいますと六十五歳以上ですから、元気な、本当に現場で一生懸命やっておられる年齢ですから、そういう農業士として資格を取ってもう卒業してOBの方、こういった人たちを組織化して、県の下請的でなく、農業者への指導に組織的に責任を負う、つまり県普及指導員とJAの指導員と、そして農業士OBとで一つの組織化をして農業者への責任を負っていくという体制をとるならば、その技術低下をさせない裏づけになっていくんではないか。少なくとも振興局単位で組織するそういう農業士OBには、活動費を保証し、専門的に参画してもらうシステムにしてはどうかということを御提案したいと思いますが、以上の質問に対して農林水産部長の御見解を求めます。
 続きまして、二番目の地域医療格差の是正についてであります。
 私は、地域医療はどの地域においても公平であるシステムが望ましいと考えますが、しかし、和歌山県の地域医療の格差が余りにもひどい現実を見たとき、県政の責任は大変重いと考えます。
 和歌山県の地域医療の課題は、第一点は、医師不足をどう解消していくのか、とりわけ地域間格差をどう埋めていくのか。和歌山市を除く他の医療圏は、十万人人口当たり医師は和歌山市の医療圏の二分の一という状況であります。第二点は、とりわけ小児科医師の慢性的不足です。日本は少子高齢化社会の中で、日本の政策の重要な柱である子育て政策であります。ところが、母親が安心して子供を産める環境の一番は小児医療環境ですが、現実はその状況にありません。そこで、小児科医師の確保をどうするのか、小児救急医療体制をどう整備するのかが大きな課題であります。
 そこで、現状を少し見ますと、各地域医療圏の実情は、もう皆さんも御存じのように──これは省略させていただきまして、例えば私の所管する田辺医療圏の中心である紀南病院の小児救急医療の実情を見ますと、小児科の時間外救急を含めての小児の患者数は、年間五千九百人であります。入院が二百五十人でありますから、六千百五十人の小児の入院と時間外救急の診療に当たっているという実態であります。そして、月別に見ますと、最高時は六百六十人、平均してなべて五百七十人という実態であります。月にそれだけの小児の、しかも初診というか初期の診断ではありませんよ、時間外救急だけでそれだけ月にあるという実態であります。それに加えて、NICUは二十四時間体制で行っております。
 こういう実情を見たときに、実際にこれが今六名の小児科医で対応しているという実態であります。医師の勤務実態は、日勤、夜勤、深夜をこなし、ほとんど一日二十四時間その一人の人がかかっているという実態を見たとき、現在の小児科医師は六名の体制で、本来なら交代制をしながら日勤の人、夜勤の人、深夜勤の人ということで当番でやっていくんですが、それができない状態にあるのが実態であります。こういう医師の過重な労働で、このままでは医師がもたない状況が現実であります。
 こういった状況の中で、和歌山県は小児科医師が不足している。では、どうすればいいのか。厚生労働省や日本小児科学会は、医療圏内の小児科医院の輪番、当番制でもって小児救急医療体制をどうするのか、複数の医療圏ごとに小児救急患者を受け入れるかを提起されています。しかし、それをやるところは全国でも少数の県で、なかなか体制がとれないのが実情のようであります。田辺医療圏の中核である紀南病院でも、地域の小児科開業医等を検討しても、医師の高齢化もあってなかなか実現できる状況にないようであります。
 基本的には、各医療圏に小児科医を増員することが前提ですが、私は、地域医療圏ごとの病院の機能の分担と集中を県の医療政策で方針を打ち出すべき時期に来ていると考えます。とりわけ、小児科の救急医療体制を、現在の七つの医療圏区域にこだわらず、中核となるべき公的病院を小児救急医療拠点病院として整備し、位置づけることを早急に検討する必要があります。
 現状から見ても、田辺医療圏では紀南病院は小児科医六名、国立南和歌山医療センターは現在二名がことし一名減少して一名になる。御坊エリアは二病院は小児科医四名、新宮エリアは一病院二名という状況で、初期診断はできても、二次、三次への救急体制は到底できない状況にあります。この三つの医療圏域に十分な小児救急医療体制を県として対応できるのでしょうか。少なくとも喫緊の課題として、紀南病院に医師を増員して紀南の小児救急医療拠点病院として整備することを求めますが、どうでしょうか。
 また、近い将来的には、紀中、紀南の拠点である田辺医療圏の紀南綜合病院と和歌山医大病院とが協力して、県の医療政策の重点政策として県立の小児救急医療センターを設置することを求めますが、いかがでしょうか。
 以上の点について、地域医療に責任を負う福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、医科大学学長には、地域医療に対する貢献という観点から、まず第一には医師不足の解消に向けての努力はどうなされているのか、第二は小児科医不足と小児救急医療体制についての御見解をお尋ねします。
 次に、三番目の介護保険法の改正による課題であります。
 予防重視型システムへの転換ということが打ち出されました。これは改正法の中心でありますが、「要支援」と「要介護一」の人たちの見直しを目的としています。その対象者は介護保険給付者の四五から五〇%を占めている中での介護保険事業費の削減を目指すための一つの施策であります。この人たちを地域支援事業と新予防給付と介護給付に分類し、見直しをするようですが、どこが、だれによって、どのように判別するのでしょうか。公平な判断のシステムがつくられているのでしょうか。第一にお尋ねします。
 二つ目は、地域支援事業及び新予防給付は介護保険事業から切り離されるのでしょうが、その事業費はどうなるのでしょうか。この新たな二つの事業はどこで、だれが、どんな資格を持って対応し、進めていくのでしょうか。県としての考え方や具体的方針は確立しているのでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
 次に、地域密着型サービスと県の考え方でありますが、介護保険法改正の中で、この地域密着型サービスの制度が最も私は評価すべきところだと思います。今までは、在宅サービスと言いながら施設入所中心の制度で、そういう入所施設には支援制度も確立していました。しかし、全国的に自主的な運動は、介護を必要とする高齢者の人格、人権、高齢者の希望に沿い、自分の住みなれた地域で生活できて、それでいて介護サービスを利用しながら生活していける、そういう環境づくりが全国津々浦々で運動が展開されてきました。
 そういう中で、通所サービス、宅老所が土地も建物も設備もすべて支援でなく自主的に進められて、その成果が評価されたことと思います。また、施設入所すると介護度が急激に重度になるが、通所、宅老事業所などは、強い認知症にしても介護度が進むのでなく、現状維持できたり、明るくて元気な状況をつくり出したことが大いに評価されたと思います。とりわけ、介護を受ける高齢者だけでなく、高齢者とともに地域の幼児や知的障害者の集う介護通所サービス施設も、その効果が評価されたと思います。
 高齢者にとって、家族にとって身近な地域で介護サービスを受けるシステムができたことは一定評価しつつも、現在、居宅サービス等事業者は、県内では千四百六十六カ所あります。地域密着型サービスは、市町村が事業者の指定及び指導監督を行うとしていますが、県として主体的に新たなサービスが真に利用者のためになる、利用者のためのサービス事業者にしていくために、どのような認定基準で進めるのでしょうか。県として、在宅重視の立場からいくなら地域密着型サービスへの支援をどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、介護サービスの確保と県行政の指導体制についてであります。
 介護サービスの公表、事業者規制の見直し、ケアマネジメントの適正化の三点が主な今回改正の重点ですが、県には居宅サービス等事業所が千四百六十六カ所もあり、これらの三点についてどう点検し、指導し、監督していくのですか。
 以上の三点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 続いて、四点目の土砂災害防止法と県の取り組みについてです。
 毎年もう全国的に土砂災害による生命と財産が失われております。被害者の場所は、十四号台風で見ても、当然もう避難すべき場所であるにもかかわらず、被害が起こっております。
 そこで第一点は、土砂災害防止法の取り組みについてです。
 県内の土石流危険渓流は五千七百四十五カ所、急傾斜地の崩壊危険箇所が一万二千二百四十七カ所、地すべり危険箇所が四百九十五カ所、合計一万八千四百八十七カ所に及びます。これらに対しまして具体的に法に基づいてどう対処なさるのか、特にイエローゾーン、レッドゾーンへの対策はどうするのかであります。
 第二点に、危険であると思われる場所の宅地造成や開発に対してどう規制を加えていくのか。
 以上、二点について県土整備部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、こういった状況の中で私は私なりの考え方を述べ、問題提起をしたいと思います。
 土石流危険箇所、また急傾斜地崩壊箇所のうちで、民家のあるランク一、ランク二──ランク一は四戸以上、ランク二が一から四戸というふうに区分されているそうですが──こういったランク一、ランク二への対策で、とりわけ過疎地域で高齢化の進んでいる地域での危険箇所への対応についての提案であります。
 例えば、私の田辺市では危険箇所は二千九百七十三カ所あり、県下でのワーストワンを占めています。その中で、ランク一、ランク二の民家の所在するところが二千四百十四カ所で、全体の八一%も占めています。龍神、大塔、中辺路、本宮を見てきて、この危険箇所の対策工事を起こすとしたら、膨大な時間と費用が必要になることを痛感しました。しかし、人の生命は守らなくてはいけません。
 そこで、私なりに一つの案ですが、過疎と高齢の進む危険度ランク一、ランク二に対し、福祉制度と災害予防と公営住宅を併合したものを考えてはどうかという提案であります。
 福祉制度では、例えば既に田辺市の大塔、龍神、本宮では高齢生活福祉センターつまり生活支援ハウスをつくり、地域高齢者が七から九世帯がそこに集い、生活しています。私は、危険箇所に住む人たちに、通所施設であり、宿泊もできる、また長期の生活支援ハウスを含む集合住宅を考えてはどうかという提案であります。災害を防ぎ、高齢者の生きがい、介護サービスの複合施設としての役割を検討すべきと考えます。福祉は福祉、建設は建設、災害は災害ということを取り払う時代であります。
 例えば本宮町では、国の補助金をもらわず、過疎債の起債で生活支援ハウスを建設し、その地域の高齢者のニーズに合った福祉施設をつくっています。その中には、危険区域の範囲に入っている高齢者も入所しているのが実情であります。私は、この実例からいくなら、三位一体改革、地方行政のいわゆる税源移譲の問題の中で地方の特殊性、独自性を目指すなら、県の支援と市町村の企画でそういった災害防止と福祉と公営住宅という地域に見合った複合施設の考え方を検討することを要望したいと思います。一度、県当局におかれては、セクションを外して、人の生命を守る立場から、とりわけ過疎、高齢化した地域での災害対策はどうあるべきかを検討くださることを提言したいと思います。
 次に、最後になりますが、アスベスト対策について、新島議員から質問もあり、当局の答弁も私の質問趣旨の答弁でしたので、私からは要望にかえさしていただきます。
 第一点は、解体、撤去作業による大気環境への飛散防止措置を作業業者に徹底するために汗をかいてください。これは、解体を決めて作業に入ろうとしても、周辺住民はその作業を信頼できていない状況にあります。安全で安心を説明できるその工法を具体的に地域住民に示してほしいと考えております。
 第二点は、大気汚染防止法での延べ床面積五百平方メートル以上かつ吹きつけ石綿使用面積五十平方メートル以上となっているのを、国も規制を撤廃する方向を示していますが、県の主体で徹底してください。先ほど知事の答弁で、既に条例化をして県民の健康、安全を守っていくという答弁がありましたので、これについてはよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業政策の二点についてお答えをいたします。
 まず、県果樹農業振興計画とアクションプログラムについてでございますが、これまで県といたしましては、国の基本方針に即した県果樹農業振興計画に基づき、高品質果実の生産振興やブランドの育成など、果樹農業の振興に取り組んでまいったところでございます。さらに、平成十四年度には、県を代表するミカン、梅、カキ、桃の四品目につきまして県独自の果樹農業振興アクションプログラムを作成いたしまして、農協や農業者、また加工業者等とともに産地体制の整備に努めてございます。その結果、流通面におきましては、ミカン、カキなどを中心としたトレーサビリティー体制の整備、また光センサー選果機の導入が図られるとともに、生産面におきましては、オリジナルブランド「味一ゆら」の産地育成やマルチ栽培の拡大に加えまして、ミカン、梅の改植による園地の若返り対策、桃の防風ネットなど防風施設の整備に鋭意取り組んでおり、これらおおむね順調に進捗していると考えてございます。
 また、議員から、総合的な果樹農業五年マニフェストを策定すべきとの御提案をいただいたところでございます。議員御高承のとおり、産地におきましては、担い手の不足や高齢化、耕作放棄地の発生など多くの課題を抱えてございまして、これらを一体的に勘案した取り組みや対策が求められているところでもございます。
 今後、中長期的な視点を踏まえ、本県農業の指針に反映させ、その中に織り込んでいくとともに、関係団体等との連携をより密にしながら果樹農業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、普及指導員の現状と農業者への技術指導体制についてでございますが、行財政改革や農業改良普及制度の見直しなどによりまして全国的に普及指導員が減少いたしまして、農業者の間に不安の声があることも承知をしているところでございます。
 本県におきましては、各振興局と農林水産総合技術センターに、都合八十四名の普及指導員を地域の実態に即して配置をしてございます。生産現場における積極的な普及活動を通じまして、高度な技術の普及や担い手の育成、そして農村地域の振興などの課題解決に向けて取り組んでございます。
 また、多様化する農業経営に対応するため、地域農業の現状や専門技術に精通した農業士の方々に普及指導協力委員をお願いをいたしまして、研修会の講師を務めていただくなど、それぞれの各地域のリーダーとして活動をいただき、効果的な技術指導に努めているところでございます。
 今後とも、議員御提案の趣旨を踏まえまして、農業者の高度なニーズに対応するため、農協の営農指導員とより一層の連携を図るとともに、農業士など関係者の協力を得ながら技術指導体制の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 地域医療格差の是正についてのお尋ねの中で、まず拠点病院化による医療の充実についてお答えを申し上げます。
 小児科医の不足問題は全国的な課題でもございまして、本県においても大きな課題であると認識してございます。小児救急医療につきましては県としても重点的に取り組んでございまして、二次医療圏単位で小児科を有する病院が休日、夜間の二次救急患者を受け入れる体制の整備を推進するとともに、内科医等に対して小児科の専門知識の研修を実施し、初期救急医療体制の確保を図っているところでございます。
 また、この十月から小児患者の保護者向けの小児救急電話相談事業を開始することにより、保護者の不安を軽減し、患者の症状に応じた適切な医療を提供してまいりたいと考えております。
 今後、小児救急医療拠点病院の整備につきましては、地域保健医療計画の見直しに当たり、紀南地域を含めた将来の医師確保とともに、小児医療対策に必要とされる医療機能と数値目標などを盛り込んでいく予定としてございます。
 なお、議員御提案の小児救急医療センターの設置につきましては、国の動向も見きわめながら、小児科医を地域の拠点病院に集中させるという考え方ともあわせ、今後、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険法の改正による課題についての中で、まず予防重視型システムについてでございます。
 介護保険法の改正による予防重視型システムでございますが、介護保険制度が施行され五年が経過し、さまざまな課題が生じてございます。
 今回の介護保険法の改正では、予防重視型システムへの転換として、要支援、要介護一のいわゆる軽度者に対する新予防給付、また、そのままでは軽度者となるおそれのある高齢者に対する地域支援事業が創設されます。新予防給付の対象者の選定は、現行の要介護認定に調査項目を追加し、市町村が設置する介護認定審査会において審査・判定することになります。また、地域支援事業の対象者は、市町村が健診結果等に基づき選定をいたします。
 次に、新予防給付及び地域支援事業はいずれも介護保険財源で賄われ、市町村を責任主体とする地域包括支援センターの保健師が一貫したマネジメントを行います。また、介護予防サービスの提供につきましては、新予防給付は指定事業者が、地域支援事業は市町村がそれぞれ行います。県としましては、予防重視型システムへの制度の転換が有効に機能するよう、引き続き市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、地域密着型サービスと県の考え方についてでございますが、要介護者等の住みなれた自宅や地域での生活を二十四時間体制で支えるという観点から介護サービス体系の見直しが行われ、平成十八年四月から、新たに小規模多機能型居宅介護など六種類の地域密着型サービスが創設されます。
 地域密着型サービスは、保険者たる市町村がみずからサービス量やその質を管理することとなってございまして、事業者の指定や指導等は市町村長が行います。また、今年度から国において地域介護・福祉空間整備等交付金が創設され、地域密着型サービスの拠点などの面的な配置構想をもとに市町村整備計画を策定して整備するものが交付金の対象となってございます。
 現在、国において地域密着型サービスの仕組みや基準、報酬などが検討されているところでございまして、県としましては、その審議内容等について的確な把握に努めますとともに、事業所の指定や指導等に際して市町村や地域間に格差が生じることのないよう適切に助言してまいりたいと考えております。
 次に、介護サービスの質の確保と県行政の指導体制についてでございますが、議員御指摘のとおり、本年四月一日現在で県内に千四百六十六事業所が指定を受けており、法施行時と比較して約一・五倍にもなってございます。
 このような状況の中、毎年すべてのサービス事業所を対象とした集団指導を実施するとともに、昨年度から介護給付適正化照合システムを活用した計画的、効率的な実施指導などを積極的に実施をしてきたところでございますが、議員御指摘のとおり、今回の法改正によって介護サービスの質の確保が図られているところでございまして、その改正内容の重点は三点ございます。
 第一点目は、すべての介護サービス事業者に公表を義務づける介護サービス情報の公表制度が創設されます。第二点目に、サービス事業所への更新制の導入や不正事業者に対する勧告、命令、公表等の新たな権限の追加など、事業者規制の見直しがなされます。また、第三点目のケアマネジメントの適正化につきましては、市町村を責任主体とする地域包括支援センターが公正・中立の立場から軽度者等へのケアプランの作成を行うとともに、介護支援専門員についても、更新制の導入や各種研修の受講が義務づけられることになります。
 県としましては、介護サービス情報の公表における調査員の養成、実効ある事業者指導、介護支援専門員等への研修の実施などにより、介護サービスの質の向上、確保になお一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 土砂災害の防止についてお答えをいたします。
 土砂災害警戒区域いわゆるイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域いわゆるレッドゾーンは、平成十三年に施行された土砂災害防止法に基づき指定されるものです。イエローゾーンについては、市町村が警戒避難体制を整備するための情報、避難勧告を発令するための適切な情報の提供を行います。これに加え、レッドゾーンでは、特定の開発行為に対する規制、土砂災害時に著しい損壊が生じる建築物に対する移転等の勧告を行い、移転融資制度等の支援を図ります。現在、イエローゾーン及びレッドゾーンの指定に向け、市町村と密接な連携を図り、調査をしているところでございます。
 民間の開発行為や宅地造成指導につきましては、現在は、都市計画法及び宅地造成等規制法の技術基準に適合するよう指導を行っております。
 宅地造成工事規制区域指定につきましては、現在、八市町村において約二万五千ヘクタールの区域を指定しておりますが、今後も関係市町村と連携を図りながら適切な区域指定を行ってまいります。また、レッドゾーンの指定を行った際には土砂災害防止法を活用し、適切な対応を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 地域医療格差の是正について、特に地域医療に対する貢献についてお答えさせていただきます。
 県立医科大学といたしましては、これまで県内唯一の医育機関として質の高い医師育成を行ってきたところでありまして、県内公的病院で勤務する医師の約八割以上が本学出身者となっております。
 将来の地域医療を担う医師確保のためには、本大学附属病院での研修医の確保が不可欠になります。しかしながら、研修医が研修先をより自由に選択できる新卒業研修制度が始まったことにより、全国的に地方における医学部卒業生の歩どまり率が低下している状況にあります。
 このような中で、本大学といたしましては、研修環境の充実、特色と魅力のあるカリキュラムの提供などを通じ、本学卒業生はもちろんのこと、他大学卒業生をも視野に入れた研修医の確保に努めてきております。本学は来春独立行政法人となりますが、法人化後も県と連携し、県の進める地域医療施策に協力してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 再質問は一点ですが、あと要望については、この再質問の答弁をもらって一括して要望したいと思いますんで、まず一点質問をしたいと思います。
 地域医療格差についてでありますが、答弁では、地域保健医療計画の見直しに当たり、紀南地域を含めた将来の医師確保をも含めて小児医療対策に必要とされる医療機能と数値目標などを盛り込んでいく予定となっておりますと述べられました。具体的にどこに、どのように、いつまでにやるのかということが全く示されておりません。
 私は、第一点は、小児科医師の絶対数が少ない中で、どう第二次、第三次小児救急医療に対応していくのかということを質問させていただいたわけです。県の答弁では、例えば御坊医療圏は四名の小児科医師で、第二、第三次の小児科医療体制はできるのでしょうか。田辺医療圏は、今度は、紀南綜合病院は六名で何とか小児救急医療に対応していますが、現実は小児科医師の過重労働で限界に来ており、この体制もいつ崩れるかわからない状況にあります。このままいくと、御坊・田辺医療圏とも、小児救急医療は共倒れ現象を起こしかねない状況にあることを御存じなのでしょうか。それに対して具体的にどう対応していくのかということが喫緊の課題であります。いかがでしょうか。
 県はこの実態を重く見て、和歌山医大の協力を得て、早期に田辺医療圏の紀南綜合病院を核にした小児救急拠点病院を整備することを私は具体的に求めます。再度、福祉保健部長の答弁を求めます。
 もう一つは、安心して子供を産める、子育てができる環境づくりの中で、県は、和歌山県あんしん子育て救急整備運営費補助金交付要綱を定めています。この要綱に基づいて、例えば紀南病院への交付金は七百五十四万二千円です。先ほど言いました年間の救急または入院数は五千八百七十七人。初期の診断は除いています。いわゆるその部分、救急、入院数だけの五千八百七十七人だけです。初期を除いてであっても、小児一人当たり年間千二百円程度の支援であります。これがあんしん子育て救急支援と言えるのでしょうか。もっと改善する余地がないのか。これも福祉保健部長にお尋ねします。
 以上、一点だけ質問させていただきます。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 再質問にお答えを申し上げます。
 小児科医不足による医療圏の現状ということを認識しているつもりでございますけれども、小児救急医療対策につきましては、議員御指摘のとおり、まず当然でございますけれども、小児科医不足を解消する対策を講じること、そして現行の体制の中で医療機関の役割の分担、見直しを図ること、こういう二つが考えられると考えております。県としましても、各公的病院の自助努力にも期待しながら、不足している小児科医などの医師を確保するということのための方策を積極的にこれから講じてまいりたいと考えてございます。
 それと、今後とも県立医科大学とも強く連携を図りながら、議員御指摘の複数の二次医療圏での拠点病院の整備も含めまして、県全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
 それから、あんしん子育て救急整備事業でございますけれども、これは、国の救急医療対策事業の補助基準に基づいて算定してございまして、国、県、市町村三分の一ずつ負担・支出しているものでございまして、今後は、基準単価の引き上げなどについて国に対して強く要望してまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、小児救急医療体制、国も危機感を持って検討中でございます。県も十分、医科大学あるいは医師会等関係者とも、医療圏とも協議、御相談しながら緊急に対応してまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 まず、医療の件で。積極的に私は、現場を見て、そして小児科医とも懇談を何回か重ねながら来た結果の中で、これはもう今議会で言うとかんと、実際、田辺・御坊医療圏における小児科救急体制が非常に崩れてしまうという危機感を感じて、私、質問させていただきました。
 もちろん、和歌山医科大学学長を含めて御協力を得なければならないんですが、そうすることによって、やっぱり一点突破で一点拠点病院として集中させないと、今のこの状況で小児科医の不足をすぐに解消することにはならないんですから、やっぱり過渡期として一点に集中して拠点病院をつくって、御坊・田辺、そして串本・新宮の医療圏の緊急の小児の患者に対応していける状況をつくっていくことが今喫緊の課題だということで、きょうは述べさせてもらいました。よろしくお願いしたいと思います。
 また、医科大学長においては、答弁いただきました、県の地域医療政策が具体的に決まらないと和医大は積極的に手を打てない状況にあることについては理解できますが、県下の地域医療に責任を負う専門家として積極的な政策提言と行動を期待したいと思います。
 また、独立法人化に伴い和歌山医大としての地域医療政策を示し、地域の医療機関、公営・民営を含めて、ともに地域医療に貢献するリーダーシップをとっていただくようお願いしたいと思います。とりわけ独立法人になったからといって、自治体病院は、地域医療を守るためには、少なくとも不採算部門を抱えなければいけない部門もあります。そういう意味では、県医療政策と一体となって進められることを要望したいと思います。
 次に、和歌山県の果樹農業振興計画とアクションプログラムについてでありますが、もう長く要望したいと思いますが、結論的に言えば、農業生産者、加工業者、そしてもちろんJAも含めてですけど、そしてそれを販売する民間業者を含めて果樹について確信と展望を持てるものにしていかないと、梅を例にとって挙げれば、ことしは少し値段が下がった、これは大変だなということで、もう大変なだけが前面に出て、じゃ我々がそれを克服して今後どう手を打っていくのかとか、この目標に向かって改善していこうというアクションが具体的に出てこない。
 そのアクションプログラムというのは、ただ単に机上でつくるものではなくて、そのプランを策定するときにはそういう現場の関係するすべての民間の方も参画して、自分たちで五年のマニフェストをつくって計画をつくるなら、いかにこういう不況の中で左右されようとも、天候に左右されようとも、それを克服していくというエネルギーにかえていく。その目標がないから、どうしてもつい人のせいにしたり、いろんなせいにしてしまうということを克服できない。だから私は、そういう今までのプラン──アクションプログラム計画、実施計画は、少なくとも県の財源的裏づけをしながらも農業者や関係するすべての民間業者も含めて確信を持てるようにしていただきたい、そう思うからこそ提案させていただきました。だから、十三年に振興計画をつくり、そして十五年ですか、十四年か、おくれてアクションプログラムをつくるというようなことは、もうやめてほしい。振興計画と同時にアクションプログラムをつくり、その財源的保証をするという計画をしてほしい。国だって、食料・農業・農村基本法をつくって、国で相当の論議の中で全国の果樹農業振興計画を同時に策定していますよ。
 そういう意味では、そういうおくれの時差があっては実際の力にならないということを私、提案さしていただいたわけですから、その点をお願いしたいと思います。
 次に介護保険ですが、実際にこれだけのことを来年の三月までに具体的に各市町村や事業者に指導徹底するということは、タイムスケジュール上は非常に難しいなと私自身は考えております。そういう意味でも、少しおくれるにしても、さっき私が質問し、答弁もいただいたことについて、確実な、的確な対応をしていただきたいと思います。
 ただ、千四百六十六だったかな、事業所がある中で、今後ほとんどすべてを市町村にゆだねていく形を国はとられましたね、介護保険法の改正に伴って。だけど、その指導監督は県がしなきゃならないと。ほんなら、僕は実際、介護保険の担当者ともいろいろ説明聞いたり勉強さしていただいておりますが、千四百六十六カ所を市町村も指導しながら、事業所も指導しながら、一体この職員体制であんたらできるんかということを冗談で言いました。
 そういう意味で、もう少し重点的人的配置をしないと、介護保険法が改正されて、もう国が──どんどんおくれている。それで、来年四月一日から施行されて実施していかなきゃならない限られた時間の中で、どうこれをしていくかということについては、重点的にやっぱり適正な配置を考えないと、この体制が崩れてしまうんではないかということを感じましたので、その点は十分県当局の総務部の方でも検討いただけたらありがたいと、こう思っております。
 それから、土石流について。知事にちょっと私の提案で意見を聞こうかなと思ったんですけど、もうそれはいいとして、和歌山県は、実際にそれだけの数の、特にそういう土石流渓流の地域や急傾斜、いろいろと地すべりがある中で、これをすべて、景気のええときだったら、ほんまは地方の土木事業を反映して公共事業をどんどん活性化してどんどん金をつぎ込んでやれば、今まではそれが非常に景気活性化、地域活性化になっていたわけですけど、そういう実態にない時代の中に、今そういった非常に危険な一万を超える箇所に対してどうするかということになると、もちろん工事はしていかないかんけども、優先順位でしていかないかんけども、その地域に対して、特に過疎、高齢化の人たちに対して、そういう福祉、災害、公営住宅という部分での一元化したサービス体制を考えていく時期に来ているんではないかと。
 しかも、これからは三位一体──地方財源が移譲されたときに、国のひもつきの福祉サイド、国のひもつきの建設、国のひもつきの災害防止ということではなくて、地域の実情に合った地方の財源の使い方に変わってくると思うんで、そういう発想の転換をしていきながら、地域の災害防止の、特に人の生命を守るという立場からの新たな発想の転換の企画をお願いしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十三分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 第一の柱は、これまでも取り上げました国道三百七十号、海南市の阪井バイパスにかかわる問題であります。
 これまでの質問で一貫しているのは、阪井バイパスというのは海南市の動脈とも言える道路・国道三百七十号の渋滞を解消するものであり、早く完成してもらいたいという立場であります。特に最近二回の質問では、早期完成のためにも地域住民の意見をもっと聞くべきではないかということを申し上げてきました。本日は、その立場をさらに具体化した提言をしながら、県当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
 阪井バイパスについて測量・調査の予算がついていますが、住民との話し合いが進展していません。この道路は、往々に都市計画道路がそうなっているような、線引きはしたが凍結というようなことにするわけにはいきません。海南市にとっては死活の問題です。精力的に話し合いを進めていただきたいと思います。
 前回の質問では、国土交通省も計画段階で複数の案を出して計画を決定するという市民参加型道路計画プロセスのガイドラインというものを出しているが、阪井バイパスの計画にはその考え方が生かされていない、都市計画審議会でも県がつくった計画を一方的に押しつけるという印象を与えているということを問題にしましたが、そういう印象をぬぐい去らないと住民の皆さんとの話し合いは進展しません。
 審議会で承認された計画というものは、地質調査、測量、そして住民との話し合いによって計画の修正を前提としているものです。測量や地質調査を通じて、どう住民の皆さんの意見との接点を求めるのかという立場に立っていただきたいと思うわけであります。
 何といっても一番の心配は、盛り土によって地域が分断されるのではないかという問題です。盛り土には防災上の心配の声もあります。盛り土を下げて平面交差にする方法はないのでしょうか。手前の山にトンネルを通すという方法があります。切り土をもっと深くして平面交差にするという方法もあります。さらに、平面交差が不可能な場合、盛り土でなく、柱を立てる工法も考えられます。龍部池という池に橋をかけるか、埋め立てできるかでも条件が変わってきます。
 トンネルを掘ることは技術的に不可能ではないでしょう。山が低過ぎて難しいという意見もありますが、これまでの計画ではトンネルは考えていなかったから、手前の山を迂回するような曲がったルートが選ばれているのです。トンネルにするなら、迂回せずに真っすぐに道路をつけることができます。一体トンネルにすればどれだけ土が出るのか、どれだけ費用がかかるのか、あらゆる工法について試算をし、住民に提示し、住民合意を図るべきではないでしょうか。さらに、計画は往復四車線という広い道路ですが、まず往復二車線の道路を早く通すことを考えてもいいのではないでしょうか。
 しかし、現在の当局の姿勢というものは、住民の側から見ると、都市計画審議会を通すときに考えた計画が一番いいんだという立場で、住民を説得することしか考えていないように見えてしまうわけです。計画どおりにするためにというのでなくて、住民の要求と接点を求めるために住民の皆さんと話し合っていただきたいと思うわけです。
 阪井バイパスはどうしても進めなくてはならないという立場で、思い切って住民の意見を受け入れながら接点をつくっていくという私の提言についてどうお考えでしょうか。県土整備部長からお答えください。
 さらに、地域のいろいろな考えをお持ちのお宅を訪問してみました。さまざまな心配をしていらっしゃる方がおられます。例えば、その地域で陶器を焼く窯をお持ちの方がいらっしゃる。陶芸家として評価されている方です。その窯が道路用地にかかるかもしれない。その方は、道路のためには協力しなければいけないと思っていますとおっしゃっていますが、それでも簡単ではありません。
 陶器というものは、焼き始めると、つきっきりで泊まり込んで火かげんの調整をしなくてはならないんだそうです。そういう窯は煙が出るから近所から苦情が出る。どこにでも置けるものではないんだそうです。こんな私とこみたいな事情を行政は理解してくれるんだろうか、その方は不安そうにしておられました。ごく一例ですが、それぞれの方がいろいろな事情をお持ちだと思います。
 用地買収にかかわる、あるいは近接するお宅について、測量や用地買収の金銭交渉より前に、個々の御家庭の事情を聞いて回ってほしいという声もお聞きしました。そういうことはすぐにすべきだし、できると思うのですが、いかがでしょうか。これも県土整備部長からお答えいただきたいと思います。
 大きな第二の柱、日方川の改修にかかわる問題です。
 海南市の日方川の改修が少しずつ進んでいます。この川の改修が急がれるのは、その上流の重根地域で区画整理事業が進んでおり、急速に田んぼが宅地に変わっているからです。雨が降れば田んぼが調整機能を果たしてきた水が、一気に日方川に流れ込みます。河川の改修の予算が少なくなっている中ですが、一日も早く進めていただきたいと思います。
 ところで、この日方川の東橋という橋の上流の十数戸のお宅が河川改修に協力して立ち退きをしたのは、もう何年も前のことです。河川改修の計画では、この部分は階段状にして川に親しめるような設計になっていますが、今のところは立ち退き跡地は空き地のままになっています。そして一方、その空き地に沿って市道が通っていますが、車の対向には大変苦労するような道路であります。
 私は議会に出させていただいてから何度も、小さい問題ではありますが、行政の谷間とか、県、市の行政の協力ということを申し上げてきました。一方では、河川改修のために確保した余裕のある用地がある。一方では、それに隣接して大変狭くて困っている道がある。工夫をすれば、余りお金をかけなくても市民に喜んでいただけるようにできるのではないでしょうか。
 さらに、この問題で、市民の中から、日方川のこの部分の階段状の改修計画は、大水が出たときに、例えばそれを見に行った人が水に巻き込まれるとか心配なのではないか、こういう意見もありまして、もう少し検討も要るのかなと考えたところであります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 一つは、日方川の改修計画の全体像と見通しをお教えください。
 二番目に、東橋上流の立ち退き跡地の一部を市道拡幅のために提供することについていかがですか。あるいは、河川改修に当たって、周辺道路交通への配慮ということもできるのではないでしょうか。
 第三番目に、階段状の河川改修計画について、地元及び海南市の皆さんの御意見をよく聞いて検討したらいいと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上、県土整備部長への質問であります。
 第三の柱は、教育の問題です。
 その第一は、通学路の安全確保の問題です。
 具体的な問題から入りますが、一例を挙げますと、国道四百二十四号は大変整備がおくれた国道で、これまでも海南市から金屋に越えるのも大変狭いことが問題になっていますが、本日取り上げるのはこの道路、中野上から北野上に向かっての部分であります。
 歩道が整備されていない道路を大きなトラックが走ります。通学する中学生が自転車で側溝に飛び込んだとか、七山・青葉台団地から北野上小学校に通う児童の安全が心配だとか、いろいろな声が上がっています。せめて児童生徒の通学にかかわる部分ぐらい優先して歩道整備をお願いしたいと思います。ここだけの問題ではないと思うんですが、県土整備部長の見解をお伺いいたします。
 さらに、こういう問題、県下にはたくさんあるだろうと思っています。県教育委員会は通学路の安全のために道路担当者とどう連携をとっておられるのか、教育長にお伺いいたします。
 教育問題の第二番目は、教員の広域異動、特に管理職の広域異動にかかわって教育長にお伺いいたしたいと思います。
 先日、私のところに、みなべ町の退職教員の方から電話がありまして、突然の電話なので何だろうと思ったんですが、「教員の広域異動がひど過ぎると思うんです。教職員の疲労を大きくし、通勤手当が多くかかるだけでむだではないか」、こんなお話でありました。
 さらに気になるのは、管理職の広域異動であります。ある中学校で──その中学校区には三つの小学校があります。その四つの学校の中で、その中学校と三つある小学校の二つの小学校、その校長が他郡市から通勤をしており、その郡市では教職経験を持たない方であります。また、その中学校の教頭もこの地域で教職経験を持っていない方が教頭になっておられる。校長も教頭も地域での教職経験を持たない人事配置では、管理職が地域のことを知らないばかりか、時間外に子供にかかわる問題が起こっても、すぐに駆けつけるということができないなどの問題もあります。どうしてこういう無理な人事をなさるんだろうか、こんな声を、地域の保護者や、そしてそこに限らず幾つかの教育委員会関係者からもお聞きしたことがございます。
 今、地方分権ということが言われているその立場でも、もっとこうした人事は市町村の教育委員会に任せた方がいいんではないか、こういうふうに考えるんですが、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
 最後の第四の柱は、「和歌山の部落史」とその中心になっている社団法人和歌山県人権研究所にかかわる問題についてお伺いいたします。
 「和歌山の部落史」については、これまでも二度取り上げてきました。第一回は昨年の六月県議会、「和歌山の部落史」を編さんするために社団法人和歌山人権研究所の補助金が当初予算に組まれていたのに、予算審議をした県議会には全くわからない形で組まれていた問題でした。ことしの二月県議会では、その企画の可否はともかくとして、本当に十年でできるのかということもお聞きしました。いろいろ心配をしていたんですが、その後、この企画にかかわるずさんさといいましょうか、また社団法人和歌山人権研究所にかかわる不思議な問題が明らかになってまいりました。今からその問題について申し上げます。
 問題の第一は、関係団体への不正常な県からの補助金が出ているのではないかという問題です。
 「和歌山の部落史」編さんの中心になる社団法人和歌山人権研究所なるもの、その前身は、和歌山県部落解放・人権研究所という運動団体が設立した研究団体でありました。この団体が「牢番頭家文書」と言われる古文書を出版するに当たって、和歌山市から平成十一年度から五年間、毎年百万円の補助金を受けています。和歌山市議会議事録によると、「和歌山県部落解放・人権研究所に対し、県と同額の補助金を交付するものであります」、こういうふうに議事録に出てきます。それは、この研究所が、県の補助金も受けるから和歌山市も出してほしいというふうに和歌山市に対して要請してきたからであります。ところが、和歌山県は、その補助金についての情報公開を求められて、県は補助金を出してもいないし、依頼もないという回答をしたわけであります。
 和歌山市に提出された人権研究所の事業報告を見てみました。そこには、県の補助金が記載されています。ところが、県は補助金を出していないと言っている。このなぞは何なのか。人権研究所がうそを言っているのか、和歌山県が事実を隠しているのか。これは二つに一つしかないわけであります。人権研究所が県から補助金を受けているということが事実だったとしても、それは裏金と考えるほかはないのではないでしょうか。これが明らかになった事実です。
 第二の問題は、「和歌山の部落史」にかかわる問題です。
 七月十一日に、和歌山の部落史研究促進協議会の総会が開かれています。これは、「和歌山の部落史」にお金を出す和歌山県及び市町村を会員とする協議会でして、会長は木村良樹となっている。そして、そこで決定された規約には「本会の住所を和歌山ビッグ愛、財団法人和歌山人権啓発センターとする」と書かれていました。
 田辺市から出向する職員は、人権啓発センターに住所を持つ和歌山の部落史研究促進協議会に派遣されることになっていました。そして、それを田辺市との間で取り決めた文書、「木村良樹」という大きな角印が押されています。ところが、ここに事務局を置くということは、当の人権啓発センターの了解も得ていないということが明らかになりました。それでは、職員はどこに出勤しているのかと言えば、同じビッグ愛の中にある社団法人和歌山人権研究所に出勤しているということであります。私は、八月八日にビッグ愛の中にある二つの事務所に足を運んで、この事実を確認してまいりました。
 この二つの事実を踏まえて、質問をいたします。
 まず、知事及び企画部長から、「牢番頭家文書」出版にかかわる県の補助金というもののなぞについて御説明いただきたいと思います。県はお金を出したのかどうか、出したとすればどういう性格のお金であったのかという問題であります。
 次に、社団法人和歌山人権研究所という団体、こうした疑惑が生まれた中で果たして公益法人としての適格性、どうなんでしょう。その適格性が問われているのではないでしょうか。これは、この団体を管轄する教育長の見解をお伺いしたいと思います。
 さらに、多額の補助金を出して「和歌山の部落史」をこの社団法人を中心に編さんするということの可否も再検討しなくてはならないと考えます。また、和歌山の部落史研究促進協議会の事務所の問題、一体どうしてこんなことになったのでしょうか。さらに、田辺市から派遣される職員は、協定を結んだ相手とは別の──その協定を結んだ事務所がそのときはなかったわけですが──全く別人格である社団法人に派遣されているとすれば、これも問題があると思います。いかがでしょうか。以上は、企画部長にお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わりにさしていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 「紀州藩牢番頭家文書」、これは平成十一年度から編さんが始まり、平成十五年五月に「城下町警察日記」として刊行されたもので、これは幕藩時代の和歌山の歴史的な文書を出版するということで価値のあるものができ上がったという印象を、私も見ましたけれども、持っておりました。
 それだけに、先日、担当の部局からこの編さん事業に対する県からの支援に関連して不適切な事務処理が行われた形跡がある旨報告を受けまして、大変残念な思いをしているところでございます。
 さまざまな改革や見直しを進めている中で、過去のこととはいえ、このようなことが判明いたしましたことは極めて重大なことと受けとめるとともに、関係部局に対し、直ちに調査を行い、実態を解明の上、厳正に対処するよう指示したところでございます。
 内容等については、担当部長の方から答弁をいたします。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 阪井バイパスについてお答えをいたします。
 阪井バイパスにつきましては、国道三百七十号の海南市東部地区での交通渋滞や幅員狭小区間を解消し、安全で円滑な交通の確保を目的として計画をされ、昨年十二月に都市計画決定をされたところであります。その手続において、多くの意見書が提出されたこともあり、県及び市の都市計画審議会において地域住民と十分な協議を行い、特に環境面において十分に配慮することとの附帯意見がつけられたところであります。(「目線を質問者の方へ向けなさいよ」と呼ぶ者あり)はい。
 今年度より、測量、地質調査、道路詳細設計を予定しておりますが、その作業の中で、都市計画決定の際、提出された意見を含め、地域分断の問題や大規模な切り土に伴う環境問題など、さまざまな観点から検討を行うとともに、住民の方々と十分協議しながら事業を進めてまいります。その結果についても、住民の方々に説明をしてまいります。
 議員から、トンネルの検討など技術的に困難な御指摘もいただいておりますが、技術的にも十分な検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、陶芸の方のお話などございましたが、住民の方々の個々の事情を伺いながらきめ細かな計画を行うのは、これは当然のことでございます。この六月に測量立ち入りの地元説明会も開催し、地元の意見も伺っておりますが、当面は地権者の方々への測量の立ち入りの了解を得る機会を通じ、地元の意見も再度伺ってまいります。
 いずれにしましても、都市計画審議会の附帯意見を十分尊重し、事業を進めてまいります。
 次に、日方川改修計画についてお答えいたします。
 日方川改修計画の全体像と見通しにつきましては、昭和六十三年度に河川改修事業に着手し、新町橋から神田橋までの間、八百九十メーターを重点整備区間と位置づけ、整備を進めているところであります。平成十七年度から十九年度にかけて井松原橋をかけかえし、その後、上流の神田橋までを整備していく予定としております。
 次に、河川整備にあわせた周辺道路整備につきまして、議員御指摘の箇所は、親水性護岸の用地や水防活動等、河川管理上の必要性から確保しているところでありますが、今後、実施に当たり、海南市と河川空間の有効活用、利用方法について協議をしてまいります。
 階段護岸による改修計画は地元の意見も踏まえてという御質問でございますが、階段護岸につきましては親水性に配慮して計画をしたものであり、これまでに地元に説明をしているところであります。今後も実施に当たり、治水上の安全を確保するとともに、地元の皆様の御意見を参考に、安全で親しみやすい河川整備等を検討してまいります。
 次に──済みません。ちょっと答弁書を忘れました。──大変失礼をいたしました。
 次に、通学路の安全確保についてお答えいたします。
 通学路の安全確保は非常に重要であると考えており、交通安全事業の中でも重点的に取り組んでおります。御指摘の箇所の歩道整備については必要性を認識しており、歩道設置を検討してまいります。なお、事業化には海南市や地元皆様方の協力が不可欠であり、今後とも調整に努めてまいります。
 以上であります。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 御質問にお答えをいたします。
 まず、「紀州藩牢番頭家文書」の編さんにつきましてでございますが、平成十年度に県と和歌山市に対しまして人権研究所が支援要請を行いまして、それぞれ同額を負担するということで平成十一年度から事業がスタートしたというふうに聞いております。
 和歌山市は、補助金といたしまして五年間で五百万円の支出を行っておりますけれども、本県では会計上の正規な補助金として支出されていないことが判明しております。関係者等の聞き取りなどから、県から人権研究所に対しまして補助金に相当するものが支払われたことは事実のようであります。具体的には、平成十一年度から三年間で数件、書籍や啓発ビデオなどの購入名目で支出をしておりまして、支出先は人権研究所が実質的に運営をしております解放出版社和歌山支局となっております。
 現時点で当部が把握しております状況は以上のとおりでございますけれども、当時のいきさつや個々の支出につきましてさらに詳しく調査を実施いたしまして、その結果を踏まえて適切な対応を行ってまいります。
 次に「和歌山の部落史」の件でございますけども、部落史は、差別の歴史的過程を解明することにより部落差別の本質を明らかにし、よって効果的な人権教育、人権啓発に結びつけるとともに、差別とこれを解決するための取り組みの歴史を教訓として後世に残そうとするものであり、学術的に非常に価値のある事業であることから、県といたしましては推進していく立場に何ら変わりはございません。
 この八月には、学者、研究者で構成する和歌山の部落史編纂委員会が発足いたしまして、薗田委員長初め──この方は関西大学の名誉教授でございますが──八人の委員の方々が決まりまして、編さん体制が整っているところでございます。また、高野山において貴重な歴史的文書の公開も決まるなど、人権研究所において順調に進められております。
 さらに、四点目であります和歌山の部落史研究促進協議会の事務所の所在地につきましては、当初、研究業務を円滑に行うため、財団法人和歌山人権啓発センターとしておりました。その後、協議会業務を進めていく上で同センターとしておく必要がなくなったので、現在は和歌山県企画部人権局を所在地としております。
 なお、田辺市の職員が研究所で編さん業務に従事することにつきましては、問題ないものと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、通学路の安全につきましては、県土整備部や警察本部と協力して、その改善に努めているところであります。また、地域の方々の協力を得ながら児童生徒の登下校時の安全確保に努めていくことが重要であると考えております。
 次に、教職員の人事異動につきましては、全県的な視野に立って本県教育の一層の充実・発展を期すため、市町村教育委員会との緊密な連携のもと、適材を適所に配置し、教育効果を高めることを目的として実施しております。特に管理職の異動は、教職員の情熱や意欲を喚起し、能力を発揮させることができる有能な人材を配置する観点から、平成十四年度以降、より広域的に進めているところであります。
 今後ともこうした趣旨を踏まえつつ、御指摘の点も含め、市町村教育委員会と十分協議しながら、地域の実情に配慮し、広い視野に立ってバランスのとれた人事異動に努めてまいります。
 最後に、社団法人和歌山県人権研究所につきましてお答えします。
 当研究所は、部落差別を初めあらゆる差別の撤廃を図るため、人権教育等に関する調査、研究並びに啓発活動を実施することを目的に、平成十四年十月に認可した公益法人であります。当該法人に対しては、本年八月に定期の実地検査を行っております。その結果、収支状況及び資産状況等について公益法人として適格性に欠けるような不適正な事実は認められておりません。今後、必要に応じて関係機関と連携を図りながら調査を行ってまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。幾つか前向きの答弁もいただきました。
 まず、再質問を二つしたいと思います。
 質問事項から先に申し上げますが、一つは、管理職の広域人事の問題です。
 「適材適所」「教育効果」、どこでも使える言葉でお答えいただきまして。まあしかし、「質問のことも生かしながら」ということも言っていただいたんですが、もう少しお聞きしたいと思います。
 今、地方分権というのが一つの流れでしょう。ところが、今、教育行政を見てみますと、教育事務所が廃止されて、人事行政も県教委に集中するようになっていることが少なくないのではないかという心配をするわけです。
 教職員、特に管理職が幾つかの地域や学校を経験することも、もちろん必要なことだろうと思います。その場合も、例えばある小さい町で、教育委員会がこの教員に管理職として立派になってもらいたい、そのために大きな学校も経験させたいと考えた場合に、その小さい町の教育委員会が、例えば和歌山市なりなんなり大きな町の教育委員会に話をかけて、「この先生は期待している教員なので、しばらくおたくの教育委員会で教頭を経験させてくれませんか」、こういうお話をする。そして、それを受けた大きな町の方でも、「それはお受けしましょう」と。それで、「私とこでも、この小さい学校のよさを学んできてもらいたい先生がいるので、それじゃ今度は私とこのだれだれという者をそちらでしばらく預かってくれませんか」「そうしましょう」と、こういうことのやりとりでもありまして、その間の仲介のようなことを教育委員会がしたらいいんではないかと私は思うんですよ。
 そういうふうなやりとりでこの管理職のそういう人事がやられているんだったら、私が今話したような、ある中学校区で四つしか学校がないのに、そのうちの三つの学校にその地域の経験のない管理職が来ている、あるいは一つの学校で二人ともその地域での教職経験がないなどということは、まず起こりようがないと思うんですね。何か、この上の方からやっているからそういうことが起こるんじゃないか。だから、もっとこの地方分権というね。だから、県の教育委員会、いつも何かやる場合は「市町村の教育委員会と相談してやってます」というふうに言われますけども、やっぱりまず地方の方が先であって、そしてその調整や手伝いを県の教育委員会がしたらいいんだというぐらいのそんな割り切り方をした方がこういう人事行政でうまくいくんではないかという気持ちを、私は持っています。
 余り考えていること違うんではない、否定されないと思うんですけど、ひとつ教育長の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
 次に、社団法人和歌山人権研究所と「和歌山の部落史」の問題ですが、知事からも企画部長からも重大な問題を含んでいるという認識が示されまして、恐らく調査に一定の時間がかかるのはやむを得ないだろうと思います。ただ、それをしながら一方では「和歌山の部落史」、あるいはこの社団法人和歌山人権研究所にかかわる問題というのは全く手つかずでそのまま進めていくという、こういう御答弁なので、もう少し私は突っ込んでこの問題について申し上げたいと思うんです。
 問題を解明するために、私は和歌山市の担当課にもお会いをして話を聞きました。和歌山市は補助金の交付規則を持っていますから、その規則で補助団体には立入調査をする権限を持っています。そこで和歌山市は、五月の二十五日と二十七日の二度にわたって立入調査をしたそうです。そこで、県からちゃんとこんなぐあいに振り込んでいますよという通知を見せてもらったそうですね。初め一たんは、ああ、そうかと思ったそうです。しかし、県から振り込みをすれば、通帳というものは、どこどこから振り込みというふうにちゃんと機械で出てきますね。それがないではないかということが問題になって、一体どうしてですかというふうに聞いたら、別の通帳に振り込まれたものを一たん引き出して、それをATMで自分で現金でその通帳へ入れたから、だから振込先がないんだと。こういうことがはっきりしてきたという、こういうことでありました。そして、これはどういうお金かということになってきたわけです。
 その後、判明したのは、企画部長も少し触れていただいたんですが、「解放出版社和歌山支局支局長」という名前で書籍代の請求書が送りつけられて、県が受け付けの判を押しているということがはっきりしました。中身を見ますと、びっくりするんです。二〇〇二年度には「部落そして人権・環境」、単価二千五百円のものを百冊買っています。それから、「新修 部落問題事典」という本は、六千五百円という高いものですが、これも百冊買っています。その年は九十四万五千円。まだ百万円に足りませんね。それとは別に、大阪にある解放出版社からも書籍代の請求があり、振り込みしているんですが、こちらの方は一冊ずつ振り込んでいるんです。恐らく、これは本当に買って、そしてどっかへ、センターへ置いたんでしょうね。
 一方、和歌山支局支局長への振り込みは、補助金相当の裏金でないかと推測されるわけで、このことは企画部長も今そういうことについて言われました。
 しかし、この情報公開で私が手に入れたものでは、二〇〇二年度で九十四万五千円、二〇〇一年度で七十一万四千円でありまして、和歌山市に提出された和歌山県部落解放・人権研究所からの事業報告によりますと、県からの補助金は、初めの年にかなり多くて──後の方で百万円になるんですが──五百八十六万二千五百円となっています。ですから、まだどこかにこのお金の出どころがあるわけですね。だから、企画部長が答弁された「書籍や啓発ビデオなどの購入の名目で支出をしており」ということで、これからその中身をずっと五百八十六万になるまで調べていただけるんでしょうね。
 だれがこういうことにかかわったのか、担当職員だけでできるものではありませんから、この責任がどこまで当時の上層部に及ぶのかなど、調査も時間がかかるでしょう。しかし、何らかの裏金が動いたという事実は、県当局は既にはっきりしておられると思います。
 また、百冊の支出が名目だけで実際に書籍が購入されていないとすれば、請求書を出した側はどうなるのか。つまり、百冊という解放出版社支局長というので判を押して請求書を出しているのは、解放出版社の側です。そして、その方は和歌山県部落解放・人権研究所の役員の方でもあります。つまり、不正な金を渡した場合、渡した方にも責任はあるけども、もらった方は責任がないなんて、そんなばかな話はない。
 そうすると、和歌山県部落解放・人権研究所というものが今後のこの調査の中では、公益法人としてふさわしいのかどうか。今、教育委員会の教育長の答弁では、八月に調べたときは不正はなかったというふうに言われているんだけども、しかし、これは部落解放・人権研究所だけでなくて、社団法人になってからまで引きずっている問題ですよ。
 ところが、その不正が、まあ言うたら見つけることができなかったということなんでしょうが、答弁が。そしたら、今後一体どうなるのか。まずこういう事実について、私の申し上げたことに県としての認識上の違いがあるのか。それは違いますよとなったら「違いますよ」と言うてくれたらいいですし。その点を企画部長にもお伺いしたいし、それは今後、こういう金を渡したも不正なら、もらったも不正だという関係が出てきた場合に、公益法人という問題について再検討する必要があるか。もちろん、今それをどうするという結論は求めませんが、そういうことも含めて問題になってくるんではないかと私は思うんですが、その点、教育長にもお伺いしたいと思います。
 なお、田辺市の職員の勤務については、問題ないと言い切っていいんだろうか。これは、判こを押しているのは──恐らく事務所はまたその後、判を押し直して移したんだと思いますけどね。しかし、この社団法人というのは別人格ですから、そこで仕事をして何も問題ございませんというのでは少し問題があるんではないかということだけ申し上げておきます。
 それから、知事にお伺いいたしますが、こうした事実の究明で、県庁内の個人の責任究明ももちろん要るんですけど、私はそれ以上に大事だと思うのは、やはりこういう運動団体と県の間の不正常な、まあ「癒着」という言葉は適切か、余り使ってほしくないでしょうけども、やっぱり癒着でしょうね。そうしか言いようないですね。そういう問題を断ち切るチャンスだというふうに私は思っているんです。これが明らかになった機会にそのうみを出し切ってもらいたいというふうに思うんですが、そういう観点で知事からももう一言、答弁をいただきたいと思います。
 あと、まだありますか。──あと、少し要望を申し上げておきたいと思います。
 きょうは、阪井バイパスの問題で多くの皆さんが傍聴に見えていただいています。先日、この皆さんの中の何人かが県庁の前でチラシも配布されたそうです。「県庁の前でチラシを配布するなんてことは生まれて初めてだ」というふうに多くの皆さんが言っておられましたね。
 その中で一人が言われたんですけど、「一生懸命チラシまいていたら、県庁の職員でも興味を持って受け取ってくれた人があってうれしかった」と。しかし、全く受け取ろうとしない職員もいましてね、「一体この人ら、県民の声をどない思ってるんやろうと思って悲しかった」という感想を述べられた方がおられました。
 これは勤務時間外ですから、県庁の職員、何も、受け取らなんだらけしからんとかそんなこと、私は言う気ないですよ。全くそれは個人の御自由なんですけどね。しかし、そのことを皆さん言われるのは、やっぱり県がもうちょっとわしらの思いを聞いてほしいという必死の思いがその声にもあるんだなというふうに思ったということも御紹介して、ぜひともこれからの仕事をするのにそういう皆さんの声をしっかりと聞いていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから日方川の改修の問題ですが、これは、当面の橋を二年間でつくって、そこから先、いつまでできるかという期限がなかなか出ないんですね。これはやっぱり河川改修の予算が削られてきている中で、私もこの本会議でも言いましたし、決算委員会でも申し上げましたけども、かつては十六億ぐらいあった予算が六分の一に減っているということも指摘しまして──ことしの予算では少し復活していただいたんですが、やはりこの河川の安全問題、大変大事だと思います。同時に、もう一つの用地買収が済んだ用地を活用する問題というのは、何もその場所まで工事が進むまで待たなくてもできる話ですんで、これはできることからどんどんやっていただきたいと思っています。
 以上のことをお願いしまして、私の第二回目の質問と要望事項を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 私は、この同和問題ということについては公正無私ということで、知事に就任して以来、ずっとその方針で対応してきております。これは、今までどういうことをしてきたかということを見ていただければわかると思うんですが。そして、その中で、この今問題になっております和歌山人権研究所というのは人権問題の調査研究を目的とした公益社団法人で、これに参加されている学者の方、私も個人的に知っている方もおられますけども、非常に立派な方で、今まで人権に関する研究集会や講座の開催、出版などを行ってきているというふうに認識をしているところでございます。
 今後とも、この研究所とは、当然のことながら協力をできるところは協力し、お互いの立場で人権問題に取り組んでいきたいと、こういう考え方でございますし、それから運動体の問題につきましては、これは真剣に活動しているあらゆる団体と自由な意見交換を行い、当事者としての意見を聞きながら県として主体性を持って人権行政の推進に努めていくと、これはもう大原則ですし、私はそのとおりこれからもやっていきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 再質問にお答えいたします。
 先ほどの回答と重複いたしますが、詳しく事実を究明いたしまして、調査いたしまして究明しまして、その結果を厳しく受けとめまして県として対応してまいりたいというふうに考えております。
 それからまた部落史につきましては、高野山金剛峯寺の支援とか、多くの学者、研究者が参加するなど、事業が順調に今進んでおります。県といたしましても、和歌山の部落史研究促進協議会を通じまして、研究所に対して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) お答えいたします。
 和歌山人権研究所の件につきましては、法人の認可を行った県教育委員会として、今後必要とあらばさらなる調査を行うことにやぶさかではございません。
 次に、教職員の人事、なかんずく管理職の人事異動につきまして種々御意見をちょうだいいたしました。
 おっしゃるようなさまざまな学校の置かれている環境の違い等を踏まえ、規模や地域、それらをさまざまそれなりに経験をしてもらいながら、管理職としてより高い識見を持ってもらうというのは大事なことでありますから、広域的な人事はこれからも進めていきたいと思っております。その際に、現状においても既に行っているわけでありますが、県教育委員会の担当の人事主事と各市町村の教育長との間では、長時間にわたって非常にきめの細かい協議を行っております。おっしゃられたような仲介的な役割を県教育委員会が果たしているケースも間々あります。
 そういう中で、当該地方に勤務経験があるかないかということが最大唯一の問題点ではなくて、その学校に勤務した中で地域との新たな関係が生まれるということも十分ありますし、多くの新しい息吹が生まれてきたというふうな好評をいただいているケースも多々ありますので、先ほどお答えしましたように、十分な配慮を行いながら、より広い範囲で和歌山県全体の教育の向上のために頑張ってくれる管理職を育成していきたいというふうに考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 「和歌山の部落史」と人権研究所の問題は、今議会でけりがつく話でなくて、調査をしたのを受けてさらに議論をすることになるので、あとはもう意見だけを申し上げておきますが。
 やはり知事がおっしゃったことは、こういう不正な金の受け渡しというものが発覚しない前ならその話でいいんですよ。立派な学者がいて、どうこうこうこうという。それは立派な学者がおられるでしょう。けども、立派な学者がおられても、あるいは立派な大学の先生であっても、不正なことをやったということが問題になって裁判になったりいろいろしたことがあるし。今、問題は、そういう、そこに所属する学者がどうであるかという話じゃなくて、現に五百万の金、あるいはそれを超える金を、県が出してないのに人権研究所が受け取っている、そのためにそれに関係する者を使って、にせの請求書をつくって、こういう金を回したということがほぼはっきりしてきて、これから真相を究明する段階へ来てるという中での話なんですね。
 そういう話で言うと、知事の答弁というのは全く納得できないということだけ申し上げて。しかし、これはきょうで終わる話ではありませんから、そして知事は公正でというふうに言われましたから、ぜひともこの際、これまで和歌山県にあったうみのようなものがあれば出し切るのに頑張っていただきたい。引き続いてこの議論をしていきたいと思います。
 以上で、私の質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十六日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十八分散会

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