平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず、入札・談合問題からお尋ねをいたします。
 今、全国的な問題として取り上げられている橋梁談合問題ですが、国土交通省発注工事からJH(日本道路公団)発注工事、そして公団OBとの癒着へと、問題は広がっています。今回の鉄鋼製橋梁談合事件の舞台となったのは、K会、A会と言われる談合組織です。全国的な企業ですから、この和歌山県の発注する鉄鋼橋梁工事にも、このメンバーの業者が受注をしております。業者らは西日本でも組織をつくっていて、地方自治体の工事でも受注調整をしていたとの報道もあり、和歌山県にも大いにかかわりのある問題として注目し、県工事の受注状況を調査いたしました。
 十四年度、十五年度、十六年度の三年間の県発注橋梁工事で一億円以上のものをすべて調べましたところ、合計三十六件、総額九十四億円の工事のうち、二十五件、七十九億円の仕事を談合組織の企業が受注をしていました。これは件数ベースで約七割、金額ベースにすると何と八四%にも上る受注率であります。
 また私は、そのK会、A会の企業が落札した工事、三年間二十五件すべての執行調書をチェックいたしました。その中で、入札参加企業に注目をいたしました。というのは、工事の入札に参加した業者の顔ぶれを見ると、K会、A会のメンバーだけ、つまり初めから身内だけで入札を行われた、こういうケースが多いんですね。先ほど指摘したK会、A会の業者が落札したケースにおいて、入札参加業者が全部この会のメンバーだったケースが二十五件中十三件にも上り、それに加えてメンバー以外にたった一社だけ加えた、そういう形のものが七件もありました。合わせると二十五件中二十件までが、ほぼ独占的なメンバーにより取り仕切られているような形でありました。それだけ鉄鋼橋梁を受注するメーカーが限られているという裏返しでもありますが、そういう現状を逆手にとり、悪用して、この日本を代表する大企業らがかかわって四十年間も談合を続け、国民の税金を食い物にしてきたという許せない問題であります。
 公正取引委員会の発表している資料によりますと、過去の入札談合事件において、談合による不当利得の平均値は一八・六%だとされています。つまり、談合されたことにより、その分だけ高く落札されて、競争したときよりも不当なもうけを得たというデータです。県の三年分の事業費九十四億円に当てはめてみると、十七億六千万円という税金が不当な利益として企業に支払われ、県民が損害を受けた計算になります。
 こういった点を踏まえ、県は橋梁談合問題での談合組織による県内受注状況をどう見るのかを質問いたします。県内工事での受注状況を踏まえ、国や公正取引委員会、警察の捜査に任せておくのではなく、県としても調査をすることや、またアクションを起こす必要があると考えますが、木村知事はどうお考えでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 次に、県庁南別館建設工事の談合疑惑についてお尋ねをいたします。
 県は、四月二十五日、和歌山県庁南別館の機械設備工事の入札をやり直すことを発表いたしました。これは、業界新聞に談合情報が掲載されたことから、オンブズマンからも疑念があると指摘をされていたものです。
 今回の入札において、どういう経過と判断で入札やり直しを決断されたのか、お示しください。また、同時に入札された同じ南別館の建築工事と電気設備工事、この二つの入札についても、複数のマスコミから事前の談合情報の通報があり、機械工事と同様の疑念があったわけですが、これらは入札が決定されてそのまま進められています。なぜこれらの入札も一緒にやり直さなかったのかという点についてもお答えいただきたいと思います。県土整備部長より答弁を願います。
 続いて、入札制度改革についてお尋ねいたします。
 知事の提案理由説明の中でも強調されていましたが、県はこのほど入札制度の改革を打ち出しました。先ほどからの質問でも指摘したような談合の再発防止の観点からも、談合の摘発の強化とともに、入札制度の改革は大変重要です。
 私は、談合の排除を初め、県の高額な工事の入札が九五%程度に横並び、落札率高どまりになっているこの事態の是正、透明性と競争性の確保、また受注機会の公平性の確保、県内企業の育成、安いだけでなくいい仕事をする企業が報われる、そんな仕組みを取り入れるなど、入札制度の一層の改善を求めるものです。
 また、小規模登録事業者制度、こういったものも参考にして、道路の補修や維持管理など地域に密着した身近な仕事は、入札によらずに地元の業者が迅速に処理できるような制度も検討していく、そうすれば余分な事務量も省け、仕事もスピードアップする効果があると思います。
 私の提言は、高額な工事については、談合がされずに入札率が下がるような、そういう制度改革をもっともっと思い切って進めていくこと、そして、県内中小業者が受注するような、そういう小額の事業については、これらと区別し、地域の業者の受注機会確保と育成のための努力と工夫が必要だというものです。ぜひ一層の検討をお願いします。
 これらの提案の上に立って、今回の入札制度改革についてお尋ねをいたします。
 現在の公募型指名入札制度を導入するときには、談合防止の有効な方法だと、そういうふれ込みだったわけですが、実際には落札率は高どまり、談合の疑いも情報も後を絶たないなど、制度をより厳しくしてきました、こういう延長線上だけの総括では、これまでの対応について反省や総括が不十分だと指摘をせざるを得ません。県土整備部長より、今回のこの入札制度改革における改善点や方向性、特徴について御答弁をお願いいたします。
 次に、二つ目の柱である障害者自立支援法案にかかわって質問をさせていただきます。
 現在、国会では障害者自立支援法案が審議をされています。この法案は、精神障害を含めてサービスを一元化することや国の予算を義務的経費にすること、複雑な施設体系を見直すことなど、これまで関係者から出されていた願いにこたえたという前進面もある一方で、利用者負担がこれまでの支払い能力に応じた応能負担から応益負担になることなど、さまざまな問題点が指摘をされ、政治的立場を超えた大論議が巻き起こっています。今定例県議会にも、全会派の紹介議員による、障害がある人の地域生活の拡充を求める請願が提出されているところでもあります。
 私は、今回の法案のどんな点が問題とされているのか、障害者にとって実際にどんな影響が出るのか、施設や作業所は一体どうなるのかと、有田郡内の作業所、授産施設をすべてお訪ねするとともに、障害者団体や関係者の皆さんに実際にお話を伺ってまいりました。
 ある授産施設に伺うと、「利用者の多くは、一日数百円の工賃にしかならない中でも、働ける喜びを感じて通所をしています。それなのに「作業所で働くのにお金が要るようになりますよ」とか「お昼の御飯代で何百円要るようになりますよ」、こういうのでは、もう作業所に行かすのをやめようという家がふえるのでは」と心配されています。
 また、あるグループホームでは、「睡眠時無呼吸症候群で医者に通っている利用者がおられた。月にすると五千円ほど医者代がかかっている。自立支援法で負担がふえて、わずかに手元に残るお金だけでは、この医者代が出せずに治療を中断することにならないか心配だ。楽しみにしてきた年一回の旅行積み立てもできるかどうか」と顔を曇らせました。
 山間部の小さな共同作業所では、知的障害四人、精神障害一人の計五人が通っていました。障害を持った方が胸を張って頑張るには、都市部では考えられないような苦労もしながら、支え合い、励まし合って運営を続けてこられました。ここでも「こういう小さな作業所への補助金が削られていくのではないか」と、先行きへの不安でいっぱいでした。
 また、多くの関係者から、「何よりも障害者の働く場を広げてほしい。働くことができて賃金や年金などの収入が確保されれば負担だってできる。健常者と肩を並べて支援を受けたいし、税金も払えるようになりたいのです」との声が出されました。障害者雇用の拡大と、そして年金の確立は大前提だと思いました。
 また、「自己負担金を同居の家族の収入や将来のための預貯金から出させようというのは許せない」、こういう御意見や、自立支援法案の説明を聞けば聞くほど「いつまでも家族に迷惑をかける」「この子を残して死ねない」「親が死んだ後、この子はどうしていけばいいのか」、こういったこれまでの不安が一層強まっている、そういうふうに感じてまいりました。
 この法案の審議とあわせて、県障害福祉課は県内各地で意見交換会を開催し、法案の動向を説明するとともに、県内の障害者、関係者から要望、意見を聞く努力をされてきました。法案成立前、県がこのような会を持つというのは初めてのことであり、近畿の中でも和歌山県だけであったと聞いています。私は、この県の取り組みは時宜を得たものとして評価したいと思います。私自身も有田地方で開かれた意見交換会に出席をさせていただき、関係者の皆さんと御一緒に県の説明も聞き、御意見をお聞きしてまいりました。この会場でも「医療費の自己負担はどうなりますか」、「県の補助は続けていただけるのでしょうか」などの切実な声が出されました。
 私は今回、関係者の皆さんから声をお聞きし、法案の方向性を調べるほどに、これは自立支援ならぬ自立阻害になってしまうという思いを強くしてきました。特に、先ほど指摘した応益負担の問題です。一体福祉を受けることは益なのでしょうか。作業所など働く場で賃金以上の利用料を取るというのは、どう考えてもおかしいです。障害が重いほど、ハンディが大きいほど負担が大きい仕組みでいいのでしょうか。応益負担は福祉になじみません。
 また、利用者負担の上限額は、同居している家族の収入も加えて判断する世帯収入の考え方です。現行の支援費制度が始まるときには、扶養義務者を一体どこまでにするのかが大問題になって、配偶者と子供は残ったものの、親や兄弟・姉妹を扶養義務者から外したんです。このことから見ると、今回の法案は逆行であり、障害者がいつまでも親や兄弟・姉妹に迷惑をかけると肩身の狭い思いをする制度であり、全くの後退ではないでしょうか。障害者本人の収入のみに限定するべきです。
 このほかにも、難病や自閉症などの発達障害が対象外であることや、本格的な所得保障策に踏み込んでいないこと、就労対策が抜け落ちていること、福祉サービスの利用抑制、そして自立支援医療になると負担が重くなることが心配されていることなど、多くの問題点を抱えています。そして、何よりも障害者、地方からの意見が生かされていない拙速な法案だと思うのです。
 そこで、知事にお伺いをします。
 県として先週の十五日に、国に対して意見書を提出されました。県民生活に深くかかわる問題として県民の声、地方からの声を示すという点では、大変意義のあることと歓迎をするものです。知事は、この意見書を提出する上で、関係者の声をどうお感じになったでしょうか。何を国に求めなければと感じたでしょうか。県が開催した意見交換会で県民からどんな意見、要望が出され、国に対してどう意見を上げていくのか。知事の思いも含めて御答弁をお願いいたします。
 次に、自立支援医療にかかわってお尋ねをいたします。
 自立支援法案では、これまで公費負担で行われてきた更生医療や育成医療、精神障害者通院公費負担制度、これを自立支援医療給付として支援法に組み込み、原則一割負担にするとしています。しかも、対象の病気を減らし、対象外は一般医療で三割負担です。そのため医療費負担ができない精神障害者が、服薬や通院を控えて病状が悪化し、在宅生活が困難になるのではと言われています。
 また、重度な障害を持つ障害児や障害者にとって、県が自己負担分をカバーする重度心身障害児(者)医療費支給事業は、まさに命綱であります。事業の継続、堅持を強く求めるものであります。この事業の位置づけ、今後の方向について、福祉保健部長より答弁をお願いいたします。
 三つ目に、障害福祉計画についてお尋ねをいたします。
 国は、福祉サービスも自己決定と選択の時代だと、こんなふうに言いますが、都会ではともかく田舎では、行くところがない、基盤整備がうんとおくれている、これが実態です。今後、障害福祉計画を市町村でも県でも立てていくわけですが、国はこの計画に示した数値目標、基準以上にはお金を出さない、そういう仕組みになるとされていますから、県がしっかりと充実した計画を立てることが大事になってきます。県の計画策定に当たっては、市町村からの計画を単純に積み上げて県の計画にするということでは、これ不十分です。県内の市町村や地域ごとの社会資源整備については県が調整・指導を行っていく仕組みになりますから、人口が少ないから施設がない、施設や事業者がないからサービスが使えない、こういうことのないようにしっかりと県がその役割を果たすべきだと考えます。市町村と密接に連携をし、また支援・指導を行いながらしっかりとした障害福祉計画を立てていくべきだと思いますが、この点についてのお考えを福祉保健部長からお聞かせください。
 それでは三番目の柱、水害・土砂災害対策についての質問に移らせていただきます。
 梅雨の季節となりましたが、さっぱり雨は降りません。降るときはむちゃくちゃに降るし、降らないときとなるとさっぱり降らないわと、どうにも近年の気候は不順で異常になってきています。
 昨年は、記録的な台風上陸の年でもあったため、全国各地で洪水、土砂災害が多発をいたしました。七・一八水害から半世紀、大きな被害を受けた有田川流域に住む者として、再びその惨禍を繰り返さないためにも自然災害への備えを十分にしておく必要があると考えています。
 このほど吉備町では、町内の防災マップを作成し、全戸に配布をいたしました。金屋町でも、この六月補正で作成計画が提案をされています。
 この有田川のはんらんを想定した浸水予想図については、県の有田川洪水予報事業での浸水予想図のデータを使って浸水範囲や水位を色分けして、警戒と日ごろの意識づけを呼びかけています。町内の家庭では、自分の家のある地域の浸水の深さや、また避難場所、避難経路が話題となっています。「二八水害のときもここら辺まで水が来たそうだ」とか「もっとここら辺も水につかったはずや」、こういった過去の経験も語られています。津波ハザードマップとともに、河川洪水のハザードマップも関心が高まっている状況です。
 県は、洪水予報の文書の中で、こんなふうに述べています。「昭和二十八年の「七・一八水害」を契機に河川改修が抜本的に進められ、河川拡幅や、堤防の嵩上げ、さらに二川ダムが建設された。その後、築造された堤防の老朽化・低水路の未改修等により年々被災している状況を改善するため、昭和五十七年より、計画規模を一〇〇分の一とする中小河川改修事業が実施され、現在に至るまで河道改修事業が鋭意進められているが、治水安全度は計画規模まで至っておらず、有田川はなおも水害の危険をはらんでいる。このため、河道改修等による治水事業の推進は勿論、的確な洪水予測と迅速な情報の伝達によって、民心の安定を図り、ひいては洪水被害の軽減をもたらすことが重要となっている」、こうあるんですが、この文書にもあるように、正確で実態に合わせた被害想定と避難場所・避難経路の徹底というのは大変重要です。
 しかし、今回のこの浸水予想図は百年に一回の大雨をシミュレーションしたものですが、二川ダムの設計雨量の範囲内にどんぴしゃ入っていて、ダムで洪水調節が綱渡りながらもできた想定になっているんですね。逆に言えば、ダムによる洪水調整をしてもこれだけの被害が予想されると、そういうものです。これがもう少しでも余計に雨が降ったり、もしくは雨のピークが後ろにずれれば、ダムは操作規程に基づいて、洪水調節をせずに上流から流れ込んだ洪水をそのまま下流に放流する「ただし書き操作」と呼ばれる放流に移ることになります。そうすれば、この想定をはるかに超える被害が出ることになります。
 昨年は台風も多く、非常に雨の多かった年でもあり、全国の二十五カ所のダムでただし書き操作による放流がされたと聞いています。一年間に二十五回というのは、これまでの十年分に相当する、そんな数だそうで、これくらい近年は異常気象、集中豪雨の被害が多くなってきているというあらわれではないかと私は思います。
 今回、有田川では洪水予報体制がとられ、浸水予想図も発表されたのは、河口から十八キロ地点までの、いわば堤防を築いた築堤区間にとどまっています。しかし、ここより上流でも、道の低いところ、川の曲がったところなど過去に水害の被害の大きかった地域では、水害への備えに対する関心は非常に高いんです。災害のリスクの高い地形や浸水、水没が予測されるところは、実態に合わせて被害想定や避難体制の強化が求められているのではないでしょうか。洪水ハザードマップを作成し、実態に即した浸水想定や避難対策の一層の推進を求めるものですが、いかがでしょうか。県内河川のハザードマップの作成状況や見通し、住民との取り組みについて、県土整備部長より御答弁を願います。
 次に、有田川の堆積土砂撤去についてお伺いをいたします。
 有田川では、土砂の堆積、草や木の繁殖による土砂堆積が進み、河床が上がって危険だという指摘や、有田川の水位が高いため支流の水が出ていけずに支流の水位も危険な状態であり、幾ら支流の河川改修をしても有田川本流の河床を下げない限り効果が出ない、こういう地元市町村からの声も紹介し、堆積土砂の撤去を私は強く求めてまいりました。これに対し県は、その緊急性を認めるには至らないものの、堆積状況の推移を調査し、今後の方向性を検討していただいています。
 私は、有田川の土砂撤去で河床を下げてほしいという地元住民の切実な願いを改めて強調し、有効な方策に一歩踏み出していただくよう強く求めるものですが、今回の質問では、有田川の高速四車線化区域で川の流れを整える事業が実施されることについてお伺いをいたします。
 ここは連続して合計三本の橋が並ぶことになり橋脚が林立をすることや、川の流れが蛇行してまともに堤防にぶつかっているところがある、そういうことから地元要望の大変強い地点であり、計画の概要と方向性をお示しいただきたい、こういうふうに思います。
 また、清水町の清水橋下流では、支流との合流によって土砂の堆積が進んでいます。私は、二川ダムのバックウオーター現象で流れが遅くなることによる堆積の進行も加わっていると考えていますが、この地点は未改修の堤防も残っているところであり、砂利のしゅんせつを望む声が上がっていますが、いかがでしょうか。有田川の堆積土砂とかかわる二点について、県土整備部長より答弁を願います。
 最後に、土砂災害防止の点で、湯浅町の山田山の土砂堰堤対策についてお尋ねをいたします。
 ここは一昨年の九月議会の質問でも取り上げましたが、谷を埋めて造成した堰堤の内側に十八万トンもの大量の雨がたまって、堰堤の崩壊が始まり、あわや膨大な土石流が発生する寸前のところにまでなりました。これに気づいた町の必死の対応と、この堰堤の災害復旧では国、県の尽力をいただき、事なきを得ている状態です。その後、この根本的な対策として大量の水がたまらないように堰堤の内側を土砂で埋めることになり、県環境保全公社の協力も得て県工事による建設残土搬入を進めていただいてきました。しかし、なかなか思うように計画が進まずに苦労をされているようです。ぜひこの土砂搬入のスピードをアップしていただき、一日も早く災害のおそれがないように対策を完了すべきだと願うものですが、この土砂搬入の計画と見通しについて、県土整備部長より御答弁を願います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に橋梁談合の問題ですけども、これは今、非常に大きな問題になっているわけですが、こういうふうな問題は、単に独占禁止法違反というふうな違法・適法の問題だけじゃなくて、せっかく厳しい中で組んでいる予算というふうなものの適正な執行を大きく阻害するというふうなことで、これはもう非常に私も憤りを感じるところでございます。そういうことで、この告発された十一社については早速指名停止を行ったところでございまして、今後とも公正取引委員会や検察庁の動向を十分注視しながら厳正に対応していきたいと思います。
 この談合とかいうふうなことについては、ある意味ではイタチごっこみたいなところもあるんですけども、和歌山県としては、少なくともよその県よりは透明性が高くて、そして厳正な措置をとろうというふうなことで入札制度の大きな改革を行ったんですけども、これも一方では地元企業を育成しないといかんというふうな問題もありますので、この二者を追うというふうな形の中での改正ですけども、成果が上がることを期待しているところでございます。
 次に、障害者自立支援法案についてでございます。
 これは現在、国会で審議中でございますけれども、中身は大きな改革であり、障害者の人たちの生活に大きな影響を及ぼすものであるという認識のもとに、御質問にもありましたように、この四月から五月にかけて県内三十六カ所で意見交換会を精力的に開催いたしました。そういうふうな中で、特に利用者負担が入ってくるというふうな問題、そしてまたサービス体系のあり方の問題等々、いろいろな問題、切実な問題提起がなされたというふうに聞いております。
 私どもとしては、このような意見交換会でのこととか、こういうふうなものを真摯に受けとめて、厚生労働省に対して負担能力のない方にサービス抑制ということにつながらないような形の措置ということを強く要望し、今後ともこのような姿勢で臨みたいと考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、入札談合問題でございます。
 県庁南別館建設工事入札の経緯でございますが、建築工事、電気設備工事、機械設備工事の三件について公募型指名競争入札方式を採用し、四月十五日に入札を行ったところでございます。
 これらの工事については、入札執行前に談合があるのではないかとの匿名情報が報道機関を通じて幾つか寄せられ、談合情報対応マニュアルに基づき、次のように対応いたしました。
 まず建築工事については、落札予定者及び落札率が示されておりましたため入札前に調査を行いましたが、談合の事実は確認されなかったので入札を実施しました。結果的には、情報とは異なるJVが落札いたしました。
 次に電気設備工事及び機械設備工事につきましては、落札額の情報がないなど、調査に値しない情報であったため、入札を執行しました。これらも情報とは異なる結果でございました。
 しかしながら、機械設備工事については、四月十四日付の大阪の業界紙に、落札予定者として幹事会社とその構成員全社の名を、また他の参加JVについてはすべての幹事会社名を示す内容の記事が掲載されていたことが入札執行後の四月二十日に判明し、その内容が事実と一致しておりました。県といたしましては、非公表としていた参加者名、特にその幹事会社すべてが記載されていたこと、落札者が一致していたこと、入札執行後数日を経過していたこと等にかんがみ、マニュアルの想定外ではございましたが、迅速な対応が必要であると判断し、再入札することとしたものでございます。
 次に入札制度改革でございますが、先日発表させていただきましたように、今後さらに談合排除を強化するため、情報と入札結果が一致すれば入札を無効とするなど、厳しく迅速な対応を定めた談合情報対応マニュアルの改正や談合等不正行為による損害賠償金を契約額の一〇%から二〇%に引き上げを行うこととしました。また、これまでの公募型指名競争入札を改め、指名行為をなくし、入札参加者が事前にわからない郵便入札を活用した事後審査型方式とした受注希望公募型競争入札や、条件付き一般競争入札を一部導入することといたしました。
 また、Gメンの強化や経営事項審査方法の改善などにより、不良不適格業者を排除するとともに、災害時の対応など地域への貢献度、若年者等の雇用状況及び建設機械の保有状況などを新たに企業評価に反映するなど、努力している企業が報われるような仕組みを構築してまいることとしております。
 今後とも引き続き、建設産業の健全な育成と、より公正で透明性、競争性の高い入札制度の実現に取り組んでまいります。
 次に、水害・土砂対策の関係でございます。
 まず一点目、洪水ハザードマップについてでございますが、近年、記録的な集中豪雨が増加傾向にあります。このような中、災害の未然防止のため、財政状況が大変厳しい中ではございますが、ハード施設整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
 一方、洪水による被害を最小限にとどめるためにも、ハード整備とあわせて、ソフト対策の充実を図ることも大変重要であると考えております。
 県では、浸水のおそれのある区域を示した浸水想定区域図の作成を進めており、市町村がこれに基づき、住民の皆様に避難路や避難場所などを認識していただくため、洪水ハザードマップを作成することとしております。
 また、台風の接近などで大雨が予想される場合には、住民の皆様が警戒や避難等を迅速かつ的確に行えるよう、気象台と連携し、県下全域の雨量予測や紀の川、熊野川、有田川、日高川で洪水予報を実施しているところでございます。
 特に御質問の洪水ハザードマップにつきましては、県下で二十七市町が対象となっており、そのうち七市町が既に作成し、公表しております。今年度より洪水ハザードマップ作成に係る国の補助制度が創設されましたので、残る二十市町に対し平成二十年度までに公表を行えるよう、県としましても作成費用の一部助成や技術的指導の支援を行ってまいります。
 このような河川に関する情報提供などのさまざまな取り組みを通じて、県としましては県民の皆様一人一人の防災意識を高め、被害の防止・軽減に努めてまいります。
 次に、有田川の関係でございます。
 河川の治水機能を確保するため、適切な管理を行っていくことは重要であると認識しております。
 有田川の高速四車線化区域につきましては、日本道路公団施工の橋梁や護岸工事の施工工程等と整合を図りながら流路の蛇行を修正し、堤防補強を図る低水護岸を整備していく予定であります。
 また、清水橋下流合流地域につきましては、土砂の堆積状況や流下能力を勘案し、広域的な観点から検討してまいります。
 最後に、湯浅町山田山の関係でございます。
 湯浅町山田の湯浅建設残土公的処分場につきましては、平成十五年六月二日に受け入れを開始して以来、その後の公共投資の減少などの影響もあり、平成十七年五月末現在で搬入率が全体の八%と低迷しております。
 今後、各工事箇所における発生土量の抑制や処分に係るコストに留意しつつも、湯浅町、地元住民や関係者等との調整を図りながら、可能な限り搬入の促進に努めてまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、重度心身障害児(者)医療費助成につきましては、重度心身障害児者の方々の健康の保持と福祉の増進を目的として、県単独制度として昭和五十年度から実施をしてきているところでございます。しかしながら、当該制度の医療費及び対象者も年々増加してきておりまして、平成十六年度における当該制度に要した費用は、県、市町村を合わせて約三十億円にも上っており、今後も増加することが予想されます。
 今回の障害者自立支援法案におきましては、障害者の医療費の自己負担について、応能負担から原則一割の応益負担に改めようとするなど、国の制度も見直しがなされようとしているところでございます。
 こうした状況を踏まえ、重度心身障害児(者)医療費助成制度を含め、県単独医療費助成制度全体の見直しについて、今後さまざまな観点から検討を行い、持続可能な制度となるよう再構築を図る必要があると考えてございます。
 次に障害福祉計画についてでございますが、障害者自立支援法案におきましては、国の基本方針に基づいて、県及び市町村は平成十八年度中に障害福祉計画を策定するよう義務づけられることとなります。
 計画の内容につきましては、市町村では障害福祉サービスの必要な見込み量やその確保のための方策等、県では各障害福祉圏域ごとの見込み量やその確保のための方策等を盛り込むこととなっており、今後は障害福祉サービスはこの計画に基づいて提供されることとなります。
 県の計画の策定に当たりましては、単に各市町村の計画を積み上げるのではなく、各圏域におきまして、例えば一市町村で対応できない事項等を圏域全体で検討するなど、各市町村と十分連携調整を図るとともに、適切に指導・助言を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 当局の御答弁いただきました。ありがとうございました。
 一つ要望と、そして二つ再質問をさせていただきたいと思います。
 先に要望から申し上げます。
 自立支援医療費にかかわること、市町村への指導援助について、これ、まとめて要望しておきます。
 部長から重度心身障害児(者)医療費の関係で答弁をいただいたわけなんですが、部長の答弁は、必要性よりも財政的な先行き不安の話──持続可能とか、お金の話ばっかりがどうにも耳についたように思うんですね。これでは、意見交換会のときの説明よりもずっと冷たい。財政危機を乗り越えるためのしわ寄せをこの弱者に求めるべきではないと私は思います。命綱の制度を守り、充実させる、その姿勢に立つよう、私は強く要望をするものです。
 また、精神の公費負担の問題でも一言要望をいたしたいと思います。
 今は公費負担によって本人負担は五%に抑えられていますし、県内の二十八市町村では、その本人五%負担分を補助しています。これは決して財政に余裕があるからやっているわけではありません。今、精神疾患を患う方はふえる一方で、テレビでも「医師にかかりましょう」と呼びかけています。また、入院患者さんにも病院は通院への移行を促しています。
 精神疾患を患い、仕事を休まなければならなくなって収入がなくなった、そういう患者さんに対して、県の行政の窓口なんかも、「仕事がない時期でも通院医療費は公費負担してくれるから、安心して病院へ行ってくださいね。治療を中断しないでくださいね」と、そういうふうにアドバイスができたわけなんですよね。公費負担があってこそ、こういうアドバイスもできたと思っています。
 私は、市町村がこの制度を続けられるように、この一割負担でふえる五%部分を県が負担するように要望するものです。こういう部分でも、市町村とぜひ力を合わせながら障害を持つ方への支援をしていくよう要望をしておきたいというふうに思います。
 それから、入札談合問題と国への自立支援法の要望との関係で、知事に二点再質問をさしていただきます。
 橋梁談合の問題では、これは適切な予算執行を妨げる大きな問題で憤りを感じる、入札制度の改革もどんどんやっていきたいと、こういう決意表明をいただいたと思っています。
 そもそもこの大きな鉄骨製の橋梁なんていうのは、個人とか民間が建設するものじゃなくて、ほとんどすべては公共事業で、税金で建設をするものだと思うんです。今回はその税金を談合によってかすめ取った談合集団の犯罪性が問題なんであって、そういう意味では国民、県民も、国や全国の市町村も、みんな被害者だというふうに思うんですね。だから、受注できる業者が限られているというこの今の状況を悪用して談合によって工事費を高く操って不当な利益を得てきたこういったK会、A会の業者の社会的責任、これ、非常に重いと私思うんです。
 だから、知事がおっしゃったように、犯罪捜査という点では行政としてはその限界性もあるかもしれません。でも指名停止処分も、こんなふうに指名停止業者が多くなってくると、今、県の工事の入札も事実上ストップしているような状態にまで影響が出ているわけで、県民のための事業、これもまたこれ以上おくらせるわけにもいかない、こういう本当に迷惑な話だと思うんです。だから、こういう企業への社会的責任、これはきっちり果たさせるべきだと思いますね。
 行政に限界があるときでも、知事は政治家としての仕事ができると思うんです。全国の都道府県も、いわば同じ立場の被害者なわけなんですから、何かできるのではとも私思ったりします。
 県庁南別館のこの入札をやり直すという決断は、県民の支持を得ていると思うんですね。これまでの談合マニュアルでは対応できない、そういう行政の限界があったけども、県民に不信感が募っているとして迅速な対応が必要だ、こういうふうな判断をしてやり直しを決定した。このように県民世論の支持を得て一歩踏み出すということもあると思うんですね。事態を見守るだけでなかなか有効な手も足も出ないんだというだけじゃなくて、行動を起こすべきだというふうに思いますが、再度知事の答弁を求めたいと思います。
 それから、自立支援法にかかわっての国への意見を上げていくという問題ですが、知事の方では、今回意見書を上げて、これからもそういった姿勢で臨みたいと、こういうお話いただいたわけですが、ぜひ引き続きいろんな立場で意見を述べていただきたいと思うんですよ。
 というのは、今回の意見交換会の案内文書、これずっと関係者に渡された文書ですけど、こんなふうに書いています。「県としましては、皆様の御意見をお伺いし、現在説明できる内容は説明させていただくとともに、国に対して伝えるべき点は提言していきたいと考えています」と。この言葉を聞いて関係者は非常に喜んだわけです。県は私たちの声を伝えてもくれるんだ、ただ説明に来るだけじゃないんだと、こういうふうに喜んだわけなんですね。
 では、「いつ意見を上げるんか」と、こういうふうに関係者が聞くと、「法案成立後に政省令が出る前にその意見を上げるつもりなんだ」と、こういうことだったと思うんですね。せっかく聞いた県民の意見を、決まってからというんでは遅いんじゃないかと。こういう意見に後押しされて今回の意見提出をいただいたというふうに思っているんです。
 今回の法案のひどいところは、具体的なサービスの内容とか、それから負担の割合とか所得の範囲とか、そういう大事な部分は法案成立後の政省令で決めていく、こんなふうになっているというところだと思うんです。
 ですから、障害をお持ちの方や作業所の皆さんにお聞きしても、「どんな仕組みになるか、ほんまにわかりにくいし、利用者の方にも、私らも説明しにくいんや」というふうにおっしゃっていました。そして、この問題は、決まってからでは遅いというふうに思うんです。ですから、県の意見書にも載せていただいている障害者や家族の意見、ほんまにこの胸に迫るものがあります。それは本当に苦労しているし、その中でも前向きに頑張ってやっていらっしゃるから心に響くんだというふうに思うんですね。
 県としても、法律が成立し、政令が決まってからでは遅いわけで、今回の意見書に加えて、今後、法案がいろんな修正とか議論で深まっていくと思います。いろんな局面あるでしょう。また、県民からの世論の高まりもあるでしょう。そういった局面にあわせて、今後も引き続き機会をとらえて国に対して意見を上げていただきたいというふうに思うものですが、いかがでしょうか。
 以上二点、知事に答弁をお願いいたします。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 談合に対する厳正な態度ということですけども、私はもうこれからもとにかく──この間も手続にないようなことでもすぐにやったわけですけども、いずれにせよ、こういうふうなことに対する憤りとかそういうものは、先ほどもお話ししたように私は非常に強いものを持っているし、そのことをきっちりしていかなかったら県民の行政に対する信頼が失われるというふうに思っておりますので、この橋梁のやつは、これはもうすぐに指名停止にしているんで、これ以上きつい手段はちょっとないんだろうと思うんですが、そのほかのことについても、これからも厳正に対応していくつもりでおります。
 それから、障害者の方の自立支援の法律の関係、これ、県内でいろいろ意見を伺ったやつ、まだ十分国の方へ言い尽くせてないところもあろうかと思います。いろんな機会をとらえて、これはもう口だけじゃなくて、本当に障害者の人がこういうことで本当に困っているんだ、こういうことで本当に不安に思っているんだというふうなことを適切に伝えていきたいと、このように思います。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事の決意を聞かせていただいたというふうに思います。
 私、きょう、この福祉の問題、それから談合の問題、これ税金のむだ遣いということにもかかわって質問をさせていただいたわけですが、二十一世紀は人権の世紀とも言われていますけども、確かに高齢者がふえていくことは事実ですし、障害を持った方も健常者と肩を並べて一緒に頑張っていきたい、そのための支援をもっともっと豊かにしていく、そういうことが求められていく世紀だと思うんですね。そういった時代だからこそ、今、税金の集め方も使い方も、そういう時代に合わせた切りかえをしていく、組みかえをしていくいい機会だというふうに私は思うんです。
 そういう意味では、本当にこの税金の集め方も能力に応じてきっちり納める人には納めていただくし、またむだ遣いや利権といったものにもきっちりメスを入れていく、また弱者のための予算をカットする、こういったことをやめて、弱者へのしわ寄せをさせない、そういう予算の組み方、今後とも頑張っていかなければならないんじゃないかと思います。
 憲法二十五条の精神が本当に花開くような、そういう政治を和歌山県政に強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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