平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第一の柱は、JR事故にかかわる問題であります。
 百七人もの方が亡くなられたJR福知山線脱線事故から五十数日がたちました。今も多くの皆さんが入院されています。犠牲者の皆さん、家族関係者の皆さんには、心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 この事故の原因については、安全装置の問題、運転手の教育のあり方、もうけ本位の会社の体質があったのではないかなど、多角的に議論されています。運転は再開されましたが、さらに教訓を引き出し、こうした事故を再び起こさないようにしなくてはなりません。
 私は、この事故をきっかけにして、幾つか考えてみたいと思います。
 第一に、この事故で私が思い出したのは、昨年五月の海南市冷水で起こったトラックの荷崩れによる事故でした。あの事故は、幸い死亡者はありませんでしたが、一つ間違えば大惨事になりかねない事故でありました。トラックの材木過積載とその荷崩れが第一原因になりましたが、事故対策というものは、あってはならないことが起こった場合に備えるものであります。
 私は、昨年六月の議会でこの問題を取り上げた際、JR線の上を走る国道のガードの問題、さらに、事故で通信線が切断された場合、自動的に信号が赤になって異常を知らせるようなことにはならないのかという指摘もし、JR事故調査委員会の報告を待っていたわけであります。このたびの尼崎事故の後、県の総合交通政策課にお聞きしますと、JRのホームページに事故調査委員会報告が載せられるが、海南市冷水の事故は出てこないということであります。
 今回の尼崎事故の場合は、相当突っ込んだ原因の究明や責任の追及が行われるでしょう。しかし、大きな死亡事故が起こってからではなくて、小さい事故の一つ一つについて真摯な原因究明があってこそ、大きな事故を防ぐことができると考えます。
 JRというものは、大切な公共交通であります。私企業であっても、公的な支援も必要です。それだけに、その安全のためには県との間でも、もっと密接な協力も監視も必要であると考えるわけです。
 このたび、企画部長からJRに安全対策強化を要望する文書が出されています。近畿知事会でも、JR事故の問題が取り上げられたとお聞きしています。冷水事故を含めて和歌山で問題になっていることとかかわって、この際、具体的に問題を提起していかなくてはならないのではないでしょうか。
 JRの安全問題の一つは、駅の安全問題であります。きょうは、駅のプラットホームと電車の段差の問題に絞って考えてみたいと思います。
 海南市のJR黒江駅、私の知り合いのつえをついて歩いておられる方が、和歌山市から帰ってきて黒江駅でおりようとしたが怖くておりられず、海南駅まで乗って、そこから帰ってきたという話から始まりました。その話を聞いて、そういえば段差が大きい、若い者でも怖いなどという話が出て、メジャーを持って調査してまいりました。
 電車が来るのを待っていまして、短い停車の間に、車掌さんにしかられないかと心配しながら、電車に近づいてはかるわけです。こんなぐあいであります。四十センチから四十二、三センチ、このくらいの高さがある。しかられないかと心配しながら近づきましたね。
 黒江駅というのは、近くに智弁学園があります。数年前に小学部ができて、今、四年生まで小学生が通っています。智弁学園を訪問してお話を聞きました。学園としても大変心配していて、朝夕四人の先生が黒江駅に出向いて安全指導をしていること、JR和歌山支社にも改善を要望していることを伺いました。智弁学園では、八〇%を超す生徒が黒江駅を利用して通学しております。現在、黒江駅の乗降人数は、私が持っている資料では四千八百人ですが、智弁小学校六年生まで通学するようになれば五千人を超すでしょう。
 段差が問題になっているのは、黒江駅だけではありません。藤並駅でも大きな段差が問題になり、住民の運動が起こっています。また、段差解消に取り組まれたみなべ町の岩代駅も視察し、みなべ町の役場でもお話を聞いてきました。そこでは地域住民の大きな盛り上がりがあって、旧南部町が七百五十万円、JRが二百万円出してプラットホームの二両の電車が停止する場所だけかさ上げして、大変好評です。県の援助は全くなかったそうです。
 ちなみに、岩代駅は乗降人数は二百人ぐらいで、乗降人数が千人を超えれば県の補助も、五千人を超せば国の補助もあるとお聞きしました。
 こういう中で、まず木村知事にお伺いいたします。
 JR事故にかかわって、和歌山県内の問題に即していえば、どういう改善を求めていかなくてはならないと考えているでしょうか。
 次に、企画部長にお伺いいたします。
 JRのプラットホームの電車との段差など、安全問題についてどういう調査をし、どういう認識を持っておられるのか、お聞かせください。
 そして、きょうは黒江駅について特にお伺いいたしますが、その安全対策のために国、県としてどういう支援をされるのか、またできるのかをお聞きしたいと思います。
 さらに、プラットホームの安全対策というのは、JRにとってはお客さんの安全問題です。プラットホームの規格に合わない電車を導入するとき、本当ならJR西日本とか和歌山支社が考えなくてはならない問題です。だからといって、私はすべてJRで負担せよと言うのではありません。公共交通には、それにふさわしい公的援助があってしかるべきです。それならJRの側から、私とこの乗客の安全のためにプラットホームを改修したいんだが、それについて地方自治体の援助はいただけないかというふうに言い出すのが本来であろうと思うわけです。本当はJRと自治体の間でこういう関係ができなくてはいけないと私は思うんですが、企画部長はどうお考えか、そういう関係についてJRに働きかけていくお気持ちがおありかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
 さらに、JRにかかわるもう一つ気になる点ですが、岩代駅の改修にしてもそうですが、JRにかかわる工事はすべてJRの関連会社に回されると言われます。そして、その単価が大変高いと言われる問題です。国、県、市町村が半額以上の補助をする工事であるならば、入札方法についてもJRが独占的なことをするのでなくて、公開された入札で適正な価格で工事するようにすべきだと考えるわけですが、企画部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に大きな問題は、道路問題であります。
 私は、県議会に出させていただいてから何度も道路問題を取り上げてきました。特に最近のテーマは、必要な道路を早くつくるという問題でした。二十年以上も前につくった都市計画道路を見直しもせずにその一部だけを進めると、どんなことになるのか。日方大野中藤白線という日方川に沿った工事の部分を例にとって問題にし、二月県会では、都市計画道路の見直しもやりますという知事の積極的な答弁をいただきました。
 さて、問題の日方大野中藤白線の工費は、ことしは二億七千万円の予算がついています。必要な道路を早くという立場で現道を広げていたら三分の一の予算でできたのでしょうが、ここまで来たからには仕上げてもらわなければなりません。いまさら中止せよなどとは申しません。
 しかし一方で、早く広げてほしいのに遅々として進まない道路がたくさんあるわけです。その一つは岩出海南線という道路ですが、黒江から亀川へ向かう部分、海南市では大変大事な道路なんですが、この拡幅につけられた予算は、ことしは千五百万円でありました。
 実は、この道路と並行して都市計画道路の線引きがやられているわけです。しかし、全く事業化はされていない。恐らく、この都市計画道路の計画があるために岩出海南線は国の補助を受ける事業にはならずに、小規模道路改良事業として細々と進められているんだろうと思います。
 そこでお聞きしますが、今申し上げました都市計画道路黒江旦来線の事業化の見通しは立っているのか。事業化するとしても、十八メートル道路にするかどうかも含めて検討が必要だと思いますが、それでも完成するのには、もし事業化されたとしても何十年も先までかかるのではないでしょうか。
 私は、今細々と進められている岩出海南線の今申し上げた部分について、道路改修事業の格上げを行い、国の予算も補助もいただけるようにして、二車線片側にそう広くない歩道をつけるだけでいいから、幾ら遅くても五年ぐらいで完成する計画でお願いしたいと考えるわけですが、県土整備部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 道路問題の第二は、国道四十二号海南市内での渋滞にかかわる問題です。琴の浦から郵便局へ、バイパスへという部分。
 ことしの三月、和歌山市内から海南市に入ったあたりで大渋滞が続きました。この議場におられる皆さんも、この渋滞に巻き込まれて、これはひどいと思われた方も多かったのではないかと思います。この渋滞は国道四十二号の電線を埋設する工事が行われたためで、国道四十二号が渋滞したために裏道にまで車が流れ込み、市民生活に大きな支障が出ることになったわけです。しかも、大変長く続きました。一たん工事は終わっていますが、電線埋設計画はまだ四分の三程度残っていますので、渋滞に十分配慮するように、私どもは海南市の幹部とともに国土交通省の出先に出かけていって申し入れたところであります。
 このときの工事というのは、国道の両側で同時に工事を行うという、交通渋滞への配慮を大変欠いたものでした。こうした問題について、県の交通関係課は事前にどうかかわっておられたのか。前回の反省を踏まえて、今後の工事ではあんなひどい渋滞は起こさないために国土交通省和歌山事務所と連携してどうされるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 もう一つ申し上げておけば、電線埋設は終わればそれまでですが、この道路、マリーナシティで大きなイベントがあるたびに大渋滞を起こすわけです。自動車道の海南インターからマリーナシティへ向かう道路がもう一本必要です。
 実はこの問題、昨年の六月議会で同じ海南市の藤山将材議員が取り上げられました。その後の大渋滞で、この道路の必要性について県民の理解が得られる条件が広がったと思います。さらに検討を進められるように私からも要望いたしたいと思います。
 さて、質問の大きな第三番目の柱として、ため池の防災問題についてお伺いいたします。
 海南市の鳥居という地域に、慶権寺池という古い池があります。山の間をせきとめたダム型の農業用ため池でありますが、以前から地域住民から防災の上での心配の声が上がっておりました。
 昨年度、海草振興局と海南・海草の私たち議員団の話し合いの席上でもこの問題を取り上げ、そのとき、全県的にもことし、来年でため池の安全診断に取り組むというお話を聞いておりました。
 先日六月九日のこと、振興局の担当課長などがおいでいただき、市役所の職員、地元住民の立ち会いで、この池の第一次調査が行われました。海草振興局では、和歌山市、海南市、海草郡で百一のため池を調査する第一号として、私たちが心配していましたこの池の調査をしていただいたわけです。地元自治会の方は、八年前から言っていたことがやっと実現したと言って大変喜んでおられました。
 実は、それまでに私は、担当課から危険ため池の一覧表をいただいておりました。そこにはこの心配している慶権寺池は危険ため池には指定されていなかったことを知り、住民が不安を感じているものと行政としてつかんでいるものにはずれがあるのではないかと感じておりましたが、今回の調査では危険ため池として指定されていなかったものも調査対象に加えるということで、この慶権寺池も選ばれたわけです。この調査の場には隣の自治会の会長さんも参加され、今回その調査対象からも外されていた、隣に細工谷池というのがあるんですが、それについても大変心配していると訴えられ、振興局の担当課も調査の検討を約束いただいたわけであります。
 それにしても、今回のため池調査は画期的なものであろうと思います。今まで地域住民が長い間調べてほしいと言っていたものが八年ぶりにやられたということに示されるように、画期的なものであります。ぜひ成功させて、地域住民が安心して暮らせるようにしていただきたい。そういう立場で幾つかの質問をいたします。
 第一は、今回のため池安全について、調査の規模、計画の全体像をお聞かせいただきたいと思います。
 第二に、危険が明らかになったときは相当の予算をかけて改修となりますが、その際の国、県、地元の財政負担はどうなるのか、またその地元負担は合併特例債の対象になるのかどうか、お聞かせください。
 第三に、ため池の改修という仕事は、県市町村と水利権者と地元住民の密接な協力がないとできるものではありません。その点で県として市町村、水利組合、地元住民にお願いしたいことがあれば、この場でお聞きしておきたいと思います。
 第四番目の柱は、産業廃棄物問題であります。
 私はたびたび産業廃棄物の問題を取り上げてきましたが、平成十六年二月県議会で取り上げた池を黄色くしていた油の問題、県市一体で油のくみ出し作業をやっていただきました。去る五月十一日、くみ出した油のドラム缶三十四本が撤去されました。まだ課題は残っていますが、迅速な対応で、油が川に流れ込むような事態は避けることができました。まず、お礼申し上げたいと思います。
 今回は、野上町内の問題です。
 先週の十七日、野上町議会で日本共産党の林議員が、野上町福井での産業廃棄物積みかえ保管つき収集運搬業というものの許可について取り上げました。心配された地元住民の皆さん二十数人が傍聴し、私も一緒に聞かせていただきましたが、野上町当局も、住民との意思疎通を図っていくという立場で、県に強く申し入れていくと表明されました。
 また、「周辺住民との合意を」という陳情署名は、吉野地区では住民の一〇〇%に近く、先ほど県担当課に、地元の尾崎要二議員とともに私も立ち会って提出したところです。事業の許可に当たっては住民との合意を得るよう業者を指導されるのかどうか、環境生活部長にお伺いいたします。
 ところで、野上町の皆さんは、この問題にかかわって、坂本の二の舞になってはいけないと言われるんです。意味が私にはよくわからなかったのですが、四、五年前に野上町の坂本という地域での産業廃棄物の問題です。建設廃材や医療機器など、ありとあらゆるものが捨てられて山になっていると言います。
 そこで、地元の皆さんに案内していただいて現場を見てきました。今ではその上に草も生えているけれども、その下に産業廃棄物が積まれたままになっていると言います。水が川に流れ込みます。廃棄物の中に有害物質があれば大変です。
 この問題で住民の皆さんは、県当局の当時の対応に不信感を持っていらっしゃる。だから、絶対に新しい廃棄物置き場はつくらせないというふうにおっしゃっている。これでは、もしもまじめな産業廃棄物業者であっても住民の皆さんからは不信の目で見られる状況にあります。
 そこで、さかのぼっての話でありますが、野上町坂本における投棄された産業廃棄物の中身をどのように認識し、現時点で環境上支障はないのか、また、実行行為者に対してどのような指導を行い、指導上どのような問題があるのか、さらに、撤去する計画はどうなっているのかを環境生活部長にお伺いいたします。
 最後の柱は、中国、韓国などアジア外交にも大きな支障を生んでいる靖国神社参拝問題や教科書問題であります。
 中国などで広がっている反日行動。行き過ぎもありますし、日本の商店への投石など許されない行動もあります。しかし、その底流に、さきの侵略戦争への反省を欠いた日本の指導的立場を握る一部の人々への怒りがあることは明らかだと思います。海南市の地場産業である日用家庭品業界は、中国と大きな関係を持っています。この問題は、外交、教育の問題にとどまらず、地場産業の問題でもあります。
 小泉首相の靖国参拝に対しては、国益のために公式参拝を控えるべきだという声が保守の立場の方からも聞かれ始めています。私なりに言えば、政府要人の靖国参拝は道理に反し、アジア各国を初め国際社会で大きな批判を浴び、日本は国際的にも孤立をするということだと思います。それは結果として、国益にも反するということでしょう。
 なぜ道理に反するのでしょうか。靖国神社参拝とはどういう問題でしょうか。一つ紹介をいたしましょう。
 「日本は、明治開国以来、欧米列強の植民地化を避け、彼らと同等の国力を養うべく努力してきました。日本を邪魔者扱いにし始めた米英の抑圧と中国の激烈な反日運動にも我慢を重ねてきました。──少し飛ばしますが──極東の小国・日本が大国を相手に立ち上がった大東亜戦争、これは国家と民族の生存をかけ、一億国民が悲壮な決意で戦った自存自衛の戦争だったのです」、これは戦争さなかのラジオ放送ではありません。今、靖国神社の展示館で毎日上映している映画「私たちは忘れない」のナレーションの一節です。
 靖国神社は、戦争犠牲者を追悼しているだけの神社ではありません。日本が行った戦争を正義の戦争と宣伝し、戦死した軍人を神として祭る神社であります。たまたまA級戦犯を合祀したから問題だというものではありません。戦争を正義の戦争とたたえる神社だから、戦争を推進した人たちをだれよりも神として祭らなくてはならないというのが靖国神社の論理でしょう。映画のナレーションにもあった、アジア太平洋戦争を大東亜戦争と呼び、自存自衛のための戦争だったと説明するところに、その歴史観が象徴されています。
 ところで、この靖国神社と同じ歴史観を持つ教科書が検定を合格し、今、教科書採択の対象とされています。県内でも十七日から各地で教科書展示会が開かれていますので、私も展示会場に足を運び、扶桑社の教科書、そのほかの教科書を手にしました。扶桑社の教科書、靖国史観そのままであります。
 さらに、この問題になっている扶桑社の教科書が、事前に関係者に配られるというルール違反が行われたという問題が報じられております。文部科学省はそのことで扶桑社を指導したと言い、扶桑社教科書が配られた地域の一つとして和歌山県が挙げられています。
 まず、知事にお伺いします。
 アジア太平洋戦争は大東亜共栄圏を建設するための自存自衛のための戦争であり、だから大東亜戦争と呼ぶという戦争当時の国民への宣伝をそのまま行っている靖国神社の歴史観について、どうお考えでしょうか。
 教育長にお伺いいたします。
 靖国神社の歴史観、戦争観を教育の場に持ち込むことについて、どうお考えでしょうか。
 また、教科書採択のルール違反が行われたことについて、どういう人たちに教科書が渡されたのか調査なさったでしょうか。調査されたとすれば、どういうことだったのか、お伺いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、先般のJR事故についての対応でございますが、今回のJR事故に際しては、鉄道輸送の安全性確保とJR西日本との連絡体制の構築が和歌山県にとっても非常に大事であるというふうに考えまして、今議会の冒頭に御説明したとおり、去る五月の九日にJR西日本和歌山支社に列車の安全運行に関する申し入れを行ったところでございます。
 この申し入れに対して、先般、和歌山支社の方から、ATS─SWの設置など、県内の曲線区間における速度超過防止の緊急安全対策を早急に実施するという回答を得ました。また、万一の危機事象発生に備えて、和歌山支社との連絡体制及び庁内体制の整備充実を図っているところでございます。
 今後ともJR西日本との連携を一層緊密にし、安全対策をとっていきたいと、このように考えております。
 次に、靖国神社の問題につきましては、国の内外を問わず、さまざまな意見があると承知をしております。
 先般も、私もゴールデンウイークに知覧へ行って、これはもう三度目ですけれども、特攻隊の記念館を見てきました。十五、六の人の手記は、これは本当に、小泉総理じゃないですけども、涙なくしては読めない。そしてまた、こういうことを絶対に忘れてはいけないというふうな気持ちを改めて強くしたところでございます。
 さきの第二次世界大戦では、国の内外を問わず、多くのとうとい命が奪われました。今後このような惨禍を二度と起こさないためにも、我が国を初め各国が主権国家として互いに尊重し合い、協調を図りつつ、国際平和の実現に努めることが肝要であると肝に銘じているところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 議員御質問の四点にわたってお答えをいたします。
 まず、プラットホーム段差の実情でございますが、現在、JRの駅のプラットホームの高さには、百十センチと九十二センチの二種類がございます。このうち、県内の和歌山市駅を除く紀勢本線の駅で百十センチとなっているのは六つの駅でありまして、黒江駅など九十二センチの駅は四十九駅というふうな現状でございます。
 JRによりますと、以前列車にはステップが設けられていたんですけれども、現在、車両の床がフラット化になっておりまして、段差が生じてきております。駅によっては、カーブ上に設置された駅もございまして、場所によっては段差がより大きくなるというふうなことでございます。
 黒江駅や藤並駅につきましては、JR和歌山支社とも段差が高いという認識を持っておりますが、JR西日本全体でとらまえた場合、これらの駅より乗降客数が多い駅を優先して整備を進める計画というふうになっておりまして、どうしても優先順位が低くなるというふうなことでございます。
 県といたしましては、プラットホームのかさ上げ等、駅のバリアフリー化の整備について、市町村が積極的に国や県の補助制度を活用できるよう働きかけてまいりたいというふうに考えております。
 次に、黒江駅の安全対策についてでございますが、議員御指摘のとおり、交通バリアフリー法に基づきまして、一日当たりの乗降客数が五千人以上の駅を対象に国の補助制度があります。これまで県内におきましては、和歌山駅、紀伊駅のバリアフリー化の整備を進めてきたところでございます。また、一日当たりの乗降客数が千人以上から五千人未満の駅につきましては県単独の補助制度がございまして、平成十五年度には紀伊勝浦駅構内にスロープが設置されておるというふうな現状でございます。
 黒江駅につきましては、平成十六年度の一日当たりの乗降客数が四千九百二十四人となっておりまして、今後とも増加傾向にございますので、交通バリアフリー法に基づきました整備を進めるのが適当かと考えております。国の補助制度を活用するためにはまず市町村が基本構想を策定しなければならないことになっておりまして、県といたしましては、海南市に対しまして積極的に基本構想の策定を働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、段差の解消や駅のエレベーター設置などバリアフリー対策につきましては、従前からJRと協議を重ねているところでございます。JRといたしましても、今回、事故を契機により一層の安全対策について十分認識されておりますので、今後ともJRとの連携を密にしながら安全対策への取り組みについて強く働きかけてまいりたいというふうに考えております。
 それから、JRにかかわる工事の公開性ということについてでございます。
 国土交通省におきましても、JRが行う工事の透明性の確保というものにつきまして、昨年、各出先機関に通達を出しておりまして、周知を図っているところでございます。
 そういうわけで、県におきましても、JR西日本に対しまして工事の内容及び費用等の関係資料の提示を強く求めてまいりたいというふうに考えております。また、市町村に対しましても、この透明性の確保というものにつきまして指導してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路の関係二点、お答え申し上げます。
 まず、県道岩出海南線につきましては、海南市岡田地区において小規模道路改良事業により整備中であり、現在、二ツ池付近から黒江駅方面に約二百五十メートルが完成しております。
 道路整備につきましては、厳しい財政状況の中、重点的、効果的、効率的な観点から優先順位を決め整備しているところであり、海南市内におきましても、都市計画道路及び既存道路のネットワークの中で優先度を考慮しながら今後とも効率的に整備を進めてまいります。
 次に、国道四十二号での工事による渋滞問題の件でございますが、このことにつきましては、国土交通省和歌山河川国道事務所によりますと、ことしの三月に施工した工事箇所は、直角曲がりの交差点部のため片側二車線を確保しながらの工事ができず、また一般交通、沿道環境に影響を与える期間を短縮するため、やむを得ず工事を同時に行った、今後は可能な限りセンターラインを移動すること等により片側二車線を確保し、交通への影響を最小限にとどめる施工方法をとっていくとのことでございました。
 今後は、この国の工事だけではなく、県の工事も含め、できるだけ交通に影響を与えないようその方法や時期など十分に配慮するとともに、十分な情報提供を行い、周辺の方々や道路利用者の皆様にできる限り御理解と御協力をいただきながら実施するよう、国へも改めて強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) ため池調査についてでございますが、和歌山県地域防災計画において警戒を要するため池に指定されている二百九十七カ所を含む四百二十カ所のため池について、その耐震診断を平成十六年度から三カ年計画で実施してございます。
 なお、これら以外のため池につきましても、関係市町村の意向を踏まえ、必要な診断を実施してまいりたいと考えてございます。
 また、診断結果に基づき緊急性が高いと判断されるため池につきまして、関係市町村と十分な協議を行いながら順次改修してまいりたいと考えてございます。
 次に、ため池改修の地元負担につきましては、事業主体の区分によりまして一〇%ないし四五%となってございますし、市町村建設計画に位置づけられているものにつきましては合併特例債の適用対象となってございます。
 次に、地元の協力についてでございますが、ため池の利水機能や洪水調整等、公益的機能を十全に発揮するためには適正な維持管理を行うことが特に重要と考えてございますので、利水関係者のみならず、地域住民の方々が協調して維持・保全していただく体制づくり、そういった取り組みをお願いしたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 産業廃棄物問題の二点の御質問にお答えをいたします。
 一点目の野上町福井の産業廃棄物積みかえ保管つき収集運搬業の許可についてでございますが、産業廃棄物の施設設置の審査に際し、地元同意につきましては廃棄物処理法における許可の要件とはなっておりませんが、しかしながら、和歌山県が独自に制定しております産業廃棄物許可申請に係る事前調査の手続の中で、地元野上町の意見を申請者に説明をいたしまして町と十分協議するよう通知しているところでございます。
 次に、二点目の野上町坂本における産業廃棄物不法投棄問題についてでございます。
 この問題につきましては、行為者が賃借をいたしました土地に不法に廃棄物を投棄したもので、廃棄物の中身につきましては、コンクリート殻、金属くず、かわらくず、廃プラスチック類であると認識をしております。
 行為者に対しまして、事案発生後、たび重なる行政指導を行いまして、また平成十三年五月には改善命令書を発出いたしましたが、覚せい剤取締法違反の罪で収監をされまして、その後所在不明となり、今日に至っております。
 この間、県におきましては隣接する坂本川の水質検査を継続して実施しておりますが、現時点で問題となる結果は出ておりません。また、土地を賃貸した地権者と協議を行いまして、地権者からは行為者に対して具体的な撤去に向けての話を行う旨の回答を得ております。
 今後とも、行為者との接触に努める一方、地権者に対しましても、適正な土地管理の観点から自主的に撤去を行うよう働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校における歴史教育は、歴史的事象に対する関心を高め、歴史の大きな流れと各時代の特色を理解させるとともに、我が国の歴史に対する愛情と日本人としての自覚を育てることを目標になされるものと考えております。
 各学校では、この歴史教育の目標に基づき、適切な指導を行っているところであります。
 次に、教科書検定以前の申請図書が送付されていた件につきましては、検定を行う文部科学省が調査を行い、当該出版社に対し指導しております。したがって、本県独自の調査はいたしておりません。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 答弁ありがとうございました。幾つか要望と再質問を申し上げたいと思います。
 まず、JRの安全についてはいろいろ申し上げましたが、一番具体的な住民の願いであります黒江駅のプラットホームの改善、交通バリアフリー法に基づく整備が適当との助言をいただきました。
 企画部長の答弁で一日四千九百二十四人という乗降人数が示され、私の誤算に気がつきました。古い資料を見て二年後に五千人と思っていたんですが、実はことしじゅうに五千人になるわけですね。海南市にも積極的に基本構想を働きかけていくとのこと、大変ありがたいことです。
 ところで、交通バリアフリー法によった場合、国の補助や県、市の財政負担はどうなるのでしょうか。この点だけお答えください。
 なお、プラットホームの問題は、段差の実測値をつかまなくてはならないと思います。高さが百十センチ、九十二センチのものがあるということでありますが、これでは段差が大きい駅と小さい駅があるということしかわかりません。実際の段差がどれだけあるのか。
 企画部長が答弁された根拠になる資料は私もいただいておりまして、平成十二年十一月に県身障者連盟の要望にこたえてJRから出されたものだろうと思います。資料には「注」として、「上記数値は規定値であり実測値ではない」と記されています。つまり、レールからの高さが九十二センチのはずだが、はかってみなければわからないという、こういう数字であります。
 同じ資料では、電車の床とプラットホームの段差は大きいもので三十センチになっています。しかし、私が先ほど示しました、苦労して電車に近づいてはかったところでは四十二センチぐらいある。
 かつて普通鉄道構造規則第百九十二条の第五項に、空車の状態において床面の高さがプラットホームから三百八十ミリ、三十八センチを超える車両の昇降口には踏み段を設けるとしています。これは昔の電車についていたステップのことなんだと思いますが、三十八センチ以上だと危険だと決めていたわけです。まだバリアフリーなど余り言われなかった時代のことです。
 私たちがはかったのはお客さんが乗っている電車ですから、空車なら、四十二センチ、四十三センチじゃなくて四十五センチにもなるかもしれません。問題は、お金があるかないか、優先順位がどうかという議論の前に、どれだけの段差があるのか、危険があるのかどうかの正確な認識がなくてはならないと思います。空車でその段差をきちんと計測できるのはJRしかありませんから、その点、JRに実測値を出すように要望していただきたいと思います。これは要望とします。
 それから、道路の問題、ため池の防災対策、野上の産業廃棄物問題で、それぞれ地域の皆さんに傍聴をいただいていますが、それぞれ前向きの回答をいただいたと思っています。
 産業廃棄物積みかえ保管つき収集運搬業許可の問題については、これから地域での話し合いにかかわる問題ですが、坂本での産業廃棄物問題の山は相当悪質な業者の問題であることが答弁でもはっきりしています。行為者、地権者への指導が先行することは当然ですが、場合によっては──この行為者も行方不明という話もある。場合によっては県及び野上町に、代執行というんですか、お願いしなくてはならないかとも思います。その点も見通しに入れて取り組みをお願いしたいということを要望しておきます。
 それから、国道四十二号の渋滞問題。
 私自身、毎日その場を車で走って確認していますが、今度はセンターラインを引き直して渋滞を避ける工夫をしていることがうかがえます。しかし、前回の渋滞についてはやむを得なかったというのは全くのお役所答弁ですが、しかし、ここには国土交通省の担当者がいるわけではないので、これ以上の追及はもういたしません。
 ただ、私はいつも言っておりますように、道路工事をするにしても、道路工事をする者は道路工事ができたらいい、道路をつくる者は立派な道ができたらいいということでなくて、県民、市民の生活全体を考えて、国道工事を担当する者、県民の交通を考える担当課、警察、海南市などがもっと知恵を絞るべきだったということが、このことの教訓として言えるのではないかと思っています。
 さらに申し上げておきますと、現在センターラインを引き直しているのはいいんですが、その交通規制をしてから約半月たつでしょうか、その場所でさっぱり大型重機が動いているのを私は見ていないわけです。こういう大事な国道の工事というものは、交通規制をしたらそれに満を持したように工事にかかって短時間でこの工事を終わらせるというのが本当だと思うんですが、どうもこの交通規制は、交通規制をしたままでしらっとしている。素人だから勘違いをしているのかもわかりません。私ももう一回また国土交通省の方へ、また私が行かんなんかなというふうに思うんですが、私は近所に住んでおりますから関係も深いので行かんこともないですけども、ひとつ県の担当課もそういう問題についてはよく目を光らせて、交通規制やったんやったらはよ工事やれというようなことを、例えば交通に関係する警察も関係するでしょうし、ひとつよく見ておいていただきたいと思います。
 最後に、靖国神社参拝など教科書の問題ですが、最近各新聞にも靖国問題とはそもそも何かという特集を組むようになってきました。日本が進めた戦争は正義の戦争だったと宣伝するセンターになっているところに、問題の眼目があると思います。それは村山首相談話にも示され、小泉首相が最近繰り返された日本政府の見解とも相反するものです。そこに首相が参拝するということは、言うこととやることが違うじゃないかというアジア各国の不信を招いている。ここのところが大事だと考えるということを申し上げまして、私の第二回目の質問を終わりにさせていただきます。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 再質問の答弁をいたします。
 バリアフリー化事業を実施する場合の補助の割合でございますが、国が三分の一、それから鉄道事業者が三分の一、それと地方自治体──これは市町村と県が六分の一ずつというふうなことで、三分の一というふうな割合でございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

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