平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長にお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 去る三月二十九日から三十一日まで、私を含む自由民主党和歌山県議団の九名の有志で視察団を結成し、中村裕一団長を先頭に、平越孝哉議員、向井嘉久藏議員、吉井和視議員、浅井修一郎議員、前川勝久議員、須川倍行議員、藤山将材議員とフィリピン共和国を視察訪問いたしました。
 主な目的は、昨年十一月二十九日、小泉純一郎総理がアロヨ大統領との首脳会談により日本とフィリピン共和国との間で日本フィリピン経済連携協定が大筋で合意に達したことにより、両国の今後の対応について、現地の日本語学校を視察するためであります。
 この協定は、皆さんも御承知のとおり、日本とフィリピンの間の物品とサービス、資本の自由な移動を促進し、双方の経済活動の連携を強化するとともに、知的財産、競争政策、ビジネス環境整備、さらには人材養成、情報通信技術や中小企業等の分野で二国間協力を含む包括的な経済連携を推進することを目的としております。この協定の締結の暁には、日本、フィリピン共和国、両国が本来有している相互補完性を発揮し、二国間経済関係を一層強化することが期待されております。
 そこで、特に私が注目した項目は、鉱工業品と農林水産品の包括的な関税の撤廃と引き下げを行うということと、人の移動について、日本側はフィリピン人の看護師及び介護福祉士候補者の入国を認め、日本語等の研修終了後、日本の国家資格を取得するための準備活動の一環として日本国内で就労することを認めるという項目でありました。
 フィリピン共和国は七千百九の島から成り、面積は日本の約八割、人口は七千六百五十万人で、主な産業は農業であり、全就業人口の約三七%が農業に従事をしております。また、御承知のとおり、メキシコに次いで世界の百九十カ国に労働力を派遣し、その数、何と八百万人にも達する労働者の派遣大国であり、海外から本国へ送金される額は年間八十億ドルにも上るということです。日本にもたくさん働きに来ておられますが、フィリピンと我が国の関係は、政治的に懸案事項も存在せず、大変友好的で良好であります。
 以上のことを踏まえ、中村裕一団長以下九名の議員団は、三月二十九日八時、関西国際空港に集合し、一路フィリピンへと向かいました。一時間の時差がありますので、現地時間一時三十分、マニラ空港に到着いたしました。
 早速、このたびの視察に際し大変お世話になったNPO法人日本フィリピン文化産業交流協会の理事長さん初め職員の皆さんに空港までお出迎えをいただき、協会の運営する日本語学校を訪問いたしました。生徒による熱烈な歓迎式典の後、当校の日本語の授業風景を見せていただきました。
 その内容は、ただ単に日本語を詰め込むというのではなく、日本の文化や生活様式まで取り入れた充実したものであり、大変驚かされると同時に感心をいたしました。学校内には日本人が実際生活している部屋を模した教室があり、日本人の生活様式を踏まえた実践的な日本語の習得カリキュラムになっており、たくさんの生徒が熱心に聞き入り、勉学に励まれておられました。
 視察後、マニラ市内の宿泊先でもあるダイヤモンドホテルにおいて、農務省副長官のセザール・ドリロン氏、また元上院議員レネ・エスピーナ氏、フィリピン共和国弁護士協会会長リタ・ヒメノ女史、フィリピン看護師協会会長ルース・パデリア女史等と意見交換並びに懇談会を開催いたしました。各氏は日本に対し大変友好的であり、経済交流はもとより人材の派遣や相互交流に対し期待しておられることがひしひしと感じられました。
 翌三十日は大変日程が過密になり、早朝六時にホテルを出発いたしました。向かう先は、マニラから二十キロ離れたラスパニャスにある国立フィリピン大学農学部並びに農場を訪問いたしました。マニラ市内は慢性的な渋滞であり、しかも路面状態が余りよくないこともあって、約二時間を要して目的地に到着いたしました。
 農学部長を訪問し、大学の研究内容や、また研究施設の説明をしていただきました。中村団長からの「農学部を卒業された生徒さんはどんなところで働かれるのですか」との質問に「コンビニエンスストアやスーパーの店員が主です」との回答に、少し驚かされました。日本の東京大学に匹敵する最高学府を卒業された農学部の学生でも、その勉強や研究が生かされることなく、全く別のお仕事に従事されるのが現状だそうです。
 昼食を挟み、イントラムロスにある労働省を訪問し、パトリシア・サント・トマス労働省長官と意見交換を行いました。
 その後、日本語学校の建設中のマラボン分校を視察いたしました。その行く途中、フィリピンの下町も車中から見学をいたしました。大変子供たちが多いということが印象深く、少子高齢化が政治課題の我が国のことを思うとこの国ともっと協力の余地があるのではないかと考えながら、一日の日程を終えました。
 最終日は、下院議員議長のホセ・デ・ベネシア氏と意見交換をする機会を得ました。議長は日本に対し、「もっと積極的にフィリピンと日本の間で物や人の交流を進めなくてはならない。和歌山県は大変農業の盛んなところだとお伺いしました。私の出身地は広大な農業用地があるので、和歌山の農業技術を導入し、農業振興に協力していただきたい。そのためのどんな協力も惜しまない」旨の強い要望がありました。
 当初は、二国間自由貿易協定の中の看護師、介護福祉士の養成のための日本語学校の視察が大きな目的でありましたが、相手の国の要人はもっと多種にわたって労働力を受け入れてほしいとの要望が強かったことが印象に残りました。
 しかし、それは国と国との間の問題であり、私たち地方の議員にはその権限を与えられていない旨を伝え、民間レベルの経済や文化交流は積極的に行いたいとお伝えし、帰路につきました。
 三十一日夕刻、無事関西空港に到着し、全日程を終えました。
 この視察を終えた後、私は新たにフィリピンの労働力と和歌山県の産業の関連について注目をするようになりました。これから和歌山県においてどの分野の労働力が不足するのかを考えました。
 和歌山県は農林水産の一次産業が主な産業でありますが、果たしてその後継者や労働力は足りているのだろうか。また、将来的にはどうなのか。我が県の人口は、ことし四月一日現在で百四万五千二百四十一人になり、前年より六千八百八十九人減少をいたしております。当然、労働力も労働者も減少していると容易に推察できます。
 木村知事は緑の雇用事業を提唱され、中山間地域の労働力の確保と人口の減少に歯どめをかけるために一石を投じていただきました。水産業についても青の雇用事業を唱えられ対応をお考えいただいておりますが、就業者の高齢化や従事者の減少は漁獲量の減少と比例しており、対応策に大変苦慮されているのではないかと推察をいたしております。そして、農業については、今の農家の労働力は家人に頼ることが多く、作物によっては一時的に労働力を雇用することもあると思いますが、日ごろは大抵家人で賄っておられます。
 いずれにいたしましても、農林水産の各分野にそれぞれ安定した良質の安い労働力があれば、また違った振興策や対応も考えられるのではないかと思いをめぐらします。
 また、私は、さきの一般質問でも取り上げましたが、我が国の食糧の自給率について危機感を持っている一人であります。
 隣国の中国は、ここ数年の間に目覚ましい発展を遂げております。中国国民全体が現在の先進国並みの生活水準に達するのはまだまだ時間を要すると考えますが、人口十三億人の国ですから、かなりの富裕層ができるのはそう遠くないと推察されております。そうなると、世界の食糧状況はどうなるのか、常に考えておかなければなりません。
 一説には、中国の年間経済成長率を八%と仮定し、二〇三〇年まで続くとすると、穀物消費量は十三億五千二百万トンとなり、昨年の世界の穀物総生産量は二十億トン強だったので、単純に計算すると約三分の二が中国で消費されるという計算になります。
 今世界に存在する耕地の生産性を高めることには限界があります。中国の消費にこたえるため穀物の追加生産をするとすれば、ブラジルの熱帯雨林の大部分に匹敵する耕地が必要となること、ただし砂漠などのような耕作に適さない土地を除くと果たして供給にたえ得る面積を確保できるのかが大変憂慮されるとの内容でした。
 現在でもその傾向が出ているそうですが、中国の経済がこのまま成長し続けると、日本と同じように農民は農村を離れ、食糧の自給率も低下し、やがては農林水産の輸入国になると予想されております。
 私たちの国も年々食糧の自給率が低下しておりますが、早急に自給率を上げ、将来は輸出できるぐらいにしなくてはなりません。しかし、依然として農業従事者が減少する大きな原因の一つに、商品価格の競争からくる収入の低下と、生産コストの中の人件費の割合が他国に比べ高過ぎ、価格競争についていけず付加価値の高い農産物以外はやっていけないというのが現状でなかろうかと考えます。そういう背景のもと、農家の若い後継者が別の産業に生活基盤を変え、農業人口が減少しているのではないでしょうか。
 我が和歌山県の販売農家──これは三十アール以上、五十万円以上と規定されております──や自給農家──これは三十アール未満、五十万円以下の農家のことです──のここ二十年の統計を見ますと、減少傾向が顕著であります。販売農家並びに自給農家は、一九八五年には五万一千八百十五戸あったのが、二〇〇〇年には三万九千八百六十三戸に減少いたしました。
 さらに、農業を主な仕事としている基幹的農業従事者数はというと──これはもう農業に専従しているということです──年齢別にすると大変興味深い統計となりますが、一九八五年を起点に置くと十五歳から二十九歳までは千七百八十二人から二〇〇〇年には七百八十一人に、約半分に減っております。最も中心的役割を果たす三十歳から五十九歳までは三万三百四十六人から一万五千九百三十七人と、これまた半減しております。六十歳から六十四歳までは七千九十八人から五千八百五十六人にやや減少し、六十五歳以上は何と九千八百九十八人から一万八千八百十五人にふえるという結果になっております。聞くところによりますと、定年退職された方が農業に第二の人生を見出した結果であり、高齢者が農業を支えている現実がよくわかります。
 また、経営耕地面積は、同じく一九八〇年には三万五千二百五十九ヘクタールから二〇〇〇年には二万八千三百八十七ヘクタールに減少し、耕作を放棄する──耕作というか田んぼを放棄した耕地面積も、一九八〇年には四百五十二ヘクタールであったのが二〇〇〇年には千八百九十九ヘクタールにふえ、二〇一〇年には二千二百七十ヘクタールになると予測をされております。耕地はあっても耕す人がいなくなり、農業用地としては一等地であるにもかかわらずこのごろ荒れ地で放置しているところが目立ち始めたことの裏づけになる統計数値でもあります。
 ここ十年間、紀南の農協は取扱額が大幅に減少していると聞いております。その原因はとお聞きいたしますと、高齢化と後継者不足だろうと、ある農協の組合長さんがおっしゃっておりました。生産する人の能力と数が減ったからだということであります。
 農業が重要な産業である我が県にとって、このまま手をこまねいているだけなのでしょうか。現状を打破するため、早急に対応策を考え、政策の指針を実行に移していかなくてはならないときに来ているのではないでしょうか。
 また、食糧の自給率のアップや地産地消などを総括的に考え、今までの既成観念にとらわれない政策も視野に入れていかなくてはならないと思います。価格面でも国際競争に耐え得る商品でなければなりませんし、当然、品質の安全かつ安心なものでなくてはなりません。
 以上のようないろんな観点から和歌山県の農業の問題点と可能性を考えるとき、近い将来、農業への法人の参入や海外からの労働力の導入も真剣に考えるときに来ているのではないでしょうか。
 なぜならば、先進国の中で食糧の自給率が極端に低いのは我が国だけでありますが、アメリカやヨーロッパの農業の実態を見ますと、メキシコや中東アジアやアフリカ等の他国の安い労働力を導入し、国際競争に対抗し、食糧自給率を確保しています。単に労働力が安いからと安易に海外においての農業経営や農業技術を持ち出すのは、最近のアジア情勢を考えるとき、賛成しかねます。将来にわたって食糧の安定確保ができるかどうかわからない他国で農業をするよりも、国内で安定供給できる方法を考えるとき、フィリピンのようなお互いの国の利益が争わない国の労働力を一定の割合で導入することも、未来の農業経営の選択肢の一つではないでしょうか。
 我が国の法務省も、ことし三月末に公表した今後五年間の外国人に関する第三次出入国管理基本計画で、単純労働者の受け入れも着実に検討をしていくという方針を打ち出しております。一九九二年の第一次、二〇〇〇年の第二次基本計画からいたしますと、受け入れに向けて一歩踏み出したと論評されておりました。
 もちろん、現在、外国人の労働者はブラジルやペルーのように改正入国管理法の日系人の特例により単純労働者として働いておられますし、技能研修制度による技能実習という形で中国や東南アジアからも研修に来ておられ、それぞれの職場に派遣されていると聞いております。
 さらに、国連の試算によると、少子化が加速する日本は、一九九五年時点の生産年齢人口──十五歳から六十四歳までの労働者の年齢幅での人口ですが、これを維持するには二〇五〇年まで毎年六十万人の移民を受け入れることが必要となり、先進国では最も深刻な状況にあると警告をされております。昨年のアジア太平洋会議でも、自由貿易協定が主要議題となり、各国から人の移動がクローズアップされ、日本への労働力の受け入れを強く要望されました。
 そこで、質問に入らせていただきます。
 まず、木村知事にお伺いいたします。
 将来の和歌山県の農業の経営のあり方についてお考えをお伺いいたします。
 また、一次産業での労働力の不足は統計的に見ても明らかでありますが、特に今回は農業分野で安定した労働力の確保についてお考えをお伺いいたします。
 あわせて、フィリピン等の外国人労働力の今後の活用についてお考えをお伺いいたします。
 和歌山における平成の農業維新のときと考え、他府県に先駆けて和歌山プランをお示しいただき、柔軟でかつ弾力的な対応で活力ある農村の復活にお力添えを賜りたいと思います。
 続いて、農林水産部長にお伺いいたします。
 農業分野での外国人研修生の受け入れに際し、現在も受け入れていただいておりますが、農繁期、農閑期があるので一年を通して一軒の農家で受け入れるのは難しいとの現場の声も聞きます。しかし、地域によって特産物も違うと思いますし、梅やミカン等の栽培農家が連携を密接にとれるシステムを工夫すれば将来受け入れ可能な幅がより広がるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 もともと今回の視察目的は、FTAに盛り込まれた看護師や介護福祉士の受け入れに関してフィリピンでの現況を視察することでした。
 そこで、我が県では現在、看護師や介護福祉士の数は足りているのでしょうか。看護職員の需給に関する資料を拝見すると、平成十六年は七百五十一人が不足しておりますが、これは全国的に見て多いのか少ないのか。また、この不足分は増加傾向なのか。また、不足分に対しては今後どのような対応をしていくのかをお聞かせください。
 さらに、十六年度は世界遺産登録のおかげで、三千万人を超す観光客にお越しいただきました。随分外国の旅行者の方も目立つ今日ですが、外国のお客様が万一病気や事故に見舞われ入院したとき、それぞれの医療機関に英語など話せる医師や看護師さんは配置されているのでしょうか。
 また、これからさらに少子高齢化が進む中、高齢者のお世話をする介護福祉士の現状と将来の見通しについてお伺いをいたします。
 次に、ゆとり教育の見直しと肢体不自由児を介護していただく介助員の処遇についてお伺いをいたします。
 まず最初に、昨年、小中学校を対象とした国際数学・理科教育動向調査で一九九九年に比べると平均得点がダウンするなど、学力低下が進んでいることが各新聞紙上で大きく取り上げられ、中山文部科学相は新学習指導要領の全体的な見直しを進めると表明されました。それを受けて文部科学省も、具体的、効果的な対策をとるとの発表をしていました。またまた朝令暮改、猫の目のように変わる文部科学省の方針でありますが、和歌山県教育委員会においても当然いろいろな影響が出ているのではないかと考えます。
 現場を預かる教職員の皆さんにとっては、大変戸惑いもあると思います。ある校長先生にお話を聞いたところ、ゆとり教育のすべてが悪いとは思わない、総合学習もそれなりに効果を上げていると述べておられましたが、どうして学力が他の国の生徒と比較して落ちてきたのか、もっと別な観点から考え直さなくてはならないときに来ているのではないかと考えます。
 いずれにいたしましても、和歌山県も全国に並び学力低下が顕著なのか。そうであるとすれば、これから先どのような対応をとっていかれるのか。今後のゆとり教育のあり方の見直しについてどう対応するのかをお伺いいたしたいと思います。
 さらに、この際、和歌山県の自主性を発揮し「教育立県わかやま」を目指し、他府県のモデルとなるような新しい和歌山方式等を推進するお考えはないのか。あるのであればどのような構想をお持ちなのか。あわせて教育長にお尋ねをいたします。
 次に、小中学校において肢体不自由児の介助員の待遇についてお伺いをいたします。
 現在、小中学校において、車いすでの学校生活を余儀なくされている生徒さんも県内にはかなりおられるのではないかと思います。そういう生徒さんがある程度自力で不自由なくそれぞれの教室を移動できるように学校内のバリアフリー化も、最近新築された学校では進んでいると聞いていますが、比較的古い校舎の学校ではまだまだ十分とは言えません。
 そこで、そんな生徒さんの日常活動を支えるために介助員さんがそれぞれの市町村の教育委員会によって配置されていることと思いますが、諸般の理由により、その介助員さんの身分は大抵臨時職員だとお聞きいたしました。確かに、管轄する学校数に限りのある市町村においては、常勤となると大変経費負担が重くなることは容易に想像できます。
 しかし、介助を必要としている生徒さんからすると、学校外の学習などのとき、例えば遠足とか修学旅行となりますと、かなりの熟練した介助していただく方に同行してもらわないと、環境が一変するのですから大変不安になるのではないでしょうか。自由行動のとき、電車やバスの乗りおりのとき、車いすの介助はかなりの体力と経験を要すると思いますし、養護教員の先生の協力は、その場にいれば当然お手伝いいただくのですが、お手伝いいただいたとしても大変だと思います。そんなとき、一番頼りになるはずの介助員さんの経験や知識が少ないために子供たちが不安になるというのでは困ると思います。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 そういう介助員さんの資格及び待遇は規定されているのでしょうか。
 また、市町村の採用状況をどのように把握されているのでしょうか。聞くところによりますと、重労働の上、精神的にも負担が重く、その割に時給が安く、月収にすると手取りが低いため、臨時職員として求人しても応募が少ないと聞いております。子供たちの心のケアや専門用具の取り扱い等も含め、技量が伴っている方が応募に応じていただいているのかどうかも疑問であります。
 何はともあれ、生徒さんが安全で安心して学園生活を送るためには、介助員さんはなくてはならない存在であります。修学旅行など特別なとき、短期間だけでも本人や保護者の希望があれば、支援費制度のもと社会福祉法人やNPO法人に所属する熟練の介助員さんに御同行をお願いすることはできないのでしょうか。県教委と市町村の教育委員会が連携を深め、肢体不自由児の学園生活をしっかり保障することが大切だと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、県立高校の状況もどうなっているのかをお伺いいたします。
 続きまして、インターネットのADSL回線の届かない地域の通信格差の是正についてお伺いをいたします。
 インターネットのNTT回線でいろいろな情報を取り込むときの速度は、ADSL使用可能な地域とそうでない地域では、時間もさることながら、料金も随分違いがあるとお聞きいたしました。NTTの収容局から二キロ以内にある程度の人家が密集しており利用者があれば、ADSLに変更する工事費は局内の工事だけなのでそんなにかからないということで、現在、県内においてもその対象地域が拡大されているとお聞きいたしました。しかし、人家が密集せず点在している地域だと、たとえADSLに切りかえ工事をしても、距離が遠いと信号が減衰し通信速度が落ちるので効果が薄いということで、今後の見通しも暗いとお伺いをいたました。
 では、主に山間地域においては今後インターネットの通信格差を是正する方法はないのでしょうか。例えば、光ケーブルなどの利用は困難なのでしょうか。私の近くの御坊市などは、ADSL回線の利用可能な地域であるにもかかわらず、関西電力の電柱を利用して光ケーブルを施設しているシステムがあるとお聞きいたしました。
 そこで、企画部長にお伺いをいたします。
 この光ケーブルの活用について県当局は御認識いただいておりますか。
 営利企業であれば、費用対効果の面からいっても、なかなか中山間地域にまでこの事業を拡大していただくには無理もあろうかと考えます。そこで、県当局として先ほどのような地域の通信格差の是正について、ただ手をこまねいているだけなのでしょうか。携帯電話にしても電波の飛ばない地域であり、ますます通信において地域間格差が広がっていくようで、若者にとって魅力のない地域になってしまいはしないかと、いささか不安であります。県当局におかれましては、過疎対策も視野に入れ、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の農業経営のあり方とその担い手の確保ということですが、議員の御質問にもありましたように、和歌山県では第一次産業がまず非常に大事だと、その中でも農業は非常に大事だという大前提があります。それから一方で、国際関係とかいろんなものを見たときに、やはりこの農業というものを国策的にも大事にしていかなければならないと。それから、人口の配分ということから考えても、地方に人が住まないようになるということは非常に好ましいことではない。これぐらいの三つのことの中から、私も農業に非常に力を入れているんで。
 それについては、一つは農業が魅力のあるものにするというふうなことで、和歌山県の産品がよく売れるようにする、付加価値が高まるようなことでいろんな形の支援をしていくということ。それからもう一方は、どんどん減っていく担い手、これを何とかしていこうということで、緑の雇用の農業版というような形で農業をやってみようプログラムというようなことで、都会から農業に参入するような人たちを呼び込んでくるというふうなこと。これはことしももっと大々的にやっていこうと思っているんですが、しかしながら、景気がやや回復基調にあること、そしてまた長期的にはもう来年をピークにして日本の労働力人口が減っていくというふうな中で、なかなか将来的には非常に厳しい問題があるというふうな認識を持っています。
 そういうふうな中で、このフィリピンの話、行かれたら、その国立大学の農学部を出た人なんかがコンビニとかそういうところで働いていると。
 今、例えばIT関係ではインドの人なんか非常にそういうものが強いんで、日本へ来てもらったというような話もあります。そういうふうなことで、例えばフィリピンのそういうふうな農業に対して非常に技術とか知識を持ったような人が和歌山県へ来て農業をやってくれるというふうな仕組みができれば、非常に一つはいいんじゃないかと思います。
 それからもう一つは単純労働ということで、これはまあ永住という形でなくても、時期的に和歌山県へ来て農業を手伝って一定の収入を得てまた帰るというふうなことも必要なんじゃないだろうかというふうに思います。
 ただ、こういうふうな移民政策といいますか、これから日本の人口が減っていくのをどういう形で補っていくかということについては、これは非常に多分に国策的な面もあって、今、出入国管理法でいろいろ厳しい縛りもあるわけです。そういうふうな中で、もし可能であれば和歌山から何か一つのいいような方針を打ち出すことができれば、事が農業分野だけになかなか難しいというふうには思うんですけれども、できればというようなことを今、御質問を聞きながら考えていたところです。また頑張っていきたいと、このように思います。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 外国人研修生の受け入れにおける農家の連携システムについてでございますが、これまで和歌山県国際農業交流協会が中心となりまして海外農業研修生の受け入れを行ってございまして、本年もインドネシア共和国からの研修生を受け入れてございます。このほか、県内の農業法人等におきましても研修生の受け入れを行っている事例もございます。
 また、外国人研修・技能実習制度につきましては、平成十二年三月に拡充され、これまで認められていなかった農業分野における技能実習が三年まで可能となったところでございます。この制度におきましても、研修途中での受け入れ農家の変更はできないなどの制約もございまして、議員御提案のシステムの実現に向けまして、国等関係機関に制度の一層の充実を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 看護師、介護福祉士の需給の現状と将来の見通しということでございますが、まず、日本におけるフィリピン人看護師、介護福祉士の就労の受け入れにつきましては、昨年末、大筋で合意されまして、現在、厚生労働省において、指導体制など就業施設の要件や受け入れ人数などを検討中とのことでございます。県といたしましても、国の動向を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。
 看護職員の就業状況でございますが、平成十二年に策定した需給見通しに基づく平成十六年時点では本県では七百五十一名が不足してございまして、全国的に見ても本県は不足している状況にあると認識してございます。このため、和歌山県ではナースバンク事業の機能強化など養成力の強化、離職防止、再就業の促進、資質の向上を四つの柱としまして看護師の確保に取り組んでいるところでございます。
 また、介護福祉士につきましては、平成十七年三月末の和歌山県内の登録者数は四千三百十五名でございまして、ここ数年では毎年約五百名ずつ増加してございまして、現在のところ介護福祉士は不足する状況にないと考えております。
 なお、英語で対応できる県内の医療機関は、病院で四十施設、診療所二百四十四施設、歯科医院百五十三施設と把握してございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) インターネット通信の地域間格差の是正についてでございますが、現在、高速インターネット通信は、民間事業者による光ファイバーやADSL、ケーブルテレビ等の事業展開が進んでおりまして、利用可能な世帯の割合は県内全世帯の九〇%を超えております。
 ADSLサービスにつきましては、既存の電話線を利用いたしまして局舎整備のみで、そういうことの対応だけでできるというふうな特徴がございまして、そういうことから中山間地域では主な高速インターネット通信手段の一つとなっております。
 しかしながら、ADSLサービスが導入されておりましても、議員御指摘のとおり、局舎からの距離が長くなりますと速度が低下するというふうな場合がありまして、またいまだ高速インターネット通信を全く利用できない地域も存在しております。
 このため、このような地域の解消を目指しまして、本年度は日高町、由良町、それに日高川町で国の新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業を活用いたしました基盤整備を予定するなど、積極的な取り組みを進めているところでございます。
 高速インターネット通信への需要は、多様なサービスの提供等によりまして、ますます増加するものと考えております。そのため、今後とも民間事業者の積極的な事業展開を促しながら、市町村と連携しながら国の支援措置の活用を図ることによりまして、高速インターネット通信サービスの地域間格差の是正に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、これまでのいわゆるゆとり教育は、知識、技能を単に教え込むことに偏りがちであった教育から、みずから学びみずから考える力などをはぐくむ教育へと、その基調の転換をねらいとしたものであります。
 しかしながら、先般の国際学力調査から、児童生徒の読解力や学ぶ意欲の低下などが課題として指摘されております。
 平成十五、十六年度に実施した県下一斉の学力診断テストでは、本県児童生徒の基礎的、基本的な学力の定着状況はおおむね良好であるものの、国語力に課題が見られたことから、中学校の国語科教員を小学校に派遣するなどの小中一貫国語力向上モデル事業を行っております。
 議員御指摘の時代に即応した和歌山らしい教育の創造は、特に重点的に取り組むべきテーマであるという認識を持っております。昨年のきのくに教育協議会からも、「子どもたちの未来を切り拓く和歌山らしい「学び」を創るために」という提言をいただきました。また、本年六月に設置した義務教育ニュービジョン研究会議においても、次代を築く確かな学力の定着や和歌山の個性ある教育の創造等について議論を行っていくこととしております。
 教育委員会としましては、和歌山の豊かな自然、歴史、文化を生かした学びを創造し、和歌山に誇りを持ち、世界に発信していける人材を養成してまいりたいと考えております。
 次に、重度の肢体不自由児を初めとした介助を必要とする児童生徒については、基本的には専門の教員を配置した養護学校で受け入れ、個々の障害に応じた教育がなされております。
 御指摘の介助を要する肢体不自由児に対する介助員は、現在、市町村の判断で配置されている例もあり、資格や待遇についてはそれぞれの財政状況等に応じて決められております。
 県教育委員会としては、市町村教育委員会に対してこれまでも児童生徒の障害に応じた人的支援を行ってきており、今後も十分な連携を図りながら適切な対応をしてまいります。
 なお、県立高校において、生徒や学校の実態等を踏まえ、必要な非常勤講師を配置し、対応しているケースもございます。
 以上であります。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番花田健吉君。
○花田健吉君 要望にさせていただきますが、知事から大変前向きな、また農業に対しての将来にわたってのお示しをいただきまして、本当にありがとうございます。
 私も、近所にしばしば、一等地で荒れ地がちょっと目立ち始めた──これはさきの町田先生の御質問にもありましたとおり、紀南へ行くと大変多くなってまいりました。こういう遊休地と申しますか荒れ地ですね、こういうのをいかに農地として再生していくかということは、知事のお話にもありましたように、株式会社の参入というお考えも、これ全国的に今進んでいるとお聞きしております。
 それには、やはり高い農業技術と、やはり安い労働力。それと株式が農業を経営する力、これが今まで農家にはちょっと足りなかったんじゃないか。JAという大変大きな組織がありますけども、そこにちょっと頼りがちで自分たちの経営する力というのがちょっとおろそかになってたんじゃないかというのも、今までの農業政策の反省点としまして、今後、やはり今の専業農家の方も、また農業に従事しようと思われている方も含めて、この株式という組織の中での農業運営をぜひ前向きに御指導いただきたいなというのを要望としておきます。──いつの間にか、これ九分になってる。十五分さっきあったような気するんやけども。これちょっとようわからんのですけども、もうあんまり話するなということなんで。
 ただ、企画部長さん、これもひとつ要望ですけども、九割と言いますけども、私が住んでいる印南原というのは、今ADSLの区域外でございます。私とこはもしか、その残りの一割に入っておるんかもわかりませんので、どうか速やかにこの和歌山県内の、いろんなその通信格差があるところをぜひ是正していただくように前向きに御検討いただきまして、すべて要望とさしていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明二十二日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十六分散会

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