平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに知事専決処分報告報第八号から報第十三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入らせていただく前に、私ごとではございますけれども、申し上げます。一九五五年、昭和三十年六月二十二日に私は生まれました。そして、きょうでちょうど五十歳を迎えます。大学卒業後十年間勤めました和歌山市役所広報広聴課を退職いたしまして和歌山市議会に出馬、初当選させていただきましたのが三十五歳のときであり、その後、三十九歳のときに県議会初当選をさせていただきました。以来、今日まで紆余曲折の連続でございましたですけれども、私にとりましては、あっという間の十五年間でありました。私を今日までお支えいただきました後援会の皆様に、また今日まで多くの方々との出会いをいただいたわけでございますが、その皆様方に感謝をいたすものであります。
 私の人生におきまして一つの節目とすべき五十歳の誕生日にこうして一般質問をさせていただく機会を得ましたことに、先輩・同僚議員の皆様方に感謝を申し上げますとともに、知事並びに御答弁いただきます部長さん方、どうか何とぞ一緒に私の誕生日を祝っていただくという意味も含めまして、前向きで心ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 今議会、一般質問も三日目、知事専決処分も含め計六十四件の議案が上程され、補正予算額、一般会計で九千八百万円余、特別会計で四百万円余となっており、去る六月十三日開会日、木村知事よりその説明がなされたところであります。
 そんな中、今議会一般質問初日、先輩でございます町田議員より、今議会のメーン項目ともいうべき県立医科大学の地方独立法人化について、また県民文化会館を初め四十一の施設について設置及び管理条例の一部の改正、すなわち指定管理者制度についての質問がなされました。
 私は、この問題は大変重要な案件だと思いましたが、町田議員の質問と知事初め県当局の御答弁を聞かせていただき、さらにこれから各常任委員会にて審議、議論がなされることと思いますので、今回はこの問題は省かせていただき、観光と道路、そして住友金属の投資について質問を、また色覚バリアフリーについて要望をさせていただきたく存じます。
 私は今日まで、自分の公約としてまいりました「福祉と人権」「観光と道路」というテーマに基づき、この十数年やってまいりました。そのことは、過去十数回における県議会での一般質問の議事録を見ていただければ御理解をいただけるものであります。
 平成七年九月定例会、私が県議会議員として初めて一般質問をさせていただいたときのことでございます。そのときの質問項目が「観光立県和歌山の創造について」でありました。今後の方向づけや観光大学に対する考え方、片男波公園周辺の整備計画とマリーナシティの今後の事業計画等が主な質問内容でありました。
 続いて、平成八年六月定例会におき、「観光立県和歌山について」といたし、観光大学の誘致のその後の状況と大阪府のウオーターフロント構想の対応等を県にお聞きいたしました。
 「ウオーターフロント」、大変懐かしく感じます。今、この言葉はどこへ行ったのでしょうか。今から約二十年前、まだそのとき、私が市の職員であったころでございますけれども、JC(青年会議所)の三カ年継続事業であり、産官学共同事業でありました通称WULP(和歌山米国リーダーシッププログラム)という事業に参加をさせていただきました。二週間かけてニューヨークにございます米日財団を皮切りに、テキサス州サンアントニオ市のリバーウオーク──これもまた通称パセオデル・リオという呼ばれ方をなされていまして、水辺の散歩道という意味であるそうでございますけれども、そこを、またロサンゼルスのヨットハーバーでございますマリーナ・デル・レイ、それからピッツバーグの都市再生等、多くの町づくりを学んできたことを思い出します。まさに、ウオーターフロントに関しての町づくりが主でありました。
 加えて、過去、経済警察委員会におきまして、本県におけるフィルムコミッション誘致の件やドーム型人工スキー場、それから市堀川でのイベントについて等の問題提起をしてまいりましたが、残念ながら、そのほとんどは実現に至らず、まことに残念な思いであります。
 昨日、玉置議員から世界遺産についての質問がなされましたが、また、ある種この質問も私の今日の質問につながってくるものと感じました。
 以上のことから、私は観光に対する思い入れが人一倍強いものであり、自分なりにこだわってまいりましたし、これからもこの問題につきましてはこだわってまいりたいと、そう思っております。そして、このことは、現在、県御当局は大変な御努力をしていただいているのは十分承知をしておるわけでございますけれども、企業誘致がなかなか思うように進まないというような状況にありまして、本県の歳入アップということを考えたときには、必ずこの観光の問題がつながっていくというふうに確信をするものであります。
 また、今日まで議会にて観光問題を取り上げたとき、必ずこのことと一緒に取り上げた問題が道路施策についてでありました。当時から私は、観光と道路問題は切り離せない問題であるという認識に立っていたからであります。また、平成九年二月定例会におき地元商店街活性化施策について、続いて平成十三年二月定例会におき中心市街地の活性化について、それぞれ一般質問をさせていただきました。そして、今回改めて、観光と道路について問題提起をさせていただきたいと思います。と申しますのも、時あたかも、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録され、地元大学の和歌山大学に観光学部をつくるという流れになり、今議会におきましても超党派にて「和歌山大学への観光系学部の設置を求める意見書」、これは案でございますけれども、これを国に対し提出すべき取り組みを現在行っておるところでございまして、その機運が徐々に高まりつつあり、やっとそういう意味でチャンスが和歌山にやってきたと、そう感じたからでございます。
 まず初めに、和歌山大学の観光学部設置についてお聞かせをいただきたく存じます。
 なお、平成十六年九月定例会におきまして、公明党県議団江上議員よりも和歌山大学観光学部設置構想について御質問があったことも認識をしており、同感であると感じると同時に、今回私なりの視点に立って質問をさせていただき県の御見解をお聞きしたいと存じますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
 また、過日六月十五日、中村裕一議員からお誘いを受け、私たちは和歌山大学を訪れ、小田学長を初め和歌山大学の方々と観光学部設置について話し合い、勉強する機会を得ました。県議会からは門議員、中村議員、吉井議員、浅井議員、花田議員、藤山議員、そして私の七名が、和歌山大学側から小田学長、小畑監事、武田理事、三吉理事、足達理事、森本理事、岡田事務局長の七名の先生方に御同席をいただき、予定の時間をオーバーするほどの中身の充実した勉強会でありました。小田学長からは、国の財政難、少子化の中、人材育成の大切さと二十一世紀の重要産業はまさに観光産業と考える、そのために和歌山大学に観光学部創設を考え、早ければ二年後の開校を目指したい等、改めてお話があったわけでございます。
 ちなみに、私はこれに「国際」という言葉を入れていただき、国際観光学部としてこの話が実現していただければ非常にいいなというふうに思うわけでございますけれども。
 過日、新聞報道に、「和歌山大学に観光学部、国立初の創設を目指す」とのタイトルのもと、二〇〇七年四月に観光学部を和歌山大学に新設する構想を明らかにしたとして、特色ある大学づくりの一環で、全国の国立大学で初の学部設置を目指すとの報道がなされておりました。まだ本県の紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録される見通しが有力視されているころのことであります。当時から、小田学長は「観光立県を目指す和歌山で、世界の観光業界で活躍できる人材育成を目指したい」と述べられております。定員は一学年二百名程度。観光学を研究する機関は少なく、和歌山大学はこれを学問として確立するとともに、海外研修や語学の習得など実践教育にも重点を置く方針等との内容でありました。
 また、「和大観光学部キャンパス、旧丸正本館など候補」との見出しのもと、わかやま観光産業推進会議のシンポジウムが開催され、その中で小田学長は「市の中心部に千人近い学生がいれば観光振興にもつながる」と述べられ、観光学部は、できればぶらくり丁などがある市の中心部に置きたい考えを示されたわけであります。
 そして、本年五月二十八日に、観光のあるべき姿の追求等を目的に、観光学部の設置を目指す和歌山大学が、国際シンポジウム「二十一世紀型観光を展望する サステイナブル・ツーリズムの最先端」を開催されましたことは、これはもう皆様方よく御存じのところであります。そのときは、「持続可能な観光」をキーワードに、グアテマラのエコツーリズムやアメリカにおける経済と環境の持続性など、観光を取り巻く現状が紹介され、自然と文化、観光客と地域住民の融和を図るのに効果的な観光施策について論じられました。
 このシンポジウムには、カーティン工科大学教授のジャック・カールセン氏、また本県出身者であり内閣府特命担当大臣の竹中平蔵参議院議員、元運輸大臣・衆議院議員の二階俊博代議士、そして本県の木村良樹知事、文部科学省大臣官房審議官の徳永氏などが出席され、竹中大臣からは「日本二十一世紀ビジョンと和歌山の今後」をテーマに特別講演があり、「和歌山の魅力は県内にいるとなかなか気づかない。和歌山大学が設置を目指す観光学部の使命については、魅力を再発見して企画できるプロデューサーを地元から育てることが大切である」と話されておりました。
 また、パネルディスカッションでは、今日まで御自身の持論であります、いち早くから本県の観光について語られ、これは仮称でございますけれども、本県に観光資料館を設置すべきであり、また国において観光庁設置を急ぐべしとの考えなど多くの観光に関する提言をされ、多くの本を出版されております地元選出国会議員二階代議士、そして木村知事、小田学長らが討論。その中、二階代議士は、「観光の専門家だけでなく、異業種の協力を仰いでいくべき」と指摘され、「何よりも大切なのは県民が温かい気持ちでお客様を迎える気持ちだ」と、人的インフラ整備の必要性を訴えられました。小田学長が「地域の活性化に観光産業も重要な役割を果たすようになった」と述べられ、木村知事は、「和歌山の魅力はやはり自然と歴史。これを重視し、いかに地域の人の元気につなげる方策に結びつけていくかが大切」と述べられておりました。
 まさに同感であります。和歌山にお越しいただいた方々に気持ちよく過ごしていただき、和歌山へ来てよかった、また和歌山へ行きたい、そう思っていただくことが大切であり、ホテルなどインフラの整備も大切でありますけれども、何よりも、観光産業に携わる方々だけでなく、県民みんながおもてなしの心を持つことが必要だと考えます。つまり、人を育てることなのであります。和歌山大学に観光学部が設置されれば、その役割は大変大きいと思います。
 ここで、観光立県を目指す和歌山で世界の観光業界で活躍できる人材を育てたいという構想を持つ和歌山大学の観光学部設置について、知事の御所見をお伺いしたいと存じます。
 また、さきに和歌山大学を訪問したとき、小田学長から文部科学省と三回の協議を行ったことなど学部設置に向けた状況についてもお話をお伺いいたしましたが、先ほど述べました国際シンポジウムの開催を初めとして、和歌山大学は観光学部設置を念頭に置いたさまざまな取り組みを進められております。
 そこで、和歌山大学のこうした取り組みの現状についてどのようにお考えか。また、観光学部の設置が実現するための課題は何か。企画部長の御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、大学での人材育成も必要でありますが、よりすそ野を広げていくという意味で、高等学校においても人材育成は大切と考えます。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。高等学校の教育課程に観光に関するコース等を設置をしていただき、和歌山大学と連携してはいかがでしょうか。その点について御所見をお伺いいたします。
 ちなみに、ここに一冊の教本がございます。(資料を示す)これは、カリブ海諸国の子供たちに観光教育を行うために作成された、いわば小学校用の教本の指導書でありまして、それを日本語版に訳されたものでございます。これを見ていただいたらわかりますように、海の中に島がぽっかり浮いておりまして、その中央にヤシの木が立っているわけですね。このヤシの木を使って観光の持つ幅の広さ、観光の意義と重要性をわかりやすく、このような形で説明されたものでございます。通称「マネーツリー」というふうに書いておりますけれども、直訳をすればお金のなる木というような形になるわけでございますけれども、そうではなく、金のなる木、すなわちそれが観光の木であるということで、いろんな分野、例えば福祉の分野であったり農林の分野であったり、いろんなものが実は観光産業に全部つながっているんだ、そしてそこで得たお金で国が成り立っているというようなことを説明された教本でございます。また一度参考にしていただければというふうに考えます。
 観光は、以上でございます。
 二番目にお尋ねをいたしますのは、道路の問題であります。
 既に述べましたように、観光と道路は切っても切れない関係であります。昨年、和歌山県への観光客が三千九十万人という大変喜ばしい結果でありました。本県の個性と魅力を県内外に向かって発信するためにも、今後とも観光に力を入れる必要があると考えます。そういう意味におきまして、本県にとって道路行政の大切さを考えたとき、人、物、金、情報等を運ぶという観点から、近畿自動車道紀勢線の紀南延長は言うに及ばず、第二阪和国道を含め大阪府との府県間道路、さらに京奈和自動車道等の道路の重要性は十分認識をしているところでありますが、今回ここで改めてお尋ねいたしたいのは太平洋新国土軸についてであります。
 東京一極集中という国土の構造をもたらしてしまった第一国土軸、いわゆる太平洋ベルト地帯に対して太平洋新国土軸は、国土の均衡ある発展を目指し、多様性に富んだ美しい国土空間を実現していくものとして、国土政策の基本方向として平成十年に位置づけられました。和歌山県におきましても、関係府県・団体と太平洋新国土軸構想推進協議会を組織をいたし、構想の実現に向け活動しており、また県議会におきましても、宇治田栄蔵会長のもと太平洋新国土軸建設促進議員連盟を組織いたしており、その構想実現に向け、取り組んでまいりました。
 平成十五年十一月、東京において、地域政策研究センターの鈴木所長を講師に迎え、「太平洋新国土軸の形成に向けて」とのタイトルのもと御講演をいただき、昨年十一月、同じく東京にて、森田総合研究所所長であり政治評論家の森田実先生と、そして本年は名古屋におきまして国土交通省中部地方整備局の方々から、伊勢湾口道路について等の勉強会を続けてきたわけでございます。
 昨今の社会情勢から大型プロジェクトの構想がすぐに事業化されることが困難なことは十分理解できるわけでございますが、太平洋新国土軸構想の実現に対し、同じ志で活動しているそれぞれの団体、自治体についても連携を図る必要があると思いますし、地域が飛躍する可能性のある構想につきましては、住民益の向上という観点からも、その実現に取り組まなければならないと考えております。
 現在、国会におきまして国土総合開発法にかわる国土形成計画法が審議されておりますが、その法律ができ、近い将来、国において国土形成計画を作成していく中で、太平洋新国土軸構想はどのような形で位置づけられるのか、また県としてどう考えているのかを企画部長にお尋ねをいたしたいと存じます。
 三番目の質問に移ります。住友金属工業和歌山製鉄所の高炉更新計画についてであります。
 過日六月二日付の新聞報道によりますと、「住金和歌山 増産へ高炉新設 一千億円を投資 六年ぶりの新規採用も」と掲載されておりました。私は第一問にて観光の問題を提起いたしましたが、これも、長い目で見れば、必ずや県の歳入アップにつながっていくものと考えます。現在の県の財政状況の中で歳入アップを考えたとき、カゴメ株式会社に続き、この住友金属の投資は久々の明るい話題であると感じました。一千億円が投資されるということは、本県経済に波及する効果は大変大きなものがあると思いますし、地元和歌山市におきましても、法人税収入増加等につながり、また雇用状況の改善にも結びつくと想定されるわけでございますけれども、この住友金属の高炉更新計画等の県経済への影響について知事のお考えをお聞かせいただきたく存じます。
 最後になりました。これは要望でありますが、色覚バリアフリーについてであります。
 この問題につきましては、平成十五年九月議会におきまして、色覚特性に配慮したバリアフリーへの取り組みが不十分ではないかと質問さしていただいたところ、県当局から、色覚特性を持つ人々の人権については大変重要で、色覚バリアフリーの推進に取り組んでいくとの前向きな御答弁をいただいたところであります。
 また、質問後、市内にお住まいの男性の方からお手紙をいただき、内容は、この問題をよく取り上げてくれましたねというものでございました。それゆえ、県はこの問題に対しどう対処してくれるのだろうかと不安もあったわけでございますけれども、県当局は早々にこの問題に取り組まれ、平成十六年八月に策定されました和歌山県人権施策基本方針の中で、色覚特性を持つ人々の人権を初めさまざまな人権に関する問題に対して、あらゆる機会を通して人権意識の高揚を図り、差別や偏見をなくしていくための施策の推進に努めるとされたところであります。
 具体的には、県広報紙「県民の友」では地図やグラフ、イラストや紙面全体のデザインにおいて色覚特性を持つ人々に配慮した紙面づくりに工夫を凝らしたり、また教育の場では、児童・生徒が使用する教科書、例えば地図帳などにおいても、だれもが識別しやすい配色で構成され、色以外の情報も加えるなど、さまざまな点において工夫されているものを使用されているとお聞きをいたしております。
 このように、提言申し上げた色覚バリアフリーの推進に県当局が素早い対応をしていただいたことに感謝申し上げますとともに、今後とも、どの部署におかれましても色覚バリアフリーに配慮した印刷物、案内標識等の作成に努めるなど、すべての県民の人権が尊重される豊かな社会の実現に向けて県を挙げて取り組んでいただきたいと要望するものであります。
 以上で、私の第一問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山大学の観光学部の設置の問題ですけども、御質問の中にありましたように、私は国立大学で初めて観光学部を和歌山大学につくるということは非常に意義のあることだというふうに思っておりまして、もう既に和歌山県ではことしの予算にその調査費を計上して、そしていろんな形で、竹中大臣なんかとも相談しながら、どういうふうなものにしていくかというようなことを現在進めているところです。
 当面の見通しとしては、なかなか文部科学省の方も難しいことを言っているみたいですけども、実はこういうふうなことは地道に努力していって、常に声を上げ続けているところに栄光が来るということは、これは僕は間違いないことであると思っておりますので、いろんな形でこの和歌山大学観光学部というものの実現ということに県も協力して、これを目指していきたいと、このように思っております。
 それから住友金属の投資の関係ですけれども、これは本当に和歌山県にとっては非常に明るいニュースだというふうに思っております。
 時あたかも景気がデフレを脱しつつあるというふうなことで、和歌山にもようやく明るさが見えかけているときに、一千億を超えるというふうに言われておりますけども、高炉のリニューアルを含む大きな投資がなされること、これは県民にとっても非常に勇気づけられることになります。それから、やっぱり経済の波及効果という意味でも非常に大きいものがあると思います。
 先般も、四十名の正規職員の募集ということが新聞に載っていましたけども、既に大変たくさんの人がこれに応募してきているというふうなこともありまして、これは税金の問題だけじゃなくて、長期的に本当に和歌山県にとってうれしいことだと思いますので、県も協力できるところは協力していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 和歌山大学の観光学部設置に向けた現状と課題についてでございますが、和歌山大学では、議員御指摘のとおり、これまでにも県内各地に出向きまして観光に関する調査や研究活動に取り組んできておられます。本年度からは、その成果の一つといたしまして、紀南サテライトにおきまして「世界遺産と観光」などの観光に関する講義が開講されるなど、そのほか国際シンポジウムの開催とか、先ほどのお話にありましたように海外との観光学のネットワーク構築に向けた取り組みなど、数多くの実績を積み重ねてこられております。
 観光学部の設置が文部科学省に認められるためには、こうした実績のアピールに加えまして、特色あるカリキュラムやそれを実施するためのすぐれた教員の確保、地域のニーズにも対応できる研究体制など、そういうふうに具体的に構築されることが必要であるというふうに考えております。
 県といたしましては、観光学部設置支援のために、先ほど知事の答弁にもございましたが、既に当初予算に調査研究費を計上したところでございます。今後とも、魅力的な観光学部の実現に向けまして、和歌山大学と連携を密にしまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 次に太平洋新国土軸についてでございますが、昨今、多額の費用を要する大規模な公共事業に対しましては逆風の状況が続いております。太平洋新国土軸の構想などの大型プロジェクトにつきましては、議員御指摘のように、厳しい環境にあるというふうに認識をしております。
 現在、国会におきまして国土形成計画法が審議されている段階でございますが、今のところ、新しく作成される国土形成計画では、開発を基調とした量的拡大型から景観や環境を含めた質的転換というふうなことになっております。既存ストックの有効活用等、成熟社会への転換を図るものというふうになっております。
 太平洋新国土軸構想の位置づけにつきましては、新計画の策定段階で明らかになるというふうに考えております。既に、太平洋新国土軸構想推進協議会といたしましては、国に対しまして新しい計画に同構想の位置づけを要望しております。本県といたしましても、長期的な視野に立って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高等学校での観光に関する教育についてお答えします。
 観光産業を担う人材の育成は今後の重要な課題と受けとめており、郷土和歌山への深い理解やもてなしの心をはぐくむことを基本として進めることが大切であると考えております。
 県立高校には、現在、田辺商業高校の観光概論、熊野高校の観光学といった科目がありますが、和歌山大学への観光学部設置の動きを視野に入れながら、地域、学校の実情、就職環境等を勘案し、総合学科を中心として観光に関するコースを設置することについて前向きに検討してまいります。
 先ほど御紹介のありましたカリブ海諸国の指導書についても、大いに勉強をさしていただきたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番山下直也君。
○山下直也君 木村知事、また高嶋企画部長、小関教育長、それぞれ御答弁ありがとうございます。
 しつこいようでございますけれども、一点だけ御要望をさせていただき、終わりにしたいと思います。
 観光であります。
 本県は、何度も申し上げるようですが、高野・熊野を中心とする紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産のほか、数多くの豊かな自然、そして歴史・文化資源など多様な観光資源の宝庫であります。この我々が暮らす和歌山市内におきましても、和歌山城や、また風光明媚な和歌浦は言うに及ばず、和歌山大学の研究のフィールドとして活躍できる観光資源がたくさんあるというふうに思います。
 一方、和歌山市の中心市街地の、ランドマークという呼び方をしていいのかどうかわからないですけども、このたびダイワロイネットホテルが開業いたしました。しかし、ぶらくり丁あたりの中心市街地は、若干一部の若者たちが自分たちで努力して工夫して、お店は小さいんですけれども、新しい形の飲食店が多いわけですけれども、そういう形で一生懸命頑張っております。そんな中、ただ、昔のといいますか、往年のにぎわいというものを知っております私とすれば、まだ寂しいなあというのが正直なところでございます。
 そこで、和歌山大学の観光学部の校舎として、新聞報道がなされてありましたが、旧丸正本館を活用することは、観光学部の学生の人材育成、すなわちそういう生徒を育てて、そういう人を育てていくという観点から中心市街地に戻っていただいて、市内の観光資源を研究活用する環境が整うということと、それから旧丸正本館の有効利用、そして中心市街地のにぎわいの創出といった一石三鳥の地域活性化の切り札になるんではないかというふうに思うわけです。
 もちろん、この場における地権者の方々のそういう難しい問題を初め、諸案件が多くあることも十分承知をしておるわけでございますけれども、県当局におかれましても和歌山大学と連携を一層密にしていただきまして、旧丸正本館を和歌山大学の観光学部の校舎として活用することをいま一度御検討されるように望むものであります。
 それから、これも勉強会に行かせていただいたときに出た話でございますけれども、例えばサッカーのときに、デンマークと和歌山県の交流が始まりました。デンマークというのはEUの一員でありまして、そこが実は大きなポイントだよということをお聞かせいただいたんですけども、せっかくデンマークとの交流の機会を得たわけでございますから、もっと観光という意味からデンマークを上手に使っていけばいいじゃないかと。そして大きなことを言うようなんですけれども、和歌山県から世界に向かって観光を発信せえ、反対にこっちももらおうじゃないかというような、これは大きな話なように聞こえますけれども、私は、お金をそんなにかけずに実現が可能な将来の夢だというふうに感じております。
 ですから、そういう観点に立ちまして、これからもぜひこの観光学部設置に向けてなお一層の御努力を賜ればというふうに望むものであります。
 以上で、再質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。

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