平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十七年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十七年六月二十三日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   *
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                宗       正   彦
     医科大学学長     南   條   輝 志 男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに知事専決処分報告報第八号から報第十三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十六番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、おはようございます。一般質問最終日、朝一番の質問ですので、張り切って頑張ります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まずは、御報告から。
 去る五月二十五日から六月三日にかけて、自由民主党県議団の井出益弘議員並びに新生わかやま県議団の野見山海議員の両先輩議員とともに、議会からの調査命令を受けてドイツを訪問し、環境政策を中心に都市政策、世界遺産に係る調査などを行ってまいりました。詳細については別途報告書を提出させていただきますが、この議場ではその概要を御説明申し上げます。
 我々三名は、先月五月二十五日に日本を離れ、一路ドイツへ。機中一泊の十四時間の飛行を経て、ドイツ・フランクフルト空港に到着しました。今回訪問したのはドイツの中南部地域で、ノルトライン・ウェストファーレン州、ラインラント・ファルツ州、そしてヘッセン州の三州にまたがる地域で、フランクフルトからデュッセルドルフ、クレフェルト、ケルン、オプホーベン、ミュンスター、マインツ、そして最終はビースバーデンまで、八日間の間に八つの町を訪問しました。
 ドイツ国内の移動には、バス、電車、船を利用して七百キロを超える移動を繰り返し、当初予定していた二十一カ所での調査を無事終了し、帰国いたしました。
 ドイツでは環境保護政策が国策の中心に据えられ、国政、地方ともに徹底した取り組みが進められています。環境に配慮した税制、再生可能エネルギーの大規模な導入、循環型経済の構築など、ドイツの環境政策は、ここ数年、国際的にも常に注目し続けられている状況にあり、我々の調査においても非常に参考になる事例が数多くありました。
 まずドイツ初日の二十六日には、デュッセルドルフにてドイツと日本の環境への取り組みの違いなどについて、ドイツみずほ銀行勤務の和歌山出身、西下奈穂子さんからお話を伺いました。午後からは、近代美術作品の収集で名高いK21美術館の経営責任者であるデトマー・ウェストホフ氏から環境文化に関しての講義を受けました。
 翌二十七日にはクレフェルトの風力発電会社を訪問し、現在のドイツ国内における自然エネルギー政策についての説明を受け、さらに同社の所有する風車を視察。実際に風力発電機にも上り、その構造を見学させていただきました。(写真を示す)これがその状況の様子を示した写真なのですけれども、向かって右側が、その事務所の方で説明を聞いている様子。右側の方が、風車の上まで上がりまして、周りの近隣にも幾つかの風車が立っておりますので、その状況を見てまいりました。現在ドイツでは、年間二千基という物すごいペースで電力風車が建設されているそうです。
 翌五月二十八日には、世界遺産の調査を二カ所行っています。まず午前中は、ライン川の世界遺産登録地域を訪れました。この中部ライン渓谷の両岸の町は、いまだに渡し船によって行き来し、一本の橋もかかっていません。また、この地域では現代建築のビルや風景にそぐわない建物も一切建てることはできないものとなっていて、徹底して景観が保全されています。世界遺産登録とは、光の部分だけでなく、陰の努力が大変で、ある面では住民にも大いに不便をかけるものとなります。世界遺産に登録され、それを守り続けるというのは相当の覚悟が要るものと改めて再認識させられました。
 午後からはケルンに移動して、世界遺産と景観環境問題についての調査を行っています。ここでも、登録された建物だけでなく、周辺エリアを含めた全体として景観を守ることがいかに大切かをさらに考えさせられました。
 昨年二〇〇四年に、高野・熊野が世界遺産に登録された第二十八回中国蘇州での世界遺産委員会で、ケルン大聖堂が危機にさらされている世界遺産リスト・危機遺産リストに入れられてしまいました。その原因は、近隣の高層ビル建築による景観破壊でした。遺産そのものの価値は変わらないのに、周辺の開発による景観の変化が原因というこの事例は極めて異例であり、新たな動きとして大きな注目を集めています。今後は、文化遺産と景観の問題は世界遺産保護を考える上で非常に大切な視点となり、我々にとっても重要な問題が提起されているものと思います。
 これは先ほど説明したライン川で、こういった一帯、川沿いできれいな風景が広がっているんですけれども、一本の橋もかかっていないという状況が六十五キロにわたって景観として保護されている状況があります。これはライン川です。
 もう一点が、これがケルンの大聖堂のてっぺんから撮った写真です。ちょうどこの真ん中にあるビル、これができたことによってケルンの世界遺産登録が取り消されようとしていると。周辺のビルが建つことによって、ケルンの大聖堂自体は変わっていないんですけれども、その世界遺産登録自体が検討し直されているという状況があります。
 また、翌二十九日にはオプホーベンにある環境教育施設「自然の宝庫」を訪問し、ドイツの環境教育を実際に体験してまいりました。これもその写真ですけれども、多くの子供たちが近隣の学校からやってきて、自然体験を通して環境問題を生き生きと遊びながら学んでいるというのが印象的でした。ドイツにはこういった施設がたくさんあります。学校だけじゃなくて、学校外において子供たちが遊びながら自然の大切さ、環境を守ることについて勉強するという施設があります。これがその写真なんですけれども、向かって左のようにたくさんの緑がある公園の中で子供たちが──こっちがちょうどお誕生日会がありまして、そこで自然環境の勉強もしながら、そういう楽しい遊びもしているという状況がありました。
 さて、五月三十日にはミュンスターのエコホテル・コルピンホテルにて環境経営並びにエコ対策などを見学しました。取締役専務のアンドレア・ハンセン氏によると、環境対策に取り組むメリットとしては、環境保護への貢献だけでなく自社のコスト削減にも大きな効果があるとのことでした。
 午後からはミュンスター市の最終廃棄物処理場で、ごみを燃やさない、ごみ分別、減量の取り組みについての説明を受け、その後、ミュンスター大学にて屋上ソーラー発電を見学、続いて車を持たない人だけが住民となれるカーフリー団地を訪ね、それぞれに説明を受けました。
 夕方からは、ミュンスター市議会を訪問。現在ドイツ国内では連立与党を形成するキリスト教民主同盟と緑の党ですが、特に環境政策を主導する緑の党で、環境政策及び都市政策に係る現在の取り組み内容などについてお話を伺いました。あわせて、ミュンスター緑の党議員団の皆さんが政策を議論する会議にも実際に同席させていただきました。それがこの写真です。これは、ミュンスター市議会の中、すぐ近くの会議室のところで政策の会議をしているところです。議員団の皆さんが政策を議論している会議に同席させてもらった中で感じたことは、ドイツが地方分権、住民自治の手本と世界からも評価されているように、地域において住民も参加して政策をつくり上げる、その取り組みは感心させられるものでした。この中でも、当然議員さんもいるんですけれども、それぞれの政党の支援者等に入っている方で一般住民の方、市民の方、例えば建築の専門家であるとか環境の専門家、そういう人たちに定期的に来ていただいて一緒に政策をつくり上げて、それを議会に提案していくと、そういったことが日常的に繰り返されていると。そういう部分においては非常に勉強になり、感心もさせられるものでありました。
 翌五月三十一日には、ミュンスター廃棄物処理会社にて廃棄物政策に関するヒアリングと見学を行い、あわせて環境相談所にてミュンスター市の環境政策についての説明を受けました。
 午後からはラインラント・ファルツ州の州都マインツに移動し、現在のドイツ経済界で若い世代を代表する実業家であり、前ドイツ青年会議所会頭も務められたマティアス・エス氏らと会談、地元経済人との交流会にも出席し、ドイツ経済の現状、エネルギー戦略などに関して意見交換を行いました。
 最終日は、ラインラント・ファルツ州経済担当副大臣を訪問。その経済担当副大臣のウォルター・シュトルツ副大臣とは経済政策、環境問題など幅広く議論を行い、お互いの認識を深め、両国、両地域の今後ますますの発展とその友好関係を深めることを確認いたしました。
 会議の最後には、木村知事から託されていた親書を副首相あて、副大臣あてにそれぞれ井出益弘議員、野見山海議員から無事お渡しすることができたことも、この場で御報告をさせていただきます。また、このときに副大臣から、ぜひ今後は和歌山とラインラント・ファルツ州との間でより実質的な関係を発展させ、人材交流を初めとして経済交流などを活発に進めていきたい旨の御発言があり、こちらも戻って知事に伝えることを約束してまいりました。
 そこで、このドイツ報告では一点だけ知事に質問し、御答弁いただきたいのですが、ラインラント・ファルツ州との友好関係について、二〇〇二年十一月にはラインラント・ファルツ州から公式訪問団を和歌山県として受け入れ、木村知事とも会見されています。その後も今日まで友好な関係を深めてくる中で、将来的には友好提携も視野に入れたさらなる取り組みを期待いたしますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 最後に、総括としまして、今回のドイツ訪問からは多くのことを学ばせていただいたのですが、まず何よりもドイツでは、あらゆる分野に一貫して「環境」というキーワードが貫かれていることに感心しました。これは日本での取り組みとは大きな差があるように感じます。
 一例を挙げると、日本では、電気を消すエコ運動も、過去の取り組みでは、急に思いついてまたいつの間にかやめていると──今のクールビズなんかももしかしたらそうかもわかんないですけれども──といったことの繰り返しですが、ドイツでは徹底した取り組みが進められています。ドイツを訪問した八日間のうち、行政機関、民間のオフィスなど数多く訪ねましたが、昼間に電気をつけている部屋は一つもありませんでした。先ほどオフィスの写真なんかを見せましたけれども、こういったところでも窓からの光をできるだけ取り入れるようにして、ほとんどもう一つとして例外なく昼間には電気がついていない状況がありました。これだけ徹底して電気が消されている状況には正直驚きました。
 ドイツでは、単に表面上で省エネ運動を進めるのではなく、もっと根本的なところから取り組まれています。この電気を消す運動などでも、外光を確保するために建築法自体が改正されているそうです。ドイツの建築法では、オフィスなど居室の奥行きが窓面から六メートル程度で規制されていて、建物をつくるところから省エネへの取り組みが徹底されています。これはあくまで一例ですが、上辺だけでなく一貫した取り組みを進めるドイツの姿勢は我々も見習うべき点がたくさんあり、本当に今回の視察では多くのことを学べたと感じています。今後は、今回のドイツ訪問で得た成果をしっかりと県勢発展につなげていきたいと考えております。
 以上で、ドイツの調査報告を終わらせていただきます。
 さて次に、今回のドイツ調査も踏まえて、環境をテーマに幾つかの具体的提案と質問をさせていただきたいと思います。
 今回ドイツを訪問した際、町の美しさに感動しました。日本では、町じゅうで美しい景観に感動することは余り多くありませんが、ドイツでは、美しい並木道や親水型の河原、また公園などが町じゅうにたくさんあり、あちこちに心を奪われる美しい風景があります。これは、たまたまつくられたものではなく、ドイツ国民が努力して環境への取り組みを徹底して進めてくる中でつくり上げてきたものです。ドイツでは法律の規定もあり、日曜・祝日のほとんどは店が閉まるようになっています。よって多くの住民は近くの並木道や湖畔をサイクリングしたり、河原で寝転がって本を読んだり、公園で子供と一緒の時間を過ごしたりするそうです。日本では休日を楽しく過ごすにはたくさんのお金が必要となることも多いですが、ドイツではお金をかけずにのんびり過ごせる数多くの選択肢が町の至るところにあります。
 こういった様子を眺めてくる中で、これこそ和歌山の目指すべき地域づくりの一つのよい手本になると確信して帰ってきた次第です。和歌山県も美しい海があり、美しい川があり、美しい山がある自然に恵まれた地です。この地域特性、地域資源を十分に生かして自然と共生した、都会にはない和歌山独自の魅力をつくっていくことこそが大切だと思います。そのためにも徹底した環境政策の実行が求められ、そこから都会との違いを際立たせる魅力ある和歌山づくりを進め、地域の活性化、産業の振興までつなげていく。
 今回の提案はあくまで環境にかかわる視点によってのみ行うものではなく、県独自の魅力づくりから県勢発展につなげるという、これまでの私自身が発言してきている一貫した視点を持つ中での質問ですので、ぜひとも前向きな御答弁をお願いいたします。
 そこで、まず現状で、環境先進県を目指す和歌山県の取り組み状況全般について知事の御認識をお伺いしたいと思います。
 和歌山県では、環境先進県として温暖化防止や環境保護の推進、循環型社会への取り組みなどを進めようとしていますが、しかしながら和歌山県財政課の資料によると、平成十七年度予算の概要では、全体予算が五千二百五十八億円のうち、目的別歳出として一位に教育費、二位に土木費、三位が公債費の六百七十六億円で、三位でも一二・九%と続いている状況があります。一方、環境生活部の予算額は、約三十億円が計上されているだけで、比率としては〇・六%にすぎません。こういった和歌山の現状、税の配分、予算の執行状況に見る環境分野への取り組みについて、知事はどのような認識をお持ちでしょうか。御所見を賜りたいと思います。
 ただ、この財政状況も厳しい中で、単に環境関連の特別事業をどんどんつくって投資するのがよいと私も思っているわけではありません。しかしながら、現実問題として環境対策への予算的配慮は少ないということも、これもまた事実です。
 そんな中、今後取り組むべきことは、教育、土木費など歳出費目で上位にある事業にいかにして環境の視点を組み入れていくかということであり、今後は、環境政策単体の取り組みではなく、より以上に幅広く環境政策関連の投資をふやしていくことが大切となります。
 そこで今回は、環境の視点を組み入れた環境に貢献する公共事業の提案として、ドイツを中心にヨーロッパ各国で積極的に取り入れられている公共工事の新たな手法、近自然工法の取り組みについて、特に河川整備、川づくりに関しての具体的な提案をさせていただきたいと思います。
 この「近自然工法」、「多自然型工法」といった言葉は、多くの人にとってまだまだ耳なれないものと思いますが、オリジナルはドイツ語で、自然に近い、自然に近づく建設工法ということです。我が国では一九九一年十一月に当時の建設省が多自然型川づくりという事業名で全国通達を出し、その積極的な推進を指示したのが出発点となっています。簡単にその内容を説明すると、従来までのコンクリートで固めた直線水路ではなく、本来その川が持っていた姿、自然の形に近いものとして利水治水を考えていこうというものです。
 近自然河川工法、多自然型川づくりは、人間と豊かな自然が共生共存するための取り組みであり、安全性を確保しつつも自然な景観を取り戻し、現代人が欲する自然の豊かな風情が感じられる快適な空間を生み出すというものです。現状では全国でも成功事例は数えるほどしかありませんが、代表的なものとしては、埼玉県の荒川中流域で行われている自然再生事業、また佐賀県松浦川中流域で行われているアザメの瀬・湿地の機能再生事業などは、本来の理念がしっかりと生きた事例と言えます。
 これらの事例は二件とも人工的につくり上げるのではなく、自然の再生力を生かし、時間をかけて機能や環境を再生していくことを基本としています。しかし、現状においては、多自然型川づくりと言いながらも、そもそもの基本理念を踏まえることもなく、従来までの護岸工事、河川工事をした上に単に見ばえだけで木を植え、緑をふやすといった誤った認識の多自然型工事が幾つも見受けられるのが現実で、その原因としては、事業内容が軽んじられる予算至上主義と行政特有の前例主義があると指摘されています。
 国土交通省が近自然工法の採用を積極的に取り入れるように促してからはや十年が経過しますが、全国的に見てもその取り組みはまだまだ進んでいないのが実態です。そんな中では、このタイミングで和歌山県が近自然工法の理念をしっかりと踏まえ、全国に先駆けて環境に配慮した新たな公共事業のモデルを積極的に実践していくことは非常に価値の高い取り組みであり、かつ環境先進県和歌山の存在を際立たせるものともなります。
 そこで質問ですが、まず和歌山県の取り組み状況を確認するため、各部局のさまざまな資料に目を通しました。その中では、環境生活部発行の平成十六年度版の「和歌山県環境白書」に「多自然型川づくりを推進していく」とする記述が見られます。しかし、実際に工事・事業を行うのは県土整備部となるわけですが、この二つの部局でどのような話し合いがされ、どういった共通認識を持っているのかがよくわかりません。
 そこで知事に、和歌山県としてこの近自然工法、多自然型工法といったものについてどのような認識を持たれているのか、また、和歌山県で取り組む必要性をどのように感じておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、環境生活部と県土整備部において、この近自然・多自然型川づくりというものについて、ここまでどのような協議が重ねられてきているでしょうか。また、協議を重ねてくる中で、その必要性、実行に向けた可能性などについてどういった認識を持たれていますか。これは、両部を代表して県土整備部長に御答弁をいただきたいと思います。
 あわせて、現状で多自然型として行っている事業として県内で二カ所ほど実験的に取り組まれているものがあるようですが、その成果をどのように検証し、今後の事業にどうやって生かしていこうとされているのか。これもあわせてお聞きいたします。
 また、この質問の最後に、多自然型・近自然工法による河川整備は、私たちが先日訪問した先進地のドイツなどでは、土木工学の専門家だけではなく、少なくとも生態学、景観工学の専門家が加わることが義務づけられています。ポイントは、この三者が参加しなければプロジェクトとして認められないということです。しかし、日本の河川改修は、多くの場合、河川工学を専門とする者が行い、他の専門家は助言をすることはあっても対等な関係でプロジェクトが進められるということはありません、
 そこで提案ですが、河川工事を行う場合に、和歌山モデルとして土木工学の専門家だけでなく、環境、生態、景観といった専門家を計画段階から参画させるという県独自のルールづくりを行ってはどうでしょうか。そのような取り組みをルール化しているところはまだ全国にありません。ぜひこういったところでも和歌山モデルを確立していただきたいと思いますが、これも県土整備部長に御答弁をいただきたいと思います。
 続きまして、和歌山観光のバージョンアップ、世界遺産登録後の取り組みについて。
 和歌山の観光振興は、昨年七月七日に高野・熊野が紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産に登録されてから、右肩上がりの状況です。その実態は、観光客の入り込み動向にもよくあらわれています。
 伊都郡の高野エリアでは、平成十五年度に二百五十万人だった観光客の入り込み数が平成十六年度には三百二十万人と七十万人もの増加、前年比で一二六・五%となっています。東牟婁郡熊野エリアでも、平成十五年度には約四百万人だった観光客が平成十六年度には七十万人増加して四百七十万人。県全体の宿泊客数を見ても、平成十五年度には六万人だったものが平成十六年度には何と十一万人となっていて五万人も増加し、対前年で一八〇%と倍増する勢いです。あわせて外国人宿泊客数も、高野・熊野エリアを合わせて平成十五年度には約二万四千人だったものが平成十六年度には三万四千人となっており、実に一万人の増加を記録するものとなっています。
 今まさに和歌山県は、過去にない観光の大きなチャンスが訪れていて、世界遺産登録を契機として、和歌山観光といったものが全国から注目され、世界からも注目されるという新たな段階に入っています。
 しかし、そんな今こそ冷静に考えなくてはいけないのだと思います。チャンスはピンチ、絶好の機会は大きな危機とも隣り合わせになっていることも多いものです。現状の望ましい状況、そのチャンスをしっかりとつかみ将来へとつなげるためにも、今、私たちはある面では冷静に状況を把握し、その中で問題のある部分をしっかりと見詰め、対策を講じる、今のタイミングで改めて和歌山における観光の細部の点検、見直しを行うことが必要とされていると私は強く感じます。
 今回はそういった観点から、特に高野山の観光客の受け入れ態勢を例として、問題点を提起しつつ将来を展望してみたいと思います。
 昨年、高野・熊野が世界遺産に登録された後、私自身、何度もこの地域を訪れる機会がありました。それは議員として招かれることもありましたし、また、全くのプライベートで県外からのお客様を案内して訪れることも何度かありました。そんな中で、実際に高野山を歩いて感じた問題点の中から、今回は観光案内ガイド、高野山の交通問題、そしてPRといった側面から提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、観光案内ガイドについて。
 ことしの三月二十日、私は東京からお客様を案内して高野山を訪れる機会がありました。そのときに私自身は、初めて観光案内のガイドさんをお願いしたのですが、壇上伽藍、金剛峯寺、そして奥の院を回る約二時間八千円の案内を受ける中で、数多くの問題を感じることになりました。細かく言い出すと切りがないのですが、時間を短縮しようと先を急ぐ案内、それぞれの施設でも説明が十分でなく、とにかくお客様の立場に立った案内ができていないというものでした。
 一例を挙げると、奥の院では戦国武将織田信長のお墓の近くに行ったときに、東京のお客さんが階段を上がって信長のお墓を見たいと言ったのですが、ガイドさんは露骨に嫌な顔をして、「ちっちゃなお墓やから見てもしゃあないで」と言うのです。確かに少しミーハーかもしれませんが、多くのお客様はドラマの主人公にもなる人物のお墓に興味を持ち、見てみたいと思うのは自然だと思います。しかし、そのようなお客様の気持ちを察することもなく、最後には頼んでもいないお土産物屋さんに連れていかれて三十分足どめされました。残念ながら、このようなガイドを受けたことで高野山観光の魅力は半減してしまったように思います。
 当然、すべてのガイドさんがそういった方ではないのだと思います。しかしながら、私自身、今回担当したガイドさんと道々ですれ違う同僚のガイドさんがすれ違いざまに会話しているのを聞いた印象では、少なからず同じようなガイドさんがいるのも確かだと思います。一緒に行った東京からのお客様も、「自分たちのことは別にして、これから多くのお客様をお迎えするのだから、これから何とか対処してよいように持っていければいい」とやんわりと話されて東京に帰られました。こういったことを繰り返していれば、せっかく世界遺産登録でたくさんのお客さんにお越しいただきながら、それは将来へとつながらないものになってしまいます。
 そこでまず、この高野山の案内も含め、県全体の問題として観光ガイドの資質向上について、これまで県では語り部制度など観光案内ガイドの育成に力を入れてこられていますが、しかし現実にはまだ課題は多いと思います。私自身、身をもって経験しましたが、観光ガイドさんの役割は非常に重要であり、その地域の印象まで左右するものになります。高野山の場合は少し特殊事情もあるようですが、早急に地元自治体とも協力してお客様の受け入れ態勢を改めて点検し、その再整備を進めてもらいたいと考えますが、商工労働部長より御答弁をいただきたいと思います。
 またあわせて、こういったガイド案内のサービスを向上させる具体策として、そのサービスを評価する仕組みを導入することを提案します。
 今さまざまなサービス業で、お客様アンケートなど、そのサービスを評価するシステムが導入されています。これはホテルなどでは経営改善の重要なツールとして欠かせないものとされていますが、このお客様の声こそ貴重な情報源であり、サービスを改善し、新たなサービスを生み出す原動力となる財産です。ぜひ、観光案内、ガイド事業を再整備する中で、そのサービスを評価してもらう評価シートなどの導入を徹底させて今後の和歌山観光のレベルアップを図ってもらいたいと考えますが、いかがでしょうか。あわせて御答弁をいただきたいと思います。
 次に、高野山に上がってもう一つ気がかりなのは、交通問題です。
 大門から入り奥の院へと続くその車道は、特に土日ともなると、その狭いエリアに車が詰め込まれ、排気ガスが充満する最悪の環境となっています。私自身、何度か目にした光景として、外国人を含め、多くの観光客がタオルで口を押さえて車の間を縫って歩く。これは見るに忍びない状況です。こういった状況を改善するのも緊急の課題だと思います。
 この交通問題は世界遺産の登録前から心配されていたもので、その対応策は以前から検討されていたように記憶しています。その中で、パーク・アンド・ライド方式を導入し、高野山内の観光スポットとなるエリアについて一般車両の通行を制限することなどが検討されていたように思いますが、その後、この取り組みはどうなっているでしょうか。県としてのかかわり状況と、どういった対応を具体的にしてきているのか、あわせて今後の見通しについて企画部長にお伺いいたします。
 また、このパーク・アンド・ライドと一緒に、環境に優しい新たな移動手段の確保として、京都などで定着しているベロタクシーの導入を提案したいと思います。
 「ベロ」とはラテン語で自転車を意味するもので、お客様を乗せて運ぶように設計された自転車タクシーのことです。ベロタクシーは、一九九七年、ドイツ・ベルリンで誕生し、日本では二〇〇二年に京都で初めて走行を開始し、現在では全国の各都市に普及しています。これは環境に配慮した車にかわる移動手段として、また観光資源としても期待され、導入を検討する価値のあるものと思いますが、これは商工労働部長に御答弁をお願いします。
 さて、この高野山観光関連の質問の最後として、PRの問題について。
 現状では、世界遺産登録を契機として、マスコミ取材も大幅に増加し、マスコミへの露出も大きく伸びている状況です。和歌山県観光連盟のまとめによると、平成十六年二月からことしの三月にかけて、世界遺産登録に関連したマスコミ露出は、新聞百四媒体、雑誌百六十三媒体、テレビ三十七媒体、ラジオその他で二十五媒体の計三百二十九の媒体で取り上げられています。これは各市町村に直接取材を依頼したものは入っていないのですが、それでも二十億円以上の広告効果があったと推計されています。このマスコミ露出がふえている今がチャンスです。全国的にも注目を浴びている今こそ、この状況を持続させるためにもマスコミ取材の受け入れ態勢の充実を図ることが重要だと考えます。
 そこで、これは以前に経済警察委員会において先輩議員の山下直也議員も提案されていますが、改めてフィルムコミッションの設立を提案したいと思います。
 このフィルムコミッションとは、映画、テレビドラマ、CMなどのロケ撮影を誘致し、実際の撮影をスムーズに進めるためのさまざまな支援を行う組織であり、地域をさらに売り出すのに大きな役割を果たすものです。その立ち上げには、手間はかかりますが、決してたくさんの予算を必要とするものではなく、しかも効果は大きいと言われる取り組みです。和歌山の露出が一気に伸びている今こそチャンスです。ぜひフィルムコミッションの設置に向けて努力していただきたいと考えますが、これも商工労働部長に御答弁をいただきたいと思います。
 最後の質問項目として、指定管理者制度の活用について。
 この指定管理者制度は、行政にとっても大きな効果が望める制度ですが、民間事業者の方にも大きなチャンスを与えます。三菱総合研究所の調査では、指定管理者制度の導入で、潜在規模として十兆円の新市場が生まれると試算されていて、全国では今、多くの民間企業が参入への意欲を示している状況があります。
 私自身、昨年の議会でも質問し、強い関心を持ってきたものですが、今議会ではいよいよ指定管理者制度の導入に向けた幾つもの議案が提出されるものとなっています。これから年末にかけてさまざまな調整活動が活発化し、来年四月に向けて準備も急ピッチで進められるものとなります。
 もとより、この制度をよりよく活用し、住民サービスの向上から県行政の再構築にまでしっかりと効果を上げてもらいたいと望むものですが、今議会ではその細部について幾つかの提案、質問をさせていただきたいと思います。
 今議会では、きょうが一般質問の最終日であり、さきに町田先輩議員を初めとして同僚議員からも質問された内容と一部重複する部分もあるかとは思いますが、できるだけ視点を変えて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 昨年、地方自治法の一部が改正され、公の施設管理について、これまでの管理委託制度にかわるものとして指定管理者制度が導入されました。そもそもこの法改正の目的は、住民サービスの向上、管理経費の節減、管理運営の効率化などが挙げられていますが、その上に私は、民間事業者の新たな発想による施設活用から、その施設自体の価値向上にも非常に期待しているところです。従来からの官の発想、官の手法による運営では限界があり、あくまでこの制度の導入においては、これまでの延長線上に物事を考えるのではなく、新しい民間の発想をもって、単なる運営から新たな価値を創造する経営にシフトする取り組みが期待されます。
 この制度は国の特段の制約もなく、ある面では各自治体における知恵比べ的な側面もあります。和歌山県でもこの指定管理者制度を活用して、他の地域以上に質の高い公共サービスが提供されることを期待しつつ、幾つかの質問をさせていただきます。
 まず最初に、この指定管理者制度に対しての知事の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 私自身は、前段でもお話ししたように、この制度は、その取り組みいかんによって民間事業の活性化と行政活動の再構築に非常に大きな効果があると期待しています。ただ、県の姿勢によっては、これを消極的に取り組めばこれまでの受託先を再委託するだけの制度に終わってしまいますし、積極的に取り組めば活発な民間参入も期待できるものと考えます。
 そこで、知事の姿勢として、指定管理者制度自体の評価も含めてこの制度に対してどういった姿勢で取り組もうとされているのか、その御認識をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、今議会では指定管理者を導入する施設として四十一の施設がリストアップされていますが、しかしながら、その中では非公募も含めて検討されていることをお聞きしています。公募を行うか、非公募とするかの判断はどのようにされているでしょうか。その判断を行っている基準についても御説明をいただきたいと思います。
 また、今議会で出された指定管理者制度の導入予定施設の中には類似施設もあり、管理・運営、経営といった視点で見ると、幾つかまとめた形にして受託することによって、より効率的、より質の高いサービスが提供できるものと考えます。
 そこで提案ですが、管理者を募集する前の段階において、施設のあり方検討会的なものをつくり、今ある四十一施設について、まずはそれぞれの組み合わせなども含めて整理しておくことを提案しますが、これは総務部長に御答弁をいただきたいと思います。
 次に、それぞれの公共施設のさらなる有効活用について。
 これまでは、行政が管理運営をしていたために、施設のポテンシャルを十二分に引き出すことができていなかった部分もあったと思います。しかし今後は、縛りの少ない民間事業者が参入し、独自のノウハウを活用することで、その施設の潜在的な力をより以上に引き出してもらえることが期待されます。しかし、そこでは事業者側からの提案を待っているだけではなく、行政側からもそれぞれの施設の理想とする姿をきちんと提示すべきだと考えます。そのためには、指定管理者制度を導入する前に、それぞれの施設でどのようなサービスが不足しており、新たに何を期待するのかきっちりと点検し、それらを契約内容などに盛り込んでおくことが大切だと考えます。これにより、新しい管理者に変わるメリットもより明確になると思いますが、総務部長の御所見をお伺いいたします。
 また、指定管理者を選考するに当たっては、施設ごとに明確な選定基準を設けておくことも必要だと考えます。単に安かろう悪かろうではだめですし、また地域への貢献が強く期待されている施設については、コストだけでない選定基準も必要になってきます。そこでは施設内容に応じてきめ細かい条件設定が必要であり、例えば各施設ごとの必要とされる専門性、サービスの質、地域への貢献度など、その選定基準をより具体的に明示しておくことが必要だと考えますが、これも総務部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 あわせて、管理者の選定時に選定委員会というものを設置して選考するということですが、この選定委員会の人選について、その基準などがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
 最後の質問として、委託後の対応について。
 指定された管理者を評価する仕組みも大切になってきます。この指定管理者制度では、数年ごとに契約の更新がされるものとなりますが、そのときには当該の施設管理者が本当に当初の見込みどおりの成果を上げることができているのかを確認する作業が必要になります。そのときには、抽象的な議論に陥らないためにも、より明確な評価の基準が必要であり、また、そこではユーザー、利用者による評価も重要なものとなってくると考えます。そういったさまざまな視点を加えた施設運営に係る幅広い評価、チェックする仕組みを検討しておくことを提案しますが、あわせて総務部長から御答弁を願います。
 以上で、私の一問目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず第一点の、ドイツのラインラント・ファルツ州との交流をもっと進めたらどうかということです。
 御質問にもありましたように、ラインラント・ファルツ州は、ワインの生産も盛んですし、それから精密機械やITとか、そういう産業も非常に盛んな、ドイツでも非常に重要な地域だと思います。幸い和歌山県とは、副首相が平成十四年に来られて私もお会いして、非常にざっくばらんな人柄でありましたし、それを機会にラインラント・ファルツ協会というのが和歌山で結成され、これも割と活発に活動しているというふうなこともありますので、今後何かもう少し実質的な交流みたいなのができるような方策はないか、いろいろ探っていきたいというふうに思っております。
 次に、環境の問題です。
 御質問にもありましたように、環境と銘打った予算というのは確かに予算の中では非常に少ないわけですけども、ありとあらゆることがこれから地球環境の保全、そしてまた県土の美しさを守っていくというふうなことにつながっていくという発想から、いろんな形で環境への配慮を行っているところです。
 例えば、緑の雇用なんかもそういうことです。それから、企業の森なんかもそういうこと。それから、県産材を利用した公共事業のあり方とか、いろんなことで対応しているんですけども、まだ確かに各部局ごとというふうな面がないということは言えないと思いますので、この点、いろいろなところへ協力して、そして、環境というものは一回寄せて、どういうものが環境に役に立っているかというようなトータルなあり方というものを見えるような形にすることも一つだろうというふうに思っております。
 それから、それと関連して近自然工法ということですが、これは御質問にもありましたが、ちょっと思い切り和歌山の方策としても売り出していきたい。和歌山にはすばらしい川があるわけです。つい先日も古座川をテレビでやっているのを見ましたけど、本当に考えられないぐらいいい魚もいますし、すばらしいものがある。ただ、今までの近自然型工法というのは、どちらかというとびほう策といいますか、セメントの上にちょっと何かかぶせて親水とかいうような形にしているのを若干僕も疑問を持っていた面があるんですけども、これをもう少し高度な、本当の意味での近自然型の工法というのを和歌山のすばらしい川から打ち出すことができたら、これは一つ特色のある政策になるのじゃないかと思いますので、これはいろいろ研究をしたいと思います。
 それから、最後に指定管理者の問題です。
 指定管理者については、私も非常にこの制度が今までの施設管理というもののあり方を変えるのではないかということで大いに期待しておりまして、また逆に言えば変えるような方向で運営する、かわりばえのしないような形にならないようにしていくことが非常に大事だろうということで積極的に評価しているわけです。
 ただ、施設がたくさんあるんですけども、例えば先般来問題になっていた知的障害者の人の施設とか、そういうふうな施設では、今までのところとの人間関係みたいなことで物すごくそれが安定につながっているというふうな面もあるので、そういうふうな面も十分に考慮しながら、例えばそういうところについては非公募にするというふうな選択もこれは考えていかなければならないと思っています。
 ただ、いずれにせよ、恣意的に公募・非公募が決められるとかいうようなことになると制度本来のあり方ということを大いに減殺してしまうということがありますので、そういうことのないように厳正に対処していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山独自の魅力づくりの関係三点、お答え申し上げます。
 まず、県土整備部と環境生活部との協議の状況でございます。
 平成九年に河川法が改正され、治水利水に加え、新たに環境がその目的に加えられ、新しい河川計画制度が導入されました。
 河川整備の長期的な方針を示す河川整備基本方針や具体的な整備内容を定める河川整備計画の策定に当たっては、環境生活部を初めとする関係部局と協議を重ねているところでございます。このような協議に加え、住民の皆様の御意見を聞き、計画を策定することで治水安全度の向上とともに環境に配慮した河川整備が可能となると考えております。
 次に、この工法を取り入れた工事の実行状況でございますが、我が県では平成十二年ごろより、これまでの八つの区間でモデル的に取り組んでおります。例えば初期のころに取り組んだ切目川や加茂川では、その改修などにあわせて自然石を置き、川の流れを変化させるなど、自然の力を利用して瀬やふちを創出できるよう施工したところであり、現在では小魚のすみかとなっていることが確認されるなど、良好な河川環境が創出されております。
 最後に、河川工事実行プロセスにおける和歌山モデルの構築でございます。
 河川改修を行う場合、旧来型の整備だけではなく、河川の特性や地域の歴史・文化、環境にも配慮することが重要であると認識しております。
 今後、議員御提案の御趣旨やモデル地区での事例などを参考に、より幅広い学識経験者や住民の皆様の御意見を聞くなど、近自然型あるいは多自然型川づくりを進めるための取り組み手法を検討し、安全性、それから経済性にも配慮しつつ、和歌山らしい川づくりにより積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 観光に関する御質問三点にお答えをします。
 まず観光ガイドの資質の向上につきましては、おもてなしの一つとして、またリピーターを生む要因として非常に重要であると認識をしてございます。県では昭和六十一年から紀州語り部制度を設け、毎年研修会を実施しており、本年度は、この研修に加え、ガイド組織を通じた自主研修を支援する事業を実施することとしております。
 世界遺産登録によるガイド不足に対応するため、昨年、熊野古道及び高野山町石道の語り部養成講座を実施したところ、百六名の方々が受講し、受講者の中には既に語り部として活躍している方もいます。
 高野山内の観光ガイドにつきましては、高野町案内人条例を制定している高野町と連携をして、資質向上と新たな人材育成に努力してまいりたいと考えております。
 ガイドの仕組みにつきましても、紀州語り部登録制度を市町村合併を機会に見直しを行うこととしており、来訪者にとってより一層利用しやすい仕組みに変えていきたいと考えてございます。
 また、議員御提案の評価シートにつきましても、観光客の満足度やニーズを把握することは重要であり、情報を得るための方策として検討してまいりたいと考えております。
 次に、ベロタクシーの導入についてでございます。
 ベロタクシーは人力で動く環境に優しい乗り物であり、NPO団体が運営する事例があるなど、全国的にも注目をされており、その運行自体が新たな観光素材になる可能性を秘めていると認識をしております。
 議員御提言の高野山におけるベロタクシーの導入につきましては、庁内関係部局を初め、地元自治体や観光事業者等と連携を図りながら研究をしてまいります。
 次に、フィルムコミッションの設立についてでございます。
 テレビドラマ等の撮影地を観光客の誘致につなげていくフィルムコミッションは、観光地の情報発信の有効な一つの手段であると考えてございます。
 本県におきましては、誘致のための組織化には至ってはおりませんが、テレビ局等の協力依頼により、ロケ地の紹介や地元関係者との調整など積極的に取り組んでいるところであり、平成十四年度から十六年度までの三年間で二十件の対応実績がございます。
 今後とも、県内への映画やテレビドラマ等の撮影誘致に向け、情報の収集と発信に取り組むとともに、フィルムコミッションの設立につきましても他府県の状況も研究しながら検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) パーク・アンド・ライドについてでございます。
 観光地の交通は、地域の魅力を際立たせまして、来訪者にとっても利便性の高いものであるということが必要であるというふうに思っております。そういう意味でパーク・アンド・ライドといいますのは、とても有効な、そういうふうな一つであるというふうに認識をしております。このため県では、平成十六年度に近畿運輸局や地元自治体、交通事業者等で構成いたします高野山パーク&ライド実行委員会をつくりまして、秋の行楽シーズンに観光客の車をふもとの河川敷に駐車させまして、バスと電車で山上に誘導するパーク・アンド・ライドの実証実験を実施いたしました。
 自動車の通行制限を行い、パーク・アンド・ライドに誘導することがもちろん効果的ではありますけれども、高野山は聖地であると同時に多くの人が生活する場でもあります。龍神方面などへの生活や産業道路の分岐点でもあることから、これらの交通を処理するための道路整備や大型駐車場の建設などが必要となってきておりますし、また、地元住民の生活や商店の営業と密接に関係をしてまいります。
 高野山におきましては、アイドリングストップやエコカーの推進等、環境に配慮した施策が進められているところでありますが、県といたしましても、高野山にふさわしいパーク・アンド・ライドの事業化に向けまして、地元の意向を十分聞くとともに、引き続き関係者と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 指定管理者制度に関しまして四点の御提案、御質問がございました。
 まず一点目の指定管理者の募集方法についてでございますが、今回の制度導入は、民間ノウハウの積極的な活用によりまして住民サービスの向上を図ることなどを目的としておりまして、議員御指摘の効率化や施設運営の一体化なども踏まえまして、現在関係各部において具体的な募集方法は検討しております。
 なお、どういった募集方法がより効率的であるかなどにつきましては、本制度の導入実績を踏まえながら今後検討してまいりたいと考えております。
 二点目の募集時における新たな行政サービスの付加についてでございますが、施設の設置目的などがさまざまでございますので一概にはなかなか申し上げにくいわけでありますが、議員御提案のような住民ニーズに合ったさまざまな取り組みを展開していくということは大変重要な視点だと認識しておりまして、今後もそういった点に配慮しながら住民サービスの一層の向上を図れるよう努めてまいりたいと考えております。
 三点目の指定管理者の選定についてでございますが、今後それぞれの選定委員会で選定基準が決定されますが、その基準としては単にコストが安ければいいというだけではなくて、もちろんコストも大事な視点でございますけれども、適切な管理を行うための必要な物的・人的能力は備わっているか、あるいはその施設の特性を最大限に発揮できるのかどうかといった観点からの検討も重要な要素であると考えております。
 選定委員会につきましては、各部局あるいは各施設ごとに設置することになり、現在準備を進めているところであります。
 選定委員会の委員については、これも準備を進めておりますが、原則的には外部から複数の有識者に入っていただくというふうに考えておりまして、例えばそれぞれの分野に精通しております大学の先生、あるいは公認会計士といった方々に入っていただくのではなかろうかというふうに考えております。
 第四点目の運営状況を評価するシステムでございますけれども、現行では、指定された事業者に対し、毎年度、県への事業報告を義務づける一方、県ではその事業者に対しまして実地検査等も行うことができ、また監査の対象ともなっております。
 議員御提案の評価の重要性は十分認識しておりますが、まずはこのような現行制度を十分活用する中で適正な評価に努めた上で、さらによりよい方法がないか、今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二十六秒であります。再質問されますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 改めまして、皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので一般質問に入らしていただきたいと思いますが、山下直也議員におかれましては、昨日のお誕生日、おめでとうございました。私も一般質問初日の二十日に三十歳という節目の年を迎えまして、決意も新たに理想を求めて質問さしていただきたいと思いますので、当局の皆様におかれましてはどうかよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、第一に世界遺産の活用と道路整備について二点ばかりお尋ねをさしていただきたいと思います。
 先日、改めて世界遺産の地を訪れてまいりました。海南の自宅を出発して、金屋町、旧美山村、田辺市龍神村を通り、中辺路町を抜け、そして本宮町の本宮大社へ、その後、熊野川町、新宮市までゆっくり走って約三時間の道のりでありました。整備の促進すべきところはまだまだありますが、かなりよくなってきたなというのが率直な気持ちでありました。と同時に、海南・海草地域に住む者にとって重要不可欠な生活道路であり、また高野山への重要なルートでもある国道三百七十号の整備状況はいかがなものかと考えさせられました。現在も阪井バイパス、木津バイパスを初め、各地で整備促進に取り組んでいただいておりますが、目に見えての進捗が余り感じられない状況かと思います。
 世界遺産登録により、観光客の入り込み数は対前年比、かつらぎ町、九度山町でそれぞれ一・四倍、高野町では一・三倍、中辺路町、本宮町で一・九倍など、登録効果が如実に発揮されているように思われます。この状況を持続さしていくためにも道路網の整備が最重要課題だと考えます。
 地元住民の方々の意見を十分に聞きながら整備促進を図っていかなければ世界遺産の効果を生かし切れないことになりかねないため、県としてもさらに積極的な取り組みを期待しているところですが、国道三百七十号線の整備状況と今後の取り組みについて、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 一方で、道中車を走らせながら、何か物足りない気持ちもいたしました。幾ら走りなれた道とはいえ、自分自身、熊野の世界遺産の地へと走らせているという気持ちが余りわいてこないのです。といいますのも、海南を出てから中辺路町栗栖川の合流地点に至るまでの間、世界遺産を表示した案内標識が全く見受けられず、本県を訪れる方に安心してドライブしていただこうとするもてなしの心が感じられなかったからであります。標識にかかわらず、世界遺産へ訪ねる気分を醸成させるような景観に配慮した道路整備も不足しているようにも思われました。こうした景観に配慮した道路整備を進めるためには、地域住民や行政、NPO、企業が連携をして、沿道での植栽や美化運動、不要看板の撤去といった取り組みが必要になると考えます。
 そこで、新しい試みとして国土交通省が北海道で進めているシーニック・バイウェイという取り組みを本県でも導入してはいかがでしょうか。
 このシーニック・バイウェイというのは、風景・景色のすぐれた道、美しく、立ち寄りたくなる道などという意味で、一九七〇年代後半のアメリカにおいて、野放しの看板広告が町並みや沿道風景を台なしにしていることに多くの市民がいら立ち、野外広告規制運動が活発化したことに伴い、国家レベルで道路沿線及び近隣の優良な自然環境、歴史的な景観や遺跡、娯楽、レクリエーション施設などを発掘し、観光振興のために売り出すプログラムが一九八九年のシーニック・バイウェイ法制定以来実施され、この観光振興を目的とした道路指定及び整備をシーニック・バイウェイプログラムと呼ぶんだそうです。
 日本の道路の景観事情を考えるとき、個々の観光地は立派ですが、それぞれをつなぐ道路景観がお粗末過ぎるとは多くの人が指摘をするところであります。こうした日本の道路景観放置の背景には、行政も、そしてユーザーも、道は単なる移動や運搬のためだけの空間や道具としての認識しかなく、道の管理は役所の仕事という認識が一般的で、一部の例外はあったとしても、道の美しさ、景観、味わいなどは二の次とされてきたように思われます。しかし現在、国土交通省が北海道において、日本版シーニック・バイウェイとして美しい旅景色の演出による特色ある地域づくりに向け、沿道景観にすぐれたルートを登録指定し、景観の保全や整備を図る制度づくりに取り組んでいます。
 先日、田辺市本宮町でシーニック・バイウェイに関するシンポジウムが開かれましたので、私も参加をしてまいりました。
 シンポジウムでは、北海道での取り組みを紹介するとともに、和歌山県での導入について提言がなされており、その中で、人々の暮らし、活動、気遣いがその地域の風景にあらわれる、また国土の印象は交通路から見える景観でおおよそ決まってしまうというようなことが話されていました。私も改めて取り組みの必要性を再認識し、帰ってまいりました。
 和歌山県はドライブ観光の需要が高い県であり、観光地に至るまで車に乗っている時間が旅行の全体の中で占める割合はかなり大きく、その時間を活用しない手はないと考えます。観光客が目的地までただ通り過ぎていくのではなく、景観を楽しんだり、時には沿道のいろいろな観光ポイントに立ち寄ったりしながらドライブをしていただくことができれば、地域も必ず活性化すると思います。
 現在、熊野健康村構想を初め、熊野川の川舟などの観光拠点づくりを進めている中で、拠点間を結ぶルートの景観づくりや道路整備を行っていくことによって、高野山や熊野三大社などもさることながら、それぞれを結ぶ古道が今回世界遺産として評価されたように、現在の道路づくりも将来そう評価してもらえるものになればと切に願うものであります。そのためにも、観光を点でなく線でつなぎ、さらに面的に整備していくということが必要ではないでしょうか。観光地へのアクセス性を高めるために幹線道路網の整備がもちろん必要ですし、バイパスを建設した後の旧道をわき道の観光として活用することも考えてよいでしょう。面的な観光を考えていかなければ、道路が通過する地域にもたらされる恩恵も少ないのではないでしょうか。
 こうした面的観光、観光振興に資するような道路整備を行っていくためにもシーニック・バイウェイという取り組みを本州で初めて導入してみてはいかがでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、最近注目を浴びつつある電磁冷凍技術など、新技術を活用した農林水産業の振興策についてお尋ねします。
 皆様は電磁冷凍という冷凍技術を耳にされたことはないでしょうか。従来の冷凍技術は、マイナス三十度から四十度の冷風を吹きつけて冷凍しますので、食品の組織表面と内部で温度差が生じ、その結果として冷凍むらができたり、細胞が破壊されてしまうので、解凍すればパックの中に水がたまったり、どうしても味や香りを損なってしまいます。また、よく耳にするパーシャル冷凍に代表される氷温冷蔵と言われる技術もありますが、これは細胞の破壊が起こる寸前での保存で、ドリップが出ず、新鮮で味がいいという方法ですが、これでは長期保存をすることができません。しかし、この電磁冷凍という技術は、電子レンジの原理を応用し、食品内部の水分子に磁場をかけ、振動させながら凍結するというもので、食品全体を均一に凍らすことで、野菜、鮮魚、肉から揚げ物や洋菓子、和菓子に至るまで解凍しても凍らせる前の状態、つまりとりたて、つくりたての味をそのまま楽しめるというものであります。
 これまでも品種改良や輸送手段の発展、交通網の整備などで随分と全国の新鮮なものが手に入るようになりました。しかしながら、農作物や海産物などは年ごとの価格変動もあり、安定収入を得ることも難しく、若い世代から敬遠され、後継者不足にも悩んでいるのが現状であります。
 現在、この電磁冷凍の技術では、品質を劣化させることなく、野菜であれば一年から二年間保存できる技術を確立しており、今後五年、十年、二十年と発展をさせていくそうです。
 私は、和歌山でとれた魚や農作物にこういった技術を導入することによって、首都圏や、また全国各地へ、あるいは大きな市場である中国へと販路を拡大できるのではないかと考えます。そうすることで安定的な供給ができ、価格の安定化が図れ、農業者、水産業者の収入にもつながるはずだと考えます。そうすれば、農業や漁業などが夢と目標に満ちたものに生まれ変わり、後継者もできてくるのではないのでしょうか。
 現に、島根県隠岐諸島にある海士町では、本年五月に総工費四億円余りをかけ、この技術を導入した凍結センターを整備し、特産である岩ガキ、イカ、マダイを凍結して真空パックに詰め、首都圏へも売り込もうとしていると聞きました。早速、私は海士町の第三セクターである株式会社ふるさと海士の責任者の奥田さんに現状をお聞きしたところ、現在は試作品を売り込んでいる段階だが、思いのほか反響が大きく、秋には人員倍増も検討しているとのことでありました。
 和歌山であれば、勝浦のマグロ、周参見のカツオ、私の地元であればシラスやハモ、果樹ではミカン、桃、カキなど、我が県にも全国に通用する特産品が数多くあります。電磁冷凍などの新技術を活用することによって、これらの販路を首都圏、さらには大きな市場である中国へと拡大するとともに、旬の時期をずらして高値で販売するといったことも可能になってくるのではないでしょうか。県としても、これまで百貨店とタイアップをして和歌山フェアを実施し、販路開拓に取り組んだり農業をやってみようプログラムや青の振興和歌山モデルといった後継者づくりにも取り組んでいらっしゃいますが、効果はどれくらいのものなのでしょうか。
 私は、こういった事業もさることながら、電磁冷凍のような新しい技術を取り入れて、技術研究部門や販路開拓部門等がより横断的な取り組みをすることによって従事者の収入確保を図り、停滞気味の農林水産業の新たな打開策の一つになると考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長のお考えをお聞かせください。
 最後に三つ目といたしまして、し尿または浄化槽に係る汚泥の海洋投入処分の全面禁止についてお尋ねをいたします。
 一九七二年十一月、海洋投棄による海洋の汚染防止を目的に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、いわゆるロンドン条約というものでありますが、採択をされました。この条約は一九七五年八月に国際的に発効され、我が国もこの条約に署名し、国内に発効されました。その後の世界的な海洋環境保護の必要性への認識の高まりを受けて、一九九三年十一月に条約が改正をされ、一九九六年一月一日から産業廃棄物の海洋投棄は原則禁止となりました。
 我が国では、この条約の求めるところを廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に盛り込み、廃棄物の海洋投入処分等の適切な管理が行われてきました。そのような中で、し尿及び浄化槽に係る汚泥の海洋投入処分の禁止を内容とする法律施行令の一部が改正をされ、平成十四年二月一日から施行をされました。ただし、この規制には経過措置がとられ、具体的には、し尿等処理物の海洋投入処分の禁止について、平成十四年二月時点で投入処分を行っていた者については施行日から五年間猶予することとされました。今現在で三年四カ月が経過しているわけであります。したがいまして、当時投入処分を行っていた者は平成十九年一月三十一日までが投入処分の可能期限であり、それ以降は海洋投入処分が全面禁止となるわけでございます。
 平成十四年度実績によると、し尿等処理物の海洋投入処分は、四十七都道府県中二十二府県が海洋投入処分に依存をしております。このし尿処理物の海洋投入処分には、今現在全国で稼働している千百十一カ所のし尿処理施設から排出される残渣が含まれています。そのうち、残渣に関して海洋投入処分に依存している施設はほぼ西日本に集中しており、五百七カ所に上るそうであります。県下の十四カ所あるし尿処理施設から排出される残渣も、すべて海洋投入処分に依存しているのが今の我が県の現状であります。
 現在、和歌山県下で稼働している十四の陸上し尿処理施設では一〇〇%完全処理することは不可能であり、定期清掃時に排出される残渣を海洋投入処分にゆだねている実態を勘案し、平成十九年二月一日以降の海洋投入処分全面禁止に対して県内の各施設にどのような指導を行っているのか。また、具体的な支援、例えば残渣を処理する施設を建設し、受け入れ態勢を確立する、そして収集運搬体制のシステム整備等の施策を実施することなどは考えられていないのか。もし考えられない場合、受け入れ先の確保は一体どうするのか。
 平成十四年度の和歌山県の海洋投入処理量のデータによりますと、し尿及び浄化槽汚泥の海洋投入処分実績が、平成十四年度でし尿が約五百トン、浄化槽汚泥約二千三百トンが見受けられますが、いずれにいたしましても、このままでは市町村・一部事務組合で処理をするのは無理があるかと考えます。投入禁止になる平成十九年二月一日以降の対応についてどのように考えていらっしゃるのか環境生活部長にお尋ねをいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの藤山将材君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのシーニック・バイウェイに関する御質問ですが、これは私もどんどん進めていかないといかんと思っています。
 和歌山県の場合、観光が車に依存するということが非常に多いということが一つと、それから、目的地もいいとこであることはさることながら、その過程の中にいろいろいいところがある。歴史的な遺跡とか、そしてまた海の景色であるとか山の景色であるとか、そういうふうなものがあるというふうなことで、このシーニック・バイウェイ的な発想というのは和歌山にこそ非常にぴったりくるような施策ではないかというふうに思っています。
 例えば滝とか、そういうふうなものも県内のいろんなところにあるわけですけども、ほとんど観光客は、それを顧みることなく、そのまま目的地だけ行って、そして通常の観光をして帰ってくると。これでは、どんどんリピーターをふやしたり、たくさんの観光客が来るような形にするということは難しいことだと思うので、この点どんどんやっていきたいと思いますし、そしてまた景観づくりでも、例えばガードレールに紀州材を使うとかいうふうなことをして、観光に来る人の気分を車を運転しているときから高めていくとか、それからカーナビの中にこの先にはどういうものがありますかというようなことの情報がすぐ出てくるような仕組み、そういうふうないろいろな多面的なことによってこの道路の持つすばらしさというものを訴えていく仕組み、これは非常に大事だと思います。
 そしてまた、特に私も共感したのは、旧道を使いましょうと。特に本宮へ行く道、今、物すごいいい道になったんですが、昔の道がそのまま山の中に残っているんですね。ああいうふうな道を何かうまく活用できたら、本当にそれこそシーニック・バイウェイになるんじゃないかというふうなことを思っています。またいろんなことを相談しながらやっていきたいと思います。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道三百七十号の整備についてお答え申し上げます。
 この国道は、地域の産業、生活を支えるとともに、高野山へのルートとして大変重要な路線であると考えております。このため、国道四十二号から高野町花坂の間四十六・六キロのうち、現在、重根拡幅、阪井バイパス、野鉄廃線区間、美里バイパス等の五カ所、延長十六・七キロについて整備を行っております。既に今年度までに三・六キロの供用開始を行ったところでございます。
 今年度につきましては、事業費十七億円で重点的に整備を進めているところでございます。特に阪井バイパスにつきましては、昨年十二月に都市計画決定を行い、平成十七年度より新規事業着手したところでございます。野鉄廃線区間の野上新橋につきましては、本年九月に新橋に切りかえる予定であります。
 しかしながら、いまだ未整備区間が多く残っており、山間部につきましては、少ない費用でより早期に効果を発揮すべく、特に交通の支障となる狭隘区間の拡幅や待避所設置を行うなど、いわゆる一・五車線的整備もあわせて進めているところでございます。
 今後とも、早期に事業効果を発揮できるよう整備に取り組んでまいります。
○議長(小川 武君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農林水産業の振興策についてでございますが、食品の品質、鮮度を保ったまま凍結保存する新しい電磁冷凍技術の活用についてお示しをいただいたところでございますが、農林水産業の振興を図る上で、こうした先端的な技術や装置の開発・導入がますます重要になっていると認識をしてございます。
 本県におきまして、カキにつきまして、JA、大学、それから市場などとの連携のもと、試験研究部門と流通関係との横断的な取り組みを行い、渋ガキ果実の軟化抑制技術を開発いたしまして、平成十二年に特許を出願し、高い技術的評価を得てございます。
 ミカンにかかわることにつきましても、産官連携により非破壊で──壊すことなく糖度・酸度を測定できる光センサーの開発研究に努め、平成七年には実用化を見、品質管理や価格安定に大いに威力を発揮しているところでございます。
 また、環境に優しい水産養殖技術の確立を目指しまして、大豆たんぱくを使用したえさの研究に取り組んでございます。
 販路開拓におきましても、首都圏等を中心に展開しているソフトアンテナショップ事業などを通じまして市場拡大を進めるとともに、高品質な商品の開発・改良を促す商品づくりや、ケンケンかつおに代表されるブランド化に努めているところでございます。
 今後とも関係機関が連携し最新技術の情報収集に努めるとともに、組織横断的な取り組みにより農林漁家の経営安定を目指してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) し尿あるいは浄化槽汚泥に関する海洋投入処分の問題についてお答えを申し上げます。
 本県のし尿処理の現況についてでございますが、平成十三年四月から海南海草環境衛生センターが稼働したことによりまして、基本的には県内十四施設での陸上処理体制が整備されたところでございます。しかしながら、処理施設の改修工事期等に発生するし尿及び浄化槽汚泥並びに各し尿処理施設の定期清掃時に発生する貯留槽汚泥等につきましては、海洋投棄に頼っているのが現状でございます。このため、平成十九年一月末までの経過措置の期間内に陸上処理体制の確立が急務となっております。昨年も今後の対応につきまして各施設に対し聞き取り調査等を実施したところでございますが、現時点では各施設とも具体策が決まっていない状況にございます。
 し尿及び浄化槽汚泥の海洋投入処分の全面禁止後の対応についてでございますが、し尿処理は基本的には市町村の自治事務であり、それぞれの自治体で解決すべき事項でありますが、しかしながら、この問題は多くの他府県においても共通の課題であると思慮いたします。
 県といたしましても、引き続き市町村から意見聴取を行いながら、議員御質問の趣旨も踏まえまして、国や他府県との情報交換を行い、市町村に対しどのような処理方法がより適切であるか等、必要な情報提供なり助言等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十八分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 通告の内容は、指定管理者制度と県立医大の独立行政法人化についてであります。既に議論がされ、当局の一定の見解も示されておりますが、ともに今議会の重要案件でもあり、私なりに質問をさせていただきます。質問項目につきましては、重なるところもあろうかと思いますが、お許しを願います。
 まず、指定管理者制度についてお尋ねをいたします。
 平成十五年九月二日に施行された改正地方自治法により、旧来の管理委託制度が廃止をされました。三年間の経過措置が過ぎると、改正前の管理委託制度による出資法人、公共団体や公共的団体へ管理委託している公の施設については、現行の団体を指定管理者にするか、新たに民間事業者を指定管理者に指定をするか、直営に戻すか、または完全に民間譲渡するか、施設を廃止するかを決めなければなりません。
 現在、県の出資法人や公共的団体などに管理委託している施設は四十四施設あります。そのうちの三十八施設と直営の三施設、合わせて四十一施設を来年四月一日からの指定管理者に切りかえるための条例改正が今議会に上程されております。このことから、県のこの問題については、指定管理者に置きかえていくというのが方針となっているようであります。
 ところで、御承知のように地方自治体の使命は、地方自治法にも示されておりますように、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うことにあります。そして、その目的を達成するための施設として公の施設を設置し、設置主体である地方自治体がその管理を直接行うことが原則とされています。それは基本的には変わらないはずだし、変えるべきではないというのが私の基本的な考えです。たとえ地方自治体が設置をした公の施設を地方自治体以外の団体が管理する場合でも、多数の住民に均等な役務を提供し、その適正な管理を確保する必要があることは当然のことでもあります。今回、指定管理者制度の導入に当たりましても、施設の特性にかんがみてどういう事業者が指定されるのか、選定の経過も含めて個々の施設ごとに判断していく必要があると思うところです。
 今回の地方自治法の改正で、その公の施設の管理について、法人その他の団体であって地方自治体が指定するもので、従来委託できなかった株式会社など、営利を目的とする法人や団体にまで委託の範囲を広げ、単なる業務の委託だけではなく、施設全体の維持や管理、利用許可などの行政処分など、本来自治体が持つべき権限まで含めた委託が期間を区切ってできるようになりました。しかも、公の施設の範囲が地方自治法には明記されておらず、多くの直営施設も対象として検討が進められるのではないかと思われます。指定管理者となった民間事業者は、条例の定める範囲内で地方公共団体の承認を得てみずから料金を設定できることとなり、使用料・利用料はみずからの収入となることから、利用者数の増を図ることによって収入をふやし、県から受け取る委託料よりさらに低い経費で運営することによって収益をふやすことができるようになります。つまり、指定管理者制度は、公共施設の管理運営を民間事業者の収益事業の対象として、民間市場にゆだねることに道を開いたことになります。
 総務省の説明によりますと、指定管理者制度は、公の施設の管理に民間事業者の手法を活用することにより管理に要する経費の縮減が可能となり、その結果、公の施設の利用料の低料金化が図られたり、利用者の満足度を上げ、より多くの利用者を確保しようとする民間経営者の発想を取り入れることで利用者に対するサービスの向上と行政経費の縮減が期待できると説明しています。確かに、豊かなノウハウを持って効率性を追求する株式会社などの民間事業者がサービスの質を競い合うことで県が設置をした施設のその目的が達成できるという施設につきましては、行政コストの削減にもつながり、効果が上がることと思います。
 私が問題にしたいのは、今回の指定管理者制度の導入によって、施設運営の人的体制や財政面も含めて、これまでの施設利用者や住民の権利が擁護され、地方自治体が設置した施設にふさわしく、住民福祉の増進が図られるような運営が長期に安定的に保障されるのかということです。
 既に県立情報交流センターBig・UがNPO法人和歌山IT教育機構を指定管理者として運営が始まっていますが、ここは新規に開設をした施設で、ゼロからのスタートでした。ところが、今回提案されている施設を見ると、すべての施設が既に県の支出する委託費で出資法人や公共的団体などによって運営されてきた実績を持っている施設です。母子、障害児者などの福祉施設、流域下水道など衛生施設、プール、体育館、体力開発センターなどの体育施設、青少年の家など社会教育施設、公園、会館など、すべて住民に身近な施設であり、入所型福祉施設の第一種社会福祉事業施設など運営は、原則として国、地方自治体、社会福祉法人に限られているものも含まれています。下水道の管理も、市町村または県が行うとされているものも含まれています。施設設置の目的や本来期待されている役割など、施設ごとに違う性格を持っており、それぞれの個別法により制限が加えられているものもあります。
 福祉施設のように入所者と利用者との信頼関係を築き上げてきた施設が、施設の過失が原因ではなく、行政の都合によって施設運営者や職員が変わるということは、通常は考えにくいことです。また、福祉施設で運営の効率化や経費の縮減が強調され、追求されていくと、職員の非常勤化、パート化が進み、福祉サービスの継続性、安定性、専門性など、質の低下も心配がされます。
 指定管理者への移行に当たっては、原則として公募により決めるとされていますが、従来から管理委託を受けている団体に十分な管理能力があり、施設設置の目的が果たせると認められる場合には、その受託団体が指定されることが望ましいと考えられます。もちろん、指定された団体が活力をつけ、事業展開を活発化させなくてはならないことは言うまでもありません。
 ところで、地方自治法では指定管理者に委託できる公の施設の範囲が明記されておらず、指定管理者制度の適用については県当局の判断が大きく作用することとなります。指定管理者に指定する仕組みとしても、県が設置する選定委員会の議論を経て県が指定をすることになっていますから、県の指定管理者制度の位置づけや運営に対する基本的な姿勢がそこには反映してくると思います。
 その点で、今回議案に上程されております条例を見てみますと、皆同じ条文のように見受けられます。選定基準についても内容についてもそうですが、その基準の内容、また行政の公的責任のあり方、これは施設ごとによって違ってくるのが当然だと考えられるところでもあります。指定管理者に運営をゆだねることによって住民の福祉の増進にとってどのような効果があると期待できるのか、県当局の基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、指定管理者制度の運用についての基本方針についてですが、指定管理者制度の位置づけと今後の運用方針を文書で既に発表している自治体も幾つかあります。本県ではそのようなものが見受けられないわけですが、指定管理者をどう位置づけて運用していくのでしょうか。指定管理者制度に対する基本的な考えはどのようなものでしょうか。
 運用方針となる事業者選定のあり方として、南紀福祉センターや有功ケ丘学園などの障害児者福祉施設については、条件を満たす社会福祉法人でなければ施設設置の目的達成や適正な運営が確保できないという判断が示されました。これも指定管理者を無限定に考えているということではなく、一定の指定管理者の位置づけと運用方針になるわけです。福祉施設以外でも、現在管理委託している団体をまず指定管理者に指定していくというのも一つの運用方針です。これまで三年間の経過措置の期間があったわけですから、当然、現在の受託団体とも協議がされていたはずであります。
 また、今回提案されている施設以外の他の施設、現在直営の施設についても、どこまでこの指定管理者の範囲として、対象として考えておられるのか。また、将来的には施設の民間譲渡も含めて検討していく、そういう施設も含まれているのかどうか。こういった点について、知事にそのお考えをお尋ねしたいと思います。
 二つ目に、住民の権利擁護と行政の公的責任のあり方についてです。
 指定管理者制度の目的を、住民へのサービス向上と行政経費の節減と説明がされています。指定管理者に利用料金の設定や施設の全体的な管理運営や使用許可などの権限も委託することになるわけですが、住民から見ますと、県が設置をした公共施設であることに変わりはありません。施設利用の主体となるのは住民です。住民の権利擁護、例えば施設入所者の生存権の問題、発達権の保障の問題、青少年施設やスポーツ施設での教育学習権の問題、施設の平等な利用の問題や情報の公開、プライバシー保護の諸権利など、住民の権利が守られる必要があります。また、その権利にこたえた行政の公的責任として、施設の設置された目的が達成されているのか、住民福祉の向上につながっているのか、事業者の指導監督のあり方、こういった点も公的責任の中身として問われると思うのですが、どのように考えておられるのでしょうか。これも知事にあわせてお尋ねをいたします。
 三つ目に、指定管理者の公募と非公募についてです。
 公募が原則と説明をされていますが、地方自治法上は選定委員会の設置や公募が必須条件にはなってはいません。公募せずに指定するということにも道を開いていますが、その点についてどう考えているのか。どういう場合が非公募となるのか。
 今回、扇ヶ浜ビーチハウスが非公募で従来から委託していた田辺市を指定していますが、これは県からの委託費の負担なしで引き受けてくれているという、そういう経過があったと思うんです。県の都合による非公募ではないかと思われるところですが、福祉施設については、利用者や保護者の立場から非公募もあり得るという判断を示されております。当然、住民の権利擁護というサイドからそういう判断もあるべきだと思いますが、この点どう考えておられるのか、総務部長に答弁を求めます。
 四つ目に、指定管理者への委託費についてです。
 指定管理者への委託費が、今回の議案の債務負担行為で三十件、百二億六千五百九十五万四千円計上されています。十七年度当初予算の委託費でこれを見てみますと、出向している県職員の人件費も含めて三十件で約三十億五千万円となっているように見受けられます。今回提案されている債務負担行為分を単年度で単純に割ってみますと二十一億五千万円、十七年度当初の単年度比較で見ると七〇%の経費に抑制されることになると見受けられます。その率は施設ごとに見ると随分ばらつきがあるわけですが、従来の委託費と何が変わってくるのでしょうか。標準人件費という考え方で現行の人件費より単価が低く抑えられているというふうにも思われますが、人員体制については、人数だけではなく専門職の配置が必要な施設もあり、どの施設も同じ一律の基準では、その施設の果たす役割を維持できない場合もあるのではないでしょうか。これも総務部長にお尋ねをいたします。
 五つ目に、指定管理者となった福祉施設の運営についてであります。施設の継続性、安定的維持についてどう考えているのかということです。
 母子支援施設のすみれホーム、なぎさホームについては、十七年度当初予算では国の措置費のみで運営されていて、指定管理者に移行しても変わりはないようです。
 南紀福祉センター、有功ケ丘学園、若竹園の維持管理運営費を十七年度当初予算と比較しますと、南紀福祉センターの十七年度当初は四億八千六百万円、今回の債務負担の単年度額は措置費で支弁される額約二億九千万円で、差額は約二億円生じることになります。これは十七年度当初予算の六〇%の額になります。有功ケ丘学園は、措置費支弁額プラス債務負担五年分で県費九千五百七十六万円を上乗せして、限度額として計上されております。単年度の差額は約一億六千万円の減額となり、十七年度当初予算の四四%の額になります。若竹園は、措置費支弁額プラス五年間の債務負担、県費約一億二千万円を上乗せ計上し、この施設については十七年度当初と比較しても単年度の差額がほとんどなく、現行の委託料がほぼ同額となっているようです。
 施設によってこういった差があるわけですが、これらの施設の措置費、支援費では、これまで維持運営に不足を来した部分、これを県費で上乗せ補助をして補ってきたという経緯があるわけです。
 若竹園はほぼ同額が計上されていますが、南紀福祉センター、有功ケ丘学園が大幅減額となっています。安定的に事業を継続させていくためには激変緩和の措置が必要ではないでしょうか。どうお考えなのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 六つ目に、施設の利用料金についてお尋ねをいたします。
 指定管理者に移行して経費の縮減によるサービスの向上が期待できるとされているわけですが、利用料金はどうなるのでしょうか。指定管理者が徴収する利用料金の限度額はどのように設定されているのでしょうか。現行料金と比較して、低料金化が図られていくことになるのでしょうか。総務部長にお尋ねをいたします。
 この問題の最後に、職員の労働条件についてお尋ねをいたします。
 指定管理者制度は、新たに指定された事業者については雇用効果をもたらしますが、県直営の施設が民間の指定管理者になったり、施設の受託先であった公共団体、出資法人が指定されないとなると、団体の解散、整理とそれに伴う団体職員の解雇などの問題が想定されるわけですが、施設からの県職員の引き揚げに伴う処遇や団体職員の身の振り方など、県は責任を持って対処をしてくれるのでしょうか。
 また、従来から管理を受託していた団体が指定管理者として指定されたとしても、その委託管理費経費、これが大幅に削減されることから、職員の賃金の切り下げ、正規職員からのパート化や下請化、派遣職員への置きかえなど、労働条件に変化は起こらないのでしょうか。これも総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、県立医大の地方独立行政法人化についてお尋ねをいたします。
 今議会に、県立医科大学の独立法人としての定款、評価委員会設置の条例、医大の県有資産の独立法人への権利承継の議案が提案されています。
 定めようとする定款では、法人の理事長は学長とし、学長となる理事長を選考するための選考委員会の設置、理事長、副理事長、監事などの役員と理事会の設置とその権限、審議機関としての経営審議会、教育研究審議会の設置など、法人の組織や法人の業務の範囲などが規定をされています。法人の設置者としての知事が法人の中期目標を作成し、法人は中期目標を達成するための中期計画及び年度計画を定め、計画的に業務を遂行し、知事が任命する第三者機関となる評価委員会の評価を受けるとしています。法人の会計は、行政の一般会計、特別会計から独立した企業会計制度に移り、職員の身分も非公務員となり、組織的には行政組織から分離し、独立したものになりますが、知事が法人の中期目標を作成することや、法人への運営交付金も知事の判断によることから、法人の運営や業務の内容については知事の政策的判断の影響を色濃く受けることにもなっています。
 県内唯一の医科大学とその附属病院が独立法人化によって自主自律的な運営が可能となると言われてきましたが、どのように生まれ変わっていくのか。単に組織が変わり、経費の削減が進められるだけのものになるのか、それとも県内の医療を取り巻く諸状況が改善されていくのか、その方向での改革となっていくのか、非常に注目がされるところでもあります。
 このたび法人の基本形態、組織についての基本計画も策定されたところですので、提案されている議案の内容も踏まえて、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一つは、法人の中期目標についてであります。
 法人の中期目標は知事が策定することになりますが、独立法人化する医大の意見はどの程度反映されることになるのか。もちろん、双方の立場から協議されることにはなると思いますが、知事主導で作成されるのか、大学主導で作成されることになるのでしょうか。
 また、法人に経営審議会、教育研究審議会が設置をされ、委員は理事長が任命するとありますが、大学の自治を保障するための学内者の意見の集約と反映、これはどのようにあるべきだと知事は考えておられるのか。
 また、医科大学の改革基本方針で、県民に対して開かれた大学として外部意見の反映に努めることとあります。したがって、経営審議会、教育研究審議会のこういった委員以外の県民から広く意見や要望を聞く、こういう住民参加、住民の意見や要望を反映させるための方策というのも必要ではないかと思うんですが、そういった点についてどう考えておられるのでしょうか。この問題については知事から御答弁をお願いいたします。
 次に、定款に定める業務の範囲についてです。
 定款が議決をされれば、独立行政法人化に向けた実質的なゴーサインにもなってきます。独立行政法人となる県立医大がどのような業務を進めていこうと考えているのか。県民にこの際説明をしておく必要があろうかと思うところです。
 定款に定めようとする業務の範囲に、「高度で先進的な医療を提供するとともに、地域の保健医療の充実発展に寄与する」とありますが、それぞれどのような内容のものを目指して言っているのか。本県の医療状況と住民の医療ニーズに応じた展開が求められているところですが、高度で先進的な医療とはどういう医療の提供を目指すのか。また、地域の保健医療の充実とはどういう内容のものを目指すのか。県内への医師の養成と派遣、地域の疾病特徴に応じた医療活動の展開や公衆衛生の向上、疾病予防の取り組み、がん、心疾患など死亡率の高さの改善など、今、医療に求められているさまざまな課題があろうかと思われますが、こういった点についてどのように考えておられるのか。これは医科大学の学長から答弁をお願いいたします。
 三つ目に、大学・附属病院の経営改善の課題についてです。
 法人に企業会計が導入されることになり、弾力的で透明性の高い会計制度へ移行すると言われていますが、確かに、一目見ても財務や収支の状況がよくわかりません。現在の収支の状況はどのようになっているのでしょうか。改善すべき経営課題としてどのようなものがあると考えておられるのでしょうか。総務部長に答弁を求めます。
 四つ目に、法人の情報公開についてです。
 法人の情報公開については、法では努力規定になっています。二月議会の答弁では、法人の情報公開のための制度整備を検討するとされていましたが、どのような方向で検討がされているのでしょうか。総務部長に答弁を求めます。
 五つ目に、法人への労働条件の承継についての問題です。
 労働条件は、県から法人に承継される教職員に不利益を生じないようにするとされております。これは常勤の職員の問題だと思いますが、現在非常勤やパートとなっている職員の処遇については法人に承継されていくのでしょうか。国立病院が独立法人化する際、病院で雇用されていた少なくない非常勤、パート職員の方が雇いどめになるという問題が全国的に起こりました。定数外の非常勤職員やパート職員も、大学・病院の機能を発揮・維持していくための重要な人材であることには変わりはありません。
 また、教職員の給与制度や勤務時間についての検討はされていますが、卒後の研修医、また臨床研究医──今は学内助手というふうに言うらしいですが──の労働条件の改善はどのように考えておられるのでしょうか。研修医、研究医といえども、昨今過労死ということも報道されたりして、医師としての労働者であることには、これは変わりがないわけです。
 さらに近年、医学生に女性の占める比率が全国的には四〇%近くになっていると言われております。医師を目指す女性が多くなってきているわけですが、県立医大でも三〇%を超えていると聞いております。女医が勤務をし続けられる、または家庭に入ってからも大学・病院に復帰できるような条件づくり、その一層の改善というものが必要となってくるのではないでしょうか。総務部長にこの点についてもお尋ねをいたします。
 六つ目に、法人への運営費交付金についてです。
 法人の運営を安定的に維持していくために、県から法人に運営費交付金が交付されることになります。交付金の必要額の確保、算定のルールや基準については、国立大学法人の考え方も参考にすると言われていました。参考にするのは結構だとは思うわけですが、問題は、年度年度の必要額をだれがどのように決めるかです。政府は、国立大学法人への運営費交付金は、大学の意向とかかわりなく毎年度削減する方針を持っています。必要額を確保するというのなら、大学側と十分相談して大学側の納得のいく金額に決めればいいと思うわけですが、この点はどのように考えておられるのか総務部長にお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 指定管理者制度についての御質問でございます。
 指定管理者制度は、規制緩和の推進という時代の流れを受けて創設された制度であり、県としてはこの制度の円滑な導入を図るため、募集に当たっての考え方やスケジュール等を定めた指針を策定し、推進してきたところでございます。
 指定管理者の選定に当たっては、公募を原則としているため、現在委託している団体も他の応募団体も含めて公募制度を通じて指定されることになりますが、地域性や施設の特性など特段配慮すべき施設の指定管理者の選定に際しては、これまでの実績やノウハウの蓄積等も考慮の上、別途検討を要することも必要であるかと考えております。
 また、管理委託制度を採用している施設につきましては基本的に指定管理者制度に移行することとなりますが、直営の施設につきましては、施設の設置目的、特性等をかんがみ、本制度へ移行することが適当と判断されるものについてはその導入を図っていくことになると考えております。
 なお、民間への譲渡につきましては、指定管理者制度とは別の観点での検討が必要であると、このように考えております。
 次に、指定管理者制度の導入に当たり、施設の平等利用といった県民の皆さんの権利は、これは当然のことながら引き続き守られる必要があると認識をしておりまして、それぞれの施設の設置及び管理の条例において、施設の使用許可の基準や個人情報の取り扱い等について規定しているところでございます。
 なお、指定管理者がこのような規定に反して県の指示に従わない場合には、指定の取り消しができるということになっております。また、県が施設の設置者として責務を果たすことは当然のことであり、適切な運営等が実施されているかどうかについて必要な調査等を行うこととしております。
 次に県立医大の法人化の中期目標についてでございますが、法人の中期目標については、公立大学法人においては特例として「法人の意見を聴き、当該意見に配慮しなければならない」というふうに法律で規定されており、これに基づき、大学との意思疎通を図りながら適切な目標を定めていきたいというふうに考えております。
 次に大学の自治ということでございますけれども、大学の教職員も委員となる教育研究審議会を設置し、教育研究に関する重要事項を審議し、大学運営へ反映させるなど、学内外の多様な意見を集約し、教育研究活動が自主的、自律的に行われるようにしております。
 最後に、県民の意見や要望の反映についてでございますが、開かれた大学として、大学みずからの情報開示や住民意見の集約を行うのはもちろんのこと、中期目標作成時や各事業年度の評価結果の議会における議論、また、これらを広く社会に公表することを通じて法人が社会的な評価を受けることにより大学運営に反映されていくものと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 指定管理者制度に関連して四点、それから県立医科大学の独立行政法人に関して四点、合計八点のお尋ねがございました。
 まず指定管理者制度でございますけれども、一点目は指定のあり方についてでありました。
 住民サービスのさらなる向上や公平性、競争性確保のため公募を原則としておりますが、各施設の地域性や施設の特性など、特段配慮すべき施設の指定管理者の選定については、非公募も含めた検討が必要であると考えております。
 二点目の指定期間中の委託費の積算でございます。
 原則として、事業費等につきましては平成十七年度予算並みとしたところでありますが、人件費については、十七年度の従事者数を基本としつつも、職務内容に応じた人事構成を洗い直し、県職員給与を参考とした標準人件費を用いて算出したところであり、その点、実支給額をもとにした今の積算とは異なっております。
 また、措置費及び支援費制度の対象となる福祉施設については、それぞれの制度に基づく額を基礎に委託費を積算したところであります。
 三点目は、利用料金についてのお尋ねでありました。
 条例による金額は上限額として定めるものでございますので、その範囲において指定管理者が独自に決定することになりますので、創意工夫によりましては低料金化が図れるケースもあり得るものと考えております。
 四点目は、職員の労働条件のお尋ねでありました。
 仮に指定されなかった出資法人につきましては、その設立目的やその後の状況の変化等も勘案の上、当該法人がそのあり方について判断するものと認識しております。その際、県としても出資者として適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、現在、法人へ派遣している県職員については、基本的にはそのような場合は復帰していただいて、当該職員の適性等をかんがみて、ほかの部署への配置等を検討してまいります。
 なお、指定された出資法人の労働条件につきましては、応募条件を考慮の上、それぞれの団体において適切に判断されるものと考えております。
 続きまして、県立医科大学に関連する四点のお尋ねについてお答えいたします。
 まず一点目の経営改善の課題でございますが、大学の場合、附属病院も経営しておりますので、十七年度の歳出予算額は二百七十二億円となっております。その財源でありますが、大学の授業料や附属病院の診療収入が大体百九十五億円、病院の経営もございますので、県債も含めまして県の財政投入額が約七十四億円という状況になっております。
 現在、入院ベッドや手術室の効率的利用、あるいは施設の維持管理経費の削減など、経営改善の努力を行っていただいておりますが、法人化後においては、企業会計の導入をすることもありまして、さらに経費削減の努力や外部資金の自己収入の増加に努めていただく必要があると考えております。
 いずれにしても、独立行政法人になるわけでございますので、大学にも経営の相応の責任を持ってもらう必要があり、健全な経営を確立していくことが肝要と考えております。
 二点目の法人の情報公開につきましては、現行と同様の情報公開の制度を確保するため、情報公開の実施機関に含める方向で検討してまいります。
 三点目の労働条件の承継についてでありますが、非常勤職員等の処遇については、いずれも一年以内の任期となっております。法人成立日以前にその任期が終わるものと考えられます。法人化後は、法人の規定に基づきまして法人が必要性を判断し、採用することになろうと思っております。
 また、臨床研修医、学内助手、女性の医師につきましても、有能な医師として活躍いただけるような視点に配慮し、今後検討してまいりたいと考えております。
 最後に、運営費交付金についてであります。
 法人の自主性、自律性を生かしながら安定した業務実施の財源として交付するものでありますが、その算定に当たりましては、教育・研究・医療活動の向上や経営改善につながるように、評価委員会の評価結果を適切に反映させることなどを検討しているところであります。県立医科大学や地域医療の中核施設としての役割や、他大学の事例なども考えながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害児者施設などの社会福祉施設に指定管理者制度を導入するに当たり、県費補助などの激変緩和措置が必要ではないかという御質問でございます。
 今回指定管理者制度を導入する県立障害児者施設のうち若竹園、有功ケ丘学園は、施設の構造の問題や専門職員の配置の問題から、措置費のみでは施設運営が難しく、措置費に県費補助を加えた債務負担行為となってございます。
 そのほかに、和歌山県福祉事業団に委託している障害児者施設がございますが、こちらは措置費、支援費のみで運営をしていただくことになります。これは、南紀福祉センター等を現在受託している和歌山県福祉事業団において、平成十五年度に経営改善計画を立て、指定管理者制度が導入される平成十八年度までに、他の社会福祉法人と同様、措置費、支援費のみで施設運営ができるよう体制整備に努めてきたことによるものでございます。
 確かに、平成十七年度当初予算と比較すれば大幅な委託料の減額となりますが、専門職員の配置など、支援水準を維持することによりサービスの低下を来すものではないと認識をしてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 議員御質問の「高度で先進的な医療を提供するとともに、地域の保健医療の充実発展に寄与する」という定款における業務の範囲についてでございますけれども、この後半の部分の「地域の保健医療の充実発展に寄与する」との部分は、国立大学はもとより、既に法人に移行している幾つかの公立大学にも例がなく、本学に特有の地域医療に対する思い、本学の個性ともいうべきものをあらわしたものでございます。
 本学附属病院は、県内唯一の特定機能病院として高度で先進的な医療を実施しておりますが、法人化後も、この高度で先進的な医療を大学内のみにとどめることなく地域の医療機関へ普及し、県内医療の水準向上に努めてまいりたいと考えております。また、県内の医療機関に対する適正な医師の供給や医療機関関係者の資質の向上を図るため、地域医療支援体制の整備についても検討してまいります。
 いずれにいたしましても、高度で先進的な医療を県民に提供し、地域の保健医療の充実発展を目指すことは本学の重要な使命と考えておりますので、法人化後におきましても一層の推進を図ってまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁をいただきまして、知事に再質問をさしていただきたいと思うんですが。
 指定管理者制度について多くの条例が提案されておりますが、内容を見さしていただきますと、選定基準ということについては、どの施設についても同じ内容で、公平な利用が確保できることとか、幾つかあるわけです。
 先ほどお話しされました住民の権利の擁護、公的責任ということも一定明記はされておりますが、議案で見る限り、経費の削減ということはもうはっきり目に見えてくるわけですね。従来受託していた団体が指定されたとしても、従来の人件費では計算されていないと。標準人件費という、これは机上の人件費で人員数に当てはめてみてこの委託費になるということです。
 福祉施設についても、措置費、支援費に限る施設があって、今まで県から、県として委託をしていてその公的業務を果たしてもらうという上での上乗せをしてきた、単独助成してきたということがあろうかと思うんですが、今度は措置費、支援費だけでやってもらうことになるよと。この部分ははっきりしてくるわけなんですが、ただ人員が確保されたといっても、中では大変な人件費削減のための努力や苦労というのが、まあ今の団体が指定されたとしてもあるわけなんですよね。
 そういう点で、行政経費の縮減ということについては、もう極めて印象的にはっきりとわかるんですが、ただ、今、総務省が、ことしの三月末に地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針の策定ということで、総務事務次官からの通知が各都道府県知事に出されているわけですが、一層の行政改革の推進ということで、財政状況の厳しさから行政コストの縮減ということが強調されているように見受けられるわけです。その中に指定管理者制度の活用とか地方独立行政法人制度の活用ということが言われておりまして、そういう点、側面から見れば、これは行政コストの削減のツールとして使われるのではないかという危惧が大変あるわけなんです。
 施設の利用者とか住民の権利擁護、利便性に資するとか、さまざまな県立の施設の設置の目的や機能というのがあるだろうと思うんですね。その施設設置の条例の一番最後には、住民福祉の向上に資するを目的とするというふうに皆うたわれているわけなんですが、果たしてこの指定管理者になって、そのことが十分に保障されるんだろうか、そういう運営が確保されるんだろうかということを危惧するわけなんですが、もちろんその施設設置の目的や機能が十分発揮されなければ、これは意味がないわけでして、そのための指定管理者制度であるというのならば、これは理解ができるわけです。そこのところをきっちりと整理をしておく必要があるだろう。県としても指導・監督をしながら、その施設に対して適切な運営を確保してもらわなあかんと。そのためには募集要項とか選定基準というのは問題になってくるわけなんですが、こういった基本的なところで知事の考えというのをはっきりと言ってほしいと思うんですね。
 独立行政法人にしても、今回定款が提案されておりますので、これが決まればもう実質スタートなんです。器はでき上がっているわけですが、先ほど大学長から話ありましたように、中身の詰めというのはまだまだこれからで、どういう課題があって、どういうふうに解決していくのか、それを解決していくためにも人員体制であるとか運営交付金であるとか、人的にも財政面でも保障されなければ──もちろん大学での努力はしてもらわなくてはなりませんが、そういうことが必要になってくるわけなんですね。そこら辺の基本的な認識について、知事の考え方というのをもう一度はっきりと聞かせていただきたいと思うんです。
 以上です。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 公の施設が住民の人の便益といいますか役に立つために設置されているという大原則は、これはもう指定管理者制度であろうと何制度であろうと全然変わるところではなくて、ただそういうふうな中に、今までぎちぎちにいろんなことを縛っていたものを緩めて創意工夫を凝らすことによって、より住民の人に喜んでもらえるような施設の管理運営ができる。そして、そういうふうな中で、これはなかったかもしれませんし、あったかもしれないんだけども、やはりいろいろ行政を行っていく上で、しゃくし定規にやっている中からいろいろなむだが出てきているというふうなことは、これは別に指定管理者制度の部分に限らず、いろんな部分にあるわけだけども、そういうふうなことがそれに付随して改善されればいいというふうな制度なんで、我々としてもこの指定管理者制度を導入すること、そしてまた独立行政法人化することによって本末転倒にならないようにするということは、これはもう非常に大事なことですから、御質問の趣旨にあわせてこれからも県の方としてしかるべき責任というふうなものは十分果たしていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十二番中村裕一君。(拍手)
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 通告に従いまして、順次、一般質問を行ってまいります。
 まず最初は、関西電力御坊第二発電所の建設中止についてであります。
 関西電力が今春三月二十八日発表した電力供給計画によりますと、平成十二年三月以来、毎年建設計画を先送りしてきた御坊第二火力発電所がついに建設中止となりました。すぐさま御坊市長は、「スタート地点に戻るとは大変遺憾だ。それなりの穴埋め、補償をしてもらう」とのコメントを発表されました。また、地元の経済関係者を代表して御坊商工会議所の吉田擴会頭が「考えてもいなかった。会議所としても補償請求などを検討していく」と、ただでさえ不況で苦しい商工業者のあきらめ切れない声を代弁されました。それらの声を聞いて木村知事は、「関西電力株式会社には地元御坊市などに今回の件に関し十分説明し、理解が得られるよう最大限の努力を要望する」と、地元関係者を心配してのコメントを出されました。
 発電所の建設については、御坊市議会が平成六年三月に誘致決議をしたのが始まりで、県議会も平成九年七月に建設促進決議を行い、前後して隣接四町、関係漁協の同意が出そろい、七月三十日の第百三十五回電源開発調整審議会において計画承認されたのでありますが、決して平たんな道を歩んだわけではありません。
 県知事の同意に添付された既設御坊発電所三号機に脱硫装置を設置することや梅の生育不良など十二項目に及ぶ意見は、まさに産みの苦しみを物語るものでありました。特に困難な場面では、当時、関西電力初め推進団体は、「地域との共生」という言葉を掲げ、発電所の建設で地域が経済的に発展すると盛んに宣伝しておりました。共生──「共に生きる」と書きますが、そのとき私は「共生」という言葉にすばらしい響きを感じました。とにかく、西口知事を初め多くの関係者のおかげで発電所は建設へ向けて動き出したのでありました。そして、いよいよ平成十二年二月五日には起工式がとり行われ、発電所建設費一兆二千億円、御坊市への電源三法交付金が七十二億六千万円、建設に伴う経済波及効果は県内全体に五千億円程度、うち御坊市域で二千億円、税収も固定資産税として御坊市に十年間で三百六十億円程度、法人事業税として県へ十年間で三百億円、さらに雇用も、建設中平均千二百人、ピークで三千九百人、運転開始後通常時五百人、定期検査時ピークで千五百人という巨大な経済効果に大きく夢を膨らませたのでありました。
 ところが、起工式からわずか一カ月余りで事態は急変し、よもやの建設中断でありました。その後、毎年計画を先延ばしで、「地域との共生」という言葉を信じ先行投資をした地元商工関係者は大いに困ったのであります。また、御坊市においても、準備事業に着手し、市民に多くの約束をしているのであります。結果的に、あのときに言った関西電力の「地域との共生」は全くのうそで、逆に関電はひとり自分だけの身を守ったのであります。もはや電源開発は国策ではないということがはっきりしたのであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 まず、今回の御坊第二発電所の建設について、どのようにお考えでしょうか。また、御坊市や地元経済関係者が建設に向けて先行投資をしていましたが、今回の中止で全くむだになり、御坊市や商工会議所は関西電力に補償を求めています。それに対して今のところ関西電力は具体的に何もこたえていませんが、知事はどのようにお考えでしょうか。お聞かせをください。
 二番目は、災害医療についてであります。
 去る四月二十五日に起きたJR福知山線の列車脱線事故は、死者百七名、負傷者四百六十名と、高度成長期以来最悪の事故となりました。また、電車が衝突したマンションや住民まで入れると、被害は莫大なものになると予想されます。一方、今回の事故では、阪神・淡路大震災の経験を生かして災害医療がスムーズに行われたことや事故直後から近所の工場の人たちが救援に出てくれたおかげで多くの人命が救助されたとも伺っております。その活躍ぶりは、兵庫県庁ホームページに詳しく報告されております。また、今回の事故で鉄道事故というものは一たび起これば甚大な被害が出ることが改めて明らかになり、災害予測をする場合の係数が見直されるということも報道されております。
 この際、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、被害に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げるものであります。
 しかし、私は今回の事故を通して思うことは、一つは技術革新の時代に生きる私たちは、何でも便利になっていく世の中を見て安全も同時に担保されているかのような錯覚をしておりますが、決してそうではないということが明らかになりました。実際、今回の事故や新潟中越地震の新幹線脱線事故では、旧型の重い車両の方が実は安全であったと言われています。むしろ便利さや効率性を追求することは、逆に危険度を増すことさえあり得るのです。
 次に、うまくいったと言われる災害医療についてでありますが、今回発生したのは単発的な事故で、この種の事故が同時に多発的に起きる大災害、とりわけ和歌山県が今後予想される東南海・南海道地震などでは、果たして災害医療は機能するのかという疑問であります。
 さきに中央防災会議が想定した東南海・南海地震に係る被害は、関東から九州までの広い範囲で発生し、建物被害は全壊棟数が最大で約六十三万棟、人的被害は死者が最大で二万人、経済被害については最大で約五十七兆円と推定されております。和歌山県では、全壊棟数約七万六千五百棟、死亡者数約五千人と推定されています。果たしてそれだけで済むのかという思いもありますが、国は被害を半減させるべく政策を掲げ、強気の姿勢で取り組むとのことであります。
 しかし、この中には負傷者数が明らかにされておりません。しかし、県内では数万人単位で負傷者が出るのではないかと予想をいたします。そのおびただしい数の負傷者を果たしてだれがどうやって助け出すのか、クラッシュ症候群のような負傷者は現場ですぐさま点滴などの医療行為が必要になりますが、それをだれが行うのか、また、助け出した後、だれがどこへ何を使って搬送するのか、重篤負傷者は災害拠点病院へ搬送することになっていますが、病院の建物は果たして大丈夫か、もし崩壊は免れたとしても、停電の中、病院の機能は維持できるのか、それより、災害拠点病院は地域の中核病院で日ごろから満床に近い状態にあり、大勢の負傷者を病院の一体どこへ収容するのか、また、そのためのマンパワー、医薬品、医療器材はそろっているのかなどなど、心配すれば切りがないほど不安材料があります。
 そこで、私なりに災害医療の分野でこんなものが必要ではないかと、三点提案をいたします。
 まず、災害救護資格の創設であります。
 災害時は、阪神・淡路大震災のときで明らかなように、助けてくれる人は近所の人ですから、近所に自主防災組織が必要なことは論をまちません。そして、そこには救助用具が必要になります。しかし、これらは遅くても今後そろっていくでしょう。ところが、先ほどから申し上げておりますように、近所の人に助けてもらうにしても、クラッシュ症候群のように救出時から点滴が必要な場合は、果たしてだれが手当てをするのか。また、医療スタッフに比べて圧倒的多数の負傷者が出現する大震災では、医師などの医療関係者だけでは人命は救えません。
 そこで、最近法律の改正で除細動器が講習を受ければだれでも使えるようになったと聞きますが、同様に災害時は特有のけがに限定して医療行為を行えるような災害救護資格というようなものを創設する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 二番目に、応急処置を施した負傷者は最寄りの診療所などの医療救護所へ搬送するわけですが、重篤患者はさらに災害拠点病院へ自動車、トラック、何でもいいわけですが、どうしても乗り物で搬送しなければなりません。ところが、災害拠点病院は市街地に多く、災害時は、病院周辺はただでさえ交通困難地域になるのに、あちこちから負傷者が搬送されてきて混雑をきわめることになります。そういう意味では、災害拠点病院というのは郊外の広い道路に囲まれところに防災に強い町づくりの一環としてつくっておかなければ、いざというときに役に立たないと思うのであります。
 病院の建物そのものは、これだけ世間が騒がしくなれば、さすがに耐震補強をするので倒壊をするということはないでしょう。しかし、病院の機能を損なうことなく動かすだけの自家発電を備えた病院は、果たしてどれだけあるのか。もしあったとしても、おびただしい負傷者をどこへ収容するのか。まさかロビーで手当てを行うのか、はたまた駐車場へテントを張るのか。およそ文明国とは言えないような戦場のようなことになるのではないでしょうか。そうならないためには、災害拠点病院の隣接にはヘリポートにもなる広い駐車場を備えた体育館が必要で、大勢の負傷者が収容できる施設を災害のためだけにつくるのではなく、町づくりとしてあらかじめつくっておく必要があります。そして、そこへ医療器材や医薬品、場合によっては棺おけも備蓄しておくべきでありましょう。
 以上のように、災害拠点病院を単に指定するだけではなく、日ごろより町づくりの視点での充実が必要でありますが、どのようにお考えでしょうか。
 三点目は、それでも足りないとき、収容し切れない地域、そしてまた甚大な被害が出た地域へは、それこそ病院船が必要ではないかと思います。
 我が国は最近まで外国へ自衛隊を送らない国でありましたから、病院船などは論外であったわけですが、これからは国際貢献のためにも、また国内大災害のためにも病院船が必要であると考えますが、御見解を伺います。
 三番目に、米国フロリダ州との姉妹提携十周年を迎えてについて伺いたいと思います。
 今春四月、愛知万博アメリカ館のフロリダの日に来日された米国フロリダ州知事夫人、コルンバ・ブッシュさんが音楽を学ぶ高校生とともに来和されました。四日間の短い日程ではありましたが、夫人が推進されている高校生の芸術支援事業のため、和歌山高校、和大附属小学校を訪問、子供たちと交流を深められたほか、和歌山商工会議所女性会の皆さんとともに懇談されました。また、世界遺産に登録された高野・熊野地域を訪問なさいました。
 私は久しぶりにフロリダ関係の報道に接し、交流が脈々と続いていることに感激したのであります。顧みれば、ことしはちょうど姉妹提携十周年という記念すべき年であります。
 平成二年、県選出の二階俊博代議士が運輸政務次官当時、観光ミッションでフロリダ州を訪問された際、若き日の南方熊楠が滞在した町があり、気候も温暖で柑橘の栽培が盛んな観光地、しかも半島であるなど共通点の多いことを知り、当時の仮谷知事に姉妹提携を提案されたのが始まりで、これまでの十年余りの間に──知事もフロリダへはいらっしゃったと思いますが──和歌山からフロリダへは実に三十四回、フロリダから和歌山へは二十八回の訪問がありました。特に平成七年十月の姉妹提携以降は役所や文化交流が盛んになり、続いて平成十一年十月、和歌山大学と西フロリダ大学が交流協定を結び、翌年春から留学生を交換することになりました。また、世界リゾート博、南紀熊野博でも代表団やアーチストを送ってくれました。私も一員としてリゾート博への参加依頼、そして姉妹提携答礼と二度訪問いたしましたが、経済交流なくして長期交流なしとの思いもありました。しかし、今日まで順調に続いているのは、さすがに先進国同士の余裕であると思います。
 今日、日本人のフロリダ観は、押しなべてディズニーランドやカリブ海クルーズといったリゾート地のイメージですが、実は最近二回の大統領選挙では激戦で有名になった政治的にホットな州でもあります。かつて民主党の金城湯池だったフロリダ州を天下分け目の関ヶ原と目し、わざわざ実弟を州知事に送り込んで大統領選挙に臨んだジョージ・ブッシュは、結果的に大もめにもめたあの有名な選挙トラブルを見事におさめ、フロリダで勝利し、劇的に大統領選挙に当選したのであります。
 交流と選挙は関係ありませんが、今、フロリダとおつき合いすることは、単なる地方政府同士のおつき合いというよりアメリカ合衆国の政治の中枢近くとおつき合いしていることになり、まさに国際交流のお手本であると思います。
 さて、本年十周年を迎え、知事はどのような御感想をお持ちでしょうか。また、今後の展開についてお聞かせをいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わりますが、一般質問のトリといたしまして知事初め県当局に申し上げたいと思います。
 この議会でも十六人の議員が登壇をいたしまして、県政各般にわたり熱い議論を展開したわけでありますが、議員は日ごろから県下を駆けめぐり、県民の皆さんと交わり、本当の声を聞いてきて、ここで質問させていただくわけであります。そういう意味におきまして、この質問の答弁につきましては、ぜひとも実現方努力をしていただきたい、そういうふうに要望申し上げまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関西電力の御坊第二発電所建設計画の中止についてでございますが、電力需要の低迷など社会経済情勢の変化に加え、燃料であるオリマルジョンの供給停止という国際エネルギー環境の変化に伴うやむを得ないものと受けとめてはおりますが、今お話にありましたように、発電所の建設に伴う地元への経済波及効果が大きく期待されたことから、地元の振興へかける期待も非常に大きなものがあっただけに、このたびの引き延ばした後での建設計画の中止ということについては、私としても大変残念に思っているところでございます。
 関西電力については、御坊市や経済関係者などを含む地元の声、いろいろ上がっているわけですので、これを十分聴取し、理解が得られるよう誠意を持って対処することを心から望んでいるところでございます。
 次にフロリダ州との交流ですけども、私も行ってきました。そして、今、御質問の中にもありましたように、ブッシュ知事、そしてコルンバ夫人──特にコルンバ夫人との関係が非常にあれになってきているんですが、これはアメリカで言えばファーストファミリーというのか大統領御家族の御一統様ということで、そこと和歌山県が今、非常に関係があるということは、これはある意味では始めたころと比べても随分大きな意義が出てきていると思います。しかも、この間も西フロリダ大学の元学長御夫妻とか芸術家の人なんかが来たり、こちらからも芸術家の人が行ったり、いろんな形で非常にいい交流が続いてきているので、これをもう少し厚みのあるものにこの十周年を機にしていくことができたら地方と地方──あちらの場合は合衆国だから国みたいなもんですけども──との交流というふうなことで、非常にいい関係の国際交流ができるんではないかと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 災害医療に関連しての三点の御質問についてお答えを申し上げます。
 まず、災害救護資格の創設についての御提案でございます。
 医療行為につきましては医師でなければ行ってはならないことが医師法に定められてございまして、看護師や救命救急士などについては、個別法の規定により、医師の指示に基づき診療の補助行為が認められております。しかしながら、議員御指摘のように、近年では救命救急士による気管内挿管の実施や自動体外式除細動器の使用が一般の住民の方にも認められるなど、緊急時における医療行為の取り扱いが見直されていることから、本県におきましても、災害発生時などに備えて、心肺蘇生法の講習会などを通じて指導者の養成や一般県民への普及啓発を行っているところでございます。
 災害時においては同時多発的に多数の負傷者が発生することが予想されることから、負傷者の救護などには近隣住民の協力が必要不可欠と考えられます。県といたしましても、議員御提案の災害時に限定した救護活動を行える制度の創設について研究するとともに、その可能性について国とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、災害拠点病院の充実についてでございます。
 本県では、二カ所の総合型災害拠点病院、六カ所の地域型災害拠点病院を指定し、災害発生時に必要な医療を提供する体制を整備しております。
 災害拠点病院につきましては、災害時における機能を維持するため、耐震構造やヘリポート、備蓄倉庫など国の指定基準に沿った設備等を備える必要がございます。
 本県においても、災害拠点病院はこうした構造設備を備えるとともに、多数の患者を受け入れられるよう、簡易ベッドや医薬品などの確保を初め、救急処置が迅速に実施できる体制の整備を図っているところでございます。
 議員御指摘のように、災害時には多数の負傷者を収容する必要があることから、災害拠点病院としての整備や機能のより一層の充実とあわせて、学校や体育館など近隣施設との連携を図るなど、災害に強い町づくりを市町村とともに考えていく必要があると考えております。
 次に、病院船の導入、必要性についてでございます。
 災害発生時には市町村が医療救護所を設置し、医師会などとの協定に基づき、医師、看護師など六名のスタッフで編成する医療班が派遣され、負傷者のトリアージによる判別を初め、応急処置や受け入れ可能病院への搬送等を行うことになってございます。また、この際、広域災害救急医療情報システムにより、災害の規模に応じて県外の医療機関への受け入れ要請を行うなど、被災地域の災害拠点病院などへ負傷者が集中しないような体制づくりも行っているところでございます。
 議員御提案の病院船につきましては、海上保安庁などでその機能の一部を付与した船舶を保有している例も聞いておりますので、今後の国の災害医療対策の動向を見きわめながら、貴重な御意見として研究をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。六月二十四日及び二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、六月二十四日及び二十七日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、六月二十八日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十二分散会

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