平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 通告の内容は、指定管理者制度と県立医大の独立行政法人化についてであります。既に議論がされ、当局の一定の見解も示されておりますが、ともに今議会の重要案件でもあり、私なりに質問をさせていただきます。質問項目につきましては、重なるところもあろうかと思いますが、お許しを願います。
 まず、指定管理者制度についてお尋ねをいたします。
 平成十五年九月二日に施行された改正地方自治法により、旧来の管理委託制度が廃止をされました。三年間の経過措置が過ぎると、改正前の管理委託制度による出資法人、公共団体や公共的団体へ管理委託している公の施設については、現行の団体を指定管理者にするか、新たに民間事業者を指定管理者に指定をするか、直営に戻すか、または完全に民間譲渡するか、施設を廃止するかを決めなければなりません。
 現在、県の出資法人や公共的団体などに管理委託している施設は四十四施設あります。そのうちの三十八施設と直営の三施設、合わせて四十一施設を来年四月一日からの指定管理者に切りかえるための条例改正が今議会に上程されております。このことから、県のこの問題については、指定管理者に置きかえていくというのが方針となっているようであります。
 ところで、御承知のように地方自治体の使命は、地方自治法にも示されておりますように、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うことにあります。そして、その目的を達成するための施設として公の施設を設置し、設置主体である地方自治体がその管理を直接行うことが原則とされています。それは基本的には変わらないはずだし、変えるべきではないというのが私の基本的な考えです。たとえ地方自治体が設置をした公の施設を地方自治体以外の団体が管理する場合でも、多数の住民に均等な役務を提供し、その適正な管理を確保する必要があることは当然のことでもあります。今回、指定管理者制度の導入に当たりましても、施設の特性にかんがみてどういう事業者が指定されるのか、選定の経過も含めて個々の施設ごとに判断していく必要があると思うところです。
 今回の地方自治法の改正で、その公の施設の管理について、法人その他の団体であって地方自治体が指定するもので、従来委託できなかった株式会社など、営利を目的とする法人や団体にまで委託の範囲を広げ、単なる業務の委託だけではなく、施設全体の維持や管理、利用許可などの行政処分など、本来自治体が持つべき権限まで含めた委託が期間を区切ってできるようになりました。しかも、公の施設の範囲が地方自治法には明記されておらず、多くの直営施設も対象として検討が進められるのではないかと思われます。指定管理者となった民間事業者は、条例の定める範囲内で地方公共団体の承認を得てみずから料金を設定できることとなり、使用料・利用料はみずからの収入となることから、利用者数の増を図ることによって収入をふやし、県から受け取る委託料よりさらに低い経費で運営することによって収益をふやすことができるようになります。つまり、指定管理者制度は、公共施設の管理運営を民間事業者の収益事業の対象として、民間市場にゆだねることに道を開いたことになります。
 総務省の説明によりますと、指定管理者制度は、公の施設の管理に民間事業者の手法を活用することにより管理に要する経費の縮減が可能となり、その結果、公の施設の利用料の低料金化が図られたり、利用者の満足度を上げ、より多くの利用者を確保しようとする民間経営者の発想を取り入れることで利用者に対するサービスの向上と行政経費の縮減が期待できると説明しています。確かに、豊かなノウハウを持って効率性を追求する株式会社などの民間事業者がサービスの質を競い合うことで県が設置をした施設のその目的が達成できるという施設につきましては、行政コストの削減にもつながり、効果が上がることと思います。
 私が問題にしたいのは、今回の指定管理者制度の導入によって、施設運営の人的体制や財政面も含めて、これまでの施設利用者や住民の権利が擁護され、地方自治体が設置した施設にふさわしく、住民福祉の増進が図られるような運営が長期に安定的に保障されるのかということです。
 既に県立情報交流センターBig・UがNPO法人和歌山IT教育機構を指定管理者として運営が始まっていますが、ここは新規に開設をした施設で、ゼロからのスタートでした。ところが、今回提案されている施設を見ると、すべての施設が既に県の支出する委託費で出資法人や公共的団体などによって運営されてきた実績を持っている施設です。母子、障害児者などの福祉施設、流域下水道など衛生施設、プール、体育館、体力開発センターなどの体育施設、青少年の家など社会教育施設、公園、会館など、すべて住民に身近な施設であり、入所型福祉施設の第一種社会福祉事業施設など運営は、原則として国、地方自治体、社会福祉法人に限られているものも含まれています。下水道の管理も、市町村または県が行うとされているものも含まれています。施設設置の目的や本来期待されている役割など、施設ごとに違う性格を持っており、それぞれの個別法により制限が加えられているものもあります。
 福祉施設のように入所者と利用者との信頼関係を築き上げてきた施設が、施設の過失が原因ではなく、行政の都合によって施設運営者や職員が変わるということは、通常は考えにくいことです。また、福祉施設で運営の効率化や経費の縮減が強調され、追求されていくと、職員の非常勤化、パート化が進み、福祉サービスの継続性、安定性、専門性など、質の低下も心配がされます。
 指定管理者への移行に当たっては、原則として公募により決めるとされていますが、従来から管理委託を受けている団体に十分な管理能力があり、施設設置の目的が果たせると認められる場合には、その受託団体が指定されることが望ましいと考えられます。もちろん、指定された団体が活力をつけ、事業展開を活発化させなくてはならないことは言うまでもありません。
 ところで、地方自治法では指定管理者に委託できる公の施設の範囲が明記されておらず、指定管理者制度の適用については県当局の判断が大きく作用することとなります。指定管理者に指定する仕組みとしても、県が設置する選定委員会の議論を経て県が指定をすることになっていますから、県の指定管理者制度の位置づけや運営に対する基本的な姿勢がそこには反映してくると思います。
 その点で、今回議案に上程されております条例を見てみますと、皆同じ条文のように見受けられます。選定基準についても内容についてもそうですが、その基準の内容、また行政の公的責任のあり方、これは施設ごとによって違ってくるのが当然だと考えられるところでもあります。指定管理者に運営をゆだねることによって住民の福祉の増進にとってどのような効果があると期待できるのか、県当局の基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、指定管理者制度の運用についての基本方針についてですが、指定管理者制度の位置づけと今後の運用方針を文書で既に発表している自治体も幾つかあります。本県ではそのようなものが見受けられないわけですが、指定管理者をどう位置づけて運用していくのでしょうか。指定管理者制度に対する基本的な考えはどのようなものでしょうか。
 運用方針となる事業者選定のあり方として、南紀福祉センターや有功ケ丘学園などの障害児者福祉施設については、条件を満たす社会福祉法人でなければ施設設置の目的達成や適正な運営が確保できないという判断が示されました。これも指定管理者を無限定に考えているということではなく、一定の指定管理者の位置づけと運用方針になるわけです。福祉施設以外でも、現在管理委託している団体をまず指定管理者に指定していくというのも一つの運用方針です。これまで三年間の経過措置の期間があったわけですから、当然、現在の受託団体とも協議がされていたはずであります。
 また、今回提案されている施設以外の他の施設、現在直営の施設についても、どこまでこの指定管理者の範囲として、対象として考えておられるのか。また、将来的には施設の民間譲渡も含めて検討していく、そういう施設も含まれているのかどうか。こういった点について、知事にそのお考えをお尋ねしたいと思います。
 二つ目に、住民の権利擁護と行政の公的責任のあり方についてです。
 指定管理者制度の目的を、住民へのサービス向上と行政経費の節減と説明がされています。指定管理者に利用料金の設定や施設の全体的な管理運営や使用許可などの権限も委託することになるわけですが、住民から見ますと、県が設置をした公共施設であることに変わりはありません。施設利用の主体となるのは住民です。住民の権利擁護、例えば施設入所者の生存権の問題、発達権の保障の問題、青少年施設やスポーツ施設での教育学習権の問題、施設の平等な利用の問題や情報の公開、プライバシー保護の諸権利など、住民の権利が守られる必要があります。また、その権利にこたえた行政の公的責任として、施設の設置された目的が達成されているのか、住民福祉の向上につながっているのか、事業者の指導監督のあり方、こういった点も公的責任の中身として問われると思うのですが、どのように考えておられるのでしょうか。これも知事にあわせてお尋ねをいたします。
 三つ目に、指定管理者の公募と非公募についてです。
 公募が原則と説明をされていますが、地方自治法上は選定委員会の設置や公募が必須条件にはなってはいません。公募せずに指定するということにも道を開いていますが、その点についてどう考えているのか。どういう場合が非公募となるのか。
 今回、扇ヶ浜ビーチハウスが非公募で従来から委託していた田辺市を指定していますが、これは県からの委託費の負担なしで引き受けてくれているという、そういう経過があったと思うんです。県の都合による非公募ではないかと思われるところですが、福祉施設については、利用者や保護者の立場から非公募もあり得るという判断を示されております。当然、住民の権利擁護というサイドからそういう判断もあるべきだと思いますが、この点どう考えておられるのか、総務部長に答弁を求めます。
 四つ目に、指定管理者への委託費についてです。
 指定管理者への委託費が、今回の議案の債務負担行為で三十件、百二億六千五百九十五万四千円計上されています。十七年度当初予算の委託費でこれを見てみますと、出向している県職員の人件費も含めて三十件で約三十億五千万円となっているように見受けられます。今回提案されている債務負担行為分を単年度で単純に割ってみますと二十一億五千万円、十七年度当初の単年度比較で見ると七〇%の経費に抑制されることになると見受けられます。その率は施設ごとに見ると随分ばらつきがあるわけですが、従来の委託費と何が変わってくるのでしょうか。標準人件費という考え方で現行の人件費より単価が低く抑えられているというふうにも思われますが、人員体制については、人数だけではなく専門職の配置が必要な施設もあり、どの施設も同じ一律の基準では、その施設の果たす役割を維持できない場合もあるのではないでしょうか。これも総務部長にお尋ねをいたします。
 五つ目に、指定管理者となった福祉施設の運営についてであります。施設の継続性、安定的維持についてどう考えているのかということです。
 母子支援施設のすみれホーム、なぎさホームについては、十七年度当初予算では国の措置費のみで運営されていて、指定管理者に移行しても変わりはないようです。
 南紀福祉センター、有功ケ丘学園、若竹園の維持管理運営費を十七年度当初予算と比較しますと、南紀福祉センターの十七年度当初は四億八千六百万円、今回の債務負担の単年度額は措置費で支弁される額約二億九千万円で、差額は約二億円生じることになります。これは十七年度当初予算の六〇%の額になります。有功ケ丘学園は、措置費支弁額プラス債務負担五年分で県費九千五百七十六万円を上乗せして、限度額として計上されております。単年度の差額は約一億六千万円の減額となり、十七年度当初予算の四四%の額になります。若竹園は、措置費支弁額プラス五年間の債務負担、県費約一億二千万円を上乗せ計上し、この施設については十七年度当初と比較しても単年度の差額がほとんどなく、現行の委託料がほぼ同額となっているようです。
 施設によってこういった差があるわけですが、これらの施設の措置費、支援費では、これまで維持運営に不足を来した部分、これを県費で上乗せ補助をして補ってきたという経緯があるわけです。
 若竹園はほぼ同額が計上されていますが、南紀福祉センター、有功ケ丘学園が大幅減額となっています。安定的に事業を継続させていくためには激変緩和の措置が必要ではないでしょうか。どうお考えなのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 六つ目に、施設の利用料金についてお尋ねをいたします。
 指定管理者に移行して経費の縮減によるサービスの向上が期待できるとされているわけですが、利用料金はどうなるのでしょうか。指定管理者が徴収する利用料金の限度額はどのように設定されているのでしょうか。現行料金と比較して、低料金化が図られていくことになるのでしょうか。総務部長にお尋ねをいたします。
 この問題の最後に、職員の労働条件についてお尋ねをいたします。
 指定管理者制度は、新たに指定された事業者については雇用効果をもたらしますが、県直営の施設が民間の指定管理者になったり、施設の受託先であった公共団体、出資法人が指定されないとなると、団体の解散、整理とそれに伴う団体職員の解雇などの問題が想定されるわけですが、施設からの県職員の引き揚げに伴う処遇や団体職員の身の振り方など、県は責任を持って対処をしてくれるのでしょうか。
 また、従来から管理を受託していた団体が指定管理者として指定されたとしても、その委託管理費経費、これが大幅に削減されることから、職員の賃金の切り下げ、正規職員からのパート化や下請化、派遣職員への置きかえなど、労働条件に変化は起こらないのでしょうか。これも総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、県立医大の地方独立行政法人化についてお尋ねをいたします。
 今議会に、県立医科大学の独立法人としての定款、評価委員会設置の条例、医大の県有資産の独立法人への権利承継の議案が提案されています。
 定めようとする定款では、法人の理事長は学長とし、学長となる理事長を選考するための選考委員会の設置、理事長、副理事長、監事などの役員と理事会の設置とその権限、審議機関としての経営審議会、教育研究審議会の設置など、法人の組織や法人の業務の範囲などが規定をされています。法人の設置者としての知事が法人の中期目標を作成し、法人は中期目標を達成するための中期計画及び年度計画を定め、計画的に業務を遂行し、知事が任命する第三者機関となる評価委員会の評価を受けるとしています。法人の会計は、行政の一般会計、特別会計から独立した企業会計制度に移り、職員の身分も非公務員となり、組織的には行政組織から分離し、独立したものになりますが、知事が法人の中期目標を作成することや、法人への運営交付金も知事の判断によることから、法人の運営や業務の内容については知事の政策的判断の影響を色濃く受けることにもなっています。
 県内唯一の医科大学とその附属病院が独立法人化によって自主自律的な運営が可能となると言われてきましたが、どのように生まれ変わっていくのか。単に組織が変わり、経費の削減が進められるだけのものになるのか、それとも県内の医療を取り巻く諸状況が改善されていくのか、その方向での改革となっていくのか、非常に注目がされるところでもあります。
 このたび法人の基本形態、組織についての基本計画も策定されたところですので、提案されている議案の内容も踏まえて、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一つは、法人の中期目標についてであります。
 法人の中期目標は知事が策定することになりますが、独立法人化する医大の意見はどの程度反映されることになるのか。もちろん、双方の立場から協議されることにはなると思いますが、知事主導で作成されるのか、大学主導で作成されることになるのでしょうか。
 また、法人に経営審議会、教育研究審議会が設置をされ、委員は理事長が任命するとありますが、大学の自治を保障するための学内者の意見の集約と反映、これはどのようにあるべきだと知事は考えておられるのか。
 また、医科大学の改革基本方針で、県民に対して開かれた大学として外部意見の反映に努めることとあります。したがって、経営審議会、教育研究審議会のこういった委員以外の県民から広く意見や要望を聞く、こういう住民参加、住民の意見や要望を反映させるための方策というのも必要ではないかと思うんですが、そういった点についてどう考えておられるのでしょうか。この問題については知事から御答弁をお願いいたします。
 次に、定款に定める業務の範囲についてです。
 定款が議決をされれば、独立行政法人化に向けた実質的なゴーサインにもなってきます。独立行政法人となる県立医大がどのような業務を進めていこうと考えているのか。県民にこの際説明をしておく必要があろうかと思うところです。
 定款に定めようとする業務の範囲に、「高度で先進的な医療を提供するとともに、地域の保健医療の充実発展に寄与する」とありますが、それぞれどのような内容のものを目指して言っているのか。本県の医療状況と住民の医療ニーズに応じた展開が求められているところですが、高度で先進的な医療とはどういう医療の提供を目指すのか。また、地域の保健医療の充実とはどういう内容のものを目指すのか。県内への医師の養成と派遣、地域の疾病特徴に応じた医療活動の展開や公衆衛生の向上、疾病予防の取り組み、がん、心疾患など死亡率の高さの改善など、今、医療に求められているさまざまな課題があろうかと思われますが、こういった点についてどのように考えておられるのか。これは医科大学の学長から答弁をお願いいたします。
 三つ目に、大学・附属病院の経営改善の課題についてです。
 法人に企業会計が導入されることになり、弾力的で透明性の高い会計制度へ移行すると言われていますが、確かに、一目見ても財務や収支の状況がよくわかりません。現在の収支の状況はどのようになっているのでしょうか。改善すべき経営課題としてどのようなものがあると考えておられるのでしょうか。総務部長に答弁を求めます。
 四つ目に、法人の情報公開についてです。
 法人の情報公開については、法では努力規定になっています。二月議会の答弁では、法人の情報公開のための制度整備を検討するとされていましたが、どのような方向で検討がされているのでしょうか。総務部長に答弁を求めます。
 五つ目に、法人への労働条件の承継についての問題です。
 労働条件は、県から法人に承継される教職員に不利益を生じないようにするとされております。これは常勤の職員の問題だと思いますが、現在非常勤やパートとなっている職員の処遇については法人に承継されていくのでしょうか。国立病院が独立法人化する際、病院で雇用されていた少なくない非常勤、パート職員の方が雇いどめになるという問題が全国的に起こりました。定数外の非常勤職員やパート職員も、大学・病院の機能を発揮・維持していくための重要な人材であることには変わりはありません。
 また、教職員の給与制度や勤務時間についての検討はされていますが、卒後の研修医、また臨床研究医──今は学内助手というふうに言うらしいですが──の労働条件の改善はどのように考えておられるのでしょうか。研修医、研究医といえども、昨今過労死ということも報道されたりして、医師としての労働者であることには、これは変わりがないわけです。
 さらに近年、医学生に女性の占める比率が全国的には四〇%近くになっていると言われております。医師を目指す女性が多くなってきているわけですが、県立医大でも三〇%を超えていると聞いております。女医が勤務をし続けられる、または家庭に入ってからも大学・病院に復帰できるような条件づくり、その一層の改善というものが必要となってくるのではないでしょうか。総務部長にこの点についてもお尋ねをいたします。
 六つ目に、法人への運営費交付金についてです。
 法人の運営を安定的に維持していくために、県から法人に運営費交付金が交付されることになります。交付金の必要額の確保、算定のルールや基準については、国立大学法人の考え方も参考にすると言われていました。参考にするのは結構だとは思うわけですが、問題は、年度年度の必要額をだれがどのように決めるかです。政府は、国立大学法人への運営費交付金は、大学の意向とかかわりなく毎年度削減する方針を持っています。必要額を確保するというのなら、大学側と十分相談して大学側の納得のいく金額に決めればいいと思うわけですが、この点はどのように考えておられるのか総務部長にお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 指定管理者制度についての御質問でございます。
 指定管理者制度は、規制緩和の推進という時代の流れを受けて創設された制度であり、県としてはこの制度の円滑な導入を図るため、募集に当たっての考え方やスケジュール等を定めた指針を策定し、推進してきたところでございます。
 指定管理者の選定に当たっては、公募を原則としているため、現在委託している団体も他の応募団体も含めて公募制度を通じて指定されることになりますが、地域性や施設の特性など特段配慮すべき施設の指定管理者の選定に際しては、これまでの実績やノウハウの蓄積等も考慮の上、別途検討を要することも必要であるかと考えております。
 また、管理委託制度を採用している施設につきましては基本的に指定管理者制度に移行することとなりますが、直営の施設につきましては、施設の設置目的、特性等をかんがみ、本制度へ移行することが適当と判断されるものについてはその導入を図っていくことになると考えております。
 なお、民間への譲渡につきましては、指定管理者制度とは別の観点での検討が必要であると、このように考えております。
 次に、指定管理者制度の導入に当たり、施設の平等利用といった県民の皆さんの権利は、これは当然のことながら引き続き守られる必要があると認識をしておりまして、それぞれの施設の設置及び管理の条例において、施設の使用許可の基準や個人情報の取り扱い等について規定しているところでございます。
 なお、指定管理者がこのような規定に反して県の指示に従わない場合には、指定の取り消しができるということになっております。また、県が施設の設置者として責務を果たすことは当然のことであり、適切な運営等が実施されているかどうかについて必要な調査等を行うこととしております。
 次に県立医大の法人化の中期目標についてでございますが、法人の中期目標については、公立大学法人においては特例として「法人の意見を聴き、当該意見に配慮しなければならない」というふうに法律で規定されており、これに基づき、大学との意思疎通を図りながら適切な目標を定めていきたいというふうに考えております。
 次に大学の自治ということでございますけれども、大学の教職員も委員となる教育研究審議会を設置し、教育研究に関する重要事項を審議し、大学運営へ反映させるなど、学内外の多様な意見を集約し、教育研究活動が自主的、自律的に行われるようにしております。
 最後に、県民の意見や要望の反映についてでございますが、開かれた大学として、大学みずからの情報開示や住民意見の集約を行うのはもちろんのこと、中期目標作成時や各事業年度の評価結果の議会における議論、また、これらを広く社会に公表することを通じて法人が社会的な評価を受けることにより大学運営に反映されていくものと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 指定管理者制度に関連して四点、それから県立医科大学の独立行政法人に関して四点、合計八点のお尋ねがございました。
 まず指定管理者制度でございますけれども、一点目は指定のあり方についてでありました。
 住民サービスのさらなる向上や公平性、競争性確保のため公募を原則としておりますが、各施設の地域性や施設の特性など、特段配慮すべき施設の指定管理者の選定については、非公募も含めた検討が必要であると考えております。
 二点目の指定期間中の委託費の積算でございます。
 原則として、事業費等につきましては平成十七年度予算並みとしたところでありますが、人件費については、十七年度の従事者数を基本としつつも、職務内容に応じた人事構成を洗い直し、県職員給与を参考とした標準人件費を用いて算出したところであり、その点、実支給額をもとにした今の積算とは異なっております。
 また、措置費及び支援費制度の対象となる福祉施設については、それぞれの制度に基づく額を基礎に委託費を積算したところであります。
 三点目は、利用料金についてのお尋ねでありました。
 条例による金額は上限額として定めるものでございますので、その範囲において指定管理者が独自に決定することになりますので、創意工夫によりましては低料金化が図れるケースもあり得るものと考えております。
 四点目は、職員の労働条件のお尋ねでありました。
 仮に指定されなかった出資法人につきましては、その設立目的やその後の状況の変化等も勘案の上、当該法人がそのあり方について判断するものと認識しております。その際、県としても出資者として適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、現在、法人へ派遣している県職員については、基本的にはそのような場合は復帰していただいて、当該職員の適性等をかんがみて、ほかの部署への配置等を検討してまいります。
 なお、指定された出資法人の労働条件につきましては、応募条件を考慮の上、それぞれの団体において適切に判断されるものと考えております。
 続きまして、県立医科大学に関連する四点のお尋ねについてお答えいたします。
 まず一点目の経営改善の課題でございますが、大学の場合、附属病院も経営しておりますので、十七年度の歳出予算額は二百七十二億円となっております。その財源でありますが、大学の授業料や附属病院の診療収入が大体百九十五億円、病院の経営もございますので、県債も含めまして県の財政投入額が約七十四億円という状況になっております。
 現在、入院ベッドや手術室の効率的利用、あるいは施設の維持管理経費の削減など、経営改善の努力を行っていただいておりますが、法人化後においては、企業会計の導入をすることもありまして、さらに経費削減の努力や外部資金の自己収入の増加に努めていただく必要があると考えております。
 いずれにしても、独立行政法人になるわけでございますので、大学にも経営の相応の責任を持ってもらう必要があり、健全な経営を確立していくことが肝要と考えております。
 二点目の法人の情報公開につきましては、現行と同様の情報公開の制度を確保するため、情報公開の実施機関に含める方向で検討してまいります。
 三点目の労働条件の承継についてでありますが、非常勤職員等の処遇については、いずれも一年以内の任期となっております。法人成立日以前にその任期が終わるものと考えられます。法人化後は、法人の規定に基づきまして法人が必要性を判断し、採用することになろうと思っております。
 また、臨床研修医、学内助手、女性の医師につきましても、有能な医師として活躍いただけるような視点に配慮し、今後検討してまいりたいと考えております。
 最後に、運営費交付金についてであります。
 法人の自主性、自律性を生かしながら安定した業務実施の財源として交付するものでありますが、その算定に当たりましては、教育・研究・医療活動の向上や経営改善につながるように、評価委員会の評価結果を適切に反映させることなどを検討しているところであります。県立医科大学や地域医療の中核施設としての役割や、他大学の事例なども考えながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害児者施設などの社会福祉施設に指定管理者制度を導入するに当たり、県費補助などの激変緩和措置が必要ではないかという御質問でございます。
 今回指定管理者制度を導入する県立障害児者施設のうち若竹園、有功ケ丘学園は、施設の構造の問題や専門職員の配置の問題から、措置費のみでは施設運営が難しく、措置費に県費補助を加えた債務負担行為となってございます。
 そのほかに、和歌山県福祉事業団に委託している障害児者施設がございますが、こちらは措置費、支援費のみで運営をしていただくことになります。これは、南紀福祉センター等を現在受託している和歌山県福祉事業団において、平成十五年度に経営改善計画を立て、指定管理者制度が導入される平成十八年度までに、他の社会福祉法人と同様、措置費、支援費のみで施設運営ができるよう体制整備に努めてきたことによるものでございます。
 確かに、平成十七年度当初予算と比較すれば大幅な委託料の減額となりますが、専門職員の配置など、支援水準を維持することによりサービスの低下を来すものではないと認識をしてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 議員御質問の「高度で先進的な医療を提供するとともに、地域の保健医療の充実発展に寄与する」という定款における業務の範囲についてでございますけれども、この後半の部分の「地域の保健医療の充実発展に寄与する」との部分は、国立大学はもとより、既に法人に移行している幾つかの公立大学にも例がなく、本学に特有の地域医療に対する思い、本学の個性ともいうべきものをあらわしたものでございます。
 本学附属病院は、県内唯一の特定機能病院として高度で先進的な医療を実施しておりますが、法人化後も、この高度で先進的な医療を大学内のみにとどめることなく地域の医療機関へ普及し、県内医療の水準向上に努めてまいりたいと考えております。また、県内の医療機関に対する適正な医師の供給や医療機関関係者の資質の向上を図るため、地域医療支援体制の整備についても検討してまいります。
 いずれにいたしましても、高度で先進的な医療を県民に提供し、地域の保健医療の充実発展を目指すことは本学の重要な使命と考えておりますので、法人化後におきましても一層の推進を図ってまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁をいただきまして、知事に再質問をさしていただきたいと思うんですが。
 指定管理者制度について多くの条例が提案されておりますが、内容を見さしていただきますと、選定基準ということについては、どの施設についても同じ内容で、公平な利用が確保できることとか、幾つかあるわけです。
 先ほどお話しされました住民の権利の擁護、公的責任ということも一定明記はされておりますが、議案で見る限り、経費の削減ということはもうはっきり目に見えてくるわけですね。従来受託していた団体が指定されたとしても、従来の人件費では計算されていないと。標準人件費という、これは机上の人件費で人員数に当てはめてみてこの委託費になるということです。
 福祉施設についても、措置費、支援費に限る施設があって、今まで県から、県として委託をしていてその公的業務を果たしてもらうという上での上乗せをしてきた、単独助成してきたということがあろうかと思うんですが、今度は措置費、支援費だけでやってもらうことになるよと。この部分ははっきりしてくるわけなんですが、ただ人員が確保されたといっても、中では大変な人件費削減のための努力や苦労というのが、まあ今の団体が指定されたとしてもあるわけなんですよね。
 そういう点で、行政経費の縮減ということについては、もう極めて印象的にはっきりとわかるんですが、ただ、今、総務省が、ことしの三月末に地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針の策定ということで、総務事務次官からの通知が各都道府県知事に出されているわけですが、一層の行政改革の推進ということで、財政状況の厳しさから行政コストの縮減ということが強調されているように見受けられるわけです。その中に指定管理者制度の活用とか地方独立行政法人制度の活用ということが言われておりまして、そういう点、側面から見れば、これは行政コストの削減のツールとして使われるのではないかという危惧が大変あるわけなんです。
 施設の利用者とか住民の権利擁護、利便性に資するとか、さまざまな県立の施設の設置の目的や機能というのがあるだろうと思うんですね。その施設設置の条例の一番最後には、住民福祉の向上に資するを目的とするというふうに皆うたわれているわけなんですが、果たしてこの指定管理者になって、そのことが十分に保障されるんだろうか、そういう運営が確保されるんだろうかということを危惧するわけなんですが、もちろんその施設設置の目的や機能が十分発揮されなければ、これは意味がないわけでして、そのための指定管理者制度であるというのならば、これは理解ができるわけです。そこのところをきっちりと整理をしておく必要があるだろう。県としても指導・監督をしながら、その施設に対して適切な運営を確保してもらわなあかんと。そのためには募集要項とか選定基準というのは問題になってくるわけなんですが、こういった基本的なところで知事の考えというのをはっきりと言ってほしいと思うんですね。
 独立行政法人にしても、今回定款が提案されておりますので、これが決まればもう実質スタートなんです。器はでき上がっているわけですが、先ほど大学長から話ありましたように、中身の詰めというのはまだまだこれからで、どういう課題があって、どういうふうに解決していくのか、それを解決していくためにも人員体制であるとか運営交付金であるとか、人的にも財政面でも保障されなければ──もちろん大学での努力はしてもらわなくてはなりませんが、そういうことが必要になってくるわけなんですね。そこら辺の基本的な認識について、知事の考え方というのをもう一度はっきりと聞かせていただきたいと思うんです。
 以上です。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 公の施設が住民の人の便益といいますか役に立つために設置されているという大原則は、これはもう指定管理者制度であろうと何制度であろうと全然変わるところではなくて、ただそういうふうな中に、今までぎちぎちにいろんなことを縛っていたものを緩めて創意工夫を凝らすことによって、より住民の人に喜んでもらえるような施設の管理運営ができる。そして、そういうふうな中で、これはなかったかもしれませんし、あったかもしれないんだけども、やはりいろいろ行政を行っていく上で、しゃくし定規にやっている中からいろいろなむだが出てきているというふうなことは、これは別に指定管理者制度の部分に限らず、いろんな部分にあるわけだけども、そういうふうなことがそれに付随して改善されればいいというふうな制度なんで、我々としてもこの指定管理者制度を導入すること、そしてまた独立行政法人化することによって本末転倒にならないようにするということは、これはもう非常に大事なことですから、御質問の趣旨にあわせてこれからも県の方としてしかるべき責任というふうなものは十分果たしていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ