平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。早速、一般質問に入ってまいります。
 世界遺産登録のプレゼントは、私たち県民に世界的視野で物事を考える地球人としての生き方をプレゼントしてくれたと思います。その最も大きなものが、世界遺産と密接に関係をする地球温暖化防止であります。
 私は、氷河が解けてきて大変なことになってきている北極に近いデンマーク、フィンランド、ノルウェーの北欧三カ国を四月に訪問し、六月には南極に近いニュージーランドを、県の文化国際課の御協力をいただき、現地調査をしてまいりました。和歌山県だけの地球温暖化防止や世界遺産だけを見ていたら孤立化し、その闘志がなえてしまいそうになりますが、世界はしたたかな生き方をしています。
 私は、一連の海外調査は物見遊山で行っているのではありません。和歌山県は世界遺産地となり、普通の県以上に敏感なアンテナを常に張りめぐらせなければならないと私は思います。特に私が海外へ出る一番の理由を申し上げれば、それは、世界の人々が求めていることと和歌山県が求めていることと一致するものがこれからの新しい雇用促進に期待されるからであります。
 例えば、世界の異常気象に対応する地球温暖化防止は、和歌山がいち早く推進体制をとることで新しい雇用創出が生まれてきます。つまり、日本政府や自治体だけが認めるだけではなく、世界の理解と協力があって雇用創出が生まれるものだと私は思います。そのために、さまざまな形で新しい雇用創出を生み出そうとしている世界の国々を調査をしているのであります。
 そうした意味で、私が聞いてきた今時点での各国の取り上げ方、提案、そしてその国に対しての直言など調査した中で、これから特に知事に聞いてもらいたい点を取り上げて質問をしてまいります。
 まず世界遺産の効果ですが、私ども高野・熊野世界遺産の地では、観光客の大幅な増加を含め、いろんなところに効果が出てきています。余り世界遺産に対して好意的に思っていない人は、あと一年から二年で観光客は少なくなるなどと言っている方もあると聞きますが、その予測とは裏腹に、現実は旅行客の数はふえています。
 先月の高野山で開いた世界遺産フォーラムでは、パネラーとして参加していただいた白神山地の方から、「入り込み者数が一過性ではなくて十二年間ずっと右肩上がりで、今まで右肩上がりの観光地というのは恐らくないと思いますけど、ずっと右肩上がりで、いまだにふえている。去年再び十和田湖に逆転されましたけど、五年ほど前から有名な十和田湖さえも上回った。それから、地元の人たちの気持ちが変わった。プライドを持って、自分たちの自然環境のすばらしさを訴えることができるようになった。もっと詳しい話をすると、白神関連のグッズもめちゃくちゃ売れているということで地元も驚いている」と、そのように報告をされました。
 もちろん、そのための内なる取り組みや条件整備が必要なことは言うまでもありませんが、登録されて一年弱という短い期間ですから白神山地ほどの効果はまだ出ていませんが、和歌山県内でも次のような効果が出ています。
 県内にある銀行のシンクタンクがことしの五月に発表した世界遺産登録効果は、昨年の登録された七月から半年間で観光客が約百五十三万人増の三千九十万人で、経済効果に直すと約七十八億円増の二千三百八十億円に上る、雇用効果でいえば約一千人増の二万三千人の雇用が生まれた、従来の企業誘致や公共事業に比べ、少ない投資で経済効果は抜群と分析をしています。さらに、県内の総生産を押し上げていると発表されました。このゴールデンウイークでも、登録地でいえば那智勝浦の大門坂等は前年比三倍にも伸びています。まさに県内の市町村は、言葉どおりゴールデンウイークでした。
 新しい雇用でいえば、例えば熊野古道の漂探古道の語り部の皆さんは、約五十人の会員さんにふえていますが、一人月平均七万円から八万円の報酬があり、人気のある人では一人月十四万五千円ぐらいもらえるようになって大変喜んでいます。また、私ども高野熊野世界遺産連絡会の方へ英語の得意な地元の娘さんから、語り部の勉強をし、将来の雇用に生かしたいという、そういった問い合わせも幾つか届いており、その都度紹介をし、喜んでもらっています。私どもは、こうした方々を受け入れるためにも、もっともっと内面を充実させていかなければならないと思います。
 その一つに、高野熊野世界遺産連絡会が秘密兵器のように一年かけて登録地域の皆さんと一緒に知恵を出し、その知恵によって生まれたのが、この「空海の知恵袋」であります。こういうもので、これが空海の知恵袋と申します。(現物を示す)この知恵袋は、手前みそかもしれませんが、本当に喜ばれるものだと思っています。
 私は、長い歴史の中で破壊されずに残った遺産は平和と地球環境を守るシンボルと言えると思います。単なるおもしろおかしい観光ではなく、深く心に残り平和を愛する心をはぐくむための地域にふさわしい知恵袋として「空海の知恵袋」を考えました。
 この知恵袋は、高野・熊野世界遺産の精神文化を発信をしています。その中心をなすものが、空海の教えであります。空海は、地球上にある石にも水にも空気にも植物にも、すべてのものには命がある、その命を大切にする気持ちが大事だ、人間はそれらの命をもらって生かされている、この摂理を未来永劫正しく教え伝えていくことが大事である、人間が優先の社会をつくるのではなく、地球上の生物の中の一つであることをよく理解をして、自然を大切にして地球環境環を守ることを説いているのであります。
 また、高野山へ行ってみますと、高野山の奥の院の墓地にはシロアリや動物のお墓まであります。これもまた空海は、いろんな宗教や生活があってもよい、多様性を受け入れ、争うことなく、みんな仲よく、楽しくすること、すなわち世界平和を説いているのであります。
 この袋には、大辺路富田坂の夢一座の皆さんの「空海の手ぬぐい」、口熊野生馬地区の皆さんの「水は命の源、みんなのもの」を発信する「空海の水」、中辺路高原地区の皆さんがつくられた紀州材を生かした「知恵が湧く木札」、高野山の皆さんに知恵をかりた「空海のことばハガキ」が入っています。さらに、世界遺産の地へ来ていただいた方々の御意見や新しい知恵の提案を生かせるアンケートはがきも入っており、これらの声を参考にして新たな世界遺産地域づくりに取り組んでいこうと考えています。この知恵袋は、人に上げるというお土産ではなくて、この地へ来た人にしか手に入らない自分自身の記念品にしていただくと、そういうことを考えています。
 このように、高野・熊野世界遺産の精神を広く世界に広めるための一つの方法であると同時に、この袋の収益の一部が世界遺産環境保全のための基金へ貢献をするとともに、ふるさとの活性化と新しい雇用創出を可能にする、まさに協力の新しい形の結晶だと考えています。
 私どもの希望的試算では、アルバイトも含めて百人を上回る雇用創出を期待をしています。つまり、ふるさと再生に寄与できる一石五鳥の知恵袋であります。七月の世界遺産週間に販売をスタートさせる予定です。危険性もないし、安全面でも問題はありません。登録地の自治体や関係者はもちろんですが、ホテル関係者や旅行業者も好意的であります。これが好評になった場合、四国のお遍路さんの空海ばかりではなくて、和歌山の空海になると私は思います。
 知事、中身を見てどうでしょうか。感想をお聞かせください。また、こうした取り組みへの支援をお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。これひとつ。(現物を知事に手渡す)
 もう一つ、知恵袋と同時に、将来期待される薬草の話が浮上しました。私どもの世界遺産連絡会の仲間の熱い要望であります。それは薬草の話でありまして、熊野古道沿いの薬草調査とマップづくりの提案であります。
 世界遺産を登録することによって、自分たちにはすばらしい自然があったと気づくと同時に、それを保全し、みんなの誇りにする自然観というものが生まれてきました。その自然に対する見方、世界遺産登録につながりのある自然に対する新しい健全な見方が生まれてきているのであります。つまり、これが世界遺産登録された結果、今まで見えなかったものが見えてきた大きな一つで、薬草とか自然を細やかに見て感動するということなのであります。今までは無関心だった道端の草花にもおのずと優しい視線が注がれ、感動するという変化が出てきたのであります。
 また、熊野古道沿いに生えている薬草というものを三重県では既に調査をし、百五十種ほどマップにつくり古道を歩く人々にPRをしていますが、前回の一般質問でも提案をしました熊野健康村構想と薬草との関係でも、将来、大変必要な事業だと考えています。
 これについて私は、富山医科薬科大学や独立行政法人医薬基盤研究所の筑波研究部及び厚生労働省や農林水産省にも調査をしたところ、世界的にも薬草についてはまだまだ解明されていないところが多い。植物の一〇%程度が薬草と言われている。世界の植物の種類がおよそ三十万種と言われているので、三万種程度と想像される。ちなみに、日本では高等植物が五千五百種で、その中の薬用植物は四百種の七・三%であるそうです。原料の九割近くが中国を中心とした外国からの輸入に依存しているのが現状であり、このことは安いということで中国から入っているのがほとんどであります。しかし、野生の採集品の品質が落ちている。こうした品質の不均一性や原料確保に対する不安感から、国内で薬用植物の栽培が求められているということなのであります。国内では一けたの生産であり、国内生薬の振興が課題であると言っており、将来ビジネスとしてはチャンスである。また、これからはよいものをつくれば少々高くても売れる時代である。したがって、国産で品質のよいものをつくれば少々高くても買ってもらえるのであります。つまり、将来有望であり、需要が圧倒的に多いということが調査をしてわかりましたが、我が県でもこの取り組みをしてはどうでしょうか。知事にお伺いします。
 さて、話は世界に移りますが、地球温暖化によって北極、南極に近いところで氷河が解けている現状を調査をするとともに、世界遺産に対する世界の考え方と、その対策を自分の目で確かめてきました。
 四月に訪れた冷帯地であるノルウェーのフィヨルドでは、氷河が解けてきている現実をこの目で見てきました。氷河は山肌を保護してくれており、地すべりが起こらないようにしてくれているのであります。解けると地すべりの大惨事が起きてくるのです。地球上の温度を調整しているのが氷河であります。氷河がなくなることによって、調整弁がないため異常気象が当然起きて、災害も起こるのであります。ことしはヨーロッパ全域が異常気象に見舞われているとのことであります。この問題は自国の問題であるとともに地球全体の問題としてとらえており、特に世界遺産を持っているこの地域の人々は、世界遺産の登録と地球温暖化防止とは最終目的は同じことだという、そういった認識を持っていることを現地で学びました。
 現地で学んだことは、もう一つあります。それはフィヨルドの川に橋が一本もかかっていないということです。そのことによって周りの風景、景観、自然を残しているのです。橋をかけるよりも船の方がよい。その方が通行料も要らなく、建設コストもかからない。そして、景観が壊されない。橋というものは結果的に自然をだめにするということを、地元の人たちが知っているのです。
 こうした発想を応用することが大事であることに、私は気づかされました。ここに私たちの世界遺産を守るイロハがあると思いますが、知事、いかがでしょうか。
 話は、今度は南極に近いニュージーランドに移ります。
 日本よりも自然環境がはるかによいニュージーランドでさえも、地球温暖化防止に対する時代を先取りした政策が取り組まれていることに大変驚きました。ニュージーランドの面積は日本の約四分の三で人口はわずか約四百万人と、ほかの先進国に比べると公害等の環境汚染が国民の健康に直接影響を及ぼす可能性ははるかに小さいのに、その取り組みが進んでいるからであります。彼らが言うには、地球温暖化防止に取り組むことは世界遺産を守ることにつながる、そして生態系の保全につながるという認識を持っているのであります。
 その一つは、京都議定書の実行を、国が直接入ってCO2の排出権取引を既に実施していることであります。少し専門的な話に入りますが、産業界に対しての炭素税の導入ですが、これは二酸化炭素一トン当たり十五ドル、日本円で約千二百円に設定をし、二〇〇七年四月から導入予定にしているとともに、政府は二酸化炭素の削減に資する取り組みを促進するために、再生可能エネルギーや省エネ等のプロジェクトに対し、二酸化炭素の削減量に応じて炭素クレジットというお金を与える仕組みを導入をしています。二〇〇八年からやってもいいのですが、地球温暖化防止の取り組みを前倒しをして二〇〇三年から既に政府が入って実施されています。つまり、国が直接入って排出権取引を既に始めているのであります。
 京都議定書を発信した我が国は、環境省にも問い合わせをしましたが、国内における排出権の取引に関係する仕組みは、残念ながら導入されていません。
 知事、こうした取り組みこそ、早急に必要ではないでしょうか。政府要望にも入れるべきだと思いますが、和歌山独自の未来志向の取り組みとして県が入った和歌山方式というものを導入していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 二つ目に驚いたのは、永久的に森林の二酸化炭素を吸収することを奨励するためのメカニズムを具体的につくり上げたことであります。
 私も、世界じゅうどこでも実施されていないときに、平成十三年の十二月議会で質問をしたことがありますが、その当時は日本の環境省も余り乗り気ではなかったのですが、それがニュージーランドでは実現をしてきているのであります。私は質問をしたときに、これからの森林は経済価値がなかったものが環境価値として、大げさに言えばダイヤモンドのようになると言いましたが、それがニュージーランドでは正夢となっているのであります。
 その実態は、こうなのであります。ニュージーランドは、地球温暖化防止に積極的に取り組むために、山づくりから始めています。その制度は、新たに森林を造成し、これを将来にわたって伐採を行わない旨を政府と約束した場合、その森林は永久保護林とされ、その森林の二酸化炭素吸収量に相当する炭素クレジットは森林所有者に還付されるということであります。つまり、材木だけでは経済効率が悪い森林に、環境を守る森林吸収源としての環境価値による経済効果が生まれてきたのであります。
 参考に日本の森林の現状を申し上げますと、一ヘクタール当たりで成木した木を売るまでの収支計算をすれば、杉の八十年生で約百六十五万円の赤字になります。実際は国の補助制度がありますから、差し引きわずか約五十万円の収入にしかなりません。日本では既に森林が国土全体にありますから、新たに森林を造成するよりも間伐など育林費に重点が置かれるという違いはありますが、地球温暖化防止のためには、森林の二酸化炭素吸収確保のためにニュージーランド方式的なものが必要であります。
 森林の二酸化炭素を吸収することを奨励するための和歌山方式のメカニズムを検討していくべきだと考えますが、知事、いかがでしょうか。
 最後の三つ目に驚いたのは、ニュージーランドでは地球温暖化防止に取り組む傍ら、生態系保全に徹底した検疫体制を実施していることです。なぜ検疫が厳しいのか。それは、地球温暖化防止や世界遺産を守ることにつながっているからだとわかりました。
 昨年、こんなエピソードがあったそうです。アテネ五輪の金メダリストに与えられるオリーブの枝、菊及びバラでできた冠のニュージーランドへの持ち込みが、国内の紙面をにぎわしました。その理由は、この冠の材料が繁殖可能だからで、虫や菌を保持している可能性もあり、伝染するおそれがあることも理由だったそうです。結果的には冠を熱処理または放射線処理することを条件に持ち込みを許可したというエピソードを総領事館で紹介をしてくれましたが、これくらい自然を守る、生態系を守ることに神経質になっているのです。
 このように、人間だけでなく、地球上の生態系全体を見据えた政策が行われています。これらは、地球温暖化防止によって生態系を守るという取り組みでもあります。ニュージーランドのおもしろいところは、ニュージーランドにしかない生き物を観光資源にするとともに、それを残すことによって副産物としてできてくるのであります。
 今、ニュージーランドは、世界遺産が四つあるのですが、新たに六つの世界遺産登録申請をしようとしています。国土の広さと多様性から見ると日本よりも冠たるものを持っていながら、なおかつ世界遺産というものを目指しているのであります。つまり、世界遺産登録というものは、いろんな形で国づくりの形の一つとして用いているのであります。
 自然環境をよくするためには、規制を徹底して取り組んだ方がやりやすい、また国民受けをするということを教えてくれました。自然がそのままあるニュージーランドででさえ、地球温暖化防止に率先して取り組んでいる。つまり、公害や環境問題は先に手をつければつけるほど費用も安く上がり、きれいになるということであります。
 生態系を守ることや世界遺産に対する見方、考え方に対しての知事の感想をお伺いいたします。
 世界の国々はしたたかな生き方をしているのがわかりました。また、その答えもわかってきました。最初にも申し上げましたが、世界遺産は私たち県民に地球人として世界的視野で物事を見るということをプレゼントしてくれました。
 知事を初め県の職員の皆さんも、すぐに取り組んでいけるものもありますし、あらかじめPRをして、県民によく理解をされて政策の立案実行に取り組むものもあるでしょうが、ニュージーランド、北欧の取り組み方をぜひ県政の柱にしてほしいと願って、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、最初に見せていただきました「空海の知恵袋」でございます。
 私は、世界遺産の登録の効果は、ただ単に観光客がふえてお金が落ちるというふうなことじゃなくて、地域の人たちがそのことによって自分たちでも何かできるんじゃないかというふうな動きが出てくるということが、ともすれば人口が減ってだんだんと勢いがなくなってくると言われている中山間とか、そういうふうな地域でもいい効果が出てくるということに多くを期待しているところでございます。
 そういう中で世界遺産の登録の効果は、徐々にではありますけれども、いろんなところで非常にいい結果が出だしているというのが今の状況かと思いますし、この「空海の知恵袋」、これもそういうふうな運動の大きな一つとして大いに期待をしているところです。また、その収益の一部を基金に入れていこうというふうな発想が今までなかった発想というふうなことで、すばらしいものだと思います。
 ただ、中身を見せてもらうと、いいもんばっかりなんだけど、あめ玉ぐらい入っている方が山を歩く人なんかに元気が出ていいんじゃないかなというふうに──まあ値段にもあれしますけども──思いましたので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
 それから、薬草の活用ということですが、これも物すごくやり方によっては、この高野・熊野世界遺産の地の魅力を高める大きな僕は武器になると思います。やはりこれだけ深い森林のあるところは日本でも少ないわけですし、そういう中には多分、今の人がまだ知らないようなすばらしい薬草が眠っていて、しかも山育ちの人たちはそういうことを経験的に知っているというふうなものがあるだろうと思います。そういうものを、一つはお土産にするということもそうですし、それから今、熊野健康村構想というふうなのをどんどん進めているわけですが、こういう中で薬草セラピーとかいろんなことで使っていくことが僕はできるだろうというふうに思っています。
 食事なんかでも、そういうものが入ったような精進的な料理を出せば必ず都会の人はたくさんのお金を払うというふうなことなので、これも地域おこしの大きなツールになるというふうに思いますので、県としてもいろんな形で研究をしていきたいと思っております。
 それから、地球温暖化防止と世界遺産の関係ですが、特にこの紀伊山地の霊場と参詣道というのは山が中心というふうなことで、この緑豊かな山ということがこの地球温暖化の防止に、これを手入れすれば役に立つということは非常に明らかなわけだし、そしてまたその山を見ることによって地球の温暖化というふうなことに逆に思いをいたすというふうなことでも、非常に効果があると思っております。
 そしてまた、その具体的な取り組みの一つとして排出権取引の問題がありまして、県の方でも今、企業の森を進めていて、企業の森に協賛してくれた企業とか組合とか、こういうところがやはりCO2の吸収に一定の貢献をしているというふうなことで、まず一つは公的なところがその量を認定し、さらにはそれをクレジット、取引ができるような仕組みということで政府要望もしてるんですけども、必ずしも、環境省の認識とはかなり食い違っているので、これはまた別の攻め方を考えないといかんなと今思っているところです。
 さらには、税制上の優遇措置、そういうことに協力した人に、会社とかそういうところに損金算入であるとか償却を早くするとか、いろんな仕組みがあるわけですが、そういうふうなこともちょっと別の観点から考えていかなければならないなというふうなことも思っているところでございます。
 それにしても、ニュージーランドの森林の育成者に森林クレジットを付与して新たな付加価値をつけるというふうな発想というのは、これは非常にユニークなものなんで、和歌山県でもそういうふうなことでまた新しい考え方が出ないか、一度研究してみないといかんと、このように思っております。
 さらに、温暖化と生態系の問題ですけども、世界遺産というのは、やはり昔からある生態系がそのまま残っているというところに皆が魅力を感じて来るわけだから、釣り糸を垂れたらブルーギルとあればっかりやったということでは、やはりぐあいが悪いだろうというふうに思います。
 和歌山県では、例のタイワンザルの問題もあって、日本の古来の生態系を守っていこうということで、今、鋭意努力しているわけですけども、いずれにせよ、この世界遺産の保護ということは生態系の保護ということもあわせて大きな問題になっているということを認識しているということを申し上げておきます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
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