平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十七年六月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十七年六月二十二日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   *
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
     医科大学学長     南   條   輝 志 男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに知事専決処分報告報第八号から報第十三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入らせていただく前に、私ごとではございますけれども、申し上げます。一九五五年、昭和三十年六月二十二日に私は生まれました。そして、きょうでちょうど五十歳を迎えます。大学卒業後十年間勤めました和歌山市役所広報広聴課を退職いたしまして和歌山市議会に出馬、初当選させていただきましたのが三十五歳のときであり、その後、三十九歳のときに県議会初当選をさせていただきました。以来、今日まで紆余曲折の連続でございましたですけれども、私にとりましては、あっという間の十五年間でありました。私を今日までお支えいただきました後援会の皆様に、また今日まで多くの方々との出会いをいただいたわけでございますが、その皆様方に感謝をいたすものであります。
 私の人生におきまして一つの節目とすべき五十歳の誕生日にこうして一般質問をさせていただく機会を得ましたことに、先輩・同僚議員の皆様方に感謝を申し上げますとともに、知事並びに御答弁いただきます部長さん方、どうか何とぞ一緒に私の誕生日を祝っていただくという意味も含めまして、前向きで心ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 今議会、一般質問も三日目、知事専決処分も含め計六十四件の議案が上程され、補正予算額、一般会計で九千八百万円余、特別会計で四百万円余となっており、去る六月十三日開会日、木村知事よりその説明がなされたところであります。
 そんな中、今議会一般質問初日、先輩でございます町田議員より、今議会のメーン項目ともいうべき県立医科大学の地方独立法人化について、また県民文化会館を初め四十一の施設について設置及び管理条例の一部の改正、すなわち指定管理者制度についての質問がなされました。
 私は、この問題は大変重要な案件だと思いましたが、町田議員の質問と知事初め県当局の御答弁を聞かせていただき、さらにこれから各常任委員会にて審議、議論がなされることと思いますので、今回はこの問題は省かせていただき、観光と道路、そして住友金属の投資について質問を、また色覚バリアフリーについて要望をさせていただきたく存じます。
 私は今日まで、自分の公約としてまいりました「福祉と人権」「観光と道路」というテーマに基づき、この十数年やってまいりました。そのことは、過去十数回における県議会での一般質問の議事録を見ていただければ御理解をいただけるものであります。
 平成七年九月定例会、私が県議会議員として初めて一般質問をさせていただいたときのことでございます。そのときの質問項目が「観光立県和歌山の創造について」でありました。今後の方向づけや観光大学に対する考え方、片男波公園周辺の整備計画とマリーナシティの今後の事業計画等が主な質問内容でありました。
 続いて、平成八年六月定例会におき、「観光立県和歌山について」といたし、観光大学の誘致のその後の状況と大阪府のウオーターフロント構想の対応等を県にお聞きいたしました。
 「ウオーターフロント」、大変懐かしく感じます。今、この言葉はどこへ行ったのでしょうか。今から約二十年前、まだそのとき、私が市の職員であったころでございますけれども、JC(青年会議所)の三カ年継続事業であり、産官学共同事業でありました通称WULP(和歌山米国リーダーシッププログラム)という事業に参加をさせていただきました。二週間かけてニューヨークにございます米日財団を皮切りに、テキサス州サンアントニオ市のリバーウオーク──これもまた通称パセオデル・リオという呼ばれ方をなされていまして、水辺の散歩道という意味であるそうでございますけれども、そこを、またロサンゼルスのヨットハーバーでございますマリーナ・デル・レイ、それからピッツバーグの都市再生等、多くの町づくりを学んできたことを思い出します。まさに、ウオーターフロントに関しての町づくりが主でありました。
 加えて、過去、経済警察委員会におきまして、本県におけるフィルムコミッション誘致の件やドーム型人工スキー場、それから市堀川でのイベントについて等の問題提起をしてまいりましたが、残念ながら、そのほとんどは実現に至らず、まことに残念な思いであります。
 昨日、玉置議員から世界遺産についての質問がなされましたが、また、ある種この質問も私の今日の質問につながってくるものと感じました。
 以上のことから、私は観光に対する思い入れが人一倍強いものであり、自分なりにこだわってまいりましたし、これからもこの問題につきましてはこだわってまいりたいと、そう思っております。そして、このことは、現在、県御当局は大変な御努力をしていただいているのは十分承知をしておるわけでございますけれども、企業誘致がなかなか思うように進まないというような状況にありまして、本県の歳入アップということを考えたときには、必ずこの観光の問題がつながっていくというふうに確信をするものであります。
 また、今日まで議会にて観光問題を取り上げたとき、必ずこのことと一緒に取り上げた問題が道路施策についてでありました。当時から私は、観光と道路問題は切り離せない問題であるという認識に立っていたからであります。また、平成九年二月定例会におき地元商店街活性化施策について、続いて平成十三年二月定例会におき中心市街地の活性化について、それぞれ一般質問をさせていただきました。そして、今回改めて、観光と道路について問題提起をさせていただきたいと思います。と申しますのも、時あたかも、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録され、地元大学の和歌山大学に観光学部をつくるという流れになり、今議会におきましても超党派にて「和歌山大学への観光系学部の設置を求める意見書」、これは案でございますけれども、これを国に対し提出すべき取り組みを現在行っておるところでございまして、その機運が徐々に高まりつつあり、やっとそういう意味でチャンスが和歌山にやってきたと、そう感じたからでございます。
 まず初めに、和歌山大学の観光学部設置についてお聞かせをいただきたく存じます。
 なお、平成十六年九月定例会におきまして、公明党県議団江上議員よりも和歌山大学観光学部設置構想について御質問があったことも認識をしており、同感であると感じると同時に、今回私なりの視点に立って質問をさせていただき県の御見解をお聞きしたいと存じますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
 また、過日六月十五日、中村裕一議員からお誘いを受け、私たちは和歌山大学を訪れ、小田学長を初め和歌山大学の方々と観光学部設置について話し合い、勉強する機会を得ました。県議会からは門議員、中村議員、吉井議員、浅井議員、花田議員、藤山議員、そして私の七名が、和歌山大学側から小田学長、小畑監事、武田理事、三吉理事、足達理事、森本理事、岡田事務局長の七名の先生方に御同席をいただき、予定の時間をオーバーするほどの中身の充実した勉強会でありました。小田学長からは、国の財政難、少子化の中、人材育成の大切さと二十一世紀の重要産業はまさに観光産業と考える、そのために和歌山大学に観光学部創設を考え、早ければ二年後の開校を目指したい等、改めてお話があったわけでございます。
 ちなみに、私はこれに「国際」という言葉を入れていただき、国際観光学部としてこの話が実現していただければ非常にいいなというふうに思うわけでございますけれども。
 過日、新聞報道に、「和歌山大学に観光学部、国立初の創設を目指す」とのタイトルのもと、二〇〇七年四月に観光学部を和歌山大学に新設する構想を明らかにしたとして、特色ある大学づくりの一環で、全国の国立大学で初の学部設置を目指すとの報道がなされておりました。まだ本県の紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録される見通しが有力視されているころのことであります。当時から、小田学長は「観光立県を目指す和歌山で、世界の観光業界で活躍できる人材育成を目指したい」と述べられております。定員は一学年二百名程度。観光学を研究する機関は少なく、和歌山大学はこれを学問として確立するとともに、海外研修や語学の習得など実践教育にも重点を置く方針等との内容でありました。
 また、「和大観光学部キャンパス、旧丸正本館など候補」との見出しのもと、わかやま観光産業推進会議のシンポジウムが開催され、その中で小田学長は「市の中心部に千人近い学生がいれば観光振興にもつながる」と述べられ、観光学部は、できればぶらくり丁などがある市の中心部に置きたい考えを示されたわけであります。
 そして、本年五月二十八日に、観光のあるべき姿の追求等を目的に、観光学部の設置を目指す和歌山大学が、国際シンポジウム「二十一世紀型観光を展望する サステイナブル・ツーリズムの最先端」を開催されましたことは、これはもう皆様方よく御存じのところであります。そのときは、「持続可能な観光」をキーワードに、グアテマラのエコツーリズムやアメリカにおける経済と環境の持続性など、観光を取り巻く現状が紹介され、自然と文化、観光客と地域住民の融和を図るのに効果的な観光施策について論じられました。
 このシンポジウムには、カーティン工科大学教授のジャック・カールセン氏、また本県出身者であり内閣府特命担当大臣の竹中平蔵参議院議員、元運輸大臣・衆議院議員の二階俊博代議士、そして本県の木村良樹知事、文部科学省大臣官房審議官の徳永氏などが出席され、竹中大臣からは「日本二十一世紀ビジョンと和歌山の今後」をテーマに特別講演があり、「和歌山の魅力は県内にいるとなかなか気づかない。和歌山大学が設置を目指す観光学部の使命については、魅力を再発見して企画できるプロデューサーを地元から育てることが大切である」と話されておりました。
 また、パネルディスカッションでは、今日まで御自身の持論であります、いち早くから本県の観光について語られ、これは仮称でございますけれども、本県に観光資料館を設置すべきであり、また国において観光庁設置を急ぐべしとの考えなど多くの観光に関する提言をされ、多くの本を出版されております地元選出国会議員二階代議士、そして木村知事、小田学長らが討論。その中、二階代議士は、「観光の専門家だけでなく、異業種の協力を仰いでいくべき」と指摘され、「何よりも大切なのは県民が温かい気持ちでお客様を迎える気持ちだ」と、人的インフラ整備の必要性を訴えられました。小田学長が「地域の活性化に観光産業も重要な役割を果たすようになった」と述べられ、木村知事は、「和歌山の魅力はやはり自然と歴史。これを重視し、いかに地域の人の元気につなげる方策に結びつけていくかが大切」と述べられておりました。
 まさに同感であります。和歌山にお越しいただいた方々に気持ちよく過ごしていただき、和歌山へ来てよかった、また和歌山へ行きたい、そう思っていただくことが大切であり、ホテルなどインフラの整備も大切でありますけれども、何よりも、観光産業に携わる方々だけでなく、県民みんながおもてなしの心を持つことが必要だと考えます。つまり、人を育てることなのであります。和歌山大学に観光学部が設置されれば、その役割は大変大きいと思います。
 ここで、観光立県を目指す和歌山で世界の観光業界で活躍できる人材を育てたいという構想を持つ和歌山大学の観光学部設置について、知事の御所見をお伺いしたいと存じます。
 また、さきに和歌山大学を訪問したとき、小田学長から文部科学省と三回の協議を行ったことなど学部設置に向けた状況についてもお話をお伺いいたしましたが、先ほど述べました国際シンポジウムの開催を初めとして、和歌山大学は観光学部設置を念頭に置いたさまざまな取り組みを進められております。
 そこで、和歌山大学のこうした取り組みの現状についてどのようにお考えか。また、観光学部の設置が実現するための課題は何か。企画部長の御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、大学での人材育成も必要でありますが、よりすそ野を広げていくという意味で、高等学校においても人材育成は大切と考えます。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。高等学校の教育課程に観光に関するコース等を設置をしていただき、和歌山大学と連携してはいかがでしょうか。その点について御所見をお伺いいたします。
 ちなみに、ここに一冊の教本がございます。(資料を示す)これは、カリブ海諸国の子供たちに観光教育を行うために作成された、いわば小学校用の教本の指導書でありまして、それを日本語版に訳されたものでございます。これを見ていただいたらわかりますように、海の中に島がぽっかり浮いておりまして、その中央にヤシの木が立っているわけですね。このヤシの木を使って観光の持つ幅の広さ、観光の意義と重要性をわかりやすく、このような形で説明されたものでございます。通称「マネーツリー」というふうに書いておりますけれども、直訳をすればお金のなる木というような形になるわけでございますけれども、そうではなく、金のなる木、すなわちそれが観光の木であるということで、いろんな分野、例えば福祉の分野であったり農林の分野であったり、いろんなものが実は観光産業に全部つながっているんだ、そしてそこで得たお金で国が成り立っているというようなことを説明された教本でございます。また一度参考にしていただければというふうに考えます。
 観光は、以上でございます。
 二番目にお尋ねをいたしますのは、道路の問題であります。
 既に述べましたように、観光と道路は切っても切れない関係であります。昨年、和歌山県への観光客が三千九十万人という大変喜ばしい結果でありました。本県の個性と魅力を県内外に向かって発信するためにも、今後とも観光に力を入れる必要があると考えます。そういう意味におきまして、本県にとって道路行政の大切さを考えたとき、人、物、金、情報等を運ぶという観点から、近畿自動車道紀勢線の紀南延長は言うに及ばず、第二阪和国道を含め大阪府との府県間道路、さらに京奈和自動車道等の道路の重要性は十分認識をしているところでありますが、今回ここで改めてお尋ねいたしたいのは太平洋新国土軸についてであります。
 東京一極集中という国土の構造をもたらしてしまった第一国土軸、いわゆる太平洋ベルト地帯に対して太平洋新国土軸は、国土の均衡ある発展を目指し、多様性に富んだ美しい国土空間を実現していくものとして、国土政策の基本方向として平成十年に位置づけられました。和歌山県におきましても、関係府県・団体と太平洋新国土軸構想推進協議会を組織をいたし、構想の実現に向け活動しており、また県議会におきましても、宇治田栄蔵会長のもと太平洋新国土軸建設促進議員連盟を組織いたしており、その構想実現に向け、取り組んでまいりました。
 平成十五年十一月、東京において、地域政策研究センターの鈴木所長を講師に迎え、「太平洋新国土軸の形成に向けて」とのタイトルのもと御講演をいただき、昨年十一月、同じく東京にて、森田総合研究所所長であり政治評論家の森田実先生と、そして本年は名古屋におきまして国土交通省中部地方整備局の方々から、伊勢湾口道路について等の勉強会を続けてきたわけでございます。
 昨今の社会情勢から大型プロジェクトの構想がすぐに事業化されることが困難なことは十分理解できるわけでございますが、太平洋新国土軸構想の実現に対し、同じ志で活動しているそれぞれの団体、自治体についても連携を図る必要があると思いますし、地域が飛躍する可能性のある構想につきましては、住民益の向上という観点からも、その実現に取り組まなければならないと考えております。
 現在、国会におきまして国土総合開発法にかわる国土形成計画法が審議されておりますが、その法律ができ、近い将来、国において国土形成計画を作成していく中で、太平洋新国土軸構想はどのような形で位置づけられるのか、また県としてどう考えているのかを企画部長にお尋ねをいたしたいと存じます。
 三番目の質問に移ります。住友金属工業和歌山製鉄所の高炉更新計画についてであります。
 過日六月二日付の新聞報道によりますと、「住金和歌山 増産へ高炉新設 一千億円を投資 六年ぶりの新規採用も」と掲載されておりました。私は第一問にて観光の問題を提起いたしましたが、これも、長い目で見れば、必ずや県の歳入アップにつながっていくものと考えます。現在の県の財政状況の中で歳入アップを考えたとき、カゴメ株式会社に続き、この住友金属の投資は久々の明るい話題であると感じました。一千億円が投資されるということは、本県経済に波及する効果は大変大きなものがあると思いますし、地元和歌山市におきましても、法人税収入増加等につながり、また雇用状況の改善にも結びつくと想定されるわけでございますけれども、この住友金属の高炉更新計画等の県経済への影響について知事のお考えをお聞かせいただきたく存じます。
 最後になりました。これは要望でありますが、色覚バリアフリーについてであります。
 この問題につきましては、平成十五年九月議会におきまして、色覚特性に配慮したバリアフリーへの取り組みが不十分ではないかと質問さしていただいたところ、県当局から、色覚特性を持つ人々の人権については大変重要で、色覚バリアフリーの推進に取り組んでいくとの前向きな御答弁をいただいたところであります。
 また、質問後、市内にお住まいの男性の方からお手紙をいただき、内容は、この問題をよく取り上げてくれましたねというものでございました。それゆえ、県はこの問題に対しどう対処してくれるのだろうかと不安もあったわけでございますけれども、県当局は早々にこの問題に取り組まれ、平成十六年八月に策定されました和歌山県人権施策基本方針の中で、色覚特性を持つ人々の人権を初めさまざまな人権に関する問題に対して、あらゆる機会を通して人権意識の高揚を図り、差別や偏見をなくしていくための施策の推進に努めるとされたところであります。
 具体的には、県広報紙「県民の友」では地図やグラフ、イラストや紙面全体のデザインにおいて色覚特性を持つ人々に配慮した紙面づくりに工夫を凝らしたり、また教育の場では、児童・生徒が使用する教科書、例えば地図帳などにおいても、だれもが識別しやすい配色で構成され、色以外の情報も加えるなど、さまざまな点において工夫されているものを使用されているとお聞きをいたしております。
 このように、提言申し上げた色覚バリアフリーの推進に県当局が素早い対応をしていただいたことに感謝申し上げますとともに、今後とも、どの部署におかれましても色覚バリアフリーに配慮した印刷物、案内標識等の作成に努めるなど、すべての県民の人権が尊重される豊かな社会の実現に向けて県を挙げて取り組んでいただきたいと要望するものであります。
 以上で、私の第一問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山大学の観光学部の設置の問題ですけども、御質問の中にありましたように、私は国立大学で初めて観光学部を和歌山大学につくるということは非常に意義のあることだというふうに思っておりまして、もう既に和歌山県ではことしの予算にその調査費を計上して、そしていろんな形で、竹中大臣なんかとも相談しながら、どういうふうなものにしていくかというようなことを現在進めているところです。
 当面の見通しとしては、なかなか文部科学省の方も難しいことを言っているみたいですけども、実はこういうふうなことは地道に努力していって、常に声を上げ続けているところに栄光が来るということは、これは僕は間違いないことであると思っておりますので、いろんな形でこの和歌山大学観光学部というものの実現ということに県も協力して、これを目指していきたいと、このように思っております。
 それから住友金属の投資の関係ですけれども、これは本当に和歌山県にとっては非常に明るいニュースだというふうに思っております。
 時あたかも景気がデフレを脱しつつあるというふうなことで、和歌山にもようやく明るさが見えかけているときに、一千億を超えるというふうに言われておりますけども、高炉のリニューアルを含む大きな投資がなされること、これは県民にとっても非常に勇気づけられることになります。それから、やっぱり経済の波及効果という意味でも非常に大きいものがあると思います。
 先般も、四十名の正規職員の募集ということが新聞に載っていましたけども、既に大変たくさんの人がこれに応募してきているというふうなこともありまして、これは税金の問題だけじゃなくて、長期的に本当に和歌山県にとってうれしいことだと思いますので、県も協力できるところは協力していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 和歌山大学の観光学部設置に向けた現状と課題についてでございますが、和歌山大学では、議員御指摘のとおり、これまでにも県内各地に出向きまして観光に関する調査や研究活動に取り組んできておられます。本年度からは、その成果の一つといたしまして、紀南サテライトにおきまして「世界遺産と観光」などの観光に関する講義が開講されるなど、そのほか国際シンポジウムの開催とか、先ほどのお話にありましたように海外との観光学のネットワーク構築に向けた取り組みなど、数多くの実績を積み重ねてこられております。
 観光学部の設置が文部科学省に認められるためには、こうした実績のアピールに加えまして、特色あるカリキュラムやそれを実施するためのすぐれた教員の確保、地域のニーズにも対応できる研究体制など、そういうふうに具体的に構築されることが必要であるというふうに考えております。
 県といたしましては、観光学部設置支援のために、先ほど知事の答弁にもございましたが、既に当初予算に調査研究費を計上したところでございます。今後とも、魅力的な観光学部の実現に向けまして、和歌山大学と連携を密にしまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 次に太平洋新国土軸についてでございますが、昨今、多額の費用を要する大規模な公共事業に対しましては逆風の状況が続いております。太平洋新国土軸の構想などの大型プロジェクトにつきましては、議員御指摘のように、厳しい環境にあるというふうに認識をしております。
 現在、国会におきまして国土形成計画法が審議されている段階でございますが、今のところ、新しく作成される国土形成計画では、開発を基調とした量的拡大型から景観や環境を含めた質的転換というふうなことになっております。既存ストックの有効活用等、成熟社会への転換を図るものというふうになっております。
 太平洋新国土軸構想の位置づけにつきましては、新計画の策定段階で明らかになるというふうに考えております。既に、太平洋新国土軸構想推進協議会といたしましては、国に対しまして新しい計画に同構想の位置づけを要望しております。本県といたしましても、長期的な視野に立って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高等学校での観光に関する教育についてお答えします。
 観光産業を担う人材の育成は今後の重要な課題と受けとめており、郷土和歌山への深い理解やもてなしの心をはぐくむことを基本として進めることが大切であると考えております。
 県立高校には、現在、田辺商業高校の観光概論、熊野高校の観光学といった科目がありますが、和歌山大学への観光学部設置の動きを視野に入れながら、地域、学校の実情、就職環境等を勘案し、総合学科を中心として観光に関するコースを設置することについて前向きに検討してまいります。
 先ほど御紹介のありましたカリブ海諸国の指導書についても、大いに勉強をさしていただきたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番山下直也君。
○山下直也君 木村知事、また高嶋企画部長、小関教育長、それぞれ御答弁ありがとうございます。
 しつこいようでございますけれども、一点だけ御要望をさせていただき、終わりにしたいと思います。
 観光であります。
 本県は、何度も申し上げるようですが、高野・熊野を中心とする紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産のほか、数多くの豊かな自然、そして歴史・文化資源など多様な観光資源の宝庫であります。この我々が暮らす和歌山市内におきましても、和歌山城や、また風光明媚な和歌浦は言うに及ばず、和歌山大学の研究のフィールドとして活躍できる観光資源がたくさんあるというふうに思います。
 一方、和歌山市の中心市街地の、ランドマークという呼び方をしていいのかどうかわからないですけども、このたびダイワロイネットホテルが開業いたしました。しかし、ぶらくり丁あたりの中心市街地は、若干一部の若者たちが自分たちで努力して工夫して、お店は小さいんですけれども、新しい形の飲食店が多いわけですけれども、そういう形で一生懸命頑張っております。そんな中、ただ、昔のといいますか、往年のにぎわいというものを知っております私とすれば、まだ寂しいなあというのが正直なところでございます。
 そこで、和歌山大学の観光学部の校舎として、新聞報道がなされてありましたが、旧丸正本館を活用することは、観光学部の学生の人材育成、すなわちそういう生徒を育てて、そういう人を育てていくという観点から中心市街地に戻っていただいて、市内の観光資源を研究活用する環境が整うということと、それから旧丸正本館の有効利用、そして中心市街地のにぎわいの創出といった一石三鳥の地域活性化の切り札になるんではないかというふうに思うわけです。
 もちろん、この場における地権者の方々のそういう難しい問題を初め、諸案件が多くあることも十分承知をしておるわけでございますけれども、県当局におかれましても和歌山大学と連携を一層密にしていただきまして、旧丸正本館を和歌山大学の観光学部の校舎として活用することをいま一度御検討されるように望むものであります。
 それから、これも勉強会に行かせていただいたときに出た話でございますけれども、例えばサッカーのときに、デンマークと和歌山県の交流が始まりました。デンマークというのはEUの一員でありまして、そこが実は大きなポイントだよということをお聞かせいただいたんですけども、せっかくデンマークとの交流の機会を得たわけでございますから、もっと観光という意味からデンマークを上手に使っていけばいいじゃないかと。そして大きなことを言うようなんですけれども、和歌山県から世界に向かって観光を発信せえ、反対にこっちももらおうじゃないかというような、これは大きな話なように聞こえますけれども、私は、お金をそんなにかけずに実現が可能な将来の夢だというふうに感じております。
 ですから、そういう観点に立ちまして、これからもぜひこの観光学部設置に向けてなお一層の御努力を賜ればというふうに望むものであります。
 以上で、再質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして質問さしていただきます。
 一番目に、患者の苦痛を取り除く医療についてであります。
 昨日、江上議員が質問されました部分と重複もあると思いますが、私なりの視点で展開さしていただきます。
 和歌山県が生んだ医聖華岡青洲が初めて全身麻酔剤(通仙散)を使用して乳がん摘出手術に成功したのが今から二百一年前、一八〇四年十月十三日であり、アメリカのモートンによるエーテル麻酔法に約四十年先立つものでありました。患者の痛みを取り除くことに医者としてのあるべき姿を既に認識されていたのではないでしょうか。
 イギリスの女医シシリー・ソンダースが世界で最初にホスピスをつくったのは一九六七年でありました。彼女は初め看護師でしたが、健康を害してソーシャルワーカーになり、その後、がん患者のケアのために、三十歳を過ぎてから医学校に入って医者になりました。治る見込みのない患者さんのためのケアサービスが必要だということでホスピスをつくったのであります。
 彼女は、がんの痛みをコントロールするためにモルヒネを使用したことでも有名であります。彼女によれば、ホスピスとは「がん患者に限らず、もうこれ以上医学的な手を打つことができない状態になっている患者さんを最期まで温かく見守り、苦しみを取り去るところ」であります。ホスピスの五原則として、一、患者を一人の人格者として扱う、二、苦しみを和らげる、三、役に立たない治療はしない、四、家族のケア、死別の悲しみを支えてあげる、五、医者、看護師だけでなくボランティア、マッサージ師等、患者さんが必要と思う人すべてによるチームワークを組むことを挙げております。
 私自身、今から十四年前に父親を肝臓がんで亡くしましたが、干からびたようにやせ切った体からは想像もできないような力でベッドをたたいてのたうち回りながら痛みと闘っていた姿を忘れることはできません。人生の最期、終末期を援助するためのターミナルケア、ここに医療のあり方を考えさせられます。
 ホスピス運動は一九七〇年前後に世界に拡大し、世界保健機関(WHO)がQOL(クオリティー・オブ・ライフ)、すなわち生活の質を重視した医療を提唱したのが一九八九年でありました。日本でも一九九〇年から相次いでホスピス、緩和ケア病棟がつくられることになり、百を超え、定着もしてきております。和歌山県においても、一九九九年、和歌山県立医科大学附属病院に緩和ケア病棟が九床新設され、麻酔科を初めとした医師や薬剤師、栄養士等々と協力体制をとって、チーム医療により患者の人としての尊厳に配慮して快適な生活の援助をしておられます。
 従来の医療は、治癒させることに専念する余り、治癒できない場合の対応がまるで欠けていたのではないでしょうか。ただ、あと何カ月といった延命策を講ずるしかないやり方であったと思われます。症状の変化、痛みの激化、息苦しさへの対応に限界を感ずる中、何とか患者さんの痛み、いら立ち、不安を和らげられないものか。ここに、緩和ケアのみならず医療の治療(キュア)だけでないケアの部分が大きくクローズアップされます。
 緩和ケアに携わるスタッフが患者の一人としての人間であることを尊重し、肉体的痛みの緩和、精神的不安の緩和、そして家族との対話と援助、まずスタッフと患者、そして家族とのコミュニケーション、そして人間としての満足感を味わってもらうこと、そこから患者本人が心の不安、ひとりぼっちといった孤独感から少しでも解放され、死と向き合う、やがて来る死を自然の流れのままに受け入れられる、そんな、まるで患者が自分の家にいるようにその人らしさを大切に生活していけるケアであるべきでしょう。
 自分がどんな状態にあるかということをスタッフの人たちがみんな理解してくれていたら、スタッフを頼もしく思い、患者はいかに安らぎを覚えることでしょうか。そのためにも、医師のみならず、むしろ看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士、それにボランティアスタッフ等がチームワークで対等の議論ができるチーム医療、グループでのケア体制がどうしても欠かせないでしょう。そのためには教育、特にケアマインド教育が必要になってまいります。ぜひとも和歌山県立医科大学でも、学生に、そして研修医にも引き続き患者の立場に立った、患者が主役の真心教育をお願いいたしたいと思います。
 さて、質問に移ります。
 一番目、緩和ケアというものは、末期患者にのみ行われるのではなく、すべての患者に共通する医療のあるべき姿を象徴するものではないかと思います。医療の世界では、ともすると治療、特に先進医療を優先的に行ってきたひずみで、どうしても医学生としても先進医療に常に近づいておきたい気持ちが先行しがちではないでしょうか。地域医療についても、若い医師に体験させて新たな価値観、すなわち治療よりケアという概念に気づいてもらえれば、地域貢献できる医師がそこから何人か出てくるのではないでしょうか。和歌山県立医科大学における緩和ケア教育について、現状と今後の目指すべき方向を学長にお伺いいたします。
 二番目、医療はチームワーク、それぞれの分業で成り立っているものであります。しかるに、和歌山県立医科大学附属病院においてもソーシャルワーカーがいない現状、また臨床心理士も非常勤で週一回ぐらいと伺っております。果たして患者の心のケアはどうなっているのか、心配であります。ソーシャルワーカーの配置も、おおむね二百床に一人と指導されていると聞きます。医療におけるソーシャルワーカー、そして臨床心理士の今後の配置改善、現場での育成について、学長にお伺いいたします。
 三番目、医大附属病院の緩和ケア病棟ですが、夜間はこの病棟を一人だけで診ているという実態を伺っております。心のケアが一番大切な、それも言い知れぬ孤独感を感じる夜間であります。複数のスタッフ配置をお願いいたしたいと思いますが、学長、いかがですか。
 四番目、昨日、江上議員の質問にもありました在宅緩和ケア医療システムの構築には、緩和ケア病棟もある和歌山県立医科大学附属病院のリードが欠かせません。ぜひ開業医、薬剤師、訪問看護ステーションなどとともにネットワークをつくっていただきたいと思いますが、在宅緩和ケアにとって看護師の役割は医師以上のものがあるでしょう。保健看護学部にも大いに御活躍いただいて在宅看護実習教育を推し進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。学長、お答えください。
 五番目、とかく終末期医療となると大病院でのケアを望む家族が多いと聞きますが、患者の家族はもちろんのこと、広く一般市民の皆さんに在宅緩和ケア医療の可能性を説く市民講座を開催してはどうかと思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
 二番目に、下水道について三点質問をさしていただきます。
 和歌山県に限らず、全国的に下水道財政、経営は総じて厳しい状況にあり、多くの課題を抱えています。三位一体の改革により、国庫補助金の削減、地方交付税交付金の見直しで下水道予算の確保は余計難しくなっております。国土交通省下水道部がまとめた全国平均の汚水処理原価をもとに試算すると、下水道利用世帯の年間汚水処理料金は、公共下水道が七万円余り、特定環境保全公共下水道では約十九万円になります。
 昨年十二月よりことしにかけて国土交通省は、積極的に下水道経営の健全化を全国の都道府県や政令指定都市に呼びかけています。あわせて、下水道事業を円滑かつ効率的に行うために、住民に対して事業費用と料金負担の関係についてわかりやすく情報開示を行うとともに、経営状況の積極的な公開と説明責任の徹底に努めるよう呼びかけています。今後、人口減少や節水型社会の進行により水需要の低下などが見込まれ、社会動向に応じた料金体系の見直しは避けて通れません。
 昨年八月の中間報告にも述べられておりますが、財源確保のために、下水道の公的役割と私的役割のそれぞれに対応した国、地方公共団体、下水道使用者等による適正な費用負担が行われる必要があります。
 現在の全国の処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置し汚水処理をしている人口の割合である水洗化率は九二・四%、これに対し使用料徴収の対象となる有収率は八一・三%。これは、有収率が高いほど使用料が徴収できない不明水が少ないことを示しており、著しく有収率の低い地方公共団体は不明水が多量に発生していることになり、この原因を究明することが必要だとしています。
 下水道使用料は、家庭や事業者から出る汚水をきれいな水にするための維持管理費と下水道を建設するために借り入れた地方債の返済、すなわち資本費に使われております。使用料収入と年間有収水量を基準にした全国平均の使用料単価は、一立方メートル当たり、公共下水道で百二十八円五十三銭、計画処理人口がおおむね千人以上一万人以下の市街化区域外の場所で実施される特定環境保全公共下水道は百四十三円六十四銭、一立方メートル当たり汚水処理原価は、公共下水道で百九十八円二銭、特定環境保全公共下水道で五百二十二円八十六銭となっております。
 そこで質問に移りますが、以下三点、県土整備部長にお尋ねいたします。
 一番目、各市町村でばらつきはあると思いますが、和歌山県における公共下水道の使用料単価と汚水処理原価を教えてください。
 二番目、先ほど述べたとおり、実際に下水道を使用した料金とコストには大きな開きがあるわけで、これが下水道財政を圧迫していると思います。そこで、経営主体は明確な経営目標と経営見通しを持ち、適切な下水道使用料のもとに未接続者へ納得のいく説明の上、接続の徹底を図っていくことが大切であります。特に、公共下水道への接続が進むことでスケールメリットが発揮され、汚水処理原価が下がるとともに下水道使用料収入も増加するということで、下水道経営の改善につながると考えますが、現状と取り組みを聞かせてください。
 三番目、公共下水道にせよ、浄化槽にせよ、集落排水にせよ、一番コストのかからないようにと常々御尽力されていると思いますが、コスト縮減の努力について県の取り組みを聞かせてください。
 以上二点、質問さしていただきました。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 在宅緩和ケア医療の市民講座開催についての御提案、御質問についてお答えを申し上げます。
 在宅緩和ケアにつきましては、終末期の患者さんが家族とともに在宅で治療を受けたいと希望する傾向が高まりつつあります。そういう中で、末期がん患者などに対して、精神面での支援や疼痛の緩和などに重点を置きながら、患者の生命の質に配慮した緩和ケアを在宅で行うための体制確保や関係者の理解が求められているというふうに認識をしてございます。
 この後、南條学長さんから緩和ケアについての答弁があろうかと思いますけれども、県といたしましては、今後は県立医科大学を初め保健・医療・福祉機関との連携を図りながら、在宅緩和ケアの県民への普及・定着を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 下水道について三点、お答え申し上げます。
 まず、和歌山県内の下水使用料単価と汚水処理原価についてであります。
 まず、使用料単価は長期的な収支バランスや公共料金という点を勘案し決定しており、平成十五年度県平均一立方メートル当たり百三十六円となっております。
 一方、実際に汚水処理に要する費用である汚水処理原価は、維持管理費と建設段階での起債に係る元利償還費で構成され、下水道施設の規模、供用年数等により施設間でばらつきはありますが、平成十五年度県平均で一立方メートル当たり二百九十円となっております。
 次に、接続の問題でございます。
 経営の安定は、議員御指摘のとおり喫緊の課題であり、各御家庭との接続による処理水量の増加は収入増につながることからスケールメリットが発揮され、下水道経営の安定に資するものと認識しております。
 本県における下水道接続の現状は、下水処理施設整備への取り組みのおくれにより供用開始間もない施設もあることなどから、平成十六年度接続率は県平均六五・一%と、全国的に見ても低い状況にあります。
 これまでも市町村において、接続に伴う助成金や融資あっせん等の促進施策とあわせて啓発による接続の促進に努めてまいっておりますが、今後ともあらゆる機会をとらえ、接続の必要性についてよりわかりやすく説明を行うなど、関係する多くの皆様の御理解、御協力のもと、接続率向上に向けて積極的に取り組んでまいります。
 最後に、下水処理のコスト縮減についてでございます。
 下水道、浄化槽、農業集落排水等、それぞれの処理を効率的に行うため、人口集積度合いや施設費、維持管理費等、長期的かつ広域的な視野に立ち和歌山県全県域汚水適正処理構想を定め、これに基づき汚水処理施設の整備を進めております。これまで経済性の観点から、一部下水道区域を浄化槽区域に変更するなど、平成十二年、平成十四年度の二回見直してございます。
 また、施設の建設に当たっては、汚水処理水量に見合った段階的な整備やマンホールの設置基準を見直すなど、コスト縮減に取り組んでおります。
 今後とも、より経済的に、より効率的な整備を行うよう、知恵と工夫をもってさらなるコスト縮減に取り組んでまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) いずれの御質問も関連がございますので、一括してお答えさせていただきます。
 議員の御指摘のとおり、我が国の医療は治療とそのための診断に偏重してきた結果、生きる質・QOLに価値を求めるケア教育やホスピス、在宅医療の体制が欧米諸国と比べまして未発達な状態にあります。
 県立医科大学では、国公立大学病院としては全国初の緩和ケア病棟を開設して緩和ケアに取り組むとともに、ケアマインド教育と患者様の立場に立った医療人育成教育を実施しております。
 今後は、緩和ケアを必要とする患者様に対するソーシャルワーカーや臨床心理士の方々の役割がますます重要性を増してきますので、医科大学といたしましては、トータルケアの実践を通して職員のさらなるスキルアップを図るとともに、夜間スタッフにつきましても病院全体の問題として今後検討してまいります。
 なお、在宅看護実習につきましては、保健看護学部において地域看護実習の一環として実施しているところであります。
 今後も、関係機関等の御協力を得ながら、さらに充実させていきたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 患者の苦痛を取り除く医療についてですが、昨日のお答えのときもそうでしたが、「患者様」と「様」をつけて呼んでいただいているところに南條学長の教育、そして医療に対するお気持ちの一端がうかがえて頼もしく思わせていただきました。
 独立行政法人化に向けて、医大にとってソーシャルワーカー、臨床心理士は一層必要になってくると思います。医師、看護師にはない別の視点をお持ちであると思います。もちろん、ケアのマインドを強烈に持っている人でないと困りますが、どうか適正に配置いただけますよう、また日ごろの医療現場という研修場所もありますし、スキルとマインドを持っていただくためにそれぞれの養成をよろしくお願いいたします。
 医大が現在意欲的に推進いただいています在宅緩和ケア医療システムの構築について、県当局もぜひ積極的に支援体制をとっていただいて、保健所、医師会、看護協会、それに訪問看護ステーション等、ともどもに強力に取り組んでいただきたいと思います。そのためにも、患者の家族、一般市民の皆様への在宅緩和ケアの必要性を普及啓発していく努力を切にお願いいたします。
 下水道については、平成十七年四月一日施行の地域再生法の地域再生計画に基づいて、環境省、農林水産省、国土交通省、各省連携の汚水処理施設整備交付金が創設されました。これは、既存の都道府県構想にとらわれず、市町村の自主性、裁量性に基づき、みずから基礎数値を定めて整備手法を見直すことが可能で、結果は次回の都道府県構想の見直しに反映されることになります。下水道、集落排水、浄化槽、それぞれに所管官庁に予算を要求できるわけです。今後、下水道整備の促進に期待が持てる制度であります。
 もともと下水道への接続促進は、主として便所を水洗化して快適な生活環境を実現することであったと思うのですが、接続を徹底するためには、接続の意義や未処理汚水が環境に与えるダメージ、あるいはし尿や汚泥のくみ取り作業の存続は地域における二重の社会負担になるといったことをわかりやすく説明して、社会的コンセンサスをつくっていくことが大事だと思います。
 ひとり暮らしの高齢者等にとって相当な経済的負担を伴うことは事実でありますが、公共的見地から言えば、住民としても下水道への接続は市民としての義務であり、下水道を私的便益に使用する分については使用者の負担が基本であることを再認識していくことが求められるべきであります。
 県当局におかれましても、どうか下水道経営をより改善するためさらなる御尽力をお願いいたしまして、要望とさせていただきます。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五分休憩
     ────────────────────     
  午後一時三分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 最初の質問は、昨日からも、また本日もいろいろと質問が行われているところですけれども、がん対策問題についてお尋ねをしたいと思います。
 我が国の死亡原因の三分の一以上はがんによるものだと言われていますし、なお今後も増加するということが言われております。二人に一人ががんにかかり、三人に一人が亡くなっているとも言われていますし、日本の新規がん患者数は年間六十万人にも上り、そして年間三十万人が死亡すると聞いております。そして、年間百三十万人ががんに苦しんでいるとも言われているようであります。それだけに、一九八四年に始まりました国の対がん戦略は、これまで何をしてきたのでしょうかと問いたくなります。ことしの一月、尾辻厚生労働大臣は、これまでのがん対策を点検してわかったこと、がん対策ということの重要さと行政的対応がつり合っていなかった、統合本部が必要だと語っていらっしゃいます。
 国は、昨年、第三次十カ年総合戦略をスタートさせましたが、これは、増加するがん患者の死亡者数を大幅に減らすことを目指して始まりました。しかし、研究対策に投じる国費を見てみますと、米国の三十分の一というわずかな額にとどまっています。果たして、これで苦しんでいるがん患者の願いに本当にこたえられるのでしょうか。
 厚生労働省は、がん対策推進統合本部を発足させました。そして、ことしの一月二十日、第一回の検討会で厚生労働大臣尾辻本部長は、「日本のどこに行っても国民が望む医療を受けられることが、がん対策の中で極めて重要である。がん五年生存率を二〇%向上するという政府目標のため、対策を一層推進する」という強い決意を見せておられます。実効ある具体的取り組みに私は大変期待をするところでございます。
 近年では診断、治療予防の進歩によって、がんは以前のような不治の病ではなくなりつつあると言われていますが、しかし、とはいってもまだまだ国民のがんへの不安は強いものがあります。
 私は、去る五月二十八日、大阪NHKホールで開催されました第一回がん患者大集会に参加をしてまいりました。「変えよう日本のがん医療・手をつなごう患者と家族たち」をスローガンに、全国から二千人を超える参加で、がん医療に対する熱い思いが伝わる集会でもありました。多くの患者さんは、思わしくない体調を押しての参加でしたが、時間はオーバーするほど次々と国のがん対策に意見が出され、最後に尾辻厚生労働大臣も、国家プロジェクトとして取り組みを強化することをかたく約束をされたところです。
 とりわけこの中で訴えられたのは、海外で一般に使われている抗がん剤が日本ではいまだに無認可である、保険診療では使えないこと、抗がん剤の専門家である腫瘍内科医が余りにも少ないこと、この中で、自分で百万円もする未承認の抗がん剤を外国から輸入し、そして地方から専門医のいる東京まで、治りたい一心で、必死の思いで命がけで通院を続けていらっしゃる方の訴え、また非常に進んだがん患者に対する緩和ケアの必要性が問題として対策が求められたところです。また、がん治療を行う専門病院はどこなのか、専門医はどこにいるのか、治療法は、最良の納得の治療をと情報を得たいと右往左往して治療法の選択に混乱をしたり、判断が困難な現実にあるとも訴えておられました。そして、患者主体のがん情報センターの早期設立を強く求めておられる発言が多くありました。がん治療の地域間格差の解消についても切実なものがありました。患者さんたちの日本のがん治療体制のおくれを厳しく指摘をされた集会でもございました。
 国の第三次戦略では、二次医療圏に一カ所の地域がん拠点病院を設置することを求めています。また、抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科医や放射線治療専門医の配置も急がれるところです。がん緩和ケア病院と病床の拡充などが急がれなければならない、そんな現状にあることも知ることができました。
 ところで、御存じのように、がんは検診による早期発見、早期治療が基本であります。私たちみずからも、積極的に定期的に受診することが何よりも大事だというふうに思います。
 本県のがん死亡率は、全国第六位です。部位別では、肺がんは全国第一位がこの数年間続いてまいりました。また、肝臓、胆管がんについても全国第二位と、高い水準にあります。その対策が急がれる現状にあります。
 福祉保健部長にお尋ねを申し上げます。
 検診については、受診率をそれぞれ三〇%を目標に定めておられます。一体現状はどのような状況になっていますか。部位別にその状況をお聞かせ願います。
 中でも乳がん検診では、マンモグラフィーによるX線検査が進められているところですが、その受診状況はいかがでございましょうか。国の基準では、四十歳から五十歳未満までは上下と斜位の二方向のX線検査で検査が行われますけれども、五十歳以上になりますと斜位の一方向のみとなっています。私も先日その検診をしてまいりましたけれども、その専門医のお医者さんがおっしゃることですが、一方向だけでは全体が撮影できない、だから見落とすことが非常にあるということで、このことが指摘されたところであります。
 そこで、私は、せめて五十五歳ぐらいまでは二方向に改善すべきだというお医者さんの意見も、まさにそのとおりだというふうに思います。わずかなところで撮影できないために見落とされて悲しい思いをしなければならない、そういう状況をつくってはならないというふうに思うわけです。
 これは市町村の事業ではありますけれども、市町村の財政的措置もあろうかと思うところですけれども、何よりも早く発見をして悲しい思いをさせないという対策問題としても考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。福祉環境部長、お答えください。
 また、和歌山県でとりわけ高い肺がん、肝臓がん対策について、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 二つ目の質問でございます。医師不足問題についてです。
 これまで県内に働くお医者さんの数は、全国平均を上回っている数字になっています。人口十万人に対する医師の数は、二〇〇四年度で見れば二百二十一・八人で、全国平均の百九十一・六人を上回っているというふうになっております。しかし、この医師も和歌山市周辺に集中した状況にある。とりわけ紀南地域は、慢性的な医師不足が長い間続いてきております。医師確保のため、医療機器の最新式を整備するなど地域医療を守る立場から市町村や病院関係者が大いに努力を続けていらっしゃいますが、本当にこの医師不足に対する心の痛みを感じるところであります。
 最近では、県下の自治体病院あるいは公的病院と言われるところにおいて医師不足が極めて深刻となっていると聞き、我が県議団はその実情を知るために、紀南を除いて六カ所の病院を訪問し、その実情を聞いてまいったところです。
 共通しているのは、和歌山県立医大からの派遣が随分と厳しくなってきましたと。また、退職する先生も多くて、それは開業のためとか、あるいは他の病院への就職、それから医大への引き揚げということです。そして、県立医大以外の大学へ要請しても、同じように派遣も厳しくなってきているということです。その結果として、今、自治体病院や公的病院では外来診療の休止をせざるを得なくなった、そして、これまで救急外来を受け入れていたけれども、夜間も含めて受け入れができなくなってきている、そして、先ほどからも問題になっていますように小児科の夜間の救急受け入れがどうしてもできなくなってきた、そして、患者さんから要望があった検査が既にできなくなってしまっている、小児科医がいなくなって小児科というその標榜を消さざるを得なくなってしまったなどなど、病院経営にも影響を与えていると言います。何よりも住民への医療サービスの低下となっていることは明らかです。ある院長さんは、医師確保で病院にいることが少なくなっていますと、医師不足による影響がここにも強く出ていることを訴えられていらっしゃいました。
 医師派遣の要請に随分今までこたえていらっしゃる医大へもお伺いをしたわけですが、県立医大はこれまでも県下の病院に医師派遣に努力をしてきた、国からは大学病院の医療水準を高めることを厳しく求められている、そのため大学病院における医師の充実が必要になってきているし、また研修医制度の指導医の確保などなどのため派遣できる余裕は余りなくなってきている実情が訴えられました。私自身も、県立医科大学は医師を育てること、あるいは看護師を育てる教育の場であり、研究機関であるということは十分承知いたしておりますが、高度な先進医療を担う附属病院でもあります。
 こうした問題の中、五月二十日に、全国八十の国公立・私立大学でつくる全国医学部長病院長会議が、この臨床研修医制度の廃止を求める提言をまとめたと報道されています。新制度によって地域医療は崩壊寸前、大学病院での医療研究の沈滞につながるとしているところです。それだけ深刻な状況が今生まれているということを私たちも認識するべきではないのかというふうに思います。
 済生会有田病院では、大学からの小児科医派遣が廃止になりました。有田市立病院一つに統合されるということになりましたが、しかし、これまでの状況から見て、湯浅町内六保育所の保護者から存続を求める要望書が知事に出されていますので、御承知のところというふうに思います。
 そこで、お尋ねを申し上げます。
 知事、あなたは県下の地域医療を担っている自治体病院や公的病院の現状をどのように把握をされているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 医師確保や看護師確保対策、地域医療のあり方を多角的に検討する時期に来ているのではないかというふうに私は思います。新しく病院が次々と改築をされていきますが、本当にこれからその内容が充実したものになり得るのかどうか。ここにも自治体病院のあり方というのをこれから考えていかなくちゃならないというふうに思うわけです。
 そこで提言ですが、県行政としてこうした問題を多角的に研究し、そして論議をしていくという方向性を示すために地域医療センターの設置が今必要ではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 医師確保対策には、学生をふやすことが最も早道だというふうに考えるものです。しかし、文部科学省は定員を一割削減することを求めているようです。定員をふやす方策を検討してみてはどうでしょうか。総務部長から答弁をお願いするものであります。
 ドクターバンクに私は大変期待をするものですが、そう簡単には進まないのではないかというふうに危惧をしているところです。他府県の医科大学に進学した学生に、卒後県内の病院で働くことを条件にした奨学資金制度を新設していくところもふえています。和歌山県でもこのことを考えてみてはいかがでしょうか。既に青森、福島、長崎、新潟、岩手、秋田、そういったところで制度化がされたり、あるいはこれから進められようというふうな状況もあります。福祉保健部長から奨学資金制度の新設についてお考えをお聞きしたいと思います。
 また、医師確保の面で、特に今、医学生の中で三割から四割は女性が占めているというふうに聞いておりますし、和歌山大学でも三割は女子学生であるというふうに聞きました。しかし、女医さんが卒後この医療現場に働くということを見ていますと、大変労働時間も長くなり、そして超過密であります。過酷な状態の中で休暇は思うようにとれません。そして、育休というようものがあったとしても、産休そのものも十分とれないまま働きに出なければならない。こんなにすばらしい制度があったとしても、その制度が十分活用できないというような問題があるというふうに思います。女子のお医者さんが働く環境改善も今必要ではないかというふうに考えております。
 三つ目の質問で、看護師需給計画見通しについてお尋ねをしたいと思います。
 来年四月から、平成十八年度ですが、五年間の看護職員需給計画の策定が実施をされるようになっております。国の方針がこのほど、前提条件など、あるいは実態調査そのものについて明らかにされたところでありますし、それをもとにして県下の病院、診療所、介護事業所や施設の実態調査が進められているところでございます。
 この方針、いわゆる計画をつくる上での前提条件の中身として、過大な時間外労働を削減するための増員や、あるいは夜勤は一般病棟では三人以上の夜勤体制にすること、あるいはICUなどでは患者一人に看護職員一人にすること、あるいは看護職員の研修に必要な人員を見込むこと、年休の完全消化を見込むこと、手術台一台に三人の看護師を配置すること、そして産前産後、育児・介護休暇の完全取得とその代替要員の確保などを前提条件に計画をつくるように求めています。職場の現状を反映した内容が幾つか随分と前進をしてきているというふうに思います。
 何よりもこの計画をつくる上で実態調査は大事でありますが、この実態調査にそれぞれの病院や施設の皆さんがありのままを記入していただき、少しでも職場実態が改善できる計画を私は期待したいと思っております。
 しかし、今、職場では年休はとりにくくなってきていますし、土曜、日曜出勤の代休もままならないと聞きます。妊婦の夜勤免除も、夜勤禁止となっているにもかかわらず免除されないため、また診断書を出さなければ免除されないなどという状況のもとで、なかなかそれが実現しません。そして現場は、切迫流産がふえている実態も多く語られたところです。保育所設置の要求も切実な声になっております。
 この四月から、准看護師から看護師の国家試験の受験資格を得るための通信制二年課程の教育制度が始まりました。働きながらの勉学に大変な努力が必要です。無理しないで最後まで頑張ってほしいなという気持ちでいっぱいです。
 そして、看護学校の問題でありますけれども、労災病院の看護学校が廃止になりました。このことによって看護師の確保対策に少なからぬ影響を来し、私は残念でならないところです。
 そこで、十七年度末の確保目標、一万三千百七十二名になっておりますけれども、これに対しての達成状況はどうなるのでしょうか、お示しください。
 今後の需給計画策定の取りまとめはどのようなスケジュールで進められるのか。これについてもお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 御質問の中にもありましたように、新しい医師臨床研修制度の開始など、医療を取り巻く情勢が激変する中で、県内でも自治体病院や公的病院の中に医師が不足し、また医師がやめられて後の確保ができないというふうな深刻な問題が起こっているということは十分承知しておりますし、私のところへも苦情等たくさん寄せられております。
 こういう中で、県としましては、先日来申し上げているようにドクターバンク制度、これはまあ全国でも早い方なんですけども、設けてこれを実行していって何とかそういうことを緩和していく方法であるとか、それからドクターヘリ、これは非常にうまくいっているんですけど、こういう制度で紀南の方の救急患者の方に対処するとか、いろいろなことをやっているんですが、やはり基本的には県立医大、ここが地域医療についてうまく医師を確保するような仕組みを考えていくということが非常に大事だと思っておりますので、県の方とまた県立医大とよく相談しながらこの問題に対処していきたいと、このように思っております。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、がん対策についての御質問の中で、がん検診についての部位別受診状況でございますけれども、平成十五年度においては、肺がん検診は三二・四%、胃がん検診は一七・三%、大腸がん検診は二〇・九%、乳がん検診は一五・五%、子宮がん検診は一六・九%となってございまして、すべて全国平均を上回っている状況にございますけれども、目標の三〇%に近づけるため、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、マンモグラフィーによる乳がん検診についてでございますけれども、平成十七年度から県内すべての市町村で実施されることになってございますが、さらなる受診率の向上、精度の高い検診を目指しまして、本年度、マンモグラフィー搭載の検診車を二台整備したところでございます。
 また、国の基準では、平成十六年度より四十歳以上五十歳未満の方が二方向撮影というふうになってございますけれども、現在、県内の市町村の実施見込みはほぼ半数にとどまっている状況でございまして、まず、すべての市町村でこれが実施されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に肺がん対策といたしましては、最大の危険因子でございます喫煙への対策を重点課題とし、平成十三年に「県たばこ対策指針」を作成してございます。受動喫煙を防ぐため、官公庁の喫煙対策とあわせ、県ホームページで禁煙飲食店の紹介などを行っているところでございます。禁煙支援としましては、指導者講習会の開催や県ホームページで禁煙外来、禁煙サポート薬局の情報提供などを行ってございます。また、これら喫煙対策をより効果的に実施するため、平成十七年三月に県たばこ対策推進協議会を設置したところでございます。
 また、肝がん対策につきましては、肝炎ウイルス対策が重要であるということから、すべての市町村で平成十五年度から肝炎ウイルス検診を実施しております。
 また、C型肝炎ウイルスの持続感染者が肝硬変や肝がんになることを防ぐため、それを支援する市町村や保健所の保健師等に対し肝がん予防研修会を毎年開催しているところでございます。
 次に、地域医療センターの設置をという御提案でございますけれども、本県の地域医療を担う医師等の確保につきましては、県立医科大学、地域の公的病院、県等がお互いに連携しながら取り組んでいく必要があると考えてございます。
 また、それぞれの関係者で構成される医療対策協議会を設置し、効果的な医師や看護職員等の確保・配置対策、医療機関の機能分担と連携の推進につきまして協議することとしているところでございます。
 県としましては、地域医療のあり方を多角的に検討するとともに、議員御提言の地域医療センターのような総合調整機能を果たす仕組みについても関係者と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、奨学資金制度の新設についてお答えを申し上げます。
 医学部学生や大学院生を対象に、卒業後一定期間それぞれの地域で医療に従事することを義務づけた奨学資金制度を導入したり、検討している自治体が増加している状況にございます。この制度は、将来、過疎地域の病院や診療所で勤務することや、小児科医や産婦人科医として勤務することなどを貸し付け条件にすることにより、医師の地域偏在や専門の偏在を解消することを目的にしているものと認識をしてございます。
 奨学資金制度の新設につきましては、他府県における効果などを見きわめながら実施の可能性を探ってまいりたいと考えております。
 次に、看護職員の需給計画策定のスケジュールでございますけれども、現行の看護職員需給見通しは平成十七年までとなってございまして、十七年末の看護職員の確保目標は一万三千百七十二名で、六百八十一名が不足となる見込みでございます。
 次期需給見通しの策定につきましては、看護を取り巻く状況の変化を踏まえ、平成十八年から五年間の新たな需給見通しを策定することとなってございまして、和歌山県地域医療協議会の看護職員充足対策専門委員会において協議を行っているところでございます。
 今後の策定スケジュールは、六月末に医療機関等の調査票を回収
・集計し、国との協議を経て、来年二月ごろに最終決定する予定となってございます。
 需給見通し策定に当たりましては、看護職員の働きやすい職場づくりを推進するため、現場の声を反映し、かつ質の高い看護サービスの提供を目標として策定してまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 医師の確保対策として、県立医科大学の学生数をふやしてはどうかという御提案がございました。
 現在、文部科学省において、大学の設置基準となっております入学定員の取り扱い等に係る基準などによりますと、医学部定員は抑制であるという方針が示されているところでございます。また、御指摘にもありましたとおり、県内における人口当たり医師数は全国平均を上回っている状況にありまして、御案内のとおり、紀北地域へは偏在も見られるところでございます。
 こうした状況を踏まえますと、医師の地域偏在を解消するということが必要でありまして、このためにも、先ほど来答弁がありましたとおり、本年度から創設しましたわかやまドクターバンク制度、あるいは自治医科大学の制度の活用、また福祉保健部長からありました医療対策協議会の活用、さらには、知事からもありました、何といっても県立医科大学における積極的な対応といったことによりまして地域における医師不足の解消を図っていくことが重要と考えておりまして、関係部局とともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 がん対策にいたしましても、医師不足問題にしても、非常に難しい問題だというふうには思うんですけれども、がん対策のところでは、専門医そのものが日本の場合は随分おくれているというのは、がん患者の皆さんたちの大きな叫びなんですね。
 普通、私たちも、どこの病院に行っても、どんなレベルの治療でも同じようにやってもらえるだろうと、いわゆる自治体病院とか総合病院というのはそういうレベルのものだろうという期待を持っていると思うんですよね。
 ところが、和歌山の場合は、和医大かあるいは日赤だけしか一定レベル以上のものは持っていないというのが、病気になって初めてわかるというのが現実だと思うんです。そういう点で見れば、医大と日赤だけがぐっと高い医療水準にあるということだけではなくて、自分の住んでいる地域の自治体病院やあるいは公的病院と言われるところがもっとレベルを上げるための支援策というのがやっぱり必要じゃないかというふうに私は今も思っています。
 そういう点で、がん患者の皆さんたちは、情報が手に入らないという悩みがいっぱいあるんですね。だから、がんという診断をされた、もう頭が真っ白になっちゃって、家族も含めて一体どうやったらいいんだと。お医者さんの説明なんていうのはもうほとんど頭に入っていないというんですね。
 そういう場合にフォローしてくれる相談室とか、あるいはがんの手術に対しては医者がやりますけれども、外科系の医者は、手術が終われば「手術は無事に終わりました」、「手術をします」と言うだけで、そこで終わっちゃう。あとは抗がん剤を使ったり、レントゲン治療をやりますよといったときでも、その医者が説明をしても、どんな形でやるんだろうなというところまではよく説明しませんよね。
 だから、そういうときに、いわゆる抗がん剤についての専門の医者がどうしても今は必要だということで。ところが日本には、その数が少ないと。アメリカでは九千五百人ぐらいいるけれども、日本には五百人しか認定医がいないという数字が出ています。それは厚生労働省も認めているわけですね、少ないというのは。だから、それは「進めます」と言っているけれども、遅々として進んでいないというのが専門家の皆さん方の声なんですね。
 それから、放射線治療でどのような形でするかということについての説明というものも必要なんですよね。患者さんたちは、抗がん剤を飲んだりあるいはレントゲン治療をすれば絶対に副作用があるだろうと。周りの人が髪の毛が抜けていると。抜けてくるんだというような不安がいっぱいあるわけですけども、そういった問題についても放射線の専門の医者が、それは腫瘍内科専門医と言うそうですけれども、それからそれを補助する放射線技師というものもやっぱり必要だということが今患者側から求められているわけですけども、そういった点でも、やっぱり内容を充実させるということが必要だというふうに思っています。
 そういう点で、和歌山県下に本当に──こういった専門の医者を育成するのは大学だと思うんですけれども、しかし、それが本当にどれだけ行政も支援をしながら認定医をふやしていくかということ。それぞれの病院のあり方もあると思うんですけども、そういう点で、今がんについての患者さん側からの要望というのはそこが強いということと、あわせて情報が余りにも少な過ぎると。それから日本の国のあり方ですけども、認定されている抗がん剤が外国に比べて本当に少ない。外国で当たり前のように普通に使われている抗がん剤が、日本では承認されていないために高い金を出してわざわざ輸入をすると。そういうような経済的な負担も今非常に大きいということですから、そういった点での改革も必要じゃないかというふうに思います。これはぜひとも行政側としても国に急いでそういう点を改善してほしいという意見を申し上げていただきたいというふうに要望をしたいと思います。
 それから、医師不足の問題ですけど、今知事も言われたように、やっぱり新しい臨床医制度ができてから急に医者が地域から引き揚げられてくると。大学は一生懸命やりたいけれども、自分のところの方も内容を充実させなければいけないし、さらに発展をさせるという点から見ればなかなか思うようにいかないのだという御苦労があるようであります。そういう点で、医師不足を解消していくために、本当に地域全体、行政も含めて、関係者も含めて積極的に論議をしないと解決しないと思うんです。
 文部科学省なんかは、一割を削減せえ、これから定員の基準についてはふやしてはあかんよと言っていますよね。閣議決定されているからどうもならんのですというのが総務部長の話やと思うんですけども。しかしこれは、幾らこの地域が偏重していたとしても、これはもうずっとですよね。この間、和歌山県の場合には。
 医師不足に対して紀南地方は物すごく減っているんだ、足りなくてずっと難儀しているんだ、だけども和歌山市地域にいっぱいいてるから、これをまずどないするか解決せなあかんと。そんなもん、解決しようないでしょう。今、それじゃ和歌山市にある大きな病院をつぶして紀南の方に持っていけるかと。そんなこともできないわけでしょう。
 そういう点から見れば、これはもうずうっと引きずってきている問題ですよ。だから、そういう点で、医者が多いから、地域に偏重しているから偏重の分を解決するんだというんやったら、今までもっと真剣に考えるべきだと思うんですよ。私、議員になったときは、もうそれを答弁しはりましたよ。もう十八年間同じ返事です。そういう点では、やっぱり国に思い切った提起をすべきだというふうに思うんです。そういう点でも積極的に国への要望をしていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから、奨学資金制度についてはもう絶対つくってください。これはよそではどんどん進んでいってるんですから、お金がないからできないんだというような問題ではないというふうに思います。これをつくるときに五万円とか十万円とかというような額では、これはだれも定着をしないと思いますよ。秋田県ですか、そこらは一カ月に三十万という奨学金、そして義務年限を九年間と。これは自治医科大学と同じような期間を設定していますし、大体どこもそういうような設定になっているようですので。要項を見てみますとね。
 そういう形で、何としてもやっぱり医師を確保すると、そして地域偏重をなくしていくという一つの手だてとして奨学金制度についてはぜひ考えていただきたいというふうに、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。もう予算を考える時期になっていると思いますので、ぜひ来年度にそれが実施されるように検討をお願いしたいというふうに思います。
 看護師の需給計画ですけれども、これは長年の懸念ですが、なかなか埋まらないという問題ですね。欠員が計画どおりにいかないという問題。いったとしても足りないという現状になっていると思うんですが、しかしこれは、二〇〇〇年につくった需給見通しの部分のやつを見ていまして、十六年の十二月時点でどれだけあったのかということですが、目標が計画では十六年十二月には、需要は一万二千八百九十七名が必要です、それで一万二千百四十六人は必ず計画で実現しますと、しかしそれでも七百五十一人が不足することになりますと、こういう計算になっているんですよね。だけども実際にそれがどうなのかといったら、七百五十一人どころか、約千三百人ぐらいが不足の状況になってきているというふうに私は計算上で見るんです。だから、そういう点で見れば、この計画をつくってもなぜこれだけ補充する手だてができないのか、確保する手だてができないのだろうかということをもう一回、職場の実態から考えてみるべきことだというふうに思うんです。
 これは協議会か何かができているというふうに聞きますので、そこらでやっぱりもっと掘り下げて検討して実態に反映できるような計画をつくらないと、恐らくことしの十二月にはもっと深刻な状況が生まれるのではないかというふうに思います。
 そういう点で、この需給見通しについては、本当に今職場が大変な状況を一歩でも二歩でも改善できるような具体策を、計算はできても、数字上ではできても実態がそぐわないということになると大変ですから、そういう点での改善をじっくりと、慌てないで計算をしていただきたい、計画をつくっていただきたいというふうに思いますので、これも要望にしておきたいと思います。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして早速、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、むち打ち症患者に対する県立医大における検査体制と治療の確立についてお尋ねいたします。
 昨年の二月、そして六月、十二月議会において、むち打ち症に関する発言の機会をいただき、質問をさしていただきました。その後、ブラッドパッチ療法については、白浜町在住の方が議会報を見られ、突然私どもに来られ、「実は私もその治療法で、長年むち打ち症で苦しんでいたのがうそのように治りました」と。今後もこの活動を一生懸命に取り組んでほしい旨の話をされて帰られました。突然の訪問に正直少し驚きましたが、本当に感動の一瞬でもありました。
 さらに、昨年九月議会では皆様方の御理解と御協力により意見書も御賛同いただき、全国の議会においても、現在着実に進んでいる状況を御報告を申し上げたいと思います。
 また、進捗状況につきましては、本日皆様方のもとにお配りをいたしましたこの「会報」に詳しく掲載をさしていただいております。「脳脊髄液減少症はいよいよ第二ステージへ」というこういう「会報」でございますが、この四ページ目をできましたら見ていただきたいと思うんです。
 診療実態調査というのがございます。全国の協力病院において現在治療を受けられた患者さんの実態をグラフであらわしていただいております。赤色、黄色、青色、そして紫というふうに分類をいたしまして、赤の七三・五%の方は今回の治療法で改善傾向、そして、黄色の四二・四%の方が社会復帰を果たしております。また、青、紫色の現状維持並びに変化なしと悪化では二五%の結果として報告がございます。この調査に御協力いただいた病院名と医師名も右側に掲載をしております。また左下には、事故等での発病後二年未満の改善率では、七八・九%というすごい結果報告がなされております。それ以外の詳細については、時間の関係もございますので、お手元の資料どおりでございますので割愛をさしていただきますが、このブラッドパッチ療法について、現在のところ保険が適用されておりません。いわゆる自由診療となっています。しかしながら、全国の専門医の中で、支持をされるドクターも飛躍的に現在増していることも事実でございます。
 去る六月十一日、大阪市中央区にて第三十五回日本ペインクリニック学会関西地方会が開催されました。会長はお隣の奈良県立医科大学麻酔科の橋爪圭司ドクターで、約三百名のドクターが参加した会合でございます。特別講演を初め、教育セミナー、シンポジウム、一般演題等の内容で行われました。教育セミナーでは、「脳脊髄液減少症の診断と治療の現状」と題して、日本医科大学脳神経外科・喜多村孝幸ドクターと寺本ドクターにより行われました。また、一般演題では、和歌山県の角谷整形外科病院の麻酔科医でございます太田ドクター、粉川ドクターが血行動態の改善と並行して症状の改善が見られた脳脊髄液減少症症例を発表されました。こういった医師の努力と研究に敬意を表するとともに、私自身、患者の方々とお会いするにつけ、全国で約三十万人にも達すると言われるむち打ち症患者への検査並びに治療体制の早期確立の重要性を強く痛感する一人でもございます。
 一方、このNPO活動が全国に波動を起こし、マスコミ各社がこの実態について、テレビ報道はもとより新聞報道にも詳細にブラッドパッチ療法について掲載されるようにもなりました。
 ここで、最近の記事を御紹介をさしていただきます。
 去る五月十七日、これは東日本版の毎日新聞社会面の記事でございますが、「交通事故でむち打ち症に」という題で「実は脳の髄液漏れ」と、五段見出しで取り上げられております。記事内容は、長野県の美容師の女性四十六歳。二〇〇二年六月、車を運転中、中央線を越えてきた対向車に衝突され、収容先の病院で全身打撲と首の捻挫と診断されました。後頭部を針で刺されるような鋭い痛みが続き、転げ回るほどの痛みが続いたが、整形外科医は「手の施しようがない」と話すだけでありました。やがて、同じ病院の神経内科医が脳脊髄液減少症の勉強を始めていたことがわかり、事故から約四カ月、数回のブラッドパッチ療法で症状が好転し、今では六割程度回復いたしました。しかし、保険会社との問題は残っていますという記事内容でございます。
 また、三重県の伊勢市では、元会社員四十四歳の男性の場合、二〇〇一年十一月、乗用車を運転中、運送会社のトラックに追突をされ、頭痛や耳鳴り、左半身のしびれで四つの病院で受診をしたが症状が治らなく、販売の仕事で立ち続けると首から背中に激痛が走り、医者からは「痛みとつき合うしかない」と、さじを投げられた状態であります。二〇〇三年、インターネットで脳脊髄液減少症を知り、会社を退職して神奈川県内の病院を受診、一回目のブラッドパッチ療法で耳鳴りもしびれもなくなり、三回目で完治したと実感されたのでありました。しかし、加害者である運送会社は、「事故と髄液の漏れに因果関係はなく、ブラッドパッチの費用を払う義務はない」と主張し、現在訴訟となっております。この男性は、外見からわからないために仮病と見られる、事実をどう伝えたらよいのかと嘆くと掲載されておりました。
 さらに、五月二十九日付の毎日新聞のオピニオンの欄に、「髄液漏れに苦しんだ三十五年」という題で、船橋市の主婦、森淳子さん(四十九歳)の記事では、中学二年生の夏休みに部活で毎日約十二時間のバレーボールに明け暮れていたとき、コーチの打ったボールを受け損なって脳震盪を起こすほどの強烈な実はしりもちをついたことに始まりますという内容でございます。当初は不調の原因は十五キロもやせたことだと思っておったが、しかし、だるさを初め痛みや目まいなどと闘うこと三十五年、近年は電磁波にも悩まされ、車内での携帯電話には苦しい思いもされました。回った病院は数知れず、不要な薬を飲んでは何度も倒れ、医者のどなり声も浴びたと書かれております。この主婦がブラッドパッチを知り得たのは新聞記事でありました。この記事の結びには、交通事故以外にも髄液漏れが発症することがあり、治療法もあるという事実と、また早期の治療に対応できる病院がふえることを切に願っている、そして最後に、文章にあらわせないほどの苦しみを味わったこの三十五年を私はこれから取り戻しますというふうな内容で結ばれておりました。
 このような事例は、まだまだたくさんございます。
 私、先日、五月の二十三日、千葉県庁の議員会館にて、堂本県知事ほか県庁関係職員約六十名が出席されました脳脊髄液減少症についての勉強会に出席をさしていただきました。講師に国際医療福祉大学附属病院の脳神経外科教授・篠永正道ドクターが立たれ、今日まで篠永ドクター自身約一千例近くの患者さんの検査や治療を通じた貴重な講演を聞くことができました。また、職員の皆様も、最後までだれ一人席を外すことなく聞き入っておられたことが印象でございます。また茨城県では、年内中に専門家を招き、患者会とともに勉強会を実施するということでもあります。
 そこで感じたことは、先ほどの投稿された記事内容にもございましたが、この治療については、早期発見はもとより、適切な検査体制と治療に対する認識の向上が不可欠であると思われてなりません。勉強会では、「脳と脊髄の間を脳脊髄液が循環しており、外部からの衝撃で脳や脊髄を包む硬膜から液が漏れると脳の位置が低下する影響で頭痛や集中力低下、また睡眠障害など、多様な症状を引き起こすという病気であります」と、改めて啓蒙活動の必要性を認識させられました。
 また、先日、高野口の方から私どもにお電話をいただきました。この方は六年前に交通事故に遭い、当時の紀北方面の病院で治療を受け現在に至っていますが、右半身がどうもぐあいが悪く、しびれや重いものが持てず、気分が悪くなれば座っていてもどうにもならなくなり横にならざるを得ない状態の方でございました。NPOの中井代表とも御相談をし、私も付き添い、先日、和歌山市内のK病院で診察をしていただきました。結果は、脳脊髄液減少症ではありませんでした。しかし、別の治療を選択すべきという適切な進言を受け、しかるべき病院への紹介状もいただき、その方は明るい顔で帰られました。こういうケースもございます。適切な検査を受けることにより、結果こそ違いましたが、その患者さんにとってみれば一つの光明が見えたのではないでしょうか。後日、私のもとに、本当にありがとうございましたという感謝のお電話も入っておりました。この六年間ゆううつな日々を送り、治療のめどさえ不透明な毎日は、その人でなければわからないことだと思います。私は、そういった人のためにも何かお役に立てればと思う一人でございます。
 むち打ち症は痛みの原因が解明されないのが特徴で、今まで被害者が治療継続や後遺症に対する補償を求めても認められにくく、自賠責の後遺障害等級では後遺障害なしもしくは一番下の十四級、いわゆる局部に神経症状を残すといった判断をされています。ところが、二〇〇〇年になって一部の医師が、むち打ち症の原因は髄液が漏れている脳脊髄液減少症であると主張し始めたところから、大きくこの病気に対する見方が変わってきました。
 以上のことから、本県において脳脊髄液減少症の実態について、まず行政の関係者の皆さんに御理解していただくためにも、県主催で勉強会を開催していただきたいと思います。この件につきましては、福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、県立医科大学附属病院における検査・診療体制の早期確立について、このことは学長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に移りたいと思いますが、県営住宅の整備体制についてお伺いをいたします。
 和歌山市内にある川永団地は、現在、老朽化に伴い、ハートビル法に基づき昨年よりリフォーム工事やエレベーター設置工事も進み、一部完成した棟より入居も始まっております。この川永団地は、昭和四十年代前半から入居が始まり、また後半まで二十四棟の団地構成であります。現在入居されています自治会役員は当時のことについて、昔は若い入居者もたくさんおられ、子供たちによるみこしや山車を引き、いろいろな催しも開き大変にぎわっていたと話をされておられました。しかし、入居者の高齢化に伴い、また社会状況の変遷もあり、今日、自治会運営や維持管理等の面で自治会員だけではどうしようもないこともたくさんございます。
 その中で大きな一つは、団地内の放置自動車であります。先日確認に行かしていただきますと、十九台、放置自動車がございました。(写真を示す)ちょっとこの図では見にくいと思うんですが、こういうふうに点在しまして、ちょうど集会所の中央の道路のところにナンバープレートのない車がたくさん放置されておりました。早速、この写真も添えまして住宅環境課に早期撤去の申し入れをさしていただきました。
 この問題は以前よりございまして、二年前にも同じような放置自動車のことがあり、住民から撤去をしていただきたいという依頼を受け、当局に申し入れをさしていただきました。しかし、またもや繰り返し、一部の人の迷惑行為のために住民の多くの方は困惑されておられます。例えば、緊急車両等の進入路の確保や災害時での安全対策にも支障を来すのではないかと心配もされておられます。
 さて、本年一月から使用済自動車の再資源化等に関する法律、いわゆる自動車リサイクル法が施行されました。法律の趣旨は、皆様も御存じのとおり、自動車ユーザーが費用を負担し再資源化し、環境問題への対応を図るための法律でございます。
 今回の放置自動車に対しても、本来は自己責任で行わなければなりません。しかし、団地内におけるこのようなケースは、いつも所有者がわからず、撤去費用をすべて行政がこうむり処理をしてきました。しかし、今回施行された法律により、撤去費用に加えてリサイクル代も必要になり、負担額も多くなります。貴重な税金が使われるわけでございます。したがいまして、今後の予防策として一部の役員の方から、公営住宅内に駐車場を設置し所有者を明確にすればこのたびのような自動車を放置する行為もなくなるのではないかといった意見もございます。
 以上のことから、今後の放置自動車等の対策についてどのように対応なされるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。
 また、もう一つの問題がございます。この問題というのは、ライフラインであります水道問題でございます。
 川永団地では、今日まで水道の検針と料金徴収を住民自身が行ってまいりました。しかし事実、大変な状況でございまして、特に料金徴収に至っては相手のあることでございます。遅滞や未収、その他いろいろあって、その御苦労は本当にお気の毒であります。以前より自治会会長並びに役員の方より、水道局との直接検針並びに徴収について住宅環境課はどうお考えになっているのかとの御相談をいただいております。
 一方、以前建てかえたニュー川永団地の一部の棟は、既に和歌山市水道局との契約に変更になっております。このような状況について今後の対応を、放置自動車対策とあわせて県土整備部長にお伺いしたいと思います。
 また、この際、意見として述べさしていただきます。
 和歌山市内に実は、千旦団地、また千旦第二団地という県営住宅がございます。長年その団地のみが水道水を、現在でも井戸水を使用しているとお聞きいたしました。団地自治会から以前より委託を受けた方が水質管理と維持管理を任されて現在に至っているそうであります。しかし、井戸水に対する不安の声も聞かれるところから、水質の安全性を考えれば和歌山市の水道局からの給水に変えるべきではないのか、こういうふうに思います。しかし、入居者のそれぞれの方々の同意というのが大前提でありますから、当局におかれましては、よく協議の上、今後の検討すべき事項として要望をしておきたいと思います。
 次に、本県の少子化対策についてお伺いをいたします。
 六月一日に厚生労働省が発表した二〇〇四年の人口動態総計で、一人の女性が生涯に産む子供の数とされる合計特殊出生率が、過去最低の二〇〇三年を下回る一・二八九人であるとの調査結果を発表されました。少子化への加速はとどまる様子はなく、このままの推移でいくと、間もなく我が国社会は総人口が減少する人口減少社会に突入されると言われております。明治以降、第二次世界大戦中の一時期を除けば、我が国の総人口が減少するのは初めてのこととなります。
 少子出生率の低下の要因については幾つか挙げられますが、複合的な社会的現象として、少子化の原因に、一つは晩婚化・未婚化の進展、いわゆる未婚率の上昇、晩婚化の進展と独身者の結婚意識、婚外子割合の国際比較、妊娠・出産と結婚との関係、夫婦の出生力の低下、次にその少子化の原因の背景として、仕事と子育てを両立できる環境整備のおくれや高学歴化、いわゆる働く女性の増大、出産・育児と仕事の両立、そして高学歴化が挙げられております。また、結婚に関する価値観では、結婚に対する意識の変化、結婚することの利点、結婚は選択肢の一つ、次に子供の存在に関する価値観、いわゆる子供を持つことの価値観並びに価値観の変化、家庭を築くことや生命を継承していくことの大切さ、子供を持ってよかったことなど、さらに子育てに対する負担感の増大には、子育て費用の負担や教育費用負担、ワーク・アンド・ファミリーバランスなどを挙げられております。そして、家庭や地域の子育て力や経済的不安定の増大等、多様な要素が現在の状況を招いたと分析されておりました。
 そこで、我が党もチャイルドファーストいわゆる子供優先、「もっと「生まれたい社会」」の構築に向けて緊急提言を行っています。基本的な考え方の一つには、少子化対策に対してはさまざまな意見がありますが、やはり子供を産み育てることは個人の意思にゆだねるべきとの考え方が大前提で、結婚したい、産みたい、育てたいという意思があるのにそれができない人に対してきちんとした支援の手を差し伸べるところからスタートしようと。また、出産・育児にまつわるいろいろな阻害要因が取り除かれれば、産みたくないという人の中からも産んでみようかなと思う人が出てくるのではないかと考えます。また、従来の少子対策は親への対策が中心でございました。しかし、生まれ育つ主役は子供であり、育つ環境がどうであれ、子供には公平に支援を受ける権利がございます。その意味で子供の視点からの対策に転換していかないとと考えております。以上が、私どもの基本的な考え方でございます。
 本県では子供と子育てを大切にする地域づくりに向けて、和歌山県次世代育成支援行動計画を策定されておられます。この計画は、将来においてさらに深刻化することが予想されている少子化問題を一番に取り上げています。また、現在までの人口動態、そして各項目での数値目標に対する達成率があらわされています。今後の取り組む課題の中には、NPOとの協働による地域密着型プラン等、子育て計画も示されています。
 先日、知事が定例記者会見で発表されました「子育て大賞」については、全国的に大変ユニークな施策として取り上げられております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今回の子育て大賞の発案は知事がお決めになったとお伺いしていますが、現在の応募状況と、並びに継続的な施策として行っていくのでしょうか、それとも他に実施するプランがあるのでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 次に、各市町村から再三要望がございます、現行行っております乳幼児医療費助成の拡充についてお伺いをしたいと思います。
 県は、現在の乳幼児医療費の助成については、入院の場合は平成十四年八月一日より対象年齢を三歳児未満より小学校就学前まで拡充を行っております。一方、通院の場合は、平成七年四月一日改正で三歳未満児まで引き上げ、現在に至っています。しかし、既にこの改正案から十年目になっており、通院対象年齢の引き上げは時代の趨勢となってきていると言っても過言ではありません。私どもに対し現在の対象年齢の拡充を求める声も多く、入院と同じく就学前までに拡充していただきたいと強い要望も多々ございます。
 先日の新聞報道によりますと、茨城県の牛久市では、中学生まで対象年齢を拡大する条例改正案が今六月議会に上程され、これが可決されれば小学校入学時まで入院・通院とも無料、そして入院時に限って中学卒業時まで無料とする支援拡充策であります。
 一方、県下の自治体もそれぞれ、対象年齢については一律ではなく、少子化対策の一環として年齢を引き上げ、横出しを行っている自治体もございます。今後の子育て支援を推し進めていく上で重要な経済的支援策であると思います。したがいまして、さらなる充実を求める立場から、乳幼児医療費制度の拡充について福祉保健部長にお伺いをいたします。
 最後に、次世代を担う若年層への就職支援につきましてお伺いをいたします。
 現在、若者の間にアルバイトやパートで暮らすフリーターや職探しも進学もしていないニートについては皆様もよくお聞きになると思いますが、内閣府の調査では、フリーターは二〇〇一年で四百十七万人、九〇年代初めの約二倍以上に達し、ふえた主な原因は若年層の厳しい就職事情が挙げられております。バブル経済崩壊後、日本社会全体が不況に陥り、加えて企業体が人件費を抑制するために正社員採用を抑えたことなどが背景にあると言われております。また、ニートも二〇〇二年で八十五万人に上っていて、そのうち約半分の四十二万強の若者が「就職を希望しない」との答えで、深刻な問題を呈しています。他の半分も「就職を希望するが活動をしていない」を理由としています。
 一方、総務省の労働力調査によりますと、昨年十二月の完全失業率は四・四%と前月比〇・一ポイント改善し、一九九八年十二月以来六年ぶりの低水準となり、この結果、昨年平均の完全失業率は前年比〇・六ポイント減の四・七%で、二〇〇〇年以来の水準を回復いたしました。また、「勤め先都合」で失業に追い込まれるケースが減っておりまして、リストラに減速傾向が見られるようになったと分析されております。ただ、十五歳以上の人口のうち、どれだけの人が働いたり職探しをしているのかの割合を示す労働力率は、九二年の六四・〇%をピークに減少傾向にあり、昨年は前年比〇・四ポイント減の六〇・四%に落ち込み、労働力人口も六千六百四十二万人と六年連続で減少し、ピークの九八年より百五十一万人減となっています。中でも、若者の労働離れが目立ち、昨年の調査では、十五歳から二十四歳の男性の労働力率は四四・〇%で前年比一・二ポイントも下がり、他の世代に比べ減少幅は最も大きくなっています。背景には、働こうとも学ぼうともしないニートと呼ばれる若者の増加が影響していると見られます。このニートになる理由として、中学や高校中途退学、また学校の就業紹介ルートで就職できない人が増加するなど、形態そのものもさまざまであります。求職活動がうまくいかず自信を失ったり、勤め先で挫折したりといったケースも少なくありません。
 そうした中、自分探しをしながら得意な分野で成功し、自由な時間を有意義に生かす若者も、少しずつではありますが、増加の兆しが見えてきています。しかし、フリーターやニートの増加は、本人はもちろん、社会にさまざまな問題を突きつけています。定職につかないフリーターやニートの増加とともに、厚生労働省は将来の労働力供給に問題が出ると危機感を強めています。労働力の先細りは経済社会の活力を衰退させかねず、若者の就業促進対策は急務の課題であると位置づけています。
 また、UFJ総研の試算では、フリーターの年収は正社員の約四分の一程度で、生涯賃金では一億五千万円以上も差がつき、結婚する率も正社員の約半分にとどまり、また、年金など社会保障の支え手として減少する点も問題であると分析されています。また、特にニートは放置しておくと生活保護受給者増などの社会的な問題に直結する要素を持ち、個別的な支援を息長く続けることが重要であると指摘しています。
 こういった状況の中、政府は依然として高い若年失業率が増加するフリーターや無業者いわゆるニートといった問題の重要性にかんがみ、昨年十二月、若年層の雇用対策、若者の自立策を打ち出しました。
 一方、本県では、緑の雇用対策事業や就業対策に知事を先頭に積極的に取り組まれております。しかし、依然就職先の定まらない若い方を見るにつけ、私は、本県の人口動態や若年層の定着率をかんがみ、行政における就業支援策については息長く行っていくことが非常に重要であると思います。
 以上のことから、知事の若年層への就業支援の基本的な考え方や企業誘致についてお伺いいたします。
 次に、他県に先駆けて設置したジョブカフェでの具体的な就業支援策とその成果について、また関係団体との連携策について商工労働部長にお伺いいたしまして、第一問を終わります。
 御清聴、まことにありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、子育て大賞ということでございます。
 私も、この少子化の問題は大変な問題だというふうな認識なんですけど、なかなか特効薬がないというふうな中で、子供がたくさんいて、そして皆が楽しく暮らしているというふうな家庭を表彰するようなことも一つの元気が出ることじゃないかなと思って考えたわけです。これは意外と受けまして、現在、四十家族ぐらいが推薦として出てきています。
 毎年やるのかどうかということなんですけど、毎年家族がふえていくわけでもないんで、毎年やるのがいいのか、隔年でやるのがいいのか、三年に一回やるのがいいのか──いずれにせよ、単発に終わらせないで、こういうふうな子育てに頑張っている家庭を表彰することで、また子供をふやしていこうというふうな気持ちが高まるようにしていきたいと、このように思っております。
 それから、フリーターとニートの問題。
 これも大変な問題で、ようやく景気は回復してきているものの、雇用条件の厳しさということは全く以前とはもうさま変わりしているというふうな中で、例えばパートであるとか派遣労働であるとかアルバイトとか、こういうふうな不安定な勤務状況にあるフリーターの人とか、それからもう一つは働かないというふうなニートの人、これが相変わらずふえ続けるというふうな状況にあります。
 そしてまたこれは、御質問の中にもありましたように、可処分所得が当然のことながら少なくなってくるんで家庭が持てない、家庭が持てないと子供が生まれないというふうなこと、そしてまた、可処分所得が少ないので物を買わないから消費が少なくなって景気がよくならない、長期的には日本の経済に非常に大きな悪い影響を及ぼすだろうということは、これも御質問の中にあったとおりだと思います。
 和歌山県では、こういうことに対しましてなかなか特効薬というのはないんですけども、中・高のころから勤労意欲を持ったり、そしてまた働く心構えを持つようにするように民間企業と協力してインターンシップ制度を新たに導入したり、それから職能の向上であるとかカウンセリング機能の充実というようなことを行うことによってきめ細かく労働意欲を高めていくというふうなことを一方でしていき、そしてまたもう一方では働き口というふうなものを積極的に誘致してくるというふうなこと、両々相まってこのニート、フリーター対策というものに取り組んでいきたいと、このように思っています。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 脳脊髄液減少症の実態を理解するための県主催の勉強会の開催について、お答えを申し上げたいと思います。
 交通事故によるむち打ち症やスポーツ外傷などの原因により脳脊髄液が減少し、頭痛、目まいなどの症状が出現するとされる脳脊髄液減少症につきましては、現在のところ、その病態はまだ十分解明されておらず、その治療法の一つであるブラッドパッチ療法につきましても、治療成績などの報告がなされておりますけれども、その有効性については医学会の評価がまだ定まっていない状況にあると認識してございます。
 しかし、むち打ち症などでこれらの症状に悩む患者さんにとっては、より多くの治療法の確立とその情報提供が待たれるところでございまして、県としましても、勉強会を含め、引き続き国の動向や研究の進展状況などの情報収集等に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に乳幼児医療費助成制度の拡充についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、少子化は大変深刻な問題でございまして、乳幼児医療費助成制度は少子化対策の重要な柱と考えており、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため本制度を実施してございますが、市町村を初め各種団体からもさらなる制度の拡充について要望をいただいているところでございます。
 こうした中、対象年齢の拡大も含めて乳幼児医療費助成制度の見直しにつきましては、県単独医療費助成制度全体の見直しの中で本年度内に検討を行い、来年度中にも実施いたしたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 県営住宅の関係につきましてお答え申し上げます。
 まず、放置自動車につきましては、緊急時の車両通行に支障を与えるおそれもあることから、警察など関係機関の協力を得ながら、放置自動車処理要領に基づき早急に処理していくこととしております。
 なお、放置自動車を防止するには、地域の皆様と関係機関とが力を合わせて総合的に取り組んでいくことが何よりも重要であると考えております。その一つの手段として、駐車場を整備することで駐車位置を明確にし、それにより自動車の放置を防止することも考えられます。
 しかし、駐車場整備に当たりましては、まず、自治会や入居者の皆様方の管理運営も含めた御協力とその総意が不可欠であり、入居者の皆様方の御意見がまとまり次第、整備手法等についても検討を行ってまいります。
 次に、上水道の各戸検針業務等を和歌山市水道局に移管することにつきましては、団地自治会の負担軽減につながることから、現在、入居者の同意を得られた団地から順次移管を行っております。
 川永団地につきましても、入居者の皆様の同意が得られ次第、和歌山市水道局と協議を行い、移管の手続に入ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ジョブカフェ・わかやまに関する御質問にお答えをいたします。
 ジョブカフェ・わかやまにつきましては、若者を取り巻く厳しい雇用環境を踏まえ、平成十五年十一月に開設したところですが、昨年度の利用者は延べ二千二百九人で、そのうち就職決定者につきましては約二百人と把握をしてございます。
 現在は、カウンセリングを中心に、適切な求職活動の進め方や効果的な面接の受け方など、若年求職者の多様な悩みに応じてきめ細かな対応に努めているところでございます。
 今後は、これまでの業務に加え、雇用のミスマッチをできるだけ少なくするため、求職者が直接職場を訪問して働いている方の生の声を聞くワークアドバイザー制度の活用やビジネスインターンシップなどに取り組むとともに、来月から和歌山労働局や経済団体の協力を得て、グループ活動を通じて求職活動を支援するわかやまジョブ・クラブを創設することとしてございます。
 今後とも、若者のニーズに応じた多様な支援メニューにより、早期就職と職場定着ができるよう支援してまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 医大附属病院における脳脊髄液減少症に対する取り組みにつきまして、お答え申し上げます。
 議員御質問のとおり、早期診断と適切な治療により脳脊髄液減少症に苦しむ患者様の苦痛を取り除くことは、医大附属病院にとりましても大切な診療行為であると考えております。現在、脳神経外科でMRIとラジオアイソトープによる脳脊髄液減少症の診断と治療を行っているところであります。
 また、むち打ち症のすべてが脳脊髄液減少症というわけではなく、その診断につきましては慎重な対応が必要であると考えております。
 なお、ブラッドパッチ療法につきましては、今後、健康保険制度が適用されました場合には、医大附属病院におきましても適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 知事並びに関係部長、また学長、御答弁ありがとうございました。
 このブラッドパッチ療法というのは、先ほど学長も申されたとおり、保険外なんですね。自由診療という形に現在はなっております。しかし、検査をしていただくということにつきましては先ほどの答弁でお聞かせいただきましたので、患者さんにとれば、先ほどのケースにもあったように、本当に脳脊髄液が減少しているのか、またその頸椎におけるところの損傷があるのかというところがわかれば、治療法もまた確立ができてくるというふうに思います。また、我々の団体もその辺はまた頑張ってまいりたいなと、こういうふうに考えます。
 あと、勉強会につきましては、福祉保健部長、日程等々いろいろ先方もございますが、開催した場合には積極的に動員をかけていただきまして御参加をいただきたいというふうに思います。それはまあ、あくまでも意見並びに要望とさしていただきまして。
 子育ての件につきまして。
 先ほどの知事の発案の子育て大賞というのが非常に反響がありました。お隣の奈良県でも、これもいろいろ賛否両論があるそうなんですが、行政がいわゆる出会いのための仲立ちをいたしましていろいろなイベントを組んでいるというふうなお話も聞いております。実は奈良は、平城遷都千三百年、二〇二二年という目途で、一生懸命カップルをつくり、そして人口をふやしていこうという、こういう戦略で今現在取り組んでいるそうでありまして、そのユニークな発想が、たしか来る六月の二十九日、日本テレビ系の全国放送で約一時間半強にわたってのテレビ放映があるという、これだけでも結構なニュースソースになるわけなんですね。
 こういうふうな情報も発信をされておるところもございますので、これからはどんどんマスコミ等々うまくその電波に乗って──和歌山は、NHKの世界遺産はどんどんされておりますが、こういったユニークな発想も皆さんのところからまた発信していただければなというふうに思います。
 以上、すべて要望並びに意見とさしていただきますので、私の方は終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明二十三日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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