平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 最初の質問は、昨日からも、また本日もいろいろと質問が行われているところですけれども、がん対策問題についてお尋ねをしたいと思います。
 我が国の死亡原因の三分の一以上はがんによるものだと言われていますし、なお今後も増加するということが言われております。二人に一人ががんにかかり、三人に一人が亡くなっているとも言われていますし、日本の新規がん患者数は年間六十万人にも上り、そして年間三十万人が死亡すると聞いております。そして、年間百三十万人ががんに苦しんでいるとも言われているようであります。それだけに、一九八四年に始まりました国の対がん戦略は、これまで何をしてきたのでしょうかと問いたくなります。ことしの一月、尾辻厚生労働大臣は、これまでのがん対策を点検してわかったこと、がん対策ということの重要さと行政的対応がつり合っていなかった、統合本部が必要だと語っていらっしゃいます。
 国は、昨年、第三次十カ年総合戦略をスタートさせましたが、これは、増加するがん患者の死亡者数を大幅に減らすことを目指して始まりました。しかし、研究対策に投じる国費を見てみますと、米国の三十分の一というわずかな額にとどまっています。果たして、これで苦しんでいるがん患者の願いに本当にこたえられるのでしょうか。
 厚生労働省は、がん対策推進統合本部を発足させました。そして、ことしの一月二十日、第一回の検討会で厚生労働大臣尾辻本部長は、「日本のどこに行っても国民が望む医療を受けられることが、がん対策の中で極めて重要である。がん五年生存率を二〇%向上するという政府目標のため、対策を一層推進する」という強い決意を見せておられます。実効ある具体的取り組みに私は大変期待をするところでございます。
 近年では診断、治療予防の進歩によって、がんは以前のような不治の病ではなくなりつつあると言われていますが、しかし、とはいってもまだまだ国民のがんへの不安は強いものがあります。
 私は、去る五月二十八日、大阪NHKホールで開催されました第一回がん患者大集会に参加をしてまいりました。「変えよう日本のがん医療・手をつなごう患者と家族たち」をスローガンに、全国から二千人を超える参加で、がん医療に対する熱い思いが伝わる集会でもありました。多くの患者さんは、思わしくない体調を押しての参加でしたが、時間はオーバーするほど次々と国のがん対策に意見が出され、最後に尾辻厚生労働大臣も、国家プロジェクトとして取り組みを強化することをかたく約束をされたところです。
 とりわけこの中で訴えられたのは、海外で一般に使われている抗がん剤が日本ではいまだに無認可である、保険診療では使えないこと、抗がん剤の専門家である腫瘍内科医が余りにも少ないこと、この中で、自分で百万円もする未承認の抗がん剤を外国から輸入し、そして地方から専門医のいる東京まで、治りたい一心で、必死の思いで命がけで通院を続けていらっしゃる方の訴え、また非常に進んだがん患者に対する緩和ケアの必要性が問題として対策が求められたところです。また、がん治療を行う専門病院はどこなのか、専門医はどこにいるのか、治療法は、最良の納得の治療をと情報を得たいと右往左往して治療法の選択に混乱をしたり、判断が困難な現実にあるとも訴えておられました。そして、患者主体のがん情報センターの早期設立を強く求めておられる発言が多くありました。がん治療の地域間格差の解消についても切実なものがありました。患者さんたちの日本のがん治療体制のおくれを厳しく指摘をされた集会でもございました。
 国の第三次戦略では、二次医療圏に一カ所の地域がん拠点病院を設置することを求めています。また、抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科医や放射線治療専門医の配置も急がれるところです。がん緩和ケア病院と病床の拡充などが急がれなければならない、そんな現状にあることも知ることができました。
 ところで、御存じのように、がんは検診による早期発見、早期治療が基本であります。私たちみずからも、積極的に定期的に受診することが何よりも大事だというふうに思います。
 本県のがん死亡率は、全国第六位です。部位別では、肺がんは全国第一位がこの数年間続いてまいりました。また、肝臓、胆管がんについても全国第二位と、高い水準にあります。その対策が急がれる現状にあります。
 福祉保健部長にお尋ねを申し上げます。
 検診については、受診率をそれぞれ三〇%を目標に定めておられます。一体現状はどのような状況になっていますか。部位別にその状況をお聞かせ願います。
 中でも乳がん検診では、マンモグラフィーによるX線検査が進められているところですが、その受診状況はいかがでございましょうか。国の基準では、四十歳から五十歳未満までは上下と斜位の二方向のX線検査で検査が行われますけれども、五十歳以上になりますと斜位の一方向のみとなっています。私も先日その検診をしてまいりましたけれども、その専門医のお医者さんがおっしゃることですが、一方向だけでは全体が撮影できない、だから見落とすことが非常にあるということで、このことが指摘されたところであります。
 そこで、私は、せめて五十五歳ぐらいまでは二方向に改善すべきだというお医者さんの意見も、まさにそのとおりだというふうに思います。わずかなところで撮影できないために見落とされて悲しい思いをしなければならない、そういう状況をつくってはならないというふうに思うわけです。
 これは市町村の事業ではありますけれども、市町村の財政的措置もあろうかと思うところですけれども、何よりも早く発見をして悲しい思いをさせないという対策問題としても考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。福祉環境部長、お答えください。
 また、和歌山県でとりわけ高い肺がん、肝臓がん対策について、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 二つ目の質問でございます。医師不足問題についてです。
 これまで県内に働くお医者さんの数は、全国平均を上回っている数字になっています。人口十万人に対する医師の数は、二〇〇四年度で見れば二百二十一・八人で、全国平均の百九十一・六人を上回っているというふうになっております。しかし、この医師も和歌山市周辺に集中した状況にある。とりわけ紀南地域は、慢性的な医師不足が長い間続いてきております。医師確保のため、医療機器の最新式を整備するなど地域医療を守る立場から市町村や病院関係者が大いに努力を続けていらっしゃいますが、本当にこの医師不足に対する心の痛みを感じるところであります。
 最近では、県下の自治体病院あるいは公的病院と言われるところにおいて医師不足が極めて深刻となっていると聞き、我が県議団はその実情を知るために、紀南を除いて六カ所の病院を訪問し、その実情を聞いてまいったところです。
 共通しているのは、和歌山県立医大からの派遣が随分と厳しくなってきましたと。また、退職する先生も多くて、それは開業のためとか、あるいは他の病院への就職、それから医大への引き揚げということです。そして、県立医大以外の大学へ要請しても、同じように派遣も厳しくなってきているということです。その結果として、今、自治体病院や公的病院では外来診療の休止をせざるを得なくなった、そして、これまで救急外来を受け入れていたけれども、夜間も含めて受け入れができなくなってきている、そして、先ほどからも問題になっていますように小児科の夜間の救急受け入れがどうしてもできなくなってきた、そして、患者さんから要望があった検査が既にできなくなってしまっている、小児科医がいなくなって小児科というその標榜を消さざるを得なくなってしまったなどなど、病院経営にも影響を与えていると言います。何よりも住民への医療サービスの低下となっていることは明らかです。ある院長さんは、医師確保で病院にいることが少なくなっていますと、医師不足による影響がここにも強く出ていることを訴えられていらっしゃいました。
 医師派遣の要請に随分今までこたえていらっしゃる医大へもお伺いをしたわけですが、県立医大はこれまでも県下の病院に医師派遣に努力をしてきた、国からは大学病院の医療水準を高めることを厳しく求められている、そのため大学病院における医師の充実が必要になってきているし、また研修医制度の指導医の確保などなどのため派遣できる余裕は余りなくなってきている実情が訴えられました。私自身も、県立医科大学は医師を育てること、あるいは看護師を育てる教育の場であり、研究機関であるということは十分承知いたしておりますが、高度な先進医療を担う附属病院でもあります。
 こうした問題の中、五月二十日に、全国八十の国公立・私立大学でつくる全国医学部長病院長会議が、この臨床研修医制度の廃止を求める提言をまとめたと報道されています。新制度によって地域医療は崩壊寸前、大学病院での医療研究の沈滞につながるとしているところです。それだけ深刻な状況が今生まれているということを私たちも認識するべきではないのかというふうに思います。
 済生会有田病院では、大学からの小児科医派遣が廃止になりました。有田市立病院一つに統合されるということになりましたが、しかし、これまでの状況から見て、湯浅町内六保育所の保護者から存続を求める要望書が知事に出されていますので、御承知のところというふうに思います。
 そこで、お尋ねを申し上げます。
 知事、あなたは県下の地域医療を担っている自治体病院や公的病院の現状をどのように把握をされているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 医師確保や看護師確保対策、地域医療のあり方を多角的に検討する時期に来ているのではないかというふうに私は思います。新しく病院が次々と改築をされていきますが、本当にこれからその内容が充実したものになり得るのかどうか。ここにも自治体病院のあり方というのをこれから考えていかなくちゃならないというふうに思うわけです。
 そこで提言ですが、県行政としてこうした問題を多角的に研究し、そして論議をしていくという方向性を示すために地域医療センターの設置が今必要ではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 医師確保対策には、学生をふやすことが最も早道だというふうに考えるものです。しかし、文部科学省は定員を一割削減することを求めているようです。定員をふやす方策を検討してみてはどうでしょうか。総務部長から答弁をお願いするものであります。
 ドクターバンクに私は大変期待をするものですが、そう簡単には進まないのではないかというふうに危惧をしているところです。他府県の医科大学に進学した学生に、卒後県内の病院で働くことを条件にした奨学資金制度を新設していくところもふえています。和歌山県でもこのことを考えてみてはいかがでしょうか。既に青森、福島、長崎、新潟、岩手、秋田、そういったところで制度化がされたり、あるいはこれから進められようというふうな状況もあります。福祉保健部長から奨学資金制度の新設についてお考えをお聞きしたいと思います。
 また、医師確保の面で、特に今、医学生の中で三割から四割は女性が占めているというふうに聞いておりますし、和歌山大学でも三割は女子学生であるというふうに聞きました。しかし、女医さんが卒後この医療現場に働くということを見ていますと、大変労働時間も長くなり、そして超過密であります。過酷な状態の中で休暇は思うようにとれません。そして、育休というようものがあったとしても、産休そのものも十分とれないまま働きに出なければならない。こんなにすばらしい制度があったとしても、その制度が十分活用できないというような問題があるというふうに思います。女子のお医者さんが働く環境改善も今必要ではないかというふうに考えております。
 三つ目の質問で、看護師需給計画見通しについてお尋ねをしたいと思います。
 来年四月から、平成十八年度ですが、五年間の看護職員需給計画の策定が実施をされるようになっております。国の方針がこのほど、前提条件など、あるいは実態調査そのものについて明らかにされたところでありますし、それをもとにして県下の病院、診療所、介護事業所や施設の実態調査が進められているところでございます。
 この方針、いわゆる計画をつくる上での前提条件の中身として、過大な時間外労働を削減するための増員や、あるいは夜勤は一般病棟では三人以上の夜勤体制にすること、あるいはICUなどでは患者一人に看護職員一人にすること、あるいは看護職員の研修に必要な人員を見込むこと、年休の完全消化を見込むこと、手術台一台に三人の看護師を配置すること、そして産前産後、育児・介護休暇の完全取得とその代替要員の確保などを前提条件に計画をつくるように求めています。職場の現状を反映した内容が幾つか随分と前進をしてきているというふうに思います。
 何よりもこの計画をつくる上で実態調査は大事でありますが、この実態調査にそれぞれの病院や施設の皆さんがありのままを記入していただき、少しでも職場実態が改善できる計画を私は期待したいと思っております。
 しかし、今、職場では年休はとりにくくなってきていますし、土曜、日曜出勤の代休もままならないと聞きます。妊婦の夜勤免除も、夜勤禁止となっているにもかかわらず免除されないため、また診断書を出さなければ免除されないなどという状況のもとで、なかなかそれが実現しません。そして現場は、切迫流産がふえている実態も多く語られたところです。保育所設置の要求も切実な声になっております。
 この四月から、准看護師から看護師の国家試験の受験資格を得るための通信制二年課程の教育制度が始まりました。働きながらの勉学に大変な努力が必要です。無理しないで最後まで頑張ってほしいなという気持ちでいっぱいです。
 そして、看護学校の問題でありますけれども、労災病院の看護学校が廃止になりました。このことによって看護師の確保対策に少なからぬ影響を来し、私は残念でならないところです。
 そこで、十七年度末の確保目標、一万三千百七十二名になっておりますけれども、これに対しての達成状況はどうなるのでしょうか、お示しください。
 今後の需給計画策定の取りまとめはどのようなスケジュールで進められるのか。これについてもお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 御質問の中にもありましたように、新しい医師臨床研修制度の開始など、医療を取り巻く情勢が激変する中で、県内でも自治体病院や公的病院の中に医師が不足し、また医師がやめられて後の確保ができないというふうな深刻な問題が起こっているということは十分承知しておりますし、私のところへも苦情等たくさん寄せられております。
 こういう中で、県としましては、先日来申し上げているようにドクターバンク制度、これはまあ全国でも早い方なんですけども、設けてこれを実行していって何とかそういうことを緩和していく方法であるとか、それからドクターヘリ、これは非常にうまくいっているんですけど、こういう制度で紀南の方の救急患者の方に対処するとか、いろいろなことをやっているんですが、やはり基本的には県立医大、ここが地域医療についてうまく医師を確保するような仕組みを考えていくということが非常に大事だと思っておりますので、県の方とまた県立医大とよく相談しながらこの問題に対処していきたいと、このように思っております。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、がん対策についての御質問の中で、がん検診についての部位別受診状況でございますけれども、平成十五年度においては、肺がん検診は三二・四%、胃がん検診は一七・三%、大腸がん検診は二〇・九%、乳がん検診は一五・五%、子宮がん検診は一六・九%となってございまして、すべて全国平均を上回っている状況にございますけれども、目標の三〇%に近づけるため、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、マンモグラフィーによる乳がん検診についてでございますけれども、平成十七年度から県内すべての市町村で実施されることになってございますが、さらなる受診率の向上、精度の高い検診を目指しまして、本年度、マンモグラフィー搭載の検診車を二台整備したところでございます。
 また、国の基準では、平成十六年度より四十歳以上五十歳未満の方が二方向撮影というふうになってございますけれども、現在、県内の市町村の実施見込みはほぼ半数にとどまっている状況でございまして、まず、すべての市町村でこれが実施されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に肺がん対策といたしましては、最大の危険因子でございます喫煙への対策を重点課題とし、平成十三年に「県たばこ対策指針」を作成してございます。受動喫煙を防ぐため、官公庁の喫煙対策とあわせ、県ホームページで禁煙飲食店の紹介などを行っているところでございます。禁煙支援としましては、指導者講習会の開催や県ホームページで禁煙外来、禁煙サポート薬局の情報提供などを行ってございます。また、これら喫煙対策をより効果的に実施するため、平成十七年三月に県たばこ対策推進協議会を設置したところでございます。
 また、肝がん対策につきましては、肝炎ウイルス対策が重要であるということから、すべての市町村で平成十五年度から肝炎ウイルス検診を実施しております。
 また、C型肝炎ウイルスの持続感染者が肝硬変や肝がんになることを防ぐため、それを支援する市町村や保健所の保健師等に対し肝がん予防研修会を毎年開催しているところでございます。
 次に、地域医療センターの設置をという御提案でございますけれども、本県の地域医療を担う医師等の確保につきましては、県立医科大学、地域の公的病院、県等がお互いに連携しながら取り組んでいく必要があると考えてございます。
 また、それぞれの関係者で構成される医療対策協議会を設置し、効果的な医師や看護職員等の確保・配置対策、医療機関の機能分担と連携の推進につきまして協議することとしているところでございます。
 県としましては、地域医療のあり方を多角的に検討するとともに、議員御提言の地域医療センターのような総合調整機能を果たす仕組みについても関係者と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、奨学資金制度の新設についてお答えを申し上げます。
 医学部学生や大学院生を対象に、卒業後一定期間それぞれの地域で医療に従事することを義務づけた奨学資金制度を導入したり、検討している自治体が増加している状況にございます。この制度は、将来、過疎地域の病院や診療所で勤務することや、小児科医や産婦人科医として勤務することなどを貸し付け条件にすることにより、医師の地域偏在や専門の偏在を解消することを目的にしているものと認識をしてございます。
 奨学資金制度の新設につきましては、他府県における効果などを見きわめながら実施の可能性を探ってまいりたいと考えております。
 次に、看護職員の需給計画策定のスケジュールでございますけれども、現行の看護職員需給見通しは平成十七年までとなってございまして、十七年末の看護職員の確保目標は一万三千百七十二名で、六百八十一名が不足となる見込みでございます。
 次期需給見通しの策定につきましては、看護を取り巻く状況の変化を踏まえ、平成十八年から五年間の新たな需給見通しを策定することとなってございまして、和歌山県地域医療協議会の看護職員充足対策専門委員会において協議を行っているところでございます。
 今後の策定スケジュールは、六月末に医療機関等の調査票を回収
・集計し、国との協議を経て、来年二月ごろに最終決定する予定となってございます。
 需給見通し策定に当たりましては、看護職員の働きやすい職場づくりを推進するため、現場の声を反映し、かつ質の高い看護サービスの提供を目標として策定してまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 医師の確保対策として、県立医科大学の学生数をふやしてはどうかという御提案がございました。
 現在、文部科学省において、大学の設置基準となっております入学定員の取り扱い等に係る基準などによりますと、医学部定員は抑制であるという方針が示されているところでございます。また、御指摘にもありましたとおり、県内における人口当たり医師数は全国平均を上回っている状況にありまして、御案内のとおり、紀北地域へは偏在も見られるところでございます。
 こうした状況を踏まえますと、医師の地域偏在を解消するということが必要でありまして、このためにも、先ほど来答弁がありましたとおり、本年度から創設しましたわかやまドクターバンク制度、あるいは自治医科大学の制度の活用、また福祉保健部長からありました医療対策協議会の活用、さらには、知事からもありました、何といっても県立医科大学における積極的な対応といったことによりまして地域における医師不足の解消を図っていくことが重要と考えておりまして、関係部局とともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 がん対策にいたしましても、医師不足問題にしても、非常に難しい問題だというふうには思うんですけれども、がん対策のところでは、専門医そのものが日本の場合は随分おくれているというのは、がん患者の皆さんたちの大きな叫びなんですね。
 普通、私たちも、どこの病院に行っても、どんなレベルの治療でも同じようにやってもらえるだろうと、いわゆる自治体病院とか総合病院というのはそういうレベルのものだろうという期待を持っていると思うんですよね。
 ところが、和歌山の場合は、和医大かあるいは日赤だけしか一定レベル以上のものは持っていないというのが、病気になって初めてわかるというのが現実だと思うんです。そういう点で見れば、医大と日赤だけがぐっと高い医療水準にあるということだけではなくて、自分の住んでいる地域の自治体病院やあるいは公的病院と言われるところがもっとレベルを上げるための支援策というのがやっぱり必要じゃないかというふうに私は今も思っています。
 そういう点で、がん患者の皆さんたちは、情報が手に入らないという悩みがいっぱいあるんですね。だから、がんという診断をされた、もう頭が真っ白になっちゃって、家族も含めて一体どうやったらいいんだと。お医者さんの説明なんていうのはもうほとんど頭に入っていないというんですね。
 そういう場合にフォローしてくれる相談室とか、あるいはがんの手術に対しては医者がやりますけれども、外科系の医者は、手術が終われば「手術は無事に終わりました」、「手術をします」と言うだけで、そこで終わっちゃう。あとは抗がん剤を使ったり、レントゲン治療をやりますよといったときでも、その医者が説明をしても、どんな形でやるんだろうなというところまではよく説明しませんよね。
 だから、そういうときに、いわゆる抗がん剤についての専門の医者がどうしても今は必要だということで。ところが日本には、その数が少ないと。アメリカでは九千五百人ぐらいいるけれども、日本には五百人しか認定医がいないという数字が出ています。それは厚生労働省も認めているわけですね、少ないというのは。だから、それは「進めます」と言っているけれども、遅々として進んでいないというのが専門家の皆さん方の声なんですね。
 それから、放射線治療でどのような形でするかということについての説明というものも必要なんですよね。患者さんたちは、抗がん剤を飲んだりあるいはレントゲン治療をすれば絶対に副作用があるだろうと。周りの人が髪の毛が抜けていると。抜けてくるんだというような不安がいっぱいあるわけですけども、そういった問題についても放射線の専門の医者が、それは腫瘍内科専門医と言うそうですけれども、それからそれを補助する放射線技師というものもやっぱり必要だということが今患者側から求められているわけですけども、そういった点でも、やっぱり内容を充実させるということが必要だというふうに思っています。
 そういう点で、和歌山県下に本当に──こういった専門の医者を育成するのは大学だと思うんですけれども、しかし、それが本当にどれだけ行政も支援をしながら認定医をふやしていくかということ。それぞれの病院のあり方もあると思うんですけども、そういう点で、今がんについての患者さん側からの要望というのはそこが強いということと、あわせて情報が余りにも少な過ぎると。それから日本の国のあり方ですけども、認定されている抗がん剤が外国に比べて本当に少ない。外国で当たり前のように普通に使われている抗がん剤が、日本では承認されていないために高い金を出してわざわざ輸入をすると。そういうような経済的な負担も今非常に大きいということですから、そういった点での改革も必要じゃないかというふうに思います。これはぜひとも行政側としても国に急いでそういう点を改善してほしいという意見を申し上げていただきたいというふうに要望をしたいと思います。
 それから、医師不足の問題ですけど、今知事も言われたように、やっぱり新しい臨床医制度ができてから急に医者が地域から引き揚げられてくると。大学は一生懸命やりたいけれども、自分のところの方も内容を充実させなければいけないし、さらに発展をさせるという点から見ればなかなか思うようにいかないのだという御苦労があるようであります。そういう点で、医師不足を解消していくために、本当に地域全体、行政も含めて、関係者も含めて積極的に論議をしないと解決しないと思うんです。
 文部科学省なんかは、一割を削減せえ、これから定員の基準についてはふやしてはあかんよと言っていますよね。閣議決定されているからどうもならんのですというのが総務部長の話やと思うんですけども。しかしこれは、幾らこの地域が偏重していたとしても、これはもうずっとですよね。この間、和歌山県の場合には。
 医師不足に対して紀南地方は物すごく減っているんだ、足りなくてずっと難儀しているんだ、だけども和歌山市地域にいっぱいいてるから、これをまずどないするか解決せなあかんと。そんなもん、解決しようないでしょう。今、それじゃ和歌山市にある大きな病院をつぶして紀南の方に持っていけるかと。そんなこともできないわけでしょう。
 そういう点から見れば、これはもうずうっと引きずってきている問題ですよ。だから、そういう点で、医者が多いから、地域に偏重しているから偏重の分を解決するんだというんやったら、今までもっと真剣に考えるべきだと思うんですよ。私、議員になったときは、もうそれを答弁しはりましたよ。もう十八年間同じ返事です。そういう点では、やっぱり国に思い切った提起をすべきだというふうに思うんです。そういう点でも積極的に国への要望をしていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから、奨学資金制度についてはもう絶対つくってください。これはよそではどんどん進んでいってるんですから、お金がないからできないんだというような問題ではないというふうに思います。これをつくるときに五万円とか十万円とかというような額では、これはだれも定着をしないと思いますよ。秋田県ですか、そこらは一カ月に三十万という奨学金、そして義務年限を九年間と。これは自治医科大学と同じような期間を設定していますし、大体どこもそういうような設定になっているようですので。要項を見てみますとね。
 そういう形で、何としてもやっぱり医師を確保すると、そして地域偏重をなくしていくという一つの手だてとして奨学金制度についてはぜひ考えていただきたいというふうに、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。もう予算を考える時期になっていると思いますので、ぜひ来年度にそれが実施されるように検討をお願いしたいというふうに思います。
 看護師の需給計画ですけれども、これは長年の懸念ですが、なかなか埋まらないという問題ですね。欠員が計画どおりにいかないという問題。いったとしても足りないという現状になっていると思うんですが、しかしこれは、二〇〇〇年につくった需給見通しの部分のやつを見ていまして、十六年の十二月時点でどれだけあったのかということですが、目標が計画では十六年十二月には、需要は一万二千八百九十七名が必要です、それで一万二千百四十六人は必ず計画で実現しますと、しかしそれでも七百五十一人が不足することになりますと、こういう計算になっているんですよね。だけども実際にそれがどうなのかといったら、七百五十一人どころか、約千三百人ぐらいが不足の状況になってきているというふうに私は計算上で見るんです。だから、そういう点で見れば、この計画をつくってもなぜこれだけ補充する手だてができないのか、確保する手だてができないのだろうかということをもう一回、職場の実態から考えてみるべきことだというふうに思うんです。
 これは協議会か何かができているというふうに聞きますので、そこらでやっぱりもっと掘り下げて検討して実態に反映できるような計画をつくらないと、恐らくことしの十二月にはもっと深刻な状況が生まれるのではないかというふうに思います。
 そういう点で、この需給見通しについては、本当に今職場が大変な状況を一歩でも二歩でも改善できるような具体策を、計算はできても、数字上ではできても実態がそぐわないということになると大変ですから、そういう点での改善をじっくりと、慌てないで計算をしていただきたい、計画をつくっていただきたいというふうに思いますので、これも要望にしておきたいと思います。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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