平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(角田秀樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして早速、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、むち打ち症患者に対する県立医大における検査体制と治療の確立についてお尋ねいたします。
 昨年の二月、そして六月、十二月議会において、むち打ち症に関する発言の機会をいただき、質問をさしていただきました。その後、ブラッドパッチ療法については、白浜町在住の方が議会報を見られ、突然私どもに来られ、「実は私もその治療法で、長年むち打ち症で苦しんでいたのがうそのように治りました」と。今後もこの活動を一生懸命に取り組んでほしい旨の話をされて帰られました。突然の訪問に正直少し驚きましたが、本当に感動の一瞬でもありました。
 さらに、昨年九月議会では皆様方の御理解と御協力により意見書も御賛同いただき、全国の議会においても、現在着実に進んでいる状況を御報告を申し上げたいと思います。
 また、進捗状況につきましては、本日皆様方のもとにお配りをいたしましたこの「会報」に詳しく掲載をさしていただいております。「脳脊髄液減少症はいよいよ第二ステージへ」というこういう「会報」でございますが、この四ページ目をできましたら見ていただきたいと思うんです。
 診療実態調査というのがございます。全国の協力病院において現在治療を受けられた患者さんの実態をグラフであらわしていただいております。赤色、黄色、青色、そして紫というふうに分類をいたしまして、赤の七三・五%の方は今回の治療法で改善傾向、そして、黄色の四二・四%の方が社会復帰を果たしております。また、青、紫色の現状維持並びに変化なしと悪化では二五%の結果として報告がございます。この調査に御協力いただいた病院名と医師名も右側に掲載をしております。また左下には、事故等での発病後二年未満の改善率では、七八・九%というすごい結果報告がなされております。それ以外の詳細については、時間の関係もございますので、お手元の資料どおりでございますので割愛をさしていただきますが、このブラッドパッチ療法について、現在のところ保険が適用されておりません。いわゆる自由診療となっています。しかしながら、全国の専門医の中で、支持をされるドクターも飛躍的に現在増していることも事実でございます。
 去る六月十一日、大阪市中央区にて第三十五回日本ペインクリニック学会関西地方会が開催されました。会長はお隣の奈良県立医科大学麻酔科の橋爪圭司ドクターで、約三百名のドクターが参加した会合でございます。特別講演を初め、教育セミナー、シンポジウム、一般演題等の内容で行われました。教育セミナーでは、「脳脊髄液減少症の診断と治療の現状」と題して、日本医科大学脳神経外科・喜多村孝幸ドクターと寺本ドクターにより行われました。また、一般演題では、和歌山県の角谷整形外科病院の麻酔科医でございます太田ドクター、粉川ドクターが血行動態の改善と並行して症状の改善が見られた脳脊髄液減少症症例を発表されました。こういった医師の努力と研究に敬意を表するとともに、私自身、患者の方々とお会いするにつけ、全国で約三十万人にも達すると言われるむち打ち症患者への検査並びに治療体制の早期確立の重要性を強く痛感する一人でもございます。
 一方、このNPO活動が全国に波動を起こし、マスコミ各社がこの実態について、テレビ報道はもとより新聞報道にも詳細にブラッドパッチ療法について掲載されるようにもなりました。
 ここで、最近の記事を御紹介をさしていただきます。
 去る五月十七日、これは東日本版の毎日新聞社会面の記事でございますが、「交通事故でむち打ち症に」という題で「実は脳の髄液漏れ」と、五段見出しで取り上げられております。記事内容は、長野県の美容師の女性四十六歳。二〇〇二年六月、車を運転中、中央線を越えてきた対向車に衝突され、収容先の病院で全身打撲と首の捻挫と診断されました。後頭部を針で刺されるような鋭い痛みが続き、転げ回るほどの痛みが続いたが、整形外科医は「手の施しようがない」と話すだけでありました。やがて、同じ病院の神経内科医が脳脊髄液減少症の勉強を始めていたことがわかり、事故から約四カ月、数回のブラッドパッチ療法で症状が好転し、今では六割程度回復いたしました。しかし、保険会社との問題は残っていますという記事内容でございます。
 また、三重県の伊勢市では、元会社員四十四歳の男性の場合、二〇〇一年十一月、乗用車を運転中、運送会社のトラックに追突をされ、頭痛や耳鳴り、左半身のしびれで四つの病院で受診をしたが症状が治らなく、販売の仕事で立ち続けると首から背中に激痛が走り、医者からは「痛みとつき合うしかない」と、さじを投げられた状態であります。二〇〇三年、インターネットで脳脊髄液減少症を知り、会社を退職して神奈川県内の病院を受診、一回目のブラッドパッチ療法で耳鳴りもしびれもなくなり、三回目で完治したと実感されたのでありました。しかし、加害者である運送会社は、「事故と髄液の漏れに因果関係はなく、ブラッドパッチの費用を払う義務はない」と主張し、現在訴訟となっております。この男性は、外見からわからないために仮病と見られる、事実をどう伝えたらよいのかと嘆くと掲載されておりました。
 さらに、五月二十九日付の毎日新聞のオピニオンの欄に、「髄液漏れに苦しんだ三十五年」という題で、船橋市の主婦、森淳子さん(四十九歳)の記事では、中学二年生の夏休みに部活で毎日約十二時間のバレーボールに明け暮れていたとき、コーチの打ったボールを受け損なって脳震盪を起こすほどの強烈な実はしりもちをついたことに始まりますという内容でございます。当初は不調の原因は十五キロもやせたことだと思っておったが、しかし、だるさを初め痛みや目まいなどと闘うこと三十五年、近年は電磁波にも悩まされ、車内での携帯電話には苦しい思いもされました。回った病院は数知れず、不要な薬を飲んでは何度も倒れ、医者のどなり声も浴びたと書かれております。この主婦がブラッドパッチを知り得たのは新聞記事でありました。この記事の結びには、交通事故以外にも髄液漏れが発症することがあり、治療法もあるという事実と、また早期の治療に対応できる病院がふえることを切に願っている、そして最後に、文章にあらわせないほどの苦しみを味わったこの三十五年を私はこれから取り戻しますというふうな内容で結ばれておりました。
 このような事例は、まだまだたくさんございます。
 私、先日、五月の二十三日、千葉県庁の議員会館にて、堂本県知事ほか県庁関係職員約六十名が出席されました脳脊髄液減少症についての勉強会に出席をさしていただきました。講師に国際医療福祉大学附属病院の脳神経外科教授・篠永正道ドクターが立たれ、今日まで篠永ドクター自身約一千例近くの患者さんの検査や治療を通じた貴重な講演を聞くことができました。また、職員の皆様も、最後までだれ一人席を外すことなく聞き入っておられたことが印象でございます。また茨城県では、年内中に専門家を招き、患者会とともに勉強会を実施するということでもあります。
 そこで感じたことは、先ほどの投稿された記事内容にもございましたが、この治療については、早期発見はもとより、適切な検査体制と治療に対する認識の向上が不可欠であると思われてなりません。勉強会では、「脳と脊髄の間を脳脊髄液が循環しており、外部からの衝撃で脳や脊髄を包む硬膜から液が漏れると脳の位置が低下する影響で頭痛や集中力低下、また睡眠障害など、多様な症状を引き起こすという病気であります」と、改めて啓蒙活動の必要性を認識させられました。
 また、先日、高野口の方から私どもにお電話をいただきました。この方は六年前に交通事故に遭い、当時の紀北方面の病院で治療を受け現在に至っていますが、右半身がどうもぐあいが悪く、しびれや重いものが持てず、気分が悪くなれば座っていてもどうにもならなくなり横にならざるを得ない状態の方でございました。NPOの中井代表とも御相談をし、私も付き添い、先日、和歌山市内のK病院で診察をしていただきました。結果は、脳脊髄液減少症ではありませんでした。しかし、別の治療を選択すべきという適切な進言を受け、しかるべき病院への紹介状もいただき、その方は明るい顔で帰られました。こういうケースもございます。適切な検査を受けることにより、結果こそ違いましたが、その患者さんにとってみれば一つの光明が見えたのではないでしょうか。後日、私のもとに、本当にありがとうございましたという感謝のお電話も入っておりました。この六年間ゆううつな日々を送り、治療のめどさえ不透明な毎日は、その人でなければわからないことだと思います。私は、そういった人のためにも何かお役に立てればと思う一人でございます。
 むち打ち症は痛みの原因が解明されないのが特徴で、今まで被害者が治療継続や後遺症に対する補償を求めても認められにくく、自賠責の後遺障害等級では後遺障害なしもしくは一番下の十四級、いわゆる局部に神経症状を残すといった判断をされています。ところが、二〇〇〇年になって一部の医師が、むち打ち症の原因は髄液が漏れている脳脊髄液減少症であると主張し始めたところから、大きくこの病気に対する見方が変わってきました。
 以上のことから、本県において脳脊髄液減少症の実態について、まず行政の関係者の皆さんに御理解していただくためにも、県主催で勉強会を開催していただきたいと思います。この件につきましては、福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、県立医科大学附属病院における検査・診療体制の早期確立について、このことは学長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に移りたいと思いますが、県営住宅の整備体制についてお伺いをいたします。
 和歌山市内にある川永団地は、現在、老朽化に伴い、ハートビル法に基づき昨年よりリフォーム工事やエレベーター設置工事も進み、一部完成した棟より入居も始まっております。この川永団地は、昭和四十年代前半から入居が始まり、また後半まで二十四棟の団地構成であります。現在入居されています自治会役員は当時のことについて、昔は若い入居者もたくさんおられ、子供たちによるみこしや山車を引き、いろいろな催しも開き大変にぎわっていたと話をされておられました。しかし、入居者の高齢化に伴い、また社会状況の変遷もあり、今日、自治会運営や維持管理等の面で自治会員だけではどうしようもないこともたくさんございます。
 その中で大きな一つは、団地内の放置自動車であります。先日確認に行かしていただきますと、十九台、放置自動車がございました。(写真を示す)ちょっとこの図では見にくいと思うんですが、こういうふうに点在しまして、ちょうど集会所の中央の道路のところにナンバープレートのない車がたくさん放置されておりました。早速、この写真も添えまして住宅環境課に早期撤去の申し入れをさしていただきました。
 この問題は以前よりございまして、二年前にも同じような放置自動車のことがあり、住民から撤去をしていただきたいという依頼を受け、当局に申し入れをさしていただきました。しかし、またもや繰り返し、一部の人の迷惑行為のために住民の多くの方は困惑されておられます。例えば、緊急車両等の進入路の確保や災害時での安全対策にも支障を来すのではないかと心配もされておられます。
 さて、本年一月から使用済自動車の再資源化等に関する法律、いわゆる自動車リサイクル法が施行されました。法律の趣旨は、皆様も御存じのとおり、自動車ユーザーが費用を負担し再資源化し、環境問題への対応を図るための法律でございます。
 今回の放置自動車に対しても、本来は自己責任で行わなければなりません。しかし、団地内におけるこのようなケースは、いつも所有者がわからず、撤去費用をすべて行政がこうむり処理をしてきました。しかし、今回施行された法律により、撤去費用に加えてリサイクル代も必要になり、負担額も多くなります。貴重な税金が使われるわけでございます。したがいまして、今後の予防策として一部の役員の方から、公営住宅内に駐車場を設置し所有者を明確にすればこのたびのような自動車を放置する行為もなくなるのではないかといった意見もございます。
 以上のことから、今後の放置自動車等の対策についてどのように対応なされるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。
 また、もう一つの問題がございます。この問題というのは、ライフラインであります水道問題でございます。
 川永団地では、今日まで水道の検針と料金徴収を住民自身が行ってまいりました。しかし事実、大変な状況でございまして、特に料金徴収に至っては相手のあることでございます。遅滞や未収、その他いろいろあって、その御苦労は本当にお気の毒であります。以前より自治会会長並びに役員の方より、水道局との直接検針並びに徴収について住宅環境課はどうお考えになっているのかとの御相談をいただいております。
 一方、以前建てかえたニュー川永団地の一部の棟は、既に和歌山市水道局との契約に変更になっております。このような状況について今後の対応を、放置自動車対策とあわせて県土整備部長にお伺いしたいと思います。
 また、この際、意見として述べさしていただきます。
 和歌山市内に実は、千旦団地、また千旦第二団地という県営住宅がございます。長年その団地のみが水道水を、現在でも井戸水を使用しているとお聞きいたしました。団地自治会から以前より委託を受けた方が水質管理と維持管理を任されて現在に至っているそうであります。しかし、井戸水に対する不安の声も聞かれるところから、水質の安全性を考えれば和歌山市の水道局からの給水に変えるべきではないのか、こういうふうに思います。しかし、入居者のそれぞれの方々の同意というのが大前提でありますから、当局におかれましては、よく協議の上、今後の検討すべき事項として要望をしておきたいと思います。
 次に、本県の少子化対策についてお伺いをいたします。
 六月一日に厚生労働省が発表した二〇〇四年の人口動態総計で、一人の女性が生涯に産む子供の数とされる合計特殊出生率が、過去最低の二〇〇三年を下回る一・二八九人であるとの調査結果を発表されました。少子化への加速はとどまる様子はなく、このままの推移でいくと、間もなく我が国社会は総人口が減少する人口減少社会に突入されると言われております。明治以降、第二次世界大戦中の一時期を除けば、我が国の総人口が減少するのは初めてのこととなります。
 少子出生率の低下の要因については幾つか挙げられますが、複合的な社会的現象として、少子化の原因に、一つは晩婚化・未婚化の進展、いわゆる未婚率の上昇、晩婚化の進展と独身者の結婚意識、婚外子割合の国際比較、妊娠・出産と結婚との関係、夫婦の出生力の低下、次にその少子化の原因の背景として、仕事と子育てを両立できる環境整備のおくれや高学歴化、いわゆる働く女性の増大、出産・育児と仕事の両立、そして高学歴化が挙げられております。また、結婚に関する価値観では、結婚に対する意識の変化、結婚することの利点、結婚は選択肢の一つ、次に子供の存在に関する価値観、いわゆる子供を持つことの価値観並びに価値観の変化、家庭を築くことや生命を継承していくことの大切さ、子供を持ってよかったことなど、さらに子育てに対する負担感の増大には、子育て費用の負担や教育費用負担、ワーク・アンド・ファミリーバランスなどを挙げられております。そして、家庭や地域の子育て力や経済的不安定の増大等、多様な要素が現在の状況を招いたと分析されておりました。
 そこで、我が党もチャイルドファーストいわゆる子供優先、「もっと「生まれたい社会」」の構築に向けて緊急提言を行っています。基本的な考え方の一つには、少子化対策に対してはさまざまな意見がありますが、やはり子供を産み育てることは個人の意思にゆだねるべきとの考え方が大前提で、結婚したい、産みたい、育てたいという意思があるのにそれができない人に対してきちんとした支援の手を差し伸べるところからスタートしようと。また、出産・育児にまつわるいろいろな阻害要因が取り除かれれば、産みたくないという人の中からも産んでみようかなと思う人が出てくるのではないかと考えます。また、従来の少子対策は親への対策が中心でございました。しかし、生まれ育つ主役は子供であり、育つ環境がどうであれ、子供には公平に支援を受ける権利がございます。その意味で子供の視点からの対策に転換していかないとと考えております。以上が、私どもの基本的な考え方でございます。
 本県では子供と子育てを大切にする地域づくりに向けて、和歌山県次世代育成支援行動計画を策定されておられます。この計画は、将来においてさらに深刻化することが予想されている少子化問題を一番に取り上げています。また、現在までの人口動態、そして各項目での数値目標に対する達成率があらわされています。今後の取り組む課題の中には、NPOとの協働による地域密着型プラン等、子育て計画も示されています。
 先日、知事が定例記者会見で発表されました「子育て大賞」については、全国的に大変ユニークな施策として取り上げられております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今回の子育て大賞の発案は知事がお決めになったとお伺いしていますが、現在の応募状況と、並びに継続的な施策として行っていくのでしょうか、それとも他に実施するプランがあるのでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 次に、各市町村から再三要望がございます、現行行っております乳幼児医療費助成の拡充についてお伺いをしたいと思います。
 県は、現在の乳幼児医療費の助成については、入院の場合は平成十四年八月一日より対象年齢を三歳児未満より小学校就学前まで拡充を行っております。一方、通院の場合は、平成七年四月一日改正で三歳未満児まで引き上げ、現在に至っています。しかし、既にこの改正案から十年目になっており、通院対象年齢の引き上げは時代の趨勢となってきていると言っても過言ではありません。私どもに対し現在の対象年齢の拡充を求める声も多く、入院と同じく就学前までに拡充していただきたいと強い要望も多々ございます。
 先日の新聞報道によりますと、茨城県の牛久市では、中学生まで対象年齢を拡大する条例改正案が今六月議会に上程され、これが可決されれば小学校入学時まで入院・通院とも無料、そして入院時に限って中学卒業時まで無料とする支援拡充策であります。
 一方、県下の自治体もそれぞれ、対象年齢については一律ではなく、少子化対策の一環として年齢を引き上げ、横出しを行っている自治体もございます。今後の子育て支援を推し進めていく上で重要な経済的支援策であると思います。したがいまして、さらなる充実を求める立場から、乳幼児医療費制度の拡充について福祉保健部長にお伺いをいたします。
 最後に、次世代を担う若年層への就職支援につきましてお伺いをいたします。
 現在、若者の間にアルバイトやパートで暮らすフリーターや職探しも進学もしていないニートについては皆様もよくお聞きになると思いますが、内閣府の調査では、フリーターは二〇〇一年で四百十七万人、九〇年代初めの約二倍以上に達し、ふえた主な原因は若年層の厳しい就職事情が挙げられております。バブル経済崩壊後、日本社会全体が不況に陥り、加えて企業体が人件費を抑制するために正社員採用を抑えたことなどが背景にあると言われております。また、ニートも二〇〇二年で八十五万人に上っていて、そのうち約半分の四十二万強の若者が「就職を希望しない」との答えで、深刻な問題を呈しています。他の半分も「就職を希望するが活動をしていない」を理由としています。
 一方、総務省の労働力調査によりますと、昨年十二月の完全失業率は四・四%と前月比〇・一ポイント改善し、一九九八年十二月以来六年ぶりの低水準となり、この結果、昨年平均の完全失業率は前年比〇・六ポイント減の四・七%で、二〇〇〇年以来の水準を回復いたしました。また、「勤め先都合」で失業に追い込まれるケースが減っておりまして、リストラに減速傾向が見られるようになったと分析されております。ただ、十五歳以上の人口のうち、どれだけの人が働いたり職探しをしているのかの割合を示す労働力率は、九二年の六四・〇%をピークに減少傾向にあり、昨年は前年比〇・四ポイント減の六〇・四%に落ち込み、労働力人口も六千六百四十二万人と六年連続で減少し、ピークの九八年より百五十一万人減となっています。中でも、若者の労働離れが目立ち、昨年の調査では、十五歳から二十四歳の男性の労働力率は四四・〇%で前年比一・二ポイントも下がり、他の世代に比べ減少幅は最も大きくなっています。背景には、働こうとも学ぼうともしないニートと呼ばれる若者の増加が影響していると見られます。このニートになる理由として、中学や高校中途退学、また学校の就業紹介ルートで就職できない人が増加するなど、形態そのものもさまざまであります。求職活動がうまくいかず自信を失ったり、勤め先で挫折したりといったケースも少なくありません。
 そうした中、自分探しをしながら得意な分野で成功し、自由な時間を有意義に生かす若者も、少しずつではありますが、増加の兆しが見えてきています。しかし、フリーターやニートの増加は、本人はもちろん、社会にさまざまな問題を突きつけています。定職につかないフリーターやニートの増加とともに、厚生労働省は将来の労働力供給に問題が出ると危機感を強めています。労働力の先細りは経済社会の活力を衰退させかねず、若者の就業促進対策は急務の課題であると位置づけています。
 また、UFJ総研の試算では、フリーターの年収は正社員の約四分の一程度で、生涯賃金では一億五千万円以上も差がつき、結婚する率も正社員の約半分にとどまり、また、年金など社会保障の支え手として減少する点も問題であると分析されています。また、特にニートは放置しておくと生活保護受給者増などの社会的な問題に直結する要素を持ち、個別的な支援を息長く続けることが重要であると指摘しています。
 こういった状況の中、政府は依然として高い若年失業率が増加するフリーターや無業者いわゆるニートといった問題の重要性にかんがみ、昨年十二月、若年層の雇用対策、若者の自立策を打ち出しました。
 一方、本県では、緑の雇用対策事業や就業対策に知事を先頭に積極的に取り組まれております。しかし、依然就職先の定まらない若い方を見るにつけ、私は、本県の人口動態や若年層の定着率をかんがみ、行政における就業支援策については息長く行っていくことが非常に重要であると思います。
 以上のことから、知事の若年層への就業支援の基本的な考え方や企業誘致についてお伺いいたします。
 次に、他県に先駆けて設置したジョブカフェでの具体的な就業支援策とその成果について、また関係団体との連携策について商工労働部長にお伺いいたしまして、第一問を終わります。
 御清聴、まことにありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、子育て大賞ということでございます。
 私も、この少子化の問題は大変な問題だというふうな認識なんですけど、なかなか特効薬がないというふうな中で、子供がたくさんいて、そして皆が楽しく暮らしているというふうな家庭を表彰するようなことも一つの元気が出ることじゃないかなと思って考えたわけです。これは意外と受けまして、現在、四十家族ぐらいが推薦として出てきています。
 毎年やるのかどうかということなんですけど、毎年家族がふえていくわけでもないんで、毎年やるのがいいのか、隔年でやるのがいいのか、三年に一回やるのがいいのか──いずれにせよ、単発に終わらせないで、こういうふうな子育てに頑張っている家庭を表彰することで、また子供をふやしていこうというふうな気持ちが高まるようにしていきたいと、このように思っております。
 それから、フリーターとニートの問題。
 これも大変な問題で、ようやく景気は回復してきているものの、雇用条件の厳しさということは全く以前とはもうさま変わりしているというふうな中で、例えばパートであるとか派遣労働であるとかアルバイトとか、こういうふうな不安定な勤務状況にあるフリーターの人とか、それからもう一つは働かないというふうなニートの人、これが相変わらずふえ続けるというふうな状況にあります。
 そしてまたこれは、御質問の中にもありましたように、可処分所得が当然のことながら少なくなってくるんで家庭が持てない、家庭が持てないと子供が生まれないというふうなこと、そしてまた、可処分所得が少ないので物を買わないから消費が少なくなって景気がよくならない、長期的には日本の経済に非常に大きな悪い影響を及ぼすだろうということは、これも御質問の中にあったとおりだと思います。
 和歌山県では、こういうことに対しましてなかなか特効薬というのはないんですけども、中・高のころから勤労意欲を持ったり、そしてまた働く心構えを持つようにするように民間企業と協力してインターンシップ制度を新たに導入したり、それから職能の向上であるとかカウンセリング機能の充実というようなことを行うことによってきめ細かく労働意欲を高めていくというふうなことを一方でしていき、そしてまたもう一方では働き口というふうなものを積極的に誘致してくるというふうなこと、両々相まってこのニート、フリーター対策というものに取り組んでいきたいと、このように思っています。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 脳脊髄液減少症の実態を理解するための県主催の勉強会の開催について、お答えを申し上げたいと思います。
 交通事故によるむち打ち症やスポーツ外傷などの原因により脳脊髄液が減少し、頭痛、目まいなどの症状が出現するとされる脳脊髄液減少症につきましては、現在のところ、その病態はまだ十分解明されておらず、その治療法の一つであるブラッドパッチ療法につきましても、治療成績などの報告がなされておりますけれども、その有効性については医学会の評価がまだ定まっていない状況にあると認識してございます。
 しかし、むち打ち症などでこれらの症状に悩む患者さんにとっては、より多くの治療法の確立とその情報提供が待たれるところでございまして、県としましても、勉強会を含め、引き続き国の動向や研究の進展状況などの情報収集等に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に乳幼児医療費助成制度の拡充についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、少子化は大変深刻な問題でございまして、乳幼児医療費助成制度は少子化対策の重要な柱と考えており、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため本制度を実施してございますが、市町村を初め各種団体からもさらなる制度の拡充について要望をいただいているところでございます。
 こうした中、対象年齢の拡大も含めて乳幼児医療費助成制度の見直しにつきましては、県単独医療費助成制度全体の見直しの中で本年度内に検討を行い、来年度中にも実施いたしたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 県営住宅の関係につきましてお答え申し上げます。
 まず、放置自動車につきましては、緊急時の車両通行に支障を与えるおそれもあることから、警察など関係機関の協力を得ながら、放置自動車処理要領に基づき早急に処理していくこととしております。
 なお、放置自動車を防止するには、地域の皆様と関係機関とが力を合わせて総合的に取り組んでいくことが何よりも重要であると考えております。その一つの手段として、駐車場を整備することで駐車位置を明確にし、それにより自動車の放置を防止することも考えられます。
 しかし、駐車場整備に当たりましては、まず、自治会や入居者の皆様方の管理運営も含めた御協力とその総意が不可欠であり、入居者の皆様方の御意見がまとまり次第、整備手法等についても検討を行ってまいります。
 次に、上水道の各戸検針業務等を和歌山市水道局に移管することにつきましては、団地自治会の負担軽減につながることから、現在、入居者の同意を得られた団地から順次移管を行っております。
 川永団地につきましても、入居者の皆様の同意が得られ次第、和歌山市水道局と協議を行い、移管の手続に入ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ジョブカフェ・わかやまに関する御質問にお答えをいたします。
 ジョブカフェ・わかやまにつきましては、若者を取り巻く厳しい雇用環境を踏まえ、平成十五年十一月に開設したところですが、昨年度の利用者は延べ二千二百九人で、そのうち就職決定者につきましては約二百人と把握をしてございます。
 現在は、カウンセリングを中心に、適切な求職活動の進め方や効果的な面接の受け方など、若年求職者の多様な悩みに応じてきめ細かな対応に努めているところでございます。
 今後は、これまでの業務に加え、雇用のミスマッチをできるだけ少なくするため、求職者が直接職場を訪問して働いている方の生の声を聞くワークアドバイザー制度の活用やビジネスインターンシップなどに取り組むとともに、来月から和歌山労働局や経済団体の協力を得て、グループ活動を通じて求職活動を支援するわかやまジョブ・クラブを創設することとしてございます。
 今後とも、若者のニーズに応じた多様な支援メニューにより、早期就職と職場定着ができるよう支援してまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 医大附属病院における脳脊髄液減少症に対する取り組みにつきまして、お答え申し上げます。
 議員御質問のとおり、早期診断と適切な治療により脳脊髄液減少症に苦しむ患者様の苦痛を取り除くことは、医大附属病院にとりましても大切な診療行為であると考えております。現在、脳神経外科でMRIとラジオアイソトープによる脳脊髄液減少症の診断と治療を行っているところであります。
 また、むち打ち症のすべてが脳脊髄液減少症というわけではなく、その診断につきましては慎重な対応が必要であると考えております。
 なお、ブラッドパッチ療法につきましては、今後、健康保険制度が適用されました場合には、医大附属病院におきましても適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 知事並びに関係部長、また学長、御答弁ありがとうございました。
 このブラッドパッチ療法というのは、先ほど学長も申されたとおり、保険外なんですね。自由診療という形に現在はなっております。しかし、検査をしていただくということにつきましては先ほどの答弁でお聞かせいただきましたので、患者さんにとれば、先ほどのケースにもあったように、本当に脳脊髄液が減少しているのか、またその頸椎におけるところの損傷があるのかというところがわかれば、治療法もまた確立ができてくるというふうに思います。また、我々の団体もその辺はまた頑張ってまいりたいなと、こういうふうに考えます。
 あと、勉強会につきましては、福祉保健部長、日程等々いろいろ先方もございますが、開催した場合には積極的に動員をかけていただきまして御参加をいただきたいというふうに思います。それはまあ、あくまでも意見並びに要望とさしていただきまして。
 子育ての件につきまして。
 先ほどの知事の発案の子育て大賞というのが非常に反響がありました。お隣の奈良県でも、これもいろいろ賛否両論があるそうなんですが、行政がいわゆる出会いのための仲立ちをいたしましていろいろなイベントを組んでいるというふうなお話も聞いております。実は奈良は、平城遷都千三百年、二〇二二年という目途で、一生懸命カップルをつくり、そして人口をふやしていこうという、こういう戦略で今現在取り組んでいるそうでありまして、そのユニークな発想が、たしか来る六月の二十九日、日本テレビ系の全国放送で約一時間半強にわたってのテレビ放映があるという、これだけでも結構なニュースソースになるわけなんですね。
 こういうふうな情報も発信をされておるところもございますので、これからはどんどんマスコミ等々うまくその電波に乗って──和歌山は、NHKの世界遺産はどんどんされておりますが、こういったユニークな発想も皆さんのところからまた発信していただければなというふうに思います。
 以上、すべて要望並びに意見とさしていただきますので、私の方は終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明二十三日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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